JP2009249792A - 縦横の伸長特性が異なる不織布構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は熱可塑性エラストマー樹脂を使用した伸縮性に優れたスパンボンド不織布と、短繊維不織布を融着させることにより、不織布構造体のMD方向の伸びを抑え、後工程の通過性を改良した、不織布構造体のCD方向の伸縮特性の優れた不織布構造体およびその製造方法を提案する。
【解決手段】熱可塑性エラストマーからなるスパンボンド不織布と、短繊維不織布よりなり、前記熱可塑性エラストマーと短繊維不織布の繊維表面の少なくとも一部が接着されている不織布構造体。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性エラストマーからなるスパンボンド不織布と、短繊維不織布よりなり、前記熱可塑性エラストマーと短繊維不織布の繊維表面の少なくとも一部が接着されている不織布構造体。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性エラストマー樹脂を使用した伸縮性に優れた長繊維不織布に、短繊維不織布を接着させることにより、積層後の不織布構造体における積層された短繊維不織布の機械方向(以下、「不織布構造体のMD方向」という)の伸びを抑え、後工程の通過性を改良した、積層後の不織布構造体における積層された短繊維不織布の幅方向(以下、「不織布構造体のCD方向」という)の伸縮特性の優れた不織布構造体に関するものである。
熱可塑性エラストマー樹脂を使用した長繊維不織布は、MD方向への伸縮性が高く、工程通過時に張力がかかることで不織布が伸びてしまうため加工が困難となり、導布などの使用が不可欠であった。しかし、その特徴を活かし、求められる用途に応じて、多様な不織布あるいはフィルムを積層した構造体の技術が開示されている。
例えば、特許文献1に記載されている積層体はポリオレフィン系エラストマーからなるシート状物の片面または両面に織編物、不織布、フィルムを積層させ、柔軟性、触感、あるいは伸縮性に優れた特性が得られる。しかし、伸縮性不織布であるポリオレフィン系樹脂と他の樹脂を積層し、剥離なく接着させるためにはエンボス、カレンダーでの圧力を上げる必要があり、またメルトブロー不織布では繊維径が細いため圧着によるダメージが大きく、張力がかかった場合のダメージが心配される。
同様に特許文献2に記載されている使い捨て防塵用ヘアーキャップは熱可塑性エラストマーからなるメルトブローン不織布と長さ方向に非伸縮性で幅方向に伸縮性を有するシート状物の積層結合シートを使用している。しかし、用途上繊維の細いメルトブローン不織布を使用する必要があり、高い接着性を有する場合、繊維のダメージが避けられない。
上述の如く、熱可塑性エラストマー樹脂を用いたスパンボンド不織布と、短繊維不織布を熱圧着させることで縦横の伸縮特性が異なる構造体は提案されていないのが現状である。
本発明は上記従来技術の課題を背景になされたもので、本発明は熱可塑性エラストマー樹脂を使用した伸縮性に優れたスパンボンド不織布と、短繊維不織布を接着させることにより、不織布構造体のMD方向の伸びを抑え、後工程の通過性を改良した、不織布構造体のCD方向の伸縮特性の優れた不織布構造体およびその製造方法を提案するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに至った。即ち本発明は以下の構成を採用するものである。
1.熱可塑性エラストマーからなるスパンボンド不織布と、短繊維不織布よりなり、前記熱可塑性エラストマーと短繊維不織布の繊維表面の少なくとも一部が接着されている不織布構造体。
2.不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力が、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力の1.5倍以上であり、不織布構造体のCD方向の最大点伸度が150%以上である上記1に記載の不織布構造体。
3.短繊維不織布がスパンレース不織布であり、スパンボンド不織布と熱圧着により融着されている上記1または2に記載の不織布構造体。
4.スパンボンド不織布の繊維径(A)が10μm〜40μm、短繊維不織布の繊維径(B)が10μm〜30μmであり、以下の式(1)を満たす上記1〜3のいずれかに記載の不織布構造体。
0.3≦B/A≦1.2 ・・・ 式(1)
5.スパンボンド法で紡糸された繊維を、コンベアーの上に供給された短繊維不織布の上に集積させ、スパンボンド不織布に使用している樹脂の融点−50℃以上〜+30℃以下の温度で熱圧着する不織布構造体の製造方法。
1.熱可塑性エラストマーからなるスパンボンド不織布と、短繊維不織布よりなり、前記熱可塑性エラストマーと短繊維不織布の繊維表面の少なくとも一部が接着されている不織布構造体。
