JP2010054184A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、空気調和方法及び空気調和システムに関し、詳しくは全熱交換器及びデシカントロータからなる除湿器を用いた空気調和方法及び空気調和システムに関するものである。
従来、室内空気の温調及び湿調を行う空気調和(以下「空調」とする場合がある)システムでは、室内の空気を新鮮に保持するため、新鮮な外気を取り込むようにしたものが一般的になっている。
かかる従来の空調システムにおいて、湿度調整するための手段として、外気の湿気を吸着するデシカントロータを用いたものが知られている。
デシカントロータは、低温でも再生能力の高い高分子収着剤や、除湿剤として知られているシリカゲルやゼオライトなどが担持されたハニカム状のロータであり、このロータが回転することにより、空気を除湿する除湿領域と、吸着した水分を放出してデシカントロータを再生する再生領域とに区分される構成となっている。そして、除湿したい外気を除湿側流路に通してデシカントロータの除湿領域を通過させ、空気中の水分をデシカントロータに吸着させることにより、絶対湿度の低い空気として送出するのである。なお、デシカントロータ通過後の空気は、吸着熱の発生により温度が高くなるため、必要に応じて冷却または顕熱交換器に通して温度調節している。
一方、デシカントロータを再生させる場合、通常、室内からの還気を再生側通路に通して当該デシカントロータの再生領域を通過させるのであるが、再生用の空気は相対湿度を下げるために高温である必要があり、そのために、従来、再生側通路のデシカントロータ上流側には、還気を加熱するための加熱手段が配設されている。
こうして、高温で相対湿度の低い空気である還気がデシカントロータから水分を奪い取り排気される一方、乾燥された再生領域は、デシカントロータの回転により再び除湿側通路に位置することになり、除湿領域となって水分を吸着する。
上述したように、デシカントロータを再生させるためには、空気を加熱するための加熱手段が必要であり、これまで、かかる加熱手段のコストダウンを図るために、マイクロガスタービンや、これよりも熱効率が高く、イニシャルコストの低いマイクロガスエンジンなどの排熱利用が図られてきた。しかし、市場からのイニシャルコストのさらなる低減要求は強く、また、システム全体の省エネルギを図るためには、デシカントロータの再生温度自体を極力低くすることが要望されてきた。
そこで、低温にてデシカントロータを再生させるために、このデシカントロータで除湿する前に、外気を予め冷却、除湿することが考えられた。
図17に、略50℃の低温でデシカントロータを再生可能とした従来の空調システムの模式的構成図を示す。また、かかる構成からなる空調システムにおいて、外気温度が略33℃、湿度60%の場合に、室内温度を略26℃、湿度50%(絶対湿度略10.5g/kg)となるようにした場合の空気の状態線図を図18に示す。なお、図17に示した○付き数字と図18における○付き数字とは互いにそれぞれ対応しており、図17におけるシステム内の各位置での空気の状態が図18で分かるようにしている。
図17において、符号101は外気を取り入れて室内に供給する給気流路、符号102は室内からの還気を系外へ排気する排気流路を示しており、図示するように、除湿側流路となる給気流路101と、再生側通路となる給気流路101とに跨るようにデシカントロータ200及び顕熱交換器300が配設されている。デシカントロータ200及び顕熱交換器300の位置関係は、給気流路101を基準とすれば、上流側にデシカントロータ200、その下流側に顕熱交換器300が配設される。
給気流路101において、デシカントロータ200の上流側には、当該デシカントロータ200側から順に、外気を予冷却するための冷水コイルCC、給気用送風機S−FANが配設され、顕熱交換器300の下流側には、温度調節用の冷水コイルCCが配設されている。
また、排気流路102には、顕熱交換器300とデシカントロータ200との間に、デシカント再生用に還気を加熱するための温水コイルHCが配設されるとともに、デシカントロータ200の下流側に還気用送風機R−FANが配設されている。
図示するように、給気流路101に導入された外気(気温略33℃、絶対湿度略19.5g/kg)は、冷水コイルCCにより目標温度(略26℃)まで冷却されるとともに、絶対湿度略18g/kgまで除湿される(○付き数字2)。このときに冷却エネルギI1が必要である。
その後、デシカントロータ200により所望する湿度(絶対湿度略10.5g/kg)まで除湿される(○付き数字3)が、このとき吸着熱が発生して空気の温度は46℃程度まで上昇するため、これを顕熱交換器300によって還気と熱交換すると、略32℃まで下がることになる(○付き数字4)。しかし、目標温度(略26℃)までは至らないため、温度調節用の冷温水コイルCCを用いて目標温度までさらに冷却することになる(○付き数字5)。このときに、冷却エネルギI2がさらに必要である。
また、デシカントロータを用いた空調システムとして、外気の湿度上昇による影響が少なく、特に低温の再生空気によっても十分な効果を発揮できるように、全熱交換ロータ(全熱交換器)によって室内からの還気と外気とを全熱交換し、これによって温度・湿度の低下した外気をデシカントロータで除湿し、除湿によって温度の上がった乾燥空気を室内からの還気と顕熱交換することによって温度を下げ、温度の下がった乾燥空気を室内へ供給するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
これによれば、冷温水コイルなどを用いて外気を予め冷却して除湿を行うものに比べ、除湿性能も著しく高くなるが、これを実際に設備するとなると、デシカントロータ、全熱交換ロータ、及びこれもロータ式である顕熱交換器を必要とし、しかも、全熱交換ロータに還気を通過させるための第1の排気ファン、デシカントロータを再生するための外気を吸引するための第2排気ファンなどが必要となるため、図19に示すように、設置容積がかなり必要な比較的大規模なシステムになると考えられる。図19において、OAは外気、SAは給気、RAは還気、EAは排気を示すとともに、THEは全熱交換器、DHEはデシカントロータ、SHEは顕熱交換器を示している。また、HCは温水コイル、CHCは冷温水コイル、HUは加湿器である。
特開2003−214654号公報
しかしながら、図17及び図18を用いて説明した従来の空調システムのように、吸湿したデシカントロータ低温再生するために、予め空気を予冷するようにしても、多くの冷却エネルギが必要となり、省エネルギにはなり難い。よって、例えば、空調システムなどで生じる排気による低温排熱でデシカントロータを再生できることが望まれている。
また、特許文献1に示す構成では、前述したように、システムの大型化が避けられず、例えば既設建築物などに設置することが極めて不利となる。
