JP2009526201A - 小試料操作用の微細加工されたツール - Google Patents
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Abstract
小さくデリケートな試料を操作するのに有用な微細加工ツールは、薄いプラスチックフィルムから形成される。上記フィルムは適度に柔軟性があるが、いくらかの硬さを与えるため円筒若しくは平らな支柱の周りに巻くことで好ましくは曲げられるように、僅かな厚さ(好ましくは5〜50マイクロメートルで、一般的に10マイクロメートル)及び僅かな横寸法(好ましくは2mm以下、一般的に0.1〜1mm)を有する。プラスチックの柔軟性及び薄さは、ツールとの偶然の接触の間における試料の損傷の危険を減じる。その薄さは、光学的に及びX線の透過を可能にし、その結果、試料は、操作の間、明らかに視覚化することができ、ツールは、試料からのX線データを収集するのに使用可能である。オプションとして、X線感知蛍燐光体が低濃度でフィルムに組み入れられる。このことは、X線ビームがマウントつまりツール上に視覚的に位置決めされるのを可能にする。プラスチックは、また、所望の疎水性か親水性を得るために処理され、あるいは機械的に浮き彫りされ又はすりはがされ、あるいは試料の付着を促進するか抑制するフィルム(例えばペグレーション手順によるポリエチレングリコール又はPDMSの)で覆われることができる。
Description
本発明は、一般的には、小さくて(1mm〜1マイクロメートル)デリケートな試料を操作し測定するために用いることのできる様々な微細加工ツールに関する。それらの試料は、巨大分子の結晶、小さな分子結晶、細胞、組織、及び細胞の小器官を含む。行なわれる操作の例は、試料の寸法や温度を測定すること、溶液又は成長培地から試料を回収すること、ある溶液から別の溶液へ試料を移送すること、物質表面に付着している試料を除去すること、試料を繊細に一方強固につかみ及び保持すること、並びに、視覚若しくはエックス線検査のために試料を装荷することを含む。
蛋白質及びウイルスの結晶、細胞及び組織のような試料は、非常にもろく、固い(例えば金属)物体との偶発的な接触によって容易に損傷を受けることができる。それらは、しばしば、スライドガラス、又はそれらが成長するガラス、プラスチック、あるいは金属の容器に付着し、除去するのが困難である。それらは、しばしばクラスタにおいて共に現存するか、蛋白質外皮、ゲル、あるいは脂質のような他の物質に覆われ、その結果、それらは、個々の試料を研究するために分離され抽出されねばならない。それらは、しばしば一つの溶液あるいは媒体から別のものへ移送されなければならない。販売されている微細な先端をなす金属ツール、つまりHampton Research(http://www.hamptonresearch.com/)により販売されるドイツ製のMicro-Tools(登録商標)のようなものが、そのような作業を達成するために用いることができる。
しかしながら、それらの硬さ及び剛性、並びに手動移動に関連して避けられない不正確さ及び振動のために、それらは、しばしば、単に偶発的な接触でさえ、関心のある試料を損傷あるいは破壊する。また、それらは、例えばタンパク質結晶学への関心を増す、より小さな試料(100マイクロメートル以下)には大きすぎる。結果として、そのような小さな生体試料及び他の小さいデリケートな試料を、損傷あるいは破壊することなく扱うために使用可能なツールが必要である。
本発明は、前述の必要を満たし、薄いプラスチックフィルムから形成される微細加工されたツールの多くの実施形態を備える。この基本デザインは、その全体を参考として本明細書内に組み込まれる、公開された米国特許出願番号US20060086315(以下、「'315出願」)に開示される発明から導き出される。'315出願は、X線結晶学及び分子構造決定に関して結晶を操作し装備するための新しい種類の装置を開示する。それらの装置は、そのベースが円筒状の支柱に取り付けられている、微細加工されたポリマーフィルムから成る。小さいデリケートな試料を操作し測定するのに有用な様々なツールを作製するために、同じ基本的な構造が本発明において用いられている。
そのフィルムは、1mmオーダーの横寸法に比べて小さい厚み(好ましくは5〜50マイクロメートル、典型的に10マイクロメートル)を有する。従って、上記フィルムは、ポリイミド及びマイラーのような通常のポリマーを用いて作製されたとき、適度に柔軟である。流体及び他の力の存在において、上記フィルムが左右にばたばた動かないようにするために、フィルムは、フィルムのベースが支柱の周りを包むことにより、好ましくは曲げられており、これにより、フィルムがその形状及び支柱に関する配向を維持するようにフィルムにある程度の硬さが与えられる。多くの同じ方法で、刃及び花弁がそれらの湾曲により硬くされるが、例えば小さな力が一端に作用したとき、それらは撓み曲がる程、非常に薄く柔軟である。あるいは、柔軟性がサイズを小さくすることよりも重要でない応用例では、フィルムの厚さを増すことにより、硬さを得ることができ、この場合、フィルムは、支柱のまわりで曲がらずに用いることができる。プラスチックの柔軟さは、金属ツールと比較して、試料の損傷を減らすだろう。プラスチックの薄さ(フィルムの横寸法に関して)、及びその結果得られる小さな弾性の剛性は、試料接触の間に、フィルムを容易に曲げて撓ませ、さらに、例えば金属ツールと比較して、試料損傷の機会を劇的に最小化する。フィルムの薄さは、光学的に及びX線を透過させ、その結果、ツールは、フィルムに取り付けられた試料からX線データを集めるのに使用可能であり、あるいは、光学顕微鏡における検査の間、試料を保持するのに使用可能である。オプションとして、CaWO4、ZnS:Cu、CdWO4、あるいはGd2O2S:PrのようなX線感知の螢燐光体が低濃度でフィルムに組み入れられる。このことは、X線ビームをツール上に視覚的に位置させることを可能にする。プラスチックは、また、所望の疎水性か親水性を得るために処理され、あるいは試料の付着を促進するか抑制するフィルム(例えばペグレーション手順によるポリエチレングリコール又はPDMSの)で覆うことができる。
本発明の様々な実施形態への特定の言及において、第1の実施形態は、ポリマーフィルムの光透明性が、フィルムを通して、測定される試料を視覚化可能にする試料測定用ツールを含んでいる。支柱の周りでフィルムのベースを包むことにより引き起こされた僅かなフィルムの湾曲によって提供される硬さの増加は、例えば粘性のある液体における測定を容易にする。また、フィルムの薄さは、フィルムが平坦面に押しつけられたときに曲がり平坦になることを可能にする。ツールの柔らかさ及び柔軟性は、蛋白質結晶、細胞、組織等のような、柔らかくデリケートで壊れやすい試料を、それらを損傷することなく押したり又は基板から除去するのに使用されることを可能にする。この柔らかさ及び柔軟性は、また、ツールとの偶発的な接触の間に試料損傷の機会を最小限にする。測定ツールは、例えば試料が存在する溶液内で、及び測定される試料の寸法の配向と一致するその配向で、測定されている試料の隣りに正しく置くことができる。従って、ツールは、顕微鏡網線よりも、より広い種類の試料状態の下で正確な測定を提供し、それは、例えばレンズの外側表面と同じ媒体において光軸に垂直な面のみで寸法を正確に測定する。
