JP2009241529A - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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義雄 吉田
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Abstract

【課題】 高光沢であり、水溶性インクを使用したインクジェット記録において、印字濃度が高く、印刷物のにじみが少ないと共に、パソコン上などの元画像の色相の再現性が高いインクジェット記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に、インク受理層用塗工液を塗布して塗工層を設け、該塗工層の表面が湿潤状態にある間に塗工層を凝固させる処理液を塗布した後に、該塗工層を加熱した鏡面に圧接、乾燥してインク受理層を設ける。前記処理液はカチオン化度が2.0meq/g以上4.0meq/g以下のアクリル酸を主骨格としベンジル基を含有するカチオン性高分子化合物を含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体の製造方法に関し、詳しくは高光沢で、水溶性染料インクを使用したインクジェット印刷に適したインクジェット記録媒体の製造方法に関するものである。
一般にインクジェット記録方式は、フルカラー化が容易なこと、印字騒音が少ないことや現像−定着といった処理が不要なことなどから急速に普及し、近年では製版による多色印刷やカラー写真方式による印画に遜色のない画像を得ることができるようになった。この方式はノズルから記録媒体に向けてインクの微小液滴を高速で飛翔、付着させて画像や文字などの記録を行うものであり、インク中には多量の溶媒を含む。従って、記録媒体としては速やかにインクを吸収する必要がある。
また、最近は高解像度のデジタルビデオ、デジタルカメラ、スキャナーおよびパーソナルコンピューターの普及により高精細の画像を取り扱う機会が多くなり、これらのハードコピーをインクジェットプリンターで出力する事が多くなっている。これに伴い記録媒体に対する要求特性が多様化してきており、特に銀塩写真に近い画像品質・光沢感などが求められるようになってきている。このような背景から、光沢インクジェット用記録媒体に要求される品質特性としては、光沢感が高く、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと等が挙げられる。
インクジェット記録においては、一般に、水溶性染料インクを用いる場合と顔料インクを用いる場合とに大きく分けられる。顔料インクは、画像の耐久性は高いが、画像様に光沢が変化しやすく、その結果、写真画質に近いプリントを得にくい傾向にある。一方、水溶性染料インクを用いると、画像の鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。
さらに、銀塩写真に匹敵、或いはこれを凌ぐ画質を得るために、プリンターからの吐出やインクの改良がなされている。例えば、インク滴を小液滴とすることによって画像のドットサイズを小さくし、高精細な画質の達成を図ることや、同一の色調の色材の含有量を変えた異なる濃淡2種のインクを用いて印刷する方法など、印刷物の画像の階調性がなめらかになる。
ところが、このように改良されたプリンターを用いた水溶性染料インクにてインクジェット印刷を行った場合においても、記録媒体上の画像が、パソコン上などの元画像の色相とは異なる色相が発現される現象が確認されている。この現象は特に淡色の混合色によって発生し、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクが混色されるグレー部や肌色部において顕著となり、本来あるべき色に比べて赤味や黄味を帯びるなど、画像部のカラーバランスが元画像を再現しないという問題があった。
この問題に対し、特許文献1には、スチレン系樹脂などの表面サイズ剤を用紙に表面に塗布し、用紙の吸収速度をコントロールして印刷物のカラーバランスをコントロールする技術が開示されている。また、特許文献2には、一般的なカチオンポリマー存在下に特定のポリグリセリンを配合することで、低階調部の画質を向上させる技術が開示されている。また、特許文献3には、一般的なカチオンポリマー存在下において特定の気相法シリカを加えることで肌色画像の低階調部の印字濃度を向上させる技術が開示されている。
特開2001−219646号公報 特開2006−289779号公報 特開2007−203645号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、光沢の無いマット紙の評価であり、塗工顔料がより最密に充填された光沢紙に、表面サイズ剤を添加すると画像のにじみ等が発生するおそれがある。
また特許文献2に開示された技術の場合、インク溶液の浸透を制御するために用いるポリグリセリンが高沸点溶媒であるため塗工層に液体として存在し、塗工層強度が弱くなる傾向にある。このため、塗工面の欠陥やインクジェット印刷時の傷が発生しやすくなったり、ベタ印刷部の擦過性が悪化することがある。
