JP2010013593A - 磁気記録媒体の潤滑剤 - Google Patents

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賢哉 堀
Hiroaki Tokunaga
裕章 徳永
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Abstract

【課題】従来の潤滑剤では、撥水撥油性、潤滑性及び凝集性の何れか1つの特性は犠牲にせざるを得なかった。
【解決手段】フルオロ化合物とカルボン酸とのエステルを含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位またはβ位に炭素環化合物または複素環化合物の環式化合物を含有する構造、または、フルオロ化合物とカルボン酸のエステルを2以上含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位またはβ位に少なくとも1つのフルオロ基を末端とするエステルを含有する構造の何れかの潤滑剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、本発明は、高精度な潤滑性が要求される精密機械や精密部品の潤滑剤、界面活性剤、離型剤、防錆剤などに有用な含フッ素カルボン酸とそれを有する次世代高密度磁気記録媒体に関する。
機械装置、部品の小型化、高精度化に伴いそれらの摺動部における潤滑形態も流体潤滑から境界潤滑へと移行してきている。とりわけ、VTR、磁気ディスクなどの電子機器、電子部品においては、記録精度の向上を目的とした強磁性金属薄膜の採用により、磁気テープや磁気ディスクと磁気ヘッドとの摺動には高精度の潤滑が必要となってきた。例えば、蒸着テープやハードディスクでは耐久性と信頼性を確保しながら磁気記録媒体と磁気ヘッドとのスペーシングロスを極力小さくして高出力化を図るために、磁性層表面の潤滑剤層はわずか数10Åの厚さとなるように形成される。したがって、この潤滑剤層を形成する材料として潤滑性の優れた有機化合物の開発が重要な課題となっている。
金属薄膜型磁気記録媒体用の潤滑剤としては、フロロアルキルエーテル基カルボン酸が金属薄膜との適合性に優れているため、多数の提案がなされている。例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3が知られている。
特許文献1と特許文献2は、フルオロ基による撥水撥油成分の向上と、カルボニル基による磁性層または保護層表面への潤滑剤の付着力の向上を高めるものであるが、化学構造内に、カルボン酸1に対してフルオロ基の長鎖が1である場合、撥水撥油成分を増加するために該長鎖を長くし、また、カルボン酸の末端をフルオロ基の長鎖で置換することで更に撥水撥油成分を増やすジエステルの潤滑剤を提案している。
しかし、撥水撥油成分の多いフルオロ基を長くすると溶媒溶解性が低くなるので、磁性層または保護層表面への潤滑剤の被覆率が低下してしまう。被覆率の低下は付着層上の潤滑剤の浮遊層にて補うことができるが、潤滑剤の浮遊層は活性基同士が集合した潤滑剤の集合体として記録媒体表面から脱離する粉落ちの要因となる。
また、エステルはカルボン酸よりも分子間力も弱く、更にフッ素を多く含むエステルはフッ素の表面エネルギーが低いので常温常圧下では液体である化合物が多い。該液体化合物はフッ素を多く含むことで分子量が大きい、粘度が高い液体であるためせん断応力が大きい。潤滑剤はせん断応力を低めて潤滑機能を発生する。更に該液体はカルボン酸よりも活性が劣るため磁性層または保護層表面への潤滑剤の付着力が低減してしまう。
特許文献2ではカルボン酸を化学構造内に残したままフルオロ基を有するエステルを該化学構造内に1、及びフルオロ基を1有した潤滑剤を提案しているが、フルオロ基は表面エネルギーが小さいために溶媒に溶解しにくいため、化学構造内にこれ以上フルオロ基の密度を増加すると、潤滑層の塗布形成が困難となる。
特許文献3で提案される、磁性層または保護層表面の撥水撥油成分の被覆率を向上するための、磁性層または保護層表面へのコロナ処理などは、潤滑剤の化学構造内に活性な基が少なくても高効率で磁性層または保護層表面の撥水撥油成分の被覆率を向上するが、活性化された磁性層または保護層表面は湿気など水分の付着効果も向上し、例えば磁性層表面に水分が付着すると錆発生するため、該表面処理の条件出しは非常に複雑であり困難である。
