以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
図1は、本発明の一実施例である炊飯器の基本的な断面図を示している。同図において、炊飯器の外郭をなす本体1は、その上面と上側面を構成する上枠2と、側面を構成するほぼ筒状の外枠3と、外枠3の底部開口を覆う底板4とにより構成される。また、上枠2の上面内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部5と、この鍋収容部5の下面開口を覆って設けられる内枠6とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体9が形成される。
11は、米や水などの被炊飯物を収容し、前記本体1を構成する鍋収容体9内に着脱自在に収納される有底筒状の鍋である。この鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成される。
前記内枠6の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって鍋11の発熱体13が発熱し、鍋11ひいては鍋11内の被炊飯物が加熱されるようになっている。
また、内枠6の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、鍋温度検出手段としての温度センサ17が配置され、鍋11の温度を検知し、加熱コイル16による鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ18が円環状に配置される。このコードヒータ18は電熱式ヒータからなり、鍋収容体7の上端に載置して取付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング19上に保持されると共に、コードヒータ18を上から覆うようにしてヒータリング19に取付けられた金属板20を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板20は、本体1と後述する蓋体21との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板20の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体1の上枠2に吊られた状態で、鍋収容体9内に収容されるようになっている。
蓋体21は、図2にその細部が示されているように、鍋11を収容する鍋収容体9を含む本体1を覆い、蓋体21の上面外殻をなす外蓋22と、外蓋22の上面部を覆う三次元形状の金属蓋23と、その外面が蓋体21の内面(下面)を形成する放熱板24と、外蓋22および放熱板24を結合させて蓋体21の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー25とを主たる構成要素としている。また、前記蓋体21の内部にあって、放熱板24の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ26が設けられている。この蓋ヒータ26は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
前記上枠2の後方には、蓋体21と連結するヒンジ部28が設けられる。このヒンジ部28には、正面から見て左右方向に一対の孔(図示せず)が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成した付勢手段としてのヒンジバネ29が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー25の後方にも、前記ヒンジ部28に設けた孔と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔(図示せず)が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部28の孔に共通して、棒状のヒンジシャフト30を挿通することで、本体1と蓋体21がヒンジ部28のヒンジシャフト30を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ29の一端と他端が、外蓋カバー25と上枠2にそれぞれ引掛けられることで、蓋体21はヒンジバネ29の弾性反発力を利用して常時開方向に付勢される。
蓋体21を開閉する操作手段に相当する蓋開ボタン32は、使用者が操作できるように蓋体21の前方上面から露出状態に配設されており、この蓋開ボタン32を押すと、蓋体21と本体1との係合が解除され、ヒンジバネ29によって蓋体21が自動的に開く構成となっている。
ここで、図2を参照しながら、本実施例における蓋体21と本体1の開閉構造について、さらに詳しく説明する。蓋体21には係合部に相当するクランプ34が配置される。このクランプ34は、クランプ34に一体に形成された蓋体21の内部に設けたクランプシャフト35を中心として、外蓋カバー25に対し回転自在に軸支される。
クランプ34は、蓋開ボタン32に当接する基端部34Aの他に、外蓋カバー25の下面にあるクランプ用孔37を貫通して下方に突出する垂下部34Bと、クランプ34の実質的な先端部に相当し、垂下部34Bの本体1側の面に凹状に形成された係合部34Cとにより構成される。クランプ34はポリアセタールなどの合成樹脂部品で形成し、係合部34Cはクランプ受け38と線接触する形状とする。そうすることで、クランプ34とクランプ受け38との摩擦を低くすることができ、良好な係合を得られる。また、炊飯器ひいては本体1の正面側から見て、略中央の位置にクランプ34の係合部34Cを設ける。これらの垂下部34Bや係合部34Cは、クランプ34の下面に設けられる。クランプ34の回転中心となるクランプシャフト35は、蓋開ボタン32上面と係合部34Cの略中間位置に配置され、係合部34Cは本体1の略前後方向に揺動する。
クランプ34には、係合部34Cがクランプ受け38と係合する為に本体1側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段36が設けられ、これによりクランプ34の垂下部34Bおよび係合部34Cに力が作用するようになっている。また、このクランプ付勢手段36は後述する内蓋62が取り付けられた場合のみに付勢力を発揮し、内蓋62が取り付けられていない場合は、クランプ34とクランプ受け部38は係合せず、蓋体21が閉まらない構成となっている。こうすることで、使用者の内蓋62の付け忘れを防止している。
一方、上枠2に設けたヒンジ部28の略反対側に位置して、該上枠2の前方には係合受部に相当するクランプ受け38が配設されており、蓋体21を本体1側に閉じようとすると、クランプ付勢手段36の付勢力により、クランプ34がクランプシャフト35を中心軸として回転し、当該クランプ受け38に係合することで、本体1に対し蓋体21を閉状態に保持するようになっている。クランプ受け38は、ポリアセタールなどの合成樹脂部品で形成する。そうすることで、クランプ受け38を他の材料で形成した場合と比べ、摺動性が向上し良好なクランプ34との係合を得られる。反対に蓋体21を開く場合には、蓋開ボタン32を押動操作し、クランプ34の基端部34Aを下方に押下げてクランプ34を逆方向に回転させ、係合部34Cを本体1の前方に変位させて、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除する。上枠2のクランプ受け38下方部には、クランププッシュ39が配設され、蓋体21が開いているときにはバネなどの付勢手段により常時クランプ受け38と当接し、蓋体21が閉じているときは、クランプ34により下方に押し込まれるようになっている。また、蓋開ボタン32を押動操作することで、クランプ34が回転しクランプ受け38との係合が一旦解除されると、クランププッシュ39が付勢手段により上方に突出しクランプ受け38と当接することで、クランプ34の係合部34Cとクランプ受け38との係合を阻害するようになっている。こうすることで、使用者が蓋体21上面に手を置いたまま、蓋開ボタン32を押動操作したときに、蓋体21が開く前に再度クランプ34の係合部34Cとクランプ受け38が係合するのを防ぐことができる。
