JP2009277984A - 有機発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 連続駆動寿命の長い有機発光素子を得ることを目的とする。
【解決手段】 陽極と陰極と発光層ホール輸送層と、を少なくとも有する有機発光素子において、
前記発光層は青色発光する発光材料を有し、前記ホール輸送層を構成する材料の、ラジカルカチオン状態における吸収スペクトルが、青色波長領域に、吸収ピークを持たないことを特徴とする有機発光素子を提供する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、有機化合物を用いた有機発光素子に関するものであり、さらに詳しくは、有機化合物からなる薄膜に電圧を印加することにより光を放出する有機発光素子に関する。
有機発光素子は、陽極と陰極間に発光性有機化合物を含む薄膜を配置させて、電極間に電圧を印加し、ホール(正孔)およびエレクトロン(電子)を注入することにより駆動する。このホールと電子が素子内で再結合し、発光性有機化合物の励起子(励起状態)を生成させ、この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する。
有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能であることから、広汎な用途への可能性が示唆されている。
しかしながら、ディスプレイ等への応用を考えた場合、現状の素子の安定性では実用上十分ではなく、特に、連続駆動を行うと経時的に発光効率が低下する問題に対して、性能改善の必要があった。
この発光効率劣化の原因として、各電極から注入された電荷により、素子を構成する有機化合物が、繰り返し、酸化や還元されることにより劣化することが考えられている。非特許文献1には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)の劣化の一因が、ホール通電によって生成したラジカルカチオン(陽イオン)の不安定性であることが示唆されている。また、特許文献1には、劣化改善を目的として、酸化反応に対して耐性を有する特定のアリールアミン化合物を用いることが開示されている。
また他の原因として、発光層中の化合物の励起状態を経由した、材料の劣化が考えられている。非特許文献2には、励起状態を介した反応が、材料劣化を引き起こす一因であることが示唆されている。
特開2007−70352号公報 特許第4065547号公報 特許第03508984号公報 特開2007−302650号公報 特開2004−107263号公報 Science、283、1900(1999) Journal of Applied Physics 101、024512(2007)
しかしながら、化合物の酸化・還元に対する耐性や、励起状態での安定性を改善しても、これまでの技術では連続駆動耐久性を実用上十分とすることはできなかった。
本発明は、
陽極と、
陰極と、
該陽極と該陰極との間に配置される有機化合物からなる発光層と、
前記発光層に接して配置される有機化合物からなるホール輸送層と、
を少なくとも有する有機発光素子において、
前記発光層は青色発光する発光材料を有し、
前記ホール輸送層を構成する材料の、ラジカルカチオン状態における吸収スペクトルが、青色波長領域に、吸収ピークを持たないことを特徴とする有機発光素子を提供する。
本発明によれば、連続駆動寿命の長い有機発光素子を得ることができる。
本発明者等はこれまでの技術とは異なるアプローチで連続駆動耐久性を向上させる素子の開発を試みた。より具体的には劣化を引き起こす経路を改善することを試みた。
本発明者等はまず次の現象に気付いた。即ち、ラジカルカチオン状態の化合物が、発光層が発光する光の波長領域に吸収ピークを有していると劣化するという現象である。
以下、ラジカルカチオンが励起されることで、材料劣化が引き起こされることの検証実験を説明する。
(1)検証実験用のサンプル作成
基板としてのガラス基板上に、陽極としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて130nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した。
次にこの基板上に、下記の化合物1と下記の化合物2を、それぞれ別のボートから同時に真空蒸着して成膜した。化合物2の濃度は10wt%で、膜厚は100nmであった。この層を第1の有機物層と呼ぶ。
Figure 2009277984
Figure 2009277984
次に下記の化合物3を15nm、真空蒸着した。この層を第2の有機物層と呼ぶ。
Figure 2009277984
更に真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム膜を設け電子注入電極(陰極)とするサンプルを作成した。
