JP2010109352A - 半導体基板の製造方法及びその方法により得られた半導体基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材上に設けられた半導体ナノ粒子を含む印刷層を、低温かつ短時間で焼成処理して、ち密かつ平滑で性能に優れ、さらに薄い半導体層を形成してなる半導体基板を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする半導体基板の製造方法、である。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体基板の製造方法、その方法により得られた半導体基板、及び該半導体基板を備えた電子部材に関する。さらに詳しくは、本発明は、基材上に設けられた半導体ナノ粒子を含む印刷層を、低温かつ短時間で焼成処理して、ち密かつ平滑で性能に優れる半導体層を形成してなる半導体基板を効率よく製造する方法、その方法により得られた半導体基板、及び該半導体基板を備えた電子部材に関するものである。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイには、画像駆動素子として、薄膜トランジスタ(TFT)が使用されている。
従来、TFTに使用される薄膜としては、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどの半導体薄膜を、化学気相成長法(CVD)や、スパッタリングなどの真空成膜法により形成してきた。これらの方法は、高額な設備を要する上に、パターニングのためにはフォトリソグラフィ技術が必要となり、工程数も多く、煩雑であった。また、これらの技術で大面積化に対応するのは容易ではなく、高額な製造コストが必要となる。
これに対し、塗布形成可能な半導体として有機半導体が注目されている。有機半導体は、塗布形成が可能であるために、低コストで、また低温で膜形成することができるため、フレキシブルディスプレイなどへの適用も可能である。しかし、有機半導体は一般に、移動度が小さく、大気中で不安定なため、実用化には至っていない。
ところで、非特許文献1には、無機半導体の溶液ベースでのプロセスとして、液相プロセスを用いて、鉛セレン(PbSe)半導体のナノ結晶からなる導電チャンネルをもつ電界効果型トランジスターが提示されている。ナノ結晶は絶縁性であり、この材料をパターン状に塗膜形成した後、ヒドラジンにより還元した例が提示されている。
しかし、ヒドラジンは爆発性があって危険であり、また、PbSeは有毒であるため、実用化するには問題がある。
また、特許文献1には、基材上にナノ粒子膜を形成させ、熱処理するステップを含む、ナノ粒子を用いた薄膜半導体の製造方法が提案されている。ナノ粒子膜を形成させるステップは、ナノ粒子を溶媒に分散させ、ナノ粒子液を用意する工程と、ナノ粒子液に沈殿剤を混合させる工程と、沈殿剤が含まれたナノ粒子液を基材上に蒸着する工程とを含むものである。ナノ粒子としては、HgTe、HgSe、HgS、CdTe、CdSe、CdS、ZnTe、ZnSe、ZnS、PbTe、PbSe、PbS、及びZnOが挙げられている。
そして、沈殿剤が含まれたナノ粒子液を、基材上に蒸着する方法は、スピンコート法、ディップコート法、スタンプ法、スプレー法、Langmuir−Blodgett法、及びプリント法のいずれか一つを用い得ることが開示されている。さらに、ナノ粒子膜の熱処理は100℃〜185℃で10〜200分間行い、半導体層を得る例が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、半導体特性が低く、さらに加熱時間が10〜200分と比較的長いため、生産性が低く、実用的な方法ではない。
また、特許文献2には、薄膜形成方法として、ナノ粒子を基材に付与し、基材上に付与されたナノ粒子を大気圧プラズマ処理することにより、薄膜を形成する薄膜形成方法が提案されている。大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間にガスを供給し、電極間に高周波電界を発生させることによってガスを励起ガスとし、励起ガスに基材上に付与されたナノ粒子を晒す大気圧プラズマ処理を用いる薄膜形成方法である。そして、ナノ粒子が金属原子含有化合物であり、金属原子含有化合物の金属原子がIn、Ga、Al、Sn、Ge、Sb、Bi及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つである薄膜形成方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載の具体的な薄膜の形成方法は、基材にスプレー塗布、スピンコート塗布により薄膜を付与し、大気圧プラズマ法により薄膜を形成するものであり、パターン印刷についての記載はなく、また、ナノ粒子も、Sn/In複合ナノ粒子に関する実施例で、得られる薄膜もSn/Inの透明導電膜が記載されているのみである。
このような状況下で、本発明者らは、Geナノ粒子を用いて、基材上に実用上十分な移動度を有する半導体層が形成されてなる半導体基板を、高い生産性のもとで製造する方法として、先に、基材上に形成されたパターン状のGeナノ粒子を含む印刷層を、還元性雰囲気下で600℃以上に加熱して焼成処理するか、あるいは水素ラジカルを発生するプロセスを用いて焼成処理する方法を見出し、特許を出願した(特願2008−92533号明細書)。
