JP2010062162A - 固体高分子形燃料電池発電システムおよび家庭用定置分散電源システム - Google Patents
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Abstract
【課題】
燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる固体高分子形燃料電池発電システムを提供すること。
【解決手段】
制御部50により、電力変換部30の電力検出部が検出する負荷が所定の時間定格負荷でないときに、燃料電池部20を定格負荷に対応した発電モードで所定の時間運転する
【選択図】 図1
燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる固体高分子形燃料電池発電システムを提供すること。
【解決手段】
制御部50により、電力変換部30の電力検出部が検出する負荷が所定の時間定格負荷でないときに、燃料電池部20を定格負荷に対応した発電モードで所定の時間運転する
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体高分子形燃料電池発電システムおよびこの固体高分子形燃料電池発電システムを用いた家庭用定置分散電源システムに関する。
燃料電池は、水素等の燃料ガスと空気又は酸素等の酸化剤ガスとの電気化学反応によって、燃料ガスと酸化剤ガスの有する化学エネルギーを電気エネルギーとして直接発生させる発電システムである。燃料電池は、電解質を間に挟んで水素と反応する燃料極と空気と反応する空気極とから主に構成されており、用途・特性によってリン酸型燃料電池、溶融塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、固体高分子形燃料電池など種々のものがある。これら燃料電池の中で特に、電解質に高分子膜を用いることを特徴とする固体高分子形燃料電池は、出力密度が大きいので電池のコンパクト化を容易にし、かつ低温(約70〜80℃)で作動することができるので電池の起動・停止に伴う性能特性等の劣化も少ないため電池の寿命を長くできる等の長所を有している。このため、自動車等の移動体用電源あるいは業務用及び家庭用の分散電源等として、固体高分子形燃料電池は幅広い用途が期待されている。これらの用途の中で、固体高分子形燃料電池を用いた分散電源システム(例えば、コジェネレーション発電システム)は、固体高分子形燃料電池によって発電された電気エネルギーと、発電時の電気化学反応により発生する熱とを同時に回収してエネルギーを有効活用するシステムである。
この固体高分子形燃料電池を用いた分散電源システムは、システムの使用期間として50,000時間以上が要求されているので、システムの耐久性に影響を与えるシステムの出力電圧の低下や発電効率の低下はできるだけ小さいことが望まれている。この分散電源システムは定格負荷に対して80%〜30%の範囲の負荷(以下、「低負荷」という)で電池を運転する場合が実際には多い。低負荷でこの固体高分子形燃料電池を長時間運転すると負荷に対応した発電を燃料電池は行うので、燃料極と燃料極に隣接する空気極との間に設けたセパレータの内部に水が徐々に溜まってくる。このセパレータ内部の水の滞留は、供給ガス量を負荷に対応して減少させるので、セパレータ内部に設けたガス流路用の溝の水分が供給ガスによって充分な排出ができないため生じるものである。そして、このガス流路用の溝に水分が溜まると、ガスの流れが不均一になることから電極に供給されるガスの分布が不均一になって、出力電圧の不規則な変動や出力電圧の低下等を招くので、長期間連続的に発電をする分散電源システムにとっては発電を安定して行うことができないこととなり問題になっていた。
さらに、低負荷でこの固体高分子形燃料電池を長時間運転すると、低負荷に対応して燃料ガスの水素供給量を少なくするので、微量の空気又は酸素が空気極から固体高分子膜を通過(ガスクロス)して燃料極に混入する。この混入した微量の空気又は酸素は、燃料極の電極触媒を酸化して電極触媒表面に局部電池を作り、酸化皮膜形成と電極触媒の凝集を招く原因となる。特に、この酸化皮膜に覆われた表面では、反応は不活性なので、電極触媒の性能が低下して出力電圧等の電池性能の低下が起こる。このことは、安定した発電を長期間連続運転する分散電源システムにとっては発電を安定して行うことができないこととなり問題になっていた。このため、電極性能が低下してシステムの出力電圧が低下した場合における電池性能の回復を図る方法が要望されていた。
そこで近年、固体高分子形燃料電池の長期間連続運転において、セパレータなどの部材から溶出する金属イオンや汚染物質が、固体高分子形燃料電池の内部に蓄積して固体高分子形燃料電池の性能を低下させて固体高分子形燃料電池の耐久性を損ねていた場合の回復方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1は、性能が低下した固体高分子形燃料電池に対して、高電流密度で負荷をかける、通電方向を逆転させる、または、pHが7以下の酸性水をガス流路に通水して洗浄をすることによって、性能が低下した固体高分子形燃料電池の特性を回復する方法である。
しかし、この特許文献1の固体高分子形燃料電池の特性を回復する方法は、固体高分子形燃料電池を連続運転しているときに電池の性能が低下した場合に、
a)高電流密度で負荷をかける、
b)通電方向を逆転させる、
または、
c)pHが7以下の酸性水をガス流路に通水して洗浄をする、
というものである。
a)高電流密度で負荷をかける、
b)通電方向を逆転させる、
または、
c)pHが7以下の酸性水をガス流路に通水して洗浄をする、
というものである。
このため、この方法により電池性能を回復するには大電流を電池に一時的に流すか、あるいは電池の運転を一時的に停止しなければならないので、長期間連続的に安定した運転を行う分散電源システムにとっては、使い勝手の悪い操作であるという問題を有している。
また、この特許文献1の固体高分子形燃料電池の特性を回復する方法は、長期間の低負荷運転によるセパレータ内部の水の滞留、あるいは燃料極の電極触媒の酸化による性能低下によって電池の出力電圧等の性能が低下するといった上記問題の解決を依然として残している。
本発明の目的は、燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる固体高分子形燃料電池発電システムと、この固体高分子形燃料電池発電システムを用いた家庭用定置分散電源システムとを提供することにある。
請求項1に記載の本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、高分子電解質膜と、その高分子電解質膜を挟んで設けた燃料極および空気極と、その燃料極の外側に設けた燃料ガスを供給排出する流路を有する第1のセパレータと、その空気極の外側に設けた空気を供給排出する流路を有する第2のセパレータとによって構成された単電池を積層した燃料電池スタックを備えた燃料電池部と,
前記燃料電池部に燃料ガスを供給する水素製造装置部と,
前記燃料電池部に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と,
前記燃料電池部から発電された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換部と,
前記燃料電池部から発生した熱を回収する熱回収部と,
前記燃料電池部の電池電圧を検出する電圧検出部と,
前記電力変換部が供給する負荷を検出する負荷検出部と,
前記燃料電池部、前記水素製造装置部、前記酸化剤ガス供給部、前記電力変換部、及び、前記熱回収部を制御する制御部とを備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷が所定の時間定格負荷でないときに、前記燃料電池部に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を定格負荷の発電モードに対応した供給量の100〜200%の比率で供給し、かつ前記燃料電池部を所定の時間定格負荷に対応した発電モードで運転する、又は、前記電圧検出部で検出された電池電圧の変動が所定の電圧以上のとき、もしくは前記電圧検出部で検出された電池電圧が所定の電圧以下のときに前記燃料電池部に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を定格負荷の発電モードに対応した供給量の100〜200%の比率で供給するように制御する機能を有することを特徴とする。
前記燃料電池部に燃料ガスを供給する水素製造装置部と,
前記燃料電池部に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と,
前記燃料電池部から発電された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換部と,