さらに、上述した従来技術の図17に示した構成では、デシカントロータが、外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路とに跨って配設されているため、室内からの還気で再生される時に、デシカントロータの室内の臭気成分まで吸着されてしまい、これが除湿時に室内への供給空気に乗ってしまうことで、室内に臭気がいつまでも残ってしまうおそれがある。また、特許文献1の構成では、図19に示すように、全熱交換ロータが外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路とに跨って配設されているため、これもやはり室内に臭気がいつまでも残ってしまうおそれがあることには変わりがない。
本発明は、上記課題を解決して、デシカントロータを有効活用しつつ、イニシャルコスト及びランニングコストにおいても有利となる空気調和方法、及び空気調和システムを提供することを目的としている。
(1)本発明では、外気と室内からの還気とを全熱交換器により全熱交換して、全熱交換された外気を室内に供給する空気調和方法であって、前記外気を前記全熱交換器に直接導入する一方、前記還気を、予めデシカントロータを用いて除湿又は加湿した後に前記全熱交換器に導入する空気調和方法とした。
(2)本発明では、外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路と、前記給気流路側で蓄熱及び吸湿する一方、前記排気流路側で放熱及び放湿するロータを有する全熱交換器と、前記排気流路の中途に配設され、前記還気を、前記全熱交換器を通過させる前に予め除湿するデシカントロータと、を備えた空気調和システムとした。
(3)本発明では、上記(2)の空気調和システムにおいて、前記全熱交換器は、前記ロータを通過する前記給気流路の前記外気と前記排気流路の前記還気とが対向流を形成するように、前記給気流路と前記排気流路とに跨るように配設されており、前記排気流路は、前記全熱交換器に至るまでの第1排気流路と、前記全熱交換器を通過して流路終端に向かう第2排気流路とから構成され、前記デシカントロータは、当該デシカントロータを通過する前記第1排気流路の還気と前記第2排気流路の排気ととが対向流を形成するように、前記第1排気流路と前記第2排気流路とに跨るように配設され、前記第1排気流路側で吸湿する一方、前記第2排気流路側で放湿することを特徴とする。
(4)本発明では、外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路と、前記給気流路側で放熱及び放湿する一方、前記排気流路側で蓄熱及び吸湿するロータを有する全熱交換器と、前記排気流路の中途に配設され、前記還気を、前記全熱交換器を通過させる前に予め加湿するデシカントロータと、を備えた空気調和システムとした。
(5)本発明は、上記(4)の空気調和システムにおいて、前記全熱交換器は、前記ロータを通過する前記給気流路の前記外気と前記排気流路の前記還気とが対向流を形成するように、前記給気流路と前記排気流路とに跨るように配設されており、前記排気流路は、前記全熱交換器に至るまでの第1排気流路と、前記全熱交換器を通過して流路終端に向かう第2排気流路とから構成され、前記デシカントロータは、当該デシカントロータを通過する前記第1排気流路の還気と前記第2排気流路の排気とが対向流を形成するように、前記第1排気流路と前記第2排気流路とに跨るように配設され、前記第1排気流路側で放湿する一方、前記第2排気流路側で吸湿することとした。
(6)本発明は、上記(2)〜(5)の空気調和システムにおいて、前記給気流路と前記排気流路とはそれぞれ互いに区画された独立流路であることを特徴とする。
(7)本発明は、上記(2)〜(6)のいずれかの空気調和システムにおいて、温調用のヒートポンプを備え、このヒートポンプの排熱を前記デシカントロータの再生用熱源としたことを特徴とする。
本発明に係る空気調和方法及び空気調和システムによれば、低温排熱を利用してデシカントロータを再生することが可能となる。しかも、未利用エネルギを使用することで空調システム全体の省エネルギ化を図ることが可能となる。また、効率的な設備配置とすることで、システム全体が大型化することを防止できるため、市場において本システムを採用し易い。さらに、本システムによれば、デシカントロータが室内へ給気する流路とは区画された排気流路に配置されることになるため、還気空気の臭気が室内に移行して、室内臭気がいつまでも残ってしまうことを可及的に防止することができる。
デシカントロータを、50℃程度の低温排熱で再生させることを考えるときに、外気を直接、最適な絶対湿度まで除湿させる方式であれば、「背景技術」でも説明したように、最初に冷却減湿してからデシカントロータで大量に除湿し、顕熱熱交換器で熱交換し、最後に冷却する必要がある。
そもそも、従来のデシカントロータの使い方としては、上述した例のように、殆ど例外なく「外気」を除湿するのに用いていた。しかし、デシカントロータで大量に除湿するとなれば、その再生にも多くエネルギも必要となることは自明である。逆に、除湿量を少量にすればエネルギは少なくて済むため、発明者は、もともと低い室内の絶対湿度を利用することに着眼した。デシカントロータの再生(除湿性能)は、再生用空気の相対湿度に依存するため、還気空気を利用すれば、50℃程度でも十分再生可能だからである。
しかし、室内空気をさらに除湿しても、外気との換気ができないため、外気と全熱交換器にて熱交換させることとしている。
そこで、本実施形態に係る空気調和方法では、外気と室内からの還気とを全熱交換器により全熱交換して、全熱交換された外気を室内に供給する空気調和方法であって、前記外気を前記全熱交換器に直接導入する一方、前記還気を、予めデシカントロータを用いて除湿した後に前記全熱交換器に導入することとしている。
かかる方法によれば、夏場であれば、例えば40〜80℃程度の低温排熱を利用してデシカントロータの再生が可能となり、十分な除湿が行え、しかも、省エネルギを図ることが可能となる。
上述した空気調和方法を実現するための空気調和システム(以下、「空調システム」とする)としては、以下の構成としている。
すなわち、外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路と、前記給気流路側で蓄熱及び吸湿する一方、前記排気流路側で放熱及び放湿するロータを有する全熱交換器と、前記排気流路の中途に配設され、前記還気を、前記全熱交換器を通過させる前に予め除湿又は加湿するデシカントロータとを備えた構成としている。
すなわち、外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路と、前記給気流路側で蓄熱及び吸湿する一方、前記排気流路側で放熱及び放湿するロータを有する全熱交換器と、前記排気流路の中途に配設され、前記還気を、前記全熱交換器を通過させる前に予め除湿又は加湿するデシカントロータとを備えた構成としている。
かかる構成により、システム全体をコンパクト化することが可能であり、また、例えば低温排熱としては、空調システムにより生じる排気をそのまま利用することが可能であるため、既存の建築物に対しての設置も容易であり、イニシャルコストを著しく低減させることが可能となる。
本システムのより具体的な構成としては、前記全熱交換器は、前記ロータを通過する前記給気流路の前記外気と前記排気流路の前記還気とが対向流を形成するように、前記給気流路と前記排気流路とに跨るように配設し、前記排気流路は、前記全熱交換器に至るまでの第1排気流路と、前記全熱交換器を通過して流路終端に向かう第2排気流路とから構成し、前記デシカントロータは、当該デシカントロータを通過する前記第1排気流路の還気と前記第2排気流路の排気とが対向流を形成するように、前記第1排気流路と前記第2排気流路とに跨るように配設し、前記第1排気流路側で吸湿する一方、前記第2排気流路側で放湿するように構成することができる。