測定ツールは、試料寸法の測定を容易にする一若しくは複数の目盛りを好ましくは含んでいる。50マイクロメートルから5マイクロメートル以下の分解能で、サブミリメートルの試料の線寸法の測定を得ることができる。それが水平の代わりに垂直に走るように、目盛りを回転することによって、得られたツールは、配置された上端に対向する基板上方の高さ又は厚さを測定するために用いることができる。同様の直交する目盛りは、単一のツールの上部端及び側部端の両方にパターン化することができる。直交する目盛りは、四角い穴とともにツールの周りにパターン化することができ、試料の両方の寸法を同時に測定可能にする。フィルムの固い領域内に目盛りのバー(ここにフィルムはない)をパターン化する代わりに、目盛りは、ツールからの規則的な突部により形成することができる。微細加工は、測定器の形状において著しい柔軟性を提供する。フィルム上の印は、ツールの軸に沿って又は垂直に、標準間隔(例えば100マイクロメートル)で規則的に間をあけて、例えばフォトリソグラフィーのパタニングにより作製され、線寸法(例えば幅及び厚さ)の測定を可能にする。印は、また、分度器におけるように、角度において規則的に間隔をあけることもでき、角度寸法の測定を提供する。角度の印は、また、測定される試料が配置される開口の周りに分配することもできる。
本発明の別の実施形態は、結晶操作用のツール、特に、溶液からデリケートな試料をすくい上げるための、及び溶液を網目を通して流れ出させるためのツールを備える。網目寸法は、回収されるべき試料のサイズ、及び試料が存在する溶液の粘性に依存し、一般的に数マイクロメートルから100マイクロメートルあるいはそれ以上まで変化することができる。それらのツールは、他の溶液/媒体へ試料を転送し、かつ他の媒体における浸透の間に試料を保持するために用いることができる。再び、これらのツールの小さい厚み及び柔軟性は、基板に付着し優しく除去される非常に薄い(20マイクロメートル)試料の底部にツールを押しつけることを可能にし、試料の損傷を最小にして、試料の真下にツールを滑らせ、試料をすくい上げることを可能にする。
本発明の第3実施形態は、脆弱な試料を抽出するために蛋白質表皮、ゲル剤、脂質相、細胞、及び薄い組織層のような柔らかい物質を切断するための、プラスチックの微小鋸を備える。蛋白質「表皮」(室温に放置されたミルク上に形成されるもののような)は、蛋白質結晶成長滴から結晶を回収することに対して主な障害である。結晶は、また、脂質溶液あるいはゲル剤−柔らかく、多孔性で、水で満たされた構造、の中で成長され、それらから抽出されねばならない。細胞膜は脂質二重層である。蛋白質薄膜の厚さは、一般的に数マイクロメートルである。よって、鋸における鋸歯のピッチは、最適な切断作用に関して匹敵するサイズでなければならない。蛋白質滴のサイズは、一般的に1mmである。よって、切断ツールは、このサイズと比較して小さくなければならない。よって、微細加工は、これらの小さな微細ツールの製造にとって理想的である。金属の微小鋸と異なり、それらの柔らかい、柔軟なプラスチック鋸は、柔らかい物質を切断し試料を抽出することにとって理想的であり、特に、その柔軟性は、歯との偶発的な接触による試料損傷のリスクを最小限にする。更に、切断される物質は非常に柔らかいので、プラスチックの鋸は、切れ味が悪くなる前に多数回使用するのに十分に頑丈である。鋸刃への硬さは、円形の金属又はプラスチックの支柱の内側か外側の周りで鋸刃のベースを包むことにより、鋸刃を曲げることにより与えることができる。再び、鋸刃は、曲がり、基板に対して平らに位置するように、基板に押すことができ、次に、基板に付着している対象物を切り取るために用いることができる。それは非常に薄いので、それは透明であり、切断の間、試料の視覚的な障害を最小限にする。エッチングあるいは複数の層堆積が製作にて用いられる場合、刃の厚さは、切断端付近で先細りにすることができる。フィルムは、単一の切断端(パン切りナイフのような)あるいは2つの切断端(短剣のような)を有することができる。鋸歯状ではなく「ナイフ」状の形状を有するツールもまた使用可能である。
本発明及びその変形例の第4の実施形態は、壊れやすい試料をしっかりと保持するためのツールを備える。第1から第3の実施形態、及び'315出願に記載されているツールは、すべて、試料とツールとの間の表面張力/毛管力に、試料とツールとの間の他の接着力(凍結された液体によるような)に、あるいはツールに試料を保持する重力の力に依存する。多くの場合において、試料をよりしっかりと保持する必要がある。液体の冷凍剤における急冷却、過剰の液体を除去するためのスピニング、あるいは大きな表面張力を有する液体に浸すような、多くの試料操作は、ツールから試料を移動及び除去可能な大きな加速度、及び/又は大きな力を含む。例えば液体力によって適所に保持されるとき、重力のような小さな外力でさえ、十分に長い間、作用するときには、ツールに対して試料を移すことができる。例えば、室温タンパク質結晶学において、結晶は、データ収集の間にツール(あるいは、ガラス毛細管、毛管壁を用いる従来のマウント法において)を滑り落ちる傾向があり、これはX線回折データを破壊する。結晶学者は、また、結晶をシンクロトロンX線源へ室温で輸送可能にしたく、このことは、輸送及び一週間までの期間の保存の間、結晶を損傷することなくしっかりと保持する幾つかの方法を必要とする。より一般的に、検査の間、試料をしっかりと保持することを望み、これは、蛋白質結晶及び細胞のような小さく壊れやすい試料に関する挑戦である。
