JP2010020092A - スパッタリング装置、及び液晶装置の製造装置 - Google Patents

スパッタリング装置、及び液晶装置の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】容易なターゲット交換を可能とすることでメンテナンス性に優れた、スパッタリング装置、及び液晶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板Wを収容する成膜室2と、成膜室2に着脱可能に設けられ、対向する一対のターゲット5a,5bからプラズマPzによりスパッタ粒子5Pを生じさせ、スパッタ粒子5Pを成膜室2内の基板Wに向けて放出するスパッタ粒子放出ユニット3と、を備えるスパッタリング装置1である。また、スパッタ粒子放出ユニット3は、ターゲット5a,5bを保持するとともにスパッタ粒子放出ユニット3の各構成部材をユニット化する保持部材80を有し、保持部材80を介して成膜室2に着脱可能に設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリング装置、及び液晶装置の製造装置に関するものである。
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、表示画像を形成するようになっている。
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。しかし、このようなラビング法は簡便であるものの、物理的にポリイミド膜をこすることでポリイミド膜に対して配向特性を付与するために、種々の不都合が指摘されている。具体的には、(1)配向性の均一さを確保することが困難であること、(2)ラビング処理時の筋跡が残り易いこと、(3)配向方向の制御およびプレチルト角の選択的な制御が可能ではなく、また広視野角を得るために用いられるマルチドメインを使用した液晶パネルには適さないこと、(4)ガラス基板からの静電気による薄膜トランジスタ素子の破壊や、配向膜の破壊が生じ、歩留まりを低下させること、(5)ラビング布からのダスト発生による表示不良が発生しがちであること、などである。
また、このような有機物からなる配向膜では、液晶プロジェクタのような高出力光源を備えた機器に用いた場合、光エネルギーにより有機物がダメージを受けて配向不良を生じてしまう。特に、プロジェクタの小型化および高輝度化を図った場合には、液晶パネルに入射する単位面積あたりのエネルギーが増加し、入射光の吸収によりポリイミドそのものが分解し、また、光を吸収したことによる発熱でさらにその分解が加速される。その結果、配向膜に多大なダメージが付加され、機器の表示特性が低下してしまう。
そこで、このような不都合を解消するため、対向配置されるターゲットから放出されるスパッタ粒子を1方向から斜めに基板に入射させるようにスパッタリングを実施することにより、基板に対して斜め方向に結晶成長した複数の柱状構造を有する無機材料からなる配向膜を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。このような方法によれば、得られる無機配向膜は高い信頼性を有するものと期待されている。
特開2007−286401号公報
ところで、上述のような対向ターゲット型のスパッタ装置においては、定期的に成膜室を開放して清掃することが必須である。また、対向ターゲットは、その構造上、表面に堆積物(デポ膜)が形成される。この堆積物は非常に剥がれ易く、パーティクルやアーキングの原因となるといった問題がある。このようなターゲット上の堆積物対策として、上述の定期メンテナンス時において成膜室を開放した際に、ターゲットについても表面に堆積物のないクリーニング後のものに交換してしまうことが有効である。なお、ターゲット表面の堆積物を除去するにはブラスト処理等の特別な処理が必要となる。そのため、成膜室内からターゲットを取り外す必要がある。
しかしながら、上記従来の構成においてはターゲットの交換が容易でなくメンテナンス性を低下させる要因となっていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、容易なターゲット交換を可能とすることでメンテナンス性に優れた、スパッタリング装置、及び液晶装置の製造装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のスパッタリング装置は、基板を収容する成膜室と、該成膜室に着脱可能に設けられ、対向する一対のターゲットからプラズマによりスパッタ粒子を生じさせ、該スパッタ粒子を前記成膜室内の前記基板に向けて放出するスパッタ粒子放出ユニットと、を備えることを特徴とする。
本発明のスパッタリング装置によれば、スパッタ粒子放出部が成膜室に着脱可能に構成されるので、メンテナンス時にクリーニング済みのターゲットを備えたスパッタ粒子放出部に付け替えることにより、ターゲットの交換を簡便且つ確実に行うことができる。よって、容易なターゲット交換を可能としたメンテナンス性に優れたスパッタリング装置を提供できる。また、ターゲットの交換作業が容易となるため、成膜室の大気開放時間を短縮することができ、装置のダウンタイムを大幅に短縮することもできる。
