JP2010014180A - ロッカーアーム用カムフォロアおよびカムフォロア装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多くのころ本数を確保しながら、十分な保持器の強度を有し、かつ組み立て容易な、保持器付き軸受を提供する。
【解決手段】ロッカーアーム用カムフォロアは、外周面がカムに当接する円筒形状のローラ11と、ローラ11の内周面に配置される複数のころ13と、複数のころ13のピッチ円Pよりも径方向外側に位置する複数の外側柱部14o、外側柱部14oから離隔してピッチ円Pよりも径方向内側に位置する複数の内側柱部14i、および複数の外側柱部14oの端部と複数の外側柱部14iの端部とを連結してこれら外側柱部14oと内側柱部14iとの位置関係を固定する側板15を有する保持器12とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】ロッカーアーム用カムフォロアは、外周面がカムに当接する円筒形状のローラ11と、ローラ11の内周面に配置される複数のころ13と、複数のころ13のピッチ円Pよりも径方向外側に位置する複数の外側柱部14o、外側柱部14oから離隔してピッチ円Pよりも径方向内側に位置する複数の内側柱部14i、および複数の外側柱部14oの端部と複数の外側柱部14iの端部とを連結してこれら外側柱部14oと内側柱部14iとの位置関係を固定する側板15を有する保持器12とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、エンジンの可動弁機構に使用されるカムフォロアに関する。
エンジンのロッカーアームは、カムの回転運動を受けて、吸気弁および排気弁を開閉する。かかる動作中のフリクションロスを低減するため、ロッカーアームに、総ころ形式の転がり軸受を設け、ロッカーアームとカムとを転がり接触させる技術が従来、知られている。
総ころ形式の転がり軸受は、高荷重用途で使用することができる一方で、ころ同士の接触による油膜切れや、ころのスキューを原因とする、ピーリング、スミアリング、表面起点型剥離が生じる。総ころ形式の転がり軸受の場合、計算上は大きな負荷容量を有するにもかかわらず、その大きな負荷容量を充分に活用することができなかった。
そこで、エンジンの動弁系のフリクションロス低減を目的として、例えば特開2006−194139号公報(特許文献1)および特開2006−200411号公報(特許文献2)に記載のものが知られている。特許文献1および特許文献2に記載の技術は、カムに転がり接触するローラを、針状ころおよび保持器を備えた針状ころ軸受でロッカーアームに軸支する。そして、針状ころを収容する保持器の柱部を、針状ころのピッチ円よりも内径側または外径側に配置し、周方向に隣り合う針状ころ同士を近づけて、たくさんの針状ころを具備するというものである。
特開2006−194139号公報
特開2006−200411号公報
しかし、上記従来のような針状ころにあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり、軸受の組立時にころが保持器から脱落してしまい、容易に組立することができなかった。
本発明の目的は、上述の実情に鑑み、多くのころを具備するものであって、ころが保持器から脱落することがないロッカーアーム用カムフォロアを提供するものである。
この目的のため本発明によるロッカーアーム用カムフォロアは、外周面がカムに当接する円筒形状のローラと、ローラの内周面に配置される複数のころと、複数のころのピッチ円よりも径方向外側に位置する複数の外側柱部、外側柱部から離隔してピッチ円よりも径方向内側に位置する複数の内側柱部、および複数の外側柱部の端部と複数の内側柱部の端部とを連結してこれら外側柱部と内側柱部との位置関係を固定する側板を有する保持器とを備える。
かかる本発明によれば、保持器が柱部として、ピッチ円よりも径方向外側に位置する外側柱部と、ピッチ円よりも径方向内側に位置する内側柱部を有することから、周方向で隣り合う2本の柱部および径方向で隣り合う2本の柱部の間にころを脱落不能に収容することができる。しかも、ピッチ円には柱部が位置しないことから、隣り合うころ同士を周方向で近づけることが可能になる。したがって、総ころ形式に近い本数で多くのころを具備することができ、軸受の負荷容量を確保することができる。また、保持器は、ピッチ円よりも径方向外側に位置する外側柱部と、ピッチ円よりも径方向内側に位置する内側柱部を備えることから、ころが保持器の外側柱部および内側柱部に当接しても、外側柱部および内側柱部でころを受け止めることができるため、保持器のこれら柱部に作用する応力を分散することが可能になり、保持器全体の構造を強くすることが可能になる。したがって、保持器の強度を充分確保することができる。
