JP2010000521A - 精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材及びその製造方法並びにそれを用いて得られた精密鋳造用鋳型 - Google Patents

精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材及びその製造方法並びにそれを用いて得られた精密鋳造用鋳型 Download PDF

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【課題】繰返し再生利用可能な精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材、及びその製造方法、並びにそれを用いて得られた精密鋳造用鋳型を提供すること。
【解決手段】少なくともAl23 を主要成分として含むAl23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成を有して、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成され、且つ見掛け気孔率が5%未満である、丸みが付けられた角部を備えた非球状の不定形耐火物粒子により、精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材を構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材及びその製造方法並びにそれを用いて得られた精密鋳造用鋳型に係り、特に、繰返し再生利用が可能なバックアップスタッコ材と、その有効な製造方法、更にはそれを用いて得られる精密鋳造用鋳型に関するものである。
従来から、寸法精度や表面粗度が特に優れた鋳物を得るための精密鋳造法として、ロストワックス法(インベストメント鋳造法)が、よく知られている。そして、このロストワックス法に用いられる精密鋳造用鋳型の製作は、一般に、以下のようにして行なわれて来ているのである。即ち、先ず、目的とする製品形状を有するろう模型を製作し、次いで、このろう模型を、微粒のセラミック骨材を含むセラミックスラリー中に浸漬せしめた(ディッピングした)後、その表面にスタッコ材(耐火砂)を振り掛け(スタッコイングして)、乾燥することにより、ろう模型の表面に、セラミックコーティング層(最内層)が形成される。そして、そのセラミックコーティング層の形成されたろう模型に対して、更に、上記と同様にして、ディッピング、スタッコイング及び乾燥のコーティング層形成工程を、複数回(4〜10回)繰り返して行なうことにより、ろう模型の表面に、複数のセラミックコーティング層(厚さ:約3〜10mm)が積層、形成される(日本鋳物協会編、「鋳物便覧」、丸善株式会社、昭和48年5月20日発行、p.1519−1530(非特許文献1)参照)。
そして、かかる複数のセラミックコーティング層を形成するに際しては、通常、内層のセラミックコーティング層から外層のセラミックコーティング層に向かうに従って、異なる種類のスタッコ材が用いられて来ている。即ち、一般には、第1層〜第2層目のスタッコ材(プライマリースタッコ材)としては、滑らかな鋳肌が得られるように、0.2mm以下程度の粒径を有する耐火物微粒からなるスタッコ材が用いられ、第3層目以降のスタッコ材(バックアップスタッコ材)としては、充分な通気度(ガス抜き性)を得るために、0.3〜2mm程度の粒径を有する耐火物粗粒からなるスタッコ材が用いられているのである(特開平6−134544号公報(特許文献1)参照)。
次いで、かかる複数のセラミックコーティング層の形成されたろう模型を加熱することにより、ろう模型を溶融、除去し、その後、ろう模型の除去された複数のセラミックコーティング層を焼成することにより、複数のセラミックシェル層からなる精密鋳造用鋳型(セラミックシェル鋳型)が完成されるのである。
そして、そのようにして製造された精密鋳造用鋳型を用いて鋳物を鋳造する際には、ろう模型が除去されて出来たセラミックシェル鋳型の空洞部分に、溶湯を流し込み、溶湯が凝固した後、鋳型を解砕(型ばらし)することによって、鋳物が得られることとなる。
ところで、そのようなセラミックシェル鋳型の型ばらしによって発生した鋳型クズには、主に、プライマリースタッコ材として用いられた耐火物微粒やバックアップスタッコ材として用いられた耐火物粗粒が含まれているのであるが、従来は、耐火物微粒が、一部、セラミックスラリー用の骨材として、再利用されているのみで、鋳型クズの体積の大部分を占める耐火物粗粒は、殆ど再利用されることなく、廃棄処分されていた。そこで、鋳型クズの廃棄コストやスタッコ材の原料費削減のために、そのような鋳型クズから、使用済みのバックアップスタッコ材を取り出して、再生することが試みられて来ている。
例えば、特開2003−181595号公報(特許文献2)には、精密鋳造に用いた鋳型のクズの再生方法として、精密鋳造に用いた鋳型のクズを、湿式で粉砕・分級し、振り掛け耐火物粒(スタッコ材)用として分級された粗粒分を乾燥する方法、鋳型クズを乾式で粉砕・分級した後、振り掛け耐火物粒用として分級された粗粒分を水洗浄した後、乾燥する方法、及び鋳型クズを乾式で粉砕・分級した後、振り掛け耐火物粒用として分級された粗粒分を空気洗浄する方法が明らかにされている。
しかしながら、従来、バックアップスタッコ材としては、一般に、溶融石英や焼成粘土(焦宝石)等の耐火物の粉砕品が用いられて来ており(非特許文献1参照)、そのような粉砕品は、その表面が、応力の集中し易い鋭利な角部(稜角部)を多数有する粗い面で形成されているところから、非常に破砕され易いものであり、そのような粉砕品をバックアップスタッコ材として用いて製造された鋳型を解砕した場合には、その衝撃によって、容易に割れたり、欠けたりして、細粒化されてしまうものであったのである。従って、そのような粉砕品からなるバックアップスタッコ材を用いて製造された鋳型にあっては、上述したような鋳型クズの再生方法を利用して、バックアップスタッコ材を再生しようとしても、バックアップスタッコ材に適した粒径を有する耐火物粗粒は殆ど得られないものであったのである。
また、使用済みの鋳型から回収されたスタッコ材(耐火物)には、一般に、その表面に、セラミックスラリー中に含有せしめられるエチルシリケートやコロイダルシリカ等のバインダーが付着しているのであるが、それを、そのまま除去することなく、スタッコ材として再使用すると、それにより得られる鋳型において、充分な強度や寸法精度が確保され得ないこととなるため、そのようなバインダーを充分に除去する必要がある。しかしながら、従来の耐火物粉砕品からなるバックアップスタッコ材を用いて製造された鋳型からの回収バックアップスタッコ材にあっては、上述したように、非常に破砕され易いものであるところから、表面に付着するバインダーを除去することが極めて困難であるという問題も内在していたのである。
かかる状況下、現在、セラミックシェル鋳型の鋳型クズからのバックアップスタッコ材の再生は、実用的には、全く行なわれておらず、鋳造後に発生した鋳型クズは、篩い分けされた後、得られた微粒分の一部が、セラミックスラリー用の骨材等として再利用されている他は、殆ど、廃棄処分されているのが、実状である。
特開平6−134544号公報 特開2003−181595号公報 日本鋳物協会編、「鋳物便覧」、丸善株式会社、昭和48年5月20日発行、p.1519−1530
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、繰返し再生利用可能な精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材、及びその製造方法、並びにそれを用いて得られた精密鋳造用鋳型を提供することにある。
