JP2010109352A - 半導体基板の製造方法及びその方法により得られた半導体基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする半導体基板の製造方法、である。
【選択図】なし
Description
従来、TFTに使用される薄膜としては、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどの半導体薄膜を、化学気相成長法(CVD)や、スパッタリングなどの真空成膜法により形成してきた。これらの方法は、高額な設備を要する上に、パターニングのためにはフォトリソグラフィ技術が必要となり、工程数も多く、煩雑であった。また、これらの技術で大面積化に対応するのは容易ではなく、高額な製造コストが必要となる。
しかし、ヒドラジンは爆発性があって危険であり、また、PbSeは有毒であるため、実用化するには問題がある。
そして、沈殿剤が含まれたナノ粒子液を、基材上に蒸着する方法は、スピンコート法、ディップコート法、スタンプ法、スプレー法、Langmuir−Blodgett法、及びプリント法のいずれか一つを用い得ることが開示されている。さらに、ナノ粒子膜の熱処理は100℃〜185℃で10〜200分間行い、半導体層を得る例が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、半導体特性が低く、さらに加熱時間が10〜200分と比較的長いため、生産性が低く、実用的な方法ではない。
しかしながら、特許文献2に記載の具体的な薄膜の形成方法は、基材にスプレー塗布、スピンコート塗布により薄膜を付与し、大気圧プラズマ法により薄膜を形成するものであり、パターン印刷についての記載はなく、また、ナノ粒子も、Sn/In複合ナノ粒子に関する実施例で、得られる薄膜もSn/Inの透明導電膜が記載されているのみである。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする半導体基板の製造方法、
(2)上記(1)に記載の製造方法により得られたことを特徴とする半導体基板、及び
(3)上記(2)に記載の半導体基板を備えていることを特徴とする電子部材、
を提供するものである。
[半導体基板の製造方法]
本発明の半導体基板の製造方法は、基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする。
なお、ここで基材上に印刷層を形成する態様としては、基材に直接印刷層を形成する場合と、基材の上にプライマー層、他の機能層、電極等を有する場合には、それらの上に印刷層を形成する場合のいずれをも含むものである。
本発明の製造方法において用いる基材としては、半導体基板に用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、シリコンウェハ;ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス基板;アルミナなどのセラミック基板などの無機材料や、フィルム、シート、又は板状の各種プラスチックを用いることができるが、薄膜化の観点からフィルム形態が好適である。
フィルム基材として用い得るプラスチックとしては、焼成処理における耐熱性を考慮して、融点が200℃以上のものを挙げることができ、例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、ガラス−エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、液晶性高分子化合物などを挙げることができる。
また、基材の表面には、易接着成分を成膜してもよいし、プラスチック基材を用いる場合には、その表面に酸化法や凹凸化法などの表面処理を施してもよい。
また、プラスチック基材に対する酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられる。また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはプラズマ処理法が効果及び不純物による汚染が少ないなどの面から、好ましく用いられる。
一方、プラスチック基材の場合には、通常10〜300μmの範囲である。10μm以上であると、半導体層を形成する際に基材の変形が抑制され、形成される半導体層の形状安定性の点で好適である。また、300μm以下であると巻き取り加工を連続して行う場合に、柔軟性の点で好適である。
電極としては、例えば、Au,Ag、Cu、Ni,Al,Pt,Cr,Fe,Sn,Pd,Mo,Mn,In,Co,Pb、Si、Ir,Znなどの金属、スズドープ酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、カーボン材料、導電性ポリマーなどが挙げられ、また絶縁層としては、例えば、Si、Al、Ta、Ti、Sn、V、Y、W、Cr、Ni,Mnなどの金属の酸化物や窒化物、チタン酸バリウムなど複合金属酸化物、絶縁性ポリマーなどの材料が用いられる。そのほか、用途に合せて、酸化防止層、ガスバリア層、拡散防止層などを設けることができる。
本発明の製造方法において用いる半導体ナノ粒子を構成する半導体物質については特に制限はなく、従来公知の半導体物質の中から適宜選択することができる。この半導体物質としては、例えばシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの周期表14族元素、GaAs、InPなどのIII−V化合物、ZnTeなど一部のII−VI化合物等を用いることができる。
