JP2010099697A - 溶鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Tomomichi Terabatake
知道 寺畠
Junichi Yotsutsuji
淳一 四辻
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Abstract

【課題】本発明は、高品質の製品鋼材を得ることの可能な溶鋼の連続鋳造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】水冷鋳型に溶鋼を連続的に注入し、別途投入したモールド・パウダで該溶鋼を覆うと共に、該溶鋼を電磁力で攪拌し、生成した凝固殻を前記鋳型から下方に引き抜きながら冷却を続け、完全に凝固した長尺の鋼鋳片とするに際して、モールド・パウダの溶融層の厚みを常時測定し、該測定値を予じめ定めたモールド・パウダの溶融層の厚みと該鋼鋳片もしくは該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係に照らし、該鋼鋳片もしくは製品鋼材の欠陥発生率が所望値以下になるように、前記水冷鋳型での溶鋼の鋳造条件を変更してモールド・パウダの溶融層の厚みを調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶鋼の連続鋳造方法に係わり、詳しくは、溶鋼を連続鋳造するに際し、鋳型(モールド)に注入された溶鋼の上部に添加したモールド・パウダと称する粉末が形成する溶融層の厚み(以下、パウダ溶融層厚という)をオンラインで常時連続的に測定すると共に、該パウダ溶融層厚及び/又は未溶融層厚を当該鋼鋳片もしくは該鋼鋳片の圧延で得た製品鋼材の欠陥発生率が所望範囲内に収まるような値に調整して,高品質の製品鋼材を得る技術に関する。
溶鋼の連続鋳造を行うには、図4に示すように、溶鋼を上下に振動させた水冷構造の鋳型1(モールドという)に注入して冷却し、該溶鋼2の鋳型1との接触面に凝固殻3(シェルという)を生成させ、この凝固殻3を鋳型1の下方に連続的に一定速度で引き抜きながら、さらなる冷却を行って最終的に完全に凝固した長尺の鋼鋳片(図示せず)としている。この水冷鋳型1の材料は、銅を母材とし、必要に応じてその表面にクロム又はニッケル若しくはこれら金属の合金がメッキされたものであるが、生成される凝固殻3を下方へ円滑に引き抜くには、該凝固殻3と鋳型1の内表面との間の摩擦抵抗をできるだけ小さくする必要がある。そのため、モールド・パウダ5と称する粉末を一定の供給量で溶鋼2の上面に連続的に添加して、溶鋼2の全体を覆うと共に、凝固殻3と鋳型1の内表面との間隙に浸入させる。
このモールド・パウダ5は、CaO、SiO、Al、MgO、MnO等の酸化物を基材に、NaO、KO、CaF、MgF、LiCO、氷晶石等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、弗化物又は炭酸化物と、基材の主成分であるCaO、SiOの成分調整材としての炭酸カルシウムや珪藻土、溶融速度を調整するカーボン・ブラック、人造黒鉛で構成されており、図4に示したように、溶鋼2上で1部が溶融して鋳型1と凝固殻3との間隙(図示せず)に流入し、潤滑剤としての機能を発揮するのである。なお、添加したモールド・パウダ5の層は、潤滑剤としての他、溶鋼の保温剤や酸化防止剤、溶鋼の内部に存在する非金属介在物を除去する吸収剤、メニスカス部(凝固殻と溶鋼の境界部分)付近での溶鋼の冷却剤等の様々な機能も発揮する。特に、前記した潤滑剤としての機能やメニスカス部付近での鋳片の冷却効果には、該モールド・パウダ5が溶融して形成するパウダ溶融層4が重要な役割を果たしている。
従って、実際の操業では、該パウダ溶融層4の厚さをいかに適正に制御するかが重要となるが、その前提として、まずパウダ溶融層厚を正確に測定する必要がある。特に、該パウダ溶融層厚が薄い場合には、未溶融のモールド・パウダ5が溶鋼2内に巻き込まれて非金属介在物となり、製造した鋼鋳片の品質低下につながる可能性もあり、この点からも、パウダ溶融層厚の管理が必要とされるのである。
