JP2010095666A - 接合方法及びこの方法を利用して製造された電子装置 - Google Patents

接合方法及びこの方法を利用して製造された電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被接合物を汚染せずに低温の熱処理で被接合物同士を容易に接合でき、半導体プロセスにも良好な適合性を有する接合方法を提供する。
【解決手段】水との相溶性を持たない有機溶媒でポリシラザンを希釈して低粘度化させ(ステップS10)、ポリシラザン希釈液を適宜手法で被接合物の接合面に塗布する(ステップS12)。ポリシラザン希釈液の塗付は、真空で行うのが好ましい。次に、前記被接合物をシリカ転化し難い温度で乾燥し、塗布したポリシラザン希釈液から有機溶媒のみを除去する(ステップS14)。そして、被接合物の接合面に残ったポリシラザンを挟むように、もう一方の被接合物を重ねる(ステップS16)。次に、水蒸気か酸素の存在する環境で加熱してポリシラザンをシリカ転化させると、SiOを接合層として、被接合物同士が接合される(テップS18)。
【選択図】図1

Description

本発明は、接合方法及びこの方法を利用して製造された電子装置(半導体デバイスや電子デバイスなど)に関するものである。
従来の無機接合剤(無機接着剤)は、骨格に接合力を持たないアルミナやシリカ等のフィラーに接合能力を持つ珪酸ナトリウム(水ガラス)や珪酸カリウム、燐酸アンモニウムが添加されたものや、珪酸カルシウム(セメント)などに分類される。水ガラス法による接合技術としては、例えば、下記特許文献1に記載される基板接合方法があるが、耐水性が十分ではない。また、前記珪酸ナトリウムは、半導体に有害なナトリウムを多く含んでおり、半導体のトランジスタ等の動作に悪影響を及ぼしてしまう。また、燐酸アルミニウムは、外部の湿り空気を吸収して強い酸となり、周囲の金属などを腐食させるという不都合がある。このような理由から、半導体分野では無機の接合剤が使われることはなく、有機系の接合剤や軟ろう材(俗称ハンダ)が使われてきた。
特開2002−88318号公報
金属アルコシド法は、上述したいずれの方法にも分類されないもので、これは、CVD等に使用される金属アルコシドを接合面に入れて加熱し、金属酸化物を析出させて接合する手法である。このような金属アルコシドを用いた接合技術としては、例えば、下記特許文献2の技術がある。しかしながら、当該技術では、大量のガスが発生して大きな体積収縮も伴うため、接合層中にボイドが生じてしまうという不都合がある。
特開2002−137973号公報
近年のTEOS接合は、上述した金属アルコシド法の応用であり、前記金属アルコシド法は液体を塗布する方法に限定されているが、当該TEOS接合は、気相成長に限定されている。TEOS法は、重量減少率と体積減少率が高く、接合面は緻密なものが出来難いため、緻密化のために大きな荷重を接合中に印加している。このため、MEMS(微小電気機械素子)のような応力に対する感度が極めて高い素子に応用し難いという不都合がある。
ところで、半導体で使われる接合剤としては、半導体の構成材料か、半導体を製造する工程で使われる材料のみが、汚染とならない最も優れた材料であるとされている。実際に半導体分野では、半導体の製造工程で用いられるレジスト材料が有機接合剤として使われている。しかしながら、上述した背景からも分かるように、半導体プロセスに適合性を持つ条件としては、(1)半導体の動作に悪影響を及ぼす汚染源をもたない,(2)酸化や拡散プロセスの温度に耐える,(3)異種材料を低応力で接合できる,(4)各種の薬品に耐える,(5)プラズマに耐える,(6)0.1μm程度の段差を被覆して接合できる、などが挙げられる。このような条件を満たす最も理想的な接合材料は、シリコンかシリコン酸化物である。SiOを接合層とする技術は、例えば、下記特許文献3に開示されたフッ酸接合がある。
特開平10−36145号公報
前記特許文献3に記載の技術は、被接合部材の表面のSiO層と、他の被接合部材の表面のSiO層を重ねて貼り合わせる前に、バッファードのフッ酸水溶液を塗布する方法である。バッファードのフッ酸水溶液を塗布すると、フッ酸水溶液はSiOの極表層を溶解する。この状態で被接合部材同士を貼り合わせて加熱乾燥させると、SiFとして残るのではなく、多くのフッ素は揮発してSiOに戻る。従って、結果的には被接合部材の表層のSiOの層と別の被接合部材の表層のSiOが、何も介在物なしで接合されたように見える。
