JP2010029947A - 複合エンドミル及び複合エンドミルを用いた加工方法 - Google Patents

複合エンドミル及び複合エンドミルを用いた加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】荒加工工程と仕上げ加工工程とで工具の交換をする必要がなく、荒加工も仕上げ加工も行うことができる複合エンドミル、及び複合エンドミルを用いた加工方法を提供する。
【解決手段】複合エンドミルTNは、略円柱状の形状を有し、側面部には側面刃Tsが設けられており、先端部である底面部には略球面状の仕上げ刃Ttが設けられている。そして、仕上げ刃Ttの球面半径は、当該仕上げ刃Ttが設けられている前記底面部の半径よりも大きい。また、前記側面部と前記底面部との境界部において、側面刃Tsにおける仕上げ刃Ttに隣接するコーナ部は、前記仕上げ刃Ttの球面半径よりも小さな半径の輪郭となる円弧状に形成されている。また、仕上げ刃Ttの輪郭と側面刃Tsの輪郭とが滑らかに連続している。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば航空機のエンジンや発電機のタービン等に用いられる、3次元曲面を有するブレードである薄板形状ワークを加工する工具である複合エンドミル、及び当該複合エンドミルを用いた加工方法に関する。
従来より、例えば航空機のエンジンや発電機のタービン等に用いられるブレードである薄板形状ワークWは3次元曲面を有しており、図1(A)及び(B)に示すように加工装置1にて一方の端部または両端部が支持された状態にて5軸(図1(A)及び(B)中のX軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸)が制御され、工具Tを用いて加工される。
一般的には、工具Tとしてボールエンドミルが用いられ、荒加工工程と仕上げ加工工程の2工程で加工され、荒加工工程では荒加工用工具にて薄板形状ワークWの全体が正寸近くまで加工(残し代0.1mm〜0.5mm程度)され、仕上げ加工工程では仕上げ加工用工具に交換した後、全体が仕上げ加工される。
ここで、特許文献1に記載された従来技術では、エンドミルの先端を半球状にして、半球状の外周面に砥粒を付着させて、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)等の複合材ハニカム加工用に適用し、GFRP及び接着剤の剥離や破壊が発生しにくい、GFRPハニカム加工用ボールエンドミルが開示されております。
実開昭63−193613号公報
従来の一般的な加工方法では、荒加工工程の後、仕上げ加工工程を行う際、荒加工用工具から仕上げ加工用工具へと、工具を交換しなければならないので、手間と時間がかかり、加工効率が低下する。
また、特許文献1に記載された従来技術のGFRPハニカム加工用ボールエンドミルは、切れ刃が砥粒であるので削り量が小さく、仕上げ加工には適しているが、荒加工には適していないと推定される。従って、従来の一般的な加工方法と同様に、仕上げ加工工程を行う際、荒加工用工具から当該GFRPハニカム加工用ボールエンドミルへと、工具を交換しなければならないので、手間と時間がかかり、加工効率が低下する。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、荒加工工程と仕上げ加工工程とで工具の交換をする必要がなく、荒加工も仕上げ加工も行うことができる複合エンドミル、及び複合エンドミルを用いた加工方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの複合エンドミルである。
請求項1に記載の複合エンドミルは、略円柱状の形状を有し、側面部には側面刃が設けられており、先端部である底面部には略球面状の仕上げ刃が設けられている。
そして、前記仕上げ刃の球面半径は、当該仕上げ刃が設けられている前記底面部の半径よりも大きい。
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの複合エンドミルである。