なお、ここでは蓋体21側にある可動するクランプ34を係合部といい、本体1側にある固定したクランプ受け38を係合受部としているが、蓋体21に固定した係合部を設け、本体1に可動する係合受部を設けてもよい。何れにせよ、これらのクランプ34およびクランプ受け38が、本体1と蓋体21との閉状態を保持するための保持手段たる係合手段を構成する。
次に、蓋開ボタン32の変位を検知する検知の構成について、図1〜5をそれぞれ参照しながら説明する。蓋開ボタン32の裏(内)側部には、LED41やマイクロスイッチ42を実装した基板43が配設される。LED41は、蓋開ボタン32の上面部に対向して配置され、後述する減圧手段91が動作すると点灯作動する警報手段として設けられている。マイクロスイッチ42は、蓋開ボタン32を押動操作して、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除しようとしたときに、外蓋22から離れることにより、その動作を検知して検知信号を出力する。つまり、ここでのマイクロスイッチ42は、蓋開ボタン32の変化を検知する検知手段45として設けられる。なお、別なセンサにより同等の機能を有する検知手段45を構成してもよい。また、本実施例のマイクロスイッチ42は、蓋開ボタン32内に設けられているが、検知手段45として本来の目的を発揮すれば、その限りではない。
図3B、図3C、及び、図4Aは、基板43の取付け例を示している。ここでは警報手段としてのLED41を外部に透光させるために、基板43が透明部材からなる基板ホルダー47と基板カバー48で囲まれる。基板カバー48は、基板43を収容する膨出部49の周囲に平板部50を形成してなり、前記LED41に臨んで、蓋開ボタン32の中央部をなす凸状の導光部32Aが形成される。また、基板43に接続した電気配線用の複数のリード線52は、膨出部49の側部に形成した通し穴部53を通して、基板カバー48の外部に引き出されているが、この通し穴部53からの水や蒸気などの浸入を防ぐために、リード線52を1本ずつ挿通させる溝部54が、当該通し穴部53に形成される。基板ホルダー47は、膨出部49の開口面を塞いで、外部から基板43への水などの浸入を防ぐ為、基板43に対向し基板カバー48より一段奥まった位置で取り付け固定される。
又、基板ホルダー47内面にシリコーンゴム等の弾性部材からなる防水シート51を配置して水や蒸気の浸入を防いでもよい。
さらに、この基板ホルダー47を取付けた側の反対側に位置して、基板カバー48の外面には、前述した蓋開ボタン32が取付け固定される。これにより、蓋開ボタン32と基板43は、基板ホルダー47や基板カバー48を含む一体的な可動部組立体55として構成され、蓋開ボタン32の内面からコイルバネ等による付勢手段40と共に外蓋カバー25に蓋開ボタン押さえ46により取り付けられることにより、蓋開ボタン32の押動操作と共に、マイクロスイッチ42を実装した基板43も動くことになる。
図5は、前記可動部組立体55と外蓋カバー25との取付け構造を示している。基板ホルダー47には、クランプ34の基端部34Aが当接する突出部47Aが形成され、付勢手段である蓋開ボタンバネ40と共に蓋開ボタン押さえ46により取付けられる。また、蓋開ボタン押さえ46は、基板ホルダー47の突出部47A及びマイクロスイッチ42を受ける形状となっていると共に、蓋開ボタン32を押動操作した時のガイド部58を備えており、これにより可動部組立体55はスムーズに動作することができ、蓋開ボタン32の変化を正しく検知することができる。
61は、放熱板24の外側すなわち下側に設けられる蓋体21の下部部材としての内蓋組立体である。この内蓋組立体61は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイト処理した金属製の内蓋62と、鍋11と内蓋62との間をシールするために、当該内蓋62の外側全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなる蓋パッキン63と、鍋11内の内圧力を調整する調圧部64とを備えている。環状に形成された蓋パッキン63は、蓋体21を閉じた時(蓋閉時)に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋62との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。
前記放熱板24には、蓋体21の特に内蓋62の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ26による内蓋62の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ65(図14参照)が設けられている。また、蓋体21の上面後方寄り部には、蓋体21の上面側から着脱可能な蒸気排出部としての蒸気排出ユニット66が設けられる。蒸気排出ユニット66と調圧部64は蓋体21の内部で連通しており、これらの蒸気排出ユニット66や調圧部64により、鍋11内で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気排出機構が形成される。
ここで、図6を参照しながら、調圧部64の構成をより詳しく説明する。前記調圧部64は、調圧用の調圧弁69と、調圧弁69を保持する調圧弁ホルダー組立体70と、調圧弁69を覆うドーム状の調圧弁カバー71とを備えて構成される。調圧弁69は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレスからなるボールで形成される。
調圧弁ホルダー組立体70は、第1ホルダー72と、第2ホルダー73と、減圧支持部材に相当する第1調圧パッキン75と、第2調圧パッキン76とにより構成される。
第1調圧パッキン75には、鍋11内の減圧時にボール状の調圧弁69の下方に当接する連通孔74が設けられる。この連通孔74は、鍋11と内蓋62とを連通させる為のもので、連通孔74を通過する蒸気が、蒸気排出ユニット66から外気へ放出されるようになっている。これらの第1ホルダー72と第2ホルダー73は、前記第1調圧パッキン75を保持する保持部材として、内蓋62に設けた孔81に装着される。第1ホルダー72は全体がキャップ状に形成され、その中央部に貫通孔72Aを有し、貫通孔72Aの周辺部72Bと第2ホルダー73の上端部73Aとにより、第1調圧パッキン75の基部を挟持するようになっている。また、第2ホルダー73は筒状で、その下側には内蓋62の孔81周辺の下面に当接するフランジ73Bが形成されると共に、フランジ73Bの上方外周には、リング状の前記第2調圧パッキン76を嵌合させる凹溝73Cが形成される。
調圧弁ホルダー組立体70の組立に際しては、まず第2ホルダー73の凹溝73Cに第2調圧パッキン76を嵌め込んだものを、内蓋62に設けた孔81に差込む。次に、第2ホルダー73の上端部73Aを覆うようにして、第1調圧パッキン75を第2ホルダー73の上端部73Aに載置し、その状態から更に第1調圧パッキン75を挟む様にして、第1ホルダー72を上方から被せて、第2ホルダー73に第1ホルダー72を取付ける。
