以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
<画像表示装置の概略>
図1は、本発明の実施形態に係る画像表示装置1Aの概略構成を例示する図である。
画像表示装置1Aは、画像信号に応じた動画や静止画などといった各種画像を表示する電子機器である。この画像表示装置1Aは、例えば、略長方形の輪郭を有する有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display)、および各種信号が入力されるドライバ手段を有する表示部200Aを備える。なお、有機ELディスプレイは、有機材料に電流を流すことで材料自らが発光する自発光型の発光素子を有する。
<表示部の概略構成>
図2は、表示部200Aの概略構成を示すブロック図である。なお、図2では、方位関係を明確化するために直交するXYの2軸が示されている。
表示部200Aは、有機ELディスプレイAA、タイミング発生回路TC、給電制御部EC、画像信号線駆動回路(Xドライバ)Xd、および走査信号線駆動回路(Yドライバ)Ydを備えている。
有機ELディスプレイAAには、多数の画素回路7Aが縦方向(Y方向)ならびに横方向(X方向)に沿ってマトリックス状(すなわち格子状)に配列されている。そして、Y方向に平行な画素回路7Aの列ごとに画像信号線Lisがそれぞれ設けられ、各画像信号線Lisが複数の画素回路7Aに対して電気的に共通に接続されている。また、X方向に平行な画素回路7Aの行ごとに、走査信号線Lssがそれぞれ設けられ、各走査信号線Lssが複数の画素回路7Aに対して電気的に共通に接続されている。
タイミング発生回路TCは、外部から送られてくる画像データ(例えば、RGBの画素信号)Dに同期させて、XドライバXdから各画像信号線Lisに対する画素信号の供給タイミングを制御する信号をXドライバXdに対して送出する。そして、YドライバYdから各走査信号線Lssに対する走査信号の供給タイミングを制御する信号をYドライバYdに対して送出する。
XドライバXdは、タイミング発生回路TCからの信号に応答して、画像信号線Lisに対して画素信号を供給する。一方、YドライバYdは、タイミング発生回路TCからの信号に応答して、走査信号線Lssに対して走査信号を供給する。このようなタイミング発生回路TCの制御により、画像信号線Lisを介して各画素回路7Aに画素信号が適宜供給される。
給電制御部ECは、各画素回路7Aに対する電力(具体的には発光などに要する電力)の供給を制御する部分であり、ハードウェアすなわち回路構成によって実現されても良いし、ソフトウェアがCPUで実行されることで実現されても良い。
<画素回路の構成>
図3は、画像表示装置1Aを構成する1画素分の画素回路(駆動回路)7Aの構成例を示す図である。
画素回路7Aは、有機EL素子(OLED)1、駆動トランジスタ2、走査用トランジスタ3、コンデンサ4、および調整トランジスタ5を備えている。
有機EL素子1は、有機物などで構成され、アノード電極1aからカソード電極1bに向けて発光層を流れる電流の量(電流量)によって発光輝度が変化する発光素子である。アノード電極1aは、有機EL素子1の発光時に正の高電位(例えば、+10Vなど)が印加される給電部Pvdに対して電気的に接続されている。そして、アノード電極1aは、接続点Cp3を介して調整トランジスタ5の第4電極5dsに対して電気的に接続されている。なお、本実施形態では、アノード電極1aが本発明の「一端部」に相当する。また、カソード電極1bは、駆動トランジスタ2を介して接地されている。そして、カソード電極1bは、接続点Cp4,Cp5を順次に介して調整トランジスタ5の第5および第6電極5sd,5gに対して電気的に接続されている。なお、本実施形態では、カソード電極1bが本発明の「他端部」に相当する。
駆動トランジスタ2は、有機EL素子1に対して電気的に直列に接続され、有機EL素子1における電流量を調整することで有機EL素子1の発光輝度を制御するトランジスタである。ここでは、駆動トランジスタ2は、キャリアが電子であるタイプ(n型)のMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造を採用した電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)の一種である薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)、すなわちn−MISFETTFTによって構成されている。
この駆動トランジスタ2は、第1から第3電極2ds,2sd,2gを有している。第1電極2dsは、接続点Cp4を介して有機EL素子1のカソード電極1bに対して電気的に接続され、有機EL素子1が発光する際、すなわち有機EL素子1に対して順方向の電流が流れる際にドレイン電極(以下「ドレイン」と略称する)として機能する。一方、有機EL素子1に対して逆方向に電圧が印加される際には、第1電極2dsは逆にソース電極(以下「ソース」と略称する)として機能する。また、第1電極2dsは、接続点Cp4,Cp5を順次に介して調整トランジスタ5の第5および第6電極5sd,5gに対して電気的に接続されている。第2電極2sdは、接続点Cp2を介して接地させるための配線(接地用配線)Gdおよびコンデンサ4の他方電極4bに対して電気的に接続され、有機EL素子1に対して順方向の電流が流れる際にソース電極(ソース)として機能する。一方、有機EL素子1に対して逆方向に電圧が印加される際には、第2電極2sdは逆にドレイン電極(ドレイン)として機能する。更に、第3電極2gは、いわゆるゲート電極(以下「ゲート」と略称する)であり、接続点Cp1を介して走査用トランジスタ3の第8電極3sd、およびコンデンサ4の一方電極4aに対して電気的に接続されている。
また、駆動トランジスタ2では、第3電極2gに付与される電位、より詳細には第1電極2dsまたは第2電極2sdと第3電極2gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第1電極2dsと第2電極2sdとの間(以下「第1−2電極間」とも称する)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第3電極(ゲート)2gに付与される電位により、駆動トランジスタ2は、第1−2電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
調整トランジスタ5は、駆動トランジスタ2と略同一の性能を有し、給電部Pvdと接地用配線Gdとの間において、有機EL素子1に対して電気的に並列に接続され、且つ駆動トランジスタ2に対して電気的に直列に接続されている。そして、この調整トランジスタ5は、第4から第6電極5ds,5sd,5gを有している。第4電極5dsは、接続点Cp3を介して有機EL素子1のアノード電極1aおよび給電部Pvdに対して電気的に接続されている。また、第5および第6電極5sd,5gは、接続点Cp5,Cp4を順次に介して有機EL素子1のカソード電極1bおよび駆動トランジスタ2の第1電極2dsに対してそれぞれ電気的に接続されている。更に、第5電極5sdは、接続点Cp5を介してゲートである第6電極5gに対して電気的に接続されている。
また、調整トランジスタ5では、第6電極5gに付与される電位、より詳細には第4電極5dsまたは第5電極5sdと第6電極5gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第4電極5dsと第5電極5sdとの間(以下「第4−5電極間」とも称する)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第6電極(ゲート)5gに付与される電位により、調整トランジスタ5は、第4−5電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。なお、本実施形態では、調整トランジスタ5が本発明の「抵抗部材」に相当する。
走査用トランジスタ3は、画像信号線Lisの電位を駆動トランジスタ2の第3電極(ゲート)2gに付与するタイミングを制御するトランジスタである。ここでは、走査用トランジスタ3も、駆動トランジスタ2と同様にn−MISFETTFTによって構成されている。
この走査用トランジスタ3は、第7から第9電極3ds,3sd,3gを有している。そして、第7電極3dsは、画像信号線Lisに対して電気的に接続されている。また、第8電極3sdは、接続点Cp1を介して駆動トランジスタ2の第3電極(ゲート)2gおよびコンデンサ4の一方電極4aに対して電気的に接続されている。更に、第9電極3gは、いわゆるゲートとして機能し、走査信号線Lssに対して電気的に接続されている。
また、走査用トランジスタ3では、第9電極3gに付与される電位、より具体的には第7電極3dsまたは第8電極3sdと第9電極3gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第7電極3dsと第8電極3sdとの間(以下「第7−8電極間」とも称する)における電流量が調整される。そして、この第9電極(ゲート)3gに付与される電位により、走査用トランジスタ3は、第7−8電極間(ドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
コンデンサ4は、一方および他方電極4a,4bを有している。そして、一方電極4aは、接続点Cp1を介して、駆動トランジスタ2の第3電極2gおよび走査用トランジスタ3の第8電極3sdに対して電気的に接続されている。また、他方電極4bは、接続点Cp2を介して、駆動トランジスタ2の第2電極2sdおよび接地用配線Gdに対して電気的に接続されている。
なお、ここでは、1つの画素回路7Aに着目して説明したが、有機ELディスプレイAA全体では、画素回路7Aが多数存在する。
<有機EL素子の発光に関する駆動方法>
図4は、有機EL素子1を発光させる際の信号波形(駆動波形)を示すタイミングチャートである。具体的には、図4では、時間順次に有機EL素子1が3回の発光する際の駆動波形を示すタイミングチャートが示されている。そして、図4では、横軸が時刻を示し、上から順に、(a)走査信号線Lssに付与される電位(電位Vsl)、(b)画像信号線Lisに付与される電位(電位Vis)の波形が示されている。なお、電位Visは、各有機EL素子1の発光輝度によって決まる任意の値(以下「Vdata」と称する)であるため、図4では、当該電位が存在し得る範囲に斜線ハッチングが便宜的に付されている。また、ここでは、給電部Pvdには一定の正の高電位(+10V)が付与されているものとする。以下、図4を参照しつつ、有機EL素子1の発光動作について説明する。