特許文献3に開示された技術の場合、インクの浸透を制御するために用いる気相法シリカは吸水性が優れるものの、一定の塗工層強度を確保するためのバインダー量が多くする必要があるため、結果的にインクの吸収性が悪化することがある。気相法シリカを用いると塗工液の粘度がが増加し、塗工面の欠陥が発生しやすい。
また、従来の技術においては、インクジェット記録時の色相が元画像と異なるという問題もある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、高光沢であり、水溶性インクを使用したインクジェット記録において、印字濃度が高く、印刷物のにじみが少ないと共に、パソコン上などの元画像の色相の再現性が高いインクジェット記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、水溶性染料インクを使用したインクジェット印刷において、元画像と異なる色が発現される現象についての調査を行った結果、インク定着剤としてカチオン化度が低いカチオン性化合物をインク受理層の表面付近により多く存在させると、元画像の色相を正確に再現できることを見いだした。また、いわゆる凝固法キャストコート法において、凝固液中に特定のカチオン化度のカチオン性化合物(インク定着剤)を含有させることにより、カチオン性化合物をより塗工層表面に局在させることが可能となることを見いだした。
従って、本発明は、支持体上に、少なくとも顔料とバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗布して塗工層を設け、該塗工層の表面が湿潤状態にある間に、塗工層を凝固させる凝固剤を含有する処理液を塗布し、その後、該塗工層を加熱した鏡面に圧接、乾燥してインク受理層を設けるインクジェット用記録媒体の製造方法において、前記処理液はカチオン化度が2.0meq/g以上4.0meq/g以下のカチオン性化合物を含有し、前記カチオン性化合物は、アクリル酸を主骨格としベンジル基を含有する高分子化合物であることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法である。
本発明によれば、高光沢であり、水溶性インク使用時の印字濃度が高く、印刷物のにじみが少ないと共に、パソコン上などの元画像の色相の再現性が高いインクジェット記録媒体を得ることができる。特に、インクが混色されるグレー部や肌色部において、本来あるべき色のまま再現され、画像部のカラーバランスに問題のないインクジェット記録媒体を得ることができる。
以下、本発明に適したインクジェット記録媒体の製造方法について記す。
(支持体)
本発明に使用される支持体は、シート状のものであればいずれのものを用いることが可能であるが、後述するキャストコート処理に好適である透気性を有するものが好ましい。例えば塗工紙、未塗工紙等の紙を、支持体に好適に用いることができる。紙の主成分はパルプと内添填料である。パルプとしては通常公知のパルプであればいずれのものを使用することができる。例えば、化学パルプとして広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等、木材、綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプなどを使用できる。また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。また、古紙を原料とするパルプ、すなわち、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙等の上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙等を離解して得られるパルプを使用することもできる。インクジェット用紙には高白色度で地合に優れるLBKPを使用することが好ましい。
またパルプは漂白することにより高白色とすることができる。パルプの漂白方法としては、元素状塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、過酸化水素、苛性ソーダ等の薬品の組合せにより漂白する塩素漂白法、二酸化塩素を使用する漂白方法(ECF)、塩素化合物を一切使用せずに、オゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(TCF)といった方法がある。このうち塩素漂白法からなる有機塩素化合物負荷が環境に悪影響を与える恐れがあることから、ECFやTCFといった方法で漂白することが好ましい。またECFでは、二酸化塩素はリグニンと選択的に反応するため、セルロースに損傷を与えずにパルプの白色度を高めることができるので、さらに好ましい。
また、内添填料は、紙の不透明度、白色度向上を目的として添加(内添)し、例えばクレー、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の白色顔料を使用できるが、高白色度を得やすいことから炭酸カルシウム、特に軽質炭酸カルシウムの添加が好ましい。
上記したパルプは抄紙適性、ならびに、強度、平滑性、地合の均一性等といった紙の諸特性等を向上させるため、ダブルディスクリファイナー等の叩解機により叩解される。叩解の程度は、カナディアン スタンダード フリーネスで250ml〜550ml程度の通常の範囲で目的に応じて選択することが出来る。前記パルプのpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。
叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、または、丸網抄紙機等の抄紙機により抄紙され支持体を得ることができるが、この際、通常抄紙に際して用いられるパルプスラリーに、分散助剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、インク定着剤、耐水化剤、pH調節剤、染料、有色顔料、及び蛍光増白剤等を添加することが可能である。
また、上記支持体には、水溶性高分子添加剤、帯電防止剤、吸湿性物質、顔料、pH調整剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤をはじめとする各種の添加剤を含有する液を、タブサイズ、サイズプレス、ゲートロールコーターあるいはフィルムトランスファーコーター等でオンマシンもしくはオフマシンで塗工することが可能である。
支持体上に塗工する塗工層の浸透が多くなり過ぎないよう、支持体のステキヒトサイズ度は5秒以上であることが好ましいが、50秒以上である場合は後述する塗工層の浸透を最小限に抑えることができるので、さらに好ましい。
(インク受理層の形成)
本発明では、支持体上に顔料とバインダーを含有する塗工液を塗布して塗工層を設け、該塗工層の表面が湿潤状態にある間に塗工層を凝固させる処理液を塗布したの後に該塗工層を加熱した鏡面に圧接、乾燥する、いわゆるキャストコート法にてインク受理層を設ける。なおこのインク受理層が主にインクジェット画像を形成するインク受理層となり、表面に光沢を有する層となる。
キャストコート法としては、(1)塗工層が湿潤状態にある間に、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥又は半乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するリウェットキャスト法(再湿潤法)、(3)湿潤状態の塗工層を凝固液で凝固処理し、ゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類がある。各方法の原理は、湿潤状態の塗工層を鏡面仕上げの面に押し当てて、塗工層表面に光沢を付与するという点では同一である。加熱ドラムに圧着する際の塗工層は、湿潤状態であっても乾燥状態であってもよいが、特に湿潤状態とした場合には鏡面仕上げ面を写し取りやすく、塗工層表面の微小な凹凸を少なくすることができるので、得られたインク受理層に銀塩写真並の光沢感を付与させ易くなる。
またどのキャストコート法においても、塗工層が加熱ドラムに直接圧着し乾燥することから、乾燥時に発生する蒸気が鏡面と反対の支持対面から抜けるため、支持体は透気性を有するものであることが好ましい。
本発明においてはキャストコート法で形成したインク受理層表面の面感を優れたものにするため、特定のカチオン性化合物をよりインク受理層表面に付与することが可能な凝固法を用いることが好ましい。以下、その詳細について説明を行う。
(インク受理層の顔料)
本発明においては、インク受理層を凝固キャストコート法により設け、これをインク受理層とするが、インク受理層の顔料は、無機や有機の微粒子を、例えば、塗工用顔料として通常用いられる、合成非晶質シリカとコロイダルシリカ、カオリン、水酸化アルミニウム、アルミナ、擬ベーマイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化チタンなどを単独、又は2種以上を混合して使用することができる。本発明において、記録媒体の光沢性付与と紙支持体の被覆、インクジェット印刷物の発色性の向上、およびインクの吸収性の向上のため、キャストコート法で設けるインク受理層の顔料にシリカ系の顔料(合成非晶質シリカとコロイダルシリカ)を使用することが好ましい。なお、インクの定着をコントロールするため、アニオン、カチオンの電気的反応を阻害する顔料の使用は好ましくない。すなわち水酸化アルミニウム、アルミナ、擬ベーマイトなどのアルミニウム系の顔料などが該当する。またシリカ表面をアルミニウムイオンなどでカチオン性を付与したシリカも存在するが、同様の理由で本発明の使用には好ましくない。
(合成非晶質シリカ)
合成非晶質シリカは、その製造法により湿式法シリカと乾式法シリカ(気相法シリカ)に大別でき、本発明では湿式法シリカと乾式法シリカのいずれか一方を用いてもよく、両方を用いてもよい。
湿式法で製造された合成非晶質シリカ(以下、適宜「湿式法シリカ」という)は、顔料の透明性に関しては気相法シリカに劣るが、バインダーとしてポリビニルアルコールと併用した場合の塗料安定性に優れる。特に湿式法シリカは、気相法シリカに比べて液への分散性が良好であり、塗料濃度を高くすることが可能である。このため、インク受理層の顔料として湿式法シリカを用いると、インク受理層中の顔料比率が高くなり、インクを塗工層により吸収することができる。従って、インク溶媒の吸収性を向上できると共に染料インク色材を保持し、発色性(印字濃度)を向上できると考えられる。
