JP2009540137A - カチオン性アミロペクチンデンプンを用いて紙を作製するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は製紙の分野に関する。より詳細には、本発明は、製紙におけるベッセルピッキング現象を減少させる方法に関する。本発明にしたがって、紙パルプ、すなわちウェットエンドにおいてカチオン性アミロペクチンデンプンを使用することにより、驚くべきことにベッセルピッキングの問題が有意に減少され得ることが見出された。

Description

本発明は製紙の分野に関する。より詳細には、本発明は、ユーカリなどの広葉樹パルプからの製紙における改善に関する。
過去何年かにわたって、ユーカリパルプは、木の生長の急速な速度の長所、ならびにシートの均一性および印刷適性に対する利点により、製紙において目立つようになってきた。これは、印刷および筆記グレードの紙だけでなく、白い表面の外装用ライナーにも及ぶ。グランディスユーカリ(E. grandis)およびグロブルスユーカリ(E. globulus)などのユーカリは、一般にイベリア半島およびラテンアメリカに関連している。世界の他の地域には、ハンノキ、アカシア、カバノキ、およびオークなどの土着の種を使用するための物流戦略的な確かな理由が存在する。
すべての広葉樹は、木材においていくつかの共通する構造的特性、もっとも著しくは導管(ベッセル)を有し、この導管は幹を通って分岐して送水管として働き、水を根から木の他の部分へ分配する。導管は通常、繊維よりもずっと幅が広く、製紙において導管により引き起こされる問題の多くの原因である。完成紙料における広葉樹導管の封入は、多くの広葉樹パルプ、特にユーカリを用いたものにおいていくつかの重大な印刷品質の問題を引き起こしている。
これらのパルプが最初に市場に導入された際、完成紙料においてそれらが使用されたコーティングされていない紙は、シートの表面由来のベッセルピッキング(vessel picking)に悩まされた。ピッキングは紙の表面を損傷するだけでなく、印刷機のブランケット上に蓄積し、運転の中間で洗浄のための停止を必要として印刷業者の時間をロスした。紙表面へのコーティングの接着を局所的に弱くすることによって、コーティングされたグレード上で導管が引き起こす引き抜き(pull-out)の危険性もあった。
そのうちに製紙業者が、多くの場合は改良された表面サイジングによって、問題を阻止するための種々の試みを行い、ベッセルピッキングについての印刷業者からの要求を時には許容できるレベルに減少させることができた。しかしながら、改良された表面サイジングは広葉樹パルプの価格の利点を部分的に無効にした。
さらに、過去4〜5年間に、5色または6色を印刷する新世代の印刷機と共にオフセット印刷機速度が増加してきたため、問題は再出現し、かつより悪い形にある。ベッセルピッキングは別として、コーティングされていない紙におけるインク拒絶の発生が前面に現れてきた。インク拒絶は、印刷された紙を顕微鏡下で検査した際に導管がまだ明らかに存在する場所で白いスポットとして現れる。ピッキングは導管の他の繊維および微粒子への弱い結合を意味するが、オフセットリト印刷機におけるインク拒絶は、インクの転移を減少させる低い表面エネルギー(不十分な湿潤性)および/または圧縮率における局所的変化を意味する。
本発明にしたがって、紙パルプ、すなわちウェットエンドにおいて特定のデンプンを使用することにより、驚くべきことにベッセルピッキングの問題が有意に減少され得ることが見出された。結果として、以前に必要であった、より高価かつ入念な表面サイジングの適合は過去のものとなった。ある特定の環境の下では、表面サイジングは完全に省略されてもよく、またはコーティング前の操作によって代替され得る。
また、本発明の結果は、ユーカリなどの広葉樹のより多い量がどのような強度またはベッセルピッキングの問題にも遭遇することなくパルプにおいて使用され得ることであり、品質に影響を及ぼすことなく生産された紙の価格を相当低下させ得る。
ウェットエンドにおいて特定のデンプンを使用することによって言及されるように、本発明のこれらおよび他の利点が達成される。本発明により使用される特定のデンプンは、カチオン性アミロペクチンデンプンである。