また保持器は、複数の外側柱部の端部と複数の内側柱部の端部とを連結してこれら外側柱部と内側柱部との位置関係を固定する側板を有することから、外側柱部と内側柱部とをそれぞれ分離して製作し、側板でこれら柱部を連結することが可能となり、保持器の製作が容易になる。特に、保持器が樹脂製の場合、射出成形によってこれら外側部材および内側部材を容易に製作することができる。
好ましくは、側板はリング形状である。これにより、外側部材および内側部材を一体強固に連結することが可能になるとともに、保持器の組立効率が向上する。
好ましくは、少なくとも2本の外側柱部の端部は、円弧形状の円弧部材によって一体結合され、少なくとも2本の内側柱部の端部は、円弧形状の円弧部材によって一体結合され、側板は、これら円弧部材をリング状に連結する。これにより、外側柱部および内側柱部を一体強固に連結することが可能になるとともに、保持器の組立効率が向上する。
好ましくは、内側柱部の端部を一体結合する円弧部材はリング形状である。これにより、内側柱部を全周に有する円筒形状の内側部材を中心とし、この内側部材の径方向外側に少なくとも2本の外側柱部を有する外側部材を取り付けるよう組立てることが可能になり、保持器の組立効率が一層向上する。
好ましくは、側板は、保持器の径方向外側および径方向内側に、円弧状に延在して円弧部材と係合する段差部が形成される。これにより、内側部材と、外側部材と、側板との位置合わせが容易になり、保持器の組立効率が一層向上する。
好ましくは、円弧部材および側板の一方は、保持器の軸方向に突出する凸部を備え、円弧部材および前記側板の他方は、前記凸部と嵌合する凹部を備える。これにより、外側部材および内側部材を容易に連結することができる。
好ましくは、凸部および凹部は互いに収縮締結する。これにより、外側部材、内側部材および側板を連結固定することが可能になり、保持器の強度を充分確保することができる。
本発明は1実施形態に限定されるものではないが、好ましくは、径方向に対面する外側柱部と内側柱部との間隔をS、ころの直径をDとすると、S≧0.15Dを満たす。これにより、カムフォロアに多くのころを具備することができる。
本発明のカムフォロアに使用される保持器は金属製であってもよいが、好ましくは樹脂製である。これにより、柱部を容易に製作することができる。
この場合好ましくは、内側柱部および外側柱部は、それぞれ径方向寸法および周方向寸法のうちの少なくともいずれか一方が0.4mm以上である。これにより、樹脂製の保持器を射出成形によって製作することができる。
柱部は1実施形態に限定されるものではない。例えば、内側柱部と外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が多角形である。好ましくは、内側柱部と外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が長さの等しい一対の斜辺を有する等脚台形であって、一対の斜辺がそれぞれころに対面するように配置されている。あるいは、内側柱部と外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が長さの等しい一対の辺を有する二等辺三角形であって、一対の辺がそれぞれころに対面するように配置されている。これにより、隣り合うころ同士の間隔を狭くして、カムフォロアに多くのころを具備することができる。
あるいは、内側柱部と外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が円であってもよい。円は真円であっても、あるいは、楕円であってもよい。
また、本発明によるカムフォロア装置は、1対の脚部を有する揺動部材と、一対の脚部間に架設される支持軸と、支持軸に回転自在に支持され、外周面がカムに当接する円筒形状のローラと、これら支持軸およびローラ間の環状領域に配置される複数のころと、複数のころのピッチ円よりも径方向外側に位置する複数の外側柱部、外側柱部から離隔して前記ピッチ円よりも径方向内側に位置する複数の内側柱部、および複数の外側柱部の端部と複数の内側柱部の端部とを連結してこれら外側柱部と内側柱部との位置関係を固定する側板を有する保持器とを備える。
