JP2009275213A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温領域における圧縮永久歪み特性および耐油性に優れ、かつ柔軟性および成形性に優れるとともに、特にブルームアウトがない熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】 (a)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム 100質量部、(b)結晶性ポリプロピレン 20〜250質量部、(c)非ハロゲン系フェノール樹脂架橋剤 2〜30質量部、(d)塩化錫 0.1〜6質量部、および(e)タルクおよびクレーからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填剤2〜50質量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関するものであり、詳しくは、高温領域における圧縮永久歪み特性および耐油性に優れ、かつ柔軟性および成形性に優れるとともに、特にブルームアウト(粉吹き)がない熱可塑性エラストマー組成物に関する。
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性およびリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆材、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
熱可塑性エラストマーの中でも、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
また、これらのエラストマー中のスチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合を水素添加したエラストマー組成物は、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性を向上させたエラストマーとして、さらに広く多用されている。
しかしながら、これらのブロック共重合体や水素添加ブロック共重合体を用いた熱可塑性エラストマー組成物は、未だゴム的特性、例えば、耐油性、加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性に問題があり、この点を改良するものとして、上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物を架橋させて得られる架橋体が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
しかしながら、上記特許文献に開示されている水素添加ブロック共重合体の架橋組成物は、高温時、特に100℃以上における圧縮永久歪みが未だに不十分であり、機械強度が低下し易いという問題があり、従来加硫ゴム用途で要求されている性能レベルに到達していないのが現状である。また押出成形では高温時の溶融張力が低いために形状保持性が悪化し、射出成形では成形サイクル(成形時間)が長くなるなど、成形加工面の問題点も多い。
また、オレフィン樹脂及びオレフィン共重合体ゴムを動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物も柔軟性、耐熱老化性、耐候性及び機械物性等に優れており多数知られている(例えば、特許文献6〜9参照)。しかし、これらの組成物も高温における圧縮永久歪みは従来の加硫ゴム用途で要求される性能レベルには到達していないのが現状であった。
また、加硫ゴムの分野では架橋促進剤のブルームアウトが問題となっていた(例えば、特許文献10参照)。熱可塑性エラストマーの分野でも、酸化防止剤、滑剤などの低分子量有機添加剤が配合系によってはブルームアウトすることが知られていた(例えば、特許文献11参照)。
また、炭酸カルシウムやシリカはEPDMをベースとしたフェノール架橋剤を用いた動的架橋による熱可塑性エラストマーにおいて、ブルームアウトがあることは潜在的な問題であった。しかし、ユーザーから要求される機械物性と成形性を維持しながらブルームアウトを解決することは極めて困難と言われていた。
特開昭59−6236号公報 特開昭63−57662号公報 特開昭58−132032号公報 特開昭59−131613号公報 特開昭61−218650号公報 特開昭62−62847号公報 特開昭64−24839号公報 特開平3−234744号公報 特開平2−255733号公報 特開平11−80460号公報 特開平5−287133号公報
本発明の目的は、高温領域における圧縮永久歪み特性および耐油性に優れ、かつ柔軟性および成形性に優れるとともに、特にブルームアウトがない熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明は、以下のとおりである。
1.(a)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム 100質量部、
(b)結晶性ポリプロピレン 20〜250質量部、
(c)非ハロゲン系フェノール樹脂架橋剤 2〜30質量部、
