JP2010100910A - 電着塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼板の表面に、電子伝導型導電性高分子を含む化成処理皮膜、および電着塗膜を有する、電着塗装鋼板。前記化成処理皮膜は、好ましくは非導電性の有機樹脂またはイオン伝導型導電性高分子をさらに含む。
【選択図】図1
Description
また、特許文献1および2に記載の電着塗装鋼板は、鋼素地まで達する疵が形成された場合、防錆作用がほとんど働かず、疵部から腐食が進行する、すなわち疵付き部の耐食性に劣るという問題があった。
[2]前記化成処理皮膜は、非導電性の有機樹脂、またはイオン伝導型導電性高分子化合物をさらに含む、[1]に記載の電着塗装鋼板。
[3]前記有機樹脂は、ポリビニルアルコール類である、[1]または[2]に記載の電着塗装鋼板。
[4]前記イオン伝導型導電性高分子化合物は、アニオン性基を有する変性ポリビニルアルコール類である、[1]〜[3]いずれかに記載の電着塗装鋼板。
[5]前記化成処理皮膜は、カップリング剤を含む、[1]〜[4]いずれかに記載の電着塗装鋼板。
[6]前記鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、[1]〜[5]いずれかに記載の電着塗装鋼板。
[7]前記電着塗膜は、カチオン電着塗膜であり、前記電子伝導型導電性高分子化合物は、ポリアニリンまたはポリピロールである、[1]〜[6]いずれかに記載の電着塗装鋼板。
[8](A)鋼板を準備する工程、
(B)前記鋼板の表面に、電子伝導型導電性高分子化合物を含む化成処理皮膜を形成する工程、および
(C)前記工程で得た鋼板の表面に、電着塗装により塗膜を形成する工程を含む、電着塗装鋼板の製造方法。
電着塗装鋼板とは、鋼板表面に電着塗装により形成された塗膜を有する鋼板である。本発明の電着塗装鋼板は、電着塗膜の下に電子伝導型導電性高分子化合物を含む化成処理皮膜を有することを特徴とする。
化成処理皮膜とは、化成処理により鋼板表面に形成される膜である。本発明の化成処理皮膜は、電子伝導型導電性高分子化合物を含む。表面に化成処理皮膜を有する鋼板は、化成処理鋼板とも呼ばれる。
1)電子伝導型導電性高分子化合物
電子伝導型導電性高分子化合物とは、電子を移動させることにより電気伝導性を有する高分子化合物であり、ドーパントを添加されて導電性を発現する高分子化合物も含む。電子伝導型導電性高分子化合物の例には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン等の主鎖にヘテロ原子を有する高分子化合物が含まれる。
本発明の化成処理皮膜は、さらに非導電性の有機樹脂、またはイオン伝導型導電性高分子化合物を含んでいてもよい。非導電性の有機樹脂は、公知のものを用いてよいが、その好ましい例には、ポリビニルアルコール類、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、および尿素樹脂が含まれる。
ポリビニルアルコール類は、分子内に水酸基を含むため鋼板との親和性が良く、化成処理皮膜としたときに、界面近傍に濃縮されて存在し、鋼板と化成処理皮膜の密着性を向上させるからである。前記他のモノマーの例には、チオール基を含む重合性化合物が含まれる。
電子伝導型導電性高分子化合物と非導電性の有機樹脂またはイオン伝導型導電性高分子化合物との配合割合は、質量比にして[電子伝導型導電性高分子化合物]/[非導電性有機樹脂とイオン伝導型導電性高分子化合物の合計量]=0.01〜10が好ましい。
本発明の化成処理皮膜は、カップリング剤を含んでいてもよい。カップリング剤とは、分子内に加水分解によってM−OH構造(Mは(半)金属原子)を与える複数の加水分解性基を有する有機金属化合物からなる化合物であって、無機材料と有機材料、または異なる有機材料の界面における親和性を改善し、化学的に両者を結合させる化合物をいう。カップリング剤の例には、シラン系カップリング剤やチタン系カップリング剤やジルコニウム系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤が含まれる。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等の、分子内にエポキシ基を含有するエポキシ系シランカップリング剤。
