JP2009256881A - 剥落コンクリートの落下防止用ネットの施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐用期間が極めて長いコンクリート落下防止ネットの施工方法を提供すること。
【解決手段】コンクリート面にアンカーピンを打ち込むための下穴を穿設し、少なくともネットの格子1箇所以上の面積を抑えることができる座板でコンクリート落下防止用ネットを抑えつつ、アンカーピンともどもコンクリート落下防止用ネットをコンクリート面に固着する。アンカーピンの鍔部と座板の間に、鍔部より大きく座板より小さな径の座金を介し、アンカーピン、楔及び座金は、同一のステンレス鋼で形成する。座板は耐食性の合成樹脂により形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側に耐食性の塗装を施す。具体的には、アンカーピン、楔及び座金は、SUS304鋼で形成し、アンカーピンの鍔部と座金をフッ素樹脂塗料により塗装する。
【選択図】図1
【解決手段】コンクリート面にアンカーピンを打ち込むための下穴を穿設し、少なくともネットの格子1箇所以上の面積を抑えることができる座板でコンクリート落下防止用ネットを抑えつつ、アンカーピンともどもコンクリート落下防止用ネットをコンクリート面に固着する。アンカーピンの鍔部と座板の間に、鍔部より大きく座板より小さな径の座金を介し、アンカーピン、楔及び座金は、同一のステンレス鋼で形成する。座板は耐食性の合成樹脂により形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側に耐食性の塗装を施す。具体的には、アンカーピン、楔及び座金は、SUS304鋼で形成し、アンカーピンの鍔部と座金をフッ素樹脂塗料により塗装する。
【選択図】図1
Description
本発明は、トンネルなどのコンクリート壁面から剥落したコンクリート片の落下防止に用いられるネットの施工方法に関するものである。
トンネル、庸壁、法面、ビルなど、表面がコンクリートで被われた構造物では、雨風や気温の変化、海辺においては塩害、その他の要因により、表面のコンクリートが経時変化で劣化してひび割れや下地との剥離を生じることが多々あり、剥離したコンクリート片が落下する事故があとを絶たない。人や自動車が通行するような場所では、コンクリート片の打撃による直接的被害だけでなく、走行中の自動車に被害が及んだ場合には、2次的な災害を引き起こす危険性が高く、特に高速道路や自動車専用道路、鉄道では大災害にもなりかねない。
そこで、剥落したコンクリートが地上に落下しないように受け止めるネットによりトンネルなどの壁面を覆う工法が考案されている。このような工法では、強度や耐久性の他、ネット自体が自重で垂れ下がったり崩落しないよう、引っ張りに対する強度とある程度の剛性を持ちながらも軽量なFRP(Fiber Reinforced Plastics、繊維強化プラスチック)等の素材でできたネットが使用されることが多い。FRPネット1は、格子状に積層した強化材(ガラス繊維や炭素繊維)に、マトリックス(樹脂)を浸潤させて形成されており、例えば50mm角の格子状に構成されている。
このFRPネット1を壁面に固定するには、図3に示すように、ネットの交差部分2に接するようにアンカーピン3を壁面に打ち込み、このアンカーピン3の鍔部4により座金5を介して係止するようにしていた。アンカーピン3を打ち込む位置は、FRPネット1を外側に引っ張るように方形状に適当な間隔で配置する。
アンカーピン3は、従来からあるものが使用され、鍔部4の径だけでは充分な係止面積が確保できないため座金5で係止面積を確保する。
アンカーピン3は、従来からあるものが使用され、鍔部4の径だけでは充分な係止面積が確保できないため座金5で係止面積を確保する。
上述のような従来のネットの施工方法では、壁面にアンカーピンを挿入する下穴をコンクリートドリル等で穿設するため、常に最適な位置にアンカーピン3を設置できるとは限らず、多少の誤差はつきものである。このようなアンカーピン3の位置が不適切でネットに緩みがあったり、ネット1そのものに伸びを生じたりした場合には、交差部分2が座金5から外れてしまう可能性がある。
また、アンカーピン3や座金5はステンレスを使った場合でも、プレス等による曲げ加工が施された部分や打ち抜きのときに強い力が加わった部分から錆びが生じることがあり、この錆びにより概観が悪くなるばかりではなく、錆びが錆びを呼び長年の使用では腐食するという問題点があった。
