JP2009500495A - 低光沢熱可塑性組成物、その調製方法、およびそれから成形された物品 - Google Patents

低光沢熱可塑性組成物、その調製方法、およびそれから成形された物品 Download PDF

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Abstract

ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物を含む熱可塑性組成物であって、60°光沢が、ASTM D2457に従って測定して90GU以下である熱可塑性組成物。この熱可塑性組成物は、優れた低光沢性能および機械的性能を有する。この熱可塑性組成物の調製方法、およびこの熱可塑性組成物を含む物品の作製方法も開示される。

Description

本発明は、ポリカーボネート、特に低光沢ポリカーボネート組成物、その調製方法、およびその使用に関する。
低光沢仕上げを有する熱可塑性プラスチックは、自動車部品から装飾用品、コンピューターなどの電子的用途のハウジングまで、広範囲な用途の物品および構成材の製造において有用である。プラスチック部品の低光沢仕上げは、様々な方法を用いて得ることができる。プラスチック表面に機械的に模様付けをする方法が長年使用されてきたが、この種類の表面仕上げは磨耗しやすく、最終的には使用に際しての光沢を増加してしまう。さらに、機械的模様付けは、処理工程が追加されるので製造コストを増加させる。従って、物品が、成型、注型、押出し、または圧延など適切な低光沢組成物の工程の直後から低光沢表面を有することのできる、成形可能な熱可塑性組成物自体の改良が望ましい。低光沢熱可塑性組成物において、その利用のために優れた機械的性質も求められる。
優れた機械的性質を有するポリカーボネートは、上述の用途に使用することができる。ポリカーボネートの低光沢仕上げは、シリカ微粒子、または光沢低減機能を有する樹脂などの光沢低減充填剤および添加物を加えることによって達成されるが、かかるブレンドの有用性は、例えば衝撃強度および延性の維持などの機械的性質の低減または損失によって損なわれ得る。
米国特許第5,530,062号
従って、当該技術分野においてポリカーボネートを含む低光沢性熱可塑性組成物の要求が残存する。
かかる材料の望ましい特徴には、優れた機械的性質と製造の容易性の両方が含まれる。低光沢性熱可塑性組成物の機械的性質は、高光沢性ポリカーボネートの機械的性質と同程度であることが望ましい。
上述の要求は、ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、ならびにポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーとの反応生成物を含む低光沢添加物を含む樹脂組成物を含む熱可塑性組成物によって達成され、ここで、熱可塑性組成物の60°光沢は、ASTM D2457に従って3ミリメートルカラーチップ上で測定して90GU以下である。
1つの実施形態において、熱可塑性組成物の調製方法は、ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、ならびにポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーとの反応生成物を含む低光沢添加物を溶融混合する工程を含み、ここで、溶融混合工程は220〜300℃の温度において行われる。
別の実施形態において、物品は上述の熱可塑性組成物を含む。
前述のおよびその他の特徴は、以下の詳細な説明によって例証される。
驚くべきことに、ポリカーボネート、1〜30重量パーセント(wt%)のアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物を含む樹脂組成物を含む熱可塑性組成物が、優れた機械的性質に加えて、適切な低光沢性能を有することが見出された。また驚くべきことに、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、アクリロニトリルブタジエン-スチレン(ABS)耐衝撃性改良剤の匹敵する添加よりも、測定された光沢の増加が少なく且つより良好な機械的性質を示す。
この樹脂組成物は、ポリカーボネートを含む。本明細書で使用する場合、「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」という用語は、式(1)のカーボネート単位繰り返し構造を有する組成物を意味し;
Figure 2009500495
ここで、R1基の全数の少なくとも60パーセントが芳香族有機基であり、その残りは脂肪族基、脂環式基または芳香族基である。一実施形態において、各R1は、例えば式(2)の基などの芳香族有機基である。
-A1-Y1-A2- (2)
式中、A1およびA2はそれぞれ、単環式二価アリール基であり、Y1は、A1をA2から隔てる1つまた2つの原子を有する架橋基である。典型的な実施形態において、1つの原子がAlをA2から隔てる。この種類の基の限定されない例には、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-、C(O)-、メチレン、シクロヘキシル-メチレン、2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンが挙げられる。架橋基Y1は、メチレン、シクロヘキシリデン、またはイソプロピリデンなどの炭化水素基または飽和炭化水素基とすることもできる。
ポリカーボネートは、式(3)のジヒドロキシ化合物を含む式HO-R1-OHを有するジヒドロキシ化合物の界面反応によって調製することもできる。
HO-A1-Y1-A2-OH (3)
式中、Y1、A1およびA2は、前述の通りである。一般式(4)のビスフェノール化合物も、同様に含まれる。
Figure 2009500495
式中、RaおよびRbは、それぞれハロゲン原子または一価の炭化水素基を表し、同じであっても異なっていてもよく;pおよびqは、それぞれ独立に0〜4の整数であり;Xaは、式(5)の基の1つを表し:
Figure 2009500495
式中、RcおよびRdは、それぞれ独立に水素原子または一価の直鎖状炭化水素基または環式炭化水素基を表し、Reは二価の炭化水素基である。
適切なジヒドロキシ化合物の限定されない一部の例には、レゾルシノール、4-ブロモレゾルシノール、ヒドロキノン、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、トランス-2,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブテン、2,2-ビス(4-.ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(アルファ、アルファ'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジクロロ2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(5-フェノキシ-4-ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル) フルオリン、2,7-ジヒドロキシピレン、6,6'-ジヒドロキシ-3,3,3',3'-テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシチアンスレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシジベンソチオフェン、および2,7-ジヒドロキシカルバゾールなど、ならびに上述のジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
式(3)によって表すこともできる種類の特定のビスフェノール化合物の例には、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以後「ビスフェノールA」または「BPA」と称する)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)、および1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)が含まれる。上述のジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せも使用することもできる。
分枝ポリカーボネートも有用であり、線状ポリカーボネートと分枝ポリカーボネートのブレンドも有用である。分枝ポリカーボネートは、重合中に分枝剤を添加することによって調製することもできる。これら分枝剤は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、および上述の官能基の混合物から選択される少なくとも3つの官能基を含む多官能性有機化合物を含む。特定の例には、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメリト酸三塩化物、トリス-p-ヒドロキシフェニルエタン、イサチン-ビス-フェノール、トリスフェノールTC(1,3,5-トリス((p-ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス-フェノールPA(4(4(1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-エチル)アルファ、アルファ-ジメチルベンジル)フェノール)、4-クロロホルミル無水フタル酸、トリメシン酸、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸が含まれる。分枝剤は、0.05〜2.0wt%の濃度で加えることもできる。かかる末端基が熱可塑性組成物の所望する性質に著しく影響を及ぼさない限り、ポリカーボネート末端基の全ての種類がポリカーボネート組成物中で有用であると考えられる。
特定の一実施形態において、ポリカーボネートはビスフェノールAから誘導された線状ホモポリマーであり、ここでAlおよびA2のそれぞれはp-フェニレンであり、Y1はイソプロピリデンである。ポリカーボネートは、クロロホルム中25℃で測定して、1グラム当たり0.3〜1.5デシリットル(dl/g)、具体的には0.45〜1.0dl/gの固有粘度を有し得る。ポリカーボネートは、架橋スチレン-ジビニルベンゼンカラムを用いて、1ミリグラム/1ミリリットルのサンプル濃度においてポリスチレン標準で較正し、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して、10,000〜100,000、具体的には15,000〜50,000の重量平均分子量を有し得る。
一実施形態において、このポリカーボネートは薄い物品を製造するのに適した流動特性を有している。メルトボリュームフローレイト(しばしばMVRと略される)は、規定された温度および荷重において、オリフィスを通過する熱可塑性物の押出し速度を測定する。薄い物品の成形に適したポリカーボネートは、300℃/1.2kgにおいて測定して、1から35立方センチメートル/10分間(cc/10分)、具体的には2〜30cc/10分のMVRを有し得る。総体的な所望の流動特性を達成するために、異なる流動特性を有するポリカーボネートの混合物を使用することもできる。ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って測定して、55%以上、具体的には60%以上、より具体的には、70%以上の光透過率を有することもできる。ポリカーボネートは、ASTM D1003-00に従って測定して、50%以下、具体的には40%以下、最も具体的には30%以下のヘーズを有することもできる。
本明細書で使用する場合、「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」は、ポリカーボネートと他のカーボネート鎖単位を含むコポリマーとのブレンドをさらに含むこともできる。特に適したコポリマーは、ポリエステルカーボネートで、これはコポリエステルポリカーボネートとしても知られている。かかるコポリマーは、式(1)の反復カーボネート鎖単位に加えて、式(6)の反復単位をさらに含む。
Figure 2009500495
式中、Dはジヒドロキシ化合物から誘導された二価の基であり、例えば、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20芳香族基またはアルキル基が2〜6個の炭素原子、具体的には2、3、または4個の炭素原子を含むポリオキシアルキレン基であってよく;Tはジカルボン酸から誘導された二価の基であり、例えば、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20アルキル芳香族基、またはC6〜20芳香族基であってよい。
一実施形態において、DはC2〜6アルキレン基である。別の実施形態において、Dは式(7)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される。
Figure 2009500495
式中、各Rfは独立にハロゲン原子、C1〜10の炭化水素基、またはC1〜10のハロゲン置換炭化水素基であり、nは0〜4である。ハロゲンは通常臭素である。式(7)によって表すことができる化合物の例には、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物(例えば、5-メチルレゾルシノール、5-エチルレゾルシノール、5-プロピルレゾルシノール、5-ブチルレゾルシノール、5-t-ブチルレゾルシノール、5-フェニルレゾルシノール、5-クミルレゾルシノール、2,4,5,6-テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6-テトラブロモレゾルシノールなど);カテコール;ヒドロキノン; 置換ヒドロキノン(例えば、2-メチルヒドロキノン、2-エチルヒドロキノン、2-プロピルヒドロキノン、2-ブチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、2-フェニルヒドロキノン、2-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノンなど);または上述の化合物の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
ポリエステルの調製に使用することができる芳香族ジカルボン酸には、イソフタル酸またはテレフタル酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4'-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4'-ビス安息香酸、および上述の酸の少なくとも1つを含む混合物が含まれる。1,4-、1,5-、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの縮合環を含む酸も示すことができる。特定のジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、またはそれらの混合物である。特定のジカルボン酸は、テレフタル酸のイソフタル酸に対する重量比が91:1〜2:98の、イソフタル酸およびテレフタル酸の混合物を含む。別の実施形態において、DはC2〜6アルキレン基であり、Tはp-フェニレン、m-フェニレン、ナフタレン、二価の脂環式基、またはこれらの混合物である。このクラスのポリエステルは、ポリ(アルキレンテトラフタレート)を含む。
