(実施形態1)
本実施形態の物理量検出システムは、例えば、電子制御装置(ElectronicControl Unit;ECU)による自動車のエンジン運転における電気的な制御に用いられる。この物理量検出システムは、図1に示すように、2つの物理量センサ(以下、「センサ」と略称する)1と、ECUよりなる管理装置2とで構成されている(ただし、図1では、一方のセンサ1のみを図示し、他方のセンサ1の図示を省略している)。このものでは、センサ1がスレーブ、管理装置2がマスタとして使用される。
センサ1は、図1に示すように、端子部(以下、第1の端子部と称する)10と、検出部11と、記憶部12と、出力補正部(出力部)13と、通信部(以下、第1の通信部と称する)14と、判別部15と、制御部(以下、第1の制御部と称する)16と、電源部17とを備えている。また、センサ1は、各部10〜17を構成する電気機器等を収納する筐体(図示せず)を備えている。なお、本実施形態の物理量検出システムでは、2つセンサ1は同一の物理量を検出するものであって、同一の筐体に収納されている。
第1の端子部10は、管理装置2との接続に使用される。第1の端子部10は、電源端子10aと、出力端子10bと、接地端子10cとを備えている。電源端子10aは、センサ1に電力を供給するための端子である。出力端子10bはセンサ1の検出出力を管理装置2に出力するための端子である。接地端子10cは基準電位点を与えるための端子である。また、電源端子10aと接地端子10cとの間には、バイパスコンデンサ(パスコンと略される)Cが挿入されている。バイパスコンデンサCは、電源ノイズや輻射ノイズなどの高周波ノイズ対策に設けられている。
検出部11は、所定の物理量を検出するための検出素子である。具体例としては、加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ、荷重センサ、磁気センサなどが挙げられる。このような検出部11は、例えば、物理量の検出値に応じた電位を有する信号(検出信号)を検出出力として出力する。
記憶部12は、例えば、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリや、EEPROM、ヒューズ、OTPROMその他の電気的に書き込みが可能な記憶媒体)を備えている。記憶部12には、センサ1に関する特性情報が記憶される。本実施形態において、特性情報は、検出部11の検出出力の補正(すなわち検出値の補正)に使用する補正値である。なお、特性情報は、センサ1の規格や、製品ID、クランプ電圧、その他のセンサ1に関する情報であってもよい。
出力補正部13は、検出部11の検出出力を補正して出力するように構成されている。例えば、出力補正部13は、検出部11より検出出力を得ると、検出出力より検出値を取得する。そして、出力補正部13は、取得した検出値を記憶部12に記憶された補正値を用いて補正する。補正後には、出力補正部13は、補正した検出値に応じた電位を有する信号を補正後の検出出力として出力端子10bに出力する。本実施形態では、出力補正部13は、オフセット処理と、ゲイン処理とを行うことで、検出出力の補正を行う。オフセット処理は、検出部11の検出出力より得られる検出値に所定の加算値(オフセット値)を加算する処理である。ゲイン処理は、オフセット処理後の値に所定の乗算値(ゲイン値)を乗算する処理である。そのため、本実施形態では、記憶部12に記憶される補正値には、オフセット値とゲイン値が含まれている。なお、オフセット値は、正または負の値であり、ゲイン値は、0を除く値である。また、出力補正部13は、後述する通常モード時のみ動作するように構成される。
ところで、上述したオフセット処理やゲイン処理は、例えば、検出部11が出力する検出出力の電位を所望の範囲内の値に設定することを目的として行われる。例えば、センサ1の使用場所や使用状況によっては、検出出力の電位の大きさが管理装置2で検出可能な大きさより大きくなって、正しい検出結果が得られなくなるおそれがある。このような場合には、出力補正部13により検出出力を補正してその大きさを管理装置2で検出可能な範囲内に収まるようにする。これによって、適切な検出結果を得ることが可能になる。上述したオフセット処理やゲイン処理を行うことで、部品等の特性にばらつきによって製品毎に検出出力の値の範囲が異なってしまうことを防止できる。そのため、いずれの製品においても検出出力を所望の範囲内に収めることが可能となる。なお、出力補正部13は、上述したオフセット処理やゲイン処理だけではなく、温度補正処理(温度による検出出力の変化を補正する処理)その他の補正処理(例えば、検出出力の反転などの処理)を実行してもよい。ここで、出力補正部13は、これら種々の処理のいずれかを実行するものであってもよい。この場合、出力補正部13がどの処理を実行するかを、特性情報に含めることができる。さらに、出力補正部13は、検出部11の検出出力を補正した最終結果ではなく、その中間結果を出力端子10bに出力する機能を有していてもよい。このような出力補正部13の機能の切り替えは、特性情報によって与えることが可能である。
第1の通信部14は、記憶部12に記憶させる特性情報(補正値)を管理装置2から受け取るためのものである。この第1の通信部14は、電源端子10aをシリアル信号の入出力端子として、管理装置2と有線による通信(シリアル通信)を行う。このような第1の通信部14は、通信処理部14aと、クロック回路14bと、判定回路14cと、スイッチQ10と、抵抗R10とで構成されている。判定回路14cは、コンパレータなどを備え、電源端子10aの電位を信号受信用の閾値と比較することで、電源端子10aの電位がハイレベルであるかロウレベルであるかを判定する。例えば、本実施形態では、信号受信用の閾値は10Vであり、判定回路14cは、電源端子10aの電位が10V超過であればハイレベルと判定し、10V以下であればロウレベルと判定する。
スイッチQ10は、nチャネルMOSFETであり、電源端子10aとグラウンド(基準電位点)との間に挿入されている。なお、スイッチQ10としては、MOSFETなどの半導体スイッチング素子に限定されず、継電器等のオン・オフ制御が可能なスイッチを用いることができる。抵抗R10は、スイッチQ10がオンであるときに電源端子10aの電位を、スイッチQ10がオフであるときよりも低い所定電位に設定するためのものである。
通信処理部14aは、判定回路14cの判定結果とクロック回路14bとを利用して、シリアル信号の受信処理(すなわちシリアル信号のビット列を識別する処理)を行う。また、通信処理部14aは、スイッチQ10とクロック回路14bとを利用してシリアル信号の送信処理(送信するシリアル信号のビット列に応じて電源端子10の電位を変化させる処理)を行う。通信処理部14aは、例えば、論理回路やマイクロコンピュータ(マイクロコントローラ、略称としてマイコン、広義にはCPUとも称される)などを利用して構成されている。
本実施形態における通信処理部14aは、管理装置2とシリアル通信を行うにあたっては(シリアル信号を送信するにあたっては)、図2に示すように、シリアル信号を送信する前に、クロック回路14bのクロックのタイミングに合わせて同期ビット(同期信号)SYNCを送信するように構成されている。
第1の制御部16は、センサ1の全体的な制御を行う制御装置である。第1の制御部16は、例えば、マイクロコンピュータを備え、メモリに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより種々の機能を実現する。なお、第1の制御部16は、第1の通信部14の通信処理部14aと一体に構成されていてもよい。
本実施形態における第1の制御部16は、通常モードと調整モードとの2種類の動作モードを有している(すなわち、センサ1は通常モードと調整モードのいずれか一方の動作モードで動作する)。