このようにして組立てた調圧弁ホルダー組立体70で調圧弁69を保持し、上方から調圧弁カバー71を被せることで調圧部64を構成する。この時、調圧弁ホルダー組立体70と調圧弁カバー71との取付けは、図6に示すように調圧弁カバー71に形成された凸状の係合部79と第1ホルダー72に形成された凹状の被係合部80とを互いに嵌合させた爪嵌合でも良いし、ネジやリベットなどの止着部材を利用して止めてもよい。調圧弁カバー71は、調圧弁69の移動範囲を規制するためのもので、連通孔74から放出する蒸気を蒸気排出ユニット66に導く複数の孔(図示せず)が設けられている。また内蓋62は、調圧弁ホルダー組立体70と調圧弁カバー71とで峡持されるので、内蓋62の孔81は露出しない。
調圧弁69を動かして蓋体21の密閉度即ち鍋11の内圧を調節する調圧用ソレノイド82が、蓋体21内部に設けられている。調圧用ソレノイド82の非通電状態では、その先端部を進出位置に保持し、調圧弁69を連通孔74から退避する一方、調圧用ソレノイド82の通電状態では、その先端部を退避させ、調圧弁69を連通孔74に自重で転動させ、連通孔74を塞いで鍋11内の空気を後述する減圧手段91により吸引することにより、鍋11内を真空状態にする。
第1調圧パッキン75および第2調圧パッキン76は、何れもシリコーンゴム等の弾性部材で構成する。これにより、特に図6に示す鍋11内の減圧時には、第1調圧パッキン75の弾性変形により、調圧弁69が当該第1調圧パッキン75に密着し、第1調圧パッキン75における開口部、即ち孔75Aのシール性が向上する。
前記内蓋組立体61には、その他に鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると開弁して、鍋11の内圧を下げる安全弁85が設けられる。調圧部64および安全弁85は、内蓋62を外蓋カバー25の下側に取付けたときに、蒸気排出ユニット66の入口側に臨んで設けられる。そして、内蓋62,蓋パッキン63,調圧部64および安全弁85は、内蓋組立体61の外周に設けたパッキンベース86で一体化され、外蓋カバー25内面に着脱可能に備えてある。この円環状のパッキンベース86は、内蓋62と蓋パッキン63とを装着するものであるが、ここには内蓋62の取付部と、蓋パッキン63の取付部の他に、外蓋カバー25への取付部と、使用者が内蓋組立体61を容易に着脱できるように、取手部をそれぞれ形成している。
また、鍋11内の被炊飯物を加熱する炊飯時は、調圧部64の連通孔74は調圧用ソレノイド82により、その先端部を進出位置に保持し、調圧弁69を連通孔74から退避することにより、開放状態とすることにより鍋11内が加圧状態とならない構造としている。しかも、前記連通孔74の大きさを調整することにより、何らかの原因により調圧弁69が連通孔74を塞いだとしても、鍋11内の圧力値を1.05気圧(atm)未満にすることにより、前記安全弁85を設けなくてもよい構成とすることができる。
図8A〜8Dに示すように、内蓋組立体61は、内蓋押さえバネ68により付勢された内蓋押さえ67により外蓋カバー25に係合され、使用者が内蓋押さえ67を回転動作させることにより、内蓋組立体61を取り外すことができる。内蓋押さえ67はポリアセタールなどの合成樹脂部品で形成する。そうすることで、内蓋押さえ67を他の材料で形成した場合と比べ、摺動性が向上し良好な内蓋組立体61との係合を得られる。
図9〜11にて、内蓋押さえ67の組立方法について説明する。まず外蓋カバー25に内蓋押さえバネ68を取り付け、次に内蓋押さえ67には左右外向きに突出した凸部218が2ヶ所設けられており、これらを外蓋カバー25の内側面に設けられた挿入穴219に挿入する。これにより、内蓋押さえ67は前記凸部218を軸とし、回転動作させることができる。また、前記凸部218の間にクランプ34を取り付けることにより、部品点数の抑制と製品のコンパクト化を図ることができる。さらに、図12A,図12Bに示すように、外蓋カバー25に対して内蓋押さえ67,クランプ34の順で組立てると、内蓋押さえ67の凸部218の周囲に形成した外れ防止しろ218Aを備えたことで、使用者が内蓋押さえ67に無理ない力を加えて引っ張ったとしても、少し撓んだ当該外れ防止しろ218Aがクランプに当接することにより、クランプ34が障害物となりそれ以上凸部218周辺が撓むことを防ぐことにより、凸部218が挿入孔219から外れることを防ぐので、内蓋押さえ67が外蓋カバー25から外れることを防止する(図13参照)。
91は、蓋体21を本体1に閉じた状態で、鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けられた減圧手段である。この減圧手段91は、蓋体21の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ92と、この減圧ポンプ92から本体1および蓋体21を経て、内蓋62に設けた孔226に至る管状の経路94とにより構成される。また、蓋体21の内部には、経路94の基端部を開閉する開閉手段としての真空弁210が設けられる。真空弁210には、前記内蓋62の孔226の周囲に向けて放熱板24から下方に突出した吸盤状の減圧パッキン211が接続される(図14〜16B参照)。
ここで、図14〜16Bを参照しながら、真空弁210の構成をより詳しく説明する。真空弁210は、前記減圧パッキン211と密着状態に配設される真空弁ホルダー212と真空弁シャフト213と真空弁バネ214と第1真空弁パッキン215と第2真空弁パッキン216と真空弁カバー217により構成される。真空弁シャフト213は、真空弁ホルダー212に設けられた連通孔212Aを閉塞する為の弁体である。この真空弁シャフト213の先端には、シリコーンゴム等の弾性部材からなる第1真空弁パッキン215が取付けられ、真空弁ホルダー212との密閉性を向上させている。
また、この真空弁シャフト213は真空弁バネ214により付勢され、第1真空弁パッキン215が真空弁ホルダー212に押し当てられ、真空弁ホルダー212との密閉性を更に向上させると共に、真空弁ホルダー212に設けられた内蓋側連通孔212Aからの蒸気の侵入を防止している。この真空弁バネ214は真空弁カバー217により位置と高さを規制されている。
真空弁カバー217には、真空弁ホルダー212との嵌合爪220と外蓋カバー25への取付け部221、真空弁シャフト213と真空弁バネ214のガイド部222、第2真空弁パッキン216の載置部223、そして後述する減圧ポンプ92とを接続するチューブ224の差込み部225が備えられている。第2真空弁パッキン216は、真空弁ホルダー212と真空弁カバー217を密閉状態にする為のものである。
真空弁210の組立に際しては、真空弁カバー217に第2真空弁パッキン216を載置し、次に真空弁バネ214と真空弁シャフト213に第1真空弁パッキン215を取付けたものをセットする。そして、真空弁ホルダー212を真空弁カバー217の嵌合爪220により嵌合され、外蓋カバー25に取付けられる。そして、減圧ポンプ92とチューブ224により接続され内蓋62に設けた孔226に至る管状の経路94を形成している。
