図1Aを参照すると、レンチキュラースクリーン101および関連プリント102の一部が示されている。「プリント」の用語は、広い意味で使用され、既知のディスプレイ、たとえば、背面映写式ディスプレイや、写真プリントや、写真製版方式で複製されたプリントや、電子表示スクリーンなどに加え、これら既知のディスプレイを組み合わせたものを意味する。プリント102は、レンチキュラースクリーン101と密着並置された状態で、2つの平行な面を構成し、プリント102の面が、点ADLIによって画定され、レンチキュールの基準面が、点EHPMによって画定されるように固定される。レンチキュールは、個別の円筒形レンズEFNM,FGON、およびGHPOであり、それぞれ、等半径の円弧EF,FG、およびGHと、その対応円弧MN,NO、およびOPとして図示される円筒面を持つ。レンチキュールスクリーンは、基準面EHPMの最上部に重ね合わされており、各レンチキュールは、プリント102上の対応する矩形プリント領域と密着並置状態で光学的に配列されて、異なる視角からの異なる画像または視像を提供する。たとえば、プリント領域ABJIは、レンチキュールEFNMの真後ろで密着並置される。
図1Bを参照すると、プリント領域ABJIおよび対応レンチキュールEFNMについてのより詳細な図が示されている。5つの列またはストライプ1,2,3,4、および5が、プリント領域102に内在する。任意の数の列を利用できるが、判りやすくするため、5つの列のみを示した。レンチキュールの光学特性により、任意の1つの視位置から見えるのは1つのストライプのみである。ストライプ1は最も右端の視像を含み、視点が右から左へ移動するにつれて、ストライプ2,3,4、そして5が順に見えてくる。
この種の交互嵌合ステレオグラムプリントの製造は、よく理解されている。例示した5列のステレオグラムでは、真直ぐ前方を向いて互いに等距離に配置されて、同時に写真撮影を行う5台のカメラによって、5つの投影視像が生成される。これらの画像は、デジタル撮像されても、あるいは従来の写真手段によって撮影され、その後でデジタル的に走査されてもよい。次に、これらのデジタル画像は、交互嵌合ソフトウェアアルゴリズムを利用して細く切り出され、新たにステレオグラムプリントとして組み立てられる。ステレオグラムプリントは、個別の投影画像の視像を相互嵌合(「交互配置(interleaved)」と誤記されることもある)して、特定のレンチキュールに対応するプリント領域を、いくつかの離散的ストライプで構成することによって製造される。5つの交互嵌合画像から成るレンチキュラーステレオグラムを見るときに、異なる5つの角度範囲でレンチキュラーステレオグラムを見ることによって、5つの異なる画像の視像が見える。
交互嵌合アルゴリズムおよびソフトウェアはこの分野で周知である。例示する交互嵌合アルゴリズムは、国際公開第WO 98/27456号明細書に詳細に記載されており、これを本願明細書の一部として援用する。
図3Aに、視差の問題を示す。レンチキュラープリントは、中括弧記号301Aの領域内に示されている。簡単にするため、3つの代表的なレンチキュール303,305,307と、その対応プリント領域309A,310A,311Aのみを図示した。前述したように、任意の数のレンチキュールおよび列を利用することができる。観察点302は、中央レンチキュール305の真上で、レンチキュラープリントの軸上視像と共に中央に配置されている。(観察点302から下ろされた垂直線は、前記プリントとレンチキュール305の水平方向の中心で交差することになる。)観察点302で観測される光線は、レンチキュール303,305,307によって屈折され、304,306,308においてそれぞれ焦点を結ぶ。この例における視差の問題は、対応するプリント領域と一致しない焦点304および308によって引き起こされる。図3Aにおいて、焦点304および308は、いずれもプリント領域309Aおよび311Aから完全に外れているため、観察点302からまったく見えない。したがって、中央領域310A付近のプリント画像のみが立体的に見えるだけである。
プリントの中心の両側の画像は、歪んでいるか、または混乱しているように見えるが、これは、眼に入ることになる列およびその対応ストライプの部分が、適切な立体像に対応していないためである。このような状況において、眼は、右目で左側の画像、左目で右側の画像を見ることになる可能性が大きい。したがって、レンチキュールに対するプリント列の正確な補正移動を行わないと、視域内の視角の範囲が大幅に狭められる。
