JP2010010007A - 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性を改良し、プロトン伝導性に優れるとともに、耐久性や化学的安定性に優れた新規ポリアリーレン系共重合体及び該共重合体に使用される原料モノマー、該共重合体を使用した固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体の提供。
【解決手段】プロトン伝導膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記プロトン伝導膜は、下記一般式(4)で表される構造を含有するポリアリーレン系共重合体であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。H01は式(1a)等を示す。
Figure 2010010007

Figure 2010010007

【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリーレン系共重合体を用いたプロトン伝導膜を有する固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体に関する。
燃料電池は、高い発電効率を有し、排出物も少ない環境への負担の低い発電システムである。近年の地球環境保護、化石燃料依存からの脱却への関心の高まりにつれて、脚光を浴びている。燃料電池は、小型の分散型発電施設、自動車や船舶等の移動体の駆動源としての発電装置、また、リチウムイオン電池等の二次電池に替わる携帯電話やモバイルパソコン等への搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池は、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、純水素あるいは改質水素ガスを燃料として一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤として異なる電極(空気極)へ供給し、起電力を得るものである。また、水電解は、固体高分子電解質膜を用いて、水を電気分解することにより燃料電池反応の逆反応が起こり水素と酸素を製造するものである。
しかしながら、実際の燃料電池や水電解ではこれらの主反応の他に、副反応が起こる。その代表的なものが過酸化水素(H)の生成であり、この過酸化水素に起因するラジカル種が固体高分子電解質膜を劣化させる原因となっている。
従来、固体高分子電解質膜としては、Nafion(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成工業(株)社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)社製)の商品名で市販されているパーフルオロスルホン酸系膜が、その化学安定性が優れている点から用いられてきた。
しかしながら、Nafionのようなパーフルオロスルホン酸系膜は、製造が困難であるため、非常に高価であるという問題があり、燃料電池車や家庭用燃料電池発電システム等の民生用途への普及の大きな障害となっている。また、分子内に大量のフッ素原子を有しているため、使用後の廃棄処理についても、環境への大きな負荷という問題を抱えている。
また、燃料電池はより高温で、かつ電極間のプロトン伝導膜の膜厚が薄いほど、膜抵抗が小さく、発電出力を高めることができる。しかし、これらのパーフルオロ酸系膜は、熱変形温度が80〜100℃程度で、高温時のクリープ耐性が非常に乏しく、それゆえ燃料電池にこれらの膜を用いた際の発電温度を80℃以下に保たなければならず、発電出力に制限があるといった問題がある。また、長期に使用した際の膜厚の安定性にも乏しく、電極間の短絡(ショート)を防ぐために、ある程度の膜厚(50μm以上)が必要で、薄膜化が困難であると考えられている。
こういったパーフルオロスルホン酸系膜の問題を解決するために、フッ素原子を含まず、より安価で、エンジニアプラスチックにも用いられるような耐熱性主鎖骨格を有する固体高分子電解質膜が、現在、数多く研究されている。ポリアリーレン系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリエーテルスルホン系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリイミド系、ポリベンザゾール系の主鎖芳香環をスルホン化したポリマーが提案されている(非特許文献1〜3参照)。
スルホン酸基の導入が容易であり、特許第3975908号公報(特許文献1)にて、側鎖として、スルホン酸基が導入された芳香族環が電子吸引性基を介して結合した構成単位を含むポリアリーレンを提案している。また、特開2005−133081号公報(特許文献2)では、スルホン酸基の導入量を増やしても、優れた耐熱水性を有するスルホン化ポリマーとして、ニトリル型疎水性ブロックを有するスルホン化ポリマーを提案している。
特許第3975908号公報 特開2005−133081号公報 Polymer Preprints, Japan, Vol. 42, No.7, p.2490〜2492(1993) Polymer Preprints, Japan, Vol. 43, No.3, p. 735〜736(1994) Polymer Preprints, Japan, Vol. 42, No.3, p 730(1993)
しかしながら、非特許文献1〜3のように、主鎖芳香環がスルホン化されたポリマーは吸水性が大きく、耐熱水性が劣ることから、スルホン酸基等の親水基の導入量に制限がある。また、発電耐久性の尺度とされるフェントン試薬耐性(ヒドロキシラジカル耐性)に乏しい材料であった。また、これらの電解質膜を長期間100℃以上の高温下に暴露した際、スルホン酸が脱離しプロトン伝導性能の低下を生じたり、また、スルホン酸基が導入されていない他の芳香環と架橋反応を起こし、脆化するという問題点を有していた。
また、従来より提案されたプロトン伝導膜の中には、化学的安定性が低く、例えば高湿や高温・低温環境等劣化してしまい、膜自体の物理強度が低下し、その結果、膜の耐久性が不十分となるという問題点もあった。
特許文献1及び2のものは、非特許文献1〜3の問題点は解消しているものの、さらに、耐久性が高く、化学的安定性が向上したものが要求されるようになっている。
本発明の目的は、従来検討されてきたフッ素系電解質膜並びに芳香族系電解質膜の問題点を解決し、耐熱性を改良し、プロトン伝導性に優れるとともに、さらに耐久性や化学的安定性に優れた新規ポリアリーレン系共重合体及び該共重合体に使用される原料モノマー、該共重合体を使用した固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するポリアリーレン共重合体が優れた耐熱性、高プロトン伝導性を有する高分子電解質であることを見出し、上記課題を解決するに至った。より具体的には、本発明の構成は以下のとおりである。
請求項1記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体は、プロトン伝導膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記プロトン伝導膜は、一般式(4)で表される構造を含有するポリアリーレン系共重合体であることを特徴とする。
Figure 2010010007
[一般式(4)中、A、Dは、独立に直接結合又は、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(aは1〜10の整数である)、−(CH−(bは1〜10の整数である)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−及び−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子又は硫黄原子であり、R〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部又は、すべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子又は基を示す。Rは、1,3,5−トリアジン、ピリジン及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を含む2価の有機基を示す。H01は、一般式(1a)及び前記Rで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
Figure 2010010007
一般式(1a)中、Dは前記一般式(4)と同義である。R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部又はすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基及びニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子又は基を示す。l、mは、0〜4の整数を示す。n、pは、各ユニットの組成比を示し、n+p=1である。ただし、n、pはともに0ではない。qは、正の整数である。
構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。]
請求項2記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体は、請求項1記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記一般式(4)中、Rが、ピロール基、チアゾール基、イソチアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、イミダゾール基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、ピラゾール基、1,3,5−トリアジン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、ピラジン基、インドール基、キノリン基、イソキノリン基、ブリン基、テトラゾール基、テトラジン基、トリアゾール基、カルバゾール基、アクリジン基、キノキサリン基、キナゾリン基、インドリジン基、イソインドール基、3H−インドール基、2H−ピロール基、1H−インダゾール基、プリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、シンノリン基、プテリジン基、カルボリン基、フェナントリジン基、ペリミジン基、フェナントロリン基、フェナジン基、フェナルサジン基、フェノチアジン基、フラザン基、フェノキサジン基、ピロリジン基、ピロリン基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、インドリン基、イソインドリン基、キヌクリジン基及びこれらの含窒素複素環基の誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることを特徴とする。
