JP2010091002A - 焼結軸受及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部に含浸される油量を減じ、且つ、軸受面から油を供給可能な焼結軸受を提供する。
【解決手段】焼結体に樹脂を含浸させることで、内部気孔に含浸される油量を減じることができる。また、軸受面(内周面8a)に樹脂が含浸されていない気孔80を開口させることで、この気孔80に保持した油を軸受隙間に供給することができると共に、この気孔80を軸受内部の摩耗粉等のコンタミを捕捉するフィルターとして機能させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、軸受面を有する焼結軸受を製造するための方法に関する。
焼結軸受は、金属粉末の圧縮成形体を焼結することにより形成され、内部に無数の気孔を有することを特徴とする。例えば、特許文献1には、内部気孔に油を含浸させた焼結軸受(軸受スリーブ)と、焼結軸受の内周に挿入された軸部材とを有し、焼結軸受の内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる油膜で、軸部材を回転自在に支持する軸受装置が示されている。軸部材の回転時には、焼結軸受の内部に含浸された油が軸受面に開口した気孔からラジアル軸受隙間に供給され、これにより軸部材と焼結軸受との間の潤滑性が高められる。この軸受装置にはシール空間が設けられ、このシール空間で、軸受装置の内部に充填された潤滑油の温度上昇に伴う体積膨張を吸収することにより、潤滑油の外部への漏れ出しを防止している。
特開2007−250095号公報 特開2005−337274号公報
しかし、上記特許文献1のような軸受装置は、焼結軸受の内部気孔に潤滑油が含浸されることにより軸受内部に充填される油量が増大し、これに伴い温度変化に伴う油の体積変化も増大する。従って、油の体積変化を吸収するシール空間の容積を拡大する必要が生じ、軸受装置の軸方向寸法の拡大、あるいは、軸受スパンの縮小による軸受剛性の低下を招く恐れがある。
例えば、特許文献2のように、焼結軸受の内部気孔に樹脂を含浸・硬化させれば、焼結軸受の内部気孔に油が含浸されず、軸受内部に充填される油量を減じることができるため、上記の不具合を回避できる。しかし、焼結軸受全体に樹脂を含浸させると、焼結軸受の軸受面に開口した気孔から軸受隙間に油を供給することができないため、油不足による潤滑不良が生じる恐れがある。
本発明の課題は、内部に含浸される油量を減じ、且つ、軸受面から油を供給可能な焼結軸受を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、金属粉末の圧縮成形体を焼結して得られた焼結体の内部気孔に封孔材を含浸させてなる焼結軸受であって、軸受面に、封孔材が含浸されていない気孔を開口させている。
このように、焼結体に封孔材を含浸させることで、内部気孔に含浸される油量を減じることができる。また、軸受面に、封孔材が含浸されていない気孔を開口させることで、この気孔に潤滑剤(油)を保持することができるため、この油を摺動部に供給することで潤滑性が高められる。また、軸受面に開口した気孔が、軸受内部の摩耗粉等を捕捉するフィルター効果を発揮することにより、コンタミの発生を防止することができる。
封孔材は、例えば、アクリル系・エポキシ系等の低粘度の樹脂や、スズ・亜鉛等の低融点金属を使用することができる。尚、低融点金属とは、焼結体の焼結温度よりも融点が低い金属材料のことを言うものとする。
上記のような焼結軸受は、金属粉末の圧縮成形体を焼結して焼結体を形成し、この焼結体の表面のうち、軸受面以外の領域から封孔材を含浸させることにより、封孔材が含浸されていない気孔を軸受面に開口させることで製造することができる。
例えば焼結体が内周面に軸受面を有する筒状をなしている場合、焼結体の外周面に封孔材を滴下することにより、軸受面以外の領域(外周面)から封孔材を気孔に含浸することができる。あるいは、封孔材を入れた容器の中で焼結体を転がすことにより、外周面から気孔に封孔材を含浸することができる。また、軸受面を被覆剤で覆った状態で封孔材に浸漬することにより、軸受面以外の領域から封孔材を含浸することもできる。
