JP2009293040A - ポリオレフィン系樹脂組成物とフィルムおよび多層積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、柔軟性に優れ、結晶安定化速度が向上したフィルムおよび低温ヒートシール性とホットタック性の改善された多層フィルムを提供すること。
【解決手段】1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%とプロピレン系樹脂〔II〕99〜1重量%および造核剤10ppm以上からなるポリオレフィン系樹脂組成物(A)と、これを成形してなるフィルム及び、最外層の少なくとも一方が1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%および結晶性プロピレン系重合体〔II〕99〜1重量%からなるポリオレフィン樹脂組成物(B)により構成される多層積層体である。
【選択図】なし
【解決手段】1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%とプロピレン系樹脂〔II〕99〜1重量%および造核剤10ppm以上からなるポリオレフィン系樹脂組成物(A)と、これを成形してなるフィルム及び、最外層の少なくとも一方が1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%および結晶性プロピレン系重合体〔II〕99〜1重量%からなるポリオレフィン樹脂組成物(B)により構成される多層積層体である。
【選択図】なし
Description
本発明は、二次加工性に優れるポリオレフィン系樹脂組成物とその成形体に関し、さらに詳しくは、べたつきが少なく、耐衝撃性、成形性、二次加工性に優れるポリオレフィン系樹脂組成物とフィルムおよび多層積層体フィルムに関するものである。
結晶性ポリオレフィンは、その優れた剛性、透明性および防湿性等を活かして広く包装用フィルムに用いられている。多層、単層の形態に関わらず包装用フィルムはしばしば袋状に加工されているが、フィルムを加工し内容物を充填した後に袋口を閉じる一連の操作は、通常加熱した棒により圧締してフィルム同士を溶融接着するヒートシールと呼ばれる操作により行われている。近年、これら一連の製袋、包装工程は生産性向上のため高速化が図られており、ヒートシール性に優れた素材の開発が強く要望されている。また、これら二次加工工程を円滑に行うため、フィルムにスリップ性、アンチブロッキング性、ホットタック性が必須の特性として要求されている。
プロピレン単独重合体のフィルムをヒートシールするには高い温度で、長い時間の圧締が必要であり、この欠点を改良する目的でエチレンや1−ブテン、およびその他のα−オレフィンとプロピレンとの共重合が広く行われてきた。しかし、充分なヒートシール性改良効果を得るために多量のエチレンや1−ブテン、およびその他のα−オレフィン等のコモノマーを共重合する必要がある。また、この場合、これらのコモノマーはしばしば低分子量成分に集中して存在し、結晶性に乏しいべたつき成分の原因になる。そのため、ブロッキングが生じたり、ホットタック性が悪化し二次加工に支障を来したり、ブリード白化による外観不良を起こしたりして実用に耐えるものとはならない。また、そのようなべたつき成分を不活性溶剤中に溶解除去する試みが行われてきたが、効率的にべたつき成分を洗い落とし、かつヒートシール性に寄与する低温融解成分が洗浄により減少するのを抑制することは非常に困難である。
また、1−ブテン系重合体は、強靭で耐熱性に優れた物性を有し、安価であることから、汎用樹脂として、多種多様な用途に使用されてきた。
例えば、1−ブテン系重合体は、極めて透明で、腰が強く、耐熱性があり、吸湿が少ない等の特徴を有することから、二軸延伸フィルムやラミネートフイルム等のキャストフイルムとして用いられている。結晶性1−ブテン系重合体フィルムは、その優れた剛性、透明性及び防湿性等を生かして広く包装用フィルムとして使用されている。
しかし、1−ブテン系重合体フィルムはエチレン系重合体と比較して、結晶化が始まるのに必要な過冷却度が大きく、融点が同等でも結晶化温度が低い。1−ブテン系重合体で結晶性が低いものでは特に顕著となる。そのため成形が困難であったり、低温ヒートシール性、弾性率、耐衝撃性などが低下したり、更には、これら樹脂特性が経時的に変化し、製品として不都合な面を持っていた。
例えば、1−ブテン系重合体は、極めて透明で、腰が強く、耐熱性があり、吸湿が少ない等の特徴を有することから、二軸延伸フィルムやラミネートフイルム等のキャストフイルムとして用いられている。結晶性1−ブテン系重合体フィルムは、その優れた剛性、透明性及び防湿性等を生かして広く包装用フィルムとして使用されている。
しかし、1−ブテン系重合体フィルムはエチレン系重合体と比較して、結晶化が始まるのに必要な過冷却度が大きく、融点が同等でも結晶化温度が低い。1−ブテン系重合体で結晶性が低いものでは特に顕著となる。そのため成形が困難であったり、低温ヒートシール性、弾性率、耐衝撃性などが低下したり、更には、これら樹脂特性が経時的に変化し、製品として不都合な面を持っていた。
ところで、これまで1−ブテン重合体はマグネシウム担持型チタン触媒により製造されているが(特許文献1)、組成が不均一でべたつきの発生や透明性の低下など物性に悪影響を与えていた。
この点に関しては、近年、メタロセン触媒により組成の均一な1−ブテン重合体が得られている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6)。
しかし、これらの先行技術に開示された単独重合体は立体規則性が高く、柔軟性に欠けていた。
そこで、柔軟性を高めるため、1−ブテンと他のαーオレフィンとの共重合体が提案されている。しかし、メタロセン触媒を用いる場合であっても、単なる1−ブテン系共重合体である場合、組成分布が広がる場合もあり、結晶変体や、べたつきの発生、透明性の低下を効果的に防ぐことができなかった。
この点に関しては、近年、メタロセン触媒により組成の均一な1−ブテン重合体が得られている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6)。
しかし、これらの先行技術に開示された単独重合体は立体規則性が高く、柔軟性に欠けていた。
そこで、柔軟性を高めるため、1−ブテンと他のαーオレフィンとの共重合体が提案されている。しかし、メタロセン触媒を用いる場合であっても、単なる1−ブテン系共重合体である場合、組成分布が広がる場合もあり、結晶変体や、べたつきの発生、透明性の低下を効果的に防ぐことができなかった。
本発明は、以上のような状況から、透明性、柔軟性に優れ、結晶安定化速度が向上したポリオレフィン系樹脂組成物、該ポリオレフィン系組成物からなるフィルムおよび、結晶性ポリオレフィンの優れた特性を生かしつつ、低温ヒートシール性とホットタック性の改善された多層フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、(1)融点、(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}、(3)分子量分布(Mw/Mn)、(4)重量平均分子量(Mw)が特定の範囲にある1−ブテン系重合体にプロピレン系樹脂と造核剤を添加した組成物(A)が、柔軟性、耐衝撃性および二次加工性に優れた成形体を与える結晶安定化速度が向上したポリオレフィン系樹脂組成物であり、これよりヒートシール時の剛性とヒートシール温度のバランスに優れ、ヒートシール温度の経時的変動の少ないフィルムが得られること、また、多層積層体の最外層の少なくとも一方を該1−ブテン系重合体と結晶性ポリプロピレン系重合体から構成されるポリオレフィン樹脂(B)とすることにより、ヒートシール温度が低いにもかかわらず、優れたホットタック性を有する多層フィルムとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下のポリオレフィン系樹脂組成物(A)とフィルムおよび多層積層体を提供するものである。
〔1〕 1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%とプロピレン系樹脂〔II〕99〜1重量%および造核剤を10ppm以上からなり、1−ブテン系重合体〔I〕が下記の(1)〜(4)を満たすポリオレフィン系樹脂組成物(A)。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmD)が、0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000
〔2〕 上記1のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなるフィルム。
〔3〕 下記の(1)〜(2)を満たす上記2のフィルム。
(1)引張弾性率TM(MPa)と、JIS Z−1707に準拠して一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)の関係が、
TM≧12.5×HST1−1100
(2)一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)と、30日エージング後に測定した経時ヒートシール温度HST30(℃)の関係が、
HST30−HST1≦5
〔4〕 上記1のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなる多層積層体。
〔5〕 最外層の少なくとも一方が下記(1’)〜(4)を満たす1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%及び結晶性プロピレン系重合体〔II〕99〜1重量%からなるポリオレフィン樹脂組成物(B)により構成される多層積層体。
(1’)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下190℃で5分間溶融した後、5℃/分で−10℃まで降温し、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmP)が、観測されないか又は0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000
〔6〕 1−ブテン系重合体〔I〕が1−ブテン単独重合体であって、かつ該単独重合体が下記(5)および(6)を満たす上記5の多層積層体。
(5)メソペンタッド分率(mmmm)が20〜90%
(6)(mmmm)≦90−2×(rr)
但し、rrはラセミトリアッド分率を示す。
〔7〕 最外層の少なくとも一方のポリオレフィン樹脂組成物(B)が、下記式を満たす上記5又は6の多層積層体。
TH<1.29×HST−54.5
但し,THはホットタック温度(℃)、HSTはヒートシール温度(℃)を示す。
即ち本発明は、以下のポリオレフィン系樹脂組成物(A)とフィルムおよび多層積層体を提供するものである。
〔1〕 1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%とプロピレン系樹脂〔II〕99〜1重量%および造核剤を10ppm以上からなり、1−ブテン系重合体〔I〕が下記の(1)〜(4)を満たすポリオレフィン系樹脂組成物(A)。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmD)が、0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000
〔2〕 上記1のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなるフィルム。
〔3〕 下記の(1)〜(2)を満たす上記2のフィルム。
(1)引張弾性率TM(MPa)と、JIS Z−1707に準拠して一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)の関係が、
TM≧12.5×HST1−1100
(2)一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)と、30日エージング後に測定した経時ヒートシール温度HST30(℃)の関係が、
HST30−HST1≦5
〔4〕 上記1のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなる多層積層体。
〔5〕 最外層の少なくとも一方が下記(1’)〜(4)を満たす1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%及び結晶性プロピレン系重合体〔II〕99〜1重量%からなるポリオレフィン樹脂組成物(B)により構成される多層積層体。
(1’)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下190℃で5分間溶融した後、5℃/分で−10℃まで降温し、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmP)が、観測されないか又は0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000
〔6〕 1−ブテン系重合体〔I〕が1−ブテン単独重合体であって、かつ該単独重合体が下記(5)および(6)を満たす上記5の多層積層体。
(5)メソペンタッド分率(mmmm)が20〜90%
(6)(mmmm)≦90−2×(rr)
但し、rrはラセミトリアッド分率を示す。
〔7〕 最外層の少なくとも一方のポリオレフィン樹脂組成物(B)が、下記式を満たす上記5又は6の多層積層体。
TH<1.29×HST−54.5
但し,THはホットタック温度(℃)、HSTはヒートシール温度(℃)を示す。
本発明によれば、透明性、柔軟性に優れ、結晶安定化速度が向上したフィルムおよび低温ヒートシール性とホットタック性の改善された多層フィルムが提供される。
以下、[1]1−ブテン系重合体、[2]1−ブテン系重合体の製造方法、[3]ポリオレフィン系樹脂組成物(A)、[4]フィルム、[5]結晶性ポリプロピレン系重合体、[6]ポリオレフィン樹脂組成物(B)、[7]多層積層体について順次詳しく説明する。
[1]1−ブテン系重合体
本発明で用いられる1−ブテン系重合体には、1−ブテンを単独重合して得られた1−ブテン単独重合体と、1−ブテンとエチレンや炭素数3〜20のαーオレフィン(1−ブテンを除く)を共重合して得られた1−ブテン系共重合体があり、1−ブテン単独重合体が好適に用いられる。
1−ブテン系共重合体を構成する1−ブテン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。
本発明で用いられる1−ブテン系重合体には、1−ブテンを単独重合して得られた1−ブテン単独重合体と、1−ブテンとエチレンや炭素数3〜20のαーオレフィン(1−ブテンを除く)を共重合して得られた1−ブテン系共重合体があり、1−ブテン単独重合体が好適に用いられる。
1−ブテン系共重合体を構成する1−ブテン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。
本発明における1−ブテン系共重合体としてはランダム共重合体が好ましい。また、1−ブテンから得られる構造単位が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上、特に好ましくは98モル%以上である。1−ブテンから得られる構造単位が90モル%未満の場合には、成形体表面のべたつきや透明性の低下が生じる可能性がある。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)で用いられる1−ブテン系重合体は、下記の(1)〜(4)を要件とする重合体である。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmD)が、0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmD)が、0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000
本発明における1−ブテン系重合体は、少なくとも実質的に融点を持つ結晶性化合物である。融点は、通常示差走査熱量計(DSC)で観測される。本発明において、実質的に融点を持つとは、DSC測定において結晶融解ピークを実質的に観測されることをいう。結晶融解ピークとは、例えば上記TmDあるいは後述するTmPのことであり、少なくともいずれかの測定条件によりピークは観測される。
本発明における1−ブテン系重合体は、上記の関係を満たすことにより、得られる成形体等のべたつき成分の量と弾性率の低さのバランスが優れる。すなわち、弾性率が低く軟質性(柔軟性とも言う)に優れ、べたつき成分が少なく表面特性(例えば、ブリードや他の製品へのべたつき成分の移行が少ない等に代表される)に優れるという利点がある。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)における1−ブテン系重合体は、融点(TmD)が、0〜100℃、好ましくは0〜80℃の結晶性化合物である。
この1−ブテン系重合体の融点(TmD)はDSC測定により求める。すなわち、示差走査型熱量計を用い、試料10mgを窒素雰囲気下、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱量をΔHDとする。また、このとき得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップが融点(TmD)である。
この1−ブテン系重合体の融点(TmD)はDSC測定により求める。すなわち、示差走査型熱量計を用い、試料10mgを窒素雰囲気下、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱量をΔHDとする。また、このとき得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップが融点(TmD)である。
多層積層体におけるポリオレフィン樹脂組成物(B)で用いられる1−ブテン系重合体の融点(TmP)は、軟質性の点から観測されないか又は0〜100℃であり、好ましくは0〜80℃である。
なお、この1−ブテン系重合体の融点(TmP)もDSC測定により求められる。すなわち、示差走査型熱量計を用い、あらかじめ試料10mgを窒素雰囲気下、190℃で5分間溶融した後、5℃/分で10℃まで降温し、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱量ΔHとする。また、このとき得られる融解吸熱カーブの最も高温度に測定されるピークのピークトップが融点:TmP(℃)である。
なお、ポリオレフィン樹脂組成物(B)で用いられる1−ブテン系重合体は、軟質性の点から融点(TmD)が0〜100℃の結晶性であっても良い。好ましくは0〜80℃である。
このポリオレフィン樹脂組成物(B)で用いられる1−ブテン系重合体は、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)で用いられる1−ブテン系重合体における要件(2)〜(4)をも満たすものであり、同様の1−ブテン系重合体が用いられる。
なお、この1−ブテン系重合体の融点(TmP)もDSC測定により求められる。すなわち、示差走査型熱量計を用い、あらかじめ試料10mgを窒素雰囲気下、190℃で5分間溶融した後、5℃/分で10℃まで降温し、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱量ΔHとする。また、このとき得られる融解吸熱カーブの最も高温度に測定されるピークのピークトップが融点:TmP(℃)である。
なお、ポリオレフィン樹脂組成物(B)で用いられる1−ブテン系重合体は、軟質性の点から融点(TmD)が0〜100℃の結晶性であっても良い。好ましくは0〜80℃である。
このポリオレフィン樹脂組成物(B)で用いられる1−ブテン系重合体は、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)で用いられる1−ブテン系重合体における要件(2)〜(4)をも満たすものであり、同様の1−ブテン系重合体が用いられる。
