JP2009263356A - 醗酵アルコールの精製処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、醗酵アルコール水溶液をもろみ塔へ供給し、もろみ塔内の醗酵アルコール水溶液を加熱してアルコールと水の混合蒸気を生成し、この混合蒸気を凝縮した凝縮液を蒸留塔へ供給し、蒸留塔内の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を生成して膜分離装置へ供給し、次いで膜分離装置でアルコールと水との混合蒸気から水蒸気を選択的に除去して無水アルコールを得るための精製処理方法において、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく精製処理する方法を提供することである。
【解決手段】 蒸留塔で発生したアルコールと水との混合蒸気を減圧した後で膜分離装置へ供給することを特徴とする醗酵アルコール水溶液から無水アルコールを得るための精製処理方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 蒸留塔で発生したアルコールと水との混合蒸気を減圧した後で膜分離装置へ供給することを特徴とする醗酵アルコール水溶液から無水アルコールを得るための精製処理方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、醗酵アルコールの精製処理方法であって、特にもろみ塔と蒸留塔(及び蒸発器)と膜分離装置とを組み合せた醗酵アルコールの精製処理方法において、より簡便に且つ極めてエネルギー効率よく醗酵アルコールを精製処理する方法に関する。
醗酵槽から取出した醗酵アルコール液を精製処理する方法として、従来、もろみ塔によって醗酵アルコール液(もろみ)からアルコール−水混合液を分離濃縮後、更に濃縮塔(蒸留塔)によってアルコール−水混合液を共沸組成近くまで濃縮し、次いで共沸蒸留塔によって高純度の無水アルコールを得る方法が採用されていた。
特許文献1には、共沸混合物を蒸留塔で蒸留し、その共沸混合物の蒸気を膜分離装置へ供給し、分離膜によって分離する方法が記載されている。
特許文献2には、共沸蒸留塔の代わりに膜分離装置を用いて、蒸留塔で共沸組成近くまで濃縮したアルコール−水混合液を蒸発器で蒸発して膜分離装置へ導入して精製処理する方法が開示されている。また、ここには膜分離装置へ供給する混合蒸気を過熱することが記載されている。
特許文献3にも、特許文献2と同じシステムが開示されている。この文献では、同システムにおいて、蒸留塔の留分を蒸発器に導入して加熱すると、蒸留塔の操作圧力より高圧のアルコールと水との混合蒸気が生成し、この高圧の蒸気を膜分離器に導入するので、膜分離装置を高効率で操作できることが説明されている。
特許文献1には、共沸混合物を蒸留塔で蒸留し、その共沸混合物の蒸気を膜分離装置へ供給し、分離膜によって分離する方法が記載されている。
特許文献2には、共沸蒸留塔の代わりに膜分離装置を用いて、蒸留塔で共沸組成近くまで濃縮したアルコール−水混合液を蒸発器で蒸発して膜分離装置へ導入して精製処理する方法が開示されている。また、ここには膜分離装置へ供給する混合蒸気を過熱することが記載されている。
特許文献3にも、特許文献2と同じシステムが開示されている。この文献では、同システムにおいて、蒸留塔の留分を蒸発器に導入して加熱すると、蒸留塔の操作圧力より高圧のアルコールと水との混合蒸気が生成し、この高圧の蒸気を膜分離器に導入するので、膜分離装置を高効率で操作できることが説明されている。
共沸蒸留塔の代わりに膜分離装置を用いれば、設備を簡便にでき且つエネルギー効率も向上できる。しかしながら、もろみ塔と蒸留塔(及び蒸発器)と膜分離装置とを組み合せた醗酵アルコールの精製処理方法において、具体的にどのようにすれば、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく醗酵アルコールを精製処理できるかについては十分な検討がされていなかった。
すなわち、本発明の目的は、(工程1)醗酵アルコール水溶液をもろみ塔へ供給し、もろみ塔内の醗酵アルコール水溶液を加熱してアルコールと水の混合蒸気を含む留出物を留出させ、この留出物またはこの留出物を凝縮した第1の凝縮液を蒸留塔へ供給し、(工程2)a)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、またはb)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、この混合蒸気を凝縮した第2の凝縮液を蒸発器へ供給し、蒸発器内の第2の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を発生させ、(工程3)前記a)において蒸留塔より留出させた混合蒸気または前記b)において蒸発器より発生させた混合蒸気を、膜分離装置へ供給し、(工程4)膜分離装置でアルコールと水との混合蒸気から水蒸気を選択的に除去する無水アルコールを得るための精製処理方法において、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく精製処理する方法を提供することである。
本発明は以下の事項に関する。
1.(工程1)醗酵アルコール水溶液をもろみ塔へ供給し、もろみ塔内の醗酵アルコール水溶液を加熱してアルコールと水の混合蒸気を含む留出物を留出させ、この留出物、またはこの留出物を凝縮した第1の凝縮液を蒸留塔へ供給する工程と、
(工程2)a)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させる工程、または、b)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、この混合蒸気を凝縮した第2の凝縮液を蒸発器へ供給し、蒸発器内の第2の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を発生させる工程と、
(工程3)前記a)において蒸留塔より留出させた混合蒸気または前記b)において蒸発器より発生させた混合蒸気を、減圧してから膜分離装置へ供給する工程と、
(工程4)膜分離装置によりアルコールと水との混合蒸気から水蒸気を選択的に除去する工程
を有することを特徴とする醗酵アルコール水溶液から無水アルコールを得るための精製処理方法。
2.工程2a)において蒸留塔より留出させる混合蒸気または工程2b)において蒸発器より発生させる混合蒸気の圧力が150kPa(絶対圧)以上であることを特徴とする前記項1に記載の方法。
3.工程3において、アルコールと水との混合蒸気の凝縮温度が該混合蒸気の温度よりも低くなるように減圧することを特徴とする前記項1に記載の方法。
4.工程3において、圧力を5kPa以上減圧することを特徴とする前記項1または2のいずれかに記載の方法。
5.工程1においてもろみ塔から蒸留塔へ供給する留出物または第1の凝縮液のアルコール濃度を50質量%未満にすることを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載の方法。
