JP2010105295A - 積層ポリアミド系樹脂フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

積層ポリアミド系樹脂フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】同時二軸延伸法で問題となる応力緩和に起因する延伸ムラ、厚さムラの拡大を極力抑え、均一で優れた品質安定性を有する積層ポリアミド系樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】第1の樹脂層(X)の少なくとも片面に第2の樹脂層(Z)が積層された積層フィルムである。第1の樹脂層(X)は、キシリレンジアミン成分と炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分とから形成されたポリアミド樹脂(A)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物とのいずれかにて構成されたものである。第2の樹脂層(Z)は、ポリアミド樹脂(B)にて構成されたものである。この積層フィルムは、厚さムラ拡大率が3.5倍以下であり、厚み方向の屈折率の、全平面における変動率が0.5%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は積層ポリアミド系樹脂フィルムおよびその製造方法に関する。
ナイロンを主成分とする二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、強靭で、耐ピンホール性、透明性、印刷性等に優れているところから、液状食品、含水食品、冷凍食品、レトルト食品、ペースト状食品、畜肉・水産食品等の各種の食品の包装材料として広く実用化されている。特に近年では、レトルト食品の包装に広範に使用されている。
通常、二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、単体では使用されず、ポリエチレン系樹脂フィルムやポリプロピレン系樹脂フィルム(シーラント)とラミネートされ、袋状に加工されて包装材料となる。また、必要に応じて、易接着コート、帯電防止コート、バリア性発現コートなどの処理が施されたり、蒸着加工などの処理が施されたり、コロナ処理などが施されたりした後で、シーラントとラミネートされ、袋状に加工されて包装材料となる場合も多い。
しかし、ポリアミド系樹脂フィルム単体では、ガスバリア性に限界があり、生鮮食料品等の包装用途に必ずしも適しているとは言えない。ポリアミド系樹脂フィルムのガスバリア性を向上させるための手段として、ガスバリア性を発現する樹脂の層を積層する方法が知られている。しかし、異種の層を積層してフィルム化するために、積層されたポリアミド系樹脂フィルムの物性を均一にすることが難しい。
積層ポリアミド系樹脂フィルムの物性がフィルムの幅方向および長さ方向に不均一であると、該フィルムをベースとしたコートフィルムや蒸着フィルムを製造する際に、コート層や金属蒸着層の厚みにバラツキが生じたり、コート層あるいは金属蒸着層との接着強度にバラツキが生じたりしやすい。その結果、易接着性能や帯電防止性能やガスバリア性能が不均一なものとなってしまう。またシーラントとのラミネート加工の際にフィルムが湾曲状に変形してしまうS字カール現象が起こったりするため、問題となる。
通常、二軸延伸積層ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法としては、押出工程で実質的に無配向の二種以上の樹脂を別々の押し出し機より押し出して、積層された未延伸フィルムを連続的に成型し、この積層未延伸フィルムをそのフィルムの縦方向と横方向の二軸に引き延ばすことで、充分に分子配向された高強度の二軸配向積層フィルムを得る方法が採用されている。二軸延伸方法には、縦延伸した後に引き続き横延伸する逐次二軸延伸法と、縦・横同時に延伸する同時二軸延伸法とがある。
逐次延伸法については、特許文献1で、積層ポリアミド系樹脂フィルムロールの沸水収縮率、沸水収縮率方向差、厚み斑、厚み方向の屈折率などを特定の数値範囲に調整し、かつこれらの長さ方向の変動率を規定することにより、S字カール現象を生じない蒸着二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得る方法が提案されている。
特許文献1では、ポリアミド系樹脂フィルムの長さ方向のばらつきのみに着目している。一般にポリアミド系樹脂フィルムには、製造時のフィルムの横方向(「幅方向」ともいう)と縦方向(「長さ方向」ともいう)とで機械特性の値に差がある。そのため、特許文献1に記載された技術では、フィルムを包装材料などの製品に加工した際に、製品性能に異方性が出て、使い勝手が悪くなる問題がある。
同時二軸延伸法は、逐次二軸延伸法に比べて、フィルム面方向の配向バランスが均質なフィルムが得られるという優れた利点があるため、特許文献1の技術の問題点を解決するためには有効な方法である。しかし、物理的に複雑な延伸機構、つまり未延伸フィルムの端部を把持したクリップの走行速度を機械的或いは電気機器的に加速制御するという縦延伸機構を伴うために、延伸工程で均一に延伸変形させることは難しい。
従来から、同時二軸延伸法における縦延伸倍率の軌跡を工夫することで、延伸工程における変形挙動の均一化を図る検討がなされている。延伸倍率の軌跡とは、延伸開始点から最大延伸倍率到達点に至るまでの延伸倍率の変化をいう。
例えば、ボーイング現象を抑制しようとする手段として、縦方向に弛緩処理しながら横方向に延伸する方法(特許文献2)、或いは縦延伸倍率軌跡を横延伸倍率軌跡より先行させる方法(特許文献3)などが提案されている。縦延伸倍率軌跡を横延伸倍率軌跡より先行させるとは、倍率の変化を正規化したときに、延伸開始点から最大延伸倍率到達点に至るまでの任意の点において、縦延伸倍率の変化値の方が横延伸倍率の変化値よりも大きな値となるようにすることをいう。
しかしながら、特に縦延伸倍率軌跡を巧く制御できないと、応力緩和に起因する延伸ムラが発生して厚さムラが拡大するという問題がある。この延伸工程で生じる延伸ムラは、先ず厚さムラとして現れると共に、分子配向の違いによるフィルム物性のムラに繋がる。この物性のムラは、直接フィルム生産工程の弊害に関わらなくても、包装用途の一例としての、フィルム製品の印刷ラミネート加工・製袋充填加工といった加工工程において、印刷ピッチずれ・蛇行・シール不良・製袋ムラなどのトラブル発生につながる。かつ、そのためにフィルム加工製品の品質悪化を招くことになる。こうしたフィルムは、特に物性バランスが要求される用途においては、延伸されたフィルム全幅を同一物性を有するものとして扱うことができないことになる。
特許第3829866号公報 特開2000−309051号公報 特開2002−370278号公報
本発明は、上記同時二軸延伸法で問題となる応力緩和に起因する延伸ムラ、厚さムラの拡大を極力抑え、均一で優れた品質安定性を有する積層ポリアミド系樹脂フィルムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)第1の樹脂層(X)の少なくとも片面に第2の樹脂層(Z)が積層された積層フィルムであり、第1の樹脂層(X)は、キシリレンジアミン成分と炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分とから形成されたポリアミド樹脂(A)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物とのいずれかにて構成されたものであり、第2の樹脂層(Z)はポリアミド樹脂(B)にて構成されたものであり、フィルムの厚さムラ拡大率が3.5倍以下であり、フィルムの厚み方向の屈折率の、全平面における変動率が0.5%以下であることを特徴とする積層ポリアミド系樹脂フィルム。
