JP2010005851A - 多層フィルム - Google Patents
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Abstract
押出成形性に優れるとともにプロピレン系重合体からなる層との接着性に優れた、ポリエチレン系樹脂層とプロピレン系樹脂層からなる多層フィルムを提供する。
【解決手段】
(A)層と(A)層に隣接された(B)層の少なくとも2層からなる多層フィルムであって、(A)層がプロピレン系重合体、(B)層が160℃で測定した溶融張力[MS160(mN)]とJIS K6922−1(1997年)により測定したメルトマスフローレート[MFR(g/10分)]が下式(1)を満たすエチレン系重合体層から構成される共押出多層フィルム。
MS160>83×MFR−0.62 (1)
【選択図】 なし
Description
(i)JIS K6922−1(1997年)により測定した密度が890kg/m3以上970kg/m3以下である。
(ii)JIS K6922−1(1997年)により測定したメルトマスフローレート[MFR]が0.1g/10分以上200g/10分以下である。
(iii)160℃で測定した溶融張力[MS160(mN)]とMFRが、下式(1)を満たす。
(iv)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)/固有粘度計によって評価した収縮因子(g’値)が0.1以上0.97未満である。
)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン−1,3−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1−ジメチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1−ジイソプロピルチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1−ジフェニル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(プロパン−1,3−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1,3,3−テトラメチルプロパン−1,3−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(ブタン−1,4−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(ペンタン−1,5−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1,2,2−テトラメチルジシラン−1,2−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1,1,2,2−テトラフェニルジシラン−1,2−ジイル−ビスシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等を例示することができる。また上記遷移金属化合物のX1をフッ素原子、臭素原子またはヨウ素原子に置換した化合物も例示することができる。さらに、上記遷移金属化合物のM2をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することができる。これらの化合物は複数混合して用いることもできる。
MS160>83×MFR−0.62 (1)
を満たし、好ましくは下式(15)
MS160>95×MFR−0.60 (15)
を満たす関係にあることを特徴とする。MS160がこの範囲内にあることで、エチレン系重合体は高圧法低密度ポリエチレンなどを混合しなくても優れた押出成形性を示し、MS160がこの範囲外にあると、押出成形性に問題が生じるため好ましくない。
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
流速:1mL/分
温度:140℃
測定濃度:30mg/30mL
注入量:100μL
カラム:東ソー製 TSKgel GMH HR−H 3本
また、本発明の(B)層を構成するエチレン系重合体は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)/固有粘度計によって評価した収縮因子(g’値)が0.1以上0.97未満、好ましくは0.3以上0.95未満、さらに好ましくは0.4以上0.9未満である。収縮因子(g値)が0.1未満である場合プロピレン系重合体層との接着性に劣るため好ましくなく、0.95以上の場合は多層フィルムの成形性に劣るため好ましくない。なお、本発明における収縮因子(g’値)とは、長鎖分岐の程度を表すパラメータであり、上記ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量30万(g/mol)の成分の固有粘度法により測定された本エチレン系重合体の固有粘度と、分岐が全くない直鎖状ポリエチレンの同じ分子量における固有粘度との比である。
(1)密度
密度は、JIS K6922−1(1997)に準拠して密度勾配管法で測定した。
(2)プロピレン系重合体のメルトマスフローレート(MFR−P)
MFR−Pは、JIS K7210に準拠して荷重2.16kg、温度230℃の条件で測定した。
(3)エチレン系重合体のメルトマスフローレート(MFR)
MFR−Eは、JIS K6922−1(1997)に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定した。
(4)長鎖分岐数
長鎖分岐数は、日本電子(株)製 JNM−GSX270型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。
(5)溶融張力
溶融張力は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さが8mm、直径が2.095mm、流入角が90°のオリフィスを装着し測定した。温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)をMS160とした。
