JP2009287671A - 一方向クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリースの粘性が高い低温時のロック転動体の噛み合い性を改善しつつ、高温時における空転時摩擦も問題なく低減できる一方向クラッチを提供する。
【解決手段】 一方向クラッチにおいて、ロック転動体33がロック位置に位置するときのばね部材35の圧縮変位量である基準圧縮変位量が、ばね変位調整機構40により、ばね部材35によるロック転動体33のロック位置に向けた弾性付勢力が一方向クラッチ3の周囲環境温度が高くなるほど小さくなるよう、周囲環境温度に応じて調整される。
【選択図】 図4

Description

本発明は一方向クラッチに関するものである。
特開2001−4011号公報
自動車用エンジンのオルタネータ駆動機構においては、エンジンの駆動力がクランクシャフト、ベルト及びプーリユニット等を介してオルタネータに伝達される。このとき、エンジンが吸入・圧縮・燃焼膨張・排気等の行程を繰り返す際に、脈動的な回転変動がクランクシャフト側に生じることがある(例えば、エンジンの圧縮行程ではクランクシャフトの回転が瞬間的に低下やすくなる)。このようなクランクシャフト側の回転変動が生じた場合、オルタネータ側は大きな慣性を有するためこれに直ちに追従できず、クランクシャフトとオルタネータ回転軸との間には無視できない軸間回転速度差が脈動的に生ずる。その結果、クランクシャフト側のプーリとオルタネータ側のプーリとの間に回しかけられたベルトは、該軸間回転速度差の脈動に対応して撓みと過緊張とを繰り返すことになり、ベルト鳴きやばたつき現象が生じやすくなるほか、ベルト寿命低下にもつながりやすい。そこで、このようなベルト等の過負荷や寿命低下を生じないように、オルタネータ側のプーリとオルタネータ回転軸との間に、上記軸間回転速度差を吸収するための一方向クラッチを設けることが行なわれている(特許文献1)。
上記のような一方向クラッチは、外周カム面が形成された内輪と、内周側に円筒状軌道面が形成された外輪とを有し、外周カム面と円筒状軌道面との間に形成されるくさび状空間にロック転動体(円筒ころ)を設けるとともに、そのロック転動体をくさび状空間の縮小側に向けて付勢するばね部材を備えた構成を有するものである。該くさび状空間の縮小側にロック転動体が嵌まり込んで外周カム面と円筒状軌道面とがロックされると、内輪と外輪とが一体回転して動力伝達状態となる。他方、クランクシャフトひいてはベルト伝達により追従回転するオルタネータ側プーリの回転速度が低下すると、ロック転動体はばね部材の付勢力に抗してくさび状空間内の拡大側へ移動し、内輪と外輪が切り離されて空転(動力遮断)状態となる。このロックと空転とを繰り返すことにより、クランクシャフト側の回転変動が吸収された形でオルタネータに伝達され、ベルト鳴きやばたつき現象が抑制される。
ところで、上記のような一方向クラッチの潤滑にはグリースが用いられているが、一般的なグリースの粘性は温度によって大きく変化し、特に、エンジン始動直後等の低温時には高粘性となって、くさび状空間内のロック転動体(円筒ころ)の動きが阻害され、ロック転動体と内輪ないし外輪との噛み合い性が低下しやすくなる問題がある。この問題を解決するために、ばね部材によるロック転動体へのロック位置に向けた弾性付勢力(すなわち、ロック転動体がロック位置に位置する状態でのばね部材の圧縮変位量)を増大させ、高粘性のグリースに抗してロック転動体がロック位置へスムーズに移動できるようにすることが考えられる。ところが、この方法では、ロック転動体と外輪との間に生ずる摩擦力が過大となり、その摩擦熱によってグリースの寿命が低下しやすくなる問題がある。
本発明の課題は、グリースの粘性が高い低温時のロック転動体の噛み合い性を改善しつつ、高温時における空転時摩擦も問題なく低減できる一方向クラッチを提供することにある。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記課題を解決するために本発明の一方向クラッチは、