請求項2に記載の複合エンドミルは、請求項1に記載の複合エンドミルであって、前記側面部と前記底面部との境界部において、前記側面刃における前記仕上げ刃に隣接するコーナ部は、前記仕上げ刃の球面半径よりも小さな半径の輪郭となる円弧状に形成されている。
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの複合エンドミルである。
請求項3に記載の複合エンドミルは、請求項1または2に記載の複合エンドミルであって、前記側面部に直交する方向から見た場合、前記仕上げ刃の輪郭と前記側面刃の輪郭とが滑らかに連続している。
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの複合エンドミルである。
請求項4に記載の複合エンドミルは、請求項1〜3のいずれかに記載の複合エンドミルであって、前記複合エンドミルの回転軸に沿って、前記複合エンドミルの内部を貫通して前記先端部にクーラントを供給するクーラント供給路が設けられている。
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの複合エンドミルである。
請求項5に記載の複合エンドミルは、請求項1〜4のいずれかに記載の複合エンドミルであって、前記仕上げ刃をワークに接触させて加工する仕上げ加工時に前記ワークに対する前記複合エンドミルの回転軸の傾斜角度を設定した際、前記側面刃が前記ワークの仕上げ面に接触しないように、前記仕上げ刃の表面における前記底面部の径方向の長さが設定されている。
また、本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりの複合エンドミルである。
請求項6に記載の複合エンドミルは、請求項1〜5のいずれかに記載の複合エンドミルであって、前記仕上げ刃は砥石である。
また、本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりの複合エンドミルを用いた加工方法である。
請求項7に記載の複合エンドミルを用いた加工方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の複合エンドミルを用いてワーク表面を切削加工する、複合エンドミルを用いた加工方法である。
前記ワークの任意の表面を荒加工する場合、前記複合エンドミルの前記側面刃が加工面に接触するように、前記加工面に対して前記複合エンドミルの回転軸の傾斜角度を大きくして前記ワークに対して前記複合エンドミルを相対的に前記加工面に沿って移動させて加工を行う。
そして、前記ワークの任意の表面を仕上げ加工する場合、前記複合エンドミルの前記仕上げ刃が前記加工面に接触するように、且つ前記側面刃が前記加工面に接触しないように、前記加工面に対して前記複合エンドミルの回転軸の傾斜角度を小さくして前記ワークに対して前記複合エンドミルを相対的に前記加工面に沿って移動させて加工を行う、複合エンドミルを用いた加工方法である。
請求項1に記載の複合エンドミルによれば、円柱状の側面部に、荒加工用の切れ刃(側面刃)を備え、円柱状の底面部に仕上げ加工用の切れ刃(仕上げ刃)を備えた複合エンドミルを実現することができる。
これにより、複合エンドミルを使う位置(使う刃)によって、荒加工と仕上げ加工とを別々に行うことが可能であり、荒加工工程と仕上げ加工工程とで工具の交換をする必要がなく、荒加工も仕上げ加工も行うことができる複合エンドミルを実現することができる。
また、請求項2に記載の複合エンドミルによれば、更に、円柱形状の側面部と底面部の境界部において、仕上げ刃に隣接する側面刃のコーナ部の輪郭を、仕上げ刃の球面半径よりも小さな半径の円弧状に形成する。
このコーナ部の形状により、コーナ部のチッピング(刃先の欠け)の発生を抑制することができる。
また、請求項3に記載の複合エンドミルによれば、例えば側面刃と仕上げ刃の境界部で加工を行っても、より滑らかな加工面を得ることができる。
また、請求項4に記載の複合エンドミルによれば、加工個所に適切にクーラントを供給することができるとともに、比較的簡単な構造でクーラントの供給経路を実現することができる。
また、請求項5に記載の複合エンドミルによれば、略球面状の仕上げ刃の径を適切なサイズに設定することができる。