特許文献1から3の、いずれの潤滑剤もDLCからなる10nm厚の極薄の保護層表面または強磁性金属薄膜表面に形成される。特許文献などで提案される潤滑剤は構造に含まれるカルボン酸が保護層または強磁性金属薄膜表面へ強く付着する潤滑層(以後、付着層と称する)の形成を目的としているが、潤滑層の潤滑剤材料の多くは潤滑剤の付着層上に浮遊して存在し(以後、浮遊層と称する)、該浮遊層により潤滑効果を得ている。例えば、潤滑剤材料の融点が低い潤滑層は、低温環境でヘッドと媒体の摩擦を低減するが、潤滑剤材料の沸点が低い潤滑層は高温環境で潤滑剤材料が揮発のため減少して摩擦を低減する効果が劣化する。
ここで、浮遊層を増加するためにC−F結合のみからなるパーフルオロ化合物を潤滑剤として用いた場合、C−F結合は表面エネルギーが極小さいため溶媒への溶解性が低く、潤滑層を塗布形成することが困難である。さらに、仮に浮遊層が該化合物により形成されても遊動性が大きいことが推測され、浮遊層は接触するすべてのものへ転写して浮遊層の量を低減することが推測されるほか、転写の時のメニスカス現象による磁気記録媒体の変形が懸念される。
更にC−F結合は表面エネルギーが小さいので撥水撥油性に優れるが潤滑機能が低い。潤滑機能が低い理由はC−F結合のみからなる表面はファンデルワールス半径170pmの炭素原子またはファンデルワールス半径147pmのフッ素原子により表面を平滑にするためと考えられる。
一方、付着層の付着力を高めるために構造に含まれるカルボン酸を増やすと、浮遊層のカルボン酸も増える。浮遊層のカルボン酸は構造間でお互いに引き合って、または水分などが潤滑層に存在する場合は水分に引き寄せられて潤滑剤材料の集合体を形成し易くなる。潤滑剤材料の集合体は平滑な磁気記録媒体表面から凸形状であるため、磁気ヘッドの局部的な接触により、浮遊層の減少をともなって剥がれてしまう。
主に浮遊層より潤滑効果を得ている磁気記録媒体は、浮遊層の減少による潤滑効果を劣化させるだけではなく、剥がれる潤滑剤材料は、分子量の大きな潤滑剤材料の集合体または水分などを含有した潤滑剤材料の集合体なので目視できるほどの大きな粉であり、ヘッドと磁気記録媒体の記録再生面間に該粉が入ると、目詰まりなどの記録再生不良を発生する。
つまり、凝集物は接する物に転写する確率が高いため、大きな凝集物は1度に多量の潤滑剤を転写により失うが、小さな凝集物は転写時に失う潤滑剤が少量であるため、潤滑機能を維持できるのである。
特開2002−153530号公報 特開2002−92858号公報 特開2004−273083号公報
磁気記録媒体表面の撥水撥油性を向上するために、潤滑剤の撥水撥油成分を増加すると、該潤滑剤の溶媒溶解性が低減するため、潤滑剤の塗布形成が困難となる。撥水撥油成分の増加とともにカルボン酸の様な活性基も増加すると、磁気記録媒体表面に付着する潤滑剤の付着層上に存在する潤滑剤の浮遊層の活性基同士が集合して大きな凝集物を形成し、大きな凝集物は多量の潤滑剤を磁気記録媒体表面から失う結果、潤滑機能を低減するとともに、大きな凝集物は粉落ちの要因となる。
潤滑剤は小さな単位であるが分子同士がカルボン酸で強い分子間力を持つため常温常圧で固体である。該固体の潤滑機能はヘッドとテープの接触面積を小さくできること、つまり該接触部分以外に存在するせん断力の弱い空気により、ヘッドとテープのせん断応力を低減する潤滑効果が得られる潤滑剤の提供を目的とする。
非磁性支持体上に強磁性金属材料からなる磁性層が形成され、当該磁性層上に保護層が形成されてなる薄膜型の磁気記録媒体に備える潤滑剤であって、
(イ)上記保護層上に形成される潤滑層がフルオロ化合物とカルボン酸とのエステルを含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位またはβ位に炭素環化合物または複素環化合物の環式化合物を含有する構成、
または、
(ロ)上記保護層上に形成される潤滑層がフルオロ化合物とカルボン酸のエステルを2以上含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位またはβ位に少なくとも1つのフルオロ基を末端とするエステルを含有する構成、
の何れかの磁気記録媒体の潤滑剤である。