内周側に円筒状軌道面が形成された外輪と、その外輪の内側に同心的に配置されるとともに、自身の外周面に回転半径が周方向に沿って変化する外周カム面が形成された内輪と、円筒状軌道面と外周カム面との間に形成されるラジアル方向空隙に配置されるロック転動体とを備え、ラジアル方向空隙が、外周カム面の周方向中間位置に定められた空転位置にてロック転動体の外径よりも大となり、当該周方向における外周カム面の第一端側に定められたロック位置に向けてロック転動体の外径より小となるよう連続的に縮小するくさび状空間とされるとともに、外周カム面の第二端側において内輪の外周面上に設けられたばね支持体とロック転動体との間に圧縮状態で配置され、該ロック転動体をロック位置に向けて周方向に弾性付勢するばね部材を有した一方向クラッチにおいて、
ばね部材によるロック転動体のロック位置に向けた弾性付勢力が、一方向クラッチの周囲環境温度が高くなるほど小さくなるように、ロック転動体がロック位置に位置するときのばね部材の圧縮変位量である基準圧縮変位量を、周囲環境温度に応じて調整するばね変位調整機構を備えたことを特徴とする。
上記本発明の一方向クラッチの構成によると、ロック転動体がロック位置に位置するときのばね部材の圧縮変位量である基準圧縮変位量が、ばね変位調整機構により、ばね部材によるロック転動体のロック位置に向けた弾性付勢力が、一方向クラッチの周囲環境温度が高くなるほど小さくなるよう、周囲環境温度に応じて調整される。その結果、エンジン始動直後等の低温時には、潤滑油をなすグリースが高粘性であっても、ばね部材の基準圧縮変位量が増大するので、ばね部材による弾性付勢力が強まり、ロック転動体が高粘性のグリースに抗してロック位置へスムーズに移動できる。一方、エンジンのウォームアップが進んで周囲環境温度が上昇すればばね部材の基準圧縮変位量は減少し、ばね部材による弾性付勢力は弱まる。しかし、このときグリースの粘性も低下しているので、ロック転動体はロック位置へスムーズに移動できる。そして、ばね部材による弾性付勢力が弱まっていることで、空転時においてロック転動体と外輪との間に生ずる摩擦を低減でき、摩擦熱によるグリース寿命低下を防止できる。
ばね支持体は内輪の外周面上にて該内輪の回転周方向にスライド可能かつ任意の位置を保持可能に設けることができる。ばね変位調整機構は、一方向クラッチの周囲環境温度が高くなるほどロック位置から遠ざかるように、ばね支持体を内輪の外周面上にてスライド移動させるものとして構成できる。ばね支持体の内輪外周面上での位置変更により、ばね部材の基準圧縮変位量を容易に調整することができる。
ばね変位調整機構は、内輪への固定部とばね部材の弾性復帰力に抗してばね支持体を回転周方向に受け止めるばね支持体受け部とを有するとともに、固定部から見たばね支持体受け部の回転周方向における変位量を周囲環境温度に応じて変化させる温度変位部材を有するものとして構成できる。このような温度変位部材を用いることで、ばね部材の基準圧縮変位量を温度に応じて調整する機構を、例えば温度センサとアクチュエータとを組み合わせた複雑なばね支持体の位置調整機構を用いずとも安価に構成することができる。このような温度変位部材は、具体的にはバイメタルで構成することができる。
ばね部材は、周囲環境温度の上昇に応じて基準圧縮変位量が減少するに伴い、ばね定数を段階的又は連続的に減少させる非線形特性ばねにて構成することができる。一方向クラッチの想定される環境温度範囲において、ばね変位調整機構による基準圧縮変位量の調整代(例えば、ばね支持体の回転周方向における移動代)がそれほど大きく見込めない場合にあっても、上記のような非線形特性ばねを用いれば、周囲環境温度の低下に伴い基準圧縮変位量が少し増大するだけで、ばね定数自身の上昇によりロック転動体への弾性付勢力が急速に増大し、高粘性のグリースに抗してロック転動体をロック位置へ確実に移動させることができる。逆に周囲環境温度が上昇すれば、基準圧縮変位量の増大によりばね定数自身の低下と相俟ってロック転動体への弾性付勢力は速やかに減少し、空転時にロック転動体と外輪との間に生ずる摩擦低減効果を高めることができる。