時刻t1において、電位Visが基準電位の0Vから正の任意の電位Vdataに設定される。続いて、時刻t2において、電位Vslが低電位VgLから高電位VgHに設定される。このとき、走査用トランジスタ3が導通状態となり、第3電極(ゲート)2gに電位Vdataが付与されて、駆動トランジスタ2のゲート電圧VgがVdataとなる。その結果、電位Vdataに応じた電流が第1−2電極間に流れるとともに、電位Vdataに応じた電流が有機EL素子1のアノード電極1aからカソード電極1bに向けて流れて、有機EL素子1が電位Vdataに応じた輝度で発光する。次に、時刻t3において、電位Visが電位Vdataから基準電位の0Vに設定される。このとき、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgが0Vとなり、有機EL素子1の発光が終了する。そして、時刻t4において、電位Vslが高電位VgHから低電位VgLに変更される。
そして、時刻t5〜t8および時刻t9〜t12では、時刻t1〜t4と同様な動作がそれぞれ行われ、所定の時間間隔(例えば、1/60秒)で有機EL素子1の発光が開始される。ここでは、時間順次に有機EL素子1が3回の発光する際の駆動について説明したが、実際には、画像の表示期間に応じて時間順次に有機EL素子1が多数回発光する。
<調整トランジスタの特性と調整トランジスタによるメリット>
図5は、調整トランジスタ5の特性を模式的に示す図である。図5では、横軸が電位を示し、縦軸が電流を示している。そして、調整トランジスタ5の第5電極5sdの電位を基準とした第4電極5dsの電位、すなわち第4電極5dsと第5電極5sdとの間の電位差(電圧)V50と、第4電極5dsから第5電極5sdに向けた電流I50との関係が曲線Cr5で示されている。
図5で示すように、電圧V50が0V以上である場合には、第5電極(ソース)5sdと第6電極(ゲート)5gとが電気的に接続されているため、ゲートとソースとの間の電位差(ゲート電圧)が0Vとなる。したがって、電圧V50が0V以上である場合には、電圧V50の上昇とともに、電流I50が増加して、図29でも示したようにゲート電圧が0Vである場合の電流Id0で一定となる。つまり、接続点Cp4の電位よりも接続点Cp3の電位の方が高ければ、第4−5電極間に電流Id0以下の電流が流れる。
図6は、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgと有機EL素子1を流れる電流との関係を示す図である。図6では、横軸が電圧を示し、縦軸が電流を示している。そして、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgと、有機EL素子1のアノード電極1aからカソード電極1bに向けて流れる電流Iodとの関係が太い曲線Codで示されている。なお、図6では、図29で示したように仮に有機EL素子1に対して電気的に並列に調整トランジスタ5が接続されていない場合における駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgと有機EL素子1を流れる電流Iodとの関係が、細い曲線C1で示されている。
曲線C1で示すように、仮に、調整トランジスタ5が存在していなければ、ゲート電圧Vgを0Vとしても電流Iodが正の電流Id0となる。このため、有機EL素子1において低輝度の発光および無発光を実現するためには、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgをある程度大きな負の電圧とする必要がある。
これに対して、本実施形態に係る画素回路7Aでは、有機EL素子1に対して調整トランジスタ5が電気的に並列に接続されており、図5で示すように、電圧V50が0V以上である場合には、電圧V50の上昇とともに、電流I50が増加して、電流Id0で一定となる。このため、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgが0Vの場合には、駆動トランジスタ2の第1−2電極間を流れる電流Id0が、有機EL素子1に流れることなく、調整トランジスタ5の第4−5電極間を流れる。
したがって、曲線Codで示すように、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgが0Vの場合には、有機EL素子1のアノード電極1aからカソード電極1bに向けて電流が流れない。そして、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgを0Vから徐々に上昇させると、接続点Cp3と接続点Cp4との間に印加される電圧が徐々に上昇し、電流Iodが増加する。つまり、接続点Cp3と接続点Cp4との間に印加される電圧が所定の閾値電圧以下の場合、調整トランジスタ5の第4−5電極間を電流が流れるが、有機EL素子1には電流が流れない。そして、接続点Cp3と接続点Cp4との間に印加される電圧が所定の閾値電圧を超えると、調整トランジスタ5の第4−5電極間を電流Id0が流れるとともに、有機EL素子1にも電流が流れる。
図7は、有機EL素子1の両端間に印加される電圧Vodと、有機EL素子1を流れる電流Iodとの関係を模式的に示す図である。図7では、横軸が電圧を示し、縦軸が電流を示している。そして、接続点Cp3と接続点Cp4との間に印加される電圧、すなわち有機EL素子1の両端間に印加される電圧Vodと、有機EL素子1の両端間を流れる電流Iodとの関係が曲線Cv1で示されている。図7で示すように、電圧Vodが閾値電圧Vt1に達するまでは、電流Iodは0Aであり、電圧Vodが閾値電圧Vt1を超えると、電圧Vodの増加とともに、電流Iodが増加していく。
より詳細には、アノード電極1aと第2電極2sdとの間に第2電極2sdよりもアノード電極1aの方が電位が高くなるように電圧が印加された状態で、第3電極2gに付与される電位の変化に応じて、アノード電極1aとカソード電極1bとの間の電圧が閾値電圧Vt1を超える場合は、第1−2電極間およびアノード電極1aとカソード電極1bとの間に電流が流れて、有機EL素子1が発光する。また、アノード電極1aと第2電極2sdとの間に第2電極2sdよりもアノード電極1aの方が電位が高くなるように電圧が印加された状態で、アノード電極1aとカソード電極1bとの間の電圧が閾値電圧Vt1以下となる場合は、第1−2電極間に電流が流れる一方で、アノード電極1aとカソード電極1bとの間には電流が流れず、有機EL素子1が発光しない。
なお、曲線Codで示す電流Iodは、曲線C1で示す電流から一定の電流Id0を引いたものとなる。
以上のように、第1実施形態に係る画像表示装置1Aでは、有機EL素子1の両電極間に印加される電圧が所定の閾値電圧を超える場合には有機EL素子1に電流が流れて該有機EL素子1が発光する。その一方で、有機EL素子1の両電極間に印加される電圧が所定の閾値電圧以下の場合には、調整トランジスタ5に電流が流れて、有機EL素子1に電流が流れず、該有機EL素子1が発光しない。このため、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgを設定するための画像信号の電位(ここではVdata)の振れ幅を抑制することができる。
具体的には、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgを0V以上の正の電圧の範囲で適宜調整することで、有機EL素子1の発光による全ての輝度の階調を実現することができる。換言すれば、電位Vdataの小さな変化で効率良く有機EL素子1の発光を制御することができる。したがって、画素信号の電位Vdataを調整するXドライバXdで扱う電圧の振れ幅が小さくなるとともに、XドライバXdにおける消費電力の低減を図ることができる。このため、最新の微細プロセスを利用してXドライバXdを製作することが可能となり、XドライバXdの回路の小型化ならびに低コスト化を図ることができる。また、XドライバXdの出力(ここでは電位Vdata)の振幅が小さくなっても出力の切り替えの間隔(すなわち出力精度)は略同一で良いため、XドライバXdで取り扱うビット数を低減することが可能となり、XドライバXdの回路の簡略化および小型化を図ることができる。
なお、調整トランジスタ5が駆動トランジスタ2と電気的に直列に接続されているため、画素回路7Aの製造途中で、仮に有機EL素子1が設けられていない状態でも、調整トランジスタ5の抵抗が存在している。このため、有機EL素子1を蒸着によって形成する前に、調整トランジスタ5と駆動トランジスタ2とが直列に接続された回路に適宜電圧を印加して、該回路を流れる電流を測定することで、回路の性能のテストを行うことができる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態に係る画像表示装置1Aでは、有機EL素子1と電気的に並列に調整トランジスタ5が接続された。これに対して、第2実施形態に係る画像表示装置1Bでは、電気的に直列に接続された第1および第2調整トランジスタ15,16が、有機EL素子11と電気的に並列に接続されている。なお、第2実施形態では、第1および第2調整トランジスタ15,16が、本発明の少なくとも1つの「抵抗部材」に相当する。
第2実施形態に係る画像表示装置1Bは、上記第1実施形態に係る画像表示装置1Aと比較して、概略構成は同様なものであるが、画素回路7Aが構成が異なる画素回路7Bに変更されたことで、表示部200Aが表示部200Bに変更されたものとなっている。以下、第1実施形態に係る画像表示装置1Aと同様な部分については同じ符号を付して説明を省略しつつ、第1実施形態に係る画像表示装置1Aと異なる部分について、第2実施形態に係る画像表示装置1Bについて説明する。
<画素回路の構成>
図8は、本発明の第2実施形態に係る画像表示装置1Bを構成する1画素分の画素回路(駆動回路)7Bの構成例を示す図である。
画素回路7Bは、有機EL素子(OLED)11、駆動トランジスタ12、第1調整トランジスタ15、第2調整トランジスタ16、閾値(Vth)補償用トランジスタ13、およびコンデンサ14を備える。
有機EL素子11は、上記第1実施形態に係る有機EL素子1と同様な構成を有し、発光層を流れる電流量によって発光輝度が変化する発光素子である。この有機EL素子11は、アノード電極11aとカソード電極11bとを有している。なお、本実施形態では、アノード電極11aが本発明の「一端部」に相当し、カソード電極11bが本発明の「他端部」に相当する。
アノード電極11aは、給電線のうちで有機EL素子11の発光時に高電位側となる電源線としてのVDD線Lvdに対して電気的に接続されている。そして、アノード電極11aは、接続点Cn1,Cn6を順次に介して第2調整トランジスタ16の第7,9電極16ds,16gに対してそれぞれ電気的に接続されている。
カソード電極11bは、給電線のうちで有機EL素子11の発光時に低電位側となる電源線としてのVSS線Lvsに対して、接続点Cn2,Cn4および駆動トランジスタ12を順次に介して電気的に接続される。そして、カソード電極11bは、接続点Cn2,Cn4,Cn5を順次に介して調整トランジスタ5の第5および第6電極15sd,15gに対して電気的に接続されている。さらに、カソード電極11bは、接続点Cn2を介してVth補償用トランジスタ13の第10電極13dsに対して電気的に接続されている。