(6)分子量分布
分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求めた。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。なお、分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正したものであり、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
(7)収縮因子(g’値)
収縮因子(g’値)は、GPCによって分別したポリエチレンの固有粘度([η])を測定する手法で、実施例にて用いたエチレン系重合体の分子量30万における[η]を、分岐が全くない直鎖状ポリエチレンの同一分子量における[η]で除した値である。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を145℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は2.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。粘度計は、Viscotek社製 キャピラリー差圧粘度計210R+を用いた。
(8)押出成形性
ダイ開口幅200mmのTダイを備えた3種3層共押出Tダイフィルム成形機を用いて、一方の表面層(A1層)を構成する押出機と中間層を構成する押出機(A2層)にはプロピレン系重合体(日本ポリプロ(株)製 商品名ノバテックPP FW4BT)のペレットを、もう一方の表面層(B層)を構成する押出機にエチレン系重合体を供給し、300℃の温度でTダイより押出し、冷却ロールとゴムロールにてクラフト紙と圧着し、クラフト紙/(A1)層/(A2)層/(B)層がそれぞれ35μm、35μm、70μmからなる多層フィルムを作成した。連続して20mのフィルムを作成し、その内ランダムな10箇所においてフィルム幅を測定した。フィルム幅が広いほどネックインによるフィルム端部のロスが少なく良好であることを示す。
(9)層間接着性
実施例により得られたポリプロピレン系多層フィルムの、プロピレン系重合体からなる(A)層とエチレン系重合体からなる(B)層の層間接着強度を引張試験機(島津製作所製 オートグラフDCS−100)にて測定した。剥離速度は300mm/分、試験片の巾は50mmとした。
[変性ヘクトライトの調製]
水3リットルにエタノール3リットルと37%濃塩酸100ミリリットルを加えた後、得られた溶液にN,N−ジメチル−オクタデシルアミン330g(1.1mol)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1kgを加えた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水50Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。
[触媒(p)の調製]
前記[変性ヘクトライトの調製]で調製した変性ヘクトライト500gをヘキサン1.8リットルに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.9リットルを添加し、室温で1時間攪拌することにより、変性ヘクトライトとトリイソブチルアルミニウムの接触生成物を得た。一方、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.97g(20mmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することにより、触媒スラリー(100g/L)を得た。
[マクロモノマーの製造]
内容積540リットルの重合器に、ヘキサン300リットルおよび1−ブテンを7.6リットル導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに前記触媒(p)を135ミリリットル添加し、エチレンガスをエチレン分圧を1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。また、重合温度を85度に制御した。重合中は分圧を1.2MPaに保たれるようにエチレンガスを連続的に導入した。重合開始90分後に重合器の内圧を脱圧し、マクロモノマーを得た。この重合器から抜き出したマクロモノマーのMn=10,950、Mw/Mn=2.61であった。また、長鎖分岐は検出されなかった。
[エチレン系重合体の製造]
上記で製造したマクロモノマーが含まれる内容積540リットルの重合器に、1−ブテンを0.22リットルとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)0.75リットルとジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 3.75mmolを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。エチレン/水素混合ガス(水素22,000ppm)を分圧が0.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.2MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始90分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、54kgのポリエチレン系樹脂(以下、E−1と記す。)が得られた。得られたポリエチレン系樹脂の密度は948kg/m3、MFRは30g/10分、長鎖分岐数は1000炭素原子当り0.15個、MS160は30mNであった。
[エチレン系重合体の製造]
1−ブテンを添加しなかったこと以外は合成例1[エチレン系重合体の製造]と同様の方法で重合を行い、50kgのポリエチレン系樹脂(以下、E−2と記す。)を得た。得られたポリエチレン系樹脂の密度は963kg/m3、MFRは15g/10分、長鎖分岐数は1000炭素原子当り0.12個、MS160は55mNであった。
[触媒(p)の調製]