6.工程4において膜分離装置へ供給するアルコールと水との混合蒸気のアルコール濃度が55〜90質量%であることを特徴とする、前記項1〜4のいずれかに記載の方法。
1.(工程1)醗酵アルコール水溶液をもろみ塔へ供給し、もろみ塔内の醗酵アルコール水溶液を加熱してアルコールと水の混合蒸気を含む留出物を留出させ、この留出物、またはこの留出物を凝縮した第1の凝縮液を蒸留塔へ供給する工程と、
(工程2)a)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させる工程、または、b)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、この混合蒸気を凝縮した第2の凝縮液を蒸発器へ供給し、蒸発器内の第2の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を発生させる工程と、
(工程3)前記a)において蒸留塔より留出させた混合蒸気または前記b)において蒸発器より発生させた混合蒸気を、減圧してから膜分離装置へ供給する工程と、
(工程4)膜分離装置によりアルコールと水との混合蒸気から水蒸気を選択的に除去する工程
を有することを特徴とする醗酵アルコール水溶液から無水アルコールを得るための精製処理方法。
2.工程2a)において蒸留塔より留出させる混合蒸気または工程2b)において蒸発器より発生させる混合蒸気の圧力が150kPa(絶対圧)以上であることを特徴とする前記項1に記載の方法。
3.工程3において、アルコールと水との混合蒸気の凝縮温度が該混合蒸気の温度よりも低くなるように減圧することを特徴とする前記項1に記載の方法。
4.工程3において、圧力を5kPa以上減圧することを特徴とする前記項1または2のいずれかに記載の方法。
5.工程1においてもろみ塔から蒸留塔へ供給する留出物または第1の凝縮液のアルコール濃度を50質量%未満にすることを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載の方法。
6.工程4において膜分離装置へ供給するアルコールと水との混合蒸気のアルコール濃度が55〜90質量%であることを特徴とする、前記項1〜4のいずれかに記載の方法。
本発明によって、(1)醗酵アルコール水溶液をもろみ塔へ供給し、もろみ塔内の醗酵アルコール水溶液を加熱してアルコールと水の混合蒸気を含む留出物を留出させ、この留出物またはこの留出物を凝縮した第1の凝縮液を蒸留塔へ供給し、(2)a)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、またはb)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、この混合蒸気を凝縮した第2の凝縮液を蒸発器へ供給し、蒸発器内の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を発生させ、(3)前記a)において蒸留塔より留出させた混合蒸気または前記b)において蒸発器より発生させた混合蒸気を、膜分離装置へ供給し、(4)膜分離装置によりアルコールと水との混合蒸気から水蒸気を選択的に除去する醗酵アルコール水溶液から無水アルコールを得るための精製処理方法において、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく精製処理する方法を提供することができる。
なお、図面中、実線は液体又は気体(蒸気)の流れを示し、破線は制御系のつながりを示す。
本発明に係る実施態様の一例の概略を示す図1に基づいて説明する。
なお、本発明において、無水アルコールとは、99.0質量%以上、好ましくは99.5質量%以上、より好ましくは99.7質量%以上、特に好ましくは99.8質量%以上の純度を有するアルコールを意味する。
また、本発明において、アルコールは、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルキルアルコールも含むが、好ましくはエタノールである。
なお、本発明において、無水アルコールとは、99.0質量%以上、好ましくは99.5質量%以上、より好ましくは99.7質量%以上、特に好ましくは99.8質量%以上の純度を有するアルコールを意味する。
また、本発明において、アルコールは、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどの低級アルキルアルコールも含むが、好ましくはエタノールである。
本発明において、醗酵アルコール水溶液は限定されるものではない。例えば糖質系、デンプン系、セルロース系などの原料を醗酵して得られる醗酵アルコール水溶液である。これらの材料が醗酵槽で醗酵されて醗酵アルコール水溶液となる。この醗酵アルコール水溶液のアルコール濃度は通常は5〜12質量%程度である。この醗酵アルコール水溶液には、主成分の水とアルコールの他に、酵母や菌、メタノールなどのアルコール類、蟻酸、酢酸、コハク酸、乳酸、酪酸等の脂肪酸類、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルアセタールなどのアセタール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ピリジン、ピコリン、3−メチルアミン、4−メチルピリジンなどのアミン類、更に高級アルコールと脂肪酸エステルの混合物である所謂フーゼル油など、副生した種々の化合物が含まれている。また、通常は未醗酵の原料成分などが不溶成分として残存しスラリーになっている。
この醗酵アルコール水溶液は、醗酵槽から直接的に或いは一旦タンクで貯蔵された後に間接的にもろみ塔10へ供給される。もろみ塔へ供給される前に醗酵アルコール水溶液は粗ろ過によって大きな不溶成分が除去されることが好ましい。また、醗酵槽で醗酵した後の醗酵アルコール水溶液は副生した脂肪酸類などによってpHが3〜5程度になっている場合がある。このため、醗酵アルコール水溶液中に含まれる酸成分をアルカリ成分の添加などによって中和処理を施すことが好ましい。この中和処理を施すことによって精製後の無水アルコールへの酸の混入を確実に防ぐことができるので好適である。添加するアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、過マンガン酸カリウムなど水溶性のアルカリ化合物を好適に例示できる。
もろみ塔10内では醗酵アルコール水溶液を加熱して、アルコールと水との混合物を含む留出物を留出させ、この留出物を凝縮した凝縮液を蒸留塔20へ供給する。アルコールと水との混合物を含む留出物は、好ましくはアルコールと水との混合蒸気(気体の状態)であるが、アルコールと水との混合蒸気に醗酵アルコール水溶液の飛沫などを含んだ混合物(気液混合の状態)であっても構わない。
