JP2009506023A - ブロモピクリンを調製するプロセス - Google Patents

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Abstract

高純度のブロモピクリンを調製するプロセス、および、そのプロセスから製造される高純度のブロモピクリン。ニトロメタンおよび臭素の混合物、および好ましくは水を、有機溶媒が存在しないように提供すること。アルカリ性物質の水溶液を混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供すること、ただし、この添加は、過剰なアルカリ性物質が、その水溶液を加えている期間中、反応混合物に存在しないように行われる。有機相を反応混合物から回収すること。反応混合物の有機相は、少なくとも96パーセント以上の純度を有するブロモピクリンのほぼ定量的収率を得るために、蒸留または抽出に供する必要がない。反応の選択性を支配するプロセスパラメーターは、混合物中の臭素とニトロメタンのモル比;ブロモピクリンが形成される間の反応温度;アルカリ性物質の水溶液における濃度;および反応時間である。
【選択図】 なし

Description

本発明は化学合成および化学製造の分野に関連し、より具体的には、ブロモピクリンを調製するプロセス、および、そのプロセスから製造される高純度のブロモピクリンに関連する。
ブロモピクリンは、1,1,1−トリブロモニトロメタン(メタン,トリブロモニトロ−)、ニトロトリブロモメタン(メタン,ニトロトリブロモ−)およびニトロブロモホルムとして同義的に知られており、CBrNOの化学式、BrCNOの分子式、297.728の分子量、10℃の融点、89℃〜90℃(20mmHgにおいて)の沸点、2.79の比重、20℃における1リットルの水につき、約1.5グラムの水溶解度を有し、固相でのプリズム状結晶として、または、油状の無色の液体として見られる。ブロモピクリンは、CAS(Chemical Abstract Service)登録番号464−10−8、Beilstein Handbook Reference番号4−01−00−00106が割り当てられ、ハロニトロアルカン(または同等に、ニトロハロアルカン)の総称的な化学ファミリーに属すると見なすことができ、これには、例えば、モノブロモニトロアルカン、ジブロモニトロアルカンおよびトリブロモニトロアルカン、ならびに、モノクロロニトロアルカン、ジクロロニトロアルカンおよびトリクロロニトロアルカン(例えば、それぞれ、モノブロモニトロメタン、ジブロモニトロメタンおよびトリブロモニトロメタン、ならびに、モノクロロニトロメタン、ジクロロニトロメタンおよびトリクロロニトロメタンなど)が含まれる。
一般に、ブロモニトロメタン(例えば、トリブロモニトロメタン(ブロモピクリン)およびモノブロモニトロメタン)は、単独で「最終生成物」として使用されるか、あるいは、組成物または配合物の最終生成物で使用されるか、あるいは、別の組成物または配合物を調製(合成または/および製造)するプロセスにおける「消費され得る」最初または中間の反応物または成分として使用されることで既知である。ブロモニトロメタンを含有するか、または、ブロモニトロメタンに由来するそのような化学物質および化学材料が、様々な異なる分野(例えば、農業、園芸および一般産業など)において、抗菌剤、殺生物剤または/および防腐剤として広く知られ、また、広く使用される。ブロモニトロメタンが、土壌介在の農業有害生物の根絶または/および防止を伴う農業適用において、また、有害な微生物の根絶または/および防止を伴う一般産業における適用において、極めて有用で、効果的で、かつ、比較的安全であるとして既知である。具体的には、商業的適用性に関して、作業者および環境の健康および安全性の検討事項が主要な要因である場合、ブロモニトロメタンおよびその使用が、効果的な、しかし、環境的に問題のある化学物質(例えば、とりわけ、臭化メチル、1,3−ジクロロプロパン、メチルイソシアナート類、ヨウ化メチル(ヨードメタン)、臭化プロパルギルなど)の実現可能な、効果的かつ安全な代用物または代替物として開発されている。
ブロモピクリンおよび関連したブロモニトロメタンの使用:
単独で最終生成物として、あるいは、組成物または配合物の最終生成物で場合によっては使用されるものとして示されるブロモニトロメタンの選択された例(例えば、ブロモピクリンなど)が、近年に出願された米国仮特許出願第60/634525号(本発明の同一出願人/譲受人により2004年12月10日出願)、米国特許第5866511号(Dallmier他)、米国特許第5591759号(Ito他)、米国特許第5411990号および同第5397804号(それぞれがTsui他)、米国特許第5013762号(Smith他)、ならびに、米国特許第4039731号、同第4020249号、同第4017666号および同第3968096号(それぞれがFreedman他)の開示において提供される。
近年に出願された米国仮特許出願第60/634525号には、物質、製造物または構造物を効果的に、確実に、かつ、安全に消毒するために、および/または、植物有害生物(例えば、菌類、細菌、昆虫または雑草など)を抑制するために、ブロモピクリンまたはそのアナログを含む配合物を利用する方法、配合物および製造物が開示される。
米国特許第5866511号には、微生物を含有する水性媒体に、(モノ)ブロモニトロメタン[CHBrNO]の酸性化された溶液を、その媒体における微生物(細菌、藻類、菌類)の成長を阻害するために十分な量で加えることを含む、水性媒体における微生物の成長を阻害する方法が開示される。
米国特許第5591759号には、様々な合成ポリマーエマルションの防腐処理または抗カビ処理のために有用な水性のイソチアゾロン配合物が開示され、この場合、配合物は、(a)特定のイソチアゾロン化合物、(b)水または水性溶媒、および(c)特定のニトロブロモ化合物(例えば、トリブロモニトロメタン(ブロモピクリン))またはシアノブロモ化合物を含む。
米国特許第5411990号および同第5397804号には、多岐にわたる異なる媒体および物質(例えば、製紙工業およびパルプ工業における製紙工程で使用される水;様々な産業における冷却用水および洗浄用水;燃料油スラッジ;金属加工液;繊維油;塗料;防汚塗料;紙用の塗布顔料;ラテックス;および接着剤など)の防腐処理、殺菌処理または微生物増殖抑制処理のために効果的である産業用使用のために微生物を殺すか、または、微生物の成長を阻害するための産業用の抗菌剤または微生物増殖抑制剤、および、それらを使用する対応する方法が開示される。米国特許第5411990号では、開示された産業用殺菌剤の例示的な具体的な好ましい実施形態は、少なくとも1つのハログリオキシム誘導体と、効果的な成分としての少なくとも1つの既知の産業用殺菌剤成分(例えば、有機ハロゲン化合物など、例えば、有機ブロモニトロ化合物、例えば、トリブロモニトロメタン(ブロモピクリン))と、場合により、キャリアまたは希釈剤とを含む。米国特許第5397804号では、開示された産業用殺菌剤の例示的な具体的な好ましい実施形態は、有効成分としてのクロロベンズアルドキシムと、既知の産業用殺菌剤成分(例えば、有機臭素化合物など、例えば、トリブロモニトロメタン(ブロモピクリン))とを含む。
米国特許第5013762号には、殺線虫量のモノブロモニトロメタンを含む組成物を土壌に適用することによって線虫(土壌に見出される蠕虫様生物)を処置するための方法が開示される。
米国特許第4039731号、同第4020249号、同第4017666号および同第3968096号には、ポリオレフィンと、ポリオレフィンの重量に対して約0.1パーセント〜10パーセントの添加剤(例えば、臭素および窒素基を含有する添加剤、例えば、ハロニトロアルカン、例えば、トリブロモニトロメタン(ブロモピクリン)など)とを含む植物分解性(プラスチック)組成物が開示される。
上記開示のそれぞれにおいて、ブロモニトロメタン、すなわち、モノブロモニトロメタンまたはトリブロモニトロメタン(ブロモピクリン)がそれらにおいて合成または製造されず、むしろ、容易に入手可能なストック試薬として入手および使用されることは注目に値する。加えて、使用されたブロモピクリンが分析用規格である同一出願人/譲受人の米国仮特許出願第60/634525号を除いて、他の引用された他の先行技術のどれにおいても、トリブロモニトロメタン(ブロモピクリン)の純度または供給源について何ら述べられていないことは注目に値する。
別の組成物または配合物を調製するプロセスにおける消費され得る反応物または成分として場合によっては使用されるとして示されるトリブロモニトロメタン(ブロモピクリン)[CBrNO]の選択された例が、米国特許第5219938号および同第5128416号(それぞれがImai他、発明の名称:「修飾ジエンポリマーゴム」)、ならびに、米国特許第50176692号および同第4957976号(それぞれがTakao他、発明の名称:「ジエンポリマーゴムを調製するためのプロセス」)の開示において提供される。
モノブロモニトロメタンが、モノブロモニトロアルコールの組成物または配合物を調製する開示されたプロセスにおけるその後の使用のために特別に合成される米国特許第4922030号を除いて、上記開示のそれぞれにおいて、ブロモニトロメタンがそれらにおいて合成されず、むしろ、容易に入手可能なストック試薬として入手および使用されることは注目に値する。加えて、引用された先行技術のどれにおいても、トリブロモニトロメタン(ブロモピクリン)の純度または供給源について何ら述べられていないことは注目に値する。
モノブロモニトロメタンの調製:
一般に、ハロニトロアルカン(ニトロハロアルカン)を合成または/および製造する方法またはプロセスは周知であり、例えば、Tscherniak、Ann.、180、128〜130(1876);米国特許第2309806号(Tindall);米国特許第2633776号(Slagh);米国特許第4922030号(Nocito他);米国特許第5043489号(Nocito他);および米国特許第5180859号(Timberlake他)に記載される。
ブロモピクリン(トリブロモニトロメタン)は、例示的なハロニトロアルカンとして、モノブロモニトロメタンと同じ総称群(すなわち、ブロモニトロアルカン)に含まれるので、モノブロモニトロメタンを調製する方法の先行技術の教示は、ブロモピクリンを調製する方法に対する先例であり、または/および、ブロモピクリンを調製する方法に対して明らかに適用可能であることが予想され得る。周知であって、また、広範囲に使用されているブロモニトロアルカンとして、モノブロモニトロメタンを調製する方法またはプロセスの上記で引用された先行技術の教示を検討することによって、明らかに、このことは当てはまらない。実際、モノブロモニトロメタンを調製する方法またはプロセスの、この後直ぐに引用される開示においては、反応生成物のブロモピクリン(トリブロモニトロメタン)およびジブロモニトロメタンが、望ましくないポリハロゲン化ニトロメタンの低収率の副産物、または、所望されるモノブロモニトロメタン生成物の不純物としての状況でのみ形成されるとして記載されることが判明している。下記の開示のどれにも、純粋なブロモピクリンを標的生成物として高収率で調製するためのプロセスまたは手順が記載されていない。
本明細書中上記で前述されたように、モノブロモニトロメタンを調製する方法またはプロセスの上記の開示では、反応生成物のブロモピクリン(トリブロモニトロメタン)およびジブロモニトロメタンが、望ましくないポリハロゲン化ニトロメタンの低収率の副産物、または、所望されるモノブロモニトロメタン生成物の不純物としての状況でのみ形成されるとして記載される。上記の開示のどれにも、純粋なブロモピクリンを標的生成物として高収率で調製するためのプロセスまたは手順が記載されていない。
ブロモピクリン(トリブロモニトロメタン)の調製:
ピクリン酸、水酸化カルシウムおよび臭素の水性混合物の蒸留によるブロモピクリンの調製が、Stenhouseによって、Annalen、91、307(1854)において初めて開示された。ブロモピクリンが、ピクリン酸を塩基性金属の次亜臭素酸塩と反応させ、ブロモピクリン生成物を蒸留により高収率で単離することによって調製できることもまた、先行技術の教示から既知である。
ブロモピクリンを調製する前記の先行技術の方法またはプロセスには、純粋なブロモピクリンを、工業的に適用可能であり、再現可能であり、安全であり、環境的にやさしく、かつ、費用効果的である様式で、高収率で調製することに関して著しい欠点および制限がいくつかある。第1に、ピクリン酸は、そのような極端でない条件のもとにおいて潜在的に爆発性があり、従って、ピクリン酸を反応物として使用する場合、潜在的に危険な条件で作業することが伴う。第2に、ピクリン酸は別として、ブロモピクリンは比較的高エネルギーの化合物であり(すなわち、ブロモピクリンは比較的大きい分解発熱(HOD)を有しており、それにより、約1700ジュール/グラムがその分解時に放出される)、ある種の条件のもとでは潜在的に危険であり、従って、ブロモピクリンを蒸留によって反応混合物から回収および精製する場合もまた、潜在的に危険な条件で作業することが伴う。第3に、溶媒抽出が、ブロモピクリンを反応混合物から回収および精製するために蒸留の代わりに使用される場合、抽出手順が、適切な有機溶媒(例えば、塩化メチレンなど)の使用および廃棄を含めて、全体的なプロセスに組み込まれる必要がある。しかしながら、そのような組み込みは、有機溶媒、あるいは有機溶媒を含まないプロセスに持ち込み、このために、さらなるコスト、健康被害および有機溶媒廃棄物管理が全体的なプロセスに加わる。第4に、高収率の純粋なブロモピクリンを蒸留または抽出により得ることに関連する潜在的な爆発性および健康被害は別として、そのような回収方法および精製方法を大きい容量の工業的サイズのプロセスにスケールアップすることにおける費用有効性の要因が存在する。高収率の純粋なブロモピクリンを得るためには、おそらくは、比較的費用のかかる蒸留設備または抽出設備、ならびに、その運転および維持のために伴う費用が必要である。
本明細書中上記で前述されたように、本発明の同一出願人/譲受人による最近に出願された米国仮特許出願第60/634525号の開示には、様々な物質、製造物または構造物を効果的に、確実に、かつ、安全に消毒するために、または/および、植物有害生物(例えば、菌類、細菌、昆虫または雑草など)を抑制するために、ブロモピクリンまたはそのアナログを含む配合物を利用する新規な方法、配合物および製造物が開示される。
様々な異なる分野(例えば、農業、園芸および一般産業など)における、効果的かつ比較的安全な抗菌剤、殺生物剤または/および防腐剤としてのブロモピクリンの潜在的に新しい広範囲の商業的な使用および適用に基づいて、高純度のブロモピクリンを調製する、工業的に適用可能で、再現可能で、安全で、環境的にやさしく、かつ、費用効果的な方法またはプロセスを有することが非常に求められている。
高純度のブロモピクリンを工業的規模において高収率で調製する先行技術の方法またはプロセスに関連する上記の著しい欠点および制限を考慮して、従って、高純度のブロモピクリンを特に高収率で調製する改善された方法またはプロセス、あるいは/および、新しい方法またはプロセスを開発することが求められている。そのような方法またはプロセスから製造された高純度のブロモピクリンを回収するための、工業的に適用可能で、再現可能で、安全で、環境的にやさしく、かつ、費用効果的な手順を含むそのような発明が特に求められている。そのうえ、96重量パーセント以上の純度、また、99パーセントの高純度を有するブロモピクリンを提供するそのような発明もまた求められている。
本発明は、ブロモピクリンを調製するプロセス、および、そのプロセスから製造される高純度のブロモピクリンに関連する。本発明のプロセスは、アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属の塩基、例えば、水酸化ナトリウムなど)を、ニトロメタンおよび臭素の混合物に、好ましくは、有機溶媒が存在しないそのような混合物に加えること、および、96パーセント以上の純度、また、99重量パーセント(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)の高純度を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学的量論的)収率を得るために、有機相を蒸留または抽出に供することなく、ブロモピクリンを含有する有機相を直接に、具体的には、重力により(例えば、自由排液または強制排液またはポンプ排液によって)反応混合物から回収することに基づく。
本発明の、ブロモピクリンを調製するプロセスでは、下記の主要な手順が含まれる:(a)ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供すること、(b)混合物を提供することに続いて、アルカリ性物質の水溶液を混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供すること(ただし、この添加は、過剰なアルカリ性物質が、その水溶液を加えている期間中、反応混合物に存在しないように行われる)、および(c)ブロモピクリンを反応混合物から回収すること。本発明のプロセスから製造されるブロモピクリンは96重量パーセント以上の純度を有する。そのうえ、99重量パーセント以上の純度を有するブロモピクリンを、本発明のプロセスを実行することによって得ることができる。本発明は工業的に適用可能であり、再現可能であり、安全であり、環境的にやさしく、かつ、費用効果的である。
ブロモピクリンを製造するための反応の選択性はいくつかのプロセスパラメーターの関数である。反応の選択性を支配する主要なプロセスパラメーターは、下記の通りである:(1)ニトロメタンおよび臭素の混合物を(手順(a)により)提供するために使用される臭素とニトロメタンのモル比、および、(2)ブロモピクリンが形成される間の反応の温度(本明細書中では、これはまた反応温度(T)として示される)、これは、そのようにして形成されるブロモピクリンを含有する反応混合物の温度に対応し、アルカリ性物質の水溶液を(手順(b)により)、ニトロメタンおよび臭素の混合物に、または、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間を通して維持される。二次的なプロセスパラメーターには、(1)アルカリ性物質のその水溶液における濃度(手順(c)により)、および、(2)反応の継続期間(本明細書中では、これはまた反応時間として示される)、これは、アルカリ性物質の水溶液を(手順(b)により)、ニトロメタンおよび臭素の混合物に、または、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えることの開始から終了まで対応する。
本発明による、ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスは、下記の「一般化された」化学式[1](aq.=水性)によって要約される:
Figure 2009506023
手順(a)において、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供することが、好ましくは、何らかの有機溶媒をニトロメタンおよび臭素に加えることなく行われ、その結果、混合物は、有機溶媒が実質的に存在しない。好ましくは、手順(a)は、ニトロメタンおよび臭素の混合物もまた水を含むような様式で行われる。一般に、水は、ニトロメタンと、次の手順(手順(b))に従ってニトロメタンおよび臭素の混合物に加えられるアルカリ性物質との間におけるその後の反応を開始させるために、ニトロメタンおよび臭素の混合物において必要とされない。しかしながら、手順(a)において、好ましくは、水がニトロメタンおよび臭素の混合物に含まれ、水は、手順(b)において加えられるアルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間におけるその後の反応の期間中に放出される発熱を吸収することによってヒートシンクとして主に機能する。
