JP2009269861A - カシス果実由来のウィルス感染予防・治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ウィルス感染を予防・治療できる副作用のない食品、薬剤、ペットフード及び飼料を提供することを課題とする。
【解決手段】カシス果実抽出物がウィルス、特にインフルエンザウィルスの感染予防効果を有する成分を含有しているとの知見を得、また、本果実抽出物は、日常的に摂取しても副作用の問題を起こさず、かつ嗜好的にも優れていることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、カシス果実に含まれる抗インフルエンザウィルス活性成分を利用したウィルス感染予防・治療剤及びカシス果実抽出物を含有する飲食品あるいはペットフード又は飼料に関する。
インフルエンザウィルスは、オルトミクソウィルス科に分類され、A、BおよびC型に分類される。この中で特にA型インフルエンザウィルスは、表面タンパク質の違いから複数の亜型に分類され、また、抗原性が変異しやすいため、毎年インフルエンザウィルス感染を流行させる。免疫力の弱い幼児や高齢者の場合、このインフルエンザウィルス感染が原因となり死に至ることもある恐ろしい感染症である。
しかしながら、インフルエンザウィルスに対する効果的で安全性の高い予防薬や治療薬は未だ開発されていない。その理由は、A型インフルエンザウィルスの多様な抗原性変異にある。
抗原性の変化をもたらすゲノムの変異は、2種類ある。一つは抗原シフトと呼ばれ、インフルエンザウィルスに特徴的で、同一の宿主細胞に2種類のインフルエンザウィルスが感染すると分節を入れ替えた混合株が出現する。この抗原シフトにより、他の生物を宿主としていたインフルエンザウィルスがヒトへの感染能力を有することで、致死的な疾病を引き起こし世界的に大流行するウィルスが誕生する危険がある。現在注目されている鳥インフルエンザウィルスのヒトへの感染は、この抗原シフトが原因である。
もう一つの抗原性変異として、抗原ドリフトと呼ばれるゲノム変異がある。A型インフルエンザウィルスは、このゲノム変異により表面タンパク質のアミノ酸配列が変化し、同じ亜型であっても抗原性の異なるウィルスが出現する。ヒトは、抗原特異的な抗体を生産することで生体防御を行っている。しかし、インフルエンザウィルスの変異により特異的な抗体はその効力を失い、毎年流行の原因となる。
インフルエンザウィルス感染の予防は、ワクチンが主流であるが、ワクチンは、インフルエンザの流行状況や流行前の健康なヒトが持っている免疫状況などから、インフルエンザウィルスの抗原性を予測し製造される。しかし、インフルエンザウィルスは先述の通り抗原シフト・ドリフトを起こしやすいため、ワクチンの抗原が流行しているウィルスと一致しないことが多く、ワクチンによる予防効果は満足の行くものではないため、児童への予防接種も現在では義務付けされていない。
さらに現在使用されているワクチンは、Aソ連型やA香港型およびB型に対して効果があるもの、新型ウィルスや鳥インフルエンザに対しては効果がない。また、インフルエンザウィルス薬として塩酸アマンタジンやオセルタミビルなどが承認されているが、副作用や耐性ウィルスの出現が危惧されている。
特開2002−145790号公報(特許文献1)には、ドッグローズ、アポテカリーズローズ等のバラ科植物の抽出物を有効成分とした抗インフルエンザウィルス剤が開示され、また特開平11−130692号公報(特許文献2)には、カバノアナタケ抽出物がインフルエンザウィルスに対して抗ウィルス活性を有していることが開示されているが、いずれも十分満足されていない状況である。
特開2002−145790号公報 特開平11−130692号公報 特開2006−76954号公報 特開2006−104121号公報 特開2006−137712号公報 特開2008−50301号公報
本発明は、ウィルス感染を予防・治療できる副作用のない食品、薬剤、ペットフード及び飼料を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を行ったところ、カシス果実抽出物がウィルス、特にインフルエンザウィルスの感染予防効果を有する成分を含有しているとの知見を得、また、本果実抽出物は、日常的に摂取しても副作用の問題を起こさず、かつ嗜好的にも優れていることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)カシス果実抽出物を有効成分とするウィルス感染予防・治療剤、
