JP2010038802A - ラドン放出線源、その製造方法及び該ラドン放出線源を用いたラドンガスの生成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】とくにラドンミスト用のラドン放出線源として求められる高率放出性、持続性、安定性の各要件を満たしながらも低コストなラドン放出線源を提供することを目的とする
【解決手段】コーディライトを主成分とする多孔質セラミックスからなる担体に放射性ラジウムを定着させてなるラドン放出線源により上記の課題を解決する。前記ラドン放出線源は、放射性ラジウムの定着前に、担体表面を酸エッチングすると、ラジウム担持量を大幅に増やすことが可能となる。
【選択図】なし
【解決手段】コーディライトを主成分とする多孔質セラミックスからなる担体に放射性ラジウムを定着させてなるラドン放出線源により上記の課題を解決する。前記ラドン放出線源は、放射性ラジウムの定着前に、担体表面を酸エッチングすると、ラジウム担持量を大幅に増やすことが可能となる。
【選択図】なし
Description
本発明は、取り扱い易く、かつ高率放出性を有するラドン放出線源とその製造方法、及び該ラドン放出線源を用いた高率かつ長期間安定的な放射性ラドンガスの生成方法に関するものである。こうしたラドン放出線源は例えば生活習慣病の対処療法などに利用される。
従来より、ラドン等の放射性壊変生成物を含有する温泉などの限られた天然施設に各種疾病に対する治癒効果があることが知られている(日本国内では鳥取県東伯郡にある岡山大学病院三朝医療センターにおける複合温泉療法が有名)。そこで、こうした天然施設と同等の効果を簡易に得るために、放射性壊変生成物を含有する水溶液を人工的に生成する装置が提案されてきた。例えば、特許文献1では、抽出槽内の温水溶液中に沈設した撹拌槽内を上下フィルター板で区画し、当該区画内に顆粒状の放射性物質含有鉱石を収容して、抽出槽上部に存在する気体を前記下部フィルターの底部側に圧送して撹拌槽中に噴射させることにより顆粒状鉱石を撹拌する一方、抽出槽底部より導出した温水溶液を抽出槽の上方から噴霧することによって抽出槽上部の気体中に溶出したガス状の放射性壊変生成物を温水溶液中に溶融させることとした装置が提案されている。
前記装置では、放射性物質含有鉱石を顆粒状にすることで温水溶液との接触面積を広く確保しつつ気泡で撹拌しながら効果的な溶出を促進することが企図されていたが、顆粒状鉱石の粒径を小さくすると必然的に上下フィルター板の開孔径も細かくせざるをえないところ、上下フィルター板の開孔径が小さくなればなるほど気泡が通過しづらくなるという欠点があった。
一方、ラドン放出線源であるラジウムは水にはほとんど溶けないが、ラドンには水によく溶け空気中にも気化発散しやすい性質があるため、ミスト(霧状)にして利用する方法が提案されている。ラドンが溶出した温水蒸気をミストサウナとして浴びることで、ラドンが溶出した温水溶液中に身体を浸ける場合に比べて弱放射能が希薄されないし、身体表面のみならず呼吸器系にもラドンが到達しやすいという利点がある。すなわち、こうしたミストサウナでは、ラドンの周囲が水分子で覆われた状態で空中に浮遊するため、呼吸により人体内に入ったラドンは再び人体外へと排出されやすく、人体内に滞留している間に放出されたα線が人体細胞に対して好影響を与えるものと考えられている。
ラドンミストを利用する装置としては、例えば、遠赤外線ヒーターで加温する大型箱状本体内に、座席とミスト発生器を設けたサウナ風呂(特許文献2)や、密閉室内に設置したマットと上乗せマット間に患者を仰臥させて、両マット内部にラドン温泉湯を通水しつつ、密閉室内にラドン温泉湯をミスト状にして充満させることにより、ラドン温泉湯の波動によるマッサージ効果とともに呼吸器系からラドンミストを吸入させることができるとした弱放射能温泉療法施設(特許文献3)などが提案されている。
ところで、ラドンをミストとして利用するには、高濃度のラドンガスが得られる高率放出性と、ラドンガスを安定して長期間放出できる持続性、そして取り扱い容易な安定性を備えた線源が必要不可欠である。しかるに、前記従来のラドンミスト装置ではラジウム水溶液やラドン放出土壌等が想定されているのみで、いずれも十分な性能が得られるものではなかったし、取り扱いや保管性にも劣るものであったが、最近になって多孔質セラミックスを担体として使用し、これに水に不溶なラジウム塩を定着させたラドン放出線源が開発されるに至っている(特許文献4)。また、特許文献5ではラドンミストの発生装置が提案されており、この装置のラドン放出線源として放射性物質を担持させた多孔質セラミックスパネル(アルミナ/コーディライト製)が開示されている。
