JP2009510006A - 分子内プリンス反応およびそれに適する触媒(シトロネラールからのイソプレゴールの生成) - Google Patents

分子内プリンス反応およびそれに適する触媒(シトロネラールからのイソプレゴールの生成) Download PDF

Info

Publication number
JP2009510006A
JP2009510006A JP2008532700A JP2008532700A JP2009510006A JP 2009510006 A JP2009510006 A JP 2009510006A JP 2008532700 A JP2008532700 A JP 2008532700A JP 2008532700 A JP2008532700 A JP 2008532700A JP 2009510006 A JP2009510006 A JP 2009510006A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
groups
aryl
general formula
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008532700A
Other languages
English (en)
Inventor
マルクス ノビス
Original Assignee
シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト filed Critical シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト
Publication of JP2009510006A publication Critical patent/JP2009510006A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J31/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • B01J31/02Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing organic compounds or metal hydrides
    • B01J31/12Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing organic compounds or metal hydrides containing organo-metallic compounds or metal hydrides
    • B01J31/14Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing organic compounds or metal hydrides containing organo-metallic compounds or metal hydrides of aluminium or boron
    • B01J31/143Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing organic compounds or metal hydrides containing organo-metallic compounds or metal hydrides of aluminium or boron of aluminium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/56Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by isomerisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic Table
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/08Compounds having one or more C—Si linkages
    • C07F7/0834Compounds having one or more O-Si linkage
    • C07F7/0836Compounds with one or more Si-OH or Si-O-metal linkage
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2601/00Systems containing only non-condensed rings
    • C07C2601/12Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring
    • C07C2601/14The ring being saturated

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

以下の諸段階を含む、以下の式(B)の化合物の製造方法を記載する:以下の式(A)の化合物を製造する工程、および以下の式(I)で表されるアルミニウムシロキシドの存在下で、該式(A)の化合物を、分子内プリンス反応させる工程(該式(I)において、該基Ra、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は夫々独立に、水素原子または有機基を表す。
【化1】

