JP2009234020A - 補正値の取得方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】補正値による補正の精度を高める。
【解決手段】印刷ステップでは、所定ピッチで設けられた複数のノズルを有する第1ノズル列と、所定ピッチで設けられた複数のノズルを有し、ノズル列の方向において或るノズルが第1ノズル列が有する隣り合うノズル同士の間に位置するように配置された第2ノズル列とを有するヘッドを用い、第1ノズル列が有する複数のノズル及び第2ノズル列が有する複数のノズルからインクを吐出させることにより、複数の前記ドット列を前記所定ピッチよりも狭いピッチで形成する。輝度取得ステップでは、或る画像片の輝度を、或る画像片からノズル列の方向に所定ピッチのn倍(nは1以上の整数)離れた他の画像片の輝度に基づいて補正する。補正値取得ステップでは、画像片毎の補正後の輝度に基づいて補正値を取得する。
【選択図】図11

Description

本発明は、補正値の取得方法に関する。
インクジェットプリンタ等の印刷装置においては、その印刷装置で印刷された補正用パターンの濃度を測定し、この測定値に基づいて取得した補正値を用いてインクの吐出調整を行うことが考えられている(例えば、特許文献1を参照)。
このような印刷装置において、濃度ムラを引き起こす要因としては、補正対象となるものとならないものとが存在する。補正対象となる要因としては、例えば、ノズルの吐出特性(インク滴の量や飛行方向)や用紙の搬送ムラ等がある。補正対象とはならない要因としては、例えば、補正用パターンの読み取り時における用紙の位置ずれや傾き、用紙に付着したゴミ等が挙げられる。
特開2005−205691号公報
補正対象の要因による濃度ムラについては積極的に補正したい反面、補正対象でない要因による濃度ムラについてはその影響をできるだけ受けないようにしたいという要請がある。
補正対象でない要因に起因する濃度ムラについては、補正対象となる部分の周辺の部分についても同じ様に影響を受けているという知見に基づき、補正対象となる部分と周辺の部分の平均濃度に基づいて補正値を設定することが考えられる。ここで、埃に起因する濃度ムラは、濃度が局所的に大きく変わることが多い。このため、補正対象となる部分と周辺の部分の平均濃度に基づいて補正値を設定することで、過度に補正してしまう不具合を抑制できる。
しかし、複数のノズル列を有するヘッドを有する印刷装置や、シリアルタイプの印刷装置では、平均濃度を用いてしまうと補正対象の要因に起因する濃度ムラについても平均化されてしまい、濃度ムラに対する補正の精度が損なわれてしまう虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、濃度ムラをより精度良く補正することを目的とする。
前記目的を達成するための主たる発明は、
印刷解像度に応じた単位領域毎に定められるデータに基づいて、ノズル列と媒体とを相対移動させつつ前記ノズル列が有する各ノズルからインク滴を吐出させることで、複数のドット列が前記ノズル列の方向に並ぶ補正用パターンを前記媒体に印刷する印刷ステップと、
前記補正用パターンをスキャナで読み取ることによって得られた読み取り画像を、前記印刷解像度に応じた間隔で前記ノズル列の方向に分けることで得られた、複数の画像片のそれぞれについて輝度を取得する輝度取得ステップと、
前記画像片毎の輝度に基づいて、前記画像片に対応する単位領域の輝度を補正するための補正値を取得する補正値取得ステップと
を有する補正値の取得方法であって、
前記印刷ステップでは、
所定ピッチで設けられた複数のノズルを有する第1ノズル列と、前記所定ピッチで設けられた複数のノズルを有し、前記ノズル列の方向において或るノズルが前記第1ノズル列が有する隣り合うノズル同士の間に位置するように配置された第2ノズル列とを有するヘッドを用い、
前記第1ノズル列が有する複数のノズル及び前記第2ノズル列が有する複数のノズルからインクを吐出させることにより、複数の前記ドット列を前記所定ピッチよりも狭いピッチで形成し、
前記輝度取得ステップでは、
或る画像片の輝度を、前記或る画像片から前記ノズル列の方向に前記所定ピッチのn倍(nは1以上の整数)離れた他の画像片の輝度に基づいて補正し、
前記補正値取得ステップでは、
前記画像片毎の補正後の輝度に基づいて前記補正値を取得する、補正値の取得方法である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
すなわち、印刷解像度に応じた単位領域毎に定められるデータに基づいて、ノズル列と媒体とを相対移動させつつ前記ノズル列が有する各ノズルからインク滴を吐出させることで、複数のドット列が前記ノズル列の方向に並ぶ補正用パターンを前記媒体に印刷する印刷ステップと、
前記補正用パターンをスキャナで読み取ることによって得られた読み取り画像を、前記印刷解像度に応じた間隔で前記ノズル列の方向に分けることで得られた、複数の画像片のそれぞれについて輝度を取得する輝度取得ステップと、
前記画像片毎の輝度に基づいて、前記画像片に対応する単位領域の輝度を補正するための補正値を取得する補正値取得ステップとを有する補正値の取得方法であって、
前記印刷ステップでは、所定ピッチで設けられた複数のノズルを有する第1ノズル列と、前記所定ピッチで設けられた複数のノズルを有し、前記ノズル列の方向において或るノズルが前記第1ノズル列が有する隣り合うノズル同士の間に位置するように配置された第2ノズル列とを有するヘッドを用い、前記第1ノズル列が有する複数のノズル及び前記第2ノズル列が有する複数のノズルからインクを吐出させることにより、複数の前記ドット列を前記所定ピッチよりも狭いピッチで形成し、
前記輝度取得ステップでは、或る画像片の輝度を、前記或る画像片から前記ノズル列の方向に前記所定ピッチのn倍(nは1以上の整数)離れた他の画像片の輝度に基づいて補正し、
前記補正値取得ステップでは、前記画像片毎の補正後の輝度に基づいて前記補正値を取得する、補正値の取得方法を実現できることが明らかにされる。
このような補正値の取得方法によれば、或る画像片の輝度が、同じノズル列に属するノズルでドット列が形成される画像片の輝度で補正される。このため、補正対象でない要因に起因する濃度ムラについては、他の画像片の濃度に基づいて影響を少なくすることができる。一方ノズル列同士の位置ずれに起因する濃度ムラについては、補正の対象とすることができる。その結果、濃度ムラをより精度良く補正することができる。
かかる補正値の取得方法であって、前記輝度取得ステップでは、前記或る画像片の輝度と前記他の画像片の輝度とに基づく加重平均処理を行うことにより、前記或る画像片の補正後の輝度を求めることが好ましい。
このような補正値の取得方法によれば、重み付けの仕方によって或る画像片に固有の濃度ムラに対する補正度合いと他の画像片と共通の濃度ムラに対する補正度合いとを最適化できる。
かかる補正値の取得方法であって、前記輝度取得ステップでは、前記或る画像片の輝度と、前記或る画像片から前記ノズル列の方向の一方の側に位置する第1の他の画像片の輝度と、前記或る画像片から前記ノズル列の方向の他方の側に位置する第2の他の画像片の輝度とに基づいて前記加重平均処理を行うことが好ましい。
このような補正値の取得方法によれば、或る画像片の輝度を補正するに際して、ノズル列の方向の両側に位置する他の画像片の輝度が用いられる。このため、補正対象でない要因に起因する濃度ムラを効果的に抑えることができる。
かかる補正値の取得方法であって、前記他の画像片は、前記或る画像片から前記ノズル列の方向に前記所定ピッチの分だけ離れていることが好ましい。