壊れやすい試料をしっかりとつかむために用いることができるツールの多くの変形例は本明細書に示されている。現在、例えばタンパク質結晶学中で用いられるすべてのツールと異なり、これらのツールは、しっかりと試料をつかむ積極的な捕獲動作を有する。一つの変形例において、ツールは、一連の小さな柔軟な歯あるいはフィンガーが並べられた開口から成り、ツールは、それらのフィンガーで試料をつかむために試料上に押し下げることができる。ツールが試料上に押し下げられたとき、ツールの柔軟なフィンガーは上方へそれ、しっかりとロッドをつかむために構造にて用いられるワッシャーに類似して、側方から試料をつかむ。それらのツールの幅及び直径は、2mm以下であり、フィンガーは、一般的におよそ10〜50マイクロメートルの幅を持っている。プラスチックフィルムの薄さ、及びそれらの長さに比例した小さなフィンガー幅の組み合わせは、損傷せずにつかむことができる非常に柔らかなバネ定数を生成する。バネ定数は、フィンガーの幅、長さ、及びフィルムの厚さの調節、並びにフィルムに用いられたポリマーにより調整することであつらえることができる。バネ定数は、梁の剛性に関する標準的な公式を用いて計算することができる。各フィンガーによって試料にかけられる圧力は、試料に接触するそれらの領域を増加させるために先端端部にひだを入れることにより減じることができる。把持動作を改善する、あるいはそれらの弾性的な応答をあつらえるため、それらは、曲げられ、T字形状にされ、鋸歯状、等にすることができる。エッチングが用いられる場合、フィンガーは、異なる厚さを持つことができ、また、それらは、試料への付着を増すために様々な機械的、化学的な表面処理を持つことができる。より一般的に、微細加工は、それらのツールの形状及び表面特性の可能性をほとんど制限せず、把持部のフィンガーが一つの材料で作られ、ツールの残り部分が第2の材料で作られる2層フィルムの使用を含む。重要な特徴は、前述の実施形態のように、表面に対してそれるようにツールの端部が全体としてツールのベースに関して弾性的に曲がることができるということであり、このことは、良好な把持動作を容易にする。ツールの迎え角をほぼ直角方向に規制可能なように、多数のウェル細胞培養あるいは結晶化板におけるウェルのようなきつく閉じ込められた空間から試料が回収されるときに、これは、特に重要である。例えば第2の実施形態のツールの一つを使用して、試料は、また、ツールへ押し下げることもできる。
把持作用を改善するために、単一のツールは、一連の長さを有する「フィンガー」を持つことができ、それはその側方で異なる高さで結晶をつかむ。ツールが試料上に押し下げられたとき、長いフィンガーは、試料の上部を下へ押して上方へそれることができ、短いフィンガーは、適所にそれを保持して、試料の底に押しあげることができる。開口の形状は、立方体又は棒状体のような異なる形状の試料に一致するようにあつらえることができる。X線回折応用例に関し、試料開口のまわりのプラスチックの幅は、適切な硬さ用の十分な幅を維持しながら最小化すべきである。フィルムは、試料に押しつけられたとき、簡単にはためかないようにフィルムの固さを増すため、支柱の周りあるいは内部にてベースを包むことにより、再び曲げることができる。このようにフィルムを曲げることによって、ツール全体としての構造剛性は、フィンガーよりずっと大きくすることができる。
試料をつかむために反対に作用するフィンガーを有する別の種類のツールでは、中央のフィンガー若しくはタブが上方に引き上げられ、あるいは下方に押される(例えば、手動又はロボットのマイクロマニピュレータに取り付けられたロッドを使用して)。ツールの2つの「ジョー」は、試料の周りに配置可能であり、フィンガーが解放され、試料が把持される。この種のツールは、薄板及び棒状体をつかむことに特に適している。ツールの把持を改善するために、フィンガーは、単一の、試料サイズの穴部でパターン化可能であり、つまり、フィルムの把持部は、穴部、鋸歯状の切り込み、あるいは他の特徴でパターン化可能であり、あるいは、フィルムは、柔らかい、又はPDMSのような粘着性のポリマーで覆うことができる。ツールが透明なポリマーで作られていれば、それは回収の間、試料の視認の障害を最小にするだろう。また、フィルムは柔軟で弾性であるので、下部の「ジョー」は、平坦な基板に押されることができ、基板に付着する試料を除去するのに使用され、そして、ジョーが閉じられる前に、試料の下を滑る。2つのフィンガーの形態では、それらがともに持ち上げられ下降可能なように、互いに接続されている。3つのフィンガーの形態では、3つの平行で独立したフィンガーが独立してそらすことができる。例えば、中央のフィンガーは上向きにそれることができ、他の2つのフィンガーは、試料の下に滑り、そして中央のフィンガーが、適所に試料を留めるために解放可能である。
もう一つの関連する種類のツールは、2つの柔軟なパドル間に試料をつかむ。最も単純な場合において、ツールのフィルムは、平らであり、試料は、例えば、試料を覆いパドルを押し下げることによって、あるいは一つのパドルを上げてパドル間で試料をつかむことによって、パドル間に挿入される。パドルは、支柱に別々に取り付けられた2つの分離した部分として、あるいは単一の部分として作製可能であり、試料上の把持を改善するために、開口、フィンガー、鋸歯状の切り込み、あるいは他の特徴を有することができる。開口の内側に並べたフィンガーを有する「グリッパー」ツールと比較して、これらのツールは、広範囲の試料サイズをつかむことができる。それらは、また、板状又は棒状の試料を効率的につかむことができ、対向するパドルの鋸歯状の切り込みが相補的で重なり合う場合には、特にである。別の構成は、互いに関してある角度で2つのパドルを有し、曲がった支柱の周りでそれらを包むことにより、又は、平らな若しくは先細りの支柱の反対側にそれらを取り付けることにより製造される。湾曲は、パドルにいくらかの堅さ、及び試料に押しつけられたときに曲がる優先方向を与える。パドルの詳細な形状は、応用例により変化させることができる。
本発明の別の実施形態において、アジアの切り紙のアートのように、平らに作製されるが三次元構造に飛び出るツールが提供される。この実施形態では、平らなフィルムは、三次元のかごを形成するために飛び出て、2つの方法で用いることができる。最初に、それは試料上に押し下げることができ、かごを飛び出させる。そしてかごの側方は、試料の側方をしっかりとつかむ。プラスチックは、飛び出した状態を維持するために十分な薄さ及び柔軟性を有しなければならず、また、壊れずに、好ましくは塑性変形した方がよい。
本発明の別の実施形態は、試料温度測定用ツールを備える。多くの応用において、人は試料の温度を知りたい。例えば、冷凍結晶学において、X線データ収集の間、試料を冷たい状態に維持するため、試料は、冷たいガス(窒素又はヘリウム)流内に置かれる。試料の温度は、ガス流をどのように調節するか、周囲条件、及びガス流内の試料の位置で変わる。この実施形態において、'315出願に開示された試料ホルダーは、ここに記載したいずれのツールと同様に、一体化した熱電対とともに形成することができる。ツールは、ポリイミド又はマイラーのようなポリマーから再び微細加工される。2つの異なる金属層がパターン化され堆積され、その結果、それらは先端で重なり合い、熱電対結合を形成する。金属は、例えばスパッタリング(フィルムの加熱を減じるため)により、ポリマーフィルム上に堆積可能である。従来のフォトレジスト・パタニング及びウェット又はドライエッチングが、最終パターンを形成するために、金属を除去するのに用いることができる。熱電対結合の非常に小さいサイズ(10〜20マイクロメートル)、小さな断面積及びつまりそのリードの低い熱伝導、並びに、試料への結合の接近は、正確な温度測定を確実にする。試料ホルダーに加える結合の非常に低い熱質量、及び薄いフィルムの設計は、また、温度の変化への時間的に非常に迅速な応答を確実にする。別の設計において、温度センサー用の熱電対の代わりに、サーミスターが使用される。サーミスターは、ポリイミド上にアモルファス・シリコン層を堆積しパターン化することにより作製可能である。横寸法を小さくすることで、サーミスターは非常に薄くなり、よって、曲げによる破損のリスクなく小さな熱質量を有することができる。