(2)カシス果実抽出物が、芳香族系の化合物(Delphinidin-3-rutinoside、Delphinidin-3-glucoside、Cyanidin-3-rutinoside、Cyanidin-3-glucosideを除く)を含む画分を主体とすることを特徴とする(1)記載のウィルス感染予防・治療剤、
(3)カシス果実抽出物が、芳香族系化合物であって吸着樹脂(HP20SS)によるクロマトグラフィーにて30%エタノール水溶出の画分を有効成分とする(1)記載のウィルス感染予防・治療剤、
(4)(1)、(2)又は(3)記載のウィルスがインフルエンザウィルスであることを特徴とするウィルス感染予防・治療剤、
(5)(1)、(2)、(3)又は(4)記載のウィルス感染予防・治療剤を含有することを特徴とするウィルス感染予防・治療用飲食品、
(6)(1)、(2)、(3)又は(4)記載のウィルス感染予防・治療剤を含有することを特徴とするウィルス感染予防・治療用ペットフード又は飼料
に関する。
カシス(Ribes nigrum L.)は、スグリ科に属する植物で、果実はゼリーやジャムあるいはリキュールなどに利用されている。カシスの生体調節機能として、血圧上昇抑制作用や抗ヘルペスウィルス作用が報告され、またカシスアントシアニンの効果としては、抗酸化作用や視力改善作用などが報告されている。
例えば、特開2006−76954号公報(特許文献3)には、カシス果実を抗肥満剤、血中コレステロール上昇抑制剤に用いることが記載されており、特開2006−104121号公報(特許文献4)には、同じくカシス果実を整腸剤に用いることが提示され、特開2006−137712号公報(特許文献5)には、カシス果実を抗腫瘍剤に用いることが示され、また特開2008−50301号公報(特許文献6)には、マテ葉、カシス果実等を膵リパーゼ阻害剤とすることが記載されている。
本発明のカシス果実抽出物とは、果実を中性から酸性条件下(硫酸、塩酸あるいは酢酸など)、水あるいは有機溶剤(アルコール類、アセトン類、酢酸エチルなど)、又は、これらの混合溶媒で抽出したものである。また、この抽出物を合成樹脂あるいは逆浸透膜により有機酸あるいは糖質を除くことでウィルス感染を阻止する効果を高め、嗜好的にも好ましいものを得ることができる。抽出に用いるカシス果実は生、冷凍あるいは乾燥したものでも良く、また粉砕などの処理を行っても良い。さらに、抽出方法は原料の状態、使用する溶媒の種類などにより異なるが、一般には常圧下で室温から加温条件で行われる。例えば酸性水を用いた抽出では、室温(25℃程度)で数分から数時間行うのが好ましい。また、得られた抽出物は、溶媒を真空濃縮機などにより濃縮し、溶媒を除き噴霧乾燥、あるいは水溶液としフリーズドライにより粉末化しても良い。
また、カシス果実抽出物としては、アントシアニン化合物であるDelphinidin-3-rutinoside、Delphinidin-3-glucoside、Cyanidin-3-rutinoside、Cyanidin-3-glucoside以外の芳香族系の化合物を含む画分が好ましく、適当な精製処理を行い、活性成分の高含量を図ることができるが、本抽出物の精製レベルや、さらには利用形態などについては特に制限はない。このような画分の調製は、限外ろ過、浸透膜、あるいは合成樹脂などにより行えばよい。例えば、カシス冷凍果実を1.5%硫酸水にて抽出後、合成吸着樹脂に通液し、60%含水エタノールで抽出後、その画分を減圧濃縮・噴霧乾燥し、その画分を有する抽出物を得ればよい。