(2)フィルムの厚さムラ拡大率が2.5倍以下であり、フィルムの厚み方向の屈折率の、全平面における変動率が0.25%以下であることを特徴とする(1)の積層ポリアミド系樹脂フィルム。
(3)上記(1)または(2)の積層ポリアミド系樹脂フィルムを製造するための方法であって、ダイから溶融押出した積層樹脂シートをキャストロールに押し付けて得た未延伸フィルムの端部をクリップで把持してテンター法により縦・横同時に二軸延伸し、その際に、横延伸倍率軌跡が最大倍率に到達する迄は、フィルムの長さ方向に隣り合うクリップ間の距離で表す縦延伸倍率軌跡を最大延伸倍率の5%以上降下させないことを特徴とする積層ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
(4)縦延伸倍率軌跡を、フィルムの幅方向に向かい合うクリップ間の距離で表す横延伸倍率軌跡より先行させることを特徴とする(3)の積層ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
(5)リニアモータ方式で駆動されているテンター法同時二軸延伸機を用いることを特徴とする(3)または(4)の積層ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、均一で優れた品質安定性を有する積層ポリアミド系樹脂フィルムを得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムは、バリア層としての第1の樹脂層(X)の少なくとも片面に基材層としての第2の樹脂層(Z)が積層され、第1の樹脂層(X)は、キシリレンジアミン成分と炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分とから形成されたポリアミド樹脂(A)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物とのいずれかにて構成されたものであり、第2の樹脂層(Z)はポリアミド樹脂(B)にて構成されたものである。
第1の樹脂層(X)に含有されるポリアミド樹脂(A)としては、キシリレンジアミン成分すなわちメタ及び/又はパラキシリレンジアミンと、炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸とから、重縮合反応によって得られたポリアミド樹脂を挙げることができる。特に、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とから合成されるポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)が好適である。また第1の樹脂層(X)には、基材層としての第2の樹脂層(Z)との層間剥離強力を向上させる目的で、第2の樹脂層(Z)を構成するポリアミド樹脂(B)を20質量%未満含有させてもよい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)としては、エチレン成分の含有率が20〜50モル%、好ましくは27〜44モル%、酢酸ビニル成分のけん化度が96モル%以上、好ましくは99モル%以上のものが、ガスバリア性や強度に優れるため、好ましい。EVOHには、その特性を損なわない限り、EVOHと親和性のある樹脂、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤などを添加することができる。
ポリアミド樹脂(A)又はEVOHは、バリア層としての第1の樹脂層(X)構成する樹脂中に80質量%以上含有されていることが好ましい。含有量が80質量%未満であると、所要のバリア性能を発揮しにくくなる。このため、90質量%以上含有されていることがさらに好ましい。
基材層としての第2の樹脂層(Z)を構成するポリアミド樹脂(B)としては、たとえば、ε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。
具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムなどを挙げることができる。ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを挙げることができる。二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸などを挙げることができる。ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン等を挙げることができる。
そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、たとえばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6(メタキシリレンアジパミド6)、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等を用いることができる。加えて、本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムの第2の樹脂層(Z)を製造する場合には、上記したポリアミド樹脂を単独で、あるいは、2種以上を混合して、用いることができる。
本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムを構成するポリアミド樹脂(A)およびポリアミド樹脂(B)の相対粘度は、2.0〜3.5であるのが好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度は、得られる二軸延伸フィルムの強靭性や延展性等に影響を及ぼし、相対粘度が2.0未満のものでは衝撃強度が不足気味になり、反対に、相対粘度が3.5を超えるものでは、延伸応力の増大によって二軸延伸性が悪くなる傾向があるからである。なお、ここにいう相対粘度とは、ポリマーを96%硫酸に濃度1.0g/dlに溶解した溶液を用いて25℃で測定した場合に得られる値をいう。
