JP2010138427A - 製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法 - Google Patents

製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低い圧縮圧力で形成してもブリケットの強度を向上させることが可能であり、製鋼炉において安全に使用できる安価な製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】平均組成で亜鉛成分含有率が1.0質量%以上10質量%以下である粉粒状の鉄系ダストおよびスラッジの少なくとも一方に、炭材を混合した後、還元焙焼処理を行って還元鉄とし、前記還元鉄を粗粒状還元鉄と粉粒状還元鉄とに分級した後、前記粉粒状還元鉄を主原料とするブリケット成型原料を、ブリケット成型機により冷間で塊成化し、還元鉄ブリケットを成型する、製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法において、前記ブリケット成型原料の水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満であることを特徴とする製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、一貫製鉄所において発生する鉄分含有ダストおよび鉄分含有スラッジを還元焙焼処理することによって製造された粉粒状還元鉄を塊成化し、製鋼用原料とする、製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法に関する。
現在、生産されている鉄の多くは一貫製鉄所において高炉法により生産されている。高炉法では、炉内通気性の確保が重要であるため、鉄原料としては、鉄鉱石が塊成化された焼結鉱に依存し、燃料や還元剤として使用する炭材は、強粘結炭を加工処理したコークスに依存している。
これらの原燃料には、炉内通気性を保証できる粒度および一定レベル以上の強度に加えて、適切な被還元性や反応性などの高い品質が要求されるため、原燃料コストが嵩むこととなる。また、これらの原燃料は、社会情勢による価格変動が大きいため、安定した価格での確保が困難である。さらに、高炉以外に、コークス製造設備や焼結設備等の付帯設備を設置する必要があるため、設備関連コストも嵩む。
また、高炉の内部では、酸化物である鉄鉱石を還元するために膨大なエネルギーを消費しているため、温室効果ガスである炭酸ガスが大量に発生する。
一貫製鉄所では、各製造工程で粉粒状の鉄分含有ダストおよび鉄分含有スラッジ(以下、「鉄系ダストおよびスラッジ」または、単に「ダスト類」とも称する)が発生する。上述のように、高炉で用いられる原料および燃料は高い品質が要求されるため、ダスト類をそのまま高炉用原燃料として使用することはできない。そこで、資源の有効活用のため、ダスト類は高炉用原料を製造する焼結プロセスの原料として利用される。
しかし、ダスト類には亜鉛成分を含有するものがあり、この亜鉛成分が成品である焼結鉱に含有されると、高炉内において炉壁付着物の形成や炉壁耐火物の損傷など、高炉操業に悪影響が発生する。
そこで、このような高炉操業における問題の発生を回避するために、亜鉛成分を含有するダスト類については、還元焙焼処理による脱亜鉛処理が施されている。還元焙焼処理とは、ダスト類と炭材とを高温炉に装入して、炉の一方の端から空気を送風して炭材を燃焼させることにより、炉内を1273K以上に維持し、ダスト類に含まれる鉄分を還元して回収すると同時に、燃焼により生じた排ガスとともにZnOを含有する微粉を回収する方法である。還元焙焼処理を行う高温炉(以下、「還元焙焼炉」ともいう)としては、円筒ドラム状の炉体が回転するロータリーキルン炉や、円板炉床が水平回転するロータリーハース炉等が代表例として挙げられる。
還元焙焼炉では、ダスト類に含まれる亜鉛と鉄の分離を強化する観点から、生成される還元鉄は細粒化されていることが有利である。還元焙焼炉内は、高温還元雰囲気に維持されるため、ダスト類中の酸化鉄の大部分は、金属鉄となる。金属鉄を含有する還元鉄が、製鉄原料として利用可能であれば、原料を安価に確保する観点からも多大なメリットが期待できる。
この還元鉄を高炉で使用するには、上述のように炉内の通気性を確保するため、塊成化することが必要であるとともに、塊成化物の粉化を抑制することも必要である。そのため、塊成化物にも、一定レベル以上の粒度と強度が必要とされる。
そこで、従来から、この還元鉄を高炉で利用するため、細粒化された還元鉄を塊成化する目的で、約973Kの高温において熱間塊成化が実施されている。
図1は、ダブルロール型ブリケット成型機の構成図である。塊成化方法の一例としては、ダブルロール型ブリケット成型機を用いる方法が挙げられる。ダブルロール型ブリケット成型機は、2つの円筒形のロール12が水平に隣接する構造となっている。ロール12は上方から隣接点に向かう方向に回転する。双方のロール12の外周表面には、塊成化物(ブリケット)の型枠となるモールド(ポケット)25が多数設けられている。このモールド25は、回転する双方のロール12の間で同期するように配置されている。双方のロール12の外周は接触せず、最近接部位である隣接点でも2mm程度の間隙が存在する。