このような被接合部材の表層における化学反応は、下記の反応式によって表わされる。その接合のメカニズムは、荷重による凸部(被接合物が出会っている部分)の溶解反応促進と無荷重の凹部の析出反応促進による平坦化と再結合部の増大,更に、フッ素化合物と水の拡散除去による接合強度の増大化である。
Figure 2010095666
上述した背景から、最も理想的な接合材料はSiOといえるが、現在、唯一それを可能とするフッ酸接合は、強い腐食性を有するフッ酸を用いるため、接合過程でフッ酸に犯される材料を存在させられないという制約を有する。そこで、何らかの液体を塗布して被接合部材を貼り合わせ、簡単な処理によってシリコンかシリコン酸化物に転化(以下、シリカ転化とする)し、しかも強い接合力を発揮できる材料を利用した接合剤(ないし接着剤)があれば好都合である。
ところで、シリカ転化する性質を有する物質としては、ポリシラザン(正式名称:Perhydropolysilazane(PHPS))がある。ポリシラザンは、水蒸気や酸素で酸化してシリカ転化する性質を有しているが、極めて高粘度の液体であるため、希釈せずに接合面に塗布することは大変困難である。更に、高濃度のポリシラザンは空気中の水蒸気や酸素と触れるだけでシリコン酸化物に転化してしまい、一旦、高純度のシリコン酸化物に転化すると、接合能力を失うことは公知の事実である。従って、前記ポリシラザンがシリカ転化する前に被接合部材同士を接合できなければ、接合剤として利用することができない。
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、被接合物を汚染せずに低温の熱処理で被接合物同士を容易に接合でき、半導体プロセスにも良好な適合性を有する接合方法を提供することである。他の目的は、前記接合方法を利用して製造した電子装置(半導体デバイスや電子デバイスなど)を提供することである。
前記目的を達成するため、本発明の接合方法は、被接合物の接合面に塗布可能な粘度となるように水との相溶性をもたない有機溶媒で希釈したポリシラザンを、前記接合面に塗布する工程,ポリシラザンのシリカ転化温度よりも低い温度で前記被接合物を乾燥し、前記有機溶媒のみを除去して接合面にポリシラザンを残す工程,接合面がポリシラザンで覆われた被接合物に、他の被接合物を重ねる工程,該工程によって重ね合わせた一対の被接合物を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、前記ポリシラザンをシリカ転化させて、前記一対の被接合物を接合する工程,を含むことを特徴とする。
主要な形態の一つは、前記有機溶媒のみを除去する工程は、真空下で、無加熱又は冷却状態において行うこと,あるいは、不活性ガス中で、ポリシラザンのシリカ転化温度よりも低い温度での加熱により行うことを特徴とする。
他の形態は、希釈したポリシラザンを接合面に塗布する工程の前に、前記接合面を、ポリシラザンを利用したシリカ含浸によって平坦化する処理を行うことを特徴とする。更に他の形態は、前記シリカ含浸によって接合面を平坦化する処理は、前記接合面に塗布可能な粘度となるように有機溶媒で希釈したポリシラザンを、前記接合面に塗布する工程,不活性ガス中で前記被接合物を加熱し、前記有機溶媒を除去する工程,該工程で有機溶媒が除去された被接合物を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、接合面を被覆したポリシラザンをシリカ転化する工程,を含むことを特徴とする。
更に他の形態は、希釈したポリシラザンを接合面に塗布する工程の前に、前記接合面に水酸化珪素の膜を形成する処理を行うことを特徴とする。更に他の形態は、前記一対の被接合物を接合する工程において、重ね合わせた被接合物に荷重をかけることを特徴とする。更に他の形態は、接合される被接合物の少なくとも一方が、半導体材料又は半導体素子であることを特徴とする。
本発明の電子装置は、前記いずれかに記載の方法によって接合された接合部を含むことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明は、有機溶媒で希釈したポリシラザンを被接合物の接合面に塗布し、前記ポリシラザンがシリカ転化しない温度で前記被接合物を乾燥させることで有機溶媒のみを除去してから他の被接合物を重ねる。そして、重ね合わせた被接合物を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、前記ポリシラザンをシリカ転化することで、被接合物同士を接合することとした。このため、被接合部物を汚染せずに低温の熱処理で容易に接合でき、半導体プロセスにも良好な適合性を示すという効果が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