Description

本発明は、以下に示す一般式Aの化合物から、以下に示す一般式Bの化合物を、分子内プリンス反応(同様に、分子内カルボニル-エン(carbonyl-ene)または酸素-エン(oxygen-ene)反応としても知られている)によって、製造する方法;この反応用の触媒(特に、アルミニウム-および珪素-含有化合物を主成分とする)に関するものである。更に、該触媒の製法並びに幾つかの物質の、触媒、特に上記方法における触媒としての使用についても記載する。
Figure 2009510006
分子内プリンス反応の公知の例は、シトロネラール(3,7-ジメチル-6-オクテナール;A2)のイソプレゴールおよびその立体異性体(8-p-メンテン-3-オール;B2、即ちイソプレゴール、ネオイソプレゴール、およびネオイソイソプレゴールへの環化反応である。
イソプレゴールは、芳香を放つ、また芳香性の物質として使用する上で、極めて興味深いものであり、また更に、水素添加によってメントールに転化することができ、即ち以下の式で示されるように、d-シトロネラール(A2e)から出発して、l-イソプレゴール(B2iso)を介して、l-メントール(Ze)を与える:
Figure 2009510006
該出発物質Aの立体化学的な組成および該環化反応の選択性に依存して、生成される該物質Bは、多数の立体異性体(ジアステレオ立体異性体および、適当な場合には、エナンショマー)を含むことができる。特定のジアステレオマーを得るのに、可能な限り高い選択性を持つ反応手順が、通常求められている。
様々なルイス酸の存在下で、d-シトロネラールのl-イソプレゴールへの環化は、Synthesis, 1978, 147に記載されており、最良の結果(収率70%)は、ベンゼン中で、等モル量の臭化亜鉛を用いて達成された。この反応においては、特に分子間付加生成物が、例えばアルドール縮合反応または該分子間プリンス反応からの、望ましからぬ副生成物として観測される。目的とする該l-イソプレゴール94%なる選択率にて形成され、また6%という含有率は、更なるイソプレゴール異性体、によるものであり、これらの異性体としては、d-ネオイソプレゴールが支配的なものであり、また他の異性体は、痕跡量で生成されるに過ぎない。
更に、イソプレゴールを与える、シトロネラールのこの環化反応は、多数の他の(ルイス酸)触媒の存在下で試みられており、またこの点に関連して、EP 1,225,163 A2における概要を参照することができる。
シトロネラールのイソプレゴールへの環化が発生した後に、水性媒体からルイス酸を分離し、かつ再利用できる可能性は、EP 1,053,974 A1に記載されている。34-40モル%の(再循環された)臭化亜鉛を、該触媒として使用した場合、約82〜89GC%なる範囲の、イソプレゴールのGC収率が達成されるが、該使用されたシトロネラールは、既に4%を越えるイソプレゴールを含んでいた。臭化亜鉛自体の該欠点(重金属であり、取扱い性が悪い)に加えて、この方法においては困難かつエネルギー消費率の高い、該水性相からの該触媒の分離を実施する必要がある。
J. Am. Chem. Soc. 1980, 102, 7951-7953は、モル等量のMe2AlClの存在下での、シトロネラールのイソプレゴールへの環化を記載しており、これによりイソプレゴールおよびネオイソプレゴールが、主として得られる。
EP 1,255,163 A2は、トリス(2,6-ジアリールフェノキシ)アルミニウム触媒を使用する、シトロネラールのイソプレゴールへの転化を記載している。イソプレゴールは、95%を越える収率にて、また出発シトロネラールの99%を超える選択率にて得られる。それにも拘らず、該使用する触媒は、全く不安定であり、しかも該触媒は、該反応が完了した際に、再利用または再循環することができない。該触媒は、高温および水性媒体に対して高い感受性を持ち、その製造並びに取り扱いは、様々な問題を提起する。従って、ここに開示されたトリス(2,6-ジアリールフェノキシ)アルミニウム触媒の再利用については、説明されていない。
技術的な局面から、これまでの触媒系は、熱および/または水性媒体に暴露した際における、その高い感受性の故に、その使用は不利である。再利用または再循環は、全く不可能であるか、あるいは高い費用を掛けた場合にのみ、可能となる。
従って、分子内プリンス反応によって、良好な収率にて、環化生成物の製造を可能とする、また好ましくは工業的に利用される分離法、例えば蒸留によって、該環化生成物の簡単な分離を可能とする、方法並びに触媒系に対する要望が、依然として存在する。該触媒系は、好ましくは再利用性または再循環性のものであり、また数回の反応サイクルに渡り、活性並びに選択性(該環化生成物の製造において)の点で実質的に一定に特性を持つべきである。
本発明は、このような改善された方法並びに触媒系を提供するという目的に基くものである。特に、本発明の方法並びに触媒系は、l-イソプレゴールの選択的形成性を伴った、シトロネラールのイソプレゴールへの化学-選択的およびジアステレオマー選択的な(diastereoselective)転化を可能とすべきである。
「方法」的な局面に関連して記載される目的は、第一の変法に従って、以下の式Bで表される化合物の製法によって達成される:
Figure 2009510006
B
該方法は、以下の諸工程を含む:
・以下の一般式Aの化合物を調製する工程:
Figure 2009510006
A
・以下の一般式(I)で表されるアルミニウムシロキシドの存在下で、上記式Aで表される化合物を、分子内反応させる工程を含み:
Figure 2009510006
(I)
上記式AおよびBにおいて、R1、R2、R3およびnの意味は同一であって、
各場合において、R1、R2およびR3は、相互に独立に、水素またはメチル基を表し、
R4は、水素または1〜6個の炭素原子を持つアルキル基を表し、
nは、0、1または2を表し、
また、上記式(I)において、Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、水素または有機基(好ましくは、100個以下の炭素原子を含む)、好ましくは場合により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキルアリール、シクロアルケニルアリール、シクロアルキルへテロアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、およびへテロアリールアルキルからなる群から選択される基を表すが、該基Ra'、Ra"、Ra'"の少なくとも一つ、該基Rb'、Rb"、Rb'"の少なくとも一つ、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし、
相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合により結合していても良い。
該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"およびRc'"が、置換されている場合、以下に列挙する置換基が好ましい:
ヒドロキシル基;
C1-C8-アルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基;
C3-C18-シクロアルキル基、好ましくはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基;
C2-C8-アルキニル基、好ましくはエチニル基、プロピニル基;
C1-C8-パーフルオロアルキル基、好ましくはトリフルオロアルキル基、ノナフルオロアルキル基;
C1-C8-アルコキシ基、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基;
C3-C12-シクロアルコキシ基、好ましくはC3-シクロアルコキシ基、C5-シクロアルコキシ基、C6-シクロアルコキシ基、C8-シクロアルコキシ基、C12-シクロアルコキシ基、C15-シクロアルコキシ基、C16-シクロアルコキシ基;
1〜5個のCH2基が、酸素によって置換された、C1-C20-アルコキシアルキル基、好ましくは-[-O-CH2-CH2-]v-Qまたは-[-O-CH2-CHMe-]v-Q(ここで、QはOHまたはCH3であり、またvは、1〜4を表すことができる);
C1-C4-アシル基、好ましくはアセチル基;
C1-C4-カルボキシル基、好ましくはCO2Me、CO2Et、CO2イソ-Pr、CO2t-ブチル基;
C1-C4-アシルオキシ基、好ましくはアセチルオキシ基;
ハロゲン原子、好ましくはFまたはCl;
Si1-Si10-シリル基;および
Si1-Si30-シロキシ基またはポリシロキシ基。
該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"およびRc'"の1またはそれ以上が、窒素原子を含む場合、この窒素原子-含有基は、好ましくは酸化に対して安定である。特に、以下に記載する式(IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールを合成する際に広く見られる、酸化条件下で、該窒素原子-含有基は、不活性でなければならず、即ちそこで使用する酸化剤と反応すべきではない。酸化に対する安定性は、例えばN-保護基の導入、例えばN-アシル化によって、あるいは該窒素原子の四級化によって達成することができる。
本発明の方法において使用するのに適した、該アルミニウムシロキシド:トリス-トリフェニルシロキシアルミニウムAl(OSiPh3)3およびトリス-トリエチルシロキシアルミニウムAl(OSiEt3)3は、Can. J. Chem., 1992, 70, 771-778に記載されており、Al(OSiPh3)3は、そのTHFまたはTHF-H2O付加物の状態にあることを特徴とする。これらアルミニウムシロキシドの触媒としての使用は、記載されていない。
本発明の更なる態様によれば、上記目的は、以下の式Bで表される化合物の製造方法によって達成される:
Figure 2009510006
B
以下の諸工程:
・以下の一般式Aの化合物を調製する工程:
Figure 2009510006
A
・以下の一般式(III)で表されるアルミニウム化合物:
HpAl(R5)3-p (III)
(ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、あるいは以下の一般式(IV)で表される化合物:
MAlH4 (IV)
(ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択され)の何れかと、同一でも異なっていても良い、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc):
Figure 2009510006
で表されるシラノールとを混合および/または反応させる工程、
上記式において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、水素または有機基、好ましくは場合により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキルアリール、シクロアルケニルアリール、シクロアルキルへテロアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、およびへテロアリールアルキルからなる群から選択される基を表すが、該基Ra'、Ra"、Ra'"の少なくとも一つ、該基Rb'、Rb"、Rb'"の少なくとも一つ、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし、
相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合することができ、および
・該アルミニウム化合物(III)または(IV)と、該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)との混合物および/または反応生成物の存在下で、上記式Aの化合物を、分子内反応させる工程を含む。
従来、該式(III)または(IV)で示される該アルミニウム化合物と、該式(IIa)、(IIb)および(IIc)で示される、該シラノールとの混合および/または反応は、上記式(I)のアルミニウムシロキシドを与える。しかし、例えば該反応により得られる生成物の、仕上げ並びに随意の特徴付けは、本発明によれば不要となる。
本発明に従って製造するのに好ましいものは、特定の式AおよびBにおいて、
R1およびR2が、各場合において夫々独立に、水素原子またはメチル基を表し;
R3が、水素原子を表し;
R4が、メチル基を表し;
nが、0または1を表すものである。
本発明による、特に好ましい方法は、該式Aの化合物が、2,6-ジメチル-5-ヘプテナールおよびシトロネラール(3,7-ジメチル-6-オクテナール;A2)からなる群から選択されるものである。
該好ましい化合物B1およびB2は、上記式Aで表される化合物Aから製造できる:
Figure 2009510006
好ましくは、上記式(I)のアルミニウムシロキシドまたは該アルミニウム化合物(III)または(IV)と、該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)との反応生成物は、その場で調製され、および/または新たに製造することができる。
該式(I)のアルミニウムシロキシドの製造は、Can. J. Chem., 1992, 70, 771-778記載の方法と同様にして、トリアルキルアルミニウム化合物と、対応するシラノールとの反応によって、行うことができる。好ましい製造方法については、以下を参照のこと。
本発明に関連して、驚いたことに、本発明に従って使用すべき触媒、即ち該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"およびRc'"が上記のような意味を持つ、アルミニウムシロキシド、またはアルミニウム化合物とシラノールとの反応生成物および混合物は、極めて高い選択性で、該式Aの化合物を、該式Bの化合物、特にA2およびB2に転化することを可能とする。
該触媒は、容易かつ自由な利用性、並びに高い安定性、特に高い熱安定性および水性媒体に対する安定性によって区別される。
シトロネラール(A2)からイソプレゴール(B2)を製造するための、本発明に従って使用される、特に上記式(I)で示される触媒を使用する、該分子内プリンス反応は、以下の点において区別される。即ち、主としてイソプレゴールおよびネオイソプレゴールが、広い温度範囲に渡り、極めて高い選択性で得られ、またジアステレオマー、即ちイソイソプレゴールおよびネオイソイソプレゴールが、痕跡量でのみ生成される点において区別される。達成すべき選択性および該反応を実施するのに適した温度については、以下を参照のこと。
シトロネラール(A2)から出発する、我々独自の研究において、上記のEP 1,255,163 A2による、トリス(2,6-ジアリールフェノキシ)アルミニウム触媒と比較して、該分子内プリンス反応が、本発明に従って使用すべき、特に上記式(I)で示される触媒の存在下で、著しく迅速に進行することを見出した。本発明に従って使用すべき、特に上記式(I)で示される触媒は、熱に対する暴露、および水性媒体に対して、EP 1,255,163 A2に記載のものと比較して、より一層安定である。更に、EP 1,255,163 A2による、該トリス(2,6-ジアリールフェノキシ)アルミニウム触媒を使用した場合には、所定の環化生成物(特にB2)の製造に加えて、ティチェンコ-クライゼン(Tischtschenko-Claisen)反応に従う、分子間エステルの生成も、僅かな程度に観測される。