調整モードでは、第1の制御部16は、検出部11および出力補正部13の駆動を停止し、第1の通信部14を駆動する。これによって、検出出力の出力を行わないようにし、また管理装置2とのシリアル通信を可能とする。調整モード時に、管理装置2とのシリアル通信によって管理装置2から補正値を取得すると、第1の制御部16は、記憶部12の補正値を管理装置2より取得した補正値に書き換える。書き換えが終了すると、第1の制御部16は、第1の通信部14を制御して、書き換え後の記憶部12の補正値を管理装置2に送信する。このように調整モードは、検出出力の出力を行わないが、記憶部12の補正値の書き換えは可能とするモードである。
一方、通常モードでは、第1の制御部16は、検出部11および出力補正部13を駆動し、第1の通信部14の駆動を停止する。これによって、検出出力(出力補正部13で補正された検出出力)を出力端子10bに出力可能とし、また管理装置2とシリアル通信を行わないようにする。このように通常モードは、検出出力の出力を行うが、記憶部12の補正値の書き換えは禁止するモードである。
上述した第1の制御部16が調整モードと通常モードのいずれの動作モードで動作するかは、管理装置2の要求に応じて決定される。
判別部15は、管理装置2がいずれの動作モードを要求しているかを判別し、その判別結果を第1の制御部16に通知するように構成されている。よって、第1の制御部16は、判別部15の判別結果に応じた動作モードでセンサ1の各部の制御を実行する。
本実施形態において、判別部15は、電源端子10aの電位に基づいて、管理装置2が要求している動作モードを判別する。例えば、判別部15は、電源端子10aの電位が6Vを越えれば、管理装置2が調整モードを要求していると判別し、電源端子10aの電位が6V以下であれば、管理装置2が通常モードを要求していると判別する。判別部15は、電源端子10aの電位と動作モード判別用の閾値とを比較する比較回路を利用することで得ることができる。
電源部17は、電源端子10aより得た電力を元にしてセンサ1の動作電圧を生成するように構成されている。電源部17には、例えば、電源端子10aと接地端子10cとの間の電位差(電源電圧)に基づいて所定の電圧を生成する三端子レギュレータなどが必要に応じて用いられている。なお、電源端子10aの電位をそのまま動作電圧として使用できる場合には、電源部17を設けずに、各部を構成する電気回路にそのまま電源端子10aを接続すればよい。
管理装置2は、主として、端子部(以下、第2の端子部と称する)20と、供給電源部21と、通信部(以下、第2の通信部と称する)22と、制御部(以下、第2の制御部と称する)23とを備えている。また、管理装置2は、各部20〜23を構成する電気機器等を収納する筐体(図示せず)を備えている。
第2の端子部20は、センサ1の接続に使用される。第2の端子部20は、給電端子20aと、入力端子20bと、接地端子20cとを備える3端子型のものである。給電端子20aは、供給電源部21からセンサ1に給電するための端子である。入力端子20bは、センサ1より検出出力を得るための端子である。入力端子20bは接続するセンサ1の数に応じた数だけ設けられる。本実施形態の場合、センサ1を2つ接続するために2つの入力端子20bが設けられているが、図1では図示を省略している。接地端子20cは、センサ1の基準電位点となるものであり、例えば車のボディ等に接続されている。したがって、センサ1は、電源端子10aを給電端子20aに電線(給電線)L1で、出力端子10bを入力端子20bに電線(出力線)L2で、接地端子10cを接地端子20cに電線(接地線)L3でそれぞれ接続することによって、管理装置2に接続される。なお、図1に示す例では、センサ1の接地端子10cは、必ずしも管理装置2の接地端子20cに接続する必要はなく、基準電位を与えることができるものに接続されていればよい。
供給電源部21は、出力電圧を変更することができる可変型の電源である。この供給電源部21は、給電端子20aに接続されている。供給電源部21は、例えば、自動車に搭載されたバッテリや、バッテリの直流電圧を所定電圧に降圧可能な回路(例えば降圧チョッパ回路やバンドギャップリファレンス回路)などを用いて構成されている。本実施形態において、供給電源部21は、出力電圧として5Vと12Vとを択一的に選択することができるようになっている。このような供給電源部21は従来周知のものを採用することができるから詳細な説明は省略する。また、供給電源部21は、出力電圧を変えるための回路を備えているが、出力電圧が異なる2つの電源(本実施形態の場合は、12Vの電源と5Vの電源)よりなるものであってもよい。
第2の通信部22は、センサ1(センサ1の第1の通信部14)と有線による通信(シリアル通信)を行うためのものである。この第2の通信部22は、給電端子20aをシリアル信号の入出力端子としてセンサ1とシリアル通信を行うように構成されている。ここで、第2の通信部22は、第1の通信部14と同様の構成のものであり、通信処理部22aと、クロック回路22bと、判定回路22cと、スイッチQ20と、抵抗R20とで構成されている。判定回路22cは、判定回路14cと同様のものであり、給電端子20aの電位(電源端子10aの電位に等しい)が信号受信用の閾値(本実施形態では10V)超過であればハイレベルと判定し、信号受信用の閾値以下であればロウレベルと判定する。また、スイッチQ20および抵抗R20も、スイッチQ10および抵抗R10と同様のものである。
通信処理部22aは、通信処理部14aと同様の受信処理と送信処理を行うように構成されている。また、通信処理部22aは、同期ビットSYNCを計測することで、センサ1のクロック情報(位相、周期)を取得して、シリアル信号の通信クロックを設定するように構成されている。例えば、通信処理部22aは、同期ビットSYNCを得ると、その同期ビットSYNCの時間をカウントし、そのカウント結果より、第1の通信部14が送信するシリアル信号の1ビット当たりの時間を算出する。そして、通信処理部22aは、このようにして算出したシリアル信号1ビット当たりの時間に基づいてスイッチQ20のオン・オフ制御を実行する。なお、通信処理部22aも通信処理部14aと同様に、論理回路やマイクロコンピュータなどを利用して構成されている。
第2の制御部23は、入出力部(図示せず)からの指示に応じて、センサ1に動作モードの切り替えを要求する機能(切替要求機能)を有している。
ここで、上記入出力部は、ユーザが情報を入力するための操作ボタンなどの入力部と、ユーザに情報を提示するための画像表示装置などの出力部とを備えたユーザインタフェースである。上記入出力部は、管理装置2と一体にまたは別体に設けられる。
第2の制御部23は、上記入出力部より動作モードを通常モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定する。一方、第2の制御部23は、動作モードを調整モードに設定する旨の指示を受けた場合には、供給電源部21の出力電圧を12Vに設定する。
ここで、管理装置2では、供給電源部21と給電端子20aとの間に、抵抗R21およびスイッチQ21よりなる並列回路が挿入されている。なお、スイッチQ21は、MOSFETなどの半導体スイッチング素子や継電器等のオン・オフ制御が可能なスイッチである。
第2の制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定する際にはスイッチQ21をオンにし、供給電源部21の出力電圧を12Vに設定する際にはスイッチQ21をオフにする。これによって、調整モード時には、供給電源部21と給電端子20aとの間に抵抗R21が挿入される。この抵抗R21は、スイッチQ10,Q20のオン時に、電源端子10aの電位を、信号受信用の閾値以下に低下させるためのものである。したがって、供給電源部21の電圧が12Vである場合には、供給電源部21の電圧を抵抗R10と抵抗R21とで分圧した電圧、および抵抗R20と抵抗R21とで分圧した電圧が、信号受信用の閾値(本実施形態では10V)以下(例えば9V)となるように、抵抗R10,20,R21の抵抗値が設定されている。