焼結体に封孔材を含浸させた後にサイジング(再圧縮)を施すと、焼結体の気孔の内部で硬化した封孔材が弾性的に反発して、焼結軸受の寸法精度(軸受面の面精度、内径寸法、外径寸法、軸方向寸法等)を十分に高められない恐れがある。従って、封孔材の含浸は、焼結体のサイジングの後にすることが好ましい。尚、上記のように、軸受面以外の領域から樹脂を含浸させることで、樹脂を含浸されていない気孔が軸受面に残されるため、軸受面を塑性変形させやすくなり、サイジングにより軸受面を精度良く加工することができる。従って、軸受面以外の部分の寸法精度に問題が無ければ、封孔材を含浸した後、焼結体にサイジングを施すことも可能である。
以上のように、本発明によれば、内部に含浸される油量を減じ、且つ、軸受面から油を供給可能な焼結軸受を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る焼結軸受(軸受スリーブ8)を有する情報機器用スピンドルモータである。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体動圧軸受装置1と、軸部材2に装着されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取付けられている。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスクDを一枚または複数枚(図1では2枚)保持している。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電するとロータマグネット5が回転し、これに伴ってディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2に示す流体動圧軸受装置1は、軸部材2と、有底筒状のハウジング7と、焼結軸受としての軸受スリーブ8と、シール部材9とを主な構成要素として構成されている。なお、以下の説明では、説明の便宜上、軸方向でハウジング7の閉塞側を下側、開口側を上側とする。
軸部材2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に設けられたフランジ部2bとを備えている。軸部2aは、円筒状の外周面2a1と、上方へ向けて漸次縮径したテーパ面2a2とを有する。軸部2aの外周面2a1は軸受スリーブ8の内周に配され、テーパ面2a2はシール部材9の内周に配される。軸部材2は、軸部2aおよびフランジ部2bを一体に形成する他、一部(例えばフランジ部2bの両端面2b1・2b2)を樹脂で形成することもできる。尚、フランジ部2bは必ずしも設ける必要はなく、例えば、軸部の端部に球面部を形成し、この球面部とハウジング7の底部7bとを接触摺動させることでピボット軸受を構成することもできる。
軸受スリーブ8は、金属粉末の圧縮成形体を焼結した焼結体で構成され、本実施形態では略円筒状に形成される。軸受スリーブ8の内周面8aはラジアル軸受面として機能し、下側端面8cはスラスト軸受面として機能する。軸受スリーブ8の軸受面(ラジアル軸受面及びスラスト軸受面、以下同様)を除く領域には、封孔材として例えば樹脂が含浸される。図3(a)及び(b)では、樹脂が含浸された領域をハッチングで示している。本実施形態では、軸受スリーブ8の表面のうち、内周面8a(ラジアル軸受面)、下側端面8c(スラスト軸受面)、および上側端面8bには樹脂が含浸されず、外周面8dに開口した気孔、およびこの気孔とつながった内部の気孔に樹脂が含浸されている。これにより、軸受面となる内周面8aおよび下側端面8cは、焼結金属の母材の金属材料(本実施形態では銅あるいは銅及び鉄)で形成されると共に、軸受面の全域に、樹脂が含浸されていない無数の気孔が開口している。詳しくは、図3(b)に概念的に示すように、軸受面8a(8c)に連通した気孔80には所定深さまで樹脂が含浸されない領域(樹脂が全く存在しない領域)が設けられ、この領域に潤滑油を保持することができる。