本発明の好ましい方法において、上記式Aの化合物の分子内反応は、該式AおよびBで示される化合物の沸点よりも高い沸点をもつ希釈剤中で行われ、あるいは該式Aの化合物の分子内反応が起った後に、該式AおよびBで示される化合物の沸点よりも高い沸点をもつ希釈剤を添加する。このような方法は、従来以下のような追加の工程を含む:
・蒸留によって、該希釈剤および該式(I)のアルミニウムシロキシド、または上記アルミニウム化合物(III)または(IV)と、該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)との反応生成物から、該式Bの化合物を分離する工程。これらの好ましい方法に関する態様の詳細を、以下に与える。
本発明の方法において使用する該触媒(該式(I)のアルミニウムシロキシドまたは該アルミニウム化合物(III)または(IV)と、該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)との混合物および/または反応生成物)は、再利用可能であり、また再循環可能である。従って、該式(I)のアルミニウムシロキシドまたは該アルミニウム化合物(III)または(IV)と、該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)との混合物および/または反応生成物は、該式Aの化合物の該分子内反応において、再度使用されることが好ましい。また、この点に関しても、詳細を以下に与える。
本発明は、また以下の一般式(I)で表されるアルミニウムシロキシド:
Figure 2009510006
(I)
または以下の一般式(III)で表されるアルミニウム化合物:
HpAl(R5)3-p (III)
(ここで、R5は、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、あるいは以下の一般式(IV)で表されるアルミニウム化合物:
MAlH4 (IV)
(ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択される)の何れかと、同一でも異なっていても良い、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノール:
Figure 2009510006
との混合物および/または反応生成物(該一般式(I)および該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、水素原子または有機基、好ましくは場合により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキルアリール、シクロアルケニルアリール、シクロアルキルへテロアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、およびへテロアリールアルキルからなる群から選択される基を表すが、該基Ra'、Ra"、Ra'"の少なくとも一つ、該基Rb'、Rb"、Rb'"の少なくとも一つ、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし、また相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合することができる)の何れかの、触媒としての使用にも関連する。
該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"およびRc'"が置換されている場合、上記の置換基が好ましい。
本発明の方法に関連する記述から、既に明らかな如く、該分子内プリンス反応で触媒作用させるための使用が好ましい。
本発明の方法に関連する記述から、既に明らかな如く、特に好ましい使用は、以下の式Bの化合物を製造するための使用である:
Figure 2009510006
B
ここで、該式Bの化合物は、以下の式Aの化合物から調製される:
Figure 2009510006
A
上記式AおよびBにおいて、R1、R2、R3およびnの意味は、各場合において同一であり、R1、R2およびR3は、各場合において相互に独立に、水素原子またはメチル基を表し、R4は、水素原子または1〜6個の炭素原子を持つアルキル基を表し、nは、0、1または2を表す。
本発明の好ましい方法および好ましい使用において、該一般式(I)のアルミニウムシロキシドおよび該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールに関して、好ましくはRa'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C1-C20-アルキル基、C1-C20-ヘテロアルキル基、C3-C20-シクロアルキル基、C4-C20-シクロアルキルアルキル基、C2-C20-アルケニル基、C3-C20-シクロアルケニル基、C4-C20-シクロアルケニルアルキル基、C2-C20-アルキニル基、C5-C20-シクロアルキルアルキニル基、C1-C20-アルコキシ基、C3-C20-シクロアルコキシ基、C5-C20-シクロアルキルアルコキシ基、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表し、
また相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合できるものである。
この点に関連して、該基Ra'〜Rc'"は、好ましくは相互に独立に、C1-C10-アルキル基、C3-C10-シクロアルキル基、C4-C12-シクロアルキルアルキル基、C2-C10-アルケニル基、C3-C10-シクロアルケニル基、C4-C12-シクロアルケニルアルキル基、C2-C10-アルキニル基、C5-C12-シクロアルキルアルキニル基、C3-C20-アリール基、C2-C20-ヘテロアリール基、C4-C20-アリールアルキル基、C8-C20-シクロアルキルアリール基、C8-C20-シクロアルケニルアリール基、C5-C20-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、またはC4-C20-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選ばれる、場合により置換された基を表す。
特に好ましくは、該基Ra'〜Rc'"は、相互に独立に、C1-C10-アルキル基、C3-C10-シクロアルキル基、C4-C12-シクロアルキルアルキル基、C6-C20-アリール基、C8-C20-シクロアルキルアリール基、C8-C20-シクロアルケニルアリール基、C6-C20-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、またはC4-C20-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選ばれる、場合により置換された基を表す。
本発明の更なる態様は、新規な触媒およびルイス酸に係り、これらは特に上記のような方法において使用するのに適している。最良の結果は、これらの触媒およびルイス酸を、上記方法で使用することにより達成される。
好ましい触媒およびルイス酸は、以下の一般式(I):
Figure 2009510006
(I)
(ここで、Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す)で表される、アルミニウムシロキシドであるが、Can. J. Chem., 1992, 70, 771-778から公知の化合物、特にAl(OSiPh3)3を除く。
特に上記方法において、同様に使用できる触媒は、以下の式(III)で表されるアルミニウム化合物:
HpAl(R5)3-p (III)
(ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、または以下の式(IV)で表されるアルミニウム化合物:
MAlH4 (IV)
(ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択される)の何れかと、同一でも異なっていても良い、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノール:
Figure 2009510006
との混合物(該一般式(I)および該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す)であるが、該化合物は、AlMe3および/またはHOSiPh3を含まない。
このような混合物の触媒活性は、好ましくは該式(I)のアルミニウムシロキシドの生成に基くものであるが、このことは最終的に解明されてはいない。
特に上記方法において、同様に使用できる触媒は、以下の式(III)で表されるアルミニウム化合物:
HpAl(R5)3-p (III)
(ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、または以下の式(IV)で表されるアルミニウム化合物:
MAlH4 (IV)
(ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択される)の何れかと、同一でも異なっていても良い、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノール:
Figure 2009510006
との反応による(精製されたまたは精製されていない)反応生成物(該一般式(I)および該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す)であるが、上記化合物:Al(OSiPh3)3を除く。
本発明による好ましい触媒は、直ぐ上で定義した、該アルミニウムシロキシド、混合物および反応生成物であり、ここで各場合において、該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C6-C20-アリール基、C3-C20-ヘテロアリール基、C7-C20-アリールアルキル基、C8-C20-シクロアルキルアリール基、C8-C20-シクロアルケニルアリール基、C6-C20-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC4-C20-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す。
本発明の方法において、触媒およびルイス酸として使用するのに特に適した、アルミニウムシロキシド、混合物および反応生成物は、以下に規定するものである:
該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"が、相互に独立に、C6-C20-アリール基、C3-C20-ヘテロアリール基、C8-C20-シクロアルキルアリール基、C8-C20-シクロアルケニルアリール基、C7-C20-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルアリール基、およびC8-C20-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基からなる群から選択される、場合により置換された基を表すようなものである。
C6-C20-アリール基からなる群から選択される、特に好ましい該基Ra'〜Rc'"は、フェニル基、4-メトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2-t-ブチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、2,6-ジ-t-ブチルフェニル基、4-CF3-フェニル基、2,4-ジ-CF3-フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、9-アントラセニル基、および9-フェナントレニル基である。
C3-C20-ヘテロアリール基からなる群から選択される、特に好ましい該基Ra'〜Rc'"は、2-フルフリル基、3-フルフリル基、およびイミダゾリル基である。
C8-C20-シクロアルキルアリール基からなる群から選択される、特に好ましい該基Ra'〜Rc'"は、インダニル基、およびフルオレニル基である。
C8-C20-シクロアルケニルアリール基からなる群から選択される、特に好ましい該基Ra'〜Rc'"は、インデニル基である。
C8-C20-ヘテロシクロアルケニルアリール基からなる群から選択される、特に好ましい該基Ra'〜Rc'"は、N-C1-C16-アルキル-またはN-C1-C8-アシル-インドリル基である。
C6-C20-ヘテロシクロアルキルアリール基からなる群から選択される、特に好ましい該基Ra'〜Rc'"は、N-C1-C16-アルキル-またはN-C1-C8-アシル-インドリニル基である。
上記式(I)で表される、特に好ましい触媒は、以下の表に列挙するものである:
Figure 2009510006
使用した略号:t-:第三(三級);Ph:フェニル;Me:メチル
本発明による好ましい方法、使用、アルミニウムシロキシド、混合物および反応生成物は、該一般式(I)のアルミニウムシロキシドおよび該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールに対して:
該基Ra'、Ra"、Ra'"が同一であり、該基Rb'、Rb"、Rb'"が同一であり、該基Rc'、Rc"、Rc'"が同一であり、
また、好ましくは、該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"の全てが、同一である。該一般式(I)のアルミニウムシロキシド触媒(ルイス酸)の製造は、特に該式(I)における同一のSi原子と結合した該特定の基が同一である場合、即ちRa'=Ra"=Ra'"、かつRb'=Rb"=Rb'"、かつRc'=Rc"=Rc'"である場合に、最も容易である。該基Ra'〜Rc'"が全て同一の意味を持つ、該一般式(I)の触媒、例えばトリス-トリフェニルシロキシアルミニウム:Al(OSiPh3)3の製造が、特に容易である。
本発明に従って使用すべき、該触媒(アルミニウムシロキシド、混合物および反応生成物)は、特に安定であり、このことは、該触媒を工業的な条件下で使用する上で遊離である。というのは、特に該公知の触媒系とは対照的に、本発明の触媒は、より高い熱安定性を持つからである。本発明の方法は、選択性を失うことなしに、広い温度範囲に渡り実施し、また信頼性良く、求める分子内反応生成物を導くことができる。
本発明に従って使用すべき、該触媒(および特に本発明による、該一般式(I)の新規なアルミニウムシロキシド)は、公知のAlを主成分とする触媒と比較して、上記式Aの化合物の比較的高い濃度において、ティチェンコ-クライゼン生成物を生成する、極めて低い傾向を示す点において、有利に区別される。同様に、そのジアステレオマー選択性は、本発明に従って使用すべき、該触媒を用いた場合に、特に、また驚くほどに高い。
本発明の方法において使用する触媒の製造、特に該式(I)のアルミニウムシロキシドの製造は、好ましくは以下の一般式(III)で表されるアルミニウム化合物:
HpAl(R5)3-p (III)
(ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)を出発物質として、実施することができる。