視差の問題は、観察点302とプリントの間の距離が大きくなるにつれて縮小する。図3Bを参照して説明する。プリントからかなり離れたところに観察点(図示せず)がある場合は、レンチキュールから観察点に至る光線がより平行になるため、焦点304,306,308は、それぞれ、プリント領域309B,310B,311Bの中に収まる。この観察点では、プリントの端部に視差の問題が存在しないため、プリント領域309Bと311Bを移動する必要はない。したがって、視差の問題を回避するためには、狭いプリントに対して、より幅の広いレンチキュールスクリーンを、より離れた距離から見るようにして、プリントの左側および右側における鋭角の視角を抑制しなければならない。
立体像全体が見えるようにするには、レンチキュールの焦点が、すべて、各レンチキュールに対応するプリント領域の境界内に入らなければならない。図3Cに、レンチキュラーステレオグラムの一実施形態を示す。本実施形態では、すべてのレンチキュールの焦点がそれぞれ対応するプリント領域内に納まるように、プリント領域を横方向に移動している。この移動されたプリント領域は、視差の問題を排除して、観察点とレンチキュールの間の光線が平行でない観察点からでも完全な画像を見られるようにする。視差の問題は、焦点304および308が、それぞれ、プリント領域309Cおよび311Cの中央に入射するように、レンチキュール303および307に対して、プリント領域309Cおよび311Cを水平に移動することによって補正される。プリント領域310Cは、焦点306が既にプリント領域310Cの中心近傍に入射しているため、移動する必要はない。
一般に、完全な立体像を投影するには、プリントの左側のプリント列を左に移動し、さらに、プリントの右側のプリント列を右に移動して、各レンチキュールが適正なプリント領域列の上で焦点を結ぶようにしなければならない。各列を水平に移動する距離は、各プリント列が観察される角度の関数で、視点とレンチキュラースクリーンの間の距離に反比例する。プリント領域列の移動量は、観察点がレンチキュラースクリーンに近づくにつれて大きくなる。
レンチキュラーステレオグラムの視域を最大化する本発明の技法では、レンチキュラースクリーンを較正および測定ツールとして利用して、特定の視距離に対する最適なプリント列幅を決定する。図1Cに、レンチキュール106と、2つのストライプ103および104で構成される対応プリント領域105と、を持つ本発明の実施形態を示す。本発明の技法において、これら2つのストライプは、補色または対比色で構成される。たとえば、ストライブ103と104は、それぞれ、白と黒、マゼンタとシアン、または緑と赤、あるいは、他の条件の識別可能な色であってよい。正確な列幅を持ち、対比色からなるフルサイズの立体画像のプリントは、交互嵌合コンピュータプログラムを用いて作製されてよい。これにより、一連の2色テストプリントは、段階的に増加する、異なる画像列幅を持つように形成することができる。画像プリントは、0.01インチ以上の列幅精度で生成できる。
ステレオグラム画像視認装置と共に2色テストプリントを利用して、特定の視位置についての最適な画像プリント列幅を決定する。最適なプリント列幅を用いて生成されたレンチキュラーステレオグラムの画像プリントは、完全な視認性を持つことに加え、最適な三次元の外観を持つ。単一の画像プリント列幅をすべての位置から最適に見ることはできないので、画像プリント列幅は、特定の視距離に対応して設計される。一般に、レンチキュラーステレオグラムは、中央位置から見られるものとして設計されるが、レンチキュラーステレオグラムが見える距離は可変である。
ステレオグラム画像を視認する装置を利用して、特定の視位置から2色のテストプリントを見ることができる。ステレオグラム画像の視認装置の実施形態は、図2に示されている。この視認装置は、のぞき穴202および203を有する位置決め装置201と、支柱204と、ベースボード205とを含む。支柱204は、ベースボード205の上方で位置決め装置201を固定式に保持する。レンチキュラースクリーン206は、中央のレンチキュールが中央プリント列の真上になるように、プリント207と密着並置される。位置合わせされたプリント207とレンチキュールスクリーン206は、視認装置201の真下に置かれて、検査官に対してレンチキュールが垂直向きに位置し、プリントの207の中心が、のぞき穴202と203の中点208の下に位置するように配置される。検査官は、のぞき穴202および203からプリント207を観察する。これに代わる実施形態では、デジタルカメラを配置して、のぞき穴202および203から見ているように、プリント207を表示する。