また、アンカーピン3や座金5はステンレスを使った場合でも、プレス等による曲げ加工が施された部分や打ち抜きのときに強い力が加わった部分から錆びが生じることがあり、この錆びにより概観が悪くなるばかりではなく、錆びが錆びを呼び長年の使用では腐食するという問題点があった。
本発明による剥落コンクリートの落下防止用ネットの施工方法では、どのような状況でもFRPネット1を確実に固着し、経年的な腐食を可及的に減らすことを目的とし、コンクリート面にアンカーピンを打ち込み、このアンカーピンによりコンクリート面にコンクリート落下防止用ネットを固着する施工方法おいて、コンクリート面にアンカーピンを打ち込むための下穴を穿設し、少なくともネットの格子1箇所以上の面積を抑えることができる座板でコンクリート落下防止用ネットを抑えつつ、座板の中央に設けられた孔にアンカーピンを通して前記下穴にアンカーピンを挿入し、アンカーピン内部に楔を打ち込むことによってこのアンカーピンともどもコンクリート落下防止用ネットをコンクリート面に固着する。アンカーピンの鍔部と座板の間に、鍔部より大きく座板より小さな径の座金を介し、アンカーピン、楔及び座金は、同一のステンレス鋼で形成する。座板は耐食性の合成樹脂により形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側に耐食性の塗装を施す。具体的には、アンカーピン、楔及び座金は、SUS304鋼で形成し、アンカーピンの鍔部と座金をフッ素樹脂塗料により塗装する。
本発明は、以下の効果を有する。
本発明によるコンクリート剥落対策用ネットの施工方法は、少なくともネットの格子1箇所以上の面積を抑えることができる座板によりネットを固着するようにしたので、アンカーピンの下穴穿設が最適な位置でなかったり、経時変化でネットが緩むことがあっても、確実にネットをコンクリート面に固着・保持することができる。
また、アンカーピンは、パイプを加工して製造されるため、フレア加工により鍔部の径を大きくするには限界があり、アンカーピンの鍔部と座板の間に、鍔部より大きく座板より小さな径の座金を介して座板を抑えることにより、強度不足を補うことができる。
アンカーピン、楔及び座金は、同一のステンレス鋼で形成することにより、金属の電位の差による腐食がなくなる。座板を耐食性の合成樹脂により形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側にフッ素塗料などにより塗装を施すことにより、さらに耐食性、耐候性が高くなり、紫外線や塩害、酸性雨や大気汚染などが原因となる劣化を抑えて耐用年数が大幅に伸びるとともに美観にも優れたものとなる。
本発明によるコンクリート剥落対策用ネットの施工方法は、少なくともネットの格子1箇所以上の面積を抑えることができる座板によりネットを固着するようにしたので、アンカーピンの下穴穿設が最適な位置でなかったり、経時変化でネットが緩むことがあっても、確実にネットをコンクリート面に固着・保持することができる。
また、アンカーピンは、パイプを加工して製造されるため、フレア加工により鍔部の径を大きくするには限界があり、アンカーピンの鍔部と座板の間に、鍔部より大きく座板より小さな径の座金を介して座板を抑えることにより、強度不足を補うことができる。
アンカーピン、楔及び座金は、同一のステンレス鋼で形成することにより、金属の電位の差による腐食がなくなる。座板を耐食性の合成樹脂により形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側にフッ素塗料などにより塗装を施すことにより、さらに耐食性、耐候性が高くなり、紫外線や塩害、酸性雨や大気汚染などが原因となる劣化を抑えて耐用年数が大幅に伸びるとともに美観にも優れたものとなる。
コンクリート面にアンカーピンを打ち込むための下穴を穿設し、少なくともネットの格子1箇所以上の面積を抑えることができる座板でコンクリート落下防止用ネットを抑えつつ、座板の中央に設けられた孔にアンカーピンを通して前記下穴にアンカーピンを挿入し、アンカーピン内部に楔を打ち込むことによってこのアンカーピンともどもコンクリート落下防止用ネットをコンクリート面に固着する。アンカーピンの鍔部と座板の間には、鍔部より大きく座板より小さな径の座金を介して座板を抑える。アンカーピンの鍔部と座板の間に座金を介して座板を抑えることにより、強度不足を補い、アンカーピン、楔及び座金は、SUS304鋼で形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側にフッ素塗料などにより塗装を施す。
本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、本発明のコンクリート剥落対策用ネットの施工方法により施工しているネットの断面図を示すものである。