ポリアミド樹脂(B)及びポリアミド樹脂(A)には、他のポリアミドや熱可塑性樹脂を配合しても良い。この場合、その配合量は、樹脂層(Z)または樹脂層(X)の20質量%以下であることが好ましい。特に、バリア層として機能するポリアミド樹脂(A)を積層することによって、積層フィルム全体の耐衝撃性が低下する場合があるため、それを補う目的で、樹脂層(X)または/および樹脂層(Z)に0.5〜20質量%の熱可塑性エラストマーを添加することが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、たとえば、ナイロン6やナイロン12等のポリアミド系樹脂とPTMG(ポリテトラメチレングリコール)やPEG(ポリエチレングリコール)等とのブロックあるいはランダム共重合体等のポリアミド系エラストマー;エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ブテン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等のポリオレフィン系エラストマー;エチレン系アイオノマー等のオレフィン系樹脂のアイオノマー等が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)には、その特性を阻害しない範囲内で、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等の各種の添加剤を含有させることも可能である。特に、二軸延伸フィルムの滑り性を良好にする目的で、各種の無機粒子を滑剤として含有させることが好ましい。加えて、表面エネルギーを下げる効果を発揮するエチレンビスステアリン酸等の有機滑剤を添加すると、フィルムロールを構成するフィルムの滑り性が優れたものになるので好ましい。これらの目的のため、滑剤の添加量は、0.01〜1質量%の範囲が好ましい。
特に、バリア層としての第1の樹脂層(X)がポリアミド樹脂(A)にて構成されている場合は、基材層としての第2の樹脂層(Z)との層間剥離力を向上させる目的で、両者の間に接着層(Y)を加えることが好ましい。接着層(Y)を構成する樹脂としては、ポリアミド樹脂(A)と非晶性ポリアミド樹脂の混合物、またはポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との混合物が好ましい。接着層(Y)における、非晶性ポリアミド樹脂又はポリアミド樹脂(B)の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、20〜80%であることがさらに好ましく、40〜70%であることがよりいっそう好ましい。
ここでいう非晶性ポリアミド樹脂とは、結晶性がないものか、結晶性の乏しいものを総称したものである。結晶性が乏しければ特に制限はないが、一般には、結晶化を阻害するような構造、すなわち側鎖や環構造を有するモノマー成分からなる重合体を挙げることができる。このような重合体としては、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸と、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジシクロヘキシレンメタン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシレンプロパン、イソフォロンジアミン等のジアミンとの反応により得られるポリアミドを挙げることができる。あるいは、上記成分にさらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合したポリアミドを挙げることができる。
本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムは、ポリアミド樹脂(A)またはEVOHを主成分とするバリア層としての第1の樹脂層(X)の少なくとも片面に、ポリアミド樹脂(B)を主成分とする基材層としての第2の樹脂層(Z)が積層されたフィルムである。積層の形態としては、Z/X、Z/X/Z、X/Z/X、またはこれに接着層(Y)を加えた、Z/Y/X/Y/Z、X/Y/Z/Y/Xなどが挙げられる。中でも、バリア層(X)を中間層とした、Z/X/ZまたはZ/Y/X/Y/Zが好ましい。
本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムの各層の厚さに関し、ポリアミド樹脂(B)にて構成される第2の樹脂層(Z)は、通常2〜35μm、好ましくは3〜20μm程度とするのがよい。バリア層としての第1の樹脂層(X)は、通常1〜20μm、好ましくは2〜15μm程度とするのがよい。接着層(Y)については、通常0.3〜10μm、好ましくは0.5〜5μm程度とするのがよい。
本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムは、厚さムラ拡大率が3.5倍以下であることが必要である。好ましくは、2.5倍以下である。
本発明でいう厚さムラ拡大率とは、単位長さの未延伸フィルムの厚さ変動係数と、その延伸された後の延伸フィルムの厚さ変動係数を比較した拡大倍率をいう。変動係数とは、標準偏差の平均値に対する比で、データのばらつき度を表す統計用語である。
より具体的に説明すると、本発明でいうフィルムの厚さ変動係数とは、以下のことを意味する。すなわち、未延伸フィルムの厚みを、フィルムの幅方向に所定ピッチpの間隔でn個所について求め、これをフィルム長さ方向に沿った一定距離dごとにm個所、合計n×m=nm箇所について測定する。そして、得られた全データより標準偏差と算術平均とを求めたうえで変動係数を求め、これを未延伸フィルムの厚さ変動係数CADとする。次に二軸延伸後のフィルムの厚みを幅方向に[p×横延伸倍率×リラックス率]ピッチでn箇所測定し、これを長さ方向[d×縦延伸倍率×リラックス率]毎にm箇所測定する。そして、得られた全データ(n×m箇所)より同様にして変動係数を求め、延伸フィルムの厚さ変動係数CBOとする。そして上記のCADに対するCBOの倍率(CBO/CAD)を求め、これを厚さムラ拡大率とする。
厚さムラ拡大率は、フィルムを延伸した時に、そのフィルムの厚さが、フィルムの位置によってどの程度ばらつくかの程度を表すものである。この厚さムラ拡大率が3.5倍以下であると、フィルム加工時にタルミやしわのないフィルムが得られ、蒸着加工工程やラミネーション工程で不具合が生じることがなく、生産性良く製品を製造することが可能である。また、このようなフィルムでは製造したフィルムのほぼ全幅を製品とすることができ、生産性が高い。
厚さムラ拡大率が3.5倍を越えると、30000mを越える長尺フィルロールにすることが困難となる。仮にできたとしても、蒸着加工、印刷加工、ラミネーション加工などの加工時にタルミやしわが生じやすい。
このため、厚さムラ拡大率は、蒸着や印刷などの加工するときのフィルムロールの全幅について、測定し評価することが必要である。
次に、フィルムの厚み方向の屈折率の、全平面における変動率について説明する。本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムは、フィルムの厚み方向の屈折率の、フィルム長さ方向における変動率とフィルム幅方向における変動率とを含めた、全平面における変動率が、0.5%以下であることが必要である。好ましくは、0.25%以下、より好ましくは0.19%以下である。
本発明でいうフィルムの厚み方向の屈折率の全平面における変動率とは、以下のことを意味する。すなわち、延伸フィルムの全幅にわたる複数の位置で試料を切り出し、この切り出しをフィルムの長さ方向に沿った一定距離毎に複数箇所について行い、多数の試験片を得る。そして、得られた試験片についてその厚み方向の屈折率を測定し、多数点のデータより平均屈折率、最大屈折率、最小屈折率を求め、下記式より平均値との差の大きい方の値をもって屈折率の変動率とする。
変動率=(|最大屈折率または最小屈折率−平均屈折率|×100)/平均屈折率
フィルムの厚み方向の屈折率の全平面における変動率は、フィルムの位置によって、延伸の度合いのばらつきを表すものである。