本発明の特徴及び利点は、添付の図面と共に、以下の多くの好ましい実施形態の詳細な記述から明らかになるであろう。
本発明の様々な好ましい実施形態の詳細な考察に関して、微細加工されたツール設計の各々に基本なことは、各々が薄いフィルム片から形成され、必須ではないが好ましくはそれらは円筒状の支柱の周りに包まれる。円筒状の支柱を用いるツールにおいて、フィルムの下部における水平及び垂直のスリットは、円筒状の支柱の上部及び側部の位置を規定する。好ましくは、フィルムは、ポリイミド又はマイラーのようなポリマー(プラスチック)から形成され、それは、厚さ5〜50マイクロメートルで、好ましくは10マイクロメートルであり、非常に柔らかいバネ定数を有し、例えば金属ツールよりも壊れやすい試料に損傷を与えそうにない。その薄さのため、測定の間に例えばガラス又はプラスチック表面の固い基板に対して、先端が容易に平らになる。フィルムは、横寸法1mm以下を有し、好ましくは微細加工方法によって製造される。さらに、フィルムは、測定されている試料がフィルムを通して可視可能なように、好ましくは透明である。ツールがX線(あるいは電子線又は紫外線のような他の放射線)のビームと共に用いられるとき、フィルムは、その放射線を感知できる螢燐光体(例えばX線の場合のCaWO4)を低濃度で含むことができる。このことは、X線若しくは他の照明光線がツール上に視覚的に配置されることを可能にする。プラスチックは、また、所望の疎水性か親水性を得るために処理され、あるいは機械的に浮き彫りされ又はすりはがされ、あるいは試料の付着を促進するか抑制するフィルム(例えばペグレーション手順によるポリエチレングリコール又はPDMSの)で覆われることができる。
A.試料測定用ツール
本発明の第1の好ましい実施形態の3つの変形例が、図1A、図1B、図1Cに図示され、それぞれ3種類のツール10、12及び14を備え、それらは、蛋白質結晶、細胞、組織等のような特に柔らかく、デリケートな生体試料の寸法を測定するために使用可能である。理想的に、各ツールは、透明なポリマーフィルム16で作られており、その結果、測定されている試料は、フィルムを通して目で見ることができる。フィルム16のベースを円筒状で斜めの支柱18に取り付けることにより付与された僅かな曲がりは、フィルムに硬さを与え、例えば粘性の液体における測定を容易にする。フィルム16の薄さは、平坦面に対して押し下げられたときに、平坦になることを可能にする。ツールの柔らかさ及び柔軟性は、壊れやすい試料を損傷せずに、その試料を押すか除去するために用いられることを可能にする。測定ツールは、例えば試料が存在する溶液において測定されている試料の隣に、測定される試料寸法の向きをその向きに一致させた状態で、正しく置くことができる。従って、ツールは、顕微鏡網線よりも、より広い種類の試料状態の下で正確な測定を提供し、それは、例えばレンズの外側表面と同じ媒体において光軸に垂直な面のみで寸法を正確に測定する。
本発明の第1の好ましい実施形態の3つの変形例が、図1A、図1B、図1Cに図示され、それぞれ3種類のツール10、12及び14を備え、それらは、蛋白質結晶、細胞、組織等のような特に柔らかく、デリケートな生体試料の寸法を測定するために使用可能である。理想的に、各ツールは、透明なポリマーフィルム16で作られており、その結果、測定されている試料は、フィルムを通して目で見ることができる。フィルム16のベースを円筒状で斜めの支柱18に取り付けることにより付与された僅かな曲がりは、フィルムに硬さを与え、例えば粘性の液体における測定を容易にする。フィルム16の薄さは、平坦面に対して押し下げられたときに、平坦になることを可能にする。ツールの柔らかさ及び柔軟性は、壊れやすい試料を損傷せずに、その試料を押すか除去するために用いられることを可能にする。測定ツールは、例えば試料が存在する溶液において測定されている試料の隣に、測定される試料寸法の向きをその向きに一致させた状態で、正しく置くことができる。従って、ツールは、顕微鏡網線よりも、より広い種類の試料状態の下で正確な測定を提供し、それは、例えばレンズの外側表面と同じ媒体において光軸に垂直な面のみで寸法を正確に測定する。
図1Aにおけるツール10は、50マイクロメートルから5マイクロメートル以下の分解能にてサブミリメートルの試料の線寸法の測定を可能にする、目盛り20をその先端に備える。水平の代わりに垂直に目盛りが延在するように目盛り20を回転することにより、得られたツール10は、上端が対向して置かれる基板上方の高さ又は厚さを測定するのに使用可能である。フィルムの固い領域内に目盛り(ここにはフィルムはない)をパターン化する代わりに、図1Bのツール12におけるように、目盛り22は、ツールからの規則的な突部によって形成することができる。図1Cのツール14は、分度器のように、小さい試料の角度寸法の測定を可能にする、曲がった目盛り24を含んでいる。これは、例えば、その結晶学的な形態を決定するために結晶のファセット間の角度を測定するのに有用である。また、目盛り24は、外側周面上に規則的な突部によって形成することができる。図1Dにおけるツール26は、測定される試料の両方の寸法測定を同時に可能とする直交する目盛り20が長方形の開口28の周りにどのようにパターン化することができるのかを示す。同様に、角度目盛りは、円形の開口の周りにパターン化することができる。微細加工は、測定器の形状における顕著な柔軟性を提供する。
好ましくは、フィルム上の測定印は、例えばリソグラフィーのパタニングにより、ツールの軸に沿って若しくは垂直に、標準的な間隔(例えば100マイクロメートル)で規則的に間隔を開けて作製され、線寸法(例えば幅及び厚さ)の測定を可能にする。フィルム上の印も、分度器のように、角度において規則的に間隔をあけて作製可能であり、角度寸法の測定を提供する。
B.結晶操作用ツール
