JP2010060391A - 溶存酸素センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】内部液のpHの変化を抑制し、試料溶液中の溶存酸素濃度を高い精度で測定することができる溶存酸素センサを提供する。
【解決手段】酸素透過膜と、前記酸素透過膜によって外部と隔てられた室内に、Clを含有する内部液と、前記内部液に浸漬した作用極及び対極と、を備え、前記対極は、銀を含有しており、前記内部液は、25℃におけるpKaが4.5≦pKa≦9.5である緩衝剤を添加してなるようにした。
【選択図】図3

Description

この発明は、内部液のpH変化を抑制し、試料溶液中の溶存酸素濃度を高い精度で測定することができる溶存酸素センサに関するものである。
一般に清浄な河川の溶存酸素濃度は、ほぼ飽和値に達しているが、水中に過剰な有機物が排出されると、好気性微生物が有機物を酸化分解するのに伴い、水中の酸素が多量に消費され、溶存酸素濃度が低下する。そして、溶存酸素濃度が低下すると、好気性微生物による有機物の酸化分解が抑制されて水域の浄化作用が低下して水質汚濁が引き起こる。このため、一般的に水質の悪化した湖沼・河川等の溶存酸素濃度は低い。したがって、溶存酸素濃度は水質を評価する重要な指標とされている。このような溶存酸素濃度を測定するためには、ポーラログラフ方式の溶存酸素センサが、広く使用されている。
ポーラログラフ方式の溶存酸素センサは、一般的に、酸素透過膜によって外部と隔てられた室内に充填された内部液と、当該内部液に浸漬した作用極及び対極等とから構成されるが、内部液としてKCl溶液を使用し、対極として銀又は銀/塩化銀からなるものを使用し、作用極−対極間に電圧を印加すると、それぞれの電極では以下のような反応が起こる。
作用極(カソード):O+2HO+4e→4OH
対極(アノード):4Ag+4Cl→4AgCl+4e
そして、溶存酸素濃度に比例したポーラログラフ的限界電流が外部回路に流れ、この電流値から溶存酸素濃度を測定することができる。当該電流値Ilimは下記式で表される。
lim=−n×F×A×Do×Co×(1/√πDot+1/r)
ここで、式中の各項は以下のとおりである。
n:電極反応の電子数
F:ファラデー定数
A:電極面積
Do:拡散係数
Co:バルクでの酸化体濃度
πDot:拡散層の厚さ
r:電極半径
このように、電流値は拡散層の厚さに依存して変化するので、拡散層の厚さや電極面積を一定に保つことは精度の高い測定を行うために重要である。なお、当該拡散層は、一般的に、酸素透過膜と作用極との間隙と、酸素透過膜と、から構成される。
ポーラログラフ方式の溶存酸素センサを用いた測定では、基準電極の電位に対する印加電圧が多少変動しても試料溶液の溶存酸素濃度に依存した電流値が得られる所謂プラトー領域が存在し、このプラトー領域内において溶存酸素濃度の測定が行われる。
しかし、対極での反応が進むと内部液のClの濃度が低下して内部液の抵抗が上昇し、これに伴い基準電極の電位が変化しプラトー領域も変動して、プラトー領域内において溶存酸素濃度を測定することができなくなるので、プラトー領域の変動を抑制するために、内部液の抵抗を下げる目的で、内部液にはKClが添加されている。
しかし、内部液として高濃度のKCl溶液を使用し、対極として銀又は銀/塩化銀からなるものを使用したポーラログラフ方式の溶存酸素センサでは、KClが電離して生じたClが対極で生じたAgClと反応し、AgCl 等の錯体を形成して対極から溶出し、内部液中に溶解し、作用極に銀が付着するという問題があり、そして、作用極に銀が付着すると、酸素透過膜と作用極の間の距離が変動し、この結果、拡散層の厚さが変化して、測定精度が低下するという問題がある。また、銀の付着により作用極の表面積が変動することによっても、測定誤差が生じる。このため、内部液のKCl濃度を高くすることはできない。