(d)塩化錫 0.1〜6質量部、および
(e)タルクおよびクレーからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填剤 2〜50質量部
を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
2.前記(d)成分および(e)成分の質量比が、前者/後者として、1.0/0.8〜30であることを特徴とする前記1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
3.前記(e)成分の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
4.前記(a)成分が、溶液重合法により合成されたものであることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
5.前記(a)成分が、メタロセン系触媒により合成されたものであることを特徴とする前記4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
6.前記(a)成分の結晶化度が、9〜14%であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
7.前記1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、前記(a)〜(e)成分の種類および配合量を特定したことにより、高温領域における圧縮永久歪み特性および耐油性に優れ、かつ柔軟性および成形性に優れるとともに、特にブルームアウトがない熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
ブルームアウトとは、配合物に含まれる成分あるいはその誘導体が粉状に成形体表面に浮き出る、いわゆる粉吹き状態を呈する現象であり、成形体の外観不良、耐傷性および耐摩耗性の悪化、多色成形時の接着性悪化などの悪影響を及ぼす。
以下、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の構成成分、熱可塑性エラストマー組成物の製造、熱可塑性エラストマー組成物の用途について詳細に説明する。
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
(a):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
本発明で使用される(a)成分は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムである。上記エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等の炭素原子数3〜20のα−オレフィンと非共役ジエン化合物とを重合してなる共重合体である。α−オレフィンの中でもプロピレンが架橋剤による架橋性の点、ブルームアウト抑制の点から特に好ましい。
上記非共役ジエンの例としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−ノルボルネン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等を挙げることができる。中でも5−エチリデン−2−ノルボルネンが架橋剤による架橋性の点、ブルームアウト抑制の点から特に好ましい。
(a)成分の具体例としては、例えば、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体ゴム等が挙げられる。これらの中では、架橋剤による架橋性の点、ブルームアウト抑制の点からエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が好ましい。
本発明における(a)成分は、チーグラー系触媒、またはメタロセン系触媒を用いて合成されたものが使用される。チーグラー系触媒は、チタン化合物やバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒であり、メタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等の遷移金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒とからなる高活性の重合触媒である。メタロセン系触媒は、得られる重合体の分子量分布、粘度および非共役ジエン化合物含有量のコントロール性に優れ、また、得られる重合体のロット間およびロット内の性能のブレが少ない。そのため、メタロセン系触媒を用いて調製された(a)成分を用いると、ブルームアウトがないうえ、成形品表面の平滑性が向上し、ブツやメヤニが少ないなどの利点を有するため、好ましい。
(a)成分のエチレン含有量の範囲は、40〜80質量%が好ましく、さらに好ましくは50〜75質量%である。特に上記の範囲では、得られる組成物の製造性と高温での圧縮永久歪み、引張強度とのバランスがよい。また、非共役ジエン化合物の含有量の範囲は、0.5〜8質量%が好ましく、さらに好ましくは2〜6質量%である。非共役ジエン化合物の含有量の範囲を、上記の範囲に設定することにより、得られる組成物の圧縮永久歪み特性をさらに高めることができる。