本発明の第2の好ましい実施形態は、微結晶及び他の小さくデリケートな試料を操作するためのツールを備える。図2は、溶液からのデリケートな試料をふるいにかける、又はすくうために使用可能なツール30を示し、ツール30は、開いた網目32を通して溶液が流れ出ることを可能にする。ツール30は、試料を他の溶液/媒体に移送するのに使用可能であり、かつ他の媒体中に浸かる間、試料を保持するために用いることができる。円筒状の棒状体(18のように)の周りをプラスチックフィルム34で包むことにより与えられた湾曲は、良好な硬さを維持するために欠くことのできないことであることに注意しなければならない。フィルムの薄さは、例えばガラス又はプラスチックの表面のような固い基板に対して先端38を容易に平らにすることを可能にし、最小の損傷可能性で、表面に付着している試料を押して取り出すことを可能にする。平らな、曲がった、あるいは尖った先端は、基板から試料を除去するために、及び互いに付着した試料を分離するために好ましくは使用される。フィルム34は、試料の形状にほぼ一致するように輪郭が描かれた開口40を有することができ、開口40は、30マイクロメートルから1mmであり、試料が付着している基板に押して取り出すよりも試料が引っ張られることを可能にする。網目32を形成する開口40の配列を設けることができ、開口の寸法は、5マイクロメートルから100マイクロメートルであり、過剰の液体を流すのに十分大きいが、試料を保持するのに十分に小さく、開口40は、試料をすくい上げることを可能とし及び取り囲む液体を除去可能とし、あるいは、網目32を介して試料へ液体を流すことを可能とし、液体へ試料がより均一に現れることを提供する(重要、例えば、試料へ液体を浸すことにおいて)。
本発明の第2の好ましい実施形態は、微結晶及び他の小さくデリケートな試料を操作するためのツールを備える。図2は、溶液からのデリケートな試料をふるいにかける、又はすくうために使用可能なツール30を示し、ツール30は、開いた網目32を通して溶液が流れ出ることを可能にする。ツール30は、試料を他の溶液/媒体に移送するのに使用可能であり、かつ他の媒体中に浸かる間、試料を保持するために用いることができる。円筒状の棒状体(18のように)の周りをプラスチックフィルム34で包むことにより与えられた湾曲は、良好な硬さを維持するために欠くことのできないことであることに注意しなければならない。フィルムの薄さは、例えばガラス又はプラスチックの表面のような固い基板に対して先端38を容易に平らにすることを可能にし、最小の損傷可能性で、表面に付着している試料を押して取り出すことを可能にする。平らな、曲がった、あるいは尖った先端は、基板から試料を除去するために、及び互いに付着した試料を分離するために好ましくは使用される。フィルム34は、試料の形状にほぼ一致するように輪郭が描かれた開口40を有することができ、開口40は、30マイクロメートルから1mmであり、試料が付着している基板に押して取り出すよりも試料が引っ張られることを可能にする。網目32を形成する開口40の配列を設けることができ、開口の寸法は、5マイクロメートルから100マイクロメートルであり、過剰の液体を流すのに十分大きいが、試料を保持するのに十分に小さく、開口40は、試料をすくい上げることを可能とし及び取り囲む液体を除去可能とし、あるいは、網目32を介して試料へ液体を流すことを可能とし、液体へ試料がより均一に現れることを提供する(重要、例えば、試料へ液体を浸すことにおいて)。
C.壊れやすい試料を抽出するために柔らかい物質を切断するツール
図3は、蛋白質表皮、ゲル、脂質相、細胞、及び薄い組織層のような、柔らかい物質を切断するために特に設計された鋸ツール50を示す。蛋白質「表皮」(室温に残されたミルク上に形成されるようなもの)は、蛋白質結晶成長滴から結晶を回収することへの主な障害物である。結晶は、また、脂質溶液あるいはゲル剤−柔らかで、多孔性で、水で満たされた構造−の中で成長され、それらから抽出されねばならない。細胞膜は、脂質二重層である。蛋白質表皮あるいはフィルムの厚さは、一般的に数マイクロメートルである。したがって、鋸ツール50における鋸歯52のピッチは、最適な切断動作のために匹敵する寸法でなければならない。結晶化において用いられる蛋白質滴、及び結晶化と細胞培養板におけるウェルの寸法は、1mmのオーダーである。したがって、切断ツール50は、この寸法に匹敵するか又は小さくなければならない。よって、微細加工は、これらの小さな微細ツールの製造に関して理想的である。金属の微小鋸と異なり、柔らかいプラスチック鋸は、柔らかい物質を切断し、鋸刃との偶発的な接触による試料損傷のリスクを最小化しながら試料を抽出することに関して、理想的である。それらは、また、透明であり、切断の間、小さい試料をより容易に見ることを可能にする。更に、切断される物質は非常に柔らかいので、プラスチック鋸は、鈍くなる前に多数回使用されるのに十分なほど頑丈である。鋸刃への硬さは、鋸歯を曲げることにより、円形の金属かプラスチックの支柱の内側又は外側の周りでそれらを包むことにより、与えられる。また、図3に示すものと類似だが鋸歯52の無い、「ナイフ」のような形状を有するツールも使用可能である。好ましくは、5〜50マイクロメートル、好ましくは10〜20マイクロメートルの歯サイズを有するギザギザのある端54が使用される。その端は、直線あるいは湾曲することができ、一つ又は両方の端を鋸状にすることができる。代わりに、上記鋸は、より固く製作するために、金属(例えばタングステン)、半導体(例えば窒化ケイ素)、あるいはガラス(二酸化ケイ素)から微細加工することができるが、これは、壊れやすい試料を損傷するリスクを増してしまう。
図3は、蛋白質表皮、ゲル、脂質相、細胞、及び薄い組織層のような、柔らかい物質を切断するために特に設計された鋸ツール50を示す。蛋白質「表皮」(室温に残されたミルク上に形成されるようなもの)は、蛋白質結晶成長滴から結晶を回収することへの主な障害物である。結晶は、また、脂質溶液あるいはゲル剤−柔らかで、多孔性で、水で満たされた構造−の中で成長され、それらから抽出されねばならない。細胞膜は、脂質二重層である。蛋白質表皮あるいはフィルムの厚さは、一般的に数マイクロメートルである。したがって、鋸ツール50における鋸歯52のピッチは、最適な切断動作のために匹敵する寸法でなければならない。結晶化において用いられる蛋白質滴、及び結晶化と細胞培養板におけるウェルの寸法は、1mmのオーダーである。したがって、切断ツール50は、この寸法に匹敵するか又は小さくなければならない。よって、微細加工は、これらの小さな微細ツールの製造に関して理想的である。金属の微小鋸と異なり、柔らかいプラスチック鋸は、柔らかい物質を切断し、鋸刃との偶発的な接触による試料損傷のリスクを最小化しながら試料を抽出することに関して、理想的である。それらは、また、透明であり、切断の間、小さい試料をより容易に見ることを可能にする。更に、切断される物質は非常に柔らかいので、プラスチック鋸は、鈍くなる前に多数回使用されるのに十分なほど頑丈である。鋸刃への硬さは、鋸歯を曲げることにより、円形の金属かプラスチックの支柱の内側又は外側の周りでそれらを包むことにより、与えられる。また、図3に示すものと類似だが鋸歯52の無い、「ナイフ」のような形状を有するツールも使用可能である。好ましくは、5〜50マイクロメートル、好ましくは10〜20マイクロメートルの歯サイズを有するギザギザのある端54が使用される。その端は、直線あるいは湾曲することができ、一つ又は両方の端を鋸状にすることができる。代わりに、上記鋸は、より固く製作するために、金属(例えばタングステン)、半導体(例えば窒化ケイ素)、あるいはガラス(二酸化ケイ素)から微細加工することができるが、これは、壊れやすい試料を損傷するリスクを増してしまう。