そして、内蓋62を含む内蓋組立体61を蓋体21の下面に装着すると、減圧パッキン211が弾性変形しながら内蓋62の上面に密閉当接し、これにより鍋11と減圧ポンプ92とを連通する経路94が形成される。また、内蓋組立体61を装着した状態で蓋体21を閉じると、蓋パッキン63が鍋11に密着して、調圧弁69が連通孔74を塞いでいれば、減圧ポンプ92を駆動させることにより、まず真空弁210内の圧力が低下する。このとき、鍋11内の圧力はまだ大気圧と等しいので、真空弁210内と鍋11内には圧力差が生じることとなる。この圧力差が、真空弁バネ214の付勢力に勝ると真空弁シャフト213が上昇し経路94が連通状態となり、減圧ポンプ92の吸引力により、鍋11内の空気が経路94および減圧ポンプ92を通って本体1の外部に排出され、密閉した鍋11内の圧力が低下する。また、鍋11内の圧力が大気圧よりも一定量下がった場合に、減圧ポンプ92の駆動を停止すると、鍋11内と真空弁210内の圧力差が消失し、真空弁バネ214の付勢力により真空弁シャフト213及び第1真空弁パッキン215が真空弁ホルダー212の連通孔212Aを閉塞して、鍋11内を閉塞して減圧状態に保っている。さらに、スローリークにより鍋11内の圧力が上昇した場合にも、減圧ポンプ92を起動させて、真空弁210ひいては経路94を開放し、鍋11内を大気圧よりも低い状態に維持している。
このような鍋11内が大気圧よりも低い状態では、調圧弁69は自重により第1調圧パッキン75と密着しながら当該第1調圧パッキン75の孔75Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保され、減圧を継続して行える(図6参照)。
逆に炊飯時などには、後述する調圧操作部161により、調圧弁69が移動し第1調圧パッキン75の孔75Aを開放することで、鍋11内より発生した蒸気を外部へ排出することができる。
次に、減圧手段91を構成する減圧ポンプ92周辺の構造について、図1,図2,図14,図17を参照して説明する。減圧ポンプ92は、外蓋カバー25の後方にある鍋11内より発生する蒸気を外部へ排出する蒸気排出ユニット66の近傍に固定される。また、減圧ポンプ92の取付け部には、減圧ポンプ92からの振動伝達を低減させるために、弾性部材からなるブッシュ97が取付けられる。減圧ポンプ92は、空気を吸入する吸入口92Aと、その吸入した空気を外部に排出する排出口92Bがそれぞれ設けられており、前記真空弁210と吸入口92Aとをチューブによる経路94により連通し、内蓋62の下方に位置する鍋11内の空気を吸引するようになっている。また、減圧ポンプ92から排出される空気には、被炊飯物から蒸発する水分を含む空気中の水分を蓋体21の外部に排出する構成となっている。
蓋体21内に減圧ポンプ92を含む全ての減圧手段91が配置されている関係で、減圧ポンプ92から真空弁210に至る経路94を最短の距離で引き回すことができる。また経路94は、その途中で可動するヒンジ部28などを通らず、経路94の損傷を防ぐことができる。
前記本体1の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には、時間や選択したメニューを表示するLCD102や、図示しないが、現在の行程を表示するLEDや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させたりする操作スイッチ103の他に、鍋11内の減圧状態を選択する減圧選択スイッチなどを配置した基板が配設される。操作パネル101にはボタン名などが表示され、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体21の正面側に設けてもよい。
111は、本体1の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。さらに、本体1の内部には、電源プラグ(図示せず)を巻き取るためのコードリール116が設けられる。
蓋体21の内部には、減圧手段91の他に、クランプ34の移動を規制する阻害手段121が設けられる。阻害手段121の構成について、図2,図18〜20を参照して説明すると、調圧用のソレノイド82は、調圧弁69を動かして蓋体21の密閉度即ち鍋11内圧を調節するものであり、電磁力により内部からプランジャー151を出没させて、外蓋カバー25に向けてプランジャー151と共に可動する調圧フレーム152と、蓋体21内部を水密状態に保持するための可撓性開閉パッキン153(図2参照)が設けられる。図17にも示すように、これらの調圧用ソレノイド82や調圧フレーム152は、外蓋カバー25により蓋体21内に形成された調圧収容部154に収容配置される。
調圧フレーム152は、調圧弁69に向けて突出した操作部としての調圧操作部161と、調圧用ソレノイド82を囲うようにして設けたフレーム部162と、調圧操作部161の略反対側に設けられた調圧フレームロック片163とを備えて構成される。
さらにここでは、前記調圧フレーム152のフレーム部162から延出した開閉フレーム175が形成される。また蓋体21の内部には、プランジャー151と共に可動し、調圧用ソレノイド82と共に調圧収容部154に収容配置される開閉フレーム175と、蓋体21内部を水密状態に保持するための可撓性開閉パッキン153(図2参照)が設けられる。
一方、図21および図22に示すように、前記内蓋62には、前記調圧部64に対向する孔81とは別な開閉用孔181が設けられ、この開閉用孔181は、蓋体21内に溜まった被炊飯物としてのおねばを鍋11内に戻し、又、開閉用孔181に臨んで上下動する開閉弁182を収容した弁開閉手段183が、内蓋62の上面側に装着される。したがって、調圧部64および安全弁85の他に、弁開閉手段183が内蓋62に設けられる。弁開閉手段183は、前述した開閉用孔181の上方にある開閉弁182と、開閉用孔181を開ける方向、すなわち上方に開閉弁182を付勢する付勢手段としての開閉弁バネ184とを備えている。また、開閉弁182の上部に臨んで、接触若しくは所定の隙間を有した状態で、蓋体21側に蓋体21内部を水密状態に保持するための可撓性開閉パッキン176が配設される。可撓性開閉パッキン176は、外蓋カバー25に設けられた開閉用シャフト186の動作と連動するようになっている。
開閉用シャフト186と前記調圧用ソレノイド82のプランジャー151との間には、開閉フレーム175の前方に一体化して設けた腕片状の開閉用シャフト操作部188が配設される。この開閉用シャフト操作部188は、開閉用シャフト186の上部に対向してカム面188Aを形成しており、プランジャー151ひいてはこれに連動する開閉用シャフト操作部188が出没するのに伴い、開閉用シャフト186の上部が接するカム面188Aの位置が変わることで、開閉用シャフト186ひいては開閉弁182が上下動するようになっている。具体的には、図22に示す調圧用ソレノイド82の非通電状態では、開閉弁バネ184により開閉弁182が開閉用孔181から離れて、この開閉弁182および開閉用シャフト186が押し上がるように、プランジャー151および開閉用シャフト操作部188が進出位置に移動し、逆に図21に示す調圧用ソレノイド82の通電状態では、開閉弁バネ184の付勢に抗して、開閉用シャフト操作部188のカム面188Aが開閉用シャフト186ひいては開閉弁182を押下げ、それにより開閉弁182の下部が内蓋62の開閉用孔181を閉塞するように、プランジャー151および開閉用シャフト操作部188が後退位置に移動する。よって、調圧用ソレノイド82の通電状態では、蒸気口146に連通する開閉用孔181を開閉弁182が塞いで、鍋11内を減圧状態にする。