本発明において、もろみ塔10の主たる役割は、アルコールの系外への排出(ロス)を極力抑制しながら、醗酵アルコール水溶液から、未醗酵の原料成分などの不溶成分やフーゼル油などの高沸点成分を、好ましくは低沸の副生物成分や水とともに、分離して除去することにある。この目的を達成できるものであれば、もろみ塔は特に限定されるものではなく、従来公知の型式のものを好適に用いることができる。単蒸留式でも連続蒸留式でも構わない。蒸留段は数段程度のものが好適であり、例えば山型キャップ式トレー、或いはスケールの付着の少ないバッフル式トレーなどの棚段式のものを好適に使用できる。さらにフラッシュ蒸留などの単蒸留式のものでもよく、それを複数個組合せたものでも構わない。なお、もろみ塔の操作圧力は好ましくは減圧又は大気圧である。
本発明において、もろみ塔10の主たる役割は、アルコールの系外への排出(ロス)を極力抑制しながら、醗酵アルコール水溶液から、未醗酵の原料成分などの不溶成分やフーゼル油などの高沸点成分を、好ましくは低沸の副生物成分や水とともに、分離して除去することにある。この目的を達成できるものであれば、もろみ塔は特に限定されるものではなく、従来公知の型式のものを好適に用いることができる。単蒸留式でも連続蒸留式でも構わない。蒸留段は数段程度のものが好適であり、例えば山型キャップ式トレー、或いはスケールの付着の少ないバッフル式トレーなどの棚段式のものを好適に使用できる。さらにフラッシュ蒸留などの単蒸留式のものでもよく、それを複数個組合せたものでも構わない。なお、もろみ塔の操作圧力は好ましくは減圧又は大気圧である。
図1に示しているように、原料の醗酵アルコール水溶液はもろみ塔10の比較的塔頂に近い供給口から塔内へ導入される。一方、塔底近くの導入口から水蒸気(スチーム)が吹き込まれる。この水蒸気は塔内を流下する液体と熱交換及び物質交換しながら塔内を上昇する。このため、塔底での蒸気成分はほとんど水になり、塔頂近くでは蒸気中のアルコール濃度が大きくなる。この結果、塔底からはアルコールをほとんど含まない水が不溶成分とともに塔底液として排出される。なお、塔底から水蒸気を導入する代わりに又は併用して塔底から排出する塔底液の一部をリボイラーによって蒸気化して塔内に導入する方法を用いることもできる。
もろみ塔10の塔頂或いは濃縮段から取出されるアルコールと水との混合物を含む留出物は、凝縮器11に送られ凝縮される。この凝縮液の一部はもろみ塔へ還流され、残りの凝縮液は蒸留塔20へ供給される。この凝縮液のもろみ塔10へ還流する割合と蒸留塔20の段数を変えることによってもろみ塔10から蒸留塔20へ供給される凝縮液のアルコール水溶液のアルコール濃度を制御することもできる。なお、図1に記載した態様ではないが、もろみ塔10の塔頂或いは濃縮段から取出されるアルコールと水との混合蒸気を含む留出物は、凝縮せず気体の状態または気液混合の状態で蒸留塔20へ供給することもできる。この態様では、限定するものではないが、アルコールと水との混合蒸気を含む留出物の一部を蒸溜塔20へ供給するとともに、残りの留出物を凝縮器で凝縮し、得られた凝縮液の全量をもろみ塔へ還流することもできる。その際、凝縮器へ供給する留出物の割合によってもろみ塔10から蒸留塔20へ供給される留出物のアルコール濃度を制御することができる。
また、アルコールと水との混合蒸気に膜分離装置40の分離膜へ悪影響を与えるアルデヒド化合物などの低沸成分が多く含まれる場合には、分離膜を保護のために、もろみ塔10の塔頂から取出したアルコールと水との混合蒸気を分縮(一部の低沸成分を蒸気のままとし、それ以外のアルコールと水との混合蒸気を凝縮)し、アルデヒドなどの低沸成分をアルコールと水との混合蒸気から分離して系外へ除去することが好適である。
もろみ塔10の塔頂或いは濃縮段から取出されるアルコールと水との混合物を含む留出物は、凝縮器11に送られ凝縮される。この凝縮液の一部はもろみ塔へ還流され、残りの凝縮液は蒸留塔20へ供給される。この凝縮液のもろみ塔10へ還流する割合と蒸留塔20の段数を変えることによってもろみ塔10から蒸留塔20へ供給される凝縮液のアルコール水溶液のアルコール濃度を制御することもできる。なお、図1に記載した態様ではないが、もろみ塔10の塔頂或いは濃縮段から取出されるアルコールと水との混合蒸気を含む留出物は、凝縮せず気体の状態または気液混合の状態で蒸留塔20へ供給することもできる。この態様では、限定するものではないが、アルコールと水との混合蒸気を含む留出物の一部を蒸溜塔20へ供給するとともに、残りの留出物を凝縮器で凝縮し、得られた凝縮液の全量をもろみ塔へ還流することもできる。その際、凝縮器へ供給する留出物の割合によってもろみ塔10から蒸留塔20へ供給される留出物のアルコール濃度を制御することができる。
また、アルコールと水との混合蒸気に膜分離装置40の分離膜へ悪影響を与えるアルデヒド化合物などの低沸成分が多く含まれる場合には、分離膜を保護のために、もろみ塔10の塔頂から取出したアルコールと水との混合蒸気を分縮(一部の低沸成分を蒸気のままとし、それ以外のアルコールと水との混合蒸気を凝縮)し、アルデヒドなどの低沸成分をアルコールと水との混合蒸気から分離して系外へ除去することが好適である。
本発明において、もろみ塔10から蒸留塔20へ供給される凝縮液のアルコール水溶液のアルコール濃度は、もろみ塔から膜分離装置までの工程全体でのエネルギー効率を向上させるために、(当然醗酵アルコール水溶液の濃度以上であって)50質量%未満、好ましくは12質量%以上50質量%未満、より好ましくは20質量%以上50質量%未満、更に好ましくは30質量%以上50質量%未満になるように制御される。もろみ塔である程度までアルコールが濃縮することによって、蒸留塔20で加熱蒸気化するために必要とするエネルギー消費量を抑制できる。しかし、50質量%以上では、もろみ塔の前記役割(アルコールが排出することを極力抑制しながら、未醗酵の原料成分などの不溶成分やフーゼル油などの高沸点成分を、好ましくは低沸の副生物成分や水とともに、分離して除去する)に加えて、アルコールをより濃縮する役割が過大に加わるので、もろみ塔10の醗酵アルコール水溶液の供給口よりも上側に更に濃縮段を増やす必要が生じ、装置の大型化、複雑化が免れなくなる。そのような大型化、複雑化したもろみ塔に不溶成分(粗ろ過しても完全に除去されていない)や高沸成分を含む醗酵アルコール水溶液を供給すると、不溶成分や高沸成分が蒸気に同伴して濃縮段へ持ち込まれるので、スケールとして堆積するなどの問題が生じ易くなり、もろみ塔を安定的且つエネルギー効率よく運転することが極めて難しくなる。
蒸留塔20へ供給する留出物またはこの留出物の凝縮液のアルコール濃度を50質量%未満、好ましくは12質量%以上50質量%未満、より好ましくは20質量%以上50質量%未満、更に好ましくは30質量%以上50質量%未満とするのは、蒸留段が数段程度以下の簡便な装置で容易に達成できるし、蒸留塔より留出させたアルコールと水との混合蒸気の一部を凝縮してもろみ塔へ還流する場合でも、還流する割合を極めて低くできるので、迅速な処理が可能になりエネルギー消費量を抑制できるからである。
アルコールと水との混合蒸気を凝縮してもろみ塔へ還流する場合に、還流の割合が高くなると、単位操作あたりのもろみの処理量が少なくなり、逆に言えば単位アルコールあたりのエネルギー消費量が多くなるので工程全体でのエネルギー効率を低下させる。