ところで、基材上に半導体ナノ粒子を含む塗布液を印刷して印刷層を設け、これを焼成処理して半導体層を形成する場合、焼成温度が高かったり、焼成時間が長かったりすると、この焼成処理に耐える耐熱性基材が必要となり、基材の選択自由度が小さくなるという問題が生じる。また、焼成時間が長かったり、ナノ粒子印刷層が不均一に焼成処理されると、ナノ粒子が異常な粒成長をしたり、面内で不均一に粒成長したりして、形成される半導体層の密度が低下したり、表面の凹凸が生じるという問題がある。このような半導体層を、例えば、TFTなどに使用した場合、半導体層に接するソース電極、ドレイン電極との接触が不十分になることによって、キャリア移動度が小さくなったり、十分な性能が得られないという問題が生じる。したがって、前記焼成処理は、できるだけ低温かつ短時間であることが好ましく、形成される半導体層は、粒子成長がなく、緻密であり、かつ平滑面を有することが好ましい。
また、半導体ナノ粒子を含む塗布液により半導体層を得る場合、その厚さは、半導体特性を維持しうる最低限以上の層厚である、通常10〜200nmであることが望ましい。半導体層の厚さがこれより厚いと、その後の焼成処理後において、層中、特に基材との界面付近に未焼結部分が残存してしまい、当該部分が不純物やキャリアの供給源となるため、半導体性能が低下する場合がある。一方、塗布液中の半導体ナノ粒子濃度を下げることで薄くすることは可能であるが、半導体ナノ粒子の濃度が低いため、焼成処理後に基材上でナノ粒子同士が焼結しにくく、緻密な層になりにくい場合もある。そのため、緻密な層が作製可能な半導体ナノ粒子濃度を維持しつつ、かつ薄く塗布することにより、層厚が10〜200nmといった薄い半導体層を作製することは、従来の半導体ナノ粒子を含む塗布液では困難となることがあった。
特開2007−273949号公報 特開2007−182605号公報 Science,310,p86
本発明は、このような状況下で、基材上に設けられた半導体ナノ粒子を含む印刷層を、低温かつ短時間で焼成処理して、ち密かつ平滑で性能に優れ、さらに薄い半導体層を形成してなる半導体基板を効率よく製造する方法、その方法により得られた半導体基板、及び該半導体基板を備えた電子部材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材上に設けられた半導体ナノ粒子を含むパターン状の印刷層を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに晒して焼成処理することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする半導体基板の製造方法、
(2)上記(1)に記載の製造方法により得られたことを特徴とする半導体基板、及び
(3)上記(2)に記載の半導体基板を備えていることを特徴とする電子部材、
を提供するものである。
本発明の半導体基板の製造方法によれば、基材上に設けられた半導体ナノ粒子を含むパターン状の印刷層を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに晒すことにより、低温かつ短時間で焼成処理が可能であり、ち密かつ平滑で性能に優れ、さらに薄い半導体層を形成してなる半導体基板を効率よく製造することができる。
実施例1で製造された半導体基板の表面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 参考例1で製造された半導体基板の表面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例2で製造された半導体基板の断面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
まず、本発明の半導体基板の製造方法について説明する。
[半導体基板の製造方法]
本発明の半導体基板の製造方法は、基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする。
なお、ここで基材上に印刷層を形成する態様としては、基材に直接印刷層を形成する場合と、基材の上にプライマー層、他の機能層、電極等を有する場合には、それらの上に印刷層を形成する場合のいずれをも含むものである。
(基材)
本発明の製造方法において用いる基材としては、半導体基板に用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、シリコンウェハ;ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス基板;アルミナなどのセラミック基板などの無機材料や、フィルム、シート、又は板状の各種プラスチックを用いることができるが、薄膜化の観点からフィルム形態が好適である。
フィルム基材として用い得るプラスチックとしては、焼成処理における耐熱性を考慮して、融点が200℃以上のものを挙げることができ、例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、ガラス−エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、液晶性高分子化合物などを挙げることができる。
また、基材の表面には、易接着成分を成膜してもよいし、プラスチック基材を用いる場合には、その表面に酸化法や凹凸化法などの表面処理を施してもよい。
易接着成分の成膜としては、例えば、Ni、Cr、Ti、Co、Mo、Ta等の金属薄膜あるいはそれらの金属酸化物を成膜する方法、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等からなる接着成分を塗布する方法、その他、有機無機カップリング剤を塗布する方法が採用できる。
