JP2010138219A - フェノール樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いpH値を持つために、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生を減少させることの可能なフェノール樹脂発泡体を、容易にかつ効率よく製造できる方法の提供。
【解決手段】フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体を成形する方法において、上記発泡、硬化させて得られる成形体をアルカリ性揮発物の雰囲気下に養生することを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法による。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体の製造方法に関し、更に詳しくは、高いpH値を持つために、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生を減少させることの可能なフェノール樹脂発泡体を、容易にかつ効率よく製造できる方法に関する。
従来、合成樹脂建材、特に壁板内装材として、フェノール樹脂発泡体製壁板が、難燃性、耐薬品性、耐腐食性において優れるとして広く採用されている。
ところで、このフェノール樹脂発泡体よりなる成形体は、通常フェノール樹脂に整泡剤、発泡剤及び硬化剤(酸触媒)を混錬し、該原料を金型に注入し、一定の温度条件で発泡成形し、さらに一定の温度条件で一定時間養生することによって製造されていた。
しかしながら、上記フェノール樹脂発泡体が例えば雨水のような水に晒された場合には、前記酸触媒が、水によってフェノール樹脂発泡体から抽出されることがある。このことが、金属材料がフェノール樹脂発泡体と接触した時に、例えば金属を腐食するような問題を引き起こす。したがって、上記フェノール樹脂発泡体を建材に使用した場合、鉄骨や釘などの金属に接触すると、金属部分が発錆するという問題があった。
この発錆原因は、フェノール樹脂に添加された酸触媒からなる残留酸成分によるものであると考えられる。
この残留酸成分を減少するために、発泡組成物中にアルカリ成分として無機フィラーを添加してなるフェノール樹脂発泡体が提案されている(特許文献1)。
しかし、この方法では、例えば無機フィラーとして炭酸カルシウムを使用した場合、発錆が十分に防止できないという問題があった。
出願人らは、上記の問題を炭酸カルシウムが水に不溶であることから、フェノール樹脂発泡体に十分に分散せず、反応しきらない酸成分が残存してしまうためと考え、こうした状況下に、従来技術の問題点を解消でき、建材に使用した場合でも、鉄骨や釘などの金属部分に発錆の生じないフェノール樹脂発泡体を容易にかつ効率よく製造できる方法の検討を行ってきた。
特開2007−70512号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生のないフェノール樹脂発泡体を、容易に製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させて得られる成形体をアルカリ性揮発物の雰囲気下に養生したところ、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生のないフェノール樹脂発泡体を、容易に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体を成形する方法において、
上記発泡、硬化させて得られる成形体をアルカリ性揮発物の雰囲気下に養生することを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記アルカリ性揮発物が、アンモニアであることを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記養生が、40℃以上の温度条件で、24時間以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、養生後のフェノール樹脂発泡体のpHが7.0以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法が提供される。
本発明によれば、第1の発明においては、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させて得られる成形体を、アルカリ性揮発物の雰囲気で養生するフェノール樹脂発泡体の製造方法であるので、残留酸性分が中和され、従来のものよりも高いpH値を持つフェノール樹脂発泡体を、養生という、実施が容易な方法にて製造することができるという効果がある。
また、第2の発明においては、前記アルカリ性揮発物が、アンモニアであると特定しているので、従来のものよりも高いpH値を持つフェノール樹脂発泡体を、アンモニアでの養生という実施が容易な方法にて製造することができるという効果がある。
また、第3の発明においては、前記養生が、40℃以上の温度条件で、24時間以上であると特定しているので、残留酸性分が良く中和され、従来のものよりも高いpH値を持つフェノール樹脂発泡体を製造することができるという効果がある。
また、第4の発明においては、養生後のフェノール樹脂発泡体のpHが7.0以上であると特定しているので、発錆が減少した、従来のものよりも高いpH値を持つフェノール樹脂発泡体を製造することができるという効果がある。
本発明のフェノール樹脂発泡体の製造方法を、以下に、具体的かつ詳細に説明する。
1.発泡性フェノール樹脂組成物
(1)フェノール樹脂
本発明のフェノール樹脂発泡体の製造方法は、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させて得られる成形体を、アルカリ性揮発物の雰囲気下に養生することを特徴とする。上記フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒に加えて、必要に応じて整泡剤、可塑剤等が添加されてもよい。本発明の製造方法によれば、現在市販されている典型的なフェノール樹脂発泡体よりも高いpH値を有するフェノール樹脂発泡体を提供するものである。pHが高くなると、フェノール樹脂発泡体と長時間接触した場合の金属材料の腐食が抑制される。