もろみ塔での還流する凝縮液の割合は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
蒸留塔20へ供給する留出物またはこの留出物の凝縮液のアルコール濃度を50質量%未満、好ましくは12質量%以上50質量%未満、より好ましくは20質量%以上50質量%未満、更に好ましくは30質量%以上50質量%未満とするのは、蒸留段が数段程度以下の簡便な装置で容易に達成できるし、蒸留塔より留出させたアルコールと水との混合蒸気の一部を凝縮してもろみ塔へ還流する場合でも、還流する割合を極めて低くできるので、迅速な処理が可能になりエネルギー消費量を抑制できるからである。
アルコールと水との混合蒸気を凝縮してもろみ塔へ還流する場合に、還流の割合が高くなると、単位操作あたりのもろみの処理量が少なくなり、逆に言えば単位アルコールあたりのエネルギー消費量が多くなるので工程全体でのエネルギー効率を低下させる。
もろみ塔での還流する凝縮液の割合は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
蒸留塔20の役割は、もろみ塔からの留出物を、150kPa(絶対圧)以上、好ましくは150〜700kPa(絶対圧)、より好ましくは200〜600kPa(絶対圧)、更に好ましくは200〜500kPa(絶対圧)の操作圧力で蒸留して、アルコール濃度が55質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上まで濃縮することである。ここで共沸組成近くまで濃縮しても構わないが、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下まで濃縮することが好適である。
蒸留塔20で、アルコール濃度が55質量%未満までしか濃縮しないと、膜分離装置に対する負担が大きくなるので、膜分離装置が大型になって、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく醗酵アルコールを精製処理して無水アルコールを得ることができなくなるので好ましくない。一方、アルコール濃度を高くしすぎるのも、限定するものではないが、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく醗酵アルコールを精製処理して無水アルコールを得ることができなくなるので好ましくない。
蒸留塔20で、アルコール濃度が55質量%未満までしか濃縮しないと、膜分離装置に対する負担が大きくなるので、膜分離装置が大型になって、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく醗酵アルコールを精製処理して無水アルコールを得ることができなくなるので好ましくない。一方、アルコール濃度を高くしすぎるのも、限定するものではないが、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく醗酵アルコールを精製処理して無水アルコールを得ることができなくなるので好ましくない。
蒸留塔20で留出させたアルコールと水との混合蒸気は、一部が凝縮されて凝縮液として蒸留塔に還流されるが、残りの混合蒸気は、蒸気温度を保持したまま減圧手段によって減圧された後膜分離装置40へ供給される。減圧手段は、特に限定されないが絞り弁を有する圧力調整弁にが好適に使用される。また、この減圧は、その結果としてアルコールと水との混合蒸気の凝縮温度が前記混合蒸気の温度よりも低くなるようにすることが重要である。通常は5kPa以上、好ましくは10kPa以上、より好ましくは5〜500kPa、さらに好ましくは5〜300kPa程度減圧する。
本発明の特徴の一つは、蒸留塔によりアルコールと水との混合蒸気を発生させた後、蒸気温度を保持したまま減圧手段によって減圧した後に膜分離装置へ供給することにある。減圧する目的は、飽和状態の混合蒸気が膜分離装置内で凝縮しないように、混合蒸気の凝縮温度を混合蒸気の温度よりも十分に下げることにある。混合蒸気の凝縮温度が混合蒸気の温度が混合蒸気の温度よりも3℃以上、好ましくは5℃以上低くなるようにすることが好適である。なお、通常は10℃以下である。また、一度加熱して高圧にした混合蒸気を減圧するのは、その工程だけ見るとエネルギー効率が悪いが、工程全体ではエネルギー効率をよくすることが可能になる。
蒸留塔20の操作圧力を150kPa(絶対圧)以上、好ましくは150〜700kPa(絶対圧)にするのは、膜分離装置へ供給するアルコールと水との混合蒸気の圧力を高くして分離効率(精製効率)を高めるためである。150kPa(絶対圧)未満の圧力では膜分離装置40へ供給する混合蒸気の圧力が低くなりすぎて分離効率が低下するので好ましくない。一方、700kPa(絶対圧)を越える高圧になると、膜分離装置における分離効率は向上するが、蒸留装置や膜分離装置の耐圧性能が過度に必要になって、装置が大型化するなどの問題が生じるので必ずしも好適とは云えなくなる。
蒸留塔20は棚段式、充填塔等、通常の高圧の蒸留操作に適したものであれば特に限定されない。蒸留塔の中段にアルコール水溶液を供給するための供給部が配置される。塔底液の一部はリボイラー21によって加熱されて蒸気となり、塔内を流下する液体と熱交換及び物質交換をしながら塔内を上昇する。そして塔頂或いは濃縮段からアルコール濃度が濃縮されたアルコールと水の混合蒸気が留出する。
この蒸留塔20により留出させたアルコールと水との混合蒸気の一部は、凝縮器22によって冷却されて凝縮液となり、凝縮液槽23を介して例えば凝縮液ポンプにより蒸留塔20の塔頂或いは濃縮段へ還流される。また、蒸留塔20により留出させたアルコールと水の混合蒸気のうちの残りは減圧手段24によって減圧された後、膜分離装置40へ供給される。
この蒸留塔20により留出させたアルコールと水との混合蒸気の一部は、凝縮器22によって冷却されて凝縮液となり、凝縮液槽23を介して例えば凝縮液ポンプにより蒸留塔20の塔頂或いは濃縮段へ還流される。また、蒸留塔20により留出させたアルコールと水の混合蒸気のうちの残りは減圧手段24によって減圧された後、膜分離装置40へ供給される。
蒸留塔20の塔底液を加熱するリボイラー21は、外部から供給したスチームの凝縮熱を用いることもできる。
蒸留塔20の操作圧力は、蒸留塔の塔底液を加熱するスチームの流量を調節(制限)することによって好適に制御される。
蒸留塔20では、塔頂或いは濃縮段から留出したアルコールと水の混合蒸気のうち、凝縮液として蒸留塔20へ還流する割合と蒸留塔の段数を調節することによって、塔頂或いは濃縮段から留出するアルコールと水の混合蒸気のアルコール濃度を好適に制御することができる。
還流の割合が高くなると蒸留塔20における処理量が少なくなって、処理速度が遅くなり、エネルギー消費量が多くなるなど効率の低下を招くので、還流する凝縮液の割合は比較的低めであることが好ましい。好ましくは凝縮液の50%未満、より好ましくは40%未満、更に好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満である。
