JP2010061763A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非磁性有機物支持体上に結晶磁気異方性の高い磁性体を含む磁性層を有する磁気記録媒体における記録性を改善すること。
【解決手段】非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体表面の一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を有する磁性体を含む磁性層を有する磁気記録媒体。非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体を含有する塗布液を塗布することにより硬磁性層を形成すること、上記硬磁性層に含まれる硬磁性体表面の少なくとも一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成すること、を含む磁気記録媒体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体およびその製造方法に関するものである。
ビデオテープ、コンピューターテープ、ディスク等として広く用いられている磁気記録媒体では、磁性層に含まれる磁性体量が同じ場合、磁性体の粒子サイズを小さくしていった方が、SNRが高くなるため高密度記録に有利である。
しかし、磁性粒子の粒子サイズを小さくしていくと熱揺らぎのため超常磁性となってしまい、磁気記録媒体に用いることができなくなる。これに対し、結晶磁気異方性が高い材料は、熱安定性に対する高いポテンシャルを有するため熱的安定性に優れる。そこで、熱的安定性に優れる磁性材料として、結晶磁気異方性が高い材料の研究が行われている。例えば、ハードディスク(HD)等においてはCoCr系磁性体にPtを加え、高い結晶磁気異方性を得ており、さらに高い結晶磁気異方性を有する磁性体としてCoPt、FePd、FePt等を用いる検討がなされている。また、高価なPtを含まず安価で高い結晶磁気異方性を有する磁性材料としてSmCo、NdFeB、SmFeN等の希土類元素を含む硬磁性体も知られている(以下、「第1の技術」という)。
しかし、結晶磁気異方性が高い材料は、熱的安定性に優れるものの、スイッチング磁界が増大するため記録に大きな外部磁場が必要となり記録性は低下する。そこで非特許文献1では、非磁性無機物上に気相製膜で形成した硬磁性の磁性層に軟磁性層を交換相互作用が生じるよう積層し、スイッチング磁界を下げる試みがなされている(以下、「第2の技術」という)。
日本応用磁気学会誌29,239-242(2005)
HD用媒体等の金属薄膜磁気記録媒体では、通常、蒸着時の高温に耐え得るガラス基板が支持体として使用されている。これに対し近年、安価な有機物支持体を使用した汎用性に優れた塗布型磁気記録媒体が提案され、ビデオテープ、コンピューターテープ、フレキシブルディスク等として広く用いられている。上記塗布型媒体においては、汎用性を維持する観点から、高価なPtを使用した磁性体を使用することは実用上困難であるため、第1の技術のように希土類元素を含む硬磁性体を使用することが考えられる。しかし、上記の通り、結晶磁気異方性の高い磁性体には記録性の改善という課題がある。
そこで、安価な有機物支持体を使用した磁気記録媒体において、熱的安定性と記録性を両立するために、第2の技術を適用することが考えられる。しかし、第2の技術では、気相製膜時に支持体が高温に晒されるため、ガラス基板に比べ耐熱性に劣る非磁性有機物支持体に適用することは困難である。
そこで本発明の目的は、非磁性有機物支持体上に結晶磁気異方性の高い磁性体を含む磁性層を有する磁気記録媒体における記録性を改善することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、希土類元素を含む硬磁性体表面の一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成することにより、結晶磁気異方性が高く熱的安定性に優れる磁性体の記録性を改善できることを見出した。更に本発明者は、硬磁性体は気相合成時に原子の再配置を起こす必要があるためスパッタ温度がきわめて高温になるのに対し、軟磁性体はスパッタ温度が低いため有機物支持体上でもスパッタ可能であることに着目し、硬磁性体を有機物支持体上で合成するのではなく、予め合成した硬磁性体を塗布して硬磁性層を形成した後、この上に軟磁性体をスパッタ等して硬磁性層に含まれる硬磁性体表面の少なくとも一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成することによって、非磁性有機物支持体上に、熱的安定性と記録性を両立した磁性体を含む磁性層を形成可能であることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体表面の一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を有する磁性体を含む磁性層を有する磁気記録媒体。
[2]前記磁性体のアスペクト比は、1.2〜2の範囲である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記硬磁性体は、希土類元素、遷移金属元素およびホウ素からなる[1]または[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体を含有する塗布液を塗布することにより硬磁性層を形成すること、
上記硬磁性層に含まれる硬磁性体表面の少なくとも一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成すること、
を含む磁気記録媒体の製造方法。
[5]前記軟磁性領域の形成を、硬磁性層上に軟磁性体をスパッタすることにより行う[4]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[6]前記硬磁性体は、希土類元素、遷移金属元素およびホウ素からなる[4]または[5]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
本発明によれば、結晶磁気異方性の高い磁性体を含む磁性層を有する磁気記録媒体における記録性を改善することができる。
[磁気記録媒体]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体表面の一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を有する磁性体を含む磁性層を有する。希土類元素を含む硬磁性体は、結晶磁気異方性が高く熱的安定性に優れるが、高い結晶磁気異方性を有するため保磁力が高く、記録に必要な外部磁場が大きくなるため記録性は低下する。これに対し本発明では、上記硬磁性体表面の一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成することにより、磁性体の保磁力を記録に適した保磁力に制御することが可能となり、結晶磁気異方性が高い磁性材料の記録性を改善することができる。
本発明において「交換結合」とは、交換相互作用によりスピンの向きが揃うように、硬磁性体のスピンと軟磁性領域のスピンとが連動して動くように、あたかも1つの磁性体としてスピンの向きが変わるように結合していることをいう。軟磁性領域が交換結合を生じずに硬磁性体表面に存在している場合、軟磁性領域の有無によって硬磁性体の保磁力は変化しない。したがって、硬磁性体と軟磁性領域が交換結合していることは、軟磁性領域形成により硬磁性体の保磁力が減少することによって確認することができる。また、軟磁性領域が交換結合を生じずに硬磁性体表面に存在している場合、M-Hループ(ヒステリシスループ)は軟磁性体のM-Hループと硬磁性体のM-Hループを足し合わせたものとなるため、軟磁性体の保磁力に相当するところでM-Hループに段が現れる。したがって、硬磁性体と軟磁性領域が交換結合していることは、M-Hループの形状から確認することもできる。
また、本発明において「硬磁性」とは、保磁力が159kA/m以上であることをいい、「軟磁性」とは、保磁力が8kA/m未満であることをいうものとする。
以下、上記磁性体について更に詳細に説明する。
硬磁性体
前記硬磁性体は、結晶磁気異方性が高いため熱的安定性に優れる。硬磁性体の結晶磁気異方性定数は、6×10-1J/cc(6×106erg/cc)以上であることが好ましい。結晶磁気異方性定数が6×10-1J/cc(6×106erg/cc)以上であれば、軟磁性体と交換相互作用を持たせ交換結合させた場合に磁気記録に適した保磁力を維持することができる。一方、前記硬磁性体の結晶磁気異方性定数が、6J/cc(6×107erg/cc)を超えると、軟磁性体と交換結合させた場合においても保磁力が高く記録性に劣ることがあるため、前記硬磁性体の結晶磁気異方性定数は、6J/cc(6×107erg/cc)以下であることが好ましい。