さらに、第2の制御部23は、第2の通信部22を制御して、上記入出力部を用いてユーザが入力した特性情報(補正値)をセンサ1に送信する機能(特性情報送信機能)を有している。ここで、第2の制御部23は、第2の通信部22に補正値を送信させた後に、所定時間以内に、センサ1からの応答(センサ1における更新後の補正値)が得られれば、補正値の更新が成功したと判断し、その旨を上記入出力部により使用者に通知する。また、第2の制御部23は、上記所定時間以内に、センサ1からの応答(センサ1における更新後の補正値)が得られなかったとき、あるいは、得られたがその補正値がセンサ1に送信した補正値と一致しなかったときに、補正値の更新が失敗したと判断する。この場合、第2の制御部23は、補正値の更新が失敗したことを上記入出力部により使用者に通知する。
加えて、第2の制御部23は、入力端子20bに入力された検出出力を上記入出力部に出力して、上記入出力部にセンサ1の検出出力を表示させる機能(検出出力表示機能)を有している。ただし、検出出力表示機能による動作(上記入出力部にセンサ1の検出出力を表示させる動作)は、通常モード時のみに行われ、調整モード時には行われない。この他、第2の制御部23は、入力端子20bに入力された検出出力に応じて種々の制御を実行する機能を有する。
以下、本実施形態の物理量検出システムの動作について図2を参照して説明する。なお、図2は、電源端子10aの電位の時間変化を示している。
まず、初期状態(図2における時刻T1前)では、センサ1が通常モードであるとする。この初期状態では、管理装置2の第2の制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定するとともに、スイッチQ21をオンとする。センサ1の動作モードは通常モードであるから、センサ1は、記憶部12に記憶されている補正値で検出部11の検出出力を補正して得られた検出出力(補正後の検出出力)を出力端子10bに出力する。出力端子10bに出力された補正後の検出出力は、入力端子20bに入力され、第2の制御部23によって上記入出力部に送られ、ユーザに提示される。
一方、上記入出力部によって調整モードが選択されると、第2の制御部23は、供給電源部21の出力電圧を12Vに設定するとともに、スイッチQ21をオフとする(時刻T1)。この場合、センサ1の電源端子10aには、12Vの電位が与えられる。より正確には、電源端子10aからセンサ1の消費電流による抵抗R21の電圧降下を差し引いた電位となる。しかしながら、以下の説明では、簡略化のために消費電流を無視して説明する。
この場合、判別部15は、管理装置2が調整モードを要求していると判断する。その結果、第1の制御部16は動作モードを調整モードに設定する。よって、第1の通信部14が駆動されて、管理装置2とのシリアル通信が可能になる。このとき、第1の通信部14は、クロック回路14bのクロックのタイミングに合わせて所定時間の間(時刻t10〜t11)、電源端子10aの電位を9Vに設定することで同期ビットSYNCを送信する。管理装置2の第2の通信部22は、同期ビットSYNCを計測することで、センサ1のクロック情報(位相、周期)を取得し、これによってシリアル信号の通信クロックを設定する。
そして、使用者が上記入出力部を用いて補正値の入力を行うと、第2の制御部23は、第2の通信部22を制御して、入力された補正値をセンサ1に送信する。第2の通信部22は、上述したようにスイッチQ20を制御することで電源端子10aの電位を12Vあるいは9Vに設定し、これによって、シリアル信号の送信を行う。例えば、シリアル信号により送信する補正値データは3バイトのデータであり、そのうちの2バイトが補正値(各々1バイトのオフセット値およびゲイン値)、残りの1バイトがセンサ1の製品IDを示している。第2の通信部22は、シリアル信号を送信するにあたっては、所定時間の間(時刻t12〜t13)、電源端子10aの電位を9Vに設定することでスタートビットSTB1を送信し、その後に補正値データを示すビット列DB1の送信を行う。なお、第2の通信部22は、ビット列DB1の送信後には、ストップビット(図示せず)を送信してセンサ1に送信を終えたことを通知する。
第1の制御部16は、第1の通信部14でシリアル信号を受信すると、その補正値データの製品IDが自己のIDと同じかどうかを確認する。IDが同じであれば、第1の制御部16は、記憶部12の補正値を、補正値データが示す補正値(オフセット値およびゲイン値)に書き換えさせる。なお、IDが同じでなければ、補正値データを破棄する。
書き換えが終了すると、第1の制御部16は、第1の通信部14を制御して、書き換え後の記憶部12の補正値を示す応答データを管理装置2に送信させる。この応答データは補正値データと同様に3バイトのデータであり、そのうちの2バイトが補正値(各々1バイトのオフセット値およびゲイン値)、残りの1バイトがセンサ1の製品IDである。第1の通信部14は、シリアル信号を送信するにあたっては、所定時間の間(時刻t3〜t4)、電源端子10aの電位を9Vに設定することでスタートビットSTB2を送信し、その後に応答データを示すビット列DB2の送信を行う。なお、第1の通信部14は、ビット列DB2の送信後には、ストップビット(図示せず)を送信してセンサ1に送信を終えたことを通知する。
第2の制御部23は、第2の通信部22でシリアル信号を受信すると、その応答データに含まれる補正値および製品IDが、補正値データに含まれる補正値および製品IDに等しいかどうかの確認を行う。第2の制御部23は、その確認の結果、等しければ補正値の更新が成功したと判断し、等しくなければ補正値の更新が失敗したと判断する。上記確認の結果は、上記入出力部によって使用者に通知される。
この後に、上記入出力部によって通常モードが選択されると、第2の制御部23は、供給電源部21の出力電圧を5Vに設定するとともに、スイッチQ21をオンとする(時刻T2)。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられる。そのため、判別部15は、管理装置2が通常モードを要求していると判断する。その結果、第1の制御部16は動作モードを通常モードに設定する。
以上述べた本実施形態の物理量検出システムによれば、電源端子10aの電位に基づいて、管理装置2が要求している動作モードを判別するので、端子数を増やすことなく調整モードへの移行が行える。また、調整モードでは、センサ1への給電線L1を通信線に兼用することができる。そのため、管理装置2には、センサ1と一対一対応で通信装置(第2の通信部22)を設ける必要がなく、一つの通信装置で複数のセンサ1と通信することが可能になる。よって、管理装置2の構成の簡素化および省配線化を図ることができ、システム全体の構成を簡素化することができる。また、電源端子10aは一般的にバイパスコンデンサCにより接地されることが多いから、出力端子10bにより通信する場合に比べれば、高周波ノイズの影響を低減することができる。
また、本実施形態の物理量検出システムでは、第1の通信部14は、管理装置2とシリアル通信を開始するにあたっては、同期ビットSYNCを送信することで、管理装置2と同期を取る処理を実行する。そのため、シリアル通信の通信精度を向上することができる。