請求項3記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体は、請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記一般式(4)中、Rが、1,3,5−トリアジン、ピリジンからなる含窒素芳香環構造及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を有することを特徴とする。
請求項4記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体は、請求項1から3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記一般式(4)で表される構造が、一般式(5)で表されることを特徴とする。
Figure 2010010007
[一般式(5)中、A、R、l、n、p及びqは、前記一般式(4)の場合と同様である。Pは、一般式(3−1)〜(3−3)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、H02は、P及びRで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。]
Figure 2010010007
請求項5記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体は、請求項1から4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、一般式(A)で表される繰返し単位を含むことを特徴とする。
Figure 2010010007
[一般式中、Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(aは1〜10の整数である)及び−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造である。Zは、直接結合又は、−(CH−(bは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造である。Arは、−SOH、−O(CHSOH又はO(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基である。cは、1〜12の整数であり、jは、0〜10の整数であり、hは、0〜10の整数であり、kは、1〜4の整数である。]
本発明において用いられる芳香族化合物は、含窒素芳香環が導入された新規芳香族化合物である。また本発明において用いられるポリアリーレン系共重合体は、前記新規芳香族化合物から誘導され、伝導膜として使用すると、主鎖に含窒素芳香環が導入されていることにより、以下の効果を有する。
第1に、耐熱性が向上している。第2に高いプロトン伝導度を有している。第3に靭性及び機械的強度に優れている。
さらに、本発明では、これらの特性が従来のものと遜色がない上に、耐久性が高く、化学的安定性が向上している。
上記に加え、本発明において用いられる共重合体は、スルホン酸基の導入量を容易に制御することができる。得られるスルホン酸基含有共重合体は、伝導膜として、広い温度範囲にわたって高いプロトン伝導性を有し、脆くなく強度において優れている。
含窒素構造を含む化合物をスルホン酸ポリマーに導入すると熱的安定性、化学的安定性が向上することは、例えば特開昭62−149723号公報、特許第2540521号公報等に開示されている。また、窒素構造を含む化合物の重合体を高分子固体電解質・プロトン伝導膜に使用するという試みは、例えば特開2003−77493号公報に、芳香族ポリエーテルピリジンとプロトン酸とを含むプロトン伝導膜として開示されている。しかしながら、特開2003−77493号公報に開示されたものでは、実際にプロトン伝導膜として使用する際に、添加されるスルホン酸と、重合体中の含窒素構造との相互作用により伝導度が落ちることがある。これに対し、本発明では共重合体中の含窒素構造を疎水ユニットに導入させているので、窒素とスルホン酸との相互作用を抑え、伝導度を低下させることなく化学的安定性を向上することができる。
したがって、上記のポリアリーレン系共重合体を燃料電池用膜として用いたときに、特に耐熱性、プロトン伝導性、靭性、機械的強度並びに熱及び化学的安定性に優れる、という顕著な効果を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体のプロトン伝導膜に用いられるポリアリーレン系共重合体は、以下の芳香族化合物から誘導される構造を有する。
[芳香族化合物]
本発明において用いられる芳香族化合物は、下記の一般式(1)で表される。
Figure 2010010007
一般式(1)中、A、Dは、独立に直接結合又は、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(aは1〜10の整数である)、−(CH−(bは1〜10の整数である)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−及び−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。−CR’として具体的には、−C(CH−、−C(CF−、−C(CCl−、又は−C(CHCl)−を示す。これらのうち、直接結合又は、−CO−、−SO−、−C(CF−、−C(CR’−(R’は炭化水素基又は環状炭化水素基)、若しくは−O−が好ましい。
Bは独立に酸素原子又は硫黄原子である。
〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部又はすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、及びニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子又は基を示す。このうち、少なくとも1つがニトリル基であることが好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。アリル基としては、プロペニル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
Rは、含窒素芳香環構造を含む2価の有機基を示す。
含窒素芳香族環構造とは、芳香族環にヘテロ原子として、窒素原子を少なくとも1個含むものである。また、窒素原子とともに、ヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子を含むものであってもよい。
このようなRとして、具体的には、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、2H−ピロール、1H−インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、シンノリン、プテリジン、カルボリン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、及びキヌクリジンからなる群から選ばれた含窒素芳香環構造を含む化合物並びにこれらの誘導体の少なくとも1種に由来する構造を有する2価の有機基が挙げられる。Rは、これらの化合物に由来する含窒素芳香環構造が前記一般式(1)の主鎖構造と側鎖構造のいずれに組み込まれた構造を有していてもよいが、主鎖構造に組み込まれていることにより耐熱水性が向上する。
誘導体としては、含窒素芳香環構造に他の置換基を有するものが挙げられ、例えば、以下の置換基が挙げられる。
Figure 2010010007
A、B、及びR11〜R16は、前記したものと同じものが挙げられる。
Rとしては、1,3,5−トリアジン、ピリジンからなる含窒素芳香環構造が好ましい。また、誘導体となっている場合、下記構造が望ましい。
Figure 2010010007
01は、下記一般式(1a)及び上記Rで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
Figure 2010010007
一般式(1a)中、Dは上記一般式(1)と同義である。R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部又はすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子又は基を示す。これらの基の具体例は前記したとおりである。
l、mは、0〜4の整数を示す。
lは1以上が好ましい。
n、pは、各ユニットの組成比を示し、n+p=1である。ただし、n、pはともに0ではない。
qは、正の整数である。なお、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
本発明の芳香族化合物は、好ましくは下記一般式(2)で表されるものである。
Figure 2010010007
一般式(2)中、A、X、R、l、n、p及びqは、一般式(1)の場合と同様である。
Pは、下記一般式(3‐1)〜(3‐3)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、H02は、P及びRで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
Figure 2010010007
このような本発明で表される芳香族化合物としては、以下のものが例示される。
Figure 2010010007
[芳香族化合物の製造方法]
本発明において用いられる芳香族化合物は、例えば以下に示す方法で合成することができる。
前記のRとして例示した含窒素芳香環構造を含む化合物又はその誘導体のジハロゲン化物(X−R−X:Xはハロゲン原子)と、下記一般式で表されるジヒドロキシ化合物とを反応させる。
Figure 2010010007
一般式中、A及びR11〜R16は、前記一般式(1)と同じものである。