上記硬磁性体の飽和磁化としては、記録性の観点から、5×10-1〜2A・m2/cc(500〜2000emu/cc)が好ましく、8×10-1〜1.8A・m2/cc(800〜1800emu/cc)がより好ましい。形状としては球形、多面体状等のいずれの形状でも構わない。また、上記硬磁性体の粒子サイズ(直径)としては、高密度記録の観点から、3〜20nmであることが好ましく、5〜10nmであることがより好ましい。本発明における「粒子サイズ」は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。また本発明において粒子サイズに関する平均値は、透過型電子顕微鏡で撮影した写真において500個の粒子を無作為に抽出して測定した粒子サイズの平均値とする。
上記好適な結晶磁気異方性定数を有する硬磁性体としては、希土類元素、遷移金属元素および半金属からなる磁性体(以下、「希土類−遷移金属−半金属系磁性体」ともいう)が知られている。
以下、希土類−遷移金属−半金属系磁性体について更に詳細に説明する。
(希土類−遷移金属−半金属系磁性体)
希土類としてはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu等を挙げることができる。中でも、一軸磁気異方性を示すY、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Pr、Nd、Tb、Dyが好ましく、特に、結晶磁気異方性定数が6×10-1J/cc〜6J/cc(6×106erg/cc〜6×107erg/cc)となるY、Ce、Gd、Ho、Nd、Dyがよりいっそう好ましく、Y、Ce、Gd、Ndが特に好ましい。
遷移金属としてはFe、Ni、Coが強磁性体を形成するものとして好ましく用いられる。単独で用いる場合は、結晶磁気異方性、飽和磁化の最も大きくなるFeを好ましく用いることができる。
半金属としてはホウ素、炭素、リン、シリコーン、アルミニウムが挙げられる。この中でホウ素、アルミニウムが好ましく用いられ、ホウ素が最も好ましい。即ち、前記硬磁性体としては、希土類元素、遷移金属元素、およびホウ素からなる磁性体(以下、「希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体」を用いることが好ましい。希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体をはじめとする希土類−遷移金属−半金属系磁性体は、Pt等の高価な貴金属を含まないためコスト面で有利であり、汎用性に優れる磁気記録媒体を作製するために好適に使用することができる。
希土類−遷移金属−半金属系磁性体の組成としては、希土類は10〜15at%であることが好ましく、遷移金属は70〜85at%であることが好ましく、半金属は5〜10at%であることが好ましい。
遷移金属として、異なる遷移金属、例えば、Fe、CoおよびNiを組み合わせて用いる場合、Fe(1-x-y)CoxNiyと表したとき、硬磁性体の保磁力を159kA/m〜638kA/m(2000Oe〜8000Oe)にコントロールすることができ好ましい組成は、x=0〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=0〜25at%の範囲である。
低腐食性の観点からは、x=0〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=10〜25at%の範囲であることが好ましい。
キューリー点が500℃以上で温度特性が優れるとの観点からはx=20〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=0〜25at%の範囲であることが好ましい。
従って、保磁力、腐食性、温度特性の観点からはx=20〜45at%、y=25〜30at%、またはx=45〜50at%、y=10〜25at%の範囲であることが好ましく、x=30〜45at%、y=28〜30at%の範囲であることがより好ましい。
硬磁性体は、例えば気相法または液相法で合成することができる。ただし、結晶磁気異方性が高い磁性体を合成するには高い温度を必要とし、非磁性有機物支持体上で合成することは支持体の耐熱性の観点から通常困難であるため、硬磁性体は、非磁性有機物支持体上に塗布する前に合成すべきである。
希土類−遷移金属−ホウ素系磁性体を得る方法としては、原料金属を高周波溶融炉等で溶解した後、鋳造する方法があるが、当該方法では初晶として遷移金属が多く含まれるものが得られるため、遷移金属を消去するために融点直下での溶体化処理を必要とする。溶体化処理で粒子サイズが大きくなることから、高密度記録に適した微粒子磁性体を得るためには、後述の合成法を用いることが好ましい。
溶融金属を回転ロール上に注ぐ急冷法(溶融合金急冷法)においては、初晶であるFeが発生しないうえに、微粒子状(好ましくは粒子サイズ3〜20nm)の希土類−遷移金属−ホウ素 ナノ結晶を急冷薄帯中に得ることができる。
また、溶融金属を回転ロール上に注ぐ急冷法によりアモルファス合金を作製した後、非酸化性雰囲気(例えば不活性ガス、窒素、真空)で400〜1000℃の熱処理でナノ結晶を析出させる方法においても、微粒子状(好ましくは粒子サイズ3〜20nm)の希土類−遷移金属−ホウ素 ナノ結晶を得ることができる。
合金に対して溶融金属急冷法を用いる場合は、酸化を防止するために、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、具体的にはHe、Ar、N2等を好ましく用いることができる。
溶融金属急冷法においては、冷却速度はロールの回転速度と急冷薄帯の厚みによって決定される。本発明において、急冷直後に急冷薄帯中に希土類−遷移金属−ホウ素ナノ結晶を形成する際のロール回転速度は、10〜25m/sとすることが好ましい。また、急冷により一旦、アモルファス合金を得る場合には、25〜50m/sとすることが好ましい。
急冷薄帯の厚みは10〜100μmとすることが好ましい。上記範囲の厚みとすることができるように、溶融金属を注ぐ量をオリフィス等でコントロールすることが好ましい。
その後、水素を吸脱着させる過程で粒子を微粒子化する方法(HDDR法)を用いて微粒子を得てもよいし、また、さらに気流分散、湿式分散を行い、微粒子を得てもよい。
NaCl水溶液、Na2SO4水溶液に急冷薄帯を浸漬することで、希土類−遷移金属相を溶解除去することができ、これにより希土類−遷移金属−半金属の単結晶を取り出すことができる。水溶液を作製する際の水は、予期せぬ酸化を防ぐために、蒸留水を脱酸素したものを使用することが好ましい。脱酸素された蒸留水は、はAr、N2等の不活性ガスをバブリングにより行う方法、蒸留水を凍結した後、溶解する方法等によって作製することができる。
上記水溶液中のNaCl、Na2SO4の濃度は0.01〜1kmol/m3とすることが好ましく、0.05〜0.5Kmol/m3とすることがより好ましい。
軟磁性領域
次に、上記硬磁性体表面に形成する軟磁性領域(以下、「軟磁性体」ともいう)について説明する。
軟磁性体の結晶磁気異方性定数は、硬磁性体と交換結合し、磁性体の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から小さいほうが好ましく、負の値を取るものを選んでも構わない。ただし、負の結晶磁気異方性定数を有する軟磁性体を硬磁性体と交換結合を生じさせると、磁性体の磁気エネルギーが小さくなってしまうことから、軟磁性体の結晶磁気異方性定数としては、0〜5×10-2J/cc(0〜5×105erg/cc)が好ましく、0〜1×10-2J/cc(0〜1×105erg/cc)がより好ましい。
軟磁性体の飽和磁化は、硬磁性体と交換結合し、磁性体の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点からは大きい方が好ましい。具体的には、1×10-1〜2A・m2/cc(100emu/cc〜2000emu/cc)の範囲であることが好ましく、3×10-1〜1.8A・m2/cc(300〜1800emu/cc)の範囲であることがより好ましい。
軟磁性体としては、Fe、Fe合金、Fe化合物、例えば、鉄、パーマロイ、センダスト、ソフトフェライトが好ましく用いられる。
硬磁性体と軟磁性体
硬磁性体と軟磁性体の間の交換結合エネルギーは、結合した際に磁性体の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から、硬磁性体の結晶磁気異方性定数にあわせ、最適な値に調整することが好ましい。具体的には、軟磁性体としては、硬磁性体の結晶磁気異方性定数の0.1倍〜0.3倍の結晶磁気異方性定数を有するものを用いることが好ましい。
交換結合エネルギーは界面の不純物、歪、結晶構造等で調整することができる。