得られたサンプルは、水分の吸着が起こらないように、露点−70度以下の窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、エポキシ系接着材で封止した。なお、保護ガラスの接着面側には掘り込みを入れ、水分吸着用のシート(有機EL用水分ゲッターシート、ダイニック株式会社製)を封入した。
(2)検証実験の詳細
この様にして得られたサンプルに、ITO電極(陽極)を正極、アルミニウム電極(陰極)を負極にして電圧印加する。化合物3の電子親和力が小さいため、Alから有機物層への電子の注入は起こらないが、ITO電極からホール注入は起こるため、このサンプルにはホール電流のみが通電することになる。従って、このサンプルは通電してもEL発光しない。
このサンプル(サンプル1)に、電流密度を100mA/cmに保ち電圧を印加した。電圧は、通電開始時は約21Vで、通電130時間後には約22Vとほとんど電圧上昇がなかった。また、第1の有機物層のフォトルミネッセンスを測定したところ、130時間の通電後の強度は通電前の強度に対して約99%を維持していた。ホール通電によって、化合物1および化合物2は、酸化(ラジカルカチオン化)と中性化を繰り返すことになるが、ほとんど劣化が起きていないことを示している。
次に、全く同様に作成したサンプル(サンプル2)に、ガラス基板側から460nmの光を130時間、照射した。照射強度は約0.4W/cmである。
両電極間は0Vが維持されている状態であり、通電されていない。
このサンプルの第1の有機物層のフォトルミネッセンスを測定したところ、照射前に対して、130時間照射後の強度は約99%を維持していた。化合物1および化合物2のエネルギーギャップが、460nmよりも短波(高エネルギー)であるため、この波長では励起できず、ほとんど劣化が起きなかったことを示している。
次に、全く同様に作成したサンプル(サンプル3)に、電流密度を100mA/cmに保ち電圧を印加している間、460nmの光を照射しつづけた。電圧は、通電および光照射開始時は約21Vであったが、これら通電と光照射を130時間行った後には35Vと非常に大きな電圧上昇を示した。また、第1の有機物層のフォトルミネッセンスを測定したところ、初期の強度に対して130時間の通電および光照射後の強度は約92%と、明らかな劣化を示した。
これらの実験結果から、ホール通電によって生じた、化合物2のラジカルカチオンが、460nmの照射光で励起されることによって、劣化したと考えられる。前述したとおり、化合物2は、中性状態ではエネルギーギャップが広いために460nmでは励起できないが、ラジカルカチオン状態ではこの波長領域に吸収を持つために励起するからである。ここで、化合物2に注目するのは、化合物1よりも化合物2の方がイオン化ポテンシャルが小さく、ホール通電により化合物2が優先的にラジカルカチオン状態になるためである。
化合物2の中性状態および、ラジカルカチオン状態の光学吸収スペクトルを図1に示す。図1に示すように、ラジカルカチオン状態になると、中性状態にはなかった新たな吸収ピークを460nm付近にもつことが分かる。
以上、一連の検証実験から、ホール通電によって生成したラジカルカチオンが励起状態を経ることによって、材料劣化が起こることが分かった。
発明者等は更にその本質に気付いた。即ち、上記の検証実験の場合には、ラジカルカチオンは素子外部からの照射光によって励起され劣化したが、実際の有機発光素子においては、発光層中に生じる発光材料の発光によって励起され劣化することが考えられる。しかしながらそれが劣化の主たる原因ではなく、むしろ励起状態の発光材料からラジカルカチオンへエネルギーが移動することによってラジカルカチオンが励起され劣化すると考えた。
というのも発光材料からの発光をラジカルカチオンが吸収すること(発光―再吸収)よりも、励起状態の発光材料からラジカルカチオンへエネルギーが移動することのほうが、効率が高く支配的であると考えられるからである。
そして、特に、エネルギーの高い一重項励起状態からの、フェルスター型のエネルギー移動が重要であると考えられる。
また、ラジカルカチオンの励起状態のエネルギーが高いと、劣化がより顕著になると考えられるため、青色波長領域のラジカルカチオンの吸収が問題となる。
即ち本発明等は励起子(励起状態)からホール(ラジカルカチオン状態)へ、エネルギー移動することで生成するラジカルカチオンの励起状態が、劣化経路となっていることを発見した。本発明は、この劣化経路を、ホール輸送層を構成する材料を制御することで効果的に抑制し、青色発光素子の、駆動寿命の向上を可能にするものである。
本発明においては、ホール輸送層を構成する材料のラジカルカチオン状態に着目する。というのも素子に注入されたホールは、ホール輸送層を通電し、次に発光層へ注入されるが、ホール輸送層の発光層側界面近傍に蓄積されるからである。これは通常、ホール輸送層は発光層材料よりもイオン化ポテンシャルの小さい材料を用いるため、ホール輸送層と発光層界面にエネルギーギャップが生じるためである。
