JP2010111739A - 難燃性ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリ乳酸樹脂組成物 Download PDF

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Yuichi Matsuno
勇一 松野
Masaki Mitsunaga
正樹 光永
Mitsuru Doteguchi
満 土手口
Yoshitaka Shibata
佳孝 柴田
Saneo Oda
実生 小田
Takuro Kitamura
卓朗 北村
Kiyotsuna Toyohara
清綱 豊原
Masahiro Iwai
正宏 岩井
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Abstract

【課題】環境負荷低減効果の高いバイオマス樹脂であるポリ乳酸のみを樹脂成分として用いて、優れた難燃性や成形品外観、ハイサイクル成形性に加え、耐熱性を兼ね備えた樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、アルミニウムを含有するリン酸金属塩または亜リン酸金属塩(B−1成分)5〜45重量部およびB−1成分以外のリン系難燃剤(B−2成分)5〜45重量部を含有する難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマス資源から得られるポリマーであるポリ乳酸樹脂を非ハロゲン系の難燃剤により難燃化された難燃性ポリ乳酸樹脂組成物に関する。
近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。特にポリ乳酸樹脂は、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、更に、工業材料としての可能性も検討されるようになってきた。
しかしながら、ポリ乳酸は、その耐熱性や難燃性の不足から、エンジニアリングプラスチックに代表されるPBTやPETなどが使われる耐熱要求の高い電気・電子用途への展開が進んでいない。
特許文献1では、ポリ乳酸樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂のアロイに対し、リン酸エステルを配合した組成が例示されているが、石油由来の樹脂である芳香族ポリカーボネートを使用しており、環境負荷低減の効果は乏しく、また耐熱性は不十分であった。特許文献2では、リン系難燃剤としてリン酸トリフェニル類を用いた難燃性ポリ乳酸樹脂組成物が開示されているが、リン酸トリフェニルは発生ガスが多く、成形品表面にガス転写跡や難燃剤のブリードアウトが発生し、実用性に乏しい。特許文献3では、ポリ乳酸樹脂と石油由来樹脂とのアロイにリン系難燃剤を用いた樹脂組成物が開示されているが、耐熱性が不十分であること、また石油由来樹脂を添加しているため、環境負荷低減の面でも不十分であった。特許文献4では、ポリ乳酸に対し芳香族縮合リン酸エステル化合物を添加した樹脂組成物が開示されているが、難燃剤由来の可塑化効果により、成形サイクルが長くなり、耐熱性も低くなる問題点がある。また、特許文献5、6では、金属水酸化物をポリ乳酸樹脂に配合した特許が示されているが、金属水酸化物をポリ乳酸に添加すると樹脂の分解を促進し、成形時の分解ガスの発生などを招き、成形品表面にガス転写跡が発生し易くなる問題がある。また、これら特許は何れも樹脂の融点が180℃以下のL−乳酸単位からなるポリ乳酸を用いた例示しかなく、結晶性のエンジニアリングプラスチックであるPBTやPETと比べ耐熱性が不十分であり、耐熱性要求の高い電気・電子部品用途への展開は実質的に不可能である。
特開2007−191577号公報 特開2006−222500号公報 特開2004−190026号公報 特開2005−89546号公報 特開2005−336365号公報 特開2005−162873号公報
本発明は、上記課題を解決するために、環境負荷低減効果の高いバイオマス樹脂であるポリ乳酸のみを樹脂成分として用いて、優れた難燃性や成形品外観、ハイサイクル成形性に加え、耐熱性を兼ね備えた樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意研究の結果、ポリ乳酸樹脂に対し、特定の非ハロゲン系難燃剤を添加することにより、優れた難燃性や成形品外観、ハイサイクル成形性に加え、耐熱性を兼ね備えた樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、アルミニウムを含有するリン酸金属塩または亜リン酸金属塩(B−1成分)5〜45重量部およびB−1成分以外のリン系難燃剤(B−2成分)5〜45重量部を含んでなる難燃性ポリ乳酸樹脂組成物である。更に、ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、C成分として末端封鎖剤を、0.001〜10重量部含むことが好ましく、D成分として無機充填剤を0.05〜100重量部含むことが好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂(A成分)は、ポリL−乳酸樹脂もしくはポリD−乳酸樹脂を単独で用いても良いが、特定のポリL−乳酸樹脂とポリD−乳酸樹脂を特定の割合で混合した混合物を用いることが好ましい。すなわち、主としてL−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−1成分)および主としてD−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−2成分)を含有し、ポリ−L乳酸(A−1成分)とポリ−D乳酸(A−2成分)との重量比(A−1成分/A−2成分)が10/90〜90/10の範囲にあり、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)は、L−乳酸単位を90モル%以上含有し、ポリ−D乳酸樹脂(A−2)は、D−乳酸単位を90モル%以上含有し、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程における融解ピークのうち195℃以上の融解ピークの割合が80%以上であるポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。
本発明は、環境負荷低減効果の高いバイオマス樹脂であるポリ乳酸のみを樹脂成分として用いて、優れた難燃性や成形品外観、ハイサイクル成形性に加え、耐熱性を兼ね備えた
優れた樹脂組成物であり、高い耐熱性の要求される用途に適したものである。
以下、本発明の樹脂組成物における各成分、それらの配合割合、調製方法等について、順次具体的に説明する。
<A成分について>
本発明で用いる(A成分)は、ポリ乳酸樹脂であれば、主としてL−乳酸単位からなるポリ−L乳酸、主としてD−乳酸単位からなるポリ−D乳酸、またはその混合物の何れを用いてもよい。
本発明のポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)は、式(I)で表されるL‐乳酸単位またはD‐乳酸単位から実質的になる。
Figure 2010111739
本発明で用いるポリ−L乳酸樹脂もしくはポリ−D乳酸樹脂の光学純度は、90〜100モル%であることが好ましい。光学純度がこれより低いと、ポリ乳酸の結晶性や融点が低下し、高い耐熱性が得られにくい。このため、ポリ−L乳酸樹脂もしくはポリ−D乳酸樹脂の融点は160℃以上である事が好ましく、更に170℃以上である事が好ましく、175℃以上である事が最も好ましい。かかる観点において、ポリマー原料の乳酸、ラクチドの光学純度は、好ましくは96〜100モル%、より好ましくは97.5〜100モル%、さらに好ましくは98.5〜100モル%、とりわけ好ましくは99〜100モル%の範囲が選択される。
共重合単位としては、ポリ−L乳酸樹脂であればD−乳酸単位、ポリ−D乳酸樹脂であればL−乳酸単位であり、乳酸以外の単位も挙げられる。乳酸単位以外の共重合単位は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%、最も好ましくは0〜1モル%の範囲である。
共重合単位は、2個以上のエステル結合形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等由来の単位およびこれら種々の構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等由来の単位が例示される。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール類あるいはビスフェノールにエチレンオキシドを付加させたものなどの芳香族多価アルコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ポリL‐乳酸樹脂およびポリD‐乳酸樹脂の重量平均分子量は、本発明組成物の機械物性及び成形性を両立させるため、好ましくは8万〜30万、より好ましくは10万〜25万、さらに好ましくは12万〜23万の範囲が選択される。
ポリL‐乳酸樹脂およびポリD‐乳酸樹脂は、とりわけ限定はなく、従来公知の方法で製造することができ、例えば、L‐またはD‐ラクチドの溶融開環重合法、低分子量のポリ乳酸の固相重合法、さらに、乳酸を脱水縮合させる直接重合法などを例示することができる。重合反応は、従来公知の反応装置で実施可能であり、例えばヘリカルリボン翼等高粘度用攪拌翼を備えた縦型反応器あるいは横型反応器を単独、または並列にて使用することができる。また、回分式あるいは連続式あるいは半回分式のいずれでも良いし、これらを組み合わせてもよい。固相重合法では、プレポリマーは予め結晶化させることが、ペレットの融着防止、生産効率の面から好ましく、固定された縦型或いは横型反応容器、またはタンブラーやキルンの様に容器自身が回転する反応容器(ロータリーキルン等)中、プレポリマーのガラス転移温度以上融点未満の温度範囲の一定温度あるいは重合の進行に伴い次第に昇温させ重合を行う。生成する水を効率的に除去する目的で前記反応容器類の内部を減圧することや、加熱された不活性ガス気流を流通する方法も好適に併用される。ラクチドの溶融開環重合には、製造効率、ポリマー品質の点より、金属含有触媒を適用することが好ましく、触媒活性、副反応より、好ましくはスズを含有する触媒、なかでも好ましくはII価のスズ化合物、具体的にはジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ等、なかでもオクチル酸スズがFDAにおいて安全性が確認されたとりわけ好ましい剤として例示される。触媒の使用量はラクチド類1Kgあたり好ましくは0.1×10−4〜50×10−4(モル)でありさらに反応性、得られるポリラクチド類の色調、安定性を考慮すると1×10−4〜30×10−4(モル)がより好ましく、特に好ましくはは2×10−4〜15×10−4(モル)使用される。重合開始剤としてアルコールを用いてもよい。かかるアルコールとしては、ポリ乳酸の重合を阻害せず不揮発性であることが好ましく、例えばデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールなどを好適に用いることができる。重合時使用された金属含有触媒は、使用に先立ち従来公知の失活剤で不活性化しておくのが好ましい。かかる失活剤としては、ポリエステル樹脂の重合触媒の失活剤として一般的に使われる失活剤であれば特に制限は無いが、下記一般式(II)で表されるホスホノ脂肪酸エステルが好ましい。