駆動トランジスタ12は、有機EL素子11に対して電気的に直列に接続され、有機EL素子11における電流量を調整することで有機EL素子11の発光輝度を制御するトランジスタである。ここでは、駆動トランジスタ12は、n−MISFETTFTによって構成される。この駆動トランジスタ12は、第1から第3電極12ds,12sd,12gを有している。
第1電極12dsは、接続点Cn4,Cn2を順次に介して有機EL素子11のカソード電極11bに対して電気的に接続されている。そして、第1電極12dsは、有機EL素子11が発光する際、すなわち有機EL素子11に対して順方向の電流が流れる際にドレインとして機能する。一方、有機EL素子11に対して逆方向に電圧が印加される際には、第1電極12dsは逆にソースとして機能する。また、第1電極12dsは、接続点Cn4,Cn5を順次に介して調整トランジスタ15の第5および第6電極15sd,15gに対して電気的に接続されている。さらに、第1電極12dsは、接続点Cn4,Cn2を順次に介してVth補償用トランジスタ13の第10電極13dsに対して電気的に接続されている。
第2電極12sdは、VSS線Lvsに対して電気的に接続されている。そして、第2電極12sdは、有機EL素子11に対して順方向の電流が流れる際にソースとして機能する。一方、有機EL素子11に対して逆方向に電圧が印加される際には、第2電極12sdは逆にドレインとして機能する。更に、第3電極12gは、いわゆるゲートであり、接続点Cn3を介してVth補償用トランジスタ13の第11電極13sd、およびコンデンサ14の一方電極14aに対してそれぞれ電気的に接続されている。
また、駆動トランジスタ12では、第3電極12gに付与される電位、より詳細には第1電極12dsまたは第2電極12sdと第3電極12gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第1電極12dsと第2電極12sdとの間(以下「第1−2電極間」とも称する)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第3電極(ゲート)12gに印加される電位により、駆動トランジスタ12は、第1−2電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
第1および第2調整トランジスタ15,16は、それぞれ駆動トランジスタ12と同様に、n−MISFETTFTによって構成されており、略同一の性能を有し、電気的に直列に接続されている。また、第1および第2調整トランジスタ15,16が直列に接続されて構成される部分が、VDD線LvdとVSS線Lvsとの間において、有機EL素子11に対して電気的に並列に接続され、且つ駆動トランジスタ12に対して電気的に直列に接続されている。
具体的には、第1調整トランジスタ15は、第4から第6電極15ds,15sd,15gを有している。第4電極15dsは、第2調整トランジスタ16の第8電極16sdに対して電気的に接続されている。第5および第6電極15sd,15gは、接続点Cn5,Cn4,Cn2を順次に介して有機EL素子11のカソード電極11bおよびVth補償用トランジスタ13の第10電極13dsに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、第5および第6電極15sd,15gは、接続点Cn5,Cn4を順次に介して駆動トランジスタ12の第1電極12dsに対してそれぞれ電気的に接続されている。さらに、第5電極15sdは、接続点Cn5を介してゲートである第6電極15gに対して電気的に接続されている。
また、第1調整トランジスタ15では、第6電極15gに付与される電位、より詳細には第4電極15dsまたは第5電極15sdと第6電極15gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第4電極15dsと第5電極15sdとの間(第4−5電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第6電極(ゲート)15gに印加される電位により、第1調整トランジスタ15は、第4−5電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
第2調整トランジスタ16は、第7から第9電極16ds,16sd,16gを有している。第7および第9電極16ds,16gは、接続点Cn6,Cn1を順次に介してVDD線Lvdおよびアノード電極11aに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、第7電極16dsは、接続点Cn6を介して第9電極16gに対して電気的に接続されている。第8電極16sdは、第1調整トランジスタ15の第4電極15dsに対して電気的に接続されている。
また、第2調整トランジスタ16では、第9電極16gに付与される電位、より詳細には第7電極16dsまたは第8電極16sdと第9電極16gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第7電極16dsと第8電極16sdとの間(第7−8電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第9電極(ゲート)16gに付与される電位により、第2調整トランジスタ16は、第7−8電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
Vth補償用トランジスタ13は、駆動トランジスタ12が通電状態となる場合の、第2電極12sdに対する第3電極12gの電位の下限値(所定の閾値電圧Vth)を検出するとともに、駆動トランジスタ12のゲート電圧を、閾値電圧Vth(以下「閾値Vth」と略称する)に調整するトランジスタである。つまり、「閾値Vth」は、駆動トランジスタ12がオフ状態(いわゆるドレイン電流が流れない状態)からオン状態(ドレイン電流が流れる状態)に移り変わるときの、境界となるゲート電圧のことを言う。なお、ここでは、Vth補償用トランジスタ13も、駆動トランジスタ12と同様にn−MISFETTFTによって構成される。
このVth補償用トランジスタ13は、第10から第12電極13ds,13sd,13gを有している。第10電極13dsは、接続点Cn2を介して有機EL素子11のカソード電極11bに対して電気的に接続されている。また、第10電極13dsは、接続点Cn2,Cn4を順次に介して駆動トランジスタ12の第1電極12dsに対して電気的に接続されている。さらに、第10電極13dsは、接続点Cn2,Cn4,Cn5を順次に介して第1調整トランジスタ15の第5電極15sdと第6電極15gに対してそれぞれ電気的に接続されている。第11電極13sdは、接続点Cn3を介して駆動トランジスタ12の第3電極12gおよびコンデンサ14の一方電極14aに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、第12電極13gは、走査信号線Lssに対して電気的に接続されている。
また、Vth補償用トランジスタ13では、第12電極13gに付与される電位、より詳細には第10電極13dsまたは第11電極13sdと第12電極13gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第10電極13dsと第11電極13sdとの間(第10−11電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第12電極(ゲート)13gに付与される電位により、Vth補償用トランジスタ13は、第10−11電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
ここで、有機EL素子11は、電流値によって発光輝度が制御されるため、発光時における駆動トランジスタ12のゲート電圧のゆらぎに対して、発光輝度が敏感に変動する。特に、駆動トランジスタ12がアモルファスシリコンを用いて構成された場合には、駆動トランジスタ12ごとに閾値Vthが異なる傾向にある。よって、画素毎に異なる閾値Vthを補償する機能(Vth補償機能)を持たせなければ、所望の発光輝度と実際の発光輝度との間に若干の乖離が生じ、結果として画素間で発光輝度のムラが生じてしまう。
そこで、Vth補償用トランジスタ13は、発光前において画素ごとに駆動トランジスタ12のゲート電圧を閾値Vthに合わせることで、駆動トランジスタ12における閾値Vthのばらつきを補償するVth補償機能を実現する。
コンデンサ14は、一方電極14aおよび他方電極14bを備えて構成されている。そして、一方電極14aは、接続点Cn3を介して、駆動トランジスタ12の第3電極12gおよびVth補償用トランジスタ13の第11電極13sdに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、他方電極14bは、画像信号線Lisに対して電気的に接続されている。なお、ここでは、コンデンサ14の保持容量を所定値Csとする。
ところで、有機EL素子11は、発光時と逆の電圧が印加されるとコンデンサとして機能し、この容量(EL素子容量)を所定値Coとする。また、駆動トランジスタ12は、第2電極12sdと第3電極12gとの間(第2−3電極間)の寄生容量CgsTdと、第1電極12dsと第3電極12gとの間(第1−3電極間)の寄生容量CgdTdとを有する。更に、Vth補償用トランジスタ13は、第11電極13sdと第12電極13gとの間(第11−12電極間)の寄生容量CgsTthと、第10電極13dsと第12電極13gとの間(第10−12電極間)の寄生容量CgdTthとを有する。なお、寄生容量CgsTd,CgdTd,CgsTth,CgdTthは、それぞれ駆動トランジスタ12、およびVth補償用トランジスタ13の構成によって決定される所定値の容量である。
図9は、図8で示した画素回路7Bの回路構成に対して、寄生容量CgsTth,CgdTth,CgsTd,CgdTdとEL素子容量Coとに係る回路構成(図中破線で記載)を加えた模式図である。
図9で示すように、画素回路7Bでは、有機EL素子11の両電極間にはEL素子容量Coを有するコンデンサ(素子コンデンサ)Colが存在し、駆動トランジスタ12の第2−3電極間には寄生容量CgsTdを有するコンデンサ12gsが存在する。そして、駆動トランジスタ12の第1−3電極間には寄生容量CgdTdを有するコンデンサ12gdが存在する。さらに、Vth補償用トランジスタ13の第11−12電極間には寄生容量CgsTthを有するコンデンサ3gsが存在する。また、Vth補償用トランジスタ13の第10−12電極間には寄生容量CgdTthを有するコンデンサ13gdが存在している。
