JP2010100143A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵力を発生する電動モータを用いて、操舵部材をチルト動作又はテレスコピック動作させる場合に、構造を簡素化できる車両用操舵装置を提供。
【解決手段】操舵補助用の第1及び第2の電動モータ26,27の回転を、第1の減速機構28,29及び第2の減速機構30によって減速し舵取り機構11に伝達する。車両の停止中で第1の減速機構28が停止した状態で、規制部材58による規制を解除して第1の電動モータ27を駆動する。第1のモータ本体39が第1の減速機構28の従動歯車34の回転中心C1の回りに回転し、その回転運動がリンク機構57を介してステアリングコラム5のアッパーチューブ12の軸方向X1の運動に変換される。
【選択図】図2
【解決手段】操舵補助用の第1及び第2の電動モータ26,27の回転を、第1の減速機構28,29及び第2の減速機構30によって減速し舵取り機構11に伝達する。車両の停止中で第1の減速機構28が停止した状態で、規制部材58による規制を解除して第1の電動モータ27を駆動する。第1のモータ本体39が第1の減速機構28の従動歯車34の回転中心C1の回りに回転し、その回転運動がリンク機構57を介してステアリングコラム5のアッパーチューブ12の軸方向X1の運動に変換される。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両用操舵装置に関するものである。
車両用操舵装置として、モータから、テレスコ駆動機構、チルト駆動機構およびステアリングアシスト機構の何れかに、選択的に動力を伝達できる機構である動力伝達機構を備えたステアリング駆動装置が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2007−15576号公報(段落〔0029〕、図1を参照)
しかしながら、多数の傘歯車を組み合わせた差動機構を用いており、構造が複雑である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、操舵力を発生するアクチュエータの動力を用いてチルト動作またはテレスコピック動作させる場合に、構造を簡素化することができる車両用操舵装置を提供することである。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、操舵力を発生するアクチュエータの動力を用いてチルト動作またはテレスコピック動作させる場合に、構造を簡素化することができる車両用操舵装置を提供することである。
上記課題を解決するため、第1発明は、操舵力を発生するためのアクチュエータ(26,27)と、上記アクチュエータに接続された第1の減速機構(28,29)と、上記第1の減速機構に接続された第2の減速機構(30)と、上記第2の減速機構に接続された舵取り機構(11)と、を備え、上記アクチュエータは、アクチュエータ本体(39,41)と、上記アクチュエータ本体によって回転可能に支持された出力軸(40,42)と、を含み、上記アクチュエータの動力運動を、上記アクチュエータ本体の運動を通じて、操舵部材をチルト動作またはテレスコピック動作させるためのステアリングコラムの運動に変換する運動変換機構(37,37A,38)とを備えたことを特徴とするものである。
チルト調整またはテレスコピック調整するときは、車両は停止しているので、第2の減速機構を介して舵取り機構と接続された第1の減速機構も停止している。このように第1の減速機構が停止した状態で、操舵力を発生するためのアクチュエータの動力運動によって、アクチュエータ本体を変位させ、これにより、操舵部材をチルト動作またはテレスコピック動作させる。したがって、操舵力を発生するアクチュエータの動力を用いてチルト動作またはテレスコピック動作させる場合に、多数の傘歯車を有する差動機構を用いる特許文献1の車両用操舵装置と比較して、構造を簡素化することができる。
第2発明は、第1発明において、上記アクチュエータは、第1および第2の電動モータ(26,27)を含む少なくとも2つの電動モータを含み、上記第1の電動モータは、アクチュエータ本体としての第1のモータ本体(39)と、出力軸としての第1の回転軸(40)と、を含み、上記ステアリングコラムは、軸方向に相対摺動可能なアッパーチューブ(12)およびロアーチューブ(13)を含み、上記第1の減速機構は、第1の回転軸の回転に応じて駆動可能であり、第1の回転軸に平行な回転中心(C1)を有する従動部材(34)を含み、上記運動変換機構は、操舵部材をテレスコピック動作させるための第1の運動変換機構(37)を含み、上記第1の運動変換機構は、上記回転中心の回りに回転可能であり第1のモータ本体を上記回転中心の回りに同行回転可能に支持する主動リンク(55)を含み、上記回転中心回りの上記第1のモータ本体の回転を、上記アッパーチューブの軸方向移動に変換するリンク機構(57)と、上記回転中心回りの主動リンクの回転を規制可能な規制部材(58)と、を含み、上記規制部材による主動リンクの回転の規制が解除されたときに、第1の電動モータの動力によって主動リンクを上記回転中心回りに回転させることにより、操舵部材をテレスコピック運動させるようにしてあることを特徴とする。
本発明では、車両の停止中で第1の減速機構が停止した状態で、規制部材による主動リンクの回転規制を解除して、第1の電動モータを駆動すると、第1のモータ本体が、第1の減速機構の従動部材の回転中心の回りに回転(公転)する。この回転運動が、リンク機構を介して、ステアリングコラムのアッパーチューブの軸方向運動に変換され、その結果、操舵部材がテレスコピック調整される。
第3発明は、第1発明において、上記アクチュエータは、第1および第2の電動モータを含む少なくとも2つの電動モータを含み、上記第1の電動モータは、アクチュエータ本体としての筒状の第1のモータ本体(39A)と、出力軸としての第1の回転軸(40A)とを含み、上記運動変換機構(37A)は、第1の回転軸を中心とする第1のモータ本体の回転に伴って第1のモータ本体の周囲に巻き取り可能で且つステアリングコラムのアッパーチューブと同行移動可能な巻き掛け伝動部材(80)と、第1の回転軸を中心とする第1のモータ本体の回転を規制する規制部材(81)と、を含み、上記規制部材による第1の回転軸回りの第1のモータ本体の回転の規制が解除されたときに、第1の電動モータの動力によって第1のモータ本体を第1の回転軸回りに回転させることにより、操舵部材をテレスコピック運動させるようにしてあることを特徴とする。
本発明では、車両の停止中で第1の減速機構が停止した状態で、規制部材による規制を解除して、第1の電動モータを駆動すると、第1のモータ本体が、第1の回転軸回りに回転する。この回転運動が、巻き掛け伝動部材を介して、ステアリングコラムのアッパーチューブの軸方向運動に変換され、その結果、操舵部材がテレスコピック調整される。