前記調圧フレーム152から延出した開閉フレーム175の前方には、カム面188Aを有する開閉用シャフト操作部188が設けられる。そして、調圧用ソレノイド82のプランジャー151が後退位置にあるときには、クランプ34がクランプ受け38から係合解除する方向に動くのを規制するために、調圧フレームロック片163が蓋開ボタン32の下方に潜り込むように配置される。逆に、調圧用ソレノイド82のプランジャー151が進出位置にあるときには、調圧フレームロック片163が蓋開ボタン32の下方から離れる。つまり、蓋開ボタン32の下方に、調圧フレームロック片163が位置するときには、蓋開ボタン32の動作が規制されることにより、蓋開ボタン32がクランプ34の基端部34Aに当たらない為、クランプ34がクランプ受け38から係合解除できなくなるが、調圧フレームロック片163が、蓋開ボタン32の下方から離れると、蓋開ボタン32がクランプ34の基端部34Aを押し、クランプ34がクランプ受け38から離脱して、蓋体21が開くようになっている。
図7は、前記安全弁85の断面図である。この安全弁85は、内蓋62に形成した孔201の周辺に設けられ、この孔201の下側から取付けられるベース部材202と、孔201の上側から取付けられるキャップ部材203と、キャップ部材203内に設けられる開閉保持手段204と、孔201の内面とベース部材202との間を水密に封止する環状パッキン206とにより構成される。この中で、開閉保持部材204は、キャップ部材203内に上下動自在に設けられる弁体としての開閉手段207と、キャップ部材203および開閉手段207の間に介在する弾性部材208とを備えている。ベース部材202には、内蓋62の孔201ひいては安全弁85の内部から前記蒸気排出ユニット66に連通する開放部209が開口形成されていると共に、この開放部209を常時塞ぐように、開閉保持手段204を構成する弾性部材208が、開閉手段207を一方向に付勢するようになっている。
次に制御系統について、図23を参照しながら説明する。同図において、111は加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ17および蓋温度センサ65からの各温度情報や、操作スイッチ103等の各操作部からの操作信号の他に、前記蓋開ボタン32に設けたマイクロスイッチ42からの検知信号を受けて、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ18と、蓋体21を加熱する蓋ヒータ36等とを各々制御すると共に、前述した減圧ポンプ92を制御するものである。
本実施例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ17の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ65の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて蓋体21の加熱制御を行い、放熱板24ひいては内蓋62を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋11内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段117と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段118とをそれぞれ備えている。
ここでの保温制御手段118はタイマー手段119を備えており、保温動作が開始するとタイマー手段119を起動させて保温経過時間を計時し、この保温経過時間が予め設定した時間(例えば1時間)に達したら、鍋11内の圧力をほぼ大気圧に維持したままで、且つ鍋11内の温度が保温温度にまで低下した、いわゆる保温が安定する状態と判断するようになっている。また、加熱制御手段111はその他に、操作スイッチ103からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め前記記憶手段に記憶された所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段117を制御する予約炊飯コースを実行可能な予約炊飯制御手段120を備えている。なお、前記所定時間は、操作スイッチ103の例えば時間キーや分キーを操作することで、適宜変更することができる。
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板24や内蓋62を加熱するように蓋ヒータ26を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ18をオンにするコードヒータ駆動手段124と、調圧用ソレノイド82をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125と、減圧ポンプ92を駆動させるポンプ駆動手段126と、前述したLED41やLCD102などを含む表示手段128を駆動させる表示駆動手段129が各々設けられる。前記炊飯制御手段117による炊飯時、および保温制御手段118による保温時には、鍋温度センサ17と蓋温度センサ65からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ18による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体21への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段117による炊飯が終了し、鍋11内の被炊飯物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段118による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ17の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ18による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
特に前記コードヒータ18による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ18を発熱させて、蓋体21と本体1との隙間の空間に金属板20から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ18により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
さらに、本実施例における加熱制御手段111は、予約炊飯制御手段120による予約炊飯の待機時の炊飯が開始するまでの期間や、炊飯制御手段117が実質的な炊飯を開始するまでのひたし行程の期間や、保温制御手段118により前述した保温が安定する状態と判断した後で、鍋11内が大気圧より低くなるように、減圧ポンプ92を動作させる減圧制御手段130としての機能をも備えている。
次に、上記構成について、その作用を図24および図25のタイミングチャートに基づき説明する。図24において、最上段およびその次の段にある各グラフは、鍋11内における圧力および温度の各推移を示し、以下、減圧選択スイッチの動作タイミングと、前記LCD102による減圧表示ランプの動作タイミングと、減圧ポンプ92の動作タイミングとをそれぞれ示している(塗潰しの状態がオン)。また、図25において、最上段およびその次の段にある各グラフは、鍋11内における温度および圧力の各推移を示し、以下、調圧弁69(調圧用ソレノイド82)の動作タイミングを示している(塗潰しの状態がオン)。