チタン系カップリング剤の具体例には、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラキス(2−エチルヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、ポリヒドロキシチタンステアレート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネートが含まれる。
本発明の化成処理皮膜は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の添加剤等を含んでいてもよい。添加剤等の例には、架橋剤、耐水化剤、分散安定化剤、消泡剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、防滑剤、難燃剤、および無機質充填材が含まれる。
本発明における化成処理皮膜の厚みは、所望の耐食性等が発現できるように適宜調整できるが、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
本発明の化成処理液は発明の効果を損なわない範囲で任意に製造できる。例えば、本発明の化成処理液は、電子伝導型導電性高分子と、必要に応じて非導電性の有機樹脂またはイオン伝導型導電性高分子、カップリング剤、および添加剤等を、有機溶剤に溶解させて製造できる。この際、電子伝導型導電性高分子と非導電性の有機樹脂とイオン伝導型導電性高分子化合物の合計量と有機溶剤の質量比は、0.1〜5:20が好ましく、0.5〜2:20がより好ましい。
1)アニオン性基を含有するポリビニルアルコール類、電子伝導型導電性高分子化合物を生成しうるモノマー、および水を含む混合物を準備する工程、
2)前記水溶液中のモノマーを酸化重合し、水中にアニオン性基を含有するポリビニルアルコール類および電子伝導型導電性高分子化合物が微分散した分散液、あるいは水中にアニオン性基を含有するポリビニルアルコール類および電子伝導型導電性高分子化合物が溶解した溶液を得る工程、および
3)前工程で得た分散液に、必要に応じてカップリング剤や添加剤を添加する工程。
電着塗膜とは、電着塗装により形成された塗膜である。電着塗膜は、カチオン電着塗膜、アニオン電着塗膜のいずれであってもよい。しかしながら、本発明においてはカチオン電着塗膜が好ましい。後述するように、このような鋼板は疵付き部における塗膜下の耐食性に極めて優れるからである。
電着塗膜の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜調整してよい。
本発明の鋼板としては、冷延鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板を用いることが好ましい。めっき鋼板としては、溶融めっき、電気めっき、または蒸着めっき等を施して得たものを用いてよい。溶融めっき鋼板の例には、Zn、Zn−Al合金、Zn−Al−Mg合金、Zn−Al−Mg−Si合金、Zn−Mg合金、Al、Al−Si合金などが挙げられ、連続めっきまたは浸せきめっきにより得られるものが含まれる。あるいは、溶融めっき後に加熱処理により鉄地を合金化処理した合金化溶融めっき鋼板を用いてもよい。
電気めっき鋼板の例には、通常の電気Znめっき液、電気Zn合金めっき液、電気Cuめっき液、電気Snめっき液などを用いた連続めっき、または浸漬めっき(個別電気めっき法)により得られるものが含まれる。
本発明の電着塗装鋼板は、鮮映性、耐クレータリング性に優れる。鮮映性とは、塗膜表面に映る正反射像の鮮明さである。耐クレータリング性とは、塗膜表面におけるクレータ(凹部)の発生しにくさである。
電子伝導型導電性高分子を含まない有機樹脂からなる化成処理皮膜が形成された鋼板に電着塗装を施すと、前記化成処理皮膜は絶縁性であるため通電部位が均一にならず、塗膜表面の平滑性が低下する。そのためこのような塗膜は鮮映性に劣る。また、前記化成処理鋼板は、電着塗装時に、化成処理皮膜の薄い部位に電圧が集中する。このため、局部的に塗膜が厚くなり、クレータが形成されやすくなる。
本発明の電子伝導型導電性高分子化合物は、いわゆる酸化型の電子伝導型導電性高分子化合物であり、鋼板の耐食性、特に疵付き部の耐食性を向上させる。このメカニズムは次のように推察される。