すなわち、厚み方向の屈折率は、フィルムを構成する樹脂によって異なり、この値自体を規定することにはあまり意味がない。例えば、ナイロン6ならば1.504〜1.505であるが、ナイロン6にポリ(メタキシリレンアジパミド)などを添加すると屈折率が上昇するからである。しかし、この厚み方向の屈折率は、未延伸フィルムを延伸していくと順次低下するため、延伸の指標のひとつとなる。つまり、フィルムにおける屈折率の変動には意味が有り、フィルムの長さ方向における上記屈折率の変動値と、フィルムの幅方向における上記屈折率の変動値とを小さくすることにより、縦/横の物性バランスがよい優れたフィルムとなる。その結果、印刷製袋時の印刷ズレや製袋品のひねりなどが発生せず、良好な製品が得られる。
上記の範囲を外れた場合は、縦方向/横方向の物性バランスが悪いフィルムとなる。このようなフィルムでは、印刷製袋時の印刷ズレや製袋品のひねりなどが発生し、製袋加工の不良率が高くなる。
このような観点から、厚み方向の屈折率の全平面における変動率は、蒸着や印刷などの加工するときのフィルムロールの全幅について、測定し評価することが必要である。
さらに、本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムには、用途に応じて寸法安定性を良くするために、熱処理や調湿処理を施すことも可能である。加えて、フィルム表面の接着性を良好にするために、コロナ処理、コーティング処理、火炎処理等を施したり、印刷等の加工を施したりすることも可能である。
次に、上述の物性を有する本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムを得るための好ましい製造方法について説明する。
本発明の積層ポリアミド系樹脂フィルムは、積層未延伸シートを製膜した後、延伸を施すことにより得られる。積層未延伸シートは、公知の共押出法で得ることができる。すなわち、各層を構成する数種の樹脂を別々の押出機を用いて溶融し、フィードブロック法により重ね合わせた後、ダイスより押し出す方法と、溶融した数種の樹脂をマルチマニホールドダイス中で重ね合わせた後、押し出す方法と、これら両方法を組み合わせた方法とが挙げられる。
本発明においては、このようにして得られた積層未延伸フィルムの幅方向の両端部をそれぞれクリップで把持してフィルムの縦方向と横方向とに同時に二軸延伸する、テンター法同時二軸延伸方法を採用する。この同時二軸延伸方法において、横延伸倍率軌跡が最大倍率に到達する迄は、クリップ間距離で表す縦延伸倍率軌跡を最大延伸倍率の5%以上降下させないことが最も重要である。更に好ましくは2%以下降下させないことである。
二軸延伸フィルムはフィルムの縦方向に連続した状態で製造されるが、前述のように縦延伸倍率軌跡とは、延伸装置におけるフィルムの縦方向に沿った延伸開始点の位置から、同縦方向に沿った最大延伸倍率到達点の位置に至るまでの間の延伸倍率の変化をいう。また、フィルム横方向についての延伸倍率軌跡を横延伸倍率軌跡と呼ぶ。
従来においては、たとえば特開平2−131920号公報(特に第2頁左下欄第15〜17行目)などに見られるように、延伸倍率軌跡をガイドレールの形状で決定していた。これに対し本発明では、延伸倍率軌跡をクリップの移動軌道に基づいて決定する。特に、縦延伸倍率軌跡としては、(i)隣り合うクリップとクリップの直線距離として表すものと、(ii)このクリップ間距離を縦(フィルム流れ)方向に投影した距離で表すものとを考えることができるが、本発明では(i)を用い、これを「クリップ間の距離で表す縦延伸倍率軌跡」という。
このように延伸倍率軌跡をクリップの運動に基づいて決定する理由は、次の通りである。すなわち、テンター式の同時二軸延伸装置において、クリップは、ガイドレールに案内されて走行する支持体に取り付けられているが、支持体やレールからのオイル飛びによるフィルム汚染を防止するために、支持体すなわちガイドレールの位置からフィルム側に離して設けられる。このため、クリップの移動軌道は、支持体の走行軌道すなわちガイドレールの形状とは異なったものになる。つまり、クリップの移動軌道は、ガイドレールの形状に対して歪んだものとなる。
図1は、縦延伸倍率軌跡の一例を示す。フィルムの延伸処理に際しては、予熱・延伸・熱処理の各工程が行なわれる。図1の縦延伸倍率軌跡は、図よりも左側で予熱工程を経たフィルムが延伸工程で延伸処理されるときの延伸倍率軌跡を示すものである。延伸処理されたフィルムは、図よりも右側で熱処理工程に供される。上記した従来の技術のように延伸倍率軌跡をガイドレールの形状で決定する場合は、この延伸倍率軌跡がガイドレールの形状に相当することになる。図1において、11は延伸開始点、12は最大延伸倍率到達点を示す。13は、同時二軸延伸機の予熱ゾーンの平行直線走行部から延伸漸広走行部に移行する延伸序盤部を示す。また14は、延伸漸広走行部から熱処理ゾーンの平行直線走行部に移行する延伸終盤部を示す。
図2は、延伸序盤部13における実際の機構を示す。21はガイドレール、22は支持体、23はクリップである。延伸序盤部13ではガイドレール21はカーブしており、支持体22は、ガイドレール21に案内されて、ガイドレール21の形状の通りの軌道に沿って走行する。これに対しクリップ23は、ガイドレール21からフィルム側に離れた位置で支持体22に取り付けられているため、その移動軌道はガイドレール21の形状に対して歪んだものとなる。ここでは、図示のようにガイドレール21の形状に比べてクリップ間直線距離Dの方が大きくなり、つまりクリップ間直線距離Dに開きが生じ、それにもとづく歪みが発生する。
図3は、延伸終盤部14における実際の機構を示す。ここでも、ガイドレール21はカーブしており、クリップ23の移動軌道はガイドレール21の形状に対して歪んだものとなる。そして、ここでは、図示のようにガイドレール21の形状に比べてクリップ間直線距離Dの方が小さくなり、つまりクリップ間直線距離Dに縮みが生じ、それにもとづく歪みが発生する。
なお、図2および図3はフィルムの幅方向の一端部を示すものである。実際には、フィルムの幅方向の他端部においても、これらとは対称な機構によって、同様に処理が行われる。つまり、フィルムは、その幅方向の両端部が縦方向および横方向に引っ張られることによって、同時二軸延伸される。
以上から明らかなように、ガイドレール21の形状によって延伸倍率軌跡を規定した場合には、実際の延伸倍率軌跡に歪みが発生する。この歪は、上述のように、図2に示した予熱ゾーンの平行直線走行から延伸漸広走行に移行する延伸序盤部13における湾曲軌道と、図3に示した次に延伸漸広走行から熱処理ゾーンの平行直線走行に移行する延伸終盤部14における逆湾曲軌道の2ヶ所において主に発生する。つまり、延伸序盤部13の湾曲軌道では、クリップ間距離Dは一旦先行して開き又戻るように変化し、延伸終盤部14の湾曲軌道では、クリップ間距離Dは一旦縮まり又戻るように変化する。特に延伸終盤部14はフィルム延伸応力がフィルム面に強く掛かっている段階であるので、延伸途中で縦方向に一時的に緩め、その後に再び戻って引き伸ばすという動作は、延伸ゾーンでのフィルム面全体の延伸変形挙動に大きく悪影響を及ぼすことになる。
