JP2009045573A - 醗酵エタノールの精製処理方法およびそのシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸留処理の際の熱源として用いられるスチームの使用量を削減することができ、これによって省エネルギ化を十分に図ることのできる醗酵エタノールの精製処理方法およびそのシステムを提供する。
【解決手段】蒸留塔5による蒸留処理と分離膜10を用いた脱水処理との組み合わせによって醗酵エタノールから無水エタノールを精製するに際して、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が最小となるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を目標エタノール濃度として定め、蒸留塔5で生成されるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度がその目標エタノール濃度となるように、還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を還流量制御手段(21〜25)によって制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸留塔による蒸留処理と分離膜を用いた脱水処理との組み合わせによって醗酵エタノールから無水エタノールを精製する醗酵エタノールの精製処理方法およびそのシステムに関するものである。
近年、サトウキビやビートなどの植物を原料として得られるバイオマスエタノールは、ガソリンと混合してあるいは単独で自動車用燃料として用いられるため、バイオマスエタノール精製処理技術が地球環境保全技術の一つとして注目されている。自動車用燃料として用いられるエタノールは、ガソリンとの相容性を上げるため、高濃度(99.6wt%以上)でなければならない。エタノール水溶液はエタノール濃度95wt%付近に共沸点が存在するため、通常の蒸留法では95wt%を超えてエタノールの濃縮ができない。そこで、第三成分を加えかつ蒸留塔も増やして共沸蒸留法により、無水エタノール(99.6wt%以上)を得ている。しかし、この共沸蒸留法では、設備の大型化を免れない上に、エタノールの濃縮・精製に多大のエネルギが必要であるという問題点がある。
この共沸蒸留法の問題点を解決し得るものとして、例えば特許文献1にて提案されている分離技術がある。この分離技術は、蒸留塔にエタノール水溶液を供給するとともにその蒸留塔内部でエタノール水溶液を蒸発させるためのスチームを供給してエタノールおよび水の混合蒸気を生成する蒸留処理と、蒸留処理で生成された混合蒸気の一部を凝縮して得られる凝縮液を蒸留塔に還流する還流処理と、蒸留処理で生成された混合蒸気の残部をゼオライト膜を用いて脱水する脱水処理とを含み、蒸留処理にてエタノール−水混合蒸気をエタノール濃度91wt%まで濃縮し、その後のゼオライト膜を用いた脱水処理を経ることによってエタノール濃度99.5wt%以上のエタノールを得るようにされている。ここで、ゼオライト膜は、それ自体公知(例えば、特許文献2参照)のものであり、90〜95wt%エタノール水溶液から高選択率で水分のみを分離することができるものである。なお、30〜94wt%エタノール蒸気、言い換えれば6〜70wt%水蒸気含有原料をポリイミド膜モジュールに供給してエタノール99wt%以上の脱水製品を得ることのできる分離技術も知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2006−263561号公報 特開平7−185275号公報 「燃料協会誌」、1988年、第67巻、第12号、p.1038−1051
ところで、前記特許文献1に係る分離技術では、蒸留処理にてエタノール−水混合蒸気をエタノール濃度91wt%まで濃縮するために、還流処理における凝縮液の還流量をかなり多くする必要がある。このため、蒸留塔内部での蒸発量が多くなり、これに合わせて蒸留塔に供給するスチーム量も多くする必要がある。したがって、この分離技術では、共沸蒸留法よりは省エネルギ化を図ることができるものの、蒸留処理でのエネルギ消費が依然として多く、省エネルギ化を十分に図ることができないという問題点がある。
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、蒸留処理の際の熱源として用いられるスチームの使用量を削減することができ、これによって省エネルギ化を十分に図ることのできる醗酵エタノールの精製処理方法およびそのシステムを提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、第1発明による醗酵エタノールの精製処理方法は、
蒸留塔に醗酵エタノールを供給するとともにその蒸留塔内部で醗酵エタノールを蒸発させるためのスチームを供給してエタノールおよび水の混合蒸気を生成する蒸留処理と、この蒸留処理で生成された混合蒸気の一部を凝縮して得られる凝縮液を前記蒸留塔に還流する還流処理と、前記蒸留処理で生成された混合蒸気の残部を分離膜を用いて脱水する脱水処理とを含み、醗酵エタノールから無水エタノールを精製する醗酵エタノールの精製処理方法において、
無水エタノール単位量当たりの前記スチーム量が最小となる前記混合蒸気のエタノール濃度を目標エタノール濃度として定め、
前記蒸留塔で生成される混合蒸気のエタノール濃度が前記目標エタノール濃度となるように、前記還流処理における凝縮液の還流量を制御することを特徴とするものである。
第1発明において、前記分離膜によって脱水される前の混合蒸気を過熱する過熱処理が含まれるのが好ましい(第2発明)。
第1発明または第2発明において、前記蒸留塔に供給される前の醗酵エタノールに対しアルカリ成分を添加して中和する中和処理が含まれるのが好ましい(第3発明)。