手順(a)において、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために、ニトロメタン、臭素および水を混合する最も好ましい順序または順番は、水およびニトロメタンの混合物を形成するために、ニトロメタンを水に加え、その後、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を形成するために、臭素を、水およびニトロメタンの混合物に加えるという順序または順番である。
手順(b)において、アルカリ性物質は、下記の化学式[2]によって一般的に示されるように、1つ以上の臭素含有化学中間体(例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)と、臭素との間における反応によって形成される金属の次亜臭素酸塩)を形成するために、ニトロメタンおよび臭素の混合物に含有される臭素と(水およびニトロメタンの存在下でのままで)迅速かつ選択的に反応することができる本質的には任意のタイプのアルカリ性物質である:
Figure 2009506023
次いで、この1つ以上の臭素含有化学中間体は、水の存在下で、下記の化学式[3]によって一般的に示されるように、所望される高純度のブロモピクリン生成物を高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で選択的に形成させるために、既に存在するニトロメタンと選択的に反応する:
Figure 2009506023
手順(b)は、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないような様式で行われる。従って、過剰なアルカリ性物質が、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないことにより、過剰なアルカリ性物質と、ブロモピクリンとの間における何らかの可能な望ましくない反応が防止され、それにより、不純物の形成が防止され、従って、ブロモピクリンの純度および収率が最大になる。
手順(b)を回分様式タイプの操作に従って行うために、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間または継続期間を通して、好ましくは、化学反応器におけるニトロメタンおよび臭素の混合物、および、結果的には、化学反応器における、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの混合物は、例えば、自動制御可能な機械的攪拌装置または電気機械的攪拌装置を使用することによって、化学反応器において、例えば、撹拌によって連続的に混合される。
反応混合物を、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間または継続期間を通して化学反応器において混合することにより、アルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間における接触が最大なり、従って、アルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間における反応が最大になる。化学反応器における反応混合物のそのような混合によりまた、アルカリ性物質の局在化された領域または場所が化学反応器内で形成されないことを保証し、それにより、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないという、手順(b)における重要な条件または制限と一致することが助けられる。化学反応器における反応混合物のそのような混合によりまた、化学反応器の体積全体を通した均一な熱分布を保証し、それにより、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で製造するための化学反応器内の化学的環境を提供することが助けられる。
手順(b)において、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリン(これは室温において油状の無色の液体である)の反応混合物の赤色〜褐色の色が完全に消失することにより、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で製造するための、反応混合物における、アルカリ性物質と、臭素との反応、および、結果的には、アルカリ性物質と、ニトロメタンとの反応の完了が正確かつ精密に示される。このことはまた、アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの反応混合物に加えることが停止される、反応の継続期間(反応時間)の完了に対応する。
ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスにおける手順(b)が完了に近づくと、ブロモピクリンを含有する反応混合物はもはや、意味のある量の臭素またはアルカリ性物質を含まない。臭素が、ブロモピクリンを形成するために、アルカリ性物質と、および、結果的にはニトロメタンと完全に反応している(アルカリ性物質、および、結果的にはニトロメタンによって消費されている)ので、臭素がもはや反応混合物に存在しない。アルカリ性物質が、ブロモピクリンを形成するために、臭素と、および、結果的にはニトロメタンと完全に反応しているので、アルカリ性物質がもはや反応混合物に存在しない。アルカリ性物質の水溶液を反応混合物に加えることが停止された。従って、これにより、反応混合物へのさらなるアルカリ性物質の導入が避けられ、それにより、過剰なアルカリ性物質が、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないことが保証される。臭素およびアルカリ性物質の両方が、化学式[2]によって一般的に示されるように、1つ以上の臭素含有化学中間体を形成するために、水の存在下で互いに完全に反応している。次いで、そのような1つ以上の臭素含有化学中間体は、水の存在下で、化学式[3]によって一般的に示されるように、高純度のブロモピクリン生成物を高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で選択的に形成させるために、既に存在するニトロメタンと選択的に反応する。
従って、手順(b)が完了に近づくと、ブロモピクリンを含有する反応混合物は、一次生成物として、ブロモピクリン[CBrNO]および水を含み、かつ、二次的な生成物として、無機塩(具体的には、臭化物塩)、無機酸化剤(具体的には、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩および臭素酸塩の酸化剤)、ならびに、微量の有機物または/および無機物を含むことによって特徴づけられる。明らかであるが、二次生成物の実際のタイプおよび分布は、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えられるアルカリ性物質の水溶液に含まれるアルカリ性物質の実際のタイプに依存し、また、手順(a)および手順(b)を行うために使用された実際の操作条件およびプロセスパラメーターに依存する。
ブロモピクリンを含有する反応混合物の撹拌による混合が停止され、反応混合物は相分離および相平衡を受けることが可能である。相分離および相平衡の期間中、一次生成物のブロモピクリンは、20℃における1リットルの水について約1.5グラムの水溶解度、および、2.79の比重を有するので、反応混合物のより重い(下側)有機相に移動し、より重い(下側)有機相になり、一方、一次生成物の水および二次生成物は反応混合物のより軽い(上側)水相に移動し、より軽い(上側)水相になる。従って、反応混合物のこれら2つの相、すなわち、より重い(下側)有機相(これはブロモピクリンを含有する)およびより軽い(上側)水相(これは水および二次生成物を含有する)を互いに分離することが可能であり、また、相平衡に到達させることが可能である。
本発明のブロモピクリン調製プロセスに従えば、手順(a)および手順(b)を行うことによって、そのように製造されたブロモピクリンは、反応混合物のより重い(下側)有機相に含有される意味のある量での唯一の有機化合物である。反応混合物におけるブロモピクリンは、96重量パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するので、反応混合物のより重い(下側)有機相は本質的にはブロモピクリンのみからなる。従って、ブロモピクリンを反応混合物から回収する手順(c)を行うことは、本質的には、(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相を、手順(b)によってもたらされた反応混合物から回収することに対応する。
手順(c)において、反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相が直接に反応混合物から回収される。好ましくは、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相が、重力により、例えば、自由排液または強制排液またはポンプ排液によって、反応混合物から直接回収される。
本発明のブロモピクリン調製プロセスは、少なくとも部分的には、プロセスを実行するために使用された実際の操作条件およびプロセスパラメーター、ならびに、それらから得られる結果に依存して、また、本発明の実行を伴う具体的な適用の実際の要求、要件および目的に依存して、任意の数およびタイプの随意的なさらなる手順を含むことができる。
本発明による、ブロモピクリンを調製するプロセスの例示的な好ましい実施形態について、アルカリ性物質が、例えば、アルカリ金属の塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)である場合、本発明による、ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスは、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムについて、下記の化学式[4]および化学式[5]によってそれぞれ要約される:
Figure 2009506023
従って、本発明によれば、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供すること;混合物を提供することに続いて、アルカリ性物質の水溶液を混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供すること(ただし、加えることは、過剰なアルカリ性物質が、水溶液を加えている期間中、反応混合物に存在しないように行われる);および、ブロモピクリンを反応混合物から回収することを含む、ブロモピクリンを調製するプロセスが提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供することが、混合物には有機溶媒が実質的に存在しないように行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供する期間中、混合物の温度が約10℃〜約50℃の範囲にある。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ニトロメタンおよび臭素の混合物の温度が約20℃〜約25℃の範囲にある。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、混合物を提供することが、約3〜約4の範囲にある臭素とニトロメタンのモル比を使用して行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、混合物を提供することが、約3〜約3.5の範囲にある臭素とニトロメタンのモル比を使用して行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ニトロメタンおよび臭素の混合物はさらに水を含む。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、混合物を提供することが、ニトロメタンを水に加え、その後、臭素をニトロメタンおよび水に加え、それにより、混合物を形成するという順番に従って行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、混合物を提供することが、約0.25〜約4の範囲にあるニトロメタンと水の重量比を使用して行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、混合物を提供することが、約0.5〜約2の範囲にあるニトロメタンと水の重量比を使用して行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ性物質が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物およびそれらの組合せからなる群から選択される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ金属水酸化物が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ性物質は水酸化ナトリウムである。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ土類水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウムおよび水酸化バリウムからなる群から選択される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質の濃度が約5重量パーセント〜約50重量パーセント(アルカリ性物質重量/水溶液重量)の範囲にある。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質の濃度が約25重量パーセント〜約40重量パーセント(アルカリ性物質重量/水溶液重量)の範囲にある。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、アルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質の濃度が約35重量パーセント(アルカリ性物質重量/水溶液重量)である。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、水溶液を混合物に加える前において、混合物の温度が約10℃〜約50℃の範囲にある。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、水溶液を混合物に加えている間を通して維持される反応混合物の温度が約20℃〜約50℃の範囲にある。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、水溶液を混合物に加えている間を通して維持される反応混合物の温度が約35℃〜約45℃の範囲にある。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、水溶液を混合物に加えることが約0.5時間〜約24時間の範囲の期間にわたって行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、水溶液を混合物に加えることが約1時間〜約10時間の範囲の期間にわたって行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、水溶液を混合物に加えることが約2時間〜約6時間の範囲の期間にわたって行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ブロモピクリンを反応混合物から回収することが、反応混合物からの有機相の自由排液または強制排液またはポンプ排液によって行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ブロモピクリンを回収した後、水相を反応混合物から回収し、水相を化学的に処理し、それにより、処理された形態の水相を提供する。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、処理された形態の水相が、臭化ナトリウムを単離すること、臭素を製造すること、または、臭化水素酸を製造することのための手順において使用される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、本明細書中上記のプロセスによって調製されるブロモピクリンが提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ブロモピクリンは96重量パーセント以上の純度(ブロモピクリン重量/反応混合物の有機相の総重量)を有する。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ブロモピクリンは99重量パーセント以上の純度を有する。
本発明の別の態様によれば、96重量パーセント以上の純度を有するブロモピクリンが提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、ブロモピクリンの純度が99重量パーセント以上である。
本発明は、手動式、半自動式、全自動式およびそれらの組合せからなる群から選択される様式での設備および材料の使用および操作を伴って、様々な手順、工程および部分工程を、手動式、半自動式、全自動式およびそれらの組合せからなる群から選択される様式で行うことによって実行することができる。そのうえ、開示された発明の特定の実施形態を実行するために使用される実際の手順、工程、部分工程、ならびに、設備および材料に従って、そのような手順、工程および部分工程が、ハードウエア、ソフトウエアまたは/およびそれらの一体化された組合せを使用することによって行われ、また、そのような設備および材料は、ハードウエア、ソフトウエアまたは/およびそれらの一体化された組合せを使用することによって作動する。
図面の簡単な記述
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1は、本発明に従って、実施例に記載されるような例示的な実施(実施番号38585−3)の反応条件および結果について、1リットルサイズの化学反応器を使用して本発明を実験室規模で実行する一例における、実際のスキームおよび手順のフローブロック図である。
図2は、本発明に従って、実施例に記載されるような例示的な実施(実施番号BP−2005−7)の反応条件および結果について、16リットルサイズの化学反応器を使用して本発明をミニパイロットプラント規模で実行する一例の実際のスキームおよび手順のフローブロック図である。
本発明は、ブロモピクリンを調製するプロセス、および、そのプロセスから製造される高純度のブロモピクリンに関連する。本発明のプロセスは、アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属の塩基、例えば、水酸化ナトリウムなど)の水溶液を、ニトロメタンおよび臭素の混合物に、好ましくは、有機溶媒が存在しないそのような混合物に加えること、および、96パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学的量論的)収率を得るために、有機相を蒸留または抽出に供することなく、ブロモピクリンを含有する有機相を直接に、具体的には、重力により(例えば、自由排液または強制排液またはポンプ排液によって)反応混合物から回収することに基づく。
