(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して、この発明の筋力制御装置の実施形態1について説明する。
この筋力制御装置1は、図1に示すように、身体の股関節を挟んで一方側と他方側との身体に装着される布状の一対の装着ベルト2、3と、この股関節に対応する臀部の表面(身体の後側に位置する面)および上肢部(大腿部)の裏面(身体の後側に位置する面)に沿って配置されて一対の装着ベルト2、3を連結する布状の連結リボン4と、この連結リボン4の引出動作および巻取動作を制御する駆動制御部5とを備えている。
一対の装着ベルト2、3のうち、一方の装着ベルト2は股関節の上方に位置する身体の胴部に装着されており、他方の装着ベルト3は伸縮自在のサポータであり、股関節の下方に位置する身体の膝部に装着されている。この場合、胴部に装着される一方の装着ベルト2は、布、皮革、合成樹脂製のシートなどを帯状に形成したもので、その両端部が面状ファスナマジックテープ(登録商標)やフォック、あるいは尾錠、バックルなどで連結されることにより、胴部に軽く締め付けられた状態で緩むことなく取り付けられるように構成されている。また、膝部に装着される他方の装着ベルト3は、ほぼ筒状に形成されたサポータであり、膝のお皿に対応する部分に孔部3aが設けられ、足先から下肢部を通して膝部に密着して軽く締め付けられた状態で装着され、膝関節の屈伸動作を妨げないように構成されている。
連結リボン4は、布、合成樹脂製のシートなどを帯状に形成したものであり、図1に示すように、その一端部が胴部に装着された一方の装着ベルト2の駆動制御部5に連結され、他端部が股関節に対応する臀部の表面および上肢部の裏面(いずれも身体の後側の面)に沿って配置されて膝部の他方の装着ベルト3に連結され、この状態で一端部側が股関節の屈伸動作に伴って駆動制御部5により引出可能に巻き取られるように構成されている。この場合、連結リボン4は、ガイド部材6によって引出方向および巻取方向にガイドされている。すなわち、このガイド部材6は、エラストマなどの屈曲性を有する弾性材料からなり、股関節に対応する臀部の表面および上肢部の裏面に密着して配置され、この状態で固定ベルト7、8によって固定され、連結リボン4を身体に接触させずにガイドするように構成されている。
駆動制御部5は、図1に示すように、胴部に装着された一方の装着ベルト2に設けられている。この駆動制御部5は、図2および図3に示すように、連結リボン4を弛ませない程度に巻き取るばね部材10と、連結リボン4の巻取動作および送出動作を行うモータ11と、連結リボン4の引出位置および巻取位置を検出するセンサ部12と、このセンサ部12で検出された連結リボン4の最大巻取位置および最大引出位置を記憶する記憶部13と、この記憶部13に記憶されたデータに基づいてモータ駆動回路18に動作指令を与えてモータ11の駆動を制御する制御部14とを備えているほか、これらに電源を供給する電源部15をも備えている。
この場合、連結リボン4は、図3に示すように、一端部が駆動制御部5内に配置された巻取軸16に巻取可能に取り付けられている。また、ばね部材10はゼンマイからなり、その中心部に巻取軸16に取り付けられ、この状態で連結リボン4が弛まない程度のばね力で常に巻き取るように構成されている。モータ11は、その出力軸が減速ギア(図示せず)を介してクラッチ17に連結され、このクラッチ17を介して巻取軸16に回転を伝達するように構成されている。このクラッチ17は、制御部14からの接続切替指令に応じて、モータ11の回転を巻取軸16に伝える接続状態と、モータ11の回転を巻取軸16に伝えない切断状態とに切り替えるように構成されている。
すなわち、このモータ11は、クラッチ17が接続されているときに、モータ11の回転がクラッチ17を介して巻取軸16に伝達され、これにより巻取軸16を回転させて連結リボン4の巻き取りまたは送り出しを行い、クラッチ17の接続が断たれているときに、モータ11の回転が巻取軸16に伝達されないように構成されている。このため、クラッチ17の接続が断たれている状態のときには、ばね部材10のばね力によって連結リボン4が巻取軸16に引出可能に巻き取られるようになっている。なお、センサ部12は、例えば、巻取軸16に取り付けられて巻取軸16の回転数を検出するエンコーダであり、巻取軸16の回転数に基づいて連結リボン4の巻取位置および引出位置を検出するように構成されている。
次に、図4を参照して、この筋力制御装置1を用いて自転車をこぐ場合の動作フローについて説明する。この場合、実際には装着ベルト2、3および連結リボン4は両足に装着されるのであるが、ここでは片側の足のみに装着した場合について説明する。
予め、一方の装着ベルト2を身体の胴部に装着し、サポータである他方の装着ベルト3を膝部に装着し、この状態で一対の装着ベルト2、3を連結リボン4で連結する。この場合には、連結リボン4の一端部を駆動制御部5内の巻取軸16に取り付けることにより、ばね部材10のばね力によって連結リボン4に常に軽いテンションがかかり、連結リボン4が弛まないように巻取軸16に巻き取られる状態になっている。なお、足首はサポータなどで締め付けて固定しておくことが望ましい。
この状態で、自転車に乗ってペダルに足を乗せ、駆動制御部5の電源を入れると、この動作フローがスタートし、まず、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態の測定を開始する。このときには、モータ11は動作せず、連結リボン4は自由に引き出しおよび巻き取りが可能な状態になっている。そして、自転車のペダルをこぎ、ペダルが下がると、身体の股関節が伸び、またペダルが上がると、身体の股関節が曲がる。このときに、連結リボン4がばね部材10のばね力によって巻き取られているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の巻取データに基づいて判断し(ステップS1)、連結リボン4が巻き取られていなければ、ペダルが下がり股関節が伸びて、連結リボン4が巻き取られるまで待機する。
そして、ペダルが最下部に下がり股関節が十分に伸びて、連結リボン4が巻き取られると、ペダルが上がり始めて股関節が曲がり始めるので、連結リボン4が引き出される。このときに、連結リボン4が引き出されているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の引出データに基づいて判断し(ステップS2)、連結リボン4が引き出されていなければ、股関節が曲がって連結リボン4が引き出されるまで待機する。そして、ペダルが最上部に上がり股関節が十分に曲がって、連結リボン4が引き出されると、再び、ペダルが下がって股関節が伸びる。
