JP2009541604A - 繊維材料懸濁液に填料を負荷するための方法 - Google Patents
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Abstract
填料、特に炭酸カルシウムを繊維材料懸濁液Sに負荷するための方法に関する(Fiberloading)。負荷された繊維材料懸濁液S’は本発明によれば、軽いフラクション(1)と重いフラクション(2)の少なくとも2のフラクションに分けられ、そのために、有利な実施態様において、液体サイクロン(13)が使用される。ここで、異なるフラクションは異なる負荷度を有しており、つまり、繊維に付着した沈降した填料の量は、それぞれ異なる。前記フラクションの負荷度を更に高めるために、より少なく負荷された繊維を負荷プロセスに返送することができる。
Description
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、繊維材料懸濁液に負荷するための方法に関する。
パルプ繊維への炭酸カルシウムの負荷に関して、繊維負荷技術の複数の方法が既に公知である。US5223090には、中空部を包囲する細胞壁を有する長く延びた繊維を有する繊維材料を使用する方法が記載されており、その際、該繊維は、パルプの脱水されたスラリーを形成するのに十分な湿度を有している。この場合、繊維は、繊維の質量の40〜50%の割合に相当する湿分含有量を有する。水は、本質的に、繊維の内部及び繊維壁の内部に存在している。引き続き、二者択一的に、酸化カルシウム又は水酸化カルシウムがパルプに添加され、導入された酸化カルシウム又は水酸化カルシウムの少なくとも一部は、パルプ中に存在する水と会合する。引き続き、繊維状のセルロース材料が二酸化炭素と結合し、その際、前記材料は同時に剪断混合処理に供され、沈降によって、中空内部及びセルロース繊維の繊維壁の内部に著量の炭酸カルシウムを含有する繊維材料が生じる。
DE10204254A1から、繊維材料懸濁液に負荷するためのもう1つの方法が公知である。該方法は、以下の工程を含む:液状又は乾燥した形の水酸化カルシウムか、又は酸化カルシウムを、繊維材料懸濁液中に導入する工程、ガス状の二酸化炭素を繊維材料懸濁液中に導入する工程、二酸化炭素により炭酸カルシウムを沈降させる工程。
本発明の課題は、負荷方法の利点を拡大させ、かつ場合により明らかにより高い負荷効果をも達成することのできる、繊維材料懸濁液に負荷するための方法を提供することである。
本発明によれば、上記課題は請求項1に記載された措置により解決される。
前記方法により、特に、パルプ製造のための、又は製紙の際のパルプ使用のための、炭酸カルシウムが負荷された繊維材料(fiber loaded precipitate calcium carbonate(FLPCC))の製造が可能である。負荷すべき繊維原料は、例えば、再生紙から、DIP(脱インキ紙)、二次繊維材料、漂白パルプ又は無漂白パルプ、各種木材パルプ、各種紙原料パルプ、漂白硫酸塩パルプ又は無漂白硫酸塩パルプ、完成紙料ブローク、亜麻、木綿及び/又は麻繊維(主にシガレットペーパに使用される)及び/又は抄紙機中で使用される他の各種紙原料から製造される。前記方法は、負荷すべき繊維原料とは無関係に用いることができる。
本発明の適用分野は、紙及びパルプの製造及び製造された填料を含めたプロセス技術に関連しており、かつ、1%〜60%の填料含分を有し、かつ/又は1%〜60%の填料含分を有する白色カバー層を有する、包装紙のタイプ及び製造の際に生じるブロークを含めた全てのタイプの紙の適用分野を含む。有利に、填料含分は5%〜50%であってよい。
繊維材料懸濁液が製紙の際に繊維負荷技術で処理される場合、そこから、市場で公知である製品に対して新規でかつ改善された特性を有する完全に新規の製品が生じる。そのようなプロセスによって、直接、製紙工場での材料調成の際に、填料(炭酸カルシウム)を沈降させることが可能となり、該填料は専ら、繊維材料、特に紙繊維の上及び中に均一に分配され、かつ付加されている。
本発明による方法の場合、分級は有利に、例えば地球重力場の200倍に相当する高い遠心場を生じる液体サイクロンを用いて実施されてよい。
もう1つの可能性は、特に繊維分級機として設計されている、つまり、微細なシーブ開口が備えられている場合には、圧力選別機の使用である。当然のことながら、多段の分離装置及び/又は種々の分離原理の組合せも考えられる。