また、上記スパッタリング装置においては、前記スパッタ粒子放出ユニットは、前記ターゲットを保持するとともに当該スパッタ粒子放出ユニットの各構成部材をユニット化する保持部材を有し、該保持部材を介して前記成膜室に着脱可能に設けられるのが好ましい。
この構成によれば、保持部材によりスパッタ粒子放出ユニットを成膜室から着脱した後、ユニット化されたスパッタ粒子放出ユニットからターゲットのみを容易に取り外すことができる。よって、ターゲットのメンテナンス性に優れたものとなる。
さらに、前記成膜室における前記保持部材の取付け面が水平面とされているのがより好ましい。
このようにすれば、保持部材の取付け面が水平面とされるので、成膜室に対するスパッタ粒子放出ユニットの着脱動作を容易に行うことができる。
また、上記スパッタリング装置においては、前記保持部材は、前記一対のターゲットの面方向を前記基板の法線方向に対して傾けた状態に保持するのが好ましい。
この構成によれば、保持部材にターゲットを取付けることにより、基板に対し所望の入射角度でスパッタ粒子を入射させることができる。また、保持部材の形状を調整することにより上記スパッタ粒子の入射角度を様々に調整することができる。
また、上記スパッタリング装置においては、前記スパッタ放出ユニットの一部を前記成膜室内に入り込ませた状態に保持するのが望ましい。
この構成によれば、スパッタ放出ユニットの一部が成膜室内に入り込んだ状態に保持されるので、装置全体の小型化を図ることができる。また、ターゲットと基板とを近づけることで、ターゲットから放出されたスパッタ粒子を基板上に確実に成膜させることができる。
また、上記スパッタリング装置においては、前記保持部材は、前記成膜室側に配置され、第1の取付部材を介して第1のターゲットを保持する第1のターゲット保持部と、前記第1のターゲットに対向配置され、第2の取付部材を介して第2のターゲットを保持する第2のターゲット保持部と、を含み、前記成膜室と同一雰囲気とされる前記第1の取付部材のターゲット取付面の反対側を被覆する被覆部材を備えるのが好ましい。
第1の取付部材のターゲット保持面の反対側が成膜室内の雰囲気に曝された状態となるため、スパッタ粒子が付着するおそれがある。そこで、本発明を採用すれば、被覆部材により第1の取付部材のターゲット保持面の反対側が覆われるので、第1の取付け部材におけるターゲット取付面と反対側へのスパッタ粒子の付着を防止することができ、スパッタ粒子放出ユニットにおけるメンテナンス性を高めることができる。
また、上記スパッタリング装置においては、前記成膜室における前記保持部材の取付け面及び前記保持部材との界面に、シール部材が設けられるのが好ましい。
この構成によれば、成膜室の密閉状態を保った状態でスパッタ粒子放出ユニットを取付けることができる。
また、上記スパッタリング装置においては、前記スパッタ粒子放出ユニットは、前記スパッタ粒子の前記基板に対する入射角度を規制するスリットを有する規制部を備えるのが好ましい。
この構成によれば、スパッタ粒子放出ユニットとともに規制部が成膜室に対して着脱可能とされるので、メンテナンス性に優れたものとなる。
本発明の液晶装置の製造装置は、対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、上記のスパッタリング装置を備え、該スパッタリング装置によって前記無機配向膜を形成することを特徴とする。
本発明の液晶表示装置の製造装置によれば、メンテナンス性に優れたスパッタリング装置により無機配向膜が形成されるので、液晶装置の生産性を向上させることができる。よって、液晶装置の製造コストを低減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。なお、以下の図面においては、成膜室内での基板の搬送方向をX方向、基板の厚さ方向をZ方向、XZ方向にそれぞれに直交する方向をY方向、ターゲットの厚さ方向をZa方向、スパッタ粒子の放出方向をXa軸方向とした。
(スパッタリング装置、及び液晶装置の製造装置)
図1は本発明のスパッタリング装置(以下、スパッタ装置と称す)の一実施形態に係る概略構成を示す図である。図1に示すように、スパッタ装置1は、本発明の液晶装置の製造装置を構成し、液晶装置の構成部材となる基板W上にスパッタ法により無機配向膜を成膜するものである。スパッタ装置1は、基板Wを収容する真空チャンバーである成膜室2と、前記基板Wの表面にスパッタ粒子を放出することにより無機材料からなる配向膜を形成するスパッタ粒子放出ユニット3とを備えている。
スパッタ粒子放出ユニット3は、そのプラズマ生成領域に放電用のアルゴンガスを流通させる第1のガス供給手段(ガス供給部)21を備えており、成膜室2は、内部に収容された基板W上に飛来する配向膜材料と反応して無機配向膜を形成する反応ガスとしての酸素ガスを供給する第2のガス供給手段22を備えている。
また、上記成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための排気制御装置20が配管20aを介して接続されている。また、成膜室2には、図示下側の壁面から外側に突出するようにしてスパッタ粒子放出ユニット3との接続部を成すユニット接続部25が形成されている。