また、プラスチック基材に対する酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられる。また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはプラズマ処理法が効果及び不純物による汚染が少ないなどの面から、好ましく用いられる。
基材の厚さについては特に制限はないが、基材が無機材料である場合には、通常0.1〜10mm程度、好ましくは0.5〜3mmである。
一方、プラスチック基材の場合には、通常10〜300μmの範囲である。10μm以上であると、半導体層を形成する際に基材の変形が抑制され、形成される半導体層の形状安定性の点で好適である。また、300μm以下であると巻き取り加工を連続して行う場合に、柔軟性の点で好適である。
また、基材には、半導体基板の用途に合せて、あらかじめ電極、絶縁層などを形成しておくことができる。なお、基材にこのような機能層や電極などが設けられる場合には、該機能層及び電極等の上に印刷層が形成される。
電極としては、例えば、Au,Ag、Cu、Ni,Al,Pt,Cr,Fe,Sn,Pd,Mo,Mn,In,Co,Pb、Si、Ir,Znなどの金属、スズドープ酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、カーボン材料、導電性ポリマーなどが挙げられ、また絶縁層としては、例えば、Si、Al、Ta、Ti、Sn、V、Y、W、Cr、Ni,Mnなどの金属の酸化物や窒化物、チタン酸バリウムなど複合金属酸化物、絶縁性ポリマーなどの材料が用いられる。そのほか、用途に合せて、酸化防止層、ガスバリア層、拡散防止層などを設けることができる。
(半導体ナノ粒子)
本発明の製造方法において用いる半導体ナノ粒子を構成する半導体物質については特に制限はなく、従来公知の半導体物質の中から適宜選択することができる。この半導体物質としては、例えばシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの周期表14族元素、GaAs、InPなどのIII−V化合物、ZnTeなど一部のII−VI化合物等を用いることができる。
なお、前記III−V化合物としては、周期表13族のAl、Ga、In(Tlを含めることもある)と、15族のP、As、Sb(Nを含めることもある)との間に生じる原子比1:1の化合物が挙げられ、II−VI化合物は、周期表12族元素のZn、Cd、Hgと、16族元素のS、Se、Te(Oを含めることもある)の原子比1:1の化合物が挙げられる。
また、上記した半導体物質は、純粋なものであっても、不純物元素(例えば12族、14族、16族元素)をドープしたものであってもよい。ドープは、いつ行ってもよく、半導体ナノ粒子の形成段階や半導体層の形成後など、いずれの段階においても行うことができる。
これらの半導体物質の中で、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)が好ましく、特にゲルマニウム(Ge)が好適である。
本発明においては、半導体ナノ粒子として、平均1次粒子径が1〜100nmのものを用いることが、塗布液への分散性、還元処理、焼成のしやすさ、パターン形成時の細線再現性などの観点から好ましい。
半導体ナノ粒子の平均1次粒子径が1nm以上であると容易に合成することができ、かつ、安定に分散させることができるために好ましい。一方、平均1次粒子径が100nm以下であると塗布液の分散安定性が良好であるとともに、本来の半導体材料の融点よりも融点を低くすることができるために十分な焼結が可能となり、ち密で平滑な半導体膜が得られるとともに、パターン形成時の細線再現性が良好となる。
以上の観点から、半導体ナノ粒子の平均1次粒子径は1〜50nmの範囲がより好ましく、さらに2〜30nmの範囲が特に好ましい。ここで、半導体ナノ粒子の平均1次粒子径は、透過型電子顕微鏡による観察像から測定される。
なお、本発明で用いる半導体ナノ粒子は、表面が酸化されていてもよく、また内部まで酸化されていてもよい。
半導体ナノ粒子の形状は特に限定されず、球状、棒状、繊維状、板状、不定形等何れでもよいが、球状または不定形であることが分散性等の点で好ましい。
また、塗布液の分散安定性を高めるために、半導体ナノ粒子の表面処理を行ったり、高分子、イオン性化合物、界面活性剤等からなる分散剤を添加してもよい。
本発明においては、半導体ナノ粒子として、特にゲルマニウムナノ粒子(Geナノ粒子)が好ましく用いられる。
本発明に用いる半導体ナノ粒子は、スパークエロージョン法、ガス中蒸発法、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の物理的合成方法;熱分解法、化学還元法、電気分解法、超音波法、レーザーアブレーション法、マイクロ波合成法などの化学的合成方法により合成されるが、純度の点や粒径制御の点で、物理的合成方法が好ましく、中でも合成の簡易性の点で、真空蒸着法が特に好ましい。
(半導体ナノ粒子を含む塗布液)
半導体ナノ粒子を含む塗布液を構成し、上記半導体ナノ粒子を分散させる分散媒としては、水及び/又は有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)などのエーテル類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等の一部ハロゲン置換した炭化水素などが挙げられる。