パウダ溶融層厚を測定する手段としては、従来より、接触式及び非接触式の装置を利用するものがある。接触式としては、鉄棒に銅メッキやアルミメッキを施した検尺棒をパウダ溶融層内に溶鋼へ到達するまで浸漬し、該検尺棒の溶損状態の違いからパウダ溶融層厚を測定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、非接触式としては、モールドの対向する壁の一方側に上下方向に沿い棒状のγ線源と、他方側に上下動可能な検出器を配置し、投射したγ線の透過率が溶鋼、パウダ溶融層、パウダ粉粒層及び空気層にて異なることを利用した方法(特許文献2参照)、γ線と渦流式レベル計とを組み合わせた方法(特許文献3参照)、共振型渦流レベル計(特許文献4参照)を2周波にて使用して、溶鋼面、パウダ溶融層上面の高さからパウダ溶融層厚を求める方法(非特許文献1)等がある。
ところが、前記接触式測定方法では、センサがパウダ溶融層、溶鋼等に接触するが故に、その接触部からパウダを溶鋼中に巻き込んでしまう。実際の操業では今後、鋳造速度が以前より増加する傾向にあるが、その場合、溶鋼表面の流れ速度が速くなって、パウダの巻き込みが増えることも考えられ、また、センサの浸漬部分に付着した異物が溶鋼内にて剥がれ、非金属介在物になる等、品質上の問題がある。また測定が連続的に行えず、時間的に間隔があく所謂「バッチ」測定となるので、その測定結果に基づいて行う操業アクションが遅滞気味となり、鋼鋳片の品質安定化にとって好ましくない。
一方、前記非接触式のγ線を利用した方法では、装置が大型化するため、モールド側面に設置することが困難であり、パウダ溶融層厚を精度良く測定することは難しい。また2周波の渦流法においては、未溶融のパウダ粉粒層の厚みの影響を受け、十分な精度が得られず、周囲温度の変化にも影響を受け易いという問題もあった。
そこで、本出願人は、上記共振型渦流レベル計(特許文献4参照)を2周波にて使用して、溶鋼面、パウダ溶融層上面の高さからパウダ溶融層厚を求める方法をさらに改良し、1又は複数の異なる電気伝導度の層の厚さを測定する層厚測定方法において、励磁用コイルに1又は複数の周波数の電圧を印加する工程と、前記励磁用コイルにより前記各層に発生する渦電流に起因する電圧を、前記励磁用コイルと同一又は異なる検出用コイルで検出する工程と、前記励磁用コイルで印加した電圧に対する前記検出用コイルで検出した電圧の位相差及び前記検出用コイルで検出した電圧の振幅の絶対値を出力する工程とを有することを特徴とする層厚測定方法を提案した(特許文献5参照)。この測定方法によれば、極めて容易に且つ連続してモールド・パウダの溶融層厚を計測することが可能になった。但し、この多周波渦流モールド・パウダ溶融厚み測定方法は、溶鋼湯面位置の実測値やモールド・パウダ溶融厚みの実測値に基づいて計測器の出力を校正しないと、溶融厚みの絶対値が確認できないという問題もあった。そのため、本出願人は、溶鋼と電気的に性質が近く固体である溶鋼模擬材と、モールド・パウダの溶融層と電気的に性質が近く固体である溶融モールド・パウダ模擬材とを用いて校正を行う技術をも提供した(特許文献6参照)。
しかしながら、上記特許文献5及び6の技術を利用する際に、条件によっては測定精度が悪くなる場合があった。例えば、モールド・パウダの種類、溶鋼面温度によって溶融パウダ厚の測定誤差が大きくなったり、製造する鋼鋳片の厚みが狭くなると、溶鋼レベルの測定精度が悪くなる、オシレーション(鋳型を上下に振動させる)の振動パターンによっては、測定データがばらつくなどである。
このうち、後者の2つの問題、「つまり製造する鋼鋳片の厚みが狭くなると、溶鋼レベルの測定精度が悪くなる、オシレーション(鋳型を上下に振動させる)の振動パターンによっては、測定データがばらつく」は、比較的容易に解決できたが、モールド・パウダの種類、溶鋼面温度が変わった場合の問題は、その測定誤差の大きさがモールド・パウダ種類、温度によって変わり、単純でなかった。そこで、最近、本出願人は、モールド・パウダの種類と溶鋼温度の影響による誤差を補正して、高精度に測定が可能な多周波渦流モールド・パウダ溶融層厚の計測方法をも提案した(特許文献7参照)。
このように、溶鋼の連続鋳造を行うに際してモールド・パウダ溶融層の厚みを測定する技術は改良が重ねられ、パウダ溶融層厚の測定精度がかなり高まってきている。ところが、これらの計測技術を操業に利用することについては、非接触式でモールド・パウダ層の表面の温度を測り、その厚み分布を推定すると共に、その推定値に基づきモールド・パウダが一定厚みの層を形成するように自動供給するモールド・パウダ供給装置が開発されているに過ぎず、今だ十分とは言えない(特許文献8参照)。
