JP2010111165A - トロリ線用表面処理装置。 - Google Patents
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Abstract
【課題】既設のトロリ線に対する酸化皮膜除去等のために、化学的な処理を自動的手段で極めて能率よく安全に施すことが可能なトロリ線用表面処理装置を提供する。
【解決手段】電車軌道R上での走行駆動手段1と、走行駆動手段1によってトロリ線Tに沿って移動する処理液塗布機2と、処理液塗布機2の昇降手段3とを具備する。処理液塗布機2は、処理液槽21と、処理液槽21内の処理液Lに下部側を浸漬した塗布ロール22と、塗布ロール22の回転駆動手段23とを有する。昇降手段3は、塗布ロール22の上部側がトロリ線Tに接触する上昇位置と、同上部側がトロリ線Tから下方へ離間する下降位置とに、処理液塗布機2を昇降変位させる。
【選択図】図1
【解決手段】電車軌道R上での走行駆動手段1と、走行駆動手段1によってトロリ線Tに沿って移動する処理液塗布機2と、処理液塗布機2の昇降手段3とを具備する。処理液塗布機2は、処理液槽21と、処理液槽21内の処理液Lに下部側を浸漬した塗布ロール22と、塗布ロール22の回転駆動手段23とを有する。昇降手段3は、塗布ロール22の上部側がトロリ線Tに接触する上昇位置と、同上部側がトロリ線Tから下方へ離間する下降位置とに、処理液塗布機2を昇降変位させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電車線路に沿って既設のトロリ線(通電架線)に対し、酸化皮膜除去等のために表面処理を施すのに利用されるトロリ線用表面処理装置に関する。
一般的に、銅やその合金からなるトロリ線は、長期にわたって金属表面を大気中に曝した状態で頻繁に雨水にも濡れることから、表面に酸化銅を主とした酸化皮膜が生成し、その成長に伴って電車のパンタグラフとの間の通電性が低下してゆくため、導通不良で電車走行に支障をきたす前に酸化皮膜を除去する必要がある。なお、このようなトロリ線の酸化皮膜は、軌道レールの錆と同様に、操車場の引き込み線のように電車走行の頻度が低い線路ほど成長し易い。
従来、このようなトロリ線の酸化皮膜を除去する手段として、専ら人手によってヤスリ等を用いて物理的に削り取る方法が採用されているが、その作業に多大な労力と時間を要して非常に能率が悪く、保全コストが嵩む上に、主に夜間の高所作業になるために転落や感電等の危険性も高いという問題があった。
本発明は、上述の事情に鑑みて、既設のトロリ線に対する酸化皮膜除去等のために、化学的な処理を自動的手段で極めて能率よく且つ安全に施すことが可能なトロリ線用表面処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係るトロリ線用表面処理装置は、電車軌道R上での走行駆動手段(架線補修車1)と、該走行駆動手段によってトロリ線Tに沿って移動する処理液塗布機2と、該処理液塗布機の昇降手段3とを具備し、処理液塗布機2は、処理液槽21と、この処理液槽21内の処理液Lに下部側を浸漬した状態で垂直面内回転可能に軸支された塗布ロール22と、該塗布ロール22の回転駆動手段(モータ23)とを有し、昇降手段3は、塗布ロール22の上部側がトロリ線Tに接触する上昇位置と、同上部側がトロリ線Tから下方へ離間する下降位置とに、処理液塗布機2を昇降変位させるように構成されてなる。
請求項2の発明は、上記請求項1のトロリ線用表面処理装置において、塗布ロール22が軸部の周囲に合成樹脂スポンジ層22aを設けたものからなる構成としている。
請求項3の発明は、上記請求項1又は2のトロリ線用表面処理装置において、処理液Lがトロリ線T表面の酸化皮膜を化学的に除去するための液剤である構成としている。
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかのトロリ線用表面処理装置において、処理液槽21とは別に処理液タンク4を備え、この処理液タンク4と処理液槽21との間でポンプ5を介して処理液Lを循環させる処理液循環供給機構を具備してなる構成としている。
請求項5の発明は、上記請求項1〜4のいずれかのトロリ線用表面処理装置において、昇降手段3は、処理液槽2又はその架台を支承するパンタグラフ式リンク機構3aと、このリンク機構3aを上下方向に伸縮動作させる流体圧シリンダ(エアシリンダ3b)とからなるものとしている。