エステル単位に加えて、ポリエステルポリカーボネートは、前述のようにカーボネート単位を含むことができる。式(1)のカーボネート単位は、式(7)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導することもでき、ここで、特定のカーボネート単位はレゾルシノールカーボネート単位である。
具体的には、ポリエステル-ポリカーボネートのポリエステル単位は、イソフタル二酸およびテレフタル二酸(またはこれらの誘導体)の組合せと、レゾルシノール、ビスフェノールA、またはこれらの1つもしくは複数を含む組合せとの反応によって誘導することができ、ここで、イソフタレート単位のテレフタレート単位に対するモル比は、91:9〜2:98、具体的には85:15〜3:97、より具体的には80:20〜5:95、さらにより具体的には70:30〜10:90である。ポリカーボネート単位は、レゾルシノールカーボネート単位のビスフェノールAカーボネート単位に対するモル比0:100〜99:1で、かつ、ポリエステル-ポリカーボネート中のイソフタレート-テレフタレートポリエステル単位のポリカーボネート単位に対するモル比1:99〜99:1、具体的には5:95から90:10、より具体的には10:90から80:20で、レゾルシノールおよび/またはビスフェノールAから誘導することができる。ポリエステル-ポリカーボネートとポリカーボネートとのブレンドを使用する場合、ブレンド中のポリカーボネートのポリエステル-ポリカーボネートに対する比は、1:99〜99:1、具体的には10:90〜90:10とすることができる。
ポリエステル-ポリカーボネートは、1,500〜30,000、具体的には1,700〜20,000、より具体的には2,000〜10,000の重量平均分子量(Mw)を有し得る。分子量測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、架橋スチレン-ジビニルベンゼンカラムを用いてポリスチレン標準に対して較正して行った。サンプルは約1mg/mlの濃度で調製し、約1.0ml/分の流速で溶離する。
適切なポリカーボネートは、界面重合および溶融重合などの方法によって製造することができる。界面重合に関する反応条件は変えることもできるが、典型的な方法は、二価フェノール反応物を苛性ソーダまたは苛性カリウムの水溶液に溶解または分散する段階と、得られた混合物を適切な水非混和性溶媒に加える段階と、トリメチルアミンまたは相間移動触媒などの適切な触媒の存在下、pH条件を例えば8〜10に制御して、反応物をカーボネート前駆物質と接触させる段階とを含む。最も一般的に使用される水非混和性溶媒には、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエンなどが含まれる。適切なカーボネート前駆物質には、カルボニルハロゲン化物(例えば、カルボニル臭化物またはカルボニル塩化物など)、ハロホルメート〔例えば、二価フェノールのビスハロホルメート(例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノンなどのビスクロロホルメート) またはグリコールのビスハロホルメート(例えばエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールなどのビスハロホルメート)など〕が含まれる。上述の種類のカーボネート前駆物質の少なくとも1つを含む組合せもまた使用することもできる。
連鎖停止剤(キャッピング剤とも呼ばれる)を、重合中に含むこともできる。連鎖停止剤は、分子量の増大速度を制限するので、ポリカーボネートの分子量を調節する。連鎖停止剤は、モノフェノール化合物、モノカルボン酸塩化物、および/またはモノクロロホルメートの少なくとも1種とすることができる
例えば、連鎖停止剤として適しているモノフェノール化合物には、フェノール、C1〜22アルキル置換フェノール、p-クミルフェノール、p-第三-ブチルフェノール、ヒドロキシジフェニルなどの単環式フェノール;p-メトキシフェノールなどのジフェノールのモノエーテルが含まれる。アルキル置換フェノールには、8〜9個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル置換基を有するフェノールが含まれる。モノフェノールUV吸収剤も、キャッピング剤として使用することができる。かかる化合物には、4-置換-2-ヒドロキシベンゾフェノンおよびこれらの誘導体、アリールサリチル酸塩、ジフェノールのモノエステル(例えば、レゾルシノールモノベンゾエート、2-(2-ヒドロキシアリール)-ベンゾトリアゾールおよびそれらの誘導体、2-(2-ヒドロキシアリール)-1,3,5-トリアジンおよびそれらの誘導体など)が含まれる。具体的には、モノフェノール連鎖停止剤には、フェノール、p-クミルフェノール、および/またはレゾルシノールモノベンゾエートが含まれる。
モノカルボン酸塩化物は、連鎖停止剤としても適している。これらには、塩化ベンゾイル、C1〜22アルキル置換塩化ベンゾイル、トルオイルクロライド、ハロゲン置換塩化ベンゾイル、塩化ブロモベンゾイル、塩化シンナモイル、4-ナディミドベンゾイルクロリドおよびこれらの混合物などの単環式モノカルボン酸塩化物;無水トリメリット酸塩化物;およびナフトイル塩化物などの多環式モノカルボン酸塩化物;および単環式モノカルボン酸塩化物おと多環式モノカルボン酸塩化物との混合物が含まれる。22個までの炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸の塩化物が適している。塩化アクリロイルおよび塩化メタアクリロイルなどの官能化された脂肪族モノカルボン酸の塩化物も適している。同様に適切なのは、フェニルクロロホルメート、アルキル置換フェニルクロロホルメート、p-クミルフェニルクロロホルメート、トルエンクロロホルメート、およびこれらの混合物などの単環式モノクロロホルメートを含むモノクロロホルメートである。
ポリエステル-ポリカーボネート樹脂は、界面重合により調製することもできる。ジカルボン酸それ自体を用いるよりも、対応する酸ハロゲン化物、特に酸ジ塩化物および酸ジ臭化物などの酸の反応性誘導体を使用することが可能であり、時には好ましい。従って、イソフタル酸、テレフタル酸、またはこれらの混合物を使用することに代えて、例えばイソフタロイルジクロリド、テレフタロイルジクロリド、およびこれらの混合物を使用することが可能である。
界面重合に使用することができる相間移動触媒は、式(R3)4Q+Xの触媒であり、式中各R3は同じでも異なっていてもよいC1〜10のアルキル基であり;Qは窒素またはリン原子であり;Xはハロゲン原子またはC1〜8アルコキシ基もしくはC6〜8のアリールオキシ基である。適切な相間移動触媒には、例えば、[CH3(CH2)3]4NX、[CH3(CH2)3]4PX、[CH3(CH2)5]4NX、[CH3(CH2)6]4NX、[CH3(CH2)4]4NX、CH3[CH3(CH2)3]3NX、およびCH3[CH3(CH2)2]3NXが含まれ、式中XはCr-、Br-、C1-8アルコキシ基またはC6〜13アリールオキシ基である。相間移動触媒の有効量は、ホスゲン混合物中のビスフェノールの重量に対して0.1〜10wt%とすることができる。別の実施形態において、相間移動触媒の有効量は、ホスゲン混合物中のビスフェノールの重量に対して0.5〜2wt%とすることができる。
別法として、溶融法もポリカーボネートを調製する方法として使用することができる。一般的に、溶融重合方法では、ポリカーボネートは、二軸押出機のBanbury(登録商標)混合機などにおいて、エステル交換触媒の存在の下、ジヒドロキシ反応物とジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートエステルとを溶融状態で共反応させて均一な分散物を形成させることによって調製することができる。揮発性の一価フェノールを蒸留によって溶融反応物から除去し、ポリマーを溶融残留物として単離する。
ポリカーボネートは、ポリシロキサン-ポリカーボネートコポリマーを含むこともできる。コポリマーのポリジオルガノシロキサンブロックは、式(8)のポリジオルガノシロキサン繰り返し単位を含む。
Figure 2009500495
式中、出現するごとにRは同じかまたは異なり、C113の一価の有機基である。例えば、Rは、C1〜C13アルキル基、C1〜C13アルコキシ基、C2〜C13アルケニル基、C2-C13アルケニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキル基、C3〜C6シクロアルコキシ基、C6〜C14アリール基、C6〜C10アリールオキシ基、C7〜C13アラルキル基、C7〜C13アラルコキシ基、C7〜C13アルカリール基、またはC7〜C13アルカリールオキシ基とすることができる。上述の基は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素あるいはそれらの組合せによって、完全にまたは部分的にハロゲン化されていてもよい。上述のR基の組合せは同一のコポリマー中で使用することもできる。
式(8)におけるDの値は、種類、熱可塑性組成物における各成分の相対的量、組成物の所望される性質、および同様の考慮すべき事柄に基づき広範囲に変えることもできる。一般的に、Dは2〜1,000、具体的には2〜500、より具体的には5〜100の平均値を有することができる。一実施形態において、Dは10〜75の平均値を有しており、さらに別の実施形態において、Dは40〜60の平均値を有している。Dが、例えば40未満と低い値の場合、相対的により多くの量のポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーを使用することが望ましいこともある。逆に、Dが、例えば40より高い値の場合、相対的により少ない量のポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーを使用することが必要な場合もある。
第1および第2の(またはそれ以上)のポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマーの組合せを使用することもでき、ここで、第1コポリマーのDの平均値は、第2コポリマーのDの平均値より小さい。
一実施形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(9)の繰り返し構造単位によって規定される。
Figure 2009500495
式中、Dは上述で定義された通りであり;各Rは同じでも異なっていてもよく、上述で定義された通りであり;各Arは同じでも異なっていてもよく、飽和または不飽和のC6-C30アリーレン基であり、ここで、結合は、直接芳香族部分(moiety)に結合している。式(9)における適切なAr基は、例えば、上述の式(3)、(4)、または(7)のジヒドロキシアリーレン化合物などのC6-C30ジヒドロキシアリーレン化合物から誘導することもできる。上述のジヒドロキシアリーレン化合物の少なくとも1つを含む組合せを使用することもできる。適切なジヒドロキシアリーレン化合物の具体的な例は、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニルスルフィド)、および1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパンである。前記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せも使用することもできる。
かかる単位は、式(10)の対応するジヒドロキシ化合物から誘導することもできる。
Figure 2009500495
式中、R、Ar、およびDは、上述の通りである。式(10)の化合物は、相間移動条件の下、ジヒドロキシアリーレン化合物と、例えば、アルファ、オメガ-ビスアセトキシポリジオルガノシロキサンとの反応によって得ることもできる。
別の実施形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(11)の単位を含む。
Figure 2009500495
式中、RおよびDは前述の通りであり、出現するごとにR1は独立に二価のC1〜C30ヒドロカルビレンであり、ここで、重合したポリシロキサン単位は、それの対応するジヒドロキシ化合物の反応残留物である。特定の実施形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(12)の繰り返し構造単位によって規定される。
Figure 2009500495
式中、RおよびDは上述の通りである。式(12)における各R2は、二価のC2〜C8脂肪族基である。式(12)における各Mは、同じでも異なっていてもよく、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C8アルキチオ、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルケニルオキシ基、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C7〜C12アラルキル、C7〜C12アラルコキシ、C7〜C12アルカリール、またはC7〜C12アルカリールオキシであり、ここで、各nは、独立に0、1、2、3、または4である。
一実施形態において、Mはブロモまたはクロロ、メチル、エチル、もしくはプロピルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、もしくはプロポキシなどのアルコキシ基、またはフェニル、クロロフェニル、もしくはトリルなどのアリール基であり;R2は、ジメチレン、トリメチレンまたはテトラメチレン基であり;RはC1〜8アルキル、トリフルオロプロピルなどのハロアルキル、シアノアルキル、またはフェニル、クロロフェニル、もしくはトリルなどのアリールである。別の実施形態において、Rはメチル、またはメチルおよびトリフルオロプロピルの混合物、またはメチルおよびフェニルの混合物である。さらに別の実施形態において、Mはメトキシであり、nは1であり、R2は、二価のC1〜C3の脂肪族基であり、Rはメチルである。
式(12)の単位は、対応するジヒドロキシポリジオルガノシロキサン(13)から誘導することができる。
Figure 2009500495
式中、R、D、M、R2、およびnは上述の通りである。かかるジヒドロキシポリシロキサンは、式(14)の水素化シロキサン:
Figure 2009500495
(式中、RおよびDは、前述により定義した通りである)と、脂肪族的に不飽和の一価フェノールとの白金触媒付加反応を行わせることで調製することができる。適切な脂肪族的に不飽和の一価フェノールには、例えば、オイゲノール、2-アリルフェノール、4-アリル-2-メチルフェノール、4-アリル-2-フェニルフェノール、4-アリル-2-ブロモフェノール、4-アリル-2-t-ブトキシフェノール、4-フェニル-2-フェニルフェノール、2-メチル-4-プロピルフェノール、2-アリル-4,6-ジメチルフェノール、2-アリル-4-ブロモ-6-メチルフェノール、2-アリル-6-メトキシ-4-メチルフェノール、および2-アリル-4,6-ジメチルフェノールが含まれる。上述の少なくとも1つを含む混合物も使用することができる。