湿式法シリカの好ましい二次粒子径は1〜8μmである。また、BET比表面積は100〜500m/gであることが好ましい。なお湿式法シリカの配合量増加によって塗工層のインク保持量は増加するが、塗工層の透明性が低下するため、必ずしも印字濃度が向上するわけではない。そのため乾式法シリカと併用することが好ましい。
乾式法により製造される合成非晶質シリカ(以下気相法シリカという)は、乾式法シリカ、又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。気相法シリカは、具体的には四塩化珪素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、及び原料の四塩化珪素供給量等の条件を変更することにより得られる。四塩化ケイ素の代わりに、メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。
気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販され、株式会社トクヤマからレオロシールQSタイプとして市販されており、容易に入手することができる。
気相法シリカをインク受理層に含有させると、一次粒子が微粒であることから、塗工層の透明性が向上し、水溶性染料インクで印字した場合の印字濃度が向上する。しかしながら気相法シリカは吸水性に優れるため、塗料が増粘しやすく塗工性に劣り塗工面の欠陥が発生しやすくなる恐れがある。また一定の塗工層強度を確保するためのバインダー量が多くなり、結果的にインクの吸収性が悪化することがある。そのため塗工性に優れる湿式法シリカとの併用が好ましい。
気相法シリカの比表面積(BET法)が130m/g〜300m/gであると塗工層の透明性が高くなりかつ塗料に配合した際の安定性が良好である。比表面積が130m/gより小さい場合には塗工層の不透明性が増し、インクジェットプリンターで印字した場合の印字濃度が低下する等の不具合を生じる場合がある。一方比表面積が300m/gを超えると塗工層の透明性が良好となり印字濃度が高くなるが、塗料の安定性が劣る傾向にあり、塗工性に問題を生じることがある。
(コロイダルシリカ)
コロイダルシリカは、アルコキシシランを原料としてゾルゲル法により合成し、合成条件によって一次粒子径(BET法粒子径)や二次粒子径(動的光散乱法粒子径)をコントロールすることが好ましい。コロイダルシリカには、分散状態を顕微鏡で観察した一次粒子および二次粒子の形状から、球状、ピーナッツ状、鎖状、パールネックレス状、房状、不定形の凝集状態が存在し、一次粒子の大きさが等しい場合、これらの凝集状態の順に平均二次粒子径が大きくなる傾向にある。
本発明においては、上記したいずれの凝集状態のコロイダルシリカを使用することができるが、塗工層への充填と空隙のバランスからピーナッツ状のコロイダルシリカを使用することが好ましい。ここでいうピーナッツ状コロイダルシリカとは、一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であるものとする。またコロイダルシリカの一次粒子径を5〜40nm、好ましくは10〜30nmとする。一次粒子径が5nm未満であると、インクの吸収性が劣る傾向にある。一次粒子径が40nmを超えると、粒子間の空隙が増えてインク受理層のインク吸収性は良好となるが、不透明性が増大するため、染料インク印字時の発色性が低下する傾向にある。また、コロイダルシリカの添加により光沢度は向上するが、インクの吸収性は劣る傾向となる
(インク受理層のバインダー)
インク受理層のバインダーとしては、層強度を確保できる従来公知のバインダーを使用することができる。インク受理層のバインダーの配合割合は、顔料に対して5〜50質量%であるのが好ましい。バインダーの配合割合が5質量%未満であると塗工層の強度が劣り、50質量%を超えるとインク吸収性に劣る場合がある。
特に、キャストコートの面感を得るため、凝固剤によって凝固しやすいポリビニルアルコールやカゼインをバインダーとして使用することが好ましく、ポリビニルアルコールを使用することがさらに好ましい。ポリビニルアルコールを用いると、インク受理層の透明度が向上し、写真調の光沢感が得られる。
又、ポリビニルアルコールに加え、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体;等を配合してもよい。
(その他助剤)
また、インク受理層には、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤等を、必要に応じて適宜添加してもよい。
本発明においては、支持体上にインク受理層となる塗工液を塗布する方法として、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工機をオンマシン、又はオフマシンで用いた塗工方法の中から適宜選択することができる。
インク受理層の塗工量は、片面当たり、固形分換算で3〜50g/mであることが好ましいが、紙粉削減のためには塗工量が少ないことが好ましく5〜30g/mであることがさらに好ましい。
本発明において、インク受理層の塗工量を多く必要とする場合には、インク受理層を多層にすることも可能である。又、インク吸収性の向上のため、支持体とインク受理層の間にアンダーコート層を設けてもよく、アンダーコート層はインク受理層と同一の構成でもよく、異なる構成でもよい。また、インク受理層を設けた面と反対の支持体面に、インク吸収性、筆記性、プリンター印字適性、その他各種機能を有するバックコート層をさらに設けてもよい。