半導体ナノ粒子を分散媒に分散させるためには、半導体ナノ粒子が分散剤の存在下に、分散媒中に分散されていることが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤、界面活性剤、あるいは金属や半導体と相互作用をするようなチオール基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が好ましい。これらの分散剤は、半導体ナノ粒子の合成時に、ナノ粒子生成と同時にナノ粒子に被覆されるようにするのが好ましい。特に、半導体ナノ粒子を真空蒸着法などの物理的合成方法によって合成する場合には、界面活性剤を作用させて捕集すると、ナノ粒子が界面活性剤で被覆され、分散安定性の良好なナノ粒子が得られるため好ましい。
界面活性剤としては、具体的には、カルボン酸塩系、スルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、リン酸エステル塩系等の陰イオン界面活性剤;陽イオン界面活性剤;両性界面活性剤;エーテル系、エステルエーテル系、エステル系、含窒素系等の非イオン界面活性剤;フッ素系界面活性剤;反応性界面活性剤等が挙げられる。
このうち、含窒素系等の非イオン界面活性剤とエステル系の非イオン界面活性剤が、分散しやすさの点と分散液の安定性の点で好ましい。
また、界面活性剤としては、カルボン酸無水物類及びカルボン酸イミド類が好ましく用いられ、塗布膜を薄く形成できる点で、カルボン酸無水物類が特に好ましい。
カルボン酸無水物類の特に好ましい具体例としては、例えば、アルキル又はアルケニル無水コハク酸、アルキル又はアルケニル無水グルタル酸、アルキル又はアルケニル無水マレイン酸、アルキル又はアルケニル無水フタル酸などが挙げられる。また、カルボン酸イミド類の特に好ましい具体例としては、例えば、アルキル又はアルケニルコハク酸イミド類、アルキル又はアルケニルグルタル酸イミド類、アルキル又はアルケニルマレイン酸イミド類、アルキル又はアルケニルフタル酸イミド類などである。これらの界面活性剤を用いることにより粒径の小さい分散粒子を形成させることができ、また、小粒径でも分散性、分散安定性、高濃度分散性に優れた半導体ナノ粒子の分散液を得ることができる。
分散液中における分散剤の濃度は特に限定はなく適宜調節可能であるが、分散媒100質量部に対して、界面活性剤は0.3〜50質量部の範囲が好ましい。0.3質量部以上であると十分な分散性を発揮し、半導体ナノ粒子の良好な分散性が得られる。一方、50質量部以下であると、焼成後に得られる半導体膜に分散剤が残留しないため、性能低下のおそれがなく、好ましい。以上の観点から、分散剤の濃度は1〜20質量部がより好ましく、3〜10質量部が特に好ましい。
また、塗布液には、半導体ナノ粒子を含む塗布液中の半導体ナノ粒子の分散性や分散安定性を良好にするために、分散補助剤を加えてもよい。分散補助剤としては1級若しくは2級アミン類、カルボン酸類又はアルコール類を加えることが特に好ましい。
分散補助剤としての1級若しくは2級アミン類は特に限定はなく、アルキルアミン、アルケニルアミン、アニリン誘導体などが好ましい。とりわけ、アルキルアミン又はアルケニルアミンが、半導体ナノ粒子の分散性や分散安定性を良好にできる点で好ましい。1級アミン類のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は特に限定はないが、分散性や分散安定性を良好にする観点から、好ましくは5〜25個、特に好ましくは8〜18個であり、2級アミン類の場合は、1個の有機基が、上記1級アミン類で記載したアルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。もう一方の有機基はメチル基、エチル基、ビニル基などの低級の有機基であってもよい。また、アルキル基やアルケニル基は直鎖構造のものでも側鎖を有するものでもよい。
分散補助剤としてのカルボン酸類は特に限定はないが、分散性や分散安定性を良好にする観点から、カルボン酸の炭素数(1個)を含めて炭素数5〜25個の脂肪酸が好ましく、炭素数8〜20個の脂肪酸が特に好ましい。脂肪酸に関しては、常温で液体であるものがより好ましい。
分散補助剤としてのアルコール類は特に限定はないが、分散性や分散安定性を良好にする観点から、炭素数5〜25個のアルコール類が好ましく、炭素数8〜20個のアルコール類が特に好ましい。
また、塗布液には、基材への密着性を高めること、造膜性を高めること、印刷適性を付与すること、及び分散性を高めることを目的として、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂等を樹脂バインダーとして添加することができる。
さらに、焼成した後の基材との密着性あるいは造膜性を維持するために、エチルシリケート及びシリケートオリゴマー等の無機バインダーを使用してもよい。また、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、あるいは安定剤等を添加してもよい。
本発明で用いる半導体ナノ粒子を含む塗布液は、固形分濃度が5〜60質量%の範囲が好ましい。固形分濃度が5質量%以上であると十分な膜厚が得られ、60質量%以下であると良好な分散性が得られ、基材への半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷することが容易である。以上の観点から、半導体ナノ粒子を含む塗布液中の固形分濃度は10〜50質量%の範囲がより好ましい。
(塗布液の印刷)