軸受スリーブ8の内周面8aには、ラジアル軸受隙間の流体膜(油膜)に動圧作用を発生させるためのラジアル動圧発生部が形成され、本実施形態では図3(a)に示すように、ヘリングボーン形状の動圧溝8a1・8a2を配列した2つの動圧溝領域が軸方向に離隔して形成される。2つの動圧溝領域のうち、動圧溝8a1・8a2を除くクロスハッチングを付した部分は丘部となる。上側の動圧溝領域では、動圧溝8a1が軸方向非対称形状に形成され、具体的には、丘部の軸方向略中央部に形成された帯状部分に対して、上側の溝の軸方向寸法X1が下側の溝の軸方向寸法X2よりも大きくなっている(X1>X2)。下側の動圧溝領域では、動圧溝8a2が軸方向対称形状に形成される。以上に述べた上下動圧溝領域でのポンピング能力のアンバランスにより、軸部材2の回転中は、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面との間に満たされた油が下方に押し込まれるようになる。
軸受スリーブ8の下側端面8cには、スラスト軸受隙間の油膜に動圧作用を発生させるためのスラスト動圧発生部が形成される。本実施形態では、スラスト動圧発生部は、図3(c)に示すようにスパイラル形状を成している。軸受スリーブ8の外周面8dには、円周方向等間隔の複数箇所(例えば3箇所)に軸方向溝8d1が形成される。軸受スリーブ8の外周面8dとハウジング7の内周面7cとを固定した状態で、軸方向溝8d1は油の連通路として機能し、この連通路により軸受内部の圧力バランスを適正範囲内に保つことができる。
ハウジング7は、軸方向一方を開口したコップ状を成し、内周に軸受スリーブ8が保持された筒状の側部7aと、側部7aの下端を閉塞する底部7bとを一体に有する。ハウジング7の材料は特に限定されず、真鍮やアルミニウム合金などの金属、樹脂、ガラス等の無機物などを用いることができる。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のどちらでも用いることができる。また必要に応じて、ガラス繊維やカーボン繊維、カーボンブラックなどのカーボンナノ材料や黒鉛などの様々な添加材を配合した樹脂組成物を用いることもできる。ハウジング7の底部7bの上側端面7b1には、スラスト軸受隙間の油膜に動圧作用を発生させるためのスラスト動圧発生部として、例えばスパイラル形状の動圧溝が形成される(図示省略)。
シール部材9は、例えば樹脂材料や金属材料で環状に形成され、ハウジング7の側部7aの上端部内周に配設される。シール部材9の内周面9aは、軸部2aの外周に設けられたテーパ面2a2と径方向に対向し、これらの間に下方へ向けて径方向寸法を漸次縮小したシール空間Sが形成される。このシール空間Sの毛細管力により、潤滑油が軸受内部側に引き込まれ、油の漏れ出しが防止される。本実施形態では、軸部2a側にテーパ面2a2を形成しているため、シール空間Sは遠心力シールとしても機能する。
シール部材9で密封されたハウジング7の内部空間に充満した潤滑油の油面は、シール空間Sの範囲内に維持される。すなわち、シール空間Sは、潤滑油の体積変化を吸収できる容積を有する。本実施形態では、上記のように、軸受スリーブ8の内部気孔に樹脂が含浸されるため、内部気孔に入り込む油量が減り、これにより軸受内部に充満される油の総量が減る。従って、軸受スリーブ8の内部気孔に樹脂が含浸されない場合と比べて、温度に伴う油の体積変化が小さくなるため、シール空間Sの容積を縮小することができる。これにより、シール部材9の軸方向寸法を縮小することができるため、流体動圧軸受装置1の小型化が図られる。あるいは、装置の大きさを変えることなく、第1および第2ラジアル軸受部R1・R2の軸方向間隔(軸受スパン)を拡大して、軸受剛性(特にモーメント剛性)の向上を図ることができる。
上記構成の流体動圧軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8a(ラジアル軸受面)と軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間が形成される。このラジアル軸受隙間に生じた油膜の圧力が、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された動圧溝8a1・8a2により高められ、この動圧作用により軸部2aを回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1および第2ラジアル軸受部R2が構成される。
これと同時に、フランジ部2bの上側端面2b1と軸受スリーブ8の下側端面8c(スラスト軸受面)との間のスラスト軸受隙間、およびフランジ部2bの下側端面2b2とハウジング7の底部7bの上側端面7b1との間のスラスト軸受隙間に油膜が形成され、動圧溝の動圧作用により油膜の圧力が高められる。この動圧作用により、フランジ部2bを両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1および第2スラスト軸受部T2とが構成される。