本発明で使用される好ましいフェノール樹脂のタイプはレゾール樹脂である。このレゾール樹脂は、フェノール、又はクレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニールフェノール、レゾルシノール等のフェノール化合物と、ホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等のアルデヒドとの、触媒としての水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又はトリメチルアミンやトリエチルアミン等の脂肪族アミンの存在下での化学反応によって得ることができる。これらのタイプの化学成分は、通常は標準的なレゾール樹脂製造において使用されているが、本発明はここで記載された化学薬品に限定されるものではない。
フェノールとアルデヒドとのモル比は特に限定されない。フェノール:アルデヒドのモル比は、1:1〜1:3、より好ましくは、1:1.5〜1:2.5、特に好ましくは、1:1.6〜1:2.1の範囲内にあることが好適である。
本発明で使用される前記フェノール樹脂の好ましい重量平均分子量は400〜3,000であり、より好ましくは700〜2,000である。数平均分子量は、好ましくは150〜1,000であり、より好ましくは300〜700である。
上記フェノール樹脂の一例としては、市販されているものとしては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドをモル比1:2で反応させて得られた、尿素5重量部を後述する有機アミノ基含有化合物として内添する、レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名「PF−333」)等が挙げられる。
(2)発泡剤
本発明の好ましい発泡剤として、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素又は該脂肪族炭化水素の混合物が使用される。これは直鎖または分岐脂肪族炭化水素を含む。ブタン、ペンタン、ヘキサン、及びそれらの異性体が例示される。炭化水素は地球温暖化の潜在的危険性が小さく、地球のオゾン層を枯渇させない。
本発明で使用される前記発泡剤の量は、フェノール樹脂の100重量部当り1〜20重量部であり、より好ましくはフェノール樹脂の100重量部当り5〜10重量部である。
(3)酸触媒
本発明のフェノール樹脂の重合を開始させる為に使用される酸触媒(「硬化剤」ともいう。)には、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機強酸単独、又は混合物が使用される。フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、又はキシレンスルホン酸が特に好適である。硫酸、燐酸等の無機酸も、前記有機酸と共に使用しても良い。
フェノール樹脂の重合を開始させるために使用される酸の量は選択した酸の種類によって変わるが、通常は、フェノール樹脂100重量部当り、5〜25重両部、より好ましくは7〜22重量部の範囲内である。最も好適な量は10〜20重量部である。
(4)整泡剤
本発明で使用されるフェノール樹脂は、発泡体の製造を支援する整泡剤を含んでいてもよい。使用される前記整泡剤としては、ひまし油やひまし油誘導体が挙げられる。ひまし油誘導体としては、ひまし油1モル当り20モル超、40モル未満のエチレンオキシド(EO)が付加したひまし油―エチレンオキシド付加化合物が挙げられる。
整泡剤の添加量は、フェノール樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜5重量部であり、より好ましくは2〜4重量部である。整泡剤の添加量が1重量部未満のときは、均一な発泡体気泡が得られない。一方整泡剤の添加量が5重量部を超えた場合は、製品コスト及び発泡体の吸水能が増大する。
(5)可塑剤
本発明においては、前記フェノール樹脂発泡体のための可塑剤が添加されてもよい。ポリエステルポリオールが、前記可塑剤として好適である。
前記可塑剤は、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性を付与し、気泡壁の経時劣化を抑制し、断熱性の長期安定性を改善する。本発明の可塑剤は、多価カルボン酸と多価アルコールの反応から得られるポリエステルポリオールである。フェノール樹脂発泡体の気泡壁に対して柔軟性を付与する点に関しては、前記可塑剤の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が200〜10,000、特に200〜5,000のポリエステルポリオールが好適である。
好適に使用される多価アルコールは、分子中に少なくとも2個の水酸基を有する。使用される多価アルコール一分子中のヒドロキシル基の数は、少なくとも1より多い数である。
前記多価カルボン酸の一分子中のカルボキシル基の数は、少なくとも1より多い数である。
本発明のポリエステルポリオールは、例えば、二〜四価カルボン酸類から選択された多塩基カルボン酸と、二〜五価アルコール類から選択された多価アルコールとの反応生成物である。下記一般式(I)で表現された生成物が好ましい。式(I)中、Aは2個までの水素原子を含む二価カルボン酸を起源とする二価カルボン酸残基であり、Rは2個までのヒドロキシル基を含む二価アルコールを起源とする二価アルコール分子骨格であり、nは1または1を越える整数である。
Figure 2010138219