そして、本発明者は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、Al23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物粒子であって、特に、所定の粒子形状を有するものが、上記した課題の解決のために有効であることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、上記した課題又は明細書全体の記載から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載乃至はそこに開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 少なくともAl23 を主要成分として含むAl23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成を有して、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成され、且つ見掛け気孔率が5%未満である、丸みが付けられた角部を備えた非球状の不定形耐火物粒子からなることを特徴とする精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
(2) 前記不定形耐火物粒子が、50重量%以上のAl23 と50重量%以下のSiO2 と3重量%以下の不純物とからなる組成を有していることを特徴とする上記態様(1)に記載の精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
(3) 前記不定形耐火物粒子が、0.88以下の円形度を有し、且つ2以下の長短度を有していることを特徴とする上記態様(1)又は(2)に記載の精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
(4) 前記不定形耐火物粒子が、+0.2mmの粒径を有していることを特徴とする上記態様(1)乃至(3)の何れか一つに記載の精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
(5) 上記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を製造する方法にして、前記耐火物組成を与える原料を用いて成形して得られる成形体を焼成した後、その焼成体を粉砕し、次いで研磨処理することにより、粉砕物の角部に丸みを付けることを特徴とするバックアップスタッコ材の製造方法。
(6) 上記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を製造する方法にして、前記耐火物組成を与える原料を用いて成形体を成形した後、かかる成形体を粉砕し、次いで得られた粉砕物を回転焼成炉において回転焼成することにより、該粉砕物の角部に丸みを付けた焼成体粒子を得ることを特徴とするバックアップスタッコ材の製造方法。
(7) 上記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を製造する方法にして、前記耐火物組成を与える原料を用いて成形体を成形した後、かかる成形体を粉砕し、次いで得られた粉砕物を回転させつつ撹拌することにより、該粉砕物の角部に丸みを付け、更にその後、焼成することを特徴とするバックアップスタッコ材の製造方法。
(8) 上記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を用いてバックアップセラミックシェル層が形成されていることを特徴とする精密鋳造用鋳型。
(9) 鋳型壁が複数のセラミックシェル層にて積層、構成されていると共に、それらセラミックシェル層のうち、金属溶湯に接することのない層の少なくとも一つが、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を用いて形成されていることを特徴とする上記態様(8)に記載の精密鋳造用鋳型。
(10) 鋳型強度が、50kgf/cm2 以上であることを特徴とする上記態様(8)又は(9)に記載の精密鋳造用鋳型。
(11) 上記態様(8)乃至(10)の何れか一つに記載の精密鋳造用鋳型を解砕し、篩い分けして得られる回収粒が、前記バックアップスタッコ材に代えて、或いはそれと共に、用いられて、造型されていることを特徴とする精密鋳造用鋳型。
このように、本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材にあっては、そのようなバックアップスタッコ材を構成する不定形耐火物粒子が、耐火性に優れ且つ熱膨張率の小さい、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成されてなるものであるところから、かかる不定形耐火物粒子をスタッコ材として用いて、セラミックシェル鋳型を得る際に、焼成熱等によって、不定形耐火物粒子にヒビや割れ等が発生するようなことが、有利に抑制乃至は防止され得ることとなるのである。しかも、かかる不定形耐火物粒子は、その見掛け気孔率が5%未満と低く、またその粒子の角部には丸みが付けられたものであるところから、耐破砕性や耐摩耗性に優れ、以て、そのような不定形耐火物粒子からなるバックアップスタッコ材を用いて製造された鋳型にあっては、その解砕時に、耐火物粒子が割れたり、欠けたりするようなことが、効果的に抑制乃至は防止され得るのである。
従って、このような本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材にあっては、それを用いて製造された精密鋳造用鋳型(セラミックシェル鋳型)を解砕して得られる回収粒において、不定形耐火物粒子が細粒化されるようなことが、有利に回避され得ることとなるのであり、以て、精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材として適した粒径を有する耐火物粒子が、有利に回収・再生され得ることとなるのである。
また、そのような精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材にあっては、上述したように、バックアップスタッコ材を構成する不定形耐火物粒子が、耐破砕性や耐摩耗性に優れているところから、かかるバックアップスタッコ材を用いて製造された鋳型を解砕して回収された不定形耐火物粒子にあっては、その表面に付着するエチルシリケートやコロイダルシリカ等の無機バインダーを、粒子を細粒化することなく、有利に除去することが出来るのである。
さらに、本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材にあっては、上述のように、バックアップスタッコ材を構成する不定形耐火物粒子のヒビや割れ、欠け等の発生が、有利に抑制乃至は防止され得るものであるところから、かかるバックアップスタッコ材の製造後、使用(スタッコイング)されるまでの間に、衝撃や摩擦によって、粒子が細粒化されるようなことが、有利に回避され得ることとなるのであり、以て、本発明に従うバックアップスタッコ材にあっては、その粒度品質が、使用時まで、有利に保たれることとなるのである。
ところで、本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材は、少なくともAl23 を主要成分として含むAl23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成を有して、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成される耐火物粒子からなるものであるが、そこにおいて、かかる耐火物粒子の具体的な組成は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜に決定されるものであって、通常、50重量%以上のAl23 と50重量%以下のSiO2 と5重量%以下の不純物とからなる組成を有する耐火物粒子が好ましく用いられ、特に、60重量%以上、中でも70重量%以上のAl23 と、40重量%以下、中でも30重量%以下のSiO2 と、3重量%以下、中でも2.5重量%以下の不純物とからなる組成を有する耐火物粒子が、より好ましく用いられる。