従来の有機発光素子では、ホール輸送層を構成する材料のラジカルカチオン状態へ、発光層の発光材料の励起状態からエネルギー移動が起こるために、ホール輸送層を構成する材料が劣化する。
ホール輸送層に従来良く用いられる下記化合物(αNPD)の中性状態および、ラジカルカチオン状態の光学吸収スペクトルを図2に示す。
Figure 2009277984
483nm付近にラジカルカチオン状態の吸収ピークを持つことが分かる。この吸収ピークを通じて、青色発光材料の励起状態からαNPDのラジカルカチオン状態へエネルギー移動が起こり、αNPDのラジカルカチオンの励起状態が生成され、劣化が起こる。
本発明の有機発光素子は、ホール輸送層を構成する材料の、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルが、青色波長領域(発光材料の発光波長領域)に、吸収ピークを持たないようにする。
その結果、本発明においては、発光材料の励起状態から、ホール輸送層を構成する材料のラジカルカチオンへの、エネルギー移動を抑制することで、劣化を防止することができる。
本発明における青色波長領域とは、410nm〜510nmである。
吸収ピークを持つということは、その対応するエネルギーにラジカルカチオンの励起状態が存在する(基底状態をゼロエネルギーとして)ことを意味する。吸収ピークを持つ場合、発光材料からラジカルカチオンへのエネルギーの移動が円滑に起こってしまう。
本発明における吸収ピークとは、そのエネルギーを中心にラジカルカチオンの励起状態が存在する(基底状態をゼロエネルギーとして)ことを吸収スペクトルの波形の中で明らかに示すものであれば良く、特に具体的形状については限定しない。
また、青色波長領域における、ラジカルカチオン吸収量は小さいことが好ましい。
本発明における発光材料とは、有機発光素子として取り出したい発光を発する材料のことである。したがって発光層がホストと発光ドーパントで形成される場合には、発光ドーパントのことである。
以上説明したように、本発明の有機発光素子は、励起状態の発光材料から、ホール輸送材料のラジカルカチオンへのエネルギー移動を抑制できるので連続駆動寿命の長い有機発光素子を提供することができる。
また、発光材料からホール輸送材料のラジカルカチオンへのエネルギー移動をさらに抑制するには、発光層中の再結合領域が、ホール輸送層側に偏っていないことが好ましい。励起状態の発光材料と、ラジカルカチオン状態のホール輸送層材料の距離が遠いほど、エネルギー移動の速度が低下するためである。
そのために、発光層をホスト材料と、ドーパントとしての発光材料の2種類で構成した場合に、発光層中のホールがドーパントにトラップされないことが重要である。ホールがトラップされるとホール移動度が低下し、再結合領域がホール輸送層側に偏りやすくなる。そのためには、発光材料のイオン化ポテンシャルIPDと、ホスト材料のイオン化ポテンシャルIPHが、
IPD>IPH
とすることが好ましい。
また、発光層中の再結合領域がホール輸送層側に偏らないためには、発光層中の電子をドーパントに強くトラップすることで電子移動度を遅くすることが有効である。そのためには、発光材料の電子親和力EADと、ホスト材料の電子親和力EAHが、
EAD−EAH ≧ 0.15 eV
であることが好ましい。
図3は下記化合物4をホストとし、電子親和力の異なる種々の材料を10wt%の濃度でドーパントとして混合したサンプルを、それぞれTOF法にて測定しそれらの電子移動度を測定した結果である。
Figure 2009277984
横軸はドーパントの電子親和力と化合物4の電子親和力の差(EAD−EAH)であり、縦軸は電界強度36kV/cmでの電子移動度である。なお、図中、EAD−EAH=0のプロットは、ホスト単体の電子移動度である。電子親和力の差が0.15eV以上の場合に、電子移動度が顕著(1/5以下)に低下することがわかり、即ち電子トラップが強く機能していることがわかる。
本発明において、十分な劣化抑制の効果を得るには、ホール輸送層中の水分濃度が十分に低いことが好ましい。含有水分濃度が高いとホール輸送層内の材料が水酸化され、イオン化ポテンシャルの小さい劣化物が生成される可能性があるからである。
ホール輸送層中の水分濃度を十分に低くするためには例えば、有機発光素子を封止剤あるいは封止部材により封止する際の露点が−110度以上−70度以下であることが好ましい。
またホール輸送層中の水分濃度を十分に低くするためには例えば、有機層を蒸着により成膜する際の真空度が10−7Pa以上10−4Pa以下であることが好ましい。
このような劣化物が発生すると、この劣化物にホール蓄積される可能性が高く、本発明の劣化抑制の効果が低下することになる。
ホール輸送層を真空蒸着法にて成膜する場合には、含有水分濃度を低下させるために、真空度を上記の範囲とすることが好ましいが、他にも、有機化合物の蒸着速度を速くすることが好ましい。より好ましくは0.5nm/sec以上10nm/sec以下である。また、ホール輸送層と発光層の界面への水分吸着量を減らすため、ホール輸送層蒸着後、発光層の蒸着開始までの非蒸着待機時間が短い(より好ましくは10分以内)ことが望ましい。