このユニット接続部25は、成膜室2の下側(−Z軸側)に凸状に設けられている。そして、ユニット接続部25の底面は、上記スパッタ粒子放出ユニット3の取付け面25aを構成しており、スパッタ粒子放出ユニット3を取付けるための開口25bが形成されている。なお、この取付け面25aは、水平面(XY面に平行)とされている。
成膜室2内には、基板Wをその被処理面(成膜面)が水平(XY面に平行)になるようにして保持する基板ホルダ6が設けられている。すなわち、基板Wは、上記取付け面25aと略平行となるように保持されたものとなっている。基板ホルダ6には、基板ホルダ6を図示略のロードロックチャンバー(図示せず)側からその反対側へ水平に搬送する移動手段6aが接続されている。移動手段6aによる基板Wの搬送方向は、図1においてX軸方向に平行であり、ターゲット5a、5bの長さ方向(Y軸方向)と直交する方向となっている。
また、基板ホルダ6には、保持した基板Wを加熱するためのヒータ7が設けられており、さらに、保持した基板Wを冷却するための冷却手段17が設けられている。ヒータ7は、電源等を具備した制御部7aに接続されており、制御部7aを介した昇温動作により所望の温度に基板ホルダ6を加熱し、これによって基板Wを所望の温度に加熱できるように構成されている。一方、冷却手段17は、冷媒循環手段18と配管等を介して接続されており、冷媒循環手段18から供給される冷媒を循環させることにより所望の温度に基板ホルダ6を冷却し、これによって基板Wを所望の温度に冷却するように構成されている。
上記第2のガス供給手段22は、ユニット接続部25に関して排気制御装置20と反対側に接続されており、第2のガス供給手段22から供給される酸素ガスは、成膜室2の−X方向から基板W上を経由して排気制御装置20側へ+X方向に流通するようになっている。
本実施形態に係るスパッタ装置1は、スパッタ粒子放出ユニット3が成膜室2に着脱可能とされている。スパッタ粒子放出ユニット3は、第1、第2のターゲット5a、5bを対向配置し、プラズマによりターゲット5a,5bからスパッタ粒子を生じさせ、成膜室2内の基板Wに無機配向膜を形成する対向ターゲット型のスパッタ装置を構成するものである。なお、第1、第2のターゲット5a、5bは、基板W上に形成する無機配向膜の構成物質を含む材料、例えばシリコンからなるものとされる。またターゲット5a、5bは図示Y方向に延びる細長い板状のものから構成される(図3参照)。
また、スパッタ粒子放出ユニット3は、上記ターゲット5a,5bを保持するフランジ(保持部材)80を有しており、このフランジ80によりスパッタ粒子放出ユニット3の各構成部材がユニット化(一体化)されている。ここで、スパッタ粒子放出ユニット3の構成部品について説明する。スパッタ粒子放出ユニット3は、その構成部材として、一対のターゲット5a,5bと、一対の電極9a,9bと、一対の磁界発生手段16a,16bと、を含む。
また、スパッタ粒子放出ユニット3は、上記ユニット接続部25の取付け面25aにフランジ80が螺子止めされることで成膜室2に取付けられており、このフランジ80を介して成膜室2に着脱可能とされている。これにより、フランジ80によってユニット化されたターゲット5a,5bを成膜室2から容易に着脱することができ、メンテナンス性を向上させている。また、上記取付け面25aが水平面(XY平面)とされているので、スパッタ粒子放出ユニット3の着脱性を向上させている。
図2はフランジ80の斜視構成図である。図2に示されるように、フランジ80は、上記ターゲット5a,5bを保持する箱型の筐体部81と、この筐体部81に一体的に形成され、フランジ80を上記成膜室2の取付け面25aに螺子止めする取付部82と、を有しており、ターゲット5a,5bを成膜室2内の基板Wに対して傾けた状態に保持可能となっている。筐体部81には、ターゲット5a,5bからのスパッタ粒子5Pを成膜室2内に放出させる開口部85が形成されており、この開口部85と対向する壁部86に上記第1のガス供給手段21が設けられている(図1参照)。
上記筐体部81は、第1のターゲット5aを保持する第1のターゲット保持部83と、第2のターゲット5bを保持する第2のターゲット保持部84と、これらに接続される側壁部87,88と、壁部86と、から構成されている。
具体的には、第1のターゲット5aは略平板状の第1電極9aに装着されており、この第1電極9aは上記第1のターゲット保持部83に形成された開口83a内に第1のターゲット5aを臨ませるように取付けられる。よって、第1のターゲット5aは、第1電極(第1の取付部材)9aを介して第1のターゲット保持部83に保持(取付)されたものとなっている。
また、第2のターゲット5bは略平板状の第2電極9bに装着されており、第2電極9bは第2のターゲット保持部84に形成された開口84a内に第2のターゲット5bを臨ませるように取付けられる。よって、第2のターゲット5bは、第2電極(第2の取付部材)9bを介して第2のターゲット保持部84に保持(取付)される。