次に、前記目的を達成するために、第4発明による醗酵エタノールの精製処理システムは、
醗酵エタノールが供給されるとともにその醗酵エタノールを蒸発させ蒸留処理を行うためのスチームが供給され、エタノールおよび水の混合蒸気を生成する蒸留塔と、この蒸留塔から送出された混合蒸気の一部を凝縮して得られる凝縮液をその蒸留塔に還流する還流手段と、前記蒸留塔から送出された混合蒸気の残部を分離膜を用いて脱水する脱水手段とを備え、醗酵エタノールから無水エタノールを精製する醗酵エタノールの精製処理システムにおいて、
無水エタノール単位量当たりの前記スチーム量が最小となる前記混合蒸気のエタノール濃度を目標エタノール濃度として定め、前記蒸留塔で生成される混合蒸気のエタノール濃度が前記目標エタノール濃度となるように、前記還流手段による凝縮液の還流量を制御する還流量制御手段を備えることを特徴とするものである。
第4発明において、前記分離膜は、水を選択的に透過させるポリイミド膜であるのが好ましい(第5発明)。
第1発明の醗酵エタノールの精製処理方法によれば、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔供給スチーム量が最小となるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が目標エタノール濃度として定められ、蒸留塔に還流される凝縮液の還流量制御によって、蒸留塔で生成される混合蒸気のエタノール濃度がその目標エタノール濃度となるようにされるので、最小限の蒸留塔供給スチーム量で所要の無水エタノールを精製することができ、蒸留処理でのスチーム使用量を従来よりも大幅に削減することができて省エネルギ化を十分に図ることができる。
また、第2発明の構成を採用することにより、混合蒸気の分離膜面での凝縮を抑えることができ、脱水処理がよりスムーズに行われるとともに、分離膜のライフサイクルを延ばすことができる。
また、第3発明の構成を採用することにより、無水エタノール中への酸の混入を確実に防ぐことができる。
次に、第4発明の醗酵エタノールの精製処理システムは、第1発明の醗酵エタノールの精製処理方法を具体化するためのシステムの一態様に関するものであり、第1発明と同様の作用効果を奏するものである。
ここで、分離膜としては、耐熱性、耐溶剤性に優れ、膜ライフが長いポリイミド膜(芳香族ポリイミド)を採用することにより、長期に亘って精製処理システムの安定運転を達成することできる。
次に、本発明による醗酵エタノールの精製処理方法およびそのシステムの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る醗酵エタノール精製処理システムの概略構成図が示されている。
図1に示される醗酵エタノール精製処理システム1において、原液タンク2に溜められた醗酵エタノールは、原液送給ポンプ3によって、予熱器4を通して蒸留塔5に送り込まれる。また、この蒸留塔5の塔底部には、蒸留塔5内部で醗酵エタノールを蒸発させ蒸留処理を行うためのスチームが直接吹き込まれる。なお、図1中には熱源であるスチームを直接供給する場合を示したが、伝熱管を通じて供給してもよい。こうして、蒸留塔5においては、醗酵エタノールからエタノールおよび水の混合蒸気を生成する蒸留処理が行われる。この蒸留処理で生成されたエタノール−水混合蒸気は、蒸留塔5の塔頂部から送出されて蒸留塔コンデンサ6に送り込まれる。なお、醗酵エタノール中には蟻酸、酢酸、コハク酸、乳酸等の酸が存在する。酸の存在量は出発原料、酵母または菌の種類、醗酵条件等により変化する。反応終了後の醗酵エタノールのpHは3.5〜6程度である。醗酵エタノールのpHが5以下で、かつ蒸留塔5塔頂部のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が65wt%以下の場合には、酸類がミストとして塔頂部蒸気中に混入する恐れがあるから、例えば醗酵エタノールが溜められている原液タンク2にアルカリ成分を添加するなどして、蒸留塔5に供給される前の醗酵エタノールに対し中和処理を施し、この中和処理が施された後の醗酵エタノールを蒸留塔5に供給するのが好ましい。この中和処理を施すことにより、無水エタノール中への酸の混入を確実に防ぐことができる。
蒸留塔5から蒸留塔コンデンサ6に送り込まれたエタノール−水混合蒸気の一部は凝縮され、この凝縮によって生じた凝縮液は還流管路7を介して蒸留塔5に還流される。こうして、エタノール−水混合蒸気の一部を凝縮して得られる凝縮液を蒸留塔5に還流する還流処理が、蒸留塔コンデンサ6と還流管路7とより構成される還流手段によって行われる。一方、蒸留塔5から蒸留塔コンデンサ6に送り込まれたエタノール−水混合蒸気の残部は、過熱器8にてスーパーヒートされた後に分離器9(本発明の「脱水手段」に相当する。)に送り込まれる。ここで、過熱器8として、本実施形態ではスチームを用いてエタノール−水混合蒸気を過熱する方式のものが採用されているが、これに限定されるものではなく、電気ヒータを用いてエタノール−水混合蒸気を過熱する方式のものを採用してもよい。
分離器9は、水を選択的に透過させる分離膜10と、この分離膜10によって仕切られる分離器加圧側室11および分離器減圧側室12とを備えて構成されている。分離器加圧側室11は、過熱器8にてスーパーヒートされた後のエタノール−水混合蒸気が送り込まれる室とされ、この分離器加圧側室11の下流には、分離膜非透過ベーパー凝縮器13が配されている。また、分離器減圧側室12の下流には、分離膜透過ベーパー凝縮器14および真空ポンプ15がそれぞれ配され、この分離膜透過ベーパー凝縮器14による凝縮作用と真空ポンプ15の稼働によって分離器減圧側室12が減圧に保たれるようになっている。なお、分離膜透過ベーパー凝縮器14による凝縮作用によって分離器減圧側室12を所定の真空度(60〜100torr)に保つことが可能であるので、真空ポンプ15は運転開始時や系内圧力が上昇した時などに一時的に作動させるだけでよく、真空ポンプ15の稼働は極僅かで済む。また、分離器加圧側室11と分離器減圧側室12との圧力差が大きい程、少ない膜面積で目的とする分離が実現できるので、蒸留塔5を常時加圧状態で運転するのが好ましい。