なお、ここでは、1つの画素回路7Bに着目して説明したが、有機ELディスプレイAA全体では、画素回路7Bが多数存在する。このため、走査信号線Lssも多数存在する。そこで、以下では、多数の走査信号線Lssを、適宜「第N走査信号線(Nは自然数)Lss」と称する。
<調整トランジスタの特性と調整トランジスタによるメリット>
図10は、第1および第2調整トランジスタ15,16の特性を模式的に示す図である。図10では、横軸が電圧を示し、縦軸が電流を示している。具体的には、横軸が、第1および第2調整トランジスタ15,16が電気的に直列に接続されている部分の両端に印加される電圧、具体的には、接続点Cn5の電位を基準した接続点Cn6の電位、すなわち接続点Cn5と接続点Cn6との間の電圧V56を示している。また、縦軸が、第1および第2調整トランジスタ15,16が電気的に直列に接続されている部分を接続点Cn6から接続点Cn5に向けて流れる電流I56を示している。そして、図10では、仮に、接続点Cn5と接続点Cn6との間に第2調整トランジスタ16が設けられることなく、第1調整トランジスタ15のみが設けられている場合における電圧V56と電流I56との関係を示す曲線Cv15が破線で示されている。さらに、図10では、仮に、接続点Cn5と接続点Cn6との間に第1調整トランジスタ15が設けられることなく、第2調整トランジスタ16のみが設けられている場合における電圧V56と電流I56との関係を示す曲線Cv16が一点鎖線で示されている。
図10の曲線Cv15で示すように、仮に、第2調整トランジスタ16が設けられていなければ、電圧V56が0V以上である場合には、図5でも示したように、電圧V56の上昇とともに、電流I56が増加して、図29でも示したゲート電圧が0Vである場合の電流Id0で電流I56が一定となる。しかしながら、電圧V56が0V未満で減少されていくと、電流I56は負の値を示し、第5電極15sdから第4電極15dsに向けた電流が急激に増加する。したがって、仮に、第2調整トランジスタ16が設けられていなければ、有機EL素子11に対して電流が流れる順方向とは逆方向に電圧が印加されると、第1調整トランジスタ15を介して接続点Cn5から接続点Cn6に向けて比較的大きな電流が流れる。このため、有機EL素子11をコンデンサとして利用して、有機EL素子11の両電極間に電荷を蓄積することができない。
一方、図10の曲線Cv16で示すように、仮に、第1調整トランジスタ15が設けられていなければ、電圧V56が0V以下である場合には、電圧V56の低下とともに、電流I56が減少して、図29でも示したようにゲート電圧が0Vである場合の電流−Id0で電流I56は一定となる。しかしながら、電圧V56が0V以上で増加されていくと、電流I56は正の値を示し、第7電極16dsから第8電極16sdに向けた電流が急激に増加する。つまり、電圧V56が負の値である場合には、第2調整トランジスタ16には、電流Id0よりも大きな電流が流れず、電圧V56が正の値である場合には、電圧V56の印加に応じた電流I56が第7電極16dsから第8電極16sdに向けて流れる。
図11は、接続点Cn5と接続点Cn6との間における電圧V56と電流I56との関係、すなわち第1および第2調整トランジスタ15,16に係る電圧と電流との関係を模式的に示す図である。図11では、接続点Cn5と接続点Cn6との間における電圧V56と電流I56との関係が太い実線の曲線Cv56で描かれている。また、図10で示した曲線Cv15,Cv16が細線でそれぞれ描かれている。
本実施形態では、接続点Cn5と接続点Cn6との間に第1および第2調整トランジスタ15,16が電気的に直列に接続されている。このため、図11の曲線Cv56で示すように、電圧V56が0V以上の場合には、電圧V56の上昇とともに、電流I56は、増加して、電流Id0で一定となる。一方、電圧V56が0V以下である場合には、電圧V50の低下とともに、電流I56は、減少して電流−Id0で一定となる。
このため、接続点Cn1と接続点Cn4との間に、接続点Cn1の方が電位が高くなるような電圧が印加され、駆動トランジスタ12のゲート電圧Vgが0Vの場合には、駆動トランジスタ12の第1−2電極間を流れる電流Id0が、有機EL素子11に流れることなく、第1調整トランジスタ15の第4−5電極間、および第2調整トランジスタ16の第7−8電極間を流れる。
より詳細には、第1実施形態と同様に、アノード電極11aと第2電極12sdとの間に第2電極12sdよりもアノード電極11aの方が電位が高くなるように電圧が印加された状態で、第3電極12gに付与される電位の変化に応じて、アノード電極11aとカソード電極11bとの間の電圧が閾値電圧Vt1を超える場合は、第1−2電極間およびアノード電極11aとカソード電極11bとの間に電流が流れて、有機EL素子11が発光する。また、アノード電極11aと第2電極12sdとの間に第2電極12sdよりもアノード電極11aの方が電位が高くなるように電圧が印加された状態で、アノード電極11aとカソード電極11bとの間の電圧が閾値電圧Vt1以下となる場合は、第1−2電極間に電流が流れる一方で、アノード電極11aとカソード電極11bとの間には電流が流れず、有機EL素子11が発光しない。
また、接続点Cn1と接続点Cn4との間に、接続点Cn4の方が電位が高くなるような電圧が印加され、駆動トランジスタ12のゲート電圧Vgが上昇されても、第1および第2調整トランジスタ15,16には低い一定の電流Id0しか流れない。
したがって、有機EL素子11をコンデンサとして利用して、有機EL素子11の両電極間に電荷を蓄積することができる。以下、有機EL素子11をコンデンサとして利用しつつ、有機EL素子11の発光輝度を制御する駆動方法について説明する。
<有機EL素子の発光に関する駆動方法>
図12は、有機EL素子11を発光させる際の信号波形(駆動波形)を示すタイミングチャートである。図12では、横軸が時刻を示し、上から順に、(a) VDD線Lvdに付与される電位(電位Vdd)、(b) VSS線Lvsに付与される電位(電位VSS)、(c)第1走査信号線Lssに付与される信号の電位(電位Vls1)、(d)第2走査信号線Lssに付与される信号の電位(電位Vls2)、(e)画像信号線Lisに付与される信号の電位(電位Vlis)、の波形が示されている。
また、図12では、有機EL素子11を1回発光させるための駆動波形が示されており、1回の発光に係る期間は、時間順次に、Cs初期化期間P1(時刻t11〜t12)、準備期間P2(時刻t12〜t13)、Vth補償期間P3(時刻t13〜t14)、書込期間P4(時刻t14〜t15)、素子初期化期間P5(時刻t15〜t16)、および発光期間P6(時刻t16〜)を備えて構成される。なお、書込期間P4における電位Vlisは、各有機EL素子11の発光輝度によって決まる任意の値であるため、図12では、当該電位が存在し得る範囲に斜線ハッチングが便宜的に付されている。
図13から図17は、第2実施形態に係る画像表示装置1Bを駆動させる際に、各期間において発生する画素回路7Bの電流の流れを黒塗りの矢印で例示する図である。図13から図17では、画素回路7Bのうち、電流の流れに寄与する回路は太線で示され、電流の流れにほとんど寄与しない回路は細線で示されている。
以下、図12および図13から図17を適宜参照しつつ、第2実施形態に係る画像表示装置1Bの駆動方法について説明する。
○Cs初期化期間P1:
図13では、Cs初期化期間P1(以下適宜「期間P1」と略する)での画素回路7Bにおける電流の流れが例示されている。
期間P1では、VDD線LvdおよびVSS線Lvsにそれぞれ所定の正の高電位VDD(例えば15V)が印加される。また、全走査信号線Lssに所定の正の高電位VgH(例えば15V)が印加される。さらに、画像信号線Lisに所定の基準電位(ここでは0V)が印加される。
このとき、走査信号線Lssにおける高電位VgHの印加により、第12電極(ゲート)13gに高電位VgHに応じた正電位が印加され、Vth補償用トランジスタ13が導通状態となる。一方、VDD線LvdとVSS線Lvsとが略同電位であるため、駆動トランジスタ12が非導通状態となる。したがって、期間P1では、図13で示すように、VDD線LvdからVth補償用トランジスタ13の第10および第11電極13ds,13sdを介してコンデンサ14に向けて電流が流れ、コンデンサ14に所定量の電荷(例えば、15Vに応じた電荷量)が蓄積される。
なお、期間P1における時間経過とともにコンデンサ14に蓄積される電荷量が高まり、第3電極(ゲート)12gに所定値を超える正電位が付与され、駆動トランジスタ12が導通状態となることもあり得る。しかし、VDD線LvdおよびVSS線Lvsがともに同電位VDDに設定されているため、駆動トランジスタ12の第1−2電極間では電流が流れない。
○準備期間P2:
図14では、準備期間P2(以下適宜「期間P2」と略する)での画素回路7Bにおける電流の流れが例示されている。
期間P2では、VDD線Lvdに負の所定電位−Vp(例えば−7V)が付与される。また、VSS線Lvsに所定の基準電位(ここでは0V)が付与される。また、全走査信号線Lssに所定の低電位VgL(例えば−10V)が付与される。さらに、画像信号線Lisに所定の高電位VdH(例えば10V)が印加される。
このとき、走査信号線Lssにおける低電位VgLの付与により、第12電極(ゲート)13gにはほとんど正の電位が付与されないため、Vth補償用トランジスタ13が非導通状態となる。一方、画像信号線Lisにおける高電位VdHの付与により、第3電極(ゲート)12gに高電位VdHに応じた正電位(例えば15+10=25V)が付与され、駆動トランジスタ12が導通状態となる。
そして、VDD線LvdよりもVSS線Lvsの方が電位がVp高いため、図14で示すように、VSS線Lvsから駆動トランジスタ12の第2および第1電極12sd,12dsを順次に介して、有機EL素子11に向けて電流が流れる。このとき、第1および第2調整トランジスタ15,16において白抜き矢印で示すように、接続点Cn5から接続点Cn6に向けて若干の電流Id0が流れる。但し、この電流Id0は非常に小さな電流であるため、有機EL素子11すなわち素子コンデンサColにVDD線LvdとVSS線Lvsとの間の電位差に応じた所定量の電荷(例えば7Vに応じた電荷)が蓄積される。
○Vth補償期間P3:
図15では、Vth補償期間P3(以下適宜「期間P3」と略する)での画素回路7Bにおける電流の流れが例示されている。
期間P3では、VDD線LvdおよびVSS線Lvsにそれぞれ所定の基準電位(ここでは0V)が付与される。また、全走査信号線Lssに高電位VgHが付与される。さらに、画像信号線Lisに高電位VdH(例えば10V)が付与される。
このとき、走査信号線Lssにおける高電位VgHの付与により、第12電極(ゲート)13gに高電位VgHに応じた正電位が付与され、Vth補償用トランジスタ13が導通状態となる。また、期間P3の初期では、コンデンサ14に蓄積された電荷と画像信号線Lisに付与された電位VdHにより、駆動トランジスタ12が導通状態となる。