本発明による方法は、特に有利に、繊維材料懸濁液への負荷の種々の効果が利用されるか、又は相応する措置により部分的又は完全に補われるように実施される。本発明の基礎をなす負荷方法の場合、例えば種々の繊維から構成される繊維材料懸濁液が形成される。種々の特性に基づき、負荷が関与する全ての繊維において同じというわけではないこともあり得る。更に、沈降プロセスの間のパラメータ変動に基づき、時間的又は場所的に沈降が一様でないという統計学的な影響が考え得る。種々の負荷度、つまり、繊維に付着した沈降した結晶の量によって、負荷プロセスに引き続く分級が可能となり、その際、異なる負荷度を有する少なくとも2のフラクションが形成される。より強度に負荷された繊維は、より少なく負荷された繊維よりも重いことが前提となっているため、ここで、より高い負荷度を有する繊維に対して重いフラクションという名称が選択され、かつ、より低い負荷度を有する繊維に対して軽いフラクションという名称が選択される。
方法に対する要求に応じて、異なるフラクションを更に処理するための2つの可能性が考えられる。
第一の可能性は、軽いフラクションを、負荷の前に存在する装置部分へ再送することによって、負荷プロセスを再度実施することであり、このことは特に、例えばこの軽いフラクションへと導かれた繊維が再度の負荷によって著しくより高い負荷度を達成し得る場合に有利である。繊維特性に基づき、負荷のためのより長い期間、又は化学薬品のより高い濃度がより有利であることが理由であり得る。そのような場合、プロセスを"最も重い繊維"に適合させるのではなく、経済的に包括的に最適化するのがより経済的である。
第二の可能性は、形成されたフラクションを紙又は厚紙の製造の際に意図的に別個に使用することである。公知の通り、製紙の際には、個々のタイプ及びまた場合により個々の状況に関して、抄紙機に対して異なる品質の要求が課される。従って、分別によって製紙のプロセス全体を改善することができる。
従来の繊維材料懸濁液の製造法に対して、負荷によって、より高い叩解度をエネルギー的に有利に達成することができ;例えば叩解エネルギーの50%までを節約することができる。これは、特に、製造の際に叩解プロセスを経る全てのタイプの紙、特に、高い、又は極めて高い叩解度を有するタイプの紙、例えば繊維負荷(Fiber Loading(FL))シガレットペーパー、FL−B&P紙、FL袋用クラフト紙及びFLろ紙に影響を与える。填料を必要としない前記の紙の場合、繊維の上又は中に沈積されていない遊離填料は、叩解プロセスの後に、又は繊維材料懸濁液をヘッドボックス槽に導入する前に、又は抄紙機への供給前に除去することができる。しかしながら、繊維自体に、外側及び/又は内側及び外側に填料が施与されているため、繊維負荷技術のプラスの効果は維持される。
負荷は、全てのタイプの紙の製造にプラスの影響を及ぼす。なぜならば、プロセスに制約を受ける機械的負荷により、例えばプレス部分、乾燥部分又は紙ウェブを巻き取る区域のような抄紙機の種々の区画において、製造された中間生成物及び製造すべき最終生成物が、巻取り機、巻付け機、巻返し機及び加工機の使用により機械的に高負荷されるからである。
上記のタイプの紙において本発明による技術を用いる際のもう1つの利点は、紙をカレンダで更に処理することもできることである。繊維負荷技術を用いた際に、繊維負荷粒子が、繊維の中、周囲及び上に付加されることによって、ロール焼け、即ち黒化が回避される。
以下に、繊維材料懸濁液への負荷のための典型例を記載する:
出発材料として、水性繊維材料、特に0.1〜20%、有利に2〜8%のコンシステンシーの水性紙料が使用される。水性形又は乾燥形の水酸化カルシウム、もしくは酸化カルシウムは、存在する固体割合0.01〜60%の範囲内で、水性紙繊維材料中に混入される。混合工程に関して、スタティックミキサー、前置槽、又は材料溶解系が使用され;ここで、pH値は7〜12、有利に9〜12の範囲内に調節される。水酸化カルシウムの反応性は、0.01〜10分間、有利に1秒間〜3分間である。所定の反応パラメータに応じて、希釈水が混入される。
出発材料として、水性繊維材料、特に0.1〜20%、有利に2〜8%のコンシステンシーの水性紙料が使用される。水性形又は乾燥形の水酸化カルシウム、もしくは酸化カルシウムは、存在する固体割合0.01〜60%の範囲内で、水性紙繊維材料中に混入される。混合工程に関して、スタティックミキサー、前置槽、又は材料溶解系が使用され;ここで、pH値は7〜12、有利に9〜12の範囲内に調節される。水酸化カルシウムの反応性は、0.01〜10分間、有利に1秒間〜3分間である。所定の反応パラメータに応じて、希釈水が混入される。
二酸化炭素は、反応パラメータに相応して、湿潤した紙料の寸法で混入される。ここで、炭酸カルシウムが二酸化炭素雰囲気中で沈降する。
有利に、プロセス温度は−15℃〜120℃、特に20℃〜90℃である。有利に、斜方六面体、偏三角面体及び球状の結晶が生成され、その際、該結晶は0.05〜5μm、特に0.3〜2.5μmの寸法を有する。