このような補正値の取得方法によれば、他の画像片は、同じノズル列に属する最も近いノズルでドット列が形成されるものが選ばれる。この画像片は、輝度の補正対象となる画像片と同じ影響を受けている可能性が最も高い。このため、補正対象でない要因に起因する濃度ムラをより抑えることができる。
かかる補正値の取得方法であって、前記画像片の相対移動方向の長さは、前記単位領域の複数個分に相当する長さであり、前記輝度取得ステップでは、前記画像片を前記単位領域の大きさで分けた部分のそれぞれについて輝度を取得し、取得した輝度の平均値を対応する画像片の輝度とすることが好ましい。
このような補正値の取得方法によれば、相対移動方向における補正対象でない要因の影響を抑えられる。
かかる補正値の取得方法であって、前記印刷ステップでは、濃度が異なる複数種類の前記補正用パターンを前記ノズル列と前記媒体との相対移動方向に印刷し、前記輝度取得ステップでは、前記補正用パターンの種類毎に得られた複数の画像片のそれぞれについて輝度を取得し、前記補正値取得ステップでは、前記画像片毎の補正後の輝度に基づいて、前記補正用パターンの濃度毎に前記補正値を取得することが好ましい。
このような補正値の取得方法によれば、補正用パターンの濃度毎に補正値が取得できるので、補正の精度を高めることができる。
かかる補正値の取得方法であって、前記補正値取得ステップでは、或る濃度の前記補正値を取得するに際して、他の濃度の画像片についての補正後の輝度も用いることが好ましい。
このような補正値の取得方法によれば、他の濃度の画像片についての補正後の輝度も用いるので、補正の精度を一層高めることができる。
また、次の補正値の取得方法を実現できることも明らかにされる。
すなわち、印刷解像度に応じた単位領域毎に定められるデータに基づいて、ノズル列と媒体とを相対移動させつつ前記ノズル列が有する各ノズルからインク滴を吐出させることで、複数のドット列が前記ノズル列の方向に並ぶ補正用パターンを前記媒体に印刷する印刷ステップと、
前記補正用パターンをスキャナで読み取ることによって得られた読み取り画像を、前記印刷解像度に応じた間隔で前記ノズル列の方向に分けることで得られた、複数の画像片のそれぞれについて輝度を取得する輝度取得ステップと、
前記画像片毎の輝度に基づいて、前記画像片に対応する単位領域の輝度を補正するための補正値を取得する補正値取得ステップとを有する補正値の取得方法であって、
前記印刷ステップでは、前記ノズル列を移動方向へ移動させつつ前記ノズルからインクを吐出させることで前記ドット列を前記媒体に形成するドット列形成動作と前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを行うことにより、複数の前記ドット列を前記所定ピッチよりも狭いピッチで形成し、
前記輝度取得ステップでは、或る画像片の輝度を、前記或る画像片から前記ノズル列の方向に前記所定ピッチのn倍(nは1以上の整数)離れた他の画像片の輝度に基づいて補正し、
前記補正値取得ステップでは、前記画像片毎の補正後の輝度に基づいて前記補正値を取得する、補正値の取得方法を実現できることも明らかにされる。
===第1実施形態===
印刷システムは、用紙に画像を印刷するためのものであり、図1Aに示すように、コンピュータCPとインクジェットプリンタ1(以下、単にプリンタ1ともいう。)とを有する。このプリンタ1は、液体状のインクを吐出して媒体に画像を印刷する印刷装置の一種である。コンピュータCPは、印刷装置としてのプリンタ1に印刷動作を行わせるための制御をする印刷制御装置の一種である。
<コンピュータCPについて>
コンピュータCPはホスト側コントローラ100を有する。このホスト側コントローラ100は、インタフェース部101と、CPU102と、メモリ103とを有する。インタフェース部101は、プリンタ1との間でデータの受け渡しを行う。CPU102は、コンピュータCPの全体的な制御を行う。メモリ103は、コンピュータプログラムや各種のデータを記憶する。このメモリ103には、コンピュータプログラムの一種としてプリンタドライバが記憶されている。このプリンタドライバをCPU102が実行することにより、アプリケーションプログラムの実行によって得られた画像データから、プリンタ1用の印刷データが生成される。そして、生成された印刷データがプリンタ1へ送信される。
<プリンタ1について>
プリンタ1は、用紙搬送機構10、駆動信号生成回路20、ラインヘッドユニット30、検出器群40、及び、プリンタ側コントローラ50を有する。用紙搬送機構10は用紙を搬送方向に搬送させる。駆動信号生成回路20は駆動信号COMを生成する。駆動信号COMはラインヘッドユニット30が有するラインヘッドHDからインクを吐出させるために用いられる。ラインヘッドユニット30はラインヘッドHDとヘッド制御部HCとを有する。ラインヘッドHDはインクを用紙に向けて吐出させる。ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ50からのヘッド制御信号に基づいてラインヘッドHDによるインク滴の吐出等を制御する。検出器群40は、プリンタ1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、プリンタ側コントローラ50に出力される。プリンタ側コントローラ50は、プリンタ1における全体的な制御を行う。
<ラインヘッドHDについて>
図2に示すように、ラインヘッドHDは複数のノズル列N1〜N3を有する。各ノズル列N1〜N3は、一定ピッチで並んだ複数のノズルNzを有しており、ノズル列の方向(或るノズル列に属する複数のノズルNzが並ぶ方向)とは交差する方向に、位置をずらして設けられている。また、或るノズル列が有する或るノズルNzは、ノズル列の方向において、他のノズル列が有する隣り合うノズルNz同士の間に配置されている。
具体的に説明すると、例示したラインヘッドHDは、第1ノズル列N1、第2ノズル列N2、第3ノズル列N3からなる3つのノズル列を有する。第1ノズル列N1は、1/200インチのピッチで直線上に並ぶ複数のノズルNzを有する。第2ノズル列N2及び第3ノズル列N3も同様であり、1/200インチのピッチで直線上に並ぶ複数のノズルNzを有する。なお、この例において各ノズル列N1〜N3が有するノズルNzは同数である。
ノズル列の方向と直交する方向において、第1ノズル列N1と第2ノズル列N2とは所定間隔W1だけ離れている。同様に、第2ノズル列N2と第3ノズル列N3も所定間隔W1だけ離れている。要するに、各ノズル列N1〜N3は、直交方向に対して所定ピッチW1毎に設けられている。また、ノズル列の方向において、第1ノズル列N1と第2ノズル列N2とは、1/600インチだけずれた位置に設けられている。同様に、第2ノズル列N2と第3ノズル列N3も1/600インチだけずれた位置に設けられている。すなわち、各ノズル列N1〜N3が有する複数のノズルNzは、ノズル列の方向において、1/600インチのピッチで設けられている。
このラインヘッドHDでは、第1ノズル列N1から第3ノズル列N3の何れかが「所定ピッチで設けられた複数のノズルを有する第1ノズル列」に相当する。そして、残りのノズル列がそれぞれ「所定ピッチで設けられた複数のノズルを有し、ノズル列の方向において或るノズルが第1ノズル列が有する隣り合うノズル同士の間に位置するように配置された第2ノズル列」に相当する。