最初に、図1〜図6を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の接合方法の基本工程を示すフローチャート,図2は、前記基本工程を示す主要断面図である。図3は、実施例1におけるシリカ含浸工程(接合面平坦化処理)を示すフローチャート,図4は、接合前工程を示すフローチャート,図5は、接合工程を示すフローチャートである。図6は、表面に水酸基を有する被成膜物に対するポリシラザンの成膜工程を示す説明図である。
本発明は、ポリシラザンを利用して各種被接合物同士を接合するもので、上述した背景技術に示す各種の半導体プロセスに示す条件も満たすものである。ポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)は、珪素,窒素,水素のみからなり、炭素などの一切の有機成分を含まない無機ポリマーであって、下記構造式に一例を示すような分子構造をもっている。
Figure 2010095666
前記ポリシラザンは水や酸素と出合うと低温で酸化反応を生じ、反応生成物にアンモニアガスや水素を放出しながらSiOに転化する性質を有している。しかしながら、ポリシラザンは、極めて高い粘度の液体であるため、そのまま接合面に塗布することは極めて困難であり、更に、高濃度のポリシラザンは空気中の水蒸気や酸素と触れるだけでシリコン酸化物に転化してしまう。仮に、有機溶媒(例えば、キシレンなど)で希釈したポリシラザンをスピンコートし、貼り合わせ熱処理した場合、接合面積は接合面の約1/4程度である。また、接合強度は接合面積にほぼ比例することが分析により判明しているため、接合強度も全面接合の場合の1/4程度となる。そこで本発明では、このような接合面積の減少問題を解決し、接合界面を100%の面積で接合するために、ポリシラザンが無溶媒状態でも高粘度の液体であることを利用して、接合初期のタッキング状態を生み出すこととした。
<基本工程>・・・図1及び図2を参照して、本発明の接合方法の基本工程を説明する。まず、水との相溶性を持たない有機溶媒(例えば、キシレン等)でポリシラザンを希釈して低粘度化させる(図1のステップS10)。希釈によりポリシラザンのシリカ転化も防ぐことができる。希釈濃度は、後述の塗付工程で用いる手法により異なるが、例えば、スピンコート法の場合は10%程度,ディップコートや滴下の場合で1%程度である。そして、図2(A)に示すように、ポリシラザン希釈液12を、スピンコータ,ディップコータ,滴下等の方法で被接合物10の接合面に塗布する(ステップS12)。ポリシラザン希釈液12の塗布は、例えば、(1)真空中で行う,(2)大気圧中でポリシラザンの希釈液12を塗布し、その後真空にし、再び大気圧にして接合面の凹凸の穴に押し込む,(3)大気圧でポリシラザン希釈液12を塗布し、大気圧中で乾燥させる(ポリシラザンの浸透力に頼る),のいずれかの方法によって行われるが、(1)の真空中での塗付が最も望ましい。
次に、前記被接合物10を、シリカ転化し難い温度で乾燥し、塗布したポリシラザン希釈液12から、有機溶媒のみを除去する(ステップS14)と、図2(B)に示すように、被接合物10の接合面には、ポリシラザン14のみが残る。このときの有機溶媒の除去工程において、ポリシラザンがシリカ転化してしまうと接合力を失うため、シリカ転化させずに溶媒のみを除去する必要がある。具体的には、無加熱か冷却状態での真空溶媒除去,あるいは、不活性ガス中でのシリカ転化し難い温度(80〜120℃程度)での加熱,のいずれかにより行われる。その後、図2(C)に示すように、もう一方の被接合物16を重ね(ステップS16)、被接合物10と16で、有機溶媒を除去したポリシラザン14を挟む。そして、水蒸気または酸素の存在する環境で加熱してポリシラザン14をシリカ転化させると、図2(D)に示すように、SiOを接合層18として、被接合物10と16が接合される(ステップS18)。
この方法では、少量のガスの出入を伴いシリカ転化が進む。この時に、小さな重量変化と体積変化で抑えられる。なお、前記ステップS18において、水蒸気中でシリカ転化させた場合の反応は、下記反応式の通りとなり、アンモニアと水素ガスを生成する。