本発明の磁気記録媒体において、磁性層に含まれる磁性体は、希土類元素を含む硬磁性体表面の一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を有するものである。上記磁性体における硬磁性体と軟磁性領域の体積比は、磁性体の保磁力を磁気記録に適した値に制御する観点から、軟磁性領域の体積が硬磁性体の体積以上であることが好ましく、両者の体積比(硬磁性/軟磁性)は1/1〜1/20であることがより好ましく、1/5〜1/15であることが更に好ましい。
軟磁性領域形成後の磁性体のアスペクト比は、1.4〜5であることが好ましく、1.4〜3であることがより好ましく、1.2〜2であることが更に好ましい。
ここでアスペクト比とは、磁性層中の磁性体の支持体に垂直な方向の長さ/支持体方向の長さの比で定義するものとし、透過型電子顕微鏡で撮影した写真において500個の粒子を無作為に抽出して測定した値の平均値とする。
同じ体積においては、アスペクト比が大きい磁性体は、小さい磁性体に比べ、支持体への投影面積が小さくなる。これは、記録ビット当りの粒子数を増やせることになり、電磁変換特性上有利となる。従来塗布型磁気記録媒体では、針状の磁性体が用いられてきた。針状の磁性体は、面内記録であるため、流動配向によって磁化容易軸(長軸方向)または板径方向が支持体と水平に向くように配向される傾向にあり、上記範囲のアスペクト比を実現することは困難であった。これに対し本発明によれば、硬磁性体に軟磁性体を交換結合させることにより、磁性層中で上記範囲のアスペクト比を示す磁性体を得ることができる。なお、上記範囲のアスペクト比を有する磁性体を得る観点から、軟磁性領域形成前の硬磁性体の長辺/短辺の比は、0.7〜1.5であることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性有機物支持体上に、硬磁性粒子を適宜、結合剤、添加剤、極性溶媒および非極性溶媒と混合し調製した塗布液を塗布し硬磁性層を形成し、その後、硬磁性体に軟磁性体を交換結合させる方法により製造することが好ましい。結晶磁気異方性は、結晶構造に起因するため結晶磁気異方性が高い硬磁性体をスパッタする場合、原子の再配置を起こす必要があるためスパッタ温度は高温となる。そのため、非磁性有機物支持体上で硬磁性体をスパッタすることは、非磁性有機物支持体の耐熱性の点から困難である。したがって本発明の磁気記録媒体は、非磁性有機物支持体上に、予め合成した硬磁性粒子を含む塗布液を塗布して硬磁性層を形成したうえで、該硬磁性層に含まれる硬磁性体に軟磁性体を交換結合させることが好ましい。
軟磁性体を交換結合させる方法は、液相法でも気相法でもよい。気相法としては、硬磁性層上に軟磁性体をスパッタする方法を用いることが好ましい。上記の通り、硬磁性体のスパッタ温度は高温であるのに対し、軟磁性体は磁気異方性が小さく原子の再配置を起こす必要がないため、スパッタ温度は低温である。したがって軟磁性体であれば、有機物支持体上でスパッタすることができる。軟磁性体のスパッタにおける基板温度は、例えば30〜250℃程度であり、好ましくは30℃〜100℃である。スパッタ装置としては、公知の装置を用いることができる。
硬磁性体に軟磁性体を交換結合させるため、硬磁性層塗布液調製前に、ミリング等によって硬磁性粒子に吸着した有機物を除去することが好ましい。これは、軟磁性体を硬磁性体に直接結合させることが交換結合させるために必要だからである。また、硬磁性層中の結合剤および添加剤は、交換結合形成の妨げとなるため、軟磁性体を交換結合させる前に、イオンエッチング等を行うことにより、硬磁性層表面に存在するそれら成分を除去することが好ましい。
非磁性有機物支持体
本発明に用いられる支持体は、非磁性かつ有機物を原料とする支持体であれば特に制限されるべきものではないが、可撓性のものが好ましい。
可撓性の非磁性有機物支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオキサプールなどの公知のフィルムが使用できる。中でも、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。
また、必要に応じて、支持体の磁性層とバック層を塗布する面の表面粗さを変えるため特開平3−224127号公報に記載されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理等を施しておいてもよい。
支持体としてWYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000で測定した中心面平均表面粗さ(Ra)は、通常、8.0nm以下であることが好ましく、4.0nm以下であることがより好ましく、2.0nm以下であることさらに好ましい。これらの支持体は単に中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。
また、表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーの一例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の無機微粒子、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。支持体の最大高さRmaxは1μm以下であることが好ましく、十点平均粗さRzは0.5μm以下であることが好ましく、中心面山高さRpは0.5μm以下であることが好ましく、中心面谷深さRvは0.5μm以下であることが好ましく、中心面面積率Srは10%〜90%であることが好ましく、平均波長λaは5μm〜300μmが好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールできるものであり、0.01μmから1μmの大きさのもの各々を0.1mm2あたり0個から2000個の範囲で制御することができる。
また、支持体のF−5値は好ましくは5〜50kg/mm2(49〜490MPa)である。さらに、支持体の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は5〜100kg/mm2(49〜980MPa)であることが好ましく、弾性率は100〜2000kg/mm2(0.98〜19.6GPa)が好ましい。温度膨張係数は10-4〜10-8℃であることが好ましく、10-5〜10-6/℃であることがより好ましい。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であることが好ましく、10-5/RH%以下であることがより好ましい。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
支持体の厚みは、2〜100μmであることが好ましく、2〜80μmであることがより好ましい。コンピューターテープの場合の支持体は、3.0〜6.5μmであることが好ましく、3.0〜6.0μmであることがより好ましく、4.0〜5.5μmであることがさらに好ましい。
磁性層
磁性層には、前述の磁性体に加えて、任意に結合剤、種々の添加剤等が含有されている。
本発明の磁気記録媒体は、前記磁性層を支持体の片面だけに設けてもよく、両面に設けてもよい。また、潤滑剤の供給源とする観点および支持体の突起を被覆する観点から、支持体と磁性層との間に非磁性層を設けてもよい。
支持体上に非磁性層を形成する場合、上記磁性層(上層または上層磁性層ともいう)は、非磁性層を塗布により形成した後、非磁性層が湿潤状態のうち(W/W)に設けてもよく、または、非磁性層が乾燥した後(W/D)に設けてもよい。生産得率の点から同時、または逐次湿潤塗布が好ましいが、ディスクの場合は乾燥後塗布でも十分に使用できる。
同時または逐次湿潤塗布(W/W)では非磁性層および磁性層を同時に形成できるため、カレンダー工程などの表面処理工程を有効に活用でき、超薄層でも上層の磁性層の表面粗さを良化することができる。
磁性層の厚みは、0.005μm〜0.20μmであることが好ましく、0.05〜0.15μmであることがよりに好ましい。0.005μm〜0.20μmとすることで、再生出力の低下、オーバーライト特性および分解能の劣化を防ぐことができる。
また、硬磁性粒子を単粒子層塗布する態様は、硬磁性層を塗設後に硬磁性粒子に軟磁性体を交換結合させる観点から好ましい。または前述の通り、硬磁性層に結合剤、各種添加剤が含まれている場合には、イオンエッチング等により硬磁性層用面のそれら成分を除去することが好ましい。
カーボンブラック、研磨剤
磁性層には、カーボンブラックを含有させることができる。カーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
カーボンブラックのBET法による比表面積(SBET)は5〜500m2/gであることが好ましく、DBP吸油量は10〜400ml/100gであることが好ましい。平均粒子径は5〜300nmであることが好ましく、10〜250nmであることがより好ましく、20〜200nmであるであることがさらに好ましい。pHは2〜10であることが好ましく、含水率は0.1〜10%であることが好ましく、タップ密度は0.1〜1g/mlであることが好ましい。