ところで、上述した空調システムは、夏季に用いるのに好適であるが、全熱交換器やデシカントロータの基本配置などはそのままに、下記のような構成とすることで、冬季にも好適に用いることができる。
すなわち、外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路と、前記給気流路側で放熱及び放湿する一方、前記排気流路側で蓄熱及び吸湿するロータを有する全熱交換器と、前記排気流路の中途に配設され、前記還気を、前記全熱交換器を通過させる前に予め加湿するデシカントロータとを備えた構成とするものでる。
すなわち、外気を取り入れて室内に供給する給気流路と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路と、前記給気流路側で放熱及び放湿する一方、前記排気流路側で蓄熱及び吸湿するロータを有する全熱交換器と、前記排気流路の中途に配設され、前記還気を、前記全熱交換器を通過させる前に予め加湿するデシカントロータとを備えた構成とするものでる。
かかるシステムのより具体的な構成としては、前記全熱交換器は、前記ロータを通過する前記給気流路の前記外気と前記排気流路の前記還気とが対向流を形成するように、前記給気流路と前記排気流路とに跨るように配設されており、前記排気流路は、前記全熱交換器に至るまでの第1排気流路と、前記全熱交換器を通過して流路終端に向かう第2排気流路とから構成し、前記デシカントロータは、当該デシカントロータを通過する前記第1排気流路の還気と前記第2排気流路の排気とが対向流を形成するように、前記第1排気流路と前記第2排気流路とに跨るように配設され、前記第1排気流路側で放湿する一方、前記第2排気流路側で吸湿するように構成することができる。
上記構成の空調システムは、デシカントロータが排気流路に配設されているため、低温排熱を利用してデシカントロータの再生が可能となり、季節に応じて十分な除湿や加湿が行え、しかも、省エネルギを図ることが可能となるという効果に加え、さらに、例えばシリカゲルが担持されたデシカントロータを低温再生しても、ロータに付着した臭気は排気されるだけであり、給気側、すなわち室内には移行し難くなり、デシカントロータを用いた空調システムにおける課題であった臭気対策も実現することができる。
特に、前記給気流路と前記排気流路とはそれぞれ互いに区画された独立流路とすることが好ましく、上述した臭気の室内への移行をより軽減できるようになる。
また、上述の空調システムは、温調用のヒートポンプを備え、このヒートポンプの排熱を前記デシカントロータの再生用熱源とすることができる。
ヒートポンプは、省エネネルギ性に優るものとして、近年では多くの空調に用いられており、本願の空調システムにおいても、かかるヒートポンプを利用してさらなる省エネルギ効果を図ることが可能である。
以下、本実施形態に係る空調システムについて、図面を参照しながらより具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の空調システムを設備化した場合の説明図、図2は第1の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図3は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。なお、図2に示した○付き数字と図3に示した○付き数字とは互いにそれぞれ対応しており、図3におけるシステム内の各位置での空気の状態が図2で分かるようにしている。また、図2で示したものは、外気33℃、絶対湿度19.5g/kgの夏季の冷房時であって、室内温度を略26℃、湿度50%(絶対湿度略10.5g/kg)にする場合としている。
図1は本発明の空調システムを設備化した場合の説明図、図2は第1の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図3は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。なお、図2に示した○付き数字と図3に示した○付き数字とは互いにそれぞれ対応しており、図3におけるシステム内の各位置での空気の状態が図2で分かるようにしている。また、図2で示したものは、外気33℃、絶対湿度19.5g/kgの夏季の冷房時であって、室内温度を略26℃、湿度50%(絶対湿度略10.5g/kg)にする場合としている。
本実施形態に係る空調システムの基本構成は、図1に示すように、矩形箱状の設備用ケーシング1内を、隔壁11,12を介して上下三つの空間、すなわち、上から給気流路20、第1排気流路21、第2排気流路22に区画形成し、給気流路20の一端側(図における右側)に外気と連通させた外気導入ダクト13を設けるとともに、他端側(図における左側)に、空調対象となる室内と連通させた外気送出ダクト14を設けている。そして、給気流路20の外気送出ダクト14の近傍に給気用送風機S−FANを配設している。
また、第1排気流路21の一端側(図における左側)に室内と連通し、還気を導入する還気導入ダクト15を設け、隔壁11の他端側(図における右側)を切欠して第2排気流路22と連通させるとともに、第2排気流路22の一端側(図における左側)には、外気と連通する排気ダクト16を設けている。また、第1排気流路21の還気導入ダクト15の近傍に還気用送風機R−FANを配設している。こうして、設備用ケーシング1内には、互いに独立した給気流路20と、第1排気流路21及び第2排気流路22からなる排気流路とが形成されることになる。そして、本実施形態では、給気流路20を通過する外気は略直線的に移動し、排気流路を通過する還気は、ヘアピンカーブを描くように移動することになる。
また、設備用ケーシング1内には、給気流路20の上流側(外気導入ダクト13側)に上半分が臨み、隔壁11を介して下半分が第1排気流路21に臨むように、ロータ式の全熱交換器3が配設されるとともに、第1排気流路21に上半分が臨み、隔壁12を介して下半分が第2排気流路22に臨むように、デシカントロータ4が配設されている。
さらに、給気流路20の全熱交換器3の下流側には、給気用送風機F1に向かって順に、銅(Cu)チューブからなる冷温水コイルCHCと、加湿器HUが配設され、排気流路(第2排気流路22)のデシカントロータ4の直上流側には、銅チューブからなる温水コイルHCが配設されている。なお、本実施形態では、上記冷温水コイルCHC及び温水コイルHCが「熱交換器」として機能している。
全熱交換器3は、温度と湿度を同時に交換することができるもので、前記給気流路20に面した領域で蓄熱及び吸湿する一方、前記排気流路(ここでは第1排気流路21)に面した領域で放熱及び放湿するように、中心軸回りに回転自在としたロータからなり、このロータは、アルミニウム箔などの表面にシリカゲルなどの吸湿材を担持させてハニカム状に成形されている。そして、このロータを回転させ、ロータの上半分に外気を通過させ、下半分に室内空気を通過させて全熱交換する。