カシス果実抽出物を含有するインフルエンザウィルス予防・治療剤とする場合、そのままあるいは適宜加工を行い様々な形態とすることが可能である。つまり、医薬あるいは食品上許容される各種の製剤用物質、例えば賦形剤、希釈剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘み剤、乳化剤、可溶化剤などを補助剤として含むことが出来る。具体的には、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール、デキストリン、食物繊維、タルク、ゼラチン、澱粉、セルロース及びその誘導体、砂糖、アスコルビン酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、グリセリン、動物及び植物油脂などが挙げられる。一般食品での形態として、果汁飲料、ガム、飴、発酵乳、お茶、炭酸飲料、ゼリー、プリン、グミなどが挙げられる。また、医薬品としては、うがい薬、トローチ、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤などにして使用することが出来る。
本カシス果実抽出物によるウィルス感染阻止効果は、主にウィルスの宿主細胞への吸着を阻止およびウィルスの増殖抑制によるものと考えられる。
本抽出物により感染阻止できるウィルスとしては、呼吸器感染症ウィルスである、インフルエンザウィルスやパラインフルエンザウィルス、アデノウィルス、コロナウィルス及び消化器感染症ウィルスであるロタウィルスなどが挙げられる。中でも宿主細胞のレセプターにシアル酸基を含むインフルエンザウィルスに対する活性が高いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明によるカシス果実抽出物を主成分とするウィルス感染予防・治療剤及びウィルス感染予防・治療用飲食品を用いることにより、副作用が少ない状態でウィルス感染を予防・治療することが出来る。さらに、ペットフードや飼料に混合させることにより、ペット及び家畜へも応用することが出来る。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
材料の調製
「カシス果実抽出物の調製」
10Lの容器にカシス冷凍果実2.0kgと0.5%硫酸水6.0Lを加え、室温にて1時間攪拌を行い抽出する。抽出混合物を10メッシュの金網を用いて固形物をろ別する。固形物残渣を10Lの容器へ戻し0.5%硫酸水を5L加え30分攪拌を行い、同様に抽出・ろ過を行った。同様な操作をさらに1度行い合計3回抽出を行った。ろ液を混合し珪藻土200gを加え10分間攪拌後、ろ紙を用いて細かな固形物をろ過し抽出液を約16L得た。この抽出液を合成吸着樹脂700mlに通液し、通液後イオン交換水2Lにて樹脂を洗浄した。次いで60%エタノール水3Lを用いて吸着物を溶出させた。溶出液を減圧下、エバポレーターにて湯浴50℃以下で溶媒を留去し、カシス果実抽出物24.0gを得た。
この時、アントシアニン含有量は、HPLCによる定量分析の結果、各種アントシアニン標準品は、それぞれDel-3-R (Delphinidin-3-rutinoside) 19.0%、Del-3-G(Delphinidin-3-glucoside) 4.4%、Cya-3-R(Cyanidin-3-rutinoside) 10.5%及びCya-3-G(Cyanidin-3-glucoside) 1.5%であった。
「インフルエンザウィルス液の調製」
赤血球凝集抑制試験に用いたインフルエンザウィルス株は、インフルエンザウィルスA/Puerto rico/8/34(PR8株:H1N1)であり、ウィルスは、発育鶏卵(11日卵)尿膜腔内に接種し、34℃で2日間培養させ、4℃に一晩置き、尿膜腔液を採取した。この尿膜腔液のインフルエンザウィルス価はMDCK細胞(イヌ腎由来細胞)を用いて測定し、50%感染する希釈の逆数値で表記し、107.4TCID50/mlであった。この尿膜腔液をウィルス液(PR8)として使用した。
「赤血球凝集阻害試験法」
インフルエンザウィルスは、鶏赤血球と吸着する能力を持ち、これはインフルエンザウィルスが呼吸器粘膜上皮細胞に吸着する現象を反映している。そこで、各試験物質が、インフルエンザウィルスによる標的細胞への吸着・凝集過程を阻害するか測定するため赤血球凝集阻害試験を行った。
各試験サンプルをリン酸緩衝液(PBS)で0.2もしくは2.0mg/mlの濃度に調製した溶液50μlを、50μlのPR8と混合し、室温にて1時間96well丸底プレート上で反応させた。反応後、サンプルとウィルスの混合液を0.1%牛血清アルブミン(BSA)含有PBSにてプレート上で2倍段階希釈した。その後、0.1%BSA含有PBAで0.5%に調整した鶏赤血球を全てのwellに50μl添加し、室温で1時間静置後、赤血球凝集反応を確認した。完全な赤血球凝集作用(HA)を引き起こすウィルスの最高希釈率をHA価として決定した。
