JP2009293081A - アルミ加工用金型に適した工具鋼およびアルミ加工用金型 - Google Patents

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【課題】 浸炭による結晶粒の粗大化や粒界炭化物の析出を抑えて靱性を大幅に改善した耐摩耗性、耐アルミ溶損性に優れる工具鋼およびアルミ加工用金型を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.31〜0.60%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.3〜1.0%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:3.0〜5.0%未満、MoまたはWのいずれか1種または2種をMo当量(Mo+1/2W):0.8〜4.0%、VまたはNbのいずれか1種または2種をV当量(V+1/2Nb):0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼を、鍛造および圧延における終止温度900〜1150℃、冷却速度0.05℃/sec以上としたことを特徴とするアルミ加工用金型に適した工具鋼およびアルミ加工用金型。
【選択図】 図1

Description

本発明は、浸炭を施すことで耐摩耗性、耐アルミ溶損性に優れる工具鋼およびアルミ加工用金型に関するものである。
近年、自動車、トラック、車両などの軽量化への取り組みから、ダイキャストやアルミ押出し加工において、高Si系高強度アルミ合金の使用が増加したり、大型部品が増加している。さらには、生産性向上の観点から、サイクルタイムの短縮など、金型の使用環境は過酷になる一方であり、金型寿命の改善が大きな課題となっている。
アルミダイキャストの射抜きピンやアルミ押出しダイスにおいては、アルミ合金との接触によって、激しい焼付きや摩耗が生じて早期に金型寿命に至るケースが多い。これらの金型寿命の向上を目的に現状はアルミ合金との直接接触を避けて溶損を抑える目的で、表面処理として窒化(ガス軟窒化、塩浴軟窒化、プラズマ窒化、浸硫窒化など)やPVDコーティング(TiN、TiAlN、TiCN、CrNなど)が、また金型鋼としては汎用鋼であるJIS SKD61の成分を改良した開発鋼が検討されてきた。
また、アルミ押出しダイスでは、加熱、加圧されて押出されたアルミビレットの接触により、ダイス形状部では摩耗や焼付けが発生して寿命に至るが、潤滑と耐摩耗性を改善する目的で、窒化が実施され、使用に応じて手直し、再窒化を実施して使用されることが多い。しかし、窒化では硬化層の厚さが約50〜200μmと薄いため、充分な耐摩耗性の改善が期待できないことと、表面硬さは1000HVを超え、基材との硬さのギャップが大きくなり、早期割れや剥離が発生するなどの問題点がある。さらに、PVDコーティングは約1〜5μmのTiN、TiCNやCrNなどが一般的であるが、膜表面のピンホールやドロップレットからの局部的なアルミ合金の焼付き、溶損が発生するため、充分な効果が得られていない。
上述したような状況下において、例えば特開2003−119544号公報(特許文献1)に開示されているような、浸炭用ダイカスト金型用鋼およびダイカスト金型ならびにダイカスト金型の製造方法が提案されている。また、特開平8−144039号公報(特許文献2)に開示されているような、溶湯Alや溶融Znに対する耐溶損性に優れた鋳造用金型または溶接溶湯部材が提案されている。また、特開2007−56368号公報(特許文献3)に開示されているような、第1窒化処理工程と第2窒化処理工程との繰返しガス軟窒化鋼が提案されている。
