JP2010043393A - 透かし模様入り多層抄き合わせ紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 抄紙機におけるダンディロールを用いることなく、また、微細な穿孔を施すことなく、多層紙を構成する一つの層に透かし模様形成部を形成することにより、改ざん防止及び複製防止の効果に優れた透かし模様入り多層抄き合わせ紙を提供する。
【解決手段】 不織布に微細な凹凸による透かし模様形成部が形成され、不織布上に上層紙層を積層することで、凸部に対する繊維量と、凹部に対する繊維量の差により透かし模様が形成され、必要に応じて、不織布に対して下層紙層を積層した透かし模様入り多層抄き合わせ紙である。
【選択図】図1

Description

本発明は、銀行券、パスポート、有価証券、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品に適用することが可能な透かし模様入り用紙に関するものである。
現在、銀行券、パスポート、有価証券、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等には、様々な偽造防止技術が用いられている。例えば、紙自体に施される技術としては、透かし模様入り用紙、多層紙等が挙げられる。透かし模様入り用紙は、白すき入れ、黒すき入れ及び白黒すき入れの各模様が挙げられ、その美しさから意匠性に優れ、さらに偽造防止の効果も有する。通常、透かし模様入り用紙の透かし模様は、透過光により判別される。代表的なものとしては、銀行券の肖像が挙げられる。
透かし模様は、幾つかの手法によって形成することが可能である。例えば、透かし模様は、抄造工程中のワイヤーパートにおいて、ダンディロールと称される透水性の押さえ網をロール表面に設けた装置が紙料ウェブに作用し、ダンディロール表面に設けた模様に対応した形状を有する凹凸によって、紙料ウェブの一部に厚さや密度変化等の坪量変化を与えて形成される。
また、ダンディロールは、下網ロールに上網ロールの凹凸部に対応した凹凸部を支える形状が形成され、凹凸部が裏側から凹凸部を支える形状に対して嵌め合わされる構造を採るため、上網ロールを紙料ウェブに作用させたときに、凹凸部の裏側が下網ロールにより均等に保持され、したがって凹凸部の変形が防止でき、すき入れ用ダンディロールを長期にわたり使用可能となる。したがって、すき入れ成形用凹凸部は、用紙製造において鮮明な一定品質の透かし模様紙を、長期間にわたり安定して製造することができる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、擬似的なすき入れとしては、和紙等の透過性のある用紙に、0.05mm以下の透明又は半透明の樹脂フィルムを接着剤にて貼着して構成される用紙であって、その樹脂フィルムに適宜パターン上の切抜部又は薄膜部による透かし模様が施されていることを特徴とする透かし模様入り用紙が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
多層紙としては、抄紙機の無端抄紙網上で中層にシートを挿入し、上下を複数の原料層流で挟み混み、無端抄紙網上で多層のウェットウェブを構成し、中間層にガラスフレークを混合した指感性材料により、所定の部分に凹凸部を形成し、用紙外部からその凹凸形状による触感を利用して所定の情報を識別するという、識別マークが施された多層抄き合わせ紙に関する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
さらには、多層抄き厚紙を製造する円網抄紙機の中間層を形成する円網に、凹凸のある簀の目模様を用いて透かし模様を形成した簀の目模様の厚紙およびその製造方法に関する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2001−55680号公報 実開平06−59043号公報 特開2006−283238号公報 特開平11−93098号公報
しかしながら、特許文献1記載の透かし模様を有する用紙の製造方法は、すき入れ用ダンディロールによって透かし模様を形成するもので、すき入れ用ダンディロールを作製して大量の透かし模様入り用紙を作製するため、一旦、すき入れ用ダンディロールを作製すると、そのすき入れ用ダンディロールに形成された透かし模様は固定化してしまうため、透かし模様のデザインを変更するには、新たにすき入れ用ダンディロールを作製する必要があった。そのため、個々の透かし模様入り用紙に個別情報又は模様を付与することは、実質的に不可能であった。
また、特許文献2記載の透かし模様入り用紙は、熱可塑性樹脂フィルムに適宜パターンを熱溶融処理により形成することが可能であり、透かし模様の変更等も比較的容易に可能な技術ではあるが、透かし模様を形成した熱可塑性樹脂フィルムが、用紙表面に露出していることから、剥離されてしまうというおそれがあり、偽造防止効果としては問題があった。
また、特許文献3記載の多層抄き合わせ紙については、多層紙を構成している中間層にガラスフレークが混合された指感性材料を付与することにより、凹凸形状を形成するものであり、外部からの剥離行為を困難とする技術ではあるが、特許文献3記載の技術は、凹凸形状による識別情報を触感により識別することが目的であり、その情報は、視覚障害者により識別可能となる単純なる凹凸形状となっており、透かし模様のような、目視にて認識可能な有意味画像ではなかった。
また、特許文献4記載の簀の目模様の厚紙については、多層紙の中間層に透かし模様を形成する技術ではあるが、その透かし模様は、単純な簀の目模様であり、絵柄や図柄等の意匠性を有するものではなかった。しかも、製造方法としては、円網抄紙機の円網1本を所望の簀の目模様となるような針金の線構成とする必要性があり、透かし模様のデザインを変更するには、新たに円網を作製する必要があった。そのため、個々のすき入れ入り用紙に個別情報又は模様を付与することは実質的に不可能であった。
本発明は、前述した問題点を解決することを目的としたもので、抄紙網上に、先行紙料から得られる下層の懸濁液状の紙層と、微細な凹凸によって形成される透かし模様が形成された透かし模様形成部が、片面又は両面に形成された不織布と、後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層が順次層状に乾燥し、形成されて成る多層抄き合わせ紙であって、不織布に透かし模様形成部を形成することによって、すき入れ用ダンディロールを用いることなく、不織布に微細な穿孔を施すことなく、紙自体にすき入れから成る個別情報又は模様を形成できることを見出した。不織布に透かし模様形成部を形成することによって、改ざん防止効果及び複製防止効果に優れ、透かし模様のデザインの柔軟性がある透かし模様入り多層抄き合わせ紙及びその製造方法を提案するものである。
また、用紙自体に付与される偽造防止技術として、透かし模様だけではなく、他の偽造防止技術との融合が望まれている中で、印刷により複数の偽造防止技術を付与することとは異なり、用紙の製造過程の中で、それぞれの偽造防止要素の位置合わせを行うことが非常に困難であった。そこで、本発明は、紙層内に付与する偽造防止要素に対して、高度な制御装置を用いなくとも、透かし模様と他の偽造防止技術とを定位置に付与することが可能な多層抄き合わせ紙を提供するものである。
本発明は、上層紙層と透かし模様が形成された透かし模様形成層の少なくとも2層から成る多層抄き合わせ紙において、透かし模様形成層は、上層紙層側の少なくとも一部に形成された透かし模様形成部を有し、透かし模様形成部には、透かし模様形成部が形成された透かし模様形成層を構成する基材に対して、所定の高さを有する凸部及び凸部から凹んだ凹部を有し、透かし模様形成部の凸部に対する上層紙層の繊維量と、凹部の上層紙層の繊維量の差により透かし模様が形成され、上層紙層及び透かし模様形成層の外側表面の全面が平滑性を有していることを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙である。