特に、センサ1から管理装置2に同期信号を送信するので、センサ1のクロック回路14bに管理装置2のクロック回路22bを合わせることができる。そのため、センサ1に設けるクロック回路14bとして比較的低精度のものを使用することができるようになる。これによって、センサ1の低コスト化および小型化を図ることができる。なお、上記の例では、センサ1の第1の通信部14が同期信号SYNCを出力しているが、管理装置2の第2の通信部22が同期信号SYNCを出力するようにしてもよい。すなわち、シリアル通信を開始するにあたっては、第1の通信部14と第2の通信部22とのいずれか一方が第1の通信部14と第2の通信部22とのいずれか他方に同期信号SYNCを出力し、上記他方が上記一方より受け取った同期信号SYNCの長さに基づいて、通信クロックを設定すればよい。
ところで、上記の例における判別部15は、電源端子10aの電位が所定の条件を満たしているか否か、すなわち、電源端子10aの電位が10Vより高いか否かによって管理装置2が要求している動作モードを判別している。この例に限らず、判別部15は、電源端子10aの電位が所定のパターンで変化したか否か(例えば、電位が所定周波数で所定回数変化したか等)、すなわち電位の時間変化によって動作モードの判別を行ってもよい。このように、判別部15は、電源端子10aの電位波形に基づいて、動作モードの判別を行うものであればよい。
また、判別部15は、電源端子10aの電位が所定の条件を満たした際に動作モードの判別を確定するのではなく、電源端子10aの電位が所定の条件を満たしている期間が所定時間継続された際に動作モードの判別を確定するように構成されていてもよい。このようにすればノイズなどの影響によって予期せずに動作モードが変更されてしまうことを抑制することができ、より正確な動作モードの判別が可能になる。
また、上記の例では、判別部15は、電源端子10aの電位が通常時の電位(本実施形態では5V)よりも所定値以上高いか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別する。これに対して、判別部15は、電源端子10aの電位が通常時の電位(本実施形態では5V)よりも所定値以上低いか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別するように構成されていてもよい。この場合、調整モード時に電源端子10aの電位を上昇させる(5Vから12Vに上昇させる)ときとは異なり、通常時の電位(5V)よりも高い電位(12V)に耐え得る電気部品、すなわち高耐圧性を有する電気部品等を使用する必要がないから、小型化および低コスト化を図ることができる。
ところで、判別部15は、電源端子10aではなく、出力端子10bの電位に基づいて管理装置2が要求している動作モードを判別するように構成されていてもよい。
さらに、判別部15で、電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれの電位が所定の条件を満たしているか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別するように構成されていてもよい。このようにすれば、電源端子10aの電位が通常モード時とは異なり、かつ、出力端子10bの電位が通常モード時とは異なるときのみ、動作モードが通常モードから調整モードに移行することになる。よって、電源端子10aのみを用いて動作モードの判別を行う場合や、出力端子10bのみを用いて動作モードの判別を行う場合に比べれば、動作モードの判別誤りが発生する確率を低減できる。したがって、予期せずに動作モードが変更されてしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、製品IDを利用して通信先のセンサ1を特定している。ここで、管理装置2と通信するセンサ1を選択する方法としては、センサ1の出力端子10bを利用することが考えられる。すなわち、センサ1に出力端子10bの電位を検出する手段を設け、管理装置2が出力端子10bの電位を所定の閾値に設定する(例えば、出力端子10bを短絡させる)ことで、センサ1に通信相手として選択されていることを通知することができる。
(実施形態2)
本実施形態の物理量検出システムでは、第2の通信部22が実施形態1と異なっている。なお、本実施形態の物理量検出システムにおけるその他の構成は実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して図示および説明を省略する。
本実施形態における第2の通信部22では、通信処理部22aの動作が実施形態1と異なっている。本実施形態における通信処理部22aは、実施形態1と同様に、センサ1より得た同期ビットSYNCに基づいて通信クロックを設定する。ここで、実施形態1のものは、一旦設定された通信クロックをそのまま使用するが、本実施形態における通信処理部22aは、シリアル信号の受信開始時に(第1の通信部14のシリアル信号を受信すると)、通信クロックの位相をリセットする(すなわち、センサ1の通信クロックの初期位相と等しい位相にする)。
以下、本実施形態における第2の通信部22の動作について図3を参照して説明する。
ここで、図3(a)は第1の通信部14の通信クロックを示している。また、図3(b)は第1の通信部14が送信するシリアル信号を示している。この例では、第1の通信部14の通信処理部14aは、通信クロックの立ち上がり時(ロウレベルからハイレベルへの変化時)t20,t21,t22,t23,t24,t25…を、シリアル信号のハイレベル/ロウレベルの切り替えのタイミングとしており、時刻t20より「010010…」というビット列のシリアル信号を送信している。ここで、当該シリアル信号の最初の「0」であるビットは、スタートビットである。図3(c)は電源端子10aの電位を示している。図3(c)において、電源端子10aの電位が鈍っているのは、上述したようにバイパスコンデンサCが接続されているために、立ち上がりおよび立ち下りが遅延するからである。
図3(d)は第2の通信部22の通信クロックの波形を示している。通信処理部22aは、通信クロックがロウレベルであるときに、シリアル信号のハイレベル/ロウレベルの判定を行う。本実施形態における通信処理部22aは、電源端子10aの電位(すなわち給電端子20aの電位)が信号受信用の閾値(図3(c)におけるVth)以下となり、判定回路22cによってロウレベルと判断された際に、通信クロックの位相をリセットする(時刻t30)。なお、通信処理部22aは、通信クロックの位相を一端リセットすると、シリアル通信が終了(ストップビットを受信)するまではリセットを行わない。
このように本実施形態における通信処理部22aは、スタートビットの立ち下りを検出して、通信クロックの位相をリセットする。図3(d)において、破線は位相がリセットされていない通信クロックの波形を示し、実線は位相がリセットされた通信クロックの波形を示している。
ここで、位相がリセットされる前の管理装置2の通信クロック(時刻t30以前の管理装置2の通信クロック)の位相は、センサ1の通信クロックの位相と大きくずれている(図示例では半周期ほどずれている)。これは、管理装置2による同期ビットSYNCの時間の測定誤差に起因している。すなわち、測定誤差によって、センサ1と管理装置2とで通信クロックの周期が微妙に異なり、その結果、時間によって位相のずれが大きくなったり小さくなったりする。そのため、位相のずれが大きいときには、図3(d)に示すように、半周期近く位相がずれることがあり、このようなときは、シリアル信号の受信を正しく行うことができない。
ここで、本実施形態における通信処理部22aは、第1の通信部14のシリアル信号(スタートビット)を受信すると通信クロックの位相をリセットする。したがって、図3(d)に破線で示すように、管理装置2の通信クロックの位相がセンサ1の通信クロックの位相と大きくずれていたとしても、その位相差を十分に小さくすることが可能になる。