Figure 2010111739
式中R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基である。アリキル基として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。アリール基として、フェニル基、ナフタレン−イル基が挙げられる。R〜Rは、これらが全て同一であっても、異なるものがあっても構わない。またnは1〜3の整数である。式(II)で表される化合物として、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−オクチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−デシルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ドデシルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−オクタデシルホスホノ酢酸エチル、ジフェニルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸デシル、ジエチルホスホノ酢酸ドデシル、ジエチルホスホノ酢酸オクタデシル、ジエチルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−オクチルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−デシルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−ドデシルホスホノプロピオン酸エチル、ジ−n−オクタデシルホスホノプロピオン酸エチル、ジフェニルホスホノプロピオン酸エチル、ジエチルホスホノプロピオン酸デシル、ジエチルホスホノプロピオン酸ドデシル、ジエチルホスホノプロピオン酸オクタデシル、ジエチルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−オクチルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−デシルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−ドデシルホスホノ酪酸エチル、ジ−n−オクタデシルホスホノ酪酸エチル、ジフェニルホスホノ酪酸エチル、ジエチルホスホノ酪酸デシル、ジエチルホスホノ酪酸ドデシル、ジエチルホスホノ酪酸オクタデシルが挙げられる。効能や取扱いの容易さを考慮すると、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−プロピルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ブチルホスホノ酢酸エチル、ジ−n−ヘキシルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸デシル、ジエチルホスホノ酢酸オクタデシルが好ましい。式(II)において、R〜Rの炭素数が20以下であると、その融点がポリ乳酸や組成物の製造温度よりも低くなるため十分に融解混合し、効率的に金属重合触媒を補足することができる。またホスホノ脂肪酸エステルはホスホン酸ジエステル部位とカルボン酸エステル部位の間に脂肪族炭化水素基を有する。ポリ乳酸中の金属重合触媒を効率的に補足するためには式(II)において、nが1〜3の整数であることが好ましい。
ホスホノ脂肪酸エステルの含有量は、ポリ乳酸100重量部に対して0.001〜0.5重量部、好ましくは0.02〜0.2重量部である。ホスホノ脂肪酸エステルの含有量が、少なすぎると残留する金属重合触媒の失活効率が極めて悪く、十分な効果が得られない。また、多すぎると成形加工時に使用する金型の汚染が著しくなる。 前記重合失活剤は、重合終了時に添加するのが好ましいが、必要に応じて押出、成形の各プロセスにおいて任意に添加する事が出来る。
ポリL‐乳酸樹脂(A−1成分)とポリD−乳酸樹脂(A−2成分)の混合物を用いる場合、その重量比(A−1成分/A−2成分)は10/90〜90/10の範囲で含有されることが好ましい。更に、ポリL−乳酸樹脂(A−1成分)とポリD−乳酸樹脂(A−2成分)の混合物に対し、式(III)および/または(IV)で表されるリン酸エステル金属塩をポリL‐乳酸樹脂(A−1成分)とポリD‐乳酸樹脂(A−2成分)との合計100重量部あたり好ましくは0.01〜2.0重量部の範囲で含むことにより、高度にステレオコンプレックス化されたポリ乳酸樹脂を得る事が出来るため好ましい。リン酸エステル金属塩が0.01重量部より少ないと、ステレオコンプレックスの形成、結晶性の向上に効果が認められないことがあり、また2.0重量部より過剰に適用すると、着色などポリ乳酸成分の分解、異物生成が引き起こされることがある。
かかる観点より、リン酸エステル金属塩の適用量は、より好ましくは0.02〜1重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部に範囲が選択される。
Figure 2010111739
(式中Rは水素原子、または炭素原子数1から4のアルキル基を、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、または炭素原子数1から12のアルキル基を、M1はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子のときは1または2を表す。)
Figure 2010111739
(式中R、Rはそれぞれ独立に水素原子、または炭素原子数1から12のアルキル基を、M2はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子のときは1または2を表す。)
こうして作られたポリ乳酸は、高度にステレオコンプレックス化されたステレオコンプレックスポリ乳酸となり、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程における融解ピークのうち195℃以上の融解ピークの割合が80%以上となる。
ステレオコンプレックスポリ乳酸の融解ピークは、好ましくは200℃以上、より好ましくは205℃以上、更に好ましくは210℃以上である。ステレオコンプレックスポリ乳酸の融解ピークが195℃より低いと、その結晶性や融点の低さから耐熱性は不十分である。ステレオコンプレックスポリ乳酸の融解ピークのうち195℃以上の割合は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましいのは100%である。195℃以上の融解ピークの割合が80%より低いとポリ−L乳酸樹脂やポリ−D乳酸樹脂に由来するホモ結晶の特徴が表れてしまい、耐熱性が不十分となる。
<B成分について>
<B−1成分>
本発明で使用するアルミニウムを含有するリン酸金属塩または亜リン酸金属塩(B−1成分)は、下記一般式(V)で表される亜リン酸アルミニウム、(VI)で表される第三リン酸アルミニウムおよび(VII)で表される第一リン酸アルミニウムが好ましく用いられる。
Figure 2010111739
Figure 2010111739
Figure 2010111739
一般式(V)〜(VII)のうち、ポリ乳酸樹脂組成物の熱安定性、難燃性の面から一般式(V)および(VI)が好ましく、一般式(V)で表される亜リン酸アルミニウムが熱安定性、難燃性の面から特に好ましく、発泡性の亜リン酸アルミニウムが難燃性の面から最も好ましい。
発泡性の亜リン酸アルミニウム塩は、リン酸又は亜リン酸成分と、アルミニウム化合物と、更に必要に応じて塩基成分を用いて反応させることにより得られる。アルミニウム化合物及び塩基成分に代えて、塩基性のアルミニウム化合物(水酸化アルミニウムなど)を用いても良い。このような発泡性の亜リン酸アルミニウムは、例えば、商品名「APAシリーズ(APA−100など)」などとして太平化学産業(株)から入手できる。
発泡性の亜リン酸アルミニウムは、通常380℃〜480℃の温度で、10〜70倍、好ましくは20〜50倍、さらに好ましくは30〜40倍程度に発泡可能である。
B−1成分の金属塩は、耐湿性を向上させるため、表面を被覆処理して用いてもよい。特に金属塩の表面を、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)などにより被覆してもよい。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられ、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、一種で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
また、B−1成分の金属塩は、ベース樹脂との密着性を向上させるため、表面処理剤などにより表面処理して用いてもよい。このような表面処理剤としては、官能性化合物(例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物など)などが使用できる。
最も好ましい金属塩である亜リン酸アルミニウム中のアルミニウム含有量は好ましくは5〜25重量%、より好ましくは8〜20重量%程度である。また、リン含有量は好ましくは15〜35重量%、より好ましくは16〜35重量%、更に好ましくは17〜33重量%程度である。亜リン酸アルミニウムを5重量%の濃度で含有する水分散液のpHは好ましくは3.5〜8.5、より好ましくは4〜8、更に好ましくは4.5〜7.5程度を示す。亜リン酸アルミニウムは、通常、粒状体で使用できる。粒子状の亜リン酸アルミニウムの平均粒径は好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜50μm程度である。亜リン酸アルミニウムの吸油量は好ましくは15〜50mL/100g、より好ましくは20〜40mL/100g、さらに好ましくは25〜30mL/100g程度である。亜リン酸アルミニウムのBET比表面積は、好ましくは0.3〜2m/g、より好ましくは0.5〜1.5m/g、さらに好ましくは0.8〜1.2m/g程度である。このような金属塩は、安全性に優れるため、環境負荷が少なく、経済的にも有利であるだけでなく、ポリ乳酸樹脂組成物に添加した場合、熱安定性、耐熱性、成形性に優れた材料となる。
B−1成分の含有量はポリ乳酸樹脂100重量部に対し、5〜45重量部、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは5〜15重量部である。含有量が5重量部未満の場合、下記B−2成分と併用した場合に、十分な難燃効果が得られず、45重量部を超えた場合、耐衝撃性の低下が大きく、成形品に割れなどが発生しやすくなる。
<B−2成分>
本発明で用いるB−2成分は、B−1成分以外のリン系難燃剤である。B−2成分としてはリン酸エステル化合物やホスファフェナントレン化合物などのアルミニウムを含有しないリン酸エステル系難燃剤、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、ポリリン酸アンモニウム化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機ホスフィン酸金属塩などが挙げられる。この中でもアルミニウムを含有しないリン酸エステル系難燃剤は、良好な色相が得られること、成形加工性を高める効果も発現することから特に好ましい。リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、特に下記一般式(VIII)で表される1種または2種以上のリン酸エステル化合物を挙げることができる。