かかる本発明によれば、保持器が柱部として、ピッチ円よりも径方向外側に位置する外側柱部と、ピッチ円よりも径方向内側に位置する内側柱部を有することから、周方向で隣り合う2本の柱部および径方向で隣り合う2本の柱部の間にころを脱落不能に収容することができる。しかも、ピッチ円には柱部が位置しないことから、隣り合うころ同士を周方向で近づけることが可能になる。したがって、総ころ形式に近い本数で多くのころを具備することができ、軸受の負荷容量を確保することができる。また、保持器は、ピッチ円よりも径方向外側に位置する外側柱部と、ピッチ円よりも径方向内側に位置する内側柱部を備えることから、ころが保持器の外側柱部および内側柱部に当接しても、外側柱部および内側柱部でころを受け止めることができるため、保持器のこれら柱部に作用する応力を分散することが可能になり、保持器全体の構造を強くすることが可能になる。したがって、保持器の強度を充分確保することができる。
また保持器は、複数の外側柱部の端部と複数の内側柱部の端部とを連結してこれら外側柱部と内側柱部との位置関係を固定する側板を有することから、外側柱部と内側柱部とをそれぞれ分離して製作することが可能となり、保持器の製作が容易になる。特に、保持器が樹脂製の場合、射出成形によってこれら外側部材および内側部材を容易に製作することができる。
本発明によれば、保持器がピッチ円よりも径方向外側および径方向内側で柱部を有することから、周方向で隣り合う2本の柱部および径方向で隣り合う2本のころ止め部の間にころを脱落不能に収容することができ、カムフォロアの組立効率が向上する。しかも、ピッチ円には柱部が位置しないことから、周方向で隣り合うころ同士を近づけることが可能になる。したがって、総ころ式の軸受とほぼ同様に多くのころを具備することが可能になり、負荷容量を大きくすることができる。
また保持器が外側柱部と内側柱部との位置関係を固定する側板を有することから、外側柱部と内側柱部とをそれぞれ製作することが可能となり、保持器の製作が容易になる。特に、保持器が樹脂製の場合、射出成形によってこれら外側部材および内側部材をそれぞれ容易に製作することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のカムフォロアを組み込んだ可動弁機構を示す正面図である。可動弁機構1は、自動車のエンジン部品であって、軸5に揺動可能に支持されたロッカーアーム2と、ロッカーアーム2の一端に配置され、エンジン燃焼室の吸排気を行う弁3と、ロッカーアーム2の他端に配置される支持軸6と、支持軸6の外周に回転自在に軸支されるローラ11と、カムシャフト(図示省略)に固定され偏心部4aを有するカム4とを備える。
上記構成の可動弁機構1は、エンジンのクランクシャフト(図示省略)の回転がタイミングベルト(図示省略)を経由してカムシャフト(図示省略)に伝達され、カム4を回転させる。そして、カム4の偏心部4aがローラ11の外周面に当接したときに、ロッカーアーム2が軸5を中心として揺動して弁3を押し下げる。これにより、エンジンの吸排気を行う。このとき、ローラ11はカム4の回転に伴って回転するので、ローラ11とカム4との当接部分のフリクションロスを低減することが可能となる。
図2は、ローラ11を軸支する軸受を拡大して示す斜視図である。カムフォロアは、外周面がカムに当接する円筒形状のローラ11と、ローラ11の内周面に配置される複数のころ13と、これらころ13を整列させる保持器12を備える。ころ13はローラ11の内周面および軸6の外周面を転走する。
図3は、図2のころ13および保持器12を示す斜視図である。保持器12は、軸方向に向かい合う一対のリング部、および一対のリング部を接続する複数の柱部を有するケージタイプのものである。柱部は軸方向に延びて周方向等間隔に配設される。そして周方向で隣り合う柱部同士の間に形成されるポケットにころ13を収容する。保持器12は、柱部として、複数のころ13のピッチ円よりも径方向外側に位置して一対のリング部を接続する複数の外側柱部14oと、ピッチ円よりも径方向内側に位置するとともに外側柱部14oから離隔して一対のリング部を接続する複数の内側柱部14iとを備える。また保持器12は、リング部の位置に、周方向に延在する側板15を備える。側板15は、有底あるいは無底の穴16,17を備える。穴16は、側板15の径方向外側に配設され、穴17は側板15の径方向内側に配設される。また、穴16は1個の***または2個1対の***であり、周方向に略80度と略10度との交互の間隔で8箇所に配設される。また、穴17も1個の***または2個1対の***であり、穴16と周方向同位置に配設される。周方向同位置で、穴16および穴17の一方は1個であるのに対し、他方は2個1対の穴である。
図4は、図3の保持器12のポケットにころ13を取り付ける前の状態を分解して示す分解斜視図である。保持器12は、外側柱部14oを有する2個の外側部材18と、内側柱部14iを有する2個の内側部材19と、リング部の位置にあってこれら外側部材18および内側部材19を連結する側板15との組立体である。