また、請求項6に記載の複合エンドミルによれば、仕上げ刃を容易に実現することができる。
また、請求項7に記載の複合エンドミルを用いた加工方法によれば、荒加工工程と仕上げ加工工程とで工具の交換をする必要がなく、荒加工も仕上げ加工も行うことができる複合エンドミルを用い、より効率よく加工を行うことができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1(A)及び(B)は、本発明の複合エンドミルを用いた加工方法を、薄板形状ワークWの加工に適用した加工装置1の一実施の形態における概略外観図(斜視図)を示している。なお、本実施の形態にて説明する図面において、Y軸は鉛直上方を示しており、X軸とZ軸は水平方向で互いに直交している。また、A軸は水平方向の旋回軸であり、B軸は鉛直方向の旋回軸である。また、工具Tはボールエンドミルであり、Z軸方向が回転軸である。
●[加工装置1の概略構造(図1(A)及び(B))]
図1(A)に示す加工装置1は、薄板形状ワークW(以下、「ワークW」という記載は、薄板形状ワークWを指す。)の回転軸線に沿った一方の端部を支持する加工装置の例を示し、図1(B)は、ワークWの回転軸線に沿った両方の端部を支持する加工装置の例を示している。なお、図1(A)及び(B)に示す加工装置1は、既存の加工装置である。
図1(A)に示すように加工装置1は、X軸方向に往復移動可能なコラム20を載置したベッド10と、Z軸方向に往復移動可能なスライドテーブル31を載置したベッド30とが組み合わされている。
コラム20には、Y軸方向に往復移動可能なサドル21が設けられており、サドル21には、Z軸方向の回転軸を有する主軸22が設けられている。そして主軸22には、工具T(例えば、ボールエンドミル)が取り付けられている。
スライドテーブル31には、B軸を中心に旋回可能な旋回テーブル32が載置されており、旋回テーブル32には、A軸を中心に旋回可能であるとともにワークWを支持可能なチャック部33が設けられている。
このように加工装置1は、X軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸の5軸で制御され(当該5軸を制御する数値制御装置等は図示省略)、チャック部33にて支持したワークWの任意の位置を、任意の方向から工具Tで切削加工することができる。
なお、図1(B)に示す加工装置1は、図1に示す加工装置1に対して旋回テーブル32に、間隔を調整可能な一対のチャック部33を備えており、当該一対のチャック部33にてワークWを支持(挟持)する点が異なるが、他は同様であるので説明を省略する。
●[薄板形状ワークWの用途と構造の例(図2)]
次に図2(A)及び(B)を用いて薄板形状ワークWの用途と構造の例について説明する。薄板形状ワークWは、使用時において、所定の回転部材の外周面に複数枚取り付けられ(各々の薄板形状ワークWの一端が所定の回転部材に取り付けられる)、翼状の形状を有している。
例えば薄板形状ワークWは、航空機のエンジンや発電機のタービン等に用いられ、図2(A)は航空機のエンジンのタービンシャフト及び当該シャフトに取り付けられた部品の例を示している。図2(A)において、W1、W2、W3で示す位置の各々にて、複数の薄板形状ワークが規則正しく取り付けられている。
なお、各薄板形状ワークWの構造は、図2(B)に示すように、回転軸部材(シャフト等)に取り付けるベース部WBと、ブレード部WWとで構成されており、ブレード部WWは、用途や取付位置に応じて複雑な3次元曲面を有している(例えば、「ひねり」が入った翼状の形状を有している)。
本実施の形態にて説明する薄板形状ワークの加工方法は、図1(A)または(B)の例に示した既存の加工装置1を用いて、このブレード部WWの3次元曲面形状を、従来と比較して、より短時間に、且つより高精度に加工する方法である。