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係るトロリ線用表面処理装置によれば、走行駆動手段によって電車軌道R上を走行しつつ、昇降手段3によって上昇させた処理液塗布機2の塗布ロール22をトロリ線Tに接触状態で回転させることにより、処理液槽21内の処理液Lを汲み上げながら自動的に且つ連続的にトロリ線Tに被着させることができる。従って、例えばトロリ線Tの表面に生じている酸化皮膜を除去する場合、処理液Lとして該酸化皮膜を化学的に除去し得る液剤を用いればよく、人手によってヤスリ等で物理的に削り取る方法に比較して作業能率が飛躍的に向上し、少人数の作業者によって長距離にわたるトロリ線Tの酸化皮膜除去が極めて短時間で完了するから、トロリ線Tの保全コストを著しく低減できると共に、自動的手段での除去であるために夜間作業でも充分に安全性を確保できる。
請求項2の発明によれば、上記の処理液塗布機2の塗布ロール22が軸部の周囲に合成樹脂スポンジ層22aを設けたものであるから、その良好な液含浸性によって処理液槽21内の処理液Lの安定した汲み上げがなされると共に、スポンジ層22aの柔軟性によってトロリ線Tを押し包むようにして充分な量の処理液Lを被着させることができる。
請求項3の発明によれば、上記処理液Lがトロリ線T表面の酸化皮膜を化学的に除去するための液剤であるから、該酸化皮膜の除去を自動的に極めて能率よく行える。
請求項4の発明によれば、上記のトロリ線用表面処理装置において、処理液タンク4と処理液槽21との間でポンプ5を介して処理液Lを循環させる処理液循環供給機構を具備するから、処理液槽21側で処理液Lが枯渇してトロリ線Tに未処理部分を生じることがない上、処理液槽21内の処理液Lが常に更新されるから、処理液槽21で長時間大気中に晒されることによる処理液Lの劣化変質や性状変化が防止され、もって継続的に安定した処理を行える。
請求項5の発明によれば、上記のトロリ線用表面処理装置において、処理液塗布機2の昇降手段3は、流体圧シリンダ3bによってパンタグラフ式リンク機構3aを上下方向に伸縮動作させるものであるから、構造的に簡素で設置コスト負担が少なくて済む上、高い作動信頼性が得られる。
以下に、本発明のトロリ線用表面処理装置の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1はトロリ線用表面処理装置全体の側面図、図2は同処理装置の処理液塗布機及び昇降手段を示す一部破断側面図である。
図1において、1は走行駆動手段としてのトラック型の架線補修車であり、道路走行用タイヤ10と共に電車軌道R上を走行するための軌道走行車輪11を備え、その荷台1aには高所作業台12を昇降及び進退させるクレーン13と処理液タンク4とが搭載されている。そして、高所作業台12には、処理液塗布機2がパンタグラフ式の昇降手段3によって支承された状態で設置されている。
図2に示すように、処理液塗布機2は、台板20上に設置固定された処理液槽21と、該処理液槽21の左右上縁部に支軸22bを回転自在に枢支された塗布ロール22と、昇降台板20の側部上に設置された回転駆動手段としてのモータ23とで構成されている。そして、モータ23のプーリー23aと、塗布ロール22の支軸22bの一端側に固着されたプーリー22bとの間に、Vべルト23bが巻装されており、モータ23の駆動によって塗布ロール22が回転するようになっている。また、該塗布ロール22は、軸部の周囲に合成樹脂スポンジ層22aを設けたものからなり、その下部側が処理液槽21内の処理液Lに常時浸漬した状態にある。
昇降手段3は、昇降台板20と下方の固定台板30との間に介在するパンタグラフ式リンク機構3aと、該リンク機構3aを上下方向に伸縮動作させるエアシリンダ3bとからなる。そのパンタグラフ式リンク機構3aは、互いに長手方向中央で枢着してX字状に交叉配置した左右各一対のリンク片31,32からなり、両リンク片31,32の一端側が昇降台板20及び固定台板30の一端側に設けたブラケット33,33にそれぞれ枢着すると共に、ローラ付きの他端側が両台板20,30の他端側に設けたガイドプレート34,34の横方向の長孔34a,34aにそれぞれ移動自在に嵌装されている。また、エアシリンダ3bは、基端側が固定台板30の中間部に設けたブラケット35に枢支され、先端側(伸縮ロッド側)が左右のリンク片31,31の上部側間を繋ぐ連結軸36に枢着されている。