なお、このラインヘッドHDは、ノズル列の方向が用紙の幅方向になるように取り付けられている。これにより、ノズル列の方向と直交する直交方向は、用紙の搬送方向(各ノズル列N1〜N3と用紙との相対移動方向に相当する。)と平行になる。そして、このプリンタ1では、用紙の幅方向について600dpiの印刷解像度で印刷ができる。
<ヘッド制御部HCについて>
ヘッド制御部HCは、ラインヘッドHDが有する各ノズルNzからインク滴を吐出させるための制御を行う。例えば、ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ50からのヘッド制御信号と駆動信号生成回路20からの駆動信号COMとに基づいてラインヘッドHDが有する駆動素子(図示せず)を動作させ、対応するノズルNzからインクを吐出させる。なお、駆動素子とは、駆動信号COMの印加に伴って駆動され、インク滴を吐出させるための動作をする素子である。この駆動素子はピエゾ素子や発熱素子などである。
<プリンタ側コントローラ50について>
プリンタ側コントローラ50は、プリンタ1における全体的な制御を行う。例えば、コンピュータCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。図1Aに示すように、プリンタ側コントローラ50は、インタフェース部51と、CPU52と、メモリ53とを有する。インタフェース部51は、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU52は、プリンタ1の全体的な制御を行う。メモリ53は、コンピュータプログラムや各種のデータを記憶する領域や作業領域等を確保する。CPU52は、メモリ53に記憶されているコンピュータプログラム(ファームウェア等)に従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU52は用紙搬送機構10の制御を行う。また、CPU52は、ヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路20に送信したりする。
図1Bに示すように、メモリ53の一部領域は、ファームウェア記憶領域及び補正値記憶領域を用いられている。ファームウェア記憶領域にはファームウェアが記憶される。補正値記憶領域には補正値が記憶される。この補正値は、印刷解像度に応じて定められた単位領域毎の階調値(輝度)を補正するために用いられる。なお、補正値については、後で詳しく説明する。
<用語について>
印刷動作の説明に先立ち、図3に基づいて必要な用語について説明する。
「印刷画像」とは、用紙上に印刷された画像である。プリンタ1による印刷画像は、紙上に形成された多くのドットから構成されている。「ラスタライン」とは、ラインヘッドHDと用紙とが相対移動する方向に並ぶドットの列である。例示したプリンタ1、すなわちラインヘッドHDを有するラインプリンタの場合、ラスタラインは用紙の搬送方向に並ぶドットの列となる。そして、ノズル列の方向に並ぶ複数のラスタラインによって画像が形成される。なお、いわゆるシリアルタイプのプリンタの場合、ラスタラインは、キャリッジの移動方向に並ぶドットの列になる。そして、用紙の搬送方向に並ぶ複数の複数のラスタラインによって画像が形成される。
「画像データ」は2次元画像を示すデータである。そして、「読み取り画像データ」はスキャナによって読み取られた画像データであり、「印刷画像データ」は画像を紙に印刷するときに用いられる画像データである。
「画素」とは画像を構成する最小単位である。この画素がマトリクス状に配置されることによって画像が構成される。この明細書では、主に画像データにおける画素の意味で用いる。「画素列」とは、画像データ上において所定方向に並ぶ画素の列である。「画素データ」とは画素の階調値を示すデータである。従って、画像データは多数の画素データから構成されていることになる。
「単位領域」とは1つの画素が形成され得る仮想領域をいい、印刷解像度に応じた大きさに定められる。例えば、印刷解像度が600dpi×600dpiの場合、単位領域は1辺が1/600インチの正方形となる。「列領域」とは画素列に対応した大きさの仮想領域をいい、複数の単位領域で構成されている。上記のラスタラインは、列領域を目標位置として形成される。すなわち、列領域に丁度よく収まるように、ラスタラインが形成される。
「画像片」とは、画像の一部分を意味する。例えば、読み取り画像データに含まれる一部の画素列は、読み取り画像データで示される読み取り画像の画像片を表す。本明細書では画像片に関し、主に、読み取り画像を印刷解像度に応じた間隔で列領域毎に分けることで得られた部分画像の意味で用いる。
なお、「画像データ」や「画素」等の一般的な用語については、上記説明の意味に限定されるものではなく、通常の技術常識に沿って適宜解釈できる。
<印刷動作について>
次に、例示した印刷システムによる印刷動作について説明する。図4Aは、プリンタドライバに基づくホスト側コントローラ100の動作を説明する図である。図4Bは、印刷データを受信したプリンタ1による印刷動作を説明する図である。
ホスト側コントローラ100では、事前準備として、プリンタ側コントローラ50のメモリ53から補正値を取得し、ホスト側コントローラ100のメモリ103に記憶する(S11)。この補正値は、例えば図5に示すように、入力階調値と出力階調値の関係を複数の階調値のそれぞれについて示す情報である。なお、補正値の取得方法については後述する。
アプリケーションプログラムにて印刷の指示がなされると、ホスト側コントローラ100は解像度変換処理を行う(S12)。解像度変換処理は、印刷対象の画像データ(テキストデータ,イメージデータ)を、用紙への印刷時の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。このプリンタ1における印刷解像度は600dpi×600dpiであり、解像度変換処理後の各画素データは、RGB色空間により表される256階調のデータである。このため、ホスト側コントローラ100は、アプリケーションプログラムから受け取った印刷対象の画像データを、600dpi×600dpiの印刷解像度に変換するとともに、各画素データの階調を256階調に変換する。
解像度変換処理を行ったならば、ホスト側コントローラ100は、色変換処理を行う(S13)。色変換処理は、解像度変換処理を行った画像データの色空間を、インクの色空間に変換する処理である。この印刷システムでは、RGB色空間で表された256階調の画像データが、CMYK色空間で表される256階調の画像データに変換される。
次に、ホスト側コントローラ100は、階調値補正処理を行う(S14)。階調値補正処理は、印刷画像の濃度ムラを抑制する目的で、色変換処理後の画像データ(CMYK色空間,256階調)が有する各画素データの階調値を、補正値に基づいて補正する処理である。階調値の補正に伴って、その画素の輝度が変更される。このため、階調値の補正は、或る単位領域の画素データの輝度を補正することに相当する。
この階調値補正処理を、図5に基づいて簡単に説明する。図5において、横軸は、対象となる画素データの補正前の階調値(入力階調値)である。縦軸は、対象となる画素データの補正後の階調値(出力階調値)である。補正値は列領域毎に定められており、その列領域に属する単位領域の画素データに適用される。図5に示すように、補正値は、符号Saから符号Seで示される5種類の階調値のそれぞれに定められている。各補正値は、補正前の階調値がその階調値である場合に、出力すべき補正後の階調値を示している。