非線形特性ばねは、基準圧縮変位量が予め定められた基準値を上回る場合にばね定数が予め定められた第一の値となり、圧縮変位量が該基準値を下回る場合にばね定数が第一の値よりも小さい第二の値となるように、ばね定数を段階的に変化させる特性を有するものを使用できる。ばね定数が第二の値となる温度域を、例えば使用するグリースの粘性が十分低くなる温度域に定めておけば、小さな弾性付勢力でもロック転動体をグリースの粘性に打ち勝ってロック位置へスムーズに移動させることができる。
次に、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る一方向クラッチを備えたプーリユニットの一例を示す正面半断面図、図2はそのプーリユニットに用いられる一方向クラッチのA−A断面図、図3はその要部拡大図である。図1はオルタネータ(図示せず)に付設されるプーリユニット100を示し、ベルトBが巻掛けられてエンジンのクランクシャフトプーリ(図示せず)から動力伝動されるオルタネータプーリ1(原動体:以下、単にプーリ1ともいう)と、プーリ1と同心状に配置されて一体回転可能な筒状のオルタネータ回転軸2(従動体:以下、単に回転軸2ともいう)とを有する。
プーリ1から回転軸2に至る伝動径路であって両者1,2間に形成される環状空間には、環状空間のアキシャル方向中央部に配設される一方向クラッチ3と、一方向クラッチ3のアキシャル方向両側にそれぞれ配設される深溝玉軸受(以下、単に軸受ともいう)4,4(転がり軸受)とが設けられている。一方向クラッチ3は、プーリ1(原動体)と回転軸2(従動体)との間の動力伝達を接続状態と遮断状態との間で切り替えるものであり、より詳しくは、プーリ1の回転速度が回転軸2の回転速度よりも遅くなった場合に遮断状態となるものである。また、軸受4,4は、一方向クラッチ3に作用する主としてラジアル荷重を支持する機能を有している。
各軸受4は、内輪41、外輪42、複数の玉43(転動体)、および波形の保持器44を含む。図示例の軸受4では、内・外輪41,42間のアキシャル方向外端側のみにシール45を取り付けている。このシール45は、外輪42の一方のシール取付溝42aに対して嵌入装着されており、ゴム製のリップが内輪41に対し摺動する摺動型シールとして構成されている。回転軸2の一端側の外周面には、軸受4のシール45を外側から隠蔽するために、環状板7が例えば圧入により取り付けられている。また、保持器44は、その環状部の円周数カ所にアキシャル方向一方に開放するポケット44aを設けた周知の構造を有する。この保持器44は、例えば冷間圧延鋼板等のプレス成形加工体として構成できる。なお、軸受4,4にはそれぞれ複列玉軸受を用いてもよい。
次に、図1及び図2に示すように、一方向クラッチ3は、プーリ1の内周面に固定されてこれと一体回転する環状の外輪31と、回転軸2の外周面に固定されて一体回転する環状の内輪32と、外輪31と内輪32との間に形成される環状空間に軸線をアキシャル方向に沿わせて配置された複数(例えば8個)のロック転動体33(円筒ころ)と、各ロック転動体3をロック位置に向けて付勢するばね部材35と、内輪32の外周面上に固定され、各ばね部材35を対応するロック転動体33との間で圧縮状態にて支持するばね支持体34とを有する。ばね支持体34は樹脂製又は金属製であり、各ロック転動体3の周方向間隔を規制する保持器の役割も果たすが、周知の保持器と異なり、各ロック転動体3に対応して内輪32の周方向に分割形成されている。
図2に示すように、内輪32は外輪31と同心的に配置されるとともに、自身の外周面に回転半径が周方向に沿って変化する外周カム面32aが形成されており、回転軸2(図1参照)に固定されてこれと一体回転する。図2において内輪32は正多角柱状(具体的には正八角柱状)の形態を有し、外周カム面32aはその軸断面各辺に対応した個別の矩形状平面に形成されている。
また、外輪31の内周側には円筒状軌道面31aが形成されている。そして、外輪31の内周面と内輪32の個々の外周カム面32aとの間のラジアル方向空隙は、外周カム面32aの周方向中間位置に定められた空転位置(図3上)にてロック転動体33の外径よりも大となり、周方向における外周カム面32aの第一端側(例えば、時計回りの下手側)に定められたロック位置(図3下)に向けてロック転動体33の外径より小となるよう連続的に縮小するくさび状空間Kが形成されている。また、ばね部材35は、外周カム面32aの第二端側(例えば、時計回りの上手側)において内輪32の外周面上に設けられたばね支持体34とロック転動体33との間に圧縮状態で配置され、該ロック転動体33をロック位置に向けて周方向に弾性付勢する。