Figure 2010111739
但し上記式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから誘導される基が挙げられる。nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0〜5の平均値である。R11、R12、R13、およびR14はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−クミルフェノールから誘導される基である。
さらに好ましいものとしては、式中のXが、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、およびジヒドロキシジフェニルから誘導される基であり、nは1〜3の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルのブレンドの場合はその平均値であり、R11、R12、R13、およびR14はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくはより好適には置換していないフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導される基であるものが挙げられる。
かかる有機リン酸エステル系難燃剤の中でも、ホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェート、ホスフェートオリゴマーとしてはレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が耐加水分解性などにも優れるため好ましく使用できる。さらに好ましいのは、耐熱性などの点からレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)である。これらは耐熱性も良好であるためそれらが熱劣化したり揮発するなどの弊害がないためである。
B−2成分の含有量はポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、5〜45重量部、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは5〜15重量部である。含有量が5重量部未満では十分な難燃性が発現せず、45重量部を超えるとポリ乳酸樹脂組成物の成形性、耐熱性、強度などが大きく低下する。
<C成分について>
C成分の末端封鎖剤とは、ポリ乳酸(A成分)のカルボキシル基末端の一部または全部と反応して封鎖する働きを示すものであり、例えば、脂肪族アルコールやアミド化合物などの縮合反応型化合物や、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、アジリジン化合物などの付加反応型の化合物などが挙げられる。後者の付加反応型の化合物を用いれば、例えば、アルコールとカルボキシル基の脱水縮合反応による末端封鎖のように余分な副生成物を反応系外に排出する必要がない。従って、付加反応型の末端封鎖剤を添加・混合・反応させることにより、副生成物による樹脂の分解を抑制しつつ、十分なカルボキシル基末端封鎖効果を得ることができ、実用的に十分な耐加水分解性を備えた樹脂組成物、および該樹脂組成物からなる成形品を得ることができる。
本発明に用いることのできる末端封鎖剤のうちカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)としては、一般的に良く知られた方法で合成されたものを使用することができ、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネートを約70度以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応に付することより合成することができるものを挙げることができる。
上記カルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中では、特に工業的に入手が容易であるという面から、ジシクロヘキシルカルボジイミド或いはジイソプロピルカルボジイミドが好適である。また、上記カルボジイミド化合物に含まれるポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28, 2069−2075(1963)、Chemical Review l981,Vol.81 No.4、p619−621)により製造したものを用いることができる。
上記ポリカルボジイミド化合物の製造における合成原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。また、上記ポリカルボジイミド化合物の場合は、モノイソシアネート等の、ポリカルボジイミド化合物の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて、適当な重合度に制御することもできる。このようなポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等を例示することができる。
本発明に用いることのできる末端封鎖剤のうちエポキシ化合物の例としては、例えば、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4−メチルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3−メチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−4−エトキシフタルイミド、N−グリシジル−4−クロルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジクロルフタルイミド、N−グリシジル−3,4,5,6−テトラブロムフタルイミド、N−グリシジル−4−n−ブチル−5−ブロムフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジルヘキサヒドロフタルイミド、N−グリシジル−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジル−α,β−ジメチルサクシンイミド、N−グリシジル−α−エチルサクシンイミド、N−グリシジル−α−プロピルサクシンイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジル−p−メチルベンズアミド、N−グリシジルナフトアミド、N−グリシジルステラミド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−エチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−ナフチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−トリル−3−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、オルソフェニルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、3−(2−キセニルオキシ)−1,2−エポキシプロパン、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリシジルエーテル、α−クレシルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、オクチレンオキサイド、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジメチルジグリシジルエステル、フェニレンジグリシジルエーテル、エチレンジグリシジルエーテル、トリメチレンジグリシジルエーテル、テトラメチレンジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシドなどが挙げられる。さらに、本発明では、エポキシ基を含有する重合体を使用する事ができ、ポリ乳酸との相溶性からアクリル系重合体が好ましく使用できる。このような重合体として、例えばエポキシ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体同士の重合体、エポキシ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体の共重合体、エポキシ基を有するアクリル酸エステル単量体同士の重合体、エポキシ基を有するアクリル酸エステル単量体とアクリル酸エステル単量体の共重合体、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体とアクリル酸エステル単量体との共重合体、エポキシ基を有するアクリル酸エステル単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体の共重合体等が挙げられる。また、エポキシ基を有するアクリル−スチレン系共重合体としては、スチレン単量体とエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体の共重合体、スチレン単量体とエポキシ基を有するアクリル酸エステル単量体の共重合体が挙げられる。これらのエポキシ化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリ乳酸単位のカルボキシル末端を封鎖すればよいが、反応性の点でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、オルソフェニルフェニルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルなどが好ましい。
本発明に用いることのできる末端封鎖剤のうちオキサゾリン化合物の例としては、例えば、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−エトキシ−2−オキサゾリン、2−プロポキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘプチルオキシ−2−オキサゾリン、2−オクチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ノニルオキシ−2−オキサゾリン、2−デシルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−メタアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−クロチルオキシ−2−オキサゾリン、2−フェノキシ−2−オキサゾリン、2−クレジル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ペンチル−2−オキサゾリン、2−ヘキシル−2−オキサゾリン、2−ヘプチル−2−オキサゾリン、2−オクチル−2−オキサゾリン、2−ノニル−2−オキサゾリン、2−デシル−2−オキサゾリン、2−シクロペンチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−m−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリンなどが挙げられ、さらには、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4,4′−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−9,9′−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。さらには、上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物など、例えばスチレン・2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体などが挙げられる。これらのオキサゾリン化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリ乳酸単位のカルボキシル末端を封鎖すればよい。