従来の加工方法では、例えば図3(A)に示すワークWを加工する際、図1(A)に示す加工装置1のチャック部33にてベース部WBを支持し、荒加工用の工具Tを取り付けて、まずブレード部WWの全体を正寸近く(残し代0.1mm〜0.5mm程度)となるまで切削加工している。すなわち、図3(B)に示す「削り代」をブレード部WWの全体から削り取っているので、仕上げ加工用の工具Tに交換した後、次の仕上げ加工工程では、薄くなったブレード部WWにおける支持位置から遠い先端部ではワークWの剛性が低く、「びびり」や「しなり」が発生し易い。このため、加工速度や削り代を充分小さくして仕上げ加工を行う必要があり、加工時間が長くなるとともに、高精度な加工が困難であった。
●[薄板形状ワークWの加工方法(図3)]
次に図3(A)〜(C)を用いて本実施の形態の加工方法について説明する。
図3(A)は薄板形状ワークWの斜視図の例を示しており、図3(B)は図3(A)におけるAA方向から薄板形状ワークWを見た図を示している。
本実施の形態の加工方法では、最初に荒加工でブレード部WWの「全体」を正寸近くまで加工することなく、支持された状態での仕上げ加工後の薄板形状ワークWの形状及び材質等から推定した剛性に基づいて、当該剛性の高さに応じてブレード部WWを複数の加工領域に区分して、剛性の低い加工領域(すなわち、変形しやすい加工領域)から順番に、荒加工に続けて仕上げ加工まで行う。なお、剛性の推定は、支持位置と仕上げ形状と材質等から、既存のFEM解析等を用いたシミュレーションにて求めることができる。
例えば、図3(A)に示すワークWの場合、推定した剛性の高さに応じてブレード部WWを加工領域A〜加工領域Cに分割する。この場合の剛性の高さは、加工領域C>加工領域B>加工領域Aであったとする。
そして、加工の際、まず荒加工用の工具Tを取り付けて、最も剛性の低い加工領域Aを荒加工して正寸近くまで切削する。そして、仕上げ加工用の工具Tに交換して加工領域Aを仕上げ加工し、加工領域Aを仕上げ加工まで完了させる。加工領域Aを仕上げ加工する際は、加工領域C、Bはまだ荒加工も行っていない状態で削り代分の厚さが残っており、従来の加工方法で加工した場合よりも充分大きな剛性を残しているので、従来と比較して「びびり」や「たわみ」が発生しにくい。従って、従来よりも加工精度を向上させることができるとともに、従来よりも加工速度を大きくして短時間で仕上げ加工することが可能である。
加工領域Aを仕上げ加工まで完了させたら、荒加工用の工具Tに交換して次に剛性が低い加工領域Bを荒加工して正寸近くまで切削し、仕上げ加工用の工具Tに交換して加工領域Bを仕上げ加工する。このように、剛性の低い加工領域から剛性の高い加工領域に向かって順次、加工領域毎に仕上げていく。薄板形状ワークWの一端を支持して加工する図3(A)及び(B)の例の場合、支持された一端に対して最も遠い側の加工領域(この場合、加工領域A)から順に、荒加工に続けて仕上げ加工を行った後、支持された一端に対して次に遠い側の加工領域(この場合、加工領域B)に対して荒加工に続けて仕上げ加工を行うことを繰り返す切削加工を行う。
全ての加工領域の加工が完了した後、各加工領域の境界部の凹凸を取り除く仕上げ加工を行うと、より好ましい仕上げ形状を得ることができる。
なお、剛性が低い加工領域では、当然、工具Tの送り量や工具Tの切り込み量を、剛性が高い加工領域よりも小さくしなければならない(剛性の高い加工領域ほど、送り量または切り込み量の少なくとも一方を大きくできる)。従って、剛性が低い加工領域では、当該加工領域内での剛性のバラツキ幅がより小さいことが好ましい(最も低い剛性に合わせて送り量や切り込み量を設定するため)。
このため、剛性の低い加工領域から剛性の高い加工領域に向かって、加工領域が大きくなるように(面積または体積等が大きくなるように)加工領域の分割の比率を変更することが好ましい。図3(A)及び(B)の例では、支持位置から最も遠い位置である加工領域Aから、支持位置に最も近い位置である加工領域Cに向かって、分割比率(この場合、ワーク回転軸(A軸)方向の長さ)を徐々に大きくしている。
なお、加工領域の分割方法には種々の方法が考えられるが、例えば以下のようにして分割数(各利領域)を決定する。
上記に説明した本実施の形態におけるワークWの加工方法では、加工領域を分割する数を増やすと、荒加工用の工具Tと仕上げ加工用の工具Tとを交換する回数が増加する。これに伴う増加時間を「切り替え作業増加時間」とする。