本発明で用いられる1−ブテン系重合体は、DSC測定による融解吸熱量ΔHDが50J/g以下であると柔軟性が優れ好ましい。ΔHDは、軟質であるかないかを表す指標で、この値が大きくなると弾性率が高く、軟質性が低下していることを意味する。
また、本発明で用いられる1−ブテン系重合体において、1−ブテン連鎖部の(mmmm)分率及び(mmrr+rmmr)分率から得られる立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が、20以下であり、好ましくは18以下、更に好ましくは15以下である。立体規則性指数が20を越えると、柔軟性の低下、低温ヒートシール性の低下、ホットタック性の低下が生じる。
本発明で用いられる1−ブテン系重合体において、メソペンタッド分率(mmmm)及び異常挿入含有量(1,4挿入分率)は、V.Busicoらにより報告された「Macromol.Chem.Phys.,198,1257(1997)」で提案された方法に準拠して求める。すなわち、13C核磁気共鳴スペクトルを用いてメチレン基、メチン基のシグナルを測定し、ポリ(1−ブテン)分子中のメソペンタッド分率及び異常挿入含有量が求められる。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ミリリットル
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ミリリットル
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}は、上記方法により、(mmmm)、(mmmr)及び(rmmr)を測定した値から算出し、また、ラセミトリアッド分率(rr)も上記方法により算出する。
本発明での1−ブテン系重合体は、上記の要件の他にGPC法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下であり、好ましくは3.5〜1.5、更に好ましくは3.0〜1.5である。分子量分布(Mw/Mn)が4.0を超えるとべたつきが発生することがあり、1.5未満では成形性が悪化する可能性がある。
また、本発明での1−ブテン系重合体は、上記の要件の他にGPC法により測定した重量平均分子量Mwが、10,000〜1,000,000である。重量平均分子量Mwが10,000未満では、べたつきが発生することがある。また1,000,000を超えると、流動性が低下するため成形性が不良となることがある。
なお、上記の分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法により、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
また、本発明での1−ブテン系重合体は、上記の要件の他にGPC法により測定した重量平均分子量Mwが、10,000〜1,000,000である。重量平均分子量Mwが10,000未満では、べたつきが発生することがある。また1,000,000を超えると、流動性が低下するため成形性が不良となることがある。
なお、上記の分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法により、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
GPC測定装置
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS150C
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS150C
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
本発明で好適に用いられる1−ブテン単独重合体は、メソペンタッド分率(mmmm)が20〜90%であることが好ましく、40〜85%であるとさらに好ましく、60〜80%であると最も好ましい。メソペンタッド分率が20%未満の場合、成形体表面のべたつきや透明性の低下が生じる可能性がある。一方、90%を超えると、柔軟性の低下、低温ヒートシール性の低下、ホットタック性の低下が生じる場合がある。
また、該1−ブテン単独重合体は、(mmmm)≦90−2×(rr)の関係を満たしていることが好ましく、(mmmm)≦87−2×(rr)の関係を満たしていることがさらに好ましい。この関係を満たさない場合には、成形体表面のべたつきや透明性の低下が生じる可能性がある。
さらに、該1−ブテン単独重合体は1,4−挿入部分が5%以下であることが好ましい。5%を越えると、重合体の組成分布が広がるため、物性に悪影響を与える可能性があるからである。
該1−ブテン単独重合体は、JIS K−7113に準拠した引張試験により測定した引張弾性率が800MPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることがさらに好ましい。800MPaを超えると十分な軟質性が得られない場合があるからである。
また、該1−ブテン単独重合体は、(mmmm)≦90−2×(rr)の関係を満たしていることが好ましく、(mmmm)≦87−2×(rr)の関係を満たしていることがさらに好ましい。この関係を満たさない場合には、成形体表面のべたつきや透明性の低下が生じる可能性がある。
さらに、該1−ブテン単独重合体は1,4−挿入部分が5%以下であることが好ましい。5%を越えると、重合体の組成分布が広がるため、物性に悪影響を与える可能性があるからである。
該1−ブテン単独重合体は、JIS K−7113に準拠した引張試験により測定した引張弾性率が800MPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることがさらに好ましい。800MPaを超えると十分な軟質性が得られない場合があるからである。
本発明における1−ブテン系重合体は、上記の要件の他に、DSC測定による融解吸熱量ΔHが60J/g以下であると柔軟性が優れるので好ましく、20J/g以下であるとさらに好ましい。ΔHは、軟質であるかないかを表す指標でこの値が大きくなると弾性率が高く、軟質性が低下していることを意味する。なお、融解吸熱量ΔHは前述の方法により求める。
本発明における1−ブテン系重合体は、25℃のヘキサンに溶出する成分量(H25)が0〜80重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0〜60重量%、最も好ましくは0〜50重量%である。H25は、べたつき、透明性低下等の原因となるいわゆるべたつき成分の量が多いか少ないかを表す指標であり、この値が高いほどべたつき成分の量が多いことを意味する。H25が80重量%を超えると、べたつき成分の量が多いため、ブロッキングが起こり、2次加工性や表面特性が低下することがある。
H25は、1−ブテン系重合体の重量(W0)(0.9〜1.1g)と該1−ブテン系重合体を200ミリリットルのヘキサン中に、25℃、4日間以上静置後、乾燥した後の前記重合体の重量(W1)を測定し、次式により算出した重量減少率である。
H25=〔(W0−W1)/W0〕×100(%)
本発明における1−ブテン系重合体は、25℃のヘキサンに溶出する成分量(H25)が0〜80重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0〜60重量%、最も好ましくは0〜50重量%である。H25は、べたつき、透明性低下等の原因となるいわゆるべたつき成分の量が多いか少ないかを表す指標であり、この値が高いほどべたつき成分の量が多いことを意味する。H25が80重量%を超えると、べたつき成分の量が多いため、ブロッキングが起こり、2次加工性や表面特性が低下することがある。
H25は、1−ブテン系重合体の重量(W0)(0.9〜1.1g)と該1−ブテン系重合体を200ミリリットルのヘキサン中に、25℃、4日間以上静置後、乾燥した後の前記重合体の重量(W1)を測定し、次式により算出した重量減少率である。
H25=〔(W0−W1)/W0〕×100(%)
[2]1−ブテン系重合体の製造方法
本発明における1−ブテン系重合体の製造方法としては、メタロセン触媒と呼ばれる触媒系を用いて1−ブテンを単独重合する方法又は1−ブテンとエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンを除く)を共重合する方法が挙げられる。
本発明における1−ブテン系重合体の製造方法としては、メタロセン触媒と呼ばれる触媒系を用いて1−ブテンを単独重合する方法又は1−ブテンとエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンを除く)を共重合する方法が挙げられる。
メタロセン系触媒としては、特開昭58−19309号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−300887号公報、特開平4−211694号公報、特表平1−502036号公報等に記載されるようなシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基等を1又は2個配位子とする遷移金属化合物、及び該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られる触媒が挙げられる。
本発明における1−ブテン系重合体の製造方法としては、メタロセン触媒の中でも、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物からなる場合が好ましく、なかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン触媒を用いて1−ブテンを単独重合する方法又は1−ブテンとエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(1−ブテンを除く)を共重合する方法が好適に用いられる。
具体的に例示すれば、(A)一般式(I)
具体的に例示すれば、(A)一般式(I)
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E1及びE2はそれぞれ置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1及びA2を介して架橋構造を形成しており、またそれらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E1,E2又はXと架橋していてもよく、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する重合用触媒の存在下、1−ブテンを単独重合させる方法、又は1−ブテンとエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンを除く)を共重合させる方法が挙げられる。
で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する重合用触媒の存在下、1−ブテンを単独重合させる方法、又は1−ブテンとエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンを除く)を共重合させる方法が挙げられる。
上記一般式(I)において、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、具体例としてはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,イットリウム,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,パラジウム及びランタノイド系金属などが挙げられるが、これらの中ではオレフィン重合活性などの点からチタン,ジルコニウム及びハフニウムが好適である。E1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及び珪素含有基〔>SiR−,>Si<〕(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。また、E1及びE2はたがいに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
また、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。該Xの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20の珪素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE1,E2又はXと架橋していてもよい。該Yのルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類などを挙げることができる。
次に、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。このような架橋基としては、例えば一般式
(Dは炭素、ケイ素又はスズ、R2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中で、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中で、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
で表される二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物が好ましい。
上記一般式(II)において、M,A1,A2,q及びrは上記と同じである。X1はσ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。このX1の具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1はルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。このY1の具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。R4〜R9はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R4〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。中でも、R6とR7は環を形成していること及びR8とR9は環を形成していることが好ましい。R4及びR5としては、酸素、ハロゲン、珪素等のヘテロ原子を含有する基が重合活性が高くなり好ましい。
この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子間の架橋基にケイ素を含むものが好ましい。
上記一般式(II)において、M,A1,A2,q及びrは上記と同じである。X1はσ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。このX1の具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1はルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。このY1の具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。R4〜R9はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R4〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。中でも、R6とR7は環を形成していること及びR8とR9は環を形成していることが好ましい。R4及びR5としては、酸素、ハロゲン、珪素等のヘテロ原子を含有する基が重合活性が高くなり好ましい。
この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子間の架橋基にケイ素を含むものが好ましい。
一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,7−ジ−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−4−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジフェニルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジイソブロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドなど及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。もちろんこれらに限定されるものではない。また、他の族又はランタノイド系列の金属元素の類似化合物であってもよい。また、上記化合物において、(1,1’−)(2,2’−)が(1,2’−)(2,1’−)であってもよく、(1,2’−)(2,1’−)が(1,1’−)(2,2’−)であってもよい。
次に、(B)成分のうちの(B−1)成分としては、上記(A)成分の遷移金属化合物と反応して、イオン性の錯体を形成しうる化合物であれば、何れのものでも使用できるが、次の一般式(III),(IV)
(〔L1−R10〕k+)a(〔Z〕-)b ・・・(III)
(〔L2〕k+)a(〔Z〕-)b ・・・(IV)
(L2はM2、R11R12M3、R13 3C又はR14M3である。)
〔(III),(IV)式中、L1はルイス塩基、〔Z〕-は、非配位性アニオン〔Z1〕-及び〔Z2〕-、ここで〔Z1〕-は複数の基が元素に結合したアニオンすなわち〔M1G1G2・・・Gf〕-(ここで、M1は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔(中心金属M1の原子価)+1〕の整数を示す。)、〔Z2〕-は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R10は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R11及びR12はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R13は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R14はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは〔L1−R10〕,〔L2〕のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M2は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M3は、周期律表第7〜12族元素を示す。〕
で表されるものを好適に使用することができる。
(〔L1−R10〕k+)a(〔Z〕-)b ・・・(III)
(〔L2〕k+)a(〔Z〕-)b ・・・(IV)
(L2はM2、R11R12M3、R13 3C又はR14M3である。)
〔(III),(IV)式中、L1はルイス塩基、〔Z〕-は、非配位性アニオン〔Z1〕-及び〔Z2〕-、ここで〔Z1〕-は複数の基が元素に結合したアニオンすなわち〔M1G1G2・・・Gf〕-(ここで、M1は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔(中心金属M1の原子価)+1〕の整数を示す。)、〔Z2〕-は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R10は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R11及びR12はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R13は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R14はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは〔L1−R10〕,〔L2〕のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M2は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M3は、周期律表第7〜12族元素を示す。〕