前記燃料電池部から発生した熱を回収する熱回収部と,
前記燃料電池部の電池電圧を検出する電圧検出部と,
前記電力変換部が供給する負荷を検出する負荷検出部と,
前記燃料電池部、前記水素製造装置部、前記酸化剤ガス供給部、前記電力変換部、及び、前記熱回収部を制御する制御部とを備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷が所定の時間定格負荷でないときに、前記燃料電池部に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を定格負荷の発電モードに対応した供給量の100〜200%の比率で供給し、かつ前記燃料電池部を所定の時間定格負荷に対応した発電モードで運転する、又は、前記電圧検出部で検出された電池電圧の変動が所定の電圧以上のとき、もしくは前記電圧検出部で検出された電池電圧が所定の電圧以下のときに前記燃料電池部に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を定格負荷の発電モードに対応した供給量の100〜200%の比率で供給するように制御する機能を有することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて,
前記電力変換部に充放電可能な2次電池を備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記2次電池に充電し、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が不足なときに、その不足電力を前記2次電池から放電するように制御する機能を有することを特徴とする。
前記電力変換部に充放電可能な2次電池を備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記2次電池に充電し、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が不足なときに、その不足電力を前記2次電池から放電するように制御する機能を有することを特徴とする。
請求項3に記載の本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて,
前記電力変換部に充放電可能なキャパシタを備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記キャパシタに充電し、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が不足なときに、その不足電力を前記キャパシタから放電するように制御する機能を有することを特徴とする。
前記電力変換部に充放電可能なキャパシタを備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記キャパシタに充電し、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が不足なときに、その不足電力を前記キャパシタから放電するように制御する機能を有することを特徴とする。
請求項4に記載の本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて,
前記熱回収部に電熱手段を備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記電熱手段によって熱に変換して熱回収するように制御する機能を有することを特徴とする。
前記熱回収部に電熱手段を備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記電熱手段によって熱に変換して熱回収するように制御する機能を有することを特徴とする。
請求項5に記載の本発明に係る家庭用定置分散電源システムは、請求項1,2,3又は4に記載の固体高分子形燃料電池発電システムを構成の一部として用いていることを特徴とする。
。
。
請求項1に記載の発明によれば、燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる。
請求項2に記載の発明によれば、燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる。
請求項3に記載の発明によれば、燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる。
請求項4に記載の発明によれば、燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる。
請求項5に記載の発明によれば、燃料電池の発電を停止することなく燃料電池をリフレッシュして、安定した電池性能を長期間維持することができる。
以下、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの実施形態について、詳しく説明する。
図1には、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの構成図が示されている。
図1において、固体高分子形燃料電池発電システム1は、水素製造装置部10、燃料電池部20、電力変換部30、貯湯/給湯部40、制御部50、および酸化剤ガス供給部60から主に構成されている。
水素製造装置部10は、原燃料の都市ガス、LPG,天然ガス、あるいは灯油、ガソリン、メタノールなどの種々の炭化水素系燃料を改質器13の改質反応によって水素を生成し、この水素を燃料電池部20の燃料用に供給するものである。燃料電池部20は、燃料電池部20の燃料電池セルスタック200によって、空気とこの水素製造装置部10から供給された燃料の水素との電気化学反応によって発電するものである。電力変換部30は、燃料電池部20の発電により得られた直流電力をチョッパで昇圧し、その昇圧された直流電力を交流出力に変換するインバータなどから構成されるパワーコンディショナ31と、充放電可能な2次電池又はキャパシタ等の電力貯蔵手段32とから構成されている。貯湯/給湯部40は、水素製造装置部10または燃料電池部20の排熱を温水として貯湯槽41に貯湯し、貯湯された温水を家庭内等のユーザに給湯するものである。なお、貯湯槽41の内部には余剰の発電電力を熱エネルギーとして回収できる電熱器を設けてもよい。制御部50は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路によって構成され、CPUによって信号処理する信号処理手段51、ROMあるいはRAM等のメモリによって記憶する記憶手段52、各種信号を入出力する入出力ポート(図示しない)などを有するものである。制御部50は、固体高分子形燃料電池発電システム1全体を制御するもので、電力変換部30の制御と、この高分子形燃料電池発電システム1に要求される負荷に対応した発電を行うための水素製造装置部10、燃料電池部20、および酸化剤ガス供給部60の運転の制御と、貯湯/給湯部40の運転制御と、空気ブロアや水ポンプなどの補機(図示しない)の制御とをマイクロコンピュータ等を利用して行うものである。酸化剤ガス供給部60は、空気等の酸化剤ガスを空気ブロワ−によって燃料電池部20に供給するものである。
次に、本発明の高分子形燃料電池発電システム1の実施形態ついて、図2に示すガスの流れに基づいてさらに詳しく説明する。
水素製造装置部10に供給される都市ガス、LPG,天然ガス、あるいは灯油、ガソリン、メタノールなどの種々の炭化水素系燃料である原燃料は、まず、水素製造装置部10の脱硫器11で硫黄成分を触媒によって除去する。この硫黄成分は、原燃料に付臭材として含有されているものであり、改質器13の触媒性能の低下をもたらすので有害なものである。次に、この硫黄成分が除去された原燃料は気化器12で添加された水と共に気化・昇温され、改質器13へ送られる。
改質器13へ送られた原燃料と水蒸気の混合ガスは、改質器13において改質反応に供されて水素リッチガス(改質ガスともいうが、以下、「燃料ガス」という)を生成する。ここで、改質器13には、改質用燃料の種類に適合した改質反応用触媒が備えられている。改質器13の内部温度は、バーナ部16からの供給熱量を制御して改質反応に適した温度に保持される。改質器13の加熱源は、バーナ部16により供給される熱によるものであり、バーナ部16に供給される燃料は、水素製造装置部10に供給される原燃料や燃料電池部20に供給されて反応に用いた燃料ガスのオフガス(以下、「残燃料ガス」という)が用いられる。
改質器13で進行する改質反応は、水蒸気改質方式や部分酸化方式、あるいは両者を組み合わせたオートサーマル方式など種々の態様方式を選択することができ、改質器13に備える触媒は、上記の態様方式から選択された改質反応に応じたものを選択して用いることになる。
改質器13で生成された燃料ガスは、CO変成器14(COシフト反応器ともいう)に備えた触媒で燃料電池に有害な一酸化炭素(CO)がシフト反応によって除去される。シフト反応は、燃料ガス中の一酸化炭素と水蒸気から二酸化炭素(CO2)と水素ガスを生じる反応であり、この反応によって燃料ガス中の一酸化炭素濃度を1%程度に低減することができる。