これに対して、特許文献1には、その水溶液が優れたイオン導電体である硫酸塩をCl濃度が低い内部液に添加して、Cl濃度が高い内部液と同等なイオン導電性を有する電解液を調製することにより、作用極と対極との反応に必要な電流を維持し、かつ、対極での酸化反応には充分なCl濃度を保ちつつも、内部液のCl濃度を下げて対極からの塩化銀の溶出を抑制する方法が開示されている。
しかしながら、内部液に硫酸ナトリウム等の硫酸塩を添加したとしても、作用極で発生するOHによって内部液がアルカリ性になり、水酸化銀(酸化銀)が発生すると酸素透過膜と作用極との間に入り込み、拡散層の厚さが変化するという問題が生じる。
また、内部液がアルカリ性になると、内部液交換時の安全性が確保できず、交換した廃棄内部液を中和処理する必要も生じるという問題も生じる。
更に、上記のとおり、ポーラログラフ方式の溶存酸素センサを用いた測定では、基準電極の電位に対する印加電圧が多少変動しても試料溶液の溶存酸素濃度に依存した電流値が得られる所謂プラトー領域が存在し、このプラトー領域内において溶存酸素濃度の測定が行われるが、この際、基準電極においては以下の反応が起こる。
AgCl+e−⇔Ag+Cl−
そして、基準電極の電位は下記のネルンストの式より求められる。
E=E+(RT/F)(lnaCl−
ここで式中の各項は以下のとおりである。
E:基準電極電位
R:気体定数
T:温度
a:活量
F:ファラデー定数
このように基準電極の電位はClの濃度に依存する。
一方、作用極では上記のとおり、OHが発生し、これに伴い内部液のOHの濃度が増加し、かつ、対極での反応に伴いClの濃度が低下すると、対極では、以下に示すような競争反応が起こる。
4Ag+4Cl→4AgCl+4e
4Ag+4OH→4AgOH+4e
しかし、上記のような競争反応が起こるとニコルスキーの式から明らかになるように基準電極の電位が変化して、プラトー領域も変動するので、プラトー領域内での測定を行うことができなくなる。
米国特許5632882号公報
そこで本発明は、内部液のpH変化を抑制し、試料溶液中の溶存酸素濃度を高い精度で測定することができる溶存酸素センサを提供すべく図ったものである。
すなわち本発明に係る溶存酸素センサは、酸素透過膜と、前記酸素透過膜によって外部と隔てられた室内に、Clを含有する内部液と、前記内部液に浸漬した作用極及び対極と、を備え、前記対極は、銀を含有しており、前記内部液は、25℃におけるpKaが4.5≦pKa≦9.5である緩衝剤を添加してなることを特徴とする。ここで、緩衝剤とは、所定のpH領域を緩衝する試薬をいい、一般に制御可能なpH領域は緩衝剤のpKa±1程度の範囲となる。
このようなものであれば、25℃におけるpKaが4.5≦pKa≦9.5である緩衝剤は、中性付近のpH領域において緩衝作用を発現するので、内部液がアルカリ性になり水酸化銀が作用極に付着して拡散層の厚さが変化する事態が抑制され、拡散層の厚さが一定に保たれて精度の高い溶存酸素濃度の測定が可能となる。また、内部液を中性に保つことにより、対極における競争反応が抑制されるので、プラトー領域が一定に保たれ、プラトー領域内での測定を確保することができる。更に、前記緩衝剤は内部液中で電離してイオン導電体としても機能するので、対極からの銀の溶出を抑制するために内部液のCl濃度を下げても、内部液の抵抗を低く保つのに充分なイオン導電性を確保することができ、この点からも、プラトー領域が一定に保たれ、プラトー領域での測定を確保することができる。
また、本発明によれば、内部液が中性に保たれるので、内部液交換時の安全性が確保でき、また、交換した廃棄内部液を中和処理する必要も生じない。
更に、内部液のCl濃度を下げることにより、対極から銀が溶出して内部液中に溶解し、作用極に銀が付着することを防ぐことができるので、作用極の表面積及び拡散層の厚さを一定に保つことができ、この点からも、精度の高い溶存酸素濃度の測定が可能となる。
前記緩衝剤としては、例えば、MHPOとMHPO(Mは1族の元素である。それぞれのMは同一であってもよく、また異なっていてもよい。)が好適に用いられる。MHPOは水中で解離し下記式に示すような平衡状態をとる。
MHPO→HPO +M
PO ⇔HPO 2−+H
HPO 2−⇔PO 3−+H
