JP2010002017A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリース洩れ防止性能を向上させた転がり軸受を提供する。
【解決手段】 内輪2端部に設けられて非接触シール6の内径側縁部を収容するシール収容溝8の軸方向内側の側面8aが、径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされている。非接触シール6に、シール収容溝8の傾斜面8aに対向してのびる傾斜面23bを有するリップ部23が設けられている。
【選択図】 図２

Description

この発明は、転がり軸受に関し、より詳しくは、非接触シールを有しているグリース封入型の転がり軸受に関する。
従来、グリース封入型の転がり軸受では、高速回転での使用に適するものとして、軸受の両端部に設けられた非接触シールによってグリースの洩れを防止するものが知られている（特許文献１など）。
特許文献１のものでは、いわゆるリップ部が設けられていないが、グリース洩れ防止性能を向上させるために、図３に示すように、非接触シール(32)の内径側縁部にリップ部(33)を設けることにより、リップ部(33)の先端と内輪(31)外周面との間に形成された隙間によってもグリースの外部への漏れを防止しようとしたものが考えられている。
特開２００５−２３３２４９号公報
図３に示した転がり軸受によると、リップ部(33)によってグリース洩れ防止性能が向上するものの、後述するように、グリース洩れ防止性能が最適化されておらず、グリースが流動して、グリースが外部へ流出することがある。
この発明の目的は、グリース洩れ防止性能を向上させた転がり軸受を提供することにある。
この発明による転がり軸受は、内輪、外輪、両輪間に配置された複数の転動体および両輪端部間に配置された非接触シールを有している転がり軸受において、内輪端部に設けられて非接触シールの内径側縁部を収容するシール収容溝の軸方向内側の側面が、径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされるとともに、非接触シールに、シール収容溝の傾斜面に対向してのびる傾斜面を有するリップ部が設けられていることを特徴とするものである。
非接触シールは、その内径側縁部が内輪端部に設けられたシール収容溝内に所定の間隙をおいて位置させられることで、ラビリンスシールを形成する。従来、シール収容溝の軸方向内側の側面は、軸方向に対して垂直の面とされていたのに対し、この発明による転がり軸受では、これが、径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされている。また、従来、非接触シールのリップ部は、内輪の外径よりも大きい径を有する内周側円筒面と、円筒面の軸方向内方の端を先端面として径方向の外方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する外周側傾斜面とを有していたのに対し、この発明による転がり軸受では、リップ部の内周側の面が、径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされている。
このようにすることで、非接触シールの内径側縁部とシール収容溝との間に、グリースが溜まる場所が無くなり、また、シール収容溝の傾斜面と非接触シールのリップ部との間に流出してきたグリースは、非接触シールの回転に伴う遠心力によって、径方向外方すなわち軸方向内方に押し戻されるので、グリースの外部への洩れが防止される。
非接触シールのリップ部内周側に形成される傾斜面は、例えば、ストレートテーパ面（断面が直線状）とされるが、グリースの溜まらない形状であれば、凸の曲面（断面凸円弧状）としてもよく、凸の曲面とストレートテーパ面とを組み合わせてもよい。
リップ部の先端径は、内輪の外径にほぼ等しいものとされるが、内輪の外径よりも小さい径とされることが好ましい。
また、シール収容溝の傾斜面と非接触シールのリップ部内周側に形成される傾斜面とは、略平行とされるが、リップ部先端とシール収容溝の傾斜面との間の隙間をＣ、リップ部径方向内方端とシール収容溝の傾斜面との間の隙間をＢとし、Ｃ＞Ｂとされていることが好ましい。このようにすると、グリースが小さい隙間Ｂ側に移動しにくくなり、より一層グリース洩れ防止性能が向上する。Ｃより小さい隙間Ｂは、リップ部径方向内方端の近傍位置に設定することもできる。
この発明の転がり軸受によると、シール収容溝の軸方向内側の側面が、径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされるとともに、非接触シールに、シール収容溝の傾斜面に対向してのびる傾斜面を有するリップ部が設けられているので、リップ部にグリースが溜まる場所が無く、また、遠心力が作用したときに、グリースには、これを軸受の内方に移動させる力が作用するので、グリースの洩れ性能が向上する。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、左右は、図１の左右をいうものとする。
図１および図２は、この発明による転がり軸受を示している。
図１に示すように、転がり軸受(1)は、内輪(2)、外輪(3)、両輪(2)(3)間に配置された複数の玉（転動体）(4)、複数の玉(4)を保持する保持器(5)、および両輪(2)(3)端部間に配置された非接触シール(6)からなり、内部にグリース（図示略）が封入されている。
転がり軸受(1)は、左右対称とされており、内輪(2)の外周面および外輪(3)の内周面の軸方向の中央部には、それぞれ軌道溝(2a)(3a)が設けられている。また、外輪(3)の内周面の左右端部には、非接触シール(6)を取り付けるための環状のシール取付溝(7)が設けられており、内輪(2)の外周面の左右端部には、非接触シール(6)の内径側縁部を収容するシール収容溝(8)が設けられている。