夏季の冷房時においては、高温高湿の外気が通る上半分のロータ部分ではロータの素材が加熱されるとともに水分が吸湿され、ロータの回転とともに下半分に行き低温低湿の室内からの還気と接することになるため、外気はロータ素材に熱と水分を渡して温度と湿度が低下した状態で室内に供給される。そしてロータ素材は再び下半分に戻り、室内から還流してきた低温・低湿の空気と接しロータ素材から熱と水分を受け取って排気される。
デシカントロータ4は、低温でも再生能力の高い高分子収着剤や、シリカゲルやゼオライトなどが担持されたハニカム状のロータであり、上述したように、第1排気流路21に上半分を臨ませるとともに、隔壁12を介して下半分を第2排気流路22に臨ませて、回転自在に配設されている。そして、デシカントロータ4が回転することにより、第1排気流路21側に位置すると空気を除湿する除湿領域になる一方、第2排気流路22に位置すると、吸着した水分を放出して当該デシカントロータ4を再生する再生領域になる。
本実施形態では、除湿したい外気を、除湿側流路となる第1排気流路21に通してデシカントロータ4を通過させ、除湿領域において空気中の水分を吸着させることにより、相対湿度の低い空気として全熱交換器3へ送出することになる。
一方、全熱交換器3を通過して熱交換された還気は、第2排気流路22に流れ込み、デシカントロータ4の再生領域を通過して当該デシカントロータ4を再生させるが、全熱交換器3により全熱交換された空気は湿度が高くなっているので、温水コイルHCにより加熱して、相対湿度を下げている。乾燥されたデシカントロータ4の再生領域は、デシカントロータ4が回転して再び第1排気流路21に位置して除湿領域となり、また還気の水分を吸着することとなる。
ここで、本実施形態に係る空調システムにより処理される空気の温度、湿度の変化について、図2及び図3に示した○付き数字に沿って説明する。
先ず、外気がシステム内に導入されて給気されるまでについて説明する。
(1)外気が設備用ケーシング1(図1)内に導入されたとき(図2及び図3における○付き数字1)は、温度33℃、絶対湿度19.5g/kgである。
(2)全熱交換器3を通過して全熱交換された外気は、絶対湿度10.5g/kgまで除湿される(○付き数字2)。かかる外気と全熱交換される還気についてみると、デシカントロータ4を通過したときに吸着熱が発生して外気温と略同温度になっているため(○付き数字4→5)、全熱交換器3を通過した外気の温度は殆ど低下しない。
(3)全熱交換器3を通過した外気は、冷水コイルCCにより、目的とする温度である26℃まで冷却され(○付き数字3)、室内へと供給される。
(1)外気が設備用ケーシング1(図1)内に導入されたとき(図2及び図3における○付き数字1)は、温度33℃、絶対湿度19.5g/kgである。
(2)全熱交換器3を通過して全熱交換された外気は、絶対湿度10.5g/kgまで除湿される(○付き数字2)。かかる外気と全熱交換される還気についてみると、デシカントロータ4を通過したときに吸着熱が発生して外気温と略同温度になっているため(○付き数字4→5)、全熱交換器3を通過した外気の温度は殆ど低下しない。
(3)全熱交換器3を通過した外気は、冷水コイルCCにより、目的とする温度である26℃まで冷却され(○付き数字3)、室内へと供給される。
次に、還気がシステム内に導入されて排気されるまでについて説明する。
(4)室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気と略同条件の下にあり、気温略26℃、湿度略50%(絶対湿度略10.5g/kg)の低温低湿の空気となっている(○付き数字4)。
(5)かかる還気は、デシカントロータ4の除湿領域を通過して、さらに除湿されて絶対湿度略8.5g/kgとなり(○付き数字5)、全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域に通過させる。前述したように、このとき、還気の温度は吸着熱によって外気温度と略等しくなっている。
(6)そして、全熱交換器3で外気と全熱交換された還気は、水分を受け取って絶対湿度略17g/kgとなる(○付き数字6)。
(7)かかる還気は高温多湿の状態であるため、温水コイルHCで47℃程度まで加熱することにより相対湿度を湿度略28%程度に下げ(○付き数字7)、デシカントロータ4の除湿領域を通過させる。
(8)デシカントロータ4の除湿性能は、再生空気である排気の相対湿度に依存するため、除湿領域を通過する相対湿度が低下した還気によって再生される。このとき、排気はデシカントロータ4から水分を受け取り、○付き数字1で示した外気と略同様の湿度を有する空気となって(○付き数字8)排出される。
(4)室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気と略同条件の下にあり、気温略26℃、湿度略50%(絶対湿度略10.5g/kg)の低温低湿の空気となっている(○付き数字4)。
(5)かかる還気は、デシカントロータ4の除湿領域を通過して、さらに除湿されて絶対湿度略8.5g/kgとなり(○付き数字5)、全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域に通過させる。前述したように、このとき、還気の温度は吸着熱によって外気温度と略等しくなっている。
(6)そして、全熱交換器3で外気と全熱交換された還気は、水分を受け取って絶対湿度略17g/kgとなる(○付き数字6)。
(7)かかる還気は高温多湿の状態であるため、温水コイルHCで47℃程度まで加熱することにより相対湿度を湿度略28%程度に下げ(○付き数字7)、デシカントロータ4の除湿領域を通過させる。
(8)デシカントロータ4の除湿性能は、再生空気である排気の相対湿度に依存するため、除湿領域を通過する相対湿度が低下した還気によって再生される。このとき、排気はデシカントロータ4から水分を受け取り、○付き数字1で示した外気と略同様の湿度を有する空気となって(○付き数字8)排出される。
上述してきたように、本実施形態によれば、デシカントロータ4自体の除湿量は少なくて済むため、再生させる再生空気の温度も50℃程度の低温でよい。また、デシカントロータ4で除湿する量が少なければ、吸着熱の発生も当然ながら少なくなるため、デシカントロータ4の除湿領域を通過した還気は26℃から7℃程度の上昇となって外気の気温33℃と略等しくなるため、図2の「i」で示すように、本実施形態に係る空調システムでは、冷却エネルギ量も少なくなる。これは、図18で示した従来の冷却エネルギ(I1+I2)の1/2でよいことが分かる。
図4に、デシカントロータ4の再生温度と再生領域の面積との関係について示す。上述してきた実施形態のように、再生温度を50℃にした場合や、図4(a)に示すように再生温度を55℃にした場合などは、再生領域と除湿領域の面積比は1:1、すなわち、再生領域はロータ面積の1/2としているが、温水コイルHCなどの加熱手段により、再生温度を80℃にした場合、図4(b)に示すように、再生領域はロータ面積の1/4まで小さくできる可能性がある。