上記精製法により得られたカシス果実抽出物に関して、赤血球凝集抑制効果を調べた。この時、比較対物として、ブルーベリー果実抽出物(吸光度法によるアントシアニジン含量25%)、各種アントシアニン標準品{Delphinidin-3-rutinoside(Del-3-R)とDelphinidin-3-glucoside(Del-3-G)はPolyphenols社製およびCyanidin-3-rutinoside(Cya-3-R)とCyanidin-3-glucoside(Cya-3-G)はEXTRASYNTHESE社製}及び各アントシアニン標準品の混合物についても同様に調べた。HA価のcontrol群と試験群の間の違いについては、Statcel(オーエムエス社、統計解析ソフト)を使用しスチューデントのt検定を行った。
その結果、カシス抽出物0mg/ml(control)及び0.2mg/mlで処理したPR8のHA価はそれぞれ210及び29.3であった。一方2.0mg/mlで処理されたPR8では24.3であり、2.0mg/mlで処理したものが有意に高い赤血球凝集抑制阻害作用が認められた。一方、ブルーベリー抽出物は、2.0mg/mlでHA価28.3であった(図1)。また、カシス抽出物2.0mg/mlで処理されたPR8が25.3であったとき、Delphinidin-3-rutinoside標準品は2.0ml/mlの濃度において28.6であった。このことから、ブルーベリー及びDelphinidin-3-rutinoside標準品の両者とも抑制阻害作用が見られたものの、カシス抽出物に比べるとその効果は低かった(図2)。これらの結果、カシス抽出物には高い赤血球凝集抑制作用を有していることが明らかとなり、これはアントシアニン類によるものではないことがわかった。
カシス果実抽出物5.03gを60mlの脱イオン水に溶解し、ガラス製カラムに合成吸着剤100mlを通液した。カラムを300mlの脱イオン水で洗浄し非吸着物を0.50g(収率9.9%)得た(F1)。カラムを15%エタノール水200mlにて3回洗浄し、それぞれの画分F2 1.91g(収率38.0%)、F3 0.78g (収率15.5%)、F4 0.21g (収率4.2%)を得た(図3及び図4)。次いで、30%エタノール水200mlにて3回洗浄し、F5 0.08g (収率1.6%)、F6 0.76g(収率15.1%)及びF7 0.14g(収率2.8%)を得た。さらに、100%エタノール1000mlで洗浄しF8 0.30g(収率6.0%)を得た。この画分中に含まれるアントシアニン類は、HPLCによる定量分析の結果、F1:0.0%、F2:46.6%、F3:57.6%、F4:19.7%、F5:9.34%、F6:2.6%、F7:0.4%、F8:0.2%であった。
これらの各画分を2.0mg/ml濃度として、上記赤血球凝集抑制阻害試験を行い、上記のクロマト精製による回収率をもとに各画分中の成分量を算出し、HA価を調べた(図5)。ControlのHAが211であったのに対し、F6画分が26.3と有意に高い抑制作用を示した。これは2.0mg/mlのカシス抽出物と同程度のHA価であった。このことから、活性画分はF6画分に存在していることが分かった。さらに、この活性画分中には、HPLCによる定量分析の結果、アントシアニン類は2.6%と殆ど含まれておらず、このことからも、この高い抑制作用はカシスアントシアニン類に由来していないことがわかった。
上記カシス果実抽出物及びブルーベリー果実抽出物を用いて、インフルエンザ感染モデルマウスを用いた試験を行った。
BALB/c雌性マウス(8週齢)を3群に分け1群6匹を試験に供した。カシス果実抽出物とブルーベリー果実抽出物は、ともにPBSにて0.1および0.2mg/mlに調整した。0.1%BSA含有PBSで希釈したPR8と各濃度の試験溶液を37℃にて3分間混合し、反応溶液とした。ネンブタールの腹腔内投与により麻酔(65mg/g body weight)したマウスの両鼻腔に、各反応液を10μlずつ(20μl/マウス)投与し、下気道感染を行った。その後、14日間発症及び生存の状態を観察した。マウスのインフルエンザ発症は、体重の減少、毛の逆立ち、動作の緩慢さから判断した。Control群は、試験溶液の代わりにPBSと反応させたPR8を下気道感染させた。