CO変成器14を出た燃料ガスは、CO除去器15に備えた触媒でさらに一酸化炭素が選択酸化反応によって除去される。選択酸化反応は、燃料ガス中の水素ガスに優先して一酸化炭素を選択酸化する反応であり、この反応によって一酸化炭素濃度を10ppm以下に低減することができ、燃料電池の触媒性能の低下防止が図れるようになる。
CO除去器15を出た燃料ガスは、制御部50により負荷に対応した設定量に制御されて燃料電池分部20の燃料極(アノードともいう)203(a)へ供給される。同様に、酸化剤ガス供給部60のブロア(図示しない)から供給される圧縮空気は、制御部50により負荷に対応した設定量に制御されて燃料電池20の空気極(カソードともいう)203−bに供給される。燃料電池部20は、これら供給された燃料ガス及び空気を連続的に使用することにより、電気化学反応によって発生した起電力に基づいて連続的に発電することができるようになる。
燃料電池部20の燃料極に供給され反応した燃料ガスの残燃料ガスは、オフガスとして水素製造装置部10のバーナ部16へ供給され、バーナ部16で燃焼される。燃焼後の排ガスは、排熱回収装置(図示しない)へ供給されて、熱回収後は大気中に排気される。燃料電池部20の空気極203−bに供給された空気の残りは、そのままオフガスとして大気中に排気されるか、あるいは残燃料ガスと同様に排熱回収装置へ供給されて熱回収後大気中に排気される。
図3は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1に用いる燃料電池部20の燃料電池の基本原理や構造を説明するための構成図である。図3(a)に燃料電池部20の燃料電池セルスタック200の構成を示し、図3(b)に燃料電池セルスタック200燃料電池部20の最小構成単位である単セル(単電池)の構成を示している。この燃料電池セルスタック200は、目的とする電力を得るために単セル201を複数積層(スタック)したものである。単セル201は、図3(b)の拡大図に示すように固体高分子電解質膜202と燃料極203−aと、空気極203−bおよび第1のセパレータ204−aと第2のセパレータ204−bを基本構成としている。特に、固体高分子電解質膜202の両面に燃料極203−aと空気極203−bを一体型に接合した膜−電極接合体(Membrane Electrode Assembly,以下「MEA」という)を基本構造として用いていることが特徴である。
この固体高分子電解質膜202は、主にナフィオン(デュポン社製)と呼ばれるフッ素樹脂系のイオン交換樹脂膜が用いられ、プロトン(水素イオン)導電性(プロトンの移動によって導電性が得られる)やガス分離能(燃料ガスや酸化剤ガス(空気)が電解質を通って互に対極側へ移動するのを防止する)を備えた厚さ数十μmの非常に薄い膜である。そのためMEAを用いた単セル201の厚さを薄くすることができ、燃料電池セルスタック200のサイズをコンパクトにすることができる。なお、プロトンは、水を伴って固体高分子電解質膜202中を移動するため、水が十分に存在しないとプロトンの移動が妨げられ導電性が低下してしまう(燃料電池の内部抵抗が大きくなる)。そのため、固体高分子電解質膜202中に水を十分確保する水分管理が非常に重要であり、燃料ガスや酸化剤ガス(空気)を適度な温度と水分で加湿して燃料電池セルスタック200に供給する必要がある。
この固体高分子電解質膜202は、主にナフィオン(デュポン社製)と呼ばれるフッ素樹脂系のイオン交換樹脂膜が用いられ、プロトン(水素イオン)導電性(プロトンの移動によって導電性が得られる)やガス分離能(燃料ガスや酸化剤ガス(空気)が電解質を通って互に対極側へ移動するのを防止する)を備えた厚さ数十μmの非常に薄い膜である。そのためMEAを用いた単セル201の厚さを薄くすることができ、燃料電池セルスタック200のサイズをコンパクトにすることができる。なお、プロトンは、水を伴って固体高分子電解質膜202中を移動するため、水が十分に存在しないとプロトンの移動が妨げられ導電性が低下してしまう(燃料電池の内部抵抗が大きくなる)。そのため、固体高分子電解質膜202中に水を十分確保する水分管理が非常に重要であり、燃料ガスや酸化剤ガス(空気)を適度な温度と水分で加湿して燃料電池セルスタック200に供給する必要がある。
燃料極203−aは、電極触媒層205−aとガス拡散層206−aとから構成されている。空気極203−bは、電極触媒層205−bとガス拡散層206−bとから構成されている。なお、このように構成された燃料極203−aと空気極203−bはガス拡散電極ともいわれる。触媒層205−aおよび205−bは、この単セル201の作動温度が約70〜80℃と低いので、電気化学反応(発電)の迅速化を図るために用いられている。この触媒層205−aおよび205−bは、微粒子状の白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、金、銀等の貴金属およびそれらの合金を触媒としてカーボンクロス、カーボンフェルト、カーボンペーパ等の導電性の炭素材料をベースにしたものの上に分散担持して形成している。ガス拡散層206−aは第1のセパレータ204−aを介して供給された燃料ガスを触媒層205−aに導くために多孔質体のシート状の構造をしており、カーボンクロス、カーボンフェルト、カーボンペーパ等の導電性の炭素材料をベースにしたものを用いている。同様に、ガス拡散層206−bは第2のセパレータ204−bを介して供給された空気を触媒層205−bに導くために多孔質体のシート状の構造をしており、カーボンクロス、カーボンフェルト、カーボンペーパ等の導電性の炭素材料をベースにしたものを用いている。
セパレータ204は、燃料電池セルスタック200で発電するのに必要な燃料ガスと空気を流すための流路として用いられている。第1のセパレータ204−aは燃料極に対向する一方の面側に燃料ガスを供給・排出できる溝を形成している。第2のセパレータ204−bは空気極に対向する他方の面側に空気を供給・排出できる溝を形成している。この第1のセパレータ204−aと第2のセパレータ204−bは共に、ガス不透過性の導電材料としてカーボンを圧縮した緻密なカーボン等の導電材料を用いている。なお、必要に応じてこの第1のセパレータ204−aと第2のセパレータ204−bのガスを供給・排出できる溝を形成していない面同士を接合した一体型のものを使用することができる。
冷却水用セパレータ207は、燃料電池セルスタック200を冷却するのに必要な冷却水を流すための流路として用いられる。燃料電池セルスタック200を冷却する目的は、この燃料電池の電気化学反応が発電と共に熱も発生するので、固体高分子電解質膜202の熱による劣化の防止と電気化学反応の促進を図るため燃料電池セルスタック200内を適正温度(約70〜80℃)に維持する必要があるからである。
図3(a)に示す燃料電池セルスタック200は、末端に正極(空気極)集電板214と負極(燃料極)集電板215を配置し、この正極集電板214と負極集電板215の外側から絶縁板208を介してエンドプレート210によって加圧し、ガスケット209を介して単セル201を80セル積層したものである。エンドプレート210の固定は、ボルト216、皿バネ217、およびナット218の部品を用いて行う。燃料ガスは、エンドプレート210に設けた燃料ガス配管用コネクタ211により燃料電池セルスタック200内に導入される。導入された燃料ガスは、第1のセパレータ204−aに形成された燃料ガスの供給・排出できる溝を介して燃料極に供給されて反応用ガスとして使われる。そして、反応に使用されなかったガスは第1のセパレータ204−aを介して次の単セルの燃料極に再度供給されて反応用ガスとして使われる。最終的には、燃料ガスは、同様の繰り返しで燃料電池セルスタック200内を流れて反対側のエンドプレート210の燃料ガス配管用コネクタ211よりオフ燃料ガスとして水素製造装置部10のバーナ部16へ供給され、バーナ部16で燃焼される。同様に、空気は、一方のエンドプレート210に設けた空気配管用コネクタ212により燃料電池セルスタック200内に導入され、第2のセパレータ204−bに形成された空気の供給・排出できる溝を介して各単セル201の空気極に順次供給されて反応用ガスとして使われ、オフガスは他方のエンドプレート210に設けた空気配管用コネクタ212により燃料電池セルスタック200から排出される。冷却水は、燃料電池セルスタック200に設けた冷却水配管用コネクタ213により燃料電池セルスタック200内に導入され、冷却水用セパレータ207に形成された冷却水路を介して順次供給されて燃料電池セルスタック200内を冷却して、他方のエンドプレート210に設けた冷却水配管用コネクタ213により燃料電池セルスタック200から排水される。
次に、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1の制御方法について説明する。