本発明によれば、ブロモピクリンを調製するプロセスは下記の主要な手順を含む:(a)ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供すること、(b)混合物を提供することに続いて、アルカリ性物質の水溶液を混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供すること(ただし、加えることは、過剰なアルカリ性物質が、その水溶液を加えている期間中、反応混合物に存在しないように行われる)、および(c)ブロモピクリンを反応混合物から回収すること。本発明のプロセスから製造されるブロモピクリンは96重量パーセント以上の純度を有する。そのうえ、99重量パーセント以上の純度を有するブロモピクリンを、本発明のプロセスを実行することによって得ることができる。本発明は工業的に適用可能であり、再現可能であり、安全であり、環境的にやさしく、かつ、費用効果的である。
ブロモピクリンを製造するための反応の選択性はいくつかのプロセスパラメーターの関数である。反応の選択性を支配する主要なプロセスパラメーターには、下記がある:(1)ニトロメタンおよび臭素の混合物を(手順(a)により)提供するために使用される臭素とニトロメタンのモル比、および、(2)ブロモピクリンが形成される間の反応の温度(本明細書中では、これはまた反応温度(T)として示される)、これは、そのようにして形成されるブロモピクリンを含有する反応混合物の温度に対応し、アルカリ性物質の水溶液を(手順(b)により)、ニトロメタンおよび臭素の混合物に、または、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間を通して維持される。二次的なプロセスパラメーターには、(1)アルカリ性物質のその水溶液における濃度(手順(c)により)、および、(2)反応の継続期間(本明細書中では、これはまた反応時間として示される)、これは、アルカリ性物質の水溶液を(手順(b)により)、ニトロメタンおよび臭素の混合物に、または、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えることの開始から終了にまで及ぶ期間に対応する。
本発明によれば、ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスは下記の「一般化された」化学式[1](aq.=水性)によって要約される:
Figure 2009506023
手順(a)において、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供することが、好ましくは、何らかの有機溶媒をニトロメタンおよび臭素に加えることなく行われ、その結果、混合物は、有機溶媒が実質的に存在しない。好ましくは、手順(a)は、ニトロメタンおよび臭素の混合物もまた水を含むような様式で行われる。一般に、水は、ニトロメタンと、次の手順(手順(b))に従ってニトロメタンおよび臭素の混合物に加えられるアルカリ性物質との間におけるその後の反応を開始させるために、ニトロメタンおよび臭素の混合物において必要とされない。しかしながら、手順(a)において、好ましくは、水がニトロメタンおよび臭素の混合物に含まれ、水は、手順(b)において加えられるアルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間におけるその後の反応の期間中に放出される発熱を吸収することによってヒートシンクとして主に機能する。
手順(a)において、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために、ニトロメタン、臭素および水を混合する最も好ましい順序または順番は、水およびニトロメタンの混合物を形成するために、ニトロメタンを水に加え、その後、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を形成するために、臭素を、水およびニトロメタンの混合物に加えるという順序または順番である。
手順(b)において、アルカリ性物質は、下記の化学式[2]によって一般的に示されるように、1つ以上の臭素含有化学中間体(例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)と、臭素との間における反応によって形成される金属の次亜臭素酸塩)を形成するために、ニトロメタンおよび臭素の混合物に含有される臭素と(水およびニトロメタンの存在下でのままで)迅速かつ選択的に反応することができる本質的には任意のタイプのアルカリ性物質である:
Figure 2009506023
次いで、そのような1つ以上の臭素含有化学中間体は、水の存在下で、下記の化学式[3]によって一般的に示されるように、所望される高純度のブロモピクリン生成物を高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で選択的に形成させるために、既に存在するニトロメタンと選択的に反応する:
Figure 2009506023
手順(b)は、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないような様式で行われる。従って、過剰なアルカリ性物質が、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないことにより、過剰なアルカリ性物質と、ブロモピクリンとの間における何らかの可能な望ましくない反応が防止され、それにより、不純物の形成が防止され、従って、ブロモピクリンの純度および収率が最大になる。
手順(b)を回分様式タイプの操作に従って行うために、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間または継続期間を通して、好ましくは、化学反応器におけるニトロメタンおよび臭素の混合物、および、結果的には、化学反応器における、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの混合物は、例えば、自動制御可能な機械的攪拌装置または電気機械的攪拌装置を使用することによって、化学反応器において、例えば、撹拌によって連続的に混合される。
反応混合物を、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間または継続期間を通して化学反応器において混合することにより、アルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間における接触が最大になり、従って、アルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間における反応が最大になる。化学反応器における反応混合物のそのような混合によりまた、アルカリ性物質の局在化された領域または場所が化学反応器内で形成されないことを保証し、それにより、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないという、手順(b)における重要な条件または制限と一致することが助けられる。化学反応器における反応混合物のそのような混合によりまた、化学反応器の体積全体を通した均一な熱分布を保証し、それにより、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で製造するための化学反応器内の化学的環境を提供することが助けられる。
手順(b)において、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリン(これは室温において油状の無色の液体である)の反応混合物の赤色〜褐色の色が完全に消失することにより、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で製造するための、反応混合物における、アルカリ性物質と、臭素との反応、および、結果的には、アルカリ性物質と、ニトロメタンとの反応の完了が正確かつ精密に示される。このことはまた、アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの混合物に加えることが停止される、反応の継続期間(反応時間)の完了に対応する。
ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスにおける手順(b)が完了に近づくと、ブロモピクリンを含有する反応混合物はもはや、意味のある量の臭素またはアルカリ性物質を含まない。臭素が、ブロモピクリンを形成するために、アルカリ性物質と、および、結果的にはニトロメタンと完全に反応している(アルカリ性物質、および、結果的にはニトロメタンによって消費されている)ので、臭素がもはや反応混合物に存在しない。アルカリ性物質が、ブロモピクリンを形成するために、臭素と、および、結果的にはニトロメタンと完全に反応しているので、アルカリ性物質がもはや反応混合物に存在しない。アルカリ性物質の水溶液を反応混合物に加えることが停止された。従って、これにより、反応混合物へのさらなるアルカリ性物質の導入が避けられ、それにより、過剰なアルカリ性物質が、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないことが保証される。臭素およびアルカリ性物質の両方が、化学式[2]によって一般的に示されるように、1つ以上の臭素含有化学中間体を形成するために、水の存在下で互いに完全に反応している。次いで、そのような1つ以上の臭素含有化学中間体は、水の存在下で、化学式[3]によって一般的に示されるように、高純度のブロモピクリン生成物を高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で選択的に形成させるために、既に存在するニトロメタンと選択的に反応する。
従って、手順(b)が完了に近づくと、ブロモピクリンを含有する反応混合物は、一次生成物として、ブロモピクリン[CBrNO]および水を含み、かつ、二次的な生成物として、無機塩(具体的には、臭化物塩)、無機酸化剤(具体的には、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩および臭素酸塩の酸化剤)、ならびに、微量の有機物または/および無機物を含むことによって特徴づけられる。明らかであるが、二次生成物の実際のタイプおよび分布は、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えられるアルカリ性物質の水溶液に含まれるアルカリ性物質の実際のタイプに依存し、また、手順(a)および手順(b)を行うために使用された実際の操作条件およびプロセスパラメーターに依存する。
ブロモピクリンを含有する反応混合物の撹拌による混合が停止され、反応混合物は相分離および相平衡を受けることが可能である。相分離および相平衡の期間中、一次生成物のブロモピクリンは、20℃における1リットルの水について約1.5グラムの水溶解度、および、2.79の比重を有するので、反応混合物のより重い(下側)有機相に移動し、より重い(下側)有機相になり、一方、一次生成物の水および二次生成物は反応混合物のより軽い(上側)水相に移動し、より軽い(上側)水相になる。従って、反応混合物のこれら2つの相、すなわち、より重い(下側)有機相(これはブロモピクリンを含有する)およびより軽い(上側)水相(これは水および二次生成物を含有する)を互いに分離させることが可能であり、また、相平衡に到達させることが可能である。
本発明のブロモピクリン調製プロセスに従えば、手順(a)および手順(b)を行うことによって、そのように製造されたブロモピクリンは、反応混合物のより重い(下側)有機相に含有される意味のある量での唯一の有機化合物である。反応混合物におけるブロモピクリンは、96重量パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するので、反応混合物のより重い(下側)有機相は本質的にはブロモピクリンのみからなる。従って、ブロモピクリンを反応混合物から回収する手順(c)を行うことは、本質的には、(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相を、手順(b)によってもたらされた反応混合物から回収することに対応する。
手順(c)において、反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相が直接に反応混合物から回収される。好ましくは、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相が、重力により、例えば、自由排液または強制排液またはポンプ排液によって、反応混合物から直接に回収される。
本発明のブロモピクリン調製プロセスは、少なくとも部分的には、このプロセスを実行するために使用された実際の操作条件およびプロセスパラメーター、ならびに、それらから得られる結果に依存して、また、本発明の実行を伴う具体的な適用の実際の要求、要件および目的に依存して、任意の数およびタイプの随意的なさらなる手順を含むことができる。
本発明による、ブロモピクリンを調製するプロセスの例示的な好ましい実施形態について、アルカリ性物質が、例えば、アルカリ金属の塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)である場合、本発明による、ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスが、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムについて、下記の化学式[4]および化学式[5]によってそれぞれ要約される:
Figure 2009506023
化学式[4]および化学式[5]によってそれぞれ示されるように、アルカリ性物質が、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)である、本発明によるブロモピクリン調製プロセスの例示的な実行の詳細が、本明細書中下記において、詳細な説明の節に続いて、実施例の節において提供される。
本発明は新規性および進歩性のいくつかの態様を特徴とし、そのうちの一部が本明細書中下記に示される。
本発明の新規性および進歩性の大きな態様の1つが、本発明のプロセスにより、96パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学的量論的)収率を得ることがもたらされることである。
本発明の新規性および進歩性の別の大きな態様が、本発明のプロセスは、そのようなプロセスから製造される高純度のブロモピクリンを回収するための、工業的に適用可能で、再現可能で、安全な、環境的にやさしい費用効果的な手順を含むことである。ブロモピクリンを含有する有機相が直接に、96パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学的量論的)収率を得るために、有機相を蒸留または抽出に供することなく、具体的には、重力により(例えば、自由排液または強制排液またはポンプ排液によって)反応混合物から回収される。この態様により、比較的費用のかかる蒸留設備または抽出設備、ならびに、その操作および維持のために伴う費用とともに、蒸留処理または抽出処理を含む必要性を避けることがもたらされる。この態様によりまた、潜在的に危険な(高エネルギーの)ブロモピクリン生成物を蒸留条件時または抽出条件時に取り扱うこと、および、蒸留条件時または抽出条件時における潜在的に危険な(高エネルギーの)ブロモピクリン生成物の影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れること、同様にまた、潜在的に危険な、廃液をもたらす抽出溶媒を取り扱うこと、および、そのような抽出溶媒の影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れることの必要性を避けることがもたらされる。
本発明の新規性および進歩性の別の大きな態様が、ブロモピクリンを調製するプロセス全体を通して、有機溶媒が好ましくは存在しないことである。従って、好ましくは、有機溶媒が、ニトロメタンおよび臭素の最初の混合物に存在せず、また、それらから形成されたブロモピクリンを含有するその後の反応混合物に存在しない。この態様により、不純物または/および望ましくない反応中間体および副生成物が、有機溶媒が存在することのためにプロセスに持ち込まれる可能性を避けることがもたらされ、また、ブロモピクリンを調製するプロセスの任意の段階の期間中に有機溶媒を取り扱うこと、ならびに、ブロモピクリンを調製するプロセスにおける任意の段階の期間中に有機溶媒を使用することの影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れることの必要性を避けることがもたらされる。
本発明は、その適用において、本明細書中に別途具体的に言及されない限り、下記の例示的な記載、添付された図面および実施例に示されたプロセスを実行するために使用される、手順、工程および部分工程の順序または順番および数の細部、あるいは、プロセスの操作または実行の順序または順番および数の細部、あるいは、設備、試薬および材料の細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、また、様々な方法で実施することができ、または、様々な方法で実施される。本明細書中に例示的に記載されるものと類似または同等である手順、工程、部分工程、設備、試薬および材料を、本発明を実施または試験するために使用することができるが、好適な手順、工程、部分工程、設備、試薬および材料が本明細書中に例示的に記載される。
本開示を通して本明細書中で使用されるすべての技術的および科学的な語句、用語または/および表現は、本明細書中に別途具体的に定義または言及されない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味または類似する意味のいずれかを有することもまた理解しなければならない。本開示を通して本明細書中で用いられる表現法、用語法および表記法は記述のためであり、限定であると見なしてはならない。さらに、例えば、ブロモピクリンに関して、上記の背景技術の節において導入、定義、記載または/および例示されたすべての技術的および科学的な語句、用語または/および表現は、本発明の好ましい実施形態、実施例および添付された請求項の例示的な記載において同等または同様に適用可能である。
本明細書中で使用される用語「約」は、その随伴した値の±10パーセントを示す。加えて、本明細書中で使用される表現「室温」は、約20℃〜約25℃の範囲にある温度を示す。
本発明による、ブロモピクリンを調製するプロセス、および、そのようなプロセスから製造される高純度のブロモピクリンの例示的な好ましい実施形態、代わりの好ましい実施形態、特定の構成、ならびに、その付加的および随意的な態様、特徴または特質の手順、工程、部分工程、設備、試薬および材料および実行が、下記の例示的な記載および添付された図面を参照してより良く理解される。下記の例示的な記載および添付された図面を通して、同じ参照番号または/および文字は同じ成分を示す。
本発明のプロセスの下記の例示的な記載では、開示されたプロセスの利用および実行を適正に「可能にする」ことを十分に理解するために必要とされる主要な、または、最も重要な手順、工程、部分工程、設備、試薬および材料が含まれる。従って、本発明の実行を可能にすることに関して二次的に重要である様々な可能な要求される、または/および、場合により必要である予備的、中間的、副次的な手順、工程、部分工程、設備、試薬または/および材料は、それらが当業者によって容易に理解され、または/および、化学的な合成および製造に関する先行技術および技術文献において得られる場合には、本明細書中では、よくても簡単に示されるにすぎない。