このプリンタ1において、対象となる画素データの階調値が補正値の入力階調値(Sa〜Seの何れか)と同じ場合、ホスト側コントローラ100は、その補正値が示す補正後の階調値(Sa´〜Se´の何れか)を、対象となる画素データの補正後の階調値とする。一方、対象となる画素データの階調値が補正値の入力階調値と異なる場合、ホスト側コントローラ100は、隣の補正値の階調値を用いた直線補間を行うことで、対象となる画素データの補正後の階調値を取得する。例えば、図5に示すように、対象となる画素データが階調値S_inであった場合、階調値Sbの補正値と階調値Scの補正値とを用いた直線補間を行うことで、補正後の階調値S_outを取得する。
階調値補正処理を行ったならば、ホスト側コントローラ100は、ハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理は、高階調数のデータを低階調数のデータに変換する処理である。ここでは、256階調の画像データがプリンタ1で表現可能な4階調の画像データに変換される。具体的には、大ドットの形成、中ドットの形成、小ドットの形成、及び、ドットの非形成からなる4階調に変換される。このハーフトーン処理を行うことで、プリンタ1で扱うことのできる印刷画像データが得られる。
図6は、ハーフトーン処理の概略を説明するための図である。図6において、縦軸はドット発生率であり、横軸は階調値である。ここで、ドット発生率とは、そのサイズのドットを発生させる確率、言い換えれば、或る単位領域についてドットが形成される確率を意味する。この例において、階調値g(s)では、小ドットの発生確率が75%、中ドットの発生確率が0%、大ドットの発生確率が0%になる。階調値g(m)では、小ドットの発生確率が0%、中ドットの発生確率が50%、大ドットの発生確率が0%になる。また、階調値g(max)が与えられた場合、大ドットの発生確率が100%になる。
ハーフトーン処理を行ったならば、プリンタ側コントローラ50は、ラスタライズ処理を行う(S16)。ラスタライズ処理は、印刷画像データが有する画素データの並び順をプリンタ1に転送すべきデータ順に変更する処理である。次に、プリンタ側コントローラ50は、印刷データ生成処理を行う(S17)。この印刷データ生成処理は、プリンタ1を制御するための制御データを印刷画像データに付加することで、印刷データを生成する処理である。印刷データを生成したならば、プリンタ側コントローラ50は、その印刷データをプリンタ1に送信する(S18)。
プリンタ1は、受信した印刷データに従って印刷動作を行う。簡単に説明すると、プリンタ側コントローラ50は、印刷データを受信し(S21)、受信した印刷データに含まれる制御データに従って用紙の搬送を開始させる(S22)。そして、ドット列形成処理(S23)を印刷画像データが終了するまで繰り返し行う(S24)。ここで、ドット列形成処理は、印刷画像データに基づいて、用紙を搬送しつつノズルNz毎にインク滴の吐出制御を行う処理である。用紙を搬送しつつ各ノズルNzからインク滴を吐出させるので、用紙には、搬送方向(相対移動方向)に並んだ複数のドットを有するドット列、すなわちラスタラインが形成される。前述したように、このときに用いられる印刷画像データは、補正値によって階調値が補正された画素データで構成されている。このため、印刷された画像は、濃度ムラ(輝度のムラ)が抑制された高品位なものとなる。印刷画像データが終了したならば、すなわち印刷データに対応する画像の印刷が終了したならば、プリンタ側コントローラ50は、印刷データに含まれる制御データに従って用紙の搬送を停止させる(S25)。
<補正値の取得について>
前述した補正値は、そのプリンタ1で印刷されたテストパターン(補正用パターンに相当する)における印刷濃度に基づいて取得される。例えば、補正値は、テストパターンをスキャナで読み取り、得られた読み取り画像データにおける画像片毎の濃度ムラ(輝度のばらつき)に基づいて取得される。このように、テストパターンを印刷し、スキャナで読み取る方法を採った場合、画像片毎の濃度ムラには、補正対象の要因による濃度ムラと補正対象でない要因による濃度ムラとが混在してしまう。この場合において、補正対象の要因による濃度ムラについては積極的に補正したいが、補正対象でない要因による濃度ムラについてはその影響を極力受けないようにしたい。
補正対象でない要因による濃度ムラは、或る画素とその周辺に位置する他の画素のそれぞれに対し、同じ様に影響を与えると考えられる。そこで、読み取り画像データにおける或る画像片と他の画像片の平均濃度(輝度)を求めることで、補正対象でない要因の影響を抑制できると考えられる。また、埃等に起因する濃度ムラは濃度が大きく変化するので、平均濃度を求めることにより過度に補正されてしまう不具合を抑制できる。しかしながら、複数のノズル列を有するラインヘッドHDでは、平均濃度を用いてしまうと補正対象の要因に起因する濃度ムラについても平均化されてしまい、濃度ムラに対する補正精度が損なわれてしまう虞があった。以下、この点について説明する。
図7は比較例のラインヘッドHDを説明する図である。図7の下側部分には、各ノズル列N1〜N3が有するノズルNzの配置が記載されている。図7の上側部分には、各ノズルNzによって形成されるラスタライン(搬送方向のドットの列)と列領域の位置関係が示されている。図8は比較例のラインヘッドHDによって印刷されたテストパターンの輝度の変化を説明する図である。図8の下側部分には、各ノズルNzの配置が示され、中央部分には各ノズルNzで形成されるドットの、ノズル列方向の位置が示されている。また、上側部分には、各ノズルNzで形成されるドットの輝度が示されている。この上側部分に関し、縦軸は読み取り画像における輝度であり、輝度が高いほど値が大きくなっている。横軸はノズル列の方向における位置である。
比較例のラインヘッドHDでは、各ノズル列N1〜N3が設計通りの位置に設けられている。言い換えれば、各ノズルNzが等しいピッチで配置されている。仮に、インク滴の飛行方向にばらつきがないならば、比較例のラインヘッドHDでテストパターンを印刷すると、ノズル列の方向に隣り合うラスタライン同士は、ノズル列の方向に等間隔で形成される。すなわち、図7に示すように、各ラスタラインは、それぞれ対応する列領域内に収まった状態で形成される。このため、テストパターンにおけるノズル列方向の輝度(印刷濃度)は、インク滴の吐出量に起因するばらつき(図8における長周期の変化パターン)に、ドットの形状に起因するばらつき(図8における短周期の変化パターン)が重畳したようなパターンで変化する。そして、短周期の変化パターンは、ドットの大きさに対応した一定周期で変化する。このようなパターンで輝度が変化するならば、或る列領域に対応する画像片の輝度と隣に位置する画像片の輝度とを重み付け平均することで、補正対象でない要因の影響を抑制することができる。
しかし、特定のノズル列が正規の位置からずれて設けられた場合には、位置のずれに起因する濃度ムラが平均化されてしまい、この濃度ムラの補正が難しくなってしまう虞がある。図9は、このようなラインヘッドHDによる印刷を説明する図であり、先に説明した図8に対応している。すなわち、図9の下側部分には各ノズルNzの配置が、中央部分には各ノズルNzで形成されるドットの位置が、上側部分にはドットの輝度がそれぞれ示されている。