また、加工領域の分割数を増やすと、仕上げ加工まで完了した加工領域から次の加工領域までの移動時間が増加する。これに伴う増加時間を「移動時増加時間」とする。
また、複数の加工領域に分割することで、送り量または切り込み量の少なくとも一方を大きくすることで短縮される時間(上記の切り替え作業増加時間と移動時増加時間を除いて、荒加工を開始してから仕上げ加工が完了するまでの時間で短縮された時間)を「加工時短縮時間」とする。
そして、シミュレーションにて適当な位置で加工領域を分割してみて、加工領域毎の分割切り替え作業増加時間と移動時増加時間と加工時短縮時間とを求め、全加工領域を加工した際の増減時間を求める。このような分割と増減時間のシミュレーションを行い、増減時間が最も小さくなる分割数及び加工領域を決定する。
以上、図3(A)及び(B)を用いた説明では、ワークWの一端を支持する場合について説明したので、支持位置から最も遠い位置から支持位置に近づくにつれて剛性が高くなる例で説明した。
次の説明では図3(C)を用いて、ワークWの両端を支持する場合について説明する。
ワークWの両端を支持する場合、支持した両端部は剛性が高く、両端部の支持位置から遠い位置となる中央近傍の剛性が低くなる。従って、図3(C)に示す例では、中央近傍の加工領域Aが最も剛性が低く、剛性の高さは、例えば、加工領域E>加工領域D>加工領域C>加工領域B>加工領域Aとなる。
薄板形状ワークWの両端を支持して加工する図3(C)の例の場合、支持された両端に対する中央近傍に近い加工領域(この場合、加工領域A)から順に、荒加工に続けて仕上げ加工を行った後、次に中央近傍に近い加工領域(この場合、加工領域B)に対して荒加工に続けて仕上げ加工を行うことを繰り返す切削加工を行う。従って、図3(C)の例の場合は、加工領域A−加工領域B−加工領域C−加工領域D−加工領域Eの順に加工を行う。
また、分割比率については、一端を支持する場合と同様に、剛性の低い加工領域から剛性の高い加工領域に向かって、加工領域が大きくなるように(面積または体積等が大きくなるように)加工領域の分割の比率を変更することが好ましい。図3(C)の例では、支持された両端から(両端の双方から)最も遠い位置である加工領域Aから、支持された両端に近い側に向かって、分割比率(この場合、ワーク回転軸(A軸)方向の長さ)を徐々に大きくしている。図3(C)の例では、分割比率を、加工領域E>加工領域D>加工領域C>加工領域B>加工領域Aとしている。
なお、分割数の決定や各加工領域の境界部の凹凸を取り除く仕上げ加工等は上記に説明したとおりであるので説明を省略する。
●[工具の外観と使い方の例(図4、図5)]
以上に説明した「切り替え作業増加時間」と「移動時増加時間」を短縮化することができれば、加工時間を更に短縮化することができる。そこで発明者は、「切り替え作業増加時間」に着目し、工具Tを交換することなく、荒加工と仕上げ加工とを選択的に可能とする特殊な工具TNを発明した。以下では、当該工具TNの外観と使い方について説明する。
図4(A)及び(B)は本発明の工具TNの側面図と正面図の例を示しており、図4(C)及び(D)は従来の工具Tの側面図と正面図の例を示している。
図4(C)及び(D)に示す従来の工具Tは略円柱形状であり、側面には側面刃Tsが設けられたエンドミルである。そして当該側面刃Tsは、略円柱形状の工具Tの側面から底面に向かって延びており、側面と底面の境界部において、側面刃Tsのコーナ部Tcは円弧状に形成されている。そして底面の中心周囲の領域Tzには刃は設けられておらず、平坦状に形成されている。また、従来の工具Tは、荒加工用の工具Tと仕上げ加工用の工具Tとが別々に存在している。
これに対して、図4(A)及び(B)に示す本実施の形態の工具TNは、略円柱形状である点と、側面刃Ts(コーナ部Tcを含む)を備えている点は同じであるが、工具TNの先端に相当する底面部に略球面形状の仕上げ刃Ttを備えている点が異なる。例えば仕上げ刃Ttは、球面形状の砥石であり、工具TNは、エンドミルと砥石を複合させた複合エンドミルである。