従って、本発明の主要な態様の1つによれば、下記の主要な手順を含む、ブロモピクリンを調製するプロセスが提供される:(a)有機溶媒が実質的に存在しない、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供すること、(b)アルカリ性物質の水溶液を混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供すること(ただし、加えることは、過剰なアルカリ性物質が、その水溶液を加えている期間中、反応混合物に存在しないように行われる)、および(c)ブロモピクリンを反応混合物から回収すること。
本発明のブロモピクリン調製プロセスの例示的な好ましい実行を記載することの一部としての、主要な手順(a)、手順(b)および手順(c)のそれぞれを行うことの詳細な説明が本明細書中下記において直ぐに示される。本発明による、ブロモピクリンを調製するプロセスおよびその実行が一般的に記載され、また、化学反応プロセスの例示的な回分様式タイプの操作との関連で具体的に記載される。
(a)ニトロメタンおよび臭素の混合物の提供:
ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供する手順(a)を行うために、所定量のニトロメタン[化学式:CHNO;分子量:61.0グラム/モル;密度:1.137グラム/ml;融点:−29℃;沸点:101.2℃;水溶解度:9.5グラム/100ml]および所定量の臭素[化学式:Br;分子量:159.8グラム/モル;密度:3.119グラム/ml;融点:−7.2℃;沸点:58.7℃;水溶度:3.5グラム/100ml]が混合される。この手順を回分様式タイプの操作に従って行うために、所定量のニトロメタン[CHNO]および所定量の臭素[Br]はそれぞれが回分様式タイプの化学反応器(以降、これはより簡単には「化学反応器」として示される)に加えられる。
手順(a)において、一般に、ニトロメタンおよび臭素の混合物の提供は、何らかの有機溶媒をニトロメタンおよび臭素に加えることを伴って、または、何らかの有機溶媒をニトロメタンおよび臭素に加えることなく行われる。好ましくは、手順(a)は、何らかの有機溶媒をニトロメタンおよび臭素に加えることなく行われ、その結果、混合物は、有機溶媒が実質的に存在しない。従って、手順(a)において、好ましくは、有機溶媒がニトロメタンおよび臭素の最初の混合物に存在しないか、または、次の手順(手順(b))によって形成されるブロモピクリンを含有するその後の反応混合物に存在しない。本発明のこの態様により、不純物または/および望ましくない反応中間体および副生成物が、有機溶媒が存在することのためにプロセスに持ち込まれる可能性を避けることがもたらされ、また、ブロモピクリンを調製するプロセスの任意の段階の期間中に有機溶媒を取り扱うこと、ならびに、ブロモピクリンを調製するプロセスの任意の段階の期間中に有機溶媒を使用することの影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れることの必要性を避けることがもたらされる。
好ましくは、手順(a)は、ニトロメタンおよび臭素の混合物もまた水を含むような様式で行われる。一般に、水は、ニトロメタンと、次の手順(手順(b))に従ってニトロメタンおよび臭素の混合物に加えられるアルカリ性物質との間におけるその後の反応を開始させるために、ニトロメタンおよび臭素の混合物において必要とされない。しかしながら、手順(a)において、好ましくは、水がニトロメタンおよび臭素の混合物に含まれ、この場合、その水は2つの大きな機能を有する。第1の大きな機能は、化学反応器が、水が存在することなく、大きな体積の液相有機物(例えば、ニトロメタンなど)で満たされるという潜在的な危険性に関連する。第2の大きな機能は、水が、手順(b)において加えられるアルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間におけるその後の反応の期間中に放出される発熱を吸収することによってヒートシンクとして働くことに関連する。従って、好ましくは、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供する手順(a)は、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供することをもたらし、この場合、得られた混合物は、有機溶媒が実質的に存在しない。
本発明のプロセスの好ましい実施形態について、水がニトロメタンおよび臭素の混合物に含まれる場合、一般に、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供する手順(a)は、ニトロメタン、臭素および水を混合する順序または順番が様々であり得るような様式で行われる。最も好ましい順序または順番は、水およびニトロメタンの混合物を形成するために、ニトロメタンを水に加え、その後、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を形成するために、臭素を、水およびニトロメタンの混合物に加えるという順序または順番である。明らかであるが、これらの試薬を互いに混合する代わりの順序または順番が、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために可能である。手順(a)を回分様式タイプの操作に従って行うために、これらの試薬を化学反応器に加える好ましい順序または順番は、水、ニトロメタン、臭素である。明らかであるが、これらの試薬を化学反応器に加える代わりの順序または順番が、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を化学反応器において形成するために可能である。
一般に、ニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)の(最初の)温度は変化させることができる。一般に、ニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)の(最初の)温度は、好ましくは約10℃〜約50℃の範囲であり、より好ましくは約20℃〜約25℃の範囲(これは室温に対応する)である。
好ましくは、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供する手順(a)は、水、ニトロメタンおよび臭素が、それぞれが最初に液相であり、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物の形成期間中において液相のままであるような様式で行われる。従って、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素は、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物の形成期間中において、それぞれが最初に、それらのそれぞれの融点および沸点によって定められる範囲での温度であり、かつ、そのような範囲での温度のままである。より好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素は、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物の形成期間中において、それぞれが最初に室温(約20℃〜約25℃の間)であり、かつ、室温(約20℃〜約25℃の間)のままである。
手順(a)を回分様式タイプの操作に従って行うために、従って、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素は、それぞれが最初に、化学反応器に加えられるとき、それらのそれぞれの融点および沸点によって定められる範囲での温度であり、かつ、そのような範囲における温度のままであり、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を化学反応器において形成する期間中において液相のままである。従って、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素は、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を形成する期間中において、それぞれが最初に、それらのそれぞれの融点および沸点によって定められる範囲での温度であり、かつ、そのような範囲における温度のままである。より好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素は、化学反応器に加えられるとき、また、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を化学反応器において形成する期間中において、それぞれが最初に室温(約20℃〜約25℃の間)であり、かつ、室温(約20℃〜約25℃の間)のままである。
本明細書中下記においてさらに記載および例示されるように、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために使用される臭素とニトロメタンのモル比は、ブロモピクリンを製造するための反応の選択性を決定するための最も重要なプロセスパラメーターの1つである。ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスのこの段階において、重要な目的は、臭素とニトロメタンのモル比を1よりも十分に大きくし、その結果、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加えるという次の手順(すなわち、手順(b))を開始したとき、アルカリ性物質が、上記の化学式[2]によって示されるように、臭素と直ちに選択的に反応するようにする、ニトロメタンおよび臭素の混合物における化学的環境を作ることである。
ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供する手順(a)は、臭素とニトロメタンのモル比を、これまでにない経験的に決定された比較的狭い最適な範囲において使用して行われる。混合物を提供するために使用される臭素とニトロメタンのモル比は、好ましくは約3〜約4の範囲であり、より好ましくは約3〜約3.5の範囲である。混合物を提供するために使用される臭素とニトロメタンの最適なモル比は約3.15である。
例えば、本発明のプロセスの例示的な実施形態について、アルカリ性物質がアルカリ金属水酸化物である場合、例えば、化学式[4]および化学式[5]によってそれぞれ示されるように、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどである場合、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために使用される臭素とニトロメタンのモル比は1よりも十分に大きくすることができ、例えば、約3にすることができ、その結果、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加えるという次の手順を開始したとき、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)が、本明細書中上記の化学式[2]によって示されるように、また、本明細書中下記において記載および例示されるように、アルカリ金属の次亜臭素酸塩(それぞれ、次亜臭素酸ナトリウム[NaBrO]または次亜臭素酸カリウム[KBrO])を選択的に形成するために、臭素と直ちに選択的に反応するようにすることができる。
本発明のプロセスの好ましい実施形態について、水がニトロメタンおよび臭素の混合物に含まれる場合、手順(a)を行うことには、濃度によって特徴づけられる所定量の水を使用することが含まれる。水の濃度は、例えば、ニトロメタンと臭素の重量比に関して表すことができ、これは、水を含むときの、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために使用されるニトロメタンの重量と、水の重量との比率に対応する。
一般に、水を含むときの、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために使用されるニトロメタンと水の重量比は変化させることができる。水を含むときの、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために使用されるニトロメタンと水の重量比は、好ましくは約0.25〜約4の範囲であり、より好ましくは約0.5〜約2の範囲である。
手順(a)を回分様式タイプの操作に従って行うために、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために使用される化学反応器の(最初の)温度は変化させることができる。ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供するために使用される化学反応器の(最初の)温度は、好ましくは約10℃〜約50℃の範囲であり、より好ましくは約20℃〜約25℃の範囲(これは室温に対応する)である。
手順(a)を回分様式タイプの操作に従って行うために、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素を化学反応器に加えている期間中、また、水、ニトロメタンおよび臭素を化学反応器に加えた後において、加えられた水、ニトロメタンおよび臭素は、化学反応器において、例えば、撹拌することによって、連続的に混合される。この様式において、連続的に混合または撹拌された水、ニトロメタンおよび臭素は、化学反応器の体積全体を通して均一または均質な液相混合物を形成する。
一般に、本質的には任意の回分様式タイプの化学反応器を、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供する手順(a)を行うための化学反応器として使用することができる。好ましくは、化学反応器は、所定の温度範囲について、例えば、化学反応器の内部における温度を約10℃〜50℃の全範囲で設定する能力を有する、化学反応器の内部における内容物の手動、半自動または全自動での温度制御を可能にする設備(例えば、温度制御可能な化学反応器ジャケット)とともに作動可能に構築されるか、または、そのような設備が取り付けられる。そのような実施形態において、好ましくは、温度制御可能な設備は、それぞれ、手動、半自動または全自動の温度制御装置(例えば、様々な化学反応器温度設定点に関して作動可能なLauda自動式化学反応器温度制御装置デバイス)に作動可能につながれ、次いで、温度制御装置は適切な電源に作動可能につながれる。加えて、好ましくは、化学反応器は、所定の範囲の混合速度または撹拌速度について、また、所定のパターンまたは形態の混合または撹拌について、化学反応器の内部における内容物の手動、半自動または全自動での混合制御または撹拌制御を可能にする設備(例えば、機械式撹拌装置または電気機械式撹拌装置)とともに作動可能に構築されるか、または、そのような設備が取り付けられる。そのような実施形態において、好ましくは、混合または撹拌の制御が可能な設備は、それぞれ、手動、半自動または全自動の混合制御装置または撹拌制御装置に作動可能につながれ、次いで、制御装置は適切な電源に作動可能につながれる。
手順(a)によってこのようにして形成および提供される、ニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)は本質的には、2つの液相化合物(水が存在しない場合)または3つの液相化合物(水が存在する場合)の非反応性混合物である。
手順(a)によってこのようにして形成および提供される、ニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)は、無色の液体である水およびニトロメタンと一緒になった液体臭素の赤色〜褐色のために、赤色〜褐色の色を帯びる。次の手順(すなわち、手順(b))において本明細書中下記でさらに記載されるように、水、ニトロメタンおよび臭素の最初の混合物、また、水、ニトロメタン、臭素、および、それらから形成されたブロモピクリン(これは室温において油状の無色の液体である)のその後の反応混合物の赤色〜褐色の色の消失は、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で形成するための、反応混合物における、アルカリ性物質と、臭素との反応、および、結果的には、アルカリ性物質と、ニトロメタンとの反応の完了を正確かつ精密に(再現性よく)示すものである。
(b)混合物を提供することに続いて、アルカリ性物質の水溶液を混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供すること(ただし、加えることは、過剰なアルカリ性物質が、その水溶液を加えている期間中、反応混合物に存在しないように行われる):
手順(b)において、アルカリ性物質の水溶液を、前段の手順(すなわち、手順(a))によって続いて形成および提供されたニトロメタンおよび臭素の混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供する。従って、本発明のプロセスの好ましい実施形態について、水がニトロメタンおよび臭素の混合物に含まれる場合、手順(b)では、好ましくは、アルカリ性物質の水溶液を、前段の手順(すなわち、手順(a))によって形成および提供された、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供する。
好ましくは、アルカリ性物質は、下記の化学式[2]によって一般的に示されるように、1つ以上の臭素含有化学中間体(例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)と、臭素との間における反応によって形成される金属の次亜臭素酸塩)を形成するために、ニトロメタンおよび臭素の混合物に含有される臭素と(水およびニトロメタンの存在下でのままで)迅速かつ選択的に反応することができる本質的には任意のタイプのアルカリ性物質である:
Figure 2009506023
次いで、そのような1つ以上の臭素含有化学中間体は、水の存在下で、下記の化学式[3]によって一般的に示されるように、所望される高純度のブロモピクリン生成物を高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で選択的に形成させるために、既に存在するニトロメタンと選択的に反応する:
Figure 2009506023
例えば、アルカリ性物質は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物およびそれらの組合せからなる群から選択される。例示的なアルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム[LiOH]、水酸化ナトリウム[NaOH]および水酸化カリウム[KOH]である。例示的なアルカリ土類水酸化物は、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、水酸化ストロンチウム[Sr(OH)]および水酸化バリウム[Ba(OH)]である。
本発明のプロセスの手順(b)を行うために、好ましくは、アルカリ性物質は、水酸化リチウム[LiOH]、水酸化ナトリウム[NaOH]、水酸化カリウム[KOH]およびそれらの組合せからなる群から選択されるアルカリ金属水酸化物である。より好ましくは、アルカリ性物質は、水酸化ナトリウム[NaOH]、水酸化カリウム[KOH]およびそれらの組合せからなる群から選択されるアルカリ金属水酸化物である。最も好ましくは、アルカリ性物質は水酸化ナトリウム[NaOH]である。
水酸化ナトリウムは、主として化学プロセスの経済性に基づいて、この手順を行うために、水酸化カリウムよりも好ましい。同等の性状(純度)および濃度について、水酸化ナトリウムのコストは水酸化カリウムよりも小さい。