このように、本実施形態の物理量検出システムによれば、同期信号(同期ビットSYNC)の長さの測定誤差に起因するセンサ1の通信クロックと管理装置2の通信クロックとの位相のずれを小さくすることができる。そのため、センサ1の通信クロックと管理装置2の通信クロックとの位相差、すなわちセンサ1の通信クロックが立ち上がる時刻t20,t21,t22,t23,t24,t25…と、管理装置2の通信クロックが立ち上がる時刻t30、t31,t32,t33,t34,t35…との時間差が大きくずれてしまうことを抑制できる。よって、調整モード時に高精度なシリアル通信を行うことが可能になる。
ところで、図3(c)に示すように、電源端子10aの電位波形には鈍りが生じることが多い。このような場合には、例えば、電源端子10の電位が信号受信用の閾値Vthを下回る期間が管理装置2の通信クロックの1周期よりも短くなって、スタートビットを認識できないときがある。かかる点を考慮して、通信処理部22aは、スタートビットの立ち下がりを検出して通信クロックをリセットしており、これによって、シリアル信号の受信を確実に検出することができるようにしている。
また、一旦センサ1より同期ビットSYNCを受信した後は、通信クロックの生成をせずに、以後、シリアル受信の毎に通信クロックの位相をリセットすることで、高精度な通信が可能になる。そのため、センサ1とシリアル通信を開始する毎にセンサ1と同期処理を行わなくて済み、通信処理の効率化を図ることができる。
なお、本実施形態におけるクロック回路22bには、センサ1の通信クロックの周波数よりも十分に周波数が高いものを使用することが好ましい。例えば、管理装置2で通信クロックを生成する際には、高周波のクロック回路22bのクロックパルスを必要な数だけ積算して、計測したセンサ1の通信クロックに最も近い通信クロックを生成すればよい。
(実施形態3)
本実施形態の物理量検出システムは、実施形態1と同様に、センサ1と、管理装置2とを備えているが、図4に示すように、クロック信号を出力するクロック信号出力部18をセンサ1に備えている点が実施形態1と大きく異なっている。なお、本実施形態の物理量検出システムも、実施形態1と同様に、例えば、ECUによる自動車のエンジン運転における電気的な制御に用いられる。
本実施形態における管理装置2は、供給電源部21と、第2の通信部22と、第2の制御部23とを備えている。
本実施形態における供給電源部21は、第1の電源部21aと、第2の電源部21bとで構成されている。第1の電源部21aと、第2の電源部21bは、互いに出力電圧が異なる直流電源である。第1の電源部21aは、通常モード用の電源であり、第2の電源部21bは、調整モード用の電源である。本実施形態では、第1の電源部21aの出力電圧は5Vに、第2の電源部21bの出力電圧は12Vに設定されている。
本実施形態では、第2の制御部23は、第2の通信部22の通信処理部22aとしての機能を有している。そのため、本実施形態における第2の通信部22は、第2の制御部23と、判定回路22cと、2つのスイッチQ22,Q23と、抵抗R22とで構成されている。スイッチQ22は、nチャネルMOSFETであり、給電端子20aとグラウンドとの間に挿入され、抵抗R22は、スイッチQ22と給電端子20aとの間に挿入されている。スイッチQ23は、pチャネルMOSFETであり、給電端子20aと第2の電源部21bとの間に挿入されている。
本実施形態における第2の制御部23は、通信処理部22aと同様の受信処理および送信処理を行う。ただし、本実施形態における第2の制御部23は、送信処理においては、スイッチQ22をオフ、スイッチQ23をオンとすることで、シリアル信号をハイレベルとする。この場合、スイッチQ23によって給電端子20aに第2の電源部21bが接続されるため、シリアル信号のハイレベルの電位は12Vとなる。また、第2の制御部23は、スイッチQ22をオン、スイッチQ23をオフとすることで、シリアル信号をロウレベルとする。この場合、シリアル信号のロウレベルの電位は、出力端子10bの電位を後述する電圧降下回路14dで低下させた値(本実施形態の場合は、9.9V)となる。なお、第2の制御部23は、アイドル状態(センサ1からのシリアル信号の受信待ち状態)では、スイッチQ22,Q23をともにオフに設定する。
また、本実施形態における第2の制御部23は、実施形態1と同様に、センサ1に動作モードの切り替えを要求する機能を有している。
ここで、第1の電源部21aは、スイッチQ24を介して給電端子20aに接続されている。また、第2の電源部21bは、スイッチQ25を介して入力端子20bに接続されている。さらに、第2の電源部21bは、スイッチQ26と抵抗R26を介して給電端子20aに、スイッチQ27と抵抗R27を介して入力端子20aに接続されている。なお、スイッチQ24〜Q27はいずれもpチャネルMOSFETである。
本実施形態における第2の制御部23は、上記入出力部より動作モードを通常モードに設定する旨の指示を受けた場合には、スイッチQ24をオン、スイッチQ25〜Q27をオフに設定する。この場合、給電端子20aの電位は5Vとなる。また、第2の制御部23は、動作モードを調整モードに設定する旨の指示を受けた場合には、スイッチQ25〜Q27をオン、スイッチQ24をオフに設定する。この場合、給電端子20aの電位は12V(より正確には、12Vからセンサ1の消費電流による抵抗R26の電圧降下を差し引いた電位となる。しかしながら、以下の説明では、簡略化のために消費電流を無視して説明する)となり、入力端子20bの電位は12Vとなる。
このように、本実施形態における管理装置2は、センサ1に調整モードへの移行を要求するにあたっては、電源端子10aと出力端子10bの両方の電位を通常モード時よりも高く(本実施形態では12Vに設定)する。
また、本実施形態における第2の制御部23は、調整モードへの切り替えを要求した後は、スイッチQ25をオフに設定し、クロック信号出力部18からのクロック信号を待つ。第2の制御部23は、クロック信号出力部18からクロック信号を得ると、クロック信号の周期と位相に基づいて、通信クロックを設定する。そして、第2の制御部23は、当該通信クロックに基づいて、給電端子20aをシリアル信号の入出力端子としてシリアル通信を行う。
本実施形態におけるセンサ1は、上述したようにクロック信号出力部18を備えている。また、本実施形態におけるセンサ1では、第1の通信部14と、判別部15とが実施形態1と異なっている。なお、本実施形態におけるセンサ1のその他の構成については、実施形態1と同様であるから詳細な説明は省略する。
本実施形態における第1の通信部14は、通信処理部14aと、判定回路14cと、スイッチQ11,12と、抵抗R11と、電圧降下回路14dとで構成されている。なお、判定回路14cについては実施形態1と同様であるから説明を省略する。
スイッチQ11は、nチャネルMOSFETであり、電源端子10aとグラウンドとの間に挿入されている。抵抗R11は、スイッチQ11と電源端子10aとの間に挿入されている。スイッチQ12は、pチャネルMOSFETであり、電源端子10aと出力端子10bとの間に挿入されている。
電圧降下回路14dは、管理装置2に送信するシリアル信号のロウレベルの電位を規定するためのものである。この電圧降下回路14dは、出力端子10bにアノードが、電源端子10aにカソードが電気的に接続される形で、出力端子10bと電源端子10aとの間に挿入される複数のダイオードDよりなる直列回路である。本実施形態では、ダイオードDの数は3個であり、ダイオードDとして0.7Vの電圧降下を有するものを使用している。よって、電圧降下回路14dは、そのアノード側に対してカソード側の電位を2.1V低下させる。なお、電圧降下回路14dは、1個のダイオードDよりなるものであってよいが、複数個のダイオードDを用いるほうが、シリアル信号のロウレベルの電位の設定を容易に行える。また、ダイオードDは、通常モードにおいて、出力端子10bを静電気やサージから保護する役割も果たす。