本発明に用いることのできる末端封鎖剤のうちオキサジン化合物の例としては、例えば、2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−エトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−プロポキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ブトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ペンチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘプチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−オクチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ノニルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−デシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロペンチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−アリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−メタアリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−クロチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジンなどが挙げられ、さらには、2,2′−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−メチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−エチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−プロピレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−ブチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−m−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−ナフチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2′−P,P′−ジフェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)などが挙げられる。さらには、上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサジン化合物などが挙げられる。これらのオキサジン化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリ乳酸単位のカルボキシル末端を封鎖すればよい。
更には、既に例示したオキサゾリン化合物および上述のオキサジン化合物などの中から1種または2種以上の化合物を任意に選択し併用してポリ乳酸樹脂のカルボキシル末端を封鎖してもよいが、耐熱性および反応性やポリ乳酸樹脂との親和性の点で2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)や2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)が好ましい。
本発明に用いることのできる末端封鎖剤のうちアジリジン化合物の例としては、例えば、モノ,ビスあるいはポリイソシアネート化合物とエチレンイミンとの付加反応物などが挙げられる。
また、本発明に用いることのできる末端封鎖剤として上述したカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、アジリジン化合物などの化合物うち、2種以上の化合物を末端封鎖剤として併用することもできる。
具体的なカルボキシル基末端封鎖の程度としてはポリ乳酸樹脂のカルボキシル基末端の濃度が10当量/10kg以下であることが耐加水分解性向上の点から好ましく、6当量/10 kg以下であることがさらに好ましい。
ポリ乳酸(A成分)のカルボキシル基末端を封鎖する方法としては、縮合反応型あるいは付加反応型などの末端封鎖剤を反応させればよく、縮合反応によりカルボキシル基末端を封鎖する方法としては、ポリマー重合時に重合系内に脂肪族アルコールやアミド化合物などの縮合反応型の末端封鎖剤を適量添加して減圧化で脱水縮合反応させるなどしてカルボキシル基末端を封鎖することができるが、ポリマーの高重合度化の観点から、重合反応終了時に縮合反応型の末端封鎖剤を添加することが好ましい。
付加反応によりカルボキシル基末端を封鎖する方法としては、ポリ乳酸の溶融状態でカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、アジリジン化合物などの末端封鎖剤を適量反応させることで得ることができ、ポリマーの重合反応終了後に末端封鎖剤を添加・反応させることが可能である。
この末端封鎖剤(C成分)の含有量はポリ乳酸成分(A成分)100重量部あたり、0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは、0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。含有量が0.001重量部未満ではカルボキシル末端に対する末端封鎖剤の添加量が少なすぎ、十分な耐加水分解性が得られず、10重量部を超えるとゲル化などを起し、流動性が著しく低下する。
<D成分について>
無機充填材(D成分)を更に配合すると、機械特性、寸法特性などに優れた成形品を得ることができるようになる。
無機充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カオリンクレー、マイカ、タルクおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカーなど)といった一般に知られている各種無機充填材を挙げることができる。無機充填材の形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択でき、樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上のためには繊維状、フレーク状のものが好適である。
本発明で使用できるマイカの平均粒子径は走査型電子顕微鏡により観察し、1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出される数平均粒子径である。その数平均粒子径は10〜500μmが好ましく、より好ましくは30〜400μm、さらに好ましくは30〜200μm、最も好ましくは35〜80μmである。数平均粒子径が10μm未満となると衝撃強度が低下する場合がある。また500μmを超えると、衝撃強度は向上するが外観が悪化しやすい。
マイカの厚みとしては、電子顕微鏡観察により実測した厚みが0.01〜10μmのものを使用できる。好ましくは0.1〜5μmのものを使用できる。アスペクト比としては5〜200、好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴパイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、より好適な成形品が提供される。
また、マイカの粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法と、マイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。本発明のマイカはいずれの粉砕法において製造されたものも使用できるが、乾式粉砕法の方が低コストで一般的である。一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であるがコストがかかる。マイカは、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよく、さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
本発明で使用できるタルクとは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常SiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe23が0.03〜1.2重量%、Al23が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7、モース硬度は1である。
本発明のタルクの平均粒子径は0.5〜30μmが好ましい。該平均粒子径はJIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。タルクの粒子径は2〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましく、10〜20μmが最も好ましい。0.5〜30μmの範囲のタルクは難燃性ポリ乳酸樹脂組成物に剛性および低異方性に加えて、良好な表面外観および難燃性を付与する。
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、および容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。さらに粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の成形品中に混入させない点で好ましい。
また、本発明で使用できるワラストナイトは、実質的に化学式CaSiO3で表され、通常SiO2が約50重量%以上、CaOが約47重量%以上、その他Fe23、Al23等を含んでいる。ワラストナイトは、ワラストナイト原石を粉砕、分級した白色針状粉末で、モース硬度は約4.5である。使用するワラストナイトの平均繊維径は0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmが最も好ましい。該平均繊維径は走査型電子顕微鏡により観察し、0.1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出されるものである。