式(I)中、残基Aを形成する好ましい二価カルボン酸は、芳香族二価カルボン酸、脂肪族二価カルボン酸又は脂環族二価カルボン酸のいずれかである。これらのカルボン酸として好ましいものは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,3−ジカルボン酸、ナフタレン-1,4−ジカルボン酸、ナフタレン-2,6−ジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等である。
化学骨格Rを形成する二価アルコールは、芳香族グリコール、脂肪族グリコール又は脂環族グリコールであり、これらは例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロペンタン−1,2−ジメタノール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロペンタン−1,4−ジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール等である脂肪族グリコールと脂環族グリコールが特に好ましい。
この様にして得られた反応生成物は、nが種々の値から構成された混合物であり、これらの反応生成物の水酸基価は、通常10〜500mg−KOH/gの範囲内にある。
本発明のフェノール樹脂発泡体のために好ましい可塑剤は、一個のエステル骨格と一個のヒドロキシル基の両方を含む分子構造を有し、前記フェノール樹脂発泡体と同様に親水的性質を有するので、前記フェノール樹脂及び前記可塑剤は互いに相溶性があり、均一な樹脂溶液を形成することができる。更に、前記ポリエステルポリオールが発泡性フェノール樹脂組成物に添加されたとき、前記ポリエステルポリオールは、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性を付与するものと推定される。それゆえ長時間経過後でも、気泡壁の亀裂の発生のような劣化現象が抑制される。このことが、前記フェノール樹脂発泡体の熱伝導度の長期安定性をもたらす。
(6)有機アミノ基含有化合物
フェノール樹脂発泡体の熱伝導率を低下させ、強度を増大させ、且つ脆性を減少させるために、本発明の発泡体中に尿素のような有機アミノ基含有化合物を加えることができる。本発明で好適に使用される尿素の量は、フェノール樹脂100重量部に対して、1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。
(7)その他の添加剤
上記の他、必要に応じてその他の添加剤を添加しても良い。添加剤としては、炭酸カルシウム等の無機フィラー、フルフリルアルコール等の有機溶媒、ヘキサメチレンテトラミン等含窒素架橋型環式化合物などが挙げられる。
2.フェノール樹脂発泡体の製造方法
(1)発泡性フェノール樹脂組成物の発泡、硬化
本発明においては、発泡性フェノール樹脂組成物は、例えば前述のフェノール樹脂に、前記の整泡剤、および必要により前記の尿素、可塑剤を加えて混合し、この混合物に、発泡剤および硬化剤を添加したのち、これをミキサーに供給して攪拌することにより調製することができる。
このようにして調製した発泡性フェノール樹脂組成物を用いて、フェノール樹脂発泡体を形成させる方法としては、例えば(i)エンドレスコンベア上に流出させる成形方法、(ii)スポット的に流出させて部分的に発泡させる方法、(iii)モールド内で加圧発泡させる方法、(iv)ある大きな空間中に投入して発泡ブロックを作る方法、(v)空洞中に圧入しながら充填発泡させる方法などが挙げられる。
好ましい方法としては、前記発泡性フェノール樹脂組成物を、連続的に移動するキャリア上に吐出し、この吐出物を加熱ゾーンを経由して発泡させると共に成形して、所望のフェノール樹脂発泡体を作製する。具体的には、前記発泡性フェノール樹脂組成物を、コンベヤーベルト上の面材の上に吐出する。次いでコンベヤーベルト上の成形材料の上面に面材を載せ硬化炉に入る。硬化炉の中では上から他のコンベヤーベルトで押さえ、フェノール樹脂発泡体を所定の厚さに調整し、60〜100℃程度、2〜15分間程度の条件で発泡硬化する。硬化炉から出たフェノール樹脂発泡体は所定の長さに切断される。
前記面材としては、特に制限されず、一般的には天然繊維、ポリエステル繊維やポリエチレン繊維などの合成繊維、ガラス繊維などの無機繊維等の不織布、紙類、アルミニウム箔張不織布、金属板、金属箔などが用いられるが、ガラス繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔張不織布、金属板、金属箔、合板、構造用パネル、パーティクルボード、ハードボード、木質系セメント板、フレキシブル板、パーライト板、ケイ酸カルシウム板、炭酸マグネシウム板、パルプセメント板、シージングボード、ミディアムデンシティーファイバーボード、石膏ボード、ラスシート、火山性ガラス質複合板、天然石、煉瓦、タイル、ガラス成形体、軽量気泡コンクリート成形体、セメントモルタル成形体、ガラス繊維補強セメント成形体等の水硬化性セメント水和物をバインダー成分とする成形体が好適である。この面材は、フェノール樹脂発泡体の片面に設けてもよく、両面に設けてもよい。また、両面に設ける場合、面材は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、あとから接着剤を用いて面材を貼り合わせて設けてもよい。
次いで、このようにして得られたフェノール樹脂発泡体を、乾燥等のために後硬化処理することが好ましい。後硬化処理は、例えば、乾燥機にて、70〜90℃の範囲の温度で行う。後硬化処理時間は、フェノール樹脂発泡体の厚さ、後硬化処理温度などに左右され、一概に定めることはできないが、後述の所定の物性を有するフェノール樹脂発泡体が得られるように選定される。一般的には1.0〜6.0時間程度である。
また、後硬化処理温度が上記の範囲にあれば、気泡壁の損傷が抑制されると共に、膨れ、収縮、変色などが抑制された外観の良好なフェノール樹脂発泡体を得ることができる。
(2)養生
本発明の製造方法においては、このようにして成形したフェノール樹脂発泡体材料を、アルカリ性揮発物の雰囲気で養生することが必要である。これにより、フェノール樹脂発泡体材料の残留酸性分が中和され、従来のものよりも高いpH値を持ち、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生を減少させるフェノール樹脂発泡体を製造することができる。