双方のロール12が近接する部位の直上には、原料(ここでは、ダスト類を還元した、粉粒状還元鉄)を保持し、供給する原料供給装置10が配置されている。原料供給装置10から供給された原料22は、ロール12の回転により、上方から双方のロール12の最近接部位へ向けて噛み込む状態で送り出される。そして、原料22は、双方のロール12の間隙とモールド25に入り込み、モールド25内で双方のロール12から圧縮力を受け、モールド25と間隙とを合わせた形状のブリケット13として排出される。
熱間でのブリケット成型機による塊成化は、成型自体には制約は少ないが、成型設備と冷却設備とを組み合わせる必要があるため、設備および操業にかかるコストが膨大となる欠点を有する。
例えば、特許文献1では、高温で還元鉄をブリケット成型機により塊成化する装置が開示されているが、この装置では、装置の冷却方法等において非常に高度な技術が必要であり、そのため、装置の構造も複雑化すると考えられる。
また、冷却方法として、高温状態の還元鉄ブリケットを水中に投入して急冷する方法を採用した場合には、ブリケットの内部での残留応力や微細クラックの発生により、少しの衝撃でも割れやすくなる。この改善策としては、ブリケットを徐冷することが考えられるが、この場合には、冷却時間が長くなり、生産性が低下するとともに、大気中で常温まで冷却する過程において還元鉄が再酸化するという問題も発生する。
このような問題を解決するために、特許文献2では、高温状態の還元鉄ブリケットを、スプレー水を用いて徐冷する方法や、ガスおよびスプレー水を順に用いて徐冷した後、水にて急冷する方法が提案されている。徐冷条件としては、ブリケットの表面温度で毎分150〜250K程度の降温速度が好ましいとされている。しかし、この方法では、大量に生産される還元鉄ブリケットの表面の冷却速度を制御することは非常に困難であると考えられる。
また、還元鉄は、還元焙焼炉において、既に還元プロセスを経て金属鉄を多く含有しているにも関わらず、さらに金属鉄を製造するための還元と溶融を目的とする高炉や、高炉に装入使用するための原料塊成化を目的とする焼結機の原料とすることは、その処理に要する熱的エネルギーの面からも極めて無駄が多い。
一方、製鋼炉、特に転炉または電気炉で使用される製鋼原料には、揮発散逸性が低いという特性が要求される。製鋼炉内は、高温状態にあるため、原料中に存在する粉体は溶鋼中に溶解する以前に揮発散逸し易い。このため、粉粒状の還元鉄は、製鋼炉内に搬入することができない。
また、粉粒状の還元鉄は、その搬送過程で、ベルトコンベアへの噛み込み等、トラブルを引き起こす原因となる。そのため、高炉での使用に耐えうる程度の強度は必要としないまでも、製鋼炉に投入する際に、容易に粉化しない程度の強度を有するブリケットとして塊成化することが要求される。
そこで、本発明者らは、先に特許文献3において、還元焙焼炉において製造された粉粒状の還元鉄を冷却した後に、冷間で保持したままでブリケット成型機によってブリケットに塊成化して、転炉等の製鋼炉において用いられる製鋼用原料として利用することを提案した。製鋼用原料としては、金属化率は40%以上であることが望ましい。金属化率は、金属含有率(質量%)/全鉄含有率(質量%)×100(%)により表される。また、金属鉄は延性に優れているため、金属化率が40%以上に達している還元鉄であれば、冷間でもある程度の強度を有するブリケットへの塊成化は可能である。上述のように、転炉等の製鋼炉において製鋼原料として使用されるブリケットは、高炉で用いられるものほどの強度は要求されないため、この方法は現実的な方法と考えられる。
ただし、ブリケット1個当たりの圧壊強度としては、少なくとも150N/ブリケットは必要である。このようなブリケットの強度の調整は、ブリケット成型機のロールの圧縮圧力の調整により行うことができる。
しかし、ロールに高い圧縮圧力をかけることは、ロール表面の摩耗を進行させ、ロールの寿命を著しく低下させる。ダブルロール型ブリケット成型機による塊成化プロセスの操業コストにおいては、ロールのメンテナンス費用の占める割合は著しく大きいことから、ロール寿命を向上させることは重要な課題である。また、高い圧縮圧力を付加することが可能なダブルロール型ブリケット成型機は、ロールのシャフト部分の強度やロール表面の耐摩耗性が必要であるため、装置価格が高価である。そのため、低い圧縮圧力での高強度のブリケットの製造が要求されている。
低い圧縮圧力でブリケットの強度を向上させる方法としては、バインダーの添加が挙げられる。
例えば特許文献4では、CaOを少なくとも10質量%以上含有する製鋼用原料に、水溶性のバインダーを添加して混練機で混練した後、加圧成型により製団(塊成化)し、次いで養生することによる、製鋼原料用ブリケットの製造方法が提案されている。この方法では、冷間においてもブリケットの強度を向上させることができ、電気炉等の製鋼設備に搬入される原料の粉率を低下させることができるとされている。
この方法においては、製鋼ダスト、転炉ダスト、スケール、廃酸スラッジ、コークス、その他各種原料を個別に貯蔵するホッパーから各原料を一定量ずつ切り出して混練機に入れ、これにバインダーおよび水分を添加して混練した後、断面半菱形状の凹所を形成した一対の互いに逆向きに回転するローラよりなる加圧式の製団機に押し込み、混練物を塊成化してブリケットを製造する。