そして、分離器9における分離器加圧側室11にスーパーヒート後のエタノール−水混合蒸気が送り込まれると、水蒸気が選択的に分離膜10を透過することによってその分離器加圧側室11側に無水エタノール蒸気が得られる。この無水エタノール蒸気は、分離膜非透過ベーパー凝縮器13に導入され、この分離膜非透過ベーパー凝縮器13による凝縮によって製品としての無水エタノール(エタノール濃度99.6wt%以上)とされる。一方、分離膜10を透過した水蒸気は、分離器減圧側室12から分離膜透過ベーパー凝縮器14に導入されて凝縮され、この凝縮によって得られた復水は、分離膜透過液受器16に溜められた後に、分離膜透過液排出ポンプ17の作動によって原液タンク2に還流される。
ところで、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が極めて低いレベルにあるときには、エタノールに比して蒸発潜熱の高い水を多量に蒸発させているため、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が多くなる。蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を高いレベルにするためには、還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を多くする必要があるが、蒸留塔5内部での蒸発量が増加するため、やはり無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が多くなる。蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が高過ぎず低過ぎない所定の濃度であるときに、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が最小となる。逆に言うと、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が最小となる蒸留塔5送出分混合蒸気のエタノール濃度が存在する。このことが図2〜図4に示されている。
図2〜図4には、蒸留塔による蒸留処理と分離膜を用いた脱水処理との組み合わせによってエタノール濃度4wt%(5vol%),10wt%(12.5vol%),12.1wt%(15vol%)の醗酵エタノールからエタノール濃度99.6wt%の無水エタノールを精製する際における、蒸留塔5送出分混合蒸気のエタノール濃度と、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量との関係を表わすグラフが示されている。
図2に示されるように、醗酵エタノールのエタノール濃度が4wt%(5vol%)の場合には、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が40wt%のときに、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が3.32kgで最小となる。また、図3に示されるように、醗酵エタノールのエタノール濃度が10wt%(12.5vol%)の場合には、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が55wt%のときに、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が1.85kgで最小となる。また、図4に示されるように、醗酵エタノールのエタノール濃度が12.1wt%(15vol%)の場合には、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が60wt%のときに、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が1.67kgで最小となる。したがって、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を、醗酵エタノールのエタノール濃度が4wt%(5vol%)の場合には40wt%に、醗酵エタノールのエタノール濃度が10wt%(12.5vol%)の場合には55wt%に、醗酵エタノールのエタノール濃度が12.1wt%(15vol%)の場合には60wt%にそれぞれ制御することによって、最小の蒸留塔5供給スチーム量で無水エタノールを精製することができる。
図5には、エタノール−水混合蒸気のエタノール濃度と温度との関係を表わすグラフが示されている。
一定圧力下において、エタノール−水混合蒸気のエタノール濃度と、エタノール−水混合蒸気の温度とは、一対一の関係がある。したがって、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気が存在している蒸留塔5塔頂部の温度を測定することで、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を知ることができる。より具体的に説明すると、例えば、蒸留塔5塔頂部の温度の測定結果が125.7℃である場合には、図5に示される関係から、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が40wt%であることを知ることができる。また、例えば、蒸留塔5塔頂部の温度の測定結果が121.4℃および119.6℃の場合には、図5に示される関係から、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度がそれぞれ55wt%および60wt%であることを知ることができる。