本発明は、上層紙層と下層紙層と少なくとも1層から成る中間層から構成される多層抄き合わせ紙において、中間層は、上層紙層と中間層の層間の少なくとも一部に形成された透かし模様形成部を有し、透かし模様形成部には、透かし模様形成部が形成された中間層を構成する基材に対して、所定の高さを有する凸部及び凸部から凹んだ凹部を有し、透かし模様形成部の凸部に対する上層紙層及び/又は下層紙層の繊維量と、凹部の上層紙層及び/又は下層紙層の繊維量の差により透かし模様が形成され、上層紙層及び下層紙層の外側表面の全面が平滑性を有していることを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙である。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、中間層又は透かし模様形成層を構成する基材が、厚さが10〜200μmの不織布であることを特徴とする。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、透かし模様形成部が、光透過性フィルム又はアルミ箔から成ることを特徴とする。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、透かし模様形成部が、紫外線硬化型の無色透明インキにより形成されたことを特徴とする。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、中間層の透かし模様形成部とは異なる領域、上層紙層及び/又は下層紙層の透かし模様形成部に対応する領域とは異なる領域のいずれか一つの領域に、透かし模様とは異なる偽造防止要素が形成されていることを特徴とする。
本発明は、上層紙層と透かし模様が形成された透かし模様形成層の少なくとも2層から成る透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、あらかじめ透かし模様形成層の表面の少なくとも一部に、所定の高さを有する凸部及び凸部から凹んだ凹部を用いて透かし模様形成部を付与し、透かし模様形成部が形成された透かし模様形成層を抄紙機に供給し、透かし模様形成層の透かし模様形成部が付与された側の上面全体に対して、上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、積層された上層紙層及び透かし模様形成層を脱水しながら、透かし模様形成部の凸部に対する上層紙層の繊維量と、凹部の上層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法である。
本発明は、上層紙層と下層紙層と少なくとも1層から成る中間層から構成される透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、あらかじめ中間層の少なくとも一部の表面に、所定の高さを有する凸部及び凸部から凹んだ凹部を用いて透かし模様形成部を付与し、透かし模様形成部が上面になるように、中間層を抄紙機に供給し、中間層の透かし模様形成部が付与された側の下面全体に対して、下層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、中間層の透かし模様形成部が付与された側の上面全体に対して、上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、積層された上層紙層、中間層及び下層紙層を脱水しながら、透かし模様形成部の凸部に対する上層紙層の繊維量と、凹部の上層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法である。
本発明は、上層紙層と透かし模様が形成された透かし模様形成層の少なくとも2層から成る透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、透かし模様が形成されていない段階の透かし模様形成層を抄紙機に供給し、抄紙機に供給された前記透かし模様形成層の上面の少なくとも一部の表面に、所定の高さを有する凸部及び凸部から凹んだ凹部を用いた透かし模様形成部を付与し、透かし模様形成層の透かし模様形成部が付与された側の上面全体に対して、上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、積層された上層紙層及び透かし模様形成層を脱水しながら、透かし模様形成部の凸部に対する上層紙層の繊維量と、凹部の上層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法である。
本発明は、上層紙層と下層紙層と少なくとも1層から成る中間層から構成される透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、透かし模様が形成されていない段階の中間層を抄紙機に供給し、抄紙機に供給された中間層の上面の少なくとも一部の表面に、所定の高さを有する凸部及び凸部から凹んだ凹部を用いた透かし模様形成部を付与し、中間層の透かし模様形成部が付与された側の下面全体に対して、下層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、中間層の透かし模様形成部が付与された側の上面全体に対して、上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、積層された上層紙層、中間層及び下層紙層を脱水しながら、透かし模様形成部の凸部に対する上層紙層の繊維量と、凹部の上層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法である。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法は、透かし模様形成層又は中間層に、透かし模様と異なる偽造防止要素を、抄紙機に供給する前の段階であらかじめ形成又は脱水時において形成することを特徴とする。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法は、脱水後に、透かし模様形成部及び/又は透かし模様と異なる偽造防止要素の位置を検出し、あらかじめ設定されている正規の位置とのずれ量により位置ずれを修正することを特徴とする。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法は、中間層又は透かし模様形成層を構成する基材が、厚さが10〜200μmの不織布であることを特徴とする。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法は、透かし模様形成部が、光透過性フィルム又はアルミ箔から成ることを特徴とする。
また、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法は、透かし模様形成部が、紫外線硬化型の無色透明インキにより形成されたことを特徴とする。
本発明による多層抄き合わせ紙は、抄紙網上に、先行紙料から得られる下層の懸濁液状の紙層と、微細な凹凸によって形成された透かし模様が形成された透かし模様形成部が片面又は両面に形成された不織布と、後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層が順次層状に乾燥し、形成されて成る多層抄き合わせ紙であることから、不織布に透かし模様形成部を形成することによって、すき入れ用ダンディロールを用いることなく、紙自体に透かし模様を形成できる。
本発明による多層抄き合わせ紙は、透かし模様形成部の微細な凹凸に、上層紙料が入り込んで、繊維量の差異により透かし模様を形成するものであるため、作製された多層抄き合わせ紙は、全面にわたって平滑性を帯びており、外部からの確認では、中間層に形成された微細な凹凸自体の存在を確認することは出来ず、さらには、後工程において、透かし模様上に印刷模様を印刷すること可能となり、用紙と印刷における融合した偽造防止技術を付与することも可能である。
本発明による多層抄き合わせ紙は、透かし模様を多層紙の中間層に形成するため、用紙外部から中間層に形成された透かし模様形成部を剥離して、偽造又は改ざんを施すことが困難となり、偽造防止効果に優れた用紙を提供することができる。
本発明による多層抄き合わせ紙は、多層紙を構成する中間層に付与するため、同じ中間層に付与可能な他の偽造防止要素との位置あわせが容易となり、高度な制御装置を必要とせず、用紙内部に透かし模様と他の偽造防止要素を定位置に施すことができる。
本発明による多層抄き合わせ紙は、透かし模様を多層紙の中間層に形成するため、異なる透かし模様を用紙に付与したい際には、所望の透かし模様の形状の樹脂フィルムや所定の盛り量を有する画線により透かし模様を印刷して、中間層に形成することが可能であり、同じ巻取紙の中で透かし模様を変更することもでき、更には異なる透かし模様を付与するための作業も容易である。