図4(b)においては、第2排気流路22に臨ませたデシカントロータ4の下半分の前後を遮るように、所定高さの障害壁5を第2排気流路22の底面から立設して流路を絞るようにしているが、デシカントロータ4自体を小径に構成することもできる。このような小型のデシカントロータ4を使用できるとなれば、設備用ケーシング1の小型化が図れることになり、よりコンパクトな空調システムが実現できる。
すなわち、図1及び図4(a)に示した本実施形態に係る空調システムは、設備用ケーシング1の寸法を、長さ3500mm、高さ3200mm、幅2000mmとし、全熱交換器3及びデシカントロータ4のロータ径を1500mmとしているが、図4(b)に示すように、デシカントロータ4の再生領域の面積をロータ面積の1/4程度にした場合は、設備用ケーシング1の寸法を、長さは変わらず3500mmであるが、高さは2750mm、幅は1700mm程度まで縮小することできる。
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図6は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図であり、本実施形態では、凝縮器COND、蒸発器EVAP、圧縮器COMPRを具備するとともに熱媒体としてガスを利用したヒートポンプHPを組み込んだ空調システムとして、ヒートポンプHPの排熱を利用してデシカントロータ4を再生可能としている。なお、この第2の実施形態に係る空調システムについても、第1の実施形態同様、矩形箱状の設備用ケーシング1に各装置が配設されており、給気流路20に蒸発器EVAPを配設し、排気流路(第1排気流路21又は第2排気流路22)に圧縮器COMPR及び凝縮器CONDを配設している。なお、前述の第1実施形態においては、「熱交換器」として冷温水コイルCHC及び温水コイルHCがその機能を果たしていたが、ここでは、蒸発器EVAP及び凝縮器CONDが「熱交換器」として機能している。
図5は第2の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図6は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図であり、本実施形態では、凝縮器COND、蒸発器EVAP、圧縮器COMPRを具備するとともに熱媒体としてガスを利用したヒートポンプHPを組み込んだ空調システムとして、ヒートポンプHPの排熱を利用してデシカントロータ4を再生可能としている。なお、この第2の実施形態に係る空調システムについても、第1の実施形態同様、矩形箱状の設備用ケーシング1に各装置が配設されており、給気流路20に蒸発器EVAPを配設し、排気流路(第1排気流路21又は第2排気流路22)に圧縮器COMPR及び凝縮器CONDを配設している。なお、前述の第1実施形態においては、「熱交換器」として冷温水コイルCHC及び温水コイルHCがその機能を果たしていたが、ここでは、蒸発器EVAP及び凝縮器CONDが「熱交換器」として機能している。
図5からもわかるように、本実施形態に係る空調システムにより処理される空気の温度、湿度の変化についは、第1の実施形態(図2参照)と同様である。
すなわち、設備用ケーシング1内に導入されたときの外気(○付き数字1)が温度33℃、絶対湿度19.5g/kgの場合、全熱交換器3を通過して全熱交換されると絶対湿度10.5g/kgまで除湿される(○付き数字2)。そして、ヒートポンプHPの蒸発器EVAPを介して目的とする温度である26℃まで冷却され(○付き数字3)、給気用送風機S−FANを介して室内へと供給される。
一方、室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気と略同条件の下にあり、気温略26℃、湿度略50%(絶対湿度略10.5g/kg)の低温低湿の空気となっている(○付き数字4)。そして、かかる還気は、デシカントロータ4の除湿領域を通過して、さらに除湿されて絶対湿度略8.5g/kgとなり(○付き数字5)、全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域に通過させる。前述したように、このとき、還気の温度は吸着熱によって外気温度と略等しくなっている。
全熱交換器3で外気と全熱交換された還気は、水分を受け取って絶対湿度略17g/kgとなる(○付き数字6)。そして、ヒートポンプHPの圧縮器COMPRにより圧縮されて高温化されたガスにより還気は凝縮器CONDで熱交換されて47℃程度まで温度上昇する。このとき、相対湿度は湿度略28%程度に下がり(○付き数字7)、その状態でデシカントロータ4の除湿領域を通過させる。
デシカントロータ4を通過した排気はデシカントロータ4から水分を受け取り、○付き数字1で示した外気と略同様の湿度を有する空気となって(○付き数字8)排出される。なお、排気温度としては略41℃程度である。
上述してきたように、本実施形態においてもデシカントロータ4自体の除湿量は少なくて済むため、再生させる再生空気の温度も50℃程度の低温でよく、また、冷却エネルギ量も少なくなる。このように、本発明は、ヒートポンプHPの低温排熱を利用することが可能である。
(第2の実施形態の変形例)
図7は第2の実施形態の変形例に係る空調システムにおける空気の状態線図、図8は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
図7は第2の実施形態の変形例に係る空調システムにおける空気の状態線図、図8は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
本変形例では、ヒートポンプHPの蒸発器EVAPを第1排気流路21に配設した構成としており、デシカントロータ4をさらに低温再生可能としている。
以下、この空調システムにより処理される空気の温度、湿度の変化について、図7及び図8に示した○付き数字に沿って説明する。なお、この場合も、設備用ケーシング1内に導入されたときの外気(○付き数字1)は温度33℃、絶対湿度19.5g/kgとしている。
設備用ケーシング1内に導入された外気は、全熱交換器3を通過して全熱交換されて絶対湿度10.5g/kgまで除湿されるとともに、略26℃まで冷却され(○付き数字2)、給気用送風機S−FANを介して室内へと供給される。
このとき、この外気と全熱交換される還気は、蒸発器EVAPによって17℃程度まで冷却され(○付き数字3→4)、その後、デシカントロータ4を通過して温度上昇して24℃程度になっている(○付き数字5)。
このとき、この外気と全熱交換される還気は、蒸発器EVAPによって17℃程度まで冷却され(○付き数字3→4)、その後、デシカントロータ4を通過して温度上昇して24℃程度になっている(○付き数字5)。
室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気(○付き数字2)と略同条件の下にあり、気温略26℃、湿度略50%(絶対湿度略10.5g/kg)の低温低湿の空気となっている(○付き数字3)。
そして、かかる還気は、前述したように、ヒートポンプHPの蒸発器EVAPによって17℃程度まで冷却されて(○付き数字4)、デシカントロータ4の除湿領域を通過して除湿され、絶対湿度略8.5g/kgとなる(○付き数字5)。このとき、還気の温度は吸着熱によって略24℃となる。