また、特開平10−158780号公報(特許文献4)に開示されているような、プラズマ浸炭を施して冷間加工用の工具を製造するための鋼とその鋼から製造した工具が提案されている。また、特開平11−50190号公報(特許文献5)に開示されている、冷間、温間、熱間にて使用される鍛造金型、摺動部材など過酷な条件下に適用し得る浸炭部材として広範囲の用途としての鋼が提案されている。また、特開昭57−134554号公報(特許文献6)に開示されている、真空浸炭を施す冷間加工用金型の製造方法が提案されている。
さらに、特開昭57−164977号公報(特許文献7)に開示されている、焼きなまし状態ではすぐれた機械加工性を有し、浸炭処理後はすぐれた耐摩耗性を有する表面硬化鋼が提案されている。
特開2003−119544号公報 特開平8−144039号公報 特開2007−56368号公報 特開平10−158780号公報 特開平11−50190号公報 特開昭57−134554号公報 特開昭57−164977号公報
上述したような、特許文献1の浸炭用ダイカスト金型用鋼にあっては、C含有量が低く内部硬さ、強度が不十分で、かつダイカストのダイス金型用で靱性重視のため浸炭深さが浅く耐摩耗性、アルミ溶損性の改善が不十分である。また、特許文献2のAl,Znの耐溶損性に優れた鋳造用金型にあっては、Mnが非常に高く、製造性、切削加工性が悪く、さらに、母層がオーステナイトとなるため、硬さが低下し、強度が不十分である。
また、特許文献3の繰返しガス軟窒化鋼にあっては、化合物層生成により一定の改善効果を得ているが、しかし、鋼材成分の検討はなされていないし、化合物層の剥離の問題や、硬化層が浅く耐摩耗性の改善が不十分である。また、特許文献4の浸炭用冷間工具鋼にあっては、Crを低減し、Vを大幅に高めて、浸炭時にVC、V(CN)を多量析出させて耐摩耗性と硬さを得ている。しかし、Crが低過ぎて、耐摩耗性の改善が不十分である。特許文献5の冷間、温間、熱間金型から摺動部材などの広範囲の用途としての鋼にあっては、浸炭硬化層の深さについて検討されておらず、靱性改善が不十分である。
また、C含有量(実施例)が低く内部硬さ、強度が不十分である。また、特許文献6の真空浸炭を施す冷間加工用金型鋼にあっては、Cr含有量が高く、靱性改善が不十分である。さらに、特許文献7の冷間加工用金型や刃物鋼にあっては、Mo、Vなどの任意添加であり、技術思想が異なり、また、C、Crの添加量が高く(実施例)、衝撃値の改善が不十分である等それぞれに問題がある。
上述のような問題を解消するために、発明者らは、アルミ加工用金型において耐摩耗性と耐アルミ溶損性を向上させるために鋭意開発を進めた結果、浸炭処理によって深い硬化層を得るという着想に至った。そこで、浸炭による結晶粒の粗大化や粒界炭化物の析出を抑えて靱性が大幅に改善されることを見出し、鋼材成分、製造条件および硬化層の硬さ勾配を制御することとした。
すなわち、Cr量の低減により浸炭中の粒界炭化物の析出を抑制し、Si量の低減により浸炭中のC拡散を促進し、Mo,V量の増加によって浸炭層の微細析出炭化物を増加させ耐摩耗性、軟化抵抗を高めると共に、Al合金の拡散を抑制し、溶損性を向上させた。また、製造条件、Mo,V析出炭化物による浸炭中の結晶粒粗大化抑制により靱性を確保したアルミ加工用金型に適した工具鋼およびアルミ加工用金型の製造方法を提供する。
その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、C:0.31〜0.60%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.3〜1.0%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:3.0〜5.0%未満、MoまたはWのいずれか1種または2種をMo当量(Mo+1/2W):0.8〜4.0%、VまたはNbのいずれか1種または2種をV当量(V+1/2Nb):0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼を、鍛造および圧延における終止温度900〜1150℃、冷却速度0.05℃/sec以上としたことを特徴とするアルミ加工用金型に適した工具鋼。