本発明による多層抄き合わせ紙は、すき入れのデザインの柔軟性、改ざん防止効果及び複製防止効果に優れるため、銀行券、パスポート、有価証券、印紙類、商品タグ、有料道路等の回数券、各種チケット等の貴重品に適用することができる。
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている技術の範疇であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
本発明に記載される「すき入れ」とは、コンピュータ上のデータに付与される「電子すき入れ」とは異なるもので、多層抄き合わせ紙の不織布に形成される透かし模様形成部の微細な凹凸に、先行紙料及び後紙料の少なくとも一つが入り込み、多層抄き合わせ紙の繊維量に変化が生じ、透過光又は反射光で観察した場合に、紙自体に明暗が得られ、すき入れが視認されるものである。
(透かし模様入り多層抄き合わせ紙)
本発明は、抄紙網上に、先行紙料から得られる下層の懸濁液状の紙層、微細な凹凸によって透かし模様が形成された透かし模様形成部を有する中間層の不織布及び後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層が、順次積層されて乾燥し、形成されて成る多層抄き合わせ紙又は微細な凹凸によって透かし模様が形成された透かし模様形成部が付与された不織布と後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層が、順次積層されて乾燥し、形成されて成る多層抄き合わせ紙である。
図1に、先行紙料から得られる下層の懸濁液状の紙層から成る下層紙層(1)、中間層である不織布(2)及び後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層から成る上層紙層(3)から構成された透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A1)と、そのX−X'における断面図を示す。中間層(2)には、透かし模様形成部(4)がスポット状に設けられている。不織布(2)に設けられた透かし模様形成部(4)は、微細な凹凸(5)によって形成される透かし模様(6)が形成されている。なお、不織布に付与される微細な凹凸は、図1に示すように、透かし模様形成部(4)が施されている中間層(2)に対して盛り上がりを有する凸部と、その凸部に対して凹んだ部分となる凹部から成る形状であり、図2に示すような中間層(2)に対して反対側まで凹んだ部分を有するものではない。
また、図3に示すように、不織布(2)を透かし模様形成層(2')とし、その透かし模様形成層(2')の一方の面に透かし模様形成部(4)を形成し、透かし模様形成部(4)が形成されている側に、後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層から成る上層紙層(3)を構成し、下層紙層(1)を設けない2層の構成としても良い。
前述のとおり、本発明については、2層から成る多層抄き合わせ紙と、3層以上から成る多層抄き合わせ紙の形態があるが、本実施の形態においては、3層以上から成る多層抄き合わせ紙を例にとり、以下説明することとする。
透かし模様形成部(4)の微細な凹凸(5)の凹部内は、後紙料(7)が入り込む。微細な凹凸(5)の領域は、凹部内に入り込んだ紙料(7)によって、繊維量(紙の厚さ及び密度)が変化する。微細な凹凸(5)の領域は、その繊維量の変化によって明暗が生じて透かし模様(6)が形成される。当然、透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A1)は、一般的な印刷方式によって印刷領域(P)を付与することもできる。なお、印刷方式は、特に限定されるものではない。
図4は、図1の透かし模様形成部(4)の微細な凹凸(5)の凹部内に入り込んだ紙料(7)の模式的な拡大図である。上層紙層(3)の紙料(7)の各繊維は、透かし模様形成部(4)の微細な凹凸(5)に合って凹部内に入り込んでいることがわかる。領域(Y1)は、透かし模様形成部(4)の厚みが領域(Y2)に比べて厚い凸部であり、上層紙層(3)の領域(Y1)は、領域(Y2)に比べて、繊維密度が低くなり、反対に領域(Y2)は、領域(Y1)に比べて、繊維密度が高くなる。よって、透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A1)は、透過光で観察した場合に、領域(Y1)は、領域(Y2)に比べて、透過光量が高くなり、反対に領域(Y2)は、領域(Y1)に比べて、透過光量が低くなる。よって、透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A1)は、透過光で観察した場合に、透過光量が領域によって異なり、明暗が生じて透かし模様(6)が視認される。
図1の透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A1)は、透かし模様形成部(4)が不織布(2)の表面に1箇所のみ形成されているが、本発明はこれに限定されることなく、図5(a)及び(b)に示すように、透かし模様形成部(4)を不織布(2)の両面又は片面の複数箇所に形成することも可能である。なお、透かし模様形成部(4)を不織布(2)の両面に形成する場合、図5(c)に示すように、上層紙層側の透かし模様形成部(4)の凸部と下層紙層側の透かし模様形成部(4)の凸部及び上層紙層側の透かし模様形成部(4)の凹部と下層紙層側の透かし模様形成部(4)の凹部を同じ位置になるように配置することで、より一層同じ位置における繊維量に差が生じ、鮮明な透かし模様を形成することが可能となる。
また、図1に示した透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A1)は、スポット状に透かし模様形成部(4)が形成されているが、帯状に形成しても良く、図6(a)及び(b)に、その一例を示す。図6(a)に示す透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A2)は、複数の透かし模様形成部(4)が不織布(2)の片面に形成された例であり、図6(b)に示す透かし模様入り多層抄き合わせ紙(A3)は、帯状の透かし模様形成部(4)が不織布(2)に形成された例である。
透かし模様形成部(4)は、微細な凹凸(5)が形成できれば、その態様は特に限定されることはない。例えば、光透過性フィルム、アルミ箔等を用いることが挙げられる。透かし模様形成部(4)の形状は、円形、楕円形、多角形、星形等の特殊形状等、特に限定されるものではない。透かし模様(6)となる微細な凹凸(5)は、その凹凸差が5μm〜200μmの範囲内である必要があり、好ましくは、10μm〜100μmの範囲内である。透かし模様形成部(4)は、ホログラムを形成する凹凸によっても本発明の効果を奏することができる。また、図7(a)に示すように、透かし模様形成部(4)の微細な凹凸(5)は、凹凸部の高さ(z1、z2)を異ならせてもよく、また、図7(b)に示すように、凹凸を連続的な曲線としても良い。図7(a)及び(b)のような形状とすることで、透かし模様(6)は、階調を有することができる。また、透かし模様形成部(4)の微細な凹凸(5)は、レーザ加工機、エンボス加工機、インキ盛りを付与できる印刷(この場合、透明インキ又は半透明インキが好ましい)によって形成することができが、印刷により形成する場合には、インキの盛り量が多い方が良いため、印刷方式は凹版印刷、グラビア印刷及びスクリーン印刷が好ましい。
また、透かし模様(6)は、文字、記号、数字、バーパターン、ロゴマーク又は特殊記号等、並びに階調を有する図柄を形成することが可能であるが、特に限定されるものではない。さらに、透かし模様(6)は、形成する用紙1枚1枚を異なった模様とすることも可能である。例えば、1枚目の透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、「12345」の情報を透かし模様として形成し、2枚目の透かし模様入り多層抄き合わせ紙には、「12346」の情報を透かし模様として、数字等を異ならせて個別情報を付与することもできる。