ポリシロキサン-ポリカーボネートは、50〜99wt%のカーボネート単位、および1〜50wt%のジメチルシロキサン単位、またはモル当量の他のジオルガノシロキサン単位を含むことができる。この範囲内において、ポリシロキサン-ポリカーボネートコポリマーは、70〜98wt%、具体的には75〜97wt%のカーボネート単位、および2〜30wt%、具体的には3〜25wt%のジメチルシロキサン単位、またはモル当量の他のジオルガノシロキサン単位を含むこともできる。
特定の実施形態におけるある例において、ポリシロキサン-ポリカーボネートは、ポリシロキサン単位、およびビスフェノールA、すなわち、式(3)のジヒドロキシ化合物(式中、各A1およびA2はp-フェニレンであり、Y1はイソプロピリデンであ)から誘導されたカーボネート単位を含むことができる。ポリシロキサン-ポリカーボネートは、架橋スチレン-ジビニルベンゼンカラムを用いて、1ミリグラム/1ミリリットルのサンプル濃度においてポリスチレン標準で較正し、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して2,000〜100,000、具体的には5,000〜50,000の重量平均分子量を有することもできる。
前述のポリカーボネートに加えて、ポリカーボネートと他の熱可塑性ポリマーとの組合せ、例えばポリカーボネートおよび/またはポリカーボネートコポリマーとポリエステルとの組合せ、を使用することも可能である。本明細書で使用する場合、「組合せ」とは、全ての混合物、ブレンド、アロイ、反応生成物などを包含している。適切なポリエステル化合物は、式(6)の繰り返し単位を含み、例えば、恐らくは、ポリ(アルキレンジカルボキシレート)、液晶ポリエステル、およびポリエステルコポリマーであってよい。また、分枝剤(例えば、3つ以上のヒドロキシル基を有するグリコール、または三官能性もしくは多官能性のカルボン酸)が組み込まれた分枝ポリエステルを使用することができる。さらには、組成物の究極の最終用途次第で、ポリエステル上に様々な濃度の酸およびヒドロキシル末端基を有することが所望されることがある。
有用であり得るポリエステルの例には、ポリ(アルキレンテレフタレート)が含まれる。ポリ(アルキレンテレフタレート)の特定の例には、これだけに限定されないが、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンナフタノエート)(PEN)、ポリ(ブチレンナフタノエート)(PBN)、(ポリプロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、および上述の少なくとも1つのポリエステルを含む組合せが含まれる。同様に、コポリエステル調製のために、例えば、0.5〜10重量パーセントの、脂肪族二酸および/または脂肪族多価アルコールから誘導された少量の単位を有する上述のポリエステルが考えられる。
従って、ポリカーボネートは、樹脂組成物中に、ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレンアクリレートターポリマー、および低光沢添加物の合計重量に対して、50〜98wt%、具体的には65から96wt%、より具体的には73〜94wt%、さらに具体的には78〜93wt%の量で存在する。
樹脂組成物は、さらにSAN中に分散したアクリレートエラストマー相を有するスチレン-アクリロニトリル(SAN)マトリックスを含むアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー(ASA)を含む。このASAターポリマーは、ポリマーおよび/またはインターポリマーの均質なブレンド、すなわち、複数の相を有するポリマー組成物とすることができ、ここで、ポリマー相は、グラフト結合および/または第1相のポリマー鎖の第2相への相互浸透を有する。相互浸透鎖は、原則として浸透した相の内部にネットワークを形成する。また、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、ポリカーボネートとの良好なブレンディングに適している、アクリロニトリル-スチレンコポリマーの外部連続相を有していることが望ましい。
アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、架橋アクリレートエラストマーを含む相、架橋スチレン-アクリロニトリルコポリマーを含む相、および線状スチレン-アクリロニトリルコポリマーを含む相を含むことができる。本明細書において開示する場合、「スチレン」は、スチレンならびに、例えば、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエンを含むメチル置換スチレン、これらの1つまたは複数などを含む組合せを含むことができる。特定のアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、スチレン-アクリロニトリル(SAN)マトリックス中のコア-シェル型耐衝撃性改良剤を含む。これら樹脂のアクリレートエラストマーコア部分は、アクリル酸またはメタアクリル酸のアルキル、アリールまたはアリール-アルキル(アラルキルとも呼ばれる)エステルからなることができる。具体的に、アクリレートは、C1〜30置換アルキル、C3〜30置換シクロアルキル、C6〜30置換アリール、およびC7〜30置換アラルキルアルコールのエステル化生成物を含む。これらポリマーに使用する特定のアクリレートモノマーには、メチルアクリレート、エチルアクリレート、1-プロピルアクリレート、2-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-ブチルアクリレート、2-メチルプロピルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、2-ペンチルアクリレート、3-ペンチルアクリレート、2,2-ジメチルプロピルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、これらの1つまたは複数を含む組合せなどが含まれる。メタクリレートモノマーも、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、1-プロピルメタクリレート、2-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-ブチルメタクリレート、2-メチルプロピルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-ペンチルメタクリレート、2-ペンチルメタクリレート、3-ペンチルメタクリレート、2,2-ジメチルプロピルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを含めて、使用することもできる。特定のニトリルモノマーには、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、これらの1つまたは複数を含む組合せなどが含まれる。適切なビニル芳香族モノマーには、スチレン,アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、これらの1つまたは複数を含む組合せなどが含まれる。
アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、溶液相重合、乳化重合、懸濁重合、これら方法の少なくとも1つを含む組合せなどの方法によって調製することができる。樹脂のコア-シェル部分は、アクリレートエラストマーコアを重合し、熱可塑性シェルをコアにグラフトする方法によって調製することができる。熱可塑性シェルの特定の例には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、および他の類似のビニルポリマーまたはコポリマーが含まれる。アクリレートまたはメタクリレートエラストマーコアは、これだけに限定されないが、ジビニルベンゼン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレートを含む多官能性ビニル化合物で架橋することもできる。適切な多官能性ビニル化合物は、式(15)の構造を有することができる。
Figure 2009500495
式中、各R3は、独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C6〜C18アリールなどであり;各R4は独立にハロゲン、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシル、C6〜C18アリールなどであり;pは2〜4であり;およびqは0〜4である。特定の適切な多官能性アルケニル芳香族化合物は、1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジジイソプロペニルベンゼンなど;および上述の化合物の少なくとも1つを含む混合物を含むことができる。置換基の位置が特定されていない上述の化合物において、置換基は芳香族環上のどの位置を占めることもできる。
適切なアクリロイル含有化合物は、式(16)の構造を有する少なくとも2つのアクリロイル部分(moieties)を含む多官能性アクリロイル化合物であってよい。
Figure 2009500495
式中、R5およびR6は、それぞれ独立に水素、C1〜C12アルキルなどであり、ここで、R5およびR6は、炭素-炭素の二重結合について、お互いをシスまたはトランスの位置に配置することもできる。各R5およびR6が、独立に水素またはメチルであることが好ましい。具体的には、多官能性アクリロイル化合物は、式(17)の構造を有する少なくとも2つのアクリロイル部分を含むことができる。
Figure 2009500495
式中、R7〜R9はそれぞれ独立に、水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキル置換アリール、C7〜C18アリール置換アルキル、C2〜C12アルコキシカルボニル、C7〜C18アリールオキシカルボニル、C8〜C18アルキル置換アリールオキシカルボニル、C8〜C18アリール置換アルコキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミダート、チオカルボキシレートなどである。R7〜R9がそれぞれ独立に水素またはメチルであることが好ましい。
適切な多官能性アクリロイル化合物は、さらに、例えばアクリル酸またはメタアクリル酸と、ビスフェノールAジグリシジエーテル、ブタンジオールジグリシルエーテル、またはネオプレングリコールジメタクリレートなどのジエポキシドとの縮合によって調製された化合物を含むことができる。特定の例には、1,4-ブタンジオールジグリシルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシルエーテルジメタクリレート、およびネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートなどが含まれる。同様に多官能性アクリロイルモノマーとして含まれるものに、反応性のアクリレート化合物またはメタアクリレート化合物とアルコールまたはアミンとを縮合して得られる、多官能性アクリレートまたは多官能性アクリルアミドがある。例には、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、メチレンビス((メタ)アクリルアミド)、1,6-ヘキサメチレンビス((メタ)アクリルアミド)、ジエチレントリアミントリス((メタ)アクリルアミド)、ビス(ガンマ-((メタ)アクリルアミド)プロポキシ)エタン、ベータ-((メタ)アクリルアミド)エチルアクリレート、エチレングリコールジ((メタ)アクリレート))、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,3-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4-ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ベンゼンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジアクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11-ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、2,2-ビス(4-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス((4-(メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス((4-(メタ)アクリロキシ)-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、上述の多官能性エリロイルモノマーの少なくとも1つを含む組合せなどが含まれる。接頭語の(メタ)アクリル-は、アクリル-またはメタアクリル-のいずれかを意味することが理解されるであろう。
特定のアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、アクリロニトリル-スチレンポリマーの架橋していないポリマーマトリックスを、15〜90wt%、具体的には20〜80wt%、より具体的には25〜75wt%含む。アクリロニトリル-スチレンポリマーは、コア-シェル耐衝撃性改良剤上にグラフトされ、典型的に約5〜50wt%、具体的には7〜45wt%、より具体的には10〜40wt%の架橋した(メタ)アクリレートエラストマーコアを含み、15〜35wt%の架橋したスチレン-アクリロニトリルシェルを有する。全てのパーセンテージは、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーの全量に対する重量による。架橋モノマーは、一般的にジオールのジアクリレートであってもよい。
ある実施形態において、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、アクリロニトリル、スチレンおよび/またはアルファ-メチルスチレン、ならびにアクリレートエステルを含む。特定の実施形態において、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、スチレン-アクリロニトリルマトリックスおよびコア-シェル耐衝撃性改良剤である。より具体的な実施形態において、シェルはスチレン-アクリロニトリルコポリマーであり、コアは架橋したブチルアクリレートゴムである。
特定の実施形態において、適切なアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、ターポリマーの全重量の12〜26wt%、具体的には15〜23wt%、より具体的には17〜21wt%のアクリロニトリルを含有する。別の特定の実施形態において、適切なアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、ターポリマーの全重量の20〜70wt%、具体的には30〜60wt%、より具体的には42〜47wt%のブチルアクリレートゴムを含有する。
従って、樹脂組成物は、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーを、それから調製した熱可塑性組成物の少なくとも1つの機械的性質を維持するのに有効な量を、更なる成分の存在の下で含む。従って、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物の合計重量に対して1〜30wt%、具体的には2〜25wt%、より具体的には3〜20wt%、さらに具体的には4〜15wt%の量で樹脂組成物中に存在する。