なお、前記III−V化合物としては、周期表13族のAl、Ga、In(Tlを含めることもある)と、15族のP、As、Sb(Nを含めることもある)との間に生じる原子比1:1の化合物が挙げられ、II−VI化合物は、周期表12族元素のZn、Cd、Hgと、16族元素のS、Se、Te(Oを含めることもある)の原子比1:1の化合物が挙げられる。
また、上記した半導体物質は、純粋なものであっても、不純物元素(例えば12族、14族、16族元素)をドープしたものであってもよい。ドープは、いつ行ってもよく、半導体ナノ粒子の形成段階や半導体層の形成後など、いずれの段階においても行うことができる。
これらの半導体物質の中で、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)が好ましく、特にゲルマニウム(Ge)が好適である。
半導体ナノ粒子の平均1次粒子径が1nm以上であると容易に合成することができ、かつ、安定に分散させることができるために好ましい。一方、平均1次粒子径が100nm以下であると塗布液の分散安定性が良好であるとともに、本来の半導体材料の融点よりも融点を低くすることができるために十分な焼結が可能となり、ち密で平滑な半導体膜が得られるとともに、パターン形成時の細線再現性が良好となる。
以上の観点から、半導体ナノ粒子の平均1次粒子径は1〜50nmの範囲がより好ましく、さらに2〜30nmの範囲が特に好ましい。ここで、半導体ナノ粒子の平均1次粒子径は、透過型電子顕微鏡による観察像から測定される。
なお、本発明で用いる半導体ナノ粒子は、表面が酸化されていてもよく、また内部まで酸化されていてもよい。
また、塗布液の分散安定性を高めるために、半導体ナノ粒子の表面処理を行ったり、高分子、イオン性化合物、界面活性剤等からなる分散剤を添加してもよい。
本発明においては、半導体ナノ粒子として、特にゲルマニウムナノ粒子(Geナノ粒子)が好ましく用いられる。
半導体ナノ粒子を含む塗布液を構成し、上記半導体ナノ粒子を分散させる分散媒としては、水及び/又は有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)などのエーテル類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等の一部ハロゲン置換した炭化水素などが挙げられる。
このうち、含窒素系等の非イオン界面活性剤とエステル系の非イオン界面活性剤が、分散しやすさの点と分散液の安定性の点で好ましい。
カルボン酸無水物類の特に好ましい具体例としては、例えば、アルキル又はアルケニル無水コハク酸、アルキル又はアルケニル無水グルタル酸、アルキル又はアルケニル無水マレイン酸、アルキル又はアルケニル無水フタル酸などが挙げられる。また、カルボン酸イミド類の特に好ましい具体例としては、例えば、アルキル又はアルケニルコハク酸イミド類、アルキル又はアルケニルグルタル酸イミド類、アルキル又はアルケニルマレイン酸イミド類、アルキル又はアルケニルフタル酸イミド類などである。これらの界面活性剤を用いることにより粒径の小さい分散粒子を形成させることができ、また、小粒径でも分散性、分散安定性、高濃度分散性に優れた半導体ナノ粒子の分散液を得ることができる。
さらに、焼成した後の基材との密着性あるいは造膜性を維持するために、エチルシリケート及びシリケートオリゴマー等の無機バインダーを使用してもよい。また、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、あるいは安定剤等を添加してもよい。
基材上に半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷する方法としては特に制限されず、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、コンマコート、バーコート、ナイフコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷などの方法を用いることができる。これらのうち、微細なパターニングを行うことができるという観点から、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷が好ましい。
また、本発明では、基材などの上に半導体ナノ粒子を含む塗布液を所望のパターンに直接印刷することができるため、従来のフォトレジストを用いたリソグラフィー法に比較して、著しく生産性を向上させることができる。
本発明においては、このようにして基材上に設けられたパターン状の印刷層を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマ(以下「マイクロ波表面波プラズマ」と称することがある。)に晒すことにより焼成処理して、パターン状半導体層を形成する。
前記マイクロ波表面波プラズマの発生方法及び該表面波プラズマに、パターン状印刷層を晒す条件などについては、後で詳しく説明するが、本発明においては、前記マイクロ波表面波プラズマを、還元性気体の雰囲気下で発生させることが好ましい。
還元性気体の雰囲気(以下「還元性雰囲気」と称することがある。)下で発生したマイクロ波表面波プラズマに、パターン状印刷層を晒して焼成処理する際、焼成温度は、用いる半導体ナノ粒子の種類に応じて適宜選定することが好ましい。