また、(a)成分のムーニー粘度ML1+4(125℃)は、10〜180が好ましく、20〜150がさらに好ましい。成分(a)のムーニー粘度ML1+4(125℃)が10未満であると熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪み特性が低下する。180を超えると成形性が悪化する。また、(a)成分のムーニー粘度ML1+4(125℃)を上記特定範囲に定めることによって、耐油性、圧縮永久歪み特性をさらに高めることができる。
一般的にエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)の製造プロセスとしては、主に脂肪族炭化水素を溶媒とした溶液重合法が採用されており、一部ではモノマーを主溶剤としたスラリー重合法も採用されている。また、モノマーガスの中で分散剤として種々の不活性材料(例えば、カーボンブラック)を用い重合反応を進める気相重合法も工業化されている。溶液重合法による合成は、気相重合法と異なり、ポリマー中にカーボンブラック等を含まないためブルームアウトの抑制に優れる。さらに、メタロセン触媒を用いるとブルームアウトの抑制効果が一層良好な結果となる。一方、気相重合法による合成は、溶液重合法やスラリー重合法より高分子量のポリマーを合成でき、その結果、ムーニー粘度を高くする事ができ、耐油性、圧縮永久歪みに有効である。
また、(a)成分の結晶化度は、9〜14%が好ましく、10〜13%がさらに好ましい。結晶化度が9〜14%であれば、ブルームアウトの抑制効果がさらに高まる。結晶化度が10〜13%であれば、ブルームアウトの抑制効果がより一層高まる。
ここで、本明細書でいう結晶化度とは、DSC(示差走査熱量測定)により測定される値であり、具体的には、以下の方法によって測定される。
(i)試料を重量の分かったアルミパンに入れ、封入前に約10Paの圧力下で24時間乾燥する。
(ii)乾燥後、速やかにサンプル容器全体の重さを測定し加圧密封する。
(iii)DSCのサンプルホルダーにサンプル容器をセットし、10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温する。
(iv)230℃で60分維持し、試料を完全に溶融または緩和させる。
(v)昇温速度と同一速度(10℃/分)で30℃まで冷却する。
(vi)等温結晶化過程において生成する結晶の完全度が結晶の生成時期と無関係に一定と仮定して、結晶化熱(ΔHc)から結晶化度を評価する。
(vii)結晶化度は、HDPE(HJ560:日本ポリケム、比重0.964)の結晶化熱(ΔHc)を100として(a)成分の結晶化熱(ΔHc)を%で標記する。
(a)成分として使用できる市販品として、例えば、デュポン・ダウ・エラストマージャパン社製のNordel IP 4725P、4760Pおよび4770R(溶液重合、商品名)ならびにNordel MG 46140、47085、47100および47130(気相重合、商品名)などを挙げることができる。
(b):結晶性ポリプロピレン
本発明で使用される(b)成分は、結晶性ポリプロピレンであり、熱可塑性エラストマー組成物の耐油性向上、硬度調節、成形性向上の目的で用いられる。
(b)成分は、結晶性のプロピレンの単独重合体または、プロピレンを主体とする結晶性の共重合体が挙げられる。共重合体としてはブロック共重合体、ランダム共重合体およびブロック・ランダム共重合体が例示される。(b)成分としては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1三元共重合体等の結晶性プロピレン系重合体が挙げられる。
(b)成分のDSCによる融点は、100℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上である。
ここで、DSCによる融点は、示差走査熱量計(DSC)によって得られるピークトップ融点であり、具体的には、DSCを用い、サンプル量10mgを採り、190℃で5分間保持した後、−10℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−10℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで測定して求める値である。
(b)成分のMFR(230℃ 21.18N荷重)は0.1〜850g/10minが好ましく、物性と成形性のバランスの点より0.2〜300g/10minがより好ましく、0.5〜20g/10minがさらに好ましい。
(b)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、20〜250質量部であり、好ましくは30〜210質量部である。成分(b)の配合量が前記上限値を超えると圧縮永久歪みが低下し、下限値未満では、耐油性、製造性および成形性が低下する。
(b)成分として使用できる市販品として、例えば、日本ポリケム(株)製のNovatec BC8、BC08AHA、EA9、EC3HFおよびEG7F(商品名)などが挙げられる。