熱可塑性組成物において使用される樹脂組成物は、低光沢添加物をさらに含む。低光沢添加物は、ポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有ポリマーとの反応生成物を含み、さらにポリカーボネートを含むことができる。成分は、高温において反応により結合して低光沢添加物を形成する。適切な低光沢添加物およびその調製方法は、参照により本明細書に組み込まれている、Bradtkeの米国特許第5,530,062号において開示されている。
低光沢添加物の調製に使用するのに適したポリエポキシドは、ドデカトリエンジオキシド、ジペンテンジオキシド、および1,2,7,8-ジエポキシドなどの単純な脂肪族ジエポキシド;ビスフェノールAおよびその縮合生成物のビスグリシジルエーテルなどのビスグリシジルエーテル/エステル;3,4-エポキシシクロヘキシル、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジピン酸塩などの脂環式ジエポキシド;ビニルシクロブテンジオキシド、ビニルシクロペンタジエンジオキシドおよびブテニルシクロペンテンジオキシドなどの混合脂肪族/脂環式ジエポキシド;ノボラック樹脂のグリシジルエステル;トリグリシジルイソシアネートなどのエポキシ化複素環;エポキシ化されたトールオイル、アマニ油、大豆油などのエポキシ化オイル;上述の1つまたは複数の組合せなどである。具体的に適切なポリエポキシドは、Union CarbideからERL-4221の商標名で販売されている、3,4-エポキシシクロヘキシル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートなどの脂環式ポリエポキシドである。
同じく使用されるのは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはフマロニトリルなど少なくとも1種のエチレン性不飽和ニトリルから誘導される構造単位を含む少なくとも1種の追加のポリマーである。アクリロニトリルが、少なくとも他の単位の幾つかがビニル芳香族化合物から誘導されるコポリマーにおいて、特に有用である。この種の適切なコポリマーには、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、α-メチルスチレン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-スチレン-メタクリル酸エステルターポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル-エチルアクリレートスチレンコポリマー、およびゴム改質アクリロニトリル-スチレン-ブチルアクリレートポリマーが含まれる。
スチレン-アクリロニトリル(SAN)が特に有用である。適切なSANコポリマーは、少なくとも5wt%、具体的には15〜35wt%のエチレン性不飽和ニトリル単位を含む。より具体的には、SANコポリマーは、約75wt%のスチレン単位および約25wt%のアクリロニトリル単位を、共重合混合物中のモノマー割合に関係なく含んでおり、従ってこれらが最も頻繁に使用される割合である。追加ポリマーの重量平均分子量は、スチレン標準と比較して、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して、典型的に約30,000〜約150,000である。
前述のポリカーボネートを、低光沢添加物に加えることができる。具体的には、適切なポリカーボネートは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(例えばビスフェノールA)から誘導される。適切なポリカーボネートの重量平均分子量は、ポリスチレン標準と比較して、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して、一般的に10,000〜100,000である。ポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーとは、バッチ式または連続式で溶融ブレンドして反応させる。典型的に、ポリマーは押出しによって低光沢添加物に形成される。エポキシドの開環触媒、典型的にはドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸を、ポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有ポリマーと同時に押出機の供給口に加える。エチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーの量に対して、ポリエポキシドは1.5〜6.0wt%の量で存在し、触媒は約800〜1800ppm存在する。水を、エチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーに対して0.05〜1.0wt%の量で導入することもできる。ポリマーの押出しは、典型的に二軸スクリュー押出機を使用して、運転温度220〜300℃において行われ、組成物はゲルとして得られる。
低光沢添加物ゲルは、低光沢添加物調製中に、最少のエネルギー投入で縒り合わせ可能な生成物の生成を容易にするために、最高で350℃までの温度にてポリカーボネートと溶融ブレンドする。ポリカーボネートとブレンドして低光沢添加物を形成する場合、低光沢添加物ゲルの光沢低減効率も改良され、従って同等の光沢低下を得るための低光沢添加物ゲル組成物の必要量がより少ない。低光沢添加物は、ポリカーボネート25〜75wt%および共反応したポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーを含む低光沢添加物ゲル75〜25wt%を含む。特定の実施形態において、ポリエポキシドおよびコポリマー含有エチレン性不飽和ニトリルは、低光沢添加物を形成するために使用されたポリカーボネートの初期部分と一緒にして押出機の供給口に供給し、低光沢添加物を形成するために使用されたポリカーボネートの残りの部分は、押出機のダウンストリーム供給ポートを使用して添加する。特定の実施形態において、低光沢添加物を形成するために使用されたポリカーボネートの20〜60wt%である第1部分が、ポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリルを含むポリマーと一緒に押出機の供給口に加えられ、低光沢添加物を形成するために使用されたポリカーボネートの80〜20wt%である第2部分(すなわち、低光沢添加物を形成するために使用されたポリカーボネートの残り)が押出機の供給ポートに加えられる。
従って、熱可塑性組成物は、低光沢添加物、ポリカーボネート、およびアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーを含む樹脂組成物を含む。低光沢添加物は、樹脂組成物中に、ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物の合計重量の1〜20wt%、具体的には2〜10wt%、より具体的には3〜7wt%の量で存在する。
ポリカーボネートと前述の低光沢添加物との組合せは、低光沢性能を提供できることが観察され、ここで、低光沢添加物が20重量%未満の量で存在する場合、同時にかかる組合せの結果として得られた機械的性質を低下させ得ることも観察された。理論に束縛されることなく、ポリカーボネートおよび低光沢添加物は非混和性ポリマーであるため、低光沢添加物ゲルは実質的にポリカーボネートと相互作用しない、すなわちポリカーボネートのそれ自体への相互作用の力が、低光沢添加物ゲルおよびポリカーボネート間の相互作用の力より大きいと考えられる。従って、低光沢添加物ゲルはポリカーボネート内部に遊離領域を形成することができ、この領域はポリカーボネートの機械的性質を強化する働きをせず、さらに機械的性質を弱らせる働きができると考えられる。
驚くべきことに、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーを、ポリカーボネートおよび低光沢添加物の組合せに加えることで、熱可塑性組成物に使用した場合、低光沢添加物無しのポリカーボネートの機械的性質の1つまたは複数を維持または改良しながら、熱可塑性組成物中の低表面光沢を提供する樹脂組成物が提供されることが見出された。
熱可塑性組成物の表面光沢は、3mmカラーチップ上で60°の角度で測定して、90光沢単位(GU)以下、具体的には80GU以下、より具体的には70GU以下、さらにより具体的には60GU以下、さらに特に具体的には50GU以下である。
熱可塑性組成物の機械的性質は、衝撃強度を使用して測定することができる。熱可塑性組成物のノッチ付アイゾッド衝撃強さは、ASTM D1238-04の方法を用いて、3.12mmの成型棒について23℃で測定して、1メートル当たり650〜1000ジュール(J/m)、具体的には750〜975J/m、より具体的には800〜950J/mである。熱可塑性組成物について測定した延性百分率は、ASTM D1238-04の方法を用いて、3.12mmの成型棒について23℃で測定して80%以上、具体的には85%以上、より具体的には90%以上である。
ポリカーボネートおよび低光沢添加物を含む組成物中に、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー(ABS)などの耐衝撃性改良剤を使用すると、組成物の光沢測定値を増加できることが観察された。耐衝撃性改良剤の添加量が増加すると、60°光沢が直線的に増加することが観察され、添加量をターポリマー、ポリカーボネート、および低光沢添加物の合計重量の30wt%の添加量まで増加すると、光沢が40GUより高くへ増加する結果をもたらすこともあることが観察された。このことは、所望の機械的性質(例えば、衝撃強度)を提供する耐衝撃性改良剤の添加において、過度に高い光沢をもたらし得る。
アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーは、30wt%までの有用な添加量の増加において、ABSなどの耐衝撃性改良剤の当量の重量添加よりも光沢の増加が少ないことが観察された。従って、樹脂組成物中に、有用な1〜30wt%のアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーが存在する場合、樹脂組成物を用いて調製した熱可塑性組成物に関して60°光沢の測定値は40GU以下、具体的には35GU以下、より具体的には33GU以下である。光沢はASTM D2457の従って測定された60°光沢である。
熱可塑性組成物は、樹脂組成物に加えて、通常この種類の樹脂組成物中に組み込まれる様々な添加物を、添加物が熱可塑性組成物の所望の性質に悪影響を及ぼさないように選択されることを条件にして、含むことができる。添加物の混合物を使用することもできる。かかる混合物は、熱可塑性組成物成形のための成分混合中の適切な時期に混合することもできる。
熱可塑性組成物は、顔料および/または染料添加物などの着色剤を含むこともできる。適切な顔料には、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物および混合金属酸化物;硫化亜鉛などの硫化物;アルミン酸塩;ナトリウムスルホケイ酸塩、硫酸塩、クロム酸塩など;カーボンブラック;亜鉛フェライト;群青;Pigment Brown 24;Pigment Red 101;Pigment Yellow 119などの無機顔料;アゾ、ジアゾ、キナクロリドン、ペリレン、ナフタレンテトラカルボン酸、フラバントロン;イソイナドリン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、アンサンスロン、ジオキサジン、フタロシアニン、およびアゾレーキ;Pigment Blue 60、Pigment Red 122、Pigment Red 149、Pigment Red 177、Pigment Red 179、Pigment Red 202、Pigment Violet 29、Pigment Blue 15、Pigment Green 7、Pigment Yellow 147およびPigment Yellow 150、などの有機顔料;または上述の顔料の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。顔料は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物100wt%に対して0.01〜10wt%の量を使用することができる。
適切な染料は有機材料とすることができ、例えば、クマリン460(青)、クマリン6(緑)、ナイルレッドなどのクマリン染料;ランタニド錯体;炭化水素および置換炭化水素染料;多環式芳香族炭化水素染料;オキサゾールまたはオキサジアゾール染料などの蛍光染料;アリールまたはヘテロアリール置換ポリ(C2〜8)オレフィン染料;カルボシアニン染料;インダントロン染料;フタロシアニン染料;オキサジン染料;カルボステリル染料;ナフタレンテトラカルボン酸染料;ポルフィリン染料;ビス(スチリル)ビフェニル染料;アクリジン染料;アントラキノン染料;シアニン染料;メチン染料;アリールメタン染料;アゾ染料;インジゴイド染料; チオインジゴイド染料;ジアゾニウム染料;ニトロ染料;キノンイミン染料;アミノケトン染料;テトラゾリウム染料;チアゾール染料;ペリレン染料;ビス-ベンゾキサゾリルチオフェン(BOOT);トリアリールメタン染料;キサンチン染料;チオキサンチン染料;ナフタレンイミド染料;ラクトン染料;近赤外波長を吸収し可視波長を放出する反ストークスシフト染料などの蛍光体;7-アミノ-4-メチルクマリンなどの蛍光染料;3-(2'-ベンゾキサゾリル)-7-ジメチルアミノクマリン;2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール;2,5-ビス-(4-ビフェニル)-オキサゾール;2,2'-ジメチル-p-クワテルフェニル;2,2-ジメチル-p-ターフェニル;3,5,3"",5""-テトラ-t-ブチル-p-クインケフェニル;2,5-ジフェニルフラン;2,5-ジフェニルオキサゾール;4,4'-ジフェニスチルベン;4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン;1,1'-ジエチル-2,2'-カルボシアニンヨウ化物;3,3'-ジエチル-4,4',5,5'-ジベンゾチアトリカルボシアニンヨウ化物;7-ジメチルアミノ-1-メチル-4-メトキシ-8-アザキノロン-2;7-ジメチルアミノ-4-メチルキノロン-2;2-(4-(4-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル)-3-エチルベンゾチアゾリウムパークロレート;3-ジエチルアミノ-7-ジエチエルイミノフェノキサゾニウムパークロレート;2-(1ナフチル)-5-フェニルオキサゾール;2,2'-p-フェニレンビス(5-フェニルオキサゾール);ローダミン700;ローダミン800;ピレン;クリセン;ルブレン;コロネンなど、または上述の染料の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。染料は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物100wt%に対して0.01〜10wt%の量を使用することができる。