上記カーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72;旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35;三菱化成工業社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B;コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN150、50、40、15、RAVEN−MT−P;日本EC社製ケッチェンブラックEC;等が挙げられる。
カーボンブラックは、分散剤などで表面処理し、または樹脂でグラフト化して使用してもよい。また、その表面の一部をグラファイト化したものを使用してもよい。さらに、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。
これらのカーボンブラックは単独、または組合せて使用することができる。カーボンブラックを使用する場合は磁性体(磁性粒子)に対する全質量の0.1〜30%の範囲で使用することが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って、本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは上層の磁性層、下層の非磁性層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば、「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
また、磁性層には研磨剤を含有させることもできる。研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素チタンカーバイド、酸化チタン、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、等の主としてモース硬度6以上の公知の材料を単独または組合せて使用することができる。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90質量%以上であれば効果にかわりはない。
これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜1.0μmであることがより好ましく、0.05〜0.5μmであることがさらに好ましい。
特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組合せて、あるいは単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。研磨剤のタップ密度は0.3〜2g/mlであることが好ましく、含水率は0.1〜5%であることが好ましく、pHは2〜11であることが好ましく、SBETは1〜30m2/gであることが好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが、研磨性が高く好ましい。
研磨剤としては、具体的には、住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT20、HIT−30、HIT−55、HIT60A、HIT70、HIT80、HIT100;レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM;不二見研磨剤社製WA10000;上村工業社製UB20;日本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメックスU1;戸田工業社製TF100、TF140;イビデン社製ベータランダムウルトラファイン;昭和鉱業社製B−3;等が挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
その他添加剤
磁性層および後述の非磁性層には、前述のカーボンブラックおよび研磨剤の他にも、種々の添加剤を含有させることができる。例えば、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果等の少なくとも1つの効果を有するものを適宜使用することができる。
添加剤としては、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また、分岐していてもよい)、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもよい)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもよい)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもよい)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、等が使用できる。
より具体的には、脂肪酸では、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリデシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチルグリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレイル;アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、等が挙げられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリンドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤;環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤;カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤;等も使用できる。
これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純物が含まれてもかまわない。これらの不純物は30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
これらの潤滑剤および界面活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤または界面活性剤の併用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。当該目的としては、(1)非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、(2)沸点、融点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、(3)界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、(4)潤滑剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させる、等考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。一般には、潤滑剤の総量としては、磁性体(磁性粒子)または非磁性粉末に対し、0.1〜50質量%とすることが好ましく、2〜25質量%とすることがより好ましい。
磁性層に使用可能な結合剤としては、磁気記録媒体の結合剤として通常使用される従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を何ら制限なく用いることができる。また、上記結合剤は、非磁性層に使用することもできる。結合剤は、非磁性層、磁性層において、非磁性粉末または強磁性粉末に対し、例えば5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いることができる。
また、本発明で用いられる添加剤のすべて、または、その一部は、磁性塗料製造および非磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわない。例えば、混練工程前に磁性体と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤とによる混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。さらに、目的によってはカレンダー処理を施した後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
非磁性層
本発明の磁気記録媒体は、非磁性有機物支持体上に、前記磁性体を含む磁性層を有するものであり、必要に応じ磁性層と支持体の間に非磁性層を設けることができ、また、適宜バック層や下塗層、保護層等を有する構成とすることができる。
