JP2009263309A - 縮合反応方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】反応効率、およびハンドリングの両面に優れ、環境負荷が低く、低コストである縮合反応方法を提供する。
【解決手段】(A)フェノール化合物、および(B)カルボニル化合物を縮合反応させる方法であって、縮合反応触媒として、下記工程(b)を含む方法により製造されるカチオン交換樹脂を用いることを特徴とする縮合反応方法。
(b)特定の化学構造を有する溶出性化合物の含有量を、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマー架橋共重合体1gに対して、3000μg以下とする工程
【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノール化合物、および、カルボニル化合物を縮合反応させる方法に関する。詳しくは、反応効率、およびハンドリングの両面に優れ、環境負荷が低く、低コストである前記の縮合反応方法に関する。
従来、ビスフェノールAの製造に代表される、フェノール化合物、およびカルボニル化合物の縮合反応には、その反応触媒としてカチオン交換樹脂が用いられていた。カチオン交換樹脂の種類は多様であり、縮合反応に及ぼす影響も同様に多様であるため、その目的に応じて設計された縮合反応方法が提案されている。
たとえば、特許文献1には、噴射式懸濁重合法を用いて、狭い小滴サイズ分布とした共重合体ビーズを用いた縮合反応用触媒を用いた縮合反応を触媒する方法が開示されている。これによれば、懸濁用媒質に噴射することなしに生成させたバッチ式懸濁重合共重合体ビーズを用いた場合よりも反応体のビスフェノール類への変換率が高くなることが記載されている。
また、特許文献2には、有効径0.3mm以下の微粒状および/または粉末状の強酸性イオン交換樹脂を用いたビスフェノールAの製造方法が開示されている。
また、特許文献3には、スルホン酸基の一部を含イオウアミン化合物と反応させた変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂で、特定の粒径、粒径分布均一度を有するもとを触媒に用いるビスフェノールA製造用反応器が開示されている。
特許第3312920号公報 特開昭62−178532号公報 特許第2887304号公報
しかしながら、特許文献1は、ビーズサイズにかかわらず、噴射式懸濁重合法を用いることに着目されているものであり、重合方法、重合設備に制約があった。
また、特許文献2では、有効径が規定され、特許文献3では特定の粒径、粒径分布均一度の樹脂を触媒に用いることが記載されているが、単に粒子の形態的な特徴を改善するには性能向上に限界があり、さらに優れた縮合反応効率を担保する技術が望まれている。
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、モノマーの重合段階での溶出量が極めて少なくなるような条件で重合し、かつ重合体積平均粒径を従来よりも小さく制御し、かつ均一係数を1.0に近づけることで、優れた縮合反応効率、および触媒のハンドリング性の両面を改善できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、下記〔1〕〜〔5〕に存する。
〔1〕(A)フェノール化合物、および(B)カルボニル化合物を縮合反応させる方法であって、縮合反応触媒として、下記工程(b)を含む方法により製造されるカチオン交換樹脂を用いることを特徴とする縮合反応方法。
(b)下記式(I)で示される溶出性化合物の含有量を、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマー架橋共重合体1gに対して、3000μg以下とする工程
Figure 2009263309
(式(I)中、Zは、水素原子またはアルキル基を示す。lは自然数を示す。)
〔2〕(A)フェノール化合物、および(B)カルボニル化合物を縮合反応させる方法であって、縮合反応触媒として、下記方法により測定される耐酸化TOC溶出性が5ppm以下であるカチオン交換樹脂を用いることを特徴とする縮合反応方法。
[耐酸化TOC溶出性測定方法]
(1)前記カチオン交換樹脂を水湿潤状態で、3000rpm、5分間遠心分離し水切りをする。得られた水切り状態の前記カチオン交換樹脂10mLを三角フラスコに入れ、TOCが10ppb以下の超純水を100mL加える。前記三角フラスコを40℃に保った水浴に漬け、20時間振とう後、上澄み液を採取してそのTOC値を測定し、これを「初期TOC値」とする。
(2)前記(1)でTOCが10ppb以下の超純水の代わりに、TOCが10ppb以下の超純水で希釈した0.1%過酸化水素水を100mL加えた以外は前記(1)と同様にしてTOC値を測定し、これを「酸化TOC値」とする。
(3)下記式により耐酸化TOC溶出性を算出する。
(耐酸化TOC溶出性)=(酸化TOC値)−(初期TOC値)
〔3〕カチオン交換樹脂の均一係数が1.5以下である前記縮合反応方法。
〔4〕カチオン交換樹脂の重量平均粒子径400μm以下である前記縮合反応方法。
〔5〕シード重合法、加振法およびチューブリアクター法から選ばれる1以上の方法により前記カチオン交換樹脂を得る工程を有する前記縮合反応方法。
〔6〕前記フェノール化合物がフェノールであり、前記カルボニル化合物がアセトンであり、前記縮合反応がビスフェノールA生成反応である前記縮合反応方法
本発明によれば、反応効率、およびハンドリングの両面に優れ、環境負荷が低く、低コストである縮合反応方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
[1]縮合反応方法
本発明の縮合反応は、(A)フェノール化合物、および(B)カルボニル化合物を縮合反応させる方法である。
本発明の縮合反応方法において、フェノール化合物とカルボニル化合物との縮合反応は、フェノール性水酸基の強いオルト又はパラ配向性、特にパラ配向性、を利用するものと解されるところより、使用するフェノール化合物はオルト又はパラ位に置換基のないものであるべきであり、又、縮合反応生成物であるビスフェノール化合物の用途から4,4′−ビスフェノール化合物が一般的に好ましいところから、パラ位に置換基のないフェノール化合物が好ましい。その場合の置換基は、フェノール性水酸基のオルト及びパラ配向性を阻害せず、又、カルボニル化合物の縮合位置に対して立体障害を及ぼさない限り、任意のものでありうるが、典型的な置換基は低級炭化水素基、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、及び弗素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子である。
そして、そのフェノール化合物としては、具体的には、例えば、無置換のフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、2,5−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール等が挙げられる。これらの中でフェノールが特に好ましい。
又、カルボニル化合物の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等の炭素数3〜10程度のケトン類、及び、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド類が挙げられる。これらの中で、ホルムアルデヒド及びアセトンが好ましく、アセトンが特に好ましい。フェノール化合物としてフェノールを使用し、カルボニル化合物としてアセトンを使用した場合、ポリカーボネート樹脂等の原料として有用なビスフェノールAを得ることができるので、特に好ましい。