(2)前記(1)に記載の鋼よりなり、表面に浸炭硬化層を有することを特徴とするアルミ加工用金型。
(3)浸炭硬化層の硬さと深さとの関係が、0.03<(△HV/D)≦0.15となることを特徴とする前記(2)に記載のアルミ加工用金型にある。
ただし、△HV=(表面硬さ)−(内部硬さ)、D=(浸炭硬化層深さ)
ここで、内部硬さは硬化層以外の内部で任意に5点測定した平均値、硬化層深さは表面部から硬さを測定した際に、硬さ±30HVが5点以上連続した時の最も表面に近い点の表面からの距離を示す。
以上述べたように、本発明による真空浸炭により表面処理と焼入れが併せて実施でき、工期短縮、かつ省エネルギーを図ることができ、また、ダイカストピンや押出しダイスにおいて、溶損、摩耗、割れ、折損を抑えて寿命延長を図ることが可能となる極めて優れた効果を奏するものである。
以下、本発明に係る成分組成の限定理由について説明する。
C:0.31〜0.60%
Cは、焼入焼戻しにより、十分なマトリックス硬さを与えるとともに、Cr、Mo、V、Nbなどと結合して炭化物を形成し、硬さおよび強度に必要な元素である。しかし、0.31%未満では、その効果が十分に得られず、また、0.60%を超えると靱性、熱間加工性を低下させることから、その範囲を0.31〜0.60%とした。好ましくは0.35〜0.55%とする。
Si:0.1〜0.6%
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要な元素である。しかし、0.1%未満では、その効果が十分に得られず、また0.6%を超えると靱性を低下させ、浸炭でC拡散を阻害することから、その範囲を0.1〜0.6%とした。好ましくは0.2〜0.5%未満とする。Mn:0.3〜1.0%
Mnは、脱酸剤、および焼入性を与える元素である。しかし、0.3%未満ではその効果が十分でなく、1.0%を超えると被削性を低下させることから、その範囲を0.3〜1.0%とした。
Ni:0.05〜0.6%
Niは、焼入性および靱性の向上に役立つ元素である。しかし、0.05%未満ではその効果が十分でなく、また、0.6%を超えると被削性を低下させることから、その範囲を0.05〜0.6%とした。
Cr:3.0〜5.0%未満
Crは、硬さ、焼入れ性に必要な元素である。特に浸炭時に炭化物を析出させ耐摩耗性、耐溶損性を向上させる。しかし、3.0%未満ではその効果が十分でなく、また、5.0%以上であると凝固時に粗大炭化物が生成しやすくなるとともに、浸炭時に粒界炭化物を析出、成長しやすくなり、靱性を低下させる。したがって、その範囲を3.0〜5.0%未満とした。好ましくは3.6〜4.6%とする。
Mo+1/2W:0.8〜4.0%
MoおよびWは、単独または複合で添加することができ、焼戻し時に微細な炭化物を析出して軟化抵抗性、硬さおよび高温強度を増加させる元素である。また、浸炭時に微細炭化物を析出させ耐摩耗性、耐溶損性を向上させ、微細炭化物が浸炭中の結晶粒粗大化を抑制し靱性を確保する効果を有するものである。しかし、0.8%未満ではその効果が十分でなく、また、4.0%を超えると焼戻し時に析出する微細炭化物が多くなり、靱性、熱間加工性を低下させるため、その範囲を0.8〜4.0%とした。好ましくは2.0〜3.6%とする。
V+1/2Nb:0.5〜1.5%
VおよびNbは、単独または複合で添加することができ、焼入れ加熱時基地に固溶し、焼戻し時微細な凝集しにくい炭化物を析出し、高い温度域における軟化抵抗を大とし、大きな高温強度を与えると共に結晶粒の粗大化を抑制し靱性を確保する効果を有するものである。しかし、0.5%未満ではその効果が十分でなく、また、1.5%を超えると靱性、熱間加工性を低下させるため、その範囲を0.5〜1.5%とした。