前記特許文献4のセラミックスラドン放出線源は、SiCの多孔質焼結体又はTiO2をコーティングしたSiCの多孔質焼結体に水に不溶なラジウム塩を定着させたもので、取扱容易かつ高率放出性、持続性そして安定性を備えた画期的なラドン放出線源であったが、母材となるSiCは加工が容易でないことに加えて、ラジウムが直接定着しないので不溶性塩を用いる特別処理が必要となるし、母材自体が高価なためにコスト高になるという欠点があった。また、このセラミックスラドン放出線源は、ラドンガス生成のために乾燥空気を用いることとしており、温水蒸気にして呼吸器より吸引利用されることは想定されていなかったし、放射線管理に関する諸法との関係から線源としてのスケールに制約があるため、臨床的に効果があるとされる数値(性能)を達成するのは困難であった。
一方、前記特許文献5では、セラミックスラドン放出線源の担体としてアルミナ/コーディライトが開示されている。この担体は特許文献4で開示されている担体としてのSiC、TiO2と比較してコストパフォーマンスに優れるものの、実施例にて後述するように放出されるラドン濃度、放出されるラドン濃度の安定性において必ずしも満足できるものではなかった。
本発明は叙上の事情に鑑みてなされたものであり、その主な課題とするところは、とくにラドンミスト用のラドン放出線源として求められる高率放出性、持続性、安定性の各要件を満たしながらも低コストなラドン放出線源を提供することにある。
前記所期の課題解決を図るため、本発明に係るラドン放出線源では、前記特許文献4及び5記載のラドン放出線源のように多孔質セラミックスからなる担体に放射性ラジウムを定着させることとしつつも、前記担体としてコーディライトを主成分とする多孔質セラミックスを用いた。本発明者は、安価で加工性がよく耐熱部品として汎用されているコーディライトとラジウム(Ra)の親和性が良好であること、担体としてコーディライトを採用した場合に高濃度のラドンが放出されることを発見し、多孔質にしたコーディライトを主成分とするセラミックスを担体としてその表面にラジウムを定着させることにより、高率放出性等を備えたラドン放出線源を簡易に得たのである。
前記担体とする多孔質セラミックスとしては、例えば80%以上の空孔率を有する軽量セラミック多孔体(セラミックフォーム)が好適に用いられ、濾紙等の多孔質有機物基体に対してセラミックス前駆体である無機高分子を含浸させてこれを焼成する方法や、セラミックス粉末と粉末バインダとを適当な割合で均一に混合し、型枠内でパネル形状に加圧成形したり、あるいは溶剤で溶解した有機バインダにセラミックス粉末を均一に混合・分散させてセラミックススラリーとし、これを押出成形等によりパネル形状に成形して、乾燥後に焼成する方法といった、常法により得られるものが挙げられる。
前記ラドン放出線源は、多孔質セラミックスからなる担体の表面を塩酸や硫酸等でエッチングすることにより、担体表面に付着している微粉末や被膜等を除去するとともに、無数の微***を露出又は形成することによって、ラジウムの定着性をより向上させながらラジウムロスを防ぐことができる。つまり、より多孔質とすることで表面積が格段に大きくなった担体に多量のラジウムが担持されることになるのである。
本発明に係るラドン放出線源は、コーディライトを主成分とする多孔質セラミックスからなる担体を放射性ラジウム溶液内に浸漬し、乾燥後に当該担体の焼結処理を行うことで製造することができる。これらの処理工程に先立って、事前に担体の表面を酸でエッチングしてもよい。
放射性ラジウム溶液としては、シリカ微粉末や低融点ガラス微粉末などをポリビニルアルコールに分散させたものに天然ラジウム鉱石の粉末を混合してスラリー状としたもののほか、市販のラジウム標準液も好適に用いられる。本発明では、こうしたラジウム溶液中に前記多孔質セラミックスを浸漬するのであるが、溶液中に浸漬する代わりに多孔質セラミックスに塗布することでも同等の効果が得られる(つまり、本発明では、こうした塗布方法も含めて「浸漬」と称する)。
ラジウム溶液内に浸漬・乾燥後に焼結処理を行う場合の温度は200℃程度、より望ましくは120℃程度とするのがよい。高温で焼結すると、多孔質セラミックスを用いた担体の最表面層に化学結合されて安定担持されるべきラジウム(Ra)が担体の微***内に隠れてしまい、ラジウムの崩壊生成核種であるラドン(Rn)の放出量が減少するので低温焼結するのが望ましい。反面、ラドン放出線源自体が水没するような使用方法が予想される場合には焼結温度をやや高めに設定することになる。