本発明で、前記フェノール化合物と前記カルボニル化合物とを反応させる前に、フェノール化合物を用いて、40〜110℃の温度で、カチオン交換樹脂の前処理を行なうのが好ましい。回分式の場合は、用いるカチオン交換樹脂触媒にその体積の5〜200倍のフェノール化合物で処理するのが好ましい。固定床流通方式の場合は、液時空間速度(LHSV)0.1〜50hr-1でフェノール化合物を通液することが好ましい。この前処理により、カチオン交換樹脂が水を含んでいる場合であっても、カチオン交換樹脂触媒は水からフェノール化合物へ溶媒交換され、誘導期間なしで反応に使用できるようになる。
本発明における前記フェノール化合物と前記カルボニル化合物との反応方式は、特に限定されるものではなく、前記カチオン交換樹脂触媒を充填した反応器にフェノール化合物とカルボニル化合物との原料混合物を連続的に供給して反応を行う固定床流通方式、流動床方式、及び連続撹拌方式のいずれでもよく、又、回分方式であってもよい。固定床流通方式、流動床方式、及び連続撹拌方式で反応を行う場合には、原料混合物の供給は、フェノール化合物湿潤状態のカチオン交換樹脂触媒基準で通常LHSV0.05hr-1以上、好ましくは0.2hr-1以上である。また通常20hr-1以下、好ましくは10hr-1以下で行う。反応温度は通常40℃以上、好ましくは60℃以上、また通常120℃以下、好ましくは100℃以下とする。反応温度が40℃未満では反応速度が遅い傾向があり、一方、120℃超過では変性カチオン交換樹脂触媒の性能低下が著しい場合があり、副生物や着色物質も増加する傾向がある。原料の供給方法としては、例えば、特開平4−1149号公報に記載されるように、反応器の下方から上向に供給する方法を用いても良い。また、樹脂の圧力損失を小さくするため、反応器を複数器に分割しても良い。前記の上向に供給する方法を用いる場合は、原料の液空間速度LHSVが通常0.1hr-1以上、好ましくは0.3hr-1以上であり、通常3.0hr-1以下、好ましくは2.0hr-1以下である。LHSVが大きすぎると、反応液の線速度が大きいために触媒粒子の対流や反応液の吹き抜けが生じ、押し出し流れが達成されない。また、充填層型反応器は、L/Dが通常0.5以上、好ましくは1以上であり、通常5以下、好ましくは3以下で設計することが好ましい。ここで、L、Dは、それぞれ反応帯域の長さ、および反応帯域の相当直径(反応器が断面の場合はその内径)を示す。
尚、その際のフェノール化合物とカルボニル化合物のモル比は、カルボニル化合物1モルに対してフェノール化合物が通常2モル以上、好ましくは4モル以上であり、通常40モル以下、好ましくは30モル以下とする。フェノール化合物の使用量が前記範囲未満であると、副生物が増加する傾向があり、一方、前記範囲超過としてもその効果に殆ど変化はなく、むしろ回収再使用するフェノール化合物の量が増大するため経済的でなくなる傾向がある。反応混合物から目的物質であるビスフェノール化合物の分離精製は、例えば、本発明の製造方法において製造するのに特に好ましいとするビスフェノールAの場合には、以下のような例を挙げることができる。
上記反応に引き続いて行なわれる各工程に特に制限はなく、例えば公知の方法を採用することができる。以下に代表的な工程を一例として説明する。上記反応に引き続いて、低沸点成分分離工程において、反応で得られた反応混合物をビスフェノールAとフェノールとを含む成分と、反応で副生する水、未反応アセトン等を含む低沸点成分とに分離する。低沸点成分分離工程は、減圧下に蒸留によって低沸点成分を分離するのが好ましく、低沸点成分にはフェノール等が含まれていてもよい。ビスフェノールAとフェノールとを含む成分は、さらに蒸留等によってフェノールを除去し、ビスフェノールAの濃度を所望の濃度に調整することができる。
続いて、晶析工程においてビスフェノールAとフェノールとの付加物の結晶を含有するスラリーを得る。晶析工程に供するビスフェノールAとフェノールとを含む成分のビスフェノールAの濃度は、得られるスラリーの取り扱いの容易さ等から、10〜30%が好ましい。また晶析方法としては、ビスフェノールAとフェノールとを含む成分を直接冷却させる方法、水等のほかの溶媒を混合し、当該溶媒を蒸発させることによって冷却を行なう方法、さらにフェノールを除去して濃縮を行なう方法及びこれらを組み合わせる方法等が挙げられ、所望の純度の付加物を得るために1回もしくは2回以上晶析させてもよい。当該晶析工程で得られたスラリーは、回収工程において減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過等により付加物の結晶と母液とに固液分離され、ビスフェノールAとフェノールとの付加物の結晶が回収される。
当該回収工程で得られた付加物の結晶を、続く脱フェノール工程において溶融し、フラッシュ蒸留、薄膜蒸留、スチームストリッピング等の手段によってフェノールを除去することにより、高純度の溶融ビスフェノールAを得る。除去されたフェノールは所望により精製され、反応や上記回収工程で得られた付加物の結晶の洗浄等に供することができる。
得られた高純度の溶融ビスフェノールAは、造粒工程において固化されるが、ノズルから噴射させ、冷却ガスと接触させることにより小球状のビスフェノールAプリルを得る方法が簡便で好ましい。
系内の不純物の蓄積を防止する目的で、回収工程で分離された母液の少なくとも一部を不純物処理工程において処理することができる。例えば、アルカリ又は酸を混合して加熱処理した後に蒸留して軽質分と重質分とに分離し、軽質分を酸触媒等により再結合反応処理して反応に使用するのが経済性の点でも好ましい。ここで重質分を系外にパージすることにより不純物の蓄積を防止し、製品の純度を向上させることができる。また、母液の少なくとも一部を酸触媒によって異性化した後、晶析を行なうことによってビスフェノールAの回収率の向上を図ることもできる。
低沸点成分分離工程で得られた低沸点成分は、アセトン循環工程によって未反応アセトンを分離回収し、回収されたアセトンを反応工程に循環させることができる。
[2]縮合反応触媒
本発明においては、縮合反応触媒として、カチオン交換樹脂を用いることが特徴である。以下、カチオン交換樹脂について詳述する。
[2−1]カチオン交換樹脂
本発明に用いられるカチオン交換樹脂は、耐久性や製造方法の合理性の観点から、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの共重合で得られる架橋構造骨格を有しているものが好ましい。モノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキル置換スチレン類、ブロモスチレン等のハロゲン置換スチレン類が挙げられる。このうち、スチレンまたはスチレンを主体とするモノマーが好ましい。また、架橋性芳香族モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタリン、ジビニルキシレン等が挙げられる。このうち、ジビニルベンゼンが好ましい。工業的に製造されるジビニルベンゼンは、通常副生物であるエチルビニルベンゼン(エチルスチレン)を多量に含有しているが、本発明においてはこのようなジビニルベンゼンも使用できる。
具体的には、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤等を挙げることができる。
本発明において用いられるカチオン交換樹脂の主な形態としてはゲル型と多孔質型が挙げられるが、本発明の縮合反応に用いる場合は、カチオン交換樹脂の製造コストの観点から、ゲル型が好ましい。なお、物質拡散性や、樹脂の耐久性、強度の確保の観点で、多孔質型(ポーラス型、ハイポーラス型、またはマクロポーラス型)も好ましい。