コンクリート落下防止用のFRPネット1を樹脂製の座板8、座金5を介して、アンカーピン3の鍔部4により抑えつつ、アンカーピン3がコンクリート面6に穿設された下穴9に挿入されて固定されている。
FRPネット1は、従来と同様なものが用いられ、図2に示すように、座板8は、例えばFRPネットの1つの格子が50mm角の大きさである場合、これより大きい60mm角の大きさに形成される。この座板8の中央には、アンカーピン3を挿通する孔9が設けられ、さらにこの孔9の周りの表面側には、座金5を収納する窪み10が形成されている。座板8は、FRPネット1を安定して抑えるために、背面側の中央部は膨出した台形部12に、周縁部11が肉薄に形成されている。
図1は、本発明のコンクリート剥落対策用ネットの施工方法により施工しているネットの断面図を示すものである。
コンクリート落下防止用のFRPネット1を樹脂製の座板8、座金5を介して、アンカーピン3の鍔部4により抑えつつ、アンカーピン3がコンクリート面6に穿設された下穴9に挿入されて固定されている。
FRPネット1は、従来と同様なものが用いられ、図2に示すように、座板8は、例えばFRPネットの1つの格子が50mm角の大きさである場合、これより大きい60mm角の大きさに形成される。この座板8の中央には、アンカーピン3を挿通する孔9が設けられ、さらにこの孔9の周りの表面側には、座金5を収納する窪み10が形成されている。座板8は、FRPネット1を安定して抑えるために、背面側の中央部は膨出した台形部12に、周縁部11が肉薄に形成されている。
座金5は、ステンレス鋼のうちでも、もっと腐食しにくいSUS304鋼で形成され、必要に応じて前期座板8と同色の塗装を施してもよい。塗装を施す場合、例えばフッ素樹脂塗料などの耐食性、耐候性に優れた塗料を用いることが推奨される。
アンカーピン3は、パイプ状の本体13の先端側に摺り割り14が形成され、この摺り割り14の部分には内側に膨出した突条15が設けられ、基端側には、鍔部4が設けられている。このアンカーピン3は、従来からあるものと基本的な構造の違いはないが、鍔部4がやや大きな径に形成されている。これは、本発明の主な目的とするトンネルの壁面にFRPネットを取り付ける場合には、アンカーピン3を天井に打ち込み、アンカーピン3の鍔部4に軸方向の力が加わるために、鍔部4による係止面積を広げるためである。このアンカーピン3には、前記座金5と同様の塗装を施してもよい。また、このアンカーピン3は、前記座金5と同じ種類のステンレス鋼で形成されている。
このアンカーピン3の内部には、楔16が挿入されており、この楔16もまた座金5、アンカーピン3と同じステンレス鋼で形成されている。
アンカーピン3は、パイプ状の本体13の先端側に摺り割り14が形成され、この摺り割り14の部分には内側に膨出した突条15が設けられ、基端側には、鍔部4が設けられている。このアンカーピン3は、従来からあるものと基本的な構造の違いはないが、鍔部4がやや大きな径に形成されている。これは、本発明の主な目的とするトンネルの壁面にFRPネットを取り付ける場合には、アンカーピン3を天井に打ち込み、アンカーピン3の鍔部4に軸方向の力が加わるために、鍔部4による係止面積を広げるためである。このアンカーピン3には、前記座金5と同様の塗装を施してもよい。また、このアンカーピン3は、前記座金5と同じ種類のステンレス鋼で形成されている。
このアンカーピン3の内部には、楔16が挿入されており、この楔16もまた座金5、アンカーピン3と同じステンレス鋼で形成されている。
次に、以上の構成による施工方法について説明する。
(1)コンクリート面6にアンカーピン3を打ち込むための下穴7を穿設する。
(2)FRPネット1をコンクリート面6の所定位置に保持しつつ、アンカーピン3に座金5と座板8を挿通し、このアンカーピン3を前記下穴7に挿入する。このとき、FRPネット1の四角方向と座板8の四角方向を合わせて位置決めを行う。
(3)アンカーピン3に楔16を図中の矢印方向に圧入する。これにより、突条15が外方へ押圧されて先端側が拡開して、下穴7の内側面にアンカーピン3の先端 の外側面が押圧されて、アンカーピン3が、FRPネット1ともにコンクリート面6に固着される。また、必要に応じてアンカーピン3の基端側からエポキシ樹脂や接着材を注入する。
エポキシ樹脂や接着材を注入することによりアンカーピン3の引き抜き強度が増すだけでなく、周囲のコンクリート躯体にこのエポキシ樹脂や接着剤が浸潤して、その周辺部は劣化によりひびや剥離が生じても剥落しにくくなる。
(1)コンクリート面6にアンカーピン3を打ち込むための下穴7を穿設する。