炊飯や保温が行なわれていない切状態において、調圧用ソレノイド82は非通電(オフ)状態にある。このとき、調圧用ソレノイド82のプランジャー151は進出位置にあって、連通孔74が開放するように調圧弁69が移動すると共に、前記開閉フレーム175により、内蓋62の開閉用孔181が開放するように開閉弁182が上方に移動する。即ち、調圧部64の調圧弁69と共に開閉弁182が、調圧用ソレノイド82のプランジャー151により各孔74,181の開放方向に移動させられる。したがって、鍋11内は連通孔74および開閉用孔181を通して外部と連通し、大気圧に維持される。また、調圧フレームロック片163が、蓋開ボタン32の下方から離れた位置にあるので、蓋開ボタン32の動作は規制されず、蓋開ボタン32を押動操作すれば、クランプ34がクランプ受け38から離脱する。すなわち切状態では、蓋体21を自由に開閉することができる。
次に、予約炊飯時における動作を説明すると、操作スイッチ103の時間キーや分キーを操作することで、前記所定時間に相当する炊上がりの希望時刻を設定し、鍋11内に被炊飯物である米および水を入れて、その後で操作スイッチ103の別な例えばタイマースイッチを操作すると、予約炊飯制御手段120による予約炊飯コースが設定(セット)され、予約炊飯の待機状態に移行する。この予約炊飯コースでは、所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段117を制御するが、予約炊飯の待機状態から実質的に炊飯が開始する時点までの間に、減圧制御手段130が動作して鍋11内の圧力が大気圧(1atm=1013hPa)よりも低くなるように、減圧ポンプ92が制御される。
具体的には、予約炊飯コースがセットされると、減圧制御手段130は炊飯が開始する直前まで減圧選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128に表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。また、減圧制御手段130は、鍋11内から空気を排出するために、減圧ポンプ92を駆動させる信号をポンプ駆動手段126に出力する。その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ92の駆動を停止させ、真空弁210により経路94を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持する。
予約炊飯の待機中は、加熱制御手段111が調圧用ソレノイド82をオン状態(通電状態)にしているため、調圧弁69が連通孔74を塞ぐ位置に転動されているが、鍋11内には僅かではあるが空気が侵入し(スローリーク)、鍋11内の圧力が真空弁210の閉塞時点から次第に上昇する。減圧制御手段130は、一定時間が経過すると、再び減圧ポンプ92を駆動させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ92がオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。なお、実質的な炊飯が開始した後の動作は、後述する通常の炊飯動作と共通しているので、ここでは省略する。
こうして、予約炊飯コースが設定された後、炊飯が開始するまでの待機時間が長く設定された場合でも、鍋11内は減圧状態が維持される。また、この減圧時には、調圧弁69が第1調圧パッキン75に載置され、当該第1調圧パッキン75の孔75Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。そのため、鍋11内で雑菌が増殖したり、被炊飯物である米や水の腐敗が起こるのを効果的に防止できる。よって、最終的には炊上がり時に食味のよいご飯を得ることができる。また、この実施例では、予約炊飯の待機中の全期間に渡って、減圧制御手段130が鍋11内の圧力を減圧する制御を行なっているが、例えば予約炊飯コースが設定された後、所定の時間(例えば2時間)が経過したら、鍋11に対する減圧制御を行うようにしてもよい。このように、予約炊飯の待機中の一定時間だけ、鍋11内の圧力を大気圧よりも低くすることで、例えば炊飯開始までの待機時間がさほど長くないのに、鍋11内への減圧制御が強制的に行なわれて、減圧ポンプ92を動作させるのに無駄な電力を消費する懸念を解消できる。
次に、予約炊飯を行なわない通常の炊飯について、その動作を説明する。なお、前述した通り、予約炊飯コースにおける実質的な炊飯が開始した後の動作は、これから説明する通常炊飯の動作と共通している。
鍋11内に被炊飯物である米および水を入れ、操作スイッチ103の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯制御手段117による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段117は、実質的な炊飯を開始する前に、鍋11内の米に対する吸水を促進させるために、鍋温度センサ17による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ18で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。
このひたし時には、減圧制御手段130が動作して鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ92が制御される。具体的には、ひたし行程が開始すると、減圧制御手段130は実質的な炊飯が開始する直前まで減圧選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCD102に表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。また、減圧制御手段130は、鍋11内から空気を排出するために、減圧ポンプ92を駆動させる信号をポンプ駆動手段126に出力すると、減圧ポンプ92の動作により真空弁210が開放し経路94が鍋11内と連通する。その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ92の駆動を停止させることにより、真空弁210ひいては経路94が閉塞して、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、所定時間が経過すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ92を所定時間駆動させることにより、真空弁210ひいては経路94を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ92がオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
また、鍋11内が大気圧以下のときには、調圧用ソレノイド82が通電(オン)状態になって、調圧用ソレノイド82のプランジャー151が後退位置に移動する。これにより、調圧弁69が第1調圧パッキン75の孔75Aを塞ぎ、開閉弁182が内蓋62の開閉用孔181を塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。即ち、調圧部64の調圧弁69と共に開閉弁182が、調圧用ソレノイド82のプランジャー151により、各孔75A,181の閉塞方向に移動させられる。また、調圧フレームロック片163が、蓋開ボタン32の下方に潜り込むので、蓋開ボタン32の動作が規制され、蓋開ボタン32を押動操作しようとしても、クランプ34とクランプ受け38との係合が二重にロックされ、蓋体21が開かないようになる。
こうして、ひたし時には鍋11内は減圧状態が維持される。また、この減圧時には、調圧弁69が第1調圧パッキン75に載置され、当該第1調圧パッキン75の孔75Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。そのため、ひたし時に密閉状態で鍋11内を減圧することができ、鍋11内において米に水を十分に吸水させることが可能になる。