上記構成を有する本発明の潤滑剤はヘッドとの摩擦せん断力により小さな単位の凝集を崩されてもカルボン酸の活性によりすぐに上述の通り小さな単位で再凝集する。潤滑剤の凝集単位は小さく再凝集においてもその凝集単位は変わらないため、ヘッドとテープの接触面積を一定に保つ効果が得られる。よってヘッドとテープが繰り返し摩擦しても空気の弱いせん断力を利用した優れた潤滑効果を持続することを可能ならしめる。
本発明によれば、磁気記録媒体表面に撥水撥油性の高い潤滑層を、表面処理などの特別な塗布プロセスを必要としないで形成することができ、かつ粉落ちなど不良が発生し難い磁気記録媒体を得ることができる。
つまり、ファンデルワールス半径170pmの炭素原子またはファンデルワールス半径147pmのフッ素原子により表面を平滑にしてしまう結果、潤滑機能を低減する表面に対して、炭化水素環のC−Hによりファンデルワールス半径120pmの水素原子を表面に加えることで微細な表面凸凹を形成する。
更に、高極性のカルボン酸はテープ表面への密着力を向上できるが、潤滑剤同士の分子間力をも向上するため塊または粉と称される潤滑剤の多量体を形成し易い。潤滑剤の多量体はテープ表面との密着力が弱いため、ヘッドなど接触物へ転写してテープ表面の潤滑剤量を低減してしまうとともに、記録再生時にヘッドとテープの記録再生面に入り込むとドロップアウトなどの記録再生不良を発生する。
本発明は高極性のカルボン酸によりテープ表面への密着力を向上するが、該カルボン酸が非極性官能基により立体障害を与えるため、潤滑剤の分子間力が弱く、潤滑剤の多量体形成を抑えることができる。
カルボン酸が核となる多量体の形成を抑える立体障害効果を高めるために発明した潤滑剤の特徴を以下に示す。
(1)共有結合した直鎖上の炭素は360度自由に回転できるが、本発明は該非極性官能基及びカルボン酸は環式化合物の環上に置換しているため、該非極性官能基またはカルボン酸が置換する環式化合物の炭素の自由度は制限されている。
(2)同一の環式化合物上のβ位は立体障害効果が少ないが、本発明の潤滑剤はカルボン酸が置換する環式化合物とは異なる環の該カルボン酸のβ位であり、立体障害効果が大きい。
(3)カルボン酸と環との間の炭素鎖が長いと立体障害効果が少なくなるが、本発明の潤滑剤は該炭素鎖数が3以下であり、3以下の炭素鎖数であれば十分な立体障害効果が得られる。
(4)環式化合物であっても、3〜4員の環のα位は立体障害効果が得られ難いが、本発明の潤滑剤は立体障害効果を十分得られる5員以上の環式化合物である。
(5)カルボン酸は極性が高いため立体障害効果があったとしても水素イオンが発生し易い。水素イオンの発生を抑えるためにはアルキルなどの電子供与性官能基の導入が効果的であり、ハロゲンなど電子吸引性原子の導入は逆効果である。ここで、潤滑剤として十分な撥水撥油性を得るためにはハロゲンであるフッ素を多く含むことが望ましい。本発明の潤滑剤は単位構造内のカルボン酸を2以下であるから、構造内に多くのフッ素を含んでいても水素イオンを発生し難い安定な化合物である。
(6)カルボン酸と比較するとエステルは極性が低いが、カルボン酸への立体障害効果を十分得るためにはエステル基よりも非極性基のほうが望ましい。本発明の潤滑剤はエステルの末端(環から遠い位置)がフルオロ基からなる非極性基であるため、エステルを用いても十分な立体障害効果を得られる。
本発明にかかる磁気記録媒体の潤滑剤は、化学構造内の撥水撥油成分の長い鎖の存在、付着層形成のための活性であるカルボン酸の存在のほかに、該カルボン酸のα位またはβ位に炭素環を含有する潤滑剤材料である。または、パーフルオロ化合物とカルボン酸とのエステルを2以上含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位またはβ位に少なくとも1のパーフルオロ化合物のエステルを含有する。
この様な潤滑剤はたとえば(化1)と(化2)で示される。
Figure 2010013593
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(化1)から(化5)のRfはパーフルオロのアルキルまたはアルニルまたはエーテル鎖である。
Rfは表面エネルギーの小さいC−Fにより大きい分子量でも遊動性を保つ低融点を実現する。例えばC−Fからなる化合物と同じ分子量のC−Hからなる化合物の融点はC−Fからなる化合物の方が高い。カルボン酸はDLCや強磁性金属薄膜表面への潤滑剤の付着力を高めることで、ある程度潤滑剤の固定を可能とする。