したがって、期間P3の初期では、図15で示すように、コンデンサ14に蓄積された電荷に伴う電流が、コンデンサ14からVth補償用トランジスタ13の第11および第10電極13sd,13ds、更には駆動トランジスタ12の第1および第2電極12ds,12sdを順次に介してVSS線Lvsに向けて流れる。また、素子コンデンサColに蓄積された電荷に伴う電流が、駆動トランジスタ12の第1および第2電極12ds,12sdを順次に介してVSS線Lvsに向けて流れる。
ところが、コンデンサ14に蓄積された電荷に伴う電流が、コンデンサ14からVSS線Lvsに向けて流れていくにつれて、コンデンサ14に蓄積された電荷が減少する。そして、駆動トランジスタ12の第2電極12sdに対する第3電極12gの電位(ゲート電圧)Vgが実質的に閾値Vthまで減少すると、駆動トランジスタ12が非導通状態となる。このとき、コンデンサ14には、閾値Vthに応じた電荷が蓄積された状態となる。このように、期間P3では、閾値Vthに応じた電荷がコンデンサ14に蓄積されて、画素ごとに異なる閾値Vthのばらつきが補償される。
○書込期間P4:
図16では、書込期間P4(以下適宜「期間P4」と略する)での画素回路7Bにおける電流の流れが例示されている。
期間P4では、VDD線LvdおよびVSS線Lvsにそれぞれ基準電位0Vが印加されるとともに、画素信号に応じた電荷の蓄積を行う処理(データ書込処理)の実施対象画素において、走査信号線Lssに高電位VgHが付与され、画像信号線Lisに電位(VdH−Vdata)が付与される。なお、電位Vdataは、画素信号の電位であり、画像を構成する画素の輝度の階調に対応する値に応じた電位である。
このとき、走査信号線Lssにおける高電位VgHの付与により、第12電極(ゲート)13gに高電位VgHに応じた正電位が付与され、Vth補償用トランジスタ13が導通状態となる。一方、画像信号線Lisに対して、期間P3における電位VdH以下の電位(VdH−Vdata)が付与され、駆動トランジスタ12のゲート電圧Vgが閾値Vth以下となるため、駆動トランジスタ12が非導通状態となる。
したがって、期間P4では、図16で示すように、有機EL素子11(すなわち素子コンデンサCol)からVth補償用トランジスタ13の第10および第11電極13ds,13sdを順次に介してコンデンサ14に向けて電流が流れる。その結果、コンデンサ14に既に蓄積された閾値Vthに応じた電荷の上に電位Vdataに応じた電荷が加算されて蓄積される。すなわち、期間P4においては、コンデンサ14に有機EL素子11の発光輝度に応じた電荷が蓄積される。換言すれば、期間P4では、画素回路7Bにおいて画素信号に応じた電荷がコンデンサ14に蓄積される。
なお、コンデンサ14の一方電極14aの電位(すなわち駆動トランジスタ12のゲート電位)の変化量は、画像信号線Lisの電位の変化量と、コンデンサ14の保持容量Csと素子コンデンサColのEL素子容量Coとの比(容量比)との積に依拠する。すなわち、本実施形態においては、画像信号線Lisの電位がVdHからVdataに変化する場合、駆動トランジスタ12のゲート電位が、(Vdata−VdH)×Cs/(Cs+Co)変化する。例えば、VdH=10V,Vdata=5V、Cs:Co=1:2である場合には、画像信号線Lisの電位が−5V変化し、駆動トランジスタ12のゲート電位Vgは、有機EL素子11からコンデンサ14に対する電荷の移動により、(5−10)×1/(1+2)=−5/3V変化する。このようにコンデンサ14に蓄積される電荷の移動により、画像信号線Lisの電位の変化が駆動トランジスタ12のゲート電位に反映される。
○素子初期化期間P5:
素子初期化期間P5(以下適宜「期間P5」と略する)においては、VDD線LvdおよびVSS線Lvsにそれぞれ所定の負電位−Vpが付与される。また、全走査信号線Lssに低電位VgLが付与される。さらに、画像信号線Lisに高電位VdHが付与される。このとき、Vth補償用トランジスタ13が非導通状態となり、駆動トランジスタ12が導通状態となる。そして、VDD線LvdとVSS線Lvsとの間に電位差がなく、VSS線Lvsが負電位−Vpに設定されているため、有機EL素子11(すなわち素子コンデンサCol)に蓄積された電荷が、VSS線Lvsに抜けて、有機EL素子11に蓄積された電荷が一掃される。
○発光期間P6:
図17では、発光期間P6(以下適宜「期間P6」と略する)での画素回路7Bにおける電流の流れが例示されている。
期間P6では、VDD線Lvdに正の高電位VDDが付与される。また、VSS線Lvsに基準電位0Vが付与される。また、走査信号線Lssに低電位VgLが付与される。さらに、画像信号線Lisに高電位VdHが付与される。
このとき、走査信号線Lssにおける低電位VgLの付与により、Vth補償用トランジスタ13が非導通状態となる。一方、画像信号線Lisに対して高電位VdHが付与されるため、期間P4においてコンデンサ14に蓄積された電荷量(電位Vdataに応じた電荷量)に応じた電位分、ゲート電圧Vgが閾値Vthよりも高くなり、駆動トランジスタ2が導通状態となる。
例えば、Vdata=5V、Cs:Co=1:2である場合には、期間P4においてコンデンサ14に蓄積される電荷が、閾値Vthよりも5/3V低い電位([Vth−5/3]V)に対応する。そして、期間P6では、期間P4よりもVdata(=5V)分高い電位が画像信号線Lisに対して付与され、第3電極(ゲート)12gに対して、閾値Vthよりも10/3V高い電位([Vth+10/3]V=[Vth−(5/3)+5]V)が付与される。
そして、VDD線LvdがVSS線Lvsよりも電位VDD分、高電位であり、駆動トランジスタ12が電位Vdataに応じて第1−2電極間で電流が流れる導通状態となる。このため、図17で示すように、有機EL素子11に対して電位Vdataに応じた電流が流れる。その結果、有機EL素子11が電位Vdataに応じた輝度で発光する。つまり、期間P6では、各画素から画素信号に応じた輝度の光が出射される。
以上のように、第2実施形態に係る画像表示装置1Bでは、有機EL素子11と電気的に並列に第1および第2調整トランジスタ15,16が設けられている。このため、駆動トランジスタ12のゲート電圧Vgが0Vの場合には、第1および第2調整トランジスタ15,16に電流が流れて、有機EL素子11には電流が流れない。したがって、上記第1実施形態に係る画像表示装置1Aと同様な効果が得られる。さらに、有機EL素子11に電流が流れる場合とは逆方向に電圧を印加して、有機EL素子11をコンデンサとして利用することもできる。
また、Vth補償用トランジスタ13が設けられて、有機EL素子11がコンデンサとして利用されつつ、Vth補償機能が実現される。このため、駆動トランジスタ12の特性のばらつきを補償しつつ、有機EL素子11を所望の輝度で発光させることができる。
<その他>
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
<変形例1>
上記第1実施形態に係る画像表示装置1Aでは、有機EL素子1と電気的に並列に調整トランジスタ5が接続されたが、これに限られない。例えば、調整トランジスタ5の代わりに、有機EL素子1と電気的に並列に電流を調整するための抵抗(以下「電流調整抵抗」と称する)6などの抵抗部材を接続しても良い。
図18は、本発明の変形例1に係る画像表示装置1Cを構成する1画素分の画素回路7Cの構成例を示す図である。変形例1に係る画像表示装置1Cは、上記第1実施形態に係る画像表示装置1Aと比較して、概略構成は同様なものであるが、画素回路7Aが構成が異なる画素回路7Cに変更されたことで、表示部200Aが表示部200Cに変更されたものとなっている。具体的には、図18で示すように、図3で示した第1実施形態に係る画素回路7Aの調整トランジスタ5の代わりに、電流調整抵抗6が設けられている。より詳細には、接続点Cp3と接続点Cp4との間において、電流調整抵抗6が有機EL素子1と並列に接続されている。なお、図18では、第1実施形態に係る画像表示装置1Aと同様な部分については同じ符号が付されており、これらの部分については重複した説明を省略する。
図19は、電流調整抵抗6の特性を例示する図である。図19では、横軸が電圧を示し、縦軸が電流を示している。そして、電流調整抵抗6の両端に印加される電圧Vrと、電流調整抵抗6を流れる電流Irとの関係が直線CR5で示されている。図19で示すように、電流調整抵抗6では、一端と他端との間に印加される電圧と、該一端と該他端との間を流れる電流とが、略比例関係を示す。
図20は、有機EL素子1の両電極間に印加される電圧Vodと、有機EL素子1を流れる電流Iodとの関係を示す図である。図20では、図6と同様に、横軸が電圧を示し、縦軸が電流を示している。そして、電圧Vodと電流Iodとの関係が太い曲線Codで示されている。なお、図20では、仮に有機EL素子1に対して電気的に並列に調整トランジスタ5が接続されていない場合における電圧Vodと電流Iodとの関係が、細い曲線Colで示されている。また、図20では、電圧Vod(すなわち電圧Vr)と電流調整抵抗6を流れる電流Irとの関係が破線CR5で示されている。
図20で示すように、電流調整抵抗6の両端間に印加される電圧Vrの上昇に比例して電流Irが増加する。このため、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgが0Vの場合には、駆動トランジスタ2の第1−2電極間を流れる電流Id0が、有機EL素子1に流れることなく、電流調整抵抗6を流れる。そして、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgを増加させると、電圧Vod(すなわち電圧Vr)が徐々に上昇していく。そして、ゲート電圧Vgが所定の電圧を超えると、電圧Vodが閾値電圧Vt1を超えて、駆動トランジスタ2の第1−2電極間を流れる電流の全てが電流調整抵抗6を流れず、残余の電流が有機EL素子1を流れる。具体的には、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgを所定の電圧から徐々に上昇させると、電流Iodが増加する。
つまり、接続点Cp3と接続点Cp4との間に印加される電圧Vodが所定の閾値電圧Vt1未満では、電流調整抵抗6に電流が流れるが、有機EL素子1には電流が流れない。そして、接続点Cp3と接続点Cp4との間に印加される電圧Vodが所定の閾値電圧Vt1を超えると、電流調整抵抗6に電流Irが流れるとともに、有機EL素子1にも電流が流れる。ここでも、第1実施形態と同様に、有機EL素子1の両電極間の電圧Vodが閾値電圧Vt1に達するまでは、有機EL素子1を流れる電流Iodは0Aであり、電圧Vodが閾値電圧Vt1を超えると、電圧Vodの増加とともに、電流Iodが増加していく。