1)酸化型の電子伝導型導電性高分子化合物が疵部で露出した鋼板の鉄を酸化し二価の鉄イオンを生成する。このとき電子伝導型導電性高分子化合物は還元型の電子伝導型導電性高分子化合物となる。2)次に、還元型の電子伝導型導電性高分子化合物が空気酸化されて、酸化型の電子伝導型導電性高分子化合物に戻る。このとき、酸素が還元されて水酸化物イオンが生成される。3)続いて、前記1)の過程で生成された二価の鉄イオンは、さらに空気により酸化され、三価の鉄イオンとなる。4)さらに、当該三価の鉄イオンは、2)の過程で生成された水酸化物イオンと反応して、不動態であるFe2O3・H2Oを生成する。
ポリアニリン等を含む化成処理鋼板にカチオン電着塗装が施されると、化成処理皮膜中のポリアニリン等の一部が還元され、主鎖中の窒素原子がイミノ基(−NH−)に変換される。このイミノ基は水素結合が可能であるため、鋼板表面に存在する水酸基等の極性基と水素結合する。この結果、化成処理皮膜と鋼板が強固に密着するので、疵付き部における塗膜下の膨れが低減される。アニオン電着塗装や他の塗装方法では還元体の電子伝導型導電性高分子が形成されないため、疵付き部における塗膜下の膨れを十分に抑制できないことがある。
本発明の電着塗装鋼板は発明の効果を損なわない範囲で任意に製造されうるが、以下好ましい製造方法を説明する。
本工程では、鋼板を準備する。準備する手段は特に限定されないが、既に述べたとおりの方法で準備することが好ましい。
本工程では、前記鋼板の表面に、電子伝導型導電性高分子を含む化成処理皮膜を形成する。具体的には、既に述べたとおりに化成処理液を調製して、これを鋼板表面に塗装すればよい。塗装方法には公知の方法を用いてよい。公知の方法の例には、スプレーなどによる吹き付け塗装、ハケやローラーで塗装する方法、粉体塗装、および電着塗装が含まれる。
さらに、電子伝導型導電性高分子をドープできる化合物を含む溶液を調製して、電子伝導型導電性高分子を含む化成処理皮膜の上に塗布・乾燥させて、ドープ処理を行ってもよい。
本工程では、前記化成処理鋼板に、電着塗装を施す。具体的には、既に述べたとおりに電着塗料を公知の方法で電着塗装すればよい。
ポリアニリン粉末(Aldrich製、556386)をメチルピロリドンに質量比1:20の割合で溶解させ、化成処理液1を調製した。
上記のようにして得た化成処理液1を用いて、次に示す方法で化成処理鋼板を調製した。続いて、化成処理鋼板に電着塗装を施し、電着塗装後の鮮映性、耐クレータリング性、耐食性、および密着性を評価した。
板厚0.8mm、めっき付着量45g/m2の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を準備した。当該鋼板の片面に、化成処理液1をロールコートにより塗布した。続いて、当該鋼板を到達板温150℃で乾燥させて、膜厚1μmの化成処理皮膜を形成した。さらに、ドープ処理として0.1モル/L塩酸水溶液を、前記化成処理皮膜の上に、5ml/m2の塗布量で塗布し、化成処理鋼板を得た。
電着塗装鋼板の塗膜が形成された面に、25μmのポリエチレン粘着テープを粘着し、DOIメーターにて塗膜の鮮映度を測定した。
電着塗膜の耐クレータリング性は、クレータの発生電圧で評価した。電圧条件は次のとおりとした。
陽極面積/陰極面積 1/1
極間距離 100mm
30秒立ち上がり制御 2.5分
電圧 180〜320Vまで20Vごとに変化
浴温 29±1℃
耐食性は、JASOM606−91(社団法人自動車技術会規格)に準じて行った。具体的には電着塗装鋼板を7cm×15cmの大きさに切断し、以下に示す手順で腐食促進試験を実施し、クロスカット部分からの腐食状態を評価した。
i)前記電着塗装鋼板の表面にクロスカットを作製した。
ii)当該サンプルに5%NaClを2時間噴霧した後、60℃/30%RHの条件下に4時間、続いて50℃/95%RHの条件下に2時間静置した。
iii)前工程を1サイクルとし、クロスカット部の腐食状態を評価した。
iv)前記ii)〜iii)工程を繰り返し、クロスカット部に腐食(例えば赤錆など)が発生するまでに要したサイクル数および、500サイクル後のクロスカット部からの最大塗膜膨れ片幅を記録した。
密着性は、以下の方法により評価した。