2.不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力が、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力の1.5倍以上であり、不織布構造体のCD方向の最大点伸度が150%以上である上記1に記載の不織布構造体。
3.短繊維不織布がスパンレース不織布であり、スパンボンド不織布と熱圧着により融着されている上記1または2に記載の不織布構造体。
4.スパンボンド不織布の繊維径(A)が10μm〜40μm、短繊維不織布の繊維径(B)が10μm〜30μmであり、以下の式(1)を満たす上記1〜3のいずれかに記載の不織布構造体。
0.3≦B/A≦1.2 ・・・ 式(1)
5.スパンボンド法で紡糸された繊維を、コンベアーの上に供給された短繊維不織布の上に集積させ、スパンボンド不織布に使用している樹脂の融点−50℃以上〜+30℃以下の温度で熱圧着する不織布構造体の製造方法。
本発明によると、熱可塑性エラストマー樹脂を使用した伸縮性に優れたスパンボンド不織布と、短繊維不織布を接着させることにより、不織布構造体のMD方向の伸びを抑え、後工程の通過性を改良した、不織布構造体のCD方向の伸縮特性の優れた不織布構造体を得ることが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
スパンボンド不織布に用いられる熱可塑性エラストマー樹脂としては、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー等のポリオレフィン系エラストマーやスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体等のスチレン系エラストマーや、熱可塑性ポリウレタンなどが上げられるが、好ましくはハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルよりなるポリエステル系エラストマーが好ましい。
スパンボンド不織布に用いられる熱可塑性エラストマー樹脂としては、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー等のポリオレフィン系エラストマーやスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体等のスチレン系エラストマーや、熱可塑性ポリウレタンなどが上げられるが、好ましくはハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルよりなるポリエステル系エラストマーが好ましい。
短繊維不織布に用いられる繊維はポリエステル系,ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリテトラメチレンテレフタレート系、ポリウレタン系、ポリフェニレンサルファイド系等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、木綿、麻、シルク、ウール、羽毛などの天然繊維もしくはこれらの混用素材綿が用いられる。接着性の観点から長繊維不織布に用いられる樹脂と構造が近い樹脂を用いた繊維が好ましく、ポリエステル系エラストマーの場合にはポリエステル系樹脂を用いた短繊維が好ましい。この樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどが上げられる。
次に本発明のスパンボンドを得る方法について説明する。紡糸する方法としては公知のスパンボンドプロセスで可能である。紡糸口金より溶融紡糸されたフィラメント群を、圧力空気にて1段階あるいは多段階で延伸、あるいは各延伸倍率を持たせたローラー間を1から複数通過させたりする方法である。このときの紡糸速度は500m/min以上、3000m/min以下、好ましくは2500m/min以下である。500m/min未満では紡糸張力をコントロールするのに限界が生じる。また3000m/minを超えると紡糸張力が過大にかかり過ぎ得られる繊維の伸長回復性を損なうため、適さない。本発明でいう紡糸速度とは得られる長繊維の単糸から測定される糸径から10000mの円柱を想定して体積を求め、該構成樹脂の密度との積により繊度(dtex)を算出し、設定の単孔吐出量(g/min)との比から算出したものである。紡糸延伸された繊維は、捕集ネットコンベア等に捕集されてウエッブ形成し、接合一体化して不織布に供される。ウエッブが接合一体化しない場合は不織布形態を維持できないのでエンボス加工による部分熱圧着接合が好ましい。
短繊維不織布を得る方法としては、エアレイ、カードによりウエッブを作成し、不織布形態維持のため交絡処理、樹脂加工あるいは繊維に低融点繊維を混合し、熱処理により接着させる方法などがある。しかし、エアレイでは強力の方向性を持たせることが困難であり、低融点繊維を用いたエアースルーによる不織布、樹脂加工による不織布では一方向に強力を持たせることでは有利であるが、伸度が損なわれ、積層させる伸縮性のスパンボンドの性能を低下させるため、交絡処理であり、ニードルパンチや水流交絡による方法が好ましい。さらに、強力の方向性を持たせる観点および油剤が除去できスパンボンド不織布との接着性の観点から水流交絡法がより好ましい。その他ポイントボンド短繊維不織布などもコストの観点から好ましい。また、繊維の積層方法も、強力の方向性を持たせるためクロスレイ法よりパラレル法の方が好ましい。