一方、MHPOは水中では下記式に示すように完全に電離し平衡状態をとる。
MHPO→HPO 2−+2M
HPO 2−⇔PO 3−+H
このため、内部液中にHPO 、HPO 2−、PO 3−等のイオン種が発生し、内部液の抵抗が低く抑えられる。また、2価の陰イオンであるHPO 2−はイオン強度が高いので、優れた緩衝作用を発揮する。
なお、Mとしては1族の元素であれば特に限定されないが、例えば、NaやK等が挙げられる。また、MHPOとMHPOのMは、同一であってもよいが、異なっていてもよい。
本発明に係る溶存酸素センサは、より精度及び感度の高い測定を要求される場合は、参照極を備えていることが好ましい。対電極、作用極及び参照極の三電極を用いて測定を行うほうが、作用極と対極との間に印加する電圧の絶対値を制御することができるので、より精度及び感度の高い測定を行うことが可能である。
水質に関する様々な指標について多面的に測定する場合は、本発明に係る溶存酸素センサに加えて、他の種類のセンサも備わった複合タイプの水質分析装置を使用することが好ましい。このような水質分析装置もまた、本発明の1つである。
このように本発明によれば、拡散層の厚さを一定に保ち、作用極表面積の変動を防ぎ、かつ、プラトー領域内での測定を確保して、試料溶液中の溶存酸素濃度を高い精度で測定することができる。
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る水質分析装置1は、pH、導電率(Conductivity)、溶存酸素(Dissolved Oxygen)濃度、濁度(Turbidity)及び水温等の測定項目を同時に連続測定するものであり、図1に示すように、水質測定用の複数の測定センサを備えた浸漬型のセンサ部2と、当該センサ部2に防水タイプの電気ケーブルCAを介して電気的に接続された計器本体3と、を備えている。そして、例えば海水の水質分析を行う場合には、電気ケーブルCAの部分を持ち、センサ部2を海水中に垂下し、海水中にセンサ部2を浸漬した状態で測定を行う。
センサ部2は、複数種類の測定センサ4を有する浸漬型のセンサ部本体21と、当該センサ部本体21に取り付けられて、測定センサ4を外部から保護するセンサ保護部22と、を備えている。
センサ部本体21は、図2に示すように、電源、メモリ機能部を有する演算部、演算された水質の測定データ等を時系列的に記録するデータロガーを内蔵する耐圧構造の水密ケース211と、その水密ケース211の下端部211Aに取り付けられた、例えばpH測定用のガラスpH電極及び比較電極で構成されるpHセンサ、導電率センサ、濁度センサ、溶存酸素センサ(以下DOセンサという。)41、温度センサ等の複数試料の測定センサ4と、を備えているものである。なお、ガラスpH電極、比較電極及びDOセンサ41は、一般に使用に連れて劣化又は不測の破損を伴うことを考慮して、カートリッジ式になっており、交換が容易である。DOセンサ41については、追って詳述する。
センサ保護部22は、センサ部本体21に取り付けられて、外部の測定対象である液体(例えば、海水)等をセンサ部2内部に導きながらも、測定センサ4を外部から保護するものである。
計器本体3は、前記センサ部2からの測定データ等を表示する表示部、電源キー、機能キー、測定の開始・終了キー、校正キー、セレクトキー、アップダウンキー等を備えている。そして、前記電気ケーブルCAを操ってセンサ部2を水没させると、各測定センサ4からの出力に基づく測定データが前記メモリ機能部に記録され、且つ、その測定値が表示部に表示される。
DOセンサ41は、図3に示すように、中空の筐体42と、筐体の上端開口部に設けられた酸素透過膜43と、酸素透過膜43によって筐体42内に形成された室内に充填された内部液44と、内部液44に浸漬した作用極45、対極46及び参照極47と、を備えているものであり、三電極方式により溶存酸素濃度を測定するものである。作用極45、対極46及び参照極47にはそれぞれリード線Lが接続されており、これらリード線は電圧印加装置(直流電源)PS及び電流計AMに接続されている。