Figure 2010095666
また、前記ステップS18において、酸素中でシリカ転化させた場合の反応は、下記反応式の通りとなり、アンモニアを生成する。
Figure 2010095666
<具体例>・・・次に、図3〜図6を参照して、実施例1の接合方法によるフェライト基板同士の接合手順を具体的に示す。
(1)シリカ含浸工程・・・本実施例では、図3に示すシリカ含浸工程によるフェライト基板の平坦化(接合面の平坦化)処理から開始する。まず、被接合物であるフェライト基板をアルコールやアセトン等の有機溶媒で洗浄し(ステップS20)、該フェライト基板を、真空,乾燥窒素,水蒸気の3種類の雰囲気に設定可能な冷却機能付きの熱処理炉に入れる(ステップS22)。次に、前記熱処理炉の温度を−10℃に下げたのち(ステップS24)、熱処理炉を真空にする(ステップS26)。この状態で、前記フェライト基板の表面に、例えば、キシレン等の有機溶媒で希釈したポリシラザンを、スピンコート,スプレーコート,ディップコートなどの適宜手法により滴下する(ステップS28)。
前記フェライト基板の表面がポリシラザンの希釈液で覆われたことを確認したら(ステップS30)、前記熱処理炉に乾燥窒素を導入し大気圧に設定する(ステップS32)。そして、熱処理炉を乾燥窒素で満たした状態で温度を80℃に設定して溶媒を除去し(ステップS34)、更に、熱処理炉を乾燥窒素で満たした状態で温度を250℃〜450℃に設定し除去する(ステップS36)。仮に、ステップS34,S36のように2段階で加熱せず、キシレンのような有機溶媒が多量にある状態で高い温度で加熱すると、急激な沸騰を生じ接合面の平坦性を損なってしまう。これを防ぐため、本実施例では、多量に有機溶媒がある状態では、低温で有機溶媒を徐々に揮発除去させ(ステップS34)、接合面の平坦性を確保する。その後、極めて微量な有機溶媒を含有した状態となってから高温を用い(ステップS36)、有機溶媒を高精度に除去している。また、乾燥窒素の代わりに大気中等で乾燥を行うと、有機溶媒が抜ける前にポリシラザンの表面からシリカ転化し、内部にある有機溶媒が閉じ込められてしまうため、本実施例では有機溶媒が閉じ込められるのを防止するために、乾燥窒素中で乾燥を行うこととしている。
前記ステップS34,S36によって有機溶媒を除去したら、前記熱処理炉に水蒸気を導入し(ステップS38)、該熱処理炉を水蒸気で満たした状態で温度を250℃〜450°に設定し、ポリシラザンをシリカに転化させ(ステップS40)、最後に応力を除去しながら冷却(除冷)する(ステップS42)。以上のようなステップS20〜ステップS42によるシリカ含浸工程は、接合面(ここでは、フェライト基板の表面)にポアが多い場合に行われる処理であって、接合面にポアが少なく十分な平坦性が確保されている場合には省略可能である。
(2)接合前工程・・・次に、前記シリカ含浸工程によって接合面の平坦化処理を行ったフェライト基板に、図4に示す接合前工程によってポリシラザンを塗布する。まず、フェライト基板をアルコールやアセトン等の有機溶媒で洗浄し(ステップS50)、必要に応じてフェライト基板の表面に水酸化珪素の膜を形成する(ステップS52)。水酸化珪素の膜は、必ずしも必要なものではないが、接合面積が大きく水分の拡散に時間を要する場合には、水酸化珪素の膜を利用すると都合がよい。例えば、図6(A)に示すように、表面に水酸基(=構造水)22が存在し、該水酸基22に水分子24が吸着しているような被成膜物20に対して、有機溶媒で希釈したポリシラザン26を滴下する。このとき、前記反応式(化3)に示すシリカ転化反応によってシリカ28が形成する際に、図6(B)に示すように構造水からの脱水反応が生じる。吸水による酸化反応が強く生じる材料は強い接着力を得られ、膜としても強い密着力が得られる。多くの化学結合を用いない接着材の接着力は、分子間引力とアンカー効果が主な因子とされている。これと同様な理由で、前記ステップS52によりフェライト基板の表面に水酸基を導入することにより、水酸基のもつ強い極性,すなわちクーロン力により強い接合性を誘起することが可能である。