以上により得られるスパンボンド不織布と短繊維不織布を積層し、接着させることにより本発明の不織布構造体が得られるが、接着についてはカレンダーあるいはエンボスにより熱圧着させる方法が好ましく用いられる。熱圧着はスパンボンド不織布に用いられている樹脂の融点の−50℃以上〜+30℃以下の温度で圧着させる。この結果、スパンボンド不織布の繊維と短繊維不織布の繊維が部分的に融着される。このことで、短繊維不織布の幅方向に短繊維の繊維が配向しているため、積層体構造体における積層された短繊維不織布の幅方向の20%伸長時の応力を向上できる。
なお、本特許では最終製品(スパンボンド不織布と短繊維不織布の不織布構造体)の方向を規定するため、積層される短繊維不織布を生産するときの不織布の流れ方向を用いている。すなわち、不織布構造体のCD方向とは、積層された短繊維不織布が生産されるときのウエッブの流れ方向と垂直の方向(幅方向)を示し、不織布構造体のMD方向とはウェッブの流れ方向(機械方向)を示している。
ここで、以下に説明するそれぞれの不織布に使用される繊維の繊維径が接着性に重要な要素となる。
なお、本特許では最終製品(スパンボンド不織布と短繊維不織布の不織布構造体)の方向を規定するため、積層される短繊維不織布を生産するときの不織布の流れ方向を用いている。すなわち、不織布構造体のCD方向とは、積層された短繊維不織布が生産されるときのウエッブの流れ方向と垂直の方向(幅方向)を示し、不織布構造体のMD方向とはウェッブの流れ方向(機械方向)を示している。
ここで、以下に説明するそれぞれの不織布に使用される繊維の繊維径が接着性に重要な要素となる。
スパンボンド不織布の繊維径(A)は10μm〜40μm、好ましくは15μm〜30μmである。短繊維不織布の繊維径(B)は10μm〜30μm、好ましくは10μm〜30μmである。
スパンボンド不織布の繊維径が10μmより小さくなると、接着後の伸縮性に影響が大きくなり、毛羽発生など耐久性も悪くなる。また繊維径が40μmより大きくなると、触った際にねとつき感が発生する。
短繊維不織布の繊維径が10μmより小さくなると、不織布作成が困難となり、交絡後の不織布の強力が得にくくなる。また繊維径が30μmより大きくとなると熱圧着による接着が困難となり、十分な接着強力が得られない。短繊維の繊維長はカード通過性に問題ない程度であれば長い方が良い。これは接着後の強力が得やすくなるためである。例えば繊維径が10μmの繊維であれば35mm以上、繊維径が14μmの繊維であれば50mm以上、繊維径が20μmの繊維であれば76mm以上が好ましい。
スパンボンド不織布の繊維径が10μmより小さくなると、接着後の伸縮性に影響が大きくなり、毛羽発生など耐久性も悪くなる。また繊維径が40μmより大きくなると、触った際にねとつき感が発生する。
短繊維不織布の繊維径が10μmより小さくなると、不織布作成が困難となり、交絡後の不織布の強力が得にくくなる。また繊維径が30μmより大きくとなると熱圧着による接着が困難となり、十分な接着強力が得られない。短繊維の繊維長はカード通過性に問題ない程度であれば長い方が良い。これは接着後の強力が得やすくなるためである。例えば繊維径が10μmの繊維であれば35mm以上、繊維径が14μmの繊維であれば50mm以上、繊維径が20μmの繊維であれば76mm以上が好ましい。
この範囲にある繊維径の繊維を用い、さらに本発明では(A)と(B)の関係が、0.3≦B/A≦1.2を満たすことが重要である。0.3未満であれば一方向の伸縮性を抑えることが不十分となり、1.2より大きくなると十分スパンボンド不織布に使用されている繊維により短繊維不織布の繊維を覆うことが困難となり、接着性が悪くなる。
それぞれの目付については任意に決めることができるが、伸縮性、用途を考慮するとそれぞれ20〜200g/m2が好ましく、このため不織布構造体としては40〜400g/m2が好ましい。特に短繊維不織布をスパンレース不織布とする場合は、20〜200g/m2、好ましくは20〜100g/m2である。20g/m2より小さくなると、スパンレースの条件、使用する繊維にもよるが、20%伸長時の応力が低くなり、200g/、m2より大きくなると、水流での交絡が困難になるばかりか、通気性が悪くなり、コンベアーでの長繊維不織布集積に悪影響を及ぼすため好ましくない。
以上により得られた不織布構造体は、不織布構造体のCD方向への伸縮性は阻害せず、不織布構造体のMD方向への伸縮性を抑えることができ、後加工の工程通過性を大幅に改善することができる。具体的には不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力が、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力の1.5倍以上、好ましくは2.0倍以上となると、工程通過時に掛かる張力に耐えることができる。このとき、用途にもよるが、不織布構造体のCD方向の最大点伸度は150%、好ましくは200%以上である。