上記一般式で表されるビスフェノール類として、例えば、1,3−ビス{1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル}ベンゼン(Bis−M)、1,4−ビス{1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル}ベンゼン、1,3−(4−ヒドロキシベンゾイルベンゼン)、1,4−(4−ヒドロキシベンゾイルベンゼン)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、4,4’−イソプロピリデンビフェノール(Bis−A)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF)、4,4’−ビスヒドロキシベンゾフェノン(4,4’−DHBP)、4,4’−ビスヒドロキシジフェニルスルホン(4,4’−DHDS)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(4,4’−DHBP)、ビス(4―ヒドロキシフェニル)メタン、レゾルシノール(RES)、ヒドロキノン(HQ)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−フェニルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−シクロヘキシルフェノール)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−NAP)、1,6−ジヒドロキシナフタレン(1,6−NAP)、1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−NAP)、2,6−ジヒドロキシナフタレン(2,6−NAP)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−NAP)、2,3−ジヒドロキシナフタレン(2,3−NAP)等が挙げられる。なかでも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF)が好ましい。
含窒素芳香環構造を含む化合物又はその誘導体のジハロゲン化物と、上記一般式で表されるジヒドロキシ化合物との混合比は、モル比として、1:2〜1:10、好ましくは1:3〜1:8となるように混合すればよい。ジハロゲン化物と反応しなかった残余のジヒドロキシ化合物は、後述する芳香族ジハライド化合物とも反応する。このため、一般式(1)中のnとpの比率を鑑みて、適宜選択される。
芳香族化合物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算数平均分子量で、1000から40000の範囲であり、3000から20000の範囲が好ましく、さらには6000から15000の範囲がさらに好ましい。
反応時に、これらの原料が液状であれば特に溶媒を添加する必要はないが、必要に応じて、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイド等の誘電率の高い極性溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等の水と共沸する溶媒を共存させてもよい。この際に、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩等を加えられる。通常、これらのアルカリ金属又はその塩はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量、好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。
次に、下記一般式で表される芳香族ジハライド化合物を反応させる。
Figure 2010010007
一般式中、X、D、R1〜R8及びmは、前記一般式(1)の場合と同様である。
上記一般式で表される芳香族ジハライド化合物としては、例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4’−クロロフェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン等を反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。
活性芳香族ジハライドはジヒドロキシ化合物(含窒素芳香環化合物と当量で反応した残りの量)に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前にあらかじめ、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。
[ポリアリーレン系共重合体]
本発明において用いられるポリアリーレン系共重合体は、主鎖として含窒素芳香環を有する単量体から構成される繰返し単位を含む共重合体である。本発明の共重合体は、含窒素芳香環を含む繰返し単位を含み、さらに、スルホン酸基を有する繰返し単位を有することが好ましい。
含窒素芳香環を含む繰返し単位
本発明の共重合体は、下記一般式(4)で表される構造からなる繰返し単位を含有する。
Figure 2010010007
一般式(4)中、A、D、B、R〜R16、R、H01、l、m、n、p及びqは、一般式(1)の場合と同様である。
これらの具体例及び好ましい範囲も一般式(1)と同様である。
このような繰返し単位として具体的には、下記一般式(5)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010010007
一般式(5)中、A、R、l、n、p及びqは、一般式(2)の場合と同様である。P及びH02は、一般式(2)の場合と同様である。
なお、以下の記載において、構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。
スルホン酸基を有する繰返し単位
本発明において用いられるポリアリーレン系共重合体は、さらに下記一般式(A)で表されるスルホン酸基を有する繰り返し単位(スルホン酸ユニット)を含むことが好ましい。より好ましくは、一般式(A)で表される繰り返し単位と、一般式(4)で表されるスルホン酸基を有さない繰り返し単位(疎水性ユニット)とを含み、下記一般式(6)で表される共重合体である。
Figure 2010010007
一般式(A)において、Yは−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、及び−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、−CO−、−SO−が好ましい。
Zは直接結合又は、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−、及び−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち直接結合、−O−が好ましい。
Arは−SOH又はO(CHSOH又はO(CFSOHで表される置換基(hは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。芳香族基は前記した−SOH又はO(CHSOH又はO(CFSOHで表される置換基で、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上置換していることが好ましい。
jは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、hは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
j、hの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)j=0、h=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SOHを有
するフェニル基である構造、
(2)j=1、h=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(3)j=1、h=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(4)j=1、h=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として2個の−SOHを有するナフチル基である構造、
(5)j=1、h=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CHSOHを有するフェニル基である構造等を挙げることができる。
[共重合体の構造]
本発明において用いられるポリアリーレン系共重合体は、前記側鎖及び主鎖を含むものであり、具体的には、前記一般式(4)、(A)で表される繰り返し単位を含むものであり、下記一般式(6)で表される。
Figure 2010010007
一般式(6)において、A、B、D、R、Y、Z、Ar、k、j、h、l、m、n、p、q及びH01は、前記したとおりである。x、yはr+s=100モル%とした場合のモル比を示す。
本発明において用いられるポリアリーレン系共重合体は、一般式(A)で表される繰り返し構成単位すなわちxのユニットを0.5〜99.9モル%、好ましくは10〜99.5モル%の割合で、一般式(4)で表される繰り返し構成単位すなわちsのユニットを0.1〜99.5モル%、好ましくは0.5〜89.5モル%を含有している。
また、一般式(A)で表される繰り返し構成単位すなわちxのユニットに対する、一般式(4)で表される繰り返し構成単位すなわちsのユニットの割合は、0.001モル%〜50モル%であり、好ましくは、0.1モル%〜30モル%であり、さらに好ましくは、1モル%〜25モル%である。
本発明に係る重合体のイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g以上では、プロトン伝導度が高く発電性能が高い。一方、5meq/g以下では、耐水性が大幅に低下してしまうことがない。
上記のイオン交換容量は、ユニット(4)及び構成単位(A)の種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。したがって重合時に構成単位(4)及び(A)を誘導する前駆体(モノマー・オリゴマー)の仕込み量比、種類を変えれば調整することができる。
概してユニット(A)が多くなるとイオン交換容量が増え、プロトン伝導性が高くなるが、耐水性が低下する。一方、ユニット(A)が少なくなると、イオン交換容量が小さくなり、耐水性が高まるが、プロトン伝導性が低下する。
ユニット(4)を含んでいると、従来具備していたイオン伝導性や強度等の特性とともに、耐久性が高く、化学的安定性をも向上できる。
本発明は、含窒素含窒素芳香環構造を、スルホン酸基を有する側鎖ではなくポリアリーレンの主鎖構造中に導入することによって、高いプロトン伝導性を維持しつつ、耐熱水性と科学的安定性を改善したものである。
その結果、本発明の共重合体は、スルホン酸基の導入量を容易に制御することができる。得られるスルホン酸基含有共重合体は、伝導膜として、広い温度範囲にわたって高いプロトン伝導性を有し、脆くなく、強度において優れている。
[スルホン酸基を有するポリアリーレン系共重合体の製造方法]
スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体の製造には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法)
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法と同様に、下記一般式(A’)で表されるモノマー、下記一般式(B’)で表されるモノマーを共重合させ、スルホン酸エステル基を有する重合体を製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
モノマー(A’)
Figure 2010010007
Xは塩素原子、臭素原子及びOSORb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基又はアリール基を示す)から選ばれる原子又は基を示す。Y,Z,Ar,m,n、kは一般式(A)と同じであり、Raは炭素数4〜12のアルキル基を示す。
一般式(A’)で表される化合物の具体的な例としては、下記一般式で表される化合物、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
Figure 2010010007
Figure 2010010007
一般式(A’)で表される化合物において、スルホン酸エステル構造は、通常、芳香族環のメタ位に結合している。
モノマー(B’)
モノマー(B’)は、前記一般式(1)で表される本発明に係る芳香族化合物である。
重合
本発明の重合体を得るためはまず上記モノマー(A’)、モノマー(B’)を共重合させ、前駆体を得る。
この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩及び配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、又は配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、並びに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物及び条件を採用することができる。
例えば、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル等が好適に使用され、また、配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2,2′−ビピリジン等が好適に使用される。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2′ビピリジン)が好適に使用される。還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム等を挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。「塩」としては、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。反応には重合溶媒を使用してもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等が好適に使用される。
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩又は配位子が配位された遷移金属(塩)が、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。この範囲にあれば、触媒活性が高く、また分子量も高く重合することが可能である。触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。かかる範囲であれば、重合速度を上げる効果が充分となる。重合溶媒中におけるモノマーの総計の濃度は、通常、1〜90質量%、好ましくは5〜40質量%である。また、本発明の重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜100℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
次いで、得られた重合体を加水分解して、構成単位中のスルホン酸エステル基(−SOR)をスルホン酸基(−SOH)に転換する。
加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水又はアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SOR)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドン等の溶液中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法等により行うことができる。
(B法)
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A’)で表される骨格を有するが、スルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記モノマー(B’)とを共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
B法において用いることのできる、上記一般式(A)で表されるユニットとなりうるスルホン酸基、又はスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
(C法)
一般式(A)において、Arが−O(CHSOH又はO(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−606254号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A)で表されるユニットとなりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(4)で表されるユニットとなりうるモノマー、又はオリゴマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸又はフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(C法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表されるユニットとなりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。具体的には、2,5−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンをあげることができる。またこれらの化合物のヒドロキシル基をテトラヒドロピラニル基等で保護した化合物をあげることができる。またヒドロキシル基がチオール基にかわったもの、塩素原子が、臭素原子、ヨウ素原子におきかわったものもあげることができる。
(C法)では前駆体の重合体(スルホン酸基を有さない)に、特開2005−60625号公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。例えば、前駆体の重合体のヒドロキシル基と、プロパンスルトン、ブタンスルトン等を反応させることで導入することができる。
[固体高分子電解質]
本発明の固体高分子電解質は、上記ポリアリーレン系共重合体を含有してなる。プロトン伝導性を損なわない範囲で、フェノール性水酸基含有化合物、アミン系化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物等の酸化防止剤等を含んでもよい。
上記固体高分子電解質は、使用用途に応じて、粒状、繊維状、膜状等種々の形状で用いることができる。例えば、燃料電池や水電解装置等の電気化学デバイスに用いる場合には、その形状を膜状(いわゆる、プロトン伝導膜)とすることが望ましい。
[プロトン伝導膜]
本発明に係るプロトン伝導膜は、上記ポリアリーレン系共重合体を含有してなり、具体的には、上記ポリアリーレン系共重合体を含有してなる固体高分子電解質を用いて調製し、膜状に形成したものである。
本発明に係るプロトン伝導膜を製造する方法としては、特に限定されるものではないが、上記本発明の重合体を溶解する有機溶媒に溶解し、基体上にキャストし、溶媒を除去、乾燥させるキャスト法が主に用いられる。
このような製膜方法において用いられる基体としては、通常の溶液キャスト法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えば、プラスチック製又は金属製等の基体が用いられ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
これらの製膜方法で用いられる溶媒としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらの中では、溶解性及び溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)が特に好ましい。上記非プロトン系極性溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記溶媒として、上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いてもよい。このようなアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。これらの中では、幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があることから、メタノールが特に好ましい。アルコールは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いる場合には、非プロトン系極性溶剤が95〜25質量%、好ましくは90〜25質量%であり、アルコールが5〜75質量%、好ましくは10〜75質量%である(ただし、合計は100質量%)。アルコールの量が上記範囲内にあることにより、溶液粘度を下げる効果に優れる。
また、上記アルコールの他に、硫酸、リン酸等の無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水等を併用してもよい。