で表されるものを好適に使用することができる。
ここで、L1の具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,N,N−ジメチルアニリン,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィン,ジフェニルホスフィンなどのホスフィン類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、安息香酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル類などを挙げることができる。
R10の具体例としては水素,メチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基などを挙げることができ、R11,R12の具体例としては、シクロペンタジエニル基,メチルシクロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などを挙げることができる。R13の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基などを挙げることができ、R14の具体例としてはテトラフェニルポルフィン,フタロシアニン,アリル,メタリルなどを挙げることができる。また、M2の具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I3などを挙げることができ、M3の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Znなどを挙げることができる。
また、〔Z1〕-、すなわち〔M1G1G2・・・Gf〕において、M1の具体例としてはB,Al,Si,P,As,Sbなど、好ましくはB及びAlが挙げられる。また、G1,G2〜Gfの具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基など、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基,フェノキシ基など、炭化水素基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−エイコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基など、ハロゲン原子としてフッ素,塩素,臭素,ヨウ素,ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基など、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素などが挙げられる。
また、非配位性のアニオンすなわちpKaが−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基〔Z2〕-の具体例としてはトリフルオロメタンスルホン酸アニオン(CF3SO3)-,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ベンジルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド,過塩素酸アニオン(ClO4)-,トリフルオロ酢酸アニオン(CF3CO2)-,ヘキサフルオロアンチモンアニオン(SbF6)-,フルオロスルホン酸アニオン(FSO3)-,クロロスルホン酸アニオン(ClSO3)-,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化アンチモン(FSO3/SbF5)-,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化砒素(FSO3/AsF5)-,トリフルオロメタンスルホン酸/5−フッ化アンチモン(CF3SO3/SbF5)-などを挙げることができる。
このような前記(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成するイオン性化合物、すなわち(B−1)成分化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(4−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム,テトラキス〔ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル〕硼酸ジメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ燐酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,過塩素酸銀,トリフルオロ酢酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀などを挙げることができる。
(B−1)は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(B−2)成分のアルミノキサンとしては、一般式(V)
(B−1)は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(B−2)成分のアルミノキサンとしては、一般式(V)
(式中、R15は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基などの炭化水素基あるいはハロゲン原子を示し、wは平均重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。なお、各R15は同じでも異なっていてもよい。)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(VI)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(VI)
(R15及びwは前記一般式(V)におけるものと同じである。)
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
前記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1)有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2)重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3)金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4)テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、さらに水を反応させる方法などがある。なお、アルミノキサンとしては、トルエン不溶性のものであってもよい。
これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)触媒成分と(B)触媒成分との使用割合は、(B)触媒成分として(B−1)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは10:1〜1:100、より好ましくは2:1〜1:10の範囲が望ましく、上記範囲を逸脱する場合は、単位質量ポリマーあたりの触媒コストが高くなり、実用的でない。また(B−2)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲が望ましい。この範囲を逸脱する場合は単位質量ポリマー当りの触媒コストが高くなり、実用的でない。また、触媒成分(B)としては(B−1),(B−2)を単独又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
また、1−ブテン系重合体を製造する際の重合用触媒は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて(C)成分として有機アルミニウム化合物を用いることができる。
(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式(VII)
R16 vAlJ3-v ・・・(VII)
〔式中、R16は炭素数1〜10のアルキル基、Jは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である〕
で示される化合物が用いられる。
(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式(VII)
R16 vAlJ3-v ・・・(VII)
〔式中、R16は炭素数1〜10のアルキル基、Jは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である〕
で示される化合物が用いられる。
前記一般式(VII)で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
1−ブテン系重合体の製造方法においては、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を用いて予備接触を行なう事もできる。予備接触は、(A)成分に、例えば、(B)成分を接触させる事により行なう事ができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。これら予備接触により触媒活性の向上や、助触媒である(B)成分の使用割合の低減など、触媒コストの低減に効果的である。また、さらに、(A)成分と(B−2)成分を接触させる事により、上記効果と共に、分子量向上効果も見られる。また、予備接触温度は、通常−20℃〜200℃、好ましくは−10℃〜150℃、より好ましくは、0℃〜80℃である。予備接触においては、溶媒の不活性炭化水素として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などを用いる事ができる。これらの中で特に好ましいものは、脂肪族炭化水素である。
前記(A)触媒成分と(C)触媒成分との使用割合は、モル比で好ましくは1:1〜1:10000、より好ましくは1:5〜1:2000、さらに好ましくは1:10ないし1:1000の範囲が望ましい。該(C)触媒成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が無駄になると共に、重合体中に多量に残存し、好ましくない。
1−ブテン系重合体の製造においては、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。該担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用いることができるが、特に無機酸化物担体あるいはそれ以外の無機担体が好ましい。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2,Al2O3,MgO,ZrO2,TiO2,Fe2O3,B2O3,CaO,ZnO,BaO,ThO2やこれらの混合物、例えばシリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバーなどが挙げられる。これらの中では、特にSiO2,Al2O3が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。
一方、上記以外の担体として、MgCl2,Mg(OC2H5)2などで代表される一般式MgR17 XX1 yで表されるマグネシウム化合物やその錯塩などを挙げることができる。ここで、R17は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X1はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2であり、かつx+y=2である。各R17及び各X1はそれぞれ同一でもよく、また異なってもいてもよい。
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリ1−ブテン,置換ポリスチレン,ポリアリレートなどの重合体やスターチ,カーボンなどを挙げることができる。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2,Al2O3,MgO,ZrO2,TiO2,Fe2O3,B2O3,CaO,ZnO,BaO,ThO2やこれらの混合物、例えばシリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバーなどが挙げられる。これらの中では、特にSiO2,Al2O3が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。
一方、上記以外の担体として、MgCl2,Mg(OC2H5)2などで代表される一般式MgR17 XX1 yで表されるマグネシウム化合物やその錯塩などを挙げることができる。ここで、R17は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X1はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2であり、かつx+y=2である。各R17及び各X1はそれぞれ同一でもよく、また異なってもいてもよい。
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリ1−ブテン,置換ポリスチレン,ポリアリレートなどの重合体やスターチ,カーボンなどを挙げることができる。
1−ブテン系重合体の製造に用いられる触媒の担体としては、MgCl2,MgCl(OC2H5),Mg(OC2H5)2,SiO2,Al2O3などが好ましい。また担体の性状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰りの原因になる。
また、担体の比表面積は、通常1〜1000m2/g、好ましくは50〜500m2/g、細孔容積は通常0.1〜5cm3/g、好ましくは0.3〜3cm3/gである。
比表面積又は細孔容積の何れかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。なお比表面積及び細孔容積は、例えばBET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる。
さらに、上記担体が無機酸化物担体である場合には、通常150〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰りの原因になる。
また、担体の比表面積は、通常1〜1000m2/g、好ましくは50〜500m2/g、細孔容積は通常0.1〜5cm3/g、好ましくは0.3〜3cm3/gである。
比表面積又は細孔容積の何れかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。なお比表面積及び細孔容積は、例えばBET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる。
さらに、上記担体が無機酸化物担体である場合には、通常150〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
触媒成分の少なくとも一種を前記担体に担持させる場合、(A)触媒成分及び(B)触媒成分の少なくとも一方を、好ましくは(A)触媒成分及び(B)触媒成分の両方を担持させるのが望ましい。
該担体に、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方を担持させる方法については、特に制限されないが、例えば(1)(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とを混合する方法、(2)担体を有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物で処理したのち、不活性溶媒中で(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と混合する方法、(3)担体と(A)成分及び/又は(B)成分と有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物とを反応させる方法、(4)(A)成分又は(B)成分を担体に担持させたのち、(B)成分又は(A)成分と混合する方法、(5)(A)成分と(B)成分との接触反応物を担体と混合する方法、(6)(A)成分と(B)成分との接触反応に際して、担体を共存させる方法などを用いることができる。
なお、上記(4)、(5)及び(6)の方法において、(C)成分の有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
1−ブテン系重合体の製造に用いられる触媒の製造においては、前記(A),(B),(C)を接触させる際に、弾性波を照射させて触媒を調製してもよい。弾性波としては、通常音波、特に好ましくは超音波が挙げられる。具体的には、周波数が1〜1000kHzの超音波、好ましくは10〜500kHzの超音波が挙げられる。
このようにして得られた触媒は、いったん溶媒留去を行って固体として取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。
該担体に、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方を担持させる方法については、特に制限されないが、例えば(1)(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とを混合する方法、(2)担体を有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物で処理したのち、不活性溶媒中で(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と混合する方法、(3)担体と(A)成分及び/又は(B)成分と有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物とを反応させる方法、(4)(A)成分又は(B)成分を担体に担持させたのち、(B)成分又は(A)成分と混合する方法、(5)(A)成分と(B)成分との接触反応物を担体と混合する方法、(6)(A)成分と(B)成分との接触反応に際して、担体を共存させる方法などを用いることができる。
なお、上記(4)、(5)及び(6)の方法において、(C)成分の有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
1−ブテン系重合体の製造に用いられる触媒の製造においては、前記(A),(B),(C)を接触させる際に、弾性波を照射させて触媒を調製してもよい。弾性波としては、通常音波、特に好ましくは超音波が挙げられる。具体的には、周波数が1〜1000kHzの超音波、好ましくは10〜500kHzの超音波が挙げられる。
このようにして得られた触媒は、いったん溶媒留去を行って固体として取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。
また、1−ブテン系重合体の製造においては、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることができる。例えば(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とさらに必要により前記(C)成分の有機アルミニウム化合物を加え、エチレンなどのオレフィンを常圧〜2MPa(gauge)加えて、−20〜200℃で1分〜2時間程度予備重合を行い触媒粒子を生成させる方法を用いることができる。