また、特許文献4の実施例においては、リグニンをバインダーとして使用しているが、リグニンは有機系・樹脂系の物質であるため、製鋼用原料として製鋼炉に投入した場合には、加熱分解され、二酸化炭素等の温室効果ガスや、有害ガスとして排出されるおそれがある。
特に、製鋼炉においては、炉内を開放した状態で原料、バインダーおよび溶融した銑鉄を炉内に供給することもあり、バインダーに炭化水素類が含まれると、バインダーの加熱分解により炭化水素系のガスやCOガス等の有害ガス、さらには水素等の可燃性ガスが発生するとともに、作業場に放散され、作業環境を著しく悪化させるおそれがある。したがって、リグニン等の有機系・樹脂系のバインダーは、極力使用しないことが好ましい。
また、無機系の物質からなるバインダーを用いた場合は、製鋼炉から排出されるスラグ量が増加する。排出されたスラグは、路盤材等として使用することが可能であるが、路盤材等自体の需要が少ないため、排出量が増加した分は、廃棄処理される可能性が高い。この廃棄処理にも費用がかかり、経済的ではない。
そして、バインダーそのものが高価である場合には、ブリケット製造費用に占めるバインダーコストの割合も大きくなる。製団機に供給するブリケットを製造するための、バインダーと原料とを混練する工程も必要である。このように、バインダーを利用する場合には、ブリケット製造やスラグ処理にかかるコストが非常に嵩む。
さらに、特許文献4で提案された方法では、製団機で固まらなかった原料や、塊成化時に形成されたブリケットの耳部の欠片、または目標粒度以下のブリケットは、振動篩い機からなる分級機で篩い下に分離され、混練機に戻されて再度塊成化される。一方、篩い上に残ったブリケット等の原料は、ベルトコンベアにより養生ヤードに搬送され、養生ヤードで自然乾燥された後、電気炉に搬入し、投入される。
特許文献4によると、このようにして塊成化されたブリケットは、分級機による篩い掛け、ベルトコンベアにより搬送する際のベルトコンベア乗り継ぎ時における落下衝突、さらに養生ヤードでの重機による搬出入により、機械的に破壊される可能性がある。また、養生中に、ブリケットの含有する水分と原料中のCaOおよびMgOとの水和反応による膨張でブリケットが崩壊する可能性もある。
そのため、通常、ブリケットは電気炉等の製鋼設備に投入される時点でかなりの割合で崩壊しており、製鋼設備に投入される原料中の粉分が多くなっている。電気炉に投入される原料中の粉分が多いと、炉内での棚吊りやガス抜けによる生産性の低下などのトラブルの発生頻度が高くなる。このようなトラブルを回避するために、養生ヤードのブリケットを、分級機により再度分級してから、篩い上の原料を製鋼設備に搬入し、篩い下の原料を混練機に戻している。特許文献4では、塊成化後のブリケットの強度を向上させるため、篩い下原料を混練機に戻す際に、この篩い下原料が製団総原料の10〜40質量%の範囲となるようにすることを提案している。
このように、特許文献4に記載の方法では、篩いを用いた分級を、製団後と養生後の2箇所で実施する必要がある。
特表2008−506041号公報(特許請求の範囲および段落[0078]〜[0099]、[0111]〜[0113]および[0122]〜[0126]) 特開平6−316718号公報(特許請求の範囲、段落[0006]〜[0009]および[0028]) 特願2008−170937号(特許請求の範囲、段落[0025]および[0036]) 特開2008−81759号公報(特許請求の範囲、段落[0003]、[0004]、[0006]、[0008]、[0009]、図1および図3)
上述のように、低い圧縮圧力で形成されるブリケットの強度を向上させるためにバインダーを用いると、製鋼時に有害ガス等が発生し、安全性に問題を生じるとともに、バインダー自体のコストや、混練工程の操業コストがかかるという問題もあった。また、塊成化後のブリケットから発生した粉粒を再び塊成化するために、分級を2箇所で実施しなければならなかった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低い圧縮圧力で形成してもブリケットの強度を向上させることができるとともに、製鋼炉で安全に使用することができる安価なブリケットを得ることが可能であり、且つ、塊成化後に発生した粉粒を再び塊成化するための分級を1箇所で実施することが可能な、製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであり、その要旨は、下記の(1)に示す製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法にある。
(1)平均組成で亜鉛成分含有率が1.0質量%以上10質量%以下である粉粒状の鉄系ダストおよびスラッジ(ダスト類)の少なくとも一方に、炭材を混合した後、還元焙焼処理を行って還元鉄とし、前記還元鉄を粗粒状還元鉄と粉粒状還元鉄とに分級した後、前記粉粒状還元鉄を主原料とするブリケット成型原料を、ブリケット成型機により冷間で塊成化し、還元鉄ブリケットを成型する、製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法において、前記ブリケット成型原料の水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満であることを特徴とする製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法。