このときに、再び、連結リボン4が巻き取られているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の巻取データに基づいて判断し(ステップS3)、連結リボン4が巻き取られていなければ、ペダルが下がり股関節が伸びて、連結リボン4が巻き取られるまで待機する。そして、ペダルが最下部に下がり股関節が十分に伸びて、連結リボン4が巻き取られると、センサ部12が連結リボン4の最大巻取位置を検出し、その検出データを連結リボン4の最大巻取位置(Lmin)として記憶部13に記憶する(ステップS4)。
この後、再び、連結リボン4が引き出されているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の引出データに基づいて判断する(ステップS5)。このとき、連結リボン4が引き出されていなければ、ペダルが上がり股関節が曲がって、連結リボン4が引き出されるまで待機する。そして、ペダルが最上部に上がり股関節が十分に曲がって連結リボン4が引き出されると、センサ部12が連結リボン4の最大引出位置を検出し、その検出データを連結リボン4の最大引出位置(Lmax)として記憶部13に記憶する(ステップS6)。これにより、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態が測定される。
次に、この測定されたデータに基づいてモータ11の駆動を制御する。このときには、引き続きペダルをこぎ、ペダルが最上部に上がって股関節が十分に曲がり、連結リボン4が最大に引き出されて、記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)であるかを判断する(ステップS7)。このとき、連結リボン4の引出位置が記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)でなければ、ペダルが上がり股関節が十分に曲がって、最大引出位置(Lmax)になるまで、ペダルをこぎ続ける。
そして、連結リボン4の引出位置が記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)になると、ペダルが最上部から下がり始めて股関節が伸び始めるので、クラッチ17を接続してモータ11を駆動し、このモータ11の回転を巻取軸16に伝達させて、連結リボン4の巻き取りを開始する(ステップS8)。このときには、モータ11の回転速度を股関節の屈伸動作速度、つまり股関節が伸びる速度よりも少し速くして、連結リボン4の巻取速度を股関節の屈伸動作速度よりも少し速くすることにより、巻取軸16に巻き取られる連結リボン4によって股関節の屈伸動作、つまり股関節が伸びて上肢部が下がる動作を補助する。
この状態で、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られると、記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)であるかを判断する(ステップS9)。このとき、連結リボン4の巻取位置が記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)でなければ、ペダルが下がり股関節が伸びて、最大巻取位置(Lmin)になるまで連結リボン4を巻き取り、股関節が伸びる動作を補助する。
そして、ペダルが最下部に下がって股関節が十分に伸び、連結リボン4の巻取位置が記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)になると、ペダルが最下部から上がり始めて股関節が曲がり始めるので、クラッチ17の接続を断ってモータ11の駆動を停止し、連結リボン4の巻き取りを終了する(ステップS10)。この後、ステップS7に戻り、このステップS7〜S10の動作を繰り返す。これにより、ペダルを押し下げるときに、モータ11で巻き取られる連結リボン4によって股関節の伸びる動作を補助しながら、ペダルを連続してこぐことができる。なお、使用者がペダルをこがなくなると、この動作フローを終了する。
このように、この筋力制御装置1によれば、股関節を挟んで身体の一方側に位置する胴部と他方側に位置する膝部とに装着される布状の一対の装着ベルト2、3と、股関節に対応する臀部の外表面および上肢部の裏面に沿って配置されて一対の装着ベルト2、3を連結する布状の連結リボン4と、この連結リボン4の引出動作および巻取動作を制御する駆動制御部5とを備えた構成であるから、布状の連結リボン4の引出動作および巻取動作を制御することにより、簡単に股関節の動作を補助することができるほか、従来例のように金属製のフレームを用いた場合に比べて、重量が軽く、収納も便利で、装着ベルト2、3を身体の胴部と膝部とにフィットさせて装着することができると共に、量産化が可能で、低価格なものを得ることができる。
この場合、一対の装着ベルト2、3を連結する連結リボン4の巻取動作を駆動制御部5で制御することにより、歩行するときや自転車をこぐときなどに、股関節が伸びて上肢部が下がる筋肉動作を補助することができ、これにより筋力負担を軽減して歩行や自転車走行を楽に行うことができる。特に、連結リボン4の巻取動作によって筋肉動作を補助しているので、筋肉の収縮による身体の動作とほぼ同じ動作をすることができ、これにより身体に加わる負荷を自然な状態にすることができる。
このため、この筋力制御装置1では、連結リボン4の巻取動作を駆動制御部5で制御する際、その制御が複雑にならず、単純で簡単にでき、これにより使い勝手がよく、専門家を頼らず、手軽に使用することができる。また、膝部に装着される装着ベルト3が伸縮自在のサポータであることにより、膝関節を屈伸させても、その動作が膝部に装着された装着ベルト3によって妨げられることがないので、これによっても歩行や自転車走行を楽に行うことができる。
また、連結リボン4は、股関節に対応する臀部の外表面および上肢部の裏面に沿って配置されたガイド部材6によって連結リボン4の引出方向および巻取方向にガイドされていることにより、股関節を曲げたり伸ばしたりするときに、連結リボン4の移動方向を一定に保つことができ、これにより連結リボン4の動作を安定させることができると共に、連結リボン4がその動作時に身体に接触して擦れるのを防ぐことができるので、長時間にわたって良好に使用することができる。この場合、ガイド部材6はエラストマなどの屈曲性を有する弾性部材で形成されているので、ガイド部材6を股関節に対応する臀部の外表面および上肢部の裏面に良好にフィットさせて装着することができると共に、股関節を曲げたり伸ばしたりするときに、ガイド部材6が身体の動きを妨げることがないので、良好に使用することができる。
