JP2010115588A - 焼却灰の溶融処理方法と溶融処理設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼却排ガス中の酸性ガス成分の一部とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第1焼却排ガス反応工程と、第1分離工程の後に、焼却排ガス中の残りの酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第2焼却排ガス反応工程とを有し、焼却飛灰と第1焼却排ガス反応工程で生成された塩類とを、第1分離工程において焼却排ガス中から分離し、第1分離工程で分離された焼却飛灰に含まれる重金属成分の量を検出して、検出量が設定量よりも増えた場合はアルカリ薬剤の添加量を増やし、その検出量が設定量よりも減った場合はアルカリ薬剤の添加量を減らすように、第1焼却排ガス反応工程におけるアルカリ薬剤の添加量を調節する。
【選択図】図2
Description
また、焼却主灰や焼却飛灰に含まれる重金属成分が高濃度に溶融スラグへ移行すると、そのスラグの埋立処分地等において、雨水や地下水によって固化したスラグから重金属成分が溶出するおそれがある。
また、スラグの有効利用に対する規制により、重金属含有量によっては再利用できないこともある。
このため、溶融反応工程において、焼却飛灰と焼却主灰とを溶融すると共に、第1分離工程で分離された塩類を酸性ガス成分に分解して、その酸性ガス成分と焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる鉛などの重金属成分との反応で揮発性を備えた塩化物の重金属化合物を生成させることにより、重金属成分を溶融排ガス中に揮散させて、重金属成分の溶融スラグへの移行を防止している。
そして、溶融反応工程において塩類の分解により生成された酸性ガス成分は、その全量が重金属成分と反応するのではないので、溶融排ガス中には残りの酸性ガス成分と揮散した重金属成分と溶融飛灰とが混じった状態になっている。
そこで、溶融排ガス中から残りの酸性ガス成分と揮散した重金属成分と溶融飛灰とを除去するために、溶融排ガス中の残りの酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で、溶融排ガス中から塩類を生成させる溶融排ガス反応工程と、溶融飛灰と重金属化合物と溶融排ガス反応工程で生成された塩類とを溶融排ガス中から分離する第2分離工程とを設けてある。
従来の上記焼却灰の溶融処理方法では、焼却排ガス反応工程において焼却排ガス中の酸性ガス成分の全量をアルカリ薬剤と反応させて塩類を生成した後、焼却飛灰と焼却排ガス反応工程において生成した塩類とを分離する第1分離工程を設けている(例えば、特許文献1参照。)。
つまり、焼却排ガス中の酸性ガス成分の全量をアルカリ薬剤と反応させて生成した塩類が、溶融反応工程において酸性ガス成分に分解されることになるので、溶融反応工程においては、重金属成分と反応させるに必要な量を越える大量の酸性ガス成分が生成されるとともに、重金属成分との反応に使用されなかった酸性ガス成分も溶融排ガス中に大量に残存しているので、溶融排ガス反応工程において、それらの残存酸性ガス成分との反応で塩類を生成させるためのアルカリ薬剤を大量に必要とする。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、溶融排ガス反応工程において必要なアルカリ薬剤の使用量を低減できるようにすることを目的とする。
焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分の量を検出して、その検出量が設定量よりも増えた場合はアルカリ薬剤の添加量を増やし、その検出量が設定量よりも減った場合はアルカリ薬剤の添加量を減らすように、第1焼却排ガス反応工程におけるアルカリ薬剤の添加量を調節する。
よって、第1焼却排ガス反応工程において生成される塩類の量、つまり、第1分離工程において焼却排ガス中から分離して、溶融反応工程において酸性ガス成分に分解される塩類の量を、焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分の量に見合った量に調節して、溶融反応工程において生成される、重金属成分との反応に使用されない酸性ガス成分の量を減少させることができる。