本実施形態における通信処理部14aは、実施形態1で述べたものと同様に受信処理および送信処理を行う。ただし、本実施形態における通信処理部14aは、送信処理においては、スイッチQ11をオフ、スイッチQ12をオンとすることで、シリアル信号をハイレベルとする。この場合、スイッチQ12によって出力端子10bと電源端子10aが短絡されるため、シリアル信号のハイレベルの電位は12Vとなる。また、通信処理部14aは、スイッチQ11をオン、スイッチQ12をオフとすることで、シリアル信号をロウレベルとする。この場合、電源端子10aが抵抗R11とスイッチQ11を介して接地されるため、シリアル信号のロウレベルの電位は、出力端子10bの電位を電圧降下回路14dで低下させた値(本実施形態の場合は、9.9V)となる。なお、通信処理部14aは、アイドル状態(管理装置2からのシリアル信号の受信待ち状態)では、スイッチQ11,Q12をともにオフに設定する。
このように本実施形態における第1の通信部14では、通信処理部14aと判定回路14cによって、電源端子10aに入力されるシリアル信号を受信する受信部が構成される。また、通信処理部14a、スイッチQ11,Q12、および電圧降下回路14dによって、シリアル信号を電源端子10aに出力する送信部が構成される。
本実施形態における判別部15は、第1の電圧検出部(図示せず)と、第2の電圧検出部(図示せず)と、論理積回路(図示せず)とを備えている。
上記第1の電圧検出部は、電源端子10aの電位が所定の電圧を越えているか否かを検出する過電圧検出回路である。当該第1の電圧検出部は、検出した電源端子10aの電位が6Vを越えていればハイレベル、6V以下であればロウレベルの信号を上記論理積回路に出力する。一方、上記第2の電圧検出部は、出力端子10bの電位が所定の電圧を越えているか否かを検出する過電圧検出回路である。当該第2の電圧検出部は、検出した出力端子10bの電位が6Vを越えていればハイレベル、6V以下であればロウレベルの信号を上記論理積回路に出力する。上記第1の電圧検出部および上記第2の電圧検出部はコンパレータなどを用いて実現可能であるから詳細な説明は省略する。
上記論理積回路は、AND回路である。よって、上記論理積回路は、上記第1の電圧検出部および上記第2の電圧検出部それぞれが出力する信号が両方ともハイレベルであるときに、ハイレベルの信号を第1の制御部16に出力し、一方がロウレベルであれば、第1の制御部16にはロウレベルの信号を出力する。
すなわち、本実施形態における判別部15は、電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれの電位が所定の条件を満たしているか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別する。よって、電源端子10aと出力端子10bのいずれか一方のみを用いて動作モードの判別を行う場合に比べれば、動作モードの判別誤りが発生する確率を低減できる。したがって、予期せずに動作モードが変更されてしまうことを抑制することができる。
本実施形態における第1の制御部16は、判別部15の上記論理積回路よりハイレベルの信号を受け取ると動作モードを調整モードに設定し、ロウレベルの信号を受け取ると動作モードを通常モードに設定する。
クロック信号出力部18は、クロック制御部18aと、スイッチQ13と、抵抗R13とで構成されている。スイッチQ13は、nチャネルMOSFETであり、出力端子10bとグラウンドとの間に挿入され、抵抗R13は、スイッチQ13と出力端子10bとの間に挿入されている。
クロック制御部18aは、センサ1の動作モードが調整モードであるときは、出力端子10bにクロック信号(第1のクロック信号)を出力する。第1のクロック信号は、クロック制御部18aが、内蔵されたクロック回路(図示せず)のクロックに基づいて、所定周期でスイッチQ13のオン・オフを交互に切り替えることで生成される。また、クロック制御部18aは、調整モード時には、第1のクロック信号と周期および位相が等しいクロック信号(第2のクロック信号)を通信処理部14aに出力する。
なお、クロック制御部18aは、センサ1の動作モードが通常モードであるときは、クロック信号の出力を行わない。このとき、スイッチQ13はオフに設定され、これによって、センサ1の検出出力が出力端子10bより出力される。
本実施形態における通信処理部14aは、シリアル信号を送信する際には、第2のクロック信号の立ち下がり時(ハイレベルからロウレベルに切り替わるとき)から、次の立ち下り時までの期間を、シリアル信号の1ビットの期間とする。そして、通信処理部14aは、当該期間において第2のクロック信号がハイレベルである期間に、シリアル信号がハイレベルもしくはロウレベルとなるように、スイッチQ11,Q12を制御する。また、通信処理部14aは、シリアル信号を受信する際においても、第2のクロック信号の立ち下がり時(ハイレベルからロウレベルに切り替わるとき)から、次の立ち下り時までの期間を、シリアル信号の1ビットの期間とする。そして、通信処理部14aは、当該期間において第2のクロック信号の立ち上がり時の判定回路14cの判定結果によって、シリアル信号のビット値を得る。
このように第1の通信部14は、クロック信号出力部18より得たクロック信号(第2のクロック信号)に同期して、電源端子10aに入力されるシリアル信号の受信、および電源端子10aへのシリアル信号の出力を行う(電源端子10aをシリアル信号の入出力端子としてシリアル通信を行う)。
以下、本実施形態の物理量検出システムの動作について説明する。まず、初期状態では、センサ1が通常モードであるとする。この初期状態では、管理装置2の第2の制御部23は、スイッチQ24をオン、スイッチQ22,Q23,Q25,Q26,Q27をオフに設定する。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられる。センサ1の動作モードは通常モードであるから、センサ1は、記憶部12に記憶されている補正値で検出部11の検出出力を補正して得られた検出出力(補正後の検出出力)を出力端子10bに出力する。出力端子10bに出力された補正後の検出出力は、入力端子20bに入力され、第2の制御部23によって上記入出力部に送られ、ユーザに提示される。
一方、上記入出力部によって調整モードが選択されると、第2の制御部23は、スイッチQ25〜Q27をオン、スイッチQ22,Q23,Q27をオフに設定する。この場合、センサ1の電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれには、12Vの電位が与えられる。より正確には、電源端子10aには、12Vからセンサ1の消費電流による抵抗R26の電圧降下を差し引いた電位となる。しかしながら、以下の説明では、簡略化のために消費電流を無視して説明する。
そのため、判別部15の上記第1の電圧検出部と上記第2の電圧検出部とはいずれもハイレベルの信号を出力し、これによって、判別部15からはハイレベルの信号が出力される。その結果、第1の制御部16は動作モードを調整モードに設定する。よって、第1の通信部14が駆動されて、管理装置2とのシリアル通信が可能になる。また、動作モードが調整モードに設定されると、クロック信号出力部18のクロック制御部18aが動作を開始し、通信処理部14aに第2のクロック信号が入力される。