i)5cm×7cmの形状の塗装鋼板を3枚準備し、2枚の塗装鋼板がスペーサとなるようにし、かつ塗装面が内側になるようにして、1枚の塗装鋼板を二つ折りにした(図2参照)。
ii)折り曲げられた塗装鋼板を元に戻し、折り曲げ時に内側に存在していた塗膜表面にセロハンテープを貼り付けた。
iii)当該テープを剥がし、塗膜の剥離状況を観察した。このとき剥離が観察された塗装鋼板は2tと評価された。
iv)塗膜に剥離が見られなかった場合は、新たな塗装鋼板を2枚準備し、前記i)と同様にして、1枚の塗装鋼板がスペーサとなるようにして、もう1枚の塗装鋼板を二つ折りにした。続いて上記と同様の評価を行った。このとき剥離が観察された塗装鋼板は1tと評価された。
v)上記評価で塗膜に剥離が見られなかった場合は、新たな塗装鋼板を1枚準備し、前記i)と同様にして、スペーサを挟まずに1枚の塗装鋼板を二つ折りにした。続いて上記と同様の評価を行った。このとき剥離が観察された塗装鋼板は0tと評価された。本試験では、評価の数値が小さいほど塗膜の密着性が良好なことを示す。
化成処理鋼板作製時のドープ処理として、0.1モル/L塩酸水溶液の代わりに0.1モル/L硫酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し評価した。
化成処理鋼板作製時のドープ処理として、0.1モル/L塩酸水溶液の代わりに0.1モル/Lリン酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し評価した。
ポリアニリン粉末(Aldrich製、556386)をメチルピロリドンに質量比1:20の割合で溶解させた。さらにこの溶液にアミノ系シランカップリング剤(γ−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)を配合して化成処理液2を調製した。この際、アミノ系シランカップリング剤の配合量は、化成処理液中0.1質量%とした。続いて、化成処理液2を用いて実施例1と同様にして、電着塗装鋼板を得た。
攪拌装置、温度計、および窒素導入装置を備えた1Lのフラスコにイオン交換水710.5質量部、ビニルアルコールとチオール基を含有するモノマーの共重合体(製品名:クラレMポリマー M−115、株式会社クラレ製(以下、M−115と略することがある)重合度1500)104.5質量部を加え、窒素雰囲気下において90℃で90分加熱撹拌してM−115を溶解させた。
次に、前記溶液を85℃に保持して2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下「AMPS」と呼ぶことがある)44.8質量部を加えた後、0.5%過硫酸アンモニウム水溶液140.2質量部を5時間かけて滴下した。滴下後さらに85℃で1時間反応させ、固形分質量あたりのスルホン酸基の量が1.44meq/gである、スルホン酸基を有するポリビニルアルコール類の水溶液を得た。
続いて、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを10質量部加えて攪拌し、化成処理液3を得た。
続いて、この化成処理液3を用いて、塩酸によるドープ処理を行わない以外は実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
特開2005−60671号公報の実施例1に記載の方法と同様にして、ポリアニリン溶液を調製した。具体的には、次のとおりにポリアニリン溶液を調整した。
純水1.5Lにドデシルベンゼンスルホン酸0.1molとアニリン0.1molを加え、よく撹拌した。撹拌しながら冷却し、反応槽中の液温が5℃以下になったところで0.25mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液500mLを徐々に滴下し、ポリアニリンを合成した。過硫酸アンモニウム水溶液滴下終了後、12時間撹拌し、反応を完結させた。
このようにして得たポリアニリンを含む液300mLを分液ロートに移し、それに200mLの酢酸エチルを加えよく混合した。有機層と水層が分離するまで静置した後、下層の水層を除去した。有機層を取り出し、化成処理液4とした。
続いて、この化成処理液4を用いて、塩酸によるドープ処理を行わない以外は実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