基材上に半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷する方法としては特に制限されず、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、コンマコート、バーコート、ナイフコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷などの方法を用いることができる。これらのうち、微細なパターニングを行うことができるという観点から、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷が好ましい。
また、本発明では、基材などの上に半導体ナノ粒子を含む塗布液を所望のパターンに直接印刷することができるため、従来のフォトレジストを用いたリソグラフィー法に比較して、著しく生産性を向上させることができる。
基材上の半導体ナノ粒子を含む塗布液は、印刷後、通常の方法で乾燥を行ってもよい。具体的には、例えば、通常のオーブン等を用いて、80〜120℃程度の温度で0.1〜20分程度加熱して乾燥させる。乾燥後の印刷部分の膜厚は用途等に応じ、適宜塗布量や半導体ナノ粒子の平均1次粒子径等を変化させて制御することができる。具体的には、該膜厚は0.01〜100μmの範囲が好ましく、0.05〜50μmの範囲がより好ましい。乾燥は以下に記す還元性雰囲気下での加熱による焼成により乾燥を兼ねても構わないし、空気中で加熱せずに乾燥させてもよい。
(焼成処理)
本発明においては、このようにして基材上に設けられたパターン状の印刷層を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマ(以下「マイクロ波表面波プラズマ」と称することがある。)に晒すことにより焼成処理して、パターン状半導体層を形成する。
前記マイクロ波表面波プラズマの発生方法及び該表面波プラズマに、パターン状印刷層を晒す条件などについては、後で詳しく説明するが、本発明においては、前記マイクロ波表面波プラズマを、還元性気体の雰囲気下で発生させることが好ましい。
還元性気体の雰囲気(以下「還元性雰囲気」と称することがある。)下で発生したマイクロ波表面波プラズマに、パターン状印刷層を晒して焼成処理する際、焼成温度は、用いる半導体ナノ粒子の種類に応じて適宜選定することが好ましい。
なお、還元性雰囲気下で焼成する前に、半導体ナノ粒子分散液に含まれる分散剤等の有機物を除去するために、大気下で300〜500℃程度の温度で30分から2時間程度加熱することが好ましい。この加熱処理により、有機物が酸化分解除去される。
本発明の方法において、還元性雰囲気下とするのは、半導体ナノ粒子は、微粒子であるため酸化されやすく、特に表面が絶縁性の酸化物となっており、パターン状に塗布された半導体ナノ粒子を焼成しても、粒子間が導通された状態とならず、十分な半導体特性を得ることができないため、表面の酸化皮膜等を還元除去するためである。半導体ナノ粒子は、分散剤等の有機物が除去され、表面の酸化被膜等が還元除去された状態では、本来の半導体材料と比べて融点が低くなるために、プラズマから与えられる熱などによって、容易に粒子どうしが焼結するようになる。また、本発明には粒子内部まで酸化された半導体ナノ粒子を用いてもよい。
なお、還元性雰囲気を形成する還元性気体としては、水素、一酸化炭素、アンモニアなどのガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられるが、特に、微粒子表面に付着した有機物の除去には水素ガスが好ましい。
また、還元性気体には、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生し易くなるなどの効果がある。
次に、本発明の半導体基板の製造方法における表面波プラズマの発生方法について説明する。
(表面波プラズマの発生方法)
本発明においては、マイクロ波エネルギーの印加により、表面波プラズマを発生させ、この表面波プラズマに、前述した半導体ナノ粒子を含む塗布液を用いて形成されたパターン状の印刷層を晒して焼成処理することにより、半導体基板を製造する。
前記表面波プラズマの発生方法に特に制限はなく、例えば減圧状態の焼成処理室の誘電体照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段を用いるのが、大面積の基板の処理ができる点で好ましい。
前記プラズマ発生手段としては、例えば焼成処理室の照射窓から周波数2450MHzのマイクロ波エネルギーを供給し、該処理室内に、電子温度が約1eV以下、電子密度が約1×1011〜1×1013cm-3のマイクロ波表面波プラズマを発生させることができる。
なお、マイクロ波エネルギーは2450MHzの高周波エネルギーを言うが、マイクロ波発振装置であるマグネトロンの精度誤差などのために2450MHz/±50MHzの周波数範囲が許されている。
また、照射時間は、10秒〜10分程度が好ましい。
このようなマイクロ波表面波プラズマは、プラズマ密度が高く、電子温度が低い特性を有し、前記パターン状の印刷層を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、ち密かつ平滑で性能に優れる半導体層を形成することができる。表面波プラズマは、処理面に対して、面内で均一の密度のプラズマが照射される。その結果、他の焼成方式や他のプラズマ方式と比べて、面内で部分的に粒子の焼結が進行するなど、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常にち密で、平滑な膜が得られる。また、面内処理室内に電極を設ける必要がないので、電極由来の不純物のコンタミネーションを防ぐことができ、また処理材料に対して異常な放電によるダメージを防ぐことができる。さらに、プラスチック基材を用いる場合には、該基材のダメージが少なく、また電極やその他の層へのダメージも少ない。