より詳細には、第1実施形態と同様に、アノード電極1aと第2電極2sdとの間に第2電極2sdよりもアノード電極1aの方が電位が高くなるように電圧が印加された状態で、第3電極2gに付与される電位の変化に応じて、アノード電極1aとカソード電極1bとの間の電圧が閾値電圧Vt1を超える場合は、第1−2電極間およびアノード電極1aとカソード電極1bとの間に電流が流れて、有機EL素子1が発光する。また、アノード電極1aと第2電極2sdとの間に第2電極2sdよりもアノード電極1aの方が電位が高くなるように電圧が印加された状態で、アノード電極1aとカソード電極1bとの間の電圧が閾値電圧Vt1以下となる場合は、第1−2電極間に電流が流れる一方で、アノード電極1aとカソード電極1bとの間には電流が流れず、有機EL素子1が発光しない。
以上のように、変形例1に係る画像表示装置1Cでは、有機EL素子1の両電極間に印加される電圧Vodが所定の閾値電圧Vt1を超える場合には有機EL素子1に電流が流れて該有機EL素子1が発光する。その一方で、有機EL素子1の両電極間に印加される電圧Vodが所定の閾値電圧Vt1以下の場合には、電流調整抵抗6に電流が流れて、有機EL素子1に電流が流れず、該有機EL素子1が発光しない。このため、電流調整抵抗6といった簡単な構成で、駆動トランジスタ2のゲート電圧Vgを設定するための画像信号の電位(ここではVdata)の振れ幅を抑制することができる。
したがって、本発明の「抵抗部材」は、有機EL素子の両電極間に印加される電圧が所定の閾値電圧を超える場合には、抵抗部材及び有機EL素子の両方に電流が流れる。そして、有機EL素子に流れる電流に起因して該有機EL素子を発光させる。さらに、抵抗部材は、有機EL素子の両電極間に印加される電圧が所定の閾値電圧以下の場合には、該抵抗部材にのみ電流が流れて、有機EL素子に電流が流れず、該有機EL素子を発光させないようなものである。
なお、本変形例1では、電流調整抵抗6が1つであったが、2以上の電流調整抵抗6を設けても良い。すなわち、有機EL素子1に対して電気的に並列に接続され、且つ駆動トランジスタ2に対して電気的に直列に接続される少なくとも1つの電流調整抵抗6などといった抵抗部材が設けられれば良い。
<変形例2>
上記第2実施形態では、2つのトランジスタ12,13が含まれる画素回路に2つの調整トランジスタ15,16を適用した画素回路7Bを例示して説明したが、これに限られず、異なる構成の画素回路に2つの調整トランジスタを適用しても良い。以下、具体例を示して説明する。
図21は、本発明の変形例2に係る画像表示装置1Dを構成する1画素分の画素回路7Dの構成例を示す図である。変形例2に係る画像表示装置1Dは、上記第2実施形態に係る画像表示装置1Bと比較して、概略構成は同様なものであるが、画素回路7Bが構成が異なる画素回路7Dに変更されたことで、表示部200Bが表示部200Dに変更されたものとなっている。具体的には、図21に示す画素回路7Dは、有機EL素子21、駆動トランジスタ22、Vth補償用トランジスタ23、第1コンデンサ24、第2コンデンサ28、第1調整トランジスタ25、第2調整トランジスタ26、および走査用トランジスタ27を備える。
有機EL素子21は、アノード電極21aとカソード電極21bとの間に有機EL素子21の閾値電圧を超える電位差が生じることによりアノード電極21aとカソード電極21bとの間に電流が流れて、発光する特性を有する。アノード電極21aは、有機EL素子21の発光時に正の高電位(例えば、+10Vなど)が付与されるVDD線Lvdに対して電気的に接続されている。
アノード電極21aは、接続点Ct1,Ct6を順次に介して第2調整トランジスタ26の第7および第9電極26ds,26gに対して電気的に接続されている。なお、本変形例2では、アノード電極21aが本発明の「一端部」に相当する。
カソード電極21bは、駆動トランジスタ22を介して接地される。また、カソード電極21bは、接続点Ct2を介してVth補償用トランジスタ23の第10電極23dsに対して電気的に接続されている。更に、カソード電極21bは、接続点Ct2,Ct5を順次に介して第1調整トランジスタ25の第5および第6電極25sd,25gに対して電気的に接続されている。なお、本変形例2では、カソード電極21bが本発明の「他端部」に相当する。また、有機EL素子21は、発光時と逆の電圧が印加されるとコンデンサとして機能し、この容量(EL素子容量)Col2を所定値C2とする。
駆動トランジスタ22は、有機EL素子21に対して電気的に直列に接続され、有機EL素子21における電流量を調整することで有機EL素子21の発光輝度を制御するトランジスタである。ここでは、駆動トランジスタ22は、n−MISFETTFTによって構成されている。この駆動トランジスタ22は、第1から第3電極22ds,22sd,22gを有している。
第1電極22dsは、接続点Ct2を介して有機EL素子21のカソード電極21bおよびVth補償用トランジスタ23の第10電極23dsに対して電気的に接続されている。また、第1電極22dsは、接続点Ct2,Ct5を順次に介して第1調整トランジスタ25の第5および第6電極25sd,25gに対して電気的に接続されている。更に、第1電極2dsは、有機EL素子21が発光する際、すなわち有機EL素子21に対して順方向の電流が流れる際にドレインとして機能する。一方、有機EL素子21に対して逆方向に電圧が印加される際には、第1電極22dsは逆にソースとして機能する。
第2電極22sdは、接続点Ct7を介して接地させるための配線(接地用配線)Gdおよび第2コンデンサ28の他方電極28bに対して電気的に接続され、有機EL素子21に対して順方向の電流が流れる際にソースとして機能する。一方、有機EL素子21に対して逆方向に電圧が印加される際には、第2電極22sdは逆にドレインとして機能する。更に、第3電極22gは、ゲートであり、接続点Ct3を介してVth補償用トランジスタ23の第11電極23sd、および第1コンデンサ24の一方電極24aに対して電気的に接続されている。
また、駆動トランジスタ22では、第3電極22gに付与される電位、より詳細には第1電極22dsまたは第2電極22sdと第3電極22gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第1電極22dsと第2電極22sdとの間(第1−2電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第3電極(ゲート)22gに付与される電位により、駆動トランジスタ22は、第1−2電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
第1および第2調整トランジスタ25,26は、それぞれ駆動トランジスタ22と同様に、n−MISFETTFTによって構成されており、略同一の性能を有し、電気的に直列に接続されている。また、第1および第2調整トランジスタ25,26が直列に接続されて構成される部分が、VDD線Lvdと接地用配線Gdとの間において、有機EL素子21に対して電気的に並列に接続され、且つ駆動トランジスタ22に対して電気的に直列に接続されている。
具体的には、第1調整トランジスタ25は、第4から第6電極25ds,25sd,25gを有している。第4電極25dsは、第2調整トランジスタ26の第8電極26sdに対して電気的に接続されている。第5および第6電極25sd,25gは、接続点Ct5,Ct2を順次に介して有機EL素子21のカソード電極21b、駆動トランジスタ22の第1電極22ds、およびVth補償用トランジスタ23の第10電極23dsに対して電気的にそれぞれ接続されている。さらに、第5電極25sdは、接続点Ct5を介してゲートである第6電極25gに対して電気的に接続されている。
また、第1調整トランジスタ25では、第6電極25gに付与される電位、より詳細には第4電極25dsまたは第5電極25sdと第6電極25gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第4電極25dsと第5電極25sdとの間(第4−5電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第6電極(ゲート)25gに付与される電位により、第1調整トランジスタ25は、第4−5電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
第2調整トランジスタ26は、第7から第9電極26ds,26sd,26gを有している。第7および第9電極26ds,26gは、接続点Ct6,Ct1を順次に介してVDD線Lvdおよびアノード電極21aに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、第7電極26dsは、接続点Ct6を介して第9電極26gに対して電気的に接続されている。第8電極26sdは、第1調整トランジスタ25の第4電極25dsに対して電気的に接続されている。
また、第2調整トランジスタ26では、第9電極26gに付与される電位、より詳細には第7電極26dsまたは第8電極26sdと第9電極26gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第7電極26dsと第8電極26sdとの間(第7−8電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第9電極(ゲート)26gに付与される電位により、第2調整トランジスタ26は、第7−8電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
Vth補償用トランジスタ23は、駆動トランジスタ22が通電状態となる場合の、駆動トランジスタ22の第2電極22sdに対する第3電極22gの電位の下限値(所定の閾値電圧Vth)を検出するとともに、駆動トランジスタ22のゲート電圧を、閾値電圧Vth(閾値Vth)に調整するトランジスタである。詳細には、Vth補償用トランジスタ23は、発光前において画素ごとに駆動トランジスタ22のゲート電圧を閾値Vthに合わせることで、駆動トランジスタ22における閾値Vthのばらつきを補償するVth補償機能を実現する。なお、ここでは、Vth補償用トランジスタ23も、駆動トランジスタ22と同様にn−MISFETTFTによって構成される。
このVth補償用トランジスタ23は、第10から第12電極23ds,23sd,23gを有している。第10電極23dsは、接続点Ct2を介して有機EL素子21のカソード電極21b、および駆動トランジスタ22の第1電極22dsに対してそれぞれ電気的に接続されている。さらに、第10電極23dsは、接続点Ct2,Ct5を順次に介して第1調整トランジスタ25の第5および第6電極25sd,25gに対してそれぞれ電気的に接続されている。第11電極23sdは、接続点Ct3を介して駆動トランジスタ22の第3電極22gおよび第1コンデンサ24の一方電極24aに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、第12電極23gは、補償制御線Lthに対して電気的に接続されている。