本明細書中下記においてさらに記載および例示されるように、ニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)に加えられるアルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質の濃度は、ブロモピクリンを製造するための反応の選択性を決定するための二次的なプロセスパラメーターである。
(ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えられる)アルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質は、例えば、パーセント(重量/重量)または(w/w)の単位で表すことができる濃度を有し、これは、アルカリ性物質の重量と、アルカリ性物質の水溶液の重量(すなわち、水溶液におけるアルカリ性物質の重量と、水溶液における水の重量とを一緒にした重量)との比率をパーセントとして表すことに対応する。
一般に、アルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質の濃度は変化させることができる。アルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質の濃度は、好ましくは約5パーセント(重量/重量)〜約50パーセント(重量/重量)の範囲であり、より好ましくは約25パーセント(重量/重量)〜約40パーセント(重量/重量)の範囲である。アルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質の最適な濃度は約35パーセント(重量/重量)である。
本発明のプロセスの例示的な実施形態について、アルカリ性物質がアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)である場合、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の、アルカリ金属水酸化物の水溶液における濃度は、好ましくは約5パーセント(重量/重量)〜約50パーセント(重量/重量)の範囲であり、より好ましくは約25パーセント(重量/重量)〜約40パーセント(重量/重量)の範囲である。アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の、アルカリ金属水酸化物の水溶液における最適な濃度は約35パーセント(重量/重量)である。
本明細書中上記で前述されたように、一般に、手順(a)に従って形成および提供されるような、ニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)の(最初の)温度は変化させることができ、好ましくは約10℃〜約50℃の範囲であり、より好ましくは約20℃〜約25℃の範囲(室温)である。好ましくは、手順(b)を行う前に、ニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)の温度は好ましくは約10℃〜約50℃の範囲である。従って、手順(b)を回分様式タイプの操作に従って行うために、手順(b)を行う前に、反応器におけるニトロメタンおよび臭素の混合物(水が存在しない場合または水を含む場合であっても)の温度は、好ましくは約10℃〜約50℃の範囲である。
手順(b)において、ブロモピクリンが形成される間における反応の温度(反応温度(T))は、そのようにして形成されたブロモピクリンを含有し、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加えている間を通して、または、好ましくは、アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えている間を通して維持される反応混合物の温度に対応する。反応の温度(反応温度(T))は、ブロモピクリンを製造するための反応の選択性を決定するための二次的なプロセスパラメーターである。明らかであるが、反応の温度(反応温度(T))は、ブロモピクリンを製造するための反応の速度論、従って、ブロモピクリンを製造するための反応の速度を決定し、従って、ブロモピクリンを製造するための反応の選択性を決定するための最も重要なプロセスパラメーターの1つである。
一般に、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加えている間を通して、または、好ましくは、アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えている間を通して、また、結果的には、ブロモピクリンを含有する反応混合物を形成する間を通して維持される反応の温度(反応温度(T))は変化させることができる。手順(b)において、反応の温度(反応温度(T))は、好ましくは約20℃〜約50℃の範囲で維持され、より好ましくは約35℃〜約45℃の範囲で維持される。
手順(b)を行うために、実際の、反応の温度(反応温度(T))およびその範囲は、いくつかの要因に依存する値で維持される。2つの大きな要因がそれぞれ、上記の化学式[2]および化学式[3]によって一般的に示されるように、ブロモピクリンを含有する反応混合物が形成されるにつれて、加えられたアルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間におけるその後の反応の期間中に放出される最終的な発熱の大きさおよび速度である。さらなる2つの大きな要因が、ちょうど言及された2つの大きな要因に対して相補的ではあるが、それぞれ、ブロモピクリンを形成する反応の期間中に放出される発熱の消散、移動または/および制御の大きさおよび速度である。例えば、手順(b)を回分様式タイプの操作に従って行うために、これらのちょうど示された大きな要因に依存して、反応の温度(反応温度(T))およびその範囲が、自動化された化学反応器温度制御装置デバイスを所定の設定点で設定することによって所定の値において制御および維持される。
手順(b)において、アルカリ性物質の水溶液は、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないような様式で、手順(a)によって形成および提供されるような、ニトロメタンおよび臭素の混合物に制御可能に加えられ、または、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に制御可能に加えられる。
そのような制御の第1の理由は、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないような様式で、手順(b)が行われることである。本明細書中下記において詳しくさらに記載されるように、手順(b)を行うために使用される実際のアルカリ性物質に依存して、ブロモピクリンを含有する反応混合物における過剰なアルカリ性物質の存在は、不純物を形成するための、過剰なアルカリ性物質と、ブロモピクリンとの間における望ましくない反応を引き起こす可能性があり、それにより、ブロモピクリンの純度および収率を低下させる可能性がある。そのような制御の第2の理由が、実際の操作条件およびプロセスパラメーターに依存して、ブロモピクリンを含有する反応混合物を形成するための、アルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間における反応が比較的迅速であり得るし、また、この反応には、発熱の対応する迅速な放出が付随する可能性があり、従って、この反応を制御する必要があることである。
アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に制御可能に加えるために、または、アルカリ性物質の水溶液を、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に制御可能に加えるために使用される適切なパラメーターが、反応の継続期間(本明細書中では、これはまた反応時間として示される)である。反応の継続期間(反応時間)は、ブロモピクリンを製造するための反応の選択性を決定するための二次的なプロセスパラメーターである。明らかであるが、反応の継続期間(反応時間)は、ブロモピクリンを製造するための反応の速度論、従って、ブロモピクリンを製造するための反応の速度に関連する。
手順(b)において、反応の継続期間(反応時間)は、アルカリ性物質の水溶液を、ニトロメタンおよび臭素の混合物に、または、好ましくは、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えることの開始から、アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの反応混合物に加えることの終了までに要したか、または、使用された期間、従って、その開始から、その終了までに及ぶ期間に対応する。アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの反応混合物に加えることの終了または完了に対応する、反応の継続期間(反応時間)が終了または完了したとき、臭素が、ブロモピクリン生成物を形成するために、アルカリ性物質と完全に反応しており(アルカリ性物質によって消費されており)、結果的には、ニトロメタンと完全に反応している(ニトロメタンによって消費されている)。反応の継続期間(反応時間)は、時間の単位で、例えば、分または時間の単位で表される。
一般に、ブロモピクリンを形成するための反応の継続期間(反応時間)は変化させることができる。手順(b)において、反応の継続期間(反応時間)は、好ましくは約0.5時間〜約24時間の範囲であり、より好ましくは約1時間〜約10時間の範囲であり、最も好ましくは約2時間〜約6時間の範囲である。
手順(b)を回分様式タイプの操作に従って行うために、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間または継続期間を通して、好ましくは、化学反応器における、ニトロメタンおよび臭素の混合物、また、結果的には、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの反応混合物は、例えば、自動制御可能な機械式撹拌装置または電気機械式撹拌装置を使用することによって、化学反応器において、例えば、撹拌することによって、連続的に混合される。
反応混合物を、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加える期間または継続期間を通して化学反応器において混合することにより、アルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間における接触が最大になり、従って、アルカリ性物質と、ニトロメタンおよび臭素の混合物との間における反応が最大になる。化学反応器における反応混合物のそのような混合によりまた、アルカリ性物質の局在化された領域または場所が化学反応器内で形成されないことを保証し、それにより、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないという、手順(b)における重要な条件または制限と一致することが助けられる。化学反応器における反応混合物のそのような混合によりまた、化学反応器の体積全体を通した均一な熱分布を保証し、それにより、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で製造するための化学反応器内の化学的環境を提供することが助けられる。
本明細書中上記で前述された通り、手順(a)において、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物は、無色の液体である水およびニトロメタンと一緒になった液体臭素の赤色〜褐色の色のために、赤色〜褐色の色を帯びる。手順(b)において、ブロモピクリンを含有する反応混合物を形成するために、アルカリ性物質が混合物に加えられ、結果的には、混合物と反応するにつれて、赤色〜褐色の色が徐々に退色し、最終的には反応混合物から消失する。水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリン(これは室温において油状の無色の液体である)の反応混合物の赤色〜褐色の色の完全な消失は、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で形成するための、反応混合物における、アルカリ性物質と、臭素との反応、および、結果的には、アルカリ性物質と、ニトロメタンとの反応の完了を正確かつ精密に(再現性よく)示すものである。
手順(b)において、ブロモピクリンを含有する反応混合物の色を、反応混合物における、アルカリ性物質と、臭素との反応、および、結果的には、アルカリ性物質と、ニトロメタンとの反応の完了を正確に決定するために、好ましくは、連続的にモニタリングおよび測定することができる。一般に、ブロモピクリンを含有する反応混合物の色をモニタリングおよび測定することを、ヒトでの視覚的または/および機械(デバイス)での視覚的な色モニタリング手段または色測定手段を使用することによって行うことができる。例えば、本発明のプロセスを実行するために使用することができる化学反応器は、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加えている間を通して、化学反応器の内部における内容物の色の半自動的または全自動的なモニタリングおよび測定を可能にするための設備(例えば、機械での視覚的な色モニタリング手段および色測定手段)とともに作動可能に構築することができ、または、そのような設備を取り付けることができ、あるいは/および、そのような設備に作動可能に接続することができる。この様式において、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリン(これは室温において油状の無色の液体である)の反応混合物の赤色〜褐色の色の完全な消失は、その直後に、典型的には、黄色がかった色が形成されるが、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で形成するための、反応混合物における、アルカリ性物質と、臭素との反応、および、結果的には、アルカリ性物質と、ニトロメタンとの反応の完了を正確かつ精密に(再現性よく)示すと同時に、正確かつ精密に(再現性よく)決定することができる。
本明細書中上記で前述されたように、手順(b)は、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないような様式で行われる。従って、過剰なアルカリ性物質が、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないことにより、過剰なアルカリ性物質と、ブロモピクリンとの間における何らかの可能な望ましくない反応が防止され、それにより、不純物の形成が防止され、従って、ブロモピクリンの純度および収率が最大になる。
手順(b)において、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの反応混合物の赤色〜褐色の色の完全な消失により、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で形成するための、反応混合物における、アルカリ性物質と、臭素との反応、および、結果的には、アルカリ性物質と、ニトロメタンとの反応の完了が正確かつ精密に(再現性よく)示される。このことはまた、反応の継続期間(反応時間)の完了に対応し、そのような時点で、アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの反応混合物に加えることが停止される。
手順(a)を行うこと、および、手順(b)を行うことの上記で記載された様式に基づいて、また、手順(b)の期間中に生じる化学反応現象に基づいて、ブロモピクリンを調製する全体的なプロセスにおける手順(b)のこの段階において、ブロモピクリンを含有する反応混合物はもはや、意味のある量の臭素およびアルカリ性物質を含まない。
臭素が、ブロモピクリンを形成するために、アルカリ性物質と、および、結果的にはニトロメタンと完全に反応している(アルカリ性物質、および、結果的にはニトロメタンによって消費されている)ので、臭素がもはや反応混合物に存在しない。アルカリ性物質が、ブロモピクリンを形成するために、臭素と、および、結果的にはニトロメタンと完全に反応しているので、アルカリ性物質がもはや反応混合物に存在しない。アルカリ性物質の水溶液を反応混合物に加えることが停止された。従って、これにより、反応混合物へのさらなるアルカリ性物質の導入が避けられ、それにより、過剰なアルカリ性物質が、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないことが保証される。臭素およびアルカリ性物質の両方が、本明細書中上記の化学式[2]によって一般的に示されるように、1つ以上の臭素含有化学中間体を形成するために、水の存在下で互いに完全に反応している。次いで、そのような1つ以上の臭素含有化学中間体は、水の存在下で、本明細書中上記の化学式[3]によって一般的に示されるように、高純度のブロモピクリン生成物を高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で選択的に形成させるために、既に存在するニトロメタンと選択的に反応する。
従って、手順(b)のこの段階において、ブロモピクリンを含有する反応混合物は、一次生成物として、ブロモピクリン[CBrNO]および水を含み、かつ、二次的な生成物として、無機塩(具体的には、臭化物塩)、無機酸化剤(具体的には、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩および臭素酸塩の酸化剤)、ならびに、微量の有機物または/および無機物を含むことによって特徴づけられる。明らかであるが、二次生成物の実際のタイプおよび分布は、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えられるアルカリ性物質の水溶液に含まれるアルカリ性物質の実際のタイプに依存し、また、手順(a)および手順(b)を行うために使用された実際の操作条件およびプロセスパラメーターに依存する。
本明細書中上記で前述された好ましい、および、より好ましい、反応の温度(反応温度(T))に基づいて、反応の継続期間(反応時間)が完了した直後において、ブロモピクリンを含有する反応混合物の温度はそれぞれ、好ましくは約20℃を越えており、より好ましくは約35℃を越えている。従って、手順(b)のこの段階で、場合により、また、好ましくは、反応の継続期間(反応時間)が完了した直後に、ブロモピクリンを含有する反応混合物の温度は室温(約20℃〜約25℃の間)に単独で低下させられるか、または、室温(約20℃〜約25℃の間)に制御可能に下げられる。
本明細書中上記で前述されたように、手順(b)を行うために、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加えている期間または持続期間を通して、好ましくは、ニトロメタンおよび臭素の混合物、および、結果的には、水、ニトロメタン、臭素、アルカリ性物質および形成されたブロモピクリンの混合物が連続的に混合される。従って、アルカリ性物質の水溶液を反応混合物に加えることを停止した直後に対応する、反応の継続期間(反応時間)が完了した直後に、化学反応器における、ブロモピクリンを含有する反応混合物の混合を停止することができる。
場合により、また、好ましくは、アルカリ性物質の水溶液を、ブロモピクリンを含有する反応混合物に加えることを停止した直後に対応する、反応の継続期間(反応時間)が完了した直後に、反応混合物はさらに、一定の期間、例えば、約0.25時間〜約0.5時間の範囲で混合される。好ましくは、反応混合物のこのさらなる混合は、ブロモピクリンを含有する反応混合物の温度が室温に単独で低下させられるか、または、室温に制御可能に下げられる間、行われる。