製紙におけるカチオン性デンプンの使用は以前に記載されている。
例えば、米国特許第2,935,436号は、非カチオン性デンプンの代わりのカチオン性デンプンの使用と多数の利点が関連していることを開示する。これらの利点の例は、デンプン、充填剤、および色素の増加した保持、増加した紙の強度(破裂強度、破壊強度、折りたたみ強度)、ならびにより低い用量である。
さらに、欧州特許出願第0 703 314号は、カチオン性アミロペクチンジャガイモデンプンが、任意で他の添加物に加えて、セルロース繊維の水性溶液に添加される、紙を製造するための方法であって、その後に従来の様式でこの懸濁液から紙を形成するための方法を開示する。通常のアミロペクチン含量を有するカチオン性ジャガイモデンプンまたはモチトウモロコシ(waxy maize)デンプンの使用と比較した際に、紙の強度への悪影響なくカチオン性アミロペクチンジャガイモデンプンを使用することによって、より多い量の充填剤が紙に組み込まれ得ることが記載されている。
米国特許第5,635,028号は、カチオン性デンプン、カルボキシメチルセルロース、および結合阻害剤がクレープ促進組成物として使用される、柔らかいクレープティッシュペーパーを作製するための過程を開示する。生産されたクレープ紙は、トイレットティッシュまたは顔用ティッシュペーパーとして使用されるよう意図され、その上に印刷するには不適切である。ベッセルピッキングの問題はそのようなクレープ紙においては役割を果たさない。また、クレープ紙は従来、表面サイジングには供されない。
大部分のデンプンの種類は、2種類のグルコースポリマーが存在する顆粒からなる。これらはアミロース(乾燥物質で15〜35重量%)およびアミロペクチン(乾燥物質で65〜85重量%)である。アミロースは、デンプンの種類に依存して1000〜5000の平均重合度を有する非分岐またはわずかに分岐した分子からなる。アミロペクチンは、1,000,000以上の平均重合度を有する非常に大きな高度に分岐した分子からなる。商業的に最も重要なデンプンの種類(トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、およびタピオカデンプン)は、15〜30重量%のアミロースを含む。
オオムギ、トウモロコシ、キビ、コムギ、ミロ、コメ、およびソルガムなどのいくつかの穀類の種類の中には、デンプン粒がほぼ完全にアミロペクチンからなる品種が存在する。これらのデンプン粒は、乾燥物質で重量%として計算すると、95%より多い、通常は98%より多いアミロペクチンを含む。したがって、これらの穀類デンプン粒のアミロース含量は、5%未満、通常は2%未満である。上記の穀類の品種はモチ性穀物とも称され、それらから単離されたアミロペクチンデンプン粒はモチ性穀類デンプンとも称される。
様々な穀類の状況と対照的に、デンプン粒がほぼ排他的にアミロペクチンからなる根および塊茎の品種は天然において知られていない。例えば、ジャガイモの塊茎から単離されたジャガイモデンプン粒は、通常、約20%のアミロースおよび80%のアミロペクチン(乾燥物質での重量%)を含む。しかしながら、過去15年の間、ジャガイモの塊茎において95重量%より多い(乾燥物質で)アミロペクチンからなるデンプン粒を形成するジャガイモ植物を遺伝子改変により栽培する成功裡の努力がなされてきた。実質的にアミロペクチンのみを含むジャガイモの塊茎を生産することが可能であることさえも見出されている。
デンプン粒の形成において、様々な酵素が触媒的に活性である。これらの酵素の中で、顆粒結合性デンプン合成酵素(GBSS)がアミロースの形成に関与する。GBSS酵素の存在は、該GBSS酵素をコードする遺伝子の活性に依存する。これらの特異的な遺伝子の発現の除去または阻害は、GBSS酵素の産生を予防または制限させる。これらの遺伝子の除去は、ジャガイモ植物材料の遺伝子改変または劣性変異によって実現され得る。それらの例は、GBSS遺伝子における劣性変異によってデンプンが実質的にアミロペクチンのみを含むジャガイモのアミロースフリー変異体(amf)である。本変異技術は、とりわけ、J.H.M. Hovenkamp-Hermelink et al., “Isolation of amylose-free starch mutant of the potato (Solanum tuberosum L.)”, Theor. Appl. Gent., (1987), 75:217-221、およびE. Jacobsen et al., “Introduction of an amylose-free (amf) mutant into breeding of cultivated potato, Solanum tuberosum L., Euphytica, (1991), 53:247-253に記載されている。