本発明において、塔頂或いは濃縮段から留出するアルコールと水の混合蒸気のアルコール濃度は、特に限定されることはなく、例えば50質量%〜共沸組成(乃至96質量%)までのいずれの濃度であってもよいが、エネルギー消費量を制御する上では、より好ましくは55質量%〜90質量%、さらに好ましくは60質量%〜90質量%、特に好ましくは65質量%〜85質量%である。
還流の割合が高くなると蒸留塔20における処理量が少なくなって、処理速度が遅くなり、エネルギー消費量が多くなるなど効率の低下を招くので、還流する凝縮液の割合は比較的低めであることが好ましい。好ましくは凝縮液の50%未満、より好ましくは40%未満、更に好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満である。
本発明において、塔頂或いは濃縮段から留出するアルコールと水の混合蒸気のアルコール濃度は、特に限定されることはなく、例えば50質量%〜共沸組成(乃至96質量%)までのいずれの濃度であってもよいが、エネルギー消費量を制御する上では、より好ましくは55質量%〜90質量%、さらに好ましくは60質量%〜90質量%、特に好ましくは65質量%〜85質量%である。
凝縮器22の凝縮熱は、蒸留塔20に供給されるアルコール水溶液の予備加熱や、もろみ塔10のリボイラー加熱などに利用して好適に回収され、必要な還流液量を凝縮しきれない場合は、補助凝縮器を追加して冷却水により凝縮することが好ましい。蒸留塔20に供給されるアルコール水溶液はその沸点近くまで予備加熱するのが好ましい。その際、蒸留塔20の還流液や膜分離装置40で精製された無水アルコールの熱を有効に利用することが好ましい。
膜分離装置40に供給されたアルコールと水との混合蒸気は選択透過性を有する分離膜に接触しながら流れる。その際、水蒸気は分離膜を選択的に透過するので、分離膜の透過側では、主に水蒸気からなりアルコール濃度が低下した混合蒸気が回収される。この混合蒸気のアルコール濃度は数〜数質量%程度(例えばアルコール20質量%)であり、アルコールの回収率を高めるために蒸留塔20へ循環供給されることが好適である。一方、分離膜の非透過側では水蒸気が除かれるので高純度の無水アルコールを回収することができる。
一般に、水蒸気が分離膜を透過する透過量は、膜を挟んだ両側の水蒸気の分圧差に比例している。このため、膜を挟んだ両側の水蒸気の分圧差を大きくすることによって分離効率(精製効率)を高めることができる。本発明では、150kPa(絶対圧)以上、好ましくは150〜700kPa(絶対圧)の高圧のアルコールと水との混合蒸気が膜分離装置へ供給される。同時に、分離膜の透過側を減圧にすることも好適である。具体的には、分離膜の透過側の空間を熱交換器(コンデンサー)41を介して真空ポンプ42に接続して減圧にするとともに、分離膜を透過した透過蒸気をコンデンサーで凝縮して凝縮液とする。この凝縮液は好ましくは凝縮液槽43に溜められ次いで蒸留塔20へ循環供給されるのが好ましい。
膜分離装置40としては、水蒸気とエタノール蒸気との混合蒸気から水蒸気を分離膜で分離できるものであれば限定されるものではない。また、分離膜もアルコール蒸気に対して水蒸気を選択的に透過するものであれば特に限定されない。ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、高分子量ポリビニルアルコールなどのポリマーからなるものでも、ゼオライト、ジルコニア等の無機物からなるものでも構わない。そして、膜分離装置の形態も、例えば非対称ポリイミド中空糸膜からなる中空糸分離膜モジュール、多孔質からなる管状の支持体にゼオライトを成膜した管状分離膜エレメントを具備するシェルアンドチューブ型モジュールなどの従来公知のものなどを好適に用いることができる。これらの例としては、限定するものではないが、ポリイミド中空糸膜を用いた特開2000−262838号公報、特開2001−62257号公報など、ゼオライト膜を用いた特開2003−93844号公報、特開2006−263574号公報、特開2007−203210号公報などに記載されたものを好適に挙げることができる。
分離膜の透過性能としては、使用時において、好ましくは水蒸気透過速度(P’H2O)が0.5×10−3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上、より好ましくは1.0×10−3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であって、水蒸気透過速度(P’H2O)とアルコール透過速度(P’alcohol)との比(P’H2O/P’alcohol)が好ましくは50以上、より好ましくは100以上のものが好適である。
次の、本発明に係る別の実施態様の一例の概略を示す図2に基づいて説明する。
図1における蒸留塔の役割は、もろみ塔からのアルコール濃度が50質量%未満のアルコール水溶液を、加圧蒸留して、アルコールを濃縮するとともに150kPa(絶対圧)以上の高圧のアルコールと水との混合蒸気を生成することにあった。一方、図2の態様の特徴は、蒸留塔は50〜150kPa程度の低圧、好ましくは大気圧で操作し、ここで得られたアルコールと水との混合蒸気を凝縮させた凝縮液を蒸発器30で蒸発させて、150kPa(絶対圧)以上の高圧のアルコールと水との混合蒸気を発生させることにある。以下、図2の特徴である蒸留塔と蒸発器に関して説明する。その他の点は図1に関して説明したとおりである。
図1における蒸留塔の役割は、もろみ塔からのアルコール濃度が50質量%未満のアルコール水溶液を、加圧蒸留して、アルコールを濃縮するとともに150kPa(絶対圧)以上の高圧のアルコールと水との混合蒸気を生成することにあった。一方、図2の態様の特徴は、蒸留塔は50〜150kPa程度の低圧、好ましくは大気圧で操作し、ここで得られたアルコールと水との混合蒸気を凝縮させた凝縮液を蒸発器30で蒸発させて、150kPa(絶対圧)以上の高圧のアルコールと水との混合蒸気を発生させることにある。以下、図2の特徴である蒸留塔と蒸発器に関して説明する。その他の点は図1に関して説明したとおりである。
図2において、蒸留塔20の操作圧力は好ましくは50〜150kPaの範囲であり、通常は大気圧である。
蒸留塔20の塔底液を加熱するリボイラー21は、外部から供給したスチームの凝縮熱を用いることもできるが、膜分離装置40の非透過蒸気の凝縮熱を例えば予熱として好適に利用することができる。
凝縮器22は蒸留塔20の塔頂或いは濃縮段から留出したアルコールと水の混合蒸気を冷却して凝縮液とする。凝縮液は凝縮液槽23に一旦溜めても構わない。この凝縮液の一部は、例えば凝縮液ポンプにより塔頂或いは濃縮段へ還流され、残りが蒸発器30に送られる。凝縮液のうちの蒸留塔20へ還流する割合と蒸留塔の段数によって、蒸留塔の塔頂或いは濃縮段で得られるアルコールと水との混合蒸気のアルコール濃度を好適に制御できる。本発明においては、凝縮液のうちの蒸留塔20へ還流する割合と蒸留塔の段数を調節することによって、蒸留塔20の塔頂或いは濃縮段で得られるアルコールと水との混合蒸気のアルコール濃度が55質量%以上になるように制御する。