非接触シール(6)は、環状の芯金(11)と、芯金(11)に接着された弾性シール(12)とからなる。
芯金(11)は、円板部(11a)と、円板部(11a)の外径側縁部において軸方向内方に直角に折り曲げられた外側折曲げ部(11b)と、円板部(11a)の内径側縁部において軸方向内方に鈍角に折り曲げられた内側折曲げ部(11c)とを有している。外側折曲げ部(11b)は、短円筒状をなし、その内径が外輪(3)の内径とほぼ等しくなされており、内側折曲げ部(11c)は、その内径が内輪(2)の外径とほぼ等しくなされている。
弾性シール(12)は、外側折曲げ部(11b)および内側折曲げ部(11c)と軸方向外側の面全面とを覆うように芯金(11)に接着されている。芯金(11)の外側折曲げ部(11b)を覆っている弾性シール(12)の外周縁部(21)は、弾性変形してシール取付溝(7)内に収められている。芯金(11)の内側折曲げ部(11c)を覆っている弾性シール(12)の部分は、芯金(11)の軸方向内側の面を基準にしてこれよりも軸方向外側にある内径側縁部(22)と、芯金(11)の軸方向内側の面を基準にしてこれよりも軸方向内方に突出したリップ部(23)とからなる。
図２に示すように、シール収容溝(8)は、内輪(2)の肩部に連なる軸方向内側の側面(8a)、これの軸方向外側に連なる底面(8b)、およびこれの軸方向外側に連なる軸方向外側の側面(8c)からなる。軸方向内側の側面(8a)は、径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされており、底面(8b)は、円筒面、軸方向外側の側面(8c)は、径方向の外方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされている。
弾性シール(12)の内径側縁部(22)は、シール収容溝(8)の底面(8b)および軸方向外側の側面(8c)に対向する内周面(22a)を有している。
弾性シール(12)のリップ部(23)は、先端から径方向の外方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する外周側傾斜面(23a)と、シール収容溝(8)の軸方向内側の傾斜面(8a)に対向しており先端から径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する内周側傾斜面(23b)とを有している。
リップ部(23)の先端の径は、内輪(2)の外径に対してＡで示す分だけ小さくなされている。リップ部(23)の内周側傾斜面(23b)の径方向内方端の径は、内径側縁部(22)の内周面(22a)の内径と等しくなされている。
また、リップ部(23)先端とシール収容溝(8)の軸方向内側の傾斜面(8a)との間の隙間をＣ、リップ部(23)径方向内方端とシール収容溝(8)の軸方向内側の傾斜面(8a)との間の隙間をＢとして、隙間Ｂの位置では、内輪(2)と弾性シール(12)とが接触しない範囲で、弾性シール(12)が内輪(2)に近接するような値に設定されており、これにより、Ｃ＞Ｂとされている。
図３に示した従来の転がり軸受では、シール収容溝(35)の軸方向内側の側面(35a)は、軸方向に対して垂直の面とされており、また、非接触シール(32)のリップ部(33)は、内輪(31)の外径よりも大きい径を有する内周側円筒面(33a)と、円筒面(33a)の軸方向内方の端を先端として径方向の外方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する外周側傾斜面(33b)とを有している。このため、リップ部(33)の内周側円筒面(33a)と内径側縁部(34)の軸方向内側の面とによって、凹所(36)が形成されており、この凹所(36)とこれに対向するシール収容溝(35)の面取り部(35b)との間は、グリースが溜まりやすい箇所となっており、この箇所まで流出してきたグリースは、軸受内部には戻れないので、その一部が外部へ洩れ出すことになる。
これに対し、この発明の転がり軸受(1)によると、シール収容溝(8)の軸方向内側の傾斜面(8a)およびリップ部(23)の内周側傾斜面(23b)によって、グリースが溜まりやすい場所が無くなっている。また、リップ部(23)の内周側傾斜面(23b)によると、外輪(3)の回転によってリップ部(23)に作用した遠心力が、グリースを軸方向内方に押し戻すように作用する。したがって、外輪回転時のグリースの流れを円滑にして、グリース洩れ防止性能を向上させることができる。しかも、Ｃ＞Ｂとされていることで、この効果がより高められており、図３に示した従来のものに比べて、グリース洩れ防止性能が大幅に向上している。
図１は、この発明による転がり軸受の１実施形態を示す縦断面図である。 図２は、要部の拡大縦断面図である。 図３は、従来の転がり軸受の図２に相当する縦断面図である。
符号の説明
(1) 転がり軸受
(2) 内輪
(3) 外輪
(4) 玉（転動体）
(6) 非接触シール
(8) シール収容溝
(8a) 軸方向内側の側面
(23) リップ部
(23b) 内周側傾斜面

Claims (2)

  1. 内輪、外輪、両輪間に配置された複数の転動体および両輪端部間に配置された非接触シールを有している転がり軸受において、
    内輪端部に設けられて非接触シールの内径側縁部を収容するシール収容溝の軸方向内側の側面が、径方向の内方にいくにしたがって軸方向の外方に傾斜する傾斜面とされるとともに、非接触シールに、シール収容溝の傾斜面に対向してのびる傾斜面を有するリップ部が設けられていることを特徴とする転がり軸受。
  2. リップ部の先端径は、内輪の外径よりも小さい径とされるとともに、リップ部先端とシール収容溝の傾斜面との間の隙間をＣ、リップ部径方向内方端とシール収容溝の傾斜面との間の隙間をＢとして、Ｃ＞Ｂとされていることを特徴とする請求項１の転がり軸受。
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