製膜する際の溶液のポリマー濃度は、通常5〜40質量%、好ましくは7〜25質量%である。ポリマー濃度が5質量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい傾向にある。一方、ポリマー濃度が40質量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、通常2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。溶液粘度が2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、溶液粘度が100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎるため、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記のようにして製膜した後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬すると、未乾燥フィルム中の有機溶剤を水と置換することができ、得られるプロトン伝導膜の残留溶媒量を低減することができる。なお、未乾燥フィルムを水に浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを、通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルム(予備乾燥後のフィルムも含む。以下同じ。)を水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式でもよく、基板フィルム(例えば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、又は基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方式でもよい。また、バッチ方式の場合は、処理後のフィルム表面に皺が形成されるのを抑制するために、未乾燥フィルムを枠にはめる等の方法で、水に浸漬させることが好ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の使用量は、未乾燥フィルム1質量部に対して、10質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上の割合である。水の使用量が上記範囲であれば、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を少なくすることができる。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を低減することに有効である。さらに、プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが効果的である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、置換速度及び取り扱いやすさの点から、通常5〜80℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。高温ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面状態が悪化することがある。また、フィルムの浸漬時間は、初期の残存溶媒量、水の使用量及び処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下において、0.5〜24時間真空乾燥することにより、プロトン伝導膜を得ることができる。
上記のようにして得られたプロトン伝導膜の残存溶媒量は、通常5質量%以下、好ましくは1質量%以下にまで低減される。
本発明の方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
[電極]
本発明の電極は、触媒金属粒子又は触媒金属粒子を導電性担体に担持してなる電極触媒、電極電解質からなり、必要に応じて炭素繊維、分散剤、撥水剤等の他の成分を含んでいてもよい。
触媒金属粒子としては、触媒活性を有するものであれば特に限定されないが、白金ブラック等の貴金属微粒子そのものからなるメタルブラックを使うことができる。
触媒金属粒子を担持させる導電性担体としては、導電性と適度な耐食性を備えていれば特に限定されないが、触媒金属粒子を高分散させるための十分な比表面積を有し、かつ十分な電子伝導性を有することから、カーボン(炭素)を主成分とするものを使用することが望ましい。電極を構成する触媒担体は、触媒金属粒子を担持するだけではなく、電子を外部回路に取り出す、あるいは外部回路から取り入れるための集電体としての機能を果たさなければならない。触媒担体の電気抵抗が高いと電池の内部抵抗が高くなり、結果として電池の性能を低下させることになる。そのため、電極に含まれる触媒担体の電子導電率は十分に高くなければならない。つまり、電極触媒担体として十分な電子導電性を持っていれば利用可能で、好適には細孔の発達したカーボン材料が用いられる。細孔の発達したカーボン材料としては、カーボンブラックや活性炭等が好ましく使用できる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、また活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理して得られる。また、電子導電性を有する金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物や高分子化合物を含むことも可能である。なお、ここでいう主成分とは、60%以上の炭素質を含有することを意味する。
また、導電性担体に担持させる触媒金属粒子としては、白金又は白金合金を用いるが、白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、コバルト、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛、及びスズからなる群から選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
白金又は白金合金の担持率(担持触媒全質量に対する白金又は白金合金の質量の割合)は、20〜80質量%、特に30〜55質量%が好ましい。この範囲であれば、高い出力を得られる。担持率が20質量%以上では、充分な出力が得られ、80質量%以下では、白金又は白金合金の粒子を分散性よく担体となるカーボン材料に担持できる。
また、白金又は白金合金の一次粒子径は、高活性なガス拡散電極を得るためには1〜20nmであることが好ましく、特には、反応活性の点で白金又は白金合金の表面積を大きく確保できる2〜5nmであることが好ましい。
電極電解質としては、スルホン酸基を有するイオン伝導性高分子電解質(イオン伝導性バインダー)が好適に用いられる。通常、担持触媒は当該電解質により被覆されており、この電解質の繋がっている経路を通ってプロトン(H)が移動する。
スルホン酸基を有するイオン伝導性高分子電解質としては、特に、NafionやFlemion、Aciplexに代表されるパーフルオロカーボン重合体が好適に用いられる。なおパーフルオロカーボン重合体だけでなく、ポリスチレンスルホン酸等のビニル系モノマーのスルホン化物、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性高分子に、スルホン酸基又はリン酸基を導入したポリマーや、本明細書で記載されている、スルホン化ポリアリーレン等の芳香族系炭化水素化合物を主とするイオン伝導性高分子電解質を用いてもよい。
また、前記イオン伝導性バインダーは、触媒粒子に対し、質量比で0.1〜3.0の割合で含有することが好ましく、特に0.3〜2.0の割合で含有することが好ましい。イオン伝導性バインダー比が0.1以上であると、プロトンを電解膜に伝達することができ、充分な出力が得られ、また、3.0以下では、イオン伝導性バインダーが触媒粒子を完全に被覆することなく、ガスが白金に到達でき、充分な出力が得られる。
必要に応じて添加することのできる炭素繊維としては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、これらの中では気相成長炭素繊維が好ましい。炭素繊維を含んでいると、電極触媒層中の細孔容積が増加するため、燃料ガスや酸素ガスの拡散性が向上し、また、生成する水によるフラッディング等を改善でき、発電性能が向上する。
なお、炭素繊維は、アノード側、カソード側の電極触媒層のいずれか一方又は双方に含まれていてもよい。
分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等をあげることができる。上記分散剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、好ましくは塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性若しくはカチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは分子量5000〜30000の界面活性剤である。電極触媒層を形成する際に使用される電極用ペースト組成物に上記分散剤を添加すると、保存安定性及び流動性に優れ、塗工時の生産性が向上する。
本発明における膜・電極構造体は、アノードの触媒層、プロトン伝導膜及びカソードの触媒層のみからなってもよいが、アノード、カソードともに触媒層の外側にカーボンペーパーやカーボンクロスのような導電性多孔質基材からなるガス拡散層が配置されるとさらに好ましい。ガス拡散層は集電体としても機能するので、本明細書ではガス拡散層を有する場合はガス拡散層と触媒層とを合わせて電極というものとする。
本発明の膜・電極構造体を備える固体高分子型燃料電池では、カソードには酸素を含むガス、アノードには水素を含むガスが供給される。具体的には、例えばガスの流路となる溝が形成されたセパレータを膜・電極構造体の両方の電極の外側に配置し、ガスの流路にガスを流すことにより膜・電極構造体に燃料となるガスを供給する。
本発明の膜・電極構造体を製造する方法としては、イオン交換膜の上に触媒層を直接形成し必要に応じガス拡散層で挟み込む方法、カーボンペーパー等のガス拡散層となる基材上に触媒層を形成しこれをイオン交換膜と接合する方法、及び平板上に触媒層を形成しこれをイオン交換膜に転写した後平板を剥離し、さらに必要に応じガス拡散層で挟み込む方法等の各種の方法が採用できる。
触媒層の形成方法としては、担持触媒とスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体とを分散媒に分散させた分散液を用いて(必要に応じて撥水剤、造孔剤、増粘剤、希釈溶媒等を加え)、イオン交換膜、ガス拡散層、又は平板上に形成させる公知の方法が採用できる。
上記電極ペースト組成物の形成方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布等が挙げられる。
触媒層をイオン交換膜上に直接形成しない場合は、触媒層とイオン交換膜とは、ホットプレス法、接着法(特開平7−220741参照)等により接合することが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