そして、このようなバックアップスタッコ材は、それを構成する耐火物粒子が、少なくともAl23 を主要成分として含む、Al23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成において、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成されるものであるところから、熱膨張率が低いという特徴を有している。このため、そのようなバックアップスタッコ材にあっては、それを用いて形成されたセラミックコーティング層を焼成して、セラミックシェル鋳型を製造する際に、焼成熱により、耐火物粒子にヒビや割れが発生したりするようなことが、有利に抑制乃至は防止され得るのである。これに対して、熱膨張特性に劣る溶融石英や焼成粘土等の耐火物粒子をスタッコ材として用いて、精密鋳造用鋳型(セラミックシェル鋳型)を製造した場合にあっては、セラミックコーティング層の焼成時等に、耐火物粒子が膨張して、ヒビや割れ等が発生し、そしてそのようなヒビや割れが発生した耐火物粒子は、鋳型を解砕した際等に、容易に細粒化されてしまうこととなる。
さらに、そのような耐火物粒子は、少なくともAl23 を主要な構成成分として含むAl23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成を有し、且つムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成されているところから、剛性が高く、そのため、そのような耐火物粒子を用いて製造されたセラミックシェル鋳型の解砕の際等に、容易に割れたり、欠けたりして、細粒化されるようなことが効果的に防止され得る特徴を有している。また、そのような耐火物粒子にあっては、耐火性及び荷重軟化点が高く(JIS−R−2204(1999)に規定されるゼーゲルコーン耐火度:SK37〜SK39(1820℃〜1880℃))、且つ、ガラスやスラグに対する耐侵食性にも優れているところから、かかる耐火物粒子をバックアップスタッコ材として用いて鋳型を製造した場合には、得られる鋳型において、優れた耐火性や高い荷重軟化点、優れた耐浸食性が発揮され得ることとなるのである。
なお、上記した耐火物粒子中のAl23 の割合が少な過ぎる場合には、換言すれば上記耐火物粒子中のSiO2 の割合が多過ぎる場合には、かかる耐火物粒子中に、ガラス相(非晶質相)が多く含まれるようになり、そしてその場合には、熱膨張特性が低下すると共に、スタッコ材(耐火物粒子)として必要な耐火性や粒子強度(骨材自体の強度)等が、充分に確保され得ないようになる恐れを生じる。また、そのようなガラス相は、セラミックスラリー中にバインダーとして含有せしめられるコロイダルシリカと反応して一体化して、それにより、耐火物粒子の耐破砕性を悪化させたり、得られるバックアップスタッコ材の純度を低下せしめたりする恐れがある。更に、それらAl23 の上限やSiO2 の下限は、適宜に決定されるところであるが、一般に、Al23 は99.9重量%以下、好ましくは90重量%以下とされ、またSiO2 は0.1重量%以上、好ましくは10重量%以上とされることとなる。
また、かかる耐火物粒子中に含まれ得る不純物は、一般に、原料由来のものであって、例えばFe23 やMgO、CaO、Na2 O、K2 O、P25 等の酸化物を挙げることが出来るが、そのような不純物は少ないことが望ましく、特に5重量%以下、好ましくは3重量%以下、更に好ましくは2.5重量%以下とすることが望ましい。なお、この不純物の含有割合が多くなり過ぎると、ガラス相(非晶質相)が増加して、上述せる如き問題が発生する恐れがあると共に、耐火性や耐侵食性が低下する恐れがある。
さらに、本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材を構成する耐火物粒子は、上述のように、少なくともAl23 を主要成分として含むAl23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成を有する、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成されるものであると共に、その見掛気孔率が、5%未満とされているのである。このように、バックアップスタッコ材を構成する耐火物粒子が、その見掛け気孔率の充分に低いものとされているところから、強度や剛性が高く、耐破砕性や耐摩耗性に優れたものとなっているのであり、従って、そのような耐火物粒子に衝撃が加えられた際に、容易に割れたり、欠けたりして、細粒化されるようなことが、有利に防止され得るのである。なお、この本発明に従う耐火物粒子にあっては、その見掛け気孔率は、好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満とされ、そのような見掛け気孔率の低い耐火物粒子を用いることによって、上述せる如き効果が、より一層有利に享受され得ることとなる。
一方、バックアップスタッコ材を構成する耐火物粒子が、5%以上の高い見掛け気孔率を有する場合には、耐火物粒子の強度や剛性が低く、耐破砕性や耐摩耗性が不充分となるため、かかるバックアップスタッコ材を用いて製造されたセラミックシェル鋳型の解砕の際等に、鋳型を構成する耐火物粒子が、容易に割れたり、欠けたりして、細粒化されるようになる。しかも、そのような高い見掛け気孔率を有する耐火物粒子にあっては、耐火物粒子の表面に、多数の気孔が開口するようになるところから、スタッコイング時に、セラミックスラリーが多量に含浸乃至は付着せしめられるようになる。このため、そのようなスタッコ材を用いて製造された鋳型を解砕して、回収された耐火物粒子にあっては、耐火物粒子の気孔内に含浸乃至は付着せしめられたスラリー成分(例えば、エチルシリケートやコロイダルシリカ等の無機バインダー)を除去することが容易ではないところから、バックアップスタッコ材として再生利用することが困難となるのである。加えて、そのような見掛け気孔率の高い耐火物粒子にあっては、ろう模型上のスラリーが、耐火物粒子中の気孔内に多量に含浸せしめられるようになるため、スラリーの消費量が必要以上に増加するといった問題も内在しているのである。
また、本発明に従うバックアップスタッコ材は、上記のような所定の耐火物組成を有する鉱物にて構成され、且つ所定の見掛け気孔率を有するものであると共に、その耐火物粒子の形状が、丸みが付けられた角部を備えた非球状の不定形な形状とされているところに、大きな特徴を有している。
このように、耐火物粒子の角部が尖鋭な形状ではなく、丸みが付けられていることによって、そのような耐火物粒子に対して衝撃が加えられた際に、耐火物粒子の角部において、応力が集中するようなことが有利に緩和乃至は回避され、以て、優れた耐破砕性及び耐摩耗性が発揮され得ることとなるのである。従って、そのような耐火物粒子からなるバックアップスタッコ材を用いて製造されたセラミックシェル鋳型にあっては、その解砕の際等の衝撃や摩擦によって、セラミックシェル鋳型を構成する耐火物粒子が、割れたり、欠けたりして、粒子が細粒化されるようなことが、有利に防止され得るのである。なお、従来の如き単なる耐火物の粉砕品にあっては、応力の集中し易い鋭利な角部(稜角部)が多数存在しているところから、耐破砕性や耐摩耗性に劣るものとなり、そのため、弱い衝撃によっても、容易に割れたり、欠けたりして、細粒化されてしまうのである。
また、かかる耐火物粒子は、その全体形状が非球状の不定形な形状とされているところから、そのような耐火物粒子が、スラリーで被覆されたろう模型上にスタッコイングされた際に、球状の耐火物粒子に比して、ろう模型(スラリー)上に、有利に強固に付着せしめられ得ることとなる。具体的には、そのような非球状の不定形な形状を有する耐火物粒子としては、一般に、円形度:0.88以下且つ長短度:2以下で規定される形状のものが、好ましく用いられ、本発明にあっては、特に、スラリー(ろう模型)に対してより強固に付着せしめられ得るところから、複数の丸みの付けられた稜角部と複数の平面とからなる非球状の不定形耐火物粒子が、より好ましく用いられることとなる。そして、本発明に従うバックアップスタッコ材にあっては、上記せる如き円形度及び長短度を有する耐火物粒子が、望ましくは80%以上の割合で含まれており、より望ましくは90%以上の割合にて、含まれている。