この点について詳細に説明する。同時二軸延伸は、フィルムを縦方向と横方向との二軸方向に同時に引き伸ばす機構を有するものである。つまり、縦延伸として、フィルム走行方向に向かって右及び左に配列されかつフィルム端部を把持して走行するクリップ列の隣同士のクリップとクリップの間隔を次第に広げてフィルム走行方向に引き伸ばす(加速する)ことと、横延伸として、フィルム走行方向に向かって右左に対向するクリップのクリップ間距離を次第に広げて幅方向に引き伸ばすこととが、同時に行われる延伸方法である。そのとき、機械的に漸広する縦方向と横方向の延伸倍率変化が、実際のフィルム変形に相互に影響するのである。その理由は、縦(又は横)一軸方向の延伸変形が行われると、その直角方向である横(又は縦)に収縮応力が作用することによる。つまり、フィルム面には、縦(又は横)一軸方向の延伸応力に加え、その直角方向の収縮応力が加重され、相互に且つ同時に作用しているためである。
仮に縦延伸倍率が、延伸途中で一時的に降下して再び戻って上昇するという変化を呈すると、一時的に延伸応力低下を起こし、その応力低下は縦方向の応力緩和と共に横方向にも波及して、再び縦延伸倍率が戻っても、延伸ゾーンには縦延伸倍率が降下する前の延伸応力と再び延伸倍率が戻ったときの延伸応力とが平衡して存在することになる。横延伸倍率は既に進行しているので、フィルムとフィルムとが引っ張り合う延伸ゾーンでは面倍率の異なる延伸ムラが応力平衡して存在することになり、特にフィルムに厚さムラがあると、延伸応力の低い厚い部分は、最大延伸倍率に至らずそのまま延伸ゾーンを通過してしまう結果となる。そのため、延伸されたフィルムの厚さムラ拡大率は増加することになる。この現象は、特にポリアミド系樹脂フィルムで顕著である。
このように場所によって面倍率の異なる(厚さムラ拡大率の大きい)フィルムでは、面倍率の低い部分は厚み方向の屈折率が低くなり、面倍率の高い部分は厚み方向の屈折率が高くなるので、屈折率の変動が大きく現れる。特にフィルムロールの中央部と端部のフィルムの厚み方向の屈折率に差が生じると、その結果、斜め方向の収縮差が大きく変動して、製袋時にS字カールが著しい袋ができてしまい、充填ミスなどの原因となる。
本発明の製造方法の主旨は、同時二軸延伸の途中で縦延伸倍率軌跡の歪みに起因する応力を許容限度を超えて低下させてはいけないということにある。
この延伸ゾーンでの応力は、例えば、クリップに掛かるフィルム延伸応力を計測することで解析することができる。クリップに掛かるフィルム延伸応力成分及びベクトル合成応力とその傾きの関係を図4に示す。
ここで、クリップ23の走行移動の接線進行方向に掛かる応力FRD(逆方向は−FRD)とクリップ走行移動の法線方向に掛かる応力FVDとは実測できるので、クリップ23の走行移動角αから、縦進行方向の応力成分FMD(逆方向は−FMD)と横方向の応力成分FTD、更にそのベクトル合成応力FCP、FCPの傾きφとが計算できる。応力FCPは、フィルムからクリップ23に掛かる応力、つまり逆の見方をすればフィルムに与えられる応力の大きさを意味する。
本発明では、横延伸倍率軌跡が最大倍率に到達する迄は、縦延伸倍率軌跡を最大延伸倍率の5%以上降下させないようにして、得られるフィルムの品質に悪影響が出る程度までベクトル合成応力FCPを降下させないようにすることが重要である。
実際の延伸応力の検出は、フィルム端部を把持するクリップ23の台座、又はレール21に沿って走行する支持体22のベアリング装置とクリップ23のユニットとを連結しているアームに、例えば、ストレインゲージや圧電素子などのセンサーを取り付け、そのセンサー信号をコンピューター解析することで可能である。
許容限界を超えて縦延伸倍率軌跡を降下させないためには、前記した縦延伸倍率軌跡の歪みを補正すればよい。
縦延伸倍率軌跡を許容限界を超えて降下させなければ、常に、フィルムにおける面倍率の高い(延伸応力の高い)部分が面倍率の低い(延伸応力の低い)部分を順次引き伸ばす動きとなり、延伸履歴の均一なフィルムが得られる。
縦延伸倍率軌跡の歪みの具体的な補正方法は、次の通りである。例えば特公昭51−33590号公報に記載されているリニアモータ式の同時二軸延伸装置では、単独に走行するクリップ支持部は、レールに沿って配設された複数のリニアモータの固定誘導子が発生する移動磁界に牽引されて移動する。この固定誘導子の界磁コイルに供給する交流周波数を変えることで、各クリップ支持部の走行速度を個別に加減速調整できるので、各リニアモータドライバの周波数に修正を加えることで、縦延伸倍率軌跡の歪みを補正することができる。
また機械式の同時二軸延伸機、例えば実公昭45−6785号公報に記載されたパンタグラフ式の同時二軸延伸機では、リンクユニットをエンドレスに連結した無端リンク装置が、左右一対のガイドレールに規制されながら、スプロケットにより駆動される。リンクユニットに固定されているクリップ同士のクリップ間距離を伸長する縦延伸機構は、この一対のガイドレール間隔を次第に狭めることにより調整される構造になっているので、このガイドレール軌道を修正することで、或いはガイドレールの湾曲軌道の曲率半径を連続的に変化させることで、縦延伸倍率軌跡の歪みを補正することができる。
縦延伸倍率軌跡の歪みを補正する方法は、ほかにも各種採用することができ、上記のものに限定するものではない。たとえばクリップ23の取付位置を支持体22の走行軌道に極力近付けることも有効である。
本発明の縦延伸倍率軌跡の低下防止手法は、縦延伸倍率軌跡を横延伸倍率軌跡より先行させるボーイング対策と組み合わせて適用することができる。縦延伸倍率軌跡を横延伸倍率軌跡より先行させることとは、前述のように延伸倍率を正規化して、延伸開始点での延伸倍率を0、延伸終了点での延伸倍率を1としたときに、延伸工程中のフィルム縦方向に沿った任意の点において、つまり延伸工程中のフィルムの縦方向に沿ったいかなる点においても、縦延伸倍率のほうが横延伸倍率よりも高い値を示すことをいう。このボーイング対策の技術は、本出願人の出願に係る前述の特許文献3に詳しく記載されている。
本発明では、同時二軸延伸の縦延伸倍率が2.5倍以上4.5倍以下であり、且つ、縦延伸倍率と横延伸倍率との比率が0.5以上1.5以下であることが好ましい。上記範囲は、充分な配向を与えるために実用化されている同時二軸延伸フィルムの二軸延伸倍率範囲であり、本発明の焦点である縦延伸倍率軌跡を最大倍率の5%以上降下させない効果、つまり均一延伸させるための効果が顕著に発現できる範囲である。この延伸倍率範囲で本発明は特に有用なものとなる。
この縦延伸倍率軌跡の歪みに関わる横延伸倍率軌跡のカーブは、特に限定するものではないが、二次或いは三次関数、三角関数、円弧と直線、曲線、またはこれらの組み合わせなどによって設定できる。
本発明における同時二軸延伸は、パンタグラフ方式テンター、スクリュー方式テンター、リニアモータ方式テンターなどを用いて行うことができる。かかる手段の具体例として、上述したような、個々のクリップがリニアモータ方式で単独に駆動されているテンターは、可変周波数ドライバを制御することで縦延伸倍率変化を任意に制御できる柔軟性を有することから、最も好ましい。つまり、この方式のテンターは、縦延伸倍率軌跡の歪を補正する調整が容易であり、縦延伸倍率及び軌跡のカーブを微妙にしかも自由に選定できる利点がある。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、下記の実施例・比較例において、各種物性の測定方法は次の通りとした。
(1)厚さムラ拡大率
未延伸フィルムの厚みを、フィルムの幅方向に5mmピッチで測定した。この測定を、長さ方向10m毎に合計10箇所で行った。そして、得られた全データより標準偏差と算術平均とを求めたうえで両者の比から変動係数を求め、これを未延伸フィルムの厚さ変動係数CADとした。