第4発明は、第2または第3発明において、上記第2の電動モータ(27)は、アクチュエータ本体としての第2のモータ本体(41)と、出力軸としての第2の回転軸(42)とを含み、上記運動変換機構は、操舵部材をチルト動作させるための第2の運動変換機構(38)を含み、上記第2の運動変換機構は、第2のモータ本体を第1の減速機構の従動部材の回転中心回りに同行回転可能に支持するアーム(68)と、上記回転中心回りのアームの回転を規制可能な規制部材(69)と、を含み、上記アームは、車体に設けられた第1の支点(P1)の回りに回転可能に支持された第1の端部(68a)と上記従動部材の上記回転中心と同行移動可能に連結された第2の端部(68b)とを有し、上記規制部材による上記回転中心回りのアームの回転の規制が解除されたときに、第2の電動モータの動力によって、アームの第1の端部を第1の支点回りに回転させつつ上記アームの第2の端部を上記回転中心回りに回転させることにより、ステアリングコラムをチルト支点としての第2の支点(P2)の回りに揺動させて、操舵部材をチルト運動させるようにしてあることを特徴とする。
第4発明は、第2または第3発明において、上記第2の電動モータ(27)は、アクチュエータ本体としての第2のモータ本体(41)と、出力軸としての第2の回転軸(42)とを含み、上記運動変換機構は、操舵部材をチルト動作させるための第2の運動変換機構(38)を含み、上記第2の運動変換機構は、第2のモータ本体を第1の減速機構の従動部材の回転中心回りに同行回転可能に支持するアーム(68)と、上記回転中心回りのアームの回転を規制可能な規制部材(69)と、を含み、上記アームは、車体に設けられた第1の支点(P1)の回りに回転可能に支持された第1の端部(68a)と上記従動部材の上記回転中心と同行移動可能に連結された第2の端部(68b)とを有し、上記規制部材による上記回転中心回りのアームの回転の規制が解除されたときに、第2の電動モータの動力によって、アームの第1の端部を第1の支点回りに回転させつつ上記アームの第2の端部を上記回転中心回りに回転させることにより、ステアリングコラムをチルト支点としての第2の支点(P2)の回りに揺動させて、操舵部材をチルト運動させるようにしてあることを特徴とする。
本発明では、車両の停止中で第1の減速機構が停止した状態で、規制部材によるアームの回転規制を解除して、第2の電動モータを駆動すると、アームの第1の端部が第1の支点回りに回転しつつ、アームの第2の端部および第2のモータ本体が上記従動部材の回転中心回りに回転する。これにより、ステアリングコラムをチルト支点としての第2の支点の回りに揺動させて、操舵部材をチルト運動させることができる。
第5発明は、第1発明において、上記アクチュエータは、アクチュエータ本体としてのモータ本体および出力軸としての回転軸を有する電動モータを含み、上記第1の減速機構は、上記回転軸の回転に応じて駆動可能であり、上記回転軸に平行な回転中心を有する従動部材を含み、上記運動変換機構は、モータ本体を第1の減速機構の従動部材の回転中心回りに同行回転可能に支持するアームと、上記回転中心回りのアームの回転を規制可能な規制部材と、を含み、上記アームは、車体に設けられた第1の支点の回りに回転可能に支持された第1の端部と上記従動部材の上記回転中心と同行移動可能に連結された第2の端部とを有し、上記規制部材による上記回転中心回りの上記アームの回転の規制が解除されたときに、第2の電動モータの動力によって、アームの第1の端部を第1の支点回りに回転させつつ上記アームの第2の端部を上記回転中心回りに回転させることにより、ステアリングコラムをチルト支点としての第2の支点の回りに揺動させて、操舵部材をチルト運動させるようにしてあることを特徴とする。
本発明では、車両の停止中で第1の減速機構が停止した状態で、規制部材によるアームの回転規制を解除して、電動モータを駆動すると、アームの第1の端部が第1の支点回りに回転しつつアームの第2の端部およびモータ本体が上記従動部材の回転中心回りに回転する。これにより、ステアリングコラムをチルト支点としての第2の支点の回りに揺動させて、操舵部材をチルト運動させることができる。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態の車両用操舵装置としての電動パワーステアリング装置の構成を模式的に示す概略図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、車体4に固定され、ステアリングシャフト3を回転可能に支持したステアリングコラム5と、ステアリングシャフト3に自在継手6を介して連結される中間軸7と、中間軸7に自在継手8を介して連結されるピニオン軸9と、ピニオン軸9に設けられたピニオン9aに噛み合うラック10aを有して自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸10とを有している。ピニオン軸9およびラック軸10により、ラック・アンド・ピニオン機構からなる舵取り機構11が構成されている。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態の車両用操舵装置としての電動パワーステアリング装置の構成を模式的に示す概略図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、車体4に固定され、ステアリングシャフト3を回転可能に支持したステアリングコラム5と、ステアリングシャフト3に自在継手6を介して連結される中間軸7と、中間軸7に自在継手8を介して連結されるピニオン軸9と、ピニオン軸9に設けられたピニオン9aに噛み合うラック10aを有して自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸10とを有している。ピニオン軸9およびラック軸10により、ラック・アンド・ピニオン機構からなる舵取り機構11が構成されている。
図示していないが、ラック軸10の両端部は、それぞれ対応するタイロッドおよびナックルアームを介して対応する転舵輪に連結されている。
ステアリングコラム5は、ステアリングシャフト3の軸方向X1の上下に関して、アッパーチューブ12と、アッパーチューブ12に相対摺動可能に嵌合されたロアーチューブ13と、ロアーチューブ13に連結されたセンサハウジング14と、センサハウジング14に連結されたギヤハウジング15とを順次に備えている。
ステアリングコラム5は、ステアリングシャフト3の軸方向X1の上下に関して、アッパーチューブ12と、アッパーチューブ12に相対摺動可能に嵌合されたロアーチューブ13と、ロアーチューブ13に連結されたセンサハウジング14と、センサハウジング14に連結されたギヤハウジング15とを順次に備えている。
アッパーチューブ12には、当該アッパチューブ12の両側方(紙面に直交する方向)に突出する一対の支軸16(図1では一方の支軸16のみを示してある)が、固定されている。一方、車体4に固定された固定ブラケット17の一対の側板18に、ステアリングシャフト3の軸方向X1とは概ね平行に延びる長孔からなる支持孔19が形成されている。ただし、上記の支軸16の中心がチルト調整のときのチルト支点としての第2の支点P2となるので、チルト調整後の状態では、支持孔19の長手方向がステアリングシャフト3の軸方向X1に対して傾斜する場合がある。