ジャガイモにおけるGBSS遺伝子の発現の除去または阻害はまた、いわゆるアンチセンス阻害を用いることによっても可能である。ジャガイモのこの遺伝子改変は、R.G.F. Visser et al., “Inhibition of the expression of the gene for granule-bound starch synthase in potato by antisense constructs”, Mol. Gen. Genet., (1991), 225:289-296に記載されている。
遺伝子改変を用いることによって、デンプン粒がほとんどまたは全くアミロースを含まない根および塊茎、例えば、ジャガイモ、ヤムイモ、またはキャッサバ(南アフリカ特許第97/4383号)を栽培しかつ繁殖させることが可能であることが見出されている。本明細書において言及されるとき、アミロペクチン‐ジャガイモデンプンとは、ジャガイモの塊茎から単離され、かつ乾燥物質に基づいて少なくとも95重量%のアミロペクチン含量を有するジャガイモデンプン粒である。
生産可能性および特性の点では、一方のアミロペクチン‐ジャガイモデンプンと他方のモチ性穀類デンプンとの間には有意な差異が存在する。これは、他を引き離して商業的に最も重要なモチ性穀類デンプンであるモチトウモロコシデンプンに特に当てはまる。モチトウモロコシデンプンの生産に適するモチトウモロコシの栽培は、オランダ、ベルギー、イギリス、ドイツ、ポーランド、スウェーデン、およびデンマークなどの冷涼なまたは温和な気候を有する国においては商業的に適していない。しかしながら、これらの国における気候はジャガイモの栽培に適している。キャッサバから取得されるタピオカデンプンは、東南アジアおよび南アメリカの地域に見られるような温暖な気候を有する国において生産され得る。
アミロペクチン‐ジャガイモデンプンおよびアミロペクチン‐タピオカデンプンなどの根および塊茎デンプンの組成および特性は、モチ性穀類デンプンのものとは異なる。アミロペクチン‐ジャガイモデンプンはモチ性穀類デンプンよりもずっと少ない含量の脂質およびタンパク質を有する。モチ性穀類デンプン産物(天然および改良された)を用いる際に脂質および/またはタンパク質のために起こり得る臭気および発泡に関する問題は、対応するアミロペクチン‐ジャガイモデンプン産物を用いる際には起きないか、または起きても程度がずっと低い。モチ性穀類デンプンと対照的に、アミロペクチン‐ジャガイモデンプンは化学的に結合したリン酸基を含む。結果として、溶解状態におけるアミロペクチン‐ジャガイモデンプン産物は独特な多価電解質特性を有する。
本発明は、一方で穀類および果実源、他方で根および塊茎源から取得されたカチオン性デンプンの使用を企図する。穀類デンプンの中で、モチトウモロコシデンプンが非常に適することが判明している。しかしながら、一般に根および塊茎デンプンがより好ましい。上記で示されてきたように、非常に低い含量の脂質および/またはタンパク質を有するデンプンを使用することが有利であることが多い。紙における強化剤としてのカチオン性アミロペクチン‐ジャガイモデンプンおよびアミロペクチン‐タピオカデンプンの使用は、特に強い紙シートをもたらすことが見出されている。
本発明にしたがって、アミロペクチンデンプンは、乾燥物質に基づいて95重量%より多い、好ましくは98重量%より多いアミロペクチンを含むデンプン粒から取得された、またはその形態におけるデンプンとして定義され、デンプン粒は、言及されたアミロペクチン含量を有して該デンプン粒が形成されるジャガイモの塊茎またはキャッサバの根などの植物源から単離される。