次に二軸延伸後のフィルムの厚みを幅方向に[5×横延伸倍率×リラックス率]mmピッチで測定し、これを長さ方向[10×縦延伸倍率×リラックス率]m毎に10箇所測定した。そして、得られた全データより同様にして変動係数を求め、延伸フィルムの厚さ変動係数CBOとした。
上記のCADに対するCBOの倍率(CBO/CAD)を求め、これを厚さムラ拡大率とした。
なお、各測定点において厚みを測定するための測定器は、アンリツ社製のFILM THICKNESS TESTER(KG601A)を用いた。
(2)厚み方向の屈折率
延伸フィルムの幅方向に沿った、センター部、フィルムの両端部より5cm内側部(端部)、センター部と両端部の中央部の計5箇所を中心として、それぞれ10cm×10cm角の試料を、試料の辺をフィルムの縦方向及び幅方向に揃えた状態で切り出した。この切り出しをフィルムの長さ方向100m毎に40箇所について行い、計5×40=200枚の試験片を得た。
試験片を温度20℃、湿度65%の環境下で2時間以上放置した後に、温度20℃、湿度65%の環境下で、アタゴ社製のアッベ屈折計(1T)を用いて、厚み方向の屈折率を測定した。各試験片における測定点の数はn=3で、3点の平均値をデータとした。
200点のデータより平均屈折率、最大屈折率、最小屈折率を求め、下記式より平均値との差の大きい方の値をもって屈折率の変動率とした。
変動率=(|最大屈折率または最小屈折率−平均屈折率|×100)/平均屈折率
(3)クリップにかかる延伸応力(FCP
図4に示される支持体22とクリップ23の連結部にストレインゲージを貼り付け、クリップにかかる延伸応力の分力(走行方向にかかる曲げ応力とその直角方向にかかる引っ張り応力)を測定した。応力信号を超小型テレメータNK7690D(日本電気三栄社製)で無線伝送して、被測定クリップの走行位置からコンピューター解析してFCP合力と角度φを演算した。
(4)S字カール現象
二軸延伸積層ポリアミド系樹脂フィルムとシーラントフィルム(CP;東セロ社製無延伸ポリプロピレンフィルム、RX−21、厚み40μm)とを、ウレタン系接着剤(武田薬品工業社製 タケラック A−525/A−52 二液型)を用いてドライラミネート(接着剤塗布量3g/m)することにより、ラミネートフィルムを作製した。
得られたラミネートフィルムを、その縦方向に沿った折り目となるよう2つに折りたたみつつ、テストシーラーを用いて両縁部を20mmずつ180℃で連続的に熱シールし、またそれと直角方向に150mm間隔で幅10mmを断続的に熱シールし、幅約200mmの半製品袋を得た。この半製品袋を、縦方向に両縁部のシール部分が10mmになるように裁断した後、これと垂直方向にシール部の境界で切断し、3方シール袋を10枚作成した。それらの3方シール袋を、95℃の水中で30分間熱処理した後、20℃、65%RHの雰囲気で一昼夜保持し、さらに、それらの10枚の3方シール袋を重ねて上から袋全面に9.8N(1kgf)の荷重をかけ、一昼夜保持した後に荷重を取り去って、袋の反り返り(S字カール)の度合いを観察した。そして、以下の基準により評価した。
◎:10枚すべて反り返りがない
○:わずかな反り返りが見られるものがある
×:明らかな反り返りが見られるものがある
××:反り返りが顕著である。
[マスターチップ]
96%濃硫酸中において温度25℃、濃度1.0g/dlの条件で測定した相対粘度が3.0のナイロン6樹脂(ユニチカ社製 A1030−BRF)を乾燥し、その100質量部あたりに、シリカ(サイリシア310P 平均粒径2.7μm:富士シリシア化学社製)を6質量部溶融混合して、マスターチップを作成した。
[その他の原料]
ナイロン6(Ny6):ユニチカ社製 A1030BRF(相対粘度3.0)
MXD6:三菱瓦斯化学社製 MXナイロン 6907(相対粘度2.40)
非晶性ポリアミド(非晶Ny):EMS社製 グリボリー XE3038
EVOH:クラレ社製エバール F101B (エチレン成分32モル%、ケン化度99%以上)
エチレン−ブテン共重合体:三井化学社製 タフマーA4085
実施例1
5層共押出Tダイを用いて、第1押出機より樹脂層(X)を構成するMXD6を280℃で溶融押し出しし、第2押出機より、樹脂層(Z)を構成する、ナイロン6樹脂(ユニチカ社製 A1030−BRF)と上記マスターチップとをシリカの配合割合が0.05質量%となるようにブレンドしたものを270℃で溶融押し出しし、第3押出機より、樹脂層(Y)を構成する、30質量部のMXD6と70質量部のXE3038とを混合した樹脂を280℃で溶融押し出しした。そして、Z/Y/X/Y/Zの順に重ね合わせた積層未延伸シートをダイスより押し出し、表面温度20℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、厚さ150μmの未延伸積層シートを得た。続いて50℃に温調された温水槽に通して吸水処理させた。次に、このフィルムをリニアモータ駆動の同時二軸延伸テンターに供給し、その幅方向の両端をクリップで把持して、190℃の条件で、縦延伸倍率3.0倍、横延伸倍率3.3倍に同時二軸延伸を行った。この際、リニアモータドライバの周波数を調整して、縦延伸倍率軌跡の歪みに補正を加え、図1のAに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下しない縦延伸倍率軌跡を採用した。
さらに、横方向の弛緩率を5%として、210℃で4秒間の熱処理を施し、室温まで徐冷して、厚さが、Z/Y/X/Y/Z=4.5/0.5/5.0/0.5/4.5μmの積層延伸フィルムの製品ロールを得た。巻取速度は、120m/minとした。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この実施例1での幅方向の厚さムラ拡大率は2.2倍であった。詳細には、未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であったのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は2.2%であった。厚み方向の屈折率の平均値は1.497であり、その変動率は0.04%で、均一に延伸されていた。延伸中、図4に示されるFCPは、全く低下しなかった。つまり、幅方向にも長さ方向にも均一に延伸されたフィルムが得られた。このため、ほぼフィルム全幅が製品として実用可能であった。
Figure 2010105295
実施例2
実施例1と比べて、図1のBに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下する縦延伸倍率軌跡を採用した。また、その降下率を2%とした。それ以外は実施例1と同じとして、同時二軸延伸積層ポリアミド系樹脂フィルムの製品ロールを得た。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この実施例2での幅方向の厚さムラ拡大率は3.4倍で(未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であるのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は3.4%)、実施例1に比べて厚さムラは増大していた。厚み方向の屈折率の平均値は1.500であり、その変動率は0.26%で、均一に延伸されていた。図4に示されるFCPは、一時的に平衡状態になるが低下はなかった。つまり、ほぼ均一に延伸され実用上問題ないフィルムが得られた。このため、フィルム製品として採用することができた。