カルボン酸のα位またはβ位の環状構造は、浮遊層の潤滑剤材料同士の集合単位(凝集体を構成する潤滑剤分子の個数)を分子の立体障害により妨げる。該N員環のNが大きいほどカルボン酸への立体障害が大きく、カルボン酸のα位またはβ位の環の角度がメタンの結合角である109.5度以上であれば、エステルのカルボン酸への立体障害効果により浮遊層に存在する潤滑剤材料のカルボン酸同士の分子間力が働くまでに近寄る可能性が極端に低くなるため、浮遊層に存在する潤滑剤同士は互いに集合しない。
カルボン酸のα位またはβ位の少なくとも1のパーフルオロ化合物のエステルも、浮遊層の潤滑剤材料の集合を分子の立体障害により妨げる効果がある。
上述の炭化水素環状化合物及びパーフルオロエーテルをカルボン酸のα位またはβ位へ含有することで、粉落ちの要因となる浮遊層の潤滑剤同士の集合を妨げる立体障害効果は大きくできる。
潤滑剤のカルボン酸への立体障害は磁性層表面への付着確立は低減する可能性あるが、カルボン酸の極性は低減していないので、付着力は特許文献1〜3と同じである。
以下、本発明の潤滑剤について、磁気記録媒体の構造および製造工程など具体的な例を挙げて説明するが、本発明は、以下に示す例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体は複層から構成され、表面の潤滑層から、保護層、磁性層、支持体、バックコート層の順である。保護層はダイヤモンド状硬質炭素膜等の薄膜、磁性層は蒸着で形成されるCo−OやCo−Ni−Oなどの単層または多層構成の強磁性金属薄膜、支持体はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の高分子フィルムでSiO2,ZnO等の無機超微粒子やイミド等の有機超微粒子等を分散塗布したいわゆる微粒子塗布層を配したものが用いられることが多い。バックコート層は平滑性の良好な、特に薄い磁気テープに良くみられるバックコート層である。
以上のような構成の磁気記録媒体において磁性層の形成は、回転キャンや回転ベルトに沿って移動する、別工程にて溶液塗布法で微粒子塗布層を形成された高分子からなる非磁性支持体上に酸素雰囲気でCo等の磁性材料をある範囲の入射角で電子ビーム蒸着することによる場合が多い。保護層の硬質炭素膜は主にディスク状媒体において活発に利用されていて、製造に当たっては磁気テープに於いても磁気ディスクに於いて開示されている技術を、そのままか若干の修正を加える程度で当てはめることが可能である。
(磁性層)
この下地層を成膜した支持体を冷却回転支持体上で走行させながら、表面に酸素を導入する斜方真空蒸着法によりCoから成る厚さ約50nmの強磁性金属薄膜を磁性層として形成した。
(保護層)
支持体上に下地層、磁性層を順次積層形成した磁性層側へ、炭素を主成分とする硬質炭素の保護層を形成した。保護層はプラズマCVD法によって成膜した。プラズマCVD法による保護層の成膜は真空槽内にメタン、アセチレン、エチレン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのCH系のガスを導入し、トータルガス圧を4.0×10Pa(0.3Torr)に保ちながら、周波数20KHz、電圧1500Vの交流と1000Vの直流を重畳し、これを放電管内の電極に印加してプラズマを形成し、導入ガスをプラズマのエネルギーにより一度分解し、カーボンを再結合させることにより厚さ約5nm以上のDLC膜を形成した。この際に、保護層の膜質を改善する目的でN2、H2などの添加ガスを導入しても構わない。真空槽内には冷却装置が配置された冷却キャンロールにより、支持体の磁性膜上への保護膜形成時の温度上昇による支持体の熱変形等を防止している。
(バックコート層)
次に、バックコート層は、通常、カーボンブラックや、その他の無機粒子よりなる非磁性顔料と、結合剤樹脂とを有機溶媒とともに分散、混練することで調製した塗料を、磁性層形成側とは反対側の面に、塗布、乾燥することにより形成した。この塗布方法により形成されるバックコート層の厚さは、規格で求められる磁気記録媒体の透過率を満足しかつ安定した表面性が得られる厚みとして、約0.3から0.6μm程度とした。バックコート層を形成する塗料は、少なくとも非磁性顔料であるカーボンブラックと、結合剤とを含有してなり、カーボンブラックの平均粒径は20〜50nmであり、結合剤には、スルホン酸金属塩を含有するポリウレタン樹脂が含まれているものとする。上記主成分の他、防錆剤、帯電防止剤等、分散剤、などの添加剤を加えてもよい。