図9に例示したラインヘッドHDでは、第2ノズル列N2だけが正規の位置からノズル列の方向にずれて設けられている。なお、図9において、点線で示す位置が各ノズルNzの正規の位置である。このずれに伴って、第2ノズル列N2で形成された各ドットは、第1ノズル列N1で形成された各ドットに対し、ノズル列の方向に離れた位置に形成される。また、第3ノズル列N3で形成された各ドットに対し、その一部分が重なるように形成される。これにより、第2ノズル列N2によってラスタラインが形成されるべき列領域では、用紙の地色(通常白色)の比率が多くなる。その結果、画像片の輝度は、比較例の輝度よりも高くなる。また、第3ノズル列N3によってラスタラインが形成される列領域では、隣のラスタラインの一部分が重なった状態で形成される。その結果、画像片の輝度は、比較例の輝度よりも低くなる。なお、第1ノズル列N1によってラスタラインが形成される列領域に関し、画像片の輝度は比較例の輝度と同程度になる。
このドットの位置ずれにより、画像片毎の輝度には、図9の上側部分に示すような周期的なばらつきが生じる。例えば、第2ノズル列N2でラスタラインが形成されるべき各列領域の画像片の輝度は、図9に符号Y(R2),Y(R5),…Y(R32)で示すように、比較例(図8)の画像片の輝度よりも高い値を示す。反対に、第3ノズル列N3でラスタラインが形成されるべき各列領域の画像片の輝度は、図9に符号Y(R3),Y(R6),…Y(R33)で示すように、比較例の画像片の輝度よりも低い値を示す。なお、第1ノズル列N1でラスタラインが形成されるべき各列領域の画像片の輝度は、図9に符号Y(R1),Y(R4),…Y(R31)で示すように、比較例の画像片の輝度と大きな違いはない。
このようなパターンで輝度が変化する場合、或る列領域の画像片の輝度と隣に位置する画像片の輝度とを重み付け平均してしまうと、得られた補正値は、ノズル列(ドット)の位置ずれに起因する周期的な濃度ムラが十分に反映されない虞があった。例えば、図9中の左から2番目の列領域R2について、その輝度を、輝度Y(R1)と輝度Y(R2)と輝度Y(R3)とに基づく重み付け平均で求める場合について考える。この場合、この列領域R2の輝度は、輝度Y(R2)の影響を最も受けるが、輝度Y(R1)や輝度Y(R3)の影響も少なからず受ける。このため、補正量が不足してしまうことが考えられる。すなわち、輝度Y(R1)や輝度Y(R3)の影響によって、インク量を増やしきれないことが考えられる。また、図9中の左から6番目の列領域R6について、その輝度を、輝度Y(R5)と輝度Y(R6)と輝度Y(R7)とに基づく重み付け平均で求める場合について考える。この場合、この列領域R6の輝度は、輝度Y(R6)の影響を最も受けるが、輝度Y(R5)や輝度Y(R7)の影響も受けており、インク量を減らし切れないことが考えられる。その結果、ノズル列の位置ずれに起因する濃度ムラを十分に補正できない虞がある。
このような事情に鑑み、本実施形態の印刷システムでは、或る列領域に対応する或る画像片の輝度を、この画像片からノズル列の方向にノズルピッチのn倍(nは1以上の整数)離れた他の画像片の輝度に基づいて補正するようにした。そして、補正後の輝度に基づいて或る列領域についての補正値を設定するようにした。このようにして補正値を取得することで、或るノズルNzに対応する画像片(或る画像片に相当する)の輝度が、同じノズル列に属する他のノズルNzに対応する画像片(他の画像片に相当する)の輝度に基づいて補正される。このため、ノズル列同士の位置ずれに起因する輝度のばらつきを残しつつ、各画像片に対して同じように影響を当たる要因(補正対象でない要因)の影響を抑制できる。その結果、補正値による補正の精度を高めることができる。
<補正値の取得システムについて>
以下、補正値の取得について詳細に説明する。まず、補正値の取得システムについて説明する。この補正値取得システムは、例えば工場の検査工程で使用される。図10Aに示すように、補正値取得システムは、コンピュータCP´とスキャナSCとを有する。コンピュータCP´は、印刷システムが有するコンピュータCPと同じ構成である。このため、同じ部分については、同じ符号を付して説明を省略する。なお、コンピュータCP´が有するインタフェース部101は、プリンタ1とスキャナSCのそれぞれに対して通信可能に構成されている。また、図10Bに示すように、コンピュータCP´が有するメモリ103は、その一部の領域がファームウェア記憶領域、アプリケーション記憶領域、輝度データ記憶領域、第1平均輝度データ記憶領域、第2平均輝度データ記憶領域、第3平均輝度データ記憶領域、及び、補正値記憶領域として使用されている。
ファームウェア記憶領域には、このコンピュータCP´で実行されるファームウェアが記憶される。アプリケーション記憶領域には、このコンピュータCP´で実行されるアプリケーションプログラムが記憶される。例えば、補正値の取得処理を行うための補正値取得用プログラムが記憶される。また、スキャナSCを制御するためのスキャナドライバや前述したプリンタドライバ等もが記憶されている。これらのコンピュータプログラムは、補正値を取得するために用いられるので、補正値の取得処理を行うためのコードを有する。輝度データ記憶領域には、テストパターンのスキャンによって得られた輝度データが記憶される。第1平均輝度データ記憶領域には、画像片毎の平均輝度が記憶される。第2平均輝度データ記憶領域には、加重平均で得られた画像片毎の輝度が記憶される。第3平均輝度データ記憶領域には、テストパターンの指令階調値別(濃度別)の平均輝度値が記憶される。補正値記憶領域には、プリンタ1に転送される補正値が記憶される。
スキャナSCは、図10Aに示すように、スキャナ側コントローラ200と、キャリッジ移動機構204と、ラインセンサ205とを有する。スキャナ側コントローラ200は、インタフェース部201と、CPU202と、メモリ203とを有する。インタフェース部201は、コンピュータCP´との間で通信を行う。CPU202は、スキャナSCの全体的な制御を行う。例えばキャリッジ移動機構204やラインセンサ205を制御する。メモリ203は、コンピュータプログラム等を記憶する。キャリッジ移動機構204は、ラインセンサ205が取り付けられたキャリッジを副走査方向に移動させる。ラインセンサ205は、用紙に描かれた画像を光電変換する。このスキャナSCにおいて、ラインセンサ205の読み取り解像度は、プリンタ1の印刷解像度以上に定められる。この実施形態では、600dpi以上の読み取り解像度に定められる。
<補正値の取得処理について>
次に、この補正値取得システムによる補正値の取得処理について説明する。図11は、補正値の取得処理を説明するためのフローチャートである。この取得処理では、図11に示す各処理を順に行う。すなわち、テストパターンの印刷(S31)、テストパターンのスキャン(S32)、平均輝度値の算出(S33)、ノズルNz間隔毎にサンプリング(S34)、加重平均処理(S35)、補正値の算出(S36)、及び、補正値の記憶(S37)の各処理を順に行う。なお、この実施形態において、テストパターンのスキャン(S32)から加重平均処理(S35)までの各ステップは、画像片毎の輝度を取得する輝度取得ステップに相当する。
以下、各処理について説明する。この説明において、ラインヘッドHDは、図12に示すように、第2ノズル列N2に対応するラスタラインが第3ノズル列N3側に寄った位置に形成されている。これに伴い、周期的な濃度ムラが生じている。この濃度ムラは、図9にて説明したものである。また、列領域R20の画像片の輝度(濃度)は、ノイズによって濃くなっている。このノイズは、埃などの補正対象でない要因による。
<テストパターンの印刷について>