(凝固キャストコート法)
本発明においては、インク受理層を凝固キャストコート法で形成することによって光沢を付与する。凝固キャストコート法は、例えば以下のようにして行う。まず、インク受理層となる塗工液を支持体に塗布する。次に、塗工液中の結着剤(特に水系結着剤)を凝固させる作用を有する凝固剤を含有する処理液を未乾燥の塗工層に塗布してゲル化させてから、加熱した鏡面仕上げ面に圧着、乾燥する。凝固キャストコート法は、銀塩写真に匹敵する面感、光沢をインク受理層に付与することが可能である。
凝固剤含有する処理液を塗布する際に塗工層が乾燥状態であると鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、得られたインク受理層表面に微小な凹凸が多くなり、銀塩写真並の光沢感を得にくい。凝固剤は、塗工層中の水系結着剤を凝固する作用を持つ。凝固剤を塗布する方法は、塗工層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えばロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択して用いることができる。
(凝固剤の成分)
本発明に用いる凝固剤は、湿潤状態の塗工層中の水系結着剤を凝固する作用を持つものであればよい。凝固剤としては、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩が用いられ、これを水等に溶解した溶液を処理液として用いる。特に、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合、凝固剤としてホウ砂とホウ酸塩とを含有する液を用いることが好ましい。ホウ砂とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の塗工層固さを適度なものとすることが容易となり、インク受理層に良好な光沢感を付与できる。
ホウ酸とホウ酸塩とを併用する理由は以下の通りである。まず、ホウ酸塩を単独で凝固剤に用いると、ポリビニルアルコールの凝固が強くなり過ぎ、鏡面仕上げの面を充分に写し取ることができず、良好な光沢面を得ることが困難となる傾向がある。この場合、凝固剤中のホウ酸塩濃度を低減してもポリビニルアルコールの凝固の強さは変化しないため、光沢は改善されない。
一方、ホウ酸を単独で凝固剤に用いた場合、ポリビニルアルコールの凝固が柔らかくなり過ぎ、鏡面仕上げの面(ロール)に軟凝固の塗工層が付着し、良好な湿潤状態の塗工層を得ることが困難となる傾向がある。この場合、凝固剤中のホウ酸濃度を高くするとポリビニルアルコールの凝固は強くなる傾向にあるが、ホウ酸の溶解度が低いためにホウ酸濃度をあまり高くすることはできず、所望の凝固強さが得られない。
このようなことから、ホウ酸塩及びホウ酸を混合して用いることにより、適度な固さの凝固を得ることが容易となり、良好な光沢感を有するインクジェット記録媒体(キャストコート紙)を得ることができる。また、ホウ酸塩とホウ酸を混合した場合、ホウ酸単独の場合より水に対するホウ酸の溶解度が向上し、ポリビニルアルコールの凝固状態を調整しやすくなる。
ホウ酸塩としては例えば、ほう砂、オルトほう酸塩、二ほう酸塩、メタほう酸塩、五ほう酸塩、及び八ほう酸塩から選ばれる1種以上を用いることができるが、特に限定されるものではない。
凝固剤中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度は必要に応じて適宜調整することができる。凝固剤中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高くなるとポリビニルアルコールの凝固が強くなり、光沢が劣る傾向にある。また、ホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高いと凝固剤中に析出しやすくなり、凝固剤の安定性が低下する傾向にある。
ホウ酸塩とホウ酸の好ましい配合割合は、ホウ酸塩とホウ酸とをNa247及びH3BO3に換算した質量比が(ホウ酸塩/ホウ酸)=0.25〜2である。
(カチオン性化合物)
本発明では、インクジェット印刷後の画像の色相の変化をいわゆるインク定着剤とよばれるカチオン性化合物によって制御する。以下、インクジェット定着剤について詳細に説明する。
本発明でいうカチオン性化合物とは、その水溶液又は水分散液がカチオン性である物質のことであり、例えばカチオン性高分子化合物をあげることができる。つまり一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム塩、環状アミンおよびこれらの高分子を単量体としたものが挙げられる。具体的にはビニルイミン、アルキルアミン、アルキレンアミン、ビニルアミン、アリルアミン、脂環式アミン、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、アクリルアミド、アミドアミン、アミジンなどのカチオン性高分子を単量体として使用する高分子化合物等が挙げられる。本発明では、染料インク使用時のにじみが減少するため、カチオン性化合物の分子構造がアクリル酸を主骨格としベンジル基を含有する高分子化合物(アクリル酸とベンジルアミンの縮合物等)を用いる。この理由は定かではないが、アクリル系の物質は表面サイズ剤として使用されることが多く、その疎水性の高さから塗工層内のインクのにじみを防いでいると推測している。