(c):非ハロゲン系フェノール樹脂架橋剤
本発明で使用される(c)成分は非ハロゲン系フェノール樹脂であり、(a)成分を架橋する成分である。
非ハロゲン系フェノール樹脂としては、アルキル置換フェノールまたは非置換フェノールの、アルカリ媒体中のアルデヒドとの縮合、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合体が挙げられる。アルキル置換フェノールにおける置換アルキル基は、炭素数20未満のものが好ましく、とくにp−位において炭素数1〜12の置換アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類が好ましい。また、非ハロゲン系フェノール樹脂として二官能性フェノールジアルコール類の縮合体も好ましい。
なお、米国特許第4,311,628号、米国特許第2,972,600号および3,287,440号明細書には、熱可塑性加硫ゴムのフェノール樹脂による架橋技術が開示され、これらの技術も本発明で用いることができる。
好ましい非ハロゲン系フェノール樹脂の例は、一般式(I)、により定義される。好ましくは、Qは、二価基−CH2−および−CH2−O−CH2−から選択され、nは0または1〜20の正の整数であり、Rは20未満の炭素原子を有する有機基である。なおより好ましくは、Rはp−位に1〜12の炭素原子を有する有機基である。
Figure 2009275213
上記、非ハロゲン系フェノール樹脂の製品例としては、田岡化学工業(株)製のTackirol 201、202(商品名)、群栄化学工業(株)製のPR−4507(商品名)、Hoechst社製のVulkaresat 510E、532E、Vulkaresen E、105E、130E、Vulkaresol 315E(商品名)、Rohm&Haas社製のAmberol ST 137X(商品名)、住友デュレズ(株)製のスミライトレジン PR−22193(商品名)、Anchor Chem.社製のSymphorm−C−100、C−1001(商品名)、荒川化学工業(株)製のタマノル 531(商品名)、Schenectady Chem.社製のSchenectady SP1045、SP1055、SP1056、SP1059(商品名)、U.C.C社製のCRR−0803(商品名)、昭和ユニオン合成(株)製のCRM−0803(商品名)、Bayer社製のVulkadur A(商品名)などが挙げられ、その中でもTackirol 201、202(商品名)を好ましく使用できる。
中でも本発明は、(c)成分として下記のp−オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂(質量平均分子量Mw=2,500〜4,000)がとくに好ましい。当該樹脂は、上記のTackirol 201、202(商品名)として市販されているものも利用できる。
Figure 2009275213
(c)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、2〜30質量部であり、好ましくは3〜15質量部である。(c)成分の配合量が30質量部を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の流動性が著しく減少し、製造・成形が困難となる。一方、2質量部未満では、熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪み特性および耐油性が悪化する。
(d):塩化錫
本発明で使用される(d)成分は、塩化錫(SnCl2)であり、(c)成分の架橋剤の機能をより効果的に向上させるために用いられる。また、(d)成分と上記(c)成分および下記で説明する(e)成分とを組み合わせることにより、高温領域における圧縮永久歪み特性及び耐油性を良好に発現することができるとともに、ブルームアウトの抑制効果が発現する。
(d)成分は、(a)成分100質量部に対して0.1〜6質量部の範囲で配合され、0.5〜3質量部が好ましい。(d)成分の配合量が6質量部を超えると架橋が均一に起こらなくなり、得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性が低下し製造・成形が困難となり、折り曲げ白化性、耐屈曲疲労性が悪化する。また、ブルームアウトの抑制効果も発現しない。
(d)成分の配合量が0.1質量部未満では、架橋反応が充分でなく、耐オイルブリード性、耐油性が悪化し、同時に圧縮永久歪みも悪化し好ましくない。
また本発明では、(c)成分と(d)成分との量的関係を特定範囲に設定することにより、圧縮永久歪み特性、耐油性、柔軟性および成形性を維持したまま、ブルームアウトの抑制効果をさらに高めることができる。すなわち、(c)成分を1としたときに(質量)、(d)成分は、0.05〜1.2であるのが好ましい。
(d)成分は、一般に市販されている製品を使用することができる。
(e):タルクおよびクレーからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填剤