また、この筋力制御装置1では、駆動制御部5が、連結リボン4を弛ませない程度に巻き取るばね部材10と、連結リボン4の巻取動作および送出動作を行うモータ11と、連結リボン4の引出位置および巻取位置を検出するセンサ部12と、このセンサ部12で検出された連結リボン4の最大巻取位置および最大引出位置を記憶する記憶部13と、この記憶部13に記憶されたデータに基づいてモータ11の駆動を制御する制御部14と、これらに電源を供給する電源部15とを備えていることにより、股関節の動きに応じて正確に且つ確実に連結リボン4を巻き取ることができる。
すなわち、股関節が動くと、これに伴って連結リボン4が巻き取られるときに、その連結リボン4の巻取位置をセンサ部12で検出し、この検出したデータに基づいて制御部14がモータ11の駆動を制御して、連結リボン4の巻取動作を制御しているので、股関節の動きに応じて連結リボン4を正確に且つ確実に巻き取ることができ、これにより股関節に対応する部分の筋肉動作を安全に且つ良好に補助することができるので、歩行および自転車走行を安全に且つ楽に行うことができる。
この場合、制御部14は、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態を測定するときに、モータ11を停止させて、連結リボン4の引出動作および巻取動作が可能な状態で、股関節が曲がって連結リボン4が引き出された最大引出位置、および股関節が伸びて連結リボン4が巻き取られた最大巻取位置をセンサ部12で検出して記憶部13に記憶するので、専門家を必要とせず、一対の装着ベルト2、3および連結リボン4を身体に装着した状態で、股関節を屈伸させるだけで、簡単に使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態を正確に測定することができる。
また、この制御部14は、測定したデータに基づいてモータ11を制御する際、股関節が曲がって連結リボン4が記憶部13に記憶された最大引出位置に引き出されたときに、これと同時にモータ11を駆動させて連結リボン4の巻き取りを開始するので、巻き取られる連結リボン4によって股関節が伸びて上肢部が下がる股関節の動作を補助することができ、また股関節が伸びて連結リボン4が記憶部13に記憶された最大巻取位置に巻き取られたときに、モータ11の駆動を停止して連結リボン4の巻き取りを終了し、このモータ11の駆動を繰り返し制御するので、モータ11の制御が単純で、容易にモータ11を制御することができ、これによっても股関節に対応する部分の筋肉動作を安全に且つ正確に補助することができるので、歩行および自転車走行を安全に且つ楽に行うことができる。
(実施形態2)
次に、図5を参照して、この発明の筋力制御装置の実施形態2について説明する。なお、図1〜図4に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この筋力制御装置は、駆動制御部5の制御部14による制御が実施形態1と少し異なる構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、この筋力制御装置における駆動制御部5の制御部14は、センサ部12で検出された連結リボン4の最大引出位置(Lmax)、および連結リボン4の最大巻取位置(Lmin)に定数(Lx、Ln)をそれぞれ付加して、連結リボン4の最大引出位置付近(Lmax−Lx)、および連結リボン4の最大巻取位置付近(Lmin−Ln)を算出し、この算出した連結リボン4の最大引出位置付近および連結リボン4の最大巻取位置付近の各データに基づいて連結リボン4の巻取動作を制御するように構成されている。
この駆動制御部5の制御部14の動作フローについて、図5を参照して説明する。この場合にも、実際には装着ベルト2、3および連結リボン4は両足に装着されるのであるが、ここでは片側の足のみに装着した場合について説明する。
予め、実施形態1と同様、一方の装着ベルト2を股関節の上方に位置する身体の胴部に装着し、サポータである他方の装着ベルト3を股関節の下方に位置する膝部に装着し、この状態で一対の装着ベルト2、3を連結リボン4で連結する。
このときにも、連結リボン4はその一端部が駆動制御部5内の巻取軸16に巻取可能に取り付けられ、この状態でばね部材10のばね力によって常に軽いテンションがかかり、連結リボン4が弛まないように巻取軸16に巻き取られる状態になっている。この状態で、自転車に乗ってペダルに足を乗せ、駆動制御部5の電源を入れ、自転車のペダルをこぐと、この動作フローがスタートし、実施形態1と同様、まず、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態の測定を開始する。
このときには、まず、ペダルが下がって身体の股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の巻取データに基づいて判断する(ステップS11)。このステップ11で、ペダルが最下部に下がって股関節が十分に伸び、連結リボン4が巻き取られていると判断されると、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン4が引き出されているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の引出データに基づいて判断する(ステップS12)。そして、ペダルが最上部に上がり股関節が曲がって、連結リボン4が引き出されると、再び、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られているかを判断する(ステップS13)。
このとき、連結リボン4が巻き取られていなければ、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られるまで待機する。そして、ペダルが最下部に下がって股関節が十分に伸び、連結リボン4が巻き取られると、センサ部12が連結リボン4の最大巻取位置を検出し、その検出データを連結リボン4の最大巻取位置(Lmin)として記憶部13に記憶する(ステップS14)。
この状態で、再び、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン4が引き出されているかを判断し(ステップS15)、ペダルが最上部に上がり股関節が十分に曲がって、連結リボン4が引き出されると、センサ部12が連結リボン4の最大引出位置を検出し、その検出データを連結リボン4の最大引出位置(Lmax)として記憶部13に記憶する(ステップS16)。これにより、実施形態1と同様、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態が測定される。