熱可塑性組成物は、ASAターポリマーに加えて、衝撃抵抗性を増加するために耐衝撃性改良剤を含むこともでき、ここで耐衝撃性改良剤は、熱可塑性組成物の所望の性質に悪影響を及ぼさない量で存在する。これら耐衝撃性改良剤は、(i)10℃未満,より具体的には-10℃未満,またはより具体的には-40〜-80℃のTgを有するエラストマー性(すなわちゴム状の)ポリマー基材、および(ii)エラストマー状ポリマー基材にグラフトしている硬質のポリマーの上部材を含むエラストマー変性グラフトコポリマーを含む。知られているように、エラストマー変性グラフトコポリマーは、最初エラストマーのポリマーを用意し、次いで硬質相の構成モノマーを、エラストマーの存在下において重合し、グラフトコポリマーを得ることによって調製することができる。グラフトは、グラフト分枝としてあるいはシェルとしてエラストマーコアに付着させることもできる。シェルは、コアを単に物理的に包み込むこともできるし、またはシェルを、部分的にもしくは基本的にコアに対して完全にグラフトすることもできる。
エラストマー相として使用するのに適した材料には、例えば、共役ジエンゴム;50wt%未満の共重合可能なモノマーを有する共役ジエンのコポリマー;エチレンプロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM)などのオレフィンゴム;エチレン-ビニルアセテートゴム;シリコーンゴム;エラストマー系C1〜8アルキル(メタ)アクリレート;ブタジエンおよび/またはスチレンを有するC1〜8アルキル(メタ)アクリレートのエラストマー系コポリマー;または上述のエラストマーの少なくとも1つを含む組合せなどが含まれる。
エラストマー相を調製するのに適切な共役ジエンモノマーは、式(18)である。
Figure 2009500495
式中、各Xbは、独立に水素、C1〜C5アルキルなどである。使用することができる共役ジエンモノマーの例は、ブタジエン、イソプレン、1,3-ヘプタジエン、メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン;1,3-および2,4-ヘキサジエンなど、ならびに上述の共役ジエンモノマーの少なくとも1つを含む混合物が含まれる。特定の共役ジエンホモポリマーは、ポリブタジエンおよびポリイソプロピレンを含む。
例えば共役ジエンおよびそれと共重合可能な1つまたは複数のモノマーの水性基エマルジョン重合によって作られる、共役ジエンゴムのコポリマーも使用することもできる。共役ジエンと共重合するのに適したモノマーには、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどの縮合芳香族環構造を含むモノビニル芳香族モノマーなど、または式(19)のモノマーが含まれる。
Figure 2009500495
式中、各Xcは独立に水素、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C6〜C12アリール、C7〜CI2アラルキル、C7〜C12アルカリール、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルコキシ、C6〜C12アリールオキシ、クロロ、ブロモ、またはヒドロキシであり、Rは水素、C1〜C5アルキル、ブロモ、またはクロロである。使用することができる適切なモノビニル芳香族モノマーの例には、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、アルファ-メチルスチレン、アルファ-メチルビニルトルエン、アルファ-クロロスチレン、アルファ-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラ-クロロスチレンなど、ならびに上述の化合物の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。スチレンおよび/またはアルファ-メチルスチレンも、共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとして使用することができる。
共役ジエンと共重合することもできる他のモノマーは、例えば、イタコン酸、アクリルアミド、N-置換アクリルアミドまたはメタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイミド、N-アルキル-、アリール-、またはハロアリール-置換マレイミド、グリシジル(メタ)アクリレート、および一般式(20)のモノマーなどのモノビニル系モノマーである。
Figure 2009500495
式中、Rは水素、C1〜C5アルキル、ブロモ、またはクロロであり、XcはC1〜C12アルコキシカルボニル、C1〜C12アリールオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルなどである。式(20)のモノマーの例には、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど、および前記モノマーの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。n-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、および2-エチルヘキシルアクリレートなどのモノマーは、共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとして一般的に使用されている。上述のモノビニルモノマーおよびモノビニル芳香族モノマーの混合物を使用することもできる。
エラストマー相として使用するのに適した適切な(メタ)アクリレートモノマーは、架橋した、微粒子エマルジョンホモポリマー、またはC1〜8アルキル(メタ)アクリレート(特にC4〜6アルキルアクリレート、例えばn-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート)のコポリマーなど、ならびに上述のモノマーの少なくとも1つを含む組合せとすることもできる。C1〜8アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、場合によっては15wt%までの式(18)、(19)、または(20)のコモノマーと混合状態で重合することもできる。典型的なコモノマーには、それだけに限定されないが、ブタジエン、イソプレン、スチレン、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ペネチルメタクリレート、N-シクロヘキシルアクリルアミド、ビニルメチルエーテル、および前記コモノマーの少なくとも1つを含む混合物が含まれる。場合によっては、5wt%までの多官能性架橋コモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、グリコールビスアクリレートなどのアルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスアクリルアミド、トリアリルシアニュレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリフフマレート、ジアリルアジペート、クエン酸のトリアリルエステル、リン酸のトリアリルエステルなど、および上述の架橋剤の少なくとも1つを含む組合せを存在させることもできる。
エラストマー相は、塊状、乳化、懸濁、溶液または塊状-懸濁、乳化-塊状、塊状-溶液などの複合方法または他の技法によって、連続式、半連続式、またはバッチ式を用いて重合することができる。エラストマー基材の粒子寸法は重要ではない。例えば、平均粒径0.001〜25マイクロメートル、具体的には0.01〜15マイクロメートル、またはさらに具体的には0.1〜8マイクロメートルを、重合ゴム格子をベースにしたエマルションに使用することもできる。0.5〜10マイクロメートル、具体的には0.6〜1.5マイクロメートルの粒径を、塊状重合ゴム基材に使用することもできる。粒子寸法は、単純な光透過法または毛細管流体力学クロマトグラフィー(CHDF)に従って測定することができる。エラストマー相は微粒子、中程度に架橋した共役ブタジエンまたはC4〜6アルキルアクリレートゴムとすることもでき、70wt%より高いゲル含有率を有することが好ましい。ブタジエンとスチレンおよび/またはC4〜6アルキルアクリレートゴムとの混合物も適している。
エラストマー相は、全グラフトコポリマーの5〜95wt%、具体的には20〜90wt%、さらに具体的には40〜85wt%のエラストマー変性グラフトコポリマーを与えることができ、残りは硬質グラフト相である。
エラストマー変性グラフトコポリマーの硬質相は、モノビニル芳香族モノマーと、場合により1つまたは複数のコモノマーとを含む混合物を、1つまたは複数のエラストマーポリマー基材の存在の下で、グラフト重合することによって形成させることもできる。前述の式(19)のモノビニル芳香族モノマーは、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ジブロモスチレンなどのハロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブチルスチレン、パラヒドロキシスチレン、メトキシスチレンなど、あるいは上述のモノビニル芳香族モノマーの少なくとも1つを含む組合せを含む硬質グラフト相において使用することができる。適切なコモノマーには、例えば、上述のモノビニルモノマーおよび/または一般式(20)のモノマーが含まれる。一実施形態において、Rは水素またはC1〜C2アルキルであり、XcはシアノまたはC1〜C12アルコキシカルボニルである。硬質相において使用するのに適した適切なコモノマーの特定の例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなど、ならびに上述のコモノマーの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
硬質グラフト相中のモノビニル芳香族モノマーおよびコモノマーの相対比は、エラストマー基材の種類、モノビニル芳香族モノマーの種類、コモノマーの種類、および耐衝撃性改良剤の所望する性質に基づき広範囲に変えることができる。硬質相は、一般的にモノビニル芳香族モノマーの100wt%まで、具体的には30〜100wt%、より具体的には50〜90wt%のモノビニル芳香族モノマーを含むことができ、残りはコモノマーである。
エラストマー-改質ポリマーが存在する量に基づき、分離マトリックスまたはグラフトされていない硬質ポリマーもしくはコポリマーの連続相が、エラストマー変性グラフトコポリマーと一緒に得られることもある。一般的に、かかる耐衝撃性改良剤は、耐衝撃性改良剤の全重量に対して40〜95wt%のエラストマー変性グラフトコポリマーおよび5〜65wt%のグラフト(コ)ポリマーを含む。別の実施形態において、かかる耐衝撃性改良剤は、耐衝撃性改良剤の全重量に対して50〜85wt%、より具体的には75〜85wt%のゴム-改質グラフトコポリマーを、15〜50wt%、より具体的には15〜25wt%のグラフト(コ)ポリマーと一緒に含む。
別の特定の種類のエラストマー-改質耐衝撃性改良剤は、少なくとも1種のシリコーンゴムモノマー、式H2C=C(Rd)C(O)OCH2CH2Re(式中Rdは水素またはC1〜C8の直線または分枝ヒドロカルビル基であり、Reは分枝C3〜C16ヒドロカルビル基である)を有する分枝アクリレートゴムモノマー;第1グラフト結合モノマー;重合可能なアルケニル-含有有機材料;および第2グラフト結合モノマーから誘導された構造単位を含む。シリコーンゴムコモノマーは、例えば、環式シロキサン、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、(アクリルオキシ)アルコキシシラン、(メルカプトアルキル)アルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、またはアリルアルコキシシラン、例えば、デカンメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラエトキシシランを、単独もしくは組合せで含むことができる。
典型的な分枝アクリレートゴムモノマーには、イソオクチルアクリレート、6-メチルオクチルアクリレート、7-メチルオクチルアクリレート、6-メチルヘプチルアクリレートなどが、単独または組合せで含まれる。重合可能なアルケニル含有有機材料は、例えば、式(19)または(20)のモノマー、例えばスチレン、アルファ-メチルスチレンなど、またはメチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレートなどの分枝していない(メタ)アクリレートなどの、単独または組合せであってよい。
少なくとも1種の第1グラフト結合モノマーは、(アクリルオキシ)アルコキシシラン、(メルカプトアルキル)アルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、またはアリルアルコキシシランの単独または組合せであってよく、例えば(ガンマ-メタクリルオキシプロピル)(ジメトキシ)メチルシランおよび/または(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシランとすることもできる。少なくとも1種の第2グラフト結合モノマーは、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、またはトリアリルイソシアヌレートなどの、少なくとも1つのアリル基を有するポリエチレン性不飽和化合物の単独または組合せである。
シリコーン-アクリレート耐衝撃性改良剤組成物は、乳化重合によって調製することができ、ここで、例えば少なくとも1種のシリコーンゴムモノマーが、少なくとも1種の第1グラフト結合モノマーと、ドデシルベンゼンスルホン酸などの界面活性剤の存在下、30℃〜110℃において反応してシリコーンゴムラテックスを形成する。別な方法として、シクロオクタメチルテトラシロキサンおよびテトラエトキシオルトシリケートなどの環状シロキサンを、(ガンマ-メタクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシランなどの第1グラフト結合モノマーと反応させて、100ナノメートルから2マイクロメートルの平均粒径を有するシリコーンゴムを得ることもできる。少なくとも1種の分枝アクリレートゴムモノマーを、次いで、場合によりアリルメタクリレートなどの架橋モノマーの存在下、過酸化ベンゾイルなどのフリーラジカル発生重合触媒の存在下、シリコーンゴム微粒子と重合させる。このラテックスを、次いで重合可能なアルケニル含有有機材料および第2グラフト結合モノマーと反応させる。グラフトシリコーン-アクリレートゴムハイブリットのラテックス粒子は、(凝固剤で処理して)凝固により水相から分離し、乾燥して微粉末とし、シリコーン-アクリレートゴム耐衝撃性改良剤組成物を作製することもできる。この方法は、100ナノメートルから2マイクロメートルの粒径を有するシリコーン-アクリレート耐衝撃性改良剤を作製するのに一般的に使用することができる。
上述のエラストマー変性グラフトコポリマー形成に関して知られている方法には、連続式、半バッチ式、またはバッチ式方法を使用した、塊状、乳化、懸濁および溶液方法、または塊状-懸濁、乳化-塊状、塊状-溶液などの複合方法あるいは他の技法が含まれる。