筐体42は、先端部開口に酸素透過膜43を張り設けた円筒状をなす筐体本体421と、この筐体本体421の基端部開口に螺合して該開口を液密に閉塞するベース部材422とから構成してある。
ベース部材422は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の絶縁性に優れた樹脂からなるものであり、作用極45、対極46及び参照極47と一体的に形成されている。
このベース部材422は、筐体本体421の内部に延びる円柱状部材422aと、この円柱状部材422aの基端部外周に設けた円柱状部材422bとからなり、円柱状部材422bの外周面に設けられたねじ溝が、筐体本体421の基端部開口に螺合し、シール部材Oを押圧するように構成してある。円柱状部材422aの中央には、円柱状の作用極45が中心軸線を合致させて貫通しており、またこの円柱状部材422aの外側には、円筒状の対極46が嵌め込んである。更に、円柱状部材422bの周縁部には、参照極47が貫通している。
これら三電極45、46、47のうち、作用極45は、金、白金、銀等からなるものであり、酸素透過膜43に対向して設けられている。対極46は、銀、銀/塩化銀等からなるものであり、参照極47は、銀/塩化銀からなるものである。これら三電極の組み合わせとしては、例えば、金からなる作用極45と、銀からなる対極46と、銀/塩化銀からなる参照極47と、の組み合わせが挙げられる。
ところで、三電極45、46、47は、シール部材や接着剤等を介在させることなく、ベース部材422に液密に貫通している。そのため、予め型枠に三電極45、46、47を配置して、その隙間に樹脂を射出し、ベース部材422を形成するというインジェクション成形法によって、ベース部材422及び三電極45、46、47が一体的に形成されている。
また、円柱状部材422a及び作用極45の先端面451を部分球状に形成するとともに、筐体本体421をベース部材422に螺着したときに、酸素透過膜43が先端面451に対してある程度のテンションで、張り付くように構成している。この構成によって、内部液44が酸素透過膜43と先端面451との間に毛細管現象等で浸入し、酸素透過膜43の内面と先端面451との隙間が約10μm又はそれ以下の一定値に保たれる作用が生じる。なお、先端面451の周縁部にはR加工を施してエッジが形成されないようにし、酸素透過膜43との間で毛細管現象が円滑に起こるようにしている。
なお、酸素透過膜43は、酸素を透過して液体を透過しない膜であって、例えば、ポリエチレン膜や、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂膜からなるものであり、膜厚は25〜50μm程度である。
内部液44は、Clを含有し、かつ、25℃におけるpKaが4.5≦pKa≦9.5である緩衝剤が添加されているものであり、酸素透過膜43によって筐体42内に形成された室内に充填されている。
前記Clとしては、例えば、KClやNaCl等の塩化物塩に由来するものが挙げられるが、このようなClを含有する内部液としては、例えば、KCl溶液が好適に用いられる。本実施形態においては、対極46から塩化銀が溶出して作用極45に銀が付着することを抑制するために内部液のCl濃度は低いことが好ましい。このため、内部液におけるKCl等の塩化物塩の濃度は、0.1〜1Mであることが好ましい。0.1M未満であると、内部液44の抵抗を低く保つのに充分なイオン導電性を確保することが困難になる。一方、1Mを越えると、対極46から塩化銀が溶出して作用極45に銀が付着し、作用極45の表面積が増加するとともに拡散層の厚さも変動し、精度の高い溶存酸素濃度の測定が困難になる。
前記25℃におけるpKaが4.5≦pKa≦9.5である緩衝剤としては、例えば、クエン酸(pKa2=4.76、pKa3=6.40)、リン酸(pKa2=7.20)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)(トリスの共役酸のpKa=8.06)、ホウ酸(pKa=9.23)等が挙げられる。なお、これらの緩衝剤は複数種類のものが併用されてもよい。