D.壊れやすい試料を堅固に保持するためのツール
図1〜図3に示されたツール、及び'315出願に記載された装置は、すべて、試料とツールとの間の表面張力/毛管力に、試料とツールとの間の他の接着力(凍結した液体によるような)に、あるいはツールに試料を保持する重力に依存する。多くの場合、試料をよりしっかりと保持する必要がある。液体の冷凍剤内での急冷却、過剰の液体を除去するためのスピニング、あるいは大きな表面張力で液体に浸すような、多くの試料操作は、マウントから試料を除去可能な大きな加速度、及び/又は大きな力を含む。重力のような小さな力でさえ、十分に長い時間にわたり重要な動作をもたらすことができる。例えば、室温タンパク質結晶学において、結晶は、データ収集の間に、ツール(あるいは、ガラス毛細管、毛細血管壁を用いる従来のマウント法において)を滑り落ちる傾向があり、これはX線回折データを破壊する。結晶学者は、また、結晶をシンクロトロンX線源へ室温で輸送可能にしたく、このことは、輸送及び一週間までの期間の保存の間、結晶を損傷することなくしっかりと保持する幾つかの方法を必要とする。より一般的に、検査の間、試料をしっかりと保持することを望み、これは、蛋白質結晶及び細胞のような小さく壊れやすい試料のための挑戦である。
図1〜図3に示されたツール、及び'315出願に記載された装置は、すべて、試料とツールとの間の表面張力/毛管力に、試料とツールとの間の他の接着力(凍結した液体によるような)に、あるいはツールに試料を保持する重力に依存する。多くの場合、試料をよりしっかりと保持する必要がある。液体の冷凍剤内での急冷却、過剰の液体を除去するためのスピニング、あるいは大きな表面張力で液体に浸すような、多くの試料操作は、マウントから試料を除去可能な大きな加速度、及び/又は大きな力を含む。重力のような小さな力でさえ、十分に長い時間にわたり重要な動作をもたらすことができる。例えば、室温タンパク質結晶学において、結晶は、データ収集の間に、ツール(あるいは、ガラス毛細管、毛細血管壁を用いる従来のマウント法において)を滑り落ちる傾向があり、これはX線回折データを破壊する。結晶学者は、また、結晶をシンクロトロンX線源へ室温で輸送可能にしたく、このことは、輸送及び一週間までの期間の保存の間、結晶を損傷することなくしっかりと保持する幾つかの方法を必要とする。より一般的に、検査の間、試料をしっかりと保持することを望み、これは、蛋白質結晶及び細胞のような小さく壊れやすい試料のための挑戦である。
図4A〜図4F及び図5は、脆弱な試料をしっかりとつかむために用いることができる多くの異なったタイプのツールを示す。例えばタンパク質結晶学において現在用いられるすべてのツールと異なり、それらのツールは、しっかりと試料をつかむ完全な捕獲作用を有する。
図4Aは、開口64の端から内側へ延在する、一連の小さな柔軟な歯あるいはフィンガー62で試料をつかむために試料上に押し下げることができるツール60を示す。ツール60の柔軟なフィンガー62は、開口64が試料上に押し下げられるように、上方にそれ、その結果、しっかりとロッドをつかむために組み立てで用いられるワッシャーに類似して、フィンガー62の自由端に側方から試料をつかませる。これらのツールの幅及び直径は、およそ1mm以下であり、フィンガー62は、標準のプラスチックフィルムを用いて作製されるとき、およそ10〜50マイクロメートルの幅を有する。プラスチックフィルム68の薄さと小さいフィンガー幅との組み合わせは、破損せずにつかむことができる非常に柔らかなバネ定数を生成する。バネ定数は、フィンガーの幅、長さ、及びフィルムの厚さを調節することにより、あつらえることができる。重要な特徴は、全体としてのツール60の自由端69が、良好なつかむ作用を得るため、表面に対して平らに曲がることができるということである。試料もまた、ツール60へ押し下げられることができる。
つかむ作用を改善するために、一つのツールは、ある範囲の長さを有する「フィンガー」を持つことができ、図4Bのツール70に示されるように、それは、その側方の異なる高さで結晶をつかむ。より長いフィンガー72は、上方へそれることができ、試料の上部に押し下げられ、より短いフィンガー74は、試料の底部に押し上げることができ、適所に試料を保持する。
図4Cのツール80において、開口82の形状は、細長い試料に一致するように細長くなっている。したがって、開口82の形状は、例えば立方体又は棒状体のように、異なる形状の試料に一致するよう、あつらえることができる。
X線回折応用例に関して、試料のまわりのプラスチックの幅は、適切な硬さを得ることに調和し、最小化すべきである。再度、フィルムは、その硬さを増すために、支柱の周りあるいは内側にフィルムを包むことにより曲げることができる。図4A〜図4Cに示されるデザインでは、歯は狭いが、同じ基本概念を広い歯で実行可能であることは、理解されるであろう。
図4Dは、試料をつかむために反対に作用するフィンガー92、94及び96を有する別のツール90を示す。この変形例では、ツールが試料の下に滑りながら、中央のフィンガー94が上向きに引き上げられ(あるいは内側へ押され)、そのフィンガーは自由になり、中央のフィンガー94と外側のフィンガー92及び96との間で試料がつかまれる。
図4E及び図4Fは、試料がグリップパドル102,104間に挿入されるツールの第1及び第2の変形例100、110を示す。パドル102、104の詳細な形状は、応用例に従い変更可能である。ツール100において、パドルは、試料に係合する複数のグリップ歯106、108を有する。ツール110において、歯116、118は、互いにはさまれるように配列されている。図4D〜図4Fにおけるツール設計は、棒状体及び板をつかむことに特に適している。
それらのツールの各々において、試料は、接着力又は重力により受動的に保持されるよりもむしろ、ツールにおけるバネのような作用を介して積極的につかまれる。
E.平らに作製されるが三次元構造内へ飛び出るツール
図5A及び図5Bには、アジアの切り紙アートのように、薄いフィルムとして作製されるが、三次元構造内へ飛び出るツールの一般的種類の例が示されている。図5Aにおいて、ツール120は、初期の原型に関する図5Bに示されるように、三次元のかごタイプのツール126を形成するために飛び出るように、パターン124において切断され又はエッチングされる平らなフィルム122から成る。ツール120は、2つの方法で用いることができる。第1には、それは、試料上に押し下げることができ、カットされたフィルム124を押し出させる。次に、かご126の側方は、しっかりと試料の側方をしっかりとつかみ、その結果、試料の形状によって、それらのツールは、図4A〜図4Fに示すものと同じ機能を提供する。あるいは、カットされたフィルム124は、同じプロセスによって微細加工された例えばプラスチック・ホックで引き上げることにより、飛び出すことができ、そして試料をすくい上げることができる。プラスチックは、飛び出した状態を維持するために、十分に薄く柔軟でなければならず、壊れずに、好ましくは塑性変形するものがよい。