ばね支持体34は内輪32の外周面上にて該内輪32の回転周方向にスライド可能かつ任意の位置を保持可能に設けられている。具体的には、ばね支持体34は、後述の変位調整機構40をなす温度変位部材41を介して内輪32に外嵌固定され、内輪32と一体回転する。また、ばね部材35の基端側(ロック転動体33に接しているのと反対側)は、ばね支持体34のばね支持側端面から周方向に突出する支持突起34aが挿入され、該支持突起34aの周囲をなす着座面34bに当接する形で支持されている。
次に、ばね変位調整機構40は、一方向クラッチ3の周囲環境温度が高くなるほどロック位置から遠ざかるように、ばね支持体34を内輪32の外周面上にてスライド移動させるものとして構成されている。具体的には、ばね変位調整機構40は、内輪32への固定部41bと、ばね部材35の弾性復帰力に抗してばね支持体34を回転周方向に受け止めるばね支持体受け部41sとを有するとともに、固定部から見たばね支持体受け部41sの回転周方向における変位量を周囲環境温度に応じて変化させる温度変位部材41として構成されている。温度変位部材41は、厚さ方向が内輪32の回転周方向と一致するように配置されるバイメタルにて構成されており、基端部が固定部41bとして内輪32の外周面に対し周方向の相対移動が不能となるように埋め込まれる一方、先端側が支持体受け部41sとされ、ばね支持体34の底面に開口する温度変位部材挿通孔34h内に挿入されている。
内輪32の回転周方向において、温度変位部材挿通孔34hのロック位置に近い側の内側面には、ばね受け凸部34dがロック位置から遠ざかる向きに突出形成されている。バイメタルからなる温度変位部材41の支持体受け部41sは、線膨張係数の大きい側の主表面、つまり、図4下に示すように、温度上昇に伴い湾曲変形するバイメタルの湾曲凸側となる主表面にてばね受け凸部34dに当接している。温度変位部材41は、温度上昇によりロック位置から遠ざかる向きに湾曲変形するとともに、自身の湾曲変位に伴なうばね支持体34のスライド変位をなるべく大きく確保するために、ばね受け凸部34dの回転周方向における突出先端位置をロック位置から遠ざかる向きに逃がしつつ、ばね受け凸部34dとの当接位置が支持体受け部41s上にてラジアル方向内側へ移動するようになっている。なお、内輪の回転周方向にて温度変位部材挿通孔34hの、ロック位置空と及川の内側面と温度変位部材41との間には、温度変位部材41の湾曲変位を許容するための一定量の隙間が形成されている。
以下、一方向クラッチ3の動作について説明する。
図1において、外輪31が時計方向に回転する場合、円筒状軌道面31aと外周カム面32aとでロック転動体33がロックされ、プーリ1(原動体)から回転軸2(従動体)へ動力が伝わる接続状態となる。一方、外輪31の回転速度が低下した場合、すなわち、内輪32に対して相対的に反時計回りに外輪31が回転した場合、ロック転動体33のロック状態が解除され、外輪31と内輪32とは動力遮断状態となる。
図4上(及び図3)は、エンジン始動直後など、一方向クラッチ3の周囲環境温度が低い、低温時の動作状態を示すものであり、ばね変位調整機構40の温度変位部材41は湾曲変位が小さくなっている。他方、図4下は、エンジンのウォームアップが進んで一方向クラッチ3の周囲環境温度が上昇した高温時の動作状態を示すものであり、温度変位部材41はロック位置から遠ざかる向きに大き湾曲変位し、圧縮状態のばね部材35からの弾性付勢力を受けてばね支持体34は、ロック位置から遠ざかる向きにスライド移動する。
ロック転動体33がロック位置に位置するときのばね部材35の圧縮変位量を基準圧縮変位量とすれば、図4上に示す低温時においては、ばね支持体34がロック位置へ近づいてばね部材35の基準圧縮変位量が増大する。その結果、潤滑油をなすグリースが高粘性であっても、ばね部材35による弾性付勢力が強まり、ロック転動体33が高粘性のグリースに抗してロック位置へスムーズに移動できる。他方、図4下に示す高温時においては、ばね支持体34がロック位置から遠ざかり、ばね部材35の基準圧縮変位量が減少するので、ばね部材35による弾性付勢力は弱まる。そして、ばね部材35による弾性付勢力が弱まっていることで、空転時においてロック転動体33と外輪31との間に生ずる摩擦を低減でき、摩擦熱によるグリース寿命低下を防止できる。