プリント列の幅が最適で、レンチキュールの焦点が、それぞれプリント領域の適切な列の上にある場合(図3Cに記載した状態)、画像207は、のぞき穴202から均一な1色に見え、のぞき穴203からその均一な補色または対比色に見える。テストプリントまたはレンチキュラースクリーン内の欠陥は、視認された画像内に若干の欠陥をもたらす場合がある。不適切なプリント列幅を持つテストプリントは、均一な色に見えない。印刷画像の列幅が異なる一連のテストプリントを、ステレオグラム視認装置で観察することにより、のぞき穴202および203から観察される最も均一な色を持つプリントを速やかに特定することができる。このテストプリントに対応する最良の列幅寸法が交互嵌合プログラムに入力されて、最適な画像列幅と最適化された視域とを持つ立体像プリントが生成される。
ステレオグラム画像視認装置およびレンチキュラースクリーンを介したプリントの観察は、高精度の測定ツールであり、最適な印刷画像列幅の迅速な決定を実現するものである。この技術分野において、ピッチという用語は、多くの場合、プリントの列幅またはレンチキュールの幅を記述するために使用される。ピッチは、1インチ当たりの列数、またはレンチキュールの個数である。プリント/レンチキュールスクリーンの組み合わせをかなり離れた距離から見た場合、プリント列とレンチキュールのピッチは等しい。他の例において、3フィートの視距離において、58.23の基準ピッチを持つレンチキュールスクリーンは、58.35のピッチ、すなわち、1インチに58.35列を有するプリントに利用された場合に最大の視域を生む。また、3フィートの視距離に関して最適化された立体プリントは、約2〜5フィートの視距離からでも優れた立体像形成をもたらす。
本発明の基本的な技法には多数の変形例も存在する。本発明の技法は、背面映写式スライドフィルムと同様に、電子表示装置および既知の表示装置の組み合わせで利用される動画、電子画像、およびレンチキュラースクリーンの較正または位置合わせに利用できる。特に、コンピュータに、レンチキュラースクリーンと、テスト画像を投影できるようにする交互嵌合プログラムとを実装して、特定のユーザについての最適な視域を決定してもよい。この場合、コンピュータは、レンチキュラースクリーンとの光学的位置合わせにおける最適な列幅倍率を持つ立体像を表示することになる。投影された画像と、レンチキュラースクリーンとの位置合わせは、表示制御またはソフトウェアによって実施されてよい。
他の実施形態において、異なる列幅を持つ一連のプリントパターンが提供される。このプリントパターンは、単一の眼によって単一位置から視認されてよい。異なる列寸法を持つ、適切な一連のテストパターンを利用して、レンチキュールに対する画像プリント列の最適な幅および位置を実験的に較正して、視域を最適化することができる。
他の実施形態において、位置合わせを行うために、2色のテストプリントを、画像プリントと組み合わせてもよい。図4を参照して説明すると、領域403,404,405に2色の枠線パターンを持つプリント401と、ピクチャ領域402とを、前述の位置合わせ方法を利用して、レンチキュラースクリーンと整列させることで、視域が中央に配置されて、左または右に傾かないように配置することができる。レンチキュラースクリーンは、プリント401の上に配置され、プリント401は、ステレオグラム視認装置を介して視認される。ここで、2色の枠線パターンは、右目で見たときに枠線が1色に見え、左目で見たときに枠線がその対比色に見える場合に、レンチキュラースクリーンと整列されてその中心に芯合わせされる。
もう一度図4を参照しながら説明する。他の実施形態において、水平な枠線領域405に第1の2色パターンを利用し、さらに、垂直な枠線領域403および404に、他のタイプの第2の2色パターンを利用してもよい。たとえば、黒と白が交番するストライプを垂直な領域403と404の列に利用し、赤と緑が交番するストライプを水平な領域405に利用してもよい。領域403および404の黒と白のストライプは、間に挿入されるプリント列に対するレンチキュールの回転方向の位置合わせに利用することができる。結像装置を介してプリントを観察すると、一方の眼が、垂直な枠線領域403および404を黒と観察し、もう一方の眼が、垂直な枠線領域403および404を白と観察することになる。領域405の赤と緑のストライプは、2色の列をプリント401の中心に配置することにより、挿入されるプリントとレンチキュラースクリーンとの芯合わせに利用することができる。ここでも、一方の眼が領域405を緑として認識し、もう一方の眼が領域405を赤として認識することになる。