上述の種類の耐衝撃性改良剤は、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどのC630脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属炭酸塩、ドデシルジメチルアミン、ドデシルアミンなどのアミンなど、ならびにアミンのアンモニウム塩などの塩基性材料を含まない、乳化重合によって調製することができる。かかる材料は、一般的に乳化重合において界面活性剤として使用され、ポリカーボネートのエステル交換および/または分解を触媒し得る。その代わりに、耐衝撃性改良剤、特に耐衝撃性改良剤のエラストマー基材部分の調製において、イオン性サルフェート、スルホネートまたはホスフェート界面活性剤を使用することもできる。適切な界面活性剤には、例えば、C1〜22アルキルまたはC7〜25アルキルアリールスルホネート、C1〜22アルキルまたはC7〜25アルキルアリールサルフェート、C1〜22アルキルまたはC7〜25アルキルアリールホスフェート、置換シリケート、およびこれらの混合物が含まれる。特定の界面活性剤は、C6〜16、具体的にはC8〜12アルキルスルホネートである。実施においては、上記記載のどの耐衝撃性改良剤も脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属炭酸塩および他の塩基性材料を含まない耐衝撃性改良剤を提供するのに使用することができる。
この種類の特定の耐衝撃性改良剤は、MBS耐衝撃性改良剤であり、ここで、ブタジエン基材は、上記で説明したスルホネート、サルフェート、またはスルホネートを界面活性剤として使用して調製される。耐衝撃性改良剤が、3〜8の、具体的には4〜7のpHを有していることが好ましい。存在する場合、耐衝撃性改良剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して0.1〜30重量パーセントの量で存在することができる。
熱可塑性組成物は、充填剤または強化剤を含むこともできる。使用する場合、適切な充填剤または強化剤には、例えば、ケイ酸アルミニウム(ムライト)、合成ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、石英ガラス、結晶質シリカグラファイト、天然ケイ砂などのシリケートおよびシリカ粉末;窒化ホウ素粉末、ケイ酸ホウ素粉末などのホウ素粉末;TiO2、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物;硫酸カルシウム(その無水物、二水和物、三水和物として);白墨、石灰石、大理石、合成沈降炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム;繊維状、モジュール状、針状形状の薄板状タルクなどを含むタルク;珪灰石;表面処理した珪灰石;中空および中実ガラス球などのガラス球、シリケート球、セノスフェア、アルミノケイ酸塩(アルモスフェア)など;硬質カオリン、軟質カオリン、焼成カオリン、ポリマーマトリクス樹脂との相容性を促進するための当該技術において知られている様々な被覆を含有するカオリンを含むカオリンなど;シリコンカーバイド、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケル、銅などの単結晶繊維すなわち「ウィスカー」;アスベスト、炭素繊維、E、A、C、ECR、R、S、D、またはNEガラスなどのガラス繊維などの繊維(連続繊維および切断繊維を含む);硫化モリブデン、硫化亜鉛などの硫化物;チタン酸バリウム、バリウムフェライト、硫酸バリウム、重晶石などのバリウム化合物;粒子または繊維状アルミニウム、青銅、亜鉛、銅およびニッケルまたは同様ものなどの金属および金属酸化物;ガラスフレーク、フレーク状シリコンカーバイド、アルミニウムジボライド、アルミニウムフレーク、スチールフレークなどのフレーク状充填剤;例えば、少なくとも1つのケイ酸アルミニウム,酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および硫酸カルシウム半水和物などを含むブレンドに由来する短い無機繊維などの繊維状充填剤;木材の粉砕で得られる木粉、セルロース、木綿、シサル麻、ジュート、澱粉、コルク粉、リグニン、粉砕したナッツ殻、コーン、米粒、トウモロコシの皮などの天然充填剤および強化剤;ポリテトラフルオロエチレンなどの有機充填剤;ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル、ポリエチレン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリ(ビニルアルコール)などの繊維を形成できる有機ポリマーから形成された強化有機繊維質充填剤;ならびに、雲母、粘土、長石、煙塵、フィライト、石英、珪岩、パーライト、トリポリ石、珪藻土、カーボンブラックなど、あるいは上述の充填剤または強化剤の少なくとも1種を含む組合せなどの付加的な充填剤および強化剤が含まれる。
充填剤および強化剤は、伝導率を良くするために金属材料で被覆したり、またはポリマーマトリックス樹脂との付着性および分散性を改良するために、表面をシランで処理したりすることもできる。加えて、強化充填材は、モノフィラメント繊維またはマルチフィラメント繊維の形態で提供され、単独で使用することができ、あるいは、他の種類の繊維と、例えば、共同織りまたはコア/シーツ、サイドバイサイド、オレンジ型またはマトリックス、および繊維構造によって、または繊維製造の当該技術において知られている他の方法によって組み合わせて使用することもできる。適切な共同織り構造には、例えば、ガラス繊維-カーボン繊維、カーボン繊維-芳香族ポリイミド(アラミド)繊維、および芳香族ポリイミドガラス繊維などが含まれる。繊維質充填材は、例えば、0〜90度織物などの、粗紡、編組み状繊維強化剤の形態で供給されることもでき;連続性ストランドマット切断ストランドマット、ティッシュ、紙およびフェルトなど;あるいは組紐などの三次元強化剤などの、不織り繊維強化剤の形態で供給されることもできる。充填材は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0〜90重量パーセントの量で使用することができる。
適切な酸化防止剤添加物には、例えば、トリス(ノニルフェニル) フォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリストリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリストリトールジフォスファイト塩などの有機亜リン酸塩;アルキル化したモノフェノールまたはポリフェノール;テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドシンナメート)]メタンなどの、ポリフェノールをジエンでアルキル化した反応生成物;パラクレゾールまたはジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化したヒドロキノン;ヒドロキシル化したチオジフェニルエーテル;アルキルジエン-ビスフェノール;ベンジル化合物;一価または多価アルコールとベータ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸とのエステル;ジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリストリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのチオアルキルまたはチオアリール化合物のエステル;ベータ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸などのアミド、または上述の酸化防止剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。酸化防止剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.0001〜1重量パーセントの量で使用することができる。
適切な熱安定剤添加物には、例えば、トリフェニルフォスファイト、トリス-(2,6-ジメチルフェニル) フォスファイト、トリス-(モノ-およびジ-ノニルフェニルの混合) フォスファイト塩などの有機亜リン酸塩;ジメチルベンゼンホスホネートなどのホスホン酸塩、トリメチルホスフェートなどのリン酸塩、または上述の熱安定剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。熱安定剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.0001〜1重量パーセントの量で使用することができる。
光安定剤および/または紫外線(UV)吸収添加物も使用することもできる。適切な光安定剤添加物には、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾールおよび2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾトリアゾール、あるいは上述の光安定剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。光安定剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.0001〜1重量パーセントの量で使用することができる。
適切なUV吸収添加物には、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン;ヒドロキシベンゾトリアゾール;ヒドロキシベンゾトリアジン;シアノアクリレート;オキサリニド;ベンゾキサジノン;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール(CYASORB(登録商標)5411);2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(登録商標)531);2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン2-イル]-5-(オクチルオキシ)-フェノール(CYASORB(登録商標)1164);2,2'-(1,4-フェニレン)ビス(4H--3,1-ベンゾキサジン-4-オン)(CYASORB(登録商標)UV-3638);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL(登録商標)3030);2,2'-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾキサジン-4-オン);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;酸化チタン、酸化セリウム、および酸化亜鉛など、全て粒径が100ナノメートル未満のナノサイズの無機材料など、あるいは上述のUV吸収剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。UV吸収剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.0001〜1重量パーセントの量で使用することができる。
可塑剤、潤滑剤、および/または離型剤の添加物も使用することもできる。これらの種類の材料にはかなりのオーバーラップがあり、例えば、ジオクチル-4,5-エポキシ-ヘキサヒドロフタレートなどのフタル酸エステル;トリス(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェート、およびビスフェノール-Aのビス(ジフェニル) ホスフェートなどのジまたはポリ官能性芳香族リン酸塩;ポリアルファ-オレフィン;エポキシ化大豆油;シリコーン油を含むシリコーン;例えばメチルステアレートなどのアルキルステアリルエステルなどの脂肪酸エステルなどのエステル;ステアリルステアレート、ペンタエリストリトール-テトラステアレートなど;メチルステアレートと、親水性および疎水性非イオン界面活性剤との混合物(適切な溶媒中、ポリエチレングリコールポリマー、ポリプロピレングリコールポリマー、およびこれらのコポリマー、例えば、メチルステアレートとポリエチレン-ポリプロピレングリコールとのコポリマーを含むもの);蜜蝋、モンタンワックス、パラフィンワックスなどのワックスが含まれる。かかる材料は他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.0001〜1重量パーセントの量で使用することができる。
「帯電防止剤」という用語は、導電性および全体的な物理的性能を改良するために、ポリマー樹脂に取り込ませることができ、および/または材料または物品上に噴霧できるモノマー、オリゴマー、またはポリマー材料を指す。モノマー帯電防止剤の例には、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、エトキシル化アミン、第1、第2、および第3アミン、エトキシル化アルコール、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート、アルキルホスフェート、アルキルアミンサルフェート、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩、第4アンモニウム塩、第4アンモニウム樹脂、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミド、ベタインなど、または上述のモノマー帯電防止剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
典型的なポリマー帯電防止剤には、あるポリエステルアミドポリエーテル-ポリアミド(ポリエーテルアミド)ブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリエーテルエステル、またはポリウレタンが含まれ、それぞれが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール部分のポリアルキレンオキシド単位を含む。かかるポリマー帯電防止剤は、例えばPelestat(登録商標)6321(Sanyo)またはPebax(登録商標)MH1657(Atofina)、Irgastat(登録商標)P18およびP22(Ciba-Geigy)として市販されている。その他の帯電防止剤として使用することもできるポリマー材料は、ポリアニリン(PanipolからPANIPOL(登録商標)EBとして市販されている)、ポリピロールおよびポリチオフェン(Bayerから市販されている)などの本質的に伝導性のポリマーであり、これらは高温における溶融処理後もそれらの固有の伝導性の一部を保持している。一実施形態において、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、または上述の任意の組合せを、化学的帯電防止剤を含むポリマー樹脂中で、組成物を静電気的に散逸性にするために使用することもできる。帯電防止剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.0001〜5重量パーセントの量で使用することができる。
加えることもできる適切な難燃剤は、リン、臭素、および/または塩素を含む有機化合物とすることもできる。例えば、有機リン酸塩およびリン-窒素結合を含む有機化合物など、非臭素化および非塩素化のリン含有難燃剤が、規制上の理由によりある用途において好ましいこともある。