なお、図3に示す構造では、温度変位部材41の支持体受け部41sが、ばね支持体34に形成された温度変位部材挿通孔34hに挿入される構造となっていた。しかし、図5に示すように、温度変位部材挿通孔34hを形成せず、支持体受け部41sを、内輪32の回転周方向においてばね支持体34の温度変位部材挿通孔34hのロック位置から遠い側の端面(以下、後端面という)34cに当接させる構成としてもよい。図5下に示すように、該端面34cのラジアル方向内側部分は高温時に湾曲変形した支持体受け部41sを受けるための、ロック位置側に向けて傾斜する湾曲受け面34fとされている。該湾曲受け面34fは端面34cのラジアル方向中間位置よりも外側まで延長された形で形成されており、支持体受け部41sの湾曲に伴なうばね支持体34の移動ストロークは図4よりも拡大されている。
次に、図6に示すように、ばね部材は、周囲環境温度の上昇に応じて基準圧縮変位量が減少するに伴い、ばね定数を段階的又は連続的に減少させる非線形特性ばね135にて構成することができる。一方向クラッチ3の想定される環境温度範囲において、ばね変位調整機構40による基準圧縮変位量の調整代(例えば、ばね支持体34の回転周方向における移動代)がそれほど大きく見込めない場合にあっても、上記のような非線形特性ばね135を用いれば、図7及び図8に示すように、低温域(T=T)での平均的なばね定数が高温域(T=T)での平均的なばね定数よりも大きくなり、周囲環境温度の低下に伴い基準圧縮変位量が少し増大するだけで、ばね定数自身の上昇によりロック転動体33への弾性付勢力を急速に増大することができる。その結果、低温時にも高粘性のグリースに抗してロック転動体33をロック位置へ確実に移動させることができる。逆に周囲環境温度が上昇すれば、基準圧縮変位量の増大によりばね定数自身の低下と相俟ってロック転動体33への弾性付勢力は速やかに減少し、空転時にロック転動体33と外輪31との間に生ずる摩擦低減効果を高めることができる。
図6の構成で採用する非線形特性ばね135は、図7に示すごとく、基準圧縮変位量が予め定められた基準値を上回る場合(低温時:図7にてT=Tのとき)にばね定数が予め定められた第一の値Kとなり、圧縮変位量が該基準値を下回る場合(高温時:図7にてT=Tのとき)にばね定数が第一の値Kよりも小さい第二の値Kとなるように、ばね定数を段階的に変化させる特性を有するものが使用されている。ばね定数が第二の値Kとなる温度域を、使用するグリースの粘性が十分低くなる温度域に定めておけば、小さな弾性付勢力でもロック転動体33をグリースの粘性に打ち勝ってロック位置へスムーズに移動させることができる。一般的なグリースの粘性の温度特性を考慮した場合、ばね定数が第一の値Kと第二の値Kとの間で切り替わる温度は、例えば−10℃以上20℃以下の範囲内に設定することが望ましい。
図6の構成では、非線形特性ばね135は、線径及び巻線周回長が互いに等しく、巻線ピッチが互いに異なる第一部分135Aと第二部分135Bとからなり、ばねの圧縮初期段階では、巻線ピッチの小さい(つまり、弾性定数が小さい)第一部分135Aが先に変形し、非線形特性ばね135全体のばね定数は第一の値K1となる。一方、第一部分135Aの変形が進んで巻線ピッチが小さくなると、第一部分135Aだけでなく第二部分135Bの圧縮変形も顕著となり、非線形特性ばね135全体のばね定数は第二の値K2となる。
なお、図6において、非線形特性ばね135は、ばねの全長が2分割され、その一方が第一部分135Aとされ、他方が第二部分135Bとされたものが使用されていたが、図8に示すように、ばねの全長を3以上に分割し、第一部分135Aと二部分135Bとを交互に配列した構成としてもよい。また、第一部分135Aと第二部分135Bとを巻線ピッチが互いに異なる部分として形成する代わりに、図9に示すように、巻線周回長が互いに異なる部分135C,135Dとして形成し、これらを直列に接続した構成としてもよいし、巻線周回長の小さい部分135Fを巻線周回長の大きい部分135Eの内側に収容した構成としてもよい。さらに、図11に示すように、巻線周回長がばね長方向に漸減するテーパコイルばね235としてもよい。