次に、前記ステップS50で洗浄したフェライト基板,あるいは、ステップS52で水酸化珪素の膜を形成したフェライト基板を、真空,乾燥窒素,水蒸気の3種類の雰囲気に設定可能な冷却機能付きの熱処理炉に入れる(ステップS54)。そして、前記熱処理炉の温度を−10℃に下げた後(ステップS56)、熱処理炉を真空にする(ステップS58)。次に、キシレンなどの有機溶媒で希釈して低粘度化したポリシラザンを、前記フェライト基板の表面に、スピンコート,スプレーコート,ディップコートなどの適宜手法で滴下する(ステップS60)。前記フェライト基板の表面が、ポリシラザンの希釈液で覆われたことを確認したら(ステップS62)、熱処理炉に乾燥窒素を導入して大気圧にし(ステップS64)、次いで熱処理炉を真空にする(ステップS66)。そして、熱処理炉を真空状態かつ室温にして有機溶媒を除去する(ステップS68)。
(3)接合工程・・・次に、図5に示す接合工程について説明する。まず、張り合わせる2枚のフェライト基板は、大気中で真空チャックにより固定される(ステップS70)。張り合わせる2枚のフェライト基板は、双方とも前記図4に示す接合前工程によってポリシラザンを塗布されたものであってもよいし、いずれか一方のフェライト基板の表面にのみポリシラザンを塗布したものであってもよい。次に、熱処理炉に水蒸気や湿り空気を導入し(ステップS72)、張り合わせる2枚のフェライト基板を重ねる(ステップS74)。そして、張り合わせる2枚のフェライト基板間に0.01MPa〜10MPa程度の荷重をかけ(ステップS76)、熱処理炉を水蒸気で満たした状態で温度を40℃〜80℃程度まで加熱し、ポリシラザンを軟化させ密着性を上げる(ステップS78)。なお、前記ステップS76における荷重は、フェライト基板間に隙間ができる場合に矯正のためにかけるものであって、フェライト基板に歪みがない場合には省略してもよい。次に、前記熱処理炉内を水蒸気で満たした状態で温度を250℃〜450℃程度まで加熱し、ポリシラザンをシリカに転化させて2枚のフェライト基板を接合する(ステップS80)。最後に、応力を除去しながら接合体を冷却(除冷)する(ステップS82)。
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)有機溶媒で希釈したポリシラザン希釈液12を被接合物10の接合面に塗布し、ポリシラザンがシリカ転化しない温度で前記被接合物10を乾燥させることで有機溶媒のみを除去し、ポリシラザン14のみを被接合物10の表面に残す。そして、他の被接合物16を重ね合わせて水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、前記ポリシラザン14をシリカ転化することで、被接合物10,16を接合することとした。このため、被接合物10,16を汚染せずに、低温の熱処理で被接合物10,16同士を容易に接合できる。また、接合前にシリカ転化することがなく、被接合物10,16間にボイドが形成されることがない。
(2)ポリシラザンの塗付前に、シリカ含浸工程によって被接合物の表面を平坦化することとしたので、密着性を高めることができる。特に、前記平坦化により被接合物の表面が鏡面となっており、かつ、被接合物が歪んでいない場合は、非常に高い密着性が得られる。また、被接合物が歪んでいたとしても、鏡面であれば接合時の荷重によって歪みが改善されるため、十分な密着性を得ることが可能となる。
(3)必要に応じて被接合物の表面に水酸化珪素の膜を形成することとしたので、水酸基のもつ強い極性,すなわちクーロン力により強い接合性を誘起することができる。
<応用例>・・・次に、図7〜図9を参照して、本発明の応用例を説明する。まず、図7(A-1)及び(A-2)に示す例は、本発明を小型アンテナに適用した例である。図7(A-2)は、図7(A-1)を#7A−#7A線に沿って切断した端面図である。図7(A-1)及び(A-2)に示すアンテナ素子30は、フェライト基板32に形成された溝部36に埋め込まれた導体38によって、微小ループアンテナの導体パターン34が形成されている。前記導体パターン34は、給電部34A,34Bを除いたループ状の部分に、他のフェライト基板40が接合層42を介して重ね合わせられており、図7(A-2)に示すように、前記導体パターン34とフェライト基板40の間にはギャップが設けられている。前記接合層42は、上述した実施例1で示す接合方法のシリカ転化により生じたSiOであって、その厚さは、例えば、0.1μm程度である。また、前記導体38は、Agペーストなどの塗付・乾燥により形成されている。