また、Vth補償用トランジスタ23では、第12電極23gに付与される電位、より詳細には第10電極23dsまたは第11電極23sdと第12電極23gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第10電極23dsと第11電極23sdとの間(第10−11電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第12電極(ゲート)23gに付与される電位により、Vth補償用トランジスタ23は、第10−11電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
第1コンデンサ24は、一方電極24aおよび他方電極24bを備えて構成されている。そして、一方電極24aは、接続点Ct3を介して、駆動トランジスタ22の第3電極22gおよびVth補償用トランジスタ23の第11電極23sdに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、他方電極24bは、接続点Ct4を介して第2コンデンサ28の一方電極28aおよび走査用トランジスタ27の第13電極27dsに対してそれぞれ電気的に接続されている。なお、ここでは、第1コンデンサ24の保持容量を所定値Cs1とする。
第2コンデンサ28は、一方電極28aおよび他方電極28bを備えて構成されている。そして、一方電極28aは、接続点Ct4を介して、第1コンデンサ24の他方電極24bおよび走査用トランジスタ27の第13電極27dsに対して電気的に接続されている。また、他方電極28bは、接続点Ct7を介して駆動トランジスタ22の第2電極22sdおよび接地用配線Gdに対して電気的に接続されている。なお、ここでは、第2コンデンサ28の保持容量を所定値Cs2とする。
走査用トランジスタ27は、第13から第15電極27ds,27sd,27gを有している。第13電極27dsは、接続点Ct4を介して第1コンデンサ24の他方電極24bおよび第2コンデンサ28の一方電極28aに対して電気的に接続されている。また、第14電極27sdは、画像信号線Lisに対して電気的に接続されている。さらに、第15電極27gは、走査信号線Lssに対して電気的に接続されている。
また、走査用トランジスタ27では、第15電極27gに付与される電位、より詳細には第13電極27dsまたは第14電極27sdと第15電極27gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第13電極27dsと第14電極27sdとの間(第13−14電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第15電極(ゲート)27gに付与される電位により、走査用トランジスタ27は、第13−14電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
なお、VDD線Lvdは、駆動トランジスタ22に所定電圧を供給する。補償制御線Lthは、Vth補償用トランジスタ23を導通状態と非導通状態との間で切り替えるための信号を供給する。走査信号線Lssは、走査用トランジスタ27を導通状態と非導通状態との間で切り替えるための信号を供給する。画像信号線Lisは、画素信号の電圧を第1コンデンサ24に供給する。また、図21では、有機EL素子21に所定の電圧を供給するための構成として、高電位のVDD線Lvdと低電位の接地用配線Gdとの間に有機EL素子21を配するようにしているが、低電位側をVDD線Lvdに、高電位側を接地用配線Gdとして固定電位にしたり、あるいは両者を駆動したりしてもよい。
次に、変形例2に係る画像表示装置1Dの画素回路7Dの駆動について説明する。
図22は、有機EL素子21を発光させる際の信号波形(駆動波形)を示すタイミングチャートである。図22では、横軸が時刻を示し、上から順に、(a) VDD線Lvdに付与される電位(電位Vdd)、(b)補償制御線Lthに付与される電位(電位Vtt)、(c)走査信号線Lssに付与される信号の電位(電位Vsl)、(d)画像信号線Lisに付与される信号の電位(電位Vlis)、の波形が示されている。
また、図22では、有機EL素子21を1回発光させるための駆動波形が示されており、1回の発光に係る期間は、時間順次に、準備期間Pt1(時刻t21〜t22)、Vth補償期間Pt2(時刻t22〜t23)、初期化期間Pt3(時刻t23〜t24)、書込期間Pt4(時刻t24〜t25)、および発光期間Pt5(時刻t25〜)を備えて構成される。なお、書込期間Pt4における電位Vlisは、各有機EL素子21の発光輝度によって決まる任意の値であるため、図22では、当該電位が存在し得る範囲に斜線ハッチングが便宜的に付されている。
図23から図27は、変形例2に係る画像表示装置1Dを駆動させる際に、各期間において発生する画素回路7Dの電流の流れを黒塗りの矢印で例示する図である。図23から図27では、画素回路7Dのうち、電流の流れに寄与する回路は太線で示され、電流の流れにほとんど寄与しない回路は細線で示されている。
以下、図22および図23から図27を適宜参照しつつ、変形例2に係る画像表示装置1Dの駆動方法について説明する。
○準備期間Pt1:
準備期間Pt1では、VDD線Lvdの電位Vddが低電位(−Vp)、補償制御線Lthの電位Vttが低電位(VgL)、走査信号線Lssの電位Vslが高電位(VgH)、画像信号線Lisの電位Vlisが高電位(例えば、10Vあるいは15Vといった画素信号の最大電位VdH)に設定される。このとき、走査用トランジスタ27が導通状態、Vth補償用トランジスタ23が非導通状態、駆動トランジスタ22が導通状態となる。なお、ここでは、第1および第2調整トランジスタ25,26において白抜き矢印で示すように、接続点Ct5から接続点Ct6に向けて若干の電流Id0が流れる。但し、この電流Id0は非常に小さな電流である。したがって、図23で示すように、接地用配線Gdから、駆動トランジスタ22を介して、有機EL素子容量Col2へと電流が流れ、有機EL素子21のEL素子容量Col2に電荷が蓄積される。
○Vth補償期間Pt2:
Vth補償期間Pt2では、補償制御線Lthの電位Vttが高電位(VgH)とされ、電位Vttが高電位となるタイミングに若干遅れてVDD線Lvdが基準電位(ここでは0V)に設定される。その一方で、走査信号線Lssの電位Vslが高電位(VgH)で維持される。なお、画像信号線Lisの電位Vlisは、このVth補償期間Pt2に移行する直前に基準電位(ここでは0V)とされ、電位Vlisは基準電位で維持される。このとき、Vth補償用トランジスタ23が導通状態となり、駆動トランジスタ22のゲートとドレインとが接続される。その結果、図24で示すように、駆動トランジスタ22のソースに対するゲートの電位が閾値電圧Vthに達するまでEL素子容量Col2および第1コンデンサ24に蓄積された電荷が放電され、駆動トランジスタ22を介して接地用配線Gdという経路で電流が流れる。そして、駆動トランジスタ22のゲートとソースと間の電位差が駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに達すると、駆動トランジスタ22が非導通状態となる。なお、この時点で、第1コンデンサ24の両極端には閾値電圧Vthの電圧が生じている。
○初期化期間Pt3:
初期化期間Pt3では、VDD線Lvdの電位Vddが基準電位(ここでは0V)、走査信号線Lssの電位Vslが高電位(VgH)に維持される。その一方で、補償制御線Lthの電位Vttが低電位(VgL)に設定される。また、画像信号線Lisの電位Vlisが、例えば画素信号の最大電位(VdH)に設定される。このとき、駆動トランジスタ22が再度導通状態となる。その結果、図25で示すように、有機EL素子21から駆動トランジスタ22を介して接地用配線Gdという経路で電流が流れ、EL素子容量Col2に残存する電荷が放電される。この動作により、有機EL素子21自身における残存電荷による発光への影響が回避される。
また、この初期化期間Pt3では、図22で示すように、初期化期間Pt3の途中で、画像信号線Lisの電位Vlisが最大電位(VdH)から基準電位(ここでは0V)に設定される。そして、画像信号線Lisが基準電位(ここでは0V)に設定された後、所定時間経過後に、走査信号線Lssが高電位(VgH)から低電位(VgL)に設定される。
○書込期間Pt4:
書込期間Pt4では、VDD線Lvdの電位Vddが基準電位(ここでは0V)、補償制御線Lthの電位Vttが低電位(VgL)に維持される。その一方で、画像信号線Lisに画素信号が供給されて、電位Vlisが画素信号の電位(画素信号に応じた所定のレベルの電位)Vdataに設定される。そして、電位Vlisが電位Vdataに維持された状態で、走査信号線Lssに走査信号が供給されて、電位Vslが高電位VgHに設定される。このとき、走査用トランジスタ27が導通状態となり、図26で示すように、画像信号線Lisから走査用トランジスタ27を介して第2コンデンサ28に電流が流れ、第2コンデンサ28には画素信号に応じた電圧が保持される。なお、本変形例2では、全画素回路について一括に画素信号の書き込みが行われず、各走査信号線Lssに共通して接続される複数の画素回路(画素回路群)ごとに順次画素信号の書き込みが行われる。
○発光期間Pt5:
発光期間Pt5では、VDD線Lvdの電位Vddが高電位VDD、画像信号線Lisの電位Vlisが基準電位(ここでは0V)に設定される。その一方で、補償制御線Lthの電位Vttが低電位(VgL)、走査信号線Lssの電位Vslが低電位(VgL)に維持される。このとき、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを保持する第1コンデンサ24と画素信号に応じた電圧を保持する第2コンデンサ28とが直列に接続され、両者の電圧の和が駆動トランジスタ22のゲートとソースとの間に印加される。その結果、図27で示したように、駆動トランジスタ22が導通状態となり、VDD線Lvdから有機EL素子21と駆動トランジスタ22とを順次に介して接地用配線Gdに向けて電流が流れ、有機EL素子21が発光する。
そして、変形例2に係る画像表示装置1Dでは、上記第2実施形態に係る画像表示装置1Bと同様に、有機EL素子21と電気的に並列に第1および第2調整トランジスタ25,26が設けられている。このため、駆動トランジスタ22のゲート電圧Vgが0Vの場合には、第1および第2調整トランジスタ25,26に電流が流れて、有機EL素子21には電流が流れない。したがって、変形例2に係る画像表示装置1Dでは、上記第2実施形態に係る画像表示装置1Bと同様な効果が得られる。さらに、有機EL素子21に電流が流れる場合とは逆方向に電圧を印加して、有機EL素子21をコンデンサとして利用することもできる。また、Vth補償用トランジスタ23が設けられて、有機EL素子21がコンデンサとして利用されつつ、Vth補償機能が実現される。このため、駆動トランジスタ22の特性のばらつきを補償しつつ、有機EL素子21を所望の輝度で発光させることができる。