還流の割合が高くなると蒸留塔20における処理量が少なくなって、処理速度が遅くなり、エネルギー消費量が多くなるなど効率の低下を招くので、還流する凝縮液の割合は比較的低めであることが好ましい。好ましくは凝縮液の50%未満、より好ましくは35%未満、更に好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満である。
蒸留塔20の塔底液を加熱するリボイラー21は、外部から供給したスチームの凝縮熱を用いることもできるが、膜分離装置40の非透過蒸気の凝縮熱を例えば予熱として好適に利用することができる。
凝縮器22は蒸留塔20の塔頂或いは濃縮段から留出したアルコールと水の混合蒸気を冷却して凝縮液とする。凝縮液は凝縮液槽23に一旦溜めても構わない。この凝縮液の一部は、例えば凝縮液ポンプにより塔頂或いは濃縮段へ還流され、残りが蒸発器30に送られる。凝縮液のうちの蒸留塔20へ還流する割合と蒸留塔の段数によって、蒸留塔の塔頂或いは濃縮段で得られるアルコールと水との混合蒸気のアルコール濃度を好適に制御できる。本発明においては、凝縮液のうちの蒸留塔20へ還流する割合と蒸留塔の段数を調節することによって、蒸留塔20の塔頂或いは濃縮段で得られるアルコールと水との混合蒸気のアルコール濃度が55質量%以上になるように制御する。
還流の割合が高くなると蒸留塔20における処理量が少なくなって、処理速度が遅くなり、エネルギー消費量が多くなるなど効率の低下を招くので、還流する凝縮液の割合は比較的低めであることが好ましい。好ましくは凝縮液の50%未満、より好ましくは35%未満、更に好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満である。
凝縮器22の凝縮熱は、蒸留塔に供給されるアルコール水溶液の予備加熱に利用してもよい。供給されるアルコール水溶液はその沸点近くまで予備加熱するのが好ましい。その際、凝縮器22で凝縮しきれない蒸気は、補助凝縮器で冷却水により凝縮することが好ましい。
本発明においては、蒸留塔20から凝縮器22を介してアルコール濃度が55質量%以上のアルコール水溶液が蒸発器30へ供給される。蒸発器30の役割は、前記アルコール水溶液を加熱して全量蒸発させてアルコールと水との混合蒸気として膜分離装置40へ供給することである。蒸発器30は十分な加熱機能を備え、得られるアルコールと水の混合蒸気の圧力が150kPa(絶対圧)以上、好ましくは200kPa(絶対圧)以上の比較的高い圧力で操作できるものが好適である。なお、圧力の上限は通常は700kPa(絶対圧)程度以下である。
なお、蒸発器30の操作圧力は、蒸発器に加える熱量(スチーム量)によって制御されるが、その際蒸発器から留出する混合蒸気の流量を制御してもよい。さらに混合蒸気の圧力は蒸発器と膜分離装置の間の減圧手段および膜分離装置40の非透過側を流れる蒸気の流量を調節(制限)することによって好適に行うことができる。そして、蒸発器30内の蒸発温度は蒸留塔20の塔底の温度より5℃程度以上高くなるように蒸発器内の圧力を調節するのが好ましい。これにより膜分離装置40の非透過蒸気を蒸留塔20のリボイラ−の熱源として利用することが可能になる。
なお、蒸発器30の操作圧力は、蒸発器に加える熱量(スチーム量)によって制御されるが、その際蒸発器から留出する混合蒸気の流量を制御してもよい。さらに混合蒸気の圧力は蒸発器と膜分離装置の間の減圧手段および膜分離装置40の非透過側を流れる蒸気の流量を調節(制限)することによって好適に行うことができる。そして、蒸発器30内の蒸発温度は蒸留塔20の塔底の温度より5℃程度以上高くなるように蒸発器内の圧力を調節するのが好ましい。これにより膜分離装置40の非透過蒸気を蒸留塔20のリボイラ−の熱源として利用することが可能になる。
蒸発器30で得られたアルコールと水の混合蒸気は、全量が減圧手段で減圧された後、膜分離装置40へ供給されて精製処理が行われる。減圧手段は、特に限定されないが絞り弁を有する圧力調整弁が好適に使用される。また、この減圧は、その結果としてアルコールと水との混合蒸気の凝縮点が減圧後の混合蒸気の温度よりも低くなるようにすることが重要である。通常は5kPa以上、好ましくは10kPa以上、より好ましくは5〜500kPa、さらに好ましくは5〜300kPa程度減圧する。
以下図1に関して説明したとおりであるが、本発明の特徴の一つは、蒸発器により高圧のアルコールと水との混合蒸気を発生させた後、混合蒸気の温度を保持したままで減圧手段によって減圧した後に膜分離装置へ供給することにある。減圧する目的は、飽和状態の混合蒸気が膜分離装置内で凝縮しないように、混合蒸気の凝縮温度を混合蒸気の温度よりも十分に下げることにある。混合蒸気の凝縮温度が混合蒸気の温度よりも3℃以上、好ましくは5℃以上低くなるようにすることが好適である。なお、通常は20℃以下である。また、一度加熱して高圧にした混合蒸気を減圧するのは、その工程だけ見るとエネルギー効率が悪いが、工程全体ではエネルギー効率をよくすることが可能になる。
図3は、基本的には図1と同じ本発明に係る実施態様の別の一例の概略を示すものである。
すなわち、もろみ塔10から排出される塔底液はもろみ塔10へ供給される醗酵アルコール水溶液の予備加熱に用いられ、蒸留塔20の還流蒸気は膜分離装置40の透過蒸気の凝縮液をもろみ塔10へ循環供給する際の予備加熱に用いられ、膜分離装置40の非透過蒸気(無水アルコール蒸気)は、膜分離装置40の透過蒸気の凝縮液を蒸留塔20へ循環供給する際の予備加熱、及びもろみ塔10の塔底液の一部をもろみ塔へ循環させる際の塔底液の加熱に用いられて、それぞれ好適に熱回収されている。
すなわち、もろみ塔10から排出される塔底液はもろみ塔10へ供給される醗酵アルコール水溶液の予備加熱に用いられ、蒸留塔20の還流蒸気は膜分離装置40の透過蒸気の凝縮液をもろみ塔10へ循環供給する際の予備加熱に用いられ、膜分離装置40の非透過蒸気(無水アルコール蒸気)は、膜分離装置40の透過蒸気の凝縮液を蒸留塔20へ循環供給する際の予備加熱、及びもろみ塔10の塔底液の一部をもろみ塔へ循環させる際の塔底液の加熱に用いられて、それぞれ好適に熱回収されている。
本発明において、もろみ塔と蒸留塔(及び蒸発器)と膜分離装置で発生した混合蒸気の熱エネルギーは、前述のように系内の別の工程に回収されることが好ましいが、また系外の全く別の熱工程で回収されても構わない。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
醗酵槽で得られたエタノール濃度が7.3質量%の醗酵エタノール水溶液を1時間当り72.7t、図3に概略を示した装置を用いて精製処理し、99.8質量%の無水エタノールを1時間当り5t得ることを試みた。
(工程1)
エタノール濃度が7.3質量%の醗酵エタノール水溶液を予備加熱器で予熱し、送液ポンプで理論段数が5段相当のもろみ塔へ72.7t/時間の流量で供給する。このもろみ塔の塔底には、供給された醗酵エタノール水溶液を蒸発させて蒸留処理を行うために必要な水蒸気(スチーム1)を直接吹き込む。もろみ塔内で生成し塔頂から送出したエタノールと水との混合蒸気を含む留出物は凝縮器で全量凝縮する。凝縮液の一部はもろみ塔へ還流し、残りの凝縮液は蒸留塔へ供給する。この還流量は、もろみ塔の塔頂のエタノール濃度が39質量%になるように調節する。