(潤滑層)
次に、本発明の潤滑層材料は、イソプロピルアルコールとフッ素系溶媒とを混合した混合有機溶媒に溶解し、塗布液を、23度、30%RH環境下で、リバースロールコータを用いて湿式塗布法で塗布した後、乾燥した。
次に、本発明の潤滑剤についての実施例を説明する。
(実施例1)
以下、本発明の第一の実施例の潤滑剤について具体的に説明する。
本実施例の物質は化学式1で示される。
(化1)で示される物質の製造方法を説明する。出発原料は(化6)で示される1,2,4−Benzenetricarboxylic 1,2−anhydrideと(化7)で示される1H,1H,2H,2H−heptadecafluoro−decanolから合成される(化8)である。
Figure 2010013593
Figure 2010013593
Figure 2010013593
アルゴン気流下、トリフルオロメタンスルホン酸銀(9.9mg,0.0385mM)を2mlのジクロルメタンに懸濁させ、室温にて四塩化チタンのトルエン溶液0.0385ml(0.5モル濃度、0.0193mM)を加え、20±10℃で0.5時間撹拌した。これにジクロルメタン1.5mlに溶解した1,2,4−Benzenetricarboxylic 1,2−anhydride(39.4mg、0.205mM)及び1H,1H,2H,2H−heptadecafluoro−decanol(89.6mg、0.193mM)の混液を加えた。次いで、ジクロルメタン0.5mlに溶解した4−フェニル−2−ブタントリメチルシリルエーテル(44.6mg、0.201mM)を加えて、同温度で3時間撹拌した。反応液にpH7のリン酸緩衝液を加えた後、ジクロルメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィーにて精製し、化学式8を得た。
上記の原料とノルマルヘプタン500mlとを撹拌翼を備えた1リットル.のフラスコに採取し、還流下で24時間反応を行なった。反応終了後、反応溶液からノルマルヘプタンを留去し、反応混合物をイソプロピルエーテル(IPE)に溶解し、−10℃に冷却して未反応の1,2,4−Benzenetricarboxylic 1,2−anhydrideを除去した。さらに、反応混合物をメタノール溶液として同様の処理により、未反応の1H,1H,2H,2H−heptadecafluoro−decanolを除去して(化学式1)の目的物を得た。
(実施例2)
以下、本発明の第一の実施例の潤滑剤について具体的に説明する。
本実施例の物質は(化2)で示される。
化学式2で示される物質の製造方法を説明する。出発原料は化学式9で示される1,2,3,4−cycrohexanetetracarboxylic acid 1,2−anhydrideと化学式7で示される1H,1H,2H,2H−heptadecafluoro−decanolから合成される(化8)である。
Figure 2010013593
実施例1と同様に(化10)を合成し、(化10)から(化2)の目的物を得た。
Figure 2010013593
(実施例3)
実施例1,2と同様に(化11)を合成し、(化11)から(化3)の目的物を得た。
Figure 2010013593
(実施例4)
実施例1〜3と同様に(化12)を合成し、(化12)から(化4)の目的物を得た。
Figure 2010013593
(実施例5)
実施例1〜4と同様に(化13)を合成し、(化13)から(化5)の目的物を得た。
Figure 2010013593
つぎに、潤滑剤の潤滑特性の評価方法について詳細を述べる。
高分子支持体表面へ磁性層、保護層、バックコート層を前述の通り形成した原反の保護層表面へ潤滑剤を塗布、乾燥し、幅0.5mm、長さ150mmに裁断した磁気テープの潤滑剤塗布表面へ表面粗さRa70nm、直径7mmのアルチック材料に角度180度で巻き付け、1Nの張力をかけて10mm/sで往復運動した。23℃60%RH雰囲気内で往復運動中に磁気テープへかかる張力をモニタリングして、摩擦係数及び往復運動回数を増加した場合の摩擦係数が変化するクリティカルポイントを確認した。
先ず、潤滑剤の付着層と浮遊層のどちらが主の潤滑効果を与える潤滑層であるか確認するため、潤滑剤を塗布する前に保護層表面を表面処理した。付着層は表面処理によりより強くなるため、磁気テープにおいて付着層が主の潤滑効果を与える潤滑層であるならば、該表面処理により磁気テープの潤滑特性は改善されるはずである。