ところが、このようなモールド・パウダ粉末の表面温度分布から溶融層厚みを推定し、モールド・パウダを供給する方法は、あくまで推定に基づいたモールド・パウダの投入であり、それが実測とどのように乖離しているのか、またそれが品質にどのような影響を及ぼしているのか不明であった。実際にも、得られた鋼鋳片の品質や該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の品質のばらつきは大きく、連続鋳造の技術としては、まだまだ改良の余地が残っていると考えられている。
特開平9−79805号公報 特開昭61−46361号公報 特開昭62−166065号公報 特開昭59−180402号公報 特開2005−221282号公報 特開2006−205227号公報 特開2007−021529号公報 中森幸雄他 「パウダフィルム厚み計、溶融パウダプール厚計の開発」 製鉄研究、第324号、1987、p51〜58 特開昭60−49846号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、モールド・パウダの溶融層厚を常時測定し、その測定情報からオンラインで鋼鋳片の品質状況を判断し、該パウダ溶融層厚及び/又は未溶融層厚を当該鋼鋳片及び該鋼鋳片の圧延で得た製品鋼材の欠陥発生率が所望範囲内に収まるような値に調整して,高品質の製品鋼材を得ることの可能な溶鋼の連続鋳造方法を提供することを目的としている。
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。すなわち、本発明は、上下振動させた水冷鋳型に溶鋼を連続的に注入し、別途投入したモールド・パウダで該溶鋼を覆うと共に、該溶鋼を電磁力で攪拌し、生成した凝固殻を前記鋳型から下方に引き抜きながら冷却を続け、完全に凝固した長尺の鋼鋳片とするに際して、前記モールド・パウダの溶融層の厚みを常時測定し、該測定値を予じめ定めたモールド・パウダの溶融層の厚みと該鋼鋳片もしくは該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係に照らし、該鋼鋳片もしくは製品鋼材の欠陥発生率が所望値以下になるように、前記水冷鋳型での溶鋼の鋳造条件を変更してモールド・パウダの溶融層の厚みを調整することを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法である。
この場合、さらに、モールド・パウダの未溶融層の厚みを求め、予じめ定めたモールド・パウダの未溶融層の厚み及び前記溶融層の厚みと該鋼鋳片もしくは該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係に照らし、該鋼鋳片もしくは製品鋼材の欠陥発生率が所望範囲内に収まるように、前記水冷鋳型での溶鋼の鋳造条件を変更してモールド・パウダの溶融層の厚み及び未溶融層の厚みを調整するのが好ましい。また、前記変更する水冷鋳型での溶鋼の鋳造条件を、モールド・パウダの投入量及び又は電磁攪拌力の大きさとするのが良く、さらに前記モールド・パウダ溶融層の測定を多周波渦流式厚み計で行うのが一層良い。
本発明では、溶鋼を連続鋳造するに際し、鋳型(モールド)に注入された溶鋼の上部に添加したモールド・パウダと称する粉末が形成する溶融層の厚み(以下、パウダ溶融層厚という)をオンラインで常時連続的に測定すると共に、該パウダ溶融層厚及び/又は未溶融層厚を、当該鋼鋳片及び該鋼鋳片の圧延で得た製品鋼材の欠陥発生率が所望範囲内に収まるような値に、鋳造条件を変更して調整するようにしたので,高品質の製品鋼材が安定して得られるようになった。
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の最良の実施形態を説明する。
まず、本発明では、上下振動させた水冷鋳型に溶鋼を連続的に注入し、別途投入した前記潤滑剤としての機能を発揮させるモールド・パウダで該溶鋼を覆うが、該モールド・パウダの組成及び性状(例えば、粒度分布)は特に限定しない。採用するモールド・パウダの種類に応じて連続鋳造時の必要な事前情報(データ)を採取すれば良いからである。