図7(B-1)及び(B-2)に示す例は、本発明をコモンモードチョークコイルに適用した例である。図7(B-2)は、図7(B-1)を#7B−#7B線に沿って切断した端面図である。図7(B-1)及び(B-2)に示すコモンモードチョークコイル50は、基板52の上に設けられたフェライト基板54中に、導体パターン56が2つ形成された構造となっている。前記導体パターン56は、図7(B-2)に示すように、フェライト基板54Aの溝部58Aに埋め込まれた導体60Aと、フェライト基板54Bの溝部58Bに埋め込まれた導体60Bを含んでおり、これら導体60A,60Bが向き合うように、前記フェライト基板54A,54Bが接合層62によって接合されている。該接合層62は、上述した実施例1で示す接合方法のポリシラザンのシリカ転化により生じたSiOであって、その厚さは、例えば、0.1μm程度である。
上述したアンテナ素子30及びコモンモードチョークコイル50は、半導体を用いていないため、半導体の相互作用とは無関係となるが、本発明のポリシラザンを用いた接合技術は、このような電子装置での応用についても有効である。それは、本発明の接合方法における溶媒除去において粘度を制御することにより、接合層42や62の厚さを制御でき、0.1μm以下とすることも可能になるからである。前記アンテナ素子30及びコモンコモンモードチョークコイル50のいずれも高周波部品であり、また、どちらもフェライトの透磁率の高さを利用して製品の機能を向上させている。従って、比誘電率が空気や真空よりも大きな材料を厚く挟み込むことは性能を低下させることになり好ましくないが、本発明の接合方法を用いることにより、接合層の厚さ制御して薄くすることができる。
図8及び図9に示す例は、本発明を半導体デバイスに適用した例である。まず、図8(A)に示す例は、バルク圧電加速度センサ70と集積回路(LSI)80の接合に、本発明のポリシラザンによる接合方法を用いた例である。前記集積回路80は、シリコン基板82上にMOSトランジスタ84を形成したものであって、最表層のパッシベーション膜86と前記加速度センサ70の底面が、SiOからなる接合層72により接合されている。また、図8(B)に示す例は、水晶ジャイロ素子90とパッケージ用セラミックス92とが、SiOからなる接合層94によって接合された例である。更に、図8(C)に示す例は、平面(2次元)構造の集積回路102A,102B,102Cを、SiOからなる接合層104によって立体的(3次元的)に集積した積層型集積回路100を示している。前記接合層104に設けた金属マイクロバンプ106は、埋め込み配線108と接続している。図8(A)〜(C)に示す例では、半導体を汚染せずに、容易に接合することが可能となる。
次に、図9(A)に示す例は、貫通孔114Aが形成された台座114とシリコン基板112を、陽極酸化によって接合した従来の圧力センサ110である。前記台座114は、アルカリホウ珪酸ガラスにより形成されている。前記圧力センサ110では、半導体で有害とされるNaやKが接合を司る重要物質であり、アルカリ金属なしでは接合できないため、半導体との融合ができない。これに対し、図9(B)に示す圧力センサ120は、貫通孔124Aを有する台座124とシリコン基板122を、ポリシラザン126によって接合するもので、前記台座124は、例えば、ホウ珪酸ガラスやSiOで構成されている。このためアルカリ金属が存在せず、接合後に前記ポリシラザン126が純粋なSiOに転化するため、熱膨張率差による接合応力が小さく強い接合が可能になるとともに、半導体との融合が可能となる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した溶媒や被接合物も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。
(3)前記実施例で示したシリカ含浸工程や、水酸化珪素の膜形成も一例であり、必要に応じて工程を導入すればよい。
(4)図7〜9に示した応用例も一例であり、本発明は、半導体のみならず、被接合物同士の接合部を含む公知の各種の電子装置全般に適用可能である。
本発明によれば、有機溶媒で希釈したポリシラザンを被接合物の接合面に塗布し、前記ポリシラザンがシリカ転化しない温度で前記被接合物を乾燥させることで有機溶媒のみを除去してから他の被接合物を重ねる。そして、重ね合わせた被接合物を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、前記ポリシラザンをシリカ転化することとしたので、被接合部物同士を接合する際に適用できる。特に、被接合物を汚染せずに低温の熱処理で容易に接合でき、半導体プロセスにも良好な適合性を示すことから、半導体分野での接合に好適である。