上記の発明を完成させるため、本発明者らは、上記特許文献4で提案されたような特殊なバインダーに代わる、ブリケットの強度向上方法について検討を行った。
その結果、上述のダスト類に還元焙焼処理を施して得られた粉粒状の還元鉄に、水分を添加することにより、転炉用をはじめとする製鋼炉用として十分な強度を有する製鋼用還元鉄塊成鉱(以下、「還元鉄ブリケット」ともいう)を製造することが可能であることを見出した。
これは、次のような作用によるものと考えられる。還元鉄に水分を添加すると、鉄イオンが添加した水分に溶解する。それと同時に水分子、および水分中に溶解した酸素分子が、鉄イオンと結合して水酸化鉄に変化する。この水酸化鉄が還元鉄ブリケットを構成する還元鉄粒子同士を結合させ、還元鉄ブリケットの強度を向上させる。そして、最終的に水酸化鉄は、水分中に溶解した酸素分子と反応して酸化鉄となる。
また、還元焙焼処理により得られる還元鉄には、カルシアやアルミナ等のスラグ成分が含まれるが、これらのスラグ成分が水硬性物質となり、還元鉄ブリケットの強度を向上させる可能性もある。
いずれの場合にしても、ダスト類の還元焙焼処理により得られる還元鉄に、単に水分を添加するだけで、塊成化により得られる還元鉄ブリケットを構成する粒子同士の結合が強固となり、ロール圧縮圧力が低くても強固なブリケットを製造することができる。そのため、ブリケット成型機のロール寿命を向上させることができる。
ただし、還元鉄ブリケットの水分含有率が増加すると、それにともなって、製鋼炉内でその水分を蒸発させるのに必要なエネルギーも増加する。このように、水分の添加は、還元鉄ブリケットの強度向上に寄与する反面、製鋼炉において必要な熱補償量を増加させるので、炉操業の観点からは好ましくない。そのため本発明においては、還元鉄ブリケットの水分含有率の適正範囲を0.5質量%以上6質量%未満と規定した。
また、上記の発明は、製鉄所において発生する高亜鉛ダスト類を原料として還元鉄ブリケットを製造する方法である。したがって、ダスト類に含まれる亜鉛成分含有率の管理は還元鉄ブリケットの成分を規定する上で重要である。
製鋼炉では、還元鉄ブリケットの亜鉛成分含有率が1.0質量%を超えて高くなると操業上の問題が発生することが多い。還元焙焼における脱亜鉛率は90%以上を確保できるため、還元鉄の亜鉛成分含有率を1.0質量%以下にするためには、ダスト類の亜鉛成分含有率は10質量%以下であれば十分である。一方、亜鉛成分含有率が1.0質量%以下のダスト類については、脱亜鉛処理を行う必要がない。そのため、本発明においては、ダスト類の亜鉛成分含有率の適正範囲を1.0質量%以上10質量%以下と規定した。そして、ダスト類は混合して還元焙焼されるため、その亜鉛成分含有率は、還元焙焼以前に均一である必要はなく、部分的には偏りがあってもよいことから、平均組成により適正範囲を規定した。
上記(1)に記載の発明において、前記ブリケット成型原料が、前記粉粒状還元鉄に水を直接噴霧したものとしてもよい。
ブリケット成型原料として、粉粒状還元鉄に水分のみを添加したものを用いる場合には、ブリケット成型機に供給する前の粉粒状還元鉄に、単に水を噴霧するだけでもブリケット成型原料の水分を目標範囲内に制御でき、混合機で攪拌した場合と同様の効果が期待できる。
この場合には、還元鉄とバインダーを混練するための混練機も不要である。また、バインダーのコストは不要であるとともに、製鋼炉に投入した際のバインダー含有物由来の有毒ガスや可燃性ガスの発生や、従来と比較した、製鋼炉で発生するスラグの増加もない。
また、上記(1)に記載の発明において、製鋼炉に持ち込まれる水分の量を抑制する観点から、前記ブリケット成型原料として、前記粉粒状還元鉄に、水分を含有する製鋼副原料を混合したものを使用し、該混合物が0.5質量%以上6質量%未満の水分を含有するものとしてもよい。
ここで、「製鋼副原料」とは、製鋼炉操業における、5mm篩い下の鉄原料もしくは成分調整や溶融物の融点降下等を目的として投入される5mm篩い下の造滓材、または製鉄プロセスにおけるいずれかの工程で発生するダスト、スラグ、スラッジ、スケール等のうち、鉄原料または成分調整や溶融物の融点降下等を目的として製鋼炉で利用可能な5mm篩い下の資材を意味する。このような製鋼副原料も、塊成化することにより、製鋼炉での利用が可能となる。
水分含有率の少ない製鋼副原料を用いた場合には、水分を添加することにより、容易にブリケット成型原料の水分含有率を増加させる調整を行うことができる。しかし、製鋼副原料の水分含有率を減少させるためには加熱や乾燥等を行う必要があり、水分含有率を増加させる場合と比べて困難である。また、製鋼炉操業において水分を持ち込むことは、必要な熱的補償を低減し、また、水蒸気爆発などを防止する観点から、避けることが望ましい。したがって、水分含有率の少ない製鋼副原料は、従来通りに直接製鋼炉操業に使用することが望ましく、本発明において用いる製鋼副原料としては、すでに水分を含有するもの、特に1質量%以上の水分を含有するものを使用することが望ましい。また、上述のように製鋼炉操業において水分の持ち込みは避けることが望ましいことから、成型されたブリケットの水分含有率を製鋼炉操業に影響を及ぼさない程度とするため、ブリケット成型原料の水分含有率は6質量%未満とすることが望ましい。