このとき、上記のように、軸受スリーブ8の軸受面(内周面8a、下側端面8c)には樹脂が含浸されていないため、軸受面に開口した気孔を油溜りとして機能させることができる。この気孔に保持した油をラジアル軸受隙間あるいはスラスト軸受隙間に供給することで、軸部材2と軸受スリーブ8との間の潤滑性が高められる。また、軸受面に開口した気孔が、軸受スリーブ8と軸部材2との接触により生じた摩耗粉を捕捉するフィルターとして機能することにより、軸受隙間の油膜にコンタミが混入することを防止できる。特に、軸受面に開口した複数の気孔を軸受スリーブ8の内部で連通させ、この軸受内部の経路に油を通過させることで、上記フィルター効果を高めることができる。
以下、本発明の実施形態に係る焼結軸受(軸受スリーブ8)の製造方法を図面に基づいて説明する。軸受スリーブ8は、圧縮成形工程(図4参照)、焼結工程(図示省略)、サイジング工程(図5参照)、および樹脂含浸工程(図6参照)を経て製造される。
圧縮成形工程では、まず、図4(a)に示すように、ダイ11、コアロッド12、および下パンチ13で囲まれた円筒状のキャビティに、金属粉末Mを充填する。充填される金属粉末Mは、例えば銅粉や銅合金粉、あるいはこれらに鉄粉を配合したものが使用され、この金属粉末に必要に応じてグラファイト等が適量添加・混合される。この状態から上パンチ14を下降させ、金属粉末Mを軸方向上側から圧縮し(図4(b)参照)、その後、圧縮成形体Maが金型から離型される(図4(c)参照)。
焼結工程では、圧縮成形体Maを所定の焼結温度で焼結し、これにより円筒状の焼結体15が得られる。焼結工程は、例えば真空中、あるいは不活性ガス雰囲気中で行われ、所定の焼結温度で焼結される。上記のように、金属粉末Mとして銅粉や鉄粉を用いた場合、焼結温度はおよそ700〜1100℃の範囲内に設定される。
サイジング工程では、樹脂を含浸した焼結体15の内周面、外周面、および軸方向寸法が適正寸法に矯正されると共に、内周面および下側端面に動圧発生部が形成される。具体的には、まず、図5(a)に示すように、焼結体15を上下パンチ18・19によって軸方向両側から支持(拘束)した状態で、図5(b)に示すように、ダイ16の内周に焼結体15を圧入する。これにより、焼結体15はダイ16と上下パンチ18・19とから圧迫力を受けて変形し、径方向にサイジングされる。これに伴い、焼結体15の内周面15aがコアロッド17の成形型17aに押し当てられ、成形型17aの凸凹形状が焼結体15の内周面15aに転写されて、この面に動圧溝が成形される。これと同時に、焼結体15の下側端面15cが下パンチ19の上側端面19aの成形型(図示省略)に押し当てられ、この面に動圧溝が成形される。その後、図5(c)に示すように、ダイ16を下降させて焼結体15をダイ16から抜き、径方向の圧迫力を解除する。このとき、ダイ16からの離型に伴い、焼結体15に径方向のスプリングバックが発生し、焼結体15とコアロッド17との間に微小隙間が形成され、両者が分離可能な状態となる。そして、焼結体15をコアロッド17から引き抜くことにより、焼結体15が離型される。尚、図5では理解の容易化のため動圧溝および成形型17aの深さを誇張して描いている。
樹脂含浸工程では、焼結体15のラジアル軸受面(内周面15a)およびスラスト軸受面(端面15c)を除く領域に樹脂が含浸される。このとき使用される樹脂は、焼結体15の内部空孔に含浸されやすいように粘度が低いものが適しており、例えばアクリル系(粘度:約20mPa・s)あるいはエポキシ系樹脂(粘度:約40〜50mPa・s)が好適に使用可能である。また、樹脂溶液中に、硬化剤等の添加剤を配合してもよい。
具体的には、図6に示すように、焼結体15を軸方向が水平となるように配置し、この焼結体15の内周に軸41を挿入し、焼結体15及び軸41を一体に回転させながら、ノズル40から焼結体15の外周面15dに樹脂を滴下する。外周面15dに滴下された樹脂は、焼結体15の内径側に浸透するとともに(図6(a)の矢印参照)、軸方向両側に広がる(図6(b)の矢印参照)。このとき、焼結体15の内部にしみ込んだ樹脂が、ラジアル軸受面となる内周面15aやスラスト軸受面となる端面15cまで達しないように、樹脂の滴下量および滴下速度や、樹脂の粘度、焼結体15の回転速度、あるいは焼結体15の気孔率(密度)を調整する。また、図示のように、ノズル40を、焼結体15の軸方向中央部からスラスト軸受面となる端面15cから離隔する側にオフセットして配置すれば、樹脂がスラスト軸受面となる端面15cに達することを防止できる。その後、樹脂を硬化させて、樹脂含浸工程が完了する。