テストパターンの印刷(S31)では、補正用パターンとしてのテストパターンを用紙に印刷する。このときホスト側コントローラ100は、テストパターンに応じた印刷データを生成してプリンタ1に送信する。プリンタ1は、受信した印刷データに基づいてテストパターンを用紙に印刷する。このときの動作は、図4A及び図4Bのフローチャートに従ってなされる。すなわち、プリンタ側コントローラ50は、印刷解像度(この例では600dpi×600dpi)に応じた単位領域毎に定められる画素データに基づいて、ノズル列が有する各ノズルNzからインク滴を吐出させる。これにより、複数のラスタラインを、各ノズル列N1〜N3のノズルピッチ(1/200インチ)よりも狭いピッチ(1/600インチ)となるように形成する。また、インク滴の吐出は、用紙を搬送方向に移動させている最中に行われるので、搬送方向に沿った複数のラスタラインがノズルピッチに応じた間隔で、ノズル列の方向に並んだ状態で形成される。なお、この時点において補正値は設定されていない。このため、補正値取得処理(S11)及び階調値補正処理(S14)はスキップされる。
テストパターンは、例えば図13Aに示すようなパターンである。すなわち、このテストパターンPTは、ノズル列の長さPWに応じた長さとされた6つの帯状部分PT(Sa)〜PT(Smax)を有している。そして、各帯状部分PT(Sa)〜PT(Smax)は、搬送方向に並んだ状態で印刷される。すなわち、ノズル列と用紙(媒体)との相対移動方向に並んだ状態で印刷される。説明の便宜上、搬送方向の上流側から順に、第1帯状部分、第2帯状部分PT(Sb)のように、序数を付して表すことにする。それぞれの帯状部分は、基準となる階調値(基準階調値)が異なっている。各帯状部分の基準階調値は、第1帯状部分PT(Sa)から順に76、102、128、153、179、255であり、上流側に位置する補正用パターンほど濃度が薄い。なお、これらの6種類の基準階調値については、記号でSa(=76)、Sb(=102)、Sc(=128)、Sd(=153)、Se(=179)、Smax(=255)と表す。このため、図13Bに示すように、第1帯状部分PT(Sa)の印刷データは、階調値76の画素データを単位領域のそれぞれについて定めたものとなり、第2帯状部分PT(Sb)の印刷データは、階調値102の画素データを単位領域のそれぞれについて定めたものとなる。なお、他の帯状部分PT(Sc)〜PT(Smax)についても同様であり、対応する階調値の画素データが単位領域のそれぞれについて定められる。また、説明を判りやすくするため、図13Bでは、或る帯状部分を構成する各ラスタラインを、単位領域の5つ分の長さで表している。
このプリンタ1では第2ノズル列N2の位置がノズル列N3の方向にずれている(図12を参照)。このため、テストパターンPTでも、第2ノズル列N2に対応する各ラスタラインの形成位置が正規の位置からずれる。具体的には、第2ノズル列N2に対応する各ラスタラインに対しては離れる方向にずれ、第3ノズル列N3に対応する各ラスタラインに対しては部分的に重なるようにずれる。
<テストパターンPTのスキャンについて>
テストパターンPTのスキャン(S32)では、まず、プリンタ1で印刷されたテストパターンPTが検査者によってスキャナSCにセットされる。そして、ホスト側コントローラ100がスキャナドライバを実行することにより、スキャナ側コントローラ200に読み取り指令が送信される。この指令に基づいてスキャナ側コントローラ200は、キャリッジ移動機構204やラインセンサ205を制御する。これにより、テストパターンPTが読み取られ、読み取り画像データが得られる。得られた読み取り画像データは、ホスト側コントローラ100に送信される。
ホスト側コントローラ100は、スキャナSCから送信された読み取り画像データをメモリ103に記憶する。そして、ホスト側コントローラ100は、読み取り画像データに基づき、列領域毎の画像片を取得する。この実施形態では、輝度に基づいて補正値を設定する。このため、ホスト側コントローラ100は、読み取り画像データに基づく各画素の輝度を輝度データ記憶領域に記憶する。次に、ホスト側コントローラ100は、補正値設定用プログラムの実行により、輝度データ記憶領域に記憶した各画素の輝度に基づき、帯状部分の範囲毎に読み取り画像を抽出する。そして、抽出した読み取り画像を印刷解像度に応じた間隔でノズル列の方向に分けることで、印刷解像度に応じた幅の複数の画像片を得る。ここで、読み取り画像を印刷解像度に応じた幅に分けているので、画像片は列領域毎に得られることになる。
図13Cに示すように、得られた画像片は、幅RWが列領域の幅に等しく、長さRLが列領域の長さに等しい矩形状になる。このような画像片は、帯状部分毎に得られる。前述したように、第2ノズル列N2に対応するラスタラインの位置がずれているため、画像片の輝度(濃度)にはばらつきが生じる。第1帯状部分PT(Sa)の列領域R1に対応する画像片PI(R1,Sa)の輝度を基準にすると、第1帯状部分PT(Sa)の列領域R2に対応する画像片PI(R2,Sa)の輝度は、画像片PI(R1,Sa)の輝度よりも高くなる。これは、画像片PI(R2,Sa)において、用紙の地色の割合が画像片PI(R1,Sa)よりも増えるからと考えられる。また、第1帯状部分PT(Sa)の列領域R3に対応する画像片PI(R3,Sa)の輝度は、画像片PI(R1,Sa)の輝度よりも低くなる。これは、第2ノズル列N2に対応するラスタラインの一部が重なることで、画像片PI(R3,Sa)のインク量が画像片PI(R1,Sa)のインク量よりも多くなったためと考えられる。
例示した補正値設定システムにおいて、ホスト側コントローラ100は、その画像片に属する単位領域毎に輝度を認識している。例えば図14に示すように、画像片PI(R1,Sa)は5つの単位領域を含んでいるが、ホスト側コントローラ100は、それぞれの単位領域について輝度Y(R1a)〜輝度Y(R1e)を認識する。ここで、単位領域の大きさと読み取り画像を構成する画素の大きさとが等しければ、単位領域毎の輝度は画素毎の輝度になる。
なお、読み取り画像の画素が単位領域よりも小さい場合、言い換えれば、スキャナSCの読み取り解像度が印刷解像度よりも高い場合には、画像片を構成する複数の画素の輝度を用いてもよい。また、テストパターンPTに対応する部分を抽出する際に、読み取り画像データの回転処理やトリミング処理などを行ってもよい。
<平均輝度値の算出について>
平均輝度値の算出(S33)において、ホスト側コントローラ100は、画像片毎(列領域毎)の平均輝度値と、帯状部分毎(指令階調値毎)の平均輝度値を算出する。画像片毎の平均輝度値は、或る画像片における単位領域毎の各部分について、輝度を平均することで算出される。例えば、図14における画像片PI(R1,Sa)であれば、5つの部分に対応する輝度Y(R1a)〜輝度Y(R1e)を平均することで平均輝度が算出される。そして、以下の処理では、この平均輝度が画像片PI(R1,Sa)の輝度Y(R1)となる。説明は省略するが、他の画像片についても同様に平均輝度が算出される。このようにすると、列領域の長手方向(相対移動方向)について、補正対象でない要因の影響を抑制することができる。そして、図14の上側部分に示すように、算出された画像片毎の輝度Y(R1)、Y(R2)、…には、第2ノズル列N2の位置ずれによる周期的なムラが現れている。なお、画像片毎の輝度Y(R1)等は、メモリ103の第1平均輝度データ記憶領域に記憶される。