この後、測定したデータに基づいてモータ11の駆動を制御する。このときには、引き続きペダルをこぎ、ペダルが最上部に上がって身体の股関節が十分に曲がり、連結リボン4が最大に引き出されて、記憶部13に記憶された最大引出位置付近であるかを判断する(ステップS17)。この最大引出位置付近とは、最大引出位置(Lmax)から定数(Lx)を引いた値(Lmax−Lx)であり、この定数(Lx)を引いた値、つまり最大引出位置付近(Lmax−Lx)は、股関節が完全に曲がった状態になる前の状態である。
そして、連結リボン4の引出位置が最大引出位置付近(Lmax−Lx)を過ぎると、ペダルが下がり始め、股関節が伸び始めるので、クラッチ17を接続してモータ11を駆動し、連結リボン4の巻き取りを開始する(ステップS18)。このときに、連結リボン4がその巻取動作によって股関節が伸びて上肢部が下がる動作を補助する。この状態で、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られて最大巻取位置付近であるかを判断する(ステップS19)。
この最大巻取位置付近とは、最大巻取位置(Lmin)から定数(Ln)を引いた値(Lmax−Ln)であり、この定数(Ln)を引いた値、つまり最大巻取位置付近(Lmin−Ln)は、股関節が完全に伸びた状態になる前の状態である。このステップS19で、連結リボン4の巻取位置が最大巻取位置付近(Lmin−Ln)でなければ、引き続き連結リボン4を巻き取り、股関節が伸びる動作を補助し続ける。
そして、連結リボン4の巻取位置が最大巻取位置付近(Lmin−Ln)を過ぎると、ペダルが上がり始めて股関節が曲がり始めるので、クラッチ17の接続を断ってモータ11の駆動を停止し、連結リボン4の巻き取りを終了する(ステップS20)。この後、ステップS17に戻り、このステップS17〜S20の動作を繰り返す。これにより、ペダルを押し下げるときに、モータ11で巻き取られる連結リボン4によって股関節の動作を補助しながら、ペダルを連続してこぐことができる。なお、使用者がペダルをこがなくなると、この動作フローを終了する。
このように、この筋力制御装置によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、特に制御部14が、センサ部12で検出された連結リボン4の最大引出位置(Lmax)および最大引出位置(Lmax)に定数(Lx、Ln)をそれぞれ付加して、連結リボン4の最大引出位置付近(Lmax−Lx)、および連結リボン4の最大巻取位置付近(Lmin−Ln)を算出し、この算出した各データに基づいてモータ11の駆動を繰り返し制御するので、股関節を完全に曲げなくても、また完全に伸ばさなくても、使用者の股関節の屈伸動作に応じて、その筋肉動作を良好に補助することができる。
このため、実施形態1よりも、より一層、きめ細かにモータ11の駆動を制御することができ、これにより股関節を連続動作させても、股関節に対応する部分の筋肉動作を正確に且つ安全に補助することができ、歩行および自転車走行を連続的に行っても、安全に且つ楽に行うことができるので、これによっても、使い勝手が良く、手軽に使用することができる。
(実施形態3)
次に、図6を参照して、この発明の筋力制御装置の実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図4に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この筋力制御装置30は、図6に示すように、股関節に対応する部分に装着される一対の装着ベルト2、31と、膝関節に対応する部分に装着される一対の装着ベルト31、32と、これら一対の装着ベルト2、31および31、32をそれぞれ連結する各連結リボン4、33と、各一方の装着ベルト2、31にそれぞれ設けられて各連結リボン4、33を引出可能に巻き取る駆動制御部5、34とを備えた構成になっている。
この場合、股関節に対応する部分に装着される一対の装着ベルト2、31は、実施形態1とほぼ同様、一方の装着ベルト2が身体の胴部に装着され、他方の装着ベルト31が身体の上肢部に装着され、この状態で股関節に対応する臀部の外表面および上肢部の裏面(いずれも身体の後側に位置する面)に沿って配置される連結リボン4によって連結されている。この場合、身体の上肢部に装着される装着ベルト31は、胴部に装着される装着ベルト2と同じ構成になっている。
すなわち、上肢部に装着される他方の装着ベルト31は、胴部に装着される装着ベルト2と同様、布、皮革、合成樹脂製のシートなどを帯状に形成したもので、その両端部が面状ファスナ商品名マジックテープ(登録商標)やフォック、あるいは尾錠、バックルなどで連結されることにより、上肢部に軽く締め付けられた状態で緩むことなく取り付けられるように構成されている。また、連結リボン4は、ガイド部材6によって引出方向および巻取方向にガイドされている。このガイド部材6も、エラストマなどの屈曲性を有する弾性材料からなり、股関節に対応する臀部の表面および上肢部の裏面に配置され、この状態で固定ベルト7、8によって固定されている。
また、駆動制御部5は、実施形態1と同様、連結リボン4を弛ませない程度に巻き取るばね部材10と、連結リボン4の巻取動作および送出動作を行うモータ11と、連結リボン4の引出位置および巻取位置を検出するセンサ部12と、このセンサ部12で検出された連結リボン4の最大巻取位置および最大引出位置を記憶する記憶部13と、この記憶部13に記憶されたデータに基づいてモータ11の駆動を制御する制御部14と、これらに電源を供給する電源部15とを備え、股関節の上方に位置する胴部に装着された装着ベルト2に設けられている。
一方、膝関節に対応する一対の装着ベルト31、32は、図6に示すように、一方の装着ベルト31が上肢部に装着された股関節側の装着ベルトと兼用され、他方の装着ベルト32が身体の下肢部に装着され、この状態で膝関節に対応する表面(身体の前側に位置する面)に沿って配置される連結リボン33によって連結されている。この下肢部に装着される他方の装着ベルト32も、胴部の装着ベルト2および上肢部の装着ベルト31と同じ構成になっている。また、この膝関節側の連結リボン33も、股関節側の連結リボン4と同様、ガイド部材6によって引出方向および巻取方向にガイドされている。このガイド部材6も、エラストマなどの屈曲性を有する弾性材料からなり、膝のお皿に対応する表面(身体の前側に位置する面)に密着して配置され、この状態で固定ベルト35によって固定されている。