本発明の方法において、還元性雰囲気下とするのは、半導体ナノ粒子は、微粒子であるため酸化されやすく、特に表面が絶縁性の酸化物となっており、パターン状に塗布された半導体ナノ粒子を焼成しても、粒子間が導通された状態とならず、十分な半導体特性を得ることができないため、表面の酸化皮膜等を還元除去するためである。半導体ナノ粒子は、分散剤等の有機物が除去され、表面の酸化被膜等が還元除去された状態では、本来の半導体材料と比べて融点が低くなるために、プラズマから与えられる熱などによって、容易に粒子どうしが焼結するようになる。また、本発明には粒子内部まで酸化された半導体ナノ粒子を用いてもよい。
なお、還元性雰囲気を形成する還元性気体としては、水素、一酸化炭素、アンモニアなどのガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられるが、特に、微粒子表面に付着した有機物の除去には水素ガスが好ましい。
また、還元性気体には、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生し易くなるなどの効果がある。
(表面波プラズマの発生方法)
本発明においては、マイクロ波エネルギーの印加により、表面波プラズマを発生させ、この表面波プラズマに、前述した半導体ナノ粒子を含む塗布液を用いて形成されたパターン状の印刷層を晒して焼成処理することにより、半導体基板を製造する。
前記表面波プラズマの発生方法に特に制限はなく、例えば減圧状態の焼成処理室の誘電体照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段を用いるのが、大面積の基板の処理ができる点で好ましい。
なお、マイクロ波エネルギーは2450MHzの高周波エネルギーを言うが、マイクロ波発振装置であるマグネトロンの精度誤差などのために2450MHz/±50MHzの周波数範囲が許されている。
また、照射時間は、10秒〜10分程度が好ましい。
なお、上記空隙率は、5万倍の倍率で得た走査型電子顕微鏡像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない気孔部分の比率により算出する。10箇所の写真で算出した値を平均して求める。
本発明はまた、前述した本発明の製造方法により得られた半導体基板、及び該半導体基板を備えてなる電子部材をも提供する。
本発明の半導体基板は、前述した本発明の方法により製造されてなる、基材上にパターン状の半導体層を有するものであって、該半導体層は、半導体粒子の成長が抑制され、ち密かつ平滑で、良好なキャリア移動度を有するなど、半導体性能に優れている。本発明の方法により製造された半導体基板は、半導体層の厚さを200nm以下と極めて薄い膜とすることができ、半導体ナノ粒子を含む塗布液の粘度や塗布量などの調製により、例えば120nm以下、100nm以下、さらには10〜50nm程度の薄い半導体層を製造することも可能である。すなわち、本発明の半導体基板は、上記したような半導体特性に優れているだけでなく、その半導体層の厚さが非常に薄いものである。
半導体基板の半導体層には、用途に応じて、該半導体層の上に、更に、電極、絶縁層、酸化防止層、ガスバリア層、拡散防止層などの機能層を形成することができる。
なお、各例で得られた半導体基板について、移動度及びキャリア密度によって評価した。評価方法は以下のとおりである。
(キャリア密度の測定方法及び半導体移動度の測定方法)
成書「半導体評価技術」(河東田隆編著 産業図書株式会社発行)p222〜225に記載のvan der Pauw法に準拠し、全面にGe膜が塗布された1cm四方の試料の4隅に、銀ペーストを用いて電極を形成した試料片を作製し、測定に用いた。
実施例に使用したゲルマニウムナノ粒子Aは、下記のとおり調製した。
分散媒として、(A)ライオン拡散ポンプ油(ライオン社製)380gを用い、これにポリイソブテニルコハク酸四アミンイミド(三洋化成工業社製)を20g添加し撹拌した。なお、ライオン拡散ポンプ油は、炭素数12〜16個のアルキル基を有するアルキルナフタレンである。
続いて、回転ドラム式の蒸着チャンバーに上記分散媒(A)を入れ、蒸着源にゲルマニウムの粒を入れ、次いで真空ポンプで減圧し、チャンバー内の圧力を10-3Paとした。チャンバーを水流で冷却させながら回転させ、ゲルマニウム(Ge)が溶解・蒸発するまで加熱した。ゲルマニウム(Ge)粒が蒸発し、界面活性剤が溶解している分散媒中に蒸着され、界面活性剤に取り込まれることにより、ゲルマニウムナノ粒子Aが分散した分散液が形成された。
上記のようにして調製したGeナノ粒子A分散液50gに、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記載する。)を加え、全体で500mLになるように調整し、撹拌後、25℃で1日間、静置してGeナノ粒子Aを沈降させた。上澄みを捨て、再びMEKを加える操作を行い、分散媒を除去した。
次いで、MEKを、減圧留去により減量し、トルエンを加え再分散させ、固形分を22質量%に調整し、Geナノ粒子A分散液を得た。透過型電子顕微鏡観察により、平均1次粒子径6nm程度のGeナノ粒子Aが凝集することなく分散されていることが確認できた。
上記の方法にて調製した、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子Aのトルエン分散液を、厚み0.7mmの無アルカリガラス基材(コーニング社製、1737)上に、インクジェット印刷法(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)によりパターン状に印刷した後、オーブンで400℃、60分間熱処理を行った。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子社製)により処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量100mL/分、マイクロ波出力1000Wで、3分間処理を実施した。