実施例3
実施例1と比べて、図1のBに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下する縦延伸倍率軌跡を採用した。また、その降下率を1%とした。それ以外は実施例1と同じとして、同時二軸延伸ポリアミドフィルム製品ロールを得た。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この実施例3での幅方向の厚さムラ拡大率は3.1倍で(未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であるのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は3.1%)、実施例1に比べて厚さムラは若干増大していた。厚み方向の屈折率の平均値は1.498であり、その変動率は0.22%であった。FCPの低下はなかった。つまり、ほぼ均一に延伸され実用上問題ないフィルムが得られた。このため、フィルム製品として採用することができた。
実施例4
実施例1と同様の条件で製造した未延伸ポリアミドフィルムをパンタグラフ式同時二軸延伸機に供給し、その幅方向の両端をクリップで把持して、縦延伸倍率3.0倍、横延伸倍率3.3倍で同時二軸延伸を行った。この際、ガイドレール間隔を調整して、縦延伸倍率軌跡の歪みに補正を加え、図1のAに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下しない縦延伸倍率軌跡を採用した。それ以外は実施例1と同様として、同時二軸延伸ポリアミドフィルム製品ロールを得た。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この実施例4での幅方向の厚さムラ拡大率は2.4倍であった(未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であるのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は2.4%)。厚み方向の屈折率の平均値は1.496であり、変動率は0.11%で、均一に延伸されていた。FCPの低下は全くなかった。つまり、幅方向にも長さ方向にも均一に延伸されたフィルムが得られ、ほぼフィルム全幅が製品として実用可能であった。
実施例5
5層共押出Tダイを用いて、第1押出機より樹脂層(X)を構成するMXD6を280℃で溶融押し出しし、第2押出機より、樹脂層(Z)を構成する、ナイロン6樹脂(ユニチカ社製 A1030−BRF)と上記マスターチップとをシリカの配合割合が0.05質量%となるようにブレンドしたものを270℃で溶融押し出しし、第3押出機より、樹脂層(Y)を構成する、30質量部のMXD6と70質量部のXE3038とを混合した樹脂を280℃で溶融押し出しした。そして、Z/Y/X/Y/Zの順に重ね合わせた積層未延伸シートをダイスより押し出し、表面温度18℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。続いて50℃に温調された温水槽に通して吸水処理させた。次に、このフィルムをリニアモータ駆動の同時二軸延伸テンターに供給し、その幅方向の両端をクリップで把持して、190℃の条件で、縦延伸倍率3.0倍、横延伸倍率3.3倍に同時二軸延伸を行った。この際、リニアモータドライバの周波数を調整して、縦延伸倍率軌跡の歪みに補正を加え、図1のAに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下しない縦延伸倍率軌跡を採用した。
さらに、横方向の弛緩率を5%として、210℃で4秒間の熱処理を施し、室温まで徐冷して、厚さが、Z/Y/X/Y/Z=8.0/0.5/8.0/0.5/8.0μmの積層延伸フィルムの製品ロールを得た。巻取速度は、120m/minとした。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この実施例5での幅方向の厚さムラ拡大率は2.4倍であった。詳細には、未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であったのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は2.4%であった。厚み方向の屈折率の平均値は1.499であり、その変動率は0.33%で、均一に延伸されていた。延伸中、図4に示されるFCPは、全く低下しなかった。つまり、幅方向にも長さ方向にも均一に延伸されたフィルムが得られた。このため、ほぼフィルム全幅が製品として実用可能であった。
実施例6
3層共押出Tダイを用いて、第1押出機より、樹脂層(X)を構成するための、MXD6と耐衝撃性改良性樹脂としてのエチレン−ブテン共重合体とを、MXD6/エチレン−ブテン共重合体=97/3(質量比)として、280℃で溶融押し出しした。また、第2押出機より、樹脂層(Z)を構成する、ナイロン6樹脂(ユニチカ社製 A1030−BRF)と上記マスターチップとをシリカの配合割合が0.05質量%となるようにブレンドしたものを270℃で溶融押し出しした。そして、Z/X/Zの順に重ね合わせた積層未延伸シートをダイスより押し出し、表面温度19℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、厚さ150μmの未延伸積層シートを得た。続いて50℃に温調された温水槽に通して吸水処理させた。次に、このフィルムをリニアモータ駆動の同時二軸延伸テンターに供給し、その幅方向の両端をクリップで把持して、180℃の条件で、縦延伸倍率3.0倍、横延伸倍率3.3倍に同時二軸延伸を行った。この際、リニアモータドライバの周波数を調整して、縦延伸倍率軌跡の歪みに補正を加え、図1のAに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下しない縦延伸倍率軌跡を採用した。
さらに、横方向の弛緩率を5%として、210℃で4秒間の熱処理を施し、室温まで徐冷し、厚さが、Z/X/Z=5.0/5.0/5.0μmの積層延伸フィルムの製品ロールを得た。巻取速度は、120m/minとした。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この実施例6での幅方向の厚さムラ拡大率は、2.1倍であった。詳細には、未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であったのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は2.1%であった。厚み方向の屈折率の平均値は1.496であり、その変動率は0.07%で、均一に延伸されていた。延伸中、図4に示されるFCPは、全く低下しなかった。つまり、幅方向にも長さ方向にも均一に延伸されたフィルムが得られた。このため、ほぼフィルム全幅が製品として実用可能であった。
実施例7