アッパーチューブ12に固定された各支軸16が、固定ブラケット17の対応する支持孔19に、回転可能に且つ支持孔19の長手方向に摺動可能に支持されている。具体的には、テレスコピック調整のとき、および車両の衝突に際して衝撃を吸収するときに、アッパチューブ12およびロアーチューブ13の相対摺動に伴って、支軸16および支持孔19が相対摺動する。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン9aおよびラック10aによって、ラック軸10の軸方向(紙面に直交する方向)の直線運動に変換される。これにより、転舵輪の転舵が達成されるようになっている。
ステアリングシャフト3は、操舵部材2に連なる入力側のアッパーシャフト3aと、ピニオン軸9に連なる出力側のロアーシャフト3bとを有しており、これらアッパーシャフト3aおよびロアーシャフト3bは、トーションバー20を介して同一の軸線上で相対回転可能に互いに連結されている。トーションバー20は、操舵部材2に加えられたねじりトルクに応じてねじりを生ずる。
ステアリングシャフト3は、操舵部材2に連なる入力側のアッパーシャフト3aと、ピニオン軸9に連なる出力側のロアーシャフト3bとを有しており、これらアッパーシャフト3aおよびロアーシャフト3bは、トーションバー20を介して同一の軸線上で相対回転可能に互いに連結されている。トーションバー20は、操舵部材2に加えられたねじりトルクに応じてねじりを生ずる。
また、アッパーシャフト3aは、操舵部材2に連結された例えば中空の第1軸21と、第1軸と同行回転可能に且つ相対摺動可能に連結され、トーションバー20の一端と同行回転可能に連結された第2軸22とを有している。テレスコピック調整のときおよび車両の衝突時の衝撃を吸収するときに、第1軸21および第2軸22が軸方向に相対摺動する。
トーションバー20を介するアッパーシャフト3aおよびロアーシャフト3b間の相対回転変位量により操舵トルクを検出するトルクセンサ23が設けられており、このトルクセンサ23のトルク検出結果は、ECU(Electronic Control Unit )24に与えられる。ECU24では、トルク検出結果や車速センサ25から与えられる車速検出結果等に基づいて、操舵力(本実施の形態では操舵補助力)を発生するためのアクチュエータとしての第1の電動モータ26および第2の電動モータ27を駆動制御する。
第1および第2の電動モータ26,27のそれぞれの出力回転が、それぞれ対応する第1の減速機構28,29を介して第2の減速機構30に伝達され、さらにロアーシャフト3bおよびピニオン軸9に伝達され、ラック軸10の直線運動に変換されて、操舵が補助されるようになっている。
第1および第2の電動モータ26,27と、第1の減速機構28,29と、これら第1および第2の電動モータ26,27並びに第1の減速機構28,29を収容するハウジング31とを含む単一のユニットとしてのサブアセンブリSAが構成されている。
第1および第2の電動モータ26,27と、第1の減速機構28,29と、これら第1および第2の電動モータ26,27並びに第1の減速機構28,29を収容するハウジング31とを含む単一のユニットとしてのサブアセンブリSAが構成されている。
第2の減速機構30は、ハウジング31によって回転可能に支持された駆動部材としてのウォーム軸32と、ウォーム軸32と噛み合い、ロアーシャフト3bに同軸上に同行回転可能に連結された従動部材としてのウォームホイール33とを備えている。
第1の減速機構28,29は、ウォーム軸32に同軸上に同行回転可能に連結された共通の従動部材としての従動歯車34を有している。一方の第1の減速機構28は、第1の電動モータ26によって駆動され、上記共通の従動歯車34に噛み合う第1の駆動歯車35を有している。他方の第1の減速機構29は、第2の電動モータ27によって駆動され、上記共通の従動歯車34に噛み合う第2の駆動歯車36を有している。すなわち、一方の第1の減速機構28は、第1の駆動歯車35および従動歯車34により構成されており、他方の第1の減速機構29は、第2の駆動歯車36および従動歯車34により構成されている。
第1の減速機構28,29は、ウォーム軸32に同軸上に同行回転可能に連結された共通の従動部材としての従動歯車34を有している。一方の第1の減速機構28は、第1の電動モータ26によって駆動され、上記共通の従動歯車34に噛み合う第1の駆動歯車35を有している。他方の第1の減速機構29は、第2の電動モータ27によって駆動され、上記共通の従動歯車34に噛み合う第2の駆動歯車36を有している。すなわち、一方の第1の減速機構28は、第1の駆動歯車35および従動歯車34により構成されており、他方の第1の減速機構29は、第2の駆動歯車36および従動歯車34により構成されている。
本実施の形態の特徴とするところは、電動パワーステアリング装置1が、操舵補助用の第1の電動モータ26の動力運動を、操舵部材2をテレスコピック動作させるためのステアリングコラム5の運動に変換する第1の運動変換機構37と、操舵補助用の第2の電動モータ27の動力運動を、操舵部材2をチルト動作させるためのステアリングコラム5の運動に変換する第2の運動変換機構38とを備えている点にある。
図2に示すように、第1および第2の電動モータ26,27のそれぞれは、例えば両軸モータからなっている。すなわち、アクチュエータとしての第1の電動モータ26は、アクチュエータ本体としての第1のモータ本体39と、出力軸としての第1の回転軸40とを有しており、第1の回転軸40は、第1のモータ本体39の両側へ突出している。また、アクチュエータとしての第2の電動モータ27は、アクチュエータ本体としての第2のモータ本体41と、出力軸としての第2の回転軸42を有しており、第2の回転軸42は、第2のモータ本体41の両側に突出している。
一方の第1の減速機構28の第1の駆動歯車35は一対設けられている。これら一対の第1の駆動歯車35は、第1の電動モータ26の第1のモータ本体39を挟んだ両側において、第1の回転軸40にそれぞれ同行回転可能に連結されている。また、一方の第1の減速機構28の上記従動歯車34は、一対の第1の駆動歯車35のそれぞれと噛み合うように一対設けられており、第1の回転軸40の回転に応じて駆動可能である。
また、他方の第1の減速機構29の第2の駆動歯車36は一対設けられている。これら一対の第2の駆動歯車36は、第2の電動モータ27の第2のモータ本体41の両側において、第2の回転軸42にそれぞれ同行回転可能に連結されている。一対の第2の駆動歯車36が、それぞれ対応する従動歯車34に噛み合っており、第2の回転軸42の回転に応じて駆動可能である。
第1の電動モータ26の第1の回転軸40および第2の電動モータ27の第2の回転軸42と、上記ウォーム軸32とが平行に配置されている。また、ウォーム軸32は、ウォーム320と、ウォーム320の両側に同軸上に突出する細軸部321とを有している。第1の減速機構28および第1の減速機構29の共通の一対の従動歯車34は、ウォーム軸32のウォーム320を挟んだ両側の細軸部321にそれぞれ同行回転可能に連結されている。すなわち、従動歯車34は、第1および第2の回転軸40,42に平行な回転中心C1を有する。