しかして、処理液塗布機2は、エアシリンダ3bの退縮状態では図示実線の如く下降位置で待機し、該エアシリンダ3bの伸張作動によって上方へ持ち上げられることになるが、クレーン13による高所作業台12の高さ調整により、その上昇位置では図示仮想線の如く塗布ロール22の上部側がトロリ線Tに接触するように設定される。
また、図1で示すように、処理液塗布機2の処理液槽21と荷台1a上の処理液タンク4との間には、フレキシブルチューブからなる往復流路6a,6bが接続されており、処理液タンク4内の処理液Lが往流路6aよりポンプ5を介して処理液槽21へ供給される一方、処理液槽21内で設定液レベルを超えた分の処理液Lが復流路6bより処理液タンク4へ戻される。これにより、処理液槽21と処理液タンク4との間で処理液Lが循環し、処理液槽21内の処理液Lは常時更新されることになる。
上記構成のトロリ線用表面処理装置により、トロリ線Tの表面に生じている酸化皮膜を除去する場合、処理液Lとして該酸化皮膜を化学的に除去し得る液剤を処理液タンク4内に収容し、この処理液Lを処理液槽21へ循環供給させながら、電車軌道R上で架線補修車1を走行させ、昇降手段3によって上昇させた処理液塗布機2の塗布ロール22をトロリ線Tに接触状態で回転させればよい。これにより、処理液槽21内の処理液Lが回転する塗布ロール22によって汲み上げられ、自動的に且つ連続的にトロリ線Tに被着することになる。そして、この被着処理後の時間経過と共にトロリ線T表面の酸化皮膜が化学的に除去されるから、被着処理したトロリ線Tについて、所定時間後に噴射ノズル等の適当な水放出手段によって水洗し、反応生成物を含む処理液Lを洗い落とせばよい。
このようなトロリ線Tの酸化皮膜の除去処理では、従来の如く人手によってヤスリ等で物理的に削り取る方法に比較して、作業能率が飛躍的に向上し、少人数の作業者によって長距離にわたるトロリ線Tの処理を極めて短時間で完了できるから、トロリ線Tの保全コストが著しく低減すると共に、自動的手段での除去であるために夜間作業でも充分に安全性を確保できる。
しかして、処理液塗布機2の塗布ロール22としては、軸部の周囲に刷毛を密に植設した刷毛ロールも使用可能であるが、実施形態のように周囲が合成樹脂スポンジ層22aからなるものを用いれば、該スポンジ層22aの良好な液含浸性によって処理液槽21内の処理液Lの安定した汲み上げを行える上、該スポンジ層22aが柔軟であるから、塗布時にトロリ線Tを押し包むような状態になり、もって充分な量の処理液Lを該トロリ線Tに被着させることができる。また、荷台側の処理液タンク4と処理液槽21との間でを循環供給することにより、処理液槽21の処理液Lの枯渇でトロリ線Tに未処理部分を生じるのを防止できる上、処理液槽21内の処理液Lが常に更新されるから、処理液槽21で処理液Lが長時間大気中に晒されて劣化変質や性状変化を生じることもなく、継続的に安定した処理を行えるという利点がある。
更に、本発明においては処理液塗布機2の昇降手段3として様々な方式を採用できるが、実施形態の如くパンタグラフ式リンク機構3aと流体圧シリンダ(好適にはエアシリンダ3b)との組み合わせ方式では、構造的に簡素で設置コスト負担が少なくて済む上、高い作動信頼性が得られるという利点がある。また、この昇降手段3による処理液塗布機2の上昇高さを適正位置、つまり塗布ロール22がトロリ線Tに適度に押接する位置に設定するために、上昇時にトロリ線Tに接触するタッチセンサーの如き適当な高さ感知器を付設し、その感知信号に基づいて昇降手段3の上昇作動を停止するようにしてもよい。
なお、電車軌道R上での走行駆動手段として、実施形態では道路と軌道Rの両方を走行できるトラック型の架線補修車1を例示したが、軌道走行専用の各種工事用車両も採用できる。また、処理液塗布機2は、走行駆動手段の車両自体に設置する以外に、走行駆動する車両に牽引される適当な台車上に設置してもよい。その他、本発明のトロリ線用表面処理装置の各部の細部構成については、実施形態以外に種々設計変更可能である。
本発明のトロリ線用表面処理装置は、上述のようなトロリ線Tの酸化皮膜の除去処理に特に有用であるが、例えばトロリ線Tに対する防錆剤や潤滑剤の塗布、洗浄液の塗布等、種々の液剤の塗布にも好適に利用できる。
1 架線補修車(走行駆動手段)
2 処理液塗布機
21 処理液槽