そして、略24℃で絶対湿度略8.5g/kgの還気は全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域を通過し、外気と全熱交換されて水分を受け取り、絶対湿度略17g/kgとなる(○付き数字6)。このとき、温度は31℃程度まで上昇する。
その後、還気はヒートポンプHPの圧縮器COMPRにより圧縮されて高温化されたガスにより凝縮器CONDで熱交換されて37℃程度まで温度上昇する(○付き数字7)。このとき、相対湿度は湿度略42%であり、その状態でデシカントロータ4の除湿領域を通過させる。
デシカントロータ4を通過した排気はデシカントロータ4から水分を受け取り、○付き数字1で示した外気と略同様の湿度(絶対湿度19.5g/kg)を有する空気となって排出される(○付き数字8)。なお、排気温度は略31℃程度である。
上述してきたように、本変形例では、大気中に放出される排熱が31℃程度に抑えられるため、社会問題でもあるヒートアイランド化の抑制に寄与することが可能である。そして、この場合、40℃未満の温度でデシカントロータ4を再生させることが可能となる。
(第3の実施形態)
図9は第3の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図10は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
本実施形態では、図7及び図8を用いて説明した第2の実施形態の変形例で用いたヒートポンプHPに代えて、室内からの還気をデシカントロータ4に導入して除湿する前に、予め冷水コイルCCで冷却するとともに、デシカントロータ4を再生する際の加熱手段として温水コイルHCを利用したものである。したがって、図9からもわかるように、本実施形態に係る空調システムにより処理される空気の温度、湿度の変化についは図7と同様である。
図9は第3の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図10は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
本実施形態では、図7及び図8を用いて説明した第2の実施形態の変形例で用いたヒートポンプHPに代えて、室内からの還気をデシカントロータ4に導入して除湿する前に、予め冷水コイルCCで冷却するとともに、デシカントロータ4を再生する際の加熱手段として温水コイルHCを利用したものである。したがって、図9からもわかるように、本実施形態に係る空調システムにより処理される空気の温度、湿度の変化についは図7と同様である。
すなわち、温度33℃、絶対湿度19.5g/kgの外気が設備用ケーシング1内に導入されると(○付き数字1)、全熱交換器3を通過して全熱交換されて絶対湿度10.5g/kgまで除湿されるとともに、略26℃まで冷却され(○付き数字2)、給気用送風機F1を介して室内へと供給される。
一方、室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気(○付き数字2)と略同条件の下にあり、気温略26℃、湿度略50%(絶対湿度略10.5g/kg)の低温低湿の空気となっている(○付き数字3)。
そして、かかる還気は、冷水コイルCCによって17℃程度まで冷却されて(○付き数字4)、デシカントロータ4の除湿領域を通過して除湿され、絶対湿度略8.5g/kgとなる(○付き数字5)。このとき、還気の温度は吸着熱によって略24℃となる。
そして、略24℃で絶対湿度略8.5g/kgの還気は全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域を通過し、外気と全熱交換されて水分を受け取り、絶対湿度略17g/kgとなる(○付き数字6)。このとき、温度は31℃程度まで上昇する。
その後、還気は温水コイルHCにより加熱されて37℃程度まで温度上昇する(○付き数字7)。このとき、相対湿度は湿度略42%であり、その状態でデシカントロータ4の除湿領域を通過させる。
デシカントロータ4を通過した排気はデシカントロータ4から水分を受け取り、○付き数字1で示した外気と略同様の湿度(絶対湿度19.5g/kg)を有する空気となって排出される(○付き数字8)。なお、排気温度は略31℃程度であり、この場合も大気中に放出される排熱の高温化を抑制できる。
以上、本発明を、上述した各実施形態を通して説明したが、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱することのない限り、適宜設計変更してもよい。なお、本発明に係る空調システムは、上述してきたように、夏季の冷房運転時に極めて大きな省エネ効果などを発揮するが、夏季の冷房運転には必要なデシカントロータ4の作動や、このデシカントロータ4の再生用に用いた温水コイルHC(図3参照)の作動を停止させておくことで、本空調システムは冬季運転においても何ら問題なく使用することができる。
(第4の実施形態)
図11は第4の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図12は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
本実施形態では、矩形箱状の設備用ケーシング1に各装置が配設されており、全熱交換器3の下流側に銅チューブからなる温水コイルHCを配設して給気用の加熱手段として、この温水コイルHCに不凍液又はブラインを通すと共に、排気流路(第2排気流路22)のデシカントロータ4の直上流側に銅チューブからなる冷水コイルCCを配設して排気用の冷却手段とし、この冷水コイルCCに、不凍液又はブラインを通し、デシカントロータ4の除湿領域の還気と再生領域の排気との間で相対湿度に変化をつけて、その相対湿度を利用しデシカントロータ4の再生領域で排気の加湿を行うようにしている。
図11は第4の実施形態に係る空調システムにおける空気の状態線図、図12は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
本実施形態では、矩形箱状の設備用ケーシング1に各装置が配設されており、全熱交換器3の下流側に銅チューブからなる温水コイルHCを配設して給気用の加熱手段として、この温水コイルHCに不凍液又はブラインを通すと共に、排気流路(第2排気流路22)のデシカントロータ4の直上流側に銅チューブからなる冷水コイルCCを配設して排気用の冷却手段とし、この冷水コイルCCに、不凍液又はブラインを通し、デシカントロータ4の除湿領域の還気と再生領域の排気との間で相対湿度に変化をつけて、その相対湿度を利用しデシカントロータ4の再生領域で排気の加湿を行うようにしている。
図11に示すように、設備用ケーシング1内に導入されたときの外気(○付き数字1)が温度0℃、絶対湿度2g/kgの場合、全熱交換器3を通過して全熱交換されると絶対湿度8g/kgまで加湿される(○付き数字2)。そして、温水コイルHCを介して目的とする温度である22℃まで加熱され(○付き数字3)、給気用送風機S−FANを介して室内へと供給される。