本発明の透かし模様は、透かし模様形成部(4)を形成する方法によって見え方が異なり、例えば、光透過性フィルム基材に透かし模様(6)を形成して不織布に貼付する方法では、透かし模様が反射光及び透過光で視認され、アルミ等の光を透過しない基材に透かし模様(6)を形成して不織布に貼付する場合では、透かし模様は、反射光で視認される。また、透かし模様形成部に、色彩を有する半透明フィルム基材に透かし模様(6)を形成して不織布に貼付する場合には、色彩を有する透かし模様が得られる。
また、インキ盛量を利用して透かし模様(6)を形成する場合には、インキ盛量を5〜200μmとする必要があるため、あらかじめ不織布に、所望の透かし模様(6)を、凹版印刷、グラビア印刷又はスクリーン印刷の印刷方式により行うこととなる。特に、インキ盛量を多くするためには、紫外線硬化型のインキを用いることが好ましい。なお、用いるインキは、透明又は半透明のインキを用いることとなるが、反射光では確認できない程度の比較的濃度の淡い着色顔料を配合しても良く、更にパール顔料を配合したインキを用いることで、透過光下での観察時には、色彩を有する透かし模様を得ることができる。
先行紙料から得られる下層の懸濁液状の紙層及び後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層は、特に限定されるものではないが、例えば、木材や木綿等の植物繊維を原料とするKP法やSP法によって得られる化学パルプ、GP、TMP、CTMP、CGP、SCP等の機械パルプ、漂白パルプ、古紙再生パルプ等のいずれかのパルプを適宜選択して使用できる。
透かし模様形成部(4)が形成される不織布(2)は、レーヨンであることが好ましい。不織布の厚みは、10μm〜200μm程度であり、好ましくは、5μm〜60μm程度である。不織布(2)の幅は特に限定されることなく、下層紙層(1)と上層紙層(3)の間に短冊状に設けても良い。短冊状に設ける場合は、複数本設けることも可能である。不織布を用いることによって、下層紙層、中間層の不織布及び上層紙層は、抄紙の際に互いに繊維が絡み合って結合されるため、層間剥離防止効果に優れる。
なお、さらに層間剥離防止効果を高めるために、本出願人が既に開示している特願2006−210568号公報における技術がある。具体的には、不織布にラテックス、溶剤、樹脂、エマルジョン又はサスペンションから成るバインダーを塗布することで、加熱乾燥時に中間層の不織布層と上層及び下層との紙層間の結合強度が向上する。
(製造装置)
次に、本発明を実施するための透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造装置について説明する。なお、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙を製造するための製造装置は、既に本出願人が開示している特開2003−13395号公報に記載の多層抄き合わせ装置を用いることができる。
具体的に製造装置について説明すると、図8は、透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造装置の全体構成を示す図である。図8において、この透かし模様入り多層抄き合わせ装置(11)は、網帯から成り、循環するエンドレスな抄紙用のワイヤ(12)を有する。このワイヤ(12)は、従動用プーリ(13)と駆動用プーリ(14)と間に架け渡され、さらにワイヤ(12)に沿って内側に配置された複数のロール(図示せず)により支持され、案内されて循環移動する。
ワイヤ(12)の上流部における移動始端部(15)には、上流側から下流側に向けて、下層紙料供給槽(16)、不織布供給装置(17)及び上層紙料供給槽(18)が、間隔をおいて順次配設されている。
下層紙料供給槽(16)及び上層紙料供給槽(18)内には、それぞれ下層の懸濁液状の紙料(19)及び上層の懸濁液状の紙料(20)が充填され、適宜、図示しない供給源から補給され、所定の液位を維持するように制御されている。下層の懸濁液状の紙料(19)及び上層の懸濁液状の紙料(20)は、下層紙層(1)及び上層紙層(3)の素材と成る材料であり、主にパルプ繊維、水及び添加剤から成る。
下層紙料供給槽(16)及び上層紙料供給槽(18)のそれぞれにおける下流部分には、下層紙料用目止め板(21)及び上層紙料用目止め板(22)が配置されている。下層紙料用目止め板(21)及び上層紙料用目止め板(22)のそれぞれとワイヤ(12)との間の隙間を通して、それぞれワイヤ(12)上に下層の懸濁液状の紙料(19)及び上層の懸濁液状の紙料(20)を供給し、抄紙を可能とする。
不織布供給装置(17)による不織布供給部位は、下層紙料供給槽(16)の下流側であって上層紙料供給槽(18)の上流側に設けられており、不織布(2)をワイヤ(12)上に形成される下層の懸濁液状の紙層(23)上に向けて供給する。この不織布供給装置(17)は、不織布供給ドラム(24)と、テンションロール(25)と、透かし模様形成部(4)が形成された不織布(2)を、抄造方向に位置修正するための位置修正ロール(29)を有する位置修正装置(26)を備えている。
不織布供給ドラム(24)には、帯状の不織布(2)が巻きつけられており、この不織布(2)をワイヤ(12)に向けて繰り出しながら供給する。帯状の不織布には、前述のとおり、その長手方向に一定の間隔を有して透かし模様形成部(4)があらかじめ形成されている。ただし、透かし模様を光透過性フィルム、アルミ箔等に形成して不織布に透かし模様形成部(4)を付与する場合、不織布にあらかじめ透かし模様形成部(4)が形成されていない場合でも、不織布供給ドラム(24)から不織布(2)をワイヤ(12)に向けて繰り出しながら供給する間に透かし模様貼付器(38)を設けて、長手方向に一定の間隔をおいて透かし模様形成部(4)を付与することも可能である。
不織布供給装置(17)から供給される帯状の不織布(2)の横幅(w)は、下層紙料用目止め板(21)からワイヤ(12)の上面(搬送面)に供給されて形成される下層の懸濁液状の紙層(23)の横幅とほぼ同じであり、さらに上層紙料用目止め板(22)から下層の懸濁液状の紙層(23)の上面に供給されて形成される上層の懸濁液状の紙層(27)の横幅ともほぼ同じである。
不織布位置修正装置(26)は、位置修正ロール(29)を制御するための位置制御器(28)を有する。位置修正ロール(29)は、透かし模様入り多層抄き合わせ紙の透かし模様位置と透かし模様形成部の位置との間隔が、長手方向にあらかじめ設定された所定間隔からずれた場合に、不織布及び透かし模様形成部の位置のずれを修正するロールである。
位置修正ロール(29)は、位置制御器(28)からの制御信号で速度制御可能なモータにより駆動され、不織布(2)の送り速度を積極的に増減できる送り制御の可能なロールの構成とする。
不織布供給ドラム(24)は、その軸心の長手方向、すなわち不織布(2)の幅方向に巻き付けてある不織布ごと移動し、幅方向に位置を調整できるように、図示しない不織布供給ドラム幅方向位置調整装置で調整される構成となっている。これにより、後述するが、透かし模様形成部が、他の偽造防止要素に対して、用紙の幅方向にあらかじめ設定された所定間隔を超えてずれた場合に、用紙に対して不織布(2)を幅方向に移動してずれを修正することができる。
ワイヤ(12)の下流部におけるダンディロール(35)の下側には、搾水ボックス(30)が配置されている。この搾水ボックス(30)は、抄紙工程におけるワイヤ(12)の下流部において、下層の懸濁液状の紙層(23)、不織布(2)及び上層の懸濁液状の紙層(27)内に含まれている水を吸引して搾水するものである。
ワイヤ(12)で抄造された透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、図示しないガイドロールで案内され、最終製品として巻取ロールで巻き取られるが、ワイヤ(12)と巻取ロールの間には、上流側から、プレスロール(31)、乾燥装置(32)及び位置ずれ検出装置(33)が配設されている。
プレスロール(31)は、多層抄き合わせ紙を挟持して、更に下流の巻取ロール側に送る。なお、プレスロール(31)又はダンディロール(35)は、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙に、他の偽造防止要素として、従来の透かし模様を付与する場合に用いることができる。また、乾燥装置(32)は、周知の乾燥装置を利用する。