非磁性層は実質的に非磁性であればその構成は制限されるべきものではないが、通常、少なくとも樹脂からなり、好ましくは、粉体、例えば、無機粉末または有機粉末が樹脂中に分散されたものが挙げられる。無機粉末は、好ましくは非磁性粉末であるが、非磁性層が実質的に非磁性である範囲で磁性粉末も使用することができる。
これら非磁性粉末の粒子サイズ(粒径)は、0.005〜2μmの範囲が好ましく、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせ、あるいは単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の粒子サイズは、0.01μm〜0.2μmの範囲である。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径は0.08μm以下が好ましい。針状金属酸化物である場合は、長軸長が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。タップ密度は0.05〜2g/mlであることが好ましく、0.2〜1.5g/mlであることがより好ましい。非磁性粉末の含水率は0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがより好ましく、0.3〜1.5質量%であることがさらに好ましい。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、pHは5.5〜10であることが特に好ましい。
非磁性粉末のSBET(比表面積)は1〜100m2/gであることが好ましく、5〜80m2/gであることがより好ましく、10〜70m2/gであることがさらに好ましい。非磁性粉末の結晶子サイズ(結晶子径)は0.004μm〜1μmが好ましく、0.04μm〜0.1μmが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は5〜100ml/100gであることが好ましく、10〜80ml/100gであることがより好ましく、20〜60ml/100gであることがさらに好ましい。非磁性粉末の比重は1〜12であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでもよい。モース硬度は4以上10以下のものが好ましい。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μmol/m2であることが好ましく、2〜15μmol/m2であることがより好ましく、3〜8μmol/m2であることがさらに好ましい。pHは3〜6の間が好ましい。
非磁性粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物から選択することができる。
無機化合物としては、例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化ケイ素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを単独または組合せて使用できる。特に好ましい非磁性粉末は、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、最も好ましい非磁性粉末は、二酸化チタン、α酸化鉄である。
非磁性粉末の具体的な例(製品名)としては、昭和電工製ナノタイト;住友化学製HIT−100、ZA−G1;戸田工業社製αへマタイトDPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPN−500BX、DBN−SA1、DBN−SA3;石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、αへマタイトE270、E271、E300、E303;チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、αへマタイトα−40;テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD;堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M;同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R;日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25;宇部興産製100A、500A;が挙げられる。
これらの非磁性粉末の表面には、表面処理を施すことによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnO、Y23のいずれか1以上を存在させることが好ましい。分散性を考慮すると、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2であることが好ましく、Al23、SiO2、ZrO2であることが更に好ましい。これらは組合せて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナを存在させた後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性層中にカーボンブラックを混合させて表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。また、非磁性層にカーボンブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。カーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。非磁性層のカーボンブラックは所望する効果によって、以下のような特性を最適化すべきであり、併用することでより効果が得られることがある。
非磁性層のカーボンブラックのSBETは100〜500m2/gであることが好ましく、150〜400m2/gであることがより好ましい。DBP吸油量は20〜400ml/100gであることが好ましく、30〜400ml/100gであることがより好ましい。カーボンブラックの粒子径は5nm〜80nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましく、10〜40nmであることがさらに好ましい。カーボンブラックのpHは2〜10であることが好ましく、含水率は0.1〜10%であることが好ましく、タップ密度は0.1〜1g/mlであることが好ましい。
非磁性層に用いられるカーボンブラックの具体的な例(製品名)としては、キャボット社製BLACKPEARLS2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72;三菱化成工業社製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、MA−230、#4000、#4010;コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250;アクゾー社製ケッチェンブラックEC;等が挙げられる。
カーボンブラックは、分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用してもよく、またその表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。さらに、カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもよい。これらのカーボンブラックは上記無機粉末に対して50質量%を越えない範囲で、かつ、非磁性層の総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組合せて使用することができる。本発明で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
また、非磁性層には有機質粉末を目的に応じて、添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記載されているような方法を使用できる。
非磁性層の厚みは、0.2μm〜5.0μmとすることが好ましく、0.3μm〜3.0μmとすることがより好ましく、1.0μm〜2.5μmとすることがさらに好ましい。
なお、非磁性層は実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば、不純物として、または意図的に少量の磁性体(磁性材料)を含んでいてもよい。「実質的に非磁性」とは残留磁束密度が0.01T以下または保磁力が7.96kA/m(100Oe以下)であることを示し、好ましくは残留磁束密度と保磁力をもたないことを示す。
非磁性層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