一般に、小出力の燃料電池発電システムは、系統連係運転(逆潮流なし)を行っている。負荷の増減に関係なく常に出力一定で運転する方法もあるが、負荷の増減に対して緩やかに自動的に追従する負荷追従運転方式が主流であり、本発明のシステム1も負荷追従運転方式を採用している。負荷の大きさは、電力変換部30に設けた交流電流計等(図示しない)で計測され、この計測された信号が制御部50に入力される。制御部50は、負荷が変動した場合、計測された負荷信号を認識し、記憶手段52に記憶されている予め設定された負荷変化速度で原燃料受入量、改質用水蒸気量、燃焼用空気量、CO除去器供給空気量、燃料電池セルスタック反応空気量等を負荷に見合った量に設定変更する信号を信号処理手段51によって行う。制御部50は、原燃料受入量、改質用水蒸気量、燃焼用空気量、CO除去器供給空気量、燃料電池セルスタック反応空気量の実測値から負荷に対応可能なインバータの出力値を算出し、信号処理手段51によってパワーコンディショナ31のインバータに出力指示を与える。
このため、燃料電池セルスタック200には常にインバータの出力に見合った充分な反応ガス量(燃料ガス量、空気量)が供給されることになり、燃料電池セルスタック200へ原燃料が充分に供給されない場合において、燃料電池セルスタック200は燃料ガス不足、空気(酸素)不足による過度な負担に基づいて大きなダメージを受けることがないように保護されている。このとき、燃料電池セルスタック200の温度は、燃料電池セルスタック200内に設けた温度センサの測定した温度に基づいて、制御部50による冷却水温度と冷却水量等の制御によって予め設定された温度範囲内に管理されている。
次に、実施例を挙げて本発明の特徴について例証するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[実施例1]
図4は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において所定の時間ごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン1を表すフローチャートである。このルーチン1が開始されると、制御部50は、以下の実行ステップによってこのリフレッシュ処理ルーチン1を行う。
図4は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において所定の時間ごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン1を表すフローチャートである。このルーチン1が開始されると、制御部50は、以下の実行ステップによってこのリフレッシュ処理ルーチン1を行う。
すなわち、まず電力変換部30に設けた交流電流計が検出したこのシステム1の負荷を読み込む(ステップS11)。次に、このステップS11で読み込んだ負荷が定格負荷の80%〜30%(これを「低負荷」という)になっているか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12において、このシステム1の負荷を低負荷と判断した場合には、この判断と同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS13)。ステップS13でカウントされた時間が1時間に到達したか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14においてカウントした時間が1時間と判断した場合には、このシステム1の負荷を強制的に定格負荷とする定格負荷モードの信号を信号処理手段によって水素製造装置部10及び酸化剤ガス供給部60に同時に出力する(ステップS15)。ステップS15において信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS16)。ステップS15でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する(ステップS17)。ステップS17において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン1を終了する。ステップS12において、このシステム1の負荷が低負荷になっていないと判断した場合には、ステップS11に戻ってシステム1の負荷を再び読み込む。また、ステップS14において、カウントされた時間が1時間に到達していないと判断した場合には、ステップS11に戻ってこのカウント時間を再び読み込む。ステップS17において、カウントした時間が10分に到達していないと判断した場合には、ステップS16に戻ってカウントした時間が10分に到達するまで再び読み込む。
次に、上記リフレッシュ処理ルーチン1の実施例と比較例を示す。図5は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1の運転スタート後350時間における燃料電池セルスタックの出力電圧と負荷の関係を示すグラフである。図6は、比較例として固体高分子形燃料電池発電システム1の運転スタート後350時間で同じリフレッシュ処理ルーチン1を初めて行ったものである。図5と図6のグラフの縦軸は燃料電池セルスタックの出力電圧を示し、横軸は上記リフレッシュ処理ルーチン1に従って行った場合の時間を示している。具体的には、リフレッシュ処理ルーチン1として定格負荷に対して50%の負荷を20分間、その後定格負荷に対して30%の負荷を10分間行うことを2度繰り返した後に、燃料電池セルスタック200の運転を定格負荷モードに強制的に設定して定格負荷に対応したガス量を10分間燃料極203−aおよび空気極203−bに流したものである。この図5の結果を、図6と比較すると、図5に示す出力電圧が安定していることがわかる。すなわち、図5は、このシステムのスタート後強制的にリフレッシュ処理ルーチン1を行っているので、セパレータ内部の水の滞留が少ないために出力電圧の低下がほとんど見られずにほぼ一定であることを示している。一方、図6は、燃料電池セルスタックが低負荷に対応した発電量に基づいた運転を長時間した結果、セパレータの内部に水が溜まり、燃料極中の燃料ガスの流れと空気極中の空気の流れが共に不均一になって出力電圧が低下したので、リフレッシュ処理ルーチン1を行っても一度低下した出力電圧は初期の出力電圧レベルまでに再び回復することができないことを示している(破線部分が出力電圧の変化の傾向を表している)。
このように、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、低負荷の運転を長期間行っても、このシステムのスタート後から強制的にリフレッシュ処理を行うことによってセパレータの内部に水が溜まることを防いでいる。そのため、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、燃料極中の燃料ガスの流れと空気極中の空気の流れが共に不均一にならないので、出力電圧をほとんど低下することなく、安定した運転を長期間行うことができる。
[実施例2]
図7は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において所定の時間ごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン2を表すフローチャートである。このルーチン2は、上記図7に示すフローチャートのステップS25とステップS27の間に設けたステップS26を除いたステップS21〜ステップS25およびステップS26〜ステップS28と、リフレッシュ処理ルーチン1のステップS11〜ステップS17とは共通する。そこで、このリフレッシュ処理ルーチン1と共通する実行ステップの説明を省いて、制御部50によるこのリフレッシュ処理ルーチン2の実行をここでは説明する。
図7は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において所定の時間ごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン2を表すフローチャートである。このルーチン2は、上記図7に示すフローチャートのステップS25とステップS27の間に設けたステップS26を除いたステップS21〜ステップS25およびステップS26〜ステップS28と、リフレッシュ処理ルーチン1のステップS11〜ステップS17とは共通する。そこで、このリフレッシュ処理ルーチン1と共通する実行ステップの説明を省いて、制御部50によるこのリフレッシュ処理ルーチン2の実行をここでは説明する。