一方、室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気と略同条件の下にあり、気温略22℃、湿度略50%(絶対湿度略8g/kg)の高温高湿の空気となっている(○付き数字3)。そして、かかる還気は、デシカントロータ4を通過した還気はデシカントロータ4から水分を受け取って絶対湿度略9.5g/kgとなり(○付き数字4)、全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域に通過させる。
全熱交換器3で外気と全熱交換された還気は、除湿され絶対湿度略3.5g/kgとなる(○付き数字5)。そして、冷水コイルCCにより冷却されて0℃程度まで温度低下する。このとき、相対湿度は湿度略100%程度に上がり(○付き数字6)、その状態でデシカントロータ4の除湿領域を通過させる。
デシカントロータ4を通過した排気はデシカントロータ4により除湿され、○付き数字1で示した外気と略同様の湿度を有する空気となって(○付き数字7)排出される。なお、排気温度としては略4℃程度である。
上述してきたように、本実施形態においてはデシカントロータ4により排気流路(第1排気流路21)を通過する還気を加湿するため、給気流路20を通過する外気は全熱交換器3により加湿される。このように、本実施形態によれば、冬季の暖房時においては、デシカントロータ4を利用して外気を加熱すると共に加湿することができる。
特に、デシカントロータ4を利用することで、排気流路(第2排気流路22)を通過する排気中の水分を吸湿し、この吸湿した水分を排気流路(第1排気流路21)を通過する還気中に放湿し、この排気流路(第1排気流路21)を通過する還気と給気とを全熱変換することで給気に放湿するようにしたので、外部から新たに給水することがなく、無給水加湿を行うことができる。
ところで、冬季等の温度が低い(例えば、0℃以下)場合に、冷水コイルCC中の冷却手段として冷水を用いると、この冷水が凍結して氷になることで膨張し、冷水コイルCCの銅チューブを破損して漏水する場合があるが、本実施形態では、この冷却手段として不凍液又はブラインを用いるようにしたので、冷水コイルCCの銅チューブ等からなる熱交換器を破損することなく、空気調和システムを動作させることができる。
なお、第4の実施形態の空調システムに対して、上述したヒートポンプHPを組み込むこともできる。例えば、第4の実施形態の空調システムに対してヒートポンプを組み込む場合には、給気流路20に圧縮器COMPR及び凝縮器CONDを配設し、排気流路(第1排気流路21又は第2排気流路22)に蒸発器EVAPを配設した構成としている。この場合には、ヒートポンプHPの低温排熱を利用することが可能となる。また、ガスを熱媒体とするヒートポンプHPを組み込むことで、温度が低い場合であっても、蒸発器EVAP及び凝縮器CONDなどの熱交換器を破損することがないため、不凍液又はブラインといった特別な冷却手段を用いることなく、排気流路(第2排気流路22)を通過する排気を冷却することができる。
ところで、冷却コイルCCにブラインを通す場合は、冷水コイルCCだけでなく、例えば、温水コイルHC等の空調システム全体の配管内にもブラインを通す必要があり、更には、空調システム以外の設備機器(例えば、熱源)もブラインを利用するため仕様にする必要があるため、空調システム及びそれ以外の設備機器の設備費用が増加する。そこで、本実施形態では、空調システムに対してヒートポンプHPを組み込むようにしたので、空調システム全体の配管内にブラインを通したり、空調システムの設備機器をブライン仕様にしたりする必要がなく、空調システム及びそれ以外の設備機器の設備費用を低減することができる。
(第4の実施形態の変形例)
図13は第4の実施形態の変形例に係る空調システムにおける空気の状態線図、図14は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
図13は第4の実施形態の変形例に係る空調システムにおける空気の状態線図、図14は同空調システムの基本構成を示す模式的説明図である。
本変形例では、矩形箱状の設備用ケーシング1に各装置が配設されており、排気流路(第1排気流路21)に温水コイルHCを配設して第1排気流路21を通過する還気用の加熱手段として、この温水コイルHCに不凍液又はブラインを通すと共に、排気流路(第2排気流路22)のデシカントロータ4の直上流側に冷水コイルCCを配設して第2排気流路22を通過する排気用の冷却手段として、この冷水コイルCCに、不凍液又はブラインを通し、上記第4の実施形態と同様に、デシカントロータ4の除湿領域の還気と再生領域の排気との間で相対湿度に変化をつけて、その相対湿度を利用しデシカントロータ4の再生領域で排気の加湿を行うようにしている。
図13からもわかるように、本実施形態に係る空調システムにより処理される空気の温度、湿度の変化についは、第2の実施形態(図11参照)と同様である。
すなわち、設備用ケーシング1内に導入されたときの外気(○付き数字1)が温度0℃、絶対湿度2g/kgの場合、全熱交換器3を通過して全熱交換されると絶対湿度8g/kgまで加湿される(○付き数字2)。そして、給気用送風機S−FANを介して室内へと供給される。
一方、室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気と略同条件の下にあり、気温略22℃、湿度略50%(絶対湿度略8g/kg)の高温高湿の空気となっている(○付き数字3)。そして、かかる還気は、温水コイルHCを介して目的とする温度である29℃まで加熱され(○付き数字4)、デシカントロータ4を通過した還気はデシカントロータ4から水分を受け取って絶対湿度略9.5g/kgとなり(○付き数字5)、全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域に通過させる。
全熱交換器3で外気と全熱交換された還気は、除湿され絶対湿度略3.5g/kgとなる(○付き数字6)。そして、冷水コイルCCにより冷却されて0℃程度まで温度低下する。このとき、相対湿度は湿度略90%程度に上がり(○付き数字7)、その状態でデシカントロータ4の除湿領域を通過させる。
デシカントロータ4を通過した排気はデシカントロータ4により除湿され、○付き数字1で示した外気と略同様の湿度を有する空気となって(○付き数字8)排出される。なお、排気温度としては略4℃程度である。
上述してきたように、第4の実施形態の空調システムと同様に、本変形例においてはデシカントロータ4により排気流路(第1排気流路21)を通過する還気を加湿するため、給気流路20を通過する外気は全熱交換器3により加湿される。このように、本変形例によれば、冬季の暖房時においては、デシカントロータ4を利用して外気を加熱すると共に加湿することができる。特に、デシカントロータ4を利用することで、排気流路(第2排気流路22)を通過する排気中の水分を吸湿し、この吸湿した水分を排気流路(第1排気流路21)を通過する還気中に放湿し、この排気流路(第1排気流路21)を通過する還気と給気とを全熱変換することで給気に放湿するようにしたので、外部から新たに給水することがなく、無給水加湿を行うことができる。
なお、第4の実施形態の変形例の空調システムに対してヒートポンプHPを組み込む場合には、ヒートポンプHPの圧縮器COMPR及び凝縮器CONDを第1排気流路21に配設した構成としている。この場合には、ヒートポンプHPの低温排熱を利用することが可能となる。これにより、上述した第4の実施形態の空調システムと同様の効果が得られる。