したがって、蒸留塔5塔頂部の測定温度に基づいて還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を制御することにより、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を制御することができる。
次に、還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を制御する還流量制御手段について以下に説明することとする。
前述したように、蒸留塔5から送出されたエタノール−水混合蒸気は、蒸留塔コンデンサ6による分縮により、蒸留塔5に還流される凝縮液と、分離器9で脱水処理に供される不凝縮ベーパーとに分離される。この分離の割合は、蒸留塔コンデンサ6の熱交換部に供給する冷却水量によって決まる。冷却水量を増やすと、蒸留塔コンデンサ6での凝縮量が増えて還流量が増加する。逆に冷却水量を減らすと、蒸留塔コンデンサ6での凝縮量が減ることで還流量が減る。つまり、凝縮液の還流量は、蒸留塔コンデンサ6の熱交換部に供給する冷却水量を制御することによって制御することができる。
本実施形態において、還流量制御手段は、図1に示されるように、蒸留塔5の塔頂部の温度を測定する蒸留塔塔頂部温度センサ21と、この蒸留塔塔頂部温度センサ21によって測定される測定温度と目標塔頂部温度との差に応じた制御信号を出力する蒸留塔塔頂部温度調節器22と、蒸留塔コンデンサ6の熱交換部に供給する冷却水の流量を調節する冷却水流量調節弁23と、この冷却水流量調節弁23の弁開度を調節する冷却水流量調節器24と、蒸留塔コンデンサ6の熱交換部に供給する冷却水の流量を測定する冷却水流量センサ25とを備えて構成されている。この還流量制御手段(21〜25)においては、蒸留塔塔頂部温度調節器22からの制御信号によって冷却水流量調節器24における目標冷却水量が変更され、冷却水流量センサ25による測定流量がその変更された目標冷却水量となるように冷却水流量調節弁23の弁開度が冷却水流量調節器24によって調節される所謂カスケード制御が行われる。これにより、蒸留塔5塔頂部の温度が目標塔頂部温度となるように、蒸留塔コンデンサ6での凝縮量が制御される。
表1には、醗酵エタノールのエタノール濃度が4wt%(5vol%),10wt%(12.5vol%),12.1wt%(15vol%)のそれぞれの場合において定められる目標エタノール濃度と、各目標エタノール濃度に対応して定められる目標塔頂部温度とが示されている。
Figure 2009045573
醗酵エタノールのエタノール濃度が例えば4wt%,10wt%および12.1wt%のそれぞれの場合においては、図2〜図4に示されるグラフに基づいて、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が最小となる蒸留塔5でのエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度40wt%、55wt%および60wt%が目標エタノール濃度として定められる。こうして定められた各目標エタノール濃度40wt%、55wt%および60wt%と、図5のグラフに示される関係とから、各目標エタノール濃度に対応して目標塔頂部温度が定められる。そして、還流量制御手段(21〜25)による凝縮液の還流量制御により、蒸留塔5塔頂部の温度が目標塔頂部温度となるようにされ、これによって蒸留塔5で生成される混合蒸気のエタノール濃度が目標エタノール濃度となるようにされ、最小の蒸留塔5供給スチーム量で無水エタノールが精製されることになる。
次に、醗酵エタノールのエタノール濃度が4wt%の場合における精製処理システムの運転操作について図1を参照しつつ以下に説明することとする。この場合の目標塔頂部温度は125.7℃である(表1参照)。なお、醗酵エタノールのエタノール濃度が10wt%および12.1wt%のそれぞれの場合においても、目標塔頂部温度(目標エタノール濃度)が異なるのみで、基本的に以下に述べる運転操作と同様の操作が行われる。
まず、分離器加圧側室11の下流側に設けられている分離膜加圧側圧力センサ31、分離膜加圧側圧力調節器32および分離膜加圧側圧力調節弁33と、分離器減圧側室12の下流側に設けられている分離膜減圧側圧力センサ34、分離膜減圧側圧力調節器35および分離膜減圧側圧力調節弁36とにより、系内圧力を所定の圧力に調節する。なお、分離器減圧側室12側においては、系内真空度の高低に応じて真空ポンプ15を適宜ON/OFFさせることにより、系内圧力の安定化を図る。
系内圧力が安定状態になれば、スチーム供給管路37に設けられている蒸留塔スチーム流量センサ38、蒸留塔スチーム流量調節器39および蒸留塔スチーム流量調節弁40により、蒸留塔5にスチームを所定量、流量調整しながら吹き込む。蒸留塔5に吹き込まれたスチームは蒸留塔5塔頂部から出て行くが、このとき蒸留塔コンデンサ6は全縮とし、蒸留塔5からのスチームを全て凝縮して蒸留塔5に還流することにより、系内を安定させる。
系内が安定になれば、原液送給ポンプ3を作動し、その原液送給ポンプ3の下流に配されている原液流量センサ41、原液流量調節器42および原液流量調節弁43により、原液タンク2からの醗酵エタノールを流量調整しながら予熱器4を通して蒸留塔5に送給する。なお、必要であれば、原液タンク2中の醗酵エタノールに対し予めアルカリ成分を添加して中和処理を施しておく。