また、本発明では、以上のようなラドン放出線源を用いた放射性ラドンガスの生成方法として、ガス注入口とガス排出口を備えた密閉容器内にラドン放出線源を収容し、ガス注入口側から湿潤ガスを注入しつつ、ガス排出口側の出力を絞ることによって密閉容器内を高圧にしながら、ガス排出口側から放射性ラドンガスを得る方法とした。
前述のように、放射性ラドンを用いた治療方法ではラドン分子の周囲が水分子で覆われた状態のラドンミストを呼吸により人体内に吸引するのが効果的とされているため最終的にはラドンガスを水蒸気と混合する必要があるが、本発明者らは、本発明に係るラドン放出線源に対して直接に湿潤ガス(Wet Gas)を通過させることにより、乾燥した室内空気をラドン放出線源に通過させた場合よりも格段に高率なラドン放出が行われることを見出したのである。
その反面、湿潤ガスの相対湿度が高すぎると、密閉容器内が結露してしまい、かえって放射性ラドンガスの放出率が低下し、場合によっては全く放出しなくなることも判明した。こうした実験結果を踏まえて、湿潤ガスの相対湿度としては30%以上85%以下の範囲とするのがよい。場合によってはラドン放出線源を収容した密閉容器の外部にシーズヒーター等の加温設備や断熱材を配設すれば、結露防止に効果的である。なお、湿潤ガスとしては、酸素や炭酸ガスなども使用できるが、室内外の空気を利用するのが最も簡易である。
なお、ここにいう高圧とは、密封容器におけるガス注入口側からの送風圧よりも密封容器内の圧力が高い状態にすることをいい、湿潤ガスとしては、空気のほか酸素や窒素等のガスが挙げられる。
本発明に係るラドン放出線源は、取扱容易で高効率かつ持続性のあるラドンガス放出が得られるのみならず、耐熱セラミックスとして汎用されているコーディライトを主成分とするものを母材として使用したことで、製造原価の大幅な低減と加工性の容易化を実現することができた。とくに担体表面を酸エッチングすることで、ラジウム担持量を大幅に増やすことができた。
また、前記ラドン放出線源の製造方法では、とくに特殊な処理を必要とすることがないので、製造設備の簡素化による製造コストの大幅な低減を図ることができた。
そして、前記ラドン放出線源を用いた本発明に係る放射性ラドンガスの生成方法では、国内外の天然ラドン療法施設で用いられているよりも格段に高濃度の放射線ラドンガスを人工的に創出することができるため、特定の天然施設にかぎられることなく、一般家庭などいかなる場所においても効果的なラドン療法を実施することができるようになったのである。
なお、生成された放射性ラドンガスの半減期は約3.5日であるから、たとえば活性炭やモレキュラーシーブ等の吸着材を充填した容器内に貯留させて携帯し、加湿器などに接続することにより場所や時間を選ぶことなくラドン療法を行うこともできるようになるなど、応用範囲は極めて広い。
以下、本発明を実施例にしたがって詳細に説明する。なお、ラドン放出線源としての性能試験は、図1に示す装置構成により計測した。すなわち、温湿度センサと水位調整制御機能を備えた加湿器装置1によって湿度コントロールした湿潤空気を生成し、実験室内に充満させたうえで、当該湿潤空気をコンプレッサ2によってラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側から注入した。ラドン放出線源収納ユニット3は密閉容器とし、その内壁に沿うように板状をした本発明に係るラドン放出線源7枚を収容した。収容したラドン放出線源におけるラジウムの担持総量は12,600Bqである。ラドン放出線源収納ユニット3におけるガス排出口側に調整バルブ4を介してラドンモニタ5を設置することによりラドン濃度の計測を行った。ラドンモニタ5としては米国SUN NUCLEAR社製のモデル1027を用いた。
担体としては、株式会社成田製陶所製のセラミックフォーム(品番:M-12改、セル数:13ケ/25mm)を用いた。コーディライトを主鉱物とする多孔質セラミックスであり、連続気泡を備えて空隙率80%以上としたものである。本実施例では板状(マット状)のものを採用したが、すでにブロック状、円柱状など各種形状のものが市販されているので、ラドン放出線源収納ユニット3の内部形状に合わせたものを選択すればよい。例えば、加圧状態を考慮してラドン放出線源収納ユニット3を円筒状に形成した場合には、その内壁に沿うような円柱状のセラミックフォームを用いるといった具合である。また、セル数については前記以上のものを用いてもよい。
まず、担体の吸水量を測定し、あらかじめ平均的な吸水量を求めた。具体的には、担体の乾燥重量(ア)を測定した後、蒸留水に数秒間浸漬し、静かに取り出して軽く水切りをしてから再び担体の吸水重量(イ)の測定をすることにより、吸水量((ア)-(イ))を求めた。100mm角の担体5個を用いて平均吸水量を測定した結果を表1に示す。