したがって、ターゲット5a、5bは、筐体部81の内面側において対向配置される。
また、取付部82は、上記取付け面25aに取付けられる枠部82aと、上記筐体部81と枠部82aとを接続する接続部82bと、を含む。筐体部81は、枠部82aに対して傾いた状態で一体化されている。これにより、第1のターゲット保持部83及び第2のターゲット保持部84に保持されるターゲット5a,5bは、枠部82aに対して傾いた状態とされる。ここで、基板Wは、上述のように取付け面25aと略平行に保持されているため、ターゲット5a,5bは基板Wに対して傾けられた状態に保持されることとなる。
このようなフランジ80を用いることで、対向配置されるターゲット5a,5bを基板Wに対して所定の角度だけ傾けた状態に保持することが可能となっている。なお、上記所定角度としては、10°〜60°程度に設定するのが好ましい。これにより、基板Wに対し所望の入射角度でスパッタ粒子を入射させることが可能となる。また、フランジ80の形状、例えば接続部82bの折曲度合いを調整することにより上記スパッタ粒子の入射角度を様々に調整することができる。
上記接続部82bは、第1のターゲット保持部83側にて、筐体部81の底面と枠部82aとの間、及び枠部82aと第1、第2のターゲット保持部83,84に隣接するニ側壁部の枠部82aより下側(−Z方向)との間を接続している。さらに、接続部82bは、第2のターゲット保持部84側にて、筐体部81の上面(開口部85が形成された側)と枠部82aとの間、及び枠部82aと第1、第2のターゲット保持部83,84に隣接するニ側壁部の枠部82より上側(+Z方向)との間を接続している。なお、フランジ80を構成する筐体部81、取付部82は一つの板状部材を折曲加工することで構成してもよいし、複数の板状部材を組み合わせることで構成してもよい。
図1に示したように、フランジ80の枠部82aは、螺子止めにより取付け面25aに取付けられている。フランジ80は、上述のような形状により枠部82aに対してターゲット5aが上側(+Z方向)、ターゲット5bが下側(−Z方向)に配置されるようになっている。すなわち、スパッタ粒子放出ユニット3は、フランジ80を介して成膜室2内に一部が入り込んだ状態に保持され、筐体部81の内部は成膜室2の内部と連通している。すなわち、開口部83a、84a内に配置されたターゲット5a,5bは、開口部85のみを介して成膜室2内の雰囲気の内部と連通している。
また、成膜室2の取付け面25a及びフランジ80の枠部82aとの界面には、枠状のシール部材89が設けられている。これにより、成膜室2を密閉した状態でスパッタ粒子放出ユニット3を取付けることができる。
このようにスパッタ粒子放出ユニット3を成膜室2内に一部入り込んだ状態に保持することでスパッタ装置1全体の小型化を図ることができる。また、ターゲット5a,5bと基板Wとの距離が近づくことで、ターゲット5a,5bから放出されるスパッタ粒子を基板W上に確実に入射させることを可能としている。
また、フランジ80は、防着板(被覆部材)90を備えている。この防着板90は、第1のターゲット保持部83に保持される第1電極9aのターゲット保持面と反対側を覆うようにフランジ80に取付けられている(図1参照)。
本実施形態においては、上述のように、スパッタ粒子放出ユニット3が成膜室2内に一部入り込んだ状態で取付けられているため、第1のターゲット保持部83と反対側が成膜室2と同一雰囲気とされる。この場合、第1電極9a、及び第1の磁界発生手段16aにスパッタ粒子が付着するおそれがある。本実施形態では上記防着板90により第1電極9aのターゲット保持面と反対側へのスパッタ粒子5Pの付着を防止することで、スパッタ粒子放出ユニット3(特に磁界発生手段16a等)のメンテナンス性を高めている。
続いて、スパッタ粒子放出ユニット3の構成部材について詳述する。
上記第1電極9aには、内部流路(不図示)が形成されており、この内部流路には冷媒循環手段(不図示)から冷媒が送り込まれるようになっている。これにより、ターゲット5aを冷却することが可能となっている。
また、第2電極9bにも内部流路が形成されており、この内部流路には冷媒循環手段(不図示)から冷媒が送り込まれるようになっている。これにより、ターゲット5bを冷却することが可能となっている。なお、ターゲット5a,5bを冷却する手段を上記第1、第2電極9a,9bとは別部材から形成することもできる。
第1電極9aには直流電源又は高周波電源からなる電源4aが接続され、第2電極9bには直流電源又は高周波電源からなる電源4bが接続されており、各電源4a、4bから供給される電力によりターゲット5a、5bが対向する空間(プラズマ生成領域)にプラズマPzを発生させるようになっている。
図3は、スパッタ粒子放出ユニット3の構成を−Za方向に視た側面図である。図3に示されるように、第1電極9aは略矩形状からなり、第1のターゲット保持部83(フランジ80)の開口83aよりも大きく形成されている。そして、第1電極9aの裏面(Za方向)側には矩形枠状の永久磁石、電磁石、これらを組み合わせた磁石等からなる第1の磁界発生手段16aが配設されている。第1の磁界発生手段16aは、第1のターゲット保持部83の内面側に配置されるターゲット5aを囲むように形成される。