この1−ブテン系重合体の製造に用いられる触媒における(B−1)成分と担体との使用割合は、質量比で好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましく、(B−2)成分と担体との使用割合は、質量比で好ましくは1:0.5〜1:1000、より好ましくは1:1〜1:50とするのが望ましい。(B)成分として二種以上を混合して用いる場合は、各(B)成分と担体との使用割合が質量比で上記範囲内にあることが望ましい。また、(A)成分と担体との使用割合は、質量比で、好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましい。
(B)成分〔(B−1)成分又は(B−2)成分〕と担体との使用割合、又は(A)成分と担体との使用割合が上記範囲を逸脱すると、活性が低下することがある。
(B)成分〔(B−1)成分又は(B−2)成分〕と担体との使用割合、又は(A)成分と担体との使用割合が上記範囲を逸脱すると、活性が低下することがある。
このようにして調製された重合用触媒の平均粒径は、通常2〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは20〜100μmであり、比表面積は、通常20〜1000m2/g、好ましくは50〜500m2/gである。平均粒径が2μm未満であると重合体中の微粉が増大することがあり、200μmを超えると重合体中の粗大粒子が増大することがある。比表面積が20m2/g未満であると活性が低下することがあり、1000m2/gを超えると重合体の嵩密度が低下することがある。また、1−ブテン系重合体の製造に用いられる触媒において、担体100g中の遷移金属量は、通常0.05〜10g、特に0.1〜2gであることが好ましい。遷移金属量が上記範囲外であると、活性が低くなることがある。
このように担体に担持することによって工業的に有利な高い嵩密度と優れた粒径分布を有する重合体を得ることができる。
このように担体に担持することによって工業的に有利な高い嵩密度と優れた粒径分布を有する重合体を得ることができる。
本発明で用いられる1−ブテン系重合体は、上述した重合用触媒を用いて、1−ブテンを単独重合、又は1−ブテン並びにエチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンを除く)とを共重合させることにより製造される。
この場合、重合方法は特に制限されず、スラリー重合法,気相重合法,塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法などのいずれの方法を用いてもよいが、スラリー重合法,気相重合法が特に好ましい。
重合条件については、重合温度は通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは0〜130℃である。また、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)が好ましくは1〜108、特に100〜105となることが好ましい。重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は好ましくは常圧〜20MPa(gauge)、さらに好ましくは常圧〜10MPa(gauge)である。
この場合、重合方法は特に制限されず、スラリー重合法,気相重合法,塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法などのいずれの方法を用いてもよいが、スラリー重合法,気相重合法が特に好ましい。
重合条件については、重合温度は通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは0〜130℃である。また、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)が好ましくは1〜108、特に100〜105となることが好ましい。重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は好ましくは常圧〜20MPa(gauge)、さらに好ましくは常圧〜10MPa(gauge)である。
重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の種類,使用量,重合温度の選択、さらには水素存在下での重合などがある。
重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶媒で行うことができる。
重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶媒で行うことができる。
重合に際しては、前記重合用触媒を用いて予備重合を行うことができる。予備重合は、固体触媒成分に、例えば、少量のオレフィンを接触させることにより行うことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。予備重合に用いるオレフィンについては特に制限はなく、前記に例示したものと同様のもの、例えばエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、あるいはこれらの混合物などを挙げることができるが、該重合において用いるオレフィンと同じオレフィンを用いることが有利である。
また、予備重合温度は、通常−20〜200℃、好ましくは−10〜130℃、より好ましくは0〜80℃である。予備重合においては、溶媒として、脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素,モノマーなどを用いることができる。これらの中で特に好ましいのは脂肪族炭化水素である。また、予備重合は無溶媒で行ってもよい。
予備重合においては、予備重合生成物の極限粘度〔η〕(135℃デカリン中で測定)が0.2デシリットル/g以上、特に0.5デシリットル/g以上、触媒中の遷移金属成分1ミリモル当たりに対する予備重合生成物の量が1〜10000g、特に10〜1000gとなるように条件を調整することが望ましい。
また、予備重合温度は、通常−20〜200℃、好ましくは−10〜130℃、より好ましくは0〜80℃である。予備重合においては、溶媒として、脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素,モノマーなどを用いることができる。これらの中で特に好ましいのは脂肪族炭化水素である。また、予備重合は無溶媒で行ってもよい。
予備重合においては、予備重合生成物の極限粘度〔η〕(135℃デカリン中で測定)が0.2デシリットル/g以上、特に0.5デシリットル/g以上、触媒中の遷移金属成分1ミリモル当たりに対する予備重合生成物の量が1〜10000g、特に10〜1000gとなるように条件を調整することが望ましい。
[3]ポリオレフィン系樹脂組成物(A)
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)は前記の1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%とプロピレン系樹脂〔II〕99〜1重量%および造核剤を10ppm以上からなるものであり、1−ブテン系重合体〔I〕/プロピレン系樹脂〔II〕の好ましい重量比は10/90〜90/10、更に好ましい重量比は10/90〜60/40である。
プロピレン系樹脂〔II〕としてはプロピレンのみの重合体であるホモポリプロピレン、例えばプロピレン−エチレンのランダムポリプロピレン、例えばプロピレン/プロピレン−エチレンのブロックポリプロピレン等がある。また、後記する〔5〕結晶性プロピレン系重合体を使用することもできる。
本発明におけるプロピレン系樹脂〔II〕の重量平均分子量は,実用性の観点から1−ブテン系重合体と同様に、通常10,000〜1,000,000である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)は前記の1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%とプロピレン系樹脂〔II〕99〜1重量%および造核剤を10ppm以上からなるものであり、1−ブテン系重合体〔I〕/プロピレン系樹脂〔II〕の好ましい重量比は10/90〜90/10、更に好ましい重量比は10/90〜60/40である。
プロピレン系樹脂〔II〕としてはプロピレンのみの重合体であるホモポリプロピレン、例えばプロピレン−エチレンのランダムポリプロピレン、例えばプロピレン/プロピレン−エチレンのブロックポリプロピレン等がある。また、後記する〔5〕結晶性プロピレン系重合体を使用することもできる。
本発明におけるプロピレン系樹脂〔II〕の重量平均分子量は,実用性の観点から1−ブテン系重合体と同様に、通常10,000〜1,000,000である。
一般に、1−ブテン系重合体の結晶化は、結晶核生成過程と結晶成長過程の2過程からなり、結晶核生成過程では、結晶化温度との温度差や分子鎖の配向等の状態がその結晶核生成速度に影響を与えると言われている。特に分子鎖の吸着等を経て分子鎖配向を助長する効果のある物質が存在すると結晶核生成速度は著しく増大することが知られている。本発明に用いられる造核剤としては、結晶核生成過程の進行速度を向上させる効果があるものであればよい。結晶核生成過程の進行速度を向上させる効果があるものとしては、重合体の分子鎖の吸着過程を経て分子鎖配向を助長する効果のある物質が挙げられる。
上記造核剤の具体例としては、高融点ポリマー、有機カルボン酸若しくはその金属塩、芳香族スルホン酸塩若しくはその金属塩、有機リン酸化合物若しくはその金属塩、ジベンジリデンソルビトール若しくはその誘導体、ロジン酸部分金属塩、無機微粒子、イミド類、アミド類、キナクリドン類、キノン類又はこれらの混合物が挙げられる。
これらの造核剤は、一種類を用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記造核剤の具体例としては、高融点ポリマー、有機カルボン酸若しくはその金属塩、芳香族スルホン酸塩若しくはその金属塩、有機リン酸化合物若しくはその金属塩、ジベンジリデンソルビトール若しくはその誘導体、ロジン酸部分金属塩、無機微粒子、イミド類、アミド類、キナクリドン類、キノン類又はこれらの混合物が挙げられる。
これらの造核剤は、一種類を用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
高融点ポリマーとしては、ポリ3−メチルペンテン−1、ポリ3−メチルブテン−1等のポリオレフィン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン等のポリビニルシクロアルカン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアルケニルシラン等が挙げられる。
金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピロールカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
造核剤としてジベンジリデンソルビトール又はその誘導体を含むポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなるフィルムは、特に透明性に優れディスプレー効果が大きいため、玩具、文具等の包装に好適である。
ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−クロロベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。また、具体的には、新日本理化(製)のゲルオールMDやゲルオールMD−R(商品名)等も挙げられる。
ロジン酸部分金属塩としては、荒川化学工業(製)のパインクリスタルKM1600、パインクリスタルKM1500、パインクリスタルKM1300(商品名)等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂組成物(A)は、造核剤として前記のタルク等の無機微粒子を用いると、フィルムに成形した場合、スリップ性にも優れ、印刷特性などの特性が向上するので好ましい。
無機微粒子としては、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファィト、アルミニウム粉末、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉末、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、硫化モリブデンなどが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)は、中でも下記一般式で示される有機リン酸金属塩及び/又はタルク等の無機微粒子を用いることが臭いの発生が少なく好ましい。このポリオレフィン系樹脂組成物(A)は食品向けの用途に好適である。有機リン酸金属塩の具体例としては、アデカスタブNA−11やアデカスタブNA−21(旭電化株式会社(製))が挙げられる。
金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピロールカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
造核剤としてジベンジリデンソルビトール又はその誘導体を含むポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなるフィルムは、特に透明性に優れディスプレー効果が大きいため、玩具、文具等の包装に好適である。
ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−クロロベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。また、具体的には、新日本理化(製)のゲルオールMDやゲルオールMD−R(商品名)等も挙げられる。
ロジン酸部分金属塩としては、荒川化学工業(製)のパインクリスタルKM1600、パインクリスタルKM1500、パインクリスタルKM1300(商品名)等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂組成物(A)は、造核剤として前記のタルク等の無機微粒子を用いると、フィルムに成形した場合、スリップ性にも優れ、印刷特性などの特性が向上するので好ましい。
無機微粒子としては、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファィト、アルミニウム粉末、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉末、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、硫化モリブデンなどが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)は、中でも下記一般式で示される有機リン酸金属塩及び/又はタルク等の無機微粒子を用いることが臭いの発生が少なく好ましい。このポリオレフィン系樹脂組成物(A)は食品向けの用途に好適である。有機リン酸金属塩の具体例としては、アデカスタブNA−11やアデカスタブNA−21(旭電化株式会社(製))が挙げられる。
(式中、R18は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R19及びR20はそれぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び亜鉛のうちのいずれかを示し、Mがアルカリ金属のときmは0を、nは1を示し、Mがアルカリ土類金属又は亜鉛のときnは1又は2を示し、nが1のときmは1を、nが2のときmは0を示し、Mがアルミニウムのときmは1を、nは2を示す。)
また、造核剤としてアミド化合物を含むポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなるフィルムは、特に剛性に優れ、高速製袋における巻き皺等の問題が起こりにくいため、高速製袋機でのあらゆる汎用包装フィルムとして好適である。
アミド化合物としては、アジピン酸ジアニリド、スペリン酸ジアニリド等が挙げられる。
上記造核剤の添加量は通常、1−ブテン系重合体に対して10ppm以上であり、好ましくは50〜3000ppmの範囲である。10ppm未満では成形性の改善がみられず、一方、造核剤の添加量を多くしてもそれに見合う効果が得られないことがある。
また、造核剤の種類にもよるが、一般にポリオレフィン系重合体組成物の透明性、耐衝撃性の観点から、造核剤の添加量は、1000ppm以下が好ましい。より具体的な添加量として、ソルビドール系造核剤として、ジベンジリデンソルビトールでは、3000ppm以下、更には1500ppm以下、特には500ppm以下とするのが好ましい。ビス(pメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトールでは1200ppm以下とするのが好ましい。有機リン酸金属塩である有機リン酸Na塩では500ppm以下、更には250ppm以下、特には125ppm以下とするのが好ましい。有機リン酸Al塩では、1900ppm以下、更には1500ppm以下、特には500ppm以下とするのが好ましい。タルクとして、浅田製粉社製、タルクMMRでは、4000ppm以下、更には2000ppm以下、特には1000ppm以下とするのが好ましい。アミド系化合物として、新日本理化社製、エヌジェスターNU−100では、3000ppm以下、更には1500ppm以下、特には500ppm以下とするのが好ましい。
アミド化合物としては、アジピン酸ジアニリド、スペリン酸ジアニリド等が挙げられる。
上記造核剤の添加量は通常、1−ブテン系重合体に対して10ppm以上であり、好ましくは50〜3000ppmの範囲である。10ppm未満では成形性の改善がみられず、一方、造核剤の添加量を多くしてもそれに見合う効果が得られないことがある。
また、造核剤の種類にもよるが、一般にポリオレフィン系重合体組成物の透明性、耐衝撃性の観点から、造核剤の添加量は、1000ppm以下が好ましい。より具体的な添加量として、ソルビドール系造核剤として、ジベンジリデンソルビトールでは、3000ppm以下、更には1500ppm以下、特には500ppm以下とするのが好ましい。ビス(pメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトールでは1200ppm以下とするのが好ましい。有機リン酸金属塩である有機リン酸Na塩では500ppm以下、更には250ppm以下、特には125ppm以下とするのが好ましい。有機リン酸Al塩では、1900ppm以下、更には1500ppm以下、特には500ppm以下とするのが好ましい。タルクとして、浅田製粉社製、タルクMMRでは、4000ppm以下、更には2000ppm以下、特には1000ppm以下とするのが好ましい。アミド系化合物として、新日本理化社製、エヌジェスターNU−100では、3000ppm以下、更には1500ppm以下、特には500ppm以下とするのが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)の製造方法としては、前記の1−ブテン重合体〔I〕とプロピレン系樹脂〔II〕および造核剤、更に所望に応じて用いられる各種添加剤とをブレンドする方法が挙げられる。所望に応じて用いられる各種添加剤としては、酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、又は帯電防止剤等が挙げられる。
ブレンドする方法には混練機を用いて混練するパウダーブレンド法や重合反応槽内でブレンドするリアクターブレンド法が挙げられる。パウダーブレンド法の混練機としてはバンバリーミキサーや2軸混練機等が挙げられる。また、各成分が充分にブレンドされるリアクターブレンド法を採用することもできる。このリアクターブレンド法としては、2以上の重合工程を経る多段重合法或いは2以上の遷移金属化合物からなる共触媒を用いる重合方法(マルチステージ重合)が挙げられる。この場合、重合後に造核剤が添加される。