次いで担体の酸エッチングと洗浄を行った。0.5モル(mol/l)の塩酸溶液中に担体を30分間浸漬して酸エッチングを行った後、流水(水道水)ですすぎ、さらに蒸留水で2回すすいだ。その後、120℃で1時間加熱することにより十分に乾燥させた。
一方、予め求めておいた前記担体の吸水量を参考として、当該担体に担持させるラジウム(Ra)の量を決定した。本実施例では前記100mm角の担体1枚当りに1,800Bq(1.8kBq)のラジウムを担持させることとしたので、平均吸水量20g(=20ml)に対して1,800Bqとするために、放射性ラジウム溶液1ml当り90Bq(1,800Bq÷20ml=90Bq/ml)とすることにした。具体的には、市販されているラジウム標準液が175kBq/5ml(35kBq/ml)であったので、同ラジウム標準液1mlに、0.1モルの塩酸(HCl)3.24mlと、前記ラジウム標準液の10倍モルのバリウム(BaCl2)580μgを添加し、最終的に蒸留水を加えて389mlとすることにより、90Bq/mlの放射性ラジウム溶液を調製したうえで、担体1枚当りに20gの放射性ラジウム溶液を担持させた。
担体を放射性ラジウム溶液内に浸漬する工程は次の手順により行った。すなわち、予め担体の重量測定を行った後、前記放射性ラジウム溶液内に担体を5ないし10秒間浸漬させ、静かに引き上げて軽く液をきる。再度重量測定を行いながら、当初測定重量からの差分が平均吸水量に近くなるように浸漬又は液ぎりを繰り返して調整した後、120℃で数時間、担体が完全に乾燥するまで加熱乾燥を行う。次いで200℃で2時間、担体の焼結処理を行ったうえ、室温にて放冷させた。
[実施例1]
以上の処理工程により得られたラドン放出線源を用いて、図1に示す装置構成により、室内温度21℃から25℃、湿度25%から40%の条件下において、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側から0.1MPa(1気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4を調整することにより0.2リットル毎分(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図2に示す。なお、担体を使用開始した後数回はラジウム溶液がなじみにくかったり、複数回使用した担体にあっては前回担持させたラジウムの残存等の影響により測定開始後は測定誤差が生じ安いため、計測開始前に4時間湿潤空気を通す準備運転を行っている(実施例2〜3、比較例1〜6においても同様)。
以上の処理工程により得られたラドン放出線源を用いて、図1に示す装置構成により、室内温度21℃から25℃、湿度25%から40%の条件下において、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側から0.1MPa(1気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4を調整することにより0.2リットル毎分(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図2に示す。なお、担体を使用開始した後数回はラジウム溶液がなじみにくかったり、複数回使用した担体にあっては前回担持させたラジウムの残存等の影響により測定開始後は測定誤差が生じ安いため、計測開始前に4時間湿潤空気を通す準備運転を行っている(実施例2〜3、比較例1〜6においても同様)。
[実施例2]
次に、同じ条件下において同じ装置構成を用い、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側からは0.2Mpa(2気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4から毎分0.2リットル(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図3に示す。
次に、同じ条件下において同じ装置構成を用い、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側からは0.2Mpa(2気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4から毎分0.2リットル(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図3に示す。