水分を含有する製鋼副原料を、粉粒状還元鉄と混合させるのであれば、従来通りに製鋼副原料を直接、製鋼炉操業に使用した場合と比べて、製鋼炉への水分の持ち込み量を増加させることなく、還元鉄ブリケットの強度を向上させることが可能である。この場合も、バインダーのコストは不要であるとともに、バインダー含有物に起因する各種ガスの発生や、製鋼炉で発生するスラグの増加もない。さらに、製鋼炉で製造される鋼中に有害成分や不純物が混入するおそれもない。
また、上記(1)に記載の発明において、前記還元鉄ブリケットを成型した後、少なくとも2時間静置することが好ましい。成型された還元鉄ブリケットは、静置することにより強度が向上するからである。静置は、還元鉄ブリケットの搬送ラインから外れた場所(静置用スペース)で、できる限り雨等の水分に曝されないようにして行う。
ブリケット成型機から排出された直後の還元鉄ブリケットは、十分な強度を有しておらず、その状態で篩い分級装置に供給された場合には、損壊し、還元鉄ブリケットの収率が低下するため、静置用スペースは、ブリケット成型機から排出された直後に位置することが好ましい。
製鋼炉投入に必要な還元鉄ブリケットの圧壊強度は、既述のように少なくとも150N/ブリケットである。しかし、篩い分級時の再粉化を抑制し、還元鉄ブリケットの収率を高く維持するためには、200N/ブリケット以上とすることが好ましい。この強度は、塊成化後、少なくとも2時間静置することにより実現することができる。
ブリケット成型機から排出された還元鉄ブリケットを、静置用スペースに移動し、静置するまでの間に、還元鉄ブリケットの一部が崩壊、粉化する可能性がある。しかし、静置後に篩い分級装置に供給されるプロセスフローであれば、篩い分級装置が1箇所にしか設けられていなくても、製鋼炉に投入する前に、確実に還元鉄ブリケットから粉を分離、除去することができる。
また、還元鉄ブリケットを、ブリケット成型機から排出された直後には静置せず、篩い分級装置で分級した後に、静置してもよい。しかし、この場合には強度が向上していない還元鉄ブリケットが分級時に粉化する可能性が高いため、還元鉄ブリケットの収率が低下する。また、篩い分級された還元鉄ブリケットを、静置用スペースに移動し、静置するまでの間に、還元鉄ブリケットの一部が崩壊、粉化する可能性がある。転炉原料(製鋼原料)には、揮発散逸性が低いという特性が求められ、製鋼炉内に粉化した還元鉄を持ち込むことはできない。したがって、発生した粉を除去するために、静置した後に、再度篩い分級することが望ましい。
本明細書等において、「亜鉛成分」とは、ダスト類中に金属または化合物の形態で含有される亜鉛を意味する。
「粉粒状」とは、粒径が5mm以下の粉体、粒体またはそれらの混合状態を意味する。
「鉄系ダスト」および「鉄系スラッジ」とは、それぞれ、金属鉄、酸化鉄などの鉄分含有率が20質量%以上のダストおよびスラッジを意味する。
「還元焙焼処理」とは、鉱石、ダストなどの被処理物を融点以下の温度に加熱して、被処理物と還元性ガス、炭素などとを相互に作用させて還元反応を起こさせ、被処理物を還元する処理を意味する。
「塊成化」とは、粒度調整や品質改善を目的として、粉鉱石、ダスト、還元鉄などを、ブリケットを含む、塊状に成型することを意味する。
本発明の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法によれば、亜鉛を含有する粉粒状鉄系ダストおよびスラッジの少なくとも一方に炭材を混合後、還元焙焼処理によって還元鉄とし、分級後、粉粒状還元鉄を主原料として、水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満の条件でブリケット成型するので、転炉および電気炉といった製鋼炉に供給される製鋼用原料中の成分として好ましくない亜鉛成分を除去することができるとともに、バインダーを使用することなく、低いブリケット成型圧力のもとに、高強度の還元鉄ブリケットを製造可能である。これにより、製鋼炉において有害ガスなどを発生することなく、安全に使用することができる還元鉄ブリケットを安価に供給することができる。
また、静置後に篩い分級装置に供給されるプロセスフローとすることにより、篩い分級装置が1箇所にしか設けられていなくても、製鋼炉に投入する前に、還元鉄ブリケットから粉を分離、除去することができる。
本発明の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法は、前記のとおり、平均組成で亜鉛成分含有率が1.0質量%以上10質量%以下である粉粒状の鉄系ダストおよびスラッジの少なくとも一方に、炭材を混合した後、還元焙焼処理を行って還元鉄とし、前記還元鉄を粗粒状還元鉄と粉粒状還元鉄とに分級した後、前記粉粒状還元鉄を主原料とするブリケット成型原料を、ブリケット成型機により冷間で塊成化し、還元鉄ブリケットを成型する、製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法において、前記ブリケット成型原料の水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満であることを特徴とする製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法である。以下に、本発明の方法についてさらに詳細に説明する。