あるいはまた、該出発化合物は、好ましくは以下の一般式(IV)で表されるアルミニウム化合物:
MAlH4 (IV)
(ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択される)である。
好ましくは、該アルミニウム化合物(III)は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジブチルアルミニウムハイドライド、メチルアルミニウムジハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、プロピルアルミニウムジハイドライドおよびブチルアルミニウムジハイドライドからなる群から選択され、またトリメチルアルミニウムおよびトリエチルアルミニウムが好ましい。
好ましい該アルミニウム化合物(IV)は、リチウムアルミニウムハイドライドである。
該式(I)の触媒の製造は、好ましくは該式(III)または式(IV)で表される該アルミニウム化合物を、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノール:
Figure 2009510006
を含む溶液または分散液に添加することによって行われる。該一般式において、該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、各場合において、上記した通りの(好ましい)意味を有する。該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)は、同一でも異なっていても良く、またこれらが同一である場合、式(I)のアルミニウムシロキシドにおける3つのシロキシ基も、同一である。
本発明による該混合物および/または該式(III)または式(IV)で表されるアルミニウム化合物と、該シラノールとの反応における、該式(III)または式(IV)で表されるアルミニウム化合物に対する、該式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノールの全量の、モル比は、少なくとも3であり、また該モル比は、好ましくは3〜6なる範囲、好ましくは3〜5なる範囲内にある。
該式(I)のアルミニウムシロキシドまたは該アルミニウム化合物と、該シラノールとの反応による生成物の製造は、従来希釈剤(好ましくは、溶媒)中で行われており、該希釈剤は、該反応体に対して不活性であり、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレン(この場合、好ましくはトルエン)等の芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン)、またはエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、またはテトラヒドロフラン)である。該式(I)のアルミニウムシロキシドまたは該アルミニウム化合物と、該シラノールとの反応生成物は、またジフェニルエーテルまたはジトリルエーテル等の高沸点を持つ希釈剤中で製造することもできる。更に、該式(I)のアルミニウムシロキシドまたは該反応生成物は、上記分子内プリンス反応を実施したものと同一の希釈剤(以下の説明、特に実施例を参照のこと)中で、製造することも可能である。
該触媒の(その場での)製造における、該反応混合物中の該式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表される(1またはそれ以上の)シラノールの含有率は、該式(III)または式(IV)で表されるアルミニウム化合物との反応にとって、決定的なものではない。該式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノールの全含有率は、該反応混合物全質量を基準として、好ましくは30〜1質量%なる範囲、好ましくは20〜5質量%なる範囲にある。該式(I)の触媒の(その場での)製造における、最良の結果は、該反応混合物全質量を基準として、7.5〜12.5質量%なる範囲内の、該式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表される化合物の全含有率にて得られた。
該式(I)のアルミニウムシロキシドの製造に要する時間は、通常5〜60分なる範囲内にある。
該式(IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールは、例えばシラノール(IIa)に関する例として示される、以下のような反応経路によって、製造できる:
Figure 2009510006
該式(IIa)のシラノールの製造に関連する、上記並びに以下の記述は、従って該式(IIb)および(IIc)で表されるシラノールの製造に対しても適用される。特に述べない限り、該式(IIa)のシラノールに対する言及は、同様に該式(IIb)および(IIc)で表されるシラノールに対する言及に相当する。
該式(IIa)のシラノール(同様に、上記の如く、該式(IIb)および(IIc)のシラノールにも適用される)を製造するために、該所定の置換パターンに依存して、例えばクロロシランHSiCl3(上記反応経路参照;X=H)、H2SiCl2、またはH3SiClから出発して、該クロロシランの塩素原子は、連続的に、あるいは該基Ra〜Rc'"が同一である場合には、同様に、好ましくは対応するリチウムオルガニル(organyl)(上記反応経路および以下の実施例を参照のこと)としての、該有機基に対する一つの反応段階において、交換することができる。次いで、このようにして形成された該シランの、該式(IIa)のシラノールへの転化は、J. Organomet. Chem., 1995, 521:229に記載されている方法に従って、例えばKMNO4による酸化によって行われる。該シランの酸化は、更に同様に高収率にて、該式(IIa)の所定のシラノールに導く、他の酸化試薬、例えばオゾン(Russ. Chem. Rev., 1977, 46(10))等の他の酸化試薬によって、均質または不均質ルテニウム触媒および水(J. Chem. Research, 1997, 400)によって、またはN-ヒドロキシフタルイミドを用いた、遊離基反応(Synlett., 2002, 7:1173)によっても実施可能である。
SiCl4(上記反応経路参照のこと;X=Cl)から出発して、(Ra')(Ra")(Ra'")SiCl型のクロロシランを、連続的な置換によって製造でき、また該Si-Cl結合の、後の加水分解によって、式(IIa)のシラノールに転化することができる。例えば、市販品として入手できる、t-ブチルクロロジフェニルシランを、加水分解によって、該式(IIa)において、Ra'=Ra'"=フェニルであり、Ra"=t-ブチル基である、t-ブチルジフェニルシラノールに転化することができる。
好ましくは、該基Ra'〜Ra'"、Rb'〜Rb'"、およびRc'〜Rc'"を含む、リチウムオルガニルまたはマグネシウムオルガニル、好ましくはリチウムオルガニルを、該基と中心のSi原子とを結合するために、クロロシランを反応させる。該リチウムオルガニルを製造するために、該オルガニルの構造およびCHの酸性度に依存して、例えば対応するオルガニルの臭化物またはヨウ化物を、出発物質(金属-ハロゲン交換)として使用することができ、あるいは該CH酸性度が十分である場合には、直接リチウム化を行うことができる。両者の場合において、該オルガニルは、金属リチウムまたはリチウム-アルキル(例えば、メチルリチウムまたはブチルリチウム)と反応させる。
該式(IIa)の幾つかのシラノール、例えばトリフェニルシラノール、トリエチルシラノールまたはt-ブチルジメチルシラノールは、市販品として入手できる。更に、該式(IIa)の幾つかのシラノールは、市販品として入手できる化合物、例えばクロロメチルジフェニルシラン:MeSi(Ph)2Clから、加水分解によって、あるいはジクロロジフェニルシラン:Ph2SiCl2から、例えば、以下の実施例2に比して、該式(IIa)の非-対称のシラノールを与える、Ph2Si(Ra'")Clを得るための上記反応式と同様にして、 Ra'"-Liと反応させることによって製造できる。
該式(I)のアルミニウムシロキシド、または該式(III)または式(IV)で表されるアルミニウム化合物と該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)との、上記反応生成物は、実際にまたは希釈剤との混合物として使用することができ、該触媒を新たに調製する場合、および/または(その場で)調製する場合には、後者の変法が、特に有利である(この点に関しては、上記説明を参照のこと)。
該分子内プリンス反応は、1種またはそれ以上の希釈剤の存在下で、または希釈剤を使用せずに実施できる。該希釈剤を含まない反応手順においては、該反応混合物の攪拌可能性または均質化は、遊離体Aおよび/または反応生成物Bによって保証される。
該分子内プリンス反応を実施するのに適した希釈剤は、例えば芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ジフェニル、ジフェニルエタン(ジベンジル)、ドデシルベンゼンまたはジベンジルベンゼン;飽和炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキシラン、ジメトキシエタン、ジフェニルエーテル(ジフェニルオキシド)、またはジトリルエーテル、およびこれら希釈剤の混合物である。
該分子内プリンス反応は、好ましくは1種またはそれ以上の高沸点(約0.1MPa(1013mbar)なる圧力下で、220℃を越える、好ましくは240℃を越える沸点を持つ)の希釈剤、例えばジフェニル、ジフェニルエーテル、またはジトリルエーテルもしくはこれらの混合物(例えば、「ジフェニル」は、26.5%のジフェニルと73.5%のジフェニルオキシドとの共有混合物で、例えばダウサーム(DowthermTM) Aなる名称の下で、市販品として入手できる)中で行われる。というのは、これらの希釈剤を用いた場合、該反応が終了した後に、該式Bの低沸点反応生成物(および適当な場合には、該式Aの該遊離体の未反応量)を留去することができ、そのために該蒸留残液生成物(例えば、該式(I)のアルミニウムシロキシド)中に残されている該触媒が、破壊されず、あるいは顕著には破壊されず、またこのようにして既に使用された触媒溶液を、更なる反応サイクルにおいて使用できるからである。
結局、本発明に従って使用される、または本発明の触媒を用いた場合には、連続的な反応手順を実施することが可能であり、また該分子内プリンス反応の、比較的短かい反応時間を、該触媒の使用により達成できる。高沸点の希釈剤を使用して、該分子内プリンス反応を実施する場合、この工程は、例えば周知のデバイス、例えば攪拌タンクまたは攪拌タンクのカスケード、および精留塔によって、全体として連続的に行うことができる。これに関連して、この反応混合物は、該精留塔の精留部分と、ストリッピング部分との間に連続的に導入され、該触媒は、該高沸点希釈剤と共に、該ストリッピング部分において得られ、また該攪拌タンクまたは攪拌タンクのカスケードに再循環され、また該式Bの所定の生成物を、該精留部分において分離することが可能となる。
該分子内プリンス反応を、希釈剤を用いずに行う場合、該蒸留を行う前に、高沸点希釈剤(上で定義した如き)を添加することが有利である。このようにして、該式Bの低沸点反応生成物(および適当な場合には、該式Aの該遊離体の未反応量)の全てを、留去することができ、また同時に、蒸留残液生成物の攪拌可能性が保証され、更に該蒸留残液(特に、該式(I)のアルミニウムシロキシド)中に残される該触媒の結晶化、沈殿またはクラッキングおよび(制御不能な)過熱が、回避される。
該式(I)の触媒は、高い熱安定性を持つ。該分子内プリンス反応は、好ましくは、-10〜130℃なる範囲、好ましくは0〜60℃なる範囲および特に好ましくは10〜50℃なる範囲内の温度にて、本発明に従って行われる。
本発明によれば、該分子内反応は、公知の触媒系を用いた場合と比較して、極めて迅速に進行し、また上記反応条件の下で、1〜4時間なる範囲の反応時間内で、規則的に完結する(転化率:>98%)。
以下の実施例は、本発明を例示するものである。特に述べない限り、データ全ては、質量基準である。
実施例1:該式(IIa)のトリスアリールシラノールの製造(従って、(IIb)および(IIc)にも適用される)
1.1 該式(IIa)のトリスアリールシラノールの製造に関する一般的な説明
該シラノールは、アリールシランおよび-シラノールを製造するための、文献記載の方法に従って、製造する。
このために、問題とするアリールブロミドを、等モル量のn-ブチルリチウムと、ジエチルエーテル中で、-20〜-40℃にて、不活性ガス(通常は窒素またはアルゴン)雰囲気下で、反応させる。5時間後および室温まで加温した後、約0.33モル当量の、ジエチルエーテルに珪素-クロロホルム(トリクロロシラン) HSiCl3を溶解した5質量%溶液を、この反応混合物に添加する。次いで、該反応混合物を、3時間に渡り還流下に加熱する。冷却後、5モル当量の水を、該反応混合物に添加し、また生成するトリスアリールシランを、固体として得る。
このようにして生成した該トリスアリールシランを、テトラヒドロフラン(THF)中の約10質量%の溶液として、過マンガン酸カリウム(通常、1.5〜5モル当量)によって酸化して、該式(IIa)のシラノールを得る。次いで、該生成する該式(IIa)のシラノールを、生成された軟マンガン鉱(二酸化マンガン)から濾過により分離する。得られる無色の溶液を、最終的に減圧下で濃縮する。
この式(IIa)のシラノールは、一般的に白色乃至黄色の固体として得られる。
1.2 トリス(1-ナフチル)シラノールの製造
Figure 2009510006
実施例1.1と同様に、100mMの1-ナフチルブロミドを、100mMのn-ブチルリチウム(2Mシクロヘキサン溶液)と反応させた。次いで、生成されたナフチルリチウムを、33mMの珪素-クロロホルム(トリクロロシラン)と、実施例1.1と同様にして反応させた。
トリス(1-ナフチル)シランを、白色固体として得たが、その純度は99%(GC-MS)であり、また収量は3gであった。
実施例1.1に記載したように、トリス(1-ナフチル)シラノールを得るための反応は、過マンガン酸カリウムによる酸化反応により行った。このために、9.5mMの該トリス(1-ナフチル)シランを、先ず100mLのTHFに導入した。次に、15mMの過マンガン酸カリウムを、該溶液に添加し、該溶液を室温(約20℃)にて、2日間に渡り攪拌する。
生成される軟マンガン鉱(MnO2)を、シリカゲル上で濾過することにより分離する。該トリス(1-ナフチル)シラノールの有機溶液を、最終的に濃縮し、該シラノールを、白色固体として得る。収量:4.04g(理論値の95%に相当する)。
1.3 トリス(9-アントラセニル)シラノールの製造
Figure 2009510006
実施例1.1と同様に、トリス(9-アントラセニル)シランを製造するために、60mMの9-アントラセニルブロミドを、等モル量のn-ブチルリチウム(2M溶液、60mM)と、ジエチルエーテル中で、-40℃にて反応させ、次いでこの溶液を、周囲温度(約20℃)まで加温した。この反応溶液を-20℃まで冷却した後、これを、20mMの珪素-クロロホルム(トリクロロシラン)と反応させ、次いで得られた白色の懸濁液を、室温まで加温する。その後、該反応混合物を、3時間に渡り、加熱還流する。該反応混合物に、100gの水を添加した後、トリス(9-アントラセニル)シランを、白色固体として濾別する。粗生成物収量:12.3g;純度:85.4%(GC-MS)。このシランを、エタノールからの再結晶により精製する。