また、この膝関節側の駆動制御部34は、上肢部に装着された股関節側の装着ベルトと兼用される装着ベルト31に設けられている。この駆動制御部34も、股関節側の駆動制御部5と同様、連結リボン33を弛ませない程度に巻き取るばね部材10と、連結リボン33の巻取動作および送出動作を行うモータ11と、連結リボン33の引出位置および巻取位置を検出するセンサ部12と、このセンサ部12で検出された連結リボン33の最大巻取位置および最大引出位置を記憶する記憶部13と、この記憶部13に記憶されたデータに基づいてモータ11の駆動を制御する制御部14と、これらに電源を供給する電源部15とを備えている。
この膝部側の駆動制御部34における制御部14は、例えば自転車に乗ってペダルをこぐ場合、股関節側の駆動制御部5と同様にモータ11を制御する。すなわち、この膝部側の駆動制御部34における制御部14の動作フローは、これがスタートすると、股関節側の駆動制御部5と同様、まず、使用者個人に合った膝関節の最大屈伸状態の測定を開始する。このときには、モータ11を停止させて、連結リボン33の引出動作および巻取動作が可能な状態で、ペダルをこぐ。
これにより、ペダルが上がり膝関節が曲がって連結リボン33が引き出された最大引出位置(Lmax)をセンサ部12で検出して記憶部13に記憶すると共に、ペダルが下がり膝関節が伸びて連結リボン33が巻き取られた最大巻取位置(Lmin)をセンサ部12で検出して記憶部13に記憶する(図3に示したステップS1〜S6に対応する)。これにより、使用者個人に合った膝関節の最大屈伸状態が測定される。
この後、測定したデータに基づいてモータ11の駆動を制御する。このときには、引き続きペダルをこぎ、ペダルが上がり膝関節が曲がって、連結リボン33が記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)に引き出されているかを判断し、連結リボン33が記憶部13に記憶された最大引出位置に引き出されると、これと同時にクラッチ17を接続してモータ11を駆動し、連結リボン33の巻き取りを開始する(図3に示したステップS7、S8に対応する)。これにより、巻き取られる連結リボン33によって膝関節が伸びる方向に引っ張られる。
そして、ペダルが下がり膝関節が伸びて、連結リボン33が記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)に巻き取られているかを判断し、連結リボン33が記憶部13に記憶された最大巻取位置に巻き取られると、クラッチ17の接続を断ってモータ11の駆動を停止し、連結リボン33の巻き取りを終了し(図3に示したステップS9、S10に対応する)、この動作を繰り返し制御する。これにより、ペダルを押し下げるときに、モータ11で巻き取られる連結リボン4によって膝関節の伸びる動作を補助しながら、ペダルを連続してこぐことができる。なお、使用者がペダルをこがなくなると、この動作フローを終了する。
このように、この筋力制御装置30によれば、股関節と膝関節との両方に対応する部分に、一対の装着ベルト2、31および31、32と、これら一対の装着ベルト2、31および31、32をそれぞれ連結する各連結リボン4、33と、各駆動制御部5、34とを、それぞれ設けたので、股関節と膝関節との両方の動作を補助することができる。すなわち、股関節側の連結リボン4の巻取動作を駆動制御部5によって制御すると共に、膝関節側の連結リボン33の巻取動作を駆動制御部34によって制御するので、歩行するときや自転車をこぐときに、股関節に対応する部分の伸びる動作と膝関節に対応する部分の伸びる動作との両方の動作を同時に且つ良好に補助することができる。
これにより、実施形態1よりも、より多くの筋力負担を軽減することができ、より一層、歩行や自転車走行を楽に行うことができるほか、特に膝関節に対応する部分に装着される一対の装着ベルト31、32のうち、膝関節の上方に位置する装着ベルト31を上肢部に装着された股関節側の装着ベルトと兼用しているので、股関節と膝関節との両方に一対の装着ベルト2、31および31、32を設けても、装着ベルト全体の数を削減することができ、これにより低価格化をも図ることができる。
なお、上記実施形態3では、各駆動制御部5、34の各制御部14が、連結リボン4、33の最大引出位置(Lmax)および連結リボン4、33の最大巻取位置(Lmin)に応じて各モータ11の駆動を制御している場合について述べたが、これに限らず、例えば実施形態2と同様、連結リボン4、33の最大引出位置付近(Lmax−Lx)および連結リボン4、33の最大巻取位置付近(Lmin−Ln)を算出し、この算出した各データに基づいて各モータ11の駆動を制御するように構成しても良い。
このように構成すれば、連結リボン4、33の最大引出位置付近(Lmax−Lx)、および最大巻取位置付近(Lmax−Lx)の各算出データに基づいて制御部14が、モータ11の駆動を制御するので、股関節および膝関節をそれぞれ完全に曲げなくても、また完全に伸ばさなくても、使用者の股関節および膝関節の各屈伸動作に応じて、その両方の動作を正確に且つ良好に補助することができ、これにより実施形態3よりも、より一層、きめ細かにモータ11の駆動を制御して股関節および膝関節の各屈伸動作を正確に且つ良好に補助することができる。
(実施形態4)
次に、図7および図8を参照して、この発明の筋力制御装置の実施形態4について説明する。この場合にも、図1〜図4に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この筋力制御装置40は、図7に示すように、股関節に対応する部分に装着された一対の装着ベルト2、3を連結するための連結リボン41を身体の胴部の前側表面および上肢部(大腿部)の前側表面(いずれも身体の前側に位置する面)に沿って配置した構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
この場合、一対の装着ベルト2、3のうち、一方の装着ベルト2は股関節の上方に位置する身体の胴部に装着され、他方の装着ベルト3は伸縮自在のサポータであり、股関節の下方に位置する身体の膝部に装着されている。連結リボン41は、図7に示すように、その一端部が胴部に装着された一方の装着ベルト2に設けられた駆動制御部5に連結され、他端部が胴部の前側表面および上肢部の前側表面に沿って配置されて膝部の他方の装着ベルト3に連結されている。
すなわち、この連結リボン41は、一端部側が股関節の屈伸動作に伴って駆動制御部5内の巻取軸16によって引出可能に巻き取られるように構成されている。この場合にも、連結リボン41は、ガイド部材6によって引出方向および巻取方向にガイドされている。このガイド部材6も、実施形態1と同様、エラストマなどの屈曲性を有する弾性材料からなり、股関節に対応する胴部の前側表面および上肢部の前側表面に密着して配置され、この状態で固定ベルト7、8によって固定されている。