本発明においては、処理液中に含有させるカチオン性化合物のカチオン化度を2.0meq/g以上4.0meq/g以下に規定する。
カチオン性化合物のカチオン化度が4.0meq/gを超えると、例えば濃淡2種のインク(同一色調の色材をそれぞれ含有量を変えて含有させたインク)を用いて印字した際、これら複数のインクのアニオン性がそれぞれ異なるため、各インクの定着に必要なインク定着剤の量の差が大きくなることに起因して、各色の発色が異なり、元画像と比べて色相の差が大きくなる。一方、カチオン性化合物のカチオン化度が2.0meq/g未満であると、インク定着力が小さくなり印字濃度が低く、にじみが生じ易い。
ここで、カチオン化度とは、0.001mol/Lのポリビニル硫酸カリウム(PVSK)溶液を用いて滴定したとき、電荷が0となるときのPVSKの消費量から算出される値である。カチオン化度の測定原理は、塩基性色素であるトルイジンブルー(TB)が、アミノ基を有する正コロイドには吸着されないが、負コロイドには直ちに吸着されて赤紫色に変色する現象を利用した滴定法に基づいている。例えば、カチオン性樹脂水溶液にTBを加え、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)の希薄溶液を滴下すると、PVSKはカチオン性基と優先的に反応するので、はじめはTBの変色はないが、当量点を過ぎると過剰のPVSKはTBと反応し、溶液は青から赤紫色に変色する。従って、TBを指示薬にすることによりPVSKの消費量からカチオン化度を算出できる。
具体的には、次のようにしてカチオン化度の測定を行う。まず、試料(固形分として0.05〜0.15g)を水で希釈して100mlとし、この試料水溶液10mlを採取する。水溶液のpHは、希薄なアンモニア水溶液または酢酸水溶液を数滴加えることで適宜調整する。この水溶液を攪拌下、TB水溶液を2〜3滴加えると、青色(sky blue)を呈するが、さらに1/500規定のPVSKを滴下すると、当量点近くで沈殿が生じ、液が白濁する。さらにPVSKを滴下し、液相が青色から赤紫色に変色したらPVSKの滴下を止めてビューレットの目盛りを読む。そして、次式
カチオン化度(meq/g・固体)={V×1/500}/{S×(N×100)×(10×100)}
によってカチオン化度を算出する。ここで、式中、V:1/500規定のPVSK水溶液の滴定量(ml)、S:試料採取量(g)、N:試料固形分(%)を示す。
また電荷は粒子表面電荷測定装置(MUTEC TOLEDO DL−50など)を用いて測定することことも可能である。
本発明においてはカチオン化度の低い(4.0meq/g以下の)カチオン性化合物を用いると、元画像の色相を再現できる理由は以下のように考えられる。通常の染料インク用インクジェットプリンターでは、カラー画像の色再現のため、複数の水溶性染料インクを使用する。各インクはそれぞれ分子構造が異なり、アニオン性の度合いが異なる。従って、インクジェット記録媒体にインク定着剤とカチオン性化合物が存在すると、各インクとカチオン性化合物との反応性がそれぞれ異なり、その結果としてインク受理層中のインク分布がインクのアニオン性によって異なるため、本来の色相とは異なる色相を発現する可能性がある。そこで、カチオン性化合物のカチオン化度を低くすることで、各インクとの反応性(インク定着性)の差が小さくなり、元画像の色相を再現し易くなると考えられる。特に、インクが混色されるグレー部や肌色部においては、元画像の色相を再現し難いが、このような場合に本発明は特に有効であり、画像部のカラーバランスを向上させることができる。
なお、通常、カチオン化度が小さいとインク定着性が劣ると考えられている。しかし、本発明においては、凝固剤を含有する処理液中にインク定着剤として機能するカチオン性化合物を含有させるため、インク受理層表面にカチオン性化合物をより多く含有することができる。これにより、カチオン化度が低くインク定着力が十分でないカチオン性化合物を用いても、水溶性染料インクの色剤が表面近くにとどまり、印字濃度が向上すると考える。
本発明において、前記処理液中のカチオン性化合物の配合量は1〜8質量%とすることが好ましい。カチオン性化合物の配合量が1質量%未満であると、カチオン性化合物に由来する上記した効果が充分に発揮されず、8質量%を超えると凝固剤の粘度が上昇する場合など塗工性が悪化する場合がある。
又、本発明においては、前記カチオン性化合物がインク受理層の最表面に付着することで、元画像の色相を再現させる。このため、処理液がある程度の付着量で塗工層に塗布される必要がある。そこで、処理液中のカチオン性化合物が固形分換算で0.5g/m2以上、インク受理層に塗布されることが好ましい。又、処理液の塗布量の上限は特に制限されないが、生産性を考慮して、処理液中のカチオン性化合物が固形分換算で4.0g/m2以下程度になるよう、処理液の塗布量を制御することが好ましい。