本発明で使用される(e)成分は、タルクおよびクレーからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填剤であり、ブルームアウトの抑制に寄与する。該成分以外の無機充填剤では、ブルームアウトの抑制効果が見られない(下記で説明する(g)酸化亜鉛は除く)。また特に好ましい本発明の形態は、無機充填剤として(e)成分および(g)酸化亜鉛以外の無機充填剤を使用しない形態である。
(e−1)タルク
タルクとは、マグネシウム粘土鉱物の一種で、滑石とも称され、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表される。化学組成は、SiO2を58〜66%、MgOを28〜35%、H2Oを約5%含み、その他少量成分として、Fe23、Al23、CaO、Na2O、K2O、TiO2、P25、SO3等を含有している物質である。不純物によりそのpHは8〜11と変化し、比重は約2.7である。結晶構造は表面にSiO2があり、2層目に水酸基を持ったMgOがあり、3層目にSiO2となった3層構造である。実際はこの結晶が幾重にも重なっている。
(e−2)クレー
クレーとは、ケイ酸アルミニウムを主成分とする粘度鉱物であって、化学組成は、SiO2もしくはSiOを30〜80%、Al23を0.5〜50%、MgOもしくはMgO2を0.1〜35%含み、その他少量成分として、Fe23、FeO、CaO、Na2O、K2O、TiO2、水分等を含有している物質である。
また、ブルームアウトの抑制効果および組成物の機械的特性の観点から、(e)成分の平均粒径は10μm以下であることが好ましく、10μm〜0.4μmであることがさらに好ましい。さらに具体的には、(e−1)タルクの平均(体積基準)粒径は10μm〜1μm(レーザー回折法、測定機器:日機装(株)製のMT3000)であることがさらに好ましく、(e−2)クレーの平均粒径は5μm〜0.4μm(マイクロスキャンアナライザー法、測定機器:マイクロスキャンアナライザー、Quantachrome Corp社)であることがさらに好ましい。
なお、(e−1)タルクの平均粒径とは、レーザー回折法により測定された値である。また、(e−2)クレーの平均粒径とは、マイクロスキャンアナライザー法により測定された値である。
(e)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対し、2〜50質量部であり、5〜30質量部が好ましい。50質量部を超えると、押出成形性、射出成形性が著しく悪化し、製造性が悪化し機械特性を低下させる。また、ブルームアウトも発生する。2質量部未満では、ブルームアウトの抑制効果が発現しない。
タルクおよびクレーは、一般に市販されている製品を使用することができる。
また本発明では、(d)成分と(e)成分との量的関係を特定範囲に設定することにより、圧縮永久歪み特性、耐油性、柔軟性および成形性を維持したまま、ブルームアウトの抑制効果をさらに高めることができる。すなわち、(d)成分を1としたときに(質量)、(e)成分は、0.8〜30の範囲であるのが好ましく、3〜14の範囲であるのがさらに好ましい。
(f):非芳香族系ゴム用軟化剤(任意成分)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記(a)〜(e)成分以外の任意成分を添加することができる。例えば、(f)非芳香族系ゴム用軟化剤を、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性付与および成形性改良の目的で用いることができる。
(f)成分としては、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素)、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素)および、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらの非芳香族系ゴム用軟化剤は、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。
室温で液状である非芳香族系ゴム用軟化剤の市販品としては、日本油脂(株)製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油、商品名)、出光興産(株)のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル、商品名)、出光石油化学(株)製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8質量%以上のイソパラフィン、商品名)、三光化学工業(株)製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル、商品名)などが挙げられる。
また、(f)成分には、少量の不飽和炭化水素およびこれらの誘導体が共存していてもよい。不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のエチレン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等のアセチレン系炭化水素を挙げることができる。