位置ずれ検出装置(33)は、位置検出器(34)と位置ずれ判別器(36)とを備えている。位置検出器(34)は、CCDを有する光学的な検知手段であり、検出対象である透かし模様入り多層抄き合わせ紙を挟んで反対側に配置されたライトテーブル(37)からの透過光を利用し、本発明における透かし模様(6)の位置及び他の偽造防止要素を検出することによって両者の間隔を測定し、これを電気信号として位置ずれ判別器(36)に送るものである。
位置ずれ判別器(36)は、位置検出器(34)から送られてきた透かし模様の位置と他の偽造防止要素の位置との間隔と、あらかじめ設定されている用紙の長手方向の所定間隔及び/又は幅方向の所定の間隔とのずれの大きさ及び方向を判別し、位置ずれ情報として位置制御器(28)に送るものである。
また、巻取装置に巻き取られた透かし模様入り多層抄き合わせ紙を切断するための切断装置(特に図示せず。)の近くに、ライトテーブルからの透過光を検出して、透かし模様形成部の位置を検出する位置検出器を設けても良い。切断装置は、この位置検出器で検出した透かし模様形成部の位置情報に基づいて、透かし模様形成部を、切断されるべき透かし模様入り多層抄き合わせ紙の辺の位置から、すき入れ位置までの間隔が所定の間隔と成るように切断装置を制御する。
(透かし模様形成部の位置合わせ)
前述した透かし模様入り多層抄き合わせ紙に対する位置合わせについて具体例を用いて説明する。ここで説明する例は、レジスターマーク又はインクジェットプリンタ(以下「IJP」という。)によるマーク(8)の位置(v)と、透かし模様形成部の位置(q)との間隔と、あらかじめ設定されている長手方向の所定間隔(s)及び/又は幅方向の所定の間隔(t)とのずれの大きさ及びそのずれの方向を判別し、位置ずれ情報のデータを位置制御器(28)に送る例である。
図9に示すように、透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B1)は、十字マークで示すように、白すき入れから成るレジスターマーク又はIJPによるマーク(8)が抄造方向に一定間隔において複数箇所に付与されている。通常、透かし模様が施されている用紙の抄造工程においては、透かし模様の位置管理のために、このようなレジスターマーク又はIJPを透かし模様と対応する位置関係となるように用紙上に施している。そこで、このレジスターマーク又はIJPによるマーク(8)に着目した。
透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B1)は、このマーク(8)の位置(v)(十字マークの交差中心点)に対して、透かし模様形成部の位置(q)(図面では、透かし模様形成部(4)の一つの角部の位置としたが、あらかじめ決めておけば中心位置等でもよい。)を、多層抄き合わせ紙(B1)の長手方向に所定間隔(s)及び幅方向に所定間隔(t)だけ離れた位置と定め、透かし模様形成部(4)が形成された不織布(2)が挿入され、定着される。つまり、透かし模様形成部(4)が形成された不織布(2)は、透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B1)の長手方向に所定間隔(s)及び幅方向に所定間隔(t)のいずれか一方又は両方を調整して挿入され、定着される。
(他の偽造防止技術との融合)
本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、その他の偽造防止技術と併せて施すことも可能である。例えば、透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、有色繊維又は細片、無色蛍光繊維又は細片、有色蛍光繊維又は細片、磁性繊維又は細片、金属細片、アルミ細片、赤外吸収特性を有する繊維又は細片、赤外反射特性を有する繊維又は細片及びサーモクロミック繊維又は細片等を、少なくとも一種類混抄することが可能である。さらに、スレッド、従来の透かし模様等を施すこともできる。
従来、透かし模様と他の偽造防止技術を用紙製造において付与する場合、抄造工程において付与するものであるが、水分を十分含んだ湿紙状態であることから、用紙の伸縮率が多大に影響するため、それぞれの偽造防止要素の同期及び位置合わせが非常に困難であったが、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙では、中間層を構成する不織布に透かし模様形成部をあらかじめ施して、先行紙料から得られる下層の懸濁液状の紙層と、後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層と抄き合わされるため、抄造工程の始めの段階で位置合わせを行っておけば、用紙の伸縮等による影響を受けることもなく、常に定位置に透かし模様と他の偽造防止要素を付与することが可能である。この透かし模様と他の偽造防止要素の位置合わせについて、具体的に以下のとおり説明する。
本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の透かし模様形成部(4)の位置と他の偽造防止技術との位置合わせの一例を示す。図10は、前述した多層抄き合わせ装置において、最終的に巻取りドラムで巻き取られる帯状の透かし模様入り多層抄き合わせ紙を長手方向で観察した場合及びそのX−X’に断面図を示す図である。この帯状の透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B2)では、透かし模様形成部(4)が形成された不織布(2)が、下層の懸濁液状の紙層から成る下層紙層(1)と、後紙料から得られる上層の懸濁液状の紙層から成る上層紙層(3)との間に抄き合わされて一体に形成された構成を示している。透かし模様形成部(4)は、あらかじめ不織布(2)の長手方向に、複数枚、一定間隔で形成されている。
図10に示すように、透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B2)は、従来の透かし模様(9)が付与されている。透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B2)は、この従来のすき入れ(9)の位置(以下、「すき入れ位置」という。)(r)に対して、透かし模様形成部の位置(q)(図面では透かし模様形成部(4)の一つの角部の位置としたが、あらかじめ決めておけば中心位置等でもよい。)を、多層抄き合わせ紙(B2)の長手方向に所定間隔(s)及び幅方向に所定間隔(t)だけ離れた位置に定め、透かし模様形成部(4)が形成された不織布(2)が挿入され、定着される。つまり、透かし模様形成部(4)が形成された不織布(2)は、透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B2)の長手方向に所定間隔(s)及び幅方向に所定間隔(t)のいずれか一方又は両方を調整して挿入され定着される。
上記記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B1)及び(B2)は、巻取装置で巻き取られた透かし模様入り多層抄き合わせ紙を切断する際に、切断された透かし模様入り多層抄き合わせ紙の辺の位置から透かし模様形成部の位置(q)までが所定間隔と成るように切断する。これにより、巻取装置で巻き取られた多層抄き合わせ紙から製造される透かし模様入り多層抄き合わせ紙のすき入れ(9)の位置は、所定位置に配置されたものが形成される。
(製造方法)
次に、透かし模様入り多層抄き合わせ紙を前述の多層抄き合わせ装置を用いて製造する製造方法について、図11及び12のフローチャートに基づき、以下、説明する。
図11は、本発明の透かし模様入り多層抄き合わせの製造方法において、多層抄き合わせ装置(11)に中間層である不織布(2)を供給する前の工程で、あらかじめ不織布(2)に透かし模様形成部(4)を形成する場合であり、図12は、不織布(2)への透かし模様形成部(4)の形成を、多層抄き合わせ装置(11)に不織布(2)を供給してから形成する場合である。
また、どちらの製造方法においても、本発明における透かし模様(6)とは異なる他の偽造防止要素を付与する工程としては、あらかじめ不織布(2)に形成する場合と、各層が積層されて、ワイヤ(12)上で脱水する工程において形成する場合がある。