第2の制御部23は、調整モードの要求後、所定のタイミングで、スイッチQ25をオフに設定する。スイッチQ25がオフのときは、第2の電源部21bと入力端子20bとの間に抵抗R27が挿入される。そのため、クロック信号出力部18のスイッチQ13のオン・オフによって、入力端子20bの電位が変化する。すなわち、第2の制御部23は、スイッチQ25をオフに設定することで、センサ1のクロック信号出力部18から第1のクロック信号を得る。なお、第2の制御部23が、スイッチQ25をオフに設定するタイミング(すなわち第1のクロック信号を受信するタイミング)は、所定時間毎や、シリアル信号の送受信を所定回数(例えば5回)行う毎等、好適なタイミングとすることができる。
そして、使用者が上記入出力部を用いて補正値の入力を行うと、第2の制御部23は、入力された補正値を送信する。このとき、第2の制御部23は、第1のクロック信号に基づいて通信クロックを設定して、シリアル信号の送受信を行う。
第1の制御部16は、第1の通信部14でシリアル信号を受信すると、記憶部12の補正値を、管理装置2より受け取った補正値に書き換える。書き換えが終了すると、第1の制御部16は、第1の通信部14を制御して、書き換え後の記憶部12の補正値を管理装置2に送信する。
第2の制御部23は、センサ1より受け取った補正値が、センサ1に送信した補正値と等しいかどうかを確認し、等しければ、補正値の更新が成功したと判断し、等しくなければ、補正値の更新が失敗したと判断する。この判断結果は、上記入出力部によって使用者に通知される。
この後に、上記入出力部によって通常モードが選択されると、第2の制御部23は、スイッチQ24をオン、スイッチQ22,Q23,Q25,Q26,Q27をオフに設定する。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられ、その結果、センサ1の第1の制御部16の動作モードが通常モードに設定される。
以上述べた本実施形態のセンサ1では、センサ1は、調整モード時には、第1のクロック信号を管理装置2に送信する。管理装置2は、センサ1より第1のクロック信号を受信することで、センサ1との同期を取ることができる。よって、シリアル通信の通信精度を向上することができる。また、本実施形態の物理量検出システムによれば、実施形態1と同様に、端子数を増やすことなく調整モードへの移行が行える。さらに、調整モードでは、センサ1への給電線L1を通信線に兼用することができるため、一つの通信装置で複数のセンサ1と通信することが可能になる。よって、管理装置2の構成の簡素化および省配線化を図ることができ、システム全体の構成を簡素化することができる。
なお、上述したスイッチQ11〜Q13,Q22〜Q27は、MOSFETなどの半導体スイッチング素子に限定されず、継電器等のオン・オフ制御が可能なスイッチであってもよい。
(実施形態4)
本実施形態の物理量検出システムでは、主として、管理装置2が実施形態3と異なっている。
本実施形態における管理装置2は、図5に示すように、供給電源部21と、第2の通信部22と、第2の制御部23と、電位保持部24とを備えている。
本実施形態における供給電源部21は、実施形態3と同様に、第1の電源部21aと、第2の電源部21bとを有している。ここで、第1の電源部21aは、実施形態3と同様に、スイッチQ24を介して給電端子20aに接続され、第2の電源部21bはスイッチQ26と抵抗R26を介して給電端子20aに接続されている。
電位保持部24は、オペアンプOPと、nチャネルMOSFETよりなるスイッチQ28と、抵抗R28と、電源部24aとで構成されている。オペアンプOPの非反転入力端子は第2の電源部21bに接続され、反転入力端子はスイッチQ28のソースに接続され、出力端子はスイッチQ28のゲートに接続されている。また、スイッチQ28のソースは、スイッチQ25を介して入力端子20bに接続されている。一方、スイッチQ28のドレインは、抵抗R28を介して電源部24aに接続されている。この電源部24aの出力電圧は、第2の電源部21bの出力電圧よりも高く設定されている(本実施形態では、15V)。電位保持部24によれば、オペアンプOPの負帰還によって、スイッチQ28の電位、すなわち入力端子20bの電位が一定値、すなわち、第2の電源部21bの出力電圧に等しい値に維持される。
したがって、本実施形態では、クロック信号出力部18のスイッチQ13のオン・オフに依存せずに、入力端子20bの電位が12Vに維持される。その代わりに、スイッチQ28に流れる電流の大きさが、スイッチQ13のオン・オフに応じて変化する。したがって、本実施形態では、クロック信号出力部18が入力端子20bに出力する第1のクロック信号は、電位の大きさが時間変化する信号ではなく、電流の大きさが時間変化する信号(電流クロック信号)である。
本実施形態における第2の制御部23は、実施形態3と同様に、センサ1に動作モードの切り替えを要求する機能を有している。第2の制御部23は、上記入出力部より動作モードを通常モードに設定する旨の指示を受けた場合には、スイッチQ24をオン、スイッチQ25,Q26をオフに設定する。この場合、給電端子20aの電位は5Vとなる。また、第2の制御部23は、動作モードを調整モードに設定する旨の指示を受けた場合には、スイッチQ25,Q26をオン、スイッチQ24をオフに設定する。この場合、給電端子20aの電位は12V(より正確には、12Vからセンサ1の消費電流による抵抗R26の電圧降下を差し引いた電位となる。しかしながら、以下の説明では、簡略化のために消費電流を無視して説明する)となる。また、入力端子20bは、スイッチQ25を介してスイッチQ28のソースに接続されるため、その電位は12Vとなる。なお、図5では、入力端子20bと第2の制御部23との間の接続線(検出出力用の接続線)の図示を省略している。
本実施形態においても、第2の制御部23は、第2の通信部22の通信処理部22aとしての機能を有している。そのため、本実施形態における第2の通信部22も、実施形態3と同様に、第2の制御部23と、判定回路22cと、2つのスイッチQ22,Q23と、抵抗R22とで構成されている。
本実施形態における第2の制御部23は、実施形態3と同様に、スイッチQ22,Q23をオン・オフ制御することで、シリアル信号の送信を行う。本実施形態における第2の制御部23は、スイッチQ28に流れる電流(ドレイン−ソース間の電流)の大きさを検出し、これによって第1のクロック信号を得る。第2の制御部23は、第1のクロック信号に同期して、シリアル信号の送受信を行う。
例えば、第2の制御部23は、シリアル信号を送信する際には、第1のクロック信号の立ち下がり時(ハイレベルからロウレベルに切り替わるとき)から、次の立ち下り時までの期間を、シリアル信号の1ビットの期間とする。そして、第2の制御部23は、当該期間において第1のクロック信号がハイレベルである期間に、シリアル信号がハイレベルもしくはロウレベルとなるように、スイッチQ22,Q23を制御する。また、第2の制御部23は、シリアル信号を受信する際においても、第1のクロック信号の立ち下がり時(ハイレベルからロウレベルに切り替わるとき)から、次の立ち下り時までの期間を、シリアル信号の1ビットの期間とする。そして、第2の制御部23は、当該期間において第1のクロック信号の立ち上がり時の判定回路22cの判定結果によって、シリアル信号のビット値を得る。
このように第2の制御部23は、クロック信号出力部18より得たクロック信号(第1のクロック信号)に同期して、給電端子20aに入力されるシリアル信号の受信、および給電端子20aへのシリアル信号の出力を行う(給電端子20aをシリアル信号の入出力端子としてシリアル通信を行う)。
以下、本実施形態の物理量検出システムの動作について説明する。まず、初期状態では、センサ1が通常モードであるとする。この初期状態では、管理装置2の第2の制御部23は、スイッチQ24をオン、スイッチQ22,Q23,Q25,Q26をオフに設定し、電源端子10aには5Vの電位が与えられる。また、センサ1は、通常モードであるから、記憶部12に記憶されている補正値で検出部11の検出出力を補正して得られた検出出力(補正後の検出出力)を出力端子10bに出力する。出力端子10bに出力された補正後の検出出力は、入力端子20bに入力され、第2の制御部23によって上記入出力部に送られ、ユーザに提示される。