支持体と非磁性層または磁性層との間には密着性向上のための下塗層を設けてもかまわない。下塗層の厚みは0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.02〜0.5μmであることがより好ましい。本発明の磁気記録媒体は、支持体両面に非磁性層と磁性層とを設けてなるディスク状媒体であっても、片面のみに設けたテープ状媒体またはディスク状媒体でもよい。この場合、帯電防止やカール補正等の効果を出すために非磁性層、磁性層側と反対側にバック層を設けてもかまわない。バック層の厚みは、0.1〜4μmであることが好ましく、0.3〜2.0μmであることがより好ましい。これらの下塗層、後述するバック層には公知の材料が使用できる。
バック層
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐久性を維持させるために、バック層には、カーボンブラックと無機粉末とが含有されていることが好ましい。
カーボンブラックは、平均粒子径の異なる二種類のものを組合せて使用することが好ましい。この場合、平均粒子径が10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子径が230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを組合せて使用することが好ましい。
一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バック層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保磁力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。
一方、平均粒子径が230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、また、バック層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。しかし、粗粒子状カーボンブラックを単独で用いると、過酷な走行系では、テープ摺動により、バック層からの脱落が生じ易くなり、エラー比率の増大につながる欠点を有しているため、微粒子状カーボンブラックと組み合わせて使用することが好ましい。
微粒子状カーボンブラックの具体的な製品名としては、以下のものを挙げることができる。カッコ内は体積平均粒子径を示す。すなわち、RAVEN2000B(18nm)、RAVEN1500B(17nm)(以上、コロンビアカーボン社製);BP800(17nm)(キャボット社製);PRINNTEX90(14nm)、PRINTEX95(15nm)、PRINTEX85(16nm)、PRINTEX75(17nm)(以上、デグサ社製);#3950(16nm)(三菱化成工業(株)製);等である。
また、粗粒子カーボンブラックの具体的な製品名としては、サーマルブラック(270nm)(カーンカルブ社製);RAVEN MTP(275nm)(コロンビアカーボン社製);を挙げることができる。
バック層において、平均粒子径の異なる二種類のものを使用する場合、平均粒子径が10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、95:5〜85:15の範囲である。
バック層中のカーボンブラック(2種類のものを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合剤100質量部に対して、通常30〜80質量部の範囲であり、好ましくは、45〜65質量部の範囲である。
無機粉末は、硬さの異なる2種類のものを併用することが好ましい。具体的には、モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉末とを使用することが好ましい。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもない。またこの無機粉末の平均粒子径は、30〜50nmの範囲にあることが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末としては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、単独で、あるいは2種以上を組合せて使用することができる。
バック層内の軟質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して10〜140質量部の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、35〜100質量部である。
モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加することにより、バック層の強度が強化され、走行耐久性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化が少なく、強いバック層となる。また、この無機粉末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減する。特に軟質無機粉末と併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特性が向上し、バック層の摩擦係数の安定化も図ることができる。
硬質無機粉末は、その平均粒子サイズが80〜250nm(更に好ましくは、100〜210nm)の範囲にあることが好ましい。
モース硬度が5〜9の硬質無機質粉未としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化クロム(Cr23)を挙げることができる。これらの粉末は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは併用してもよい。これらの内では、α−酸化鉄またはα−アルミナが好ましい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して通常3〜30質量部であり、好ましくは、3〜20質量部である。
バック層に前記軟質無機粉末と硬質無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉末との硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以上、特に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無機粉末とを選択して使用することが好ましい。
バック層には、前記それぞれ特定の平均粒子サイズを有するモース硬度の異なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子サイズの異なる2種類のカーボンブラックとが含有されていることが好ましい。
バック層には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選択して使用できる。バック層において、潤滑剤は、結合剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範囲で添加される。
保護膜等
また、磁性層上に非常に薄い保護膜を形成することで、耐磨耗性を改善し、さらにその保護膜上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、十分な信頼性を有する磁気記録媒体とすることができる。
保護膜の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素(カーボン);等が挙げられるが、特に好ましくは、一般に、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質のカーボンである。
カーボンからなるカーボン保護膜は、非常に薄い膜厚で十分な耐磨耗性を有し、摺動部材に焼き付きを生じ難いため、保護膜の材料として好適である。
カーボン保護膜の形成方法として、ハードディスクにおいては、スパッタリング法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。従って、これらの方法を適用することが好ましい。
中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得られると報告されている(例えば、特開昭61−130487号公報、特開昭63−279426号公報、特開平3−113824号公報等)。
上記カーボン保護膜は、ビッカース硬度で1000kg/mm2以上であることが好ましく、2000kg/mm2以上であることがより好ましい。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導電性であることが好ましい。