典型的な有機リン酸塩の一種類は、式(GO)3P=Oの芳香族リン酸塩である。式中、各Gは、少なくとも1つのGが芳香族基であること条件として、独立にアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、またはアラルキル基である。G基の2つが一緒に結合して、例えばジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートなどの環状基を提供することもできる。他の適切な芳香族リン酸塩は、例えば、フェニルビス(ドデシル)ホスフェート、フェニルビス(ネオペンチル)ホスフェート、フェニルビス(3,5,5'-トリメチルヘキシル)ホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジ(p-トリル)ホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)p-トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ビス(ドデシル)p-トリルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2-クロロエチルジフェニルホスフェート、p-トリルビス(2,5,5'-トリメチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどである。特定の芳香族リン酸塩は、各Gが、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、イソプロピル化トリフェニルホスフェートなどの芳香族である。
例えば以下の式のジ-または多官能性芳香族リン含有化合物も有用である。
Figure 2009500495
式中、各G1は独立に1〜30個の炭素原子を有する炭化水素であり;各G2は独立に1〜30個の炭素原子を有する炭化水素またはヒドロカルボキシであり;各Xaは独立に1〜30個の炭素原子を有する炭化水素であり;各Xは独立に臭素または塩素であり;mは0〜4であり、nは1〜30である。適切なジ-または多官能性芳香族リン含有化合物の例には、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、それぞれヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェートおよびビスフェノール-Aのビス(ジフェニル)ホスフェート、これらのオリゴマーおよびポリマー対応物などが含まれる。
典型的な適切なリン-窒素結合含有難燃剤化合物には、ホスホニトリルクロリド、ホスホラスエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミド、トリス(アジリジニル)ホスフィンオキシドが含まれる。存在する場合、リン含有難燃剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.1〜10重量パーセントの量で存在することができる。
例えば、式(21)のハロゲン化化合物および樹脂などの、ハロゲン化材料も難燃剤として使用することができる。
Figure 2009500495
式中、Rはアルキレン、アルキリデン、または脂環式の結合、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、イソプロピリデン、ブチレン、イソブチレン、アミレン、シクロヘキシレン、シクロペンチリデンなど;または酸素、エーテル、カルボニル、アミン、または硫黄含有結合(例えばスルフィド、スルホキシド、スルホンなど)である。またRは、芳香族、アミノ、エーテル、カルボニル、スルフィド、スルホキシド、スルホンなどの基によって結合された2つ以上のアルキレンまたはアルキリデン結合から成ることができる。
式(21)のArおよびAr'は、それぞれ独立に、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンなどのモノ-またはポリ炭素環式芳香族基である。
Yは、有機、無機、または有機金属基であって、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素などのハロゲン;一般式OEのエーテル基(ここでEは、Xと類似した一価の炭化水素基である);Rで表される種類の一価の炭化水素基;または、例えばニトロ、シアノなどの他の置換基であって、前記置換基は、アリール核1個当たり、少なくとも1つの、好ましくは2つのハロゲン原子が存在する場合、基本的に不活性である。
存在する場合、各Xは独立に一価の炭化水素基で、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、デシルなどのアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、キシル、トリルなどのアリール基;ベンジル、エチルフェニルなどのアラルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルなどの脂環式基である。一価の炭化水素基は、それ自体不活性な置換基を含むこともできる。
各dは、独立に1から、ArまたはAr'を含む芳香族環上で置換される置換可能な水素の最大に相当する数までである。各eは、独立に0から、R上の置換可能な水素の数の最大までである。各a、b、およびcは、独立に0を含む整数である。bが0でない場合、aとcのどちらも0ではないこともある。さもなければ、aまたはcのどちらか、ただし両方ではない、は0とすることもできる。bが0の場合、芳香族基は、直接の炭素-炭素結合によって接合される。
芳香族基ArおよびAr'上のヒドロキシとY置換基とは、芳香族環上でオルト、メタおよびパラの位置に変化することができ、基はお互いに可能な幾何学的関係にあることができる。
上記の式の範囲には、2,2-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-プロパン;ビス-(2-クロロフェニル)-メタン;ビス(2,6-ジブロモフェニル)-メタン;1,1-ビス-(4-ヨードフェニル)-エタン;1,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-ヨードフェニル)エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-メチルフェニル)エタン、1,1-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-エタン;2,2-ビス-(3-フェニル-4-ブロモフェニル)-エタン;2,6-ビス-(4,6-ジクロロナフチル)-プロパン;2,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-ペンタン;2,2-ビス-(3,5-ジブロモフェニル)-ヘキサン;ビス-(4-クロロフェニル)-フェニル-メタン;ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-シクロヘキシルメタン;ビス-(3-ニトロ-4-ブロモフェニル)-メタン;ビス-(4-ヒドロキシ-2,6-ジクロロ-3-メトキシフェニル)-メタン;および2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、2,2ビス-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンにより代表されるビスフェノールが含まれる。同じく上記構造式には、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジブロモベンゼン、1,3-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゼン、および2,2'-ジクロロビフェニルなどのビフェニル;ポリブロモ化1,4-ジフェノキシベンゼン、2,4'-ジブロモフェニル、および2,4'-ジクロロビフェニル、ならびにデカブロモジフェニルオキシドなどが含まれる。
また、ビスフェノールAおよびテトラブロモビスフェノールAと、例えばホスゲンなどのカーボネート前駆物質とのコポリカーボネートなどの、オリゴマー性およびポリマー性のハロゲン化芳香族化合物も有用である。例えば酸化アンチモンなどの金属共力剤も、難燃剤と共に使用することもできる。存在する場合、ハロゲン含有難燃剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.1〜10重量パーセントの量で存在することができる。
無機難燃剤も使用することもできる。例えば、カリウムペルフルオロブタンスルホネート(Rimar塩)、カリウムペルフルオロオクタンスルホネート、テトラエチルアンモニウムペルフルオロへキサンスルホネート、およびカリウムジフェニスルホンスルホネートなどのC2〜16アルキルスルホネート塩; アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウム塩)を、例えば、Na2CO3、K2CO3、MgCO3、CaCO3、およびBaCO3などのカルボン酸のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩などのオキソアニオン、またはLi3AlF6、BaSiF6、KBF4、K3AIF6、KAIF4、K2SiF6、および/またはNa3AIF6などのフルオロ-アニオン錯体などの無機酸錯体の塩と反応させることによって形成された塩も使用することもできる。存在する場合、無機難燃剤塩は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.1〜5重量パーセントの量で存在することができる。
滴下防止剤、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの原繊維形成性または非原繊維形成性のフルオロポリマーも使用することもできる。滴下防止剤は、例えば、スチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN)など上述の硬質コポリマーによってカプセル封入することもできる。SAN中にカプセル封入したPTFEは、TSANとして知られている。カプセル封入したフルオロポリマーは、フルオロポリマーの存在下、例えば水性分散液中で封入用ポリマーを重合することによって作製することもできる。TSANは、組成物中でより容易に分散するので、PTFEに著しい利点を提供することもできる。適切なTSANは、例えば、カプセル封入したフルオロポリマーの全量に対して50wt%のPTFEおよび50wt%のSANを含むことができる。SANは、コポリマーの全量に対して、例えば75wt%のスチレンおよび25wt%のアクリロニトリルを含むこともできる。別の方法として、フルオロポリマーは、特定の方法によって、例えば芳香族ポリカーボネート樹脂またはSANなどの第2ポリマーと予備ブレンドして滴下防止剤として使用するための塊状の材料を形成することもできる。どちらの方法もカプセル封入したフルオロポリマーを作製するのに使用することができる。滴下防止剤は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物の100重量パーセントに対して、0.1〜5重量パーセントの量で使用することができる。
放射線安定剤、具体的にはガンマ放射線安定剤も、存在させることができる。適切なガンマ放射線安定剤には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、メソ-2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,4-ヘキサンジオールなどのジオール;1,2-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオールなどの脂環式アルコール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール(ピナコール)などの分枝非環式ジオール、およびポリオール、ならびにアルコキシ-置換脂環式または非環式アルカンが含まれる。不飽和部位を有するアルケノールも、有用なアルコールの種類であって、その例には、4-メチル-4-ペンテン-2-オール、3-メチル-ペンテン-3-オール、2-メチル-4-ペンテン-2-オール、2,4-ジメチル-4-ペネ-2-オール、および9-デセン-1-オールが含まれる。適切なアルコールの別の種類は、第3アルコールであり、これは少なくとも1つのヒドロキシ置換第3炭素を有している。これらの例は、2-メチル-2,4-ペンタジオール(ヘキシレングリコール)、2-フェニル-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、2-フェニル-2-ブタノールなどである。さらに1-ヒドロキシ-1-メチル-シクロヘキサンなどには、脂環式第3炭素が含まれる。適切なアルコールの別の種類は、ヒドロキシメチル芳香族であり、これは芳香族環中の不飽和炭素に結合した飽和炭素上にヒドロキシ置換を有している。このヒドロキシ置換した飽和炭素は、メチロール基(-CH2OH)とすることもでき、あるいは、例えば、(-CR4HOH)または(-CR4 2OH)(式中、R4は複雑なあるいは単純な炭化水素である)の例のような、より複雑な部類の炭化水素基とすることもできる。特定のヒドロキシメチル芳香族は、ベンズヒドロール、1,3-ベンゼンジメタノール、ベンジルアルコール、4-ベンジルオキシベンジルアルコール、およびベンジルアルコールとすることもできる。特定のアルコールは、2-メチル-2,4-ペンタジオール(ヘキシレングリコールとしても知られている)、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールである。ガンマ放射線安定剤化合物は、他の添加物および/または充填剤を除く樹脂組成物に対して典型的に0.001〜1wt%、より具体的には0.01〜0.5wt%の量が使用される。
一実施形態において、熱可塑性組成物は、50〜98wt%のポリカーボネート;1〜30wt%のアクリロニトリル-スチレンアクリレートターポリマー;および1〜20wt%の低光沢添加物を含む樹脂組成物を含む。別の実施形態において、熱可塑性組成物は、65〜96wt%のポリカーボネート、2〜25wt%のアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー;および2〜10wt%の低光沢添加物を含む樹脂組成物を含む。別の実施形態において、熱可塑性組成物は、73〜94wt%のポリカーボネート樹脂;3〜20wt%のアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー;および3〜7wt%の低光沢添加物を含む樹脂組成物を含む。別の実施形態において、熱可塑性組成物は、78〜93wt%のポリカーボネート樹脂;4〜15wt%アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー;および3〜7wt%の低光沢添加物を含む樹脂組成物を含む。上述の各wt%の値は、ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーおよび低光沢添加物の合計重量に対するものであって、ここでポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーおよび低光沢添加物の重量百分率の合計は100wt%である。特定の実施形態において、熱可塑性組成物は、さらに耐衝撃性改良剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、離型剤、潤滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、難燃剤、滴下防止剤、またはこれらの1つまたは複数を含む組合せを含む。