体重推移のcontrol群と試験群の間の違いについては、Statcel(オーエムエス社、統計解析ソフト)を使用しスチューデントのt検定を行った。また、発症率曲線及び生存率曲線のcontrol群と試験群の間の違いについては、Statcelを用いてlogrank検定を行った。
(体重)
経時的に体重を測定した結果、control群がインフルエンザウィルス感染後3日目から減少し始めたのに対し、カシス果実抽出物0.2mg/ml処理群では、体重の減少が見られなかった。一方、カシス果実抽出物0.1mg/ml処理群では、感染後7日目から体重減少が見られたが、control群と比較してその減少は有意に緩やかであった。しかしながら、ブルーベリー果実抽出物両濃度処理群では感染後4日目以降体重の減少が顕著におこり発症が見られた(図6)。これらの結果、カシス果実抽出物にはブルーベリー果実抽出物には含まれていない成分が、濃度依存的にインフルエンザウィルス感染を抑制していることが示唆された。
(発症率)
インフルエンザ発症率に関しても経時的に測定した結果、control群が感染後5日目に100%となったのに対し、カシス果実抽出物0.2mg/ml処理群では全く発症が見られず、有意に抑制された。さらにカシス果実抽出物0.1mg/ml処理群でも、14日間の観察期間で50%の発症率を示したが、control群と比較して有意に抑制されていた。一方ブルーベリー果実抽出物両濃度処理群では6日目には100%発症しており、発症率を低下することは出来なかった(図7)。
(生存率)
また、生存率は、control群が7日目から死亡が確認されはじめ、14日間の観察期間で約17%の生存率だったのに対し、カシス果実抽出物0.1mg/ml及び0.2mg/ml処理群では、100%の生存率を示し、有意な生存率の増加が認められた。しかしながら、ブルーベリー果実抽出物処理群では9日目以降徐々に死亡が確認されはじめ、14日間の観察期間で生存率は0.1mg/ml処理群では約33%及び0.2mg/ml処理群では約67%であり、カシス果実抽出物と比較して有意に低かった(図8)。
カシス果実抽出物及びブルーベリー果実抽出物の赤血球凝集阻害試験結果を示す図。 カシス果実抽出物及びアントシアニン標準品の赤血球凝集阻害試験結果を示す図。 カシス果実抽出物の分画法及び回収率を示す図。 カシス果実抽出物各画分の薄層クロマトグラムを示す図。 カシス果実抽出物からの分離画分における赤血球凝集阻害作用を示す図。 カシス果実抽出物のインフルエンザ感染性阻害作用における体重減少抑制作用を示す図。 カシス果実抽出物のインフルエンザ感染性阻害作用における発症率抑制作用を示す図。 カシス果実抽出物のインフルエンザ感染性阻害作用における生存率上昇作用を示す図。

Claims (6)

  1. カシス果実抽出物を有効成分とするウィルス感染予防・治療剤。
  2. カシス果実抽出物が、芳香族系の化合物(Delphinidin-3-rutinoside、Delphinidin-3-glucoside、Cyanidin-3-rutinoside、Cyanidin-3-glucosideを除く)を含む画分を主体とすることを特徴とする請求項1記載のウィルス感染予防・治療剤。
  3. カシス果実抽出物が、芳香族系化合物であって吸着樹脂(HP20SS)によるクロマトグラフィーにて30%エタノール水溶出の画分を有効成分とする請求項1記載のウィルス感染予防・治療剤。
  4. 請求項1、2又は3記載のウィルスがインフルエンザウィルスであることを特徴とするウィルス感染予防・治療剤。
  5. 請求項1、2、3又は4記載のウィルス感染予防・治療剤を含有することを特徴とするウィルス感染予防・治療用飲食品。
  6. 請求項1、2、3又は4記載のウィルス感染予防・治療剤を含有することを特徴とするウィルス感染予防・治療用ペットフード又は飼料。
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