図2は、本発明に係る製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法のプロセスフローの一例である。同図に示されるように、亜鉛成分を含有するダスト類と炭材との混合物からなる還元焙焼炉原料2は、還元焙焼炉1において還元焙焼処理され、酸化亜鉛含有微粉3と、還元鉄4とに分離される。還元焙焼炉1内は、炭材の燃焼により発生するCOなどにより還元雰囲気に保たれるため、還元焙焼原料2の還元焙焼反応が進行する。還元焙焼炉1としては、ロータリーキルンを用いることができる。還元焙焼炉原料2を構成するダスト類の亜鉛成分含有率は、平均組成で1.0質量%以上10質量%以下である。
還元焙焼炉1で生成した還元鉄4は、篩い分級装置6によって、篩い上品20である粗粒状還元鉄4aと、篩い下品21である粉粒状還元鉄4bとに分級される。
篩い上品20は、直接、製鋼炉7に供給される。一方、篩い下品21は、そのまま高温状態の製鋼炉7に供給すると、溶鋼に溶けることなく揮発散逸しやすく、搬送時にコンベアのベルトに噛み込むなどのトラブルの原因ともなる。そのため、篩い下品21は、添加物8が添加され、混合機9で混合され、原料切り出し装置10で所定量ずつブリケット成型機11に供給され、ブリケット成型機11によって冷間で塊成化され、還元鉄ブリケット13aとして排出される。
添加物8は、還元鉄ブリケット13aの強度を向上させるためのものであり、水分、および水分を含有する製鋼副原料のうち少なくとも一方を用いることができる。添加物8には、製鉄副生廃材が含まれていてもよい。添加物8の添加量は、篩い下品21と添加物8との混合物、すなわちブリケット成型原料の水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満となるように調整される。
混合機9は、篩い下品21と添加物8とを十分に混合するために用いられる。しかし、添加物8が水分のみである場合には、混合機9を用いず、篩い下品21に単に噴霧するだけでもよい。
ブリケット成型機11は、前記図1に記載のダブルロール型ブリケット成型機を用いることができる。
本発明では、添加物8として、水分、および水分を含有する製鋼副原料のうち少なくとも一方を用いるため、特殊なバインダーを使用した場合のように製鋼炉7において有害なガスや可燃性ガスが発生することがない。
ブリケット成型機11からの排出物13には、還元鉄ブリケット13aのほかに、粉粒状のままの還元鉄13bも含まれる。そのため、これらの排出物は混合した状態で篩い分級装置6に戻され、篩い上品20である還元鉄ブリケット13aと、篩い下品21である粉粒状還元鉄4bとに分級される。このとき、ブリケット成型機11から篩い分級装置6まで搬送する間に還元鉄ブリケット13aが粉化して発生した粉体も篩い下品21として分級されるため、製鋼炉7に粉体が投入されるのを抑制することができる。
そして、篩い上品20は直接、製鋼炉7に供給され、篩い下品21は混合機9および原料切り出し装置10を経てブリケット成型機11に供給される。このとき、還元焙焼炉1で生成した還元鉄4を分級した粉粒状還元鉄4bとともにブリケット成型機11に供給してもよい。
また、ブリケット成型機11からの排出物13は、還元焙焼炉1で生成した還元鉄4とともに篩い分級装置6で分級してもよい。この場合、篩い上品20は還元鉄ブリケット13aと粗粒状還元鉄4aの混合物であり、篩い下品21は還元焙焼炉1から供給された粉粒状還元鉄4bとブリケット成型機11を経た粉粒状還元鉄13bとの混合物である。
ブリケット成型機11からの排出物は、静置すると強度が向上するため、篩い分級装置6に戻す前に、静置するのが好ましい。静置は、図1に併せて示すように、ブリケット搬送ラインから外れた場所である静置用スペース15で、できる限り雨等の水分に曝されないようにして行う。ブリケット成型機11から排出された直後の還元鉄ブリケット13aは十分な強度を有していないため、静置用スペース15は、ブリケット成型機11の近傍に位置することが好ましい。
ブリケット成型機11からの排出物を静置することにより、還元鉄ブリケット13aの強度を向上させることができ、篩い分級装置6で分級する際に損壊し、再粉化する可能性が低下するため、還元鉄ブリケット13aの収率を向上させることができる。
このように、ブリケット成型機11からの排出物を、静置した後に分級するプロセスフローを採用することにより、篩い分級装置6による分級を1箇所で行うことが可能となる。
還元鉄ブリケット13aの圧壊強度は、製鋼炉に投入するためには150N/ブリケット以上であることが好ましく、篩い分級時の再粉化を抑制する観点から200N/ブリケット以上であることがより好ましい。200N/ブリケット以上の圧壊強度は、還元鉄ブリケット13aを少なくとも2時間静置することにより得られる。
また、還元鉄ブリケットは、袋等に入れられ、運搬車に積み込まれ、遠隔地に長距離輸送されることもある。この際、袋等の下部に収容された還元鉄ブリケットが粉化するおそれがある。そのため、静置時間を延長してさらなる強度の向上を図ることが、粉化を抑制するためには好ましい。
なお、ブリケット成型機11からの排出物の静置を、篩い分級装置6で分級した後に行ってもよいが、この場合には強度が向上していない還元鉄ブリケット13aが分級時に粉化する可能性が高いため、還元鉄ブリケット13aの収率が低下する。
本発明の効果を確認するため、下記の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造試験を行うとともに、得られた製鋼用還元鉄塊成鉱である還元鉄ブリケットの性状を評価した。