また、本発明において用いられるカチオン交換樹脂は、通常は粒子の形状(粒状)である。具体的な形状としては球状、略球状、多面体状、凝集体状など様々な形状が挙げられるが、特に制限されるものではない。
[2−2]カチオン交換樹脂の製造方法
本発明に用いる縮合反応触媒としてのカチオン交換樹脂としては、下記工程(b)を含む方法により製造されるカチオン交換樹脂を用いることが特徴である。
(b)下記式(I)で示される溶出性化合物の含有量を、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマー架橋共重合体1gに対して、3000μg以下とする工程
Figure 2009263309
(式(I)中、Zは、水素原子またはアルキル基を示す。lは自然数を示す。)
本発明のカチオン交換樹脂の製造方法は、好ましくは、下記(a)〜(c)の工程、さらに好ましくは下記(d)の工程を含む。
(a)モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとを共重合させて架橋共重合体を得る工程
(b)下記式(I)で示される溶出性化合物の含有量を、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとの架橋共重合体1gに対して3000μg以下とする工程
Figure 2009263309
(式(I)中、Zは、水素原子またはアルキル基を示す。lは自然数を示す。)
(c)前記溶出性化合物の含有量が架橋共重合体1gに対して3000μg以下の架橋共重合体をスルホン化する工程
(d)スルホン化された架橋共重合体から下記式(II)で示される溶出性化合物を除去する工程
Figure 2009263309
(式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基を示す。Yは、水素原子、金属原子、または4級アンモニウム基を示す。mは自然数を示す。)
以下、各工程について説明する。
[2−2−1](a)モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとを共重合させて架橋共重合体を得る工程
本発明に係るモノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキル置換スチレン類、ブロモスチレン等のハロゲン置換スチレン類が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。このうち、スチレンまたはスチレンを主体とするモノマーが好ましい。
また、架橋性芳香族モノマーとしてはジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。このうち、ジビニルベンゼンが好ましい。
工業的に製造されるジビニルベンゼンは、通常副生物であるエチルビニルベンゼン(エチルスチレン)を多量に含有しているが、本発明においてはこのようなジビニルベンゼンも使用できる。
架橋性芳香族モノマーの使用量としては、全モノマー重量に対して通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは18重量%以下、更に好ましくは14重量%以下である。架橋性芳香族モノマーの使用量が多く、架橋度が高くなるほど、得られるカチオン交換樹脂の耐酸化性が向上する傾向にある。一方、架橋度が高すぎると、後工程で溶出性オリゴマーの水洗除去が不完全となりやすい。また、架橋度が高いカチオン交換樹脂の場合、超純水用途のカチオン交換樹脂としての使用時に、精製対象の原水中の不純物(金属イオンやコロイド物質、アミン類やアンモニウム塩)との反応速度が低下し、イオン交換効率が低下して処理水の純度が低下する傾向にある。
モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとの共重合反応は、ラジカル重合開始剤を用いて公知の技術に基づいて行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化ジベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の1種又は2種以上が用いられ、通常、全モノマー重量に対して0.05重量%以上、5重量%以下で用いられる。
重合様式は、特に限定されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の種々の様式で重合を行うことができるが、このうち均一なビーズ状の共重合体が得られる懸濁重合法が好ましく採用される。懸濁重合法は、一般にこの種の共重合体の製造に使用される溶媒、分散安定剤等を用い、公知の反応条件を選択して行うことができる。
なお、共重合反応における重合温度は、通常、室温(約18℃〜25℃)以上、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、通常250℃以下、好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。重合温度が高すぎると解重合が併発し重合完結度がかえって低下する。重合温度が低すぎると重合完結度が不十分となる。
また、重合雰囲気は、空気下もしくは不活性ガス下で実施可能であり、不活性ガスとしては窒素、二酸化炭素、アルゴン等が使用できる。
また、特開2006−328290号公報に記載の重合法は、本発明の縮合反応において優れた縮合反応効率を示すため好ましい。
なお、均一粒径の架橋共重合体を得る公知の方法も好適に使用できる。
例えば、特開2002−35560号公報、特開2001−294602号公報、特開昭57−102905号公報、特開平3−249931号公報の方法が好適に使用できる。
[2−2−2](b)特定構造を有する溶出性化合物の含有量を、架橋共重合体1gに対して3000μg以下とする工程
本発明のカチオン交換樹脂の製造方法は、[2−2−1]章で得られた架橋共重合体をスルホン化する前に、下記式(I)で示される溶出性化合物の含有量(以下「溶出性化合物(I)」と称す場合がある。)を、架橋共重合体1gに対して3000μg以下、好ましくは1000μg以下、より好ましくは700μg以下とする工程を含む。
Figure 2009263309
(式(I)中、Zは、水素原子またはアルキル基を示す。lは自然数を示す。)
ここで、Zのアルキル基は、通常炭素数1〜8のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基である。
スルホン化に供する架橋共重合体中の前記溶出性化合物(I)の含有量が多すぎると、不純物の残存や分解物の発生が抑制された、溶出物の少ないカチオン交換樹脂を得ることができない。該溶出性化合物(I)の含有量は少ない程好ましいが、通常その下限は0.1μg程度である。
なお、本発明に係る前記溶出性化合物(I)とは、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとを共重合する際に得られる未反応、または反応不十分である副生物である。この溶出性化合物(I)は、製品時におけるイオン交換樹脂の溶出物の原因となるものであり、ポリスチレン換算における重量平均分子量が、通常200以上、好ましくは300以上であり、通常1,000,000以下、好ましくは100,000以下である。例えばスチレン系樹脂の場合、重合不十分の低重合体成分としてスチレンダイマー、スチレントリマー、スチレンオリゴマー等が、遊離重合体成分として線状ポリスチレン、ポリスチレン微粒子等が挙げられる。また重合反応における連鎖移動反応での副生物として、モノマー中に含まれる重合禁止剤の結合した低重合体成分や遊離重合体成分が挙げられる。