ブレンドする方法には混練機を用いて混練するパウダーブレンド法や重合反応槽内でブレンドするリアクターブレンド法が挙げられる。パウダーブレンド法の混練機としてはバンバリーミキサーや2軸混練機等が挙げられる。また、各成分が充分にブレンドされるリアクターブレンド法を採用することもできる。このリアクターブレンド法としては、2以上の重合工程を経る多段重合法或いは2以上の遷移金属化合物からなる共触媒を用いる重合方法(マルチステージ重合)が挙げられる。この場合、重合後に造核剤が添加される。
多段重合法としては、少なくとも1−ブテン系重合体を製造する工程、すなわち、少なくとも低規則性メタロセン触媒を用いる重合工程を経る重合方法が挙げられる。低規則性メタロセン触媒とは、前記の1−ブテン系重合体を与えるメタロセン触媒をいう。具体的には、1−ブテン系重合体の製造用触媒として例示した触媒が挙げられる。
また、多段重合法としては、例えば、高活性担持型のチーグラー・ナッタ触媒と低規則性メタロセン触媒を用いる多段逐次重合法や、高規則性メタロセン触媒と低規則性メタロセン触媒を用いる多段逐次重合法なども挙げられる。
高活性担持型のチーグラー・ナッタ触媒としては、メソペンタッド分率(mmmm)が60モル%を超えるポリプロピレンを与える高活性担持型のチーグラー・ナッタ触媒が好ましい。高規則性メタロセン触媒としては、メソペンタッド分率(mmmm)が60モル%を超えるポリプロピレンを与えるメタロセン触媒が好ましい。高規則性メタロセン触媒としては、特開昭58−19309号公報、特開昭61−l30314号公報、特開平3−l63088号公報、特開平4−300887号公報、特開平4−211694号公報、特表平l−502036号公報等に記載されるようなシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基等を1又は2個配位子とする遷移金属化合物、及び該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られる触媒が挙げられる。
また、多段重合法としては、例えば、高活性担持型のチーグラー・ナッタ触媒と低規則性メタロセン触媒を用いる多段逐次重合法や、高規則性メタロセン触媒と低規則性メタロセン触媒を用いる多段逐次重合法なども挙げられる。
高活性担持型のチーグラー・ナッタ触媒としては、メソペンタッド分率(mmmm)が60モル%を超えるポリプロピレンを与える高活性担持型のチーグラー・ナッタ触媒が好ましい。高規則性メタロセン触媒としては、メソペンタッド分率(mmmm)が60モル%を超えるポリプロピレンを与えるメタロセン触媒が好ましい。高規則性メタロセン触媒としては、特開昭58−19309号公報、特開昭61−l30314号公報、特開平3−l63088号公報、特開平4−300887号公報、特開平4−211694号公報、特表平l−502036号公報等に記載されるようなシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基等を1又は2個配位子とする遷移金属化合物、及び該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られる触媒が挙げられる。
また、共触媒を用いる重合方法としては、少なくとも1成分が低規則性メタロセン触媒からなる共触媒を用いる重合方法が挙げられる。例えば、高規則性メタロセン触媒と低規則性メタロセン触媒からなる共触媒を用いる重合方法が挙げられる。共触媒は担持されていてもよい。例えば、高規則性メタロセン触媒と低規則性メタロセン触媒を担体に担持して得られる共担持触媒を用いる重合方法等が挙げられる。低規則性メタロセン触媒としては、前記の1−ブテン系重合体を与えるメタロセン触媒が挙げられる。
該ポリオレフィン系樹脂組成物(A)の製造方法として共触媒を用いる重合方法の場合、共担持触媒を用いる重合方法が好ましい。
該ポリオレフィン系樹脂組成物(A)の製造方法として共触媒を用いる重合方法の場合、共担持触媒を用いる重合方法が好ましい。
[4]フィルム
本発明のフィルムは、前記のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形して得られるフィルムである。本発明のフィルムは、透明性、柔軟性に優れ、結晶安定化速度が大きいという特徴があり、べたつきが少なく、低温衝撃性に優れている。
本発明のフィルムの用途としては、食品包装用フィルムや農業用フィルム等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体がフィルム、シート等の包装材料である場合、低温ヒートシール性に優れ、ヒートシール温度域が広く、優れたホットタック性を有する。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム(シートを含む)の厚さは通常1μm〜1cmであり、該フィルムの弾性率TMは6MPa以上であることが好ましい。フィルム弾性率TMが6MPa未満では、べたつき易い。
フィルム弾性率TM(MPa)とヒートシール温度HST(℃)の関係は、フィルム弾性率TM(MPa)とJIS Z−1707に準拠して一昼夜室温で放置(エージングと云う)後に測定したヒートシール温度HST1(℃)の関係が、TM≧12.5×HST1−1100、好ましくはTM≧12.5×HST1−1050、さらに好ましくはTM≧12.5×HST1−1000である。TMとHST1の関係が該範囲を外れた場合には、二次加工速度が低下する。
また、一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)と、30日エージング後に測定した経時ヒートシール温度HST30(℃)の関係は、HST30−HST1≦5であることが好ましく、HST30−HST1≦3であることがさらに好ましい。HST30−HST1>5の場合には、ヒートシール温度の経時的変動が大きいので、二次加工時にシール不良が増加することがある。
更に、フィルムインパクト強度は大きい程好ましいが、後記の評価方法において、好ましくは5000J/m、更に好ましくは8000J/m以上である。
本発明のフィルムは、前記のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形して得られるフィルムである。本発明のフィルムは、透明性、柔軟性に優れ、結晶安定化速度が大きいという特徴があり、べたつきが少なく、低温衝撃性に優れている。
本発明のフィルムの用途としては、食品包装用フィルムや農業用フィルム等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体がフィルム、シート等の包装材料である場合、低温ヒートシール性に優れ、ヒートシール温度域が広く、優れたホットタック性を有する。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム(シートを含む)の厚さは通常1μm〜1cmであり、該フィルムの弾性率TMは6MPa以上であることが好ましい。フィルム弾性率TMが6MPa未満では、べたつき易い。
フィルム弾性率TM(MPa)とヒートシール温度HST(℃)の関係は、フィルム弾性率TM(MPa)とJIS Z−1707に準拠して一昼夜室温で放置(エージングと云う)後に測定したヒートシール温度HST1(℃)の関係が、TM≧12.5×HST1−1100、好ましくはTM≧12.5×HST1−1050、さらに好ましくはTM≧12.5×HST1−1000である。TMとHST1の関係が該範囲を外れた場合には、二次加工速度が低下する。
また、一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)と、30日エージング後に測定した経時ヒートシール温度HST30(℃)の関係は、HST30−HST1≦5であることが好ましく、HST30−HST1≦3であることがさらに好ましい。HST30−HST1>5の場合には、ヒートシール温度の経時的変動が大きいので、二次加工時にシール不良が増加することがある。
更に、フィルムインパクト強度は大きい程好ましいが、後記の評価方法において、好ましくは5000J/m、更に好ましくは8000J/m以上である。
本発明のフィルムを製膜する場合は、一般的な圧縮成形法、押し出し成形法等により行うことができる。
なお、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形して得られたフィルムは、延伸してもしなくともよい。延伸する場合は、2軸延伸が好ましい。2軸延伸の条件としては、下記のような条件が挙げられる。
(1)シート成形時の成形条件
樹脂温度50〜200℃、チルロール温度50℃以下
(2)縦延伸条件
延伸倍率3〜7倍、延伸温度50〜100℃
(3)横延伸条件
延伸倍率6〜12倍、延伸温度50〜100℃
なお、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形して得られたフィルムは、延伸してもしなくともよい。延伸する場合は、2軸延伸が好ましい。2軸延伸の条件としては、下記のような条件が挙げられる。
(1)シート成形時の成形条件
樹脂温度50〜200℃、チルロール温度50℃以下
(2)縦延伸条件
延伸倍率3〜7倍、延伸温度50〜100℃
(3)横延伸条件
延伸倍率6〜12倍、延伸温度50〜100℃
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形して得られたフィルムは、必要に応じてその表面を処理し、表面エネルギーを大きくしたり、表面を極性にしたりしてもよい。例えば処理方法としては、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾンや紫外線照射処理等が挙げられる。表面の凹凸化方法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を(A)成形して得られたフィルムには、常用される酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、又は帯電防止剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)にタルク等の無機微粒子を配合し成形して得られたフィルムは、スリップ性にも優れるため、製袋、印刷等の二次加工性が向上し、各種自動充填包装ラミネート等の高速製造装置でのあらゆる汎用包装フィルムに好適である。
また、本発明によるポリオレフィン系樹脂組成物(A)で多層フィルムを製造することもできる。ポリオレフィン系樹脂多層積層体を製造する方法は特に制限がなく、例えば、溶融共押出し成形法により製造する方法が挙げられる。なかでも、大型成形機により高速成形が実施できるTダイキャスト成形法が特に好ましい。引取速度は通常50m/minまたはこれ以上に高速製膜条件であってもよい。多層積層体の厚みは特に制限はないが、通常10〜5000μm程度である。この多層積層体においては、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)を最外層又は中間層として用いることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)にタルク等の無機微粒子を配合し成形して得られたフィルムは、スリップ性にも優れるため、製袋、印刷等の二次加工性が向上し、各種自動充填包装ラミネート等の高速製造装置でのあらゆる汎用包装フィルムに好適である。
また、本発明によるポリオレフィン系樹脂組成物(A)で多層フィルムを製造することもできる。ポリオレフィン系樹脂多層積層体を製造する方法は特に制限がなく、例えば、溶融共押出し成形法により製造する方法が挙げられる。なかでも、大型成形機により高速成形が実施できるTダイキャスト成形法が特に好ましい。引取速度は通常50m/minまたはこれ以上に高速製膜条件であってもよい。多層積層体の厚みは特に制限はないが、通常10〜5000μm程度である。この多層積層体においては、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)を最外層又は中間層として用いることができる。
[5]結晶性ポリプロピレン系重合体
本発明の多層積層体におけるポリオレフィン樹脂組成物(B)を構成する結晶性プロピレン系重合体〔II〕としては、結晶性を示すプロピレン系重合体であればよく、特に制限はない。もし、結晶性を示さないものでは、フィルムやシートの耐熱性が低下することがある。
結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などが挙げられる。
また、結晶性プロピレン系重合体〔II〕の分子量については、いずれの場合にも成形性の観点から選択され、Tダイキャストフィルム成形にはメルトインデックスが2〜20g/10min程度のものが好ましく、シート成形には1〜10g/10min程度のものが好ましい。これらの中から、フィルムやシートの目的とする用途により任意に選択して用いることができる。
本発明の多層積層体におけるポリオレフィン樹脂組成物(B)を構成する結晶性プロピレン系重合体〔II〕としては、結晶性を示すプロピレン系重合体であればよく、特に制限はない。もし、結晶性を示さないものでは、フィルムやシートの耐熱性が低下することがある。
結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などが挙げられる。
また、結晶性プロピレン系重合体〔II〕の分子量については、いずれの場合にも成形性の観点から選択され、Tダイキャストフィルム成形にはメルトインデックスが2〜20g/10min程度のものが好ましく、シート成形には1〜10g/10min程度のものが好ましい。これらの中から、フィルムやシートの目的とする用途により任意に選択して用いることができる。
結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、具体的に例をあげれば耐熱性、ヒートシール強度が重視される用途には融点が高く、結晶性の高いプロピレン系単独重合体が好ましく、特開平8−85711号公報に記載されたものを例示することができる。
即ち本発明における結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、
(1)立体規則性指標であるアイソタクチックベンタッド分率(P)が85.0〜92.0モル%及びn−ヘプタン不溶部量(H)が98.0〜97.0重量%であり、かつPとHとの関係が、式
0.750P+27.125<H
を満たすこと、及び
(2)メルトインデックス(MI)が1〜20g/10minであり、かつ温度175℃において、周波数分散測定により得られる周波数ω0=100rad/secにおける緩和時間τ(sec)とMIとの関係が、式
τ≦0.65−0.025MI
を満たすポリプロピレン系重合体が挙げられる。
即ち本発明における結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、
(1)立体規則性指標であるアイソタクチックベンタッド分率(P)が85.0〜92.0モル%及びn−ヘプタン不溶部量(H)が98.0〜97.0重量%であり、かつPとHとの関係が、式
0.750P+27.125<H
を満たすこと、及び
(2)メルトインデックス(MI)が1〜20g/10minであり、かつ温度175℃において、周波数分散測定により得られる周波数ω0=100rad/secにおける緩和時間τ(sec)とMIとの関係が、式
τ≦0.65−0.025MI
を満たすポリプロピレン系重合体が挙げられる。
さらに好ましくは、
(1’)立体規則性指標であるアイソタクチックベンタッド分率(P)が85.0〜92.0モル%及びn−ヘプタン不溶部量(H)が86.0〜97.0重量%であり、かつPとHとの関係が、式
0.750P十26.000<H
を満たすこと、及び
(2’)メルトインデックス(MI)が1〜25g/10minであり、かつ温度175℃において、周波数分散測定により得られる周波数ω0=100rad/secにおける緩和時間τ(sec)とMIとの関係が、式
τ≦0.63−0.025MI
を満たすポリプロピレン系重合体が挙げられる。
(1’)立体規則性指標であるアイソタクチックベンタッド分率(P)が85.0〜92.0モル%及びn−ヘプタン不溶部量(H)が86.0〜97.0重量%であり、かつPとHとの関係が、式
0.750P十26.000<H
を満たすこと、及び
(2’)メルトインデックス(MI)が1〜25g/10minであり、かつ温度175℃において、周波数分散測定により得られる周波数ω0=100rad/secにおける緩和時間τ(sec)とMIとの関係が、式
τ≦0.63−0.025MI
を満たすポリプロピレン系重合体が挙げられる。
なお、前記のP,H,MI,ω0及びτの意味、測定方法並びにプロピレン系重合体の製造方法等に関しては特開平8−85711号公報に記載されたとおりである。
またフィルムやシートの低温ヒートシール性を改良する場合には、結晶性プロピレン系重合体〔II〕も低温ヒートシール性に優れたプロピレン、エチレンランダム共重合体やプロピレン、エチレン、1−ブテンランダム共重合体などが好ましく、特開平9−208629号公報、特開平9−272718号公報、特開平10−130336号公報などに記載されたものを例示することができる。
その中でも、本発明における結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、プロピレンとエチレンの共重合体であって、下記の(a)〜(e)を満足するプロピレン系共重体が好適なものとして挙げられる。(特開平9−208629号公報)
(a)共重合体中のエチレン単位の合有量(χ(wt%))が3〜10wt%である。
(b)共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が、4〜12g/10minである。
(c)沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt%))とχが式(I)または(II)の関係を満たす。
E≦0.25χ十1.1 (χ=3〜6wt%) (I)
E≦2.6 (χ=6〜10wt%) (II)
(d)示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが式(III)または(IV)の関係を満たす。
Tm≦140 (χ=3〜5wt%) (III)
Tm≦165−5χ (χ=5〜10wt%) (IV)
(e)13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0mol%以上である
またフィルムやシートの低温ヒートシール性を改良する場合には、結晶性プロピレン系重合体〔II〕も低温ヒートシール性に優れたプロピレン、エチレンランダム共重合体やプロピレン、エチレン、1−ブテンランダム共重合体などが好ましく、特開平9−208629号公報、特開平9−272718号公報、特開平10−130336号公報などに記載されたものを例示することができる。
その中でも、本発明における結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、プロピレンとエチレンの共重合体であって、下記の(a)〜(e)を満足するプロピレン系共重体が好適なものとして挙げられる。(特開平9−208629号公報)
(a)共重合体中のエチレン単位の合有量(χ(wt%))が3〜10wt%である。
(b)共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が、4〜12g/10minである。
(c)沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt%))とχが式(I)または(II)の関係を満たす。
E≦0.25χ十1.1 (χ=3〜6wt%) (I)
E≦2.6 (χ=6〜10wt%) (II)
(d)示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが式(III)または(IV)の関係を満たす。
Tm≦140 (χ=3〜5wt%) (III)
Tm≦165−5χ (χ=5〜10wt%) (IV)