該トリス(9-アントラセニル)シランの酸化を、5モル当量の過マンガン酸カリウムを用いて、沸騰テトラヒドロフラン中で、実施例1.1と同様に行う。この反応を、15時間後に停止し、またこれをシリカゲル上で濾過して、該溶液から軟マンガン鉱を分離した後に、形成されたシラノールを、該反応混合物の濃縮により、黄色味を帯びた固体として得る。収量:10.75g;純度:85%(GC-MS)。更に、沸騰エタノールから結晶化することにより、精製を行う。
実施例2:非-対象置換トリアリールシラノールの製造
2.1 該式(IIa)の非-対象置換トリアリールシラノール、特にジフェニルアリールシラノールの製造に係る一般的な説明
非-対象置換トリアリールシラノールを製造するために、リチウム化したアリールハライド(好ましくは、リチウム化したアリールブロミド)を、ジアリールジクロロシラン、例えばジクロロジフェニルシラン:Ph2SiCl2と反応させる。
例として使用した該アリールブロミドは、実施例1.1と同様に、等モル量のn-ブチルリチウムで、-40〜-20℃なる温度にて、ジエチルエーテル中で、金属化し、また周囲温度(約20℃)まで加温した後、一例として使用する、ジエチルエーテル中に溶解した、等モル量のジクロロジフェニルシランと、5時間に渡り反応させる。該反応溶液を周囲温度まで加温した後、該反応混合物を、3時間に渡り加熱還流する。その後、該シラノールを製造するために、生成する白色懸濁液に、水を添加し、またこの反応混合物を、再度1時間に渡り、加熱還流する。その水性相を除去した後に得られる該有機相を、5質量%なる濃度の炭酸ナトリウム溶液で中性となるまで洗浄し、減圧下で濃縮する。該非-対象的に置換されたトリアリールシラノールを、白色乃至黄色味を帯びた固体として得る。
2.2 (9-アントラセニル)ジフェニルシラノールの製造
Figure 2009510006
該シラノールの製造のために、20mMの9-アントラセニルジブロミドを、等モル量のn-ブチルリチウム(2Mシクロヘキサン溶液、20mM)で、-20℃にて金属化し、次いでジクロロジフェニルシランを、実施例2.1に従って添加する。該ジクロロジフェニルシランの添加が完了したら、この反応混合物を、3時間に渡り加熱還流し、次いで水(100g)を添加して、加水分解する。
分離された該有機相を、中性となるまで洗浄した後、この溶液を、減圧下で濃縮し、粗生成物を、黄色固体として得る。粗生成物の収量:5.80g;含有率:69%(GC-MS)。
2.3 (1-ナフチル)ジフェニルシラノールの製造
Figure 2009510006
該シラノールを製造するために、60mMの1-ナフチルブロミドを、等モル量のn-ブチルリチウム(2Mシクロヘキサン溶液、60mM)を用いて、-20℃にて、400mLのジエチルエーテル中で金属化し、次いで60mMのジクロロジフェニルシランを、実施例2.1に従って添加する。該ジクロロジフェニルシランの添加後、この反応混合物を、3時間に渡り加熱還流し、次いで水(100g)を添加して、加水分解する。分離された該有機相を、中性となるまで洗浄した後、この溶液を、減圧下で濃縮し、粗生成物を、白色固体として得る。粗生成物の収量:21.17g;含有率:84%(GC-MS)。
実施例3および4:イソプレゴールの製造
該環化(分子内プリンス反応)を行うための一般的な説明
シトロネラールからイソプレゴールを製造するためのこれら実験は、無水希釈剤を用いて、不活性ガス雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。
実施例3.1-3.2:比較例:イソプレゴールの製造(本発明ではなく、EP 1,225,163 A2と同様にして製造)
3.1 トリス(2,6-ジフェニルフェノキシ)アルミニウムの製造(触媒は、本発明のものではない)
Figure 2009510006
3mMの2,6-ジフェニルフェノールを、先ず不活性雰囲気下で、トルエン中に導入する。該2,6-ジフェニルフェノールを溶解した後、1mMのトリエチルアルミニウム(トルエン溶液)を、約0℃にて、該冷却された溶液に滴下し、次にこの反応混合物を室温にて1時間攪拌する。この手順中に、該溶液は、僅かに黄色味を帯びた色彩を呈するが、透明性を維持している。
3.2 環化
上記段階3.1由来の該反応溶液を、50mLのトルエンによって希釈し、-10℃まで冷却する。50mMのラセミ型シトロネラールを、該冷却された反応溶液に、5分間の期間に渡り滴下する。
この反応の追跡(GC)は、4時間後に転化率が63%となることを示した。完全なる転化は、20時間後に達成され、またイソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は、75%であった。収量:7.70g(50mM)。
実施例3.3:比較例:イソプレゴールの製造(本発明ではなく、Synthesis, 1978, 147と同様にして製造)
0.001mMの臭化亜鉛を、先ず不活性ガス雰囲気下で、70mLのトルエンに導入する。次いで、この反応溶液を、85℃に温度調節し、0.05Mのシトロネラールを、該反応溶液中に秤取る。次いで、該不均質反応混合物を、この温度にて4時間攪拌する。その後、この反応混合物を、15%濃度の水酸化ナトリウム溶液50mLで洗浄し、また中性となるまで洗浄した後に、該溶媒を、減圧下で、該反応混合物から除去する。
98%なる転化率が達成され、またイソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は85%であった。収量:黄色オイルとして50mM。
実施例4-11:イソプレゴールを得るための、シトロネラールの、本発明による分子内プリンス反応
実施例4:2種の異なるアルミニウムシロキシド触媒の使用
本発明による、ラセミ型(rac-)シトロネラールの、イソプレゴールおよびその立体異性体B2への環化を、上記式(I)の2種の異なるアルミニウムシロキシドの存在下で実施し、またこれらを、トリエチルシラノールまたはt-ブチルジメチルシラノールから出発して、比較例3.1(トリス(2,6-ジフェニルフェノキシ)アルミニウム)に相当する上記式(III)のアルミニウム化合物との反応により、その場で行った。
比較例3.2に対応して、1mMの、その場で製造した該式(I)のアルミニウムシロキシド[Al(OSiEt3)3またはAl(OSiMe2tBu)3]を、取る円柱で、50mMのシトロネラールと反応させた。これらの結果を、以下の表に与える。また、これらのデータは、GC%で表されている。
Figure 2009510006
転化率>99%にて、該特定の反応生成物が、夫々81.2%および84.65(84.6%の誤記?)なる含有率で、該分子内プリンス反応の環化生成物(イソプレゴールおよび異性体B2)を含んでおり、該ラセミ型イソプレゴールrac-B2isoの含有率は、ここでは夫々74.8%および74.6%であり、これらは、該反応生成物中のrac-B2isoの、夫々60.7%および63.1%という、特定の含有率に相当する。
実施例5:
実施例5.1:式(I)の触媒:Al(OSiPh 3 ) 3 の製造
1mMのトリエチルアルミニウム(トルエン溶液)を、0℃に冷却した後に、トルエン中の3mMのトリフェニルシラノールの混合物に滴下した。その後、この反応混合物を、室温(約20℃)まで加温したところ、この懸濁液は、先ず著しく薄い色になり、次いで透明になる。該式(I)の触媒アルミニウムシロキシド:Al(OSiPh3)3の製造を完了するために、この反応混合物を、室温にて更に30分間攪拌する。
実施例5.2:環化反応
トルエン中の実施例5.1で得た該反応混合物を、更に50mLのトルエンで希釈し、0℃まで冷却する。予め懸濁させた固体を、希釈によって溶解させる。次いで、50mMのシトロネラールを、2分間の間に、得られた溶液に滴下し、この反応混合物を室温まで加温する。3時間後に、該シトロネラールは、完全に転化される。次いで、該反応混合物を、20%濃度の水酸化ナトリウム溶液50mLで洗浄し、得られる有機相を、減圧下でトルエンから分離する。
完全な転化が達成され、またイソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は100%であった。収量:淡黄色オイルとして7.70g(50mM)。ティチェンコ-クライゼン生成物の存在は検出されなかった。
実施例6:
該アルミニウムシロキシド:Al(OSiPh3)3を、実施例5.1と同様にして製造した。次いで、1mMの新たに製造した該アルミニウムシロキシドを含有する溶液を、40℃に加熱し、また濃度50%のトルエン溶液としての100mMのシトロネラールを滴下した。この計量添加が終了したら、該反応混合物を、40℃にて、更に4時間攪拌し、次いで該反応を、50mLの15%濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加することによって、停止させた。中性となるまで洗浄し、該溶媒を留去した後、反応生成物B2を、無色オイルとして得た。収量:14.8g。
転化率99%が達成され、またイソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は>99.5%であった。ティチェンコ-クライゼン生成物の存在は検出されなかった。
実施例7:
該アルミニウムシロキシド:Al(OSiPh3)3を、実施例5.1と同様にして製造した。次いで、1mMの新たに製造した該アルミニウムシロキシドを含有する溶液を、60℃に加熱し、また濃度50%のトルエン溶液としての100mMのシトロネラールを滴下した。この計量添加が終了したら、該反応混合物を、60℃にて、更に2時間攪拌し、次いで該反応を、50mLの15%濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加することによって、停止させた。中性となるまで洗浄し、該溶媒を留去した後、反応生成物B2を、無色オイルとして得た。収量:14.8g。
転化率98%が達成され、またイソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は98%であった。ティチェンコ-クライゼン生成物の存在は検出されなかった。
実施例8:
該アルミニウムシロキシド:Al(OSiPh3)3を、実施例2aと同様にして製造した。次いで、1mMの新たに製造した該アルミニウムシロキシドを含有する溶液を、40℃に加熱し、また濃度50%のトルエン溶液としての200mMのシトロネラールを、30分間に渡って滴下した。この計量添加が終了したら、該反応混合物を、40℃にて、更に4時間攪拌し、次いで該反応を、20%濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加することによって、停止させた。中性となるまで洗浄し、該溶媒を留去した後、反応生成物B2を、無色オイルとして得た。収量:30.0g。
転化率97%が達成され、またイソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は>99.5%であった。ティチェンコ-クライゼン生成物の存在は検出されなかった。
実施例9:
該トリス(トリフェニルシリルオキシ)アルミニウム触媒の、d-シトロネラールからのl-イソプレゴールの製造における再利用
5mMトリエチルアルミニウムを、溶液として、高沸点希釈剤としてのジトリルエーテルに分散させた、15mMのトリフェニルシラノール懸濁液に、0℃に冷却した後に、滴々添加する。その後、該反応混合物を、室温(約20℃)まで加温した。該式(I)のアルミニウムシロキシド:Al(OSiPh3)3の製造を完了するために、該反応混合物を、室温にて更に45分間攪拌した。250mMのd-シトロネラールを、0℃にて、この混合物に添加し、この混合物を室温まで加温した。該シトロネラールの完全な転化は、3時間後に達成される。
次いで、l-イソプレゴールおよびその立体異性体B2を、約0.1〜0.3kPa(1〜3mbar)なる範囲の真空下での蒸留によって、蒸留残液温度125℃まで、該高沸点希釈剤から完全に分離した。
主としてジトリルエーテルとアルミニウムシロキシド:Al(OSiPh3)3とを含む、該蒸留残液中に残された混合物を冷却した後、該混合物を0℃に冷却し、250mMのd-シトロネラールを、再度添加した。結果的に、3時間後に完全な転化が観測された。
上記手順に従って、更に実験を繰返した。結果を、以下の表にまとめた。
Figure 2009510006
個別的な反応生成物は、該分子内プリンス反応の環化生成物(l-イソプレゴールおよび異性体B2)、並びに適当な場合には、未反応のd-シトロネラール(0.5%まで)を含んでいた。
特定の実験における、該分子内プリンス反応の環化生成物(l-イソプレゴールおよび異性体B2)中のl-イソプレゴールB2isoの含有率は、73.9%〜77.8%なる範囲内にあり、これは個別的な反応生成物における、73.5%(実験No.2)〜77.6%(実験No.5)なる範囲の、B2isoの特定の含有率に相当する。
実施例10:
3mMのトリス(1-ナフチル)シラノールおよび1mMのトリエチルアルミニウムから、実施例5.1と同様にして、アルミニウムシロキシド:Al(OSi(1-ナフチル)3)3の製造を、その場で行った。100mMのd-シトロネラールを、0℃にて、新たに調製した触媒に滴下し、この反応混合物を室温まで加温した。該計量添加が終了したら、該反応混合物を、室温(約20℃)にて、更に4時間攪拌し、次いで該反応を、50mLの15%濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加することによって、停止させた。中性となるまで洗浄し、該溶媒を留去した後、反応生成物B2を、無色オイルとして得た。収量:14.8g。
転化率99%が達成され、またl-イソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は100%であった。ティチェンコ-クライゼン生成物の存在は検出されなかった。l-イソプレゴールB2isoに関する、該分子内プリンス反応のジアステレオマー選択性は、de=93%なるジアステレオマー過剰(diastereomer excess)に対応する。
実施例11:
3mMの1-ナフチルジフェニルシラノールおよび1mMのトリエチルアルミニウムから、実施例5.1と同様にして、アルミニウムシロキシド:Al(OSi(1-ナフチル)Ph2)3の製造を、その場で行った。0℃にて新たに調製した触媒に、100Mのd-シトロネラールを0℃にて滴下し、この反応混合物を室温まで加温した。該計量添加が終了したら、該反応混合物を、室温(約20℃)にて、更に4時間攪拌し、次いで該反応を、50mLの15%濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加することにより、停止させた。中性となるまで洗浄し、該溶媒を留去した後、反応生成物B2を、無色オイルとして得た。収量:14.8g。
転化率99%が達成され、またイソプレゴールおよびその立体異性体B2に基く、選択率は>99.5%であった。ティチェンコ-クライゼン生成物の存在は検出されなかった。l-イソプレゴールB2isoに関する、ジアステレオマー選択性は80%であった。