なお、上述の実施例では、図1に示すごとく、プーリ1が原動体となり、回転軸2が従動体となるプーリユニット(オルタネータプーリ)を例にとって説明したが、クランクプーリのように、回転軸が原動体となり、プーリが従動体となるプーリユニットに対しても本発明を同様に適用することができる。
本発明に係る一方向クラッチを組み込んだプーリユニットの一例を示す正面半断面図。 図1に組み込まれた一方向クラッチのA−A断面図。 低温時における図2の一方向クラッチの要部を作用とともに示す拡大断面図。 図2の一方向クラッチの要部を、ロック時において低温時と高温時とで対比して示す拡大断面図。 図2の一方向クラッチの第一変形例を、ロック時において低温時と高温時とで対比して示す拡大断面図。 図2の一方向クラッチの第二変形例を、ロック時において低温時と高温時とで対比して示す拡大断面図。 非線形特性ばねの動作特性を説明する模式図。 非線形特性ばねの第一変形例を示す模式図。 同じく第二変形例を示す模式図。 同じく第三変形例を示す模式図。 同じく第四変形例を示す模式図。
符号の説明
1 オルタネータプーリ(プーリ:原動体)
2 回転軸(従動体)
3 一方向クラッチ
31 外輪
31a 円筒状軌道面
32 内輪
32a 外周カム面
33 ロック転動体(円筒ころ)
34 ばね支持体
35 ばね部材
40 ばね変位調整機構
41 温度変位部材
100 プーリユニット
K くさび状空間

Claims (5)

  1. 内周側に円筒状軌道面が形成された外輪と、その外輪の内側に同心的に配置されるとともに、自身の外周面に回転半径が周方向に沿って変化する外周カム面が形成された内輪と、前記円筒状軌道面と前記外周カム面との間に形成されるラジアル方向空隙に配置されるロック転動体とを備え、前記ラジアル方向空隙が、前記外周カム面の周方向中間位置に定められた空転位置にて前記ロック転動体の外径よりも大となり、当該周方向における前記外周カム面の第一端側に定められたロック位置に向けて前記ロック転動体の外径より小となるよう連続的に縮小するくさび状空間とされるとともに、前記外周カム面の第二端側において前記内輪の外周面上に設けられたばね支持体と前記ロック転動体との間に圧縮状態で配置され、該ロック転動体を前記ロック位置に向けて周方向に弾性付勢するばね部材を有した一方向クラッチにおいて、
    前記ばね部材による前記ロック転動体の前記ロック位置に向けた弾性付勢力が、前記一方向クラッチの周囲環境温度が高くなるほど小さくなるように、前記ロック転動体が前記ロック位置に位置するときの前記ばね部材の圧縮変位量である基準圧縮変位量を、前記周囲環境温度に応じて調整するばね変位調整機構を備えたことを特徴とする一方向クラッチ。
  2. 前記ばね支持体は前記内輪の外周面上にて該内輪の回転周方向にスライド可能かつ任意の位置を保持可能に設けられ、前記ばね変位調整機構は、前記一方向クラッチの周囲環境温度が高くなるほど前記ロック位置から遠ざかるように、前記ばね支持体を前記内輪の外周面上にてスライド移動させる請求項1記載の一方向クラッチ。
  3. 前記ばね変位調整機構がバイメタルにて構成されている請求項2記載の一方向クラッチ。
  4. 前記ばね部材は、前記周囲環境温度の上昇に応じて前記基準圧縮変位量が減少するに伴い、ばね定数を段階的又は連続的に減少させる非線形特性ばねにて構成されてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の一方向クラッチ。
  5. 前記非線形特性ばねは、前記基準圧縮変位量が予め定められた基準値を上回る場合に前記ばね定数が予め定められた第一の値となり、前記圧縮変位量が該基準値を下回る場合に前記ばね定数が前記第一の値よりも小さい第二の値となるように、前記ばね定数を段階的に変化させる特性を有するものが使用される請求項4記載の一方向クラッチ。
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