その後、所定時間のひたしが終了すると、炊飯制御手段117は実質的な炊飯動作を開始すると共に、減圧制御手段130による鍋11への減圧制御は中断し、減圧選択スイッチはオフになると共に、LCD102による減圧状態である旨の表示も停止する。併せて、減圧ポンプ92は、その後の保温が安定した状態になるまでオフ状態となる。また、炊飯制御手段117は、調圧弁69を連通孔74から退避させる。これにより鍋11はほぼ大気圧に維持される。
炊飯行程に移行すると、炊飯制御手段117は加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被炊飯物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体21の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。なお、上述の蓋体21の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ65からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ17と蓋温度センサ65とにより、鍋11の底部および蓋体21がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
また、前記鍋11の底部,鍋11の側面部または蓋体21のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体21のいずれかが90℃以上になって所定時間(例えば5分)経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体21のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ17または蓋温度センサ65が、何らかの理由(汚れや傾きや接触不良など)で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
鍋11内の沸騰状態を検知すると、炊き上げ(沸騰継続加熱)とむらしが続けて行なわれる。また、沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段117は蓋ヒータ26による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋62の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ65の検知温度により管理される。
そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、鍋11内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段117による炊飯行程を終了し、保温制御手段118により保温行程に移行して、最初のむらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ65の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ26を通断電し、内蓋62への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段118による保温に移行する。
その後、前記実施例でも説明したように、保温制御手段118は保温経過時間が予め設定した時間に達すると、減圧制御手段130により鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ92が再び作動制御する。それと共に、鍋11内を密閉状態にするために、調圧用ソレノイド82をオン状態にする。これにより、調圧フレームロック片163が、蓋開ボタン32の下方に潜り込んで、蓋開ボタン32の押動操作が規制されることにより、クランプ34の回動が規制される。なお、こうした動作は、保温行程の所定時間後ではなく、保温行程で鍋11内が所定温度に到達したのを鍋温度センサ17が検出したときに、行なわれるようにしてもよい。
また保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高い温度で蓋ヒータ26により蓋体21の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ18でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ17や蓋温度センサ65が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
保温行程に移行すると、保温制御手段118は前記マイクロスイッチ42からの検知信号を受け付ける。すなわち、図26Aに示すように、鍋11内を減圧状態にする減圧手段91の作動制御中であって、調圧用ソレノイド82がオンしている状態で、使用者が蓋体21を開けようと意図して蓋開ボタン32を押動操作しようとすると、蓋開ボタン32が調圧フレームロック片163に当たって、その押動操作は規制されてはいるものの、図26Bに示すように、蓋開ボタン32が若干下方に押し込まれると、マイクロスイッチ42が蓋開ボタン押さえ46から離れた位置に移動する。このときのマイクロスイッチ42からの電気的なオン・オフではなく、機構的に検知手段45に負荷が加わっていない状態すなわちマイクロスイッチ42が押されていない状態を示したオフ(OFF)状態である検知信号を保温制御手段118が受けると、調圧用ソレノイド82はオフ状態になり、プランジャー151が進出して、連通孔74および開閉用孔181を開放すると共に、図26Cに示すように、蓋開ボタン32に対する調圧フレームロック片163の押動規制も解除され、図26Dに示すように、蓋開ボタン32を再度押すことで、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除して、蓋体21を開けることができるようになる。
蓋体21が開くと(即ち、蓋開ボタン32の押動操作を終了すると)、蓋開ボタン32は蓋開ボタンバネ40からの付勢力により再び上昇し、蓋開ボタン押さえ46により所定の位置で止まる。この時、蓋開ボタン32内のマイクロスイッチ42は電気的なオン・オフではなく、機構的に検知手段45に負荷が加わっている状態つまりマイクロスイッチ42が押された状態を示したオン(ON)状態となり、それに応じた信号が加熱制御手段111に出力される。
この時のマイクロスイッチ42からの検知信号を加熱制御手段111が受けてから、所定の時間が経過した後、再度加熱制御手段111が、マイクロスイッチ42がオン(ON)状態であることを検知すると、加熱制御手段111を構成する減圧制御手段130が減圧手段91を駆動させ、鍋11内を減圧する。この時、蓋体21が開いた状態なっていても、調圧フレームロック片163は蓋開ボタン32の押動操作を規制するものの、クランプ34の回転動作は規制されていないため、蓋体21を閉じることができる。
加熱制御手段111は、所定の行程である保温中にのみ、マイクロスイッチ42からの信号を読取っている。この場合、加熱制御手段111はマイクロスイッチ42からの信号を受け付けるものの、その受け付けた信号を利用して制御を行なうことはしない。こうすることで、加熱制御手段111としてのソフトウェア上の構成を簡素化することができる。また、保温以外の行程で、加熱制御手段111がマイクロスイッチ42からの信号を読取ってもよい。