一方、上記入出力部によって調整モードが選択されると、第2の制御部23は、スイッチQ25,Q26をオン、スイッチQ24をオフに設定する。この場合、給電端子20aと入力端子20bの電位はそれぞれ12Vとなる。
この場合、判別部15では、上記第1の電圧検出部と上記第2の電圧検出部の両方からハイレベルの信号が出力される。そのため、判別部15が出力する信号もハイレベルとなる。その結果、第1の制御部16は動作モードを調整モードに設定する。よって、第1の通信部14が駆動されて、管理装置2とのシリアル通信が可能になる。
また、動作モードが調整モードに設定されることによって、クロック信号出力部18が動作を開始する。これによって、第1の通信部14の通信処理部14aには、第2のクロック信号が出力される。また、入力端子20bには、第1のクロック信号が出力される。
使用者が上記入出力部を用いて補正値の入力を行うと、第2の制御部23は、入力された補正値をセンサ1に送信する。第2の制御部23は、上述したように第1のクロック信号に同期してスイッチQ22,Q23をオン・オフ制御することによって、シリアル信号の送信を行う。
第1の通信部14は、上述したように第2のクロック信号に同期して、シリアル信号の受信を行う。第1の制御部16は、第1の通信部14でシリアル信号を受信すると、記憶部12の補正値を、管理装置2より受け取った補正値に書き換える。書き換えが終了すると、第1の制御部16は、第1の通信部14を制御して、書き換え後の補正値を管理装置2に送信する。第1の通信部14は、上述したように第2のクロック信号に同期してスイッチQ11,Q12をオン・オフ制御することによって、シリアル信号の送信を行う。
第2の制御部23は、上述したように第1のクロック信号に同期して、シリアル信号の受信を行う。第2の制御部23は、シリアル信号を受信すると、センサ1から受け取った補正値が、センサ1に送信した補正値と等しいかどうかを確認し、等しければ、補正値の更新が成功したと判断し、等しくなければ、補正値の更新が失敗したと判断する。この判断結果は、上記入出力部によって使用者に通知される。
この後に、上記入出力部によって通常モードが選択されると、第2の制御部23は、スイッチQ24をオン、スイッチQ22,Q23,Q25,Q26をオフに設定する。この場合、センサ1の電源端子10aには、5Vの電位が与えられる。そのため、判別部15の上記第1の電圧検出部の信号がロウレベルとなり、判別部15からはロウレベルの信号が出力される。その結果、第1の制御部16は動作モードを通常モードに設定する。これによって、クロック信号出力部18は動作を停止する(スイッチQ13がオフに設定される)。
以上述べたように、本実施形態の物理量検出システムによれば、第2の通信部22は、出力端子10bを通じて入力端子20bに入力されるクロック信号出力部18のクロック信号(第1のクロック信号)に同期して給電端子20aを通じたシリアル信号の送受信を行う。また、第1の通信部14は、クロック信号出力部18より得たクロック信号(第2のクロック信号)に同期して電源端子10aを通じたシリアル信号の送受信を行う。そのため、同期ビットを用いるものとは異なり、測定誤差や、種々の外乱の影響を無くすことができ、調整モード時のシリアル通信の通信精度を向上することができる。
また、同期ビットを用いた同期処理を行う必要がなくなるから、このような処理に要していた時間を節約することができる。そのため、シリアル通信の効率を向上することができる(単位時間に送信できるデータ量を増やすことができる)。また、通信対象のセンサ1には管理装置2からクロック信号が送信される。そのため、シリアル信号にIDなどを付加して通信対象のセンサ1を識別する必要がなくなり、ID等のためのビット列が不要になる。よって、シリアル通信の効率を向上することができる。
ところで、本実施形態におけるセンサ1では、調整モード時に出力端子10bの電位が変化すると、電源端子10aの電位も変動する。そのため、スイッチQ13のオン・オフによって出力端子10bの電位が変化すると、電源端子10aの電位も変化する。さらに、電源端子10aにはバイパスコンデンサCが接続されているので、電源端子10aの電位波形は鈍ってしまう。そのため、判定回路14cに、これらの影響を防止するための構成を付加しなければ、シリアル信号の受信を精度良く行うことができない。
しかしながら、本実施形態における管理装置2は、電流クロック信号が入力されているときに入力端子20bの電位を一定に保つ電位保持部28を備えている。そのため、調整モード時に入力端子20bの電位が変動することに起因する上記の不具合の発生を防止することができる。
また、本実施形態の物理量検出システムによれば、下記の効果が得られる。すなわち、本実施形態の物理量検出システムによれば、電源端子10aと出力端子10bの電位に基づいて、管理装置2が要求している動作モードを判別するので、端子部10の端子数を増やすことなく調整モードへの移行が行える。さらに、調整モードでは、電源端子10aを管理装置2との通信に使用するから、センサ1への給電線L1を通信線に兼用することができる。そのため、管理装置2には、センサ1と一対一対応で第2の通信部(通信装置)22を設ける必要がなく、一つの第2の通信部22で多数のセンサ1と通信することが可能になる。よって、管理装置2の構成を簡素化することができる。その上、電源端子10aは一般的にバイパスコンデンサCにより接地されることが多いから、出力端子10bにより通信する場合に比べれば、高周波ノイズの影響を低減することができる。
なお、本実施形態において、判別部15は、電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれの電位が所定の条件を満たしているか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別している。この点に関して、判別部15は、電源端子10aと出力端子10bの一方の電位が所定の条件を満たしているか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別してもよい。ただし、電源端子10aおよび出力端子10bそれぞれの電位が所定の条件を満たしているか否かによって、管理装置2が要求している動作モードを判別するほうが、いずれか一方のみで動作モードの判別を行う場合に比べて、動作モードの判別誤りが発生する確率を低減できて、予期せずに動作モードが変更されてしまうことを抑制することができる。
以上、本発明の物理量検出システムの実施形態について述べたが、上述のものは、あくまでも一実施形態に過ぎない。よって、本発明の技術的範囲は上記の例に限定されず、上述の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
例えば、センサ1では、少なくとも検出部11を除く部位は、モノリシックICにより構成されていてもよい。このようにすれば、センサ1の小型化を図ることができる。なお、検出部11が、MEMS技術を利用した加速度センサであれば、検出部11もモノリシックICとして一体化することができる。また、検出部11が、ホール素子とその検出回路とからなる磁気センサである場合には、検出部11の検出回路をモノリシックICとして一体化してもよい。
以上の各実施形態では、センサ1の第1の通信部14は、電源端子10aに入力されるシリアル信号を受信する機能と、シリアル信号を電源端子10bに出力する機能とを有している。しかしながら、第1の通信部14は、シリアル信号を受信する機能のみを有するものであってもよい。