下層紙料供給槽(16)内の下層の懸濁液状の紙料(19)は、下層紙料供給槽(16)から下層紙料用目止め板(21)とワイヤ(12)の隙間を通して、循環移動中のワイヤ(12)の上面に供給する。ワイヤ(12)上に供給された下層の懸濁液状の紙層(23)は、下層の懸濁液状の紙層(23)として抄造方向に送られる。
あらかじめ透かし模様形成部(4)が形成された帯状の不織布(2)は、この下層の懸濁液状の紙層(23)の上面に、不織布供給装置(17)から連続的に供給する。ただし、不織布にあらかじめ透かし模様形成部(4)が付与されていない場合は、不織布供給ドラム(24)から不織布(2)をワイヤ(12)に向けて繰り出しながら供給する間に、不織布に透かし模様形成部貼付器(38)によって長手方向に一定の間隔をおいて透かし模様形成部(4)が付与される。すると、帯状の不織布(2)は、下層の懸濁液状の紙層(23)とワイヤ(12)上で抄造方向に送られながら重なり、下層の懸濁液状の紙料(19)は不織布(2)の繊維間に入り込み、下層の懸濁液状の紙料(19)のパルプ繊維と不織布(2)の繊維が絡み合い両者の強固な結合が生成されていく。
次に、上層紙料供給槽(18)内の上層の懸濁液状の紙料(20)は、上層紙料供給槽(18)から上層紙料用目止め板(22)とワイヤ(12)の隙間を通して、下層の懸濁液状の紙料(19)のパルプ繊維と重ねられた帯状の不織布(2)のさらに上面に供給される。すると、上層の懸濁液状の紙料(20)は、ワイヤ(12)上で上層の懸濁液状の紙層(27)として抄造方向に送られながら不織布(2)と重なり、上層の懸濁液状の紙料(20)は、不織布(2)の繊維間に入り込む。これにより、上層の懸濁液状の紙料(20)のパルプ繊維は、不織布(2)の繊維と絡み合うとともに、不織布(2)内にすでに入りこんでいる下層の懸濁液状の紙料(19)のパルプ繊維とも絡み合い、強固な結合が生成されていく。このように、ワイヤ(12)上に順次、下層の懸濁液状の紙料(19)、透かし模様形成部(4)が形成された中間層の不織布(2)及び上層の懸濁液状の紙料(20)を供給し、多層に重ね合わせて抄紙する。下層の懸濁液状の紙料(19)、透かし模様形成部(4)が形成された不織布(2)及び上層の懸濁液状の紙料(20)の各繊維は、互いに入り組んで絡み合って強固な結合層を形成し、透かし模様入り多層抄き合わせ紙の抄造が行われる。
多層に抄き合わされた透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、搾水ボックス(30)を通過する。なお、ここで他の偽造防止要素である従来の透かし模様(9)を施す場合、プレスロール(31)により、従来の透かし模様(9)を施す。この透かし模様(9)は、透かし模様形成部の位置(q)から透かし模様入り多層抄き合わせ紙(B)の長手方向にあらかじめ設定された所定の間隔(s)を有した位置に施されるようにする。すなわち、透かし模様(9)は、ワイヤの送り速度及び不織布内の透かし模様形成部の位置を考慮して、プレスロールの回転速度等を制御して形成される。しかしながら、実際は、不織布挿入時において、透かし模様形成部の位置(q)は、予定されるすき入れ位置(r)に対して、あらかじめ設定されている長手方向の所定間隔(s)及び/又は幅方向の所定の間隔(t)だけ離れた位置からずれているので、後述のようなずれ位置の修正が必要と成る。
このように形成された透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、更に乾燥装置内を通過して乾燥され、最終製品として完成される。そして、透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、製品として巻き取る巻取装置に送られる途中で、位置ずれ検出装置(33)により、すき入れ位置(r)と透かし模様形成部の位置(q)の実際の間隔について、あらかじめ設定されている長手方向の所定間隔(s)及び/又は幅方向の所定の間隔(t)からのずれの量を検出し、位置ずれ情報を生成して、位置修正装置(26)の位置制御器(28)に位置ずれ情報をフィードバックする。
他の偽造防止要素を用いて位置合せを行わない場合は、製品として巻き取る巻取装置に送られる途中で、位置ずれ検出装置(33)により、レジスターマーク又はIJPによるマーク(v)と、透かし模様形成部の位置(q)の実際の間隔について、あらかじめ設定されている長手方向の所定間隔(s)及び/又は幅方向の所定の間隔(t)からのずれの量を検出し、位置ずれ情報を生成して、位置修正装置(26)の位置制御器(28)に位置ずれ情報を送る。
位置制御器(28)は、この位置ずれ情報を受けて位置修正ロール(29)を制御して、不織布(2)の送りを制御する。すなわち、位置修正ロール(29)は、位置制御器(28)の命令によって、モータを介し、送り速度を調整することで、帯状の不織布(2)の送り速度を上げたり下げたりすることが可能となる。よって、不織布(2)に形成された透かし模様形成部(4)の位置は、下層の懸濁液状の紙層(23)に対する抄造方向の相対的な位置が調整でき、透かし模様形成部の位置(q)と他の偽造防止要素の位置(r)又は透かし模様形成部の位置(q)とレジスターマーク又はIJPによるマーク(v)の間隔が、あらかじめ設定された所定の間隔(s)になるように修正することができる。
透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、下層紙料供給槽(16)又は上層紙料供給槽(18)に貯留された原料の紙料特性を異ならせて、色、坪量又は繊維構成を異ならせることも可能である。色の調節については、繊維の種類の違い、顔料及び染料の混入、漂白か未漂白か等により可能であり、坪量の調節については、原料濃度及び原料吐出部の調整により可能であり、繊維構成の調節については、繊維の種類、配合割合、繊維長、叩解度等を変化させることで可能である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
図8に示した透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造装置(11)を用いて、実施例1の透かし模様入り多層抄き合わせ紙を作製した。本実施例1では、透かし模様形成部に、厚さ(h)が120μmの光透過性フィルムを用い、レーザ加工機を用いて、深さ100μmの凹部(z)による透かし模様(6')を図13のように形成し、透かし模様形成部貼付器(38)により、不織布(2)に貼付した。また、他の偽造防止要素として、図14のような図柄を、従来の透かし模様(9')としてプレスロール(31)を用いて施した。
まず、針葉樹晒クラフトパルプの叩解度をカナディアンスタンダードフリーネス550mlに調整し、下層の懸濁液状の紙料(19)を得た。下層の懸濁液状の紙料(19)は、下層紙料供給槽(16)から下層紙料用目止め板(21)とワイヤ(12)の隙間を通して、下層の懸濁液状の紙料(19)を循環移動中のワイヤ(12)の上面に供給される。ワイヤ(12)上に供給された下層の懸濁液状の紙料(19)は、下層の懸濁液状の紙層(23)として抄造方向に送られる。
次に、中間層として、坪量12g/m2、厚さ35μm、水透過性の指標となる透気度は、JISの透気度試験法で測定限界以下の透気性が高いレーヨン繊維で構成される不織布(2)を用意し、巻取状の不織布(2)を、不織布供給ドラム(24)にセットし、不織布供給ドラム(24)から不織布(2)をワイヤ(12)に向けて繰り出しながら供給する間に、不織布に透かし模様形成部貼付器(38)によって長手方向に一定の間隔をおいて透かし模様形成部が付与される。この下層の懸濁液状の紙層(23)の上面に、不織布供給装置(17)から、透かし模様形成部(4)が付与された帯状の不織布(2)を連続的に供給する。下層の懸濁液状の紙料(19)のパルプ繊維と重ねられた帯状の不織布(2)の更に上面に、針葉樹未晒クラフトパルプに対して、カナディアンスタンダードフリーネス570mlに調整した上層の懸濁液状の紙料(20)を、上層紙料供給槽(18)から上層紙料用目止め板(22)とワイヤ(12)との隙間を通して供給する。すると、上層の懸濁液状の紙料(20)は、ワイヤ(12)上において、上層の懸濁液状の紙層(27)として抄造方向に送られながら不織布(2)と重なり、上層の懸濁液状の紙料(20)は、不織布(2)の繊維間に入り込む。これにより、上層の懸濁液状の紙料(20)のパルプ繊維は、不織布(2)の繊維と絡み合うとともに、不織布(2)内に既に入り込んでいる下層の懸濁液状の紙料(19)のパルプ繊維とも絡み合って生成されていく。