アニリン42g、水600g、濃塩酸35mlを混合して溶液を調製した。また、濃硫酸40gを水150gに溶解させた硫酸水溶液を調整した。前記のアニリンを含む水溶液に、前記硫酸水溶液とヒドロキシプロピルセルロース40gを加え、モノマー溶液を得た。次に、水220gに過硫酸アンモニウム130gを溶解した酸化剤溶液を調製し、前記モノマー溶液に滴下した。この間、モノマー溶液は0℃の温度に保持された。酸化剤溶液を滴下した後、溶液を5時間撹拌して重合反応を行いポリアニリンを合成した。続いて、ポリアニリンを含む溶液を濃アンモニア水で脱ドープ処理し、さらに水、メタノール洗浄を繰り返し実施した。このように処理された溶液を真空乾燥して、脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。このようにして得たポリアニリン粉末をメチルピロリドンに質量比1:20の割合で溶解させて、化成処理液5を得た。
この化成処理液5を用いて実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
特開2002−285070号公報の合成例1に記載の方法で得られたエチレン変性ポリビニルアルコール20部をイオン交換水180部に溶解して、エチレン変性ポリビニルアルコール水溶液を得た。得られた水溶液15部に実施例5で得られた化成処理液3を985部を加え、化成処理液6を得た。
この化成処理液6を用いて、塩酸によるドープ処理を行わない以外は実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
アニリン0.2質量部に代えて、ピロール0.2質量部を使用した以外は、実施例5と同様にしてピロールを重合させた。このようにして分子内にスルホン酸基を有するポリビニルアルコール類および電子伝導型導電性高分子であるポリピロールを含有する分散液を得た。
続いて、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを10質量部加えて撹拌し、化成処理液7を得た。
続いて、この化成処理液7を用い、塩酸によるドープ処理を行わない以外は実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mmの冷延鋼板とした以外は、実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mmの冷延鋼板とした以外は、実施例5と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mmの冷延鋼板とした以外は、実施例6と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mmの冷延鋼板とした以外は、実施例9と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mm、めっき付着量45g/m2の溶融亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウムめっき鋼板とする以外は、実施例1と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mm、めっき付着量45g/m2の溶融亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウムめっき鋼板とする以外は、実施例5と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mm、めっき付着量45g/m2の溶融亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウムめっき鋼板とする以外は、実施例6と同様にし、電着塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mm、めっき付着量45g/m2の溶融亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウムめっき鋼板とした以外は、実施例9と同様にして電着塗装鋼板を作製し、評価した。