(e)13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0mol%以上である
または、本発明における結晶性プロピレン系重合体〔II〕として、プロピレンとエチレンのランダム共重合体であって、下記の(f)〜(j)を満足するプロピレン系ランダム共重合体が挙げられる。(特開平9−272718号公報)
(f)共重合体中のエチレン単位の合有量(χ(wt%))が0.2〜4wt%である。
(g)共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が4〜12g/10minである。
(h)沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt%))とχが式(1)の関係を満たす。
E≦0.25χ十1.1 ・・・(1)
(i)示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが式(2)の関係を満たす。
Tm≦165−5χ ・・・(2)
(j)13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0mol%以上である。
(f)共重合体中のエチレン単位の合有量(χ(wt%))が0.2〜4wt%である。
(g)共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が4〜12g/10minである。
(h)沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt%))とχが式(1)の関係を満たす。
E≦0.25χ十1.1 ・・・(1)
(i)示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが式(2)の関係を満たす。
Tm≦165−5χ ・・・(2)
(j)13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0mol%以上である。
次に、エチレン/1−ブテン/プロピレン共重合体としては、特開平11−60639号公報に記載してあるものが挙げられる。すなわち、プロピレン、エチレン及び1−ブテンの共重合体であって、下記の(k)〜(p)を満足するプロピレン系ランダム共重合体である。
(k)共重合体中のエチレン単位の合有量(αmol%)と1−ブテン単位の合有量(βmol%)が(3)式を満たす。
4≦α+β≦15・・・(3)
(l)共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が1〜12g/10minである。
(m)沸騰ジエチルエーテル抽出量(E)と(α+β)の関係が(α+β)≦12の場合には式(4)を、(α+β)>12の場合には式(5)の関係を満たす。
E≦0.2(α+β)十0.6・・・(4)
E≦3.0 ・・・(5)
(n)示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))と(α+β)が式(6)の関係を満たす。
Tm≦164−3.6(α+β)・・・(6)
(o)13C−NMRで測定した立体規則性指標P(mol%)が98mol%以上である。
(p)ゲルパーミエインョンクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が6以下である。
なお、各パラメーターの意味及び測定方法並びに各重合体の製造方法は、それぞれの公報の記載のとおりである。
(k)共重合体中のエチレン単位の合有量(αmol%)と1−ブテン単位の合有量(βmol%)が(3)式を満たす。
4≦α+β≦15・・・(3)
(l)共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が1〜12g/10minである。
(m)沸騰ジエチルエーテル抽出量(E)と(α+β)の関係が(α+β)≦12の場合には式(4)を、(α+β)>12の場合には式(5)の関係を満たす。
E≦0.2(α+β)十0.6・・・(4)
E≦3.0 ・・・(5)
(n)示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))と(α+β)が式(6)の関係を満たす。
Tm≦164−3.6(α+β)・・・(6)
(o)13C−NMRで測定した立体規則性指標P(mol%)が98mol%以上である。
(p)ゲルパーミエインョンクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が6以下である。
なお、各パラメーターの意味及び測定方法並びに各重合体の製造方法は、それぞれの公報の記載のとおりである。
[6]ポリオレフィン樹脂組成物(B)
本発明の多層体の最外層を構成するポリオレフィン樹脂組成物(B)は、前記した1−ブテン系重合体〔I〕と結晶性プロピレン系重合体〔II〕をヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドしたものであってもよく、或いは、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて、溶融混練したものであってもよい。
配合の割合は通常、1−ブテン系重合体〔I〕を1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%である。1−ブテン系重合体〔I〕が1重量%未満であると柔軟性が低下したりすることがある。
本発明の多層体の最外層を構成するポリオレフィン樹脂組成物(B)は、前記した1−ブテン系重合体〔I〕と結晶性プロピレン系重合体〔II〕をヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドしたものであってもよく、或いは、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて、溶融混練したものであってもよい。
配合の割合は通常、1−ブテン系重合体〔I〕を1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%である。1−ブテン系重合体〔I〕が1重量%未満であると柔軟性が低下したりすることがある。
該ポリオレフィン樹脂組成物(B)は、ヒートシール強度に関して、ヒートシール温度HST(℃)とホットタック温度TH(℃)との関係が、次式を満たすことが好ましい。
TH<1.29×HST−54.5
この式を満たさない場合、高速製袋やヒートシール強度の面で十分な性能が得られない場合がある。
なお、ヒートシール温度HSTおよびホットタック温度THの測定方法については後の実施例で説明する。
また、該ポリオレフィン樹脂組成物(B)は、前述のH25が0〜25重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0〜10重量%である。H25が25重量%を超えると、べたつき成分の量が多いため、ブロッキングの低下が起こり、食品用途や医療品用途には使えないことがある。
なお、ポリオレフィン樹脂組成物(B)のH25は前述の1−ブテン系重合体の場合と同様に算出できる。
TH<1.29×HST−54.5
この式を満たさない場合、高速製袋やヒートシール強度の面で十分な性能が得られない場合がある。
なお、ヒートシール温度HSTおよびホットタック温度THの測定方法については後の実施例で説明する。
また、該ポリオレフィン樹脂組成物(B)は、前述のH25が0〜25重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0〜10重量%である。H25が25重量%を超えると、べたつき成分の量が多いため、ブロッキングの低下が起こり、食品用途や医療品用途には使えないことがある。
なお、ポリオレフィン樹脂組成物(B)のH25は前述の1−ブテン系重合体の場合と同様に算出できる。
該ポリオレフィン樹脂組成物(B)には、所望に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。所望に応じて用いられる各種添加剤としては、酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、又は帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
リン系酸化防止剤の具体例としては、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、アデカスタブ1178(旭電化製)、スミライザーTNP(住友化学製)、JP−135(城北化学製)、アデカスタブ2112(旭電化製)、JPP−2000(城北化学製)、Weston618(GE製)、アデカスタブPEP−24G(旭電化製)、アデカスタブPEP−36(旭電化製)、アデカスタブHP−10(旭電化製)、SandstabP−EPQ(サンド製)、フォスファイト168(チバ・ガイギー製)等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、スミライザーBHT(住友化学製)、ヨシノックスBHT(吉富製薬製)、アンテージBHT(川口化学製)、イルガノックス1076(チバ・ガイギー製)、イルガノックス1010(チバ・ガイギー製)、アデカスタブAO−60(旭電化製)、スミライザーBP−101(住友化学製)、トミノックスTT(吉富製薬製)、TTHP(東レ製)、イルガノックス3114(チバ・ガイギー製)、アデカスタブAO−20(旭電化製)、アデカスタブAO−40(旭電化製)、スミライザーBBM−S(住友化学製)、ヨシノックスBB(吉富製薬製)、アンテージW−300(川口化学製)、イルガノックス245(チバ・ガイギー製)、アデカスタブAO−70(旭電化製)、トミノックス917(吉富製薬製)、アデカスタブAO−80(旭電化製)、スミライザーGA−80(住友化学製)等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、スミライザーTPL(住友化学製)、ヨシノックスDLTP(吉富製薬製)、アンチオックスL(日本油脂製)、スミライザーTPM(住友化学製)、ヨシノックスDMTP(吉富製薬製)、アンチオックスM(日本油脂製)、スミライザーTPS(住友化学製)、ヨシノックスDSTP(吉富製薬製)、アンチオックスS(日本油脂製)、アデカスタブAO−412S(旭電化製)、SEENOX412S(シプロ化製成)、スミライザーTDP(住友化学製)等が挙げられる。
フィルム、シート用途の酸化防止剤としては、イルガノックス1010〔物質名:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]〕、イルガフォス168〔物質名:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト〕、イルガノックス1076〔物質名:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、イルガノックス1330〔物質名:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン〕、イルガノックス3114〔物質名:トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト〕、P−EPQ〔物質名:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスファイト〕が特に好ましい。
該ポリオレフィン樹脂組成物(B)において酸化防止剤を用いる場合は、ポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対し酸化防止剤を0.001〜1重量部程度添加すればよい。これにより、黄変等を防ぐことができて好ましい。
上記の酸化防止剤の具体的な使用例を挙げれば、
例1:イルガノックス1010 1000ppm
PEP−Q 1000ppm
例2:イルガノックス1076 1200ppm
PEP−Q 600ppm
イルガフォス168 800ppm
例3:イルガノックス1010 400〜1000ppm
イルガフォス168 750〜1500ppm
等があげられる。
上記の酸化防止剤の具体的な使用例を挙げれば、
例1:イルガノックス1010 1000ppm
PEP−Q 1000ppm
例2:イルガノックス1076 1200ppm
PEP−Q 600ppm
イルガフォス168 800ppm
例3:イルガノックス1010 400〜1000ppm
イルガフォス168 750〜1500ppm
等があげられる。
フィルム、シート用途の中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(DHT−4A):組成式:Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等が特に好ましい。
フィルム、シート用途のアンチブロッキング剤としては、合成シリカ系のサイリシア(富士シリシア製)、ミズカシル(水澤化学工業製)が特に好ましい。
フィルム、シート用途のスリップ剤としては、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルエルカアミド、オレイルパルミトアミドが特に好ましい。
フィルム、シート用途のアンチブロッキング剤としては、合成シリカ系のサイリシア(富士シリシア製)、ミズカシル(水澤化学工業製)が特に好ましい。
フィルム、シート用途のスリップ剤としては、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルエルカアミド、オレイルパルミトアミドが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物(B)において造核剤を用いる場合、造核剤の添加量は、通常、ポリオレフィン樹脂組成物に対して10ppm以上であり、好ましくは10〜10000ppmの範囲であり、より好ましくは10〜5000ppmの範囲であり、さらに好ましくは10〜2500ppmである。10ppm未満では低温ヒートシール性の改善がみられず、一方、10000ppmを超える量を添加しても好ましい効果が増大しないだけでなく、外観不良の原因となる。
上記造核剤の具体例としては、高融点ポリマー、有機カルボン酸若しくはその金属塩、芳香族スルホン酸塩若しくはその金属塩、有機リン酸化合物若しくはその金属塩、ジベンジリデンソルビトール若しくはその誘導体、ロジン酸部分金属塩、無機微粒子、イミド類、アミド類、キナクリドン類、キノン類又はこれらの混合物が挙げられる。
高融点ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン等のポリビニルシクロアルカン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリ3−メチルペンテン−1、ポリ3−メチルブテン−1、ポリアルケニルシラン等が挙げられる。
金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピロールカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−クロロベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。また、具体的には、ゲルオールMDやゲルオールMD−R(新日本理化製)等が挙げられる。
ロジン酸部分金属塩としては、パインクリスタルKM1600、パインクリスタルKM1500、パインクリスタルKM1300(以上、荒川化学工業製)等が挙げられる。
無機微粒子としては、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファィト、アルミニウム粉末、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉末、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、硫化モリブデンなどが挙げられる。
アミド化合物としては、アジピン酸ジアニリド、スペリン酸ジアニリド等が挙げられる。
有機リン酸金属塩の具体例としては、アデカスタブNA−11やアデカスタブNA−21(旭電化製))が挙げられる。
これらの造核剤は、一種類を用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
造核剤として前記のタルク等の無機微粒子を用いると、フィルムに成形した場合、スリップ性にも優れ、印刷特性などの特性が向上するので好ましい。さらには、造核剤として前記のジベンジリデンソルビトール又はその誘導体を用いると、透明性に優れるので好ましい。さらには、造核剤として前記のアミド化合物を用いると、剛性に優れるので好ましい。
高融点ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン等のポリビニルシクロアルカン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリ3−メチルペンテン−1、ポリ3−メチルブテン−1、ポリアルケニルシラン等が挙げられる。
金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピロールカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−クロロベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。また、具体的には、ゲルオールMDやゲルオールMD−R(新日本理化製)等が挙げられる。
ロジン酸部分金属塩としては、パインクリスタルKM1600、パインクリスタルKM1500、パインクリスタルKM1300(以上、荒川化学工業製)等が挙げられる。
無機微粒子としては、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファィト、アルミニウム粉末、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉末、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、硫化モリブデンなどが挙げられる。
アミド化合物としては、アジピン酸ジアニリド、スペリン酸ジアニリド等が挙げられる。
有機リン酸金属塩の具体例としては、アデカスタブNA−11やアデカスタブNA−21(旭電化製))が挙げられる。
これらの造核剤は、一種類を用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
造核剤として前記のタルク等の無機微粒子を用いると、フィルムに成形した場合、スリップ性にも優れ、印刷特性などの特性が向上するので好ましい。さらには、造核剤として前記のジベンジリデンソルビトール又はその誘導体を用いると、透明性に優れるので好ましい。さらには、造核剤として前記のアミド化合物を用いると、剛性に優れるので好ましい。
[7]多層積層体
本発明の多層積層体は、通常、押出ラミネート加工により製造される。最外層にポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)を用いて押出ラミネート加工する場合の基材としては、高密度ポリエチレン、中・低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン6、共重合ナイロン(ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/ナイロン12)、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネートなどの樹脂フィルムまたはシート、アルミニウム、鉄、銅、またはこれらを主成分とする合金などの金属箔または金属板、セロファン、紙、布、織布、不織布などを挙げることができる。該ポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)と上記基材の接着強度を向上させるために、必要に応じて基材の表面にコロナ放電処理、フレーム処理、オゾン処理などの処理を行ったり、該ポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)と基材の間に接着剤を介在させてもよい。