本発明の接合方法の基本工程を示すフローチャートである。 本発明の接合方法の基本工程を示す主要断面図である。 本発明の実施例1におけるシリカ含浸工程(接合面平坦化処理)を示すフローチャートである。 前記実施例1における接合前工程を示すフローチャートである。 前記実施例1における接合工程を示すフローチャートである。 表面に水酸基を有する被成膜物に対するポリシラザンの成膜工程を示す説明図である。 本発明の応用例を示す図である。 本発明の他の応用例を示す図である。 本発明の他の応用例を示す図である。
符号の説明
10,16:被接合物
12:ポリシラザン希釈液
14:ポリシラザン
18:接合層
20:被成膜物
22:水酸基(構造水)
24:水分子
26:ポリシラザン
28:シリカ
30:アンテナ素子
32,40:フェライト基板
34:導体パターン
34A,34B:給電部
36:溝部
38:導体
42:接合層
50:コモンモードチョークコイル
52:基板
54,54A,54B:フェライト基板
56:導体パターン
58A,58B:溝部
60A,60B:導体
62:接合層
70:加速度センサ
72:接合層
80:集積回路(LSI)
82:シリコン基板
84:MOSトランジスタ
86:パッシベーション膜
90:水晶ジャイロ素子
92:パッケージ用セラミックス
94:接合層
100:積層型集積回路
102A,102B,102C:集積回路
104:接合層
106:金属マイクロバンプ
108:埋め込み配線
110,120:圧力センサ
112,122:シリコン基板
114,124:台座
114A,124A:貫通孔
126:ポリシラザン

Claims (9)

  1. 被接合物の接合面に塗布可能な粘度となるように水との相溶性をもたない有機溶媒で希釈したポリシラザンを、前記接合面に塗布する工程,
    ポリシラザンのシリカ転化温度よりも低い温度で前記被接合物を乾燥し、前記有機溶媒のみを除去して接合面にポリシラザンを残す工程,
    接合面がポリシラザンで覆われた被接合物に、他の被接合物を重ねる工程,
    該工程によって重ね合わせた一対の被接合物を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、前記ポリシラザンをシリカ転化させて、前記一対の被接合物を接合する工程,
    を含むことを特徴とする接合方法。
  2. 前記有機溶媒のみを除去する工程は、真空下で、無加熱又は冷却状態において行うことを特徴とする請求項1記載の接合方法。
  3. 前記有機溶媒のみを除去する工程は、不活性ガス中で、ポリシラザンのシリカ転化温度よりも低い温度での加熱により行うことを特徴とする請求項1記載の接合方法。
  4. 希釈したポリシラザンを接合面に塗布する工程の前に、前記接合面を、ポリシラザンを利用したシリカ含浸によって平坦化する処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接合方法。
  5. 前記シリカ含浸によって接合面を平坦化する処理は、
    前記接合面に塗布可能な粘度となるように有機溶媒で希釈したポリシラザンを、前記接合面に塗布する工程,
    不活性ガス中で前記被接合物を加熱し、前記有機溶媒を除去する工程,
    該工程で有機溶媒が除去された被接合物を水蒸気又は酸素の存在下で加熱し、接合面を被覆したポリシラザンをシリカ転化する工程,
    を含むことを特徴とする請求項4記載の接合方法。
  6. 希釈したポリシラザンを接合面に塗布する工程の前に、前記接合面に水酸化珪素の膜を形成する処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接合方法。
  7. 前記一対の被接合物を接合する工程において、重ね合わせた被接合物に荷重をかけることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の接合方法。
  8. 接合される被接合物の少なくとも一方が、半導体材料又は半導体素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の接合方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法によって接合された接合部を含むことを特徴とする電子装置。
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