外側部材18は、円筒を2分した半割形状であって、複数の外側柱部14oと、これら外側柱部14oの端部と一体結合する円弧形状の円弧部材20とを有する。円弧部材20は、外側部材18の軸方向両端部で、周方向に170度ないし180度の範囲に延在する円弧形状の部材であって、複数の外側柱部14oの端部を一体に結合する。円弧部材20の径方向厚みは、外側柱部14oの径方向厚みと等しい。
円弧部材20は、軸方向に突出する凸部22を有する。凸部22は、1個あるいは2個1対の小突起であり、円弧部材20の両端部それぞれに、2個1対の小突起からなる凸部22が配設される。また円弧部材20の中央部に、周方向に略10度の間隔をあけて1個の小突起からなる凸部22が2個配設される。これらの凸部22は、側板15の穴16と嵌合する。
内側部材19は、円筒を2分した半割形状であって、複数の内側柱部14iと、これら内側柱部14iの端部と一体結合する円弧形状の円弧部材21とを有する。円弧部材21は、内側部材19の軸方向両端部で、周方向に170度ないし180度の範囲に延在する円弧形状の部材であって、複数の内側柱部14iの端部を一体に結合する。円弧部材21の径方向厚みは、内側柱部14iの径方向厚みと等しい。
円弧部材21は、軸方向に突出する凸部23を有する。凸部23は、1個あるいは2個1対の小突起であり、円弧部材21の両端部それぞれに、2個1対の小突起からなる凸部23が配設される。また円弧部材21の中央部に、周方向に略10度の間隔をあけて1個の小突起からなる凸部23が2個配設される。これらの凸部23は、側板15の穴17と嵌合する。
側板15は、リング部材を周方向に分割したものであってもよいが、好ましくは本実施例のように平坦なリング形状の部材であり、円弧部材20,21と密着して、これら円弧部材20,21をリング状に連結する背面と、保持器12の端面になる前面とを備え、保持器12の軸方向両端にそれぞれ取り付けられる。
側板15の背面には、全周に亘って延在するとともに、軸方向に突出した突条24が形成され、この突条24よりも径方向外側に、円弧状に延在する段差部26が形成される。段差部26は、周方向に170度ないし180度の範囲に延在する。本実施例では特に、略175度の範囲に延在する段差部26を2箇所設け、これら段差部26の間に、突条24と同じ突出高さで連なる突起28を設ける。突起28は周方向に略5度の範囲に亘る。そして、段差部26の両端部、すなわち突起28の近傍に、2個1対の穴16を設ける。また、段差26の中央部、すなわち後述する突起29の近傍に、周方向に間隔をあけて1個の穴16を2個配設する。
側板15の背面には、突条24よりも径方向内側に、円弧状に延在する段差部27が形成される。段差部27は、周方向に170度ないし180度の範囲に延在する。段差部27と段差部26は、互いに90度位相をずらして配設される。本実施例では特に、略175度の範囲に延在する段差部27を2箇所設け、これら段差部27の間に、突条24と同じ突出高さで連なる突起29を設ける。突起29は周方向に略5度の範囲に亘る。
保持器12の組立時には、径方向外側の段差部26が外側部材18の円弧部材20と係合し、径方向内側の段差部27が内側部材19の円弧部材21と係合する。これにより、内側部材19と、外側部材18と、側板15との位置合わせが容易になり、保持器12の組立効率が一層向上する。また、突条24は、ころ13のピッチ円と一致することから、外側部材18の外側柱部14oと内側部材19の内側柱部14iとをピッチ円から離隔させることができる。
また保持器12の組立時には、凸部22および穴16に締め代を設け、焼きばめ、あるいは締まりばめ等によって凸部22および穴16を互いに収縮締結する。同様に、凸部23および穴17に締め代を設け、焼きばめ、あるいは締まりばめ等によって凸部23および穴17を互いに収縮締結する。これにより、外側部材18、内側部材19および側板15を連結固定することが可能になり、保持器12の強度を充分確保することができる。
ところで本実施例では、保持器12が外側部材18、内側部材19および側板15の組立体であることから、外側柱部14oと内側柱部14iとをそれぞれ製作することが可能となり、保持器12の製作が容易になる。特に、保持器12が樹脂製の場合、射出成形によってこれら外側部材18および内側部材19を容易に製作することができる。
また本実施例では、側板15が閉じたリング形状であることから、外側部材18および内側部材19を一体強固に連結することが可能になるとともに、保持器12の組立効率が向上する。