(工程2)
送液ポンプによって、1時間当り13.3tのエタノール濃度が39質量%のエタノール水溶液を理論段数6段相当の蒸留塔へ供給する。この蒸留塔の塔底にはリボイラーが備えられ、塔底から抜き出された塔底液は、スチーム2が供給されるリボイラーによって混合蒸気にされ蒸留塔へ循環供給する。同時に塔底から抜き出された塔底液は1時間当り8.3tの流量でもろみ塔へ循環供給する。塔底液はエタノール濃度が2.5質量%以下程度に保持する。
蒸留塔により留出させ塔頂から送出するエタノールと水との混合蒸気は、蒸留塔の加熱量を調節することによって、温度が135℃に調節される。そして、前記混合蒸気の一部は凝縮器によって凝縮されて蒸留塔へ還流される。この還流量を調節することによって、蒸留塔の塔頂のエタノールと水との混合蒸気のエタノール濃度を75質量%に調節する。(工程3)
凝縮されなかった残りのエタノールと水との混合蒸気は、蒸気温度を保持したまま圧力調整弁(絞り弁)によって、551kPaから300kPa(ゲージ圧)まで減圧して、膜分離装置へ供給する。
膜分離装置へ供給されたエタノールと水との混合蒸気は1時間当り10.4tである。
(工程4)
膜分離装置としては、特開2000−262838号公報に記載されたようなモジュールであって、135℃における水蒸気透過速度(P’H2O)が1.2×10−3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg、水蒸気透過速度(P’H2O)とエタノール透過速度(P’EtOH)との比(P’H2O/P’EtOH)が143の、外径が500μm、内径が310μmのポリイミド非対称中空糸分離膜からなる有効膜面積が125m2のモジュールを、26本収納したものを用いる。
膜分離装置の透過側には凝縮器(コンデンサー)を介して真空ポンプが備えられ、12kPa(絶対圧)に減圧される。分離膜を透過した蒸気はコンデンサーで全量凝縮して、分離膜の透過側の減圧度が保たれるように構成する。また、膜分離装置から排出される非透過蒸気の一部は、膜分離装置の分離効率を高めるためのパージガスとして膜分離装置の透過側へ供給されるように構成する。
膜分離装置の分離膜の透過側から回収した蒸気(透過蒸気とパージガスとして供給された蒸気)は全量凝縮した後、非透過蒸気によって予備加熱し、蒸留塔へ循環供給する。また、膜分離装置の分離膜の非透過側から回収した非透過蒸気は、前記予備加熱に加えて、もろみ塔の塔低液をもろみ塔へ循環供給する際の塔底液の加熱に用いられて熱回収された後、冷却されてエタノールの濃度が99.8質量%の無水エタノールとして製品タンクへ、1時間当り5tで回収する。
このような方法で99.8質量%の無水エタノールを得たときに、99.8質量%の無水エタノール1kgを得るために必要な熱量を、全工程で使用するスチームの合計量(スチーム1〜2)から換算した。結果を表1に示した。
醗酵槽で得られたエタノール濃度が7.3質量%の醗酵エタノール水溶液を1時間当り72.7t、図3に概略を示した装置を用いて精製処理し、99.8質量%の無水エタノールを1時間当り5t得ることを試みた。
(工程1)
エタノール濃度が7.3質量%の醗酵エタノール水溶液を予備加熱器で予熱し、送液ポンプで理論段数が5段相当のもろみ塔へ72.7t/時間の流量で供給する。このもろみ塔の塔底には、供給された醗酵エタノール水溶液を蒸発させて蒸留処理を行うために必要な水蒸気(スチーム1)を直接吹き込む。もろみ塔内で生成し塔頂から送出したエタノールと水との混合蒸気を含む留出物は凝縮器で全量凝縮する。凝縮液の一部はもろみ塔へ還流し、残りの凝縮液は蒸留塔へ供給する。この還流量は、もろみ塔の塔頂のエタノール濃度が39質量%になるように調節する。
(工程2)
送液ポンプによって、1時間当り13.3tのエタノール濃度が39質量%のエタノール水溶液を理論段数6段相当の蒸留塔へ供給する。この蒸留塔の塔底にはリボイラーが備えられ、塔底から抜き出された塔底液は、スチーム2が供給されるリボイラーによって混合蒸気にされ蒸留塔へ循環供給する。同時に塔底から抜き出された塔底液は1時間当り8.3tの流量でもろみ塔へ循環供給する。塔底液はエタノール濃度が2.5質量%以下程度に保持する。
蒸留塔により留出させ塔頂から送出するエタノールと水との混合蒸気は、蒸留塔の加熱量を調節することによって、温度が135℃に調節される。そして、前記混合蒸気の一部は凝縮器によって凝縮されて蒸留塔へ還流される。この還流量を調節することによって、蒸留塔の塔頂のエタノールと水との混合蒸気のエタノール濃度を75質量%に調節する。(工程3)
凝縮されなかった残りのエタノールと水との混合蒸気は、蒸気温度を保持したまま圧力調整弁(絞り弁)によって、551kPaから300kPa(ゲージ圧)まで減圧して、膜分離装置へ供給する。
膜分離装置へ供給されたエタノールと水との混合蒸気は1時間当り10.4tである。
(工程4)
膜分離装置としては、特開2000−262838号公報に記載されたようなモジュールであって、135℃における水蒸気透過速度(P’H2O)が1.2×10−3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg、水蒸気透過速度(P’H2O)とエタノール透過速度(P’EtOH)との比(P’H2O/P’EtOH)が143の、外径が500μm、内径が310μmのポリイミド非対称中空糸分離膜からなる有効膜面積が125m2のモジュールを、26本収納したものを用いる。
膜分離装置の透過側には凝縮器(コンデンサー)を介して真空ポンプが備えられ、12kPa(絶対圧)に減圧される。分離膜を透過した蒸気はコンデンサーで全量凝縮して、分離膜の透過側の減圧度が保たれるように構成する。また、膜分離装置から排出される非透過蒸気の一部は、膜分離装置の分離効率を高めるためのパージガスとして膜分離装置の透過側へ供給されるように構成する。
膜分離装置の分離膜の透過側から回収した蒸気(透過蒸気とパージガスとして供給された蒸気)は全量凝縮した後、非透過蒸気によって予備加熱し、蒸留塔へ循環供給する。また、膜分離装置の分離膜の非透過側から回収した非透過蒸気は、前記予備加熱に加えて、もろみ塔の塔低液をもろみ塔へ循環供給する際の塔底液の加熱に用いられて熱回収された後、冷却されてエタノールの濃度が99.8質量%の無水エタノールとして製品タンクへ、1時間当り5tで回収する。
このような方法で99.8質量%の無水エタノールを得たときに、99.8質量%の無水エタノール1kgを得るために必要な熱量を、全工程で使用するスチームの合計量(スチーム1〜2)から換算した。結果を表1に示した。
〔参考例1〕
実施例1において、工程2の操作を以下のように変更した以外は実施例と同様に操作したときの結果を表1に示した。
(工程2)
送液ポンプによって、1時間当り13.3tのエタノール濃度が39質量%のエタノール水溶液を理論段数6段相当の蒸留塔へ供給する。この蒸留塔の塔底にはリボイラーが備えられ、塔底から抜き出された塔底液は、スチーム2が供給されるリボイラーによって混合蒸気にされ蒸留塔へ循環供給する。同時に塔底から抜き出された塔底液は1時間当り8.3tの流量でもろみ塔へ循環供給する。塔底液はエタノール濃度が2.5質量%以下程度に保持する。