架橋共重合体中の溶出性化合物(I)の含有量は、例えば、後述の実施例の項に記載される溶出試験により求めることができる。
本発明に係る(b)工程は、特に、前記(a)工程における重合条件を調整することにより、(a)工程と同時に行われる。また、重合後、得られた架橋共重合体を洗浄することによって溶出性化合物(I)を除去して、溶出性化合物含有量が低減された架橋共重合体を得ることもできる。
前記(a)工程における重合条件を調整することにより、溶出性化合物含有量の少ない架橋共重合体を得る場合、かかる重合条件の調整方法としては、例えば、以下のものが挙げられる。
[2−2−2−1]重合温度の調整
前述の如く、本発明における共重合反応における重合温度が高すぎると解重合が併発し重合完結度がかえって低下し、逆に、重合温度が低すぎると重合完結度が不十分となり、溶出性化合物含有量の少ない架橋共重合体を得ることができない。従って、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとの重合温度は、室温(約18℃〜25℃)以上、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは70℃以上250℃以下、好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下の範囲で適宜調整する。中でも、下記に詳述する高温重合反応により架橋重合体を得る方法が特に好ましい。
〔高温重合反応の条件〕
高温重合反応はその一部または全部を通常100℃以上の温度で行なえばよい。重合反応が十分に進行・完結しないために発生する未重合の単量体成分(モノマー)、重合不十分の低重合体成分(ダイマー、トリマー、オリゴマー)、遊離重合体成分(線状ポリマー、ポリマー微粒子等)、重合反応による副生物などの不純物を確実にガラス転移状態とする観点から、中でも110℃以上、更には115℃以上、特に120℃以上の温度で行なうことが好ましい。具体例を挙げると、ポリスチレンのガラス転移点は、架橋度5%では105℃程度、架橋度10%では108℃程度であるからである。但し、あまりに温度が高過ぎると、重合溶液の温度を上昇させるのに時間を要したり、重合開始剤の選択の幅が小さくなったり、製造設備が高価になったり、重合温度の上昇以上に低溶出の効果が現れなかったり、生成した重合体が変性し、又は分解されるおそれがあるので、温度の上限は通常160℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
高温重合反応の時間(温度が100℃以上である時間)は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、また、通常20時間以下、好ましくは10時間以下、更に好ましくは6時間以下の範囲である。高温重合反応の時間が短すぎると十分な効果が得られない一方で、長すぎると、残留する重合開始剤が少ないため効果が十分発揮できない場合や、生成した重合体が変性し、又は分解される場合がある。
高温重合反応は連続的に行なっても良く、途中に100℃以下の温度となる期間を挟んで数回に分けて断続的に行なっても良い。その場合、100℃以上である時間が通算で上記の範囲内であればよい。但し、上述の効果を十分に得る観点からは、高温重合反応を連続的に行なうことが好ましい。
高温重合反応における雰囲気は、重合反応系内の酸素量を、全原料モノマーに対する比率として、通常5ppm以下、中でも3ppm以下、更には1ppm以下と、できるだけ少なくすることが好ましい。重合反応(特にラジカル重合反応)において、反応系内に酸素が存在すると、末端ラジカルは酸素と共重合しやすいため、原料モノマーの重合反応に酸素が取り込まれ、過酸化物結合を含むポリマーが生成する。この結果、樹脂の製造工程や洗浄工程の際、あるいは樹脂の使用中に、この過酸化物結合が化学的及び熱的に開裂して、オリゴマーの発生及び溶出を引き起こしたり、この過酸化物結合が分解されてホルムアルデヒドやベンズアルデヒド等の分解物を生じ、その溶出を引き起こしたりする原因ともなる。従って、こうしたオリゴマーや分解物の溶出を抑制するためにも、重合反応系内の酸素量を極めて低く抑え、その状態を維持することは重要である。
反応系内の酸素量を低減するためには、反応器内の気相を不活性ガスで十分に置換してから反応を行なうのが好ましい。脱気方法としては、不活性ガスをバブリングする方法、減圧脱気を繰り返す方法、加圧及び/又は加温して液相や気相中の溶存酸素を不活性ガスに置換する方法など、一般的に知られている方法で置換することができる。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等が挙げられるが、窒素ガスが好ましい。
〔高温重合反応の段数〕
高温重合反応では、重合反応の少なくとも一部は100℃以上の高温で行なう必要があるが、この高温重合反応をより低い温度での重合反応と組み合わせ、複数段に分けて実施しても良い。
例えば、上述したように、反応系中に有機溶媒が存在しない場合(例えば、ゲル型の重合体を製造する場合等)には、原料モノマーの転換率(conversion rate)がまだ低い段
階で100℃以上の高温にすると、原料モノマーが水とともに蒸気となって反応器中に充満し、その一部が反応器の蓋部で重合してしまい、これが凝集体となって付着するという課題が生じる。よって、まず100℃未満の比較低温で重合反応を行ない(これを適宜「前段重合」という。)、モノマーの転換率を有る程度高めた状態にした上で、100℃以上の高温重合反応を行なう(これを適宜「後段重合」という。)ことが好ましい。
この場合、前段重合の温度は、通常50℃以上、好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下の範囲が好ましい。前段重合の温度が低すぎると、重合性単量体の転換率が低く、後段重合の際の付着物量が増加するという理由から好ましくない。また、前段重合の温度が高すぎると、付着物量が増加する、スチレン特有の熱重合による二量体構造物、三量体構造物が副生する等の理由から好ましくない。
前段重合の時間は、重合開始剤の半減期温度や使用量、モノマーの重合性、樹脂の架橋度等によって異なるが、通常2時間以上、好ましくは3時間以上、更に好ましくは4時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下、更に好ましくは8時間以下の範囲である。前段重合の時間が短すぎると、重合が完結できない、残留する低重合体成分や遊離重合体成分等の量が低減できない等の理由から好ましくない。また、前段重合の時間が長すぎると、生産性が低下するという理由から好ましくない。
一方、やはり上述の様に、反応系中に有機溶媒が存在する場合(例えば、多孔性の重合体を製造する場合等)には、反応器の蓋部に凝集体が付着するという上述の課題が生じるおそれは少ないため、重合反応は一段で行なって構わない。
本発明の縮合反応においては、前記高温重合反応による製造法と、後述する(i)均一係数を小さくすること、および(ii)重量平均粒子径を小さくすること、を組み合わせたカチオン交換樹脂で、特に優れた縮合反応効率を示す。この理由は、高温重合反応によって不純物としての溶出物が低減されたカチオン交換樹脂が得られることの他に、高温重合によりイオン交換樹脂の架橋構造がより均質になること、また、イオン交換樹脂の網目構造がより均質になることが推察された。すなわち、(1)高温重合のほうが、高温重合時の重合反応速度が促進されるため、得られるポリビニルモノマーの架橋構造や網目構造がより均質となり、縮合反応時の反応物の拡散性がよくなること、(2)高温重合法で製造したポリマーのほうが、ポリマー中に残存する非架橋のポリビニルモノマーユニットの残存ビニル基が均等に残るため、縮合反応時の立体障害が少なくなること、(3)高温重合法で製造したポリマーでは、ポリマーをガラス転移温度以上に加熱することにより、ポリマー鎖のからみあいの疎密が緩和され、得られるポリビニルモノマーの架橋構造や網目構造がより均質となりやすく、縮合反応における拡散性が良好な構造となること、がその理由として推察される。