次に更に詳しく接着方法について説明する。それぞれの不織布を積層後、カレンダーロールあるいはエンボスロールに通し、熱圧着させてもよいが、2段階の処理が必要となり、コスト上好ましくない。スパンボンド法で紡糸された繊維をコンベアーの上に供給された短繊維不織布の上に直接集積させ、スパンボンド不織布に使用している樹脂の融点−50℃以上〜+30℃以下の温度で熱圧着することにより1段階での処理することが好ましい。繊維を短繊維不織布層の上に集積させると、延伸された繊維の勢いにより短繊維不織布の内部にまで繊維が絡み、圧着効果が高くなる。
以下に本発明の実施例を示す。本発明は実施例に限定されるものではない。
まず、本発明を具体的に説明するが、実施例及び比較例中の物性値は以下の方法で測定した。
<繊維径>
スパンボンド不織布および短繊維不織布の任意部位10箇所からサンプリングした試験片の切断面が観察できるように蒸着セットして、視差走査型電子顕微鏡にて繊維軸を横切る方向にほぼ直角に切断されている任意の繊維50本について写真撮影し、写真を拡大して各繊維の断面から直径を求め、それら値を平均して繊維の直径を算出する。
スパンボンド不織布および短繊維不織布の任意部位10箇所からサンプリングした試験片の切断面が観察できるように蒸着セットして、視差走査型電子顕微鏡にて繊維軸を横切る方向にほぼ直角に切断されている任意の繊維50本について写真撮影し、写真を拡大して各繊維の断面から直径を求め、それら値を平均して繊維の直径を算出する。
<スパンボンド不織布に使用している樹脂の融点>
JIS K7121に準拠して、個々の熱可塑性樹脂を試料とし、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を与える温度を融点として求める。
JIS K7121に準拠して、個々の熱可塑性樹脂を試料とし、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を与える温度を融点として求める。
<20%伸長時の応力および最大点伸度>
JIS L1906(2000)に準拠し測定した。具体的には、2.5cm×10cmの矩形にサンプルを切り出し、有効幅5cmで一定クロスヘッド速度10cm/分により引張試験を行い、20%変形時の応力を20%身長時の応力とし、最大点荷重時の伸度を最大点伸度とした。
JIS L1906(2000)に準拠し測定した。具体的には、2.5cm×10cmの矩形にサンプルを切り出し、有効幅5cmで一定クロスヘッド速度10cm/分により引張試験を行い、20%変形時の応力を20%身長時の応力とし、最大点荷重時の伸度を最大点伸度とした。
<スパンボンド不織布と短繊維不織布の剥離>
不織布構造体のCD方向に10cm、MD方向に2.5cmの矩形に切り出し、50%伸長、回復を50回繰り返し、接着状況を目視にて確認した。
不織布構造体のCD方向に10cm、MD方向に2.5cmの矩形に切り出し、50%伸長、回復を50回繰り返し、接着状況を目視にて確認した。
(実施例1)
東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(融点180℃)を210℃でスパンボンド法により直径20μm、目付け50g/m2のウエブを作成した。続いて100℃の熱エンボスロールを用いて、スパンボンド不織布を得た。東洋紡績株式会社製ポリエチレンテレフタレート短繊維2.2T51−707(セミダル、中実丸断面、繊度2.2T、繊維径=15μm、カット長=51mm)100%のカードウエブをパラレル方式で得た。その後、水圧50kg/cm2で両面水流交絡させ30g/m2のスパンレース不織布を得た。2つの不織布を重ね合わせ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積20%)を施し、不織布構造体を得た。B/A=0.75であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は6.8N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は3.0N/2.5cm(2.3倍)であり、最大点伸度は300%であった。また剥離テストの結果、問題なく接着されていた。