(f)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して、10〜300質量部が好ましく、より好ましくは50〜200質量部である。(f)成分の配合量が300質量部を超えると得られる組成物からなる成形体表面にブリードが生じやすくなり、機械特性および圧縮永久歪み特性が低下する。
(g):酸化亜鉛(任意成分)
また本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、ブルームアウト抑制効果をさらに高めることを目的として、(g)酸化亜鉛を配合することもできる。(g)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部であることがさらに好ましい。この範囲内において、ブルームアウト抑制効果がさらに高まるとともに、機械的特性も良化される。20質量部を超えると機械的特性が低下する。
(g)成分は、一般に市販されている製品を使用することができる。
その他の成分:
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、発泡剤、難燃剤などを配合することができる。
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(e)、および必要に応じてその他の成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練することにより製造することができる。好ましくは、上記成分(a)〜(e)、および必要に応じてその他の成分を同時に加えて溶融混練する製造方法である。
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーまたは各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは160〜240℃であり、架橋を十分に進行させるためには混練時間を5〜20分とることが好ましい。
3.用途
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、高温領域における圧縮永久歪み特性および耐油性に優れ、かつ柔軟性および成形性に優れるとともに、特にブルームアウトがないものであるので、ブロー成形法、押出成形法、射出成形法、熱成形法、弾性溶接(elasto−welding)法、圧縮成形法等により成形される次のような用途に用いることができる。
具体的な用途としては、自動車部品として、ライティングガスケット、3Dエクスチェンジブロークリーンエアダクト、フーロシールヒンジカバー、ベリーパン(ロボテックエクストゥルージョンガスケット)、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、IPスキン、フラッパードアシール、ワイヤーハーネスグロメット、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションカバーブーツ(ストラットカバーブーツ)、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウィンドガスケット、コーナーモールディング、グラスエンキャプシュレーション(ロボテックエクストゥルージョン)、フードシール、グラスエンキャプシュレーション(射出成形)、グラスランチャンネル、セカンダリーシール等が挙げられる。また、工業部品として、高層ビルのカーテンウォールガスケット、窓枠シール、金属類/補強繊維類への接着、パーキングデッキシール、エキスパンションジョイント、地震対策用エキスパンションジョイント、住宅窓ドアシール(例えば共押出等)、住宅ドアシール、手すり表皮、歩行用マット(シート)、足ゴム、洗濯機排水ホース(PPとの二色成形等)、洗濯機フタのシール、エアコンモーターマウント、排水管シール(PPとの二色成形等)、ライザーチューブ、(PVC等)パイプ継手パッキン、キャスターホイール、プリンタロール、ダクトホース、ワイヤー&ケーブル、注射器シュリンジガスケット等が挙げられる。さらに、日用品・部品として、スピーカーサラウンド、ヘアブラシグリップ、かみそりグリップ、化粧品グリップ・フット、歯ブラシグリップ、日用品ブラシグリップ、ほうきの毛先、台所用品グリップ、計量スプーングリップ、枝切りバサミグリップ、ガラス耐熱容器フタ、園芸用品グリップ、ハサミグリップ、ステイプラーグリップ、コンピュータマウス、ゴルフバッグ部品、壁塗りコテグリップ、チェーンソーグリップ、スクリュードライバーグリップ、ハンマーグリップ、電気ドリルグリップ、研磨機グリップ、目覚まし時計等に好ましく使用できる。
さらに、例えば、ウェザーシールのような乗り物部品、カップ、カップリングディスクおよびダイヤフラムカップのようなブレーキ部品、およびそのカバー、恒速度継手およびラック伝達継手のようなブーツ、チューブ、シーリングガスケット、油圧または空気圧作動式装置の部品、Oリング、ピストン、弁、弁座、バルブガイドおよび他の弾性ポリマー系部品、または金属/プラスチック組み合わせ物質のような他の物質と組み合わされた弾性ポリマー、伝動ベルト等が挙げられる。
上記の中でも、人手に触れるまたは露出して可視される表皮材、とくに自動車(内・外装部材)用の表皮材の範疇に含まれる各種製品が本発明の用途として好ましい。