[2−2−2−2]脱酸素モノマーの添加
脱酸素モノマーとは、モノマー中の酸素濃度を飽和酸素濃度よりも下げたものをいい、重合不十分の低重合体成分(ダイマー、トリマー、オリゴマー)、遊離重合体成分(線状ポリマー、ポリマー微粒子)、重合反応による副生物等の発生を抑制する役割がある。例えば、通常のスチレン系モノマーの飽和酸素濃度は5重量%から10重量%程度であるが、本発明においては、飽和酸素濃度が5重量%未満、特に3重量%以下の脱酸素モノマーを用いることが好ましい。
脱酸素モノマーの具体的な調製法としては、モノマーを不活性ガスでバブリングする方法、膜脱気する方法、不活性ガスをモノマー貯槽の上面気相部に流通する方法、シリカゲルなどのカラムで処理する方法が挙げられる。あるいは市販の脱酸素モノマーも使用できる。中でも好ましくはモノマーを不活性ガスでバブリングする方法であり、この場合、使用する不活性ガスは、窒素、二酸化炭素、アルゴンが好ましい。また、脱酸素モノマーは不活性ガス雰囲気中で保管する。
脱酸素モノマーの添加量は、モノマー混合物の総量に対し、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上である。脱酸素モノマーの添加量が少なすぎると、重合不十分の低重合体成分(ダイマー、トリマー、オリゴマー)、遊離重合体成分(線状ポリマー、ポリマー微粒子)、重合反応による副生物等の発生量が多くなる。
[2−2−2−3]重合禁止剤を除去したモノマーの使用
重合で使用するモノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとの混合物中の重合禁止剤を除去することにより、重合不十分の低重合体成分(ダイマー、トリマー、オリゴマー)、遊離重合体成分(線状ポリマー、ポリマー微粒子)、重合反応による副生物等の発生を抑制することができ、溶出性化合物含有量の少ない架橋共重合体を得ることができる。
[2−2−2−4]不純物の少ない架橋性芳香族モノマーの使用
通常、架橋性芳香族モノマー、例えば、ジビニルベンゼン中には、ジエチルベンゼン等の非重合性の不純物が存在し、これが溶出性化合物(I)の生成の原因となることから、重合に用いる架橋性芳香族モノマーは、不純物含有量の少ないものであることが好ましい。
かかる不純物含有量の少ない架橋性芳香族モノマーとしては、当該架橋性芳香族モノマー含有量(純度)が57重量%よりも高い、特定のグレードを選択して使用することが好ましい。その他、例えば蒸留等により不純物を除去することにより、不純物含有量の少ない架橋性芳香族モノマーを得ることもできる。
本発明で用いる架橋性芳香族モノマーの架橋性芳香族モノマー含有量(純度)は、特に好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であり、架橋性芳香族モノマー中の非重合性の不純物含有量は、モノマー重量当り通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。この不純物含有量が多すぎると、重合時に不純物に対する連鎖移動反応を起こしやすくなるため、重合終了後のポリマー中に残存する溶出性オリゴマー(ポリスチレン)の量が増加することがあり、溶出性化合物含有量の少ない架橋共重合体を得ることができない。
[2−2−2−5]架橋性芳香族モノマーの使用量の調整
前述の如く、共重合に供する架橋性芳香族モノマーが多くなるほど樹脂の耐酸化性が向上する傾向にある一方で、架橋度が高すぎると、後工程で溶出性オリゴマーの水洗除去が不完全となりやすく、溶出性化合物含有量の少ない架橋共重合体を得にくくなるため、架橋性芳香族モノマーの使用量は、全モノマー重量に対して通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは18重量%以下、更に好ましくは14重量%以下である。の範囲で適宜調整する。
また、前記(a)工程後に、(b)工程を行う場合、以下の洗浄工程を採用することができる。
[2−2−2−6]架橋共重合体を洗浄する工程
本発明では、必要に応じて、前記(a)工程でモノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとから製造した架橋共重合体を、後述の(c)スルホン化工程の前に、溶媒を用いて洗浄することにより、前記溶出性化合物(I)を除去することができる。
この洗浄方法は、架橋共重合体をカラムに詰めて溶媒を通液するカラム方式か、或いはバッチ洗浄法で行うことができる。
洗浄温度は、通常室温(20℃)以上、好ましくは30℃以上、更に好ましくは50℃以上、特に好ましくは90℃以上、また通常150℃以下、好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。洗浄温度が高すぎると架橋共重合体の分解を併発する。洗浄温度が低すぎると洗浄効率が低下する。
溶媒との接触時間は、通常5分以上、好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上で、通常4時間以下である。溶媒との接触時間が短すぎると洗浄効率が低下し、時間が長すぎると生産性が低下する。
洗浄に用いる溶媒としては、炭素数5以上の脂肪族炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等;ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン等;エーテル類、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチラール等;塩素系溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン等;フェノール類、例えばフェノール等;が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチラール、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタンである。また、これらの溶媒に水を混合して昇温し、共沸状態で洗浄する方法も採ることができる。
[2−2−3](c)架橋共重合体をスルホン化する工程
前記[2−2−1]、[2−2−2]章の工程を経て得られた架橋共重合体は、次いで、公知の方法に従ってイオン交換基を導入するためにスルホン化する。
例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、特開平5−132565号公報、特表平10−508061号公報等に記載の方法が用いられる。
[2−2−4](d)スルホン化された架橋共重合体(スルホン化架橋共重合体)から、特定構造を有する溶出性化合物を除去する工程
本発明では、前記[2−2−3]章で得られたスルホン化架橋共重合体は、次いで、下記式(II)で示される溶出性化合物(以下「溶出性化合物(II)」と称する場合がある)を除去する処理を行って、スルホン化架橋共重合体1mLに対して、前記溶出性化合物(II)の含有量が好ましくは10,000μg以下、より好ましくは5,000μg以下、特に好ましくは1,000μg以下、とりわけ好ましくは100μg以下となるように、スルホン化架橋共重合体を精製することが好ましい。この溶出性化合物(II)含有量が多いと、不純物の残存や分解物の発生が抑制された、溶出物の少ないカチオン交換樹脂を得ることができない。溶出性化合物(II)の含有量は少ない程好ましい。