そして、カーボン保護膜として、ダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン)膜を使用した場合、この構造はラマン光分光分析によって確認することができる。すなわち、ダイヤモンド状炭素膜を測定した場合には、1520〜1560cm-1にピークが検出されることによって確認することができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、保護膜としての硬度も低下する。
このカーボン保護膜を形成するための炭素原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチレン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用いることが好ましい。また、必要に応じてアルゴンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添加ガスを加えることができる。
カーボン保護膜の膜厚が厚いと、電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足する。従って、膜厚は、2.5〜20nmとすることが好ましく、5〜10nmとすることがより好ましい。
また、この保護膜と基板となる磁性層の密着性を改善するために、あらかじめ磁性層表面を不活性ガスでエッチングしたり、酸素等の反応性ガスプラズマに曝して表面改質することが好ましい。
走行耐久性および耐食性を改善するため、上記磁性層または保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。添加する潤滑剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用できる。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルフォン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等である。
また、炭化水素系潤滑剤のアルキル基の末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が、摩擦力を低減する効果が高く好適である。
さらに、この分子量は、500〜5000、好ましくは1000〜3000である。500〜5000とすることで、揮発を抑え、また潤滑性の低下を抑えることができる。また、粘度が高くなることを防ぎ、スライダーとディスクが吸着しやすくなって走行停止やヘッドクラッシュなどが発生することを防ぐことができる。
上記パーフルオロポリエーテルは、具体例的には、アウジモンド社製のFOMBLIN、デュポン社製のKRYTOXなどの商品名で市販されている。
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類;亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類;トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類;二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤;などが挙げられる。
前記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用される。これらの潤滑剤を磁性層もしくは保護膜上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよい。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体;ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体;等が挙げられる。
磁性層等の形成
硬磁性体と軟磁性体が交換結合した磁性体を含む磁性層の形成方法の詳細は、前述の通りである。一方、非磁性層を形成する場合は、前述の非磁性粉体や結合剤等を公知の溶剤に混合して、非磁性層用の塗布液を調製し、該塗布液を用いて非磁性層を形成することができる。
硬磁性層または非磁性層用の塗布液を作製する際に、分散剤を溶解させるために、オープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダ等を使用した混練処理を施してもよい。また、磁性粒子や非磁性粉体を分散させるため、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズ等の分散メディアを使用してもよい。
本発明の磁気記録媒体が非磁性層と磁性層とを有する重層構成の磁気記録媒体である場合、以下のような方式を用いて製造することが好ましい。
第一の方式は、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等により、まず非磁性層を塗布し、非磁性層がウェット状態のうちに特公平1−46186号公報や特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により磁性層を塗布する方式である。
第二の方式は、特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより非磁性層および磁性層をほぼ同時に塗布する方式である。
第三の方式は、特開平−174965号公報に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により非磁性層および磁性層をほぼ同時に塗布する方式である。
なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号公報や特開平1−236968号公報に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、磁性層および非磁性層の塗布液の粘度については、特開平3−8471号公報に開示されている数値範囲を満足することが好ましい。重層構成を実現するには非磁性層を塗布し乾燥させたのち、その上に磁性層を設ける逐次重層塗布を行ってもよい。但し、塗布欠陥を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上させるためには、前述の同時重層塗布を用いることが好ましい。
特に、ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の場合、特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用い円周配向をしてもよい。
また、磁気テープの場合は、コバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
上記塗布、乾燥後、必要であれば、磁気記録媒体にカレンダー処理を施してもかまわない。カレンダー処理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロールで処理するが、特に両面磁性層とする場合は金属ロール同士で処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm(196kN/m)以上、さらに好ましくは300kg/cm(294kN/m)以上である。
物理特性
本発明の磁気記録媒体は、以下に説明するような物理特性を有することが好ましい。
本発明の磁気記録媒体の磁性層の飽和磁束密度は、好ましくは0.1〜0.3Tである。磁性層の保磁力Hcは159kA/m〜796kA/m(2000Oe〜10000Oe)が好ましく、159〜478kA/m(2000〜6000Oe)がより好ましい。保磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDは0.6以下が好ましい。
磁気ディスクの場合、角形比は2次元ランダムの場合、例えば0.55以上0.67以下、好ましくは0.58以上、0.64以下、3次元ランダムの場合、例えば0.45以上0.55以下が好ましく、垂直配向の場合は垂直方向に、例えば0.6以上、好ましくは0.7以上、反磁界補正を行った場合、例えば0.7以上、好ましくは0.8以上である。2次元ランダム、3次元ランダムとも配向度比は0.8以上が好ましい。2次元ランダムの場合、垂直方向の角形比、Br、Hcは面内方向の0.1〜0.5倍以内とすることが好ましい。
磁気テープの場合、角型比は通常、0.55以上であり、好ましくは0.7以上である。本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は温度−10℃から40℃、湿度0%から95%の範囲において、例えば0.5以下、好ましくは0.3以下、表面固有抵抗は好ましくは磁性層表面104〜1012オーム/sq、帯電位は−500Vから+500V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は面内各方向で好ましくは100〜2000kg/mm2(0.98〜19.6GPa)、破断強度は好ましくは10〜70kg/mm2(98〜686MPa)、磁気記録媒体の弾性率は面内各方向で好ましくは100〜1500kg/mm2(0.98〜14.7GPa)、残留のびは好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50℃以上120℃以下が好ましく、下層非磁性層のそれは0℃〜100℃が好ましい。