ブロモピクリンを含有する反応混合物が、アルカリ性物質の水溶液を反応混合物に加えることを停止した直後に対応する、反応の継続期間(反応時間)が完了した直後、さらに混合されることによりさらに、残留量または微少量の臭素または/およびアルカリ性物質または/およびニトロメタンが互いに、特に、化学反応器の体積全体を通して反応し、それにより、高純度のブロモピクリン生成物を高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で製造するための化学反応器内の化学的環境を提供する可能性が最大になる。
ブロモピクリンを含有する反応混合物を混合する上記で示された期間が終了したとき、手順(b)を行うこの段階で、混合が停止される。ブロモピクリンを含有する反応混合物、すなわち、一次生成物であるブロモピクリン[CBrNO]および水と、二次的な生成物である無機塩、無機酸化剤ならびに微量の有機物または/および無機物との混合物を含有する反応混合物は、相分離および相平衡を受けることができる。
相分離および相平衡の期間中、一次生成物のブロモピクリンは、20℃における1リットルの水について約1.5グラムの水溶解度、および、2.79の比重を有するので、反応混合物のより重い(下側)有機相に移動し、より重い(下側)有機相になり、一方、一次生成物の水および二次生成物は反応混合物のより軽い(上側)水相に移動し、より軽い(上側)水相になる。従って、反応混合物のこれら2つの相、すなわち、(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相と、(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相とを互いに完全に分離させることができ、また、相平衡に到達させることができる。
本発明のブロモピクリン調製プロセスに従えば、本明細書中上記で記載された手順(a)および手順(b)を行うことによって、通常、反応混合物のこれら2つの相、すなわち、反応混合物の(一次生成物のブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相、および、反応混合物の(一次生成物の水と、二次生成物とを含有する)より軽い(上側)水相は、操作者または/および機械(デバイス)によって識別可能である識別可能なほどに異なった色を帯びる。
純粋なブロモピクリンは室温において油状の無色の液体であるため、(本質的には純粋なブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相は、通常、無色である(または、ブロモピクリンとともに存在する不純物のタイプおよび量に依存してわずかに着色している)。(一次生成物の水と、二次生成物とを含有する)より軽い(上側)水相は、水に存在する二次生成物のために、通常、着色している。例えば、本発明のプロセスの例示的な実施形態について、アルカリ性物質がアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムなど)である場合、(本質的には純粋なブロモピクリンを、比較的低い量の不純物とともに含有する)より重い(下側)有機相は黄色がかった色を帯び、これに対して、(一次生成物の水と、二次生成物とを含有する)より軽い(上側)水相はオレンジ色またはオレンジ色様の色を帯びる。明らかであるが、この現象を、反応混合物が完全な相分離および相平衡に達していることを信頼できるほどに(正確かつ精密に)示すものとして使用することができる。
一般に、ブロモピクリンを含有する反応混合物のこれら2つの相の識別可能なほどに異なった色をモニタリングおよび測定することを、ヒトでの視覚的または/および機械(デバイス)での視覚的な色モニタリング手段または色測定手段を使用することによって行うことができる。例えば、本発明のプロセスを実行するために使用することができる化学反応器は、反応混合物が完全な相分離および相平衡に到達するとき、化学反応器の内部における内容物の色の半自動的または全自動的なモニタリングおよび測定を可能にするための設備(例えば、機械での視覚的な色モニタリング手段および色測定手段)とともに作動可能に構築することができ、または、そのような設備を取り付けることができ、あるいは/および、そのような設備に作動可能に接続することができる。この様式において、ブロモピクリンを含有する反応混合物のこれら2つの相の完全な相分離および相平衡の達成を正確かつ精密に(再現性よく)決定することができ、それにより、反応混合物に含有される高純度のブロモピクリンの収率を最大にすることができる。
完全な相分離および相平衡を達成させるために、ブロモピクリンを含有する反応混合物は、少なくとも約1分間、より好ましくは、少なくとも約10分間、室温(約20℃〜約25℃の間)で(混合することなく)静置させられる。
完全な相分離および相平衡に到達したときから、ブロモピクリンを含有する反応混合物はもはや、2つの液相の混合物ではなく、むしろ、2つの「分離した」液相、すなわち、(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相と、(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相とから構成される:
有機相:一次生成物のブロモピクリン(これは、(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)に関して、96重量パーセント以上の重度、また、99重量パーセントもの高い純度を有する)。
水相:一次生成物の水、および、二次的な生成物:無機塩(具体的には、臭化物塩)、無機酸化剤(具体的には、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩および臭素酸塩の酸化剤)、ならびに、微量の有機物または/および無機物。
(c)ブロモピクリンを反応混合物から回収すること:
手順(c)において、ブロモピクリンを、手順(b)によってもたらされる、ブロモピクリンを含有する反応混合物から回収する。本明細書中上記で前述されたように、ブロモピクリンを含有する反応混合物はもはや、2つの液相の混合物ではなく、むしろ、2つの「分離した」液相、すなわち、(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相と、(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相とから構成される。
一般に、(液相の有機化学物質を、2つの別個の(液)相(すなわち、有機液相および水性液相)を含有する液体混合物の有機(液)相から回収する技術分野において既知の本質的には任意の数およびタイプの化学的回収手順、方法または技術(これらには、例えば、蒸留または抽出、ならびに、適切に対応する化学的回収設備および関連したハードウエアが含まれる)を、手順(c)を行うために使用することができる。
本発明のブロモピクリン調製プロセスによれば、本明細書中上記に記載される手順(a)および手順(b)を行うことによって、そのように製造されたブロモピクリンは、反応混合物のより重い(下側)有機相に含有される意味のある量での唯一の有機化合物である。反応混合物におけるブロモピクリンは、96重量パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するので、反応混合物のより重い(下側)有機相は本質的にはブロモピクリンのみからなる。従って、ブロモピクリンを反応混合物から回収する手順(c)を行うことは、本質的には、(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相を、手順(b)によってもたらされた反応混合物から回収することに対応する。
従って、一般に、有機(液)相を、2つの別個の(液)相(すなわち、有機液相および水性液相)を含有する液体混合物から回収する技術分野において既知の本質的には任意の数およびタイプの化学的回収手順、プロセスまたは技術(これらには、例えば、蒸留または抽出、ならびに、適切に対応する化学的回収設備および関連したハードウエアが含まれる)を、手順(c)を行うために使用することができる。
手順(c)を行うために、反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相が直接に反応混合物から回収される。好ましくは、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相が直接に、重力により、例えば、自由排液または強制排液またはポンプ排液によって、反応混合物から回収される。反応混合物において、ブロモピクリンを含有する有機相はより重い(下側)相であり、水および二次生成物を含有する水相はより軽い(上側)相であるので、有機相を、重力の天然の力を利用することによって容易に回収することができる。
例えば、本発明のブロモピクリン調製プロセスを回分様式タイプの操作に従って実行することによって、通常、化学反応器は垂直に配置され、それにより、化学反応器内において、反応混合物のより重い(下側)相が、ブロモピクリンを含有する有機相であり、反応混合物のより軽い(上側)相が、水および二次生成物を含有する水相である。従って、そのような実施形態では、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相を、(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相を、考えられる将来の分析、処理または/および廃棄のために化学反応器に残しながら、化学反応器の底部端部分または底部出口から、選択的に、自由または強制的に排液またはポンプ排液することができる。
例えば、そのような排液またはポンプ排液を、化学反応器の底部端部分または底部出口に作動可能に配置または接続されるバルブを開けることを適切に制御すること、および、有機相を、好ましくは、ブロモピクリンを含有する有機相に対して本質的には化学的に不活性である材料(例えば、ガラス)から作製された作動可能に配置または接続された回収用または受け取り用の器または容器に回収するか、または、受け取ることによって達成することができる。
同時に、回収された液体(すなわち、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相)に正確かつ再現可能に特徴的である少なくとも1つの性質(例えば、回収された液体の色、電導度または/および密度)を、有機相がもはや化学反応器の底部部分に残留していないことの徴候または指示が現れるまでモニタリングおよび測定する。好ましくは、このことは、水相が化学反応器の底部端部分または底部出口に入ることの最初の徴候または指示が現れる直前に対応し、そのような時点で、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相)を化学反応器から排液またはポンプ排液することが、バルブの閉鎖を適切に制御することによって停止される。
ブロモピクリンを含有する回収された有機相は「そのまま」使用されるか、あるいは、回収用または受け取り用の器または容器に「そのまま」保存されるか、あるいは、より好適な保存用の器または容器に移され、その後、適切な化学的保存環境で保存される。ブロモピクリンについての好適な保存条件は、光透過性が低い容器(例えば、不透明な褐色ガラスビン)において、好ましくは、日光にさらされず、室温(すなわち、約20℃〜約25℃の間)で、かつ、潜在的に可燃性または爆発性の条件から離してである。そのような保存条件のもとで、ブロモピクリンは、少なくとも数ヶ月までの期間、比較的安定であり、かつ、高純度のままである。
本発明のブロモピクリン調製プロセスにおける手順(c)は、そのようなプロセスから製造される高純度のブロモピクリンを回収するための、工業的に適用可能で、再現可能で、安全で、環境的にやさしく、かつ、費用効果的な手順である。ブロモピクリンを含有する有機相が直接に、96パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学的量論的)収率を得るために、有機相を蒸留または抽出に供することなく、反応混合物から回収される。本発明のこの態様により、比較的高価な蒸留設備または抽出設備、ならびに、その操作および維持のために伴う費用とともに、蒸留処理または抽出処理を含む必要性を避けることがもたらされる。この態様によりまた、潜在的に危険な(高エネルギーの)ブロモピクリン生成物を蒸留条件時または抽出条件時に取り扱うこと、および、蒸留条件時または抽出条件時における潜在的に危険な(高エネルギーの)ブロモピクリン生成物の影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れること、同様にまた、潜在的に危険な、廃液をもたらす抽出溶媒を取り扱うこと、および、そのような抽出溶媒の影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れることの必要性を避けることがもたらされる。
ブロモピクリンを調製するプロセスの随意的なさらなる手順:
一般に、本発明のブロモピクリン調製プロセスは、少なくとも部分的には、プロセスを実行するために使用される実際の操作条件およびプロセスパラメーター、ならびに、それらから得られる結果に依存して、また、本発明の実行を伴う具体的な適用の実際の要求、要件および目的に依存して、任意の数およびタイプの随意的なさらなる手順を含むことができる。
本発明によれば、ブロモピクリンを調製する随意的なさらなる手順の2つの例示的なカテゴリーは、手順(c)から得られるブロモピクリンを処理し、また、手順(c)から得られる水相を処理する様々な異なるタイプまたは方法に基づく。そのような随意的なさらなる手順の第1の例示的なカテゴリーは、手順(c)から得られるブロモピクリンの定量的な組成分析および水相に対する定量的な組成分析を、具体的には、ブロモピクリンおよび水相の組成を定量的に決定することに関して行うことに基づく。そのような随意的なさらなる手順の第2の例示的なカテゴリーは、手順(c)から得られる水相を、具体的には、水相に含有される臭素含有無機酸化剤および有機物を処理することに関して処理することに基づく。本発明のブロモピクリン調製プロセスのそのような随意的なさらなる手順のこれらの例示的なカテゴリーのそれぞれがこの後直ぐに記載される。
手順(c)から得られるブロモピクリンの定量的な組成分析:
場合により、また、好ましくは、手順(c)の期間中に回収されたブロモピクリン(これは反応混合物のより重い(下側)相に対応する)に対する定量的な組成分析を、回収されたブロモピクリンの実際の純度を決定するという大きな目的のために行う。一般に、比較的少量(例えば、約5重量パーセント未満)の様々な有機化学物質または/および無機化学物質を含有し得る高純度の液相有機化合物の定量的な組成分析の技術分野において既知の本質的には任意の数およびタイプの化学的または/および物理的な分析手順、プロセスまたは技術(これらには、例えば、クロマトグラフィー(具体的には、ガスクロマトグラフィー(GC))または/および分光法が、適切に対応する化学的または/および物理的な分析設備、装置、試薬、ならびに、関連したハードウエアおよびソフトウエアとともに含まれる)を、この手順を行うために使用することができる。
この手順を行うことにより、本発明のプロセスに従って調製されたブロモピクリンが、典型的には、ブロモピクリン重量/有機相の総重量に関して、96重量パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度を有することを決定することがもたらされる。典型的には、そのようなブロモピクリンにおける主要な微量不純物は有機化合物であり、具体的には、反応物のニトロメタン[CHNO]、ならびに、反応副生成物のジブロモニトロメタン[CHBrNO]およびテトラブロモジニトロエタン[CBr(NO]または[NOBrC−CBrNO]である。
反応副生成物のテトラブロモジニトロエタンは、ブロモピクリンと、アルカリ性物質との間における反応の結果として、アルカリ性物質の水溶液をニトロメタンおよび臭素の混合物に加える手順(b)の期間中に形成される可能性が最も高い。従って、手順(b)は、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加える期間中、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないような様式で行われる条件を手順(b)において含むことが必要であることが正当化される。過剰なアルカリ性物質が、ブロモピクリンを含有する反応混合物に存在しないことにより、過剰なアルカリ性物質と、ブロモピクリンとの間における何らかの可能な望ましくない反応が防止され、それにより、不純物(例えば、反応副生成物のジブロモニトロメタンおよびテトラブロモジニトロエタンなど)の形成が防止され、従って、ブロモピクリンの純度および収率が最大になる。
手順(c)から得られる水相の定量的な組成分析:
本明細書中上記で言及されたように、手順(c)を行っている間に、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)相が、(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相を、考えられる将来の分析、処理または/および廃棄のために化学反応器に残しながら、化学反応器の底部端部分または底部出口から、選択的に、自由または強制的に排液またはポンプ排液される。
従って、場合により、また、好ましくは、化学反応器に残された(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相を回収すること、および、回収された水相に対する定量的な組成分析を、水相の化学的組成および構成を決定するという大きい目的のために行う。一般に、様々な無機化学物質および有機化学物質を含有する水相物質の定量的な組成分析の技術分野において既知の本質的には任意の数およびタイプの化学的または/および物理的な分析手順、プロセスまたは技術を、適切に対応する化学的または/および物理的な分析設備、装置、試薬、ならびに、関連したハードウエアおよびソフトウエアとともに、この手順を行うために使用することができる。
この手順を行うことにより、本発明のプロセスに従って得られる水相に含有される二次生成物が、典型的には、無機塩(具体的には、臭化物塩)、無機酸化剤(具体的には、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩および臭素酸塩の酸化剤)、ならびに、微量の有機物または/および無機物であることを決定することがもたらされる。例えば、本発明のプロセスの例示的な実施形態について、アルカリ性物質がアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムなど)である場合、上記の化学式[4]によって示されるように、典型的には、水相に含有される主要な二次生成物は、無機塩の臭化ナトリウム[NaBr]、臭素を含有する無機酸化剤の[NaBrO]、[NaBrO]および[NaBrO]、ならびに、比較的微量の有機物、すなわち、ブロモピクリン[CBrNO]に基づいて約1000ppmまでの有機物である。
手順(c)から得られる水相を処理すること:
本明細書中上記で言及されたように、手順(c)を行っている間に、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)相が、(水および二次生成物(無機塩、無機酸化剤、ならびに、微量の有機物または/および無機物)を含有する)より軽い(上側)水相を、考えられる将来の分析、処理または/および廃棄のために化学反応器に残しながら、化学反応器の底部端部分または底部出口から、選択的に、自由または強制的に排液またはポンプ排液される。