すなわち、このステップS26は、ステップS25で定格負荷モードに設定された後、燃料電池部20に供給する燃料ガス量と空気量を定格負荷の100〜200%の範囲、好ましくは130〜170%の範囲に強制的に設定した信号を水素製造装置部10および酸化剤ガス供給部60に出力する。この場合、供給する燃料ガス量と空気量が定格負荷の100%より小さいとセパレータ内の水分除去を効果的に行うことができない。一方、供給する燃料ガス量と空気量が定格負荷の200%より大きいと、セパレータ内の水分除去の効果に対して過剰な供給となるので、特に燃料ガスの利用効率を悪化する。ステップS27において、この設定されたガス量の信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする。そして、次のステップS28において、ステップS27でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する。ステップS28において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン2を終了する。
次に、上記リフレッシュ処理ルーチン2の実施例と比較例を示す。図8の実線部分(8−aで示す線)は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後750時間における燃料電池セルスタックの出力電圧と負荷の関係を示すグラフである。図8の破線部分(8−bで示す線)は、比較例として固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後750時間で同じリフレッシュ処理ルーチン2を初めて行ったものである。図8のグラフの縦軸は燃料電池セルスタックの出力電圧を示し、横軸は上記リフレッシュ処理ルーチン2に従って行った場合の時間を示している。具体的には、リフレッシュ処理ルーチン2として定格負荷に対して50%の負荷を20分間、その後定格負荷に対して30%の負荷を10分間行うことを2度繰り返した後に、燃料電池セルスタック200の運転を定格負荷モードに強制的に設定して定格負荷の150%の燃料ガス量と空気量を10分間燃料極202に流したものである。
この図8の実線部に示す結果を、固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後750時間で同じリフレッシュ処理ルーチン2を初めて行ったもの(図8の破線部)と比較すると出力電圧が極めて安定していることがわかる。すなわち、図8の破線部は、燃料電池セルスタックが低負荷に対応した発電量に基づいた運転を長時間した結果、セパレータの内部に水が溜まり、燃料極中の燃料ガスの流れと空気極中の空気の流れが共に不均一になって出力電圧が低下したので、リフレッシュ処理ルーチン2を行ったが、もはや一度低下した出力電圧を初期の出力電圧レベルまで再び回復することができないことを示している。一方、図8の実線部は、このシステムのスタート後から強制的にリフレッシュ処理ルーチン2を行っているので、セパレータ内部の水の滞留が少ないために出力電圧の低下がほとんど見られないことを示している。
このように、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、低負荷の運転を長期間行っても、このシステムのスタート後から強制的にリフレッシュ処理を行うことによってセパレータの内部に水が溜まることを一層確実に防いでいる。そのため、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、燃料極中の燃料ガスの流れと空気極中の空気の流れが共に不均一にならないので、出力電圧をほとんど低下することなく、安定した運転を長期間行うことができる。
[実施例3]
図9は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において所定の電池電圧の変動ごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン3を表すフローチャートである。このルーチン3が開始されると、制御部50は、以下の実行ステップによってこのリフレッシュ処理ルーチン3を行う。すなわち、まず燃料電池部20に設けた電圧計が検出したこのシステム1の燃料電池セルスタック200の出力電圧を読み込む(ステップS31)、次に電圧計からの検出信号に基づいてこの燃料電池セルスタック200の出力電圧の変動が5V以上になっているか否かを判断する(ステップS32)。この場合の出力電圧の変動とは定格負荷における出力電圧を初期の定格負荷における出力電圧(60V)を基準に比較した電圧差をいう。ステップS32において、この燃料電池セルスタック200の出力電圧の変動が5V以上と判断された場合には、制御部50は、燃料電池部20に供給するガス量を定格負荷の100〜200%の範囲、好ましくは130〜170%の範囲に強制的に設定した信号を信号処理手段によって水素製造装置部10および酸化剤ガス供給部60に同時に出力する(ステップS33)。ステップS33において信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS34)。次に、ステップS34でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する(ステップS35)。ステップS35において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン3を終了する。
図9は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において所定の電池電圧の変動ごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン3を表すフローチャートである。このルーチン3が開始されると、制御部50は、以下の実行ステップによってこのリフレッシュ処理ルーチン3を行う。すなわち、まず燃料電池部20に設けた電圧計が検出したこのシステム1の燃料電池セルスタック200の出力電圧を読み込む(ステップS31)、次に電圧計からの検出信号に基づいてこの燃料電池セルスタック200の出力電圧の変動が5V以上になっているか否かを判断する(ステップS32)。この場合の出力電圧の変動とは定格負荷における出力電圧を初期の定格負荷における出力電圧(60V)を基準に比較した電圧差をいう。ステップS32において、この燃料電池セルスタック200の出力電圧の変動が5V以上と判断された場合には、制御部50は、燃料電池部20に供給するガス量を定格負荷の100〜200%の範囲、好ましくは130〜170%の範囲に強制的に設定した信号を信号処理手段によって水素製造装置部10および酸化剤ガス供給部60に同時に出力する(ステップS33)。ステップS33において信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS34)。次に、ステップS34でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する(ステップS35)。ステップS35において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン3を終了する。
ステップS32において、この燃料電池セルスタック200の出力電圧の変動が5V以上と判断されなかった場合には、この燃料電池セルスタック200の出力電圧を再度ステップS31で読み込む。ステップS35において、カウントした時間が10分に到達していないと判断した場合には、ステップS34に戻ってカウントした時間が10分に到達するまで再び読み込む。
次に、上記リフレッシュ処理ルーチン3の実施例と比較例を示す。図10の実線部分(10−aで示す線)は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間における燃料電池セルスタックの出力電圧と負荷の関係を示すグラフである。図10の破線部分(10−bで示す線)は、比較例として固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間で同じリフレッシュ処理ルーチン2を初めて行ったものである。図10のグラフの縦軸は燃料電池セルスタックの出力電圧を示し、横軸は上記リフレッシュ処理ルーチン3に従って行った場合の時間を示している。具体的には、リフレッシュ処理ルーチン3として燃料電池セルスタック200の出力電圧の変動が5V以上と判断された場合には、燃料電池セルスタック200に強制的に定格負荷の150%の燃料ガス量と空気量を10分間燃料電池部20に流したものである。この図10の実線部分の結果を、固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間定格負荷の50%で運転して同じリフレッシュ処理ルーチン3を初めて行ったもの(図10の破線部)と比較すると出力電圧が安定していることがわかる。すなわち、図10の破線部分は、燃料電池セルスタックが低負荷に対応した発電量に基づいた運転を長時間した結果、セパレータ内部に水が溜まって燃料極中の燃料ガスと空気極中の空気の流れが共に不均一になっているので、回復した出力電圧は短時間で再び低下してしまうことを示している。つまり、リフレッシュ処理ルーチン3を行っても、セパレータの内部に滞留した水を除去するのが難しいため、回復した出力電圧は短時間で再び低下してしまうことになる。一方、図10の実線部分は、このシステムのスタート後強制的にリフレッシュ処理ルーチン3を行っていることによって、低負荷運転を連続的に行ったにもかかわらずセパレータ内部の水の滞留とが少ないので、出力電圧の低下がほとんど見られないことを示している。