前記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド8.25g(20.0mmol)とトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)の混合液を添加し、60℃で3時間攪拌した後、静置して上澄み液を除去、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加して触媒前駆体スラリー(100g/L)とした。
[ポリエチレン系樹脂の製造]
1−ブテンを5.6リットル導入し、合成例1[触媒(p)の調製]で調製した触媒(p)を131ミリリットル添加し、エチレン/水素混合ガスの代わりにエチレンのみを用いたこと以外は合成例1[ポリエチレン系樹脂の製造]と同様の方法で重合を行い、57kgのポリエチレン系樹脂(以下、E−3と記す。)を得た。得られたポリエチレン系樹脂の密度は924kg/m3、MFRは15g/10分、長鎖分岐数は1000炭素原子当り0.13個、MS160は38mNであった。
合成例1により得られたエチレン系重合体(E−1と記す)を用いて各種物性測定を行った。また、3種3層共押出キャストフィルム成形機を用いて、一方の表面層(B層)を構成する押出機に上記エチレン系重合体を、もう一方の表面層(A1層)を構成する押出機と中間層を構成する押出機(A2層)にはMFRが6.5g/10分のプロピレン系重合体(日本ポリプロ(株)製 商品名ノバテックPP FW4BT、以下、PP1と記す場合がある。)のペレットを供給し、300℃の温度でTダイより押出し、(A1)層/(A2)層/(B)層からなる溶融多層フィルムを得、冷却ロール上で50g/m2のクラフト紙(中越パルプ(株)製)とA1層側表面とを貼り合わせた。なお、各層の厚みは(A1)層を35μm、(A2)層を35μm、(B)層を70μmとした。得られた多層フィルムを用い、(A2)層と(B)層の間の層間接着強度を引張試験機(島津製作所製 オートグラフDCS−100)にて測定した。剥離速度は300mm/分、試験片の巾は15mmとした。結果を表2に記す。
合成例2で得られたエチレン系重合体E−2をE−1の代わりに用いて各種物性測定、押出成形性評価を行った。また、実施例1と同様の手法で溶融多層フィルムを作成し、クラフト紙と貼り合わせ試料を得た。(A)層と(B)層の層間接着強度を測定した結果を表2に記す。
合成例3で得られたエチレン系重合体E−3をE−1の代わりに用いて各種物性測定、押出成形性評価を行った。また、実施例1と同様の手法で溶融多層フィルムを作成し、クラフト紙と貼り合わせ試料を得た。(A)層と(B)層の層間接着強度を測定した結果を表2に記す。
エチレン系重合体として、MFRが2g/10分、密度が935kg/m3である市販の直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ニポロンZ ZF260、以下、E−4と記す。)をE−1の代わりに用いて各種物性測定を行った。その評価結果を表1に記す。また、実施例1と同様の手法で共押出多層フィルムを作成した。A層との層間接着強度は良好であったが、押出成形時、フィルム端部が安定せず、フィルム幅が均一な多層フィルムを作成することができなかった。
エチレン系重合体として、MFRが15g/10分、密度が960kg/m3である市販の高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ニポロンハード2000、以下、E−5と記す。)をE−1の代わりに用いて各種物性測定評価を行った。また、実施例1と同様の手法で共押出多層フィルムを作成したが、フィルム端部が安定せず、フィルム幅が均一な多層フィルムを作成することができなかった。
エチレン系重合体として、MFRが3g/10分、密度が924kg/m3である高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン205、以下、E−6と記す。)をE−1の代わりに用いて各種物性測定。また、実施例1と同様の手法で多層フィルムを作成し、(A)層と(B)層の層間接着強度を測定した。評価結果を表1に記すが、層間接着強度に劣っていた。
エチレン系重合体として、70重量%のE−5と30重量%のE−6とからなるポリエチレン混合物をE−1の代わりに用い、実施例1と同様の手法で多層フィルムを作成し、(A)層と(B)層の層間接着強度を測定した。評価結果を表1に記すが、層間接着強度に劣っていた。
Claims (5)
- (A)層と(A)層に隣接された(B)層の少なくとも2層からなる多層フィルムであって、(A)層がプロピレン系重合体、(B)層が下記(i)〜(iv)の要件を満たす、エチレンから導かれる繰り返し単位からなる、またはエチレンから導かれる繰り返し単位と炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン系重合体からなる層であることを特徴とする多層フィルム。
(i)JIS K6922−1(1997年)により測定した密度が890kg/m3以上970kg/m3以下である。
(ii)JIS K6922−1(1997年)により測定したメルトマスフローレート[MFR]が0.1g/10分以上200g/10分以下である。
(iii)160℃で測定した溶融張力[MS160(mN)]とMFRが、下式(1)を満たす。
MS160>83×MFR−0.62 (1)
(iv)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)/固有粘度計によって評価した収縮因子(g’値)が0.1以上0.97未満である。 - (B)層には高圧法低密度ポリエチレンが含まれていないことを特徴とする、請求項1に記載の多層フィルム。
- 多層フィルムが共押出ラミネート成形により基材と貼り合わされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を共押出成形することを特徴とする請求項1又は2に記載の多層フィルムの製造方法。
- 共押出成形が共押出インフレーション成形することを特徴とする請求項4に記載の多層フィルムの製造方法。
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