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、実施例・比較例で用いた試験片の製造方法、評価方法および原料は以下の通りである。
表1〜6に示す成分比(質量部)で各成分を容量3Lの加圧ニーダー型ミキサーに投入し、混練温度180℃、混練時間10〜30分で溶融混練をして、ペレット化した。次に、得られたペレットをプレス成形、押出成形および射出成形にて試験片を作成し、夫々の試験に供した。
評価方法
(1)比重:
JIS K 7112に準拠し、試験片として1mm厚プレスシートを用いて測定を行った。
(2)硬度:
JIS K 7215に準拠し、試験片として6.3mm厚プレスシートを用い、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。
(3)引張強さ、100%モジュラス、伸び:
JIS K 6301に準拠し、試験片として1mm厚プレスシートを3号ダンベル型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(4)圧縮永久歪み:
JIS K 6262に準拠し、試験片として6.3mm厚さプレスシートを使用した。25%変形の条件にて、120℃×22時間で測定した。
(5)体積膨潤率(%)(耐油性評価):
JIS K 6258に準拠し、試験片として2mm厚プレスシート使用した。120℃×72時間、IRM#903浸漬後の体積膨潤率を測定した。
(6)製造性:
ペレット製造工程での製造性を、次の基準で評価した。
○:まとまった混練物ができ、混練槽の汚染なく排出できる。
×:まとまった混練物ができない、および/または、混練槽を著しく汚染する。
(7)押出成形性(外観評価):
40mm押出機にて幅50mm×厚さ0.5mmの平板を200〜220℃で押出成形し、成形品の表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
○:成形品表面の鏡面性が良好であり、形状も安定し、ブツの発生もない。
×:成形品表面において、鏡面性が悪い、模様が発生する、エッジがきれいに出ない、ブツが目立つ、およびメヤニが発生するという不良の少なくとも1を有する。
(8)射出成形性(外観評価):
120t射出成形機で金型温度を30℃とし、130mm×130mm×2mmのシートを200〜220℃で射出成形し、成形品の外観を目視により観察し、フローマーク、ヒケ、ブツ発生の有無を、次の基準で評価した。
○:成形品表面の鏡面性が良好であり、ブツの発生もない。
×:成形品表面にフローマークや材料の剥離等による模様が発生する。もしくはブツが目立つ。
(9)ブルームアウト(外観、耐傷付き性):
120t射出成形機で金型温度を30℃とし、130mm×130mm×2mmのシートを200〜220℃で射出成形し、23℃で30日間放置後のシート表面を目視により観察し、次の基準で評価した。
◎:表面に目視できる粉吹きがない。また表面を爪で擦っても削れ物が発生しない。
○:表面に目視できる粉吹きがないが、表面に若干の曇りが見られる。
△:表面に曇りが見られ、表面を爪で擦ると削れ物が発生する。
×:明らかに目視できる粉吹きがあり、表面を爪で擦ると削れ物が発生する。
使用原料
(a)成分:
Nordel MG 47085(デュポン・ダウ・エラストマージャパン社製):メタロセン系触媒を用いて気相重合法で合成されたエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)、比重:0.86、ムーニー粘度ML1+4(125℃):80(ASTM D−1646)、エチレン含有量:69.5%、ENB含有量:4.5%、カーボンブラック量:30phr
Nordel IP 4760P(デュポン・ダウ・エラストマージャパン社製):メタロセン系触媒を用いて溶液重合法で合成されたエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)、比重:0.88、ムーニー粘度ML1+4(125℃):60(ASTM D−1646)、エチレン含有量:67%、ENB含有量:4.9%、カーボンブラック量:0phr、DSCによる結晶化度:10重量%
Nordel IP 4770R(デュポン・ダウ・エラストマージャパン社製):メタロセン系触媒を用いて溶液重合法で合成されたエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)、比重:0.88、ムーニー粘度ML1+4(125℃):70(ASTM D−1646)、エチレン含有量:70%、ENB含有量:4.9%、カーボンブラック量:0phr、DSCによる結晶化度:13重量%
(b)成分:
Novatec BC8(日本ポリケム(株)製):結晶性ポリプロピレンを主体としたプロピレンとエチレンとのブロック共重合体、密度:0.902g/cm3、MFR(230℃、21.18N荷重):1.8g/10min、融点160℃
(c)成分:
Tackirol 201(田岡化学工業(株)製):C8アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、質量平均分子量:2,500〜4,000