第1のターゲット保持部83は、ターゲット5aおよび第1の磁界発生手段16aを備えた第1電極9aの外周端部を支持することで、ターゲット5aを保持している。また、第1電極9aと第1のターゲット保持部83との間は良好にシールされたものとされている(図1参照)。
なお、スパッタ粒子放出ユニット3における第2のターゲット保持部84側は、第1のターゲット保持部83と対をなすものであり、図1に示す第2電極9bの裏面側に形成される第2の磁界発生手段16bも同様の形状である。
したがって、第1の磁界発生手段16aと第2の磁界発生手段16bとは、対向配置されたターゲット5a、5bの外周部で互いに対向して配置される。そして、これらの磁界発生手段16a、16bがターゲット5a、5bを取り囲むZa方向の磁界をスパッタ粒子放出ユニット3内に発生させ、かかる磁界によってプラズマPzに含まれる電子をプラズマ生成領域内に拘束する電子拘束手段を構成している。
このような構成により、フランジ80は、成膜室2内部に収容される基板Wの成膜面方向(図示X方向)と所定の角度を成す方向にスパッタ粒子を放出するようにスパッタ粒子放出ユニット3を成膜室2に取付けている。
また実際のスパッタ装置では、成膜室2の真空度を保持した状態での基板Wの搬入/搬出を可能とするロードロックチャンバーが、成膜室2のX軸方向外側に備えられている。ロードロックチャンバーにも、これを独立して真空雰囲気に調整する排気制御装置が接続され、ロードロックチャンバーと成膜室2とは、チャンバー間を気密に閉塞するゲートバルブを介して接続されている。かかる構成により、成膜室2を大気に解放することなく基板Wの出し入れを行えるようになっている。
図1に示すように、ターゲット5a、5bに挟まれるプラズマ生成領域に対して成膜室2と反対側に配置されたフランジ80の壁部86には、上記第1のガス供給手段21が接続されており、第1のガス供給手段21から供給されるアルゴンガスは、壁部86側からプラズマ生成領域(ターゲット対向領域)に流入し、ユニット接続部25を介して成膜室2内に流入するようになっている。そして、成膜室2に流入したアルゴンガスは、第2のガス供給手段22から供給される酸素ガスと合流して排気制御装置20側へ流れるようになっている。
なお、第2のスパッタガスである酸素ガスの流通方向と第1のスパッタガスであるアルゴンガスの流通方向との成す角度を鋭角とすることでスパッタガスを円滑に流通させることができる。これにより、酸素ガスとアルゴンガスとの合流地点においてガス流が乱れるのを防止することができ、基板Wに対するスパッタ粒子5Pの入射角度がばらつくのを防止することができる。
スパッタ装置1により液晶装置の構成部材である基板W上に無機配向膜を形成するには、第1のガス供給手段21からアルゴンガスを導入しつつ、第1電極9a及び第2電極9bにDC電力(RF電力)を供給することで、ターゲット5a、5bに挟まれる空間にプラズマPzを発生させ、プラズマ雰囲気中のアルゴンイオン等をターゲット5a、5bに衝突させることで、ターゲット5a、5bから配向膜材料(シリコン)をスパッタ粒子5Pとしてたたき出し、さらにプラズマPzに含まれるスパッタ粒子5Pのうち、プラズマPzから開口部3a側へ飛行するスパッタ粒子5Pのみを選択的に成膜室2側へ放出する。そして、基板Wの面上に斜め方向から飛来したスパッタ粒子5Pと、成膜室2を流通する酸素ガスとを基板W上で反応させることで、シリコン酸化物からなる配向膜を基板W上に形成するようになっている。
なお、本実施形態では、スパッタ粒子5Pとしてのシリコンを、第2のスパッタガスである酸素ガスと反応させることでシリコン酸化物を基板W上に成膜する場合について説明しているが、ターゲット5a、5bとして例えばシリコン酸化物(SiOx)やアルミニウム酸化物(AlOy等)などを用い、ターゲット5a、5bに対してRF電力を入力してスパッタ動作を行うことで、これらシリコン酸化物やアルミニウム酸化物からなる無機配向膜を基板W上に形成することができる。またこの場合において、第2のスパッタガス(酸素ガス)を成膜室2内に流通させておくことで、形成される無機配向膜の酸化物組成からのずれを防止することができ、無機配向膜の絶縁性を高めることができる。
上記構成を備えたスパッタ装置1によれば、対向ターゲット型のスパッタ粒子放出ユニット3を基板Wに対して所定角度(本実施形態では、例えば45°とした)傾けて配置しているので、スパッタ粒子放出ユニット3の開口部85から放出されるスパッタ粒子5Pを所定角度で基板Wの成膜面に入射させることができる。そして、このようにして斜め方向から入射させたスパッタ粒子の堆積により、一方向に配向した柱状構造を具備した無機配向膜を基板W上に形成することができるようになっている。また、対向ターゲット型のスパッタ粒子放出ユニット3では、開口部85から放出されないスパッタ粒子は、主にターゲット5a、5bに入射して再利用されるため、極めて高いターゲット利用効率を得られるようになっている。さらにスパッタ粒子放出ユニット3においては、ターゲット間隔を狭めることで開口部85から放出されるスパッタ粒子の指向性を高めることができるので、基板Wに到達するスパッタ粒子の入射角は高度に制御されたものとなり、形成される無機配向膜における柱状構造の配向性も良好なものとなる。