次に、この筋力制御装置40の駆動制御部5における制御部14の動作フローについて、図8を参照して説明する。この場合にも、実際には装着ベルト2、3および連結リボン41は両足に装着されるのであるが、ここでは片側の足のみに装着した場合について説明する。
予め、実施形態1と同様、一方の装着ベルト2を身体の胴部に装着し、サポータである他方の装着ベルト3を膝部に装着し、且つ連結リボン41を身体の胴部および上肢部の各前側表面に沿って配置し、この状態で一対の装着ベルト2、3を連結リボン41で連結する。この場合にも、連結リボン41は、ばね部材10のばね力によって常に軽いテンションがかかり、連結リボン41が弛まないように巻取軸16に巻き取られる状態になっている。
この状態で、自転車に乗ってペダルに足を乗せ、駆動制御部5の電源を入れ、自転車のペダルをこぐと、この動作フローがスタートし、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態の測定を開始する。このときにも、まず、連結リボン41が巻き取られているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の巻取データに基づいて判断する(ステップS21)。そして、ペダルが最上部に上がって、図7に示すように、股関節が十分に曲がり、連結リボン41が巻き取られていると判断されると、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン41が引き出されているかを、センサ部12で検出した連結リボン4の引出データに基づいて判断する(ステップS22)。
そして、ペダルが最下部に下がり股関節が伸びて連結リボン41が引き出されると、再び、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン41が巻き取られているかを判断する(ステップS23)。このとき、連結リボン41が巻き取られていなければ、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン41が巻き取られるまで、ペダルをこぎ続ける。そして、ペダルが最上部に上がって股関節が十分に曲がり、連結リボン41が巻き取られると、センサ部12が連結リボン41の最大巻取位置を検出し、その検出データを連結リボン4の最大巻取位置(Lmin)として記憶部13に記憶する(ステップS24)。
この後、再び、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン41が引き出されているかを判断し(ステップS25)、ペダルが最下部に下がり、股関節が十分に伸びて連結リボン41が引き出されると、センサ部12が連結リボン41の最大引出位置を検出し、その検出データを連結リボン41の最大引出位置(Lmax)として記憶部13に記憶する(ステップS26)。これにより、実施形態1と同様、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態が測定される。
この後、測定されたデータに基づいてモータ11の駆動を制御する。このときには、引き続きペダルをこぎ、ペダルが最下部に下がって身体の股関節が十分に伸び、連結リボン41が最大に引き出されて、記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)であるかを判断する(ステップS27)。このとき、連結リボン41の引出位置が記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)でなければ、最大引出位置(Lmax)になるまで、ペダルをこぎ続ける。
そして、連結リボン41の引出位置が記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)になると、ペダルが最下部から上がり始めて股関節が曲がり始めるので、クラッチ17を接続してモータ11を駆動させ、モータ11の回転を巻取軸16に伝達させて、連結リボン41の巻き取りを開始する(ステップS28)。このときに、連結リボン41の巻取動作によって股関節が曲がる動作つまり股関節が曲がって上肢部が上がる動作を補助する。
この状態で、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン41が巻き取られて、記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)であるかを判断する(ステップS29)。このとき、連結リボン41の巻取位置が記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)でなければ、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン41が巻き取られて、最大巻取位置(Lmin)になるまで、ペダルをこぎ続ける。
そして、ペダルが最上部に上がって股関節が十分に曲がり、連結リボン41の巻取位置が記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)になると、ペダルが最上部から下がり始めて股関節が伸び始めるので、クラッチ17の接続を断ってモータ11の駆動を停止し、連結リボン41の巻き取りを終了する(ステップS30)。この後、ステップS27に戻り、このステップS27〜S30の動作を繰り返す。これにより、ペダルが上がるときに、モータ11で巻き取られる連結リボン4によって股関節の曲がる動作を補助しながら、ペダルを連続してこぐことができる。なお、使用者がペダルをこがなくなると、この動作フローを終了する。
このように、この筋力制御装置40によれば、股関節を挟んで身体の一方側に位置する胴部と他方側に位置する膝部とにそれぞれ装着された一対の装着ベルト2、3を、股関節に対応する胴部の前側表面および上肢部の前側表面に沿って配置される連結リボン41で連結し、この連結リボン41の巻取動作を駆動制御部5で制御するように構成したので、歩行するときや自転車をこぐときなどに、連結リボン41の巻取動作によって股関節が曲がって上肢部が上がる動作を補助することができる。
このため、実施形態1と同様、筋力負担を軽減して歩行や自転車走行を楽に行うことができるほか、特に連結リボン41の巻取動作によって股関節が曲がる動作を補助していることにより、筋肉の収縮による身体の動作とほぼ同じ動作をすることになるので、身体に加わる負荷を自然な状態にすることができ、これにより連結リボン41の巻取動作を駆動制御部5で制御する際、その制御が複雑にならず、単純で簡単にでき、これにより使い勝手が良く、専門家を頼らず、手軽に使用することができる。