蒸留塔5にスチームのみが吹き込まれている間は、蒸留塔5塔頂部は水濃度100%の温度(0.19MPaG時約132℃:図5参照)となっている。蒸留塔5に醗酵エタノールが供給され始めると、蒸留塔5塔頂部にエタノール−水混合蒸気が溜まりだしてエタノール濃度が上昇するので、蒸留塔5塔頂部の温度が次第に低下していく。
蒸留塔5塔頂部の温度が目標塔頂部温度(125.7℃)となれば、蒸留塔コンデンサ6に供給する冷却水量を減らし、蒸留塔コンデンサ6を分縮状態にする。さらに、蒸留塔塔頂部温度センサ21によって測定される測定温度と目標塔頂部温度との差に応じて蒸留塔塔頂部温度調節器22から出力される制御信号にて冷却水流量調節器24における目標冷却水量を変更し、冷却水流量センサ25による測定流量がその変更された目標冷却水量となるように冷却水流量調節弁23の弁開度を冷却水流量調節器24にて調節するカスケード制御を行い、蒸留塔コンデンサ6から還流管路7を介して蒸留塔5に還流される凝縮液の還流量を制御する。この還流量制御手段(21〜25)による還流量制御により、蒸留塔5塔頂部の温度を目標塔頂部温度(125.7℃)に保持することができ、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を目標エタノール濃度(40wt%)に保持することができる。
蒸留塔コンデンサ6が分縮状態とされているときには、蒸留塔5塔頂部から出ていくエタノール−水混合蒸気の一部は凝縮後に蒸留塔5に還流される一方で、その残部は不凝縮ベーパーとして過熱器8に導入される。過熱器8には過熱器スチーム流量センサ44、過熱器スチーム流量調節器45および過熱器スチーム流量調節弁46によって流量調整された過熱用スチームが供給されており、不凝縮ベーパーはその過熱用スチームによって過熱された後に、分離器9における分離器加圧側室11に送り込まれる。
分離器加圧側室11にスーパーヒート後の不凝縮ベーパー(エタノール−水混合蒸気)が送り込まれると、水蒸気が選択的に分離膜10を透過することによってその分離器加圧側室11側に無水エタノール蒸気が得られる。そして、この分離器加圧側室11側の圧力を分離膜加圧側圧力調節弁33で一定に保ちつつ無水エタノール蒸気を分離膜非透過ベーパー凝縮器13で液化し、得られた無水エタノール(エタノール濃度99.6wt%以上)を製品として無水エタノールタンク47に溜める。なお、得られた無水エタノール蒸気の少量を分離器減圧側室12側に強制的にパージし、分離器減圧側室12側の水蒸気分圧をより小さくして、分離器加圧側室11側の水分が分離膜10をより透過し易くすることにより、無水エタノール中の水分濃度を更に下げることができる。
一方、分離膜10を透過した水蒸気は、分離器減圧側室12から分離膜透過ベーパー凝縮器14に導入されて凝縮され、この凝縮によって得られた復水は、分離膜透過液受器16に溜められる。そして、この分離膜透過液受器16に付設の分離膜透過液受器液面レベルセンサ48にて復水が所定量溜まっていることが検知されると、分離膜透過液排出ポンプ17が作動されるとともに、この分離膜透過液排出ポンプ17の下流側に設けられている分離膜透過液排出自動弁49が開かれ、分離膜透過液受器16に溜められている復水が原液タンク2に還流される。原液タンク2に還流された復水は、原液タンク2中の醗酵エタノールと共に再度精製処理に供される。
蒸留塔5の塔底部の温度は蒸留塔塔底部温度センサ50にて測定されており、この測定温度がエタノール濃度100ppm以下に相当する温度となれば(前述したように、一定圧力下においてエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度と温度とは一対一の関係にある。)、蒸留塔5塔底部に接続された蒸留塔缶出液排出ポンプ51を作動させるとともに、蒸留塔塔底部液面レベルセンサ52、蒸留塔塔底部液面レベル調節器53および蒸留塔塔底部液面レベル調節弁54によって缶出液を排水として液面一定となるようにコントロールしながら予熱器4を通して排出する。
以上に述べたような操作により、連続した定常運転を行うことができ、所要の無水エタノールを安定的に精製することができる。
本実施形態の醗酵エタノール精製処理システム1によれば、還流量制御手段(21〜25)による還流量制御により、蒸留塔5塔頂部の温度が目標塔頂部温度(125.7℃)に保持され、これによって蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が目標エタノール濃度(40wt%)に保持されるので、最小限の蒸留塔5供給スチーム量(無水エタノール単位量当たり3.32kg)で所要の無水エタノールを精製することができる。
ここで、蒸留塔による蒸留処理と分離膜を用いた脱水処理との組み合わせによってエタノール濃度4wt%(5vol%),10wt%(12.5vol%),12.1wt%(15vol%)の醗酵エタノールからエタノール濃度99.6wt%の無水エタノールを精製する際におけるスチーム所要量を算出し、一方、それぞれの濃度の醗酵エタノールを抽出剤としてシクロヘキサンを用いて無水エタノールまで蒸留塔のみで処理(以下、「共沸蒸留処理」と称する。)したときのスチーム所要量を算出した。
図6〜図8には、醗酵エタノール濃度が4wt%(5vol%),10wt%(12.5vol%),12.1wt%(15vol%)のそれぞれの場合について、横軸に蒸留塔送出分混合蒸気のエタノール濃度を取り、縦軸に(蒸留+膜)組合せ処理のスチーム所要量/共沸蒸留処理のスチーム所要量を取ったグラフが示されている。