焼却排ガス中の残りの酸性ガス成分は、第1分離工程の後の第2焼却排ガス反応工程におけるアルカリ薬剤との反応で塩類を生成して、適宜、焼却排ガス中から分離できる。
従って、溶融反応工程において溶融排ガス中に残存する酸性ガス成分の量を少なくすることができ、溶融排ガス反応工程において、それらの残存酸性ガス成分との反応で塩類を生成させるために必要なアルカリ薬剤の使用量を低減できる。
溶融反応工程において排出された溶融排ガス中の未反応の酸性ガス成分の量を検出して、その検出量が設定量よりも少ない場合はアルカリ薬剤の添加量を増やし、その検出量が設定量よりも多い場合はアルカリ薬剤の添加量を減らす、つまり、未反応の酸性ガス成分は重金属成分と反応しなかった余剰の酸性ガス成分であるから、その検出量が設定量よりも少ない場合はアルカリ薬剤の添加量を増やして酸性ガス成分に分解される塩類の量を増やし、その検出量が設定量よりも多い場合はアルカリ薬剤の添加量を減らして酸性ガス成分に分解される塩類の量を減らす。
よって、第1焼却排ガス反応工程において生成される塩類の量、つまり、第1分離工程において焼却排ガス中から分離して、溶融反応工程において酸性ガス成分に分解される塩類の量を、焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分の量に見合った量に調節して、溶融反応工程において生成される、重金属成分との反応に使用されない酸性ガス成分の量を減少させることができる。
焼却排ガス中の残りの酸性ガス成分は、第1分離工程の後の第2焼却排ガス反応工程におけるアルカリ薬剤との反応で塩類を生成して、適宜、焼却排ガス中から分離できる。
従って、溶融反応工程において溶融排ガス中に残存する酸性ガス成分の量を少なくすることができ、溶融排ガス反応工程において、それらの残存酸性ガス成分との反応で塩類を生成させるために必要なアルカリ薬剤の使用量を低減できる。
尚、酸性ガス成分の設定量は零である場合も含み、この場合、未反応の酸性ガス成分の検出量が零のときは、その検出量が設定量よりも少ないと見なして、バグフィルターが目詰まりを起こさない程度の塩類が生成されるようにアルカリ薬剤の添加量を増やす。
第1焼却排ガス反応工程において、水酸化ナトリウム等のアルカリ薬剤に比べて潮解し難い水酸化カルシウム、つまり、山元還元の際に乾式の場合は乾燥しなくてよい水酸化カルシウムを反応薬剤として使用し、第1分離工程においてそのカルシウム塩を焼却飛灰と共にバグフィルターで焼却排ガス中から分離するにあたって、バグフィルターの目詰まりを防止しながら分離することができ、第2焼却排ガス反応工程において水に溶け易いナトリウム塩を生成させて、そのナトリウム塩を水溶液の状態で焼却排ガス中から分離できる。
溶融排ガス中の酸性ガス成分を、山元還元の際の搬送などの取扱いが容易な塩類として取り出すことができる。
焼却炉から排出された焼却排ガス中の酸性ガス成分の一部とアルカリ薬剤とを第1焼却排ガス反応手段で反応させて、塩類を生成させる。
焼却飛灰と第1焼却排ガス反応手段で生成された塩類とを、第1分離手段で焼却排ガス中から分離する。
第1分離手段で焼却飛灰と塩類とが分離された焼却排ガス中の残りの酸性ガス成分は第2焼却排ガス反応手段でアルカリ薬剤と反応させて、塩類を生成させる。
溶融炉において、焼却炉の焼却主灰と第1分離手段で分離された焼却飛灰とを溶融すると共に、第1分離手段で分離された塩類を酸性ガス成分に分解して、その酸性ガス成分と焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分との反応で揮発性を備えた塩化物の重金属化合物を生成させる。
溶融炉から排出された溶融排ガス中の酸性ガス成分とアルカリ薬剤とを溶融排ガス反応手段で反応させて、塩類を生成させる。
溶融飛灰と溶融炉で生成された重金属化合物と溶融排ガス反応手段で生成された塩類とを、第2分離手段で溶融排ガス中から分離する。
制御手段は、第1焼却排ガス反応手段におけるアルカリ薬剤の添加量が、焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分の量に見合った量になるように、第1焼却排ガス反応手段におけるアルカリ薬剤の添加量を調節可能な調節手段の作動を制御する。