実施例1と同様にして、化成処理鋼板を準備した。この化成処理鋼板の表面に、アクリル系上塗り塗料(日本ペイント製、スーパーラック300)を、エアスプレーで塗布し、150℃で15分加熱して、膜厚20μmの塗膜を形成した。得られた塗装鋼板は、実施例1と同様にして評価された。
実施例1と同様にして、化成処理鋼板を準備した。この化成処理鋼板の表面に、ポリエステル系粉体塗料(日本ペイント製、ビリューシアPL2000)を粉体塗装し、160℃で15分間焼付けて、膜厚40μmの塗膜を形成した。得られた塗装鋼板は、実施例1と同様にして評価された。
実施例1と同様にして、化成処理鋼板を準備した。この化成処理鋼板の表面に、エポキシ樹脂系塗料(日本ペイント製、パワーバインド)を刷毛により塗布し、室温(20℃)で2時間乾燥させ、膜厚30μmの塗膜を形成した。得られた塗装鋼板は、実施例1と同様にして評価された。
リン酸亜鉛処理液(日本パーカライジング製、パルボンド139)を用い、リン酸塩処理皮膜の付着量が4.5g/m2となるように表面処理された合金化溶融亜鉛めっき鋼板を準備した。この鋼板の化成処理された表面に、実施例1と同様にして電着塗膜を形成した。得られた電着塗装鋼板は、実施例1と同様にして評価された。
クロメート処理液(日本パーカライジング製、ZM−1300AN)を用い、クロメート処理皮膜量が、クロム換算で40mg/m2となるように表面処理された合金化溶融亜鉛めっき鋼板を準備した。この鋼板の化成処理された表面に、実施例1と同様にして電着塗膜を形成した。得られた電着塗装鋼板は、実施例1と同様にして評価された。
特開平4−143296号公報の実施例に記載の方法に準じて、ウレタン樹脂エマルション(固形分30%)100質量部、コロイダルシリカ(シリカ40%)50質量部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン15質量部、界面活性剤1質量部、リン酸マグネシウム50質量部、純水1000質量部を含む処理液を調製した。脱脂およびクロメート処理されたZn12%Niめっき鋼板を準備し、この鋼板の表面に、前記処理液により乾燥後の平均膜厚が1.5μmの化成処理皮膜を形成した。
このようにして得た化成処理鋼板の表面に、さらに実施例1と同様にして電着塗装を行い、電着塗装鋼板を得た。得られた電着塗装鋼板は、実施例1と同様にして評価された。
原板を板厚0.8mmの冷延鋼板とする以外は、比較例1と同様にし、塗装鋼板を作製し、評価した。
原板を板厚0.8mm、めっき付着量45g/m2の溶融亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウムめっき鋼板とする以外は、比較例1と同様にし、塗装鋼板を作製し、評価した。
特に、実施例5、8、9に示されるとおり、スルホン酸基を有するポリビニルアルコール類を含有する、化成処理液3、6および7で処理された化成処理鋼板を用いた電着塗装鋼板は、疵付き部の耐食性に極めて優れることが明らかである。
2 スペーサ用電着塗装鋼板
10 鋼板
12 化成処理皮膜
14 電着塗膜
Claims (8)
- 鋼板の表面に、電子伝導型導電性高分子化合物を含む化成処理皮膜、および電着塗膜を有する、電着塗装鋼板。
- 前記化成処理皮膜は、非導電性の有機樹脂、またはイオン伝導型導電性高分子化合物をさらに含む、請求項1に記載の電着塗装鋼板。
- 前記有機樹脂は、ポリビニルアルコール類である、請求項2に記載の電着塗装鋼板。
- 前記イオン伝導型導電性高分子化合物は、アニオン性基を有する変性ポリビニルアルコール類である、請求項2または請求項3に記載の電着塗装鋼板。
- 前記化成処理皮膜は、カップリング剤を含む、請求項1〜4いずれかに記載の電着塗装鋼板。
- 前記鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項1に記載の電着塗装鋼板。
- 前記電着塗膜は、カチオン電着塗膜であり、前記導電性高分子化合物は、ポリアニリンまたはポリピロールである、請求項1に記載の電着塗装鋼板。
- (A)鋼板を準備する工程、
(B)前記鋼板の表面に、電子伝導型導電性高分子化合物を含む化成処理皮膜を形成する工程、および
(C)前記工程で得た鋼板の表面に、電着塗装により塗膜を形成する工程を含む、電着塗装鋼板の製造方法。
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