このように、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、低負荷の運転を長期間行っても、このシステムのスタート後から強制的にリフレッシュ処理を行うことによってセパレータの内部に水が溜まることを防いでいる。そのため、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、燃料極中の燃料ガスと空気極中の空気の流れが共に不均一な流れとなることを防止することができるので、出力電圧をほとんど低下することなく、安定した運転を長期間行うことができる。
[実施例4]
図11は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において電池電圧が所定の電圧以下に低下するごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン4を表すフローチャートである。このルーチン4が開始されると、制御部50は、燃料電池部20に設けた電圧計が検出したこのシステム1の燃料電池セルスタック200の出力電圧を読み込む(ステップS41)、次に電圧計からの検出信号に基づいてこの燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下になっているか否かを判断する(ステップS42)。ステップS42において、この燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下と判断された場合には、制御部50は、燃料極202に供給する燃料ガスの供給量を100〜200%の範囲、好ましくは130〜170%の範囲に設定した信号を水素製造装置部10に出力する(ステップS43)。ステップS43において信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS44)。次に、ステップS44でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する(ステップS45)。ステップS45において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン4を終了する。ステップS42において、この燃料電池セルスタック200の出力電圧が56V以下と判断されなかった場合には、ステップS41に戻って再度この燃料電池セルスタック200の出力電圧を再度読み込む。また、ステップS45において、この設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されていない場合には、ステップS44に戻って再びこの設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されるまで待機する。
図11は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において電池電圧が所定の電圧以下に低下するごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン4を表すフローチャートである。このルーチン4が開始されると、制御部50は、燃料電池部20に設けた電圧計が検出したこのシステム1の燃料電池セルスタック200の出力電圧を読み込む(ステップS41)、次に電圧計からの検出信号に基づいてこの燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下になっているか否かを判断する(ステップS42)。ステップS42において、この燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下と判断された場合には、制御部50は、燃料極202に供給する燃料ガスの供給量を100〜200%の範囲、好ましくは130〜170%の範囲に設定した信号を水素製造装置部10に出力する(ステップS43)。ステップS43において信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS44)。次に、ステップS44でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する(ステップS45)。ステップS45において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン4を終了する。ステップS42において、この燃料電池セルスタック200の出力電圧が56V以下と判断されなかった場合には、ステップS41に戻って再度この燃料電池セルスタック200の出力電圧を再度読み込む。また、ステップS45において、この設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されていない場合には、ステップS44に戻って再びこの設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されるまで待機する。
次に、上記リフレッシュ処理ルーチン4の実施例と比較例を示す。図12の実線部分(12−aで示す線)は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間における燃料電池セルスタックの出力電圧と負荷の関係を示すグラフである。図12の破線部分(12−bで示す線)は、比較例として固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間で同じリフレッシュ処理ルーチン4を初めて行ったものである。図12のグラフの縦軸は燃料電池セルスタックの出力電圧を示し、横軸は上記リフレッシュ処理ルーチン4に従って行った場合の時間を示している。具体的には、リフレッシュ処理ルーチン4として燃料電池セルスタック200の出力電圧が56V以下と判断された場合には、燃料電池セルスタック200に強制的に燃料ガスの水素濃度を130%の濃度に設定して10分間燃料極202に流したものである。この場合、供給する燃料ガスの水素濃度が定格負荷の100%より小さいと電極触媒表面の酸化皮膜の除去を効果的に行うことができない。一方、供給する燃料の水素濃度が定格負荷の200%より大きいと、電極触媒表面の酸化皮膜除去の効果に対して過剰な供給となるので、燃料ガスの利用効率を悪化する。この図12の実線部分の結果を、固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間定格負荷で運転して同じリフレッシュ処理ルーチン4を初めて行ったもの(図12の破線部)と比較すると出力電圧が安定していることがわかる。すなわち、図12の破線部分は、燃料電池セルスタックが長時間運転した結果、クロスオーバして空気極から燃料極に混入した空気による電極触媒の酸化による性能低下によって出力電圧が低下したので、リフレッシュ処理ルーチン4を行ったが、もはや一度低下した出力電圧を初期の出力電圧レベルまで再び回復することができないことを示している。一方、図12の実線部分は、連続的に運転を行ったにもかかわらず、このシステムのスタート後強制的にリフレッシュ処理ルーチン4を行っているので、燃料極の触媒の性能低下が小さいために出力電圧の低下はわずかに見られるだけである。
このように、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、低負荷の運転を長期間行っても、このシステムのスタート後から強制的にリフレッシュ処理を行うことによって燃料極の触媒性能が低下することを防いでいる。そのため、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、燃料極の触媒性能の維持によって、出力電圧をほとんど低下することなく、安定した運転を長期間行うことができる。
[実施例5]