(2)FRPネット1をコンクリート面6の所定位置に保持しつつ、アンカーピン3に座金5と座板8を挿通し、このアンカーピン3を前記下穴7に挿入する。このとき、FRPネット1の四角方向と座板8の四角方向を合わせて位置決めを行う。
(3)アンカーピン3に楔16を図中の矢印方向に圧入する。これにより、突条15が外方へ押圧されて先端側が拡開して、下穴7の内側面にアンカーピン3の先端 の外側面が押圧されて、アンカーピン3が、FRPネット1ともにコンクリート面6に固着される。また、必要に応じてアンカーピン3の基端側からエポキシ樹脂や接着材を注入する。
エポキシ樹脂や接着材を注入することによりアンカーピン3の引き抜き強度が増すだけでなく、周囲のコンクリート躯体にこのエポキシ樹脂や接着剤が浸潤して、その周辺部は劣化によりひびや剥離が生じても剥落しにくくなる。
以上の実施例では、座板8を四角形状に形成したが、本発明はこれに限られるものではなく、円形状やその他の形状でも良いし、FRPネット1の一列の格子を連続的に支えるような長板形状でもよい。また、FRPネット1の形状にしたがって、最も適切な形状とすることができる。さらに、座板8は耐食性の合成樹脂としたが、耐食性を有する素材であればよく、アルミや硬質のゴム等であってもよい。
以上の実施例では、アンカーピン3、楔16及び座金5をSUS304鋼で形成したが、本発明はこれに限られるものではなく、SUS304鋼に相当する耐食性と強度を有する素材であればよい。例えば、ニッケルやモリブデンを含まずに耐食性を高めたステンレス鋼(NSSC180やJFE443CT)でもよい。
以上の実施例では、FRPネット1を利用するようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、必要に応じてFRPネット1にさらに細かいネットを組み合わせたネットを用いてもよい。
1…FRPネット、2…FRPネットの交差部分、3…アンカーピン、4…鍔部、5…座金、6…コンクリート面、7…下穴、8…座板、9…座板の孔、10…座金を収納する窪み、11…座板の周縁部、12…台形部、13…アンカーピン本体、14…摺り割り、15…突条、16…楔。
Claims (4)
- コンクリート面にアンカーピンを打ち込み、このアンカーピンによりコンクリート面にコンクリート落下防止用ネットを固着する施工方法おいて、コンクリート面にアンカーピンを打ち込むための下穴を穿設し、少なくともネットの格子1箇所以上の面積を抑えることができる座板でコンクリート落下防止用ネットを抑えつつ、座板の中央に設けられた孔にアンカーピンを通して前記下穴にアンカーピンを挿入し、アンカーピン内部に楔を打ち込むことによってこのアンカーピンともどもコンクリート落下防止用ネットをコンクリート面に固着することを特徴とする剥落コンクリートの落下防止用ネットの施工方法。
- アンカーピンの鍔部と座板の間に、鍔部より大きく座板より小さな径の座金を介して座板を抑えることを特徴とする請求項1記載の剥落コンクリートの落下防止用ネットの施工方法。
- アンカーピン、楔及び座金は、同一のステンレス鋼で形成してなり、座板は耐食性の合成樹脂により形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側に耐食性の塗装を施したことを特徴とする請求項2記載の剥落コンクリートの落下防止用ネットの施工方法。
- アンカーピン、楔及び座金は、SUS304鋼で形成し、アンカーピンの鍔部と座金の少なくとも露出側にフッ素樹脂塗料による塗装を施したことを特徴とする請求項3記載の剥落コンクリートの落下防止用ネットの施工方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015052255A (ja) * | 2013-09-09 | 2015-03-19 | 株式会社サクシス | 建築物用防護ネット柵及び建築物用防護ネット柵の施工方法 |
CN104790989A (zh) * | 2015-03-25 | 2015-07-22 | 中国矿业大学 | 一种矿用化学锚索退锚装置及方法 |
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---|---|---|---|---|
JPH0592349U (ja) * | 1993-06-24 | 1993-12-17 | 株式会社ケー・エフ・シー | 建物の外壁補修用アンカーピン |
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2008
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