また、前記むらしや保温行程中において、減圧手段91が作動し、鍋11内が大気圧以下のときには、LED41を連続点灯させる制御信号を、加熱制御手段111が表示駆動手段129に送出する。これにより使用者は、鍋11内が減圧中であることにより、蓋体21と本体1が係合ロックされていることを直ぐに認識できる。また、蓋開ボタン32を押動操作しようと意図してから、実際に蓋体21を開放できるまでには、若干のタイムラグがあるので、蓋体21のクランプ34と本体1のクランプ受け38との係合を解除しようと意図したときの検知信号をマイクロスイッチ42が出力すると、LED41が点滅動作に切り替わり、その後所定時間が経過したら、LED41を自動的に消灯させるようにすれば、何故直ぐに蓋体21が開かないのかを使用者に理解させることができる。
こうすると、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除しようとしたときの動作を、蓋開ボタン32の変化として検知手段45が検知すると、阻害手段121による蓋開ボタン32への移動の阻害が解除され、蓋体21を本体1から開けることができるようになる。そのため、意図しない蓋開ボタン32への操作では、これを蓋開ボタン32の変化として検知手段45が検知できず、不意に蓋体21が開くのを防ぐことができる。また、クランプ34そのものではなく、蓋体21の開閉を操作するための蓋開ボタン32の変化を検知することで、より少ない動作範囲(省スペース)でクランプ34とクランプ受け38との係合を解除可能にすることができる。
以上のように本実施例では、鍋11と、前記鍋11を収納する本体1と、前記本体1を覆う蓋体21と、前記鍋11及び本体1内を大気圧より低い状態にする減圧手段91と、本体1と蓋体21との所定状態すなわち閉状態を保持する保持手段たる係合手段としてのクランプ34とクランプ受け38と、前記蓋体21を所定方向たる開方向に付勢する付勢手段としてのヒンジバネ29とを備え、所定工程たる炊飯中は前記鍋11及び本体1内を所定圧状態として加圧状態としない炊飯器であって、前記鍋11及び本体1内の圧力を調整する調圧部64と、所定部として前記蓋体21内に溜まった溜留物たる被炊飯物としてのおねばを前記鍋11及び本体1内に戻す孔としての開閉用孔181と、前記鍋11内を密閉するために前記開閉用孔181を閉塞する弁体としての開閉弁182とを備え、前記調圧部64と前記開閉弁182を同一手段すなわち調圧用ソレノイド82のプランジャー151により動作させている。
この場合、鍋11及び本体1内を大気圧よりも低い状態、いわゆる減圧状態にする機能を搭載した炊飯器の場合、炊飯中は鍋内を加圧状態としないことで、炊飯途中に蓋体21と本体1のクランプ34とクランプ受け38による係合による保持をロックする必要が無くなり、炊飯器に備えられた複数の開閉機構である調圧部64と開閉弁182を調圧用ソレノイド82のプランジャー151で同時に動作させることができるので、調圧部64と開閉弁182を動作させる部品点数を減らしコストの抑制を図ることができる。
また、本実施例では、所定状態すなわち本体1と蓋体21との閉状態を解除する解除手段として蓋開ボタン32と、クランプ34とクランプ受け38の保持解除つまり係合解除を阻害する阻害手段121を備え、阻害手段121は、蓋開ボタン32の動作すなわち押動操作を阻害している。
この場合、炊飯中は鍋11及び本体1内を加圧状態としないことで、炊飯中における本体1と蓋体21のクランプ34とクランプ受け38の保持状態つまり係合状態をロックする係合解除ロック機構を不要とすることができ、これにより、保持手段たる係合手段としてのクランプ34とクランプ受け38の係合状態をロックするのは、前記蓋体21と前記鍋11内の密閉状態を解除するまでの間のみとすることができるので、クランプ34とクランプ受け38を従来のように高強度を有するステンレス等の金属部材ではなく、プラスチック等の安価な材料を使用する事ができ、コストの抑制を図ることができる。また蓋体21と鍋11内の密閉状態を解除するまでの間のロックをクランプ34とクランプ受け38による係合ではなく、蓋開ボタン32で行うことにより、万一鍋11内が加圧状態になったときでも高圧になる前にクランプ34とクランプ受け38の係合が外れ、安全に蓋体21を開かせることができる。
さらに、本実施例では、前記蓋体21の所定部として内側に着脱自在に取付けられた内蓋すなわち内蓋組立体61と、内蓋組立体61を係止する係止手段としての内蓋押さえ67とを備え、保持手段たる係合手段としてのクランプ34とクランプ受け38は、前記内蓋押さえ67の凸部218の近傍つまり間にクランプ34が配設されている。
この場合、蓋体21の外蓋カバーに内蓋組立体61を係止する内蓋押さえ67の間に、本体1と蓋体21を係合するクランプ34とクランプ受け38を配置することにより、内蓋押さえ67とクランプ34及びクランプ受け38を同じ位置に配置することが可能となり、部品点数の増加を抑制し、炊飯器のコスト抑制とコンパクト化を図ることができる。更には、上記構成とすることで、外蓋カバー25に対して内蓋押さえ67,クランプ34の順で組立てると、内蓋押さえ67の凸部218の周囲に形成した外れ防止しろ218Aを備えたことで、使用者が内蓋押さえ67に無理ない力を加えて引っ張ったとしても、少し撓んだ当該外れ防止しろ218Aがクランプに当接することにより、クランプ34が障害物となりそれ以上凸部218周辺が撓むことを防ぐことにより、凸部218が挿入孔219から外れることを防ぐので、内蓋21の内蓋押さえ67の外れを防止することができる。
また、本実施例では、前記鍋11及び本体1内の減圧状態を保持する減圧用弁体としての真空弁シャフト213を備え、前記真空弁シャフト213は、前記減圧手段91による吸引力により前記鍋11及び本体1内と外部とを連通とし、前記減圧手段91を停止する場合又は停止後に、前記真空弁シャフト213を所定方向として前記鍋11と前記減圧手段91とを閉塞させる方向に付勢させる弁体付勢手段としての真空弁バネ214を備えている。
この場合、炊飯中は鍋11及び本体1内を加圧状態としないことで、鍋11内から発生する蒸気が真空弁シャフト213を押し上げる力が極めて小さくなることから、前記真空弁シャフト213が内蓋側連通孔212Aを閉塞する力を低減することができ、鍋11内を密閉する弁体構造を簡素化し、鍋11及び本体1内の気密性の向上とコスト抑制を図ることができる。
さらに、本実施例では、所定状態すなわち本体1と蓋体21との閉状態を解除する解除手段としての蓋開ボタン32と、クランプ34とクランプ受け38の保持解除つまり係合解除を阻害する阻害手段121と、蓋開ボタン32の変化を検知し前記阻害手段121による阻害を解除する阻害解除手段たる検知手段45を備え、前記検知手段45は、前記蓋開ボタン32の押動動作時に電気的にオン・オフではなく機構的に検知手段45であるマイクロスイッチ42に負荷が加わらないオフ状態とすることとしている。
この場合、蓋開ボタン32の押動操作時に検知手段45に負荷がかからないオフ状態とすることで、減圧手段91動作後のクランプ34とクランプ受け38の係合による保持による本体1と蓋体21との閉状態を解除する係合解除動作時に、検知手段45に負荷がかからない構造とすることができ、安価な検知手段45としてマイクロスイッチ42を使用することが可能となり、コストの抑制を図ることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、減圧手段91としての構成は、本実施例のような減圧ポンプ92と、経路94と、電磁弁95とを組み合わせたものに限定されない。また、実施例中における圧力の設定値や設定時間は一例に過ぎず、各炊飯器の仕様に合わせて適宜変更してよい。