3層共押出Tダイを用いて、第1押出機より樹脂層(X)を構成するEVOH(クラレ社製F101B)を270℃で溶融押し出しし、第2押出機より、樹脂層(Z)を構成する、ナイロン6樹脂(ユニチカ社製 A1030−BRF)と上記マスターチップとをシリカの配合割合が0.05質量%となるようにブレンドしたものを270℃で溶融押し出しし、ナイロン6/EVOH/ナイロン6の構成の積層未延伸シートを幅600mmのT型ダイより溶融押出し、表面温度18℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷することで、厚さ150μmの未延伸ポリアミドフィルムを成形した。続いて50℃に温調された温水槽に通して吸水処理させた。次に、このフィルムをリニアモータ駆動の同時二軸延伸テンターに供給し、その幅方向の両端をクリップで把持して、170℃の条件で、縦延伸倍率3.0倍、横延伸倍率3.3倍に同時二軸延伸を行った。この際、リニアモータドライバの周波数を調整して、縦延伸倍率軌跡の歪みに補正を加え、図1のAに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下しない縦延伸倍率軌跡を採用した。
さらに210℃で4.0秒間の熱処理を施した後、直ちに、170℃の雰囲気下で10秒間の熱処理を行い、90℃で2.0秒間フィルムを冷却した後、フィルムの両端部をトリミングして、巻取機で巻取った。こうしてナイロン6/EVOH/ナイロン6=5.0/5.0/5.0μmの同時二軸積層延伸ポリアミドフィルムの製品ロールを得た。巻取速度は、120m/minとした。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この実施例7での幅方向の厚さムラ拡大率は2.5倍であった。詳細には、未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であったのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は2.5%であった。厚み方向の屈折率の平均値は1.495であり、その変動率は0.23%で、均一に延伸されていた。延伸中、図4に示されるFCPは、全く低下しなかった。つまり、幅方向にも長さ方向にも均一に延伸されたフィルムが得られた。このため、ほぼフィルム全幅が製品として実用可能であった。
比較例1
実施例1と比べて、図1のBに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下する縦延伸倍率軌跡を採用した。また、その降下率を5%とした。それ以外は実施例1と同じとして、同時二軸延伸ポリアミドフィルムの製品ロールを得た。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この比較例1での幅方向の厚さムラ拡大率は9.5倍であった(未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であったのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は9.5%)。厚み方向の屈折率の平均値は1.501、変動率は1.3%で、著しい延伸ムラが観察された。図4に示されるFCPは、一時的に30%低下した。表1よりわかるように、フィルム製品として採用できるものではなかった。
比較例2
実施例5と比べて、図1のBに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下する縦延伸倍率軌跡を採用した。また、その降下率を5%とした。それ以外は実施例5と同じとして、同時二軸延伸ポリアミドフィルムの製品ロールを得た。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この比較例2での幅方向の厚さムラ拡大率は9.7倍であった(未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であったのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は9.7%)。厚み方向の屈折率の平均値は1.498、変動率は1.5%で、著しい延伸ムラが観察された。FCPは、一時的に30%低下した。表1よりわかるように、フィルム製品として採用できるものではなかった。
比較例3
実施例7と比べて、図1のBに示すような、クリップ間距離で表す縦延伸倍率が降下する縦延伸倍率軌跡を採用した。また、その降下率を5%とした。それ以外は実施例7と同じとして、同時二軸延伸ポリアミドフィルムの製品ロールを得た。
得られたフィルムについての各特性の測定結果を表1に示す。表1よりわかるように、この比較例3での幅方向の厚さムラ拡大率は11.1倍であった(未延伸フィルムの厚さ変動係数が1.0%であったのに対して、延伸フィルムの厚さ変動係数は11.1%)。厚み方向の屈折率の平均値は1.499、変動率は3.2%で、著しい延伸ムラが観察された。FCPは、一時的に30%低下した。表1よりわかるように、フィルム製品として採用できるものではなかった。
本発明にもとづく縦延伸倍率軌跡の例を示す図である。 延伸序盤部における実際の機構を示す図である。 延伸終盤部における実際の機構を示す図である。 クリップに掛かる延伸応力を示す図である。
符号の説明
11 延伸序盤部
12 延伸終盤部
21 ガイドレール
22 支持体
23 クリップ

Claims (5)

  1. 第1の樹脂層(X)の少なくとも片面に第2の樹脂層(Z)が積層された積層フィルムであり、第1の樹脂層(X)は、キシリレンジアミン成分と炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分とから形成されたポリアミド樹脂(A)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物とのいずれかにて構成されたものであり、第2の樹脂層(Z)はポリアミド樹脂(B)にて構成されたものであり、フィルムの厚さムラ拡大率が3.5倍以下であり、フィルムの厚み方向の屈折率の、全平面における変動率が0.5%以下であることを特徴とする積層ポリアミド系樹脂フィルム。
  2. フィルムの厚さムラ拡大率が2.5倍以下であり、フィルムの厚み方向の屈折率の、全平面における変動率が0.25%以下であることを特徴とする請求項1記載の積層ポリアミド系樹脂フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の積層ポリアミド系樹脂フィルムを製造するための方法であって、ダイから溶融押出した積層樹脂シートをキャストロールに押し付けて得た未延伸フィルムの端部をクリップで把持してテンター法により縦・横同時に二軸延伸し、その際に、横延伸倍率軌跡が最大倍率に到達する迄は、フィルムの長さ方向に隣り合うクリップ間の距離で表す縦延伸倍率軌跡を最大延伸倍率の5%以上降下させないことを特徴とする積層ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
  4. 縦延伸倍率軌跡を、フィルムの巾方向に向かい合うクリップ間の距離で表す横延伸倍率軌跡より先行させることを特徴とする請求項3記載の積層ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
  5. リニアモータ方式で駆動されているテンター法同時二軸延伸機を用いることを特徴とする請求項3または4記載の積層ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
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