また本実施例では、外側部材18は、複数の外側柱部14oと、これら外側柱部14oの端部と一体結合する円弧形状の円弧部材20とを有する。また、内側部材19は、複数の内側柱部14iと、これら内側柱部14iの端部と一体結合する円弧形状の円弧部材21とを有する。そして、側板15は、これら円弧部材20,21をリング状に連結する。これにより、外側部材18および内側部材19を一体強固に連結することが可能になるとともに、保持器の組立効率が向上する。
なお本実施例では、外側部材18および内側部材19がそれぞれ周方向に2個ずつあるが、本実施例の他、図には示さなかったが、外側部材18および内側部材19は、それぞれ周方向に3個以上であってもよい。つまり円弧部材20は、少なくとも2本の外側柱部14oの端部を一体結合するものであればよく、円弧部材21は、少なくとも2本の内側柱部14iの端部を一体結合するものであればよい。
また本実施例の変形例として、内側部材19を1個としてもよい。図5はころ13および変形例の保持器12を示す斜視図である。変形例の保持器12の基本構造は、図1~図4に沿って上述したものと同じである。変形例の側板15では、穴16が1個の***または2個1対の***であるのに対し、穴17が1個の***である。
図6は、図5の保持器12のポケットにころ13を取り付ける前の状態を分解して示す分解斜視図である。変形例の保持器12は、外側柱部14oを有する2個の外側部材18と、内側柱部14iを有する1個の内側部材19と、リング部の位置にあってこれら外側部材18および内側部材19を連結する側板15との組立体である。
変形例の内側部材19は、円筒形状であって、複数の内側柱部14iと、これら内側柱部14iの端部と一体結合する円弧形状の円弧部材21とを有する。円弧部材21は、内側部材19の軸方向両端部に位置するリング形状の部材であって、全ての内側柱部14iの端部を一体に結合する。円弧部材21の径方向厚みは、内側柱部14iの径方向厚みと等しい。
変形例の円弧部材21は、軸方向に突出する凸部23を有する。凸部23は、1個の小突起であり、周方向に略80度と略10度との交互の間隔で8箇所に配設される。これらの凸部23は、側板15の穴17と嵌合する。
側板15背面の段差部27は、全周にわたって延在する。
変形例の保持器12の組立時にも、組立が径方向外側の段差部26が外側部材18の円弧部材20と係合し、径方向内側の段差部27が内側部材19の円弧部材21と係合する。これにより、内側部材19と、外側部材18と、側板15との位置合わせが容易になり、保持器12の組立効率が一層向上する。また、突条24は、ころ13のピッチ円と一致することから、外側部材18の外側柱部14oと内側部材19の内側柱部14iとをピッチ円から離隔させることができる。
他にも、図には示さなかったが、外側部材18が1個であってもよい。この場合、円弧部材20は、外側部材18の軸方向両端部に位置するリング形状の部材であって、全ての外側柱部14oの端部を一体に結合する。
図7は、これまで説明してきた図1〜図6のカムフォロアを、軸と直角な平面で切断して見た状態を示す断面図である。ころ13よりも外径側にあるローラ11はカムフォロアの外輪に相当する。またころ13よりも内径側にある支持軸6はカムフォロアの内輪に相当する。外側柱部14oと内側柱部14iは、径方向に離れて向かい合っており、1対の柱部を構成する。したがって本実施例では、外側柱部14oの本数と内側柱部14iの本数が同じである。
保持器12の外側柱部14oおよび内側柱部14iの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が多角形である。これらの断面形状は、三角形あるいは四角形以上の多角形であってもよいが、好ましくは、外側柱部14oおよび内側柱部14iのうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が長さの等しい一対の辺を有する二等辺三角形であって、これら一対の辺がそれぞれ、ころ13に対面するように配置されている。より好ましくは、外側柱部14oおよび内側柱部14iの双方が、二等辺三角形の断面形状を有する。つまり、外側柱部14oの断面形状の底辺が、保持器の外周上にあり、内側柱部14iの断面形状の底辺が、保持器の内周上にあり、外側柱部14oおよび内側柱部14iの頂角同士が径方向に離れて向かい合う。
図8は図7に示す外側柱部14oおよび内側柱部14iの断面形状の拡大図である。破線で示すころ13のピッチ円Pを一点鎖線で示す。外側柱部14oはピッチ円Pの外側に位置する。また、内側柱部14iはピッチ円Pの内側に位置する。また本実施例では、柱部14o,14iの二等辺三角形の断面形状のうち一対の辺が、それぞれころ13に対面するように配置されている。