球面形状の仕上げ刃Ttの球面半径は、工具TNの外形となる円柱形状の底面の半径よりも大きい。球面半径が大きい方が転写効率が向上し、仕上げ面の凹凸の高さをより小さくすることができる。また、本実施の形態では、円柱形状の側面と底面の境界部において、仕上げ刃Ttに隣接する側面刃Tsのコーナ部Tcの円弧状の輪郭形状(図4(A)に示す側面図における輪郭の形状)の円弧の半径は、仕上げ刃Ttの球面半径よりも小さく形成されている。これにより、チッピング(刃先の欠け)の発生を抑制している。なお、コーナ部Tcの円弧の半径を仕上げ刃Ttの球面半径よりも大きく形成したり、非円弧形状に形成することもできる。
また、仕上げ刃Ttの縁部がコーナ部Tc(仕上げ刃Ttの側)と滑らかな曲線で連続するようにコーナ部Tcの形状が整えられており、コーナ部Tcと側面刃Tsの接続部においても、コーナ部Tc(仕上げ刃Ttと反対の側)と側面刃Tsとが滑らかに連続するように、コーナ部Tcの形状が整えられている。
これにより、図4(A)に示す側面図において、仕上げ刃Ttの輪郭と(コーナ部Tcの輪郭と)側面刃Tsの輪郭とが、滑らかに連続している。
また、工具TNの内部には、回転軸に相当する位置に(回転軸に沿って)、工具TN及び仕上げ刃Ttを貫通するクーラント供給路Thが形成されており、当該クーラント供給路Thから加工個所にクーラントが供給される。
以上に説明した工具TNでは、側面刃Ts(コーナ部Tcを含む)は荒加工用の刃として設けてあり、短時間に多くの削り代を切削することができる(図5(A)参照)。また、仕上げ刃Ttは仕上げ加工用の刃として設けてあり、削り代は小さいが、高精度に表面を仕上げることができる(図5(B)参照)。
次に図5(A)及び(B)を用いて、上記に説明した工具TNの使い方について説明する。図5(A)は、工具TNを用いて薄板形状ワークWの表面を荒加工している状態の例を示しており、図5(B)は、工具TNを用いて薄板形状ワークWの表面を仕上げ加工している状態の例を示している。
薄板形状ワークWの任意の加工領域を荒加工する場合、図5(A)に示すように、工具TNの側面刃Ts(コーナ部Tcを含む)が加工面に接触するように、加工面に対して工具TNの回転軸の傾斜角度θ1を大きくして、薄板形状ワークWに対して工具TNを相対的に加工面に沿って移動させて加工を行う。この場合、仕上げ刃Ttは加工面に接触しない。
次に、薄板形状ワークWの任意の加工領域を仕上げ加工する場合、図5(B)に示すように、工具TNの仕上げ刃Ttが加工面に接触するように、且つ側面刃Ts(コーナ部Tcを含む)が加工面に接触しないように、加工面に対して工具TNの回転軸の傾斜角度θ2を小さくして、薄板形状ワークWに対して工具TNを相対的に加工面に沿って移動させて加工を行う。
このように、加工面に対する工具TNの傾斜角度を調整することで、荒加工と仕上げ加工とで工具TNを交換する必要がなくなるので、切り替え作業時間を大幅に短縮することができる。
なお、仕上げ刃Ttを薄板形状ワークWに接触させて加工する仕上げ加工時に、薄板形状ワークWに対する工具TNの回転軸の傾斜角度θ2を設定した際、側面刃Ts(コーナ部Tcを含む)が薄板形状ワークWの仕上げ面に接触しないように、仕上げ刃Ttの表面における工具Tの底面部の径方向の長さ(仕上げ刃Ttの半径の長さ)が設定されている。
なお、上記に説明した工具TNを用いた場合、荒加工と仕上げ加工とで工具TNを交換する必要がないので、従来と同様に複数の加工領域に分割することなく、荒加工工程でワークWの全体を正寸近くまで加工し、続いてワークWの全体を仕上げ加工するようにしても、工具TNの交換が不要である分、加工時間を短縮化することができる。
また、工具TNの先端部に設けた仕上げ刃を、砥石の代わりに、側面刃の数よりも多くした切れ刃としてもよい(例えば、側面刃Tsが4枚の場合、仕上げ刃Ttを10枚にする)。刃の数が多い方が、仕上げ面の凹凸の高さが同じであっても、工具TNの送り速度をより大きくすることができ、加工時間をより短縮化することができる。
本発明の複合エンドミル、複合エンドミルを用いた加工方法は、本実施の形態で説明した工具TNの外観形状、及び加工方法に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、本実施の形態にて説明した薄板形状ワークの加工方法は、図1(A)及び(B)の例に示す加工装置1に限定されることなく、種々の加工装置に適用することが可能である。