ところで、スパッタ装置を用いて、無機配向膜を形成する場合、定期的なメンテナンス作業を行う必要がある。本実施形態のように対向ターゲット型のスパッタ装置は、その構造上、ターゲット上(表面)に堆積物が形成されてしまう。このようなターゲット表面の堆積物を除去するにはブラスト処理等の特別な処理が必要となる。そのため、メンテナンス処理時には、堆積物が形成されたターゲットを、上記の特別処理によって堆積物を除去したクリーニング済みのものと交換してしまうのが効果的である。
本実施形態によれば、スパッタ粒子放出ユニット3がフランジ80を介して成膜室2の取付け面25aに容易に着脱可能に取付けられているため、メンテナンス時にはフランジ80ごとスパッタ粒子放出ユニット3を成膜室2の取付け面25aから取り外し、クリーニング済みのターゲット対5a,5bを取付けた他のスパッタ粒子放出ユニット3に付け替えて交換する。これにより、メンテナンス時は単なるスパッタ粒子放出ユニット3を交換することによりターゲット5a,5bの交換を実施できることとなり、結果的に、成膜室2の開放時間を短縮し、装置のダウンタイムを大幅に短縮することができる。また、取り外したスパッタ粒子放出ユニット3のターゲット5a,5bは、次の定期メンテナンスまでの間にフランジ80から外し、例えばブラスト処理により表面クリーニングをしたのち再度フランジ80に組み込んでおけば、メンテナンスにより装置の稼働時間に影響を与える影響を極力抑えることができる。
また、本実施形態に係るスパッタ装置1では、上記成膜動作に際して、スパッタ粒子放出ユニット3のターゲット5a、5bを取り囲む矩形枠状の磁界発生手段16a、16bにより形成される磁界によって、プラズマPzに含まれる電子5rを捕捉ないし反射させることができ、プラズマPzをターゲット5a、5bが対向する領域内に良好に閉じ込めることができるので、前記電子5rが基板Wの成膜面に入射して基板W表面の濡れ性が上昇するのを防止することができる(図1参照)。
これにより、基板Wに付着したスパッタ粒子の再配置により柱状構造の形成が阻害されるのを良好に防止することができる。したがって、本実施形態のスパッタ装置1によれば、配向性の良好な無機配向膜を基板W上に容易に形成することができる。
上記と同様の観点から、開口部85と基板Wとの間に位置する成膜室2やユニット接続部25の壁部は、接地電位に保持しておくことが好ましい。このような構成とすることで、電子拘束手段から漏れ出た電子を前記壁部により捕捉し除去することができ、基板W表面の濡れ性が上昇してしまうのを効果的に防止することができる。
さらにスパッタ装置1では、ターゲット5a、5bに細長い板状のものを用いており、スパッタ粒子放出ユニット3からY軸方向に延びるライン状にスパッタ粒子を放出させることができる。そして、基板ホルダ6は前記スパッタ粒子のラインと直交する方向(X軸方向)に基板Wを搬送することができるようになっているので、前記スパッタ粒子のラインにより基板W上を走査するようにして面状に成膜を行うことができ、連続的に基板処理を行うことができ、極めて高い生産効率を実現することができる。
また、スパッタ法によってターゲットから放出されるスパッタ粒子(配向膜材料)の持つエネルギーは例えば10eVであり、蒸着法によって蒸着源から発生するクラスター状粒子の持つエネルギーが例えば0.1eVであるのに比べて格段に大きいため、スパッタ粒子は蒸着法によるクラスター状粒子に比べて密着性が高いものとなる。すなわち、クラスター状粒子の場合、例えば成膜室2やユニット接続部25の内壁面に付着した粒子が振動等によって脱落し、発塵を起こしてこれが基板W上に異物となって付着してしまうおそれがあるが、スパッタ粒子の場合には、内壁面などに一旦付着すると、その高密着性によって容易には脱落せず、したがって、これが基板W上に異物となって付着してしまうといった不都合を回避することができる。
また、基板ホルダ6に基板Wを冷却するための冷却手段17を設けているので、成膜時に冷却手段17によって基板Wを冷却し、基板Wを室温等の所定温度に保持することができ、スパッタによって基板Wに付着した配向膜材料分子の基板上での拡散(マイグレーション)を抑制することができる。これにより、基板W上における配向膜材料の局所的な成長が促進され、一軸方向に柱状に成長した配向膜を容易に得られるようになる。
(スパッタ装置の他の構成例)
本実施形態に係るスパッタ装置1では、スパッタ粒子放出ユニット3にスパッタ粒子の上記基板Wに対する入射角度を規制するスリットを有する規制部を設けることができる。以下、かかる構成について図4を参照して説明する。
図4は、本構成例におけるスパッタ装置1の概略構成を示す図である。規制部91は、アルミニウム等の非磁性金属からなるもので、スパッタ粒子放出ユニット3の開口部85内から放出されるスパッタ粒子をスリットS間のみを通過させることで、粒子の飛散方向を規制するものである。また、規制部91は、成膜室2の壁部と電気的に導通して接地電位に保持されるのが好ましい。