図13は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において電池電圧が所定の電圧以下に低下するごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン5を表すフローチャートである。このルーチ5が開始されると、制御部50は、燃料電池部20に設けた電圧計が検出したこのシステム1の燃料電池セルスタック200の出力電圧を読み込む(ステップS51)、次に電圧計からの検出信号に基づいてこの燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下になっているか否かを判断する(ステップS52)。ステップS52において、この燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下と判断された場合には、制御部50は、燃料極202に供給する燃料ガスの水素濃度を100〜200%の範囲、好ましくは100〜150%の範囲に設定した信号を水素製造装置部10に出力する(ステップS53)。ステップS53において信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS54)。次に、ステップS54でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する(ステップS55)。ステップS55において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン5を終了する。ステップS52において、この燃料電池セルスタック200の出力電圧が56V以下と判断されなかった場合には、ステップS51に戻って再度この燃料電池セルスタック200の出力電圧を再度読み込む。また、ステップS55において、この設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されていない場合には、ステップS54に戻って再びこの設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されるまで待機する。
図13は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システム1が起動された後、制御部50において電池電圧が所定の電圧以下に低下するごとに実行されるリフレッシュ処理ルーチン5を表すフローチャートである。このルーチ5が開始されると、制御部50は、燃料電池部20に設けた電圧計が検出したこのシステム1の燃料電池セルスタック200の出力電圧を読み込む(ステップS51)、次に電圧計からの検出信号に基づいてこの燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下になっているか否かを判断する(ステップS52)。ステップS52において、この燃料電池セルスタック200の定格負荷における出力電圧が56V以下と判断された場合には、制御部50は、燃料極202に供給する燃料ガスの水素濃度を100〜200%の範囲、好ましくは100〜150%の範囲に設定した信号を水素製造装置部10に出力する(ステップS53)。ステップS53において信号を出力すると同時にクロックに同期して時間をカウントする(ステップS54)。次に、ステップS54でカウントした時間が10分に到達したか否かを判断する(ステップS55)。ステップS55において、カウントした時間が10分に到達したと判断した場合には、このル−チン5を終了する。ステップS52において、この燃料電池セルスタック200の出力電圧が56V以下と判断されなかった場合には、ステップS51に戻って再度この燃料電池セルスタック200の出力電圧を再度読み込む。また、ステップS55において、この設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されていない場合には、ステップS54に戻って再びこの設定された濃度の燃料ガスが10分以上供給されるまで待機する。
次に、上記リフレッシュ処理ルーチン5の実施例と比較例を示す。図14の実線部分(14−aで示す線)は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間における燃料電池セルスタックの出力電圧と負荷の関係を示すグラフである。図14の破線部分(14−bで示す線)は、比較例として固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後350時間で同じリフレッシュ処理ルーチン5を初めて行ったものである。図14のグラフの縦軸は燃料電池セルスタックの出力電圧を示し、横軸は上記リフレッシュ処理ルーチン5に従って行った場合の時間を示している。具体的には、リフレッシュ処理ルーチン5として燃料電池セルスタック200の出力電圧が56V以下と判断された場合には、燃料電池セルスタック200に強制的に燃料ガスの水素濃度を130%の濃度に設定して10分間燃料極202に流したものである。この場合、供給する燃料ガスの水素濃度が定格負荷の100
一方、供給する燃料の水素濃度が定格負荷の200%より大きいと、電極触媒表面の酸化皮膜除去の効果に対して過剰な供給となるので、燃料ガスの利用効率を悪化する。この図14の実線部分の結果を、固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後750時間定格負荷で運転して同じリフレッシュ処理ルーチン5を初めて行ったもの(図14の破線部)と比較すると出力電圧が安定していることがわかる。すなわち、図14の破線部分は、燃料電池セルスタックが長時間運転した結果、クロスオーバして空気極から燃料極に混入した空気による電極触媒の酸化による性能低下によって出力電圧が低下したので、リフレッシュ処理ルーチン4を行ったが、もはや一度低下した出力電圧を初期の出力電圧レベルまで再び回復することができないことを示している。一方、図14の実線部分は、連続的に運転を行ったにもかかわらず、このシステムのスタート後強制的にリフレッシュ処理ルーチン5を行っているので、燃料極の触媒の性能低下が小さいために出力電圧の低下はわずかに見られるだけである。
一方、供給する燃料の水素濃度が定格負荷の200%より大きいと、電極触媒表面の酸化皮膜除去の効果に対して過剰な供給となるので、燃料ガスの利用効率を悪化する。この図14の実線部分の結果を、固体高分子形燃料電池発電システムの運転スタート後750時間定格負荷で運転して同じリフレッシュ処理ルーチン5を初めて行ったもの(図14の破線部)と比較すると出力電圧が安定していることがわかる。すなわち、図14の破線部分は、燃料電池セルスタックが長時間運転した結果、クロスオーバして空気極から燃料極に混入した空気による電極触媒の酸化による性能低下によって出力電圧が低下したので、リフレッシュ処理ルーチン4を行ったが、もはや一度低下した出力電圧を初期の出力電圧レベルまで再び回復することができないことを示している。一方、図14の実線部分は、連続的に運転を行ったにもかかわらず、このシステムのスタート後強制的にリフレッシュ処理ルーチン5を行っているので、燃料極の触媒の性能低下が小さいために出力電圧の低下はわずかに見られるだけである。
このように、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、低負荷の運転を長期間行っても、このシステムのスタート後から強制的にリフレッシュ処理を行うことによって燃料極の触媒性能が低下することを防いでいる。そのため、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、燃料極の触媒性能の維持によって、出力電圧をほとんど低下することなく、安定した運転を長期間行うことができる。
[他の実施例]
制御部50は、電力変換部30に設けた交流電流計が検出した負荷の信号と、燃料電池部20に設けた電圧計が検出した発電電力の信号とを比較し、発電電力が負荷よりも大きいときには、電力変換部30に設けた電力貯蔵手段32に余剰となった発電電力を充電する信号を出力する。また、制御部50は、負荷が発電電力よりも大きいときは、不足した発電電力をバックアップするために電力貯蔵手段32に放電する信号を出力する。このバックアップ用電力貯蔵手段32は、2次電池またはキャパシタなど電力を充放電することができるものであればよい。2次電池は、鉛蓄電池、ニッケル水素2次電池、ニッケル−カドミウム2次電池、リチウム2次電池等の公知の2次電池を用いることができる。キャパシタは、ウルトラキャパシタ(あるいはスーパーキャパシタ)ともいう大容量電解コンデンサ等の公知のキャパシタを用いることができる。なお、このバックアップ用電力貯蔵手段32は、起動用電源ともなる。
制御部50は、電力変換部30に設けた交流電流計が検出した負荷の信号と、燃料電池部20に設けた電圧計が検出した発電電力の信号とを比較し、発電電力が負荷よりも大きいときには、電力変換部30に設けた電力貯蔵手段32に余剰となった発電電力を充電する信号を出力する。また、制御部50は、負荷が発電電力よりも大きいときは、不足した発電電力をバックアップするために電力貯蔵手段32に放電する信号を出力する。このバックアップ用電力貯蔵手段32は、2次電池またはキャパシタなど電力を充放電することができるものであればよい。2次電池は、鉛蓄電池、ニッケル水素2次電池、ニッケル−カドミウム2次電池、リチウム2次電池等の公知の2次電池を用いることができる。キャパシタは、ウルトラキャパシタ(あるいはスーパーキャパシタ)ともいう大容量電解コンデンサ等の公知のキャパシタを用いることができる。なお、このバックアップ用電力貯蔵手段32は、起動用電源ともなる。