Figure 2009263309
(式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基を示す。Yは、水素原子、金属原子、または4級アンモニウム基を示す。mは自然数を示す。)
ここで、Xのハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基は、通常炭素数1〜10のアルキル基又はハロアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ハロメチル基、ハロエチル基、ハロプロピル基、ハロブチル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、ハロメチル基、ハロエチル基である。
Yの金属原子は、例えばナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケルなどの陽イオン金属が挙げられる。
なお、本発明に係る前記溶出性化合物(II)は、前記溶出性化合物(I)と同様、製品時におけるイオン交換樹脂の溶出物の原因となるものである。その内訳は、スルホン化の母体となる架橋共重合体に本来含まれる溶出性化合物に由来する物質と、スルホン化の段階で発生する物質とが挙げられる。
スルホン化の母体となる架橋共重合体に本来含まれる溶出性化合物に由来する物質とは、[2−2−2](b)項記載の溶出性化合物(I)のスルホン化物であり、上記式(II)で示される物質に相当する。また、複数のスルホン基が導入された物質も含まれる。
スルホン化の段階で発生する物質とは、スルホン化時の酸化に起因する物質が挙げられ、これも上記式(II)で示される。例えば、架橋共重合体の主鎖の開裂により発生する低分子および高分子のポリマーやオリゴマー成分である。
これらの溶出性化合物(II)のポリスチレンスルホン酸換算における重量平均分子量は、通常200以上、好ましくは300以上であり、通常1,000,000以下、好ましくは100,000以下である。溶出性化合物(II)は、例えばスチレン系樹脂の場合、重合不十分の低重合体成分としてスチレンダイマー、スチレントリマー、スチレンオリゴマーのスルホン化物等が、遊離重合体成分として線状ポリスチレン、ポリスチレン微粒子のスルホン化物が挙げられる。また重合反応における連鎖移動反応での副生物として、モノマー中に含まれる重合禁止剤の結合した低重合体成分や遊離重合体成分のスルホン化物が挙げられる。
このような前記溶出性化合物(II)は、例えば、(c)工程で得られたスルホン化架橋共重合体を、水および/または有機溶媒により洗浄することにより除去することができる。
この洗浄方法は、スルホン化架橋共重合体をカラムに詰めて有機溶媒および/または水を通水するカラム方式か、或いはバッチ洗浄法で行うことができる。
洗浄温度は、通常室温(20℃)以上、好ましくは30℃以上、更に好ましくは50℃以上、特に好ましくは90℃以上、また通常150℃以下、好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。洗浄温度が高すぎると重合体の分解やスルホン基脱落を併発する。洗浄温度が低すぎると洗浄効率が低下する。
水および/または有機溶媒との接触時間は、通常5分以上、好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上で、通常4時間以下である。この接触時間が短すぎると洗浄効率が低下し、時間が長すぎると生産性が低下する。
洗浄に用いる有機溶媒はとしては、炭素数5以上の脂肪族炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等;ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン等;エーテル類、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチラール等;塩素系溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン等;フェノール類、例えばフェノール等;が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、好ましくは、水、メタノール、エタノール、プロパノール、トルエン、メチラールである。
本発明のカチオン交換樹脂は、例えばシード重合法、加振法、およびチューブリアクター法から選ばれる1以上の方法により得られる。以下、各方法について、詳述する。
「シード重合法(シード・フィード(種−供給)法)」とは、予め分散重合法により作製した小粒子径(1μm〜数百μm程度)の大きさの揃ったシード粒子を用い、このシード粒子に動的膨潤法により多量のモノマーを含浸させて大モノマー膨潤粒子とし、これを重合することによって、より大きな粒子径の重合体粒子を製造する手法である。かかるシード重合法により製造されたカチオン交換樹脂は、シード重合法は、所望の粒子径の重合体粒子を多数製造する上で効率的な手法である点や、得られる樹脂の架橋の掛かり具合や網目構造が均質になるように制御できる点で、本発明の縮合反応方法において好ましい。シード重合法としては、例えば米国特許第4564644号明細書、特開昭61−16902号公報、特表平10−508061号公報等の文献に記載されている方法を用いることができる。
加振法とは、(1)層流特性をもつ重合性モノマーからなるモノマー層を、ノズルやオリフィス等の開口部を通して該重合性モノマーまたはモノマー相とは混和しない液体と安定化量の懸濁分散剤とからなる連続相へ流入させることによって層流特性をもつ重合性モノマーからなるモノマー層のモノマー噴出流を形成させ、(2)この噴出流を振動的に励起することによってモノマー噴出流を小滴に砕き、(3)これらの小滴を自由上昇速度で上昇させるか又は自由下降速度で下降させ、モノマーの実質的な重合を起こさないでバッチ重合槽に移動させ、(4)次いで懸濁状の該モノマーを合着または接着、固着を生ぜしめる事のない条件において上記の重合を行う方法である。
この加振方法において、オリフィスからのモノマー噴出流を小滴に砕くために振動を励起する手段は、超音波や圧電素子を使用する方法が好適である。なお、振動を均等に伝播させるために種々の方法があり、たとえば装置全体に振動を与える方法、モノマーに振動を与える方法、オリフィスプレートに振動を与える方法や、該重合性モノマーまたはモノマー相とは混和しない液体と安定化量の懸濁分散剤とからなる連続相に対して振動を与える方法があり、いずれも好ましく使用できる。これらの加振方法の例示としては、超音波加振法として特許2715029号、特公平7−62045、特開平5−194611、モノマー噴出装置に対する振動励起方法として、特開2007−44654、また、オリフィス加振法として特願2000−219991、特願2000−111587、圧電素子を使用する方法として特開2000−310645などが挙げられる。また、モノマーを噴出させる部分は、ノズルやオリフィス以外に、充填層装置を通す方法も好ましく、例えば特表2007−515392が挙げられる。
かかる加振法により製造されたカチオン交換樹脂は、所望の粒子径の重合体粒子を多数製造する上で効率的な手法である点で、本発明の縮合反応方法において好ましい。