図6に示されるように、醗酵エタノール(原液)のエタノール濃度が4wt%(5vol%)の場合には、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が40wt%のときに、スチーム所要量が最小となり、共沸蒸留処理による方法の41.6%のスチーム量で無水エタノールが得られる。また、図7に示されるように、醗酵エタノール(原液)のエタノール濃度が10wt%(12.5vol%)の場合には、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が55wt%のときに、スチーム所要量が最小となり、共沸蒸留処理による方法の35.7%のスチーム量で無水エタノールが得られる。また、図8に示されるように、醗酵エタノール(原液)のエタノール濃度が12.1wt%(15vol%)の場合には、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度が60wt%のときに、スチーム所要量が最小となり、共沸蒸留処理による方法の34.2%のスチーム量で無水エタノールが得られる。このように、本実施形態の醗酵エタノール精製処理システム1によれば、蒸留処理でのスチーム使用量を大幅に削減することができて省エネルギ化を十分に図ることができる。
〔第2の実施形態〕
図9には、本発明の第2の実施形態に係る醗酵エタノール精製処理システムの概略構成図が示されている。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては前記第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
前記第1の実施形態では、蒸留塔5塔頂部の測定温度に基づいて還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を制御することにより、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を制御するようにされているが、本実施形態では、蒸留塔コンデンサ6から分離器9に向けて送り出され、過熱器8によってスーパーヒートされる前の不凝縮ベーパーの測定温度に基づいて還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を制御することにより、蒸留塔5送出分のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度、より正確に言い換えると、分離器9(分離膜10)に供給されるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を制御するようにされている。
一定圧力下において、蒸留塔5塔頂部のエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度と、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーのエタノール濃度とは同一濃度である。したがって、図2〜図4に示されるように、蒸留塔コンデンサ6から分離膜10に供給されるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を、醗酵エタノールのエタノール濃度が4wt%(5vol%)の場合には40wt%に、醗酵エタノールのエタノール濃度が10wt%(12.5vol%)の場合には55wt%に、醗酵エタノールのエタノール濃度が12.1wt%(15vol%)の場合には60wt%にそれぞれ制御することによって、最小の蒸留塔5供給スチーム量で無水エタノールを精製することができる。
また、一定圧力下において、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーのエタノール濃度と、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーの温度とは一対一の関係がある。したがって、蒸留塔コンデンサ6での不凝縮ベーパーの温度を測定することで、不凝縮ベーパーのエタノール濃度、すなわち分離器9(分離膜10)に供給されるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を知ることができる。より具体的に説明すると、例えば、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーの温度の測定結果が125.7℃である場合には、図5に示される関係から、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーのエタノール濃度が40wt%であることを知ることができる。また、例えば、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーの温度の測定結果が121.4℃および119.6℃の場合には、図5に示される関係から、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーのエタノール濃度がそれぞれ55wt%および60wt%であることを知ることができる。
したがって、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーの測定温度に基づいて還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を制御することにより、分離器9(分離膜10)へ供給されるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を制御することができる。