1.製造装置
粉粒状還元鉄と添加物との混合物を塊成化し、還元鉄ブリケットを成型するため、前記図1に示すダブルロール型ブリケット成型機を用いた。
ブリケット成型機のロール径は410mmであり、ロール有効幅は96mmである。ロール外周表面には、還元鉄ブリケットの型枠となる卵形のモールドが幅方向に3列、円周方向に48列で、合計144個設けられている。モールドの寸法は、縦30mm、横25mm、および深さ6.8mmで、製造される還元鉄ブリケットの体積が約5.7cm3となるように設計されている。ロールの最大回転速度は7rpmである。
2.試料
本試験で使用した粉粒状還元鉄および添加物の乾ベースでの主要ベースを表1に示し、これらの粒度構成を表2に示す。表1において、T.Feとは全鉄分を意味し、M.Feとは金属鉄を意味する。粉粒状還元鉄は、ロータリーキルンからなる還元焙焼炉で製造されたものを室温まで冷却し、5mm篩い下品として得られたものを用いた。また、粉粒状還元鉄は、塊成化の前に乾燥させ、水分含有率を0.1質量%以下とした。
Figure 2010138427
Figure 2010138427
添加物は、水分、または水分を含有する転炉スラッジもしくは製鋼スラグを用いた。転炉スラッジの水分含有率は9質量%、製鋼スラグの水分含有率は5質量%であった。
用いた転炉スラッジには、表1に示すように鉄分が高い品位で含まれており、鉄原料として使用可能である。しかし、表2に示すように、還元鉄と同様に粉粒状であることから、製鋼炉での製鋼用の副原料として利用するため粉粒状還元鉄に混合し、塊成化した。
また、用いた製鋼スラグは、カルシアやアルミナを主成分とする粉粒状のものを、粉粒状還元鉄に混合し、塊成化した。なお、製鋼スラグは一般的に、塊状物は転炉スラグの融点降下材として利用されているが、粉粒状品は利用されていない。
粉粒状還元鉄と添加物とを表3に示す8種類の配合率で混合し、混合機で攪拌した後、ダブルロール型ブリケット成型機に供給し、還元鉄ブリケットを成型した。それぞれの還元鉄ブリケットの水分含有率は、比較例である試料1では0.1質量%未満、試料4では6.0質量%であり、本発明例である試料2、3および5〜8では0.5質量%以上4.0質量%以下であった。試料5〜8では、水分の添加は行わず、製鋼副原料(転炉スラッジまたは製鋼スラグ)に含まれる水分によって水分含有率の調整を行った。
還元鉄ブリケットの成型は、ロールの間隙を2.6mm、および回転速度を7rpmのいずれも一定とし、冷間で行った。
Figure 2010138427
5.試験結果
表3には試料の配合率とともに、試験結果を示す。評価項目は、圧縮線圧および圧壊強度とした。ここで、圧縮線圧とは、ロール全体にかかる圧縮加重をロール有効幅当たりに換算した値である。また、圧壊強度は、成型した直後の還元鉄ブリケットに、上方から垂直に荷重をかけ、破壊したときの荷重とした。
5.1.水分添加の効果
図3は、表3に示す試験結果を用い、横軸を水分含有率、縦軸を圧壊強度として表したグラフである。水分を添加しない100%還元鉄(試料1)の場合には、圧壊強度は88N/ブリケットと、製鋼炉必要強度(150N/ブリケット)に満たない低い値であった。しかし、水分、または水分を含有する転炉スラッジもしくは製鋼スラグを添加することにより、圧壊強度は向上し、水分添加の効果が確認された。ただし、水分含有率を6.0質量%まで上昇させると(試料4)、還元鉄ブリケットの成型の際に、粉粒状還元鉄がロールに付着してしまい、正常なブリケット成型機の運転ができなかった。試料4の圧壊強度は、このような状況下で成型された還元鉄ブリケットのうち、正常に成型されたものについて測定したものである。
図4は、表3に示す試験結果を用い、横軸を圧縮線圧、縦軸を圧壊強度として表したグラフである。ただし、試料4についてはデータが有効でないと判断し、記載していない。
圧縮線圧を26.5kN/cmとした100%還元鉄(試料1)の場合には、圧壊強度は88N/ブリケットと、製鋼炉必要強度に満たない低い値であった。また、圧縮線圧を44.1kN/cmとした100%還元鉄(試料2)の場合には、圧壊強度は155N/ブリケットと、製鋼炉必要強度を満たす高い値であった。このように、100%還元鉄で圧壊強度を製鋼炉必要強度以上とするには、圧縮線圧を44.1kN/cm程度以上とすることが必要であった。
これに対して、水分、または水分を含有する転炉スラッジもしくは製鋼スラグを添加した試料(試料3〜9)では、圧縮線圧が44.1kN/cm未満であったにもかかわらず、圧壊強度は150N/ブリケットよりも大きかった。このことから、水分を添加することにより、低い圧縮圧力でも製鋼炉での必要強度を有する還元鉄ブリケットを得ることができることがわかった。
5.2.静置の効果
水分のみを添加し、水分含有率を2.0質量%とした粉粒状還元鉄(試料3)を用いて得られた還元鉄ブリケットを、静置時間を変化させて静置し、圧壊強度を測定した。表4に、この静置試験の結果を示す。
Figure 2010138427
図5は、表4に示す試験結果を用い、横軸を静置時間、縦軸を圧壊強度として表したグラフである。表4および図5に示すように、2時間の静置で圧壊強度は、篩い分級時の再粉化を抑制するために好ましい200N/ブリケットを超える値となった。その後も圧壊強度は増加し、284時間では塊成化直後の2.5倍以上となった。ただし、284時間を超えると、圧壊強度の変化は飽和した。