蒸留塔内で留出し塔頂から送出するエタノールと水との混合蒸気は、膜分離装置40の非透過側の蒸気が膜分離膜装置の排出口から排出される流量を調節することによって、圧力を300kPa(ゲージ圧)に調節する。そして、前記混合蒸気の一部は凝縮器によって凝縮されて蒸留塔へ還流される。この還流量を調節することによって、蒸留塔の塔頂のエタノールと水との混合蒸気のエタノール濃度を75質量%に調節する。凝縮されなかった残りのエタノールと水との混合蒸気は、過熱器(スチーム3)によって135℃に過熱して、膜分離装置へ供給する。
膜分離装置へ供給されたエタノールと水との混合蒸気は1時間当り10.4tである。
実施例1において、工程2の操作を以下のように変更した以外は実施例と同様に操作したときの結果を表1に示した。
(工程2)
送液ポンプによって、1時間当り13.3tのエタノール濃度が39質量%のエタノール水溶液を理論段数6段相当の蒸留塔へ供給する。この蒸留塔の塔底にはリボイラーが備えられ、塔底から抜き出された塔底液は、スチーム2が供給されるリボイラーによって混合蒸気にされ蒸留塔へ循環供給する。同時に塔底から抜き出された塔底液は1時間当り8.3tの流量でもろみ塔へ循環供給する。塔底液はエタノール濃度が2.5質量%以下程度に保持する。
蒸留塔内で留出し塔頂から送出するエタノールと水との混合蒸気は、膜分離装置40の非透過側の蒸気が膜分離膜装置の排出口から排出される流量を調節することによって、圧力を300kPa(ゲージ圧)に調節する。そして、前記混合蒸気の一部は凝縮器によって凝縮されて蒸留塔へ還流される。この還流量を調節することによって、蒸留塔の塔頂のエタノールと水との混合蒸気のエタノール濃度を75質量%に調節する。凝縮されなかった残りのエタノールと水との混合蒸気は、過熱器(スチーム3)によって135℃に過熱して、膜分離装置へ供給する。
膜分離装置へ供給されたエタノールと水との混合蒸気は1時間当り10.4tである。
〔実施例2〜7〕
表1に示した条件を採用したこと以外は、実施例1と同様の操作によって、99.8質量%の無水エタノールを1時間当り5t得ることを試みた。
結果を表1に示した。
表1に示した条件を採用したこと以外は、実施例1と同様の操作によって、99.8質量%の無水エタノールを1時間当り5t得ることを試みた。
結果を表1に示した。
〔参考例2、3〕
表1に示した条件を採用したこと以外は、参考例1と同様に操作したときの結果を表1に示した。
表1に示した条件を採用したこと以外は、参考例1と同様に操作したときの結果を表1に示した。
表1から明らかなように、実施例は工程全体でみたときに極めてエネルギー効率が高い。
本発明によって、(1)醗酵アルコール水溶液をもろみ塔へ供給し、もろみ塔内の醗酵アルコール水溶液を加熱してアルコールと水の混合蒸気を含む留出物を留出させ、この留出物、またはこの留出物を凝縮した第1の凝縮液を蒸留塔へ供給し、(2)a)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出、または、b)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、この混合蒸気を凝縮した第2の凝縮液を蒸発器へ供給し、蒸発器内の第2の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を発生させて膜分離装置へ供給し、(3)前記a)において蒸留塔より留出させた混合蒸気または前記b)において蒸発器より発生させた混合蒸気を、膜分離装置へ供給し、(4)膜分離装置でアルコールと水との混合蒸気から水蒸気を選択的に除去する醗酵アルコール水溶液から無水アルコールを得るための精製処理方法において、工程全体としてより簡便で且つ極めてエネルギー効率よく精製処理する方法を提供することができる。
10 もろみ塔
11 凝縮器
12 凝縮液槽
20 蒸留塔
21 リボイラー
22 凝縮器
23 凝縮液槽
24 減圧手段
30 蒸発器
40 膜分離装置
41 熱交換器(コンデンサー)
42 真空ポンプ
43 凝縮液槽
FIC: 流量調節器
LIC: 液面調節器
TIC: 温度調節器
PIC: 圧力調節器
11 凝縮器
12 凝縮液槽
20 蒸留塔
21 リボイラー
22 凝縮器
23 凝縮液槽
24 減圧手段
30 蒸発器
40 膜分離装置
41 熱交換器(コンデンサー)
42 真空ポンプ
43 凝縮液槽
FIC: 流量調節器
LIC: 液面調節器
TIC: 温度調節器
PIC: 圧力調節器
Claims (6)
- (工程1)醗酵アルコール水溶液をもろみ塔へ供給し、もろみ塔内の醗酵アルコール水溶液を加熱してアルコールと水の混合蒸気を含む留出物を留出させ、この留出物、またはこの留出物を凝縮した第1の凝縮液を蒸留塔へ供給する工程と、
(工程2)a)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させる工程、または、b)蒸留塔により前記留出物または第1の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を留出させ、この混合蒸気を凝縮した第2の凝縮液を蒸発器へ供給し、蒸発器内の第2の凝縮液を加熱してアルコールと水との混合蒸気を発生させる工程と、
(工程3)前記a)において蒸留塔より留出させた混合蒸気または前記b)において蒸発器より発生させた混合蒸気を、減圧してから膜分離装置へ供給する工程と、
(工程4)膜分離装置によりアルコールと水との混合蒸気から水蒸気を選択的に除去する工程
とを有することを特徴とする醗酵アルコール水溶液から無水アルコールを得るための精製処理方法。 - 工程2a)において蒸留塔より留出させる混合蒸気または工程2b)において蒸発器より発生させる混合蒸気の圧力が150kPa(絶対圧)以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 工程3において、アルコールと水との混合蒸気の凝縮温度が該混合蒸気の温度よりも低くなるように減圧することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 工程3において、圧力を5kPa以上減圧することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の方法。
- 工程1においてもろみ塔から蒸留塔へ供給する留出物または第1の凝縮液のアルコール濃度を50質量%未満にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 工程4において膜分離装置へ供給するアルコールと水との混合蒸気のアルコール濃度が55〜90質量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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