本発明においては、前述したように、マイクロ波表面波プラズマを、還元性気体の雰囲気、好ましくは水素ガス雰囲気下で発生させることができる。これにより、半導体ナノ粒子表面に存在する絶縁性の酸化物が還元除去され、半導体特性の良好な半導体層が形成される。
このように、マイクロ波表面波プラズマ、好ましくはマイクロ波表面波水素プラズマに印刷層を晒すことにより、半導体粒子の粒成長が抑制され、ち密で平滑な膜を得ることができる。ち密性は、半導体層表面において、粒子が占有しない空隙部分の面積(以下「空隙率」と称する。)が15%以下、好ましくは10%以下の、ち密な膜が得られる。
なお、上記空隙率は、5万倍の倍率で得た走査型電子顕微鏡像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない気孔部分の比率により算出する。10箇所の写真で算出した値を平均して求める。
[半導体基板、電子部材]
本発明はまた、前述した本発明の製造方法により得られた半導体基板、及び該半導体基板を備えてなる電子部材をも提供する。
本発明の半導体基板は、前述した本発明の方法により製造されてなる、基材上にパターン状の半導体層を有するものであって、該半導体層は、半導体粒子の成長が抑制され、ち密かつ平滑で、良好なキャリア移動度を有するなど、半導体性能に優れている。本発明の方法により製造された半導体基板は、半導体層の厚さを200nm以下と極めて薄い膜とすることができ、半導体ナノ粒子を含む塗布液の粘度や塗布量などの調製により、例えば120nm以下、100nm以下、さらには10〜50nm程度の薄い半導体層を製造することも可能である。すなわち、本発明の半導体基板は、上記したような半導体特性に優れているだけでなく、その半導体層の厚さが非常に薄いものである。
また、製造方法として、半導体ナノ粒子を含む塗布液を基材上にパターン状に印刷して印刷層を形成し、この印刷層を、マイクロ波表面波プラズマに晒して焼成処理する方法を採用しているため、比較的低温かつ短時間での焼成処理が可能で、基材に与えるダメージが少ない上、半導体性能に優れる半導体基板を、生産性よく与えることができる。
半導体基板の半導体層には、用途に応じて、該半導体層の上に、更に、電極、絶縁層、酸化防止層、ガスバリア層、拡散防止層などの機能層を形成することができる。
本発明の電子部材は、前述した本発明の半導体基板を備えた電子部材であり、例えば液晶表示装置などのディスプレイ用TFTや、太陽電池、センサー、オプトデバイスなどに有効に利用することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた半導体基板について、移動度及びキャリア密度によって評価した。評価方法は以下のとおりである。
(キャリア密度の測定方法及び半導体移動度の測定方法)
成書「半導体評価技術」(河東田隆編著 産業図書株式会社発行)p222〜225に記載のvan der Pauw法に準拠し、全面にGe膜が塗布された1cm四方の試料の4隅に、銀ペーストを用いて電極を形成した試料片を作製し、測定に用いた。
(ゲルマニウムナノ粒子Aの調製)
実施例に使用したゲルマニウムナノ粒子Aは、下記のとおり調製した。
分散媒として、(A)ライオン拡散ポンプ油(ライオン社製)380gを用い、これにポリイソブテニルコハク酸四アミンイミド(三洋化成工業社製)を20g添加し撹拌した。なお、ライオン拡散ポンプ油は、炭素数12〜16個のアルキル基を有するアルキルナフタレンである。
続いて、回転ドラム式の蒸着チャンバーに上記分散媒(A)を入れ、蒸着源にゲルマニウムの粒を入れ、次いで真空ポンプで減圧し、チャンバー内の圧力を10-3Paとした。チャンバーを水流で冷却させながら回転させ、ゲルマニウム(Ge)が溶解・蒸発するまで加熱した。ゲルマニウム(Ge)粒が蒸発し、界面活性剤が溶解している分散媒中に蒸着され、界面活性剤に取り込まれることにより、ゲルマニウムナノ粒子Aが分散した分散液が形成された。
上記のようにして調製したGeナノ粒子A分散液50gに、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記載する。)を加え、全体で500mLになるように調整し、撹拌後、25℃で1日間、静置してGeナノ粒子Aを沈降させた。上澄みを捨て、再びMEKを加える操作を行い、分散媒を除去した。
次いで、MEKを、減圧留去により減量し、トルエンを加え再分散させ、固形分を22質量%に調整し、Geナノ粒子A分散液を得た。透過型電子顕微鏡観察により、平均1次粒子径6nm程度のGeナノ粒子Aが凝集することなく分散されていることが確認できた。
実施例1
上記の方法にて調製した、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子Aのトルエン分散液を、厚み0.7mmの無アルカリガラス基材(コーニング社製、1737)上に、インクジェット印刷法(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)によりパターン状に印刷した後、オーブンで400℃、60分間熱処理を行った。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子社製)により処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量100mL/分、マイクロ波出力1000Wで、3分間処理を実施した。