これによれば、規制部91によって、電子拘束手段(磁界発生手段16a、16b)から漏れ出るプラズマPz中の電子やイオン状物質を捕捉して除去することができ、これにより基板Wに対してプラズマPzの影響が及ぶのを防ぐことができる。すなわち、スパッタ粒子放出ユニット3には磁界発生手段16a、16bからなる電子拘束手段が設けられているものの、この電子拘束手段から電子等が洩れ出て基板Wに到達すると、先に記載のように基板W表面の濡れ性が上昇してスパッタ粒子のマイグレーションが生じ、柱状構造の形成が阻害されるおそれがあるが、このような規制部91を配設しておくことにより、電子等が成膜室2の開口部85から洩れ出てくるのを防止するとともにスパッタ粒子の放出方向を良好に規制することができ、無機配向膜における柱状構造の形成を促進し、良好な配向性を備えた無機配向膜を形成することができる。
また、規制部91はフランジ80に一体的に設けられており、スパッタ粒子放出ユニット3とユニット化((一体化)されている。すなわち、メンテナンス時において、スパッタ粒子放出ユニット3を成膜室2から着脱した際、規制部91も成膜室2内から取り出されるので、成膜室2内のメンテナンス性に優れたものとすることができる。
なお、上記スパッタ装置1は、上述の実施形態に係る構成に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、フランジ80はスパッタ粒子放出ユニット3を基板Wに対して所定角度(例えば45°)傾けて配置する構成となっていたが、スパッタ粒子放出ユニット3における傾斜角はこれに限定されることはない。本発明は、例えばスパッタ粒子放出ユニット3を基板Wの法線方向に沿って配置可能な形状のフランジにも適用可能である。
また、上記実施形態では、上記フランジ80は筐体部81の対向する二側壁を成す第1のターゲット保持部83及び第2のターゲット保持部84にのみターゲット5a、5bが支持されている構成としているが、対向ターゲット型のスパッタ粒子放出ユニット3では、これら第1、第2のターゲット保持部83,84に隣接するとともに互いが対向するニ側壁にもそれぞれターゲットを配設するようにしてもよい。
この構成によれば、四つの側壁に設けられたターゲットから放出されるスパッタ粒子を成膜に用いることができるので、成膜速度の向上が期待できる。また、プラズマ生成領域の4方向を取り囲むようにしてターゲットが配置されるため、開口部85から成膜室2へ放出されるスパッタ粒子を除いたスパッタ粒子はプラズマPzを取り囲むターゲットに入射して、他のスパッタ粒子の生成等に再利用されるので、ターゲットの利用効率を高めることができる。なお、この場合においては、増設したターゲットに対応して電子拘束手段(磁界発生手段)の配置を変更し、プラズマPzとターゲットとの位置関係を最適化することが好ましい。
(液晶装置の製造方法)
次に、上記スパッタ装置1を備えた液晶装置の製造装置(以下、製造装置と称す)を用いた液晶装置の製造方法(基板W上に無機配向膜を形成する工程)について説明する。
まず、基板Wとして、液晶装置用基板としてスイッチング素子や電極等、所定の構成部材が形成された基板を用意する。次いで、基板Wを成膜室2に併設されたロードロックチャンバー内に収容し、ロードロックチャンバー内を減圧して真空状態とする。また、これとは別に、排気制御装置を作動させて成膜室2内を所望の真空度に調整しておく。
続いて、基板Wを成膜室2内に搬送し、基板ホルダ6にセットする。そして、配向膜形成の前処理として、基板ホルダ6のヒータ7によって基板Wを例えば250℃〜300℃程度で加熱し、基板Wの表面に付着した吸着水やガスなどの脱水・脱ガス処理を行う。次いで、ヒータ7による加熱を停止した後、スパッタリングによる基板温度の上昇を抑制するため、冷媒循環手段18を作動させて冷却手段17に冷媒を循環させることで基板Wを所定温度、例えば室温に保持する。
次に、アルゴンガスを第1のガス供給手段21からスパッタ粒子放出ユニット3内に所定流量で導入し、酸素ガスを第2のガス供給手段22から所定流量で成膜室2内に導入するとともに、排気制御装置20を作動させ、所定の操作圧力、例えば10−1Pa程度に調整する。酸素ガスプラズマでは酸素ラジカル、酸素の負イオンが発生するため、本実施形態の製造装置では、プラズマ生成領域であるターゲット5a、5bの前面にはアルゴンガスのみを導入し、酸素ガスは別系統のガス供給路から基板W上へ流入させている。また、成膜中にも必要に応じてヒータ7、冷却手段17を作動させることにより、基板Wを室温に保持することが好ましい。
その後、このような成膜条件のもとで、移動手段6aにより基板Wを図1中のX方向に所定の速度で移動させつつ、スパッタ粒子放出ユニット3によるスパッタリングを行う。すると、ターゲット5a、5bからは、配向膜材料となるスパッタ粒子(シリコン)が放出されるが、対向ターゲット型のスパッタ粒子放出ユニット3では、ターゲット対向方向に進行するスパッタ粒子はプラズマPz内に閉じ込められ、ターゲット面方向の開口部85に向かって進行するスパッタ粒子5Pのみが開口部85から成膜室2内に放出され、基板W上に入射するようになる。