チューブリアクター法とは、(1)層流特性をもつ重合性モノマーからなるモノマー層を、ノズルなどの開口部を通して該重合性モノマーまたはモノマー相とは混和しない液体と安定化量の懸濁分散剤とからなる連続相へ流入させることによって層流特性をもつ重合性モノマーからなるモノマー層のモノマー噴出流を形成させ、(2)この噴出流を振動的に励起することによってモノマー噴出流を小滴に砕き、(3)これらの小滴を自由上昇速度で上昇させるか又は自由下降速度で下降させ、モノマーの実質的な重合を起こさないで、管式反応器に導入し、(4)次いで懸濁状の該モノマーを合着または接着、固着を生ぜしめる事のない条件において上記の重合を行う方法である。
かかるチューブリアクター法の場合は、モノマー噴出流を小滴に砕いた後ただちに管式反応器で重合を開始することができるので、生産性に優れている。これに対しバッチ重合槽で重合する場合は、モノマー小滴をバッチ重合槽にフィードする際、所定の量が重合槽に貯まるまでフィードする必要があり、その分時間を要することになる。
また、チューブリアクター法の場合は、モノマー噴出流を小滴に砕いた後ただちに管式反応器で重合を開始することができるので、発生した小滴の懸濁分散性を長時間保つ必要がなくなる。その結果、連続相に添加する懸濁分散剤の量を削減することができるので、コストが削減できるとともに、重合後に懸濁分散剤を除去する工程の負荷が軽減できる。
これらの理由で、チューブリアクター法で製造されたイオン交換樹脂は、本発明の縮合反応方法において好ましい。チューブリアクター法としては、たとえば特開2008−7668、非特許文献(Macromol. Symp. 2006, 245-246, 398-402.)などの方法を採用する
ことができる。
[2−3]耐酸化TOC溶出性
本発明に用いる縮合反応触媒としてのカチオン交換樹脂としては、下記方法により測定される耐酸化TOC溶出性が5ppm以下であることが特徴である。
[耐酸化TOC溶出性測定方法]
(1)前記カチオン交換樹脂を水湿潤状態で、3000rpm、5分で遠心分離し水切りをする。得られた水切り状態の前記カチオン交換樹脂10mLを三角フラスコに入れ、TOCが10ppb以下の超純水を100mL加える。前記三角フラスコを40℃に保った水浴に漬け、20時間振とう後、上澄み液を採取してそのTOC値を測定し、これを「初期TOC値」とする。
(2)前記(1)でTOCが10ppb以下の超純水の代わりに、TOCが10ppb以下の超純水で希釈した0.1%過酸化水素水を100mL加えた以外は前記(1)と同様にしてTOC値を測定し、これを「酸化TOC値」とする。
(3)下記式により耐酸化TOC溶出性を算出する。
(耐酸化TOC溶出性)=(酸化TOC値)−(初期TOC値)
[2−4]重量平均粒子径
本発明に用いられるカチオン交換樹脂の重量平均粒子径は、通常400μm以下、好ましくは350μm以下、さらに好ましくは250μm以下であり、通常100μm以上である。重量平均粒子径が大きすぎると、反応活性が低下する傾向にあり、小さすぎると反応器での反応液の流通の際、圧力損失が大きくなる傾向がある。重量平均粒子径が上記範囲のカチオン交換樹脂を、前述の高温重合反応を用いて製造すると、さらに、本発明の縮合反応の反応効率が優れることは前述のとおりである。
重量平均粒子径は、以下の測定法により測定・算出される。
<重量平均粒子径測定法>
篩目の径が1180μm、850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩を、下方になる程、篩目の径が小さくなる様に積み重ねる。この積み重ねた篩をバットの上に置き、最上段に積み重ねられた1180μmの篩の中にカチオン交換樹脂を約100mL入れる。
水道水につないだゴム管から樹脂上にゆるやかに水を注ぎ小粒を下の方へ篩別する。1180μmの篩の中に残ったカチオン交換樹脂は、さらに以下の方法により、厳密に小粒を篩別する。即ち、別のバットの1/2位の深さまで水を満たし、1180μmの篩を前記バットの中で上下及び回転運動を与えて動揺させることを繰り返し、小粒を篩別する。
前記バットの中の小粒は次の850μmの篩の上へ戻し、また1180μmの篩の上に残ったカチオン交換樹脂はさらに別のバットに採取する。篩の目にカチオン交換樹脂が詰まっていれば、篩をバットに逆に置き、水道水につないだゴム管に密着させ、水を強く流して篩の目に詰まったカチオン交換樹脂を取り出す。取り出したカチオン交換樹脂は、1180μmの篩上に残ったカチオン交換樹脂を採取したバットに移し、合計をメスシリンダーで容積を測定する。この容積をa(mL)とする。1180μmの篩を通ったカチオン交換樹脂は850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩についてそれぞれ同様の操作を行い、メスシリンダーを用いて容積b(mL)、c(mL)、d(mL)、e(mL)、f(mL)を求め、最後に300μmの篩を通った樹脂の容積をメスシリンダーで測定しg(mL)とする。
V=a+b+c+d+e+f+gとし、a/V×100=a’(%)、b/V×100=b’(%)、c/V×100=c’(%)、d/V×100=d’(%)、e/V×100=e’(%)、f/V×100=f’(%)、g/V×100=g’(%)を算出する。
前記a’〜g’より片軸に各篩の残留分累計(%)、他の軸に篩目の径(mm)をとり、これを対数確率紙上にプロットする。残留分の多い順に3点を取り、この3点を出来るだけ満足するような線を引き、この線から残留分累計が50%に相当する篩目の径(mm)を求め、これを重量平均粒子径とする。
なお、上記重量平均粒子径の算出法は、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオンI基礎編」第14版(平成11年9月1日)第139〜141頁に記載される公知の算出法である。
上記重量平均粒子径を有する本発明のアニオン交換樹脂は、例えば既知の分級方法により得られる。分級法としては、篩による分別、水流を用いる水篩、気流を用いる風篩などが利用できる。
[2−5]均一係数
本発明に用いられるカチオン交換樹脂は、粒度分布がシャープであることが好ましく、下記算出法により示される均一係数が通常1.5以下、好ましくは1.4以下、更に好ましくは1.3以下である。また、通常1.0以上である。均一係数がかかる範囲内であると反応活性が向上する点と、通液時の圧力損失が緩和される点で好ましい。均一係数は小さい程望ましいが、大きすぎると反応活性が低下する傾向である。
均一係数の小さいカチオン交換樹脂を、前述の高温重合反応を用いて製造すると、さらに、本発明の縮合反応の反応効率が優れることは前述のとおりである。
<均一係数測定法>
前述の重量平均粒子径測定法により篩分した、カチオン交換樹脂を用いる。対数確率紙上に、前記a’〜g’の各篩の残留分累計(%)とそれに対応する篩目の径(mm)をプロットし、その中から残留分の多い順に3点を選び、この3点を出来るだけ満足するような直線を引く。この直線から残留分累計が90%に対応する篩目の径(mm)を求め、これを有効径とする。次に、残留分累計40%に対応する篩目の径(mm)を求め、次式により均一係数を求める。
均一係数=[残留分累計40%に対応する篩目の径(mm)]/ [有効径(mm)]
なお、上記均一粒係数の算出法は、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオンI基礎編」第14版(平成11年9月1日)第139〜141頁に記載される公知の算出法である。
分級法としては、篩による分別、水流を用いる水篩、気流を用いる風篩などが利用できる。また、特願昭63−0116916に記載されている均一粒径製造技術によっても、上記均一係数を有する本発明のカチオン交換樹脂を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