Claims (17)

  1. 以下の一般式Bの化合物の製造方法であって:
    Figure 2009510006
    B
    以下の諸工程を有する方法:
    −以下の一般式Aの化合物を調製する工程:
    Figure 2009510006
    A
    −以下の一般式(I)で表されるアルミニウムシロキシドの存在下で、上記式Aで表される化合物を、分子内反応させる工程を含み:
    Figure 2009510006
    (I)
    上記式AおよびBにおいて、R1、R2、R3およびnの意味は同一であって、
    各場合において、R1、R2およびR3は、相互に独立に、水素またはメチル基を表し、
    R4は、水素または1〜6個の炭素原子を持つアルキル基を表し、
    nは、0、1または2を表し、
    また、上記式(I)において、Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、水素または有機基、好ましくは場合により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキルアリール、シクロアルケニルアリール、シクロアルキルへテロアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、およびへテロアリールアルキルからなる群から選択される基を表すが、該基Ra'、Ra"、Ra'"の少なくとも一つ、該基Rb'、Rb"、Rb'"の少なくとも一つ、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし、
    相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合することができる。
  2. 以下の一般式Bで表される化合物の製造方法であって:
    Figure 2009510006
    B
    以下の諸工程を有する方法:
    −以下の一般式Aの化合物を調製する工程:
    Figure 2009510006
    A
    −以下の一般式(III)で表されるアルミニウム化合物:
    HpAl(R5)3-p (III)
    (ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、あるいは以下の一般式(IV)で表される化合物:
    MAlH4 (IV)
    (ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択され)の何れかと、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc)(これらは同一でも異なっていても良い):
    Figure 2009510006
    で表されるシラノールとを混合および/または反応させる工程、
    上記式において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、水素または有機基、好ましくは場合により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキルアリール、シクロアルケニルアリール、シクロアルキルへテロアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、およびへテロアリールアルキルからなる群から選択される基を表すが、該基Ra'、Ra"、Ra'"の少なくとも一つ、該基Rb'、Rb"、Rb'"の少なくとも一つ、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし、
    相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合することができ、および
    −該アルミニウム化合物(III)または(IV)と、該シラノール(IIa)、(IIb)および(IIc)との混合物および/または反応生成物の存在下で、上記式Aの化合物を、分子内反応させる工程を含む。
  3. 該一般式AおよびBにおいて、R1およびR2は、各場合において相互に独立に、水素原子またはメチル基を表し、R3は、水素原子を表し、R4は、メチル基を表し、nは、0または1を表す、請求項1または2記載の方法。
  4. 該式Aの化合物が、2,6-ジメチル-5-ヘプテナールおよびシトロネラール(3,7-ジメチル-6-オクテナール)からなる群から選択される、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  5. 該一般式(I)のアルミニウムシロキシド、または上記一般式(III)または(IV)のアルミニウム化合物と上記一般式 (IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールとの反応による、該反応生成物が、その場で製造され、および/または新たに製造される、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 該一般式Aの化合物の分子内反応が、希釈剤中で行われ、該希釈剤の沸点が、該一般式AおよびBの化合物の沸点よりも高く、あるいは
    該一般式Aの化合物の分子内反応が発生した後に、該一般式AおよびBの化合物の沸点よりも高い沸点を持つ、希釈剤を添加し、
    更に、以下の工程:
    蒸留によって、該希釈剤および該一般式(I)のアルミニウムシロキシド、または該一般式(III)または(IV)のアルミニウム化合物と該一般式 (IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールとの反応による、該反応生成物から、該式Bの化合物を分離する工程をも含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 以下の工程:該一般式(I)のアルミニウムシロキシド、または該一般式(III)または(IV)のアルミニウム化合物と該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールとの反応による、該反応生成物を、該式Aの化合物の該分子内反応において、再生使用する工程をも含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 以下の一般式(I)で表されるアルミニウムシロキシド:
    Figure 2009510006
    (I)
    または以下の一般式(III)で表されるアルミニウム化合物:
    HpAl(R5)3-p (III)
    (ここで、R5は、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、あるいは以下の一般式(IV)で表されるアルミニウム化合物:
    MAlH4 (IV)
    (ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択される)の何れかと、同一でも異なっていても良い、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノール:
    Figure 2009510006
    との混合物および/または反応生成物(該一般式(I)および該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、水素または有機基、好ましくは場合により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、アルキニル、シクロアルキルアルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキルアリール、シクロアルケニルアリール、シクロアルキルへテロアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、およびへテロアリールアルキルからなる群から選択される基を表すが、該基Ra'、Ra"、Ra'"の少なくとも一つ、該基Rb'、Rb"、Rb'"の少なくとも一つ、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし、また相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合により結合することができる)の何れかの、触媒としての使用。
  9. 分子内プリンス反応用の触媒としての、請求項8記載の使用。
  10. 以下の式Bで表される化合物:
    Figure 2009510006
    B
    を、以下の式Aで表される化合物:
    Figure 2009510006
    A
    (上記式AおよびBにおけるR1、R2、R3およびnの意味はそれぞれ同一であり、R1、R2およびR3は、それぞれ相互に独立に、水素原子またはメチル基を表し、R4は、水素原子または1〜6個の炭素原子を持つアルキル基を表し、nは、0、1または2を表す)から製造するための、請求項8または9記載の使用。
  11. 該一般式(I)のアルミニウムシロキシドおよび該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールに関して、Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、場合により置換された、C1-C20-アルキル基、C1-C20-ヘテロアルキル基、C3-C20-シクロアルキル基、C4-C20-シクロアルキルアルキル基、C2-C20-アルケニル基、C3-C20-シクロアルケニル基、C4-C20-シクロアルケニルアルキル基、C2-C20-アルキニル基、C5-C20-シクロアルキルアルキニル基、C1-C20-アルコキシ基、C3-C20-シクロアルコキシ基、C5-C20-シクロアルキルアルコキシ基、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表し、
    また相互に独立に、該基Ra'、Ra"、Ra'"の2または3個、該基Rb'、Rb"、Rb'"の2または3個、および該基Rc'、Rc"、Rc'"の2または3個は、相互に共有結合によって結合することができるものである、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法、または請求項8〜10の何れか1項に記載の使用。
  12. 以下の一般式(I):
    Figure 2009510006
    (I)
    ここで、Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す、
    で表される、アルミニウムシロキシド、但し化合物:Al(OSiPh3)3を除く。
  13. 以下の式(III)で表されるアルミニウム化合物:
    HpAl(R5)3-p (III)
    (ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、または以下の式(IV)で表されるアルミニウム化合物:
    MAlH4 (IV)
    (ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択される)の何れかと、同一でも異なっていても良い、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc)で表されるシラノール:
    Figure 2009510006
    との混合物(該一般式(I)または該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す)、但し該化合物は、AlMe3および/またはHOSiPh3を含まない。
  14. 以下の式(III)で表されるアルミニウム化合物:
    HpAl(R5)3-p (III)
    (ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキル基またはアリール基を表し、またpは0、1または2から選択され)、または以下の式(IV)で表されるアルミニウム化合物:
    MAlH4 (IV)
    (ここで、Mはリチウム、ナトリウムまたはカリウムから選択される)の何れかと、以下の式(IIa)、(IIb)および(IIc) (それらは同一でも異なっていても良い)で表されるシラノール:
    Figure 2009510006