またホール輸送層の蒸着工程と発光層の蒸着工程との間の非蒸着待機時間が、真空状態が破られていないことが好ましい。
また、本発明において、十分な劣化抑制の効果を得るには、使用するホール輸送材料の純度が特に高いことが好ましい。特にイオン化ポテンシャルが小さい不純物が含まれる場合には、この不純物にホールトラップされる可能性が高く、本発明の劣化抑制の効果が低下することになる。
図4から図7に本発明の有機発光素子の構成例を示す。
図4は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。電子輸送層6は発光層を兼ねている。
図5は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホールと電子の再結合領域は発光層内にある。ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物と適宜組み合わせて用いられ、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各キャリアまたは励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能になる。
図6は、図5に対して、ホール輸送層の一種であるホール注入層7を、陽極2側に挿入した構成であり、陽極2とホール輸送層5の密着性改善あるいはホールの注入性改善に効果があり、低電圧化に効果的である。
図7は、図5に対して、電子輸送層の一種であるホールブロック層8を、発光層3−電子輸送層6間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの大きな(すなわちHOMOエネルギーの低い)化合物をホールブロック層8として用いる事により、発光層から陰極側へのホール漏れを改善し、発光効率の向上に効果的な構成である。
エネルギーギャップの測定は、可視光−紫外吸収スペクトルから求めることができる。本発明においては、ガラス基板上に成膜した薄膜の吸収端から求めた。装置は日立製分光光度計U−3010を用いた。
イオン化ポテンシャルおよび最高被占軌道(HOMO)エネルギーは、大気下光電子分光法(測定器名AC−1 理研機器製)を用いて測定した。
電子親和力および最低空軌道(LUMO)エネルギーはエネルギーギャップ測定値と上記イオン化ポテンシャルから算出することができる。すなわち、電子親和力=イオン化ポテンシャル−エネルギーギャップ、である。
ラジカルカチオンの吸収スペクトルは、電解質溶液に、ポテンシオスタットにより電位を印加して酸化状態(ラジカルカチオン)を生成し、その吸収スペクトルを計測することにより得る。本発明においては、対象となる材料濃度が、1×10−2〜10−5mol/lの電解質溶液に対し、酸化電位程度の電位を印加して、吸収スペクトルの時間変化を計測する。
この吸収スペクトルは、中性状態の分子とラジカルカチオン状態の分子の吸収スペクトルの和であるが、通電電荷量(アンペロメトリー)からラジカルカチオンの生成量を見積もることが出来る。中性分子とラジカルカチオンの存在比と、その時の吸収スペクトルから、ラジカルカチオン自体の吸収スペクトルを得ることが出来る。ここで使用した電荷化学アナライザー(ポテンシオスタット)はALS社製660Cである。吸収スペクトルの測定には、光源としては、オーシャンオプティクス社製重水素タングステンハロゲン光源DH−2000を用いた。また分光器としては、オーシャンオプティクス社製USB−2000を用いた。
ホール(正孔)輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にし、また注入されたホールを発光層に輸送する優れたモビリティを有することが好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子および高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、およびポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
電子注入輸送性材料としては、陰極からの電子の注入を容易にし、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。また、イオン化ポテンシャルの大きい材料は、ホールブロック材料としても使用できる。
本発明の有機発光素子の有機化合物からなる層は、発光層やその他有機層において種々の方法により得られる。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマCVDにより薄膜を形成する。あるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよく、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいはリチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、マグネシウム−インジウム等、複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