下記実施例において、スルホン酸当量、分子量、プロトン伝導度の測定、及び化学的安定性の評価は以下のようにして行った。
1.スルホン酸当量(IEC)
得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を、水洗水が中性になるまで洗浄してフリーの残存している酸を充分に除去した。これを乾燥した後、所定量を秤量し、テトラヒドロフラン(THF)/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてNaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
2.分子量の測定
スルホン酸基を有さないポリアリーレン、オリゴマーの数平均分子量及び重量平均分子量については、基本的に溶剤としてTHFを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量については、基本的に溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。
3.製膜方法
スルホン酸基を含有するポリマー 5.0g、NMP 20.6g及びメタノール 10.3gを50ccのスクリュー管に加え、ウエーブローターで24時間撹拌を行い、均一なポリマー溶液を得た。上記の溶液をPETフィルム上にバーコーダー法によりキャストし、80℃で30分間、150℃で60分間、乾燥することで、膜厚40μmの均一且つ透明なプロトン伝導膜試料を得た。フィルムの洗浄は、pH1の塩酸水で2回、その後pH5の水で5回洗浄することにより行い、一日風乾したものをサンプルとした。
4.プロトン伝導度の測定
交流抵抗は、5mm幅の短冊状のプロトン伝導膜試料の表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、相対湿度90%及び50%、温度85℃の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを使用し、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させて交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、以下の式:
Figure 2010010007
によって膜の比抵抗Rを算出し、比抵抗Rの逆数からプロトン伝導度を算出した。
5.化学的安定性評価
化学的安定性は、プロトン伝導膜試料を過酸化水素水の入ったバイアル瓶に吊るしいれ、恒温装置中に一定時間保持し、その前後の分子量変化により求めた。すなわち、3%過酸化水素水、温度95℃の環境下での過酸化水素耐性を調べた。分子量の測定に関しては上記2.分子量の測定の項の方法に従って、試験前後のポリマーの分子量を測定した。測定した数平均分子量を用いて次の式より分子量保持率を算出し、その大小によって化学的安定性を評価した。
Figure 2010010007
[合成例1:含窒素芳香族構造を有しない芳香族化合物の比較合成例]
撹拌機、温度計、Dean−stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン52.2g(145mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン52.2g(155mmol)、炭酸カリウム27.7g(201mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン180mL、トルエン90mLを加えて撹拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean−stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean−stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、4時間撹拌を続けた後、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン17.8g(62mmol)を加え、さらに4時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン150mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2.4Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解し、これをメタノール2.4Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、疎水性ユニット73.5gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は10,000であった。また得られた化合物は、NMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は下記一般式(V):
Figure 2010010007
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは、19である。
[合成例2:含窒素芳香族構造を有しない芳香族化合物の比較合成例]
合成例1で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに4,4’−ジクロロベンゾフェノン38.9g(155mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン48.8g(145mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加4,4’−ジクロロベンゾフェノン12.9g(58mmol)、を使用し、反応は合成例1と同様に行った。その結果目的の重合体 67.5g(93%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は12,000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であった。
得られた重合体は下記一般式(VI):
Figure 2010010007
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは、23である。
[合成例3:含窒素芳香族構造を有しない芳香族化合物の比較合成例]
合成例1で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに2,6−ジクロロベンゾニトリル47.5g(141mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン48.8g(159mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加2,6−ジクロロベンゾニトリル18.2g(106mmol)を使用し、反応は合成例1と同様に行った。その結果目的の重合体 67.5g(93%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は9,000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であった。
得られた重合体は下記一般式(VII):
Figure 2010010007
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは、20である。
[合成例4:芳香族化合物の調製]
撹拌機、温度計、Dean−stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロピリジン5.39g(36mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン51.9g(154mmol)、炭酸カリウム27.7g(201mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン180mL、トルエン90mLを加えて撹拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean−stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean−stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、4時間撹拌を続けた後、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン31.4g(109mmol)を加え4時間反応させ、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン14.8g(51mmol)を加え、さらに4時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン150mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2.4Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解し、これをメタノール2.4Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的の化合物73.5gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は12,000であった。また得られた化合物は、NMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、NMRによる構造解析の結果、下記一般式(I):
Figure 2010010007
で表されるオリゴマーであった。ここで、nは0.25、pは0.75、qは30である。
[合成例5:芳香族化合物の調製]
合成例4で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに4,4’−ジクロロベンゾフェノン29.1g(116mmol)、2,6−ジクロロピリジン5.71g(39mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン49.0g(146mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加4,4’−ジクロロベンゾフェノン12.9g(51mmol)、を使用した他は合成例4と同様にして芳香族化合物を調製した。その結果目的の化合物 67.5g(93%)を得た。