ここで、上記した円形度とは、(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長)/(粒子投影図の輪郭の長さ)であり、また長短度とは、(粒子の長径)/(粒子の短径)にて規定されるものである。なお、この円形度が大き過ぎる場合、換言すれば1に近過ぎる場合には、耐火物粒子の粒子形状が球に近くなるために、スラリーの被覆されたろう模型上にスタッコイングされた際に、スラリーとの接触が点に近くなって、接触面積が小さくなるところから、粒子をろう模型上に強固に付着させることが困難となり、特に、ろう模型の角部等において、スタッコ材の付着漏れが惹起されて、充分な鋳型強度が得られなくなる恐れを生じる。一方、かかる円形度が小さ過ぎる場合、特に0.5よりも小さくなる場合や、前記した長短度が大き過ぎる場合には、耐火物粒子が、棒状乃至は偏平状の粒子形状となって、弱い衝撃によっても、折れたり、割れたりして、細粒化され易くなる。
さらに、そのような耐火物粒子からなる、精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材にあっては、その粒子の大きさは特に制限されるものではないが、その粒径の下限としては、従来からバックアップスタッコ材の粒径として一般に採用されて来ている、+0.2mm(目開き0.2mmの篩い上に残留する粒子の粒径)程度の粒度とされることが望ましい。なお、かかる耐火物粒子の粒径が小さ過ぎる場合には、1回のスタッコイング当たりに形成されるセラミックコーティング層の厚さが薄くなるところから、セラミックシェル層(セラミック鋳型)の厚さを確保するために、コーティング層形成工程の繰返し回数を多くする必要があり、製造効率が悪化する恐れがあると共に、そのようにして得られるセラミックシェル鋳型にあっては、鋳型が緻密になり過ぎて、解砕性が悪化する恐れがある。
また、バックアップスタッコ材の粒径の上限としても、特に制限されるものではないが、一般に、−2mm(目開き2mmの篩いを通過する粒子の粒径)程度の粒度とされていることが望ましい。なお、このバックアップスタッコ材の粒径が大き過ぎる場合には、ろう模型に対する付着性が低下する恐れがあると共に、砂の詰まりが低下して、注湯時の湯もれが惹起されたり、得られる鋳型の強度が充分に高められ得ない恐れがある。
このように、本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材にあっては、優れた熱膨張特性、耐破砕性及び耐磨耗性を有しているところから、鋳型の解砕時等の衝撃や摩擦によって、耐火物粒子が細粒化されるようなことが有利に防止され得ているのである。従って、そのようなバックアップスタッコ材にあっては、それを用いて製造された鋳型から、精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材として、適した粒径を有する耐火物粒子が、有利に効率的に回収・再生乃至再利用され得ることとなる。
また、そのような耐火物粒子は、上記のように、優れた耐破砕性及び耐摩耗性を有しているところから、かかる耐火物粒子をバックアップスタッコ材として用いて製造された鋳型を解砕して得られる回収粒にあっては、その表面に付着するエチルシリケートやコロイダルシリカ等のバインダーを、粒子を細粒化することなく、サンドフレッシャー等の鋳物砂再生機等を用いて、容易に除去することが可能となるのである。
さらに、上記のようなバックアップスタッコ材にあっては、その優れた耐破砕性及び耐摩耗性により、その取扱い時、例えば運搬時やスタッコ材の調製時等に受ける衝撃や摩擦によって、粒子が細粒化されるようなことが、有利に防止され得ることとなるのであり、従って、かかるバックアップスタッコ材の粒度品質が、その使用時(スタッコイング時)まで、有利に保たれ得ることとなるのである。
ところで、上記のような本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材を製造するに際して、その製造方法は、特に限定されるものではないが、本発明においては、例えば、以下の如き製造方法が、好ましく採用される。
すなわち、先ず、少なくともAl23 を主要成分として含む、Al23 −SiO2 系又はAl23 系の所定の耐火物組成を与え、そしてムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成される耐火物を与え得る耐火物原料、具体的にはAl23 源原料やSiO2 源原料、Al23 −SiO2 源原料等を用意し、それらの耐火物原料に対して、乾式粉砕処理や湿式粉砕処理等の粉砕処理を行なうことにより、−45μm程度の粒径を有する微細な耐火物原料粉末を含む泥漿を調製する。なお、そこで用いられ得る耐火物原料は、特に限定されるものではなく、従来から用いられている耐火物原料が、何れも、適宜に用いられ得、例えば、少なくともAl23 を主要成分として含むAl23 −SiO2 系耐火物源原料としては、カオリン、バン土頁岩、アンダリューサイト、蛙目粘土、木節粘土、モンモリロナイト及びハロイサイト等が挙げられ、またAl23 系耐火物源原料としては、水酸化アルミニウム、仮焼アルミナ及びリサイクルアルミニウム等が挙げられ、更にSiO2 系耐火物源原料としては、珪石、珪砂、長石等が挙げられ、それらの1種又は2種以上が適宜に組み合わされて、用いられることとなる。
次いで、かかる泥漿を、オーガーマシン等の押出成形機を用いて、直径:2〜30mm、長さ:30〜40mm程度の大きさの円柱状の成形体に成形し、そしてその得られた成形体を、バンド型乾燥機等にて乾燥した後、ロータリーキルンやトンネルキルン等の焼成炉内で、1500〜1850℃にて3〜6時間焼成することにより、焼成体を得る。また、このとき、得られる焼成体の見掛け気孔率が5%未満となるように、成形体の乾燥条件や焼成条件を、適宜に設定するようにする。
その後、上記で得られた焼成体を、ジョークラッシャーやロールブレイカー等の粉砕機を用いて粉砕することにより、鋭利な角部(稜角部)が生じた、非球状で不定形な焼成体粉砕物を形成する。なお、かかる焼成体粉砕物の粒径は、特に限定されるものではないが、後述する研磨処理によって、粉砕物粒子が割れたり、欠けたりして、粒度が低下することから、目的とする耐火物粒子の粒径よりもやや大きい粒径とすることが望ましく、一般に、0.5〜2mm程度の粒径とされることとなる。
そして、そのようにして得られた焼成体粉砕物を、篩い分けすることにより、−0.35mm程度の粒度の微粉を除去した後、かかる焼成体粉砕物に対して、研磨処理を行なって、前記焼成体粉砕物の角部に丸みを付けることにより、本発明に従うバックアップスタッコ材を構成する、丸みが付けられた角部を備えた非球状の不定形耐火物粒子を得るようにするのである。
なお、そこにおいて、研磨処理の方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ロータリーリクレーマーやサンドフレッシャー、サンドシャイナー等の鋳物砂再生機を用いて行なうことが望ましい。そのような鋳物砂再生機を用いて研磨処理を行なうことによって、得られる耐火物粒子の製造工程における細粒化が、有利に防止され得ることとなるのである。即ち、焼成体粉砕物の粒子中に、ヒビや欠けが存在する場合には、衝撃や摩擦によって、容易に割れたり、欠けたりして、粒子が細粒化されることとなるのであるが、そのような鋳物砂再生機を用いた研磨処理を行なった場合には、そのような割れたり欠けたりし易い部分が、予め、割れたり、欠けたりして、除去せしめられることとなるところから、それにより得られる耐火物粒子にあっては、それ以上の細粒化が有利に抑制され得るのである。
また、かかる研磨処理における研磨時間等の研磨条件は、焼成体粉砕物の鋭利な角部を除去して、耐火物粒子の角部に丸みを付けるのに必要十分となるような条件が、適宜に選択されることとなる。なお、研磨が不充分な場合には、焼成体粉砕物の有する角部に充分に丸みを付けることが出来ず、鋭利な角部が残存することとなって、上記したような効果が充分に享受され得ない恐れがあり、一方、研磨が過剰な場合には、焼成体粉砕物が細粒化し過ぎて、目的とする粒度の耐火物粒子が充分に得られなくなる恐れがあると共に、得られる耐火物粒子が球状化して、スラリー(ろう模型)に対する付着性が低下する恐れがある。
そして、かくの如くして得られた耐火物粒子を、バックアップスタッコ材として用いる際には、ローテックススクリーン等の篩い分け機を用いて篩い分けを行なうことにより、所望の粒度(例えば、粒径:0.3〜0.7mm)を有する耐火物粒子として、提供するようにするのである。