従って、第1焼却排ガス反応手段で生成される塩類の量、つまり、第1分離手段で焼却排ガス中から分離して、溶融炉で酸性ガス成分に分解される塩類の量を、焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分の量に見合った量になるように、制御手段によって能率良く調整できる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明による焼却灰の溶融処理方法に使用する溶融処理設備を示す。
溶融処理設備は、都市ゴミなどの一般廃棄物や産業廃棄物(以下、単に廃棄物という。)Aを焼却するストーカー式の焼却炉1と、焼却炉1から排出された焼却排ガスを無害化する焼却排ガス処理部2と、焼却炉1の焼却主灰と焼却飛灰とからなる焼却灰を溶融する表面溶融炉3と、溶融炉3から排出された溶融排ガスを無害化する溶融排ガス処理部4とを設けてある。
溶融炉3において溶融させた焼却主灰と焼却飛灰は炉外に排出されて急冷固化され、スラグBとして回収される。
MO+2HCl→MCl2+H2O
2HCl+Ca(OH)2→CaCl2+2H2O
つまり、焼却量の廃棄物に含まれる重金属1当量に対して1当量の消石灰が必要であることがわかる。
焼却灰(焼却主灰及び焼却飛灰)の溶融処理方法は、図2に示すように、第1焼却排ガス反応工程と、第2焼却排ガス反応工程と、第1分離工程と、溶融反応工程と、溶融排ガス反応工程と、第2分離工程とを有する。
尚、図中の矢印は、溶融処理の流れを示す。
重金属を山元還元する場合は、第2焼却排ガス反応手段8から生成される塩は別途回収したほうが重金属以外のものが混入しないので、山元還元が容易となる。
図示しないが、第1実施形態において供給路19の途中に設けた焼却飛灰に含まれる重金属成分の量を検出する検出手段16に代えて、溶融反応工程において排出された溶融排ガス中の未反応の酸性ガス成分の量を検出する検出手段を設けてもよい。
尚、酸性ガス成分の単位時間当たりの設定量(閾値)は、最低値としておく。つまり、未反応の酸性ガス成分がゼロの場合でも、バグフィルターが目詰まりを起こさない程度の塩類が生成されるように水酸化カルシウム(アルカリ薬剤)を添加する。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
1.本発明による焼却灰の溶融処理方法と溶融処理設備は、アルカリ薬剤として、水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウムのいずれを使用しても良い。
2.本発明による焼却灰の溶融処理方法と溶融処理設備は、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム以外の各種のアルカリ薬剤を適宜使用しても良い。
3.本発明による焼却灰の溶融処理方法と溶融処理設備は、回転式表面溶融炉、反射式表面溶融炉、放射式表面溶融炉、旋回流式溶融炉、ロータリーキルン式溶融炉、コークスベッド式溶融炉、キルン式溶融炉、流動庄式溶融炉、シャフト炉式溶融炉、電気式溶融炉(交流アーク式溶融炉、電気抵抗式溶融炉、プラズマ式溶融炉、誘導式溶融炉)などの燃焼式溶融炉で焼却灰を溶融処理するものであっても良く、これらの溶融炉には、燃焼空気を導入して燃焼させる場合も含む。
1 焼却炉
3 溶融炉
6 第1焼却排ガス反応手段
7 第1分離手段
8 第2焼却排ガス反応手段
12 溶融排ガス反応手段
13 第2分離手段
15 調節手段
16 検出手段
17 制御手段
Claims (5)
- 廃棄物の焼却炉から排出された焼却排ガス中の酸性ガス成分の一部とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第1焼却排ガス反応工程と、
焼却飛灰と前記第1焼却排ガス反応工程で生成された塩類とを焼却排ガス中から分離する第1分離工程と、
前記第1分離工程の後に、前記焼却排ガス中の残りの酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第2焼却排ガス反応工程と、
焼却炉の焼却主灰と前記第1分離工程で分離された焼却飛灰とを溶融すると共に、前記第1分離工程で分離された塩類を酸性ガス成分に分解して、前記焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分との反応で揮発性を備えた塩化物の重金属化合物を生成させる溶融反応工程と、
前記溶融反応工程において排出された溶融排ガス中の酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる溶融排ガス反応工程と、