鍛造および圧延における終止温度900〜1150℃
鍛造および圧延における終止温度900〜1150℃とした理由は、熱間加工性の確保に必要な条件であり、900℃未満ではその効果が十分でなく、また、1150℃を超える温度では、結晶粒が大きくなり靱性を低下させる。また、浸炭時の粒界炭化物が粗大化する。したがって、その範囲を900〜1150℃とした。好ましくは1000〜1100℃とする。
冷却速度0.05℃/sec以上
一定温度以上の冷却速度で、基地組織はマルテンサイトおよび微細ベイナイトとなり靱性が向上する。しかし、緩冷却により粒界に炭化物が析出し、靱性を低下させる。したがって、0.05℃/sec以上とする。好ましくは0.1℃/sec以上とする。
浸炭硬化層の硬さと深さとの関係が、0.03<(△HV/D)≦0.15
浸炭硬化層の硬さと深さとの関係は、浸炭を適用することで500〜4000μmの深い硬化層を得ることで耐摩耗性と耐久性を得ることができるが、その際に靱性低下を抑えるために、耐摩耗性、耐久性と靱性とのバランスを得るために、鋼材成分、製造条件および硬化層の硬さ勾配を規制する必要があり、その硬化層の硬さ勾配を定めたものが上記関係である。0.03以下では靱性が劣り、両者の最適なバランスが得られない。また、0.15を超えても靱性が劣り、両者の最適なバランスが得られない。したがって、両者のバランスを得るためには、0.03を超え0.15以下とする。
図1は、本発明鋼と比較鋼との表面から深さ方向での顕微鏡写真による組織状態を示す図である。図1(a)は本発明に係る鋼の顕微鏡写真による組織状態であり、図1(b)は従来鋼の顕微鏡写真による組織状態である。この図に示すように、本発明鋼は鋼表面の浸炭層は微細析出炭化物であるに対し、比較鋼の浸炭層は粗大析出炭化物であることが分かる。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示す各供試材を100kg真空誘導溶解炉で溶解後出鋼して造塊し、1150℃に加熱して鍛造(鍛造終止温度1020℃)後、0.05℃/secにて徐冷し、径32mm丸棒材を作製した後、焼なまし(800〜900℃の任意の温度で5時間保持した後徐冷)した試験片を加工し、浸炭および熱処理して評価に供した。その時の浸炭条件は、真空浸炭炉を用いて、真空浸炭を実施して、そのまま急冷することで焼入れを兼ねることとした。真空浸炭炉にて、10℃/minで昇温、900℃で30分間保持後、さらに、1000〜1150℃に昇温し、アセチレンガスなどの炭化水素系ガスを流して浸炭処理を行った。その後、窒素ガスを用いて急冷して、焼入れを実施した。さらに、550〜650℃の焼戻しを実施して内部硬さ(硬化層以外の内部で任意に5点測定した平均値)を400〜660HVとした。その結果を表2に示す。以下に測定、試験方法について説明する。
表面硬さの測定としては、微小ビッカース硬度計を用いて、圧痕形状に表面のだれ等の影響をきたさない表面から深さ0.03mmの部位を測定した値を表面硬さとした。
硬化層深さの測定は、微小ビッカース硬度計を用いて、表面部から硬さを0.05mmの間隔で測定して、硬さ±30HVが5点以上連続した時の最も表面に近い点までの表面からの距離を硬化層深さとした。
シャルピー衝撃試験は、供試材中心部L方向から2mmUノッチ試験片(10mm×10mm×55mm)を作製し、浸炭熱処理後、試験を実施した。
また、アルミ溶損試験は、供試材の中心部の長手方向(L方向)から耐アルミ溶損試験片(径20mm×長さ100mm)を作製し、アルミ合金としてADC12(Al−11Si−2Cu)を720℃まで加熱した溶湯中に試験片を浸漬し、周速3.2m/minで2時間回転させたときの溶損量を測定した。溶損量(%)は、〔(試験前の試験片重量)−(試験後の試験片重量)〕/(試験前の試験片重量)×100より算出した。