制御部50はまた、電力変換部30に設けた交流電流計が検出した負荷の信号と、燃料電池部20に設けた電圧計が検出した発電電力の信号とを比較し、発電電力が負荷よりも大きいときには、貯湯槽41の内部に設けた電熱器42にこの余剰となった電力を温水加熱用に用いる信号を出力する。電熱器42は、電気エネルギーを熱に変換する抵抗加熱ヒータ等の公知の電熱器であればよい。
「応用例」
図15は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの応用例として、このシステムを家庭用定置型分散電源として用いた場合の例を示す。家庭用定置型分散電源300は、外部から供給された都市ガス等の燃料ガスを家庭用定置型分散電源300に設けられた水素製造装置の改質器で水素ガスに改質して燃料電池に供給し、この燃料と外部から供給された空気を用いて燃料電池で発電する分散電源システムである。燃料電池は電気化学反応による発電のほかに熱を同時に発生することが特徴である。固体高分子形燃料電池の場合、発電時の電池温度が約70〜80℃程度になるように常に維持しているので、上記反応熱と発電に伴う電池内部の抵抗熱を除去するために電池内部に冷却用の水を流して除去している。家庭用定置型分散電源300は、この冷却水で除去した熱を温水にして回収している。
図15は、本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの応用例として、このシステムを家庭用定置型分散電源として用いた場合の例を示す。家庭用定置型分散電源300は、外部から供給された都市ガス等の燃料ガスを家庭用定置型分散電源300に設けられた水素製造装置の改質器で水素ガスに改質して燃料電池に供給し、この燃料と外部から供給された空気を用いて燃料電池で発電する分散電源システムである。燃料電池は電気化学反応による発電のほかに熱を同時に発生することが特徴である。固体高分子形燃料電池の場合、発電時の電池温度が約70〜80℃程度になるように常に維持しているので、上記反応熱と発電に伴う電池内部の抵抗熱を除去するために電池内部に冷却用の水を流して除去している。家庭用定置型分散電源300は、この冷却水で除去した熱を温水にして回収している。
なお、外部から供給する水を燃料電池の冷却に直接使用すると、この水に含まれている鉄や銅などの金属イオンや塩化物イオンなどの不純物によって燃料電池を腐食するなどの悪影響を及ぼす場合がある。このような場合には、熱交換機などの熱交換機能を有する手段によって外部から供給する水を間接的に昇温して温水にすればよい。このように熱回収によって得られた温水は、例えば50〜60℃ぐらいの温水になるので、この温水を貯温槽に蓄えて使用すれば、台所や風呂等の家庭内で使用する温水を給湯器に替わって提供できる。加えて、発電によって得られた電力は、外部からの供給電力と併せて家庭内のさまざまな電気製品の電源として使用されるので、外部からの供給電力を削減できる。もちろん、家庭内の使用電力に対して燃料電池の発電量が多ければ、外部からの電力の供給はいらなくなる。また、燃料電池の発電量または家庭内の使用電力に変動が起きて電力のバランスが崩れた場合には、電力貯蔵手段として設けた2次電池等を用いてこの家庭用定置型分散電源300に及ぼす影響を少なくすることができる。
このように固体高分子形燃料電池発電システムを用いた家庭用定置型分散電源は、電力負荷変動の大きい家庭用分散電源でありながら、燃料電池のリフレッシュ処理を適宜行うことができるので、エネルギー効率の大きいコジェネレーションとして長期的に安定した運転を行うことができる。
1……………………固体高分子形燃料電池発電システム
10…………………水素製造装置部
20…………………燃料電池部
30…………………電力変換部
40…………………貯湯/給湯部
50…………………制御部
60…………………酸化剤ガス供給部
200………………燃料電池セルスタック
201………………燃料電池単セル
300………………家庭用定置型分散電源
10…………………水素製造装置部
20…………………燃料電池部
30…………………電力変換部
40…………………貯湯/給湯部
50…………………制御部
60…………………酸化剤ガス供給部
200………………燃料電池セルスタック
201………………燃料電池単セル
300………………家庭用定置型分散電源
Claims (5)
- 高分子電解質膜と、その高分子電解質膜を挟んで設けた燃料極および空気極と、その燃料極の外側に設けた燃料ガスを供給排出する流路を有する第1のセパレータと、その空気極の外側に設けた空気を供給排出する流路を有する第2のセパレータとによって構成された単電池を積層した燃料電池スタックを備えた燃料電池部と,
前記燃料電池部に燃料ガスを供給する水素製造装置部と,
前記燃料電池部に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と,
前記燃料電池部から発電された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換部と,
前記燃料電池部から発生した熱を回収する熱回収部と,
前記燃料電池部の電池電圧を検出する電圧検出部と,
前記電力変換部が供給する負荷を検出する負荷検出部と,
前記燃料電池部、前記水素製造装置部、前記酸化剤ガス供給部、前記電力変換部、及び、前記熱回収部を制御する制御部とを備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷が所定の時間定格負荷でないときに、前記燃料電池部に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を定格負荷の発電モードに対応した供給量の100〜200%の比率で供給し、かつ前記燃料電池部を所定の時間定格負荷に対応した発電モードで運転する、又は、前記電圧検出部で検出された電池電圧の変動が所定の電圧以上のとき、もしくは前記電圧検出部で検出された電池電圧が所定の電圧以下のときに前記燃料電池部に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を定格負荷の発電モードに対応した供給量の100〜200%の比率で供給するように制御する機能を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。 - 請求項1に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて,
前記電力変換部に充放電可能な2次電池を備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記2次電池に充電し、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が不足なときに、その不足電力を前記2次電池から放電するように制御する機能を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。 - 請求項1に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて,
前記電力変換部に充放電可能なキャパシタを備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記キャパシタに充電し、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が不足なときに、その不足電力を前記キャパシタから放電するように制御する機能を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。 - 請求項1に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて,
前記熱回収部に電熱手段を備え,
前記制御部は、前記負荷検出部が検出する負荷電力に対して前記燃料電池部の発電した電力が過剰なときに、その過剰電力を前記電熱手段によって熱に変換して熱回収するように制御する機能を有することを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。 - 請求項1,2,3又は4に記載の固体高分子形燃料電池発電システムを用いた家庭用定置分散電源システム。
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WO2024071183A1 (ja) * | 2022-09-27 | 2024-04-04 | 富士電機株式会社 | 燃料電池発電装置、燃料電池発電システム、燃料電池システム及び燃料電池ユニットの制御方法 |
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-
2009
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