帯状部分毎の平均輝度値は、読み取り画像データにおいて、或る帯状部分に対応する複数の画素の平均値として取得される。この平均輝度値は、対応する指令階調値の目標輝度として用いられる。例えば、第1帯状部分PT(Sa)に対応する各画素の平均輝度値は、指令階調値76についての目標輝度値として用いられる。第2帯状部分PT(Sb)に対応する各画素の平均輝度値は、指令階調値102についての目標輝度値として用いられる。なお、他の帯状部分PT(Sc)〜PT(Smax)の指令階調値についても同様である。そして、取得された帯状部分毎の平均輝度値は、メモリ103の第3平均輝度データ記憶領域に記憶される。
<サンプリング処理について>
サンプリング処理(S34)において、ホスト側コントローラ100は、画像片毎の輝度値をノズルNzの間隔毎にサンプリングする。前述したように、画像片は列領域毎に定まる。そして、列領域の幅RW(図13Bを参照)は、第1ノズル列N1〜第3ノズル列N3が有する各ノズルNzのノズルピッチに対応している。このため、画像片毎の輝度値をノズルNzの間隔毎にサンプリングすると、特定のノズル列のノズルNzに対応する画像片を抽出できる。
例えば、図15に示すように、列領域R1の画像片の輝度Y(R1)を基準にして、ノズルピッチ毎に画像片の輝度をサンプリングすると、輝度Y(R1)、輝度Y(R4)、輝度Y(R7)、…、輝度Y(R31)が抽出される。これらの輝度は、図12に示すように、いずれも第1ノズル列N1の各ノズルNzに対応する画像片の輝度である。また、列領域R2の画像片の輝度Y(R2)を基準にして、ノズルピッチ毎に画像片の輝度をサンプリングすると、輝度Y(R2)、輝度Y(R5)、輝度Y(R8)、…、輝度Y(R32)が抽出される。これらの輝度は、いずれも第2ノズル列N2の各ノズルNzに対応する画像片の輝度である。同様に、列領域R3の画像片の輝度Y(R3)を基準にして、ノズルピッチ毎に画像片の輝度をサンプリングすると、輝度Y(R3)、輝度Y(R6)、輝度Y(R9)、…、輝度Y(R33)が抽出される。これらの輝度は、いずれも第3ノズル列N3の各ノズルNzに対応する画像片の輝度である。
<加重平均処理について>
加重平均処理(S35)において、ホスト側コントローラ100は、サンプリング処理で抽出されたノズル列毎の輝度に基づいて加重平均処理を行う。言い換えれば、或る画像片の輝度を、同じノズル列のノズルNzに対応する他の画像片の輝度で補正する。また、ホスト側コントローラ100は、補正対象となる或る画像片の輝度を、ノズル列方向の一方に位置する画像片(第1の他の画像片に相当する。)の輝度と他方に位置する画像片(第2の他の画像片に相当する。)の輝度とに基づいて補正する。
図16に示すように、ここでは、第2ノズル列N2のノズルNzに対応する画像片を補正する場合を例に挙げて説明する。図16に示すように、ホスト側コントローラ100は、列領域R5に対応する画像片の輝度Y(R5)を補正するに際し、列領域R2に対応する画像片の輝度Y(R2)と列領域R8に対応する画像片の輝度Y(R8)を用いる。すなわち、第2ノズル列N2のノズルピッチ(n=1)の分だけ、ノズル列の方向の両側に離れた位置の画像片の輝度を用いている。そして、補正対象の画像片の輝度Y(R5)について重みを0.5とし、両側の画像片の輝度Y(R2),Y(R8)について重みを0.25として、加重平均をしている。従って、補正後の輝度Yc(R5)は次式(1)で表される。同様に、列領域R20に対応する画像片、及び、列領域R29に対応する画像片の補正後の輝度Yc(R20),Yc(R29)は、次式(2),(3)で表される。
Yc(R5)=0.5Y(R5)+0.25Y(R2)+0.25Y(R8) …(1)
Yc(R20)=0.5Y(R20)+0.25Y(R17)+0.25Y(R23) …(2)
Yc(R29)=0.5Y(R29)+0.25Y(R26)+0.25Y(R32) …(3)
このような加重平均処理を行うことで、各画像片に対して共通な、補正対象でない要因による輝度のムラ(濃度ムラ)については、その影響を小さくすることができる。また、図17に示すように、埃等による濃度ムラについても、補正後の輝度Yc(R20)は、ノズル列方向両側の画像片の輝度に基づいて補正されるので、埃等の影響を小さくすることができる。
ここで、加重平均の対象となる画像片は、同じノズル列のノズルNzに対応する画像片である。これにより、ノズル列の位置ずれに起因する輝度のムラについては残すことができる。図16の例の場合、第2ノズル列N2の各ノズルNzに対応する画像片は、第1ノズル列N1の各ノズルNzに対応する画像片や第3ノズル列N3の各ノズルNzに対応する画像片に比べて輝度が高くなる傾向がある。この方法を採ることで、その傾向を残しつつ補正対象でない要因の影響を小さくすることができる。加えて、加重平均で選択した他の画像片は、ノズルピッチ毎という条件の下で、補正対象の画像片に最も近い画像片となる。このように、他の画像片として補正対象の画像片に近い画像片を選択することで、補正対象でない要因の影響をより効果的に抑制できると考えられる。これは、補正対象でない要因は、画像片同士が近い位置にあるほど、同じように影響を与えていると考えられるからである。なお、加重平均をする際の他の画像片は2つに限定されない(nを2以上の整数にしてもよい)。この場合、他の画像片は、補正対象の画像片に近いものから順に選択することが好ましい。その観点から、他の画像片は、補正対象の画像片に対して、ノズル列方向の両側に位置する画像片を選択することが好ましいといえる。
この加重平均処理で得られた補正後の輝度値は、それぞれメモリ103の第2平均輝度記憶領域に記憶される。なお、説明は省略するが、この加重平均処理では、第1帯状部分PT(Sa)から第6帯状部分PT(Smax)に対応する複数の画像片について補正後の輝度値が算出され、メモリ103に記憶される。
なお、サンプリング処理(S34)と加重平均処理(S35)に関し、説明の便宜上、これらの処理を分けて説明した。実際のシステムでは、これらの処理を、画像片毎に繰り返し行うことが好ましい。メモリ103の作業領域が少なくて済むからである。
<補正値の算出について>
補正後の輝度値を算出したならば、ホスト側コントローラ100は、列領域毎に補正値を算出する(S36)。図18に示すように、ホスト側コントローラ100は、各画像片の補正後の輝度と目標輝度Yavとの差に基づいて、列領域毎の補正値を算出する。図19A及び図19Bは、基準階調値Sb(指令階調値102)の或る画像片の補正値の算出を説明する概念図である。これらの図において、横軸は画素データの階調値を示し、縦軸は輝度を示している。また、基準階調値Sbでの目標輝度Yav_bが示されている。
図19Aは、或る列領域Rnの画像片の輝度Yc(Rn)_bが、目標輝度Yav_bよりも高い場合における補正値の算出方法を示している。なお、図19Aにおける縦軸は輝度を示しており、下側ほど明るい(輝度が高い)ことを示している。この点は、図19Bも同じである。この図に示すように、画像片の輝度Yc(Rn)_bが目標輝度Yav_bよりも高い場合、ホスト側コントローラ100は、直線BCに基づく直線補間によって目標輝度Yav_bに対応する階調値Sbtを算出する。すなわち、指令階調値が大きく輝度が低い側の画像片の輝度Yc(Rn)_cを用いた直線補間によって階調値Sbtを算出する。そして、階調値Sbtと基準階調値Sbとの差を、補正値C(Rn)_bとして算出する。
図19Bは、画像片の輝度Yc(Rn)_bが、目標輝度Yav_bよりも低い場合における補正値の算出方法を示している。この図に示すように、画像片の輝度Yc(Rn)_bが目標輝度Yav_bよりも低い場合、ホスト側コントローラ100は、直線ABに基づく直線補間に基づいて目標輝度Yav_bに対応する階調値Sbtを算出する。すなわち、指令階調値が小さく輝度が高い側の画像片の輝度Yc(Rn)_aを用いた直線補間によって階調値Sbtを算出する。そして、階調値Sbtと基準階調値Sbとの差を、補正値C(Rn)_bとして算出する。