大越式摩耗試験は、供試材の中心部のL方向から15mm×20mm×5mmの試験片を作製し、浸炭処理後、試験を実施した。試験条件は、相手材のリングにSCM420(表面硬さ86HRB)を用い、摩擦距離200mm、最終加重61.7N、摩擦速度2.38m/secとした。試験後の摩耗痕の幅を測定、比摩耗量を算出した。
Figure 2009293081
Figure 2009293081
表2に示すように、No.1〜13は本発明例であり、No.14〜20は比較例である。
表2に示す比較例No.14はC含有量が低く、Si含有量が高く、かつCr含有量が低く、また、V+1/2Nb含有量が高いために、△HV/Dが大きく、靱性が悪く、アルミ溶損量が高く、かつ耐摩耗性に劣る。比較例No.15はC含有量が低く、Mn,Ni,Cr含有量が高く、かつV+1/2Nb含有量が高いために、浸炭硬化層深さが浅く、△HV/Dが大きく、靱性が悪く、アルミ溶損量が高く、かつ耐摩耗性に劣る。
比較例No.16はC,Si,Mn含有量が高く、Mo+1/2W含有量が高く、かつNiを含有せず、終止温度が高いために、浸炭硬化層深さがやや浅く、△HV/Dが大きく、靱性が悪く、アルミ溶損量が高く、かつ耐摩耗性に劣る。比較例No.17はSi,Mn含有量が低く、Cr含有量が高く、かつMo+1/2W含有量が低く、V+1/2Nb含有量が高く、しかも冷却速度が遅いために、内部硬さ、表面硬さが低く、△HV/Dが小さいが、Cr含有量が高いために、靱性が悪く、アルミ溶損量が高く、かつ耐摩耗性に劣る。
比較例No.18はSi,Ni,Cr含有量が高いために、浸炭硬化層深さが浅く、△HV/Dが大きく、靱性が悪く、アルミ溶損量が高く、かつ耐摩耗性に劣る。比較例No.19は終止温度が高いために、浸炭硬化層深さが浅く、△HV/Dが大きく、靱性が悪く、アルミ溶損量が高い。比較例No.20は冷却速度が遅いために、△HV/Dが大きく、靱性が悪く、アルミ溶損量が高いことが分かる。
これに対して、本発明例であるNo.1〜13はいずれも本発明の要件を満たしていることから、いずれの性能にも優れていることが分かる。
以上のように、従来の窒化(深さ50〜200μm)やPVDコーティング(厚さ1〜5μm)に変えて、浸炭を適用することで500〜4000μmの深い硬化層により耐摩耗性と耐久性を得ることができ、また、その際の靱性低下を抑えるために、鋼材成分、製造条件および硬化層の硬さ勾配を制御することで、溶損、摩耗、割れ、折損のない鋳型寿命を改善したアルミ加工用金型に適した工具鋼およびアルミ加工用金型の製造方法を提供するものである。
図1は、本発明鋼と比較鋼との表面から深さ方向での顕微鏡写真による組織状態を示す図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.31〜0.60%、
    Si:0.1〜0.6%、
    Mn:0.3〜1.0%、
    Ni:0.05〜0.6%、
    Cr:3.0〜5.0%未満、
    MoまたはWのいずれか1種または2種をMo当量(Mo+1/2W):0.8〜4.0%、VまたはNbのいずれか1種または2種をV当量(V+1/2Nb):0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼を、鍛造および圧延における終止温度900〜1150℃、冷却速度0.05℃/sec以上としたことを特徴とするアルミ加工用金型に適した工具鋼。
  2. 請求項1に記載の鋼よりなり、表面に浸炭硬化層を有することを特徴とするアルミ加工用金型。
  3. 浸炭硬化層の硬さと深さとの関係が、0.03<(△HV/D)≦0.15となることを特徴とする請求項2に記載のアルミ加工用金型。
    ただし、△HV=(表面硬さ)−(内部硬さ)、D=(浸炭硬化層深さ)
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