東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(融点180℃)を210℃でスパンボンド法により直径20μm、目付け50g/m2のウエブを作成した。続いて100℃の熱エンボスロールを用いて、スパンボンド不織布を得た。東洋紡績株式会社製ポリエチレンテレフタレート短繊維2.2T51−707(セミダル、中実丸断面、繊度2.2T、繊維径=15μm、カット長=51mm)100%のカードウエブをパラレル方式で得た。その後、水圧50kg/cm2で両面水流交絡させ30g/m2のスパンレース不織布を得た。2つの不織布を重ね合わせ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積20%)を施し、不織布構造体を得た。B/A=0.75であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は6.8N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は3.0N/2.5cm(2.3倍)であり、最大点伸度は300%であった。また剥離テストの結果、問題なく接着されていた。
(実施例2)
東洋紡績株式会社製ポリエチレンテレフタレート短繊維1.6T44−70W(セミダル、中実丸断面、繊度1.6T、繊維径=13μm、カット長=44mm)100%のカードウエブをパラレル方式で得、その後、水圧50kg/cm2で両面水流交絡させ30g/m2のスパンレース不織布を作成し、それを供給したコンベアーの上に、東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40H(融点172℃)を210℃でスパンボンド法により得られた繊維を集積させ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積=20%)を施し、不織布構造体を得た。スパンボンド法で得られた繊維の直径20μm、目付け70g/m2であった。B/A=0.65であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は6.2N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は2.5N/2.5cm(2.5倍)であり、最大点伸度は220%であった。また剥離テストの結果、問題なく接着されていた。
東洋紡績株式会社製ポリエチレンテレフタレート短繊維1.6T44−70W(セミダル、中実丸断面、繊度1.6T、繊維径=13μm、カット長=44mm)100%のカードウエブをパラレル方式で得、その後、水圧50kg/cm2で両面水流交絡させ30g/m2のスパンレース不織布を作成し、それを供給したコンベアーの上に、東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40H(融点172℃)を210℃でスパンボンド法により得られた繊維を集積させ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積=20%)を施し、不織布構造体を得た。スパンボンド法で得られた繊維の直径20μm、目付け70g/m2であった。B/A=0.65であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は6.2N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は2.5N/2.5cm(2.5倍)であり、最大点伸度は220%であった。また剥離テストの結果、問題なく接着されていた。
(比較例1)
東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(融点180℃)を210℃でスパンボンド法により直径20μm、目付け50g/m2のウエブを作成した。続いて100℃の熱エンボスロールを用いて、スパンボンド不織布を得た。定法により得られるポリエチレンテレフタレート短繊維(セミダル、中実丸断面、繊度14T、繊維径=37μm、カット長=64mm)100%のカードウエブをパラレル方式で得た。その後、水圧50kg/cm2で両面水流交絡させ80g/m2のスパンレース不織布を得た。2つの不織布を重ね合わせ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積=20%)を施し、不織布構造体を得た。B/A=1.9であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は9.2N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は4.0N/2.5cm(2.3倍)であり、最大点伸度は290%であった。しかし、剥離テストの結果、接着点が外れてしまう問題が発生した。