また陽極および陰極は、少なくともいずれか一方が透明または半透明であることが望ましい。
本発明で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
また、素子の光取り出し方向に関しては、ボトムエミッション構成(基板側から光を取り出す構成)および、トップエミッション(基板の反対側から光を取り出す構成)のいずれも可能である。
なお、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
本発明の有機発光素子は種々の製品に搭載できる。
例えば当該有機発光素子を有した光源(露光装置)を搭載した電子写真方式の画像形成装置を提供することができる。
また本発明の有機発光素子を2次元上に複数配置することで、表示部を構成することができる。したがってその表示部を有する画像表示装置を提供することができる。
画像表示装置はこの表示部とそれを駆動する駆動部とを少なくとも有する。
画像表示装置とは例えばパーソナルコンピュータのディスプレイやテレビジョンのディスプレイである。
駆動部は例えば表示画像の明るさを調整するために、1フレーム期間における該有機発光素子の発光期間を調整するスイッチを有することが好ましい。
発光期間の調整方法としては例えば特開2007−271971に記載の方法が挙げられる。
ほかにも表示部は電子写真方式の画像形成装置のタッチパネル部等の操作部として利用することができる。
あるいは画像表示装置を画像表示部としたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラ(撮像装置)も提供できる。
表示部はそれぞれの有機発光素子に毎にスイッチング素子を有していても良い。スイッチング素子は例えばTFTである。
表示部を構成するそれぞれの有機発光素子は互いに異なる色を発してもよい。より具体的にはそれぞれの有機発光素子が赤緑青の3色のいずれの色を発光してもよい。その場合フルカラー表示が可能である。
特に、上述したモバイル機器に搭載するフルカラー画像表示装置においては、限られた電源容量を有効に使用するために、有機発光素子から放出される光を効率良く利用することが望まれる。従って、発光色毎に有機発光素子の光学的干渉距離を調整して、取り出し効率を高めることが好ましい。特に、有機発光素子の発光領域と反射電極の反射面との光学距離が、発光波長の1/4又は3/4倍であることが好ましい。
また、複数色からなるフルカラー画像表示装置においては、いづれかの色の有機発光素子の発光材料として燐光材料を用いることも出来る。燐光材料を発光材料として使用することにより、電気エネルギーをより効率良く発光エネルギーに変換できるからである。特に赤緑青の三色からなるフルカラー表示装置においては、赤色のみ、緑色のみ、又は、赤色と緑色の発光材料として、燐光材料を用いることが好ましい。
さらに、無駄なエネルギー消費を抑える上で、配線部分の電気的な抵抗は、小さい方良く、具体的にはシート抵抗値で0.1Ω/□から50Ω/□が好ましい。トップエミッション型の有機発光素子を用いた構成においては、有機膜の上に成膜する透明もしくは半透明電極(基板側電極の対極)の電気伝導率が低い傾向にある。この電気伝導率を高めるために、複数配置した有機発光素子の間の部分に電気伝導率の高い材料を設置することも可能である。その結果、電極部分の抵抗値を下げることが出来る。
また、画像表示装置の表示領域において、有機発光素子の発光面積比率(開口率)は、0.4以上0.8以下が好ましい。開口率が小さいと、同一輝度を得る際の有機発光素子に通電される電流密度が増加し、負荷が大きくなる為である。また、開口率が大きすぎると発光素子間の間隔が狭く、成膜の際の位置合わせが困難になる為である。
(第1の実施の形態)
本発明の有機発光素子の作成方法を具体的に説明する。
基板としてのガラス基板上に、陽極としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて130nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いる。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥する。さらに、UV/オゾン洗浄する。
この基板に、ホール注入層材料として下記化合物5を、真空蒸着法を用いて20nmの膜厚で成膜する。
Figure 2009277984
次にホール輸送層として下記化合物6を、真空蒸着法を用いて20nmの膜厚で成膜する。
Figure 2009277984