養生の雰囲気は、アルカリ性揮発物の雰囲気であることが必要である。アルカリ性揮発物としては、アルカリ性の揮発物であれば特に限定はなく、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられる。コスト、安全性の理由から、アンモニアが好ましい。
アルカリ性揮発物の雰囲気の濃度としては、アルカリ性揮発物の種類にもよるが、初期濃度として3質量%以上であることが好ましい。3質量%以下であると養生の効果が十分にみられないことがあるため好ましくない。
具体的には、一例として、容積7.5mの養生庫の中に、幅910mm、長さ1820mm、厚み20mmの発泡体30枚を、30mmのスペーサーを間に挟み積み上げ、25%のアンモニア水約2Lを個別容器に入れたものと一緒に密封することにより、好ましい濃度を達成することができる(初期濃度として8.8質量%)。
養生の条件としては、用いるアルカリ性揮発物の種類、濃度等にもよるが、40℃以上の温度条件で、24時間以上とした場合、残留酸成分の中和が良く行われ、結果として金属の腐食が良く防止されることから、好ましい。40℃より低いと、また、24時間より少ないと、残留酸性分の中和が不十分になるおそれがあるため、好ましくない。
本発明によれば、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生を減少させる高いpH値と、合成樹脂建材等として十分な強度とを併せ持つフェノール樹脂発泡体を、養生といった容易な実施にて製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明における各物性値の測定方法を以下に示す。
1.各種測定法
(1)pH
フェノール樹脂発泡体試験片の0.5gを、乳鉢に入れ粉砕し、蓋つきで、100mlの水が8割ほど入るものに移し、100mlの精製水を加え、密栓し、温度23±5℃で、24時間、磁気攪拌器によって攪拌後、内容物をpHメータにて測定した。
(2)初期熱伝導率
長さ300mm、幅300mmのフェノール樹脂発泡体試験片を、熱伝導度試験機(Type HC−074 304、英弘精機株式会社製)中の35℃の高温プレート、10℃の低温プレート間に置き、前記試験片の熱伝導度(TC)をJIS A1412試験法に従って測定した。
(3)圧縮強さ
フェノール樹脂発泡体の圧縮強さを JIS K7221−2による試験法にて行った。ただし、試験片の数は、3個とした。
(4)腐食性
長さ150mm、幅50mm、厚さ20mmのフェノール樹脂発泡体に合板(厚さ1mm)を積層し、4隅を釘で固定した積層板を1ヶ月間放置し、釘に錆が発生しないものには○、発生したものには×を記した。
2.実施例および比較例
(実施例1)
フェノールとホルムアルデヒドをモル比1:2で反応させて得られた、尿素5重量部を内添する液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−333)100重量部に対して、整泡剤としてひまし油3重量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3重量部を加えたものに、硬化剤(酸触媒)としてパラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸の混合物を15重量部及び、発泡剤としてイソプロピルクロリド8重量部をミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材に吐出した。
次に、発泡体を同種の上面材で、被覆した後、スラット型ダブルコンベアに供給した。ダブルコンベアの速度は、18m/minに設定し、温度は、全長にわたり75℃に制御した。およそ、2分間加熱することで、厚さ20mm、幅1050mmの連続発泡体を得た。
その後、別の乾燥機で75℃、5時間後硬化処理され、幅を910mm長さ1820mmに切断した。
上記で得られた幅910mm、長さ1820mm、厚み20mmの発泡体30枚を、30mmのスペーサーを間に挟み積み上げアンモニア水(25%)約2Lを個別容器に入れたものと一緒に密封された養生庫の中で養生した。温度は40℃以上、養生時間は24時間とした。
養生後発泡体を取り出して、物性を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例2)
フェノールとホルムアルデヒドをモル比1:2で反応させて得られた、尿素5重量部を内添する液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−333)100重量部に対して、整泡剤としてひまし油3重量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3重量部を加えたものに、硬化剤としてパラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸の混合物を15重量部及び、発泡剤としてイソプロピルクロリド8重量部をミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材に吐出した。
次に、発泡体を同種の上面材で、被覆した後、スラット型ダブルコンベアに供給した。ダブルコンベアの速度は、16m/minに設定し、温度は、全長にわたり75℃に制御した。およそ、2分間加熱することで、厚さ40mm、幅1050mmの連続発泡体を得た。
その後、別の乾燥機で75℃、5時間後硬化処理され、幅を910mm長さ1820mmに切断した。
上記で得られた幅910mm、長さ1820mm、厚み40mmの発泡体30枚を、30mmのスペーサーを間に挟み積み上げアンモニア水(25%)約2Lを個別容器に入れたものと一緒に密封された養生庫の中で養生した。温度は40℃以上、養生時間は96時間とした。養生後発泡体を取り出して、物性を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例3)