[実施例3]
さらに、同じ条件下において同じ装置構成を用い、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側からは0.3MPa(3気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4から毎分0.2リットル(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図4に示す。
さらに、同じ条件下において同じ装置構成を用い、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側からは0.3MPa(3気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4から毎分0.2リットル(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図4に示す。
[比較例1]
比較例としてラジウムを担持させる担体としてアルミナを主成分とするセラミックフォーム(株式会社成田製陶所製、品番:M-6CH-T1、セル数:13ケ/25mm)を使用したほかは上記と同じ方法でアルミナにラジウムを担持させた。このようにして得られたラドン放出線源を図1に示される装置にセットし室内温度21℃から25℃、湿度25%から40%の条件下において、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側から0.1MPa(1気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4を調整することにより0.2リットル毎分(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図5に示す。
比較例としてラジウムを担持させる担体としてアルミナを主成分とするセラミックフォーム(株式会社成田製陶所製、品番:M-6CH-T1、セル数:13ケ/25mm)を使用したほかは上記と同じ方法でアルミナにラジウムを担持させた。このようにして得られたラドン放出線源を図1に示される装置にセットし室内温度21℃から25℃、湿度25%から40%の条件下において、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側から0.1MPa(1気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4を調整することにより0.2リットル毎分(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図5に示す。
[比較例2]
湿潤空気の圧力を0.2 MPa(2気圧)に変更したほかは比較例1と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図6に示す。
湿潤空気の圧力を0.2 MPa(2気圧)に変更したほかは比較例1と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図6に示す。
[比較例3]
湿潤空気の圧力を0.3 MPa(3気圧)に変更したほかは比較例1と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図7に示す。
湿潤空気の圧力を0.3 MPa(3気圧)に変更したほかは比較例1と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図7に示す。
[比較例4]
比較例としてラジウムを担持させる担体としてアルミナ/コーディライトを主成分とするセラミックフォーム(株式会社成田製陶所製、品番:M-2素地、セル数:13ケ/25mm)を使用したほかは上記と同様の方法でアルミナ/コーディライトにラジウムを担持させた。このようにして得られたラドン放出線源を図1に示される装置にセットし室内温度21℃から25℃、湿度25%から40%の条件下において、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側から0.1MPa(1気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4を調整することにより0.2リットル毎分(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図8に示す。