次に発光層として、ホスト材料として前記化合物1と、発光性ドーパント(青色発光材料)として下記化合物7を、それぞれ別のボートから同時蒸着して形成する。発光性ドーパントの濃度は5wt%で、膜厚は30nmである。
Figure 2009277984
更に電子輸送層として、下記化合物8を真空蒸着する。電子輸送層の膜厚は30nmである。
Figure 2009277984
上記有機物層の蒸着時の真空度は7.0×10−5Pa以下、成膜速度は0.8nm/sec以上1.0nm/sec以下の条件で成膜する。ただし、発光層はホストおよびドーパントの両者を合わせた蒸着速度である。また、ホール輸送層の蒸着完了後から発光層の蒸着開始までの時間は10分以内である。このとき真空状態を維持している。
次に、フッ化リチウム(LiF)を先ほどの有機層の上に、真空蒸着法により厚さ0.5nm形成し、更に真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム膜を設け電子注入電極(陰極)とする有機発光素子を作成する。蒸着時の真空度は1.0×10−4Pa、成膜速度は、フッ化リチウムは0.05nm/sec、アルミニウムは1.0nm/sec以上1.2nm/sec以下の条件で成膜する。
得られた有機発光素子は、水分の吸着が起こらないように、露点−70度以下の窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、エポキシ系接着材で封止する。なお、保護ガラスの接着面側には掘り込みを入れ、水分吸着用のシート(有機EL用水分ゲッターシート、ダイニック株式会社製)を封入する。
次に、ホール輸送層材料(化合物6)のラジカルカチオン吸収スペクトルを測定した。結果を図8に載せる。青色波長領域(410nm〜510nm)B内に、吸収ピークが存在せず、吸収量も小さいことが分かった。
従って、この素子では発光性ドーパント(発光材料)の励起状態から、ホール輸送層材料のラジカルカチオン状態へのエネルギー移動が起き難いため、ホール輸送層材料の劣化が抑制されると推察される。
次に、発光層のホスト材料の薄膜と発光性ドーパントの薄膜を各々真空蒸着により作成し、それぞれを大気下光電子分光装置(装置名AC−1)でイオン化ポテンシャルを測定した。またさらに、紫外−可視光吸収スペクトルの測定(装置名U−3010)から、エネルギーギャップおよび電子親和力を算出した。
この結果、ホスト材料のイオン化ポテンシャルは5.67eVであり、発光性ドーパントのイオン化ポテンシャルは6.05eVであった。したがって、発光層はホールをトラップしない構造になっている。
また、ホスト材料の電子親和力と発光性ドーパントの電子親和力は、各々、2.72eVと3.17eVであった。従って、発光性ドーパントは顕著な電子トラップ性能を持つ。
この素子は、発光層中の電子輸送層側で多くの再結合が起こり、再結合領域はホール輸送層側には偏らないと推定される。従って、発光性ドーパント(発光材料)の励起状態から、ホール輸送層材料のラジカルカチオン状態へのエネルギー移動がさらに抑制され、駆動寿命の長い有機発光素子が得られると考えられる。
なお、化合物1、化合物5、化合物7および、化合物8の合成方法は、各々、特許第4065547号公報、特許第03508984号公報、特開2007−302650号公報および、特開2004−107263号公報に記載のとおりである。
また、新規な化合物6の合成方法を下記に示す。
[化合物6の合成例]
以下の合成スキームにより化合物6を合成した。
Figure 2009277984
[化合物(c)の合成]
300ml三ツ口フラスコに、化合物(a)10g(36.2mmol)、化合物(b)、14.98g(47.1mmol)、トルエン120mlおよびエタノ−ル20mlを入れ、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、炭酸ナトリウム10g/水100mlの水溶液を滴下し、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.00g(1.70mmol)を添加した。77度に昇温し5時間攪拌した。反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(ヘプタン+トルエン混合展開溶媒)で精製し、化合物(c)(白色固体)9.84g(収率64.1%)を得た。
[化合物(e)の合成]
300ml三ツ口フラスコに、化合物(c)8.0g(18.9mmol)、トルエン120mlおよびトリエチルアミン40mlを入れ、化合物(d)、11.0mlを滴下後、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、[1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパン]ニケッル(II)ジクロライド1.08g(2.0mmol)を添加した。90度に昇温し8時間攪拌した。反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(ヘプタン+トルエン混合展開溶媒)で精製し、化合物(e)(黄白色固体)5.25g(収率53.4%)を得た。