得られた半導体膜について、膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製 Dektak6M)により測定したところ、0.5μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗率を測定したところ、1.0×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、15cm2/Vsであった。また、キャリア密度は約1016/cm3であった。
得られた半導体膜表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で、倍率5万倍で観察した。該電子顕微鏡で撮影した5万倍の写真を図1に示す。
また、5箇所の観察像を得て、得られた観察像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない空隙部分の比率により算出して平均して得られた表面の空隙率は、7.5%であった。
上記の方法にて調製した、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子のトルエン分散液を、厚み75μmのポリイミド基材(東レ・デュポンフィルム製、カプトン300H)上に、インクジェット印刷法(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)によりパターン状に印刷した後、オーブンで300℃、60分間熱処理を行った。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子社製)により処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量100mL/分、マイクロ波出力1000Wで、2分間処理を実施した。
得られた半導体膜について、膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製 Dektak6M)により測定したところ、0.7μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗率を測定したところ、1.2×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、8cm2/Vsであった。また、キャリア密度は約1017/cm3であった。
得られた半導体膜表面について、実施例1に記載するのと同様の方法で測定した空隙率は8.6%であった。
ゲルマニウムナノ粒子Bは、下記のとおり調製した。
分散媒として、(A)アルキルナフタレン(アルキル基:炭素数16〜20)280gを用い、これにテトラプロペニル無水コハク酸120gを添加し攪拌した。
続いて、回転ドラム式の蒸着チャンバーに上記分散媒(A)を入れ、蒸着源にゲルマニウムの粒を入れ、次いで真空ポンプで減圧し、チャンバー内の圧力を10-3Paとした。チャンバーを水流で冷却させながら回転させ、ゲルマニウム(Ge)が溶解・蒸発するまで加熱した。ゲルマニウム(Ge)粒が蒸発し、界面活性剤が溶解している分散媒中に蒸着され、界面活性剤に取り込まれることにより、ゲルマニウムナノ粒子Bが分散した分散液が形成された。
上記のようにして調製したGeナノ粒子B分散液100gに、メタノール500gを加えて攪拌した。Geナノ粒子Bを含む液体が分離・沈降することから、遠心分離機を用いて(10000×g,5分間)、当該液体を完全に分離し、上澄みを除去した。残った沈殿物に酢酸エチルを500g加えて攪拌し、Geナノ粒子Bを含む液体を、再度遠心分離機を用いて(10000×g,5分間)完全に分離し、上澄みを除去し、この作業を3回繰り返した。
残った沈殿物をナスフラスコに回収し、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒を除去し、得られた固形物10gにトルエン10gを加え、さらにオレイルアミン2.5gを加えて攪拌した。得られた液体は黒褐色を呈し、目視で凝集を確認できないGeナノ粒子B分散液を得た。透過型電子顕微鏡の観察により、平均一次粒子径10nm程度のゲルマニウム(Ge)ナノ粒子Bが凝集することなく、分散されていることが確認された。また当該分散液の固形分は14.7%であり、粘度は0.9mPa・sであった。
基材洗浄のため、高周波プラズマ処理装置(キャノンアネルバエンジニアリング株式会社製,PED−350)により、石英ガラス基材(旭硝子社製)の表面処理を酸素ガスで10分間実施した。また、Geナノ粒子B分散液を、石英ガラス上にスピンコートした後、オーブンで500℃、30分間大気下にて熱処理を行った。
次いで、Geナノ粒子Bがスピンコートされた石英ガラス(以下、単に試料という。)を、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子社製)のプラズマチャンバー内の試料台にセットし、試料を350℃まで加熱した後、プラズマ処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量10mL/分、マイクロ波出力1000Wで、2分間処理を実施して、石英ガラス上にゲルマニウム膜を有する半導体基板を得た。該半導体基板のプラズマ処理終了直後の温度は450℃であった。