また、本発明では、このモールド・パウダの溶融層の厚みを常時測定するが、その測定方法も特に限定しない。前記した従来の接触方式、非接触方式の測定方法がすべて利用できるからである。ただし、本発明では、それらの測定値を利用するために、予じめモールド・パウダの溶融層の厚みと該鋼鋳片もしくは該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係を定めておくことが必要になる。
そこで、本発明者は、垂直曲型連続鋳造機を用い、平断面積が260mm×1200mmの水冷鋳型に鋼種を極低炭素溶鋼とした溶鋼を注入し、鋳型振動及び溶鋼の電磁攪拌を通常の一定条件下で行いながら連続鋳造する試験操業を多数チャージ(1チャージは、溶鋼鍋に受鋼した280トンの溶鋼を、タンディッシュの上方に設置し、ノズルを介して鋳型へ溶鋼の全量がなくなるまで連続注入する)行い、モールド・パウダの溶融層の厚みと該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係を求めた。なお、ここで用いたモールド・パウダは、(組成が、CaO:36.1mass%、SiO:35.6mass%、Al:6.4mass%、MgO:1.8mass%、F:2.9mass%、T.C:3.3mass%、凝固点温度:1100℃、1300℃での粘度:0.4Pa・s)であり、その溶融層の厚みは、特許文献7記載の従来の測定方法にて測定した。その際、連続鋳造により得られた鋳片(スラブ)を無手入れのまま、ホットチャージ圧延し、熱延鋼帯とした。ホットチャージ圧延の条件は、加熱炉温度:1100〜1150℃、在炉時間:30〜60minとした。ついで、得られた熱延鋼帯に冷間圧延を施し、板厚0.8mmの冷延コイル(鋼帯)とした。得られた冷延コイルについて、表面欠陥の発生個数を目視で調査し、表面欠陥発生率(%)(=(欠陥個数/測定したコイル長さ)×100)を求めた。なお、測定した表面欠陥は、気泡、介在物、パウダ起因のヘゲ、スリバー、フクレ(ブリスター)であり、割れ起因の欠陥は除外した。得られた関係の一例を図1に示す。
本発明は、連続鋳造の操業中に常時測定して得られたモールド・パウダの溶融層の厚みを、一定時間の間隔でこの図1の関係に照らし、上記該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率が所望範囲内(0.1%以下)に収まる値になるように、溶鋼の鋳造条件の値を変更して調整するのである。欠陥発生率が0.1%以下ならば、自動車用鋼板素材として満足できるからである。
この鋳造条件としては、本発明では、主に、モールド・パウダの投入量(kg/min)及び溶鋼の電磁攪拌力(電流値で評価)とする。モールド・パウダの溶融層は、連続鋳造中に鋳型と凝固殻との間隙に入り込むので、消費されるモールド・パウダの量に大きく影響するが、1チャージ分の操業中のモールド・パウダの溶融層厚は、これらモールド・パウダの投入量及び溶鋼の電磁攪拌力を操作することでほぼ満足した調整ができるからである。
このように、本発明は、操業中にオンラインでモールド・パウダの溶融層の厚みを測定し、その値を図1のモールド・パウダの溶融層の厚みと該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係を利用して、溶鋼の鋳造条件を変更して調整すれば良いのである。また、鋳造条件としては上記の他、(1)溶融速度の速いモールド・パウダ(種類)への切替、また溶融層厚が厚いと判断される場合は、(2)電磁攪拌装置などを用いて鋳型内の溶鋼流動を低下させパウダへの熱供給量を下げる、(3)溶融速度の遅いパウダへの切替などの方法もあるが、これらの操作は1チャージ内での操業中でなく、主にチャージの変更時とか溶鋼の鋼種を変更する際の対策として利用される。
ここで、モールド・パウダ溶融層厚の測定は、鋼鋳片巾方向の全巾で測定することが望ましいが、モールド・パウダ溶融層厚の情報と圧延した鋼材の品質情報とを結びつけた品質情報のデータベースが構築され、巾方向で製品欠陥が出易い箇所を特定できる場合には、その巾方向の位置に固定して測定しても良い。