このようなバックアップスタッコ材の製造方法によれば、鋭利な角部(稜角部)を有する非球状で不定形な焼成体粉砕物に対して、研磨処理が施されることによって、応力の集中し易い鋭利な角部が、有利に効果的に除去せしめられて、それにより、得られる耐火物粒子(バックアップスタッコ材)の角部に丸みが付けられているところから、上述のように、かかる耐火物粒子の細粒化が有利に防止されて、またその回収粒の表面に付着するバインダーの除去が、有利に行なわれ得ることとなるのである。
さらに、そのような耐火物粒子は、耐火物原料を微細な耐火物粉末とした後、成形・焼成したものを、粉砕・研磨することによって得られるものであるところから、その細粒化がより一層有利に防止され得ている。即ち、そのような微粉砕配合を行なうことによって、粒子中に残存する微細なクラックや、鉱物偏析により、粒子が容易に割れたり、欠けたりするようなことが、有利に回避せしめられ得るのである。
また、本発明においては、上述せる如きバックアップスタッコ材の製造方法に代えて、前記した耐火物原料を用いて成形体を成形した後、かかる成形体を粉砕し、次いで得られた粉砕物を回転焼成炉において回転焼成することにより、該粉砕物の角部に丸みをつけた焼成体粒子を得ることからなる手法も、採用可能である。
具体的には、先ず、上記せる如く、前記Al23 −SiO2 系耐火物源原料やAl23 系耐火物源原料、SiO2 系耐火物源原料を用いて、−45μm程度の粒径を有する耐火物微粉末を含む泥漿を調製する。その後、かかる泥漿を、押出成形機にて、直径:2〜30mm、長さ:30〜40mm程度の大きさの円柱状の成形体を成形した後、乾燥機にて乾燥する。
次いで、得られた成形体を、ジョークラッシャーやロールブレイカー等の粉砕機を用いて粉砕することにより、鋭利な角部(稜角部)を有する非球状で不定形な成形体の粉砕物を得る。なお、かかる焼成体粉砕物の粒径は、本発明にあっては、特に限定されるものではないが、後述する回転焼成によって、粉砕物粒子の収縮や、割れ・欠けにより、粒度が低下することから、目的とする耐火物粒子の粒径よりもやや大きい粒径とすることが望ましく、一般に、0.35〜2.2mm程度の粒径とされることとなる。
その後、得られた成形体粉砕物を、篩い分けすることにより、−0.35mm程度の微粒を除去した後、ロータリーキルン等の回転焼成炉内において回転焼成することにより、成形体粉砕物を焼成しつつ、前記成形体粉砕物を互いに或いは焼成炉壁に衝突させることにより、かかる粉砕物の有する鋭利な角部(稜角部)を除去して、目的とする丸みが付けられた角部を備えた非球状の不定形耐火物粒子を得る。なお、かかる回転焼成における焼成時間や焼成温度等の焼成条件は、最終的に得られる耐火物粒子の見掛け気孔率が5%未満となるように、適宜に設定されることとなる。また、回転速度や回転時間等の回転条件としては、得られる耐火物粒子の角部に充分に丸みが付けられる一方、細粒化し過ぎたり球状化し過ぎたりしないような条件が、適宜に選択される。
上記のようなバックアップスタッコ材の製造方法によれば、耐火物原料を微細な耐火物粉末とした後、成形体を成形して、それを粉砕し、更に回転焼成処理することによって、耐火物粒子を得るようにしていると共に、回転焼成により、耐火物粒子の角部に丸みが付けられているところから、前述せる如きバックアップスタッコ材の製造方法と同様に、得られる耐火物粒子が、容易に細粒化されるようなことがなく、その再生が有利に実現され得ることとなるのである。
また、かかるバックアップスタッコ材の製造方法においては、成形体粉砕物を、回転焼成炉内で回転焼成することによって、成形体粉砕物の焼成を行ないつつ、同時に、成形体粉砕物の有する鋭利な角部(稜角部)を除去して、丸みを付けるようにするものであるところから、その製造工程が有利に簡略化され得ることとなるのであり、以て、その製造コストも効果的に抑制せしめられ得ることとなる。
さらに、本発明にあっては、そのような回転焼成に代えて、焼成処理と撹拌処理或いは焼成処理と研磨処理を採用することも、可能である。
すなわち、上記せる如き成形体を粉砕することにより得られる成形体粉砕物を、パン型撹拌機等の撹拌機を用いて、撹拌処理することにより、該粉砕物の角部に丸みを付け、次いで、篩い分けすることにより、−0.35mm程度の微粒を除去した後、シャトルキルンやトンネルキルン内で焼成し、その後、所望の粒度に篩い分けすることによって、目的とする耐火物粒子を得るようにしてもよく、或いは、成形体粉砕物を篩い分けすることにより、−0.35mm程度の微粒を除去した後、シャトルキルンやトンネルキルン内で焼成し、次いで、上記せる如き研磨機(鋳物砂再生機)等にて研磨処理を行なった後、所望の粒度に篩い分けすることによって、目的とする耐火物粒子を得るようにしてもよいのである。そして、そのようにして得られた耐火物粒子(バックアップスタッコ材)にあっても、前述の如くして得られた耐火物粒子と同様に、耐破砕性や耐摩耗性に優れるところから、その繰返しの再生利用が可能なものであるのである。
なお、上述のバックアップスタッコ材の製造方法の実施形態においては、成形体は、直径が2〜30mm、長さが30〜40mm程度の大きさの円柱状のものとされているが、そのような成形体の大きさや形状は、何等これに限定されるものではなく、例えば球状や直方体状等の各種の形状が、何れも適宜に採用され得、またそのサイズも、適宜に決定され得るものである。
また、上記で用いられる押出成形機や粉砕機、研磨機(鋳物砂再生機)、回転焼成炉、撹拌機等は、上記で具体的に例示されるものに何等限定されるものではなく、公知のものが、何れも、目的に応じて、適宜に選択され得るものである。
さらに、上記の実施形態においては、カオリンや水酸化アルミニウム等の耐火物原料を粉砕して、微細な耐火物粉末とした後、成形体を成形し、かかる成形体に対して、焼成処理や粉砕処理、研磨処理等を施すことによって、本発明に従う耐火物粒子を製造しているが、本発明に従うバックアップスタッコ材は、そのような微細な耐火物粉末からなる成形体を経て(微粉砕配合を行なって)製造される人工の耐火物粒子に何等限定されるものではなく、天然の鉱石等を、直接、粉砕し、必要に応じて焼成した後、研磨することにより得るようにしても、何等、差支えない。例えば、少なくともAl23 を主要成分として含むAl23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成を有し、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成され、且つ見掛け気孔率が5%未満である耐火物粒子を与える鉱石を、粉砕した後、研磨処理し、その後、篩い分けすることによって得られるもの等も、用いることが可能である。
そして、上記のような耐火物粒子からなる本発明に従うバックアップスタッコ材を用いて、目的とする精密鋳造用鋳型を製造するに際しては、例えば、以下のようにして行なわれることとなる。
先ず、従来と同様にして、目的とする鋳物の形状を有するろう模型を多数作製し、そして、それら作製されたろう模型の適数個を、湯口、湯道、堰の部分となるろう模型と共に、一体的に組み立てることにより、ツリーを製作する。
そして、かかるツリーを、撹拌機にて撹拌することにより懸濁状態とされたセラミックスラリー中に浸漬(ディッピング)することにより、ツリー(ろう模型)表面に、スラリーを被覆せしめる。なお、そこにおいて用いられるセラミックスラリーは、特に限定されるものではなく、従来から、ロストワックス法(インベストメント法)において、セラミックシェル層を形成するために用いられて来ている公知の各種のセラミックスラリー、例えば、コロイダルシリカやエチルシリケートからなる無機バインダを、各種の界面活性剤やゲル化促進剤等と共に、必要に応じて、水やアルコール等の媒体に配合して、調製されてなるもの等が、何れも、適宜に用いられることとなる。
次いで、そのようなセラミックスラリー中に浸漬(ディッピング)せしめられたツリー(ろう模型)を、スラリーから引き揚げた後、かかるツリーを被覆し、付着するスラリーが乾かないうちに、所定のプライマリースタッコ材が振り掛けられる(スタッコイングされる)。なお、かかるプライマリースタッコ材は、特に限定されるものではなく、ジルコンやムライト等の鉱物からなる、−0.2mm程度の粒度の耐火物微粒子等にて構成される、公知のプライマリースタッコ材が、何れも、適宜に用いられることとなる。また、このスタッコ材の振掛けに際しては、従来から公知の振掛け方法が、何れも適宜に採用され、例えば、スタッコ材を雨状に落すことによって振掛けを行なう落下式振掛け法や、ツリーを容器内に収容し、容器の底部から吹き出される空気によって、スタッコ材を浮遊させることにより、振掛けを行なう固体流動床式振掛け法等を採用して、目的とするスタッコイングが行なわれるのである。