得られた半導体膜について、膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製 Dektak6M)により測定したところ、0.5μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗率を測定したところ、1.0×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、15cm2/Vsであった。また、キャリア密度は約1016/cm3であった。
得られた半導体膜表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で、倍率5万倍で観察した。該電子顕微鏡で撮影した5万倍の写真を図1に示す。
また、5箇所の観察像を得て、得られた観察像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない空隙部分の比率により算出して平均して得られた表面の空隙率は、7.5%であった。
実施例2
上記の方法にて調製した、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子のトルエン分散液を、厚み75μmのポリイミド基材(東レ・デュポンフィルム製、カプトン300H)上に、インクジェット印刷法(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)によりパターン状に印刷した後、オーブンで300℃、60分間熱処理を行った。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子社製)により処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量100mL/分、マイクロ波出力1000Wで、2分間処理を実施した。
得られた半導体膜について、膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製 Dektak6M)により測定したところ、0.7μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗率を測定したところ、1.2×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、8cm2/Vsであった。また、キャリア密度は約1017/cm3であった。
得られた半導体膜表面について、実施例1に記載するのと同様の方法で測定した空隙率は8.6%であった。
(ゲルマニウムナノ粒子Bの調製)
ゲルマニウムナノ粒子Bは、下記のとおり調製した。
分散媒として、(A)アルキルナフタレン(アルキル基:炭素数16〜20)280gを用い、これにテトラプロペニル無水コハク酸120gを添加し攪拌した。
続いて、回転ドラム式の蒸着チャンバーに上記分散媒(A)を入れ、蒸着源にゲルマニウムの粒を入れ、次いで真空ポンプで減圧し、チャンバー内の圧力を10-3Paとした。チャンバーを水流で冷却させながら回転させ、ゲルマニウム(Ge)が溶解・蒸発するまで加熱した。ゲルマニウム(Ge)粒が蒸発し、界面活性剤が溶解している分散媒中に蒸着され、界面活性剤に取り込まれることにより、ゲルマニウムナノ粒子Bが分散した分散液が形成された。
上記のようにして調製したGeナノ粒子B分散液100gに、メタノール500gを加えて攪拌した。Geナノ粒子Bを含む液体が分離・沈降することから、遠心分離機を用いて(10000×g,5分間)、当該液体を完全に分離し、上澄みを除去した。残った沈殿物に酢酸エチルを500g加えて攪拌し、Geナノ粒子Bを含む液体を、再度遠心分離機を用いて(10000×g,5分間)完全に分離し、上澄みを除去し、この作業を3回繰り返した。
残った沈殿物をナスフラスコに回収し、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒を除去し、得られた固形物10gにトルエン10gを加え、さらにオレイルアミン2.5gを加えて攪拌した。得られた液体は黒褐色を呈し、目視で凝集を確認できないGeナノ粒子B分散液を得た。透過型電子顕微鏡の観察により、平均一次粒子径10nm程度のゲルマニウム(Ge)ナノ粒子Bが凝集することなく、分散されていることが確認された。また当該分散液の固形分は14.7%であり、粘度は0.9mPa・sであった。
実施例3
基材洗浄のため、高周波プラズマ処理装置(キャノンアネルバエンジニアリング株式会社製,PED−350)により、石英ガラス基材(旭硝子社製)の表面処理を酸素ガスで10分間実施した。また、Geナノ粒子B分散液を、石英ガラス上にスピンコートした後、オーブンで500℃、30分間大気下にて熱処理を行った。
次いで、Geナノ粒子Bがスピンコートされた石英ガラス(以下、単に試料という。)を、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子社製)のプラズマチャンバー内の試料台にセットし、試料を350℃まで加熱した後、プラズマ処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量10mL/分、マイクロ波出力1000Wで、2分間処理を実施して、石英ガラス上にゲルマニウム膜を有する半導体基板を得た。該半導体基板のプラズマ処理終了直後の温度は450℃であった。
得られた半導体基板について、その断面を走査型電子顕微鏡で、倍率5万倍で観察した。当該電子顕微鏡で撮影した5万倍の写真を図3に示す。図3の写真より、ゲルマニウム膜の厚みは100nmであり、当該膜中に未反応部は確認されなかった。
また、得られた半導体膜表面について、実施例1に記載するのと同様の方法で測定した空隙率は10.3%であった。
参考例1