本発明で使用できるガラス繊維は、例えば長繊維タイプ(ロービング)や短繊維状のチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。尚、ミルドファイバーにおいてはその数平均アスペクト比は5以上であることが好ましい。
D成分の繊維状無機強化材は、集束剤(例えばポリ酢酸ビニル、ウレタン、アクリル、エポキシ、ポリエステル集束剤等)、カップリング剤(例えばアルキルアルコキシシランやポリオルガノハイドロジェンシロキサンなどを含むシラン化合物、ボロン化合物、チタン化合物等)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。かかるその他の表面処理剤としては、高級脂肪酸エステル、酸化合物(例えば、亜リン酸、リン酸、カルボン酸、およびカルボン酸無水物など)並びにワックスなどが例示される。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
これら無機充填剤の含有量はポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、0.05〜100重量部が好ましく、0.5〜80重量部がより好ましく、1〜70重量部が更に好ましい。かかる配合量が0.05重量部より小さい場合には、補強効果が十分でなく、また100重量部を超えると、成形品外観の悪化や押出時のストランド切れなどを起こすため好ましくない。これら無機充填材の中には結晶核剤として作用するものもあるが、ポリ乳酸樹脂(A成分)の結晶核剤としての効果を十分に発揮させるためには、該無機充填材をポリ乳酸樹脂中に十分均一に分散させることが必要である。かかる均一分散状態の実現のためには、ポリ乳酸樹脂と無機充填材とを予め溶融混合し、その後各種添加剤を添加することが好ましい。
<その他添加剤>
(i)熱安定剤
本発明の樹脂組成物においては、さらに良好な色相かつ安定した流動性を得るため、リン系安定剤を含有することが好ましい。殊にリン系安定剤として、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を配合することが好ましい。
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
他のリン系安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
さらに他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。リン系安定剤はポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物には、更にヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかる配合は例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などを抑制する効果が発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
ヒンダードフェノール系安定剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、更に好ましくは0.01〜0.3重量部である。
また、前記リン系安定剤とヒンダードフェノール系安定剤を組み合わせて使用することが好ましい。リン系安定剤とヒンダードフェノール系安定剤を組み合わせて使用することで、安定剤としての相乗効果が発揮され、より成形時の色相悪化を抑制できる。
(ii)弾性重合体
本発明の樹脂組成物には、衝撃改良剤として弾性重合体を使用することができ、弾性重合体の例としては、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。より好適な弾性重合体は、ゴム成分のコアに前記モノマーの1種または2種以上のシェルがグラフト共重合されたコア−シェル型のグラフト共重合体である。
またかかるゴム成分と上記モノマーのブロック共重合体も挙げられる。かかるブロック共重合体としては具体的にはスチレン・エチレンプロピレン・スチレンエラストマー(水添スチレン・イソプレン・スチレンエラストマー)、および水添スチレン・ブタジエン・スチレンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。さらに他の熱可塑性エラストマーして知られている各種の弾性重合体、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
コア−シェル型のグラフト共重合体において、そのコアの粒径は重量平均粒子径において0.05〜0.8μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましく、0.1〜0.5μmがさらに好ましい。0.05〜0.8μmの範囲であればより良好な耐衝撃性が達成される。弾性重合体は、ゴム成分を40%以上含有するものが好ましく、60%以上含有するものがさらに好ましい。
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができるが、燃焼時の有害物質の発生懸念という点から、ハロゲン原子を含まないゴム成分が環境負荷の面において好ましい。
ゴム成分のガラス転移温度は好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であり、ゴム成分としては特にブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴムが好ましい。複合ゴムとは、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
ゴム成分に共重合するビニル化合物における芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの中でも特にメタクリル酸メチルなどのメタアクリル酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。これはポリ乳酸樹脂との親和性に優れることから、該樹脂中により多くの弾性重合体が存在するようになり、結果として樹脂組成物の耐衝撃性が良好となるためである。より具体的には、メタアクリル酸エステルはグラフト成分100重量%中(コア−シェル型重合体の場合にはシェル100重量%中)、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有される。
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コア−シェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
かかる弾性重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ(例えばB−56など)、三菱レイヨン(株)のメタブレンCシリーズ(例えばC−223Aなど)、Wシリーズ(例えばW−450Aなど)、呉羽化学工業(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばEXL−2602など)、HIAシリーズ(例えばHIA−15など)、BTAシリーズ(例えばBTA−IIIなど)、KCAシリーズ、ローム・アンド・ハース社のパラロイドEXLシリーズ、KMシリーズ(例えばKM−336P、KM−357Pなど)、並びに宇部サイコン(株)のUCLモディファイヤーレジンシリーズ(ユーエムジー・エービーエス(株)のUMG AXSレジンシリーズ)などが挙げられ、ゴム成分としてアクリル−シリコーン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レイヨン(株)よりメタブレンS−2001あるいはSRK−200という商品名で市販されているものが挙げられる。
衝撃改良剤の組成割合は、ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部当たり、0.2〜50重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、3〜25重量部がさらに好ましい。かかる組成範囲であれば、剛性の低下を抑制しつつ組成物に良好な耐衝撃性を与えることができる。
また、これら弾性重合体と共に、グリシジル化合物または酸無水物をグラフトまたは共重合した高分子化合物を用いるのが好ましい。
前記、グリシジル化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタンコン酸グリシジルなどの不飽和有機酸のグリシジルエステル類、アリルグリシジルエーテル類などのグリシジルエーテル類およびそれらの誘導体が挙げられ、中でもアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが好ましく使用でき、これら単独または2種類以上を組み合わせて使用する事ができる。前記、酸無水物としては、無水マレイン酸などが好ましく挙げられる。
グリシジル化合物または酸無水物を高分子化合物にグラフトまたは共重合する際の使用量は特に限定されるものではないが、高分子化合物に対して0.05重量%以上20重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上5重量%以下が更に好ましい。
グリシジル化合物または酸無水物をグラフトまたは共重合した高分子化合物としては限定されるものではないが、アクリロニトリル/スチレン、エチレン共重合体およびポリアミド樹脂などに前記のグリシジル化合物または酸無水物をグラフトまたは共重合により含む高分子化合物であり、その中から選ばれる一種または2種以上で使用される。また、上記のエチレン共重合体の例としては、エチレンをモノマーとし、共重合可能なモノマーとしてはプロピレン、ブテン−1、酢酸ビニル、イソプレン、ブタジエンあるいはアクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸類あるいはこれらのエステル酸類、マレイン酸、フマル酸あるいはイタコン酸などのジカルボン酸から製造される共重合体が挙げられ、さらにメタクリル酸メチルをグラフトした高分子化合物も好ましく用いられ、アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレート、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸、エチレン/グリシジルメタクリレート、エチレンエチルアクリレート−g−無水マレイン酸、エチレン/ブテン1−g−無水マレイン酸、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸−g−ポリメタクリル酸メチル、エチレン/グリシジルメタクリレート−g−メタクリル酸メチルなどが具体例の一部として挙げられる(“−/−”は共重合を表し、“−g−”はグラフトを表す。以下同じ。)。
これらグリシジル化合物または酸無水物をグラフトまたは共重合した高分子化合物を前記、弾性重合体と共に用いる事で、ポリ乳酸樹脂中における弾性重合体の分散が高まり、より高い衝撃改質効果が得られる。
グリシジル化合物または酸無水物をグラフトまたは共重合した高分子化合物の組成割合は、ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部当たり、0.2〜30重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましく、3〜15重量部がさらに好ましい。かかる組成範囲であれば、組成物に良好な耐衝撃性を与えることができる。