図3に示すように、第2の減速機構30のウォームホイール33は、ロアーシャフト3bに同行回転可能に結合された環状の芯金33aと、芯金33aの周囲を取り囲み外周に歯を形成した合成樹脂部材33bとを備えている。
サブアセンブリSAのハウジング31は、第1および第2の電動モータ26,27並びに第1の減速機構28,29を収容するとともに、ウォームホイール33の一部を収容している。
サブアセンブリSAのハウジング31は、第1および第2の電動モータ26,27並びに第1の減速機構28,29を収容するとともに、ウォームホイール33の一部を収容している。
断面逆Ω字形形状をなすギヤハウジング15およびサブアセンブリSAのハウジング31は、互いに対向する対向板43,44を有している。これらの対向板43,44間に、例えばゴム板などの弾性体45が介在する状態で、両対向板43,44がボルト46により、ボルト46の軸方向に相対移動可能に連結されている。サブアセンブリSAのハウジング31が、ギヤハウジング15によって弾性体45を介して弾性的に支持されている。
具体的には、弾性体45としては、対向板43,44の全面に沿うゴム材を用いるようにしてもよいし、各ボルト46を取り囲む環状のものを用いてもよい。その場合、弾性体45としては、例えば、図4に示すような環状のゴム板を用いてもよいし、また、Oリングを用いてもよいし、また、スプリングワッシャを用いてもよいし、また、2枚の金属ワッシャ間にゴム材を挟んだ複合ワッシャを用いてもよい。また、ハウジング31およびギヤハウジング15の締結は、両ハウジング31,15の周囲に巻かれる締め付けバンドを用いるようにしてもよい。
図4に示すように、ギヤハウジング15の対向板43とハウジング31の対向板44との間に、環状の弾性体45が挟持された状態で、対向板43のボルト挿通孔47に挿通されたボルト46が、対向板44のボルト孔48にねじ込まれている。
再び図2を参照して、ハウジング31は、前板49、後板50、および一対の側板51,52を有している。ウォーム軸32の第1および第2の端部32a,32b(細軸部321の端部に相当)は、ハウジング31の一対の側板51,52に保持された第1および第2の軸受53,54によって、回転可能に支持されている。第1および第2の軸受53,54として、すべり軸受を用いてもよいし、転がり軸受を用いてもよい。
再び図2を参照して、ハウジング31は、前板49、後板50、および一対の側板51,52を有している。ウォーム軸32の第1および第2の端部32a,32b(細軸部321の端部に相当)は、ハウジング31の一対の側板51,52に保持された第1および第2の軸受53,54によって、回転可能に支持されている。第1および第2の軸受53,54として、すべり軸受を用いてもよいし、転がり軸受を用いてもよい。
図2および図5を参照して、第1の電動モータ26の動力運動を用いて操舵部材2をテレスコピック運動させるための第1の運動変換機構37は、互いに回転可能に連結された主動リンク55および従動リンク56を含むリンク機構57と、例えば主動リンク55の回転を規制することにより、リンク機構57の運動を規制することのできる規制部材58とを含む。
主動リンク55は、ウォーム軸32の細軸部321回りに、すなわち、第1の減速機構28の従動歯車34の回転中心C1の回りに回転可能であり、第1のモータ本体39を上記回転中心C1の回りに同行回転可能に支持する。すなわち、車両の停止時は、第2の減速機構30および第1の減速機構28,29の従動歯車34が停止するとともに、転舵輪のタイヤの接地抵抗により伝動歯車34の回転が規制される。このとき、規制部材58による主動リンク55の規制を解除することにより、第1の電動モータ26の動力に応じて第1の駆動歯車35が従動歯車34回りを移動可能になるとともに、主動リンク55が回転中心C1の回りに回転可能となり、これにより、第1のモータ本体39は、上記回転中心C1の回りを公転可能となる。
従動リンク56は、図1に示すように、主動リンク55およびステアリングコラム5のアッパーチューブ12を互いに連結している。規制部材58による主動リンク55の規制が解除されたときに、リンク機構57が、第1の電動モータ26の動力運動に伴う第1のモータ本体39の公転移動を、アッパーチューブ12の軸方向移動に変換するように機能する。
主動リンク55は、基端部59aおよび先端部59bを有し互いに平行な一対の板状の主アーム59と、一対の主アーム59の先端部59bを互いに連結した板状の連結アーム60と、連結アーム60の外面に固定されたブラケットからなる副アーム61とを含む。一対の主アーム59の基端部59aが、主動リンク55の基端部を構成し、副アーム61の先端部が、主動リンク55の先端部を構成している。
一対の主アーム59の基端部59aは、ウォーム軸32の細軸部321によって回転可能に支持されている。そのウォーム軸32の細軸部321の中心が、従動歯車34の上記回転中心C1となっている。各主アーム59の中間部は、それぞれ対応する軸受を介して、第1の電動モータ26の第1の回転軸40の両端を回転可能に支持している。
図2に示すように、連結アーム60の内面に、第1のモータ本体39が固定されており、これにより、第1のモータ本体39が、上記回転中心C1の回りを回転可能(公転可能)となっている。
図2に示すように、連結アーム60の内面に、第1のモータ本体39が固定されており、これにより、第1のモータ本体39が、上記回転中心C1の回りを回転可能(公転可能)となっている。
図1および図5を参照して、従動リンク56の第1の端部56aが、上記ブラケットからなる副アーム61により支持された支軸62の回りに回転可能に支持されている。一方、図1に示すように、アッパーチューブ12の外周にブラケット63が固定されおり、従動リンク56の第2の端部56bが、上記ブラケット63によって支持された支軸64の回りに回転可能に支持されている。
図2に示すように、規制部材58は、一方の主アーム59の内側面に固定された本体65と、本体65から上記一方の主アーム59の挿通孔591を通して突出する進退可能な軸66とを有している。通常のときは、軸66は、本体65に内蔵された上記バネ(図示せず)の付勢力により進出し、ハウジング31の側板51に形成された係合孔67に係合している。その結果、通常のときは、主動リンク55の回転中心C1回りの回転が規制されている。図6に示すように、係合孔67は複数設けられ、複数の係合孔67は、上記回転中心C1を中心とする円弧上に等間隔で配置されている。
一方、テレスコピック調整するときに、本体65に内蔵されたソレノイドに通電することより、上記バネに抗して軸66が後退し、上記係合孔67に対する係合を解除する。このように、規制部材58による上記回転中心C1回りの主動リンク55の回転の規制が解除されたときに、第1の電動モータ26の動力によって第1のモータ本体39を上記回転中心C1回りに回転(公転運動)させ、その公転運動を、リンク機構57によって、アッパーチューブ12の軸方向移動に変換し、その結果、操舵部材2を図7に示すように、テレスコピック運動させるようにしてある。