    との反応による反応生成物(該一般式(I)および該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)において、基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"は、相互に独立に、C3-C25-アリール基、C2-C25-ヘテロアリール基、C4-C25-アリールアルキル基、C8-C25-シクロアルキルアリール基、C8-C25-シクロアルケニルアリール基、C5-C25-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C25-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC3-C25-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す)、但し化合物:Al(OSiPh3)3を除く。
  15. 該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"が、相互に独立に、C6-C20-アリール基、C3-C20-ヘテロアリール基、C7-C20-アリールアルキル基、C8-C20-シクロアルキルアリール基、C8-C20-シクロアルケニルアリール基、C6-C20-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基、およびC4-C20-ヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す、請求項12、13または14記載の、アルミニウムシロキシド、混合物または反応生成物。
  16. 該基Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"が、相互に独立に、C6-C20-アリール基、C3-C20-ヘテロアリール基、C8-C20-シクロアルキルアリール基、C8-C20-シクロアルケニルアリール基、C7-C20-シクロアルキルヘテロアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルキルアリール基、C8-C20-ヘテロシクロアルケニルアリール基、およびC8-C20-ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール基からなる群から選択される、場合により置換された基を表す、請求項12、13または14記載の、アルミニウムシロキシド、混合物または反応生成物。
  17. 該一般式(I)のアルミニウムシロキシドおよび該一般式(IIa)、(IIb)および(IIc)のシラノールに関して、該基Ra'、Ra"、Ra'"が同一であり、該基Rb'、Rb"、Rb'"が同一であり、かつ該基Rc'、Rc"、Rc'"が同一であり、また好ましくは上記すべての基:Ra'、Ra"、Ra'"、Rb'、Rb"、Rb'"、Rc'、Rc"、Rc'"が同一である、請求項1〜16の何れか1項に記載の、方法、使用、アルミニウムシロキシド、混合物または反応生成物。
JP2008532700A 2005-09-26 2006-09-04 分子内プリンス反応およびそれに適する触媒(シトロネラールからのイソプレゴールの生成) Pending JP2009510006A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US72060405P 2005-09-26 2005-09-26
PCT/EP2006/065947 WO2007039366A1 (en) 2005-09-26 2006-09-04 Intramolecular prins reaction and catalysts suitable therefor (citronellal to isopulegol)