フェノールとホルムアルデヒドをモル比1:2で反応させて得られた、尿素5重量部を内添する液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−333)100重量部に対して、整泡剤としてひまし油3重量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3重量部を加えたものに、硬化剤(酸触媒)としてパラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸の混合物を15重量部、発泡剤としてイソプロピルクロリド8重量部及び無機フィラーとして炭酸カルシウム5.3重量部をミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材に吐出した。
次に、発泡体を同種の上面材で、被覆した後、スラット型ダブルコンベアに供給した。ダブルコンベアの速度は、18m/minに設定し、温度は、全長にわたり75℃に制御した。およそ、2分間加熱することで、厚さ20mm、幅1050mmの連続発泡体を得た。
その後、別の乾燥機で75℃、5時間後硬化処理され、幅を910mm長さ1820mmに切断した。
上記で得られた幅910mm、長さ1820mm、厚み20mmの発泡体30枚を、30mmのスペーサーを間に挟み積み上げアンモニア水(25%)約2Lを個別容器に入れたものと一緒に密封された養生庫の中で養生した。温度は40℃以上、養生時間は24時間とした。
養生後発泡体を取り出して、物性を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例4)
無機フィラーとして炭酸カルシウム5.3重量部をミキシングヘッドに供給とした以外は、実施例2と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製し、各種測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例1)
アンモニアによる養生を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製し、各種測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例2)
アンモニアによる養生を行わなかった以外は、実施例2と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製し、各種測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例3)
アンモニアによる養生を行わなかった以外は、実施例3と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製し、各種測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例4〜)
アンモニアによる養生を行わなかった以外は、実施例4と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製し、各種測定を行った。測定結果を表1に示す。
Figure 2010138219
3.評価
表1から明らかなように、実施例1〜4は比較例1〜4と比較して、本発明の製造方法の特定事項である「成形後、アルカリ性揮発物の雰囲気で養生する」との要件を満たさない方法による比較例で得られたものは、熱伝導度、圧縮強さといった物性は満たすがpHが低いのに比べて、本発明によるフェノール樹脂発泡体は、熱伝導度、圧縮強さといった物性と高いpHとを併せ持つフェノール樹脂発泡体であることが明らかになった。
以上から、本発明の製造方法において、その特徴点である、フェノール樹脂成形体を成形後、アルカリ性揮発物の雰囲気で養生することは、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生を減少させる、高いpH値を持つフェノール樹脂発泡体を、養生といった容易な実施にて製造方法であるという点で、大きな技術的意義を持つことが明らかである。
本発明の製造方法によれば、金属材料と接触したとき金属の腐食の発生を減少させる、高いpH値を持つフェノール樹脂発泡体を、容易な実施にて製造することができる。そのため、本発明の産業上の利用可能性は極めて大きい。


Claims (4)

  1. フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体を成形する方法において、
    上記発泡、硬化させて得られる成形体をアルカリ性揮発物の雰囲気下に養生することを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  2. 前記アルカリ性揮発物が、アンモニアであることを特徴とする請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  3. 前記養生が、40℃以上の温度条件で、24時間以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  4. 養生後のフェノール樹脂発泡体のpHが7.0以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015512021A (ja) * 2012-01-19 2015-04-23 エルジー・ハウシス・リミテッドLg Hausys,Ltd. フェノールフォームを用いたhvacダクトおよびその製造方法
JP2016180103A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 積水化学工業株式会社 フェノール樹脂発泡体

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