比較例としてラジウムを担持させる担体としてアルミナ/コーディライトを主成分とするセラミックフォーム(株式会社成田製陶所製、品番:M-2素地、セル数:13ケ/25mm)を使用したほかは上記と同様の方法でアルミナ/コーディライトにラジウムを担持させた。このようにして得られたラドン放出線源を図1に示される装置にセットし室内温度21℃から25℃、湿度25%から40%の条件下において、ラドン放出線源収納ユニット3のガス注入口側から0.1MPa(1気圧)で湿潤空気を注入する一方、調整バルブ4を調整することにより0.2リットル毎分(l/min)でラドンガスを放出させ、ラドンモニタ5よってラドン濃度を計測した。結果を図8に示す。
[比較例5]
湿潤空気の圧力を0.2 MPa(2気圧)に変更したほかは比較例4と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図9に示す。
湿潤空気の圧力を0.2 MPa(2気圧)に変更したほかは比較例4と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図9に示す。
[比較例6]
湿潤空気の圧力を0.3 MPa(3気圧)に変更したほかは比較例4と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図10に示す。
湿潤空気の圧力を0.3 MPa(3気圧)に変更したほかは比較例4と同様の条件にて放出されるラドンガスの濃度を計測した。結果は図10に示す。
コーディライトをラジウムの担体として使用した場合(実施例1〜3)は図2、図3及び図4に示される通り、約4,000〜8,000 Bq/m3の範囲で安定的に推移することが確認された。図2、図3及び図4のラドン濃度の平均値はそれぞれ5174.3 Bq/m3、6182.9 Bq/m3、6556.5Bq/m3であった。それに対して図5、図6に示されるようにアルミナをラジウムの担体として使用した場合(比較例1、2)は、2,300〜3,000 Bq/m3の範囲で推移した。図7(比較例3)については3,500〜6,000 Bq/m3の範囲で推移した。図5、図6及び図7のラドン濃度の平均値はそれぞれ2363.7 Bq/m3、2616.1 Bq/m3、4733.8 Bq/m3であった。
また、図8〜図10に示されるようにアルミナ/コーディライトをラジウムの担体として使用した場合(比較例4〜6)は、約1,500〜3,000 Bq/m3の範囲で推移した。図8、図9及び図10のラドン濃度の平均値はそれぞれ 2318.0Bq/m3、2826.0 Bq/m3、2493.6Bq/m3であった。
以上の実施例及び比較例からわかるように、3種の担体の中でコーディライトを担体とした場合において、放出されるラドン濃度が最も高い範囲で推移し、かつ安定していた。平均値にて本発明に係る実施例1〜3と比較例1〜6を比較した場合においても、本発明のラドン放出線源の方がより高い効率放出性を有していることが明らかとなった。例えば岡山大学病院三朝医療センターにおける複合温泉療法では天然ラドンを用いて2,080Bq/m3程度のラドン濃度が使用されているが、本発明によれば、これを遥かに上回る高濃度のラドンガスを人工的に得ることが実証できたわけである。
1 加湿器装置
2 コンプレッサ
3 ラドン放出線源収納ユニット
4 調整バルブ
5 ラドンモニタ
2 コンプレッサ
3 ラドン放出線源収納ユニット
4 調整バルブ
5 ラドンモニタ
Claims (5)
- コーディライトを主成分とする多孔質セラミックスからなる担体に放射性ラジウムを定着させてなるラドン放出線源。
- 放射性ラジウムの定着前に、担体表面を酸エッチングしたことを特徴とする請求項1記載のラドン放出線源。
- 担体を放射性ラジウム溶液内に浸漬し、乾燥後に担体の焼結処理を行うこととした請求項1記載のラドン放出線源の製造方法。
- 担体の表面を酸エッチングする第1工程と、担体を放射性ラジウム溶液内に浸漬する第2工程と、乾燥後に担体の焼結処理を行う第3工程とからなる請求項1記載のラドン放出線源の製造方法。
- ガス注入口とガス排出口を備えた密閉容器内にラドン放出線源を収容し、ガス注入口側から湿潤ガスを注入しつつ、ガス排出口側の出力を絞ることによって密閉容器内を高圧にしながら、ガス排出口側から放射性ラドンガスを得ることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載のラドン放出線源を用いた放射性ラドンガスの生成方法。
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