また、得られた半導体膜表面について、実施例1に記載するのと同様の方法で測定した空隙率は10.3%であった。
実施例1で用いたのと同様の、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子のトルエン分散液を0.75mm厚の石英基材(旭硝子社製、合成石英AQ)上に、インクジェット印刷(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)により塗布膜をパターン状に形成した後、オーブンにて400℃、60分間熱処理した。その後、水素ガスを用いた還元性雰囲気下650℃で、還元し半導体基板を得た。
なお、還元は、10℃/分で昇温し、650℃30分保持し、その後空冷した。還元ガスとして、アルゴン/水素=96/4(体積比)の混合ガスを使用した。
上記半導体基板について、半導体膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製Dektak6M)により測定したところ、0.5μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗を測定したところ、1.7×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、約9cm2/Vsであり、キャリア密度は、約1016/cm3であった。
得られた半導体膜表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で、倍率5万倍で観察した。該電子顕微鏡で撮影した5万倍の写真を図2に示す。
また、5箇所の観察像を得て、得られた観察像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない空隙部分の比率により算出して平均して得られた表面の空隙率は、18.8%であった。
実施例1で用いたのと同様の、平均1次粒子径が6nmのゲルマニウムナノ粒子のトルエン分散液を0.75mm厚の石英基材(旭硝子社製、合成石英AQ)上に、インクジェット印刷(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)により塗布膜をパターン状に形成した後、オーブンにて350℃、60分間熱処理した。その後、高周波水素プラズマ処理により還元し、半導体基板を得た。
なお、高周波水素プラズマ処理は、装置としてキャノンアネルバエンジニアリング社製の「PED−350特型」を用い、水素導入圧力10Pa、水素流量100mL/分とし、高周波電力500W、プラズマ処理時間を20分とした。
上記半導体基板について、半導体膜厚を触針式表面形状測定器(アルバック社製Dektak6M)により測定したところ、0.5μmであった。また、低抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)によりJIS K 7194に準拠して表面抵抗を測定したところ、表面抵抗は、6.9×105Ω/□であった。また、van der Pauw法により移動度を測定したところ、約5cm2/Vsであり、キャリア密度は、約1017/cm3であった。
得られた半導体膜表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で、倍率5万倍で観察した。5箇所の観察像を得て、得られた観察像を画像解析し、粒子が存在する部分と、粒子が存在しない空隙部分の比率により算出して平均して得られた表面の空隙率は、16.0%であった。
Claims (10)
- 基材上に、半導体ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに前記印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする半導体基板の製造方法。
- 表面波プラズマを還元性気体の雰囲気下で発生させる請求項1に記載の半導体基板の製造方法。
- 還元性気体の雰囲気が水素を含む気相雰囲気である請求項2に記載の半導体基板の製造方法。
- 半導体ナノ粒子の平均1次粒子径が1〜100nmである請求項1〜3のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
- 半導体ナノ粒子がゲルマニウムナノ粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
- 基材がシリコンウェハ、ガラス基板及びセラミック基板の中から選択される請求項1〜5のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
- 基材が融点200℃以上のプラスチックフィルムからなる請求項1〜5のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする半導体基板。
- 走査型電子顕微鏡で観察した観察像において、半導体層表面における空隙率が15%以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体基板。
- 請求項8又は9に記載の半導体基板を備えていることを特徴とする電子部材。
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