熱可塑性組成物は、当該技術分野において一般的に利用可能な方法によって製造することができる。例えば、一実施形態における、一実施手順において、粉末のポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、低光沢添加物、および/または他の任意選択の成分を、最初にHENSCHEL-Mixers(登録商標)高速混合機においてブレンドする。他の低剪断処理、それだけに限定されないが、手動混合によってこのブレンドを達成することもできる。次いでブレンドを、ホッパーを経由して押出機の供給口に供給する。別な方法として、1つまたは複数の成分を投入口において混合機に直接供給するかおよび/またはサイドスタッファーを通して下流に直接供給することによって組成物に組み込むこともできる。添加物は、所望のポリマー樹脂を有するマスターバッチに混合し、押出機に供給することもできる。通常押出機は、組成物を流動させるのに必要な温度よりも高い温度で運転する。押し出し物は、直ちに水浴中でクエンチしてペレット化する。ペレットは、押し出し物を1/4インチ、所望する場合はそれより短い長さに切断して調製する。かかるペレットは、その後の成型、造形、または成形に使用することもできる。
特定の実施形態において、熱可塑性組成物の調製方法は、ポリエポキシド、エチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーおよびエポキシド開環触媒を溶融混合し、上述の反応生成物としてゲル型低光沢添加物を形成する工程を含む。反応生成物は第1のポリカーボネートと溶融混合してゲル型低光沢添加物を形成することができる。第2のポリカーボネート、ポリシロキサン-ポリカーボネート、およびゲル型低光沢添加物を溶融混合し、樹脂組成物を形成する。溶融混合は、押出しにより行うことができる。
特定の実施形態において、押出しは二軸スクリュー押出機を使用して行われる。押出機は、一般的には180〜385℃、具体的には200〜330℃、より具体的には220〜300℃の温度で運転され、ここで、ダイ温度は異なっていてもよい。押し出された熱可塑性組成物を、水中でクエンチしてペレット化する。
熱可塑性組成物を含む、造形、成形、または成型した物品もまた提供される。熱可塑性組成物は、射出成型、押出し、回転成型、ブロー成型、熱成形などの様々な手段によって有用な形状の物品、例えば、モニター、携帯用電子デバイスハウジングのためのハウジングなどのコンピューターおよび事務機器ハウジング、電子コネクター、および照明機器の部品、装飾品、家庭用電気装置、屋根、および成型内部パネル、フェンダー、装飾トリム、バンパーなどの自動車部品に成型することもできる。
(実施例)
本熱可塑性組成物を、表1に示す成分を使用して調製した以下の限定されない実施例によってさらに説明する。
Figure 2009500495
指定する場合を除き、全ての組成物は、37mmToshiba製同速回転2軸回転押出機(長さ/直径(L/D)比=40/1、真空ポートはダイ面近くに設置) で配合する。2軸回転押出機は、ポリマー組成物間に良好な混合を生み出す十分な分配および分散混合要素を有している。その後組成物を、FANUC 2000i〜200Aの射出成型機を使用して成型する。組成物は、220〜330℃の温度で配合され成型されるが、これらの温度に限定されるものではない。
溶融粘度(MV)は、ASTM D3835-02に従って、1500sec-1において決定される。ノッチ付きアイゾット衝撃強さ(NI)および延性百分率は、1/8インチ(3.12mm)の試験片について、ASTM D256に従い、23℃、0℃および-20℃の温度において決定され、ジュール/メートルの単位で報告される。表面光沢は、Garden Gloss Meterおよび3ミリメートルのカラーチップを使用してASTM D2457に従って60°で試験し、標準黒色ガラスチップを100GUとする光沢水準を用いる光沢単位(GU)で報告される。曲げ強さは、ASTM D790に従って決定され、メガパスカル(MPa)で報告される。硬度は、ASTM D785に従って決定され、メガパスカル(MPa)で報告される。
低光沢添加物は、上記表1に示す量のSANコポリマー、ポリカーボネート、ポリエポキシド、および酸触媒を押し出すことによって調製する。全ての成分が2軸押出機の供給口に添加される。ただし、ポリカーボネートは、20〜60重量パーセント含む最初の部分だけがこれらの成分と共にに加えられる。ポリカーボネートの残りは、押出機のほぼ中間点にある供給ポートで下流に加えられる。低光沢添加物は、220〜300℃の温度において押し出し、クエンチし、ペレット化する。
実施例1〜3、および比較例1〜9は、それぞれ以下の表2に示す成分比率を用いて、上述の様に押出しによって調製する。実施例1〜3、および比較例1〜9に従って調製した熱可塑性組成物の性質を、以下の表3に示す。
Figure 2009500495
Figure 2009500495
上記表3から分かるように、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーが低光沢添加物無しで存在すると(比較例4および5)、光沢水準は100GUより高い。ASAターポリマー無しの場合のポリカーボネート-低光沢添加物組成物の基準光沢は、5wt%で33GUである(比較例6)。ASAターポリマーが5〜13wt%存在すると、光沢は38から47GUへと増加し、9GUの違いが生ずる(実施例1〜3)。相当するABSターポリマーの添加に関しては(比較例7〜9)、光沢は46から63GUへと増加し、差は17GUであり、ASAを使用することによってほぼ倍の増加が得られた。
低光沢添加物なしの場合のノッチ付アイゾッド衝撃強さは、ABSおよびASAが存在する状態における、耐衝撃性改良剤なしのポリカーボネートに相当する(比較例1〜5)。しかしながら、低光沢添加物の導入において、ポリカーボネート単独(比較例6)およびABSを有するポリカーボネート(比較例7〜9)に関するNII性能は、ASAおよび低光沢添加物を有する実施例(実施例1〜3)に比較して低下している。後者に関して、ABSに代えてASAを加えると、NII性能は、特に23℃において、劇的に改良される。さらに、低光沢添加物の存在下、ASA添加を増加させると、添加を5 wt%から13wt%に増加させた場合、23℃におけるNIIが改良される傾向が見られ、これに対して低光沢添加物の不在下、ABSかASAのどちらかの添加を5〜13wt%増加させると、ASA添加の状態で、NIIは約50%低下する。低光沢添加物の存在の下で、ASA実施例に関する溶融粘度(MV)は、相当するABSの添加の場合よりも幾分高い。曲げ強度、曲げ弾性率、および硬度を含む他のパラメーターは、低光沢添加物がある場合または無い場合において、実施例1〜3を比較例1〜9と比較した場合、ほとんど差は示されていない。
ABS耐衝撃性改良剤に代えてASAを使用することは、相当する添加において、より低い光沢とより良い23℃NII性能とを提供する。従って、ASAの使用を増加させた場合の相対的に低い光沢の増加は、光沢の増加を最小にしながら、低光沢組成物の機械的性質を調節するためのより広範囲な許容度を提供する。
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうではないことを示していない限り、複数形の指示対象物を含む。同じ特性または成分を列挙している全ての範囲の終点は、列挙した終点を含めて、独立に組み合わせることができる。全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれている。さらに、「第1」、「第2」および同様の用語は、本明細書において、いかなる順序、量、または重要度を意味するものではなく、むしろ1つの要素を他の要素と区別するために使用されることに留意しなければならない。
例示の目的で、典型的な実施形態を説明したが、上述の説明は本明細書の範囲を限定するものと見なしてはならない。従って、本明細書の精神および適用範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な修正形態、適合形態、および代替形態がなされるであろう。

Claims (22)

  1. ポリカーボネート、
    アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および
    ポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーとの反応生成物を含む低光沢添加物
    を含む樹脂組成物を含む熱可塑性組成物であって、前記熱可塑性組成物の60°光沢が、ASTM D2457に従って3ミリメートルカラーチップ上で測定して90GU以下である熱可塑性組成物。
  2. 前記ポリカーボネートが、前記樹脂組成物中に、前記ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物の合計重量の50〜98重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  3. 前記ポリカーボネートが、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して10,000〜50,000の重量平均分子量を有するビスフェノールAポリカーボネートを含む、請求項2に記載の熱可塑性組成物。
  4. 前記アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーが、前記樹脂組成物中に、前記ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物の合計重量の1〜30重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  5. 前記アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマーが、コア-シェル耐衝撃性改良剤である、請求項4に記載の熱可塑性組成物。
  6. 前記シェルがスチレン-アクリロニトリルコポリマーであり、前記コアが架橋アクリレートゴムである、請求項5に記載の熱可塑性組成物。
  7. 前記コアが架橋ブチルアクリレートゴムである、請求項6に記載の熱可塑性組成物。
  8. 前記低光沢添加物が、前記樹脂組成物中に、前記ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物の合計重量の1〜20重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  9. 前記ポリエポキシドが脂環式ポリエポキシドである、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  10. 前記脂環式ポリエポキシドが、3,4-エポキシシクロヘキシル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートである、請求項9に記載の熱可塑性組成物。
  11. 前記エチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーが、スチレンおよびアクリロニトリルを含む、請求項9に記載の熱可塑性組成物。
  12. 前記低光沢添加物がさらにポリカーボネートを含む、請求項9に記載の熱可塑性組成物。
  13. 耐衝撃性改良剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、離型剤、潤滑剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、滴下防止剤、またはこれらの1つもしくは複数を含む組合せをさらに含む、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  14. 前記着色剤が、前記ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物の合計重量の0.01〜10重量パーセントの量で存在する、請求項13に記載の熱可塑性組成物。
  15. ポリカーボネート、
    アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および
    ポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーとの反応生成物を含む低光沢添加物
    を溶融混合する工程を含む熱可塑性組成物の調製方法であって、前記溶融混合工程が220〜300℃の温度にて行われる、方法。
  16. 前記低光沢添加物が、
    ポリエポキシド、
    エチレン性不飽和ニトリル含有コポリマー、および
    エポキシド開環触媒
    を220〜300℃の温度にて溶融混合して反応生成物を形成させる工程と、前記反応生成物をポリカーボネートと最高で350℃までの温度にて溶融混合する工程とによって調製され、前記溶融混合工程が押出しによって行われる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記熱可塑性組成物が、50〜98重量パーセントのポリカーボネート、1〜30重量パーセントのアクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および1〜20重量パーセントの低光沢添加物を含み、ここで、前記ポリカーボネート、アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および低光沢添加物の重量パーセントの合計が100重量パーセントである、請求項15に記載の方法。
  18. 請求項15に記載の方法によって調製される熱可塑性組成物。
  19. 前記熱可塑性組成物が、ASTM D2457に従って3ミリメートルカラーチップ上で測定して90GU以下の60°光沢を有する、請求項18に記載の熱可塑性組成物。
  20. 請求項1に記載の熱可塑性組成物を含む物品。
  21. ポリカーボネート、
    アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および
    ポリエポキシドとエチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーとの反応生成物を含む低光沢添加物
    を含む樹脂組成物であって、前記熱可塑性組成物の60°光沢が、ASTM D2457に従って3ミリメートルカラーチップ上で測定して90GU以下である、樹脂組成物。
  22. 熱可塑性組成物の調製方法であって、
    ポリエポキシドと、
    エチレン性不飽和ニトリル含有コポリマーと
    をエポキシド開環触媒と共に溶融混合して反応生成物を形成させる工程;
    前記反応生成物を第1のポリカーボネートと溶融混合して低光沢添加物を形成させる工程;ならびに
    第2のポリカーボネート、
    アクリロニトリル-スチレン-アクリレートターポリマー、および
    低光沢添加物
    を溶融混合する工程
    を含み、前記溶融混合が押出しによって行われ、前記熱可塑性組成物が、ASTM D2457に従って3ミリメートルカラーチップ上で測定して90GU以下の60°光沢を有する、方法。
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