炭酸カルシウムが負荷された繊維材料懸濁液の製造のために、静的及び/又は可動式の、特に回転式の混合エレメントが使用される。
方法は有利に、0〜15バール、特に0〜6バールの圧力範囲内で実施される。同様に、方法は有利に、6〜10、特に6.5〜9.5のpH値で実施される。ここで、反応時間は、0.03秒〜1分間、特に0.05〜10秒間である。
例えば、約0.05〜約2μmの範囲内のそれぞれの立方体サイズの斜方六面形の沈殿生成物粒子が製造されることができる。所定の場合には、約0.05〜約2μmの範囲内のそれぞれの長さで、かつ、約0.01〜約0.05μmの範囲内のそれぞれの直径の偏三角面形の沈降生成物粒子を製造することも有利である。
本発明による有利な実施態様によれば、沈降のために準備された繊維材料懸濁液の固体濃度は、約0.1〜約60%の範囲内、有利に約15〜35%の範囲内で選択される。
負荷方法の目的にかなう実際の実施態様によれば、二酸化炭素は繊維材料懸濁液に約−15℃〜約120℃の範囲内、有利に約20〜約90℃の範囲内の温度で添加される。
本発明及び本発明の利点を図面につき説明する。ここで:
図1は、本発明による方法の実施例を示すための装置図を示し;
図2は、方法の変法を示す。
図1は、本発明による方法の実施例を示すための装置図を示し;
図2は、方法の変法を示す。
図1に、例示的に、最も重要な方法工程及び装置を有する構成を示す。前記構成の場合、繊維材料P、例えばパルプ又は脱インキされた古紙は、水Wと共に、材料溶解装置10に導入される。前記材料溶解装置10は従来通りに構成されていてよく、つまり、該装置の底部領域に材料溶解装置スクリーン11並びに材料溶解装置ロータ12が包含されており、その際、該材料溶解装置ロータ12は、材料溶解装置中での活動を引き起こし、かつ材料溶解装置スクリーン11を閉塞から防護する。そのように溶解された繊維材料は、ここに示される実施例の場合、材料クリーナー14及び材料分離部15として象徴的に示されている複数のクリーニング装置に供給される。その後、繊維材料懸濁液Sのコンシステンシーを再度高めるために、スクリュープレス16が続く。スクリュープレス16のプレスろ液18は、溶解のために材料溶解装置10へ返送されてよい。その後、濃縮された繊維材料19は晶析装置20に達し、該晶析装置20は、供給された二酸化炭素ガス24を用いて、微細粒の填料の形での炭酸カルシウムの所望の沈降を生じさせるのに用いられる。二酸化炭素ガスは二酸化炭素供給装置21により準備され、かつ熱交換器22中で冷却媒体又は加熱媒体23を用いて所望の温度にされてよい。しかしながら、調温のためには別の可能性もあり、例えば、温度の上昇が目的にかなう場合には蒸気を直接添加するという方法もある。前置槽26中に、負荷された繊維材料懸濁液が集められ、場合により希釈水27で希釈される。
その後、直接、又は例えば叩解のような中間処理の後に、負荷された繊維材料懸濁液S’の分級が続く。ここでは例示的にかつ有利に、高効率の液体サイクロン13を有するクリーナー装置が使用される。該クリーナー装置は、重いフラクション2と軽いフラクション1とを形成する。付着した填料がより強度に負荷されている繊維は、より少なく負荷されている繊維よりも比重が高い。また、付着した填料がより強度に負荷されている繊維は、より硬いことがある。本発明により実施される分級は、特に沈降又は遠心力を用いた場合、前記の相違を利用する。従って、重いフラクション2は軽いフラクション1よりも多く填料が負荷された繊維を含むことを前提とすることができる。
軽いフラクション1はここで負荷プロセスに再送され、つまり、スクリュープレス16の供給部に導かれる。重いフラクション2は、繊維材料懸濁液28として、例えば(示されていない)抄紙機に供される。
図1に示される、填料、特に炭酸カルシウムを負荷するための装置部材は、簡略化された実施例に過ぎないものとみなされるべきである。多くの場合、漂白が組み込まれていてもよい。負荷の実施のための更なる詳細は、冒頭に記載した刊行物の記載から明らかである。負荷プロセスは、有利にオンラインプロセスとして製紙工場において運転される。
上記の通り、負荷される繊維材料の分級は、種々の材料品質を生じさせるか、もしくは種々の品質を製紙の際に提供するためにも用いられることができる。上記の方法に関して、図2は、実施例としての装置図を示すが、しかしながらその際、繊維材料懸濁液の溶解及び予備クリーニングはもはや示されていない。これは、図1又は同等の自体公知の装置部材に相応していてよい。本発明による方法を用いて、例えば、軽いフラクション1、つまりよりわずかに負荷された繊維を、重いフラクション2とは別個に、抄紙機又は厚紙用抄紙機のヘッドボックス32まで導くことができる。ここで、通常、他の成分30、31(繊維材料又は添加剤)の添加を行うことができる。ここに示されてはいないが、フラクションを別個に処理、例えば叩解することも可能である。