損失弾性率は1×109〜8×1010μN/cm2の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向において10%以内でほぼ等しいことが好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
磁性層の中心面平均表面粗さRaはWYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000を用いて、250μm×250μmの面積での測定で4.0nm以下、好ましくは3.8nm以下、さらに好ましくは3.5nm以下である。磁性層の最大高さRmaxは0.5μm以下、十点平均粗さRzは0.3μm以下、中心面山高さRpは0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm以下、中心面面積率Srは20%以上80%以下、平均波長λaは5μm以上、300μm以下であることが、それぞれ好ましい。磁性層の表面性は、支持体のフィラーによる表面性のコントロールや磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダー処理のロール表面形状などで容易にコントロールすることができ、コントロールすることにより電磁変換特性、摩擦係数を最適化することができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
[磁気記録媒体の製造方法]
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、
(1)非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体を含有する塗布液を塗布することにより硬磁性層を形成すること、
(2)上記硬磁性層に含まれる硬磁性体表面の少なくとも一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成すること、
を含む。先に説明したように、硬磁性体は気相合成時に原子の再配置を起こす必要があるためスパッタ温度がきわめて高温になるのに対し、軟磁性体はスパッタ温度が低いため有機物支持体上でもスパッタ可能である。したがって本発明の磁気記録媒体の製造方法では、硬磁性体を有機物支持体上で合成するのではなく、予め合成した硬磁性体を塗布して硬磁性層を形成した後、この上に軟磁性体をスパッタすること等により、硬磁性層に含まれる硬磁性体表面の少なくとも一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成する。これにより、非磁性有機物支持体上に、熱的安定性と記録性を両立した磁性体を含む磁性層を形成することができる。本発明の磁気記録媒体の製造方法の詳細は、先に説明した通りである。
以下に、本発明の具体的実施例および比較例を挙げるが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1.硬磁性体の作製
(急冷薄帯の作製)
Ar雰囲気中で以下の作業を行った。
アーク炉にてNd2Fe14B合金、Ndを原料として溶解し、冷却することでNd 18at%の母合金を作製した。
母合金を先端をオリフィスに加工した石英管に入れ、高周波で合金を溶解し、Arガスで圧力をかけ、オリフィスを通して溶融金属を回転する銅ロール上に吹きつけた急冷薄帯を作製した。このときのロールの回転数は20m/sであった。
アモルファス状の急冷薄帯を窒素雰囲気中500℃で粒子直径が10nmになるまで加熱した。この結果、Nd2Fe14B結晶が形成されたことをX線回折で確認した。5572kA/m(70kOe)で一方向に着磁したのち、東英工業製の振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場1274kA/m(16kOe)の条件で測定した保磁力は955kA/m(12000Oe)であった。
(急冷薄帯から希土類−遷移金属−半金属の単結晶ナノ粒子の取り出し)
2ガスのバブリングにより脱酸素した蒸留水を用いて作製した0.1kmol/m3のNaCl水溶液中に急冷薄帯を浸漬することで結晶粒界のNd−rich相を溶解除去することによりNd2Fe14B結晶を取出した。この後、脱酸素した蒸留水で洗浄することでNaClを除去した。上記と同様の方法で測定した保磁力は637kA/m(8000Oe)、平均粒子サイズは20nmであった。
2.磁気記録媒体の作製
上記工程により得られた硬磁性体Nd2Fe14B粒子4質量部を、分散助剤としてオレイン酸 0.1質量部とオレイルアミン0.1質量部を用いてデカン5mL中に分散させ硬磁性層形成用塗布液を調製した。
その後、PETフィルム上にスピンコータを用いて上記塗布液を塗布・乾燥し、厚さ25nmの硬磁性層を形成した。
実施例1〜8では、上記硬磁性層表面を、スパッタ装置(サンユー電子社製商品名SC−701)を用いてイオンエッチングし、その後、表1記載の軟磁性材料をスパッタした。スパッタは、スパッタ基板温度40℃とし、スパッタ厚を装置に予め組込まれている条件から選択し行った。
3.磁性層中の磁性体の評価
(1)保磁力の測定
上記方法により形成した磁性層に含まれる磁性体の保磁力を、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3191kA/m(40kOe)の条件で測定した。
(2)アスペクト比の測定
上記方法により形成した磁性層を透過型電子顕微鏡で撮影した写真において500個の粒子を無作為に抽出して測定したアスペクト比の平均値を表1に示す。
Figure 2010061763
4.軟磁性体の保磁力測定
Fe:実施例4のサンプル作製時と同じ条件でスパッタして得られた膜の保磁力を東英工業製VSMで外部磁場10KOeで測定した結果、2kA/m(26 Oe)であった。
パーマロイ:実施例8のサンプル作製時と同じ条件でスパッタして得られた膜の保磁力を東英工業製VSMで外部磁場10KOeで測定した結果、4kA/m(56 Oe)であった。
評価結果
実施例1〜8の磁性層に含まれる磁性体の保磁力が、硬磁性体スパッタ前の保磁力と比べて低かったことから、上記スパッタにより硬磁性体表面に硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成できたことが確認できる。硬磁性体は、高い結晶磁気異方性を有することに起因し熱的安定性に優れるものの、保磁力が高く記録に必要な外部磁場が大きくなり記録しずらい。これに対し本発明では、上記のように硬磁性体に軟磁性体を交換結合させることにより、熱的安定性に優れる硬磁性体の記録性を改善することができる。
本発明によれば、熱的安定性と記録性とを兼ね備えた磁気記録媒体を安価に製造することができる。本発明の磁気記録媒体は、ビデオテープ、コンピューターテープ、フレキシブルディスク等の汎用磁気記録媒体として好適である。

Claims (6)

  1. 非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体表面の一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を有する磁性体を含む磁性層を有する磁気記録媒体。
  2. 前記磁性体のアスペクト比は、1.2〜2の範囲である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記硬磁性体は、希土類元素、遷移金属元素およびホウ素からなる請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 非磁性有機物支持体上に、希土類元素を含む硬磁性体を含有する塗布液を塗布することにより硬磁性層を形成すること、
    上記硬磁性層に含まれる硬磁性体表面の少なくとも一部に、該硬磁性体と交換結合した軟磁性領域を形成すること、
    を含む磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記軟磁性領域の形成を、硬磁性層上に軟磁性体をスパッタすることにより行う請求項4に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記硬磁性体は、希土類元素、遷移金属元素およびホウ素からなる請求項4または5に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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