前記処理液にはさらに、顔料、増粘剤、顔料分散剤、消泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
また、前記処理液を塗工層表面に塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
(離型剤)
又、上記塗工液および/または処理液には、必要に応じて離型剤を添加することができる。離型剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の温度範囲においては、離型剤の融点が鏡面仕上げ面の温度とほぼ同等であるため、離型剤としての能力が最大限に発揮される。離型剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではないが、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸若しくはその塩類、又はポリエチレンワックス、レシチンなどが好ましく、ポリエチレンワックスを用いることがさらに好ましい。
(インク)
本発明のインクジェット記録媒体に使用されるインクとしては、画像を形成するための色素と、該色素を溶解または分散する液媒体とを必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整したものが挙げられる。
インクに使用される色素(記録剤)としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料等があげられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。色素の含有量は、液媒体成分の種類、インクに要求される特性などに応じて決定されるが、従来のインクと同様に、液媒体の0.1〜20質量%程度の割合になるように色素を含有させてよい。
インクの液媒体としては、水、及び水溶性の各種有機溶剤が挙げられる。水溶性の有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;などが挙げられる。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
(実施例1)
<支持体の作製>
叩解度350mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、炭酸カルシウム10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.15部、及び歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙した。抄紙の際、5%のデンプンと0.2%の表面サイズ剤(AKD)溶液を紙の両面に片面当り固形分で2.5g/mとなるように塗布し、坪量170g/m2の支持体を得た。支持体のステキヒトサイズ度は200secであった。
<インク受理層の塗工>
支持体の片面に、バーコーターを用いて以下の塗工液Aを塗工(固形分塗工量12g/m)し、塗工層が湿潤状態にある間に、以下の処理液を塗布(固形分塗工量約3g/m)して塗工層を凝固させた。次いで、プレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、185g/mのインクジェット記録媒体を得た。
塗工液A:コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)20部と、湿式シリカの一種である沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)80部とを配合した顔料スラリーに対し、バインダーとしてポリビニルアルコール10部(ポリビニルアルコール溶液中の固形分換算)、さらに離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)を2部配合して濃度25%の塗工液を調製した。
処理液:(ホウ砂/ホウ酸)で表される配合比が2で、ホウ砂をNa24で換算し、ホウ酸をH3BOで換算した時の濃度を4%とし、さらにカチオン性化合物(アクリル酸とベンジルアミンの共重合物、センカ製の商品名HQ16、カチオン化度2.8meq/g)2%、離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)0.25%、浸透剤(パイオニンD−3120−W:竹本油脂株式会社製の商品名)0.5%、及びpH調整剤としてクエン酸0.25%を水に配合して凝固剤を調製した。
(実施例2)
処理液の、カチオン性化合物の配合量を4%に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
(実施例3)
処理液の、カチオン性化合物の配合量を6%に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
(実施例4)
処理液の、カチオン性化合物の配合量を8%に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例1>