具体的には、第1のモータ本体39の公転運動に伴って、主動リンク55が上記回転中心C1の回りに回転し、その主動リンク55の回転に伴って、従動リンク56の第1の端部56aが、矢印Y1で示すように上記回転中心C1の回りに回転する。一方、アッパーチューブ12の両側方に突出する支軸16の移動方向が、支持孔19の長手方向に拘束されているので、従動リンク56の第2の端部56bが、支持孔19の長手方向と平行な方向(矢印Z1で示す)に移動する。その結果、アッパーチューブ12が軸方向に駆動されて、テレスコピック動作をする。
図2および図5を参照して、第2の電動モータ27の動力運動を用いて操舵部材2をチルト運動させるための第2の運動変換機構38は、ウォーム軸32の細軸部321および支軸74を連結し、第2のモータ本体41を固定したアーム68と、アーム68およびハウジング31が上記回転中心C1の回りに相対回転することを規制可能な規制部材69とを含む。
アーム68は、ウォーム軸32の細軸部321回りに、すなわち、第1の減速機構29の従動歯車34の回転中心C1の回りに回転可能であり、第2のモータ本体41を上記回転中心C1の回りに同行回転可能に支持している。
アーム68は、基端部70aおよび先端部70bを有し互いに平行な一対の板状の主アーム要素70と、一対の主アーム要素70の先端部70bを互いに連結した板状の連結アーム要素71と、連結アーム要素71の外面に固定されたブラケットからなる副アーム要素72とを含む。一対の主アーム要素70の基端部70aが、アーム68の第2の端部68bを構成し、副アーム要素72の先端部が、アーム68の第1の端部68aを構成している。
アーム68は、基端部70aおよび先端部70bを有し互いに平行な一対の板状の主アーム要素70と、一対の主アーム要素70の先端部70bを互いに連結した板状の連結アーム要素71と、連結アーム要素71の外面に固定されたブラケットからなる副アーム要素72とを含む。一対の主アーム要素70の基端部70aが、アーム68の第2の端部68bを構成し、副アーム要素72の先端部が、アーム68の第1の端部68aを構成している。
一対の主アーム要素70の基端部70aは、ウォーム軸32の細軸部321によって回転可能に支持されている。そのウォーム軸32の細軸部321の中心が、従動歯車34の上記回転中心C1となっている。各主アーム要素70の中間部は、それぞれ対応する軸受を介して、第2の電動モータ27の第2の回転軸42の両端を回転可能に支持している。連結アーム要素71の内面に、第2のモータ本体41が固定されており、これにより、第1のモータ本体39と同様、車両の停止時、転舵輪のタイヤの接地抵抗により従動歯車34の回転が規制されているとき、第2のモータ本体41が、上記回転中心C1の回りを回転可能となっている。
上記副アーム要素72の先端部は、車体側部材73により支持された支軸74の回りに回転可能に支持されている。このように、アーム68の第1の端部68aが、車体側部材73により支持された支軸74の回りに回転可能に支持され、アーム68の第2の端部68bが、上記回転中心C1を有する細軸部321を回転可能に支持している。支軸74の中心が第1の支点P1である。
図2に示すように、規制部材69は、一方の主アーム要素70の内側面に固定された本体75と、本体75から上記一方の主アーム要素70の挿通孔701を通して突出する進退可能な軸76とを有している。通常のときは、軸76は、本体75に内蔵された上記バネ(図示せず)の付勢力により進出しており、進出した軸76は、ハウジング31の側板52に回転中心C1を中心とする円弧状に(図6の係合孔67と同じ配列態様で)配列された複数の係合孔77の何れかに係合している。その結果、通常のときは、アーム68およびハウジング31が上記回転中心C1の回りに相対回転することが規制されている。
一方、チルト調整するときに、本体75に内蔵されたソレノイドに通電することより、上記バネに抗して軸76が後退し、上記係合孔77に対する係合を解除する。このように、規制部材69による回転中心C1回りのアーム68およびハウジング31の相対回転の規制が解除されたときに、第2の電動モータ27の動力によって、アーム68の第1の端部68aを、第1の支点P1を有する支軸74の回り回転させつつ、アーム68の第2の端部68bを回転中心C1回りに回転させる(実質的には、主動リンク55、従動歯車34およびハウジング31が、第1の支点P1の回りに可動している回転中心C1の回りに回転する)ことにより、ステアリングコラム5をチルト支点としての第2の支点P2を有する支軸16回りに揺動させて、図8に示すように、操舵部材2をチルト運動させるようにしてある。
具体的には、テレスコピック動作用のリンク機構57の主動リンク56の、回転中心C1回りの回転が規制部材58によって規制されているので、アーム68の第1の端部68aが、第1の支点P1を有する支軸74の回りに回転するときに、ハウジング31およびステアリングコラム5が、第2の支点P2を有する支軸16の回りに回転され、その結果、操舵部材2がチルト動作することになる。
アーム68からなる第1のリンクと、回転中心C1および第2の支点P2の間を結ぶ模擬的な第2のリンク100とで、リンク機構を構成していると言うこともできる。なお、チルト調整のときに、支軸16が支持孔19の長手方向であるステアリングシャフト3の軸方向X1に若干移動する場合がある。
本実施の形態によれば、下記の作用効果を奏する。すなわち、チルト調整またはテレスコピック調整するときは、車両は停止しているので、第2の減速機構30を介して舵取り機構11と接続された第1の減速機構28,29(従動歯車34)も停止するとともに、転舵輪のタイヤの接地抵抗により従動歯車34の回転が規制される。このように従動歯車34の回転が規制された状態で、操舵力を発生するための第1の電動モータ26の動力運動によって、第1のモータ本体39を変位させ、これにより、操舵部材2をテレスコピック動作させる。
本実施の形態によれば、下記の作用効果を奏する。すなわち、チルト調整またはテレスコピック調整するときは、車両は停止しているので、第2の減速機構30を介して舵取り機構11と接続された第1の減速機構28,29(従動歯車34)も停止するとともに、転舵輪のタイヤの接地抵抗により従動歯車34の回転が規制される。このように従動歯車34の回転が規制された状態で、操舵力を発生するための第1の電動モータ26の動力運動によって、第1のモータ本体39を変位させ、これにより、操舵部材2をテレスコピック動作させる。
また、第1の減速機構28,29(従動歯車34)が停止し、転舵輪のタイヤの接地抵抗により従動歯車34の回転が規制された状態で、操舵力を発生するための第2の電動モータ27の動力運動によって、第2のモータ本体41を変位させ、これにより、操舵部材2をチルト動作させる。
したがって、操舵補助用の電動モータを用いてチルト動作またはテレスコピック動作させる場合に、多数の傘歯車を有する差動機構を用いる特許文献1の車両用操舵装置と比較して、構造を簡素化することができる。