次に、発明者は、本発明のさらなる改良について検討した。その理由は、図1の関係が過去の操業又は試験操業からのデータに基づいており、多分に誤差を含む可能性があり、まだ精度を高める余地があると考えたからである。そして、発明者は、モールド・パウダの未溶融層の影響も配慮した方がより良く目的が達成されると着想し、モールド・パウダの未溶融層の厚みを求めることも行った。パウダ溶融層の上端は、上記パウダ溶融層厚みの測定から知られるので、パウダ未溶融層の位置を知れば、容易にパウダ未溶融層の厚みが演算で求まる。具体的には、超音波距離計等を鋳型1の上方に配置し、モールド・パウダ5の表面までの距離を測定すれば良い(図4参照)。
そのようにして得たパウダ未溶融層の厚みを、図1のパウダ溶融層の厚みと鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係に同時に合わせて配慮すると、図2に示すような関係になった。ここで、丸印は欠陥発生率が所望値(0.05%以下)を満足し、×印は所望値に至らない(0.05%超え)のデータを示している。つまり、図1だけの利用時よりも、パウダ未溶融層の厚みを考慮すると、欠陥発生が0.05%以下とさらに小さくできることが図2より判明したので、この図2の関係を利用することにした。すなわち「モールド・パウダの未溶融層の厚みを求め、その演算値を予じめ定めたモールド・パウダの未溶融層の厚み及び溶融層の厚みと製品鋼材の欠陥発生率との関係(図2参照)に照らし、前記鋳造条件を変更してモウールド・パウダ5の未溶融層及び溶融層の厚みを調整することも本発明に加えたのである。
なお、上記した2つの本発明を実施するに際しては、モールド・パウダ溶融層の測定が必須であるが、その測定を特許文献7記載の多周波渦流式厚み計で行うのが一層好ましい。それによれば、製造する鋼鋳片の厚みが狭くなると、溶鋼レベルの測定精度が悪くなる、オシレーション(鋳型を上下に振動させる)の振動パターンによっては、測定データがばらつくなどの問題が解決でき、且つモールド・パウダの種類や溶鋼の温度分布の影響が補正できるし、モールド・パウダの未溶融厚みも同時に得られるからである。
なお、図1及び図2の該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係は、製品鋼材がCGLを施された鋼板であったが、本発明では、そのような鋼板に限るものではなく、あらゆる鋼製品の表面欠陥や内部介在物欠陥も利用できる。推定された品質結果から品質悪化位置が特定できるので、必要に応じて表面検査、表面研削、内部欠陥の場合は低級グレードヘの格落ちやコイルシートでの切断除去などを行い、品質劣化製品の発生を抑止できるからである。
垂直曲型連続鋳造機(以下、連鋳機という)を用い、用途が自動車用鋼板とする極低炭素溶鋼の鋳造を行った。水冷鋳型1の上端における平断面積は、260mm×1200mmであり、水冷鋳型1は所謂「オシレーション」と称する一定周期で上下振動させ、鋳型内の溶鋼は電磁攪拌を施すようになっている。
まず、転炉出鋼後に真空脱ガス装置(図示せず)を利用した二次精錬で極低炭素領域にまで脱炭された溶鋼(主な組成がC:0.001質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.15質量%、P:0.010質量%、S:0.010質量%)を、収容能力280トンの取鍋(図示せず)に受け、連鋳機のタンディッシュ(図示せず)の上にセットした後、浸漬ノズル等を介して鋳型1に連続的に注入し、1チャージ分の操業を開始した。その際、別途鋳型1の上方に配置したバンカ(図示せず)に貯えてあるモールド・パウダをスクリュウ・フィーダを介して鋳型1内の溶鋼上に連続的に投入し、該溶鋼を覆った。なお、開始当初の電磁攪拌装置の電流値は300アンペアにセットしてある。また、使用したモールド・パウダは、組成がCaO:36.1mass%、SiO:35.6mass%、Al:6.4mass%、MgO:1.8mass%、F:2.9mass%、T.C:3.3mass%で、凝固点温度:1100℃、1300℃での粘度:0.4Pa・sのものである。