(参考例)
参考例として、本空調システムを、デシカントロータ4を作動させることなく冬季の暖房運転に使用した場合について、図15及び図16を参照して簡単に説明する。ここでも、空気の温度、湿度の変化について、図中の○付き数字に沿って説明する。なお、ここでは全熱交換器3の下流側に冷温水コイルCHCを配設して、給気用の加熱手段として、この冷温水コイルCHCに温水を通すようにしている。
参考例として、本空調システムを、デシカントロータ4を作動させることなく冬季の暖房運転に使用した場合について、図15及び図16を参照して簡単に説明する。ここでも、空気の温度、湿度の変化について、図中の○付き数字に沿って説明する。なお、ここでは全熱交換器3の下流側に冷温水コイルCHCを配設して、給気用の加熱手段として、この冷温水コイルCHCに温水を通すようにしている。
冬季時の外気を温度略2℃、絶対湿度2.5g/kgとすると(○付き数字1)、全熱交換器3を通過して全熱交換された外気は、絶対湿度7g/kgまで加湿されるとともに、18℃まで加温される(○付き数字2)そして、全熱交換器3を通過した外気は冷温水コイルCHCに流す温水により、目的とする温度である略22℃まで加温され(○付き数字3)、次いで、加湿器HUによって相対湿度略50%(絶対湿度略8.5g/kg)程度まで加湿された調和空気として(○付き数字4)室内へと供給される。
一方、室内から第1排気流路21に流入してきた還気は、給気と略同条件の下にあり(○付き数字5)、かかる還気は、デシカントロータ4の除湿領域を通過するが、デシカントロータ4は作動しておらず、除湿機能も停滞した状態のままなので、ロータ通過後の還気の状態は、通過前と変化していない(○付き数字5)。
したがって、温度略22℃、絶対湿度略8.5g/kgの還気が全熱交換器3の第1排気流路21に臨む領域を通過して外気と全熱交換され、水分を放出して絶対湿度略4g/kgとなるとともに、略7℃まで冷却される(○付き数字6)。
かかる還気をそのまま排出すればよいのであるが、図16に示すように、夏季にも用いることができるように、第2排気流路22には温水コイルHCが配設されているため、ここでは全熱交換器3で熱交換された還気は温水コイルHCをバイパスさせた後にデシカントロータ4を通過させて排気するようにしている。なお、ここではデシカントローラ4の機能も停止させた状態であるため、デシカントロータ4をバイパスさせて排気してもよいことは当然である。
ところで、実施形態で用いた冷水コイルCCとしては、夏場には冷水を通し、冬場には温水を通す冷温水コイルCHCを用いてもよいし、デシカントロータ4の再生用として用いた温水コイルHCは蒸気コイルと置換することができる。また、第2の実施形態で説明したように、ヒートポンプHPを利用する場合は、冷水コイルCCや冷温水コイルCHCは蒸発器EVAPと置換できるし、温水コイルHCは凝縮器CONDと置換できる。
上述してきた実施形態から、以下の空調方法、及び空調システムが実現できる。
(1)外気と室内からの還気とを全熱交換器3により全熱交換して、全熱交換された外気を室内に供給する空気調和方法であって、前記外気を前記全熱交換器3に直接導入する一方、前記還気を、予めデシカントロータ4を用いて除湿した後に前記全熱交換器3に導入する空気調和方法。
(1)外気と室内からの還気とを全熱交換器3により全熱交換して、全熱交換された外気を室内に供給する空気調和方法であって、前記外気を前記全熱交換器3に直接導入する一方、前記還気を、予めデシカントロータ4を用いて除湿した後に前記全熱交換器3に導入する空気調和方法。
(2)外気を取り入れて室内に供給する給気流路20と、室内からの還気を系外へ排気する排気流路(例えば、第1排気流路21と第2排気流路22とからなる)と、前記給気流路20側で蓄熱及び吸湿する一方、前記排気流路側で放熱及び放湿するロータを有する全熱交換器3と、前記排気流路の中途に配設され、前記還気を、前記全熱交換器3を通過させる前に予め除湿するデシカントロータ4とを備えた空気調和システム。
(3)前記全熱交換器3は、前記ロータを通過する前記給気流路20の前記外気と前記排気流路(例えば、第1排気流路21)の前記還気とが対向流を形成するように、前記給気流路20と前記排気流路とに跨るように配設されており、前記排気流路は、前記全熱交換器3に至るまでの第1排気流路21と、前記全熱交換器3を通過して流路終端に向かう第2排気流路22とから構成され、前記デシカントロータ4は、当該デシカントロータ4を通過する前記第1排気流路21の還気と前記第2排気流路22の排気とが対向流を形成するように、前記第1排気流路21と前記第2排気流路22とに跨るように配設され、前記第1排気流路21側で吸湿する一方、前記第2排気流路22側で放湿する空気調和システム。
(4)前記給気流路20と前記排気流路(例えば、第1排気流路21と第2排気流路22とからなる)とはそれぞれ互いに区画された独立流路である空気調和システム。
(5)温調用のヒートポンプHPを備え、このヒートポンプHPの排熱を前記デシカントロータ4の再生用熱源とした空気調和システム。
1 設備ケーシング
3 全熱交換器
4 デシカントロータ
20 給気流路
21 第1排気流路
22 第2排気流路
3 全熱交換器
4 デシカントロータ
20 給気流路
21 第1排気流路
22 第2排気流路
Claims (2)
- 前記全熱交換器は、前記ロータを通過する前記給気流路の前記外気と前記排気流路の前記還気とが対向流を形成するように、前記給気流路と前記排気流路とに跨るように配設されており、
前記排気流路は、前記全熱交換器に至るまでの第1排気流路と、前記全熱交換器を通過して流路終端に向かう第2排気流路とから構成され、
前記デシカントロータは、
当該デシカントロータを通過する前記第1排気流路の還気と前記第2排気流路の排気ととが対向流を形成するように、前記第1排気流路と前記第2排気流路とに跨るように配設され、前記第1排気流路側で吸湿する一方、前記第2排気流路側で放湿することを特徴とする請求項2記載の空気調和システム。 - 前記全熱交換器は、前記ロータを通過する前記給気流路の前記外気と前記排気流路の前記還気とが対向流を形成するように、前記給気流路と前記排気流路とに跨るように配設されており、
前記排気流路は、前記全熱交換器に至るまでの第1排気流路と、前記全熱交換器を通過して流路終端に向かう第2排気流路とから構成され、
前記デシカントロータは、
当該デシカントロータを通過する前記第1排気流路の還気と前記第2排気流路の排気とが対向流を形成するように、前記第1排気流路と前記第2排気流路とに跨るように配設され、前記第1排気流路側で放湿する一方、前記第2排気流路側で吸湿することを特徴とする請求項4記載の空気調和システム。
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- 2008-12-19 JP JP2008323431A patent/JP5917787B2/ja active Active
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