処理液の、カチオン性化合物をジアリルアミンアンモニウムクロライド系高分子(センカ製の商品名CP103、カチオン化度5.3meq/g)に変更したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例2>
処理液の、カチオン性化合物をポリアミン系高分子(星光PMC製の商品名DK6860、カチオン化度7.2meq/g)に変更したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例3>
処理液中のカチオン性化合物を、ポリアリルアミン系高分子(日東紡製の商品名PAA−HCl−05、カチオン化度10.7meq/g)に変更したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例4>
処理液中のカチオン性化合物を、ポリエチレンイミン系高分子(日本触媒製の商品名エポミンP1000、カチオン化度8.5meq/g)に変更したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例5>
処理液中のカチオン性化合物を、アミジン系高分子(ハイモ製の商品名SC−700M、カチオン化度6.2meq/g)に変更したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例6>
処理液中のカチオン性化合物を、スチレン−アクリル酸系(荒川化学製の商品名PM360、カチオン化度1.1meq/g)に変更したこと以外は、実施例2とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<評価方法>
各実施例及び比較例のインクジェット記録媒体を試料に用い、以下の方法で評価した。なおインク定着剤のカチオン化度は、以下の方法にて測定した。
・インク定着剤のカチオン化度測定
インク定着剤の粒子表面電荷測定装置(MUTEC TOLEDO DL−50)にて測定した。
1)光沢感−20°鏡面光沢度
光沢度計(村上色彩技術研究所製、True GLOSS GM−26PRO)を用い、ISO 8254−1に従って、20°鏡面光沢度を測定した。△以上であれば実用上問題がない。
◎:20°鏡面光沢度が30%以上
○:20°鏡面光沢度が25%以上未満
△:20°鏡面光沢度が20%以上未満
×:20°鏡面光沢度が20%未満
2)色相
Excel(Microsoft社)を使用し、 書式設定の“セルの網かけ”を “50%灰色”としたセルを、染料インクプリンター(PIXUS iP−4100、キヤノン社製)を用いて印刷した。白色度用高速分光光度計(CMS−35SPX:村上色彩技術研究所社製)を用いて印刷部の知覚色度指数を測定し、画像の赤味を評価した。評価が○、△であれば実用上問題がなく、元の灰色画像の色相を再現しているといえる。
○:(|a*|)が2未満
△:(|a*|)が2以上、3未満
×:(|a*|)が3以上
3)吸収性−インクジェット印字による滲み、ムラ評価
インクジェットプリンターとして、染料インクプリンター(PIXUS iP−4100、キヤノン社製)を用いた。上記ベタ印字部の各色境界部の滲み(境界滲み)の程度を5段階評価で目視評価した。目視評価5が最も優れ(滲み、ムラがない)、目視評価1が最も劣る(著しい滲み及びムラがある)ものとした。境界滲み及びムラについてそれぞれ目視評価を行い、これらの総合評価を以下の指標で行った。総合評価が△以上であれば実用上問題がない。
◎:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも5である
○:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも4.5以上である
△:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが4である
×:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが3.5以下である
得られた結果を表1、表2に示す。
Figure 2009241529
Figure 2009241529
表1、2から明らかなように、適正なインク定着剤の選定によって写真調のインクジェット記録媒体の要件を満たしつつ色相に優れた記録媒体を作製することができた。
一方、表2の実施例2と比較例1〜6の比較からインク定着剤の種類とカチオン化度の範囲を変更した場合において、適正なインク定着剤を使用しない場合は色相と写真調インクジェット記録媒体としての要件を両立することができなかった。

Claims (1)

  1. 支持体上に、少なくとも顔料とバインダーを含有するインク受理層用塗工液を塗布して塗工層を設け、該塗工層の表面が湿潤状態にある間に、塗工層を凝固させる凝固剤を含有する処理液を塗布し、その後、該塗工層を加熱した鏡面に圧接、乾燥してインク受理層を設けるインクジェット用記録媒体の製造方法において、前記処理液はカチオン化度が2.0meq/g以上4.0meq/g以下のカチオン性化合物を含有し、前記カチオン性化合物は、アクリル酸を主骨格としベンジル基を含有する高分子化合物であることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
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