本実施形態において、還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を制御する還流量制御手段は、図9に示されるように、蒸留塔コンデンサ6と過熱器8とを繋ぐ管路60に流通される不凝縮ベーパーの温度を測定する不凝縮ベーパー温度センサ61と、この不凝縮ベーパー温度センサ61によって測定される測定温度と目標不凝縮ベーパー温度との差に応じた制御信号を出力する不凝縮ベーパー温度調節器62と、蒸留塔コンデンサ6の熱交換部に供給する冷却水の流量を調節する冷却水流量調節弁23と、この冷却水流量調節弁23の弁開度を調節する冷却水流量調節器24と、蒸留塔コンデンサ6の熱交換部に供給する冷却水の流量を測定する冷却水流量センサ25とを備えて構成されている。この還流量制御手段(23〜25,61,62)においては、不凝縮ベーパー温度調節器62からの制御信号によって冷却水流量調節器24における目標冷却水量が変更され、冷却水流量センサ25による測定流量がその変更された目標冷却水量となるように冷却水流量調節弁23の弁開度が冷却水流量調節器24によって調節される所謂カスケード制御が行われる。これにより、不凝縮ベーパーの温度が目標不凝縮ベーパー温度となるように、蒸留塔コンデンサ6での凝縮量が制御される。なお、図9中符号63にて示されるのは、蒸留塔塔頂部温度指示計である。
表2には、醗酵エタノールのエタノール濃度が4wt%(5vol%),10wt%(12.5vol%),12.1wt%(15vol%)のそれぞれの場合において定められる目標エタノール濃度と、各目標エタノール濃度に対応して定められる目標不凝縮ベーパー温度とが示されている。
Figure 2009045573
醗酵エタノールのエタノール濃度が例えば4wt%,10wt%および12.1wt%のそれぞれの場合においては、図2〜図4に示されるグラフに基づいて、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔5供給スチーム量が最小となる分離膜10供給エタノール−水混合蒸気のエタノール濃度40wt%、55wt%および60wt%が目標エタノール濃度として定められる。こうして定められた各目標エタノール濃度40wt%、55wt%および60wt%と、図5のグラフに示される関係とから、各目標エタノール濃度に対応して目標不凝縮ベーパー温度が定められる。
そして、不凝縮ベーパー温度センサ61によって測定される測定温度と目標不凝縮ベーパー温度(125.7℃、121.4℃または119.6℃)との差に応じて不凝縮ベーパー温度調節器62から出力される制御信号にて冷却水流量調節器24における目標冷却水量を変更し、冷却水流量センサ25による測定流量がその変更された目標冷却水量となるように冷却水流量調節弁23の弁開度を冷却水流量調節器24にて調節するカスケード制御を行い、蒸留塔コンデンサ6から還流管路7を介して蒸留塔5に還流される凝縮液の還流量を制御する。この還流量制御手段(23〜25,61,62)による還流量制御により、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーの温度を目標不凝縮ベーパー温度(125.7℃、121.4℃または119.6℃)に保持することができ、分離膜10に供給されるエタノール−水混合蒸気のエタノール濃度を目標エタノール濃度(40wt%、55wt%または60wt%)に保持することができる。
本実施形態の醗酵エタノール精製処理システム1Aによれば、図6〜図8に示されるように、前記第1の実施形態の醗酵エタノール精製処理システム1と同様に蒸留処理でのスチーム使用量を大幅に削減することができて省エネルギ化を十分に図ることができる。さらに、本実施形態の醗酵エタノール精製処理システム1Aによれば、蒸留塔コンデンサ6の不凝縮ベーパーの測定温度に基づいて還流手段(6,7)による凝縮液の還流量を制御するようにされているので、分離膜10に供給される不凝縮ベーパーのエタノール濃度をより正確に制御することができる。
ところで、非特許文献1には、30〜94wt%エタノール蒸気、言い換えれば6〜70wt%水蒸気含有原料をポリイミド膜モジュールに供給してエタノール99wt%以上の脱水製品を得るようにした分離技術が記載されている。この非特許文献1に記載のポリイミド膜を用いた分離技術では、液を気化するエネルギは必要であるが、それ以後、膜の高圧側の水蒸気分圧と低圧側の水蒸気分圧の差がある限り水の分離が可能であり、分離のためのエネルギとしては低圧を保持するための真空ポンプのエネルギのみである。このように、ポリイミド膜は、多量の水分を省エネルギ的に分離することができるとともに広範囲の水分濃度に対応でき、かつ耐熱性を有しているから、ポリイミド膜を用いた分離処理では、蒸気圧を上げ、膜分離温度をあげることが可能で、使用する膜モジュールの本数を少なくすることができる。また、ポリイミド膜はその分離機構が溶解・拡散過程で進むのに対してゼオライト膜の分離機構は吸着・拡散過程で進むと言われている。不純物に対する耐久性として、ポリイミド膜では膜表面に溶解しなかった場合は製品の無水エタノール側へ同伴し、溶解した場合は透過側へ同伴する。一方、ゼオライト膜では不純物が吸着すると、膜寿命の低下につながる。前記各実施形態において、分離膜10としては、有機物のポリイミド膜(芳香族ポリイミド)および無機物のゼオライト膜のいずれを採用してもよいが、以上に述べたようなことからポリイミド膜を採用するのが好ましい。
前記各実施形態では、モジュール化された分離膜10を分離器9に1本だけ装備する態様を示したが、複数本の分離膜モジュールを直列または並列に接続して使用する態様であってもよい。要するに、膜へ供給する混合蒸気量や成分濃度、製品である無水エタノール濃度、分離膜の操作条件(高圧側圧力、低圧側圧力、温度)等が決まれば、それに応じて分離膜モジュールの使用数および配置の仕方を決めることができる。