したがって、操舵補助用の電動モータを用いてチルト動作またはテレスコピック動作させる場合に、多数の傘歯車を有する差動機構を用いる特許文献1の車両用操舵装置と比較して、構造を簡素化することができる。
また、第1および第2の電動モータ26,27と、第1の減速機構28,29と、およびこれらを収容するハウジング31等が、サブアセンブリSAとしてユニット化されている。したがって、例えば、各電動モータ26,27を共通とし、第1の減速機構28,29の減速比を変更することにより、ユニットの仕様を容易に変更することができる。これにより、上記ユニットを種々の特性の電動パワーステアリング装置1に容易に適用することができる。
製造コストの高い電動モータ26,27の共通化を図ることにより、種々のユニットを製作するときの全体としてのコストを削減することができる。電動モータ26,27の体格を小さくできるので、サブアセンブリSA全体としての軽量化を図ることができ、ひいては、電動パワーステアリング装置1全体としての重量を削減することができる。
特に、小型で高回転型の電動モータ26,27と高減速比の第1の減速機構28,29を組み合わせることで、小型でも、高出力を得ることが可能となる。また、複数の電動モータ26,27および第1の減速機構28,29等をサブアセンブリSAとし予め組み立てておくことができるので、組み立て性がよい。
特に、小型で高回転型の電動モータ26,27と高減速比の第1の減速機構28,29を組み合わせることで、小型でも、高出力を得ることが可能となる。また、複数の電動モータ26,27および第1の減速機構28,29等をサブアセンブリSAとし予め組み立てておくことができるので、組み立て性がよい。
また、第1の減速機構28,29が第1および第2の駆動歯車35,36および従動歯車34を含み、第1および第2の電動モータ26,27の第1および第2の回転軸40,42と従動歯車34の回転中心C1とが平行であるので、下記の利点がある。すなわち、各電動モータ26,27の回転軸40,42の軸方向に関して、第1および第2の駆動歯車35,36および従動歯車34を同じ位置に配置することができるので、回転軸40,42の軸方向に関して、サブアセンブリSAを小型にすることができ、ひいては電動パワーステアリング装置1を小型にすることができる。
第1の減速機構28,29の伝動方式が、歯車伝動であるので、動力伝達が確実である。各駆動歯車35,36および従動歯車34としては、互いに噛み合う平歯車であってもよいし、互いに噛み合う山歯歯車であってもよいし、互いに噛み合うはす歯歯車であってもよい。特に、はす歯を用いた場合には、歯の噛み合い率を高くすることができるので、高出力を伝達するうえで好ましい。
また、操舵力を発生するアクチュエータとして第1および第2の電動モータ26,27が設けられ、第1の減速機構28,29の複数の駆動歯車35,36のそれぞれが、対応する電動モータ26,27の回転軸40,42にそれぞれ接続されるとともに従動歯車34に伝動可能に連結されている。したがって、下記の利点がある。すなわち、複数の電動モータ26,27を横並びで配置するとともに、対応する電動モータ26,27の回転軸40,42に接続された各駆動歯車35,36および従動歯車34を、上記回転軸40,42の軸方向に関して同じ位置に配置することができる。したがって、電動モータ26,27の回転軸40,42の軸方向に関して、サブアセンブリSAをより小型にすることができ、ひいては電動パワーステアリング装置1をより小型にすることができる。
また、ギヤハウジング15およびサブアセンブリSAのハウジング31の互いの対向板43,44間に弾性体45を介在させており、両対向板43,44の直接接触を避けているので、下記の利点がある。すなわち、電動モータ26,27、第1の減速機構28,29およびウォーム軸32を支持しているサブアセンブリSAのハウジング31から、ウォームホイール33やステアリングシャフト3を支持しているギヤハウジング15側へ振動や騒音が伝達されることを防止することができる。
また、ギヤハウジング15およびハウジング31の対向板43,44間の間隔の設定により、ウォーム320およびウォームホイール33間のバックラッシの量を調整したり、管理したりすることが可能となる。
また、電動モータ26,27、第1の減速機構28,29およびウォーム軸32を支持しているサブアセンブリSAを弾性支持しているので、ステアリング操作を開始するときの第2の減速機構30の起動トルクを低減することができ、その結果、操舵フィーリングを向上することができる。
また、電動モータ26,27、第1の減速機構28,29およびウォーム軸32を支持しているサブアセンブリSAを弾性支持しているので、ステアリング操作を開始するときの第2の減速機構30の起動トルクを低減することができ、その結果、操舵フィーリングを向上することができる。
また、ウォーム軸32のウォーム320を挟んだ両側に設けられた一対の従動歯車34を介してウォーム軸32に動力を伝達するので、安定してウォーム軸32を駆動することができる。
なお、上記の実施の形態において、第1の運動変換機構37および第2の運動変換機構38の何れか一方を廃止し、チルト調整およびテレスコピック調整の何れか一方のみを実施するようにしてもよい。
なお、上記の実施の形態において、第1の運動変換機構37および第2の運動変換機構38の何れか一方を廃止し、チルト調整およびテレスコピック調整の何れか一方のみを実施するようにしてもよい。
次いで、図9は本発明の別の実施の形態を示している。図9を参照して、本実施の形態が、図1の実施と主に異なるのは、図1の実施の形態のリンク機構57を用いた第1の運動変換機構37に代えて、巻き掛け伝動部材としてのワイヤ80を用いた第1の運動変換機構37Aを設けた点にある。巻き掛け伝動部材として、ワイヤ80に代えて、歯付きベルト等のベルト、チェーンを用いるようにしてもよい。
本実施の形態において、第1の電動モータ26Aを支持するアーム55Aは、ハウジング31に固定されている。本実施の形態のアーム55Aは、図1の実施の形態の主動リンク35を従動歯車34の回転中心C1回りに回転不能に構成したものに相当する。すなわち、第1の電動モータ26Aの第1のモータ本体39Aは、回転中心C1回りに回転しない。第1のモータ本体39Aは、第1の電動モータ26Aの第1の回転軸40Aの回りに回転可能とされている。
また、第1の回転軸40A回りの第1のモータ本体39Aの回転を規制可能な規制部材81が設けられている。図10に示すように、本実施の形態の規制部材81は、本体65および軸66を有する図2の規制部材58と同じ構成であるが、図2の規制部材58とは逆の向きに取り付けられている。すなわち、規制部材81の本体65は、アーム55Aの主アーム59の内側面に固定され、その本体65から突出した軸66は、第1のモータ本体39Aの端面391に第1の回転軸40Aを中心とする円弧状に(図6の係合孔67と同じ配列態様で)配列された複数の係合孔392の何れかに係合されるようになっている。