(d)成分:
無水塩化第一錫(昭和化工(株)製)
(d)比較成分:
ハイパロン40(デュポンエラストマー(株)製):クロロスルホン化ポリエチレン、密度1.18g/cm3、塩素含有量30%、硫黄含有量1.0%。
(e)成分:
(e−1):
RT−2((株)勝光山鉱業所製):タルク、レーザー回折法(日機装(株)製のMT3000)による平均(体積基準)粒径3μm
(e−2):
No.80(白石カルシウム(株)製):乾式分級クレー、マイクロスキャンアナライザー法(測定機器:マイクロスキャンアナライザー、Quantachrome Corp社)による平均粒径0.65μm
(e)比較成分:
Ns400(日東粉化工業(株)製):炭酸カルシウム、平均粒径1.7μm
VN3(東ソー・シリカ(株)製):二酸化ケイ素、嵩比重135g/l、一次粒子径16nm
CR−90(石原産業(株)製):二酸化チタン、比重4、平均粒径0.25μm
(f)成分:
PW−90(出光興産(株)製):パラフィンオイル
(g)成分:
酸化亜鉛2種(堺化学工業(株)製)
実施例1〜27および比較例1〜24
各実施例の成分比(質量部)および評価結果を表1〜3に、各比較例の成分比(質量部)および評価結果を表4〜6に示す。
Figure 2009275213
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Figure 2009275213
Figure 2009275213
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表1〜3より明らかなように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は良好な特性を有していた(実施例1〜27)。
一方、表4〜6に示すように、(b)成分の配合量が本発明の下限値未満である比較例1〜2の組成物は、耐油性、製造性、成形性に劣り、上限値を超えた比較例3〜4の組成物は、圧縮永久歪み特性に劣る。また、(c)成分の配合量が本発明の下限値未満である比較例5〜6の組成物は、圧縮永久歪み特性および耐油性に劣り、上限値を超えた比較例7〜8の組成物は、製造性および成形性に劣る。また、(d)成分の配合量が本発明の下限値未満である比較例9〜10の組成物は、圧縮永久歪み特性および耐油性に劣り、上限値を超えた比較例11〜12の組成物は、製造性、成形性およびブルームアウトの抑制効果が劣る。(d)成分として、塩化錫以外のハロゲン供与体として働く成分(クロロスルホン化ポリエチレン)を使用した比較例13〜14の組成物は成形性およびブルームアウトの抑制効果が劣る。また、(e)成分の配合量が本発明の下限値未満である比較例15〜16の組成物はブルームアウトの抑制効果が劣り、上限値を超えた比較例17〜18の組成物は引張特性、製造性、成形性およびブルームアウトの抑制効果が劣る。比較例19〜24の組成物は、(e)成分として、タルク、クレー以外の無機充填剤を使用したものである。これらの組成物はブルームアウトの抑制効果が劣ったり、製造性が劣ったりと目的の効果が得られなかった。
実施例28〜29
実施例2および実施例3に示す各成分の配合割合の組成物(表皮材として)と、基材(芯材)としてタルク補強ポリプロピレン(ポリプロピレン100質量部(Novatec BC8(日本ポリケム(株)製):結晶性ポリプロピレンを主体としたプロピレンとエチレンとのブロック共重合体、密度:0.902g/cm3、MFR(230℃、21.18N荷重):1.8g/10分、融点160℃)、タルク(RT−2((株)勝光山鉱業所製)20質量部との溶融混練物)との共押出成形試験を行なった。
共押出成形条件は、以下の通りである。
表皮材の厚さを約400μmとし、芯部の厚さを約2mmとして、2台の40mm単軸押出機(ダイス200℃、シリンダー160〜200℃)から共押出を行った。
得られた積層体表皮部分のブルームアウトを上記実施例と同様(23℃×30日間)に評価したところ、いずれも◎評価であった。

Claims (4)

  1. (a)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム 100質量部、
    (b)結晶性ポリプロピレン 20〜250質量部、
    (c)非ハロゲン系フェノール樹脂架橋剤 2〜30質量部、
    (d)塩化錫 0.1〜6質量部、および
    (e)タルクおよびクレーからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填剤 2〜50質量部
    を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記(d)成分および(e)成分の質量比が、前者/後者として、1.0/0.8〜30であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記(e)成分の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体。
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