手順(c)から得られるそのような水相の好適な使用、または、処理された形態のそのような水相の好適な使用が、例えば、再利用により、何らかの他の工業的適用における使用のために特定されない限り、通常、水相は廃棄物と見なされ、様々な無機化学物質および有機化学物質を含有する水相物質を廃棄する技術分野において既知の適切な対応する廃棄物処分手順、プロセスまたは技術、ならびに、適切に対応する廃棄物処分試薬、設備および装置を使用して廃棄される。しかしながら、水相を廃棄する前に、そのような水相を廃棄することによる関係した取り扱い、および、そのような水相を廃棄することによる影響(具体的には、健康および安全性に関するような取り扱いおよび影響)を考慮に入れる必要がある。例えば、国または/および地方の環境規則および環境規制により、手順(c)から得られる水相の無機または/および有機の成分または物質のいずれか1つ以上を、水相に典型的に存在する濃度レベルで廃棄することが制限または禁止される場合がある。従って、手順(c)から得られる水相を処理することが必要となる場合がある。
従って、場合により、また、好ましくは、化学反応器に残された(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相を回収すること、および、回収された水相を、回収された水相の処理されていない形態よりも、廃物物処分が容易であり、また、廃棄物処分に対して環境的に好適(やさしい)である処理された形態の水相を提供するか、あるいは、何らかの他の工業的な処理または適用(例えば、臭化ナトリウム[NaBr]の単離、臭素[Br]の製造、または/および、臭化水素酸(臭化水素)[HBr]の製造)における使用のために、例えば、再利用により、好適であるか、または、潜在的に好適である処理された形態の水相を提供するという大きい目的のために処理する。
一般に、様々な無機化学物質および有機化学物質を含有する水相物質を化学的または/および物理的に処理する技術分野において既知の本質的には任意の数およびタイプの化学的または/および物理的な処理手順、プロセスまたは技術を、適切に対応する化学的または/および物理的な処理試薬、設備および装置とともに、この手順を行うために使用することができる。好ましくは、例えば、少なくとも1つの化学的処理剤を、手順(c)から得られる水相に加えることによって、手順(c)から得られる水相を化学的に処理する。水相を化学的に処理することの大きな目的は、臭素を含有する無機酸化剤(例えば、[NaBrO]、[NaBrO]および[NaBrO])および有機物([CBrNO]、[CNaBrNO]、[CHNaBrNO]および[CHNaNO])を、比較的微量(約1000ppm程度)のブロモピクリン([CBrNO])とともに(例えば、中和反応または/および還元反応により)化学的に処理することである。
従って、この手順を行うために、一般に、そのような化学的処理剤は、ハロゲン(具体的には、臭素)含有無機酸化剤および様々な有機物を含む水相物質を、そのような無機酸化剤の酸化力をなくすか、または、少なくとも最小限に抑え、また、水相において(すなわち、化学的処理剤との組合せで)そのような有機物の潜在的な危険性または毒性を低下させ、一方で、他の潜在的に望ましくない、または/および、有害な特徴、性質または挙動を水相にもたらさないような様式で化学的に処理することができる物質の本質的には任意のタイプまたは形態(液相、固相または/および気相)である。手順(c)から得られる水相を化学的に処理するために好適である例示的な化学的処理剤の1つが、亜硫酸水素ナトリウム(SBS−重硫酸ナトリウム)[NaHSO]の水溶液であり、例えば、SBSの濃度が約20重量パーセント(SBS重量/水相重量)である水溶液である。
水相を上記で記載された様式で化学的に処理することにより、典型的には、1つ以上の臭素含有無機塩(例えば、臭化ナトリウム[NaBr])、硫酸水素ナトリウム[NaHSO]および硫酸ナトリウム[NaSO]、有機物(例えば、ニトロメタン[CHNO]、および、臭素含有酸(具体的には、臭化水素酸(臭化水素)[HBr])の様々なものの水性混合物の産生がもたらされる。[NaHSO]および臭化水素酸[HBr]が産生することの結果として、化学的に処理された水相のpHが約1未満の程度に低下することがある。従って、そのような場合、場合により、また、好ましくは、化学的に処理された水相の酸性度を、酸中和剤を化学的に処理された水相に加えることによって中和する。従って、例えば、アルカリ性物質(例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム[NaOH]または水酸化カリウム[KOH])の水溶液を化学的に処理された水相に加える。
従って、例えば、本発明のプロセスの例示低な実施形態について、(化学的処理のための)アルカリ性物質がアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)である場合、水酸化ナトリウムの水溶液(これは、例えば、約35パーセント(重量/重量)または(w/w)の濃度(アルカリ性物質の重量と、アルカリ性物質の水溶液における水の重量との比率をパーセントとして表すことに対応する)を有する)を化学的に処理された水相に加える。化学的に処理された水相に存在する[NaHSO]および臭化水素酸[HBr]はアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム[NaOH])と反応して、[NaBr]、[NaSO]および[NaSO]を、生じた中和された化学的に処理された水相において、そのpHを好ましくは約6〜8の間の値に上げるとともに形成する。
場合により、また、好ましくは、上記の得られた化学的処理または/および中和された形態の水相に対する化学的分析または/および物理的分析を、その化学的組成および構成を定量的に決定するという大きな目的のために行う。
従って、本発明によるブロモピクリン調製プロセスを実行することによって得られる反応混合物の(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相が、回収された水相の処理されていない形態よりも、廃物物処分が容易であり、また、廃棄物処分に対して環境的に好適(やさしい)である形態に変換されるために、あるいは、何らかの他の工業的適用における使用のために、例えば、再利用により、好適であるか、または、潜在的に好適である形態に変換されるために、化学的に処理され、場合により、また、好ましくは、その後、中和される。
本発明の別の主要な態様によれば、96重量パーセント以上の純度を有するブロモピクリンが提供される。そのうえ、99重量パーセント以上の純度を有するブロモピクリンを、本発明のプロセスを実行することによって得ることができる。
本発明のブロモピクリン調製プロセスによれば、本明細書中上記に記載される手順(a)および手順(b)を行うことによって、この場合には、手順(a)および手順(b)において、ブロモピクリンが反応混合物中に形成され、手順(c)において、ブロモピクリンが、手順(b)によってもたらされる反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相から回収されるが、ブロモピクリン重量/有機相の総重量に関して、96重量パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学量論的)な収率を得る。
本明細書中上記で記載され、また、本明細書中下記において例示されるように、手順(c)の期間中に回収されるブロモピクリンに対する化学的または/および物理的な分析を行うことにより、本発明のプロセスに従って調製されたブロモピクリンが、典型的には、96重量パーセント以上の純度を有し、また、99重量パーセントの高純度を有することを明らかにすることがもたらされる。典型的には、そのようなブロモピクリンにおける主要な微量不純物は有機化合物であり、具体的には、反応物のニトロメタン[CHNO]、ならびに、反応副生成物のジブロモニトロメタン[CHBrNO]およびテトラブロモジニトロエタン[CBr(NO]または[NOBrC−CBrNO]である。
本発明のプロセスを実行することによって得られるブロモピクリンは「そのまま」使用されるか、あるいは、適切な化学的保存環境において器または容器に「そのまま」保存される。ブロモピクリンについての好適な保存条件は、光透過性が低い容器(例えば、不透明な褐色ガラスビン)において、好ましくは、日光にさらされず、室温(すなわち、約20℃〜約25℃の間)で、かつ、潜在的に可燃性または爆発性の条件から離してである。そのような保存条件のもとで、ブロモピクリンは、少なくとも数ヶ月までの期間、比較的安定であり、かつ、高純度のままである。
本発明の上記で例示的に記載される新規で、また、進歩性を有する様々な態様および特徴、ならびに、その利点がさらに、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれについて、実験的支持が下記の実施例において見出される。次に、下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は上記の記載と一緒になって、本発明を非限定な様式で例示する。
アルカリ金属水酸化物をアルカリ性物質として使用するブロモピクリンの調製、および、そのような調製から調製されるブロモピクリン
高純度のブロモピクリンを、アルカリ金属水酸化物(具体的には、水酸化ナトリウム)を、本明細書中上記の化学式[4]によって示されるように、ニトロメタンおよび臭素の混合物(この場合、水が混合物に含まれる)に加えられるアルカリ性物質の水溶液におけるアルカリ性物質として使用して本発明に従って調製した。本発明を実行するいくつかの独立した実験的「操作」を、実験室規模の1リットルサイズの化学反応器、および、ミニパイロットプラント規模の16リットルサイズの化学反応器を使用して行った。
材料および実験プロトコル
化学試薬:
ニトロメタン[CHNO]を液相で、Fluka(少なくとも97重量パーセントのアッセイ)およびAldrich(少なくとも96重量パーセントのアッセイ)から得た。水酸化ナトリウム[NaOH]を、少なくとも97パーセントのアッセイを有するペレットの形態で、Frutarom(イスラエル)から得た。水酸化カリウム[KOH]をフレークの形態(AR(分析試薬)規格)で、Frutarom(イスラエル)から得た。臭素[Br]を、少なくとも99重量パーセントのアッセイを有する液相で、Dead Sea Bromine Group(DSBG)(イスラエル)から得た。亜硫酸水素ナトリウム(SBS−重硫酸ナトリウム)[NaHSO](58.5パーセントの最小SO含有量)をAldrichから得た。
下記のさらなる化学物質を、分析(ガスクロマトグラフィー)手順を行うために使用した:
ブロモピクリン[CBrNO]、モノブロモニトロメタン[CHBrNO]、ジブロモニトロメタン[CHBrNO]およびテトラブロモジニトロエタン[CBr(NO]を、本発明のプロセスを実行している間に回収された有機相から得た。反応混合物の回収された(ブロモピクリンを含有する)有機相生成物のサンプルを真空蒸留に供し、それぞれの純粋な化合物の適切な画分を回収した。それぞれの純粋な化合物の同一性を、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)および核磁気共鳴(NMR)を使用することによって確認した。
ジクロロメタン(塩化メチレン)(分析試薬規格)をFrutarom(イスラエル)から得た。
化学反応器:
2つのサイズの垂直に配置された化学反応器を使用した:実験室規模の1リットルサイズの化学反応器、および、ミニパイロットプラント規模の16リットルサイズの化学反応器。それぞれの垂直配置された化学反応器は、ジャケットが付けられ、また、機械的撹拌装置と、様々な化学反応器温度設定点(s.p.)に関して作動可能なLauda自動式化学反応器温度制御装置デバイスとが作動可能につながれ、次いで、温度制御装置は適切な電源に作動可能につながれた。
分析手順:
ガスクロマトグラフィーによる化学的分析手順を、ブロモピクリンの純度およびその組成を決定するために、プロセス期間中に回収された反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相に対して行った。HP5890ガスクロマトグラフをこの手順では使用した。
温度プログラム(BPKプロセス):50℃の初期温度;2分間の保持;その後、10℃/分で300℃に昇温し、5分間保持した。
注入器:200℃
検出器:325℃
スプリット比: 1:100
注入量:1μl(ジクロロメタンにおける20%〜25%(w/w)溶液)
カラム:RTx−1、キャピラリー、15mx0.25mmx0.25μ、100%ジメチルポリシロキサン充填。検量線をニトロメタンについてプロットし、これから、応答係数を計算した。
成分のカラム保持時間は下記の通りであった:ニトロメタン:0.9分;モノブロモニトロメタン:2.0分;ジブロモニトロメタン:3.8分;ブロモピクリン:6.8分;およびテトラブロモジニトロエタン:8.9分。
標準的な湿式化学タイプの分析手順を、その化学的組成および構成を決定するために、プロセス期間中に回収された反応混合物の(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相に対して、また、処理された水相に対して行った。
ブロモピクリンの調製:
上記で記載された垂直配置の1リットルの実験室規模の回分型化学反応器および16リットルのミニパイロットプラントの回分型化学反応器を使用していくつかの実験的操作のそれぞれを行うために使用された一般的なプロセスは下記の通りである。実施例を理解する明快さを維持しながら、簡略化のために、1リットルの実験室規模の化学反応器を使用して行われた操作に特有であったそれらの手順または反応条件には、括弧での表現(1リットルの実験室規模の化学反応器)が直ぐ後に続き、また、16リットルのミニパイロットプラント規模の化学反応器を使用して行われた操作に特有であったそれらの手順または反応条件には、括弧での表現(16リットルのミニパイロットプラントの化学反応器)が直ぐ後に続く。
室温(約20℃〜約25℃の間)において、また、連続的な撹拌を伴って、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物(臭素とニトロメタンのモル比が約3である)を、所定量の水を垂直配置の化学反応器に加え、その後、水およびニトロメタンの混合物を化学反応器において形成するために、所定量のニトロメタンを水に加え、その後、所定量の臭素を化学反応器における水およびニトロメタンの混合物に加えることによって調製した。有機溶媒を化学反応器における混合物に加えなかった。水、ニトロメタンおよび臭素の混合物は赤色〜褐色の色を帯びていた。
化学反応器における水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を連続的に撹拌している間、水酸化ナトリウムの水溶液を加える前に、混合物の温度を、所定の化学反応器温度設定点(s.p.)において作動可能であるようにLauda自動式化学反応器温度制御装置デバイスを調節することによって、典型的には上げ(1リットルの実験室規模の化学反応器)、または、典型的には下げた(16リットルのミニパイロットプラント規模の化学反応器)。
化学反応器の内容物の連続した撹拌を維持しながら、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物を化学反応器において形成することに続いて、濃度が約34重量パーセント〜35重量パーセント(水酸化ナトリウム重量/水相重量)である水酸化ナトリウムの水溶液を、約100g/時間の質量流量(1リットルの実験室規模の化学反応器)、または、約1.28kg/時間の質量流量(16リットルのミニパイロットプラント規模の化学反応器)で、化学反応器における水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に制御可能に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を得た。この手順を、過剰なアルカリ性物質が、アルカリ性物質の水溶液を加えている期間中、ブロモピクリンを含有する混合物に存在しないような様式で行った。化学反応器における反応混合物の混合は、アルカリ性物質の局在化された領域または場所が、水酸化ナトリウムの水溶液を加えている期間中に化学反応器内で形成されないことを保証し、それにより、不純物を形成し得る、過剰な水酸化ナトリウムと、新しく形成されたブロモピクリンとの間における望ましくない反応を防止することを助けた。そのような混合はまた、化学反応器の体積全体を通した均一な熱分布を保証し、それにより、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で製造するための化学反応器内の化学的環境を提供することを助けた。
化学反応器の内容物の連続した撹拌を維持しながら、反応の温度(反応時間(T))を、アルカリ性物質の水溶液を、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加える間を通して、また、結果的には、ブロモピクリンを含有する反応混合物を形成する間を通して、約24℃〜約48℃の範囲(1リットルの実験室規模の化学反応器)、または、約22℃〜約45℃の範囲(16リットルのミニパイロットプラント規模の化学反応器)で維持した。
水酸化ナトリウムが、ブロモピクリンを含有する反応混合物を形成するために、混合物に加えられ、また、結果的には、混合物と反応するにつれ、赤色〜褐色の色が徐々に退色し、最終的には反応混合物から消失した。反応は発熱的であり、非常に速く、水酸化ナトリウムの水溶液の添加を止めた直後に停止した。水、ニトロメタン、臭素、水酸化ナトリウムおよび形成されたブロモピクリンの反応混合物の赤色〜褐色の完全な消失を、その直後に、典型的には、黄色がかった色が形成されたが、高純度のブロモピクリンを高収率(本質的には、理論的化学量論的収率)で形成するための、反応混合物における、水酸化ナトリウムと、臭素との反応、および、結果的には、水酸化ナトリウムと、ニトロメタンとの反応の完了を正確かつ精密に(再現性よく)示すものとして使用した。
反応の継続期間(反応時間、または、時間(これは本明細書中下記の表に示される))は、水酸化ナトリウムの水溶液を、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加えることの開始から、水酸化ナトリウムの水溶液を、水、ニトロメタン、臭素、水酸化ナトリウムおよび形成されたブロモピクリンの反応混合物に加えることの終了にまで及ぶ期間に対応するものであり、そのような時点で、臭素が、ブロモピクリン生成物を形成するために、水酸化ナトリウムと完全に反応しており(水酸化ナトリウムによって消費されており)、結果的には、ニトロメタンと完全に反応している(ニトロメタンによって消費されている)が、約3.5時間〜約4時間の範囲(1リットルの実験室規模の化学反応器)、または、約4時間〜約6時間の範囲(16リットルのミニパイロットプラント規模の化学反応器)であった。
反応の継続期間(反応時間)が完了した直後(これは、水酸化ナトリウムの水溶液を反応混合物に加えることを停止した直後に対応する)、化学反応器における、ブロモピクリンを含有する反応混合物をさらに、約30分間混合し、この間に、ブロモピクリンを含有する反応混合物の温度を室温(約20℃〜約25℃の間)に下げた。
ブロモピクリンを含有する反応混合物の混合を停止した。ブロモピクリンを含有する反応混合物、すなわち、一次生成物(ブロモピクリン[CBrNO]および水)および二次的な生成物(無機塩、無機酸化剤、ならびに、微量の有機物または/および無機物)の混合物を含有する反応混合物を相分離および相平衡に供した。一次生成物のブロモピクリンは、20℃における1リットルの水について約1.5グラムの水溶解度、および、2.79の比重を有するので、反応混合物のより重い(下側)有機相に移動し、より重い(下側)有機相になり、一方、一次生成物の水および二次生成物は反応混合物のより軽い(上側)水相に移動し、より軽い(上側)水相になった。