カチオン性デンプンを作製する方法はそれ自体が公知であり、例えば、O.B. Wurzburg (Ed.): Modified Starches: Properties and Uses, CRC Press Inc., Boca Raton, Florida, 1986, pp. 113-130の本の中のD.B. Solarek: Cationic Starchesにより説明されている。この本に記載されている方法はまた、原料として特定の選択された植物源のアミロペクチンデンプンを用いることによるカチオン性アミロペクチンデンプンの調製のために使用され得る。
Prufbauドライピック試験を用いて測定した、紙シートのベッセルピッキングの傾向を示す。
本発明によると、電気的に正に帯電した4級アンモニウム基を含むカチオン性アミロペクチンデンプンを使用することが好ましい。カチオン化反応の前、後、または間に、アミロペクチンデンプンは追加的に、物理的、化学的、および/または酵素的に改変されてもよい。本発明はまた、これらの追加的に改変されたアミロペクチンデンプンの使用も包含する。本発明により使用されるカチオン性アミロペクチンデンプンの置換度(DS)は、好ましくは0.005〜0.5の間、より好ましくは0.01〜0.2の間である。幅広い種類のアンモニウム化合物、好ましくは4級の化合物が、本発明にしたがう使用のためのカチオン性アミロペクチンデンプンの調製において採用され得るが、アミロペクチンデンプンを3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウムクロライドまたは2,3-エポキシプロピル-トリメチルアンモニウムクロライドで処理することによってカチオン性アミロペクチンデンプンを調製することが好ましい。
使用されるカチオン性デンプンの量は、使用されるパルプの種類、作業条件、および所望の紙の特性に依存すると考えられる。乾燥物質の紙パルプに対して計算して、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の乾燥物質のカチオン性アミロペクチンデンプンが使用される。
カチオン性アミロペクチンデンプンを好ましくは最初に水中でゼラチン化する。結果として生じたデンプン溶液を、任意で更なる希釈後に、パルプの塊に添加する。しかしながら、予めゼラチン化した冷たい可溶性カチオン性アミロペクチンデンプンを、乾燥産物としてまたは水に溶解後いずれかに、パルプの塊と混合することも可能である。
本発明は特に、ベッセルピッキングが問題である紙の製造を対象とする。これらは従来的に表面サイジングされる紙の種類である。紙の一つの好ましい部類は、シートオフセットまたは輪転オフセット(roto-offset)印刷過程において油を含有するインクを用いて印刷するよう意図される枚葉紙である。そのような油を含有するインクは高い粘着性(粘度)を有し、印刷の間に大きな力が紙の上に及ぼされることを必要とする。対照的に、クレープ紙は高い粘着性を有するインクを用いて印刷するには適さない。クレープ紙は従来、表面サイジングされない。
カチオン性アミロペクチンデンプンは、製紙過程における任意の時点で添加され得る。例えば、ヘッドボックス(head box)、ホランダー(Hollander)、ヒドロパルパー(hydropulper)、またはダスティングボックス(dusting box)中に配置される間にパルプに添加され得る。所望の場合、カチオン性アミロペクチンデンプンに加えてアニオン性デンプンもパルプに添加され得る。
上記で言及したように、本発明は、広葉樹から調製されたパルプの使用に関連した問題を特に扱う。したがって、乾燥物質に基づいて少なくとも5重量%の広葉樹パルプを含むパルプが製紙に使用されることが、本発明によると好ましい。より好ましくは、パルプは、乾燥物質に基づいて少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%の広葉樹パルプを含む。高度に好ましい態様において、パルプは、乾燥物質に基づいて30〜70重量%の間の広葉樹パルプを含む。広葉樹の適当な源は、オーク、カエデ、ポプラ、ニレ、ユーカリ、アスペン、ヒロハハコヤナギ(balsam cottonwood)、およびアカシアである。好ましい態様において、広葉樹パルプは、オーク、ユーカリ、またはMTH(すなわち、混合熱帯広葉樹)由来である。より好ましい態様において、広葉樹パルプはユーカリ由来である。パルプが完全には広葉樹由来でない場合、パルプの残りは、トウヒ、マツ、およびカラマツなどの種々の針葉樹源由来であってもよい。