東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(融点180℃)を210℃でスパンボンド法により直径20μm、目付け50g/m2のウエブを作成した。続いて100℃の熱エンボスロールを用いて、スパンボンド不織布を得た。定法により得られるポリエチレンテレフタレート短繊維(セミダル、中実丸断面、繊度14T、繊維径=37μm、カット長=64mm)100%のカードウエブをパラレル方式で得た。その後、水圧50kg/cm2で両面水流交絡させ80g/m2のスパンレース不織布を得た。2つの不織布を重ね合わせ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積=20%)を施し、不織布構造体を得た。B/A=1.9であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は9.2N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は4.0N/2.5cm(2.3倍)であり、最大点伸度は290%であった。しかし、剥離テストの結果、接着点が外れてしまう問題が発生した。
(比較例2)
東洋紡績株式会社製ポリエステルスパンボンド不織布3501A(セミダル、目付け50g/m2、繊維径=14μm)を供給したコンベアーの上に、東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(融点180℃)を210℃でスパンボンド法により得られた繊維を集積させ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積=20%)を施し、不織布構造体を得た。スパンボンド法で得られた共重合ポリエステル樹脂よりなる繊維は、直径20μm、目付け50g/m2であった。B/A=0.7であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は70N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は35N/2.5cm(2.0倍)であったが、最大点伸度は29%と伸縮性は失われていた。また剥離テストは50%伸長後の回復性が悪く実施できなかった。
東洋紡績株式会社製ポリエステルスパンボンド不織布3501A(セミダル、目付け50g/m2、繊維径=14μm)を供給したコンベアーの上に、東洋紡績株式会社製共重合ポリエステル樹脂のペルプレンP40B(融点180℃)を210℃でスパンボンド法により得られた繊維を集積させ、140℃、147.1N/cm(50kgf/cm)にてエンボス加工(圧着面積=20%)を施し、不織布構造体を得た。スパンボンド法で得られた共重合ポリエステル樹脂よりなる繊維は、直径20μm、目付け50g/m2であった。B/A=0.7であった。不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力は70N/2.5cm、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力は35N/2.5cm(2.0倍)であったが、最大点伸度は29%と伸縮性は失われていた。また剥離テストは50%伸長後の回復性が悪く実施できなかった。
以上のように、従来、二軸方向に伸縮性が高い熱可塑性エラストマー樹脂を使用した不織布では工程を通過させるためには導布が不可欠であったが、短繊維不織布を積層接着させる本発明により、工程通過性が良い一軸方向にのみ伸縮性の高い不織布構造体を得ることが可能になった。
本発明により、不織布構造体のMD方向の伸びを抑え、後工程の通過性を改良した、不織布構造体のCD方向の伸縮特性の優れた不織布構造体が得られ、後工程通過後の製品としてはパップ剤、絆創膏などの用途が期待できる。
Claims (5)
- 熱可塑性エラストマーからなるスパンボンド不織布と、短繊維不織布よりなり、前記熱可塑性エラストマーと短繊維不織布の繊維表面の少なくとも一部が接着されている不織布構造体。
- 不織布構造体のMD方向の20%伸長時の応力が、不織布構造体のCD方向の20%伸長時の応力の1.5倍以上であり、不織布構造体のCD方向の最大点伸度が150%以上である請求項1に記載の不織布構造体。
- 短繊維不織布がスパンレース不織布であり、スパンボンド不織布と熱圧着により融着されている請求項1または2に記載の不織布構造体。
- スパンボンド不織布の繊維径(A)が10μm〜40μm、短繊維不織布の繊維径(B)が10μm〜30μmであり、以下の式(1)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の不織布構造体。
0.3≦B/A≦1.2 ・・・ 式(1) - スパンボンド法で紡糸された繊維を、コンベアーの上に供給された短繊維不織布の上に集積させ、スパンボンド不織布に使用している樹脂の融点−50℃以上〜+30℃以下の温度で熱圧着する不織布構造体の製造方法。
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JP2008102315A JP2009249792A (ja) | 2008-04-10 | 2008-04-10 | 縦横の伸長特性が異なる不織布構造体およびその製造方法 |
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