(ブロモピクリンを含有する)より重い(下側)有機相を、(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相を最初は化学反応器に残しながら、垂直配置の化学反応器の底部端部分または底部出口から、排液またはポンプ排液により選択的に回収した。同時に、回収された液体(すなわち、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相)に正確かつ再現可能に特徴的である少なくとも1つの性質(例えば、回収された液体の色、電導度または/および密度)を、有機相がもはや化学反応器の底部部分に残留しないことの徴候または指示が現れるまでモニタリングおよび測定した。このことは、水相が化学反応器の底部端部分または底部出口に入ることの最初の徴候または指示が現れる直前に対応し、そのような時点で、ブロモピクリンを含有するより重い(下側)有機相を化学反応器から排液またはポンプ排液することが停止された。
その後、最初は化学反応器に残された(水および二次生成物を含有する)より軽い(上側)水相を、水相の化学的組成およびその構成を決定するために、化学反応器から回収した。
反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)回収されたより重い(下側)有機相を、ブロモピクリンの純度およびその組成を決定するために、上記で記載されたガスクロマトグラフィーによる化学的分析に供した。反応混合物の(水および二次生成物を含有する)回収されたより軽い(上側)水相を標準的な湿式化学タイプの分析手順に供した。
回収された水相を、臭素を含有する無機酸化剤を中和または/および還元する亜硫酸水素ナトリウム(SBS−重硫酸ナトリウム[NaHSO])の水溶液(SBSの濃度が約20重量パーセント(SBS重量/水相の総重量)である水溶液)を使用して化学的に処理した。処理された水相もまた、標準的な湿式化学タイプの分析手順に供した。
水相を化学的に処理することにより、[NaHSO]および臭化水素酸(臭化水素)[HBr]の水性混合物の産生が、約1への化学的に処理された水相のpHにおける低下とともに生じた。従って、化学的に処理された水相の酸性度を、水酸化ナトリウム[NaOH]の水溶液(約34重量パーセント〜35重量パーセント(水酸化ナトリウム重量/水相重量)の濃度)を使用して中和した。
実験結果
実験室規模(1リットルの化学反応器):
出発物質(反応物)および生成物の重量ならびに反応条件が表1に列記される。反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)回収されたより重い(下側)有機相の組成分析が表2に列記される。表2において、ブロモピクリン(BP)の純度が、(回収された)有機相におけるブロモピクリンの重量と、(回収された)有機相の総重量との比率に対応する重量パーセントに関して列記される。反応混合物の(水および二次生成物を含有する)回収されたより軽い(上側)水相の、化学的に処理の前後における組成分析が表3に列記される。図1は、例示的な実施である実施番号38585−3(これは、表1、表2および表3において太字で示される)の反応条件および結果について、実験室規模の1リットルサイズの化学反応器を使用して本発明を実行する一例の実際のスキームおよび手順のフローブロック図である。図1において、g=グラム;%=パーセント;h=時間;RT=室温;s.p.=温度設定点;org=有機;aq.=水性;d=密度;ml=ミリリットル;Assay=純度;およびT=処理後。
Figure 2009506023
Figure 2009506023
実験室規模の1リットルサイズの化学反応器を使用するこれらの結果から、反応温度(反応温度(T))が、水酸化ナトリウムの水溶液を、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加える間を通して、また、結果的には、ブロモピクリンを含有する反応混合物を形成する間を通して、約24℃〜約39℃の範囲で維持されたとき、ブロモピクリンを形成するための反応の選択性が97パーセントを超えていたこと、および、収率が92.6±1.0パーセントであったことが認められる。約42℃〜約48℃の間でのより高い範囲における反応温度(反応温度(T))はブロモピクリンの選択性または収率を低下させなかったことは注目される。
水相に典型的に含有される主要な二次生成物は、無機塩の臭化ナトリウム[NaBr]、臭素を含有する無機酸化剤の[NaBrO]、[NaBrO]および[NaBrO]、ならびに、微量の有機物、すなわち、[CBrNO]、[CNaBrNO]、[CHNaBrNO]および[CHNaNO]であった。
回収された水相を、臭素を含有する無機酸化剤を中和または/および還元する亜硫酸水素ナトリウム(SBS−重硫酸ナトリウム[NaHSO])の水溶液を使用して化学的に処理した。
約1へのpHにおける低下とともに、[NaHSO]および臭化水素酸(臭化水素)[HBr]の存在のために、化学的に処理された水相の酸性度を、水酸化ナトリウムの約34重量パーセント〜35重量パーセントの水溶液を使用して中和した。化学的に処理された水相に存在する[NaHSO]および臭化水素酸[HBr]は水酸化ナトリウムと反応して、[NaBr]、[NaSO]および[NaSO]を、生じた中和された化学的に処理された水相において、そのpHを約6〜約12の間の値に上げるとともに形成した。
Figure 2009506023
表3のデータについて、酸化剤の完全な還元を保証するために、計算量の約15パーセントの過剰量の還元剤を選んだ。TOC=総有機炭素。ppm=百万分率。
ミニパイロットプラント規模(16リットルの化学反応器):
出発物質(反応物)および生成物の重量ならびに反応条件が表4に列記される。反応混合物の(ブロモピクリンを含有する)回収されたより重い(下側)有機相の組成分析が表5に列記される。表5において、ブロモピクリン(BP)の純度が、(回収された)有機相におけるブロモピクリンの重量と、(回収された)有機相の総重量との比率に対応する重量パーセントに関して列記される。反応混合物の(水および二次生成物を含有する)回収されたより軽い(上側)水相の、化学的処理の前後における組成分析が表6に列記される。図2は、例示的な実施である実施番号2005−7(これは、表4、表5および表6において太字で示される)の反応条件および結果について、ミニパイロットプラント規模の16リットルの化学反応器を使用して本発明を実行する一例の実際のスキームおよび手順のフローブロック図である。図2において、g=グラム;%=パーセント;h=時間;RT=室温;s.p.=温度設定点;org=有機;aq.=水性;d=密度;ml=ミリリットル;Assay=純度;およびT=処理後。
Figure 2009506023
Figure 2009506023
実験室規模の1リットルサイズの化学反応器を使用するこれらの結果から、反応温度(反応温度(T))が、水酸化ナトリウムの水溶液を、水、ニトロメタンおよび臭素の混合物に加える間を通して、また、結果的には、ブロモピクリンを含有する反応混合物を形成する間を通して、約22℃〜約40℃の範囲で維持されたとき、ブロモピクリンを形成するための反応の選択性が98パーセントを超えていたこと、および、収率が94.5±1.0パーセントであったことが認められる。約45℃である反応温度(反応温度(T))はブロモピクリンの選択性または収率を低下させず、しかし、ブロモピクリンの収率が約93パーセントであったことは注目される。
水相に典型的に含有される主要な二次生成物は、無機塩の臭化ナトリウム[NaBr]、臭素を含有する無機酸化剤の[NaBrO]、[NaBrO]および[NaBrO]、ならびに、微量の有機物、すなわち、[CBrNO]、[CNaBrNO]、[CHNaBrNO]および[CHNaNO]であった。
回収された水相を、臭素を含有する無機酸化剤を中和または/および還元する亜硫酸水素ナトリウム(SBS−重硫酸ナトリウム[NaHSO])の水溶液を使用して化学的に処理した。
約1へのpHにおける低下とともに、[NaHSO]および臭化水素酸(臭化水素)[HBr]の存在のために、化学的に処理された水相の酸性度を、水酸化ナトリウムの約34重量パーセント〜35重量パーセントの水溶液を使用して中和した。化学的に処理された水相に存在する[NaHSO]および臭化水素酸[HBr]は水酸化ナトリウムと反応して、[NaBr]、[NaSO]および[NaSO]を、生じた中和された化学的に処理された水相において、そのpHを約7〜約12の間の値に上げるとともに形成した。
Figure 2009506023
表6のデータについて、酸化剤の完全な還元を保証するために、計算量の約15パーセントの過剰量の還元剤を選んだ。
本発明の、ブロモピクリンを調製するプロセス、および、そのようなプロセスから調製される高純度のブロモピクリンは、本明細書中上記において例示的に記載され、また、例示されるように、いくつかの有益かつ好都合な態様、特徴または特質を有しており、これらは、新規性および進歩性の上記で記載された主要な態様に基づいており、あるいは、新規性および進歩性の上記で記載された主要な態様に加えてであり、あるいは、新規性および進歩性の上記で記載された主要な態様の結果である。
第1に、本発明のブロモピクリン調製プロセスは、ブロモピクリンを、96パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学量論的)収率で製造する、工業的に適用可能で、再現可能で、安全で、環境的にやさしく、かつ、費用効果的な方法を提供する。
第2に、本発明のブロモピクリン調製プロセスは、そのようなプロセスから製造された高純度のブロモピクリンを回収するための、工業的に適用可能で、再現可能で、安全で、環境的にやさしく、かつ、費用効果的な手順を含む。ブロモピクリンを含有する有機相が直接に、96パーセント以上の純度、また、99重量パーセントの高純度(ブロモピクリン重量/有機相の総重量)を有するブロモピクリンのほぼ定量的(理論的化学的量論的)収率を得るために、有機相を蒸留または抽出に供することなく、具体的には、重力により(例えば、自由排液または強制排液またはポンプ排液によって)反応混合物から回収される。この態様により、比較的費用のかかる蒸留設備または抽出設備、ならびに、その操作および維持のために伴う費用とともに、蒸留処理または抽出処理を含む必要性を避けることがもたらされる。この態様によりまた、潜在的に危険な(高エネルギーの)ブロモピクリン生成物を蒸留条件時または抽出条件時に取り扱うこと、および、蒸留条件時または抽出条件時における潜在的に危険な(高エネルギーの)ブロモピクリン生成物の影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れること、同様にまた、潜在的に危険な、廃液をもたらす抽出溶媒を取り扱うこと、および、そのような抽出溶媒の影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れることの必要性を避けることがもたらされる。
第3に、ブロモピクリンを調製するプロセスにおいて、ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供することが、何らかの有機溶媒をニトロメタンおよび臭素に加えることなく行われ、その結果、混合物は有機溶媒が実質的に存在しない。従って、このプロセスでは、有機溶媒が、ニトロメタンおよび臭素の最初の混合物に、または、それらから形成されるブロモピクリンを含有するその後の反応混合物に存在しない。本発明のこの態様により、不純物または/および望ましくない反応中間体および副生成物が、有機溶媒が存在することのためにプロセスに持ち込まれる可能性を避けることがもたらされ、また、ブロモピクリンを調製するプロセスの任意の段階の期間中に有機溶媒を取り扱うこと、ならびに、ブロモピクリンを調製するプロセスの任意の段階の期間中に有機溶媒を使用することの影響(具体的には、健康および安全性に関連するような影響)を考慮に入れることの必要性を避けることがもたらされる。
従って、本発明は、ブロモピクリンを調製するために使用される現在既知の技術のいくつかの欠点および制限を首尾よく対処および克服し、また、そのような技術の範囲を拡大し、また、容易に商業的に適用可能である。
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることが認識されるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたはいかなる適切なサブコンビネーションでも提供することもできる。
本明細書中で挙げた刊行物、特許および特許願は全て、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願でのいかなる引用または確認したことも本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入る係る別法、変更および変形すべてを包含するものである。
図1は、本発明に従って、実施例に記載されるような例示的な実施(実施番号38585−3)の反応条件および結果について、1リットルサイズの化学反応器を使用して本発明を実験室規模で実行する一例における、実際のスキームおよび手順のフローブロック図である。 図2は、本発明に従って、実施例に記載されるような例示的な実施(実施番号BP−2005−7)の反応条件および結果について、16リットルサイズの化学反応器を使用して本発明をミニパイロットプラント規模で実行する一例の実際のスキームおよび手順のフローブロック図である。

Claims (32)

  1. ニトロメタンおよび臭素の混合物を提供すること;
    前記提供することに続いて、アルカリ性物質の水溶液を前記混合物に加え、それにより、ブロモピクリンを含有する反応混合物を提供すること、ただし、前記加えることは、過剰な前記アルカリ性物質が、前記加えている期間中、前記反応混合物に存在しないように行われる;および、
    ブロモピクリンを前記反応混合物から回収すること
    を含む、ブロモピクリンを調製するプロセス。
  2. 前記ニトロメタンおよび前記臭素の前記混合物を提供することが、前記混合物には有機溶媒が実質的に存在しないように行われる、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記ニトロメタンおよび前記臭素の前記混合物を提供する期間中、前記混合物の温度が約10℃〜約50℃の範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
  4. 前記ニトロメタンおよび前記臭素の前記混合物を提供する期間中、前記混合物の温度が約20℃〜約25℃の範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
  5. 前記混合物を提供することが、約3〜約4の範囲にある臭素とニトロメタンのモル比を使用して行われる、請求項1に記載のプロセス。
  6. 前記混合物を提供することが、約3〜約3.5の範囲にある臭素とニトロメタンのモル比を使用して行われる、請求項1に記載のプロセス。
  7. 前記ニトロメタンおよび前記臭素の前記混合物はさらに水を含む、請求項1に記載のプロセス。
  8. 前記混合物を提供することが、前記ニトロメタンを前記水に加え、その後、前記臭素を前記ニトロメタンおよび前記水に加え、それにより、前記混合物を形成するという順番に従って行われる、請求項7に記載のプロセス。
  9. 前記混合物を提供することが、約0.25〜約4の範囲にある前記ニトロメタンと前記水の重量比を使用して行われる、請求項7に記載のプロセス。
  10. 前記混合物を提供することが、約0.5〜約2の範囲にある前記ニトロメタンと前記水の重量比を使用して行われる、請求項7に記載のプロセス。
  11. 前記アルカリ性物質が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
  12. 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
  14. 前記アルカリ性物質は前記水酸化ナトリウムである、請求項12に記載のプロセス。
  15. 前記アルカリ土類水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウムおよび水酸化バリウムからなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
  16. 前記アルカリ性物質の水溶液における前記アルカリ性物質の濃度が約5重量パーセント〜約50重量パーセント(前記アルカリ性物質重量/前記水溶液重量)の範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
  17. 前記アルカリ性物質の水溶液における前記アルカリ性物質の濃度が約25重量パーセント〜約40重量パーセント(前記アルカリ性物質重量/前記水溶液重量)の範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
  18. 前記アルカリ性物質の水溶液における前記アルカリ性物質の濃度が約35重量パーセント(前記アルカリ性物質重量/前記水溶液重量)である、請求項1に記載のプロセス。
  19. 前記水溶液を前記混合物に加える前において、前記混合物の温度が約10℃〜約50℃の範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
  20. 前記水溶液を前記混合物に加えている間を通して維持される前記反応混合物の温度が約20℃〜約50℃の範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
  21. 前記水溶液を前記混合物に加えている間を通して維持される前記反応混合物の温度が約35℃〜約45℃の範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
  22. 前記水溶液を前記混合物に加えることが約0.5時間〜約24時間の範囲の期間にわたって行われる、請求項1に記載のプロセス。
  23. 前記水溶液を前記混合物に加えることが約1時間〜約10時間の範囲の期間にわたって行われる、請求項1に記載のプロセス。
  24. 前記水溶液を前記混合物に加えることが約2時間〜約6時間の範囲の期間にわたって行われる、請求項1に記載のプロセス。
  25. 前記ブロモピクリンを前記反応混合物から回収することが、前記反応混合物からの有機相の自由排液または強制排液またはポンプ排液によって行われる、請求項1に記載のプロセス。
  26. 前記ブロモピクリンを回収した後、水相を前記反応混合物から回収し、前記水相を化学的に処理し、それにより、処理された形態の前記水相を提供する、請求項1に記載のプロセス。
  27. 前記処理された形態の前記水相が、臭化ナトリウムを単離すること、臭素を製造すること、または、臭化水素酸を製造することのための手順において使用される、請求項26に記載のプロセス。
  28. 請求項1に記載のプロセスによって調製されるブロモピクリン。
  29. 96重量パーセント以上の純度を有する、請求項28に記載のブロモピクリン。
  30. 前記純度は99重量パーセント以上である、請求項29に記載のブロモピクリン。
  31. 96重量パーセント以上の純度を有するブロモピクリン。
  32. 前記純度は99重量パーセント以上である、請求項31に記載のブロモピクリン。
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