図5A及び図5Bには、アジアの切り紙アートのように、薄いフィルムとして作製されるが、三次元構造内へ飛び出るツールの一般的種類の例が示されている。図5Aにおいて、ツール120は、初期の原型に関する図5Bに示されるように、三次元のかごタイプのツール126を形成するために飛び出るように、パターン124において切断され又はエッチングされる平らなフィルム122から成る。ツール120は、2つの方法で用いることができる。第1には、それは、試料上に押し下げることができ、カットされたフィルム124を押し出させる。次に、かご126の側方は、しっかりと試料の側方をしっかりとつかみ、その結果、試料の形状によって、それらのツールは、図4A〜図4Fに示すものと同じ機能を提供する。あるいは、カットされたフィルム124は、同じプロセスによって微細加工された例えばプラスチック・ホックで引き上げることにより、飛び出すことができ、そして試料をすくい上げることができる。プラスチックは、飛び出した状態を維持するために、十分に薄く柔軟でなければならず、壊れずに、好ましくは塑性変形するものがよい。
F.試料温度測定用ツール
多くの応用例において、人は、他の観察をする間に小さい試料の温度を知りたい。例えば、冷凍結晶学において、試料は、X線データ収集の間、それを冷たく維持するために、冷たいガス(窒素又はヘリウム)流内に置かれる。試料の温度は、ガス流がどのように調節されるか、周囲の条件、及びガス流内のその位置に応じて変化する。図6Aは、'315出願にて論じられたものに類似する試料マウント130を示すが、合体した熱電対結合132を有する。同じ概念は、本出願に示したいずれのツールにも適用することができ、グリップツール60,70,80で特に使用されるであろう。
多くの応用例において、人は、他の観察をする間に小さい試料の温度を知りたい。例えば、冷凍結晶学において、試料は、X線データ収集の間、それを冷たく維持するために、冷たいガス(窒素又はヘリウム)流内に置かれる。試料の温度は、ガス流がどのように調節されるか、周囲の条件、及びガス流内のその位置に応じて変化する。図6Aは、'315出願にて論じられたものに類似する試料マウント130を示すが、合体した熱電対結合132を有する。同じ概念は、本出願に示したいずれのツールにも適用することができ、グリップツール60,70,80で特に使用されるであろう。
マウント130は、ポリイミド又はマイラーのようなポリマーフィルム134から再び微細加工される。異なる2つの金属層136、138がパターン化され、堆積される。その結果、それらは、先端でオーバーラップし、熱電対結合132を形成する。金属層136、138は、例えばスパッタリング(フィルムの加熱を減じるため)により、ポリマーフィルム134上に堆積可能である。従来のフォトレジスト・パタニング及びウェットかドライエッチングは、最終パターンを形成するために金属を除去するのに用いることができる。
原則として、結合132を形成するために、いずれの金属の組み合わせも使用可能であるが、製造するのが特に容易であろう標準の組み合わせは、タイプT(銅、及び銅−ニッケル)、及びタイプJ(ニッケル−クロム、及びニッケル−アルミニウム)を含む。タイプTの場合、ツールは、フレキシブル回路にて使用される銅ポリイミド・シート材を用いて作製可能であろう。この場合、単一の金属のみが堆積されるのに必要であろう。熱電対への電気的接続は、比較的広い面積のパッドでなすことができる。'315出願にて論じられる設計において、これらのパッド140は、微細加工されたフィルム134を支持支柱142に保持するスリーブ(例えば熱収縮チューブ)により包まれるフィルム134の領域下に位置することができる。そして細い熱電対ワイヤーは、半田付けされ、ワイヤーボンドされ、又はそれらのパッド140に取り付け可能である。非常に小さいサイズ(10〜20マイクロメートル)の熱電対結合132、小さな断面積及び従ってそのリードの
低い熱伝導、及び、結合132の試料への近接は、正確な温度測定を保証する。試料マウントに加えて結合132の非常に低い熱質量、及び薄いフィルム設計もまた、時間において非常に迅速な温度応答を保証する。熱電対結合132は、また、試料開口144の上部に、開口144の周囲に従い金属で形成可能である。これは、X線の通路に強く拡散した金属を有するX線結晶学の応用例において不利がある。
低い熱伝導、及び、結合132の試料への近接は、正確な温度測定を保証する。試料マウントに加えて結合132の非常に低い熱質量、及び薄いフィルム設計もまた、時間において非常に迅速な温度応答を保証する。熱電対結合132は、また、試料開口144の上部に、開口144の周囲に従い金属で形成可能である。これは、X線の通路に強く拡散した金属を有するX線結晶学の応用例において不利がある。
図6Bは、温度センサー用の熱電対の代わりにサーミスター152を組み込んだツール150の別のデザインを示す。サーミスター152は、ポリイミド上に、アモルファス・シリコン層を堆積しパターン化することにより作製可能である。その横寸法が小さければ、サーミスター152は非常に薄く作製可能であり、よって、曲がることによる切断のリスクなく、小さい熱質量を有することができる。サーミスターは、銅のような単一の金属154により、各端部で接触される。
本発明は、多くの好ましい実施形態及び変形例において示されたが、以下の請求項にて規定するような発明の範囲から逸脱することなく、多数の他の変形例及び変更がなされることは理解されるだろう。
Claims (39)
- 小さな生物学的な試料及び他の試料とともに作用するツールであって、
ベース端、及び試料に係合する先端端部を有する薄い柔軟なプラスチックフィルムで、該フィルムは5〜50マイクロメートルの厚さを有する、プラスチックフィルムと、
上記先端端部に配置され試料のパラメータを測定する測定器と、
を備えるツール。 - 上記測定器は、試料の寸法を測定する定規を備える、請求項1記載のツール。
- 上記測定器は、試料の角度を測定する分度器を備える、請求項1記載のツール。
- 上記測定器は、温度測定器を備える、請求項1記載のツール。
- 上記温度測定器は、熱電対及びサーミスターを含むグループから選ばれる、請求項4記載のツール。
- 上記フィルムの剛性を増すため湾曲がフィルムに与えられ、上記湾曲を維持するホルダーに上記ベース端が装着される、請求項1記載のツール。