更に他の実施形態を図5Aおよび図5Bに示す。本実施形態は、自動立体ディスプレイ(autostereoscopic display)の最適視距離を変更する手段を含む。これは、コンテンツの作成者またはユーザが、ディスプレイを、特定の距離または特定の距離範囲に設定できる場合に有利である。特に、ユーザは、ある瞬間にデスクトップの視距離から前記ディスプレイを見たいと考えたり、また、たとえば、より離れた距離から数人のグループに前記ディスプレイを見せたいと考えたりする場合がある。
ゲームセンターのゲーム機は、視距離を変更する柔軟性を持たせることが求められる理由の一例である。ゲーム機は、デモモードとプレイモードの2つのモードを持ち、デモモードでは、視距離をより遠くに設定する必要があり、プレイモードでは、視距離をより近くに設定する必要がある。
また、レンズスクリーンは、垂直方向の次元ではなく、水平方向の次元に屈折性を持つため、視域の角度範囲は、ユーザがスクリーン上下のどの高さに位置していても一定であることも注記しておく。これについては例外があり、米国特許第3,409,351号明細書に開示されるウィネック公式(Winnek formulation)を利用するものでは、屈折に垂直成分が存在するため、ユーザが垂直方向に移動すると視域の移動が生じることになる。次に、所定の距離において、観察者の視域内で自動立体画像の外観を最適化する方法について説明する。
図5Aと図5Bに関して説明すると、1,2,3,4,5の参照符号を付した画像領域は、図1B内で1,2,3,4,5の参照符号で示したストライプに対応する。各ストライプは、レンチキュールの連続した集合体のうちの1つであるレンチキュール101によって屈折されて、視域を形成する。その各視域は、1,2,3,4,5の参照符号で示した個別の投影視像からなる。図5Aを参照すると、ディスプレイスクリーン501と、近傍観察者503と、視域507と、遠方観察者505と、が示されている。観察者の眼には、L(左目)とR(右目)の参照符号が付けられている。図5Bを参照すると、ディスプレイ502と共に、近傍と遠方の観察者504と506がそれぞれ示されており、その観察者の左目と右目には、それぞれLおよびRの参照符号が付けられている。視域には508の参照符号を付して示した。
図5Aおよび5Bは、模式的表現であり、説明のために作製された図である。これらの図は、誇張および単純化されたものであるが、本概念を正確に描いている。視域の角度は、図5Aにおいて図5Bよりもかなり狭い角度になっているが、この角度は、ストライプとレンチキュールの幾何学的関係によって制御できる。
視域の角度について、前述した手段を用いて、視域の配列の観点で制御することで、視差条件と呼ばれている状況に対して最適な効果をもたらすことができる。このことは、柱状構造の画像要素および関連する円柱状レンチキュールとが位置合わせされていなければならないことを意味する。投影視像の中心は、通常、前述したように略垂直の視角で観察され、この場合、左右の画像端部にある列は、鋭角の角度で見られることになる。視差効果は、このような鋭角の視角において発生し、前述したように、柱状構造の画像要素またはストライプおよび関連する円柱状レンチキュールの間の正確な並置を喪失される。
既に説明した技法と同様手段を利用することで、特定の範囲全体で、視域の角度範囲を最適化して、特定の視距離に対して実現し得る最上の結果を得ることができる。
また、本開示の内容は、レンチキュールの境界(すなわち、個々のレンチキュールが交差する場所)が垂直方向(すなわち、レンズシートまたはディスプレイの垂直方向端部と平行)に設けられる従来のレンチキュラー配列を持つディスプレイに関して説明されているが、本明細書に開示したものは、ウィネックによって開示されるような、斜めに配向されるレンチキュラーシートを用いる状況においても同様に機能することを注記しておく。