製造された紙の表面処理がより低い程度で実施されてもよいか、または全く省略され得ることが本発明の利点の一つである。表面サイジングまたはコーティングなどの紙シートの表面処理は、製造される紙のベッセルピッキング耐性を増加させるために従来使用されてきた。典型的に、そのような表面処理はデンプンの使用を含む。
表面処理デンプンの通常の用量レベルは、シート重量に基づいて5〜10重量%である。100 g/m2の最終的なシート重量にとって、これは紙シートの各側面上における2.5〜5 gデンプンのデンプンピックアップ(starch pick-up)を意味する。本発明にしたがい製紙のウェットエンドにおいてカチオン性アミロペクチンデンプンを使用すると、紙の改善されたベッセルピッキング耐性のために、表面処理におけるデンプンピックアップが10〜40%減少され得る。したがって、本発明にしたがって紙を製造するための過程中の表面処理におけるデンプンピックアップは、シート重量に基づいて0.5〜6重量%、好ましくはシート重量に基づいて1〜4重量%と低くあり得る。
デンプンピックアップにおける減少は、最終的なシート重量における減少をもたらすと考えられる。シート重量におけるこの減損は、表面処理形成における色素の添加によって補償され得る。有利には、色素を表面処理デンプンに置換することによって、価格競争における全体的な低減が達成される。
本発明は次に、以下の非限定的な実施例によって説明される。
実施例1
本実施例においては、4級アンモニウム置換基(置換度0.035)を含む以下の2種類のカチオン性デンプン産物を、紙の製造のためのウェットエンド添加物として使用した。
A.カチオン性ジャガイモデンプン(乾燥物質の重量で約20%のアミロースを含む、Amylofax PW)
B.カチオン性アミロペクチンジャガイモデンプン(本発明にしたがって、乾燥物質の重量で約2%のアミラーゼを含む、PR0602A)
カチオン性デンプン産物を水中でスラリーにして、重量で10%のデンプンを有するデンプン懸濁液を形成した。本懸濁液を蒸気でゼラチン化した。取得されたデンプン溶液を水で希釈して乾燥物質の重量で1%にした。
試験パルプは、38%の長繊維、28%の短繊維(ユーカリ)、および34%のCTMPの混合物から構成されていた。紙シートにおいて16%の最終的な灰含量を得るために、炭酸カルシウムを充填剤として添加した。添加したカチオン性デンプンの量は重量で1.0%(乾燥物質)であった。ハンドシートフォーマー(hand sheet former)を用いて試験パルプからハンドシート(シート重量80 g/m2)を作製した。ハンドシートを重量で7%の水分含量まで乾燥させた。
ベッセルピッキングの傾向は、Tappi Journal, July 1994, page 185に記載されているようなPrufbauドライピック試験を用いてリンティング(linting)を行うことによって測定した。試験インクは高い粘着性のインク(Huber 408004)であった。ベッセルピッキングの傾向は視覚的に評価した。結果を図1に示す。
実施例2
本実施例においては、4級アンモニウム置換基(置換度0.035)を含む、実施例1において説明されたものと同じ2種類のカチオン性デンプン産物を使用した。
試験パルプは、42%の長繊維、8%の短繊維(ユーカリ)、および50%のCTMPの混合物から構成されていた。紙シートにおいて16%の最終的な灰含量を得るために、炭酸カルシウムを充填剤として添加した。添加したカチオン性デンプンの量は重量で1.0%(乾燥物質)であった。ハンドシートフォーマーを用いて試験パルプからハンドシート(シート重量80 g/m2)を作製した。ハンドシートを重量で7%の水分含量まで乾燥させた。
ベッセルピッキングの傾向は、Tappi Journal, July 1994, page 185に記載されているようなPrufbauドライピック試験を用いてリンティングを行うことによって測定した。試験インクは高い粘着性のインク(Huber 408004)であった。ベッセルピッキングの傾向は視覚的に評価した。結果を図1に示す。