上記のように、樹脂含浸工程の前にサイジング工程を行うことにより、内部気孔に樹脂が含浸されていない焼結体にサイジングを施すことができるため、樹脂の反発が無く軸受スリーブ8の寸法精度を十分に高めることができる。
尚、上記とは逆に樹脂含浸工程の後にサイジング工程を行った場合、軸受面以外の部分は樹脂の反発により寸法精度が低下する恐れがあるが、上記の樹脂含浸方法によれば、軸受面となる内周面15aおよび下側端面15cに樹脂が含浸されていない気孔(すなわち内部が空洞の気孔)が残されるため、サイジング工程において焼結体15の軸受面を塑性変形させやすくなり、軸受面の成形精度を確保できる。特に、上記のように、軸受面に動圧発生部(動圧溝)を成形する場合は、平滑な軸受面と比べてサイジングによる塑性変形量が大きいため、樹脂が含浸されていない気孔を軸受面に残して成形性を高めることが有効となる。従って、樹脂の種類や焼結体の気孔率等の条件、あるいは軸受軸受の用途等により、軸受面以外の寸法精度に問題がないようであれば、樹脂含浸工程の後にサイジング工程を行うことも可能である。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同様の構成・機能を有する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
上記の実施形態では、軸受スリーブ8の樹脂含浸工程において、ノズル40から焼結体15の外周面15dに樹脂を直接滴下しているが、これに限らず、図7に示すように、予め樹脂を含浸させたフェルト等からなる塗布部材42を用いて、焼結体15に樹脂を含浸させることもできる。具体的には、塗布部材42を焼結体15の外周面15dに接触させ、塗布部材42に対して焼結体15を回転させることで、塗布部材42に含浸された樹脂が焼結体15側に引き込まれる。焼結体15に引き込まれた樹脂は、図5に示す例と同様に、内径側及び軸方向両側に浸透し、これにより焼結体15の所定領域の気孔に樹脂が含浸される。このように、塗布部材42と焼結体15とが所定の軸方向領域で接触させることにより、この接触領域全域から焼結体15に樹脂が供給されるため、焼結体15の内部に均一に樹脂を含浸させることができる。また、図示のように、ノズル40から塗布部材42に樹脂を滴下しながら樹脂含浸を行えば、塗布部材42に常に潤沢な樹脂を含浸させておくことができるため、焼結体15へ十分な量の樹脂を供給することができる。また、スラスト軸受面まで樹脂が達しないように、塗布部材42は、図5に示すノズル40と同様に、焼結体15の軸方向中央部に対して、スラスト軸受面となる端面15cから離隔する方向にオフセットさせて配することが好ましい。
また、図5に示す樹脂含浸工程では、単一のノズル40から樹脂を滴下しているが、これに限らず、例えば図8に示すように複数のノズル40から樹脂を滴下してもよい。また、樹脂の滴下と同時に、図示のように焼結体15の内周にエアブロア等で高速の気流50を通過させれば、焼結体15の内周部の圧力が低下し、外周面15dに滴下された樹脂が内径側に含浸されやすくなる。
また、上記の実施形態では、樹脂含浸工程において、焼結体15の上方のノズル40から外周面15dに樹脂を滴下したが、これに限らず、例えば、図9に示すように、樹脂60を入れた底の浅い容器61内で、焼結体15を転がすことにより、樹脂を含浸させてもよい。あるいは、焼結体15を転がす代わりに、図10に示すように、焼結体15を樹脂60と接触させた状態で、その場で焼結体15を回転させてもよい。尚、図9及び図10に示す方法によると、スラスト軸受面となる焼結体15の端面15cに樹脂が含浸されることになるが、ラジアル軸受面となる15aには樹脂が含浸されず、ラジアル軸受面に樹脂が含浸されていない気孔が開口する。このように、軸受面の少なくとも一部に、樹脂が含浸されていない気孔を開口させれば、本発明の効果を奏することができる。