(iii)その他の添加剤
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を発揮する範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、並びにフェノキシまたはエポキシ樹脂など)、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系など)、光安定剤(HALSなど)、離型剤(飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、フッ素化合物、パラフィンワックス、蜜蝋など)、流動改質剤(ポリカプロラクトンなど)、着色剤(カーボンブラック、二酸チタン、各種の有機染料、メタリック顔料など)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、並びにフォトクロミック剤紫外線吸収剤などを配合してもよい。これら各種の添加剤は、周知の配合量で利用することができる。
<樹脂組成物の製造方法について>
i)共存組成物の調製
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A成分)としてポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)との混合物を用いる場合、他の添加剤成分と溶融混合する前に、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩、ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)並びにポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)を予め共存させておくのが好ましい。共存させる方法としては、主としてL−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−1成分)と、主としてD−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−2成分)とをできるだけ均一に混合させる方法が、それらを熱処理したときにステレオコンプレックスを効率的に生成させることが可能となるため好ましい。かかる共存組成物の調製は、それらが熱処理されたときに均一に混合される方法であれば、いかなる方法をもとることができ、溶媒の存在下で行う方法、溶媒の非存在下で行う方法などが例示される。
上記共存組成物の調製を溶媒の存在下で行う方法としては、溶液に溶解した状態からの再沈殿により共存組成物を得る方法、加熱によって溶媒を除去することにより共存組成物を得る方法などが好適に挙げられる。
溶媒の存在下で再沈殿してかかる共存組成物を得る場合には、まず最初に、主としてL−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−1成分)と、主としてD−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−2成分)との共存組成物を再沈殿にて調製する。ここでA−1成分とA−2成分とは、別々に溶媒に溶解した溶液を調製して混合するか、または両者を一緒に溶媒に溶解させ混合することにより行うことが好ましい。ここで、主としてL−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−1成分)と、主としてD−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−2成分)との重量比(A−1成分/A−2成分)は、10/90〜90/10の範囲になるように調製することが、本発明の樹脂組成物中でポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)のステレオコンプレックスを効率的に生成させる上で好ましい。A−1成分とA−2成分との重量比は、25/75〜75/25がさらに好ましく、40/60〜60/40が特に好ましい。溶媒は、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)が溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、フェノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、トリオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等の単独あるいは2種以上混合したものが好ましい。式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩は、上記溶媒に不溶であるか、または溶媒に溶解しても再沈殿後に溶媒中に残存する場合があるために、再沈殿によって得られたポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)混合物と、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩は、別途混合して共存組成物を調製する必要がある。ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)混合物と、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩の共存組成物を得る方法は、それらが均一に混合されれば特に限定されるものではなく、粉体での混合、溶融混合などのいかなる方法をもとることができる。
次に、溶媒の存在下から溶媒を除去する方法によって、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)並びに、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩の共存組成物を一度に調製する場合には、A−1成分およびA−2成分、並びに式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩を、各々別個に溶媒に溶解または分散させた分散液を調製して混合するか、または全成分を一緒に溶媒に溶解または分散させた分散液を調製して混合し、然る後に加熱により溶媒を蒸発させることによって行うことができる。ここで、主としてL−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−1成分)と、主としてD−乳酸単位からなるポリ乳酸樹脂(A−2成分)との重量比は、10/90〜90/10の範囲になるように調製することが、本発明の樹脂組成物中でポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)のステレオコンプレックスを効率的に生成させる上で好ましい。A−1成分とA−2成分との重量比は、25/75〜75/25がさらに好ましく、40/60〜60/40が特に好ましい。溶媒は、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)並びに、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩が溶解するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、フェノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、トリオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等の単独あるいは2種以上混合したものが好ましい。溶媒の蒸発後(熱処理)の昇温速度は、長時間、熱処理をすると分解する可能性があるので短時間で行うのが好ましいが特に限定されるものではない。
ポリ乳酸樹脂(A−1成分、A−2成分)並びに、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩の共存組成物の調製は、溶媒の非存在下でも行うことができる。即ち、あらかじめ粉体化またはチップ化されたA−1成分とA−2成分、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩を、所定量混合した後に溶融して混合する方法、または、A−1成分とA−2成分のいずれか一方を溶融させた後に、残る成分を加えて混合する方法などを採用することができる。ここで上記の粉体あるいはチップの大きさは、各ポリ乳酸単位(A−1成分、A−2成分)の粉体あるいはチップが均一に混合されれば特に限定されるものではないが、3mm以下が好ましく、さらには1〜0.25mmのサイズであることが好ましい。溶融混合する場合、大きさに関係なく、ステレオコンプレックス結晶を形成するが、粉体あるいはチップを均一に混合した後に単に溶融する場合、粉体あるいはチップの直径が3mm以上の大きさになると、混合が不均一となり、ホモ結晶が析出しやすくなるので好ましくない。また上記粉体あるいはチップを均一に混合するために用いる混合装置としては、溶融によって混合する場合にはバッチ式の攪拌翼がついた反応器、連続式の反応器のほか、二軸あるいは一軸のエクストルーダー、粉体で混合する場合にはタンブラー式の粉体混合器、連続式の粉体混合器、各種のミリング装置などを好適に用いることができる。
さらにかかる共存組成物を調製する際には、末端封鎖剤(C成分)、無機充填剤(D成分)、およびそれ以外の添加剤として、無機充填材折れ抑制剤、滑剤、熱安定剤、弾性重合体(衝撃改良剤)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、光拡散剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、抗菌剤、結晶核剤等、各種添加剤を共存させておくこともできる。
特に末端封鎖剤(C成分)を共存組成物の調製の段階で添加しておくことは、末端封鎖剤とポリ乳酸(A成分)との混合がより均一となることで、ポリ乳酸の酸性末端がより効率的に封鎖されるために、得られた最終樹脂組成物の耐加水分解性を向上させる上で好ましい。また、リン系の熱安定剤や、ヒンダードフェノール系、イオウ系などの酸化防止剤を共存組成物の調製の段階で添加しておくことも、後に続く共存組成物の熱処理段階における熱安定性を向上させる上で特に好ましい。
ii)共存組成物の熱処理
本発明において、ポリ乳酸樹脂(A成分)としてポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)との混合物を用いる場合、他の添加剤成分と溶融混合する前に、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)と式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩の共存組成物を熱処理するのが好ましい。かかる熱処理とは、その組成物を240〜300℃の温度領域で一定時間保持することをいう。熱処理の温度は好ましくは250〜300℃、より好ましくは260〜290℃である。300℃を超えると、分解反応を抑制するのが難しくなるので好ましくなく、240℃未満の温度では熱処理による均一混合が進まず、ステレオコンプレックスが効率的に生成しにくくなるので好ましくない。熱処理の時間は特に限定されるものではないが、0.2〜60分、好ましくは1〜20分である。熱処理時の雰囲気は、常圧の不活性雰囲気下、または減圧のいずれも適用可能である。熱処理に用いる装置、方法としては、雰囲気調整を行いながら加熱できる装置、方法であればいかなる方法をも用いることができるが、たとえば、バッチ式の反応器、連続式の反応器、二軸あるいは一軸のエクストルーダーなど、またはプレス機、流管式の押出機を用いて、成形しながら処理する方法をとることも出来る。ここで、ポリ乳酸(A−1成分、A−2成分)並びに、式(III)および/または式(IV)で表される燐酸エステル金属塩の共存組成物の調製を、溶媒の非存在下にて溶融混合する方法により行う場合には、かかる共存組成物の調製と同時に、該共存組成物の熱処理をも達成できる。