そして、操業中は、これも鋳型1の上方に配置したモールド・パウダ溶融層厚み計(図示せず)でモールド・パウダの溶融層厚みを常時測定した。モールド・パウダ溶融層厚み計は、従来技術として引用文献7に記載した多周波渦流式厚み計を採用したので、溶融層の厚みが測定されるばかりでなく、未溶融層の厚みも算出できるようにした。これらの測定値等は、プロセス・コンピュータを用いて1分毎に図2に示した製品鋼材の欠陥発生率との関係に照合され、欠陥発生率が所望値の0.05%から外れる場合には、所望値の0.05%以下に戻るように、前記した電磁攪拌装置の攪拌電流を増減させたり、モールド・パウダの供給量を変更することで、モールド・パウダの未溶融層及び溶融層の厚みを調整した。その操業の様子を図3に示しておく。
その結果、モールド・パウダの溶融層の厚みは10〜15mmの範囲に、モールド・パウダの未溶融層の厚みは5〜10mmの範囲に調整できた。そして、連続鋳造により得られた鋳片(スラブ)を無手入れのまま、ホットチャージ圧延し、熱延鋼帯とした。ホットチャージ圧延の条件は、加熱炉温度:1100〜1150℃、在炉時間:30〜60minとした。ついで、得られた熱延鋼帯に冷間圧延を施し、板厚0.8mmの冷延コイル(鋼帯)とした。得られた冷延コイルについて、表面欠陥の発生個数を目視で調査し、表面欠陥発生率(%)(=(欠陥個数/測定したコイル長さ)×100)を求めた。なお、測定した表面欠陥は、気泡、介在物、パウダ起因のヘゲ、スリバー、フクレ(ブリスター)であり、割れ起因の欠陥は除外した。本発明例における欠陥発生率は、製造した全チャージ数の平均で0.05%以下と非常に低い値であった。
一方、同一鋼種の連続鋳造において、モールド・パウダ溶融層厚み等に対し特別なアクションをとらず、鋳型内のモールド・パウダが赤熱しない程度、すなわち未溶解のモールド・パウダが無くならないように追加供給するだけの操作をしながら操業する従来の鋳造方法も実施した。
その結果、モールド・パウダの溶融層の厚みは0〜25mm、モールド・パウダの未非溶融層の厚みは10〜30mmで大きく変動し、上記と同様にして製品鋼材の欠陥を調査したところ、その欠陥発生率は、平均で製品全体の0.25%と大きい値であった。つまり、本発明の実施により、従来より高品質の製品鋼材を得ることが可能になったのである。
モールド・パウダの溶融層厚みと製品鋼板の欠陥発生率との関係を示す図である。 モールド・パウダの溶融層及び未溶融層の厚みと製品鋼板の欠陥発生率との関係を示す図である。 本発明を実施している際のモールド・パウダの溶融層及び未溶融層の変化状況とアクションの付与状況を示す図である。 溶鋼の連続鋳造における鋳型内の状況を説明する概略図である。
符号の説明
1 水冷鋳型
2 溶鋼
3 凝固殻
4 モールド・パウダの溶融層
5 モールド・パウダ(又は、その未溶融層)

Claims (4)

  1. 上下振動させた水冷鋳型に溶鋼を連続的に注入し、別途投入したモールド・パウダで該溶鋼を覆うと共に、該溶鋼を電磁力で攪拌し、生成した凝固殻を前記鋳型から下方に引き抜きながら冷却を続け、完全に凝固した長尺の鋼鋳片とするに際して、
    前記モールド・パウダの溶融層の厚みを常時測定し、該測定値を予じめ定めたモールド・パウダの溶融層の厚みと該鋼鋳片もしくは該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係に照らし、該鋼鋳片もしくは製品鋼材の欠陥発生率が所望値以下になるように、前記水冷鋳型での溶鋼の鋳造条件を変更してモールド・パウダの溶融層の厚みを調整することを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  2. さらに、モールド・パウダの未溶融層の厚みを求め、予じめ定めたモールド・パウダの未溶融層の厚み及び前記溶融層の厚みと該鋼鋳片もしくは該鋼鋳片を圧延して得た製品鋼材の欠陥発生率との関係に照らし、該鋼鋳片もしくは製品鋼材の欠陥発生率が所望範囲内に収まるように、前記水冷鋳型での溶鋼の鋳造条件を変更してモールド・パウダの溶融層の厚み及び未溶融層の厚みを調整する請求項1記載の溶鋼の連続鋳造方法。
  3. 前記変更する水冷鋳型での溶鋼の鋳造条件を、モールド・パウダの投入量及び又は電磁攪拌力の大きさとすることを特徴とする請求項1又は2記載の溶鋼の連続鋳造方法。
  4. 前記モールド・パウダ溶融層の測定を多周波渦流式厚み計で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶鋼の連続鋳造方法。
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