脱塩水1800mLを3リットルのセパラブルフラスコに入れ、6重量%のポリビニルアルコール(工業用、日本合成化学社製)水溶液33mLを加えて溶解させ、水相を調製した。この水相に、スチレン(工業グレード、出光社製)620g、ジビニルベンゼン(工業グレード、純度63重量%、ダウ社製)36g、過酸化ジベンゾイル(純度75重量%、wet品。日本油脂製)1.8g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(純度99重量%、日本油脂製)2.0gを混合した液を添加し、撹拌して懸濁させた。該懸濁液を攪拌しながら80℃で5時間保持、その後120℃で4時間反応させ、共重合体(1)を得た。
得られた架橋共重合ポリマーを下記手順(B)により溶出性ポリスチレン量を定量した。
手順(B)溶出性ポリスチレン量
1)架橋共重合ポリマー1部を三角フラスコにとる。
2)テトラヒドロフラン(和光純薬製高速液体クロマトグラフィー用グレード)5倍量を添加する。
3)40℃で5時間保持する。
4)得られたテトラヒドロフラン上澄み液と水とを1:7の割合で混合する。
5)得られた溶液の濁度をUV法で測定し、同様の手法で測定されたポリスチレン標品のテトラヒドロフラン溶液の検量線に基づいて溶出性ポリスチレン量を決定する。
上記共重合体120部を反応器に入れ、ニトロベンゼン(和光純薬製試薬)180部を加え、共重合体を十分膨潤させた。その後、98%硫酸(キシダ化学製特級)を660部添加し、オイルバスで撹拌しながら73℃5時間、100℃1時間加熱して反応させた。その後、希硫酸と脱塩水とで希釈してカチオン交換樹脂を得た。
得られたカチオン交換樹脂を、平均粒径366μmで均一係数1.1になるように篩いで粒度調整した。得られた樹脂の平均粒径と均一係数、ビスフェノールA(BPA)触媒活性評価を実施し、結果を表―1に示した。
[ビスフェノールA(BPA)触媒活性評価]
還流管、攪拌翼を備えた4つ口フラスコにカチオン交換樹脂3.0gを秤取した。次に、フェノールを加え10分撹拌したあとエジェクターでフェノールの上澄み液を抜き出し、操作を3回繰り返した。その後、フェノールを90gとなるように仕込み、70℃に保ち、アセトン4.3gを投入し反応を開始した。所定時間毎に上澄みをサンプル瓶に採取し、テトラヒドロフランで希釈したあと、ビスフェノールA転化率をガスクロマトグラフィーにより分析した。
[耐酸化TOC溶出試験]
イオン交換樹脂の耐酸化TOC溶出性は、下記のように「初期TOC値」と「酸化TOC値」とを測定し、下記式により評価した。
(耐酸化TOC溶出性)=(酸化TOC値)−(初期TOC値)
初期TOC値は、以下に規定する手法によった。
[初期TOC値測定法]
測定対象となるイオン交換樹脂を水湿潤状態で、遠心分離の手法で水切りした。得られた水切り状態のイオン交換樹脂10mLを三角フラスコに入れ、TOC10ppb以下の超純水を100mL加えた。40℃20時間振とう後、上澄み液を採取してそのTOC値を島津TOC−5000Aで測定し、これを初期TOC値とした。
[酸化TOC値測定法]
測定対象となるイオン交換樹脂を水湿潤状態で、遠心分離の手法で水切りした。得られた水切り状態のイオン交換樹脂10mLを三角フラスコに入れ、TOC10ppb以下の超純水で希釈した0.1%過酸化水素水を100mL加えた。40℃20時間振とう後、上澄み液を採取してそのTOC値を島津TOC−5000Aで測定し、これを酸化TOC値とした。
[比較例1]
脱塩水2220部に、6重量%のポリビニルアルコール(工業用、日本合成化学社製)水溶液34部を加えて溶解させ、水相を調製した。この水相に、スチレン(工業グレード、出光社製)380部、ジビニルベンゼン(工業グレード、純度57重量%、新日鉄化学製)29部、過酸化ジベンゾイル(純度75重量%、wet品。日本油脂製)0.7部を混合した液を添加し、撹拌して懸濁させた。該懸濁液を攪拌しながら80℃で5時間保持、その後120℃で4時間反応させ、共重合体(1)を得た。
得られた架橋共重合ポリマーを実施例1記載の手順(B)により溶出性ポリスチレン量を定量した。
上記共重合体を実施例1と同様の手順でカチオン交換樹脂に変換した。
得られた樹脂の平均粒径と均一係数、ビスフェノールA(BPA)触媒活性評価を実施し、結果を表−1に示した。
[比較例2]
比較例1で製造したカチオン交換樹脂を、710μmで均一係数1.06に粒度調整したうえでBPA触媒活性評価を実施した。また、耐酸化TOC試験も実施し結果を表−1に示した。
[比較例3]
比較例1で製造したカチオン交換樹脂を、篩いにより380μmで均一係数1.1に粒度調整したうえでBPA触媒活性評価を実施した。また、耐酸化TOC試験も実施し結果を表−1に示した。
Figure 2009263309
表−1のBPA収率の値を比較することより明らかなように、本発明で得られたカチオン交換樹脂は、従来法による樹脂に比し、いずれも高い収率であり、かつ溶出も少ない点でも優れている。

Claims (6)

  1. (A)フェノール化合物、および(B)カルボニル化合物を縮合反応させる方法であって、縮合反応触媒として、下記工程(b)を含む方法により製造されるカチオン交換樹脂を用いることを特徴とする縮合反応方法。
    (b)下記式(I)で示される溶出性化合物の含有量を、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマー架橋共重合体1gに対して、3000μg以下とする工程
    Figure 2009263309
    (式(I)中、Zは、水素原子またはアルキル基を示す。lは自然数を示す。)
  2. (A)フェノール化合物、および(B)カルボニル化合物を縮合反応させる方法であって、縮合反応触媒として、下記方法により測定される耐酸化TOC溶出性が5ppm以下であるカチオン交換樹脂を用いることを特徴とする縮合反応方法。
    [耐酸化TOC溶出性測定方法]
    (1)前記カチオン交換樹脂を水湿潤状態で、3000rpm、5分間遠心分離し水切りをする。得られた水切り状態の前記カチオン交換樹脂10mLを三角フラスコに入れ、TOCが10ppb以下の超純水を100mL加える。前記三角フラスコを40℃に保った水浴に漬け、20時間振とう後、上澄み液を採取してそのTOC値を測定し、これを「初期TOC値」とする。
    (2)前記(1)でTOCが10ppb以下の超純水の代わりに、TOCが10ppb以下の超純水で希釈した0.1%過酸化水素水を100mL加えた以外は前記(1)と同様にしてTOC値を測定し、これを「酸化TOC値」とする。
    (3)下記式により耐酸化TOC溶出性を算出する。
    (耐酸化TOC溶出性)=(酸化TOC値)−(初期TOC値)
  3. カチオン交換樹脂の均一係数が1.5以下である請求項1または2に記載の縮合反応方法。
  4. カチオン交換樹脂の重量平均粒子径400μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の縮合反応方法。
  5. シード重合法、加振法、およびチューブリアクター法から選ばれる1以上の方法により前記カチオン交換樹脂を得る工程を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の縮合反応方法。
  6. 前記フェノール化合物がフェノールであり、前記カルボニル化合物がアセトンであり、前記縮合反応がビスフェノールA生成反応である請求項1〜5のいずれか1項に記載の縮合反応方法。
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