視域の範囲は、前述した手段によって制御することができ、視角を変えることの動機は、図5Aおよび図5Bの図(これらは、図5Bと比較しながら図5Aにおいて指摘したように誇張されてはいるが)を見れば、適切に説明されている。位置503について、左目と右目は視域の外にあることが判る。すなわち、近傍の観察者は、左目と右目で、不適切な状態の画像を見ることになるが、これは、ストライプ(1,2,3,4,5)が、両方の目それぞれに対して最適化された視野を生成する扇状に広がっていないためである。ただし、図から判るように、眼は、ゾーン内のストライプ(投影視像1〜5)の進行範囲外に位置するため、観察者は、立体的なゾーンのかわりに、シュードスコピックなゾーンを確実に見ることができる。
505において、より離れた距離にいる観察者は、図示したように、十分な立体効果を生む画像ストライプ2および4を見ている。ここで、より近い距離503に位置するユーザに対して何ができるだろうか。
図5Bを参照すると、観察者は、ここでは、図5Aにおいてディスプレイ501からの観察者503の距離に対応する、ディスプレイ502からの同一距離において504の参照符号で示されている。観察者の左右の眼は、具合よく視域内に収まり、立体像が観察されることがわかる。ここで、図5Bにおいて、より離れた距離506に位置する観察者に注目する。この観察者は、図5Aの観察者505に相当する。この観察者の左右の眼は、この図では、単一の投影視像内に入るため、この観察者の距離では視域の角度が大きくなり過ぎて、立体効果が存在しない。したがって、広い角度の視域を持つ、離れた距離では、立体効果が得られない。同様に、たとえば、観察者の左目が、投影視像3を見ることになり、右目が投影視像4を見ることになる場合は、観察者が、たとえば、左目で視像2、右目で視像4を見た場合と同程度に大きい有効な軸間離隔が得られなくなり、前述の動議が生じる。
図から判るように、視域の範囲、または視域の角度を変更することで、異なる距離の観察者を吸収できる。一例において、たとえば、図5Aでは、観察者が位置503にいるときには立体効果が存在しないのに対し、505の観察者によって表される距離での立体効果は良好なものになる。一方、この状況を補正するため、ここで、列同士またはストライプ同士のいずれかの間の距離を変更して、実質上、より広い視域を形成する。このすべては、画像ストライプ内またはストライプ間でピクセルを複製または間引きして、列間の距離またはストライプ間の距離のいずれかを制御する補間処理を通じて、ソフトウェア調整を利用することによって達成される。
したがって、ソフトウェア処置と、レンズシートに関する視域の最適化の文脈で本開示に記載したものと同様の方法で適切な距離を変更することと、を用いて、観察者の距離に応じて視域を最適化できることが判る。
このような距離をソフトウェアに設定して、各種の視距離に応じて、所定のレンチキュラーディスプレイを最適化することができる。最適な距離は特定の範囲内にあることは理解されるであろう。たとえば、3フィートの最適距離にディスプレイを設定すると、約2〜5フィートまで適切な視認状態を提供し、8フィートの最適視距離にディスプレイを設定することにより、観察者は、約6〜15フィートで、効果的に見ることができる。したがって、一部の状況での絶対値について論じているのではなく、値の範囲について論じているのである。
観察者の距離測定を利用することによって、前述の最適化を自動的に変更する手段も提供できる。自動範囲特定プロセスがこの距離測定を行い、その結果、ディスプレイが、ここに記載する変更処理を利用して自分自身を自動的に調整することで、ディスプレイスクリーンから観察者までの距離に応じて立体効果を最適化できる。
文献に記載されている多くのタイプの範囲特性装置が存在し、これらの装置は、多様な製品に実際に採用されている。問題は、所望の性能に対応する、最も価格の低い装置技術を選択することであるが、この場合、満足すべき効果を達成するために、比較的低い精度しか必要としないため、このようなシステムの製造は、価格の低い製品を用いて実現することができる。ソナーやレーダーに加え、一般消費者向けカメラに利用されるようなものなど、各種さまざまな技術を採用できる。視距離は、単純な論理と平均化プロセスを利用して、観察者の集合に対して最適化することもできる。
図6を参照すると、装置604と共に用いられる自動立体ディスプレイ601が示されており、この装置604は、観察者603の距離を測定する、いずれかのタイプの範囲特定装置である。
次に、ここに記載した最適化手続きを実行するために採用される実際のソフトウェアの実施形態について詳しく説明する。