また、上記ワイヤ80は無端状である。図9に示すように、ワイヤ80は、固定ブラケット17の側板18に支軸82を介して回転可能に支持されたプーリ83、および第1のモータ本体39Aの外周393に巻き回されている。
また、図10に示すように、第1のモータ本体39Aの外周393には、複数巻きの螺旋溝84が設けられており、無端状のワイヤ80の中途部が、螺旋溝84に沿って複数回巻かれている。これにより、ワイヤ80が第1のモータ本体39Aの外周393の周方向にスリップを生じないようにされている。なお、螺旋溝84の中途部に、ワイヤ80の対応箇所を係止しておいてもよい。また、巻き掛け伝動部材として、ワイヤ80に代えて、歯付きベルトを用いる場合には、第1のモータ本体39Aの外周393に歯を形成することで、第1のモータ本体39Aを上記歯付きベルトに噛み合う歯付きプーリとして構成し、第1のモータ本体39Aに対する歯付きベルトのスリップを確実に防止するようにしてもよい。
また、図10に示すように、第1のモータ本体39Aの外周393には、複数巻きの螺旋溝84が設けられており、無端状のワイヤ80の中途部が、螺旋溝84に沿って複数回巻かれている。これにより、ワイヤ80が第1のモータ本体39Aの外周393の周方向にスリップを生じないようにされている。なお、螺旋溝84の中途部に、ワイヤ80の対応箇所を係止しておいてもよい。また、巻き掛け伝動部材として、ワイヤ80に代えて、歯付きベルトを用いる場合には、第1のモータ本体39Aの外周393に歯を形成することで、第1のモータ本体39Aを上記歯付きベルトに噛み合う歯付きプーリとして構成し、第1のモータ本体39Aに対する歯付きベルトのスリップを確実に防止するようにしてもよい。
ワイヤ80は、第1のモータ本体39Aおよびプーリ83間において、第1の領域85および第2の領域86を有している。第1および第2の領域85,86のそれぞれは、第1のモータ本体39Aおよびプーリ83の対応する同側部分の間を接続している。第1および第2の領域85,86の何れか一方が第1のモータ本体39Aに巻き取られたときに、他方が第1のモータ本体39Aから巻き出されるようになっている。
また、ワイヤ80の第2の領域86に設けられた係止部87が、ステアリングコラム5のアッパーチューブ12の外周に固定されたブラケット63Aに、ステアリングシャフト3の軸方向X1に同行移動可能に係止されている。すなわち、ワイヤ80の巻き取り、巻き出しとともに、係止部87に係止されたブラケット63Aが軸方向X1に移動し、これにより、ステアリングコラム5のアッパーチューブ12が軸方向X1に移動され、操舵部材2のテレスコピックス運動を可能としている。
また、ワイヤ80に張力を付与するテンショナ88が、固定ブラケット17の例えば側板18に取り付けられている。テンショナ88は、側板18に取り付けられた支軸89の回りに揺動可能な揺動アーム90と、揺動アーム90の先端に回転可能に支持されたテンショナプーリ91と、揺動アーム90を介してテンショナプーリ91をワイヤ80の第1の領域85に弾性的に付勢する付勢ばね92とを備える。
規制部材81による第1のモータ本体39Aとハウジング31との相対回転の規制が解除されたときに、第1の電動モータ26Aを駆動すると、第1のモータ本体39Aが第1の回転軸40Aの回りに回転する。第1のモータ本体39Aの回転方向に応じて、第1モータ本体39Aから第1の領域85(または第2の領域86)へとワイヤ80が巻き出される一方、第2の領域86(または第1の領域85)のワイヤ80が、第1のモータ本体39Aに巻き取られる。これにより、ワイヤ80の係止部87に係止されたアッパーチューブ12(ブラケット63A)をロアーチューブ13に対して相対摺動させることができる。その結果、操舵部材2をテレスコピック運動させるようにしている。
テレスコピック調整のときや、チルト調整のときに、プーリ83とブラケット63Aの係止部87との間のワイヤ80の長さが多少変化する場合があるが、上記のテンショナ88の揺動アーム90が揺動することにより、ワイヤ長の変化を吸収することができる。
したがって、操舵補助用の電動モータを用いてチルト動作またはテレスコピック動作させる場合に、多数の傘歯車を有する差動機構を用いる特許文献1の車両用操舵装置と比較して、構造を簡素化することができる。
したがって、操舵補助用の電動モータを用いてチルト動作またはテレスコピック動作させる場合に、多数の傘歯車を有する差動機構を用いる特許文献1の車両用操舵装置と比較して、構造を簡素化することができる。
本実施の形態において、アーム55Aを廃止し、第1の電動モータ26Aの第1の回転軸40Aをハウジング31の側板51によって軸受を介して支持し、規制部材81の本体65をハウジング31の側板51に固定するようにしてもよい。
上記各実施の形態では、テレスコピック調整のため第1の運動変換機構37または37Aと、チルト調整のための第2の運動変換機構38との双方を設けたが、何れか一方のみを設けるようにしてもよい。
上記各実施の形態では、テレスコピック調整のため第1の運動変換機構37または37Aと、チルト調整のための第2の運動変換機構38との双方を設けたが、何れか一方のみを設けるようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、本発明が、電動モータの出力を操舵補助力として出力する電動パワーステアリング装置に適用された例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明を、操舵部材の操舵角に対する転舵輪の転舵角の比を変更可能な伝達比可変機構を備え、伝達比可変機構を駆動するために電動モータの出力を用いる伝達比可変式の車両用操舵装置に適用してもよい。その他、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことができる。
1…電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置)、2…操舵部材、3…ステアリングシャフト、4…車体、5…ステアリングコラム、11…舵取り機構、12…アッパーチューブ、13…ロアーチューブ、15…ギヤハウジング、16…支軸、17…固定ブラケット、18…側板、19…支持孔、26,26A…第1の電動モータ(アクチュエータ)、27…第2の電動モータ(アクチュエータ)、28,29…第1の減速機構、30…第2の減速機構、31…ハウジング、32…ウォーム軸(駆動部材)、33…ウォームホイール(従動部材)、34…従動歯車(従動部材)、35…第1の駆動歯車、36…第2の駆動歯車、37,37A…第1の運動変換機構、38…第2の運動変換機構、39,39A…第1のモータ本体、40,40A…第1の回転軸(出力軸)、41…第2のモータ本体、42…第2の回転軸、55…主動リンク、55A…アーム、56…従動リンク、57…リンク機構、58,69,81…規制部材、68…アーム、68a…第1の端部、68b…第2の端部、C1…回転中心、P1…第1の支点、P2…第2の支点、80…ワイヤ(巻き掛け伝動部材)、83…プーリ、85…第1の領域、86…第2の領域、87…係止部、88…テンショナ
Claims (5)