また、水分のみを添加し、水分含有率を2.0質量%とした粉粒状還元鉄(試料3)を、水分含有率の調整後、20日間大気中に放置し、鉄分の金属化率を調査した。表5に、放置前後の水分を含有する粉粒状還元鉄中の全鉄分(T.Fe)および金属鉄(M.Fe)の含有率、ならびに鉄分の金属化率の値を示した。金属化率(%)は、(M.Fe(質量%))/(T.Fe(質量%))×100(%)で定義される値であり、鉄分の酸化状態の指標として用いることができる。なお、金属化率の値が低いほど、酸化が進んでいることを表す。
Figure 2010138427
表5に示すように、金属化率は20日の放置の前後で若干低下したものの、鉄成分の酸化状態は製鋼炉の操業上、無視できるレベルであった。また、この結果から、水分含有率が6質量%未満であれば、水分添加し、その後、大気中に放置したとしても金属化率の低下は僅かであり、製鋼用原料として必要な金属化率40%(質量%)以上は維持できると推測される。したがって、ブリケット成型原料の水分含有率が6.0質量%未満であれば、酸化状態は製鋼炉操業上問題ないレベルと考えられる。
本発明の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法によれば、亜鉛成分を含有する粉粒状鉄系ダストおよびスラッジの少なくとも一方に炭材を混合後、還元焙焼処理によって還元鉄とし、分級後、粉粒状還元鉄を主原料として、水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満の条件でブリケット成型するので、転炉および電気炉といった製鋼炉に供給される製鋼用原料中の成分として好ましくない亜鉛成分を除去することができるとともに、バインダーを使用することなく、低いブリケット成型圧力のもとに、高強度の還元鉄ブリケットを製造可能である。また、静置後に篩い分級装置に供給されるプロセスフローとすることにより、篩い分級装置が1箇所にしか設けられていなくても、製鋼炉に投入する前に、還元鉄ブリケットから粉を分離、除去することができる。
したがって、本発明の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法は、簡便な設備を使用することにより、一貫製鉄所で大量に発生する粉粒状鉄系ダストから、製鋼炉において安全に使用可能な製鋼用還元鉄塊成鉱(還元鉄ブリケット)を製造することができる経済性に優れた方法として、広範に適用できる。
ダブルロール型ブリケット成型機の構成図である。 本発明に係る製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法のプロセスフローの一例である。 還元鉄ブリケットの水分含有率と圧壊強度との関係を示すグラフである。 還元鉄ブリケットの圧縮線圧と圧壊強度との関係を示すグラフである。 還元鉄ブリケットの静置時間と圧壊強度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1:還元焙焼炉 2:還元焙焼炉原料 3:酸化亜鉛含有微粉 4:還元鉄
4a:粗粒状還元鉄 4b:粉粒状還元鉄 6:篩い分級装置 7:製鋼炉
8:添加物 9:混合機 10:原料切り出し装置 11:ブリケット成型機
12:ロール 13:排出物 13a:還元鉄ブリケット 13b:粉粒状還元鉄
15:静置用スペース 20:篩い上品 21:篩い下品 22:ブリケット成型原料
25:モールド(ポケット)

Claims (4)

  1. 平均組成で亜鉛成分含有率が1.0質量%以上10質量%以下である粉粒状の鉄系ダストおよびスラッジの少なくとも一方に、炭材を混合した後、還元焙焼処理を行って還元鉄とし、前記還元鉄を粗粒状還元鉄と粉粒状還元鉄とに分級した後、前記粉粒状還元鉄を主原料とするブリケット成型原料を、ブリケット成型機により冷間で塊成化し、還元鉄ブリケットを成型する、製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法において、
    前記ブリケット成型原料の水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満であることを特徴とする製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法。
  2. 前記ブリケット成型原料が、前記粉粒状還元鉄に水を直接噴霧したものであることを特徴とする請求項1に記載の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法。
  3. 前記ブリケット成型原料が、前記粉粒状還元鉄に、水分を含有する製鋼副原料を混合したものであり、該混合物の水分含有率が0.5質量%以上6質量%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法。
  4. 前記還元鉄ブリケットを成型した後、少なくとも2時間静置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製鋼用還元鉄塊成鉱の製造方法。
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