多層に抄き合わされた透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、搾水ボックス(30)を通過し、プレスロール(31)により、従来の透かし模様(9')が施される。この透かし模様(9')は、透かし模様(6')が形成された光透過性フィルムの透かし模様形成部の位置(q)から、透かし模様入り多層抄き合わせ紙の長手方向に、あらかじめ設定された所定の間隔(s)を有した位置に施されるようにする。さらに乾燥装置内を通過して乾燥され、巻取の多層抄き合わせ紙が完成される。
そして、最終的に製品として巻取装置に送られる途中で、位置ずれ検出装置(33)により、透かし模様(9')のすき入れ位置(r)と透かし模様形成部の位置(q)の実際の間隔について、あらかじめ設定された長手方向の所定の間隔(s)及び/又は幅方向の所定の間隔(t)からのずれの量を検出し、位置ずれ情報を生成して、位置修正装置(26)の位置制御器(28)に送る。
本実施例1によって作製された透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、全面的に平滑性を帯びており、さらに反射光下で観察しても、特に透かし模様は確認できなかったが、透過光下で観察すると、図13に示すような透かし模様(6')を確認することができた。
(実施例2)
図8に示した透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造装置(11)を用いて、実施例2の透かし模様入り多層抄き合わせ紙を作製した。本実施例2においては、透かし模様形成部(4)に、無色透明の紫外線硬化型インキを用いて、図15(a)に示すような膜厚(h)が120μmの画線による透かし模様(6'')を、図15(b)のように、あらかじめ中間層となる不織布(2)にスクリーン印刷機により印刷した。また、他の偽造防止要素として、図14のような図柄を、従来の透かし模様(9')としてプレスロール(31)を用いて施した。
まず、針葉樹晒クラフトパルプの叩解度をカナディアンスタンダードフリーネス550mlに調整し、下層の懸濁液状の紙料(19)を得た。下層の懸濁液状の紙料(19)は、下層紙料供給槽(16)から下層紙料用目止め板(21)とワイヤ(12)の隙間を通して、下層の懸濁液状の紙料(19)を循環移動中のワイヤ(12)の上面に供給される。ワイヤ(12)上に供給された下層の懸濁液状の紙料(19)は、下層の懸濁液状の紙層(23)として抄造方向に送られる。
次に、中間層として、坪量12g/m2、厚さ35μm、水透過性の指標となる透気度は、JISの透気度試験法で測定限界以下の透気性が高いレーヨン繊維で構成される、あらかじめ透かし模様形成部(4)が形成された巻取状の不織布(2)を、不織布供給ドラム(24)にセットし、この下層の懸濁液状の紙層(23)の上面に、不織布供給装置(17)から透かし模様(6'')が印刷により形成された帯状の不織布(2)を連続的に供給する。下層の懸濁液状の紙料(19)のパルプ繊維と重ねられた帯状の不織布(2)の更に上面に、針葉樹未晒クラフトパルプに対して、カナディアンスタンダードフリーネス570mlに調整した上層の懸濁液状の紙料(20)を、上層紙料供給槽(18)から上層紙料用目止め板(22)とワイヤ(12)の隙間を通して供給する。すると、上層の懸濁液状の紙料(20)は、ワイヤ(12)上において、上層の懸濁液状の紙層(27)として抄造方向に送られながら不織布(2)と重なり、上層の懸濁液状の紙料(20)は、不織布(2)の繊維間に入り込む。これにより、上層の懸濁液状の紙料(20)のパルプ繊維は、不織布(2)の繊維と絡み合うとともに、不織布(2)内に既に入り込んでいる下層の懸濁液状の紙料(19)のパルプ繊維とも絡み合って生成されていく。
多層に抄き合わされた多層抄き合わせ紙は、搾水ボックス(30)を通過し、プレスロール(31)により、従来のすき入れ(9')は施される。このすき入れ(9')は、透かし模様形成部の位置(q)から透かし模様入り多層抄き合わせ紙の長手方向に予め設定された所定の間隔(s)で離れた位置に施されるようにする。さらに乾燥装置内を通過して乾燥され、巻取の多層抄き合わせ紙が完成される。すき入れ位置(r)と透かし模様形成部の位置(q)の幅方向及び/又は長手方向の位置合わせについては実施例1と同様である。
本実施例2によって作製された透かし模様入り多層抄き合わせ紙は、全面的に平滑性を帯びており、さらに反射光下で観察しても、特に透かし模様は確認できなかったが、透過光下で観察すると、図15(a)に示すような透かし模様(6'')を確認することができた。
本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙とその断面図である。 中間層に形成する透かし模様形成部の凹部の悪い例を説明する図である。 本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の別の形態を示す図である。 図1の透かし模様形成部の微細な凹凸の凹部内に入り込んだ紙料の模式的な断面の拡大図である。 本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙において、複数の透かし模様形成部を設ける場合を示す図である。 本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の実施形態を示す図である。 透かし模様形成部の凹凸の形状を示す模式的な断面の拡大図である。 本発明を実施するための最良の形態の透かし模様入り多層抄き合わせ紙を製造するための装置を示す図である。 本発明における透かし模様形成部の位置合わせを説明する図である。 本発明の透かし模様形成部と従来の透かし模様との位置合わせを説明する図である。 本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙を製造する方法を示すフローチャートである。 本発明の透かし模様入り多層抄き合わせ紙を製造する別の方法を示すフローチャートである。 実施例1における透かし模様形成部を説明する図である。 実施例1及び2において、多層抄き合わせ紙に形成する従来の透かし模様を示す図である。 実施例2における本発明の透かし模様を示す図である。
符号の説明
1 下層紙層
2 不織布
3 上層紙層
4 透かし模様形成部
5 微細な凹凸
6、6'、6'' 透かし模様
7 紙料
8 レジスターマーク又はIJPによるマーク
9、9' 従来の透かし模様
11 多層抄き合わせ装置
12 抄紙用のワイヤ
13 従動用プーリ
14 駆動用プーリ
15 移動始端部
16 下層紙料供給槽
17 不織布供給装置
18 上層紙料供給槽
19 下層の懸濁液状の紙料
20 上層の懸濁液状の紙料
21 下層紙料用目止め板
22 上層紙料用目止め板
23 下層の懸濁液状の紙層
24 不織布供給ドラム
25 テンションロール
26 位置修正装置
27 上層の懸濁液状の紙層
28 位置制御器
29 位置修正ロール
30 搾水ボックス
31 プレスロール
32 乾燥装置
33 位置ずれ検出装置
34 位置検出器
35 タンディロール
36 位置ずれ判別器
37 ライトテーブル
38 透かし模様形成部貼付器
A1、A2、A3、B、B1、B2 透かし模様入り多層抄き合わせ紙
P 印刷領域
h 透かし模様形成部の厚さ
q 透かし模様形成部の位置
r すき入れ位置
v レジスターマーク又はIJPによるマーク位置
s 長手方向の間隔
t 幅方向の間隔
w 横幅
Y1、Y2 領域
z、z1、z2 凹凸部の高さ

Claims (15)

  1. 上層紙層と透かし模様が形成された透かし模様形成層の少なくとも2層から成る多層抄き合わせ紙において、
    前記透かし模様形成層は、前記上層紙層側の少なくとも一部に形成された透かし模様形成部を有し、
    前記透かし模様形成部には、前記透かし模様形成部が形成された前記透かし模様形成層を構成する基材に対して所定の高さを有する少なくとも一つの凸部と、前記凸部に対して凹んだ少なくとも一つの凹部を有し、
    前記透かし模様形成部の凸部に対する前記上層紙層の繊維量と、前記凹部に対する前記上層紙層の繊維量の差により透かし模様が形成され、