- 操舵力を発生するためのアクチュエータと、上記アクチュエータに接続された第1の減速機構と、上記第1の減速機構に接続された第2の減速機構と、上記第2の減速機構に接続された舵取り機構と、を備え、
上記アクチュエータは、アクチュエータ本体と、上記アクチュエータ本体によって回転可能に支持された出力軸と、を含み、
上記アクチュエータの動力運動を、上記アクチュエータ本体の運動を通じて、操舵部材をチルト動作またはテレスコピック動作させるためのステアリングコラムの運動に変換する運動変換機構とを備えたことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記アクチュエータは、第1および第2の電動モータを含む少なくとも2つの電動モータを含み、上記第1の電動モータは、アクチュエータ本体としての第1のモータ本体と、出力軸としての第1の回転軸と、を含み、
上記ステアリングコラムは、軸方向に相対摺動可能なアッパーチューブおよびロアーチューブを含み、
上記第1の減速機構は、第1の回転軸の回転に応じて駆動可能であり、第1の回転軸に平行な回転中心を有する従動部材を含み、
上記運動変換機構は、操舵部材をテレスコピック動作させるための第1の運動変換機構を含み、
上記第1の運動変換機構は、上記回転中心の回りに回転可能であり第1のモータ本体を上記回転中心の回りに同行回転可能に支持する主動リンクを含み、上記回転中心回りの上記第1のモータ本体の回転を、上記アッパーチューブの軸方向移動に変換するリンク機構と、上記回転中心回りの主動リンクの回転を規制可能な規制部材と、を含み、
上記規制部材による主動リンクの回転の規制が解除されたときに、第1の電動モータの動力によって主動リンクを上記回転中心回りに回転させることにより、操舵部材をテレスコピック運動させるようにしてあることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記アクチュエータは、第1および第2の電動モータを含む少なくとも2つの電動モータを含み、上記第1の電動モータは、アクチュエータ本体としての筒状の第1のモータ本体と、出力軸としての第1の回転軸とを含み、
上記運動変換機構は、第1の回転軸を中心とする第1のモータ本体の回転に伴って第1のモータ本体の周囲に巻き取り可能で且つステアリングコラムのアッパーチューブと同行移動可能な巻き掛け伝動部材と、第1の回転軸を中心とする第1のモータ本体の回転を規制する規制部材と、を含み、
上記規制部材による第1の回転軸回りの第1のモータ本体の回転の規制が解除されたときに、第1の電動モータの動力によって第1のモータ本体を第1の回転軸回りに回転させることにより、操舵部材をテレスコピック運動させるようにしてあることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2または3において、上記第2の電動モータは、アクチュエータ本体としての第2のモータ本体と、出力軸としての第2の回転軸とを含み、
上記運動変換機構は、操舵部材をチルト動作させるための第2の運動変換機構を含み、 上記第2の運動変換機構は、第2のモータ本体を第1の減速機構の従動部材の回転中心回りに同行回転可能に支持するアームと、上記回転中心回りのアームの回転を規制可能な規制部材と、を含み、
上記アームは、車体に設けられた第1の支点の回りに回転可能に支持された第1の端部と上記従動部材の上記回転中心と同行移動可能に連結された第2の端部とを有し、
上記規制部材による上記回転中心回りのアームの回転の規制が解除されたときに、第2の電動モータの動力によって、アームの第1の端部を第1の支点回りに回転させつつ上記アームの第2の端部を上記回転中心回りに回転させることにより、ステアリングコラムをチルト支点としての第2の支点の回りに揺動させて、操舵部材をチルト運動させるようにしてあることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記アクチュエータは、アクチュエータ本体としてのモータ本体および出力軸としての回転軸を有する電動モータを含み、
上記第1の減速機構は、上記回転軸の回転に応じて駆動可能であり、上記回転軸に平行な回転中心を有する従動部材を含み、
上記運動変換機構は、モータ本体を第1の減速機構の従動部材の回転中心回りに同行回転可能に支持するアームと、上記回転中心回りのアームの回転を規制可能な規制部材と、を含み、
上記アームは、車体に設けられた第1の支点の回りに回転可能に支持された第1の端部と上記従動部材の上記回転中心と同行移動可能に連結された第2の端部とを有し、
上記規制部材による上記回転中心回りの上記アームの回転の規制が解除されたときに、電動モータの動力によって上記アームを第1の支点回りおよび上記回転中心回りに回転させることにより、ステアリングコラムをチルト支点としての第2の支点の回りに揺動させて、操舵部材をチルト運動させるようにしてあることを特徴とする車両用操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008272408A JP2010100143A (ja) | 2008-10-22 | 2008-10-22 | 車両用操舵装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008272408A JP2010100143A (ja) | 2008-10-22 | 2008-10-22 | 車両用操舵装置 |
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ID=42291172
Family Applications (1)
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JP2008272408A Pending JP2010100143A (ja) | 2008-10-22 | 2008-10-22 | 車両用操舵装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015027866A (ja) * | 2013-07-03 | 2015-02-12 | 株式会社ジェイテクト | ステアリングコラム装置 |
JP2021045999A (ja) * | 2019-09-17 | 2021-03-25 | アイシン精機株式会社 | 車両のステアリング装置 |
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2008
- 2008-10-22 JP JP2008272408A patent/JP2010100143A/ja active Pending
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JP7371409B2 (ja) | 2019-09-17 | 2023-10-31 | 株式会社アイシン | 車両のステアリング装置 |
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