実施例1で用いたのと同様の、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子のトルエン分散液を0.75mm厚の石英基材(旭硝子社製、合成石英AQ)上に、インクジェット印刷(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)により塗布膜をパターン状に形成した後、オーブンにて400℃、60分間熱処理した。その後、水素ガスを用いた還元性雰囲気下650℃で、還元し半導体基板を得た。
なお、還元は、10℃/分で昇温し、650℃30分保持し、その後空冷した。還元ガスとして、アルゴン/水素=96/4(体積比)の混合ガスを使用した。
上記半導体基板について、半導体膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製Dektak6M)により測定したところ、0.5μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗を測定したところ、1.7×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、約9cm2/Vsであり、キャリア密度は、約1016/cm3であった。
得られた半導体膜表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で、倍率5万倍で観察した。該電子顕微鏡で撮影した5万倍の写真を図2に示す。
また、5箇所の観察像を得て、得られた観察像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない空隙部分の比率により算出して平均して得られた表面の空隙率は、18.8%であった。
参考例2
実施例1で用いたのと同様の、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子のトルエン分散液を0.75mm厚の石英基材(旭硝子社製、合成石英AQ)上に、インクジェット印刷(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)により塗布膜をパターン状に形成した後、オーブンにて350℃、60分間熱処理した。その後、高周波水素プラズマ処理により還元し、半導体基板を得た。
なお、高周波水素プラズマ処理は、装置としてキャノンアネルバエンジニアリング社製の「PED−350特型」を用い、水素導入圧力10Pa、水素流量100mL/分とし、高周波電力500W、プラズマ処理時間を20分とした。
上記半導体基板について、半導体膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製Dektak6M)により測定したところ、0.5μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗を測定したところ、表面抵抗は、6.9×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、約5cm2/Vsであり、キャリア密度は、約1017/cm3であった。
得られた半導体膜表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で、倍率5万倍で観察した。5箇所の観察像を得て、得られた観察像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない空隙部分の比率により算出して平均して得られた表面の空隙率は、16.0%であった。
本発明の半導体基板の製造方法は、基材上に設けられた半導体ナノ粒子を含む印刷層を、マイクロ波表面波プラズマに晒すことにより、低温かつ短時間で焼成処理して、ち密かつ平滑で性能に優れる半導体層を形成してなる半導体基板の製造方法であり、液晶等ディスプレイ用TFT半導体や、太陽電池、センサー、オプトデバイス等に有効に利用できる。

Claims (10)

  1. 基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする半導体基板の製造方法。
  2. 表面波プラズマを還元性気体の雰囲気下で発生させる請求項1に記載の半導体基板の製造方法。
  3. 還元性気体の雰囲気が水素を含む気相雰囲気である請求項2に記載の半導体基板の製造方法。
  4. 半導体ナノ粒子の平均1次粒子径が1〜100nmである請求項1〜3のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  5. 半導体ナノ粒子がゲルマニウムナノ粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  6. 基材がシリコンウェハ、ガラス基板及びセラミック基板の中から選択される請求項1〜5のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  7. 基材が融点200℃以上のプラスチックフィルムからなる請求項1〜5のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする半導体基板。
  9. 走査型電子顕微鏡で観察した観察像において、半導体層表面における空隙率が15%以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体基板。
  10. 請求項8又は9に記載の半導体基板を備えていることを特徴とする電子部材。
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