あるいは、図11に示すように、焼結体15のうち、ラジアル軸受面となる内周面15aおよびスラスト軸受面となる下側端面15cを被覆材71・72で被覆し、この状態で焼結体15を樹脂溶液中に浸漬することで、樹脂を含浸させることもできる。被覆材は、物理的または化学的作用で樹脂の浸入を防止できる材料で形成することが好ましく、例えばポリエチレンなどのフィルムや、ゲル状のポリビニルアルコールなど水を含有する物質を使用することができる。これにより、焼結体15のうち、被覆材71・72で覆われていない領域(図示例では外周面15dおよび上側端面15b)に開口した気孔から樹脂が含浸される。含浸が完了したら、樹脂溶液中から焼結体15を取り出し、被覆材71・72を除去する。以上により、焼結体15のうち、ラジアル軸受面(内周面15a)およびスラスト軸受面(下側端面15c)を除く領域に樹脂を含浸させることができる。
また、上記の実施形態では、焼結軸受に含浸される封孔材として樹脂を使用しているが、これに限らず、例えばスズ、亜鉛、マグネシウム合金、あるいはハンダ等の低融点金属を使用することもできる。この場合、焼結軸受の全ての気孔に金属材料が含浸されると、サイジングによる変形が困難となり、所望の寸法精度が得られない恐れがある。従って、封孔材として金属材料を含浸させる場合は、サイジングによる寸法調整を容易化するために、サイジング工程の後に樹脂含浸を行うことや、軸受面に封孔材が含浸されていない気孔を開口させることが特に有効となる。
また、上記の実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aおよび下側端面8cが軸受面として機能する場合を示しているが、これに限らず、例えば内周面のみが軸受面となる焼結軸受に本発明の製造方法を適用することもできる。
スピンドルモータの断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 (a)は軸受スリーブの断面図、(b)は同断面図の部分拡大図、(c)は軸受スリーブの下面図である。 (a)〜(c)は、軸受スリーブの圧縮成形工程を示す断面図である。 (a)〜(c)は、軸受スリーブのサイジング工程を示す断面図である。 (a)は軸受スリーブの樹脂含浸工程を示す横断面図であり、(b)は同縦断面図である。 軸受スリーブの樹脂含浸工程の他の例を示す断面図である。 軸受スリーブの樹脂含浸工程の他の例を示す断面図である。 軸受スリーブの樹脂含浸工程の他の例を示す断面図である。 軸受スリーブの樹脂含浸工程の他の例を示す断面図である。 軸受スリーブの樹脂含浸工程の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ(焼結軸受)
9 シール部材
15 焼結体
40 ノズル
R1・R2 ラジアル軸受部
T1・T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (9)

  1. 金属粉末の圧縮成形体を焼結して得られた焼結体の内部気孔に封孔材を含浸させてなる焼結軸受であって、
    軸受面に、封孔材が含浸されていない気孔を開口させた焼結軸受。
  2. 封孔材が樹脂である請求項1記載の焼結軸受。
  3. 封孔材が低融点金属である請求項1記載の焼結軸受。
  4. 金属粉末の圧縮成形体を焼結して焼結体を形成し、この焼結体の表面のうち、軸受面以外の領域から封孔材を含浸させることにより、封孔材が含浸されていない気孔を軸受面に開口させる焼結軸受の製造方法。
  5. 焼結体が内周面に軸受面を有する筒状をなし、焼結体の外周面に封孔材を滴下することにより封孔材を含浸させる請求項4記載の焼結軸受の製造方法。
  6. 焼結体が内周面に軸受面を有する筒状をなし、封孔材を入れた容器の中で焼結体を転がすことにより封孔材を含浸させる請求項4記載の焼結軸受の製造方法。
  7. 軸受面を被覆剤で覆った状態で封孔材に浸漬することにより封孔材を含浸させる請求項4記載の焼結軸受の製造方法。
  8. 焼結体にサイジングを施した後、封孔材を含浸させる請求項4記載の焼結軸受の製造方法。
  9. 焼結体に封孔材を含浸させた後、サイジングを施す請求項4記載の焼結軸受の製造方法。
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