[化合物(h)の合成]
200ml三ツ口フラスコに、化合物(f)5.0g(26.9mmol)、化合物(g)、25g(108mmol)、銅粉7.0g(110mmol)、炭酸カリウム、20.73g(150mmol)、オルトジクロロベンゼン100mlを入れ、165度に昇温し、8時間攪拌した。反応後、反応溶液をろ過し、そのろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(ヘプタン+トルエン混合展開溶媒)で精製し、化合物(h)(白色固体)9.07g(収率86.0%)を得た。
[化合物6の合成]
200ml三ツ口フラスコに、化合物(e)0.78g(1.5mmol)、化合物(h)、1.47g(3.75mmol)、トルエン50mlおよびエタノ−ル10mlを入れ、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、炭酸セシウム10g/水50mlの水溶液を滴下し、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.2g(0.170mmol)を添加した。77度に昇温し5時間攪拌した。反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(ヘプタン+トルエン混合展開溶媒)で精製し、化合物6(黄白色固体)0.82g(収率60.8%)を得た。
質量分析法により、化合物6のM+である896を確認した。
また、HNMR測定により、化合物6の構造を確認した。
H NMR(CDCl,400MHz)σ(ppm):7.76−7.73(m,2H),7.63(s,1H),7.57(d,1H), 7.48−7.44(m,3H), 7.36−7.30(m,2H),7.20(s,1H),7.12(d,2H),7.03−6.92(m,12H)6.84(dd,4H),2.27(s,6H),2.20(s,12H),2.16(s,12H),1.52(s,6H)。
(第2の実施の形態)
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のモバイル機器に搭載するRGBフルカラー表示装置について、以下に示す。この表示装置は、本発明の有機発光素子を表示部の青(B)画素に有する。モバイル機器における表示装置には、電源の制限から、特に低消費電力であることが望まれる。従って、本実施例においては、この点に留意して表示装置を作成する。この表示装置の断面の模式図を、図9に示す。
使用した基板1には、10の有機発光素子を駆動する低温ポリシリコンのTFT駆動回路、11の平坦化膜、2の陽極、12の画素分離膜が形成してある。TFT駆動回路は、(640×3色)×480の画素が対角3.5インチのサイズで2次元的に配列されたものである。また、2の陽極は、13のAg合金からなる厚さ50nmの反射膜と、14の厚さ60nmのITOからなる透明電極の積層膜である。各陽極2は、平坦化膜11に形成されたコンタクトホールを通じ、TFT駆動回路10に接続されている。また、各画素間には、ポリイミド樹脂からなる画素分離膜12が形成されてある。
この基板を、アセトン、IPAで順次超音波洗浄し、さらにIPAで煮沸乾燥した後、UV/オゾン洗浄した。この基板を真空装置に導入し、RGB三色の有機発光素子を形成する。
はじめに正孔輸送層5として前記化合物3を、抵抗加熱により60nmの厚さで全画素に形成する。その後、シャドーマスクを用いて、青色画素にのみ、第二の正孔輸送層51として前記化合物6を10nm形成し、さらに、青色発光層31として前記化合物1と前記化合物7を35nmの厚さに同時蒸着して形成する。この青色発光層における発光性ドーパント(化合物7)の混合比率は、5wt%である。
次に、緑色画素に対しては、シャドーマスクを用いて前記化合物3を80nm形成し、正孔輸送層の厚さを調整する。さらに、緑色発光層32として、前記化合物1と下記化合物9を40nmの厚さに同時蒸着して形成する。
Figure 2009277984
この緑色発光層における発光性ドーパント(化合物9)の混合比率は、15wt%である。
また、赤色画素に対しては、シャドーマスクを用いて前記化合物3を120nm形成し、正孔輸送層の厚さを調整する。さらに、赤色発光層33として、下記化合物10と前記化合物11を30nmの厚さに同時蒸着して形成する。この赤色発光層における発光性ドーパント(化合物11)の混合比率は、10wt%である。
Figure 2009277984
Figure 2009277984
このようにRGB各色発光層を、シャドーマスクを用いて形成した後、全画素に対して電子輸送層6として前記化合物8を10nm形成する。さらに、前記化合物8と炭酸セシウムを同時蒸着して、厚さ60nmの電子注入層9を形成する。この電子注入層における炭酸セシウムの混合比率は、3wt%である。