結論
両方のパルプ品質(すなわち、実施例1および2両方)について、通常のカチオン性ジャガイモデンプンと比較してカチオン性アミロペクチンジャガイモデンプンを使用した際に、ベッセルピッキングの傾向において著しい改善が観察される。
実施例3
本実施例においては、4級アンモニウム成分(置換度0.035)を含む、実施例1において説明されたものと同じ2種類のカチオン性デンプン産物を使用した。パルプは、38%の長繊維、28%の短繊維(ユーカリ)、および34%のCTMPの混合物から構成されていた。紙シートにおいて10%の最終的な灰含量を得るために、炭酸カルシウムを充填剤として添加した。添加したカチオン性デンプンの量は重量で1.0%(乾燥物質)であった。
通常の抄紙機を用いて400メートル/分の生産速度でパルプから紙シート(シート重量200 g/m2)を作製した。このように取得した紙シートをDixonサイズ印刷機を用いて50メートル/分の操作速度で表面サイジングした。
表面サイジングデンプンとして、Perfectamyl A4692(AVEBE)の水性溶液を4%、8%、および12%の濃度で利用した。様々な紙シートのデンプン含量を、デンプンのグルコースへの酵素的変換の後、Boehringerによるヘキソキナーゼ法を用いたグルコース測定によって測定した。ベッセルピッキングの傾向は、Tappi Journal, July 1994, page 185に記載されているようなPrufbauドライピック試験を用いたリンティング試験を行うことによって測定した。試験インクは高い粘着性のインク(Huber 408004)であった。ベッセルピッキングの傾向は視覚的に評価した。結果を以下の表に示す。
Figure 2009540137
リンティング評価:1は非常に悪いことを意味し、10は優れていることを意味する。
表に示された結果から、カチオン性アミロペクチンジャガイモデンプンについては、非常に良好なリンティング性能を得るために0.7%の表面サイジングデンプンしか必要とされないことが見られ得る。伝統的なカチオン性ジャガイモデンプンについては、同じリンティング性能を得るためにずっと多くの表面サイジングデンプンが必要とされる。

Claims (9)

  1. カチオン性アミロペクチンデンプンがセルロース繊維の水性懸濁液に添加される、紙を作製するための方法であって、この懸濁液から従来の様式で紙を形成し、セルロース繊維の懸濁液が乾燥物質に基づいて少なくとも5重量%の広葉樹セルロース繊維を含む、方法。
  2. カチオン性アミロペクチンデンプンが、乾燥物質に基づいて少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%のアミロペクチンを含む、請求項1記載の方法。
  3. カチオン性アミロペクチンデンプンが、モチトウモロコシ(waxy maize)デンプン、または根もしくは塊茎のアミロペクチンデンプンである、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  4. デンプンがジャガイモまたはタピオカデンプンである、請求項3記載の方法。
  5. セルロース繊維の懸濁液が、乾燥物質に基づいて少なくとも10重量%の広葉樹セルロース繊維を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  6. 広葉樹セルロース繊維が、オーク、ニレ、ユーカリ、アスペン、ヒロハハコヤナギ(balsam cottonwood)、またはアカシアから取得される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  7. 紙が枚葉紙である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記請求項のいずれか一項記載の方法によって取得可能な紙。
  9. ベッセルピッキング(vessel picking)を減少させるための、少なくとも5重量%の広葉樹パルプを含むパルプからの製紙のウェットエンドにおけるカチオン性アミロペクチンデンプンの使用。
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