このように保持器12は、ころ13のピッチ円Pよりも径方向外側に位置して一対のリング部を接続する複数の外側柱部14o、およびピッチ円Pよりも径方向内側に位置するとともに外側柱部14oから離隔して軸方向に延びる内側柱部14iを有する。
本実施例によれば、保持器付きころであることから、ころ13同士の接触による油膜切れおよびころのスキューを防止することができる。したがって、カムフォロアの耐久性を向上させることができる。
また、周方向で隣り合う2本の外側柱部14oと、周方向で隣り合う2本の内側柱部14iとの間に形成されるポケットにころ13を収容することが可能になる。しかも、このポケットからころ13が脱落することがない。したがって、カムフォロアの組立が容易になる。また保持器12を、内輪である支持軸6および外輪であるローラ11に接触しない転動体案内とすることができる。
また本実施例によれば、外側柱部14oおよび内側柱部14iが1対の柱部を構成することから、保持器12を軽量化しつつ、保持器12の強度を充分確保することができる。
好ましくは、径方向に対面する外側柱部14oと内側柱部14iとの間隔S、ころ13の直径をDとすると、S≧0.15Dを満たす。これにより、隣り合うころ13,13を近づけて、多くのころ13を保持器12に組み込むことができる。
保持器12は金属製であってもよいが、好ましくは樹脂製である。これにより、保持器12を容易に製造することができる。また、樹脂製の保持器12の場合、外側柱部14oは、径方向寸法Hおよび周方向寸法Bのうちの少なくともいずれか一方が0.4mm以上である。同様に、内側柱部14iの径方向寸法Hおよび周方向寸法Bのうちの少なくともいずれか一方も、0.4mm以上である。これにより、樹脂製の外側部材18および内側部材19を射出成形によって製作することができる。
本実施例のカムフォロアと従来からある総ころ形式のカムフォロアとにつき、外輪回転型寿命試験機を用いて比較試験を行った。試験条件は、外力を与えながら回転する駆動ロールに試験体になるローラが接触するようにカムフォロアを設置し、ローラに3000[N]の外力を与えながら、ローラを毎分7000回転させ、100℃のエンジンオイルを毎分20[ml]で試験体に潤滑した。
試験結果は、従来品(総ころ形式)の基本動定格荷重になる負荷容量を1とすると、本実施例のカムフォロアの負荷容量は0.9であった。これに対し、従来品(総ころ形式)の寿命を1とすると、発明品の寿命は1.2であった。本実施例によれば、負荷容量がやや減少するものの、寿命がこの減少を超えて向上することがわかった。
図9は、本発明の変形実施例を示す断面図である。この変形実施例の基本構成は、上述した図1〜図6に示す実施例と共通するため、共通する基本構成については説明を省略する。そして、異なる構成について以下に説明する。
この変形実施例では、外側柱部14oおよび内側柱部14iのうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が長さの等しい一対の斜辺を有する等脚台形である。そして、一対の斜辺がそれぞれころ13に対面するように配置されている。好ましくは、図9に示すように外側柱部14oおよび内側柱部14iの双方が等脚台形の断面形状を有する。この場合、外側柱部14oの下底が径方向外側にあり、内側柱部14iの下底が径方向内側にあり、外側柱部14oの上底と内側柱部14iの上底とが互いに向き合う。このような変形実施例によれば、1対の柱部としての強度を一層高めることができる。
図10も、本発明の変形実施例を示す断面図である。この変形実施例の基本構成も、上述した図1〜図6に示す実施例と共通するため、共通する基本構成については説明を省略する。そして、異なる構成について以下に説明する。
この変形実施例では、外側柱部14oおよび内側柱部14iのうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が円である。円は真円および楕円を含み、図10は真円の場合を示す。あるいは図には示さなかったが、楕円であってもよく、楕円の短軸を周方向とし、楕円の長軸を径方向にするとよい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
本発明は、エンジンの可動弁機構等に採用されるロッカーアーム用カムフォロアに有利に利用される。
1 可動弁機構、2 ロッカーアーム、3 弁、4 カム、4a 偏心部、5 軸、6 支持軸、11 ローラ、12 保持器、13 ころ、14o 外側柱部、14i 内側柱部、15側板、16,17 穴、18 外側部材、19 内側部材、20,21 円弧部材、22,23 凸部、24 突条、26,27 段差部、28,29 突出部。
Claims (15)