本発明の多層積層体は、通常、押出ラミネート加工により製造される。最外層にポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)を用いて押出ラミネート加工する場合の基材としては、高密度ポリエチレン、中・低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン6、共重合ナイロン(ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/ナイロン12)、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネートなどの樹脂フィルムまたはシート、アルミニウム、鉄、銅、またはこれらを主成分とする合金などの金属箔または金属板、セロファン、紙、布、織布、不織布などを挙げることができる。該ポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)と上記基材の接着強度を向上させるために、必要に応じて基材の表面にコロナ放電処理、フレーム処理、オゾン処理などの処理を行ったり、該ポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)と基材の間に接着剤を介在させてもよい。
押出ラミネート加工するための装置としては通常のT−ダイ方式の装置を用いることができる。ラミネートの厚さには特に制限はなく、目的に応じた厚さを適宜選択すれば良い。ポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)は、基材の少なくとも一表面に押出ラミネート加工することに用いられる。また基材の片面に一層の該ポリオレフィン樹脂組成物(A)又は(B)を押出ラミネートする場合に限らず、多層T−ダイ押出機を用いて、基材の片面に二層以上を押出ラミネートしても良い。
多層積層体の貼合せは、エマルジョン系接着剤を使用するウエットラミネーション、反応硬化型接着剤を使用するドライラミネーション(溶剤を含む接着剤を使用したラッカーラミネーション、溶剤を含まないノンソルラミを含む)、石油系ワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイモノマー、剛性ゴム、粘着付与剤などから構成されるホットメルト型接着剤(溶剤を加えて、加熱状態で使用するホットラッカーも含む)によるホットメルトラミネーションや必要に応じてプライマー層を設けて溶融押出しした接着樹脂を介して積層するサンドイッチラミネーションなどの通常の方法を材料や用途によって適宜に選択して使用する。
次に本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
まず、本発明の1−ブテン系重合体およびポリオレフィン系樹脂組成物の樹脂特性と、フィルムの物性の評価方法について説明する。
まず、本発明の1−ブテン系重合体およびポリオレフィン系樹脂組成物の樹脂特性と、フィルムの物性の評価方法について説明する。
(1−ブテン系重合体の樹脂特性)
(1)メソペンタッド分率(mmmm)、ラセミトリアッド分率(rr)、異常挿入量(1,4挿入分率)及び立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}
明細書本文中に記載した方法により、日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMRを用いて測定した。
(2)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
明細書本文中に記載した方法により測定した。
(3)H25の測定
明細書本文中に記載した方法により測定した。
(ポリオレフィン樹脂組成物(B)についても同様)
(4)DSC測定(融点:TmP及びTmDの測定、融解吸熱量:ΔH及びΔHDの測定)
明細書本文中に記載した方法により、示差走査型熱量計としてパーキン・エルマー社製のDSC−7を用いて測定した。
(1)メソペンタッド分率(mmmm)、ラセミトリアッド分率(rr)、異常挿入量(1,4挿入分率)及び立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}
明細書本文中に記載した方法により、日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMRを用いて測定した。
(2)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
明細書本文中に記載した方法により測定した。
(3)H25の測定
明細書本文中に記載した方法により測定した。
(ポリオレフィン樹脂組成物(B)についても同様)
(4)DSC測定(融点:TmP及びTmDの測定、融解吸熱量:ΔH及びΔHDの測定)
明細書本文中に記載した方法により、示差走査型熱量計としてパーキン・エルマー社製のDSC−7を用いて測定した。
(フィルムの物性評価)
(5)引張弾性率TM(MPa)
JIS K−7127に準拠し、次に示す条件で引張試験により測定した。
・クロスヘッド速度:50mm/min
・ロードセル:15kg
・測定方向:マシン方向(MD方向)
(6)フィルムインパクト
東洋精機製作所製フィルムインパクトテスターにおいて、1/2インチ衝撃ヘッドを用いた衝撃破壊強度により評価した。
(5)引張弾性率TM(MPa)
JIS K−7127に準拠し、次に示す条件で引張試験により測定した。
・クロスヘッド速度:50mm/min
・ロードセル:15kg
・測定方向:マシン方向(MD方向)
(6)フィルムインパクト
東洋精機製作所製フィルムインパクトテスターにおいて、1/2インチ衝撃ヘッドを用いた衝撃破壊強度により評価した。
(7)ヒートシール温度HST(℃)
JIS Z−1707に準拠して測定した。
融着条件を以下に示す。なおヒートシールバーの温度は表面温度計により較正されている。シール後、室温で一昼夜(HST1)又は30日(HST30)放置し,その後室温で剥離速度を200mm/分にしてT型剥離法で剥離強度を測定した。ヒートシール温度は剥離強度が300g/15mmになる温度をシール温度−剥離強度曲線から計算して求めた。
・シール時間:2秒間
・シール面積:15×10mm
・シール圧力:0.52MPa
・シール温度:ヒートシール温度を内挿できるように数点を測定した。
なお、多層積層体フィルムの場合には次のように行なった。
表面温度計により較正されたヒートシールバーにより以下の条件にてシールし、室温で一昼夜放置した後、室温で剥離速度を200mm/minにしたT型剥離法により剥離強度(ヒートシール強度)を測定した。ヒートシール温度は剥離強度が300g/15mmになる温度と定義し、シール温度−剥離強度曲線から計算により求めた。
シール条件
シール面:金属ロール面/金属ロール面
シール面積:15×10mm
シール圧力:2.0Kg/cm2
シール時間:1秒
シール温度:ヒートシール温度を内挿できるように数点を測定した。
JIS Z−1707に準拠して測定した。
融着条件を以下に示す。なおヒートシールバーの温度は表面温度計により較正されている。シール後、室温で一昼夜(HST1)又は30日(HST30)放置し,その後室温で剥離速度を200mm/分にしてT型剥離法で剥離強度を測定した。ヒートシール温度は剥離強度が300g/15mmになる温度をシール温度−剥離強度曲線から計算して求めた。
・シール時間:2秒間
・シール面積:15×10mm
・シール圧力:0.52MPa
・シール温度:ヒートシール温度を内挿できるように数点を測定した。
なお、多層積層体フィルムの場合には次のように行なった。
表面温度計により較正されたヒートシールバーにより以下の条件にてシールし、室温で一昼夜放置した後、室温で剥離速度を200mm/minにしたT型剥離法により剥離強度(ヒートシール強度)を測定した。ヒートシール温度は剥離強度が300g/15mmになる温度と定義し、シール温度−剥離強度曲線から計算により求めた。
シール条件
シール面:金属ロール面/金属ロール面
シール面積:15×10mm
シール圧力:2.0Kg/cm2
シール時間:1秒
シール温度:ヒートシール温度を内挿できるように数点を測定した。
(8)ホットタック温度
ホットタック性は、40×800mmに切り出された2枚の上記成形フィルムのポリオレフィン系樹脂層同士を合わせ、サンプルの片方に滑車を介して60gの荷重をかけた状態で、東洋精機社製ホットタックテスターを使用して、シール面圧力2.0kg/cm2、シール時間1.0秒の条件でシール幅10mm、シール長200mmのヒートシールを行い、シール終了と同時に荷重を落下させ、ヒートシール部剥離が完全に止まるまで放置したときの剥離距離が100mmを越えない最低の温度とした。
(9)アンチブロッキング性
二枚のフィルムについて、一枚の金属ロール面ともう一枚の反金属ロールとを以下の密着条件にて密着させ、10cm×10cmの冶具にそれぞれを固定し,10cm×10cm面積における剥離強度を、以下の引剥試験により測定した。剥離強度が小さいほど、アンチブロッキング性が優れている。
・密着条件:温度60℃、3時間
荷重36g/cm2、面積10cm×10cm
・引剥試験:テストスピード:20mm/min、
ロードセル:2kg
(10)内部ヘイズ
表面の錯乱を除去するために、試験フィルム表面にシリコーンオイル(信越シリコーン社製,KF56)を塗布した後、JIS K−7105に準拠した試験により測定した。
ホットタック性は、40×800mmに切り出された2枚の上記成形フィルムのポリオレフィン系樹脂層同士を合わせ、サンプルの片方に滑車を介して60gの荷重をかけた状態で、東洋精機社製ホットタックテスターを使用して、シール面圧力2.0kg/cm2、シール時間1.0秒の条件でシール幅10mm、シール長200mmのヒートシールを行い、シール終了と同時に荷重を落下させ、ヒートシール部剥離が完全に止まるまで放置したときの剥離距離が100mmを越えない最低の温度とした。
(9)アンチブロッキング性
二枚のフィルムについて、一枚の金属ロール面ともう一枚の反金属ロールとを以下の密着条件にて密着させ、10cm×10cmの冶具にそれぞれを固定し,10cm×10cm面積における剥離強度を、以下の引剥試験により測定した。剥離強度が小さいほど、アンチブロッキング性が優れている。
・密着条件:温度60℃、3時間
荷重36g/cm2、面積10cm×10cm
・引剥試験:テストスピード:20mm/min、
ロードセル:2kg
(10)内部ヘイズ
表面の錯乱を除去するために、試験フィルム表面にシリコーンオイル(信越シリコーン社製,KF56)を塗布した後、JIS K−7105に準拠した試験により測定した。
製造例1(重合触媒の調製)
(1)2−クロロジメチルシリルインデンの製造
窒素気流下、1リットルの三口フラスコにTHF(テトラヒドロフラン)50ミリリットルとマグネシウム2.5g(41ミリモル)を加え、ここに1,2−ジブロモエタン0.1ミリリットルを加えて30分間攪拌し、マグネシウムを活性化した。攪拌後、溶媒を抜き出し、新たにTHF50ミリリットルを添加した。ここに2−ブロモインデン5.0g(25.6ミリモル)のTHF(200ミリリットル溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温において2時間攪拌した後、−78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン3.1ミリリットル(25.6ミリモル)のTHF(100ミリリットル)溶液を1時間かけて滴下し、15時間攪拌した後、溶媒を留去した。残渣をヘキサン200ミリリットルで抽出した後、溶媒を留去することにより2−クロロジメチルシリルインデン6.6g(24.2ミリモル)を得た(収率94%)。
(1)2−クロロジメチルシリルインデンの製造
窒素気流下、1リットルの三口フラスコにTHF(テトラヒドロフラン)50ミリリットルとマグネシウム2.5g(41ミリモル)を加え、ここに1,2−ジブロモエタン0.1ミリリットルを加えて30分間攪拌し、マグネシウムを活性化した。攪拌後、溶媒を抜き出し、新たにTHF50ミリリットルを添加した。ここに2−ブロモインデン5.0g(25.6ミリモル)のTHF(200ミリリットル溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温において2時間攪拌した後、−78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン3.1ミリリットル(25.6ミリモル)のTHF(100ミリリットル)溶液を1時間かけて滴下し、15時間攪拌した後、溶媒を留去した。残渣をヘキサン200ミリリットルで抽出した後、溶媒を留去することにより2−クロロジメチルシリルインデン6.6g(24.2ミリモル)を得た(収率94%)。
(2)(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)の製造
窒素気流下、1リットル三口フラスコにTHF400ミリリットルと2−クロロジメチルシリルインデン8gを加え、−78℃に冷却した。この溶液にLiN(SiMe3)2のTHF溶液(1.0モル/リットル)を38.5ミリリットル(38.5ミリモル)滴下した。室温において15時間攪拌した後、溶媒を留去し、ヘキサン300ミリリットルで抽出した。溶媒を留去することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)を2.0g(6.4ミリモル)得た(収率33.4%)。
窒素気流下、1リットル三口フラスコにTHF400ミリリットルと2−クロロジメチルシリルインデン8gを加え、−78℃に冷却した。この溶液にLiN(SiMe3)2のTHF溶液(1.0モル/リットル)を38.5ミリリットル(38.5ミリモル)滴下した。室温において15時間攪拌した後、溶媒を留去し、ヘキサン300ミリリットルで抽出した。溶媒を留去することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)を2.0g(6.4ミリモル)得た(収率33.4%)。
(3)(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの製造
シュレンク瓶に(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩の3.0g(6.97mmol)をTHF50ミリリットルに溶解し−78℃に冷却し、ヨードメチルトリメチルシラン2.1ミリリットル(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間撹拌した。次に溶媒を留去しエーテル50ミリリットルを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)を得た(収率84%)。
次に窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)とエーテル50ミリリットルを入れ、これを−78℃に冷却し、n−BuLiのヘキサン溶液(1.54M、7.6ミリリットル(1.7mmol))を滴下した。室温に上げ12時間撹拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40ミリリットルで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た(収率73%)。
1H NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、δ 0.04(s、18H、トリメチルシリル);0.48(s、12H、ジメチルシリレン);1.10(t、6H、メチル);2.59(s、4H、メチレン);3.38(q、4H、メチレン)、6.2−7.7(m,8H,Ar−H)であった。
窒素気流下で得られたリチウム塩をトルエン50ミリリットルに溶解して、−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20ミリリットル)懸濁液を滴下した。滴下後、室温で6時間撹拌し、反応溶液の溶媒を留去した。得られた残さをジクロロメタンにより再結晶化することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを0.9g(1.33mmol)を得た(収率26%)。
1H NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、δ 0.0(s、18H、トリメチルシリル);1.02,1.12(s、12H、ジメチルシリレン);2.51(dd、4H、メチレン);7.1−7.6(m,8H,Ar−H)であった。
シュレンク瓶に(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩の3.0g(6.97mmol)をTHF50ミリリットルに溶解し−78℃に冷却し、ヨードメチルトリメチルシラン2.1ミリリットル(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間撹拌した。次に溶媒を留去しエーテル50ミリリットルを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)を得た(収率84%)。
次に窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)とエーテル50ミリリットルを入れ、これを−78℃に冷却し、n−BuLiのヘキサン溶液(1.54M、7.6ミリリットル(1.7mmol))を滴下した。室温に上げ12時間撹拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40ミリリットルで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た(収率73%)。
1H NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、δ 0.04(s、18H、トリメチルシリル);0.48(s、12H、ジメチルシリレン);1.10(t、6H、メチル);2.59(s、4H、メチレン);3.38(q、4H、メチレン)、6.2−7.7(m,8H,Ar−H)であった。
窒素気流下で得られたリチウム塩をトルエン50ミリリットルに溶解して、−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20ミリリットル)懸濁液を滴下した。滴下後、室温で6時間撹拌し、反応溶液の溶媒を留去した。得られた残さをジクロロメタンにより再結晶化することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを0.9g(1.33mmol)を得た(収率26%)。
1H NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、δ 0.0(s、18H、トリメチルシリル);1.02,1.12(s、12H、ジメチルシリレン);2.51(dd、4H、メチレン);7.1−7.6(m,8H,Ar−H)であった。
製造例2(1−ブテン系重合体Aの製造)
加熱乾燥した10リットルオートクレーブにヘプタン4リットル、1−ブテン2.5kg、トリイソブチルアルミニウム5ミリモル、メチルアルミノキサン10ミリモルを加え,さらに水素を0.03MPa導入した。攪拌しながら温度を60℃にした後,製造例1で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを10マイクロモル加え、60分間重合した。重合反応終了後、反応物を減圧下で乾燥することにより、1−ブテン単独重合体67g得た。得られた1−ブテン系重合体Aの樹脂特性評価の結果は次の通りであった。
メソペンタッド分率(mmmm):mol% 74.1
ラセミトリアッド分率(rr) :mol% 10.9
異常挿入量(1,4挿入分率) :mol% 0
立体規則性指数(mmmm)/(mmrr+rmmr) 9.1
重量平均分子量(Mw) 42×104
分子量分布(Mw/Mn) 2.0