なお、上記実施形態4では、一対の装着ベルト2、3を股関節に対応する胴部と膝部とに設け、これら一対の装着ベルト2、3を胴部および上肢部の各前側表面に沿って配置される連結リボン41で連結した構成であるが、これに限らず、図6に示した実施形態3と同様、股関節に対応する部分と膝関節に対応する部分との両方に、一対の装着ベルトと、連結リボンと、駆動制御部とをそれぞれ設けた構成でも良い。
この場合にも、股関節側の連結リボンは、実施形態4と同様、胴部および上肢部の各前側表面に沿って配置されて一対の装着ベルトを連結するように構成し、膝関節側の連結リボンは、膝関節の裏面(身体の後側に位置する面)に沿って配置され、上肢部と下肢部とに装着された一対の装着ベルトを連結するように構成すれば良い。
このように構成すれば、股関節が曲がる動作と膝関節が曲がる動作との両方の動作を同時に補助することができるので、実施形態3と同様、より多くの筋力負担を軽減することができ、より一層、歩行や自転車走行を楽に行うことができる。
また、上記実施形態1または4では、股関節に対応する部分の身体に装着された一対の装着ベルト2、3を1本の連結リボン4または41で連結した場合について述べたが、これに限らず、例えば一対の装着ベルト2、3を2本の連結リボン4、41で連結し、これら2本の連結リボン4、41の巻取動作をそれぞれ駆動制御部5、5で制御するようにしても良い。この場合には、一方の連結リボン4を股関節に対応する臀部の表面および上肢部の裏面(いずれも身体の後側に位置する面)に沿って配置し、他方の連結リボン41を胴部の前側表面および上肢部の前側表面(いずれも身体の前側に位置する面)に沿って配置すれば良い。
この場合にも、一方の連結リボン4の巻き取りを制御する駆動制御部5は、実施形態1と同様、股関節が最も曲がった状態のときに連結リボン4を巻き取ることにより、股関節が伸びるときの筋肉動作を補助するように制御すれば良い。また、他方の連結リボン41の巻き取りを制御する駆動制御部5は、実施形態4と同様、股関節が最も伸びた状態のときに連結リボン41を巻き取ることにより、股関節が曲がるときの筋肉動作を補助するように制御すれば良い。
このように構成すれば、2本の連結リボン4、41の各巻取動作によって股関節が伸びるとき、および股関節が曲がるときの両方の動作を補助することができるので、実施形態1、4の場合よりも、より一層、筋力負担を軽減することができ、これにより歩行や自転車走行を更に楽に行うことができる。
また、これに限らず、実施形態3と同様、膝関節に対応する部分においても、2本の連結リボンを膝関節の表裏両側にそれぞれ配置し、これら2本の連結リボンで上肢部と下肢部とにそれぞれ装着された一対の装着ベルト31、32を連結するようにしても良い。このようにすれば、股関節と膝関節との両方の関節が伸びるとき、および曲がるときに、これら筋肉動作を確実に補助することができるので、筋力負担を大幅に軽減することができ、より一層、歩行や自転車走行を楽に行うことができる。
(実施形態5)
次に、図9および図10を参照して、この発明の筋力制御装置の実施形態5について説明する。この場合にも、図1〜図4に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この筋力制御装置50は、図9および図10に示すように、駆動制御部51の制御部53による制御方式を変更し、これに伴って駆動制御部51に切替スイッチ52を追加した構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。すなわち、この筋力制御装置50は、その機能が切替スイッチ52によって切り替わり、これにより制御部53の制御方式が切り替わって、連結リボン4を引き出すときに、関節の屈伸動作速度よりも少し遅い速度でモータ11を駆動し、関節にその屈伸動作を妨げる負荷を付与するように構成されている。
この場合にも、一対の装着ベルト2、3は、実施形態1と同様、一方の装着ベルト2が股関節の上方に位置する身体の胴部に装着され、他方の装着ベルト3が股関節の下方に位置する身体の膝部に装着されている。連結リボン4は、その一端部が胴部に装着された一方の装着ベルト2に設けられた駆動制御部5内の巻取軸16に連結され、他端部が臀部の表面および上肢部の裏面(いずれも身体の後側に位置する面)に沿って配置されて膝部の他方の装着ベルト3に連結されている。また、この連結リボン4は、一端部側が股関節の屈伸動作に伴って駆動制御部51によって巻取可能に送り出されるように構成されている。
また、駆動制御部51は、図9に示すように、連結リボン4を弛ませない程度に巻き取るばね部材10と、連結リボン4の巻取動作および送出動作を行うモータ11と、連結リボン4の引出位置および巻取位置を検出するセンサ部12と、このセンサ部12で検出された連結リボン4の最大巻取位置および最大引出位置を記憶する記憶部13と、この記憶部13に記憶されたデータに基づいてモータ11の駆動を制御する制御部53と、これらに電源を供給する電源部15とを備えているほか、筋力制御装置50の機能を切り替える切替スイッチ52を備えている。この切替スイッチ52は、股関節に対応する筋肉動作を補助する筋力補助機能と、股関節にその屈伸動作時に負荷を与えて筋肉を鍛える筋力トレーニング機能とのいずれの機能に切り替えるように構成されている。
次に、この筋力制御装置50の駆動制御部51における制御部53の動作フローについて、図10を参照して説明する。この場合にも、実際には装着ベルト2、3および連結リボン4は両足に装着されるのであるが、ここでは片側の足のみに装着した場合について説明する。
予め、実施形態1と同様、一方の装着ベルト2を身体の胴部に装着し、他方の装着ベルト3を膝部に装着し、この状態で一対の装着ベルト2、3を連結リボン4で連結する。このときにも、連結リボン4は、駆動制御部51のばね部材10のばね力によって常に軽いテンションがかかり、連結リボン4が弛まないように巻取軸16に巻き取られる状態になっている。
この状態で、まず、切替スイッチ52を操作して股関節に対応する筋肉動作に負荷を与えて筋肉を鍛える筋力トレーニング機能に切り替える。そして、自転車に乗ってペダルに足を乗せ、駆動制御部51の電源を入れ、自転車のペダルをこぐと、この動作フローがスタートし、実施形態1と同様、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態の測定を開始する。このときには、まず、ペダルが下がって身体の股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られているかを判断する(ステップS31)。そして、ペダルが最下部に下がって股関節が十分に伸び、連結リボン4がばね部材10によって巻き取られると、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン4が引き出されているかを判断する(ステップS32)。