22 塗布ロール
22a 合成樹脂スポンジ層
22b 軸部
23 モータ(回転駆動手段)
3 昇降手段
3a パンタグラフ式リンク機構
3b エアシリンダ(流体圧シリンダ)
4 処理液タンク
5 ポンプ
6a 往流路(処理液循環供給機構)
6b 復流路(処理液循環供給機構)
L 処理液
R 電車軌道
T トロリ線
2 処理液塗布機
21 処理液槽
22 塗布ロール
22a 合成樹脂スポンジ層
22b 軸部
23 モータ(回転駆動手段)
3 昇降手段
3a パンタグラフ式リンク機構
3b エアシリンダ(流体圧シリンダ)
4 処理液タンク
5 ポンプ
6a 往流路(処理液循環供給機構)
6b 復流路(処理液循環供給機構)
L 処理液
R 電車軌道
T トロリ線
Claims (5)
- 電車軌道上での走行駆動手段と、該走行駆動手段によってトロリ線に沿って移動する処理液塗布機と、該処理液塗布機の昇降手段とを具備し、
前記処理液塗布機は、処理液槽と、この処理液槽内の処理液に下部側を浸漬した状態で垂直面内回転可能に軸支された塗布ロールと、該塗布ロールの回転駆動手段とを有し、
前記昇降手段は、前記塗布ロールの上部側がトロリ線に接触する上昇位置と、同上部側がトロリ線から下方へ離間する下降位置とに、前記処理液塗布機を昇降変位させるように構成されてなるトロリ線用表面処理装置。 - 前記塗布ロールが軸部の周囲に合成樹脂スポンジ層を設けたものからなる請求項1記載のトロリ線用表面処理装置。
- 前記処理液がトロリ線表面の酸化皮膜を化学的に除去するための液剤である請求項1又は2に記載のトロリ線用表面処理装置。
- 前記処理液槽とは別に処理液タンクを備え、この処理液タンクと前記処理液槽との間でポンプを介して処理液を循環させる処理液循環供給機構を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載のトロリ線用表面処理装置。
- 前記昇降手段は、前記処理液槽又はその架台を支承するパンタグラフ式リンク機構と、このリンク機構を上下方向に伸縮動作させる流体圧シリンダとからなる請求項1〜4のいずれかに記載のトロリ線用表面処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008283312A JP2010111165A (ja) | 2008-11-04 | 2008-11-04 | トロリ線用表面処理装置。 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008283312A JP2010111165A (ja) | 2008-11-04 | 2008-11-04 | トロリ線用表面処理装置。 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008283312A Withdrawn JP2010111165A (ja) | 2008-11-04 | 2008-11-04 | トロリ線用表面処理装置。 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2010111165A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014094637A (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-22 | East Japan Railway Co | 軌陸車載線支援装置 |
CN105539207A (zh) * | 2016-01-04 | 2016-05-04 | 济南轨道交通装备有限责任公司 | 地铁多功能接触网综合作业车 |
-
2008
- 2008-11-04 JP JP2008283312A patent/JP2010111165A/ja not_active Withdrawn
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JP2014094637A (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-22 | East Japan Railway Co | 軌陸車載線支援装置 |
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120110 |