以上、本発明の醗酵エタノールの精製処理方法およびそのシステムについて、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の第1の実施形態に係る醗酵エタノール精製処理システムの概略構成図 エタノール濃度4wt%(5vol%)の醗酵エタノールの精製処理の場合における、蒸留塔送出分混合蒸気のエタノール濃度と、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔供給スチーム量との関係を表わすグラフ エタノール濃度10wt%(12.5vol%)の醗酵エタノールの精製処理の場合における、蒸留塔送出分混合蒸気のエタノール濃度と、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔供給スチーム量との関係を表わすグラフ エタノール濃度12.1wt%(15vol%)の醗酵エタノールの精製処理の場合における、蒸留塔送出分混合蒸気のエタノール濃度と、無水エタノール単位量当たりの蒸留塔供給スチーム量との関係を表わすグラフ エタノール−水混合蒸気のエタノール濃度と温度との関係を表わすグラフ エタノール濃度4wt%(5vol%)の醗酵エタノールの精製処理の場合における、蒸留塔送出分混合蒸気のエタノール濃度(横軸)と(蒸留+膜)組合せ処理のスチーム所要量/共沸蒸留処理のスチーム所要量(縦軸)との関係を表わすグラフ エタノール濃度10wt%(12.5vol%)の醗酵エタノールの精製処理の場合における、蒸留塔送出分混合蒸気のエタノール濃度(横軸)と(蒸留+膜)組合せ処理のスチーム所要量/共沸蒸留処理のスチーム所要量(縦軸)との関係を表わすグラフ エタノール濃度12.1wt%(15vol%)の醗酵エタノールの精製処理の場合における、蒸留塔送出分混合蒸気のエタノール濃度(横軸)と(蒸留+膜)組合せ処理のスチーム所要量/共沸蒸留処理のスチーム所要量(縦軸)との関係を表わすグラフ 本発明の第2の実施形態に係る醗酵エタノール精製処理システムの概略構成図
符号の説明
1,1A 醗酵エタノール精製処理システム
2 原液タンク
3 原液送給ポンプ
4 予熱器
5 蒸留塔
6 蒸留塔コンデンサ
7 還流管路
8 過熱器
9 分離器
10 分離膜
11 分離器加圧側室
12 分離器減圧側室
13 分離膜非透過ベーパー凝縮器
14 分離膜透過ベーパー凝縮器
15 真空ポンプ
16 分離膜透過液受器
17 分離膜透過液排出ポンプ
21 蒸留塔塔頂部温度センサ
22 蒸留塔塔頂部温度調節器
23 冷却水流量調節弁
24 冷却水流量調節器
25 冷却水流量センサ
31 分離膜加圧側圧力センサ
32 分離膜加圧側圧力調節器
33 分離膜加圧側圧力調節弁
34 分離膜減圧側圧力センサ
35 分離膜減圧側圧力調節器
36 分離膜減圧側圧力調節弁
37 スチーム供給管路
38 蒸留塔スチーム流量センサ
39 蒸留塔スチーム流量調節器
40 蒸留塔スチーム流量調節弁
41 原液流量センサ
42 原液流量調節器
43 原液流量調節弁
44 過熱器スチーム流量センサ
45 過熱器スチーム流量調節器
46 過熱器スチーム流量調節弁
47 無水エタノールタンク
48 分離膜透過液受器液面レベルセンサ
49 分離膜透過液排出自動弁
50 蒸留塔塔底部温度センサ
51 蒸留塔缶出液排出ポンプ
52 蒸留塔塔底部液面レベルセンサ
53 蒸留塔塔底部液面レベル調節器
54 蒸留塔塔底部液面レベル調節弁
61 不凝縮ベーパー温度センサ
62 不凝縮ベーパー温度調節器
63 蒸留塔塔頂部温度指示計

Claims (5)

  1. 蒸留塔に醗酵エタノールを供給するとともにその蒸留塔内部で醗酵エタノールを蒸発させるためのスチームを供給してエタノールおよび水の混合蒸気を生成する蒸留処理と、この蒸留処理で生成された混合蒸気の一部を凝縮して得られる凝縮液を前記蒸留塔に還流する還流処理と、前記蒸留処理で生成された混合蒸気の残部を分離膜を用いて脱水する脱水処理とを含み、醗酵エタノールから無水エタノールを精製する醗酵エタノールの精製処理方法において、
    無水エタノール単位量当たりの前記スチーム量が最小となる前記混合蒸気のエタノール濃度を目標エタノール濃度として定め、
    前記蒸留塔で生成される混合蒸気のエタノール濃度が前記目標エタノール濃度となるように、前記還流処理における凝縮液の還流量を制御することを特徴とする醗酵エタノールの精製処理方法。
  2. 前記分離膜によって脱水される前の混合蒸気を過熱する過熱処理が含まれる請求項1に記載の醗酵エタノールの精製処理方法。
  3. 前記蒸留塔に供給される前の醗酵エタノールに対しアルカリ成分を添加して中和する中和処理が含まれる請求項1または2に記載の醗酵エタノールの精製処理方法。
  4. 醗酵エタノールが供給されるとともにその醗酵エタノールを蒸発させ蒸留処理を行うためのスチームが供給され、エタノールおよび水の混合蒸気を生成する蒸留塔と、この蒸留塔から送出された混合蒸気の一部を凝縮して得られる凝縮液をその蒸留塔に還流する還流手段と、前記蒸留塔から送出された混合蒸気の残部を分離膜を用いて脱水する脱水手段とを備え、醗酵エタノールから無水エタノールを精製する醗酵エタノールの精製処理システムにおいて、
    無水エタノール単位量当たりの前記スチーム量が最小となる前記混合蒸気のエタノール濃度を目標エタノール濃度として定め、前記蒸留塔で生成される混合蒸気のエタノール濃度が前記目標エタノール濃度となるように、前記還流手段による凝縮液の還流量を制御する還流量制御手段を備えることを特徴とする醗酵エタノールの精製処理システム。
  5. 前記分離膜は、水を選択的に透過させるポリイミド膜である請求項4に記載の醗酵エタノールの精製処理システム。
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