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009510006A true JP2009510006A (ja) 2009-03-12

Family

ID=37232885

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008532695A Pending JP2009510005A (ja) 2005-09-26 2006-08-17 分子内プリンス反応および該反応に適する触媒
JP2008532700A Pending JP2009510006A (ja) 2005-09-26 2006-09-04 分子内プリンス反応およびそれに適する触媒(シトロネラールからのイソプレゴールの生成)

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008532695A Pending JP2009510005A (ja) 2005-09-26 2006-08-17 分子内プリンス反応および該反応に適する触媒

Country Status (6)

Country Link
US (2) US7915457B2 (ja)
EP (2) EP1940758B1 (ja)
JP (2) JP2009510005A (ja)
AR (1) AR057830A1 (ja)
TW (1) TW200720238A (ja)
WO (2) WO2007039342A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2390001A1 (en) 2010-05-25 2011-11-30 Takasago International Corporation Organoaluminium compounds and their use as catalysts in the selective cyclisation of citronellal to isopulegol
WO2014077321A1 (ja) 2012-11-15 2014-05-22 高砂香料工業株式会社 アルミニウム触媒
JP2016098207A (ja) * 2014-11-25 2016-05-30 高砂香料工業株式会社 光学活性アルコールの製造方法

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3371029A (en) * 1966-11-30 1968-02-27 Universal Oil Prod Co Mixed-phase conversion product separation process
US8093410B2 (en) 2007-10-03 2012-01-10 Eisai R&D Management Co., Ltd. Intermediates and methods for the synthesis of halichondrin B analogs
ES2636456T3 (es) 2007-11-30 2017-10-05 Basf Se Procedimiento para la producción de mentol ópticamente activo y racémico
WO2009144906A1 (ja) 2008-05-26 2009-12-03 高砂香料工業株式会社 アルミニウム錯体とその使用
JP5564506B2 (ja) 2008-12-17 2014-07-30 高砂香料工業株式会社 アルミニウム錯体と分子内閉環反応における触媒としてのその使用
CN102126936B (zh) * 2010-12-17 2013-05-01 上海应用技术学院 一种3,7-二甲基-6-辛烯醛的提纯工艺
BR112016009452B1 (pt) 2013-11-04 2022-06-07 Eisai R&D Management Co., Ltd Métodos de preparar intermediários na síntese de eribulina, métodos de preparar eribulina e mesilato de eribulina, e compostos intermediários
CN107849057B (zh) 2015-05-07 2020-11-10 卫材R&D管理有限公司 用于合成软海绵素大环内酯的大环化反应及中间体和其他片段
JP6786610B2 (ja) 2016-02-12 2020-11-18 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 エリブリンの合成における中間体および関連する合成方法
MX2018016329A (es) 2016-06-30 2019-09-18 Eisai R&D Man Co Ltd Reaccion de prins e intermediarios utiles en la sintesis de macrolidos de halicondrina y analogos de los mismos.
US11542269B2 (en) 2018-01-03 2023-01-03 Eisai R&D Management Co., Ltd. Prins reaction and compounds useful in the synthesis of halichondrin macrolides and analogs thereof
CN108484355B (zh) * 2018-04-13 2020-12-18 浙江新和成股份有限公司 一种异胡薄荷醇的制备方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3971747A (en) * 1975-04-11 1976-07-27 Dow Corning Corporation Curable compositions
DE3642988A1 (de) * 1986-12-17 1988-06-30 Schering Ag Herstellung von dialkyl(alkyldimethylsilanolato)aluminium-verbindungen
US4925822A (en) * 1989-03-30 1990-05-15 Shell Oil Company Disproportionation catalyst and process
US6011127A (en) * 1996-05-20 2000-01-04 Showa Denko K.K. Process for the production of ethylenic polymers
US5731451A (en) * 1996-07-12 1998-03-24 Akzo Nobel Nv Modified polyalkylauminoxane composition formed using reagent containing aluminum trialkyl siloxide
EP1053974A1 (en) 1999-05-17 2000-11-22 Quest International B.V. Reactions using lewis acids
JP4676617B2 (ja) * 2001-01-18 2011-04-27 高砂香料工業株式会社 イソプレゴールの製造方法
JP2004174429A (ja) 2002-11-28 2004-06-24 Showa Denko Kk カルボン酸エステル製造用触媒および該触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法
DE102004063003A1 (de) * 2004-12-22 2006-07-13 Basf Ag Verfahren zur Herstellung von Isopulegol
JP4488219B2 (ja) * 2005-03-30 2010-06-23 信越化学工業株式会社 環状オリゴシロキサンの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2390001A1 (en) 2010-05-25 2011-11-30 Takasago International Corporation Organoaluminium compounds and their use as catalysts in the selective cyclisation of citronellal to isopulegol
US8329931B2 (en) 2010-05-25 2012-12-11 Takasago International Corporation Organoaluminum compound
WO2014077321A1 (ja) 2012-11-15 2014-05-22 高砂香料工業株式会社 アルミニウム触媒
JP2016098207A (ja) * 2014-11-25 2016-05-30 高砂香料工業株式会社 光学活性アルコールの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US7915457B2 (en) 2011-03-29
US20090036699A1 (en) 2009-02-05
EP1940758A1 (en) 2008-07-09
WO2007039342A1 (en) 2007-04-12
TW200720238A (en) 2007-06-01
AR057830A1 (es) 2007-12-19
US20090093649A1 (en) 2009-04-09
EP1940758B1 (en) 2012-11-28
EP1940759A1 (en) 2008-07-09
WO2007039366A1 (en) 2007-04-12
JP2009510005A (ja) 2009-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009510006A (ja) 分子内プリンス反応およびそれに適する触媒(シトロネラールからのイソプレゴールの生成)
Sommer et al. Stereochemistry of asymmetric silicon. XVI. Transition metal catalyzed substitution reactions of optically active organosilicon hydrides
Ozawa et al. A new reactive system for catalytic bis-silylation of acetylenes and olefins
JP4676617B2 (ja) イソプレゴールの製造方法
JP5648240B2 (ja) 有機アルミニウム化合物
Petit et al. A straightforward synthesis of unsymmetrical secondary phosphine boranes
Cunningham et al. On the use of mixtures of organotin species for catalytic enantioselective ketone allylation—A detective story
EP0191259B1 (fr) Nouveaux complexes de silicium hexacoordinés, leur procédé de préparation et leur application
US9035081B2 (en) Synthesis of phosphinimide coordination compounds
JP3856083B2 (ja) トリオルガノシラノール化合物の製造方法
KR101133865B1 (ko) 할로유기알콕시실란의 제조 방법
EP1756123A1 (en) Process for making haloorganoalkoxysilanes
JP4807549B2 (ja) シロキサン類,シラノール類及びシラン類,並びにその製造方法
RU2290405C1 (ru) Способ получения 3,4-диалкил-2,5-бис(триметилсилил)-магнезациклопента-2,4-диенов
US6812360B2 (en) Process for preparing bis(fluoroaryl)boron derivatives
JPH11228584A (ja) アミノアルコキシシランの製造方法
EP0450957B1 (en) Production of methylphenyltrisiloxane
EP1211256B1 (en) Method for purifying fluoroaryl metal compound
JP4288463B2 (ja) クロロ原子含有有機ケイ素化合物の製造方法
JP2000001493A (ja) アミノアルコキシシランの製造方法
JP2004175784A (ja) 有機シリル基を有するノルボルネン誘導体の製造方法
JP4118683B2 (ja) フッ化アリールホウ素誘導体およびビス(フッ化アリール)ホウ素誘導体の精製方法
RU2342391C2 (ru) СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯ 1,2,3,4,5,6,8,9,10,11,12,13-ДОДЕКАГИДРОДИЦИКЛООКТА-[b, d]-МАГНЕЗАЦИКЛОПЕНТАДИЕНА
Pei I. Palladium-catalyzed diene cyclization/hydrosilylation using functionalized silanes. II. Palladium-catalyzed alkylation of unactivated olefins
JP2002308888A (ja) (多環式第2級アミノ)ジアルコキシシランの製造方法