自動立体ディスプレイ用のソフトウェア交互嵌合計算については、「自動立体ピクセル配列技術(Autostereoscopic Pixel Arrangement Techniques)」という名称の米国特許公開第20020011969号明細書に開示されており、この明細書を本願明細書の一部として援用する。
図7に示すように、この論理は、有限個数のサイズが等しいステレオ視像(701〜709)をディスプレイ(710)内に交互嵌合する必要があることを想定したものである。これらのステレオ視像を取得するプロセスは、コンピュータ生成から写真撮影まで様々である。これらのステレオ視像は、コンピュータファイル内に保存したり、対話式に処理したりできる。ソフトウェア交互嵌合プロセスに入力されると、視像は、ラスタ形式で表現されて、視像のラスタグリッド内の各カラーピクセル(711)は、赤712、緑713、および青714のサブピクセルで定義される。同様に、ディスプレイ710は、カラーピクセル715を持つ物理的ラスタディスプレイであり、このカラーピクセル715は、実際には、赤716、緑717、および青718からなる1組のサブピクセルである。これらのサブピクセルは、当該サブピクセル同士の間に隙間が存在してもよいため、ピクセル領域を完全に埋めるものではないが、下記の計算には影響を及ぼさない。
スクリーン710の寸法に対するステレオ視像701〜709の寸法は、この計算に影響を与えない。好ましい実施例において、サイズの等しい9つのステレオ視像が存在し、ディスプレイのサイズは、ステレオ視像の横方向サイズの3倍、また、ステレオ視像の縦方向サイズの3倍に等しい。交互嵌合プロセスは、ステレオ視像のアスペクト比を変更しないため、ステレオ視像のアスペクト比は、ディスプレイのアスペクト比と一致していると想定する。
ソフトウェア交互嵌合プロセスは、ステレオ視像のサブピクセルからディスプレイ面へのサブピクセルのマッピングを決定する。すべてのディスプレイピクセル内に、赤、緑、および青の各サブピクセルのマッピングが行われる。一例として、第1ディスプレイピクセル715について、サブピクセル(716,717,718)のマッピング(719赤、720緑、721青)は、それぞれ、ステレオ視像(702,706,709)内のサブピクセル(722,723,724)に基づいたものである。
レンチキュールの物理幅を測定できるように、モニタ上のサブピクセルの物理幅も測定することができる。これらを関連付ける一般的な測定は、ピクセル対レンチキュールのピッチ比を特定することである。図8に、ディスプレイ内のピクセル列801の上に位置する一連のレンチキュール802を示す。ピッチ803は、単一のレンチキュールがカバーするピクセルの数である。この数は、整数である必要はない。
このピッチ比を決定することにより、レンチキュールと、そのレンチキュールの下に位置するディスプレイのRGBサブピクセルの幾何学的関係を簡単に記述できる。
図9に示すように、ディスプレイのピクセル列902上に設けられたレンチキュール901は、各ステレオ視像に1つずつ対応する複数の等区画に分割される。ディスプレイのピクセル列内にある各サブピクセル912は、1つずつ検査されて、サブピクセルの中心位置913が計算される。次に、このレンチキュラー区画の位置に応じて、サブピクセルに、特定の視像が選択される。V個の視像が存在するときに、中心位置が最初の区画内に入る場合は、視像Vが選択され、中心位置が最後の区画に入る場合は、視像1、という具合に選択される。
視像が決定された後、次のステップは、ディスプレイサブピクセルに用いる色値を特定することである。利用する色値は、ディスプレイピクセルと同一比率の位置(幅、高さ)で選択されたステレオ視像内の同一色(RGB)のサブピクセルを選択することによって決定される。
この論理には、サブピクセルが位置するレンチキュール区画のすべてを考慮する重み付け手法を行うことを含め、いくつかのバリエーションがある。また、ラスタディスプレイに対するレンチキュールの傾斜も考慮する必要がある。ただし、視距離に関わる本発明を記述するという目的においては、これらの詳細な改良点を検討する必要はない。