これら各種緩衝剤のなかでも、MHPOとMHPO(Mは1族の元素を表す。それぞれのMは同一であってもよく、また異なっていてもよい。)が好適に用いられる。MHPOとMHPOは、内部液中において、電離してイオン強度が高い2価の陰イオンであるHPO 2−を生じるので、優れた緩衝作用を示し、内部液のpHを安定的に中性付近に保つことができる。また、MHPOとMHPOは、内部液中において電離してHPO 、HPO 2−、PO 3−等のイオン種を生じイオン導電体としても機能するので、内部液中のCl濃度が低い場合であっても、内部液の抵抗を低く抑えて、プラトー領域を一定に保ち、プラトー領域での測定を確保することができる。
また、緩衝剤としてMHPOとMHPOとを使用することにより、温度変化に対するpH変化を低く抑えることができ、かつ、MHPOとMHPOとは溶解度が高いので、緩衝能を高くすることができる。
内部液44における、MHPOとMHPOの濃度(合計)は、0.1〜1M程度が好ましい。0.1M未満であると、緩衝作用が充分でなく、また、Cl濃度が低い内部液44の抵抗を低く保つのに充分なイオン導電性を付与することができない。一方、1Mを越えると、低温時に析出し、析出物により拡散層の厚さが変化することがある。
内部液44がKCl溶液である場合、MHPOとMHPOとしては特に限定されないが、例えば、NaHPO及びKHPOと、NaHPO及びKHPOとを、適宜組み合わせて用いることができる。
DOセンサ41を用いて試料溶液中の溶存酸素濃度を測定するには、まず、DOセンサ41が試料溶液に浸漬すると、試料溶液に溶存した酸素が酸素透過膜43を透過して、作用極45と酸素透過膜43との間隙に存在する内部液44中に溶解する。そして、作用極45−対極46間に電圧を印加すると、それぞれの電極で以下のような反応が起こる。
作用極45(カソード):O+2HO+4e→4OH
対極46(アノード):4Ag+4Cl→4AgCl+4e
そして、酸素が作用極45の表面で還元されたときに流れた電流の電流値が、電流計AMで測定され、当該電流値を示す出力信号を受信した演算部が所定の演算処理を行うことにより、試料溶液中の溶存酸素濃度が算出される。
したがって、このように構成した本実施形態に係る水質分析装置1によれば、DOセンサ41の内部液44に添加されている、25℃におけるpKaが4.5≦pKa≦9.5である緩衝剤は、中性付近のpH領域において緩衝作用を発現するので、内部液44がアルカリ性になり水酸化銀が作用極45に付着して拡散層の厚さが変化する事態が抑制され、拡散層の厚さが一定に保たれて精度の高い溶存酸素濃度の測定が可能となる。また、内部液44を中性に保つことにより、対極46における競争反応が抑制されるので、プラトー領域が一定に保たれ、プラトー領域内での測定を確保することができる。更に、前記緩衝剤は内部液44中で電離してイオン導電体としても機能するので、対極46からの塩化銀の溶出を抑制するために内部液44のCl濃度を下げても、内部液の抵抗を低く保つのに充分なイオン導電性を確保することができ、この点からも、プラトー領域が一定に保たれ、プラトー領域での測定を確保することができる。
また、本実施形態によれば、内部液44が中性に保たれるので、内部液44交換時の安全性が確保でき、また、交換した廃棄内部液44を中和処理する必要も生じない。
更に、内部液44のCl濃度を下げることにより、対極46から塩化銀が溶出して内部液44中に溶解し、作用極45に銀が付着することを防ぐことができるので、作用極45の表面積及び拡散層の厚さを一定に保つことができ、この点からも、精度の高い溶存酸素濃度の測定が可能となる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態おけるDOセンサ41は、作用極45、対極46及び参照極47が備わった三電極法による測定を行うものであるが、本発明に係るDOセンサは、作用極45及び対電極のみを備えた二電極法によるものであってもよい。三電極法の方が、作用極45と対極46との間に印加する電圧の絶対値を制御することができるので、精度及び感度の高い測定を行うことが可能であるが、二電極法によれば、用いる電極が作用極45及び対極46の2電極ですむので、DOセンサ41の構造を単純化、小型化することができる。