得られた化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は10,000であった。また、得られた化合物はNMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、H−NMRによる構造解析の結果、下記一般式(II):
Figure 2010010007
で表される構造であった。ここで、nは0.25、pは0.75、qは30である。
[合成例6:芳香族化合物の調製]
合成例4で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに2,6−ジクロロベンゾニトリル(DBN) 19.9g(0.116mol)、2,6−ジクロロピリジン(DPy)5.71g(39mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF)49.0g(146mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加2,6−ジクロロベンゾニトリル8.9g(51mmol)、を使用した他は合成例4と同様にして芳香族化合物を調製した。その結果目的の化合物 60.0g(90%)を得た。
得られた化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は15,000であった。また、得られた化合物はNMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、H−NMRによる構造解析の結果、下記一般式(III):
Figure 2010010007
で表される構造を有することであった。ここで、nは0.25、pは0.75、qは35である。図1に、得られた化合物のH−NMR構造解析結果を示す。
合成例6では、組成比を以下のように変化させたものも合成した。(それぞれ合成例6−1、6−2、6−3という)
Figure 2010010007
[合成例7:芳香族化合物の調製]
合成例6で用いた2,6−ジクロロピリジンの代わりに2,6−ジクロロ‐3‐フェノキシ−s−トリアジン9.34g(39mmol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル 19.9g(0.116mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン49.0g(146mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加2,6−ジクロロベンゾニトリル8.9g(51mmol)、を使用した他は合成例4と同様にして芳香族化合物を調製した。反応液を放冷後、トルエン150mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液を1N塩酸MeOH溶液2.4Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解し、これをMeOH2.4Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的の化合物55.0g(80%)を得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は12,000であった。また得られた化合物は、NMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、H−NMRによる構造解析の結果、下記一般式(IV):
Figure 2010010007
で表される構造を有することであった。ここで、nは0.25、pは0.75、qは26である。
[実施例1]
(ポリアリーレン共重合体の合成)
合成例4で得られたオリゴマー 9.06g(0.9mmol)、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルエステル 19.7g(49.1mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド 1.31g(2.0mmol)、ヨウ化ナトリウム 0.22g(1.5mmol)、トリフェニルホスフィン 5.25g(20.0mmol)、及び亜鉛末 7.84g(120mmol)を300mLのセパラブルフラスコに加え、乾燥窒素置換した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン90mlをフラスコに加え、80℃に加熱し、撹拌しながら4時間重合を行った。
得られた重合溶液をNMPで希釈した後、セライトを濾過助剤に用いて濾過し、濾液を大過剰のメタノール500mlに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して風乾し、さらにNMP 200mlに再溶解し、大過剰のメタノール 1500mlに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して真空乾燥し、目的のポリアリーレン共重合体22.7g(90%)を得た。GPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は36,000、重量平均分子量は130,000であった。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の合成)
上記重合体20g、リチウムブロマイド 7.5g(スルホン酸エステル基に対して2当量を撹拌装置、温度計を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに加える。次いでN−メチル−2−ピロリドン 160mlを加え、窒素気雰囲気化にて130℃で8時間撹拌した。得られた溶液を大量のアセトンの中に注ぎ入れ、重合体を沈殿させた。沈殿物を濾過後、10%塩酸水で二回洗浄し、次いで、洗浄水のpHが5になるまでイオン交換水で重合体の洗浄を繰り返した後、乾燥して17g(収率90%)のスルホン酸基含有重合体を得た。このスルホン酸を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は40,000、重量平均分子量は155,000であり、スルホン酸当量は2.22meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式V:
Figure 2010010007
で表される構造を有する。ここで、nは0.25、pは0.75、qは24、rは98.6、sは1.4である。
[実施例2]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例5で得られたオリゴマー 9.04g(0.8mmol)を使用した以外は合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は43,000、重量平均分子量は162,000であり、スルホン酸当量は2.18meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式VI:
Figure 2010010007
で表される構造を有する。ここで、nは0.25、pは0.75、qは20、rは98.3、sは1.7である。
[実施例3]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例6−1で得られたオリゴマー 9.04g(0.6mmol)を使用した以外は合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は57,000、重量平均分子量は190,000であり、スルホン酸当量は2.25meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式VIIで表される構造を有する。一般式VIIにおいて、nは0.25、pは0.75、qは20、rは98.9、sは1.1である。
[実施例4]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例6−2で得られたオリゴマー9.04g(0.6mmol)を使用した以外は、合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は63,000、重量平均分子量は210,000であり、スルホン酸当量は2.35meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式VIIで表される構造を有する。一般式VIIにおいて、nは0.85、pは0.15、qは32、rは99.0、sは1.0である。
[実施例5]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例6−3で得られたオリゴマー9.04g(0.6mmol)を使用した以外は、合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は25,000、重量平均分子量は103,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。
得られたスルホン酸基を有するポリマーは下記一般式VII:
Figure 2010010007
で表される構造を有する。ここで、nは0.5、pは0.5、qは15、rは97.2、sは2.8である。
[実施例6]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例7で得られたオリゴマー9.06g(0.9mmol)を使用した以外は、合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は25,000、重量平均分子量は103,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式VIII:
Figure 2010010007
で表される構造を有する。ここで、nは0.25、pは0.75、qは26、rは98.6、sは1.4である。
[比較例1]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例1で得られたオリゴマー 9.04g(0.9mmol)を使用した以外は合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は63,000、重量平均分子量は180,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式IX:
Figure 2010010007
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは18、rは98.3、sは1.7である。