テストプログラムは、交互嵌合された視像の生成に利用される。所定数の視像は、対比色(赤/緑、黒/白など)を利用して定義される。標準的な一実施例において、9つの視像は、最初の4つの赤と、中央の1つの黒と、最後の4つの緑とを用いて定義される。オペレータは、ピクセルに対するレンチキュールのピッチの比率に使用する値を入力して、ディスプレイの幅寸法と高さ寸法を指定する。次いで、結果的に得られる交互嵌合パターンが計算されて、ディスプレイに表示される。既知の距離において適切に視認すると、オペレータは、左目で赤、右目で緑を見ることになる。
このようなテストプログラムを用いて、結果的に得られたパターンを各種の距離で見ることによって、オペレータは、所望の各視距離における最適なピッチの値を実験的に決定することができる。このプロセスは、視認したパターンが、所望の視位置において、一方の眼で完全な赤、もう一方の眼で完全な緑に見えるまで、ピッチ値に対して繰り返すことを含む。完了時には、視距離とレンチキュールピッチとを含むピッチテーブルが生成される。ピッチ値と視距離は、必ずしも比例関係にあるとは限らない。
テーブル内のエントリ数は任意である。テーブルを構築する際には、いくつかの方針を利用することができる。1つ目は、すべてのモニタに対応する所定の距離を求めるというものである。たとえば、2つの固定の視距離(たとえば、3フィートと15フィート)は、すべての視野状況に対して十分であると考えられる場合である。2つ目は、一連の連続する視距離を求めるというものである。この場合、可能な限り多数の視距離について、ピッチを設定する必要がある。3つ目は、モニタのモデル間の物理的距離を変更できる範囲を表す定性的距離(たとえば、近傍、中間、遠方)を求めるというものである。
前述のテストプログラムを利用してピッチテーブルを定義したら、次の目標は、交互嵌合視認プログラムにテーブル情報を適用することである。このようなプログラム(前述した米国特許公開第20020011969号明細書に記載されるようなプログラム)は、マッピング手法を用いて、交互嵌合を実行する。このマップは、サブピクセルに視像を対応付けるもので、既に説明したとおりである。異なるピッチ値を持つマップを生成することにより、その結果として、特定の視距離について最適化された交互嵌合視像を実現できる。
図10に、ピッチテーブルを利用するいくつかの実施例を示す。ピッチテーブルは、x軸1006上に定義された視距離と、y軸1007上に定義されたピッチとを持つグラフ1001として表現できる。ピッチテーブル内の各エントリは、このグラフ内のポイント1008として表現でき、特定の視位置1009とピッチ値1010で表される。
ピッチテーブルを利用した4つの実施例(1002,1003,1004,1005)が考えられる。第1の実施例1002において、ピッチテーブルは、デフォルト値1011と、その対応ピッチ1012とを含むものとして想定され、これらは、視距離が定義されない場合に利用することができる。
第2の実施例1003では、ユーザ1013が視距離を指定する。テーブル内に定義された最も近い視距離1014を検索することによって、適切なピッチ1015を決定することができる。この実施例で可能な用途は、ピッチテーブル内の利用可能な距離のうちの1つのみをユーザが選択できるようにすることである。
第3の実施例1004では、1次補間プロセスを利用して、適切なピッチを達成する。この場合、ユーザが特定の視距離1016を入力したら、1次補間法1017を利用して、比例するピッチ値1018に到達できる。
第4の実施例1005では、3次補間プロセスを利用して、適切なピッチを達成する。ピッチのポイントによって定義される関数を表す曲線1020を設定する。ユーザが特定の視距離1019を入力すると、そのポイントにおける曲線の値がピッチ値1021に利用される。
ピッチが決定されると、交互嵌合マップが計算されるので、このマップを利用して交互嵌合を実行することで、指定された視距離に対応した最適な画像が得られる。
マッピングされたサブピクセル画像要素の横方向の間隔を調整して、特定の視距離または視距離範囲内からの自動立体画像の視野を最適化する手段について説明した。レンズシートそのものは固定されたままであり、この調整は、各種の手段により水平方向の左右に平行移動されるサブピクセルの配列内で全面的に実行される。したがって、サブピクセルの相対並置状態は、レンチキュラーシートの固定要素に対して、左または右にシフトされる。レンズシート要素を所定の位置に残せるようにしたことで、視距離を最適化する現実的なシステムが提供され、閲覧者は、ディスプレイスクリーンに対してどのような位置に存在していたとしても、最も鮮明で最も深い立体像を見ることができる。