その後、かかるプライマリースタッコ材の被覆されたツリー(ろう模型)を、自然乾燥や機械乾燥を行なうことによって、最内層となる第1層目のセラミックコーティング層が形成され、更にその後、かかる第1層のセラミックコーティング層の形成されたろう模型に対して、上記と同様にして、ディッピング、スタッコイング及び乾燥からなる一連のコーティング層形成工程を0〜1回程度繰り返すことにより、ろう模型上に、1〜2層のセラミックコーティング層(プライマリーセラミックコーティング層)が形成されるのである。
そして、セラミック・シェル・モールド法によれば、そのような1〜2層のプライマリーセラミックコーティング層が形成された上に、更に、スタッコ材としてバックアップスタッコ材を用いて、上記と同様にして、ディッピング、スタッコイング及び乾燥の工程を繰り返すことにより、6〜12層程度のバックアップセラミックコーティング層が積層、形成されることとなるのであるが、本発明に従う精密鋳造用鋳型にあっては、かかるバックアップセラミックコーティング層のうちの少なくとも一つを形成するためのバックアップスタッコ材として、前述せる如き本発明に従うバックアップスタッコ材が、単独で、或いは、必要に応じて、その他のバックアップスタッコ材と組み合わされて、用いられるのである。
なお、かかる本発明に従うバックアップスタッコ材と必要に応じて組み合わされる、その他のバックアップスタッコ材としては、特に限定されるものではなく、従来からバックアップスタッコ材として用いられて来ている、シリカや焦宝石、アルミナ、ムライト、ジルコン等の鉱物にて構成される粉砕物からなる耐火物粒子が、何れも、適宜に選択されることとなる。
その後、そのようにしてツリー(ろう模型)上に積層形成された複数のセラミックコーティング層(プライマリー層+バックアップ層)を、オートクレーブ内にて120〜150℃程度に加熱することにより、ろう模型を溶融、除去し、次いで、ろう模型の除去された複数のセラミックコーティング層を、焼成炉内において、800〜1100℃の温度にて30分〜1時間焼成することにより、複数のセラミックシェル層からなる精密鋳造用鋳型が得られるのである。
そして、そのようにして得られる本発明に従う精密鋳造用鋳型にあっては、鋳型壁が、複数のセラミックシェル層(プライマリー層+バックアップ層)にて積層、構成されていると共に、それらセラミックシェル層のうち、金属溶湯に接することのない層(バックアップセラミックシェル層)の少なくとも一つが、本発明に従うバックアップスタッコ材を用いて形成されているところから、そのような鋳型を解砕した際に、かかるセラミックシェル層を構成するバックアップスタッコ材が、割れたり、欠けたりして、細粒化されるようなことが有利に防止され、以て、かかるバックアップスタッコ材の回収、再生が効果的に行なわれ得ることとなるのである。
また、かかる本発明に従う精密鋳造用鋳型にあっては、それを構成するバックアップスタッコ材が、強度及び剛性に優れた所定の組成を有する鉱物にて構成され、また、その粒子の見掛け孔率が5%未満と低く、更に、粒子の角部に丸みが付けられているところから、耐破砕性や耐摩耗性に優れ、その鋳型強度が、有利に高められ得ているのである。即ち、本発明に従うバックアップスタッコ材を用いて造型された鋳型は、50kgf/cm2 以上、特に70kgf/cm2 以上の強度を有するものとなるのである。従って、本発明に従うバックアップスタッコ材にあっては、それを用いて製造される鋳型の鋳型壁を薄くすることが可能となるのであり、以て、コーティング層形成工程の繰返し回数(バックアップ層の積層数)が有利に低減せしめられて、その製造コストが効果的に抑制せしめられ得ることとなるのである。
以上、本発明に従う精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材を用いた精密鋳造用鋳型の好ましい製造方法について詳述して来たが、本発明に従うバックアップスタッコ材は、上記したようなセラミック・シェル・モールド法による精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材としてだけでなく、例えば、ソリッド・モールド法による精密鋳造用鋳型の製造において、容器内に充填されるバックアップ用の砂としても、有利に用いられるものである。
なお、上述のようにして製造された精密鋳造用鋳型を用いて、鋳物を製造するに際しては、ろう模型が除去されて出来た鋳型の空洞部分に、金属溶湯を流し込むことにより、鋳物が製造されることとなるのであるが、本発明にあっては、かかる鋳物の鋳込方法は、何等限定されるものではなく、例えば、置注ぎ法や反転加圧法、吸引鋳造法、遠心鋳造法等の従来から公知の手法が、何れも有利に用いられる。
そして、そのようにして鋳物が鋳造された後、使用済みの鋳型は、ジョークラッシャーやロールブレイカー等の粉砕機や、水圧崩壊式粉砕機、サンドブラスト機等により、耐火物粒子にまで解砕され、次いで篩い分けされた後、回収されることとなるのであるが、本発明に従う精密鋳造用鋳型にあっては、かかる鋳型を構成するバックアップスタッコ材(耐火物粒子)が、耐破砕性及び耐磨耗性に優れているところから、解砕時の衝撃によって、粒子が細粒化されるようなことが有利に防止され得るのである。従って、そのようにして本発明に従う精密鋳造用鋳型から回収される回収粒は、バックアップスタッコ材として、或いは上記せる如き本発明に従うバックアップスタッコ材と共に、精密鋳造用鋳型の造型に有利に用いられ得るものとなるのである。
また、そのような回収粒は、上述したように、耐破砕性及び耐磨耗性に優れているところから、粒子を細粒化することなく、粒子表面に付着するバインダーを、ロータリーリクレーマーやサンドフレッシャー、サンドシャイナー等を用いて鋳物砂再生処理を行なうことにより、有利に効果的に除去せしることが出来るのであり、以て、そのような回収粒を用いて製造された鋳型にあっても、充分な鋳型強度や寸法精度が得られることとなるのである。
このように、本発明に従うバックアップスタッコ材にあっては、かかるバックアップスタッコ材を用いて製造された鋳型から回収される回収粒にあっても、その粒径や耐火物組成が変化するようなことが、有利に抑制乃至は防止せしめられ得るのであり、以て、優れた耐破砕性や耐磨耗性が発揮され得ることとなるところから、バックアップスタッコ材として、有利に繰返し再生利用され得るのである。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、Al23 −SiO2 系耐火物原料及びAl23 系耐火物原料として、カオリン及び水酸化アルミニウムを用い、それらを常法に従って湿式粉砕することにより、−45μmの粒径を有する耐火物粉末とした後、そこに、水を加えて、撹拌・混合せしめ、更にその後、脱水することにより、Al23 含有量が約71重量%、SiO2 含有量が約27重量%、残余が不純物の泥漿を調製した。
次いで、かかる得られた泥漿を、オーガーマシン(押出成形機、株式会社石川時鉄工所製)にて、円柱状のペレットに成形し、バンド型乾燥機(岩佐機械工業株式会社製)にて200℃にて60分間乾燥することにより、20mm(直径)×40mm(長さ)の柱状の成形体を得た後、ロータリーキルン内で、1800℃にて6時間の焼成を行なうことにより、焼成体を得た。その後、かかる焼成体を、ジョークラッシャー(粉砕機、川崎重工業株式会社製)及びロールブレイカー(粉砕機、株式会社前川工業所製)にて粉砕することにより、鋭利な角部(稜角部)を有する非球状で不定形な焼成体粉砕物(粒径:0.5〜1mm)を得た。
そして、そのようにして得られた焼成体粉砕物を、ローテックススクリーン(篩分け機、株式会社アーステクニカ製)にて篩い分けすることにより、−0.35mmの粒度の微粉を除去した後、ロータリーリクレーマーS型(鋳物砂再生機、日本鋳造株式会社製)を6回通過させることにより、研磨処理を行なって、焼成体粉砕物の角部に丸みを付けた。その後、ローテックススクリーンにて篩い分けを行なうことにより、0.3〜0.7mmの粒径を有する耐火物粒子(供試スタッコ材1)を準備した。