なお、上述した有機化合物の蒸着は、蒸着時の真空度が7.0×10−5Pa以下、成膜速度は0.8ns/sec以上1.0ns/sec以下であり、同時蒸着の場合は、両者をあわせた蒸着速度である。
次に、陰極4としてIZOを30nmの厚さに成膜した。成膜方法は、アルゴンと酸素を導入し、対向式ターゲットスパッタ装置(FTS)を使用する。
また、IZO陰極4の素子分離膜上には、幅8ミクロンのアルミニウムからなる補助電極15を抵抗加熱により40nm成膜する。
このように作成した有機発光素子を有する基板を窒素雰囲気中(露点―80℃)に取り出し、0.3mmの掘り込みを有する保護ガラス板16で覆うように接着する。また、この保護ガラス16は、その内側壁面に沿って水分吸着用のゲッターシート17(ダイニック製)を0.5mm幅で粘着してある。
さらに、保護ガラス板上には、外光反射防止の目的で、円偏向板18を設ける。
このようにして得た表示装置は、発光色に対して正孔輸送層や発光層の厚さを変え、適性な有機発光素子の厚さになるように光学的干渉距離を合わせたことにより、より高効率の有機発光素子を得ることが出来る。
また、赤色発光層として、燐光材料を発光性ドーパントとして用いることにより、より高効率の有機発光素子を得ることが出来る。さらに、補助電極15は、30nmという比較的薄い陰極の電気伝導率を補う為のものであり、その結果、陰極部分による電圧降下を防ぎ、表示装置を駆動する際に必要な電力を低減するのに効果がある。その結果、電源容量に限るのあるモバイル機器等の表示装置として、寿命の問題を解決するだけでなく、消費電力の観点からも効果的である。
化合物2の中性状態、および、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルである。 αNPDの中性状態、および、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルである。 電子親和力の異なるドーパントを混合した膜の電子移動度を測定した結果を示す図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 化合物6の中性状態、および、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルである。 本発明の画像表示装置の一例を示す断面の模式図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホールブロック層
9 電子注入層
10 TFT駆動回路
11 平坦化膜
12 画素分離膜
13 反射膜
14 透明電極
15 補助電極
16 保護ガラス
17 ゲッターシート
18 円偏光板
31 青色発光層
32 緑色発光層
33 赤色発光層
51 第二の正孔輸送層

Claims (6)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    該陽極と該陰極との間に配置される有機化合物からなる発光層と、
    前記発光層に接して配置される有機化合物からなるホール輸送層と、
    を少なくとも有する有機発光素子において、
    前記発光層は青色発光する発光材料を有し、
    前記ホール輸送層を構成する材料の、ラジカルカチオン状態における吸収スペクトルが、青色波長領域に、吸収ピークを持たないことを特徴とする有機発光素子。
  2. 前記発光層が、前記発光材料と、ホスト材料の少なくとも2種類で構成され、前記発光材料のイオン化ポテンシャルIPDと、前記ホスト材料のイオン化ポテンシャルIPHが、
    IPD>IPH
    であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  3. 前記発光層が、前記発光材料と、ホスト材料の少なくとも2種類で構成され、前記発光材料の電子親和力EADと、前記ホスト材料の電子親和力EAHが、
    EAD−EAH ≧ 0.15 eV
    であることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の有機発光素子。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の前記有機発光素子を表示部に有し、前記表示部を駆動する駆動部を有する画像表示装置。
  5. 前記駆動部は、表示画像の明るさを調整するために、1フレーム期間における前記有機発光素子の発光期間を調整するスイッチを有することを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記請求項1乃至5の何れか1項に記載の前記有機発光素子を表示部に有するカメラ。
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