また、工具TNの外観形状は、図4(A)及び(B)に示す外観形状に限定されるものではない。
本発明の複合エンドミルを用いた加工方法を、薄板形状ワークの加工に適用した加工装置1の一実施の形態における概略外観図(斜視図)を説明する図である。 薄板形状ワークWの用途と構造の例を説明する図である。 本発明の薄板形状ワークの加工方法を説明する図である。 本発明の工具TN(複合エンドミル)の外観を説明する図である。 本発明の工具TN(複合エンドミル)の使い方を説明する図である。
符号の説明
1 加工装置
10 ベッド
20 コラム
21 サドル
22 主軸
30 ベッド
31 スライドテーブル
32 旋回テーブル
33 チャック部
TN、T 工具
Ts 側面刃
Tc コーナ部
Tt 仕上げ刃
Th クーラント供給路
W 薄板形状ワーク(ワーク)
θ1、θ2 傾斜角度

Claims (7)

  1. 略円柱状の形状を有し、
    側面部には側面刃が設けられており、
    先端部である底面部には略球面状の仕上げ刃が設けられており、
    前記仕上げ刃の球面半径は、当該仕上げ刃が設けられている前記底面部の半径よりも大きい、
    複合エンドミル。
  2. 請求項1に記載の複合エンドミルであって、
    前記側面部と前記底面部との境界部において、前記側面刃における前記仕上げ刃に隣接するコーナ部は、前記仕上げ刃の球面半径よりも小さな半径の輪郭となる円弧状に形成されている、
    複合エンドミル。
  3. 請求項1または2に記載の複合エンドミルであって、
    前記側面部に直交する方向から見た場合、前記仕上げ刃の輪郭と前記側面刃の輪郭とが滑らかに連続している、
    複合エンドミル。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合エンドミルであって、
    前記複合エンドミルの回転軸に沿って、前記複合エンドミルの内部を貫通して前記先端部にクーラントを供給するクーラント供給路が設けられている、
    複合エンドミル。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の複合エンドミルであって、
    前記仕上げ刃をワークに接触させて加工する仕上げ加工時に前記ワークに対する前記複合エンドミルの回転軸の傾斜角度を設定した際、前記側面刃が前記ワークの仕上げ面に接触しないように、前記仕上げ刃の表面における前記底面部の径方向の長さが設定されている、
    複合エンドミル。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合エンドミルであって、
    前記仕上げ刃は砥石である、
    複合エンドミル。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の複合エンドミルを用いてワーク表面を切削加工する、複合エンドミルを用いた加工方法であって、
    前記ワークの任意の表面を荒加工する場合、
    前記複合エンドミルの前記側面刃が加工面に接触するように、前記加工面に対して前記複合エンドミルの回転軸の傾斜角度を大きくして前記ワークに対して前記複合エンドミルを相対的に前記加工面に沿って移動させて加工を行い、
    前記ワークの任意の表面を仕上げ加工する場合、
    前記複合エンドミルの前記仕上げ刃が前記加工面に接触するように、且つ前記側面刃が前記加工面に接触しないように、前記加工面に対して前記複合エンドミルの回転軸の傾斜角度を小さくして前記ワークに対して前記複合エンドミルを相対的に前記加工面に沿って移動させて加工を行う、
    複合エンドミルを用いた加工方法。

JP2008191677A 2008-07-25 2008-07-25 複合エンドミル及び複合エンドミルを用いた加工方法 Pending JP2010029947A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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