また、前記の如くして得られた泥漿を、オーガーマシンを用いて円柱状のペレットに成形し、200℃にて60分間乾燥することにより、5mm(直径)×30mm(長さ)の柱状の成形体を得た。次いで、かかる成形体をロールブレイカーにて粉砕することにより、鋭利な角部を有する非球状で不定形な成形体粉砕物(粒度:−1.2mm)とし、その後、かかる成形体粉砕物を、ローテックススクリーンにて篩い分けすることにより、−0.35mmの微粉を除去し、それをロータリーキルン内で、1800℃にて6時間の焼成を行なうことにより、成形体粉砕物の焼成を行なうと同時に、かかる成形体粉砕物の角部に丸みを付けた。そして、その得られた焼成体粒子をローテックススクリーンにて篩い分けすることにより、0.3〜0.7mmの粒径を有する耐火物粒子(供試スタッコ材2)を準備した。得られた耐火物粒子の拡大写真を、図1に示す。
さらに、前記の如くして得られた泥漿を、オーガーマシンを用いて円柱状のペレットに成形し、200℃にて60分間乾燥することにより、直径:10mm、長さ:35mmの柱状の成形体を得た。次いで、この得られた成形体をジョークラッシャーにて粉砕することにより、鋭利な角部を有する非球状で不定形な成形体粉砕物(粒径:−2mm)とし、かかる成形体粉砕物を、パン型撹拌機にて回転撹拌することにより、成形体粉砕物の角部に丸みを付けた。その後、ローテックススクリーンにて篩い分けを行なうことにより、0.35〜1.2mmの粒子を取り出し、かかる粒子をシャトルキルン内で、1850℃にて6時間の焼成を行なった。そして、その得られた焼成体粒子をローテックススクリーンにて篩い分けすることにより、0.3〜0.7mmの粒径を有する耐火物粒子(供試スタッコ材3)を準備した。
一方、比較スタッコ材1として、0.3〜0.7mmの粒径を有する焦宝石からなる市販の耐火物粉砕品(江尻鋳材株式会社製)を準備した。なお、かかる比較スタッコ材1を構成する耐火物粉砕品は、その粒子表面に、多数の鋭利な角部(稜角部)を有するものであった。その拡大写真を、図2に示す。
そして、そのようにして得られた供試スタッコ材1〜3及び比較スタッコ材1について、それぞれ、見掛け気孔率、円形度及び長短度を測定した。なお、そこにおいて、見掛け気孔率(%)は、JIS−R−2205(1992)「耐火れんがの見掛気孔率・吸水率・比重の測定方法」に準じて求められたものである。また、円形度は、キーエンスVH−6300型(画像解析装置、株式会社キーエンス製)を用いて、100個のスタッコ材の投影画像を読み込んだ後、所定の画像解析を行なって、上述したように、(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長)/(粒子投影図の輪郭の長さ)の平均を計算することにより求められたものであり、更に、長短度は、かかる投影画像から、(粒子の長径)/(粒子の短径)の平均を計算することにより求められたものである。得られた結果を、下記表1に示す。
Figure 2010000521
−耐破砕性試験−
上記のようにして得られた各種のスタッコ材(供試スタッコ材1、供試スタッコ材2及び比較スタッコ材1)について、日本鋳造協会規定のS−6破砕性試験を実施した。得られた結果を、下記表2及び図3に示す。なお、下記表2において、破砕率(%)とは、破砕前の粒子の粒度指数を100%としたときの粒度指数の増加率を表し、数値が大きい程、破砕が進んでいることを意味している。
Figure 2010000521
かかる表2及び図3の結果から明らかなように、本発明に従う供試スタッコ材1及び供試スタッコ材2は、60分経過後でも、耐破砕率が110%以下と非常に低く、優れた耐破砕性を有している。一方、耐火物の粉砕品である比較スタッコ材1は、6分経過後当たりで、破砕率が110%となり、60分経過後では、破砕率が170%にもなり、極めて破砕され易いものであることが認められた。
−鋳型強度試験−
先ず、円筒状のろう模型(内径:4mm、外径:15mm、高さ:45mm)が組み付けられたツリーを作製し、それを、コロイダルシリカの25重量%と、溶融シリカ粒(粒径:0.1mm)の15重量%及びジルコンフラワー(粒径:0.05mm)の60重量%とからなるプライマリースラリー中にディッピングした。次いで、かかるスラリーの被覆されたろう模型に対して、プライマリースタッコ材として、ジルコンサンド(粒径:0.1〜0.2mm)をスタッコイングした。そして、かかるスタッコイングされたろう模型を乾燥した後、再度、前記スラリー及び前記プライマリースタッコ材を用いて、ディッピング、スタッコイング及び乾燥を行なうことにより、2層のプライマリーセラミックコーティング層を形成した。
その後、かかるプライマリーセラミックコーティング層の形成されたろう模型を、コロイダルシリカの28重量%と溶融シリカ(粒径:0.3mm)の40重量%及びジルコンフラワー(粒径:0.05mm)の32重量%とからなるバックアップスラリー中にディッピングし、次いで、バックアップスタッコ材として、上記で準備された供試スタッコ材1を用いて、スタッコイングを行なった後、乾燥することにより、バックアップセラミックコーティング層を形成した。そして、同様にして、ディッピング、スタッコイング及び乾燥を行なうことにより、6層のバックアップセラミックコーティング層を形成した。
更にその後、かかる8層のセラミックコーティング層の形成されたろう模型を、160〜170℃の温度で加熱することにより、ろう模型を溶融、除去し、次いで、ろう模型の除去されたセラミックコーティング層を、1000℃で60分間焼成することにより、8層のセラミックシェル層からなる鋳型壁を有する鋳型(供試鋳型1)を作製した。
また、バックアップスタッコ材として、上記で準備された供試スタッコ材2を用いたこと以外は、上記供試鋳型1と同様にして、供試鋳型2を作製した。更に、バックアップスタッコ材として、上記で準備された供試スタッコ材3を用いたこと以外は、上記供試鋳型1と同様にして、供試鋳型3を作製した。更にまた、バックアップスタッコ材として、上記で準備された比較スタッコ材1を用いたこと以外は、上記供試鋳型1と同様にして、比較鋳型1を作製した。
そして、そのようにして作製された各種の鋳型(供試鋳型1〜3及び比較鋳型1)について、アムスラー式万能試験機により、曲げ強度測定を行なった。得られた結果を、下記表3に示す。
Figure 2010000521
かかる表3の結果から、本発明に従うスタッコ材(供試スタッコ材1〜3)を用いて得られた供試鋳型1〜3にあっては、その鋳型強度が、50kgf/cm2 以上、具体的には、96〜112kgf/cm2 であり、バックアップスタッコ材として、従来の耐火物粉砕品を用いて得られた比較鋳型1(鋳型強度:40kgf/cm2 )に比して、極めて鋳型強度が高いことが認められた。
−スタッコ材再生試験−
先ず、上記供試スタッコ材2について、その化学組成を、蛍光X線分析装置(サイマルティックス11、株式会社リガク製)による元素分析(定量)により行なった。その結果を、下記表4に示す。次いで、かかる供試スタッコ材2を用いて、供試鋳型2を、上記と同様にして作製した。なお、かかる供試鋳型2を構成するセラミックシェル層のうち、供試スタッコ材2の含有率は、36重量%であった。そして、かかる供試鋳型2内に、ステンレス鋼の溶湯を鋳込み、溶湯の凝固後、型ばらしを行ない、得られた鋳型クズを、ジョークラッシャーを用いて、解砕し、−1mmの回収粒(回収骨材)を得た。その後、かかる回収粒を、サンドフレッシャー(鋳物砂再生機、30kgバッチ処理機、近畿鋳材株式会社製)を用いて処理することにより、回収粒の表面に付着するコロイダルシリカを除去し、得られた回収スタッコ材について、上記と同様にして、その化学組成を調べると共に、粒子の粒度分布を調べた。なお、そこにおいて、粒子の粒度分布は、ローテックススクリーンにて篩い分けを行なって、粒径毎の重量を測ることにより行なった。得られた結果を、下記表4に併せて示す。