溶融飛灰と前記溶融反応工程で生成された重金属化合物と前記溶融排ガス反応工程で生成された塩類とを溶融排ガス中から分離する第2分離工程と、
前記焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分の量を検出して、その検出量が設定量よりも増えた場合はアルカリ薬剤の添加量を増やし、その検出量が設定量よりも減った場合はアルカリ薬剤の添加量を減らすように、前記第1焼却排ガス反応工程における前記アルカリ薬剤の添加量を調節する焼却灰の溶融処理方法。 - 廃棄物の焼却炉から排出された焼却排ガス中の酸性ガス成分の一部とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第1焼却排ガス反応工程と、
焼却飛灰と前記第1焼却排ガス反応工程で生成された塩類とを焼却排ガス中から分離する第1分離工程と、
前記第1分離工程の後に、前記焼却排ガス中の残りの酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第2焼却排ガス反応工程と、
焼却炉の焼却主灰と前記第1分離工程で分離された焼却飛灰とを溶融すると共に、前記第1分離工程で分離された塩類を酸性ガス成分に分解して、前記焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分との反応で揮発性を備えた塩化物の重金属化合物を生成させる溶融反応工程と、
前記溶融反応工程において排出された溶融排ガス中の酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる溶融排ガス反応工程と、
溶融飛灰と前記溶融反応工程で生成された重金属化合物と前記溶融排ガス反応工程で生成された塩類とを溶融排ガス中から分離する第2分離工程と、
前記溶融反応工程において排出された溶融排ガス中の未反応の酸性ガス成分の量を検出して、その検出量が設定量よりも少ない場合はアルカリ薬剤の添加量を増やし、その検出量が設定量よりも多い場合はアルカリ薬剤の添加量を減らすように、前記第1焼却排ガス反応工程における前記アルカリ薬剤の添加量を調節する焼却灰の溶融処理方法。 - 前記第1焼却排ガス反応工程において、前記アルカリ薬剤として水酸化カルシウムを使用して、乾式処理により塩類を生成させ、
前記第2焼却排ガス反応工程において、前記アルカリ薬剤として水酸化ナトリウムを使用して、湿式処理により塩類を生成させる請求項1又は2記載の焼却灰の溶融処理方法。 - 前記溶融排ガス反応工程において、前記アルカリ薬剤として水酸化カルシウムを使用して、乾式処理により塩類を生成させる請求項1〜3のいずれか1項記載の焼却灰の溶融処理方法。
- 焼却炉から排出された焼却排ガス中の酸性ガス成分の一部とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第1焼却排ガス反応手段と、
焼却飛灰と前記第1焼却排ガス反応手段で生成された塩類とを焼却排ガス中から分離する第1分離手段と、
前記第1分離手段で焼却飛灰と塩類とが分離された焼却排ガス中の残りの酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる第2焼却排ガス反応手段と、
焼却炉の焼却主灰と前記第1分離手段で分離された焼却飛灰とを溶融すると共に、前記第1分離手段で分離された塩類を酸性ガス成分に分解して、前記焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分との反応で揮発性を備えた塩化物の重金属化合物を生成させる溶融炉と、
前記溶融炉から排出された溶融排ガス中の酸性ガス成分とアルカリ薬剤との反応で塩類を生成させる溶融排ガス反応手段と、
溶融飛灰と前記溶融炉で生成された重金属化合物と前記溶融排ガス反応手段で生成された塩類とを溶融排ガス中から分離する第2分離手段と、
前記第1焼却排ガス反応手段における前記アルカリ薬剤の添加量を調節可能な調節手段と、
前記添加量が前記焼却主灰又は焼却飛灰に含まれる重金属成分の量に見合った量になるように、前記調節手段の作動を制御する制御手段とが設けられている溶融処理設備。
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