融点(TmD:DSC測定) :℃ 79
融解吸熱量(ΔHD) :J/g 40
加熱乾燥した10リットルオートクレーブにヘプタン4リットル、1−ブテン2.5kg、トリイソブチルアルミニウム5ミリモル、メチルアルミノキサン10ミリモルを加え,さらに水素を0.03MPa導入した。攪拌しながら温度を60℃にした後,製造例1で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを10マイクロモル加え、60分間重合した。重合反応終了後、反応物を減圧下で乾燥することにより、1−ブテン単独重合体67g得た。得られた1−ブテン系重合体Aの樹脂特性評価の結果は次の通りであった。
メソペンタッド分率(mmmm):mol% 74.1
ラセミトリアッド分率(rr) :mol% 10.9
異常挿入量(1,4挿入分率) :mol% 0
立体規則性指数(mmmm)/(mmrr+rmmr) 9.1
重量平均分子量(Mw) 42×104
分子量分布(Mw/Mn) 2.0
融点(TmD:DSC測定) :℃ 79
融解吸熱量(ΔHD) :J/g 40
製造例3(1−ブテン系重合体Bの製造)
加熱乾燥した10Lオートクレーブにヘプタン(4L)、1−ブテン(2.6Kg)、トリイソブチルアルミニウム(10mmol)、水素0.05MPa導入した。その後、アルベマール社製メチルアルミノキサン(10mmol)を加え、攪拌しながら温度を50℃にした後、製造例1で製造した錯体(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド(10μmol)を加えた。150分間攪拌した後、メタノール(20mL)を加え脱圧後、重合溶液を減圧乾燥することによりポリ(1−ブテン)を得た。
得られた1−ブテン系重合体B(1−ブテン単独重合体)の樹脂特性評価結果は次のとおりであった。
メソペンタッド分率(mmmm):mol% 77.4
ラセミトリアッド分率(rr) :mol% 3.7
90−2×(rr) 82.6
異常挿入量(1,4挿入分率) :mol% 0
コモノマー含量 :mol% 0
立体規則性指数(mmmm)/(mmrr+rmmr) 10
重量平均分子量(Mw) 86×104
分子量分布(Mw/Mn) 2.4
融点(TmP:DSC測定) :℃ 70.2
融解吸熱量(ΔH) :J/g 11.5
融点(TmD:DSC測定) :℃ 65.4
融解吸熱量(ΔHD) :J/g 45.6
H25 : 40
加熱乾燥した10Lオートクレーブにヘプタン(4L)、1−ブテン(2.6Kg)、トリイソブチルアルミニウム(10mmol)、水素0.05MPa導入した。その後、アルベマール社製メチルアルミノキサン(10mmol)を加え、攪拌しながら温度を50℃にした後、製造例1で製造した錯体(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド(10μmol)を加えた。150分間攪拌した後、メタノール(20mL)を加え脱圧後、重合溶液を減圧乾燥することによりポリ(1−ブテン)を得た。
得られた1−ブテン系重合体B(1−ブテン単独重合体)の樹脂特性評価結果は次のとおりであった。
メソペンタッド分率(mmmm):mol% 77.4
ラセミトリアッド分率(rr) :mol% 3.7
90−2×(rr) 82.6
異常挿入量(1,4挿入分率) :mol% 0
コモノマー含量 :mol% 0
立体規則性指数(mmmm)/(mmrr+rmmr) 10
重量平均分子量(Mw) 86×104
分子量分布(Mw/Mn) 2.4
融点(TmP:DSC測定) :℃ 70.2
融解吸熱量(ΔH) :J/g 11.5
融点(TmD:DSC測定) :℃ 65.4
融解吸熱量(ΔHD) :J/g 45.6
H25 : 40
製造例4(ポリプロピレンの製造)
1)マグネシウム化合物の調製
攪拌機付き反応槽(内容積500リットル)を窒素ガスで充分に置換し、エタノール97.2Kg、ヨウ素640g、及び金属マグネシウム6.4Kgを投入し、攪拌しながら還流条件下で系内から水素ガスの発生が無くなるまで反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧乾燥することにより目的のマグネシウム化合物(固体生成物)を得た。
2)固体触媒成分の調製
窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積500リットル)に、前記マグネシウム化合物(粉砕していないもの)30Kg、精製ヘプタン(n−ヘプタン)150リットル、四塩化ケイ素4.5リットル、及びフタル酸ジ−n−ブチル5.4リットルを加えた。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン144リットルを投入して110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して、80℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン288リットルを加え、110℃で2時間反応させた後、80℃の精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分を得た。
1)マグネシウム化合物の調製
攪拌機付き反応槽(内容積500リットル)を窒素ガスで充分に置換し、エタノール97.2Kg、ヨウ素640g、及び金属マグネシウム6.4Kgを投入し、攪拌しながら還流条件下で系内から水素ガスの発生が無くなるまで反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧乾燥することにより目的のマグネシウム化合物(固体生成物)を得た。
2)固体触媒成分の調製
窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積500リットル)に、前記マグネシウム化合物(粉砕していないもの)30Kg、精製ヘプタン(n−ヘプタン)150リットル、四塩化ケイ素4.5リットル、及びフタル酸ジ−n−ブチル5.4リットルを加えた。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン144リットルを投入して110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して、80℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン288リットルを加え、110℃で2時間反応させた後、80℃の精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分を得た。
3)前処理
内容積500リットルの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン(n−ヘプタン)230リットルを投入し、前記の固体触媒成分を25Kg、トリエチルアルミニウムを固体触媒成分中のチタン原子に対して1.0mol/mol、ジシクロペンチルジメトキシシランを1.8mol/molの割合で供給した。その後、プロピレンをプロピレン分圧0.03MPa・Gになるまで導入し、25℃で4時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、さらに二酸化炭素を供給し、24時間攪拌した。
4)本重合
内容積200リットルの攪拌機付き重合装置に、プロピレンを導入し、前記処理済の固体触媒成分を成分中のチタン原子換算で3mmol/kg−プロピレンで、トリエチルアルミニウムを4mmol/kg−プロピレン、ジシクロペンチルジメトキシシランを1mmol/kg−プロピレンを、それぞれ供給し、重合温度80℃、重合圧力(全圧)2.8MPa・Gで反応させた。
本製造例においては、所定の分子量になるように水素供給量を調節した。また、所定のエチレン含有量になるようにエチレン供給量を調節した。得られたポリプロピレン(プロピレン−エチレン共重合体)のメルトインデックスは7.1g/10minであった。重合中における重合装置内ガス部の組成分析(ガスクロマトグラフィー)の結果、水素濃度は3.9mol%であった。また、ポリプロピレン(プロピレン−エチレン共重合体)のエチレン含有量は、3.1mol%であった。
内容積500リットルの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン(n−ヘプタン)230リットルを投入し、前記の固体触媒成分を25Kg、トリエチルアルミニウムを固体触媒成分中のチタン原子に対して1.0mol/mol、ジシクロペンチルジメトキシシランを1.8mol/molの割合で供給した。その後、プロピレンをプロピレン分圧0.03MPa・Gになるまで導入し、25℃で4時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、さらに二酸化炭素を供給し、24時間攪拌した。
4)本重合
内容積200リットルの攪拌機付き重合装置に、プロピレンを導入し、前記処理済の固体触媒成分を成分中のチタン原子換算で3mmol/kg−プロピレンで、トリエチルアルミニウムを4mmol/kg−プロピレン、ジシクロペンチルジメトキシシランを1mmol/kg−プロピレンを、それぞれ供給し、重合温度80℃、重合圧力(全圧)2.8MPa・Gで反応させた。
本製造例においては、所定の分子量になるように水素供給量を調節した。また、所定のエチレン含有量になるようにエチレン供給量を調節した。得られたポリプロピレン(プロピレン−エチレン共重合体)のメルトインデックスは7.1g/10minであった。重合中における重合装置内ガス部の組成分析(ガスクロマトグラフィー)の結果、水素濃度は3.9mol%であった。また、ポリプロピレン(プロピレン−エチレン共重合体)のエチレン含有量は、3.1mol%であった。
実施例1
製造例2で得た1−ブテン系重合体A50重量部およびポリプロピレンA(出光石油化学製:F744NP)50重量部に、下記の添加物を処方し、単軸押出機(塚田樹機製作所製:TLC35−20型)にて押出し造粒し、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)のペレットを得た。
イルガノックス1010:1000ppm
イルガフォス:500ppm
DHT−4A:250ppm
ステアリン酸カルシュウム:250ppm
エルカ酸アミド:250ppm
シリカ系アンチブロッキング剤:2000ppm
造核剤ゲルオールMD:1000ppm
得られたペレットを、Tダイ・キャスト成形法により、塚田樹機製作所の20mmφTダイ・キャスト成形機(TLC35−20型)を用い、下記の条件で成形を行なった。
膜厚:50μm
Tダイ温度:190℃
引張速度:3.5m/min
チルロール:鏡面
チルロール温度:30℃
成膜後、室温24時間エージングを行なった後に物性評価を行なった。得られたフィルムの物性評価結果を第1表に示す。
製造例2で得た1−ブテン系重合体A50重量部およびポリプロピレンA(出光石油化学製:F744NP)50重量部に、下記の添加物を処方し、単軸押出機(塚田樹機製作所製:TLC35−20型)にて押出し造粒し、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)のペレットを得た。
イルガノックス1010:1000ppm
イルガフォス:500ppm
DHT−4A:250ppm
ステアリン酸カルシュウム:250ppm
エルカ酸アミド:250ppm
シリカ系アンチブロッキング剤:2000ppm
造核剤ゲルオールMD:1000ppm
得られたペレットを、Tダイ・キャスト成形法により、塚田樹機製作所の20mmφTダイ・キャスト成形機(TLC35−20型)を用い、下記の条件で成形を行なった。
膜厚:50μm
Tダイ温度:190℃
引張速度:3.5m/min
チルロール:鏡面
チルロール温度:30℃
成膜後、室温24時間エージングを行なった後に物性評価を行なった。得られたフィルムの物性評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において造核剤を添加せずに実施例1と同様に行なった。得られたフィルムの物性評価結果を第1表に示す。
実施例1において造核剤を添加せずに実施例1と同様に行なった。得られたフィルムの物性評価結果を第1表に示す。
第1表で比較例1は造核剤を添加しないものであることから、ヒートシール温度の経時変化が大きく、アンチブロッキング性が悪化していることが分かる。
実施例2
(ポリオレフィン系樹脂組成物(B)の製造)
製造例3で得た1−ブテン系重合体B65重量部および製造例4で得たポリプロピレンB35重量部と、以下の添加剤を処方した後、単軸押出機(塚田樹機製作所製:TLC35−20型)にて押出し造粒し、ペレットを得た。
酸化防止剤 イルガノックス1010 :500ppm
イルガフォス168 :1000ppm
中和剤 ステアリン酸カルシウム :1000ppm
シリカ系アンチブロッキング剤 :2300ppm
スリップ剤 エルカ酸アミド :500ppm
(フィルムの製膜)
得られたポリオレフィン系樹脂組成物(B)のペレットから田辺プラスチック社製40mmφ押出機(VS40)を用い、Tダイ出口における樹脂温度200℃、チルロール温度30℃、引取速度20m/minの条件にて途中コロナ放電処理を施した膜厚30μmのフィルムに成形した。
(多層積層体の製造)
ケミパックエンジニリアリング社製ドライ押出ラミネーター(引取り速度:40m/min、チルロール:25℃、ヒーターロール:40℃)を用い、先に成膜したフィルムおよび内面コロナ処理を施した延伸ナイロンフィルム(15μm×350mm)に接着剤(AD−308/CAT−8B/酢酸エチル=1/1/3)を塗工した面とを貼り合せて多層積層体を作成した。
(樹脂特性および物性に評価)
前記した評価方法により評価した。得られた結果を第2表に示す。
(ポリオレフィン系樹脂組成物(B)の製造)
製造例3で得た1−ブテン系重合体B65重量部および製造例4で得たポリプロピレンB35重量部と、以下の添加剤を処方した後、単軸押出機(塚田樹機製作所製:TLC35−20型)にて押出し造粒し、ペレットを得た。
酸化防止剤 イルガノックス1010 :500ppm
イルガフォス168 :1000ppm
中和剤 ステアリン酸カルシウム :1000ppm
シリカ系アンチブロッキング剤 :2300ppm
スリップ剤 エルカ酸アミド :500ppm
(フィルムの製膜)
得られたポリオレフィン系樹脂組成物(B)のペレットから田辺プラスチック社製40mmφ押出機(VS40)を用い、Tダイ出口における樹脂温度200℃、チルロール温度30℃、引取速度20m/minの条件にて途中コロナ放電処理を施した膜厚30μmのフィルムに成形した。
(多層積層体の製造)
ケミパックエンジニリアリング社製ドライ押出ラミネーター(引取り速度:40m/min、チルロール:25℃、ヒーターロール:40℃)を用い、先に成膜したフィルムおよび内面コロナ処理を施した延伸ナイロンフィルム(15μm×350mm)に接着剤(AD−308/CAT−8B/酢酸エチル=1/1/3)を塗工した面とを貼り合せて多層積層体を作成した。
(樹脂特性および物性に評価)
前記した評価方法により評価した。得られた結果を第2表に示す。
比較例2
実施例2において1−ブテン系重合体に代えて、製造例4によるポリプロピレンBを用いた以外は実施例2と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物および多層積層体を得た。樹脂特性および物性の評価結果を第2表に示す。
実施例2において1−ブテン系重合体に代えて、製造例4によるポリプロピレンBを用いた以外は実施例2と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物および多層積層体を得た。樹脂特性および物性の評価結果を第2表に示す。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(A)は、柔軟性、耐衝撃性に優れ、結晶安定化速度が向上するので二次加工性に優れた成形体を与え、ヒートシール時の剛性とヒートシール温度のバランスに優れ、ヒートシール温度の経時的変動の少ないフィルムが得られる。
また、最外層の少なくとも一方がポリオレフィン樹脂組成物(B)からなる本発明の多層積層体は、ヒートシール温度が低いにもかかわらず、優れたホットタック性を有している。
従って本発明の多層積層体は、加工性に優れており、包装用フィルム等に有利に用いることができる。
また、最外層の少なくとも一方がポリオレフィン樹脂組成物(B)からなる本発明の多層積層体は、ヒートシール温度が低いにもかかわらず、優れたホットタック性を有している。
従って本発明の多層積層体は、加工性に優れており、包装用フィルム等に有利に用いることができる。
Claims (8)
- 1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%とプロピレン系樹脂〔II〕99〜1重量%および造核剤を10ppm以上からなり、1−ブテン系重合体〔I〕がメタロセン触媒を使用して得られ、かつ下記の(1)〜(4)を満たすポリオレフィン系樹脂組成物(A)。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmD)が、0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000 - 1−ブテン系重合体〔I〕が1−ブテン単独重合体である、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物(A)。
- 請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなるフィルム。
- 下記の(1)〜(2)を満たす請求項3に記載のフィルム。
(1)引張弾性率TM(MPa)と、JIS Z−1707に準拠して一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)の関係が
TM≧12.5×HST1−1100
(2)一昼夜エージング後に測定したヒートシール温度HST1(℃)と、30日エージング後に測定した経時ヒートシール温度HST30(℃)の関係が
HST30−HST1≦5 - 請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を成形してなる多層積層体。
- 最外層の少なくとも一方が、メタロセン触媒を使用して得られ、かつ下記(1)〜(4)を満たす1−ブテン系重合体〔I〕1〜99重量%及び結晶性プロピレン系重合体〔II〕99〜1重量%からなるポリオレフィン樹脂組成物(B)により構成される多層積層体。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下190℃で5分間溶融した後、5℃/分で−10℃まで降温し、−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(TmP)が、観測されないか又は0〜100℃の結晶性樹脂
(2)立体規則性指数{(mmmm)/(mmrr+rmmr)}が20以下
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4.0以下
(4)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000 - 1−ブテン系重合体〔I〕が1−ブテン単独重合体であって、かつ該単独重合体が下記(5)および(6)を満たす請求項6に記載の多層積層体。
(5)メソペンタッド分率(mmmm)が20〜90%
(6)(mmmm)≦90−2×(rr)
但し、rrはラセミトリアッド分率を示す。 - 最外層の少なくとも一方のポリオレフィン樹脂組成物(B)が下記式を満たす請求項6または請求項7に記載の多層積層体。
TH<1.29×HST−54.5
但し,THはホットタック温度(℃)、HSTはヒートシール温度(℃)
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132 Effective date: 20121211 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130423 |