さらにかかる共存組成物を調製する際には、末端封鎖剤(C成分)、無機充填材(D成分)、およびそれ以外の添加剤として、無機充填材折れ抑制剤、滑剤、熱安定剤、弾性重合体(衝撃改良剤)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、光拡散剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、抗菌剤、結晶核剤等、各種添加剤を共存させておくこともできる。
特に末端封鎖剤(C成分)を共存組成物の調製の段階で添加しておくことは、末端封鎖剤とポリ乳酸(A成分)との混合がより均一となることで、ポリ乳酸の酸性末端がより効率的に封鎖されるために、得られた最終樹脂組成物の耐加水分解性を向上させる上で好ましい。また、リン系の熱安定剤や、ヒンダードフェノール系、イオウ系などの酸化防止剤を共存組成物の調製の段階で添加しておくことも、後に続く共存組成物の熱処理段階における熱安定性を向上させる上で特に好ましい。
iii)樹脂組成物の調製
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A成分)(前記熱処理された共存組成物を含む)、アルミニウムを含有するリン酸金属塩または亜リン酸金属塩(B−1成分)、B−1成分以外のリン系難燃剤(B−2成分)、末端封鎖剤(C成分)、無機充填剤(D成分)並びにその他添加剤成分を混合することによって製造される。(ただし、共存組成物中に含有されている成分は除く。)
その他添加剤成分としては、無機充填材折れ抑制剤、滑剤、難燃剤、熱安定剤、弾性重合体(衝撃改良剤)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、光拡散剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、抗菌剤、結晶核剤等、任意の添加剤成分が挙げられる。
かかる本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばポリ乳酸樹脂(A成分)並びに他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法を取ることもできる。
本発明の樹脂組成物において、ポリ乳酸樹脂(A成分)にポリ−L乳酸(A−1成分)とポリ−D乳酸(A−2成分)の混合物を用いる場合、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程におけるポリ乳酸樹脂(A成分)結晶由来の融解エンタルピーを用いて下記式(1)で表されるステレオ化度が80%以上が好ましい。
ステレオ化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (1)
[但し、式(1)中、△Hmhと△Hmhは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
なお、上記△Hmhと△Hmsは樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定することにより求めた。
ステレオ化度が高いほど成形性、耐熱性が高くなり、ステレオ化度は、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
ステレオコンプレックス結晶の融点は190℃以上250℃未満の範囲が好ましく、より好ましくは200〜230℃の範囲である。融解エンタルピーは、20J/g以上が好ましく、より好ましくは30J/g以上である。
具体的には、ステレオ化度が80%以上であり、融点が190℃以上250℃未満の範囲にあり、融解エンタルピーが20J/g以上であることが好ましい。
<成形品の製造について>
本発明の樹脂組成物は、通常前記方法で製造されたペレットとして得られ、これを原料として射出成形、押出成形など、各種成形方法による製品を製造することができる。
射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
押出成形においては、各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの製品を得ることができる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。
本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などに供することにより、中空成形品を得ることも可能である。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、例えば電気・電子部品、OA機器や家電製品の外装材に好適であり、例えばパソコン、ノートパソコン、ゲーム機(家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、パチンコ、およびスロットマシーンなど)、ディスプレー装置(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクタ、および有機ELなど)、マウス、並びにプリンター、コピー機、スキャナーおよびファックス(これらの複合機を含む)などの外装材や電気・電子部品、キーボードのキーや各種スイッチなどのスイッチ成形品が例示される。さらに本発明の成形品は、その他幅広い用途に有用であり、例えば、携帯情報端末(いわゆるPDA)、携帯電話、携帯書籍(辞書類等)、携帯テレビ、記録媒体(CD、MD、DVD、次世代高密度ディスク、ハードディスクなど)のドライブ、記録媒体(ICカード、スマートメディア、メモリースティックなど)の読取装置、光学カメラ、デジタルカメラ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、およびタイプライターなど電気・電子機器を挙げることができ、これらの外装材などの各種部品に本発明の成形品を適用することができる。また各種容器、カバー、筆記具本体、装飾品などの各種雑貨においても好適である。さらにはランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品などの車両用部品を挙げることができる。
さらに本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ポリ乳酸樹脂の製造
下記の製造例に示す方法により、ポリ乳酸樹脂の製造を行った。また製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1) ポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn):
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算した。GPC測定機器は、検出器として、示差屈折計島津RID−6Aを用い、カラムとして東ソ−TSKgelG3000HXLを使用した。測定は、クロロホルムを溶離液とし温度40℃、流速1.0ml/minにて、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルム)の試料を10μl注入することにより行った。
(2)カルボキシル基濃度
試料を精製o−クレゾールに窒素気流下で溶解した後、ブロモクレゾールブルーを指示薬とし、0.05規定水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定した。
(3)示差走査熱量計(DSC)の測定
DSC(TAインスルメント社製 TA−2920)測定の昇温過程におけるポリ乳酸樹脂(A成分)結晶由来の融解エンタルピーを用いて、下記式(1)より、ステレオコンプレックス形成度のパラメーターを評価した。
ステレオ化度=△Hms/(△Hms+△Hmh)×100 (1)
[但し、式(1)中、△Hmhと△Hmsは、それぞれ示差走査熱量計(DSC)の昇温過程において、190℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hmh)、および190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピー(△Hms)である。]
なお、上記△Hmhと△Hmsは樹脂組成物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定することにより求めた。
本発明の実施例、比較例においては、以下の材料を使用した。
[A−1成分:ポリL−乳酸樹脂(PLLA)]
[製造例1−1]
L−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL‐乳酸樹脂を得た。
得られたポリL−乳酸樹脂の重量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)55℃、融解ピーク温度(Tmh)は175℃、カルボキシル基含有量は14eq/tonであった。
[A−2成分:ポリD−乳酸樹脂の製造(PDLA)]
[製造例1−2]
製造例1−1のL−ラクチドのかわりにD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)を使用する以外は製造例1−1と同様の操作を行い、ポリD−乳酸樹脂を得た。得られたポリD−乳酸樹脂の重量平均分子量は15.1万、ガラス転移点(Tg)55℃、融解ピーク温度(Tmh)は175℃、カルボキシル基含有量は15eq/ton、であった。
[A−3成分:ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の製造(scPLA)]
[製造例2]
製造例1‐1および1−2で得られたPLLA,PDLAの各50重量部よりなるポリ乳酸樹脂計100重量部並びに燐酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム(アデカスタブNA−11:(株)ADEKA製)0.1重量部をブレンダーで混合後、110℃で5時間乾燥し、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]に供給し、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量9kg/h、およびベント減圧度3kPaで溶融押出してペレット化し、ポリ乳酸樹脂1を得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は13万、ガラス転移点(Tg)58℃、コンプレックス相ポリ乳酸結晶融解ピーク温度(Tms)は220℃、カルボキシル基含有量は17eq/ton、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程における融解ピークのうち195℃以上250℃未満の融解ピークの割合が100%であった。なおNA−11の添加量はPLLA1,PDLA1の合計100重量部あたりの重量部である。