    前記上層紙層及び前記透かし模様形成層の外側表面の全面が平滑性を有していることを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙。
  2. 上層紙層と下層紙層と少なくとも1層から成る中間層から構成される多層抄き合わせ紙において、
    前記中間層は、前記上層紙層と前記中間層の層間及び/又は前記中間層と前記下層紙層の層間の少なくとも一部に形成された透かし模様形成部を有し、
    前記透かし模様形成部には、前記透かし模様形成部が形成された前記中間層を構成する基材に対して所定の高さを有する少なくとも一つの凸部と、前記凸部に対して凹んだ少なくとも一つの凹部を有し、
    前記透かし模様形成部の凸部に対する前記上層紙層及び/又は前記下層紙層の繊維量と、前記凹部に対する前記上層紙層及び/又は前記下層紙層の繊維量の差により透かし模様が形成され、
    前記上層紙層及び前記下層紙層の外側表面の全面が平滑性を有していることを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙。
  3. 前記中間層又は前記透かし模様形成層を構成する基材は、厚さが10〜200μmの不織布であることを特徴とする請求項1又は2記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙。
  4. 前記透かし模様形成部は、光透過性フィルム又はアルミ箔から成ることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙。
  5. 前記透かし模様形成部は、紫外線硬化型の無色透明インキにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙。
  6. 前記中間層の前記透かし模様形成部とは異なる領域、前記上層紙層及び/又は前記下層紙層の前記透かし模様形成部に対応する領域とは異なる領域のいずれか一つの領域に、前記透かし模様とは異なる偽造防止要素が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙。
  7. 上層紙層と透かし模様が形成された透かし模様形成層の少なくとも2層から成る透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、
    あらかじめ前記透かし模様形成層の表面の少なくとも一部に、前記透かし模様形成層の表面に対して所定の高さを有する少なくとも一つの凸部と、前記凸部に対して凹んだ少なくとも一つの凹部を用いて透かし模様形成部を付与し、
    前記透かし模様形成部が形成された前記透かし模様形成層を抄紙機に供給し、
    前記透かし模様形成層の前記透かし模様形成部が付与された側の上面全体に対して、前記上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、
    前記積層された前記上層紙層及び前記透かし模様形成層を脱水しながら、前記透かし模様形成部の凸部に対する前記上層紙層の繊維量と、前記凹部に対する前記上層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  8. 上層紙層と下層紙層と少なくとも1層から成る中間層から構成される透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、
    あらかじめ前記中間層の少なくとも一部の表面に、前記中間層の表面に対して所定の高さを有する少なくとも一つの凸部と、前記凸部に対して凹んだ少なくとも一つの凹部を用いて透かし模様形成部を付与し、
    前記透かし模様形成部が上面になるように、前記中間層を抄紙機に供給し、
    前記中間層の前記透かし模様形成部が付与された側の下面全体に対して、前記下層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、
    前記中間層の前記透かし模様形成部が付与された側の上面全体に対して、前記上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、
    前記積層された前記上層紙層、前記中間層及び前記下層紙層を脱水しながら、前記透かし模様形成部の凸部に対する前記上層紙層の繊維量と、前記凹部に対する前記上層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  9. 上層紙層と透かし模様が形成された透かし模様形成層の少なくとも2層から成る透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、
    前記透かし模様が形成されていない段階の前記透かし模様形成層を抄紙機に供給し、
    前記抄紙機に供給された前記透かし模様形成層の上面の少なくとも一部の表面に、前記透かし模様形成層の表面に対して所定の高さを有する少なくとも一つの凸部と、前記凸部に対して凹んだ少なくとも一つの凹部を用いた透かし模様形成部を付与し、
    前記透かし模様形成層の前記透かし模様形成部が付与された側の上面全体に対して、前記上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、
    前記積層された前記上層紙層及び前記透かし模様形成層を脱水しながら、前記透かし模様形成部の凸部に対する前記上層紙層の繊維量と、前記凹部に対する前記上層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  10. 上層紙層と下層紙層と少なくとも1層から成る中間層から構成される透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法において、
    前記透かし模様が形成されていない段階の前記中間層を抄紙機に供給し、
    前記抄紙機に供給された前記中間層の上面及び/又は下面の少なくとも一部の表面に、前記中間層の表面に対して所定の高さを有する少なくとも一つの凸部と、前記凸部に対して凹んだ少なくとも一つの凹部を用いた透かし模様形成部を付与し、
    前記中間層の下面全体に対して、前記下層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、
    前記中間層の上面全体に対して、前記上層紙層となる懸濁液状の紙料を供給して積層し、
    前記積層された前記上層紙層、前記中間層及び前記下層紙層を脱水しながら、前記透かし模様形成部の凸部に対する前記上層紙層及び/又は前記下層紙層の繊維量と、前記凹部に対する前記上層紙層及び/又は下層紙層の繊維量の差により透かし模様を形成することを特徴とする透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  11. 前記透かし模様形成層又は前記中間層に、前記透かし模様と異なる偽造防止要素を、前記抄紙機に供給する前の段階であらかじめ形成又は前記脱水時において形成することを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  12. 前記脱水後に、前記透かし模様形成部及び/又は前記透かし模様と異なる偽造防止要素の位置を検出し、あらかじめ設定されている正規の位置とのずれ量により位置ずれを修正することを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  13. 前記中間層又は前記透かし模様形成層を構成する基材は、厚さが10〜200μmの不織布であることを特徴とする請求項7乃至12のいずれかに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  14. 前記透かし模様形成部は、光透過性フィルム又はアルミ箔から成ることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
  15. 前記透かし模様形成部は、紫外線硬化型の無色透明インキにより形成されたことを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の透かし模様入り多層抄き合わせ紙の製造方法。
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