- 外周面がカムに当接する円筒形状のローラと、
前記ローラの内周面に配置される複数のころと、
前記複数のころのピッチ円よりも径方向外側に位置する複数の外側柱部、前記外側柱部から離隔して前記ピッチ円よりも径方向内側に位置する複数の内側柱部、および前記複数の外側柱部の端部と前記複数の内側柱部の端部とを連結してこれら外側柱部と内側柱部との前記位置関係を固定する側板を有する保持器とを備える、ロッカーアーム用カムフォロア。 - 前記側板はリング形状である、請求項1に記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 少なくとも2本の前記外側柱部の端部は、円弧形状の円弧部材によって一体結合され、
少なくとも2本の前記内側柱部の端部は、円弧形状の円弧部材によって一体結合され、
前記側板は、前記円弧部材をリング状に連結する、請求項2に記載のロッカーアーム用カムフォロア。 - 前記内側柱部の端部を一体結合する円弧部材はリング形状である、請求項3に記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記側板は、前記保持器の径方向外側および径方向内側に、円弧状に延在して前記円弧部材と係合する段差部が形成される、請求項3または4に記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記円弧部材および前記側板の一方は、前記保持器の軸方向に突出する凸部を備え、円弧部材および前記側板の他方は、前記凸部と嵌合する有底あるいは無底の穴を備える、請求項3〜5のいずれかに記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記凸部および前記穴は互いに収縮締結する、請求項6に記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 径方向に対面する前記外側柱部と前記内側柱部との間隔をS、前記ころの直径をDとすると、S≧0.15Dを満たす、請求項1〜7のいずれかに記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記保持器は樹脂製である、請求項1〜8のいずれかに記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記内側柱部および前記外側柱部は、それぞれ径方向寸法および周方向寸法のうちの少なくともいずれか一方が0.4mm以上である、請求項9に記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記内側柱部と前記外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が多角形である、請求項1〜10のいずれかに記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記内側柱部と前記外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が長さの等しい一対の斜辺を有する等脚台形であって、前記一対の斜辺がそれぞれ前記ころに対面するように配置されている、請求項1〜10のいずれかに記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記内側柱部と前記外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が長さの等しい一対の辺を有する二等辺三角形であって、前記一対の辺がそれぞれ前記ころに対面するように配置されている、請求項1〜10のいずれかに記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 前記内側柱部と前記外側柱部のうちの少なくともいずれか一方は、軸方向に直角な断面形状が円である、請求項1〜10のいずれかに記載のロッカーアーム用カムフォロア。
- 1対の脚部を有する揺動部材と、
前記一対の脚部間に架設される支持軸と、
前記支持軸に回転自在に支持され、外周面がカムに当接する円筒形状のローラと、
これら支持軸およびローラ間の環状領域に配置される複数のころと、
前記複数のころのピッチ円よりも径方向外側に位置する複数の外側柱部、前記外側柱部から離隔して前記ピッチ円よりも径方向内側に位置する複数の内側柱部、および前記複数の外側柱部の端部と前記複数の内側柱部の端部とを連結してこれら外側柱部と内側柱部との前記位置関係を固定する側板を有する保持器とを備える、カムフォロア装置。
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