また、上記比較スタッコ材1について、その化学組成を、上記供試スタッコ材2と同様に、蛍光X線分析装置による元素分析(定量)により行なった。その結果を、下記表4に併せて示す。次いで、かかる比較スタッコ材1を用いて、比較鋳型1を、上記と同様にして作製した。なお、かかる比較鋳型1を構成するセラミックシェル層のうち、比較スタッコ材1の含有率は、35重量%であった。そして、かかる比較鋳型1を用いて、上記と同様にして鋳物を鋳造し、鋳造後の鋳型を型ばらしして、得られた鋳型クズを上記と同様にして解砕し、更に、同様にして、回収粒の表面に付着するコロイダルシリカを除去した。そして、そのようにして得られる回収スタッコ材について、上記と同様にして、その化学組成を調べると共に、回収粒の粒度分布を調べた。得られた結果を、下記表4に併せて示す。
Figure 2010000521
かかる表4の結果からも明らかなように、本発明に従う供試スタッコ材2を用いて作製された鋳型から得られた回収骨材にあっては、0.3mm以下の粒径の回収骨材中に、Al23 は殆ど含まれない(0.1〜0.3mmの骨材中、3.7重量%、0.1mm以下の骨材中、1.3重量%)一方、比較スタッコ材1から作製された鋳型から得られた回収骨材にあっては、0.3mm以下の粒径の回収骨材中に、Al23 が多く含まれており(0.1〜0.3mmの骨材中、22.0重量%、0.1mm以下の骨材中、12.1重量%)、本発明に従う供試スタッコ材2の回収粒の細粒化が有利に防止され得ている一方、比較スタッコ材1の回収粒は、粒子が細粒化されていることが認められるのである。
すなわち、鋳型中に含まれる骨材のうち、0.3〜0.7mmの粒径のものは、主にバックアップスタッコ材(供試スタッコ材2又は比較スタッコ材1)として配合されたAl23 及びSiO2 からなる骨材であって、また、0.3〜0.1mmの粒径のものは、スラリー中の無機バインダーとして配合されたコロイダルシリカであり、更に、0.1mm以下の粒径のものは、スラリー中の骨材として配合されたZrO2 であるところ、0.3mm以下の粒径を有する回収骨材のうち、Al23 成分は、バックアップスタッコ材として用いられた供試スタッコ材2又は比較スタッコ材1が細粒化されたものと言うことができるのである。
また、表4から明らかなように、比較スタッコ材1から作製された鋳型から得られた回収骨材にあっては、0.3〜0.7mmの骨材中に、ZrO2 が多く含まれており(0.5〜0.7mmの骨材中、24.0重量%、0.3〜0.5mmの骨材中、17.4重量%)、かかる比較スタッコ材1から回収された回収骨材にあっては、その粒子表面に、スラリー中の骨材成分やプライマリースタッコ材として用いられたZrO2 が、充分に除去されていないことが認められる。一方、本発明に従う供試スタッコ材2を用いて作製された鋳型からの回収骨材にあっては、スタッコ材として有利に再生され得る、0.3〜0.7mmの粒径の回収骨材中に、ZrO2 が殆ど含まれておらず(0.5〜0.7mmの骨材中、0.4重量%、0.3〜0.5mmの骨材中、0.5重量%)、その粒子表面には、不純物であるZrO2 が付着することなく、充分に除去され得ていることが認められるのである。
そして、そのような表4の結果から、供試スタッコ材2及び比較スタッコ材1の再生率を、それぞれ、以下のようにして算出した。即ち、本発明に従う供試スタッコ材2から作製された供試鋳型2より得られた鋳型クズ(回収骨材)中の供試スタッコ材2の回収粒の含有率を求め(17(粒径:0.5〜0.7mm)+18(粒径:0.3〜0.5mm)=35(重量%))、次いで、回収骨材の化学組成の結果から、含有率をAl23 量に換算し、実質的な含有率を算出した。そして、得られた値を、鋳型中に配合された供試スタッコ材2の含有率で除することにより、供試スタッコ材2の再生率(%)を算出した。また、同様にして、比較スタッコ材1から作製された比較鋳型1より得られた鋳型クズ(回収骨材)中の比較スタッコ材1の回収粒の含有率を求め(8(粒径:0.5〜0.7mm)+16(粒径:0.3〜0.5mm)=24(重量%))、次いで、回収骨材の化学組成の結果から、含有率をAl23 量に換算し、実質的な含有率を算出した。そして、得られた値を、鋳型中に配合された比較スタッコ材1の含有率で除することにより、比較スタッコ材1の再生率(%)を算出した。それらの値を、下記表5に併せて示す。
Figure 2010000521
かかる表5の結果から明らかなように、本発明に従う供試スタッコ材2の再生率は、94%と極めて高いことが認められた。一方、従来の耐火物粉砕品である比較スタッコ材1の再生率は、37%と低いものであった。
本発明に従うバックアップスタッコ材(供試スタッコ材2)の拡大写真である。 従来の如きバックアップスタッコ材である焦宝石の粉砕品の拡大写真である。 本発明に従うバックアップスタッコ材(供試スタッコ材1、供試スタッコ材2)及び従来のバックアップスタッコ材(比較スタッコ材1)についてのS−6破砕性試験の結果を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 少なくともAl23 を主要成分として含むAl23 −SiO2 系又はAl23 系の耐火物組成を有して、ムライト又はコランダム或いはそれらの複合した鉱物にて構成され、且つ見掛け気孔率が5%未満である、丸みが付けられた角部を備えた非球状の不定形耐火物粒子からなることを特徴とする精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
  2. 前記不定形耐火物粒子が、50重量%以上のAl23 と50重量%以下のSiO2 と5重量%以下の不純物とからなる組成を有していることを特徴とする請求項1に記載の精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
  3. 前記不定形耐火物粒子が、0.88以下の円形度を有し、且つ2以下の長短度を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
  4. 前記不定形耐火物粒子が、+0.2mmの粒径を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の精密鋳造用鋳型製造のためのバックアップスタッコ材。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を製造する方法にして、前記耐火物組成を与える原料を用いて成形して得られる成形体を焼成した後、その焼成体を粉砕し、次いで研磨処理することにより、粉砕物の角部に丸みを付けることを特徴とするバックアップスタッコ材の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を製造する方法にして、前記耐火物組成を与える原料を用いて成形体を成形した後、かかる成形体を粉砕し、次いで得られた粉砕物を回転焼成炉において回転焼成することにより、該粉砕物の角部に丸みを付けた焼成体粒子を得ることを特徴とするバックアップスタッコ材の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を製造する方法にして、前記耐火物組成を与える原料を用いて成形体を成形した後、かかる成形体を粉砕し、次いで得られた粉砕物を回転させつつ撹拌することにより、該粉砕物の角部に丸みを付け、更にその後、焼成することを特徴とするバックアップスタッコ材の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を用いてバックアップセラミックシェル層が形成されていることを特徴とする精密鋳造用鋳型。
  9. 鋳型壁が複数のセラミックシェル層にて積層、構成されていると共に、それらセラミックシェル層のうち、金属溶湯に接することのない層の少なくとも一つが、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のバックアップスタッコ材を用いて形成されていることを特徴とする請求項8に記載の精密鋳造用鋳型。
  10. 鋳型強度が、50kgf/cm2 以上であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の精密鋳造用鋳型。
  11. 請求項8乃至請求項10の何れか一つに記載の精密鋳造用鋳型を解砕し、篩い分けして得られる回収粒が、前記バックアップスタッコ材に代えて、或いはそれと共に、用いられて、造型されていることを特徴とする精密鋳造用鋳型。
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