- 上記フィルムは、容易に曲がり、試料接触の間、付与され、それにより試料損傷の機会を最小限にし、及び、試料を規定する表面に接触して容易に弾力的に曲がり上記先端端部が試料をすくうことを可能にするのに十分に柔軟であるように選択される、請求項1記載のツール。
- 上記フィルムは、光学的に及びX線に透明であるように選択され、その結果、ツールは、それらに取り付けられた試料からX線データを収集するために、又は光学顕微鏡における検査の間、試料を保持するために用いることができる、請求項1記載のツール。
- X線ビームをツール上で視覚的に位置可能とするのに十分な濃度にてX線感知螢燐光体がフィルム内に組み込まれる、請求項8記載のツール。
- 上記プラスチックフィルムは、所望の疎水性若しくは親水性を得るために処理され、又は、試料付着を促進するか抑制するフィルムで覆われる、請求項1記載のツール。
- 小さな生物学的な試料及び他の試料とともに作用するツールであって、
ベース端、及び試料に係合する先端端部を有する薄い柔軟なプラスチックフィルムで、該フィルムは5〜50マイクロメートルの厚さを有する、プラスチックフィルムと、
上記先端端部に配置され、試料を支持し及び過剰な流体を上記先端端部から排出させることを可能にする開口のある網目と、
を備えるツール。 - 上記網目における上記開口は、5〜100マイクロメートルの直径である、請求項11記載のツール。
- 上記先端端部は、試料を上記網目上にすくうことを援助するために丸くされている、請求項11記載のツール。
- 上記フィルムの剛性を増すため湾曲がフィルムに与えられ、上記湾曲を維持するホルダーに上記ベース端が装着される、請求項11記載のツール。
- 上記フィルムは、容易に曲がり試料接触の間、付与され、それにより試料損傷の機会を最小限にし、及び、試料を規定する表面に接触して容易に弾力的に曲がり上記先端端部が試料をすくうことを可能にするのに十分に柔軟であるように選択される、請求項11記載のツール。
- 上記フィルムは、光学的に及びX線に透明であるように選択され、その結果、ツールは、それらに取り付けられた試料からX線データを収集するために、又は光学顕微鏡における検査の間、試料を保持するために用いることができる、請求項11記載のツール。
- X線ビームをツール上で視覚的に位置可能とするのに十分な濃度にてX線感知螢燐光体がフィルム内に組み込まれる、請求項16記載のツール。
- 上記プラスチックフィルムは、所望の疎水性若しくは親水性を得るために処理され、又は、試料付着を促進するか抑制するフィルムで覆われる、請求項11記載のツール。
- 小さな生物学的な試料及び他の試料とともに作用するツールであって、
ベース端、及び試料に係合する先端端部を有する薄い柔軟なプラスチックフィルムで、該フィルムは5〜50マイクロメートルの厚さを有する、プラスチックフィルムと、
上記先端端部に隣接して配置され、試料の一部を切断する少なくとも一つの切断端と、
を備えたツール。 - 上記切断端は、複数の鋸歯状の切り込みを含んでいる、請求項19記載のツール。
- 上記鋸歯状の切り込みの各々の幅は、5〜50マイクロメートルである、請求項1記載のツール。
- 各々の上記鋸歯状の切り込みの幅は、10〜20マイクロメートルである、請求項21記載のツール。
- 硬さを増すために上記フィルムに湾曲が与えられ、上記ベース端が、上記湾曲を維持するホルダーに装着される、請求項19記載のツール。
- 上記フィルムは、容易に曲がり試料接触の間、付与され、それにより試料損傷の機会を最小限にし、及び、試料を規定する表面に接触して容易に弾力的に曲がり、制限された空間で使用されるときに硬い先端よりも上記先端端部をより広い角度変化にて切断可能にするのに十分に柔軟であるように選択される、請求項19記載のツール。
- 上記フィルムは、切断中、容易に試料を目で見えるようにするため光学的に透明であるように選択される、請求項19記載のツール。
- 上記プラスチックフィルムは、所望の疎水性若しくは親水性を得るために処理され、又は、試料付着を促進あるいは抑制するフィルムで覆われる、請求項19記載のツール。
- 小さな生物学的な試料及び他の試料とともに作用するツールであって、
ベース端、及び試料に係合する先端端部を有する薄い柔軟なプラスチックフィルムで、該フィルムは5〜50マイクロメートルの厚さを有する、プラスチックフィルムと、
上記先端端部において試料をつかみ、そこに配置される試料係合構造を有する開口と、
を備えたツール。 - 上記試料係合構造は、上記開口内へ延在し上記先端端部における上記開口が試料上に押し下げられたときに上方へ曲がる複数の柔軟なフィンガーを備える、請求項27記載のツール。
- 各々の上記フィンガーは、10〜50マイクロメートル幅である、請求項28記載のツール。
- 上記フィンガーは、少なくとも2つの異なる長さである、請求項28記載のツール。
- 上記開口は、上記先端端部を第1及び第2の対向するパドルに分割し、上記フィンガーは、各々の上記パドルから互いへの方へ延在する、請求項30記載のツール。
- 上記フィンガーは互いにはさまれる、請求項31記載のツール。
- 上記開口は、上記先端端部において、一方向に曲がることができる中央のフィンガーと、試料をつかむために反対方向へ曲がることができる2つの外側フィンガーとを形成する2つの平行で垂直なスリットにより形成される、請求項28記載のツール。
- 上記試料係合構造は、上記フィルムにおいて平らに形成され、試料に係合するために開位置へ引っ張られ又は押されることができる三次元のかごを備える、請求項27記載のツール。
- 上記フィルムの剛性を増すため湾曲が上記フィルムに与えられ、上記湾曲を維持するホルダーに上記ベース端が装着される、請求項27から34のいずれかに記載のツール。
- 上記フィルムは、容易に曲がり試料接触の間、付与され、それにより試料損傷の機会を最小限にし、及び、試料を規定する表面に接触して容易に弾力的に曲がり上記先端端部が試料をすくうことを可能にするのに十分に柔軟であるように選択される、請求項27から34のいずれかに記載のツール。
- 上記フィルムは、光学的に及びX線に透明であるように選択され、その結果、ツールは、それらに取り付けられた試料からX線データを収集するために、又は光学顕微鏡における検査の間、試料を保持するために用いることができる、請求項27から34のいずれかに記載のツール。
- X線ビームをツール上で視覚的に位置可能とするのに十分な濃度にてX線感知螢燐光体がフィルム内に組み込まれる、請求項37記載のツール。
- 上記プラスチックフィルムは、所望の疎水性若しくは親水性を得るために処理され、又は、試料付着を促進するか抑制するフィルムで覆われる、請求項27から34のいずれかに記載のツール。
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