スパッタ粒子5Pは、基板Wの成膜面に対してのみ選択的に入射、基板W上で酸素ガスと反応してシリコン酸化物の被膜を形成する。このように基板Wに対して斜めに傾けて配置されたスパッタ粒子放出ユニット3から放出されたスパッタ粒子5Pは、基板Wの成膜面に対して所定の角度、すなわち角度θ1で入射するようになる。その結果、基板W上で酸素ガスとスパッタ粒子5Pとの反応を伴って堆積した無機配向膜は、前記の入射角に対応した角度で傾斜する柱状構造を有した無機配向膜となる。
このように、製造装置により基板W状に形成される無機配向膜は所望の角度で傾斜した柱状構造を有する無機配向膜であり、この配向膜を備えてなる液晶装置は、かかる無機配向膜によって液晶のプレチルト角を良好に制御することができるものとなる。
またこのとき、スパッタ粒子放出ユニット3の開口部85に設けられた電子拘束手段(磁界発生手段16a、16b)によりプラズマPzに含まれる電子やイオン状物質が捕捉又は反射されるため、これらの電子やイオン状物質が基板Wに到達するのを防止することができる。さらに、図4に示した規制部91を成膜室2に配設しておけば、上記電子やイオン状物質が基板Wに到達するのをより効果的に防止することができ、また基板Wに入射するスパッタ粒子5Pの入射角制御もより高精度に行うことができる。
以上の工程により、基板W上に無機配向膜を形成したならば、別途製造した他の基板とシール材を介して貼り合わせ、基板間に液晶を封入することで液晶装置を製造することができる。なお、本発明に係る液晶装置の製造方法において、無機配向膜の形成工程以外の製造工程については公知の製造方法を適用することができる。このように本発明の液晶装置の製造装置によれば、メンテナンス性に優れたスパッタ装置1により無機配向膜が形成されるので、液晶装置の生産性を向上することができ、液晶装置の製造コストを低減できる。
スパッタ装置の概略構成を示す図である。 フランジの斜視構成図である。 スパッタ粒子放出ユニットを−Za方向に視た側面構成図である。 スパッタ装置の他の構成例を示す図である。
符号の説明
1…スパッタ装置(スパッタリング装置)、2…成膜室、3…スパッタ粒子放出ユニット、5a,5b…ターゲット、5P…スパッタ粒子、9a…第1電極(第1の取付部)、9b…第2電極(第2の取付部)、25a…取付け面、80…フランジ(保持部材)、83…第1のターゲット保持部、84…第2のターゲット保持部、89…シール部材、90…防着板、91…規制部、Pz…プラズマ、W…基板

Claims (9)

  1. 基板を収容する成膜室と、
    該成膜室に着脱可能に設けられ、対向する一対のターゲットからプラズマによりスパッタ粒子を生じさせ、該スパッタ粒子を前記成膜室内の前記基板に向けて放出するスパッタ粒子放出ユニットと、
    を備えることを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 前記スパッタ粒子放出ユニットは、前記ターゲットを保持するとともに当該スパッタ粒子放出ユニットの各構成部材をユニット化する保持部材を有し、該保持部材を介して前記成膜室に着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
  3. 前記成膜室における前記保持部材の取付け面が水平面とされていることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
  4. 前記保持部材は、前記一対のターゲットの面方向を前記基板の法線方向に対して傾けた状態に保持することを特徴とする請求項2又は3に記載のスパッタリング装置。
  5. 前記保持部材は、前記スパッタ放出ユニットの一部を前記成膜室内に入り込ませた状態に保持することを特徴とする請求項4に記載のスパッタリング装置。
  6. 前記保持部材は、前記成膜室側に配置され、第1の取付部材を介して第1のターゲットを保持する第1のターゲット保持部と、前記第1のターゲットに対向配置され、第2の取付部材を介して第2のターゲットを保持する第2のターゲット保持部と、を含み、
    前記成膜室と同一雰囲気とされる前記第1の取付部材のターゲット取付面の反対側を被覆する被覆部材を備えることを特徴とする請求項5に記載のスパッタリング装置。
  7. 前記成膜室における前記保持部材の取付け面及び前記保持部材との界面に、シール部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
  8. 前記スパッタ粒子放出ユニットは、前記基板に対する前記スパッタ粒子の入射角度を規制可能なスリットが形成された規制部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
  9. 対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のスパッタリング装置を備え、該スパッタリング装置によって前記無機配向膜を形成することを特徴とする液晶装置の製造装置。
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