このとき、ペダルが最上部に上がり股関節が曲がって、連結リボン4が引き出されると、再び、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られているかを判断し(ステップS33)、連結リボン4が巻き取られていなければ、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン4が巻き取られるまで、ペダルをこぎ続ける。そして、ペダルが最下部に下がり股関節が十分に伸びて、連結リボン4が巻き取られると、センサ部12が連結リボン4の最大巻取位置を検出し、その検出データを連結リボン4の最大巻取位置(Lmin)として記憶部13に記憶する(ステップS34)。
この後、再び、ペダルが上がって股関節が曲がり、連結リボン4が引き出されているかを判断し(ステップS35)、ペダルが最上部に上がり股関節が十分に曲がって連結リボン4が引き出されていると判断されると、センサ部12が連結リボン4の最大引出位置を検出し、その検出データを連結リボン4の最大引出位置(Lmax)として記憶部13に記憶する(ステップS36)。これにより、実施形態1と同様、使用者個人に合った股関節の最大屈伸状態が測定される。
そして、測定したデータに基づいてモータ11の駆動を制御する。このときには、引き続きペダルをこぎ、ペダルが最下部に下がって身体の股関節が十分に伸び、連結リボン4が最大に巻き取られて記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)であるかを判断する(ステップS37)。このとき、連結リボン4の巻取位置が記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)でなければ、最大巻取位置(Lmin)になるまで、ペダルをこぎ続ける。そして、連結リボン41の巻取位置が記憶部13に記憶された最大巻取位置(Lmin)になると、ペダルが最上部から下がり始めて股関節が伸び始めるので、クラッチ17を接続してモータ11を駆動させて逆回転させ、その回転を巻取軸16に伝達させて、連結リボン41の送り出しを開始する(ステップS38)。
このとき、モータ11の逆回転による連結リボン4の送出速度は、股関節の伸びる動作速度よりも少し遅くし、この送出動作の遅い連結リボン4によって股関節にその伸びる動作を妨げる負荷を付与する。この後、ペダルが下がって股関節が伸び、連結リボン4が送り出されて、記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)であるかを判断する(ステップS39)。このとき、連結リボン4の引出位置が記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)でなければ、最大引出位置(Lmax)になるまで、送り出される連結リボン4によって股関節に負荷を付与する。
そして、ペダルが最下部に下がって股関節が十分に伸び、連結リボン4の引出位置が記憶部13に記憶された最大引出位置(Lmax)になると、ペダルが最下部から上がり始めて股関節が曲がり始めるので、クラッチ17の接続を断ってモータ11の駆動を停止し、連結リボン4の送り出しを終了する(ステップS40)。この後、ステップS37に戻り、このステップS37〜S40の動作を繰り返す。これにより、ペダルを押し下げるときに、モータ11で送り出される連結リボン4によって股関節に負荷を与えながら、ペダルを連続してこぐことができる。なお、使用者がペダルをこがなくなると、この動作フローを終了する。
このように、この筋力制御装置50によれば、駆動制御部51の制御部53が、センサ部12で検出された連結リボン4の最大巻取位置に連結リボン4が巻き取られたときに、これと同時にモータ11を股関節の伸びる動作速度よりも少し遅い速度で駆動して連結リボン4の送り出しを開始し、このときに送り出される連結リボン4により股関節にその伸びる動作を妨げる負荷を与え、またセンサ部12で検出された連結リボン4の最大引出位置に連結リボン4が引き出されたときに、モータ11の駆動を停止して連結リボン4の送り出しを終了し、この動作を繰り返し制御することにより、歩行するときや自転車走行するときに、股関節にその伸びる動作を妨げる負荷を与えて筋力に負担をかけることができ、これにより筋力アップを図るための筋力トレーニング用として使用することができる。
また、この筋力制御装置50によれば、駆動制御部51に設けられた切替スイッチ52を操作するだけで、股関節に対応する筋肉動作を補助する筋力補助機能と、股関節に対応する筋肉動作に負荷を与えて筋肉を鍛えるための筋力トレーニング機能とのいずれの機能に、簡単に切り替えることができるので、1つの筋力制御装置50で、股関節に対応する筋肉動作を補助する筋力補助用と、股関節に対応する筋肉を鍛える筋力トレーニング用とのいずれにも使用することができ、これにより使い勝手が良いばかりか、量産化を図ることができ、低価格化をも図ることができる。
なお、上記実施形態5では、一例として、図1に示した実施形態1と同様、筋力制御装置50を股関節に対応する部分のみに設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば図6に示した実施形態3と同様、股関節と膝関節との両方に設けても良く、また一対の装着ベルトを連結する連結リボン4は必ずしも身体の後側に配置される必要はなく、図7に示した実施形態4と同様、身体の前側に配置しても良く、さらに一対の装着ベルトを連結する連結リボン4は必ずしも1本である必要はなく、2本用いて身体の表裏両側に配置するように構成しても良い。
また、上記実施形態5では、切替スイッチ52によって、股関節に対応する筋肉動作を補助する筋力補助機能と、股関節に対応する筋肉動作に負荷を与えて筋肉を鍛えるための筋力トレーニング機能とを切り替えるように構成したが、安全性を考慮して、股関節に対応する筋肉動作を補助する筋力補助機能と、股関節に対応する筋肉動作に負荷を与えて筋肉を鍛えるための筋力トレーニング機能とを分け、それぞれ別々に製作することが望ましい。
なおまた、上記実施形態1〜5およびその変形例では、股関節や膝関節などの足の筋力制御に適用した場合について述べたが、必ずしも股関節や膝関節に適用する必要はなく、腕における肩関節や肘関節にも適用して腕の筋肉動作を制御するようにしても良い。