<変形例3>
上記第1実施形態では、発光時に高電位側となる給電部Pvd側から接地用配線Gdに向けて、有機EL素子1と駆動トランジスタ2とがこの順番で電気的に直列に接続されたが、これに限られない。例えば、発光時に高電位側となる給電部Pvd側から接地用配線Gdに向けて、駆動トランジスタと有機EL素子とがこの順番で電気的に直列に接続されても良い。以下、このような構成の具体例について説明する。
図28は、本発明の変形例3に係る画像表示装置1Eを構成する1画素分の画素回路7Eの構成例を示す図である。変形例3に係る画像表示装置1Eは、上記第1実施形態に係る画像表示装置1Aと比較して、概略構成は同様なものであるが、画素回路7Aが構成が異なる画素回路7Eに変更されたことで、表示部200Aが表示部200Eに変更されたものとなっている。具体的には、図28に示す画素回路7Eは、有機EL素子31、駆動トランジスタ32、走査用トランジスタ33、コンデンサ34、および調整トランジスタ35を備える。
有機EL素子31は、有機EL素子1と同様な構成を有し、アノード電極31aからカソード電極31bに向けて発光層を流れる電流の量(電流量)によって発光輝度が変化する発光素子である。アノード電極31aは、接続点Cp33,Cp32を順次に介して、駆動トランジスタ32の第3電極32sdおよびコンデンサ34の他方電極34bに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、アノード電極31aは、接続点Cp33を介して、調整トランジスタ35の第4電極35dsに対して電気的に接続されている。カソード電極31bは、接続点Cp34を介して接地用配線Gdに対して電気的に接続されている。また、カソード電極31bは、接続点Cp34,Cp35を順次に介して調整トランジスタ35の第5および第6電極35sd,35gに対してそれぞれ電気的に接続されている。なお、本変形例3では、アノード電極31aが本発明の「一端部」に相当し、カソード電極31bが本発明の「他端部」に相当する。
駆動トランジスタ32は、有機EL素子31に対して電気的に直列に接続され、有機EL素子31における電流量を調整することで有機EL素子31の発光輝度を制御するトランジスタである。ここでは、駆動トランジスタ32は、n−MISFETTFTによって構成されている。この駆動トランジスタ32は、第1から第3電極32ds,32sd,32gを有している。
第1電極32dsは、有機EL素子31の発光時に正の高電位(例えば、+10Vなど)が印加される給電部Pvdに対して電気的に接続されている。そして、第1電極32dsは、有機EL素子31が発光する際、すなわち有機EL素子31に対して順方向の電流が流れる際にドレインとして機能する。一方、有機EL素子31に対して逆方向に電圧が印加される際には、第1電極32dsは逆にソースとして機能する。
第2電極32sdは、接続点Cp32,Cp33を順次に介して、アノード電極31aおよび調整トランジスタ35の第4電極35dsに対してそれぞれ電気的に接続されている。また、第2電極32sdは、接続点Cp32を介してコンデンサ34の他方電極34bに対して電気的に接続されている。そして、第2電極32sdは、有機EL素子31が発光する際、すなわち有機EL素子31に対して順方向の電流が流れる際にソースとして機能する。一方、有機EL素子31に対して逆方向に電圧が印加される際には、第2電極32sdは逆にドレインとして機能する。
第3電極32gは、いわゆるゲートであり、接続点Cp31を介して走査用トランジスタ33の第7電極33sd、およびコンデンサ34の一方電極34aに対して電気的に接続されている。
また、駆動トランジスタ32では、第3電極32gに付与される電位、より詳細には第1電極32dsまたは第2電極32sdと第3電極32gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第1電極32dsと第2電極32sdとの間(第1−2電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第3電極(ゲート)32gに付与される電位により、駆動トランジスタ32は、第1−2電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
調整トランジスタ35は、駆動トランジスタ32と略同一の性能を有し、給電部Pvdと接地用配線Gdとの間において、有機EL素子31に対して電気的に並列に接続され、且つ駆動トランジスタ32に対して電気的に直列に接続されている。そして、この調整トランジスタ35は、第4から第6電極35ds,35sd,35gを有している。第4電極35dsは、接続点Cp33を介して有機EL素子31のアノード電極31aに対して電気的に接続されている。また、第4電極35dsは、接続点Cp33,Cp32を順次に介して、第3電極32sdおよび他方電極34bに対してそれぞれ電気的に接続されている。第5電極35sdは、接続点Cp35,Cp34を順次に介してカソード電極31bおよび接地用配線Gdに対して電気的に接続されている。更に、第5電極35sdは、接続点Cp35を介していわゆるゲートである第6電極35gに対して電気的に接続されている。
また、調整トランジスタ35では、第6電極35gに付与される電位、より詳細には第4電極35dsまたは第5電極35sdと第6電極35gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第4電極35dsと第5電極35sdとの間(第4−5電極間)において流れる電流の量(電流量)が調整される。そして、この第6電極(ゲート)35gに付与される電位により、調整トランジスタ35は、第4−5電極間(すなわちドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。なお、本変形例3では、調整トランジスタ35が本発明の「抵抗部材」に相当する。
走査用トランジスタ33は、画像信号線Lisの電位を駆動トランジスタ32の第3電極(ゲート)32gに付与するタイミングを制御するトランジスタである。ここでは、走査用トランジスタ33も、駆動トランジスタ32と同様にn−MISFETTFTによって構成されている。
この走査用トランジスタ33は、第7から第9電極33ds,33sd,33gを有している。そして、第7電極33dsは、画像信号線Lisに対して電気的に接続されている。また、第8電極33sdは、接続点Cp31を介して駆動トランジスタ32の第3電極(ゲート)32gおよびコンデンサ34の一方電極34aに対して電気的に接続されている。更に、第9電極33gは、いわゆるゲートとして機能し、走査信号線Lssに対して電気的に接続されている。
また、走査用トランジスタ33では、第9電極33gに付与される電位、より具体的には第7電極33dsまたは第8電極33sdと第9電極33gとの間(すなわちゲートとソースとの間)に印加される電圧値が調整されることで、第7電極33dsと第8電極33sdとの間(第7−8電極間)における電流量が調整される。そして、この第9電極(ゲート)33gに付与される電位により、走査用トランジスタ33は、第7−8電極間(ドレインとソースとの間)において電流が流れ得る状態(導通状態)と、電流が流れ得ない状態(非導通状態)とに選択的に設定される。
コンデンサ34は、一方および他方電極34a,34bを有している。そして、一方電極34aは、接続点Cp31を介して、駆動トランジスタ32の第3電極32gおよび走査用トランジスタ33の第8電極33sdに対して電気的に接続されている。また、他方電極34bは、接続点Cp32を介して、駆動トランジスタ32の第2電極32sdに対して電気的に接続されている。また、他方電極34bは、接続点Cp32,Cp33を順次に介してアノード電極31aおよび第4電極35dsに対してそれぞれ電気的に接続されている。
なお、ここでは、1つの画素回路7Eに着目して説明したが、有機ELディスプレイAA全体では、画素回路7Eが多数存在する。また、有機EL素子31を発光させる際の信号波形(駆動波形)は、第1実施形態に係る画像表示装置1Aと同様なものとなる。
そして、この変形例3に係る画素回路7Eでは、第1電極32dsとカソード電極31bとの間にカソード電極31bよりも第1電極32dsの方が電位が高くなるように電圧が印加された状態で、第3電極32gに付与される電位の変化に応じて、アノード電極31aとカソード電極31bとの間の電圧が閾値電圧Vt1を超える場合は、第1−2電極間およびアノード電極31aとカソード電極31bとの間に電流が流れて、有機EL素子31が発光する。また、アノード電極31aとカソード電極31bとの間の電圧が閾値電圧Vt1以下となる場合は、第1−2電極間に電流が流れる一方で、アノード電極31aとカソード電極31bとの間には電流が流れず、有機EL素子31が発光しない。
以上のように、変形例3に係る画像表示装置1Eでは、第1実施形態に係る画像表示装置1Aと同様に、有機EL素子31の両電極間に印加される電圧が所定の閾値電圧Vt1を超える場合には有機EL素子31に電流が流れて該有機EL素子31が発光する。その一方で、有機EL素子31の両電極間に印加される電圧が所定の閾値電圧Vt1以下の場合には、調整トランジスタ35に電流が流れて、有機EL素子31に電流が流れず、該有機EL素子31が発光しない。このため、駆動トランジスタ32のゲート電圧Vgを設定するための画像信号の電位(ここではVdata)の振れ幅を抑制することができる。
<その他の変形例>
◎例えば、上記実施形態では、発光素子として有機EL素子1,11,21,31が用いられた構成を示して説明したが、これに限られない。発光素子は、例えば、無機材料で構成された発光ダイオード(LED)など、その他の発光素子であっても構わない。
◎また、第1実施形態および変形例3では、有機EL素子1,31に対して1つの調整トランジスタ5,35が電気的に並列に設けられたが、これに限られない。例えば、有機EL素子1,31に対して、発光時にソースとなる電極とゲートとが電気的に接続された2以上の調整トランジスタが電気的に並列に設けられても良い。
◎また、第2実施形態および変形例2では、第1および第2調整トランジスタ15,16,25,26が電気的に直列に接続された部分が、有機EL素子11,21に対して電気的に並列に設けられたが、これに限られない。発光時にソースとなる電極とゲートとが電気的に接続された1以上の第1調整トランジスタと、発光時にドレインとなる電極とゲートとが電気的に接続された1以上の第2調整トランジスタとが電気的に直列に接続されている部分が、有機EL素子11,21に対して電気的に並列に設けられれば良い。
◎なお、上記第1および第2実施形態、ならびに変形例1〜3で記載した構成については、矛盾しない範囲で適宜組み合わせても良い。