該表面処理は波長260nmの紫外光を照射する低圧水銀灯であり、出力は200W、試料表面とランプの距離は150mm、照射は23℃60%RH環境の空気中で30秒とした。該表面処理は表面を活性化するとともに表面の有機物汚れを光エネルギーやオゾンや活性酸素で洗浄する効果有り、洗浄の際には処理表面から除去洗浄された有機物汚れが浮遊するので、該浮遊有機物汚れが試料の処理表面へ再度付着しない様に、処理装置内は照射時間終了の10秒前にブロワーにて吸引した。該表面処理を施した磁気テープ表面は、水、ヨードアルキル系溶媒、ナフタレン系溶媒の接触角から算出される固体の表面エネルギー値がそれぞれ大きくなったことから、表面エネルギーが大きくなったことが観察された。
潤滑剤を塗布する前に上述表面処理をした磁気テープと上述表面処理をしない磁気テープの摩擦係数を上述の通り確認したが、摩擦係数は同じであった。更に、摩擦係数が変化するまで往復運動の回数を増やしたが、摩擦係数が変化し始める往復運動回数はほとんど同じであったことから、磁気テープにおける潤滑剤の潤滑効果は付着層ではなくて浮遊層であることが観察された。
つぎに、本発明の潤滑剤の潤滑特性の評価結果について詳細を述べる。
(化14)、(化15)に示す従来の潤滑剤をそれぞれ比較1、比較例2として用いて、潤滑剤の潤滑特性を確認した。確認方法は上述の摩擦試験であり、全ての磁気テープにおいて表面処理はしなかった。
Figure 2010013593
Figure 2010013593
(化14)及び(化15)の従来の潤滑剤は特許文献4の(化11)及び(化12)であり、特開平06−293704号公報に開示されているプロセスの通り合成した。
実施例1から5及び比較例1、比較例2の潤滑剤の潤滑特性を(表1)へ示した。
Figure 2010013593
実施例の動摩擦係数のクリティカルポイントはカルボン酸の立体障害効果が大きいほうが優れた耐久走行特性を示した。
静摩擦係数も潤滑剤同士の多量体が発生せず、従来よりも微細な表面凸凹形状効果が得られたため、比較例よりも優れていることが分かった。
本発明の潤滑剤は、凝集単位は小さいため、優れた滑り性を実現でき、摺動材料の改変に備える潤滑剤用途に幅広く適用することができる。

Claims (7)

  1. 非磁性支持体上に強磁性金属材料からなる磁性層が形成され、当該磁性層上に保護層が形成されてなる薄膜型の磁気記録媒体に備える潤滑剤であって、
    上記保護層上に形成される潤滑層がフルオロ化合物とカルボン酸とのエステルを含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位またはβ位に炭素環化合物または複素環化合物の環式化合物を含有することを特徴とする磁気記録媒体の潤滑剤。
  2. 非磁性支持体上に強磁性金属材料からなる磁性層が形成され、当該磁性層上に保護層が形成されてなる薄膜型の磁気記録媒体に備える潤滑剤であって、
    上記保護層上に形成される潤滑層がフルオロ化合物とカルボン酸のエステルを2以上含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位またはβ位に少なくとも1つのフルオロ基を末端とするエステルを含有することを特徴とする磁気記録媒体の潤滑剤。
  3. 潤滑層がパーフルオロ化合物とカルボン酸のエステルを2以上含有するカルボン酸であり、カルボン酸のα位または、該カルボン酸が置換する環とは別の環上に置換する該カルボン酸のβ位に少なくとも1のフルオロ基を末端とするエステルを含有することを特徴とする磁気記録媒体の潤滑剤。
  4. カルボン酸のα位またはβ位に含有する環式化合物の、カルボン酸のα位またはβ位の環の内角が109.5度以上であることを特徴とする、請求項1から請求項3に記載の磁気記録媒体の潤滑剤。
  5. 環式化合物上に置換するカルボン酸と該環の間の炭素数が3未満であることを特徴とする、請求項1から請求項4に記載の磁気記録媒体の潤滑剤。
  6. 単位構造中のカルボン酸が2以下であることを特徴とする、請求項1から請求項5に記載の磁気記録媒体の潤滑剤。
  7. 常温蒸気圧で固体であることを特徴とする、請求項1から請求項6に記載の磁気記録媒体の潤滑剤。
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