[比較例2]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例2で得られたオリゴマー 9.06g(0.8mmol)を使用した以外は合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は73,000、重量平均分子量は210,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式X:
Figure 2010010007
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは19、rは98.6、sは1.4である。
[比較例3]
実施例1において、合成例4で得られたオリゴマーの代わりに、合成例3で得られたオリゴマー 9.03g(1.0mmol)を使用した以外は合成例4と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は54,000、重量平均分子量は183,000であり、スルホン酸当量は2.22meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記一般式XI:
Figure 2010010007
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは20、rは98.1、sは1.9である。
[膜−電極構造体の作製]
平均径50nmのカーボンブラック(ファーネスブラック)に白金粒子を、カーボンブラック:白金=1:1の重量比で担持させ、触媒粒子を作製した。次に、イオン伝導性バインダーとしてのパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(DuPont社製Nafion(商品名))溶液に、前期触媒粒子を、イオン伝導性バインダー:触媒粒子=8:5の重量比で均一に分散させ、触媒ペーストを調製した。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたポリマーからなるプロトン伝導膜の両面に、前記触媒ペーストを、白金含有量が0.5mg/cmとなるようにバーコーター塗布し、乾燥させることにより電極塗布膜(Catalyst Coated Membrane)を得た。前記乾燥は、100℃で15分間の乾燥を行った後、140℃で10分間の二次乾燥を行った。
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE粒子 =4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなるガス拡散層を2つ作製した。
前記CCMを前記ガス拡散層の下地層側で狭持し、ホットプレスを行って膜−電極構造体を得た。前記ホットプレスは、160℃、3MPaで5分間の条件で実施した。
また、本実施例で得られた膜−電極構造体は、ガス拡散層の上にさらにガス通路を兼ねるセパレーターを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成することができる。
(発電特性の評価)
本発明の膜−電極構造体を用いて、温度70℃、燃料極側/酸素極側の相対湿度を50%/73%、電流密度を1A/cmとした発電条件により、発電性能を評価した。燃料極側には純水素を、酸素極側には空気をそれぞれ供給した。さらに、発電耐久性の評価として、この膜−電極構造体を用い、温度120℃、燃料極側/酸素極側の相対湿度を50%/50%、OCVの条件下で発電耐久テストを実施し、クロスリークに至るまでの時間を計測した。クロスリークまでの時間が500時間以上だったものを良として「○」で表示し、500時間未満だったものを不良として「×」で表示した。
上記実施例1〜6、比較例1〜3で得られた重合体についてスルホン酸当量、プロトン伝導度及び化学的安定性を上述した方法で測定、評価した。また発電性能、耐久性の結果を下記表2に示す。
Figure 2010010007
実施例1は比較例1と、実施例2は比較例2と、実施例3,4,5,6は比較例3とをそれぞれ対比して、高湿度及び低湿度におけるプロトン伝導度を保持しながら、優れた化学的安定性を有していることがわかる。また膜−電極構造体は、発電性能、発電耐久試験から、優れた耐熱性及び化学耐久性を得ることができた。
合成例6−1で得られた芳香族化合物のH−NMRスペクトル図である。 合成例6−2で得られた芳香族化合物のH−NMRスペクトル図である。 合成例6−3で得られた芳香族化合物のH−NMRスペクトル図である。

Claims (5)

  1. プロトン伝導膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、
    前記プロトン伝導膜は、一般式(4)で表される構造を含有するポリアリーレン系共重合体であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
    Figure 2010010007
    [一般式(4)中、A、Dは、独立に直接結合又は、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(aは1〜10の整数である)、−(CH−(bは1〜10の整数である)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−及び−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子又は硫黄原子であり、R〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部又は、すべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子又は基を示す。Rは、1,3,5−トリアジン、ピリジン及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を含む2価の有機基を示す。H01は、一般式(1a)及び前記Rで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
    Figure 2010010007
    一般式(1a)中、Dは前記一般式(4)と同義である。R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部又はすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基及びニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子又は基を示す。l、mは、0〜4の整数を示す。n、pは、各ユニットの組成比を示し、n+p=1である。ただし、n、pはともに0ではない。qは、正の整数である。
    構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。]
  2. 前記一般式(4)中、Rが、ピロール基、チアゾール基、イソチアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、イミダゾール基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、ピラゾール基、1,3,5−トリアジン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、ピラジン基、インドール基、キノリン基、イソキノリン基、ブリン基、テトラゾール基、テトラジン基、トリアゾール基、カルバゾール基、アクリジン基、キノキサリン基、キナゾリン基、インドリジン基、イソインドール基、3H−インドール基、2H−ピロール基、1H−インダゾール基、プリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、シンノリン基、プテリジン基、カルボリン基、フェナントリジン基、ペリミジン基、フェナントロリン基、フェナジン基、フェナルサジン基、フェノチアジン基、フラザン基、フェノキサジン基、ピロリジン基、ピロリン基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、インドリン基、イソインドリン基、キヌクリジン基及びこれらの含窒素複素環基の誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
  3. 前記一般式(4)中、Rが、1,3,5−トリアジン、ピリジン及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
  4. 前記一般式(4)で表される構造が、一般式(5)で表されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
    Figure 2010010007
    [一般式(5)中、A、R、l、n、p及びqは、前記一般式(4)の場合と同様である。Pは、一般式(3−1)〜(3−3)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、H02は、P及びRで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
    構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。]
    Figure 2010010007
  5. 一般式(A)で表される構造を更に含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
    Figure 2010010007
    [一般式(A)中、Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(aは1〜10の整数である)及び−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造である。Zは、直接結合又は、−(CH−(bは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造である。Arは、−SOH、−O(CHSOH又はO(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基である。cは、1〜12の整数であり、jは、0〜10の整数であり、hは、0〜10の整数であり、kは、1〜4の整数である。
    構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011089036A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Jsr Corp 新規な芳香族化合物および側鎖にスルホン酸基を含む芳香環を有するポリアリーレン系共重合体
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