ヘッドボックス32はこの実施例の場合3つの層を形成している。有利に、特により高度に負荷された繊維のより高い強度及び/又はより良好な定着が利用されるべき場合には、軽いフラクション1は内側層に導かれ、かつ重いフラクション2は外側層に導かれる。複数のヘッドボックスを用いて複数の層を形成させることもできる。
抄紙機の不変の部分はここには示されていない。
1 軽いフラクション、 2 重いフラクション、 10 材料溶解装置、 11 材料溶解装置スクリーン、 12 溶解装置ロータ、 13 液体サイクロン、 14 材料クリーナー、 15 材料分離部、 16 スクリュープレス、 18 プレスろ液、 19 濃縮された繊維材料、 20 晶析装置、 21 二酸化炭素供給装置、 22 熱交換器、 23 冷却媒体又は加熱媒体、 24 二酸化炭素ガス、 26 前置槽、 27 希釈水、 28 繊維材料懸濁液、 30 他の成分、 31 他の成分、 32 ヘッドボックス、 P 繊維材料、 W 水
Claims (20)
- 繊維材料懸濁液(S)に填料、特に炭酸カルシウムを負荷するための方法であって、その際、水酸化カルシウムを液状又は乾燥した形で繊維材料懸濁液(S)に導入し、かつ、化学反応により填料を繊維材料懸濁液中で沈降させる方法において、負荷された繊維材料懸濁液(S’)を、異なる負荷度を有する少なくとも2つのフラクションに分級し、かつ前記のフラクションを別個に処理することを特徴とする方法。
- 分級を遠心力の適用により実施する、請求項1記載の方法。
- 分級を液体サイクロン(13)中で実施する、請求項2記載の方法。
- 液体サイクロン(13)が、少なくとも重力加速度の200倍の大きさの遠心場を発生する、請求項3記載の方法。
- より低い負荷度を有する少なくとも1の軽いフラクション(1)と、より高い負荷度を有する少なくとも1の重いフラクション(2)とを形成させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 軽いフラクション(1)を再度負荷する、請求項5記載の方法。
- 軽いフラクション(1)を、前記の軽いフラクション(1)を既に負荷したのと同一の負荷プロセスに再送する、請求項6記載の方法。
- 軽いフラクション(1)を別の負荷プロセスで負荷する、請求項6記載の方法。
- 軽いフラクション(1)及び重いフラクション(2)を異なる様式で叩解する、請求項5から8までのいずれか1項記載の方法。
- 軽いフラクション(1)及び重いフラクション(2)を異なる紙製品又は厚紙製品に使用する、請求項5から9までのいずれか1項記載の方法。
- 軽いフラクション(1)及び重いフラクション(2)を紙製品又は厚紙製品において異なる層で使用する、請求項5から10までのいずれか1項記載の方法。
- 出発材料として、0.1〜20%、有利に2〜8%のコンシステンシーの水性繊維材料、特に水性紙料を使用する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
- 沈降の際のプロセス温度が−15℃〜120℃、特に20℃〜90℃である、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
- 填料の化学的沈降をガス状の二酸化炭素により実施する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
- 斜方六面体、偏三角面体及び球状の結晶を生じさせる、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
- 結晶が0.05〜5μm、特に0.3〜2.5μmの寸法を有する、請求項15記載の方法。
- 負荷を、0〜15バール、特に0〜6バールの圧力範囲内で実施する、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
- 負荷を、6〜10、特に6.5〜9.5のpH値で実施する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
- 負荷を、0.1%〜60%、有利に15%〜35%の乾燥含分で実施する、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
- 沈降の反応時間が、0.03秒〜1分、特に0.05〜10秒である、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
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