結果をまとめて表1中に記載する。なお、表1中のTmsは、190℃以上250℃未満に現れる結晶融点であり、Tmhは、190℃未満に現れる結晶融点である。
Figure 2010111739
2.ポリ乳酸樹脂ペレットの製造および評価
下記の実施例、比較例に示す方法により、ポリ乳酸樹脂A成分と添加剤との樹脂組成物ペレットの製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)成形サイクル:ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて、厚さ4mmのISO測定用の成形片を成形する際の射出時間、保圧時間、冷却時間の合計を成形サイクルとした。
(2)色むら:ポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度120℃にて成形した、長さ130mm、幅13mm、厚さ1.5mmの成形片の色むらの有無を目視により判定した。
(3)難燃性:米国アンダーライターラボラトリー社の定める方法(UL94)により、試験片厚さ1.5mmにおける難燃性を評価した。
(4)耐熱性:ISO75−1および2に準拠して、荷重0.45MPa、および1.80MPaの条件で、荷重たわみ温度を測定した。
なお、A成分としては上記記載のA−1〜A−3を用い、他の原料としては、以下のものを用いた。
(B−1成分:リン酸金属塩)
1)亜リン酸アルミニウム
B−1−1:太平化学産業(株)製 APA−100
2)第三リン酸アルミニウム
B−1−2:太平化学産業(株)製 タイポリ−L2
3)第一リン酸アルミニウム
B−1−3:太平化学産業(株)製 酸性リン酸アルミニウム
(B−2成分:リン系難燃剤)
1)燐酸エステル系難燃剤
B−2−1:大八化学工業(株)製 PX−200[レゾルシノールビス(ジー2,6−キシリルホスフェート)]
B−2−2:三光(株)製 ME−P8 [2−(9,10−ジヒロロキシ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)−エステル重合体]
2)ホスホニトリル系難燃剤
B−2−3:(株)伏見製薬所製 FP−100 [フェノキシホスファゼンオリゴマー]
3)ポリリン酸アンモニウム
B−2−4:クラリアントジャパン(株)製 AP462
(C成分:末端封鎖剤)
1)カルボジイミド化合物
C−1:ラインケミージャパン(株)製 Stabaxol P [芳香族ポリカルボジイミド]
2)エポキシ化合物
C−2:BASFジャパン(株)製 ADR−4368CS[エポキシ基含有アクリル−
スチレン共重合体]
3)オキサゾリン化合物
C−3:竹本油脂(株)製 BOX−210[2,2−(1,3フェニレン)ビス−2−オキサゾリン]
(D成分:無機系充填剤)
1)タルク
D−1:日本タルク(株)製 P−3(平均粒径5μm)
2)ガラス繊維
D−2:日東紡(株)製 3PE−937S(平均径13μm、カット長3mmのチョップドストランド)
<実施例1、比較例1、2>
ポリ乳酸樹脂として製造例1−1で製造したポリ乳酸樹脂A−1成分を用いて、表2の組成のうちD−2を除く組成をドライブレンドにて均一に予備混合した後、かかる予備混合物を第1供給口より供給し、D−2成分を第二供給口から供給し、溶融押出してペレット化した。ここで、第一供給口とは根元の供給口、第二供給口とはサイドスクリューに備え付けた供給口のことである。溶融押出は、サイドスクリューを備えた径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]を用い実施した。また、押出温度は、C1/C2〜C5/C6/C7〜C11/D=10℃/240℃/230℃/220℃/220℃とし、メインスクリュー回転数は150rpm、サイドスクリュー回転数は50rpm、吐出量は20kg/h、ベント減圧度は3kPaとした。
得られたペレットを100℃で5時間、熱風循環式乾燥機により乾燥し、射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)にて成形し、成形サイクル、成形品の割れ、色むら、曲げ弾性率、荷重たわみ温度、難燃性の評価を実施した。
<実施例2、比較例3、4>
ポリ乳酸樹脂として製造例1−2で製造したポリ乳酸樹脂A−2成分を用いた以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、その評価を実施した。
<実施例5−16、比較例5〜11>
ポリ乳酸樹脂として製造例2で製造したポリ乳酸樹脂A−3成分を用いた以外は実施例1と同様の方法で、ペレット化し、その評価を実施した。
<実施例3、4>
表2に示す全組成をドライブレンドにて均一に予備混合した後、かかる予備混合物を第1供給口より供給する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、その評価を実施した。
各評価結果を表2〜表5に示した。
Figure 2010111739
<実施例1〜2>と<比較例1、3>
実施例1〜2の成形サイクル、耐熱性は比較例1、3と同等である一方で、難燃性(厚み1.5mm)V−2を備えており、優れた樹脂組成物であった。
<実施例1〜2>と<比較例2、4>
実施例1〜2と比較例2、4を比較すると、実施例、比較例共に難燃性(厚み1.5mm)V−2である一方で、実施例1〜2は、成形サイクルが短く、成形品に色むらも見られず、また耐熱性も高い、優れた樹脂組成物であった。
Figure 2010111739
<実施例3、4>
実施例3では、D成分を含んでおらず、また実施例4ではD−2成分を含んでいないが、実施例1、2と比べ成形サイクルは更に短く、難燃性(厚み1.5mm)V−2を備えていた。
<実施例5〜8>
D−2成分を増やしていくことで、成形サイクルは更に短くなり、耐熱性は高くなる。これら実施例4〜8は、難燃性も(厚み1.5mm)V−2であり、特性上すぐれた樹脂組成物であった。
<実施例3と比較例5>
比較例5の成形サイクル、耐熱性は、実施例3と同等である一方で、難燃性は(厚み1.5mm)Not−Vと乏しかった。
<実施例4と比較例6>
比較例6は、実施例4と比較し、成形品に色むらが見られ、また耐熱性も低く、難燃性も(厚み1.5mm)Not−Vと乏しかった。
<実施例8>と<比較例7>
比較例7の成形サイクル、耐熱性は、実施例8と同等である一方で、難燃性は(厚み1.5mm)Not−Vと乏しかった。
<実施例8>と<比較例8>
比較例8の難燃性は(厚み1.5mm)V−2であったが、実施例8と比較し、成形品に色むらが見られ、また耐熱性も低かった。
<実施例8>と<比較例9>
比較例9は、実施例8のB−1成分を減らしており、成形サイクル、耐熱性は、実施例8と同等であったが、難燃性は(厚み1.5mm)Not−Vと乏しかった。
Figure 2010111739
<実施例9〜15>
実施例9〜15はいずれも成形サイクルは短く、高い耐熱性と難燃性(厚み1.5mm)V−2を備えた、優れた樹脂組成物であった。
Figure 2010111739
<実施例16>
実施例8のB−1成分およびB−2成分を増やすことで、難燃性は(厚み1.5mm)V−0となり、高い難燃性を備えた、優れた樹脂組成物であった。
<比較例10、11>
比較例10では実施例16のB−1成分とB−2成分を更に増やし、比較例11では実施例16のB−1成分のみを更に増やしているが、共に耐衝撃性の低下が著しく、成形品に割れが発生したため、評価不能となった。

Claims (11)

  1. ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対し、アルミニウムを含有するリン酸金属塩または亜リン酸金属塩(B−1成分)5〜45重量部およびB−1成分以外のリン系難燃剤(B−2成分)5〜45重量部を含有する難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. リン系難燃剤(B−2成分)がアルミニウムを含有しないリン酸エステル系難燃剤、ホスホニトリル系難燃剤、ホスホネート系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、ホスホン酸アミドから選ばれる少なくとも1種の難燃剤である請求項1に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 末端封鎖剤(C成分)をポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対して、0.001〜10重量部含んでなる、請求項1または2に記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 無機系充填剤(D成分)を、ポリ乳酸樹脂(A成分)100重量部に対して、0.05〜100重量部含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  5. アルミニウムを含有するリン酸金属塩または亜リン酸金属塩(B−1成分)が、亜リン酸アルミニウム、第一リン酸アルミニウムおよび第三リン酸アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン酸金属塩または亜リン酸金属塩である請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  6. 末端封鎖剤(C成分)が、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の末端封鎖剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  7. ポリ乳酸樹脂(A成分)が主としてL−乳酸単位からなるポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)および主としてD−乳酸単位からなるポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)を含有し、ポリ−L乳酸(A−1成分)とポリ−D乳酸(A−2成分)との重量比(A−1成分/A−2成分)が10/90〜90/10の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  8. ポリ−L乳酸樹脂(A−1成分)はL−乳酸単位を90モル%以上含有し、ポリ−D乳酸樹脂(A−2成分)はD−乳酸単位を90モル%以上含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  9. ポリ乳酸樹脂(A成分)が、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程における結晶融点の融解エンタルピーのうち190℃以上250℃未満に現れる結晶融点の融解エンタルピーの割合が80%以上であるポリ乳酸樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性ポリ乳酸樹脂組成物よりなる成形品。
  11. 成形品がOA機器や家電部品の外装材または電気・電子部品である請求項10記載の成形品。
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