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
以下のような構成を有するDOセンサを複数体用いて、作用極−対極間に650mVの電圧を印加して種々の試験を行った。
内部液(組成):0.8M KCl、0.5M リン酸緩衝液(KHPO,NaHPO)(pH6.5)
酸素透過膜:FEP膜(厚さ25μm)
作用極:金
対極:銀
参照極:銀/塩化銀
ベース部材:PPS
拡散層の厚さ:約10μm
比較対象としては、従来のポーラログラフ式DOセンサを使用した。
<直線性>
溶存酸素濃度の異なる複数の試料溶液(それぞれの溶存酸素濃度は0、20、40、60、80、100%)を用いて、各DOセンサを用いて溶存酸素濃度を測定し、測定値(表示部に表示された指示値)との相関性を評価した。結果を図4のグラフに示した。
図4のグラフより、それぞれのDOセンサに対し得られた測定結果について回帰分析を行うと、本発明品の決定係数R2は0.9992であり、測定精度が高いことが確認された。
<再現性>
各DOセンサに対し、飽和溶存酸素水に浸漬してから、亜硫酸ソーダ水に浸漬することを繰り返して、溶存酸素濃度を測定し、結果のバラツキを評価した。結果を図5のグラフに示した。
図5のグラフより、測定を3回繰り返した結果、本発明品の変動係数CVは1.2%であり、測定結果のバラツキが少なく測定精度が高いことが確認された。
<応答性>
各DOセンサを、飽和溶存酸素水に浸漬してから、亜硫酸ソーダ水に浸漬し、応答速度を評価した。結果を図6のグラフに示した。
図6のグラフより、本発明品は、90%応答時間が15秒で、95%応答時間が18秒であるのに対して、従来品は、90%応答時間が16秒で、95%応答時間が20秒であり、本発明品のほうが応答速度が速いことが確認された。
<内部液のpH変化>
各DOセンサを用いて常時測定を30日間続行し、その間の内部液のpH変化を記録した。結果を図7のグラフに示した。
図7のグラフより、本発明品では、内部液のpHが僅かしか変化せず液性が中性に保たれたのに対して、従来品では、内部液のpHが大きく変化して液性がアルカリ性になった。
本発明の一実施形態に係る水質分析装置の斜視図。 同実施形態におけるセンサ部本体の断面図。 同実施形態におけるDOセンサの端面図。 本発明に係るDOセンサの測定値の直線性を調べた結果を示すグラフ。 本発明に係るDOセンサの再現性を調べた結果を示すグラフ。 本発明に係るDOセンサの応答速度を調べた結果を示すグラフ。 本発明に係るDOセンサの内部液のpH変化を調べた結果を示すグラフ。
符号の説明
1・・・水質分析装置
2・・・センサ部
21・・・センサ部本体
22・・・センサ保護部
3・・・計器本体
4・・・測定センサ
41・・・溶存酸素センサ
43・・・酸素透過膜
44・・・内部液
45・・・作用極
46・・・対極

Claims (4)

  1. 酸素透過膜と、前記酸素透過膜によって外部と隔てられた室内に、Clを含有する内部液と、前記内部液に浸漬した作用極及び対極と、を備え、
    前記対極は、銀を含有しており、
    前記内部液は、25℃におけるpKaが4.5≦pKa≦9.5である緩衝剤を添加してなることを特徴とする溶存酸素センサ。
  2. 前記内部液は、MHPOとMHPO(Mは1族の元素を表す。それぞれのMは同一であってもよく、また異なっていてもよい。)を添加してなる請求項1記載の溶存酸素センサ。
  3. 前記内部液に浸漬した参照極を備えている請求項1又は2記載の溶存酸素センサ。
  4. 請求項1、2又は3記載の溶存酸素センサと、少なくとも1種の他のセンサと、を備えた水質分析装置。
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