このようにして、ホスト側コントローラ100は、基準階調値ごとに、それぞれの画素列ごとの補正値を算出する。なお、基準階調値Saの各補正値を算出する場合には、用紙の地色の輝度、すなわち最も明るい部分の輝度を用いることができる。
<補正値の記憶について>
補正値を算出したならば、ホスト側コントローラ100は、算出した補正値をプリンタ1のメモリ53に記憶する(S37)。これにより、印刷システムは、画像の印刷時において補正値による補正を行うことができる(図4A,図4Bを参照)。その結果、先に述べたように、濃度ムラが抑制された高品位な画像を印刷できる。
<まとめ>
以上説明したように、例示した補正値取得システムでは、テストパターンPTの印刷処理(S31)において、プリンタ1は、複数のノズル列が有する各ノズルNzからインク滴を吐出させることにより、各ノズル列N1〜N3のノズルピッチよりも狭いピッチでラスタラインが並んだテストパターンPTを印刷している。そして、画像片毎(列領域毎)の輝度を取得するに際し、ホスト側コントローラ100は、或る画像片からノズルピッチだけ離れた他の画像片の輝度を用いて、或る画像片の輝度を補正している(S34,S35)。これにより、補正対象でない要因に起因する輝度のばらつきについては、他の画像片の濃度に基づいてその影響を抑制できる。そして、ノズル列同士の位置ずれに起因する輝度のばらつきは残すことができる。すなわち、補正値による補正の対象とすることができる。その結果、濃度ムラをより精度よく補正することができる。
画像片の輝度を取得するに際し、加重平均処理(S35)にて、対象となる画像片の輝度と他の画像片の輝度とに基づく加重平均処理を行うことで、対象となる画像片の輝度を補正している。このように加重平均処理を行っているので、各輝度の重み付けによって、或る画像片に固有の濃度ムラに対する補正度合いと他の画像片と共通の濃度ムラに対する補正度合いとを最適化できる。
平均輝度値の算出(S33)において、ホスト側コントローラ100は、画像片を前記単位領域の大きさで分けたそれぞれの部分について輝度を取得している。そして、取得した輝度の平均値を、対応する画像片の輝度にしている。これにより、列領域の長手方向(相対移動方向)における、補正対象でない要因による濃度ムラの影響を抑制でき、補正の効果をより高めることができる。
この補正値設定システムでは、指令階調値(つまり印刷濃度)が異なる複数種類の帯状部分PT(Sa)〜PT(Smax)が搬送方向に並んだテストパターンPTを印刷し、指令階調値毎に補正値を取得している。このように、指令階調値が異なる複数種類の部分を有するテストパターンPTを用い、それぞれの部分について補正値を取得しているので、補正の精度をより高めることができる。加えて、図19A及び図19Bで説明したように、或る指令階調値の補正値を取得するに際して、他の指令階調値の輝度も用いた直線補間を行っている。これにより、補正の精度をより高めることができる。
===その他の実施形態===
前述の実施形態は、プリンタ1を有する印刷システム、及び、このプリンタ1用の補正値を取得する補正値取得システムについて記載されている。しかし、この記載の中には、補正値の取得方法、補正値を取得するためのプログラム、このプログラムを記憶した記憶媒体の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはい言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<シリアルタイプのプリンタ1´について>
前述した第1実施形態ではラインヘッドHDを有するプリンタ1を例に挙げて説明をしたが、このプリンタ1´に限定されるものではない。シリアルタイプのプリンタ1´でも同様の作用効果を奏する。シリアルタイプのプリンタ1´は、図20に示すように、キャリッジ移動機構60を有する。このキャリッジ移動機構60は、ヘッドHD´やヘッド制御部HCが取り付けられたキャリッジを所定の移動方向へ移動させる。そして、キャリッジが移動している間にヘッドHD´からインク滴を吐出させる。これにより、移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が形成される。なお、ヘッドHD´の移動方向への1回の移動はパスとも呼ばれている。キャリッジを移動させたならば、用紙をヘッドHD´の移動方向とは交差する搬送方向に搬送する。これにより、ノズルNzと用紙の位置関係が変わり、用紙における新たな領域にラスタラインを形成できる。従って、キャリッジを移動方向に移動させつつ各ノズルNzからインク滴を吐出させるドット列形成動作と用紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを繰り返し行うことで、用紙に画像を印刷できる。
シリアルタイプのプリンタ1´では、用紙の搬送量を定めることにより、複数のラスタラインをノズルピッチよりも狭いピッチで形成できる。例えば図21に示すように、1/200インチのピッチで各ノズルNzが設けられているヘッドHD´を用いて、複数のラスタラインを1/600インチのピッチで形成することができる。この場合、或るパスで形成されるラスタライン同士の間に、他のパスで形成されるラスタラインと別のパスで形成されるラスタラインとが位置している。そして、これらのラスタラインが1/600インチの間隔でノズル列の方向(搬送方向)に並んでいる。
シリアルタイプのプリンタ1´において、搬送動作における用紙の搬送量にムラがなければ、各ラスタラインを、対応する列領域の範囲に収めることができる。しかし、用紙の搬送量に周期的なムラが生じている場合には、例えば図22に示すように、ラスタラインの位置ずれに起因する周期的な濃度ムラが生じてしまう。この周期的な濃度ムラがあると、第1実施形態と同様な問題が生じ得る。そこで、この実施形態でも、ノズル列が有する各ノズルNzのノズルピッチで画像片の輝度をサンプリングし、或るパスでドット列が形成されるべき画像片の輝度同士を用いることで、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、シリアルタイプのプリンタ1´で使用するヘッドHD´は、図21に示すヘッドHD´の他、図23に示すヘッドHD″であってもよい。このヘッドHD″では、ノズル列の方向において、第1ノズル列N1´の隣り合うノズルNz同士の中間に、第2ノズル列N2´のノズルNzが設けられている。両ノズル列N1´,N2´が有するノズルNzは1/200インチの間隔で設けられている。このため、第1ノズル列N1´と第2ノズル列N2´が有する各ノズルNzは、ノズル列の方向に1/400インチの間隔で設けられる。そして、このヘッドHD″を用いて1200dpiの印刷解像度で印刷を行う。
図23のヘッドHD″を用いた場合、用紙の搬送ムラとノズル列の位置ずれとに起因する濃度ムラが生じ得るが、両ノズル列N1´,N2´が有する各ノズルNzのノズルピッチで画像片の輝度をサンプリングし、或るパスでドット列が形成されるべき画像片の輝度同士を用いることで、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
<ノズル列の数及びノズルピッチについて>
ノズル列の数やノズルピッチは、前述の各実施形態で開示したものに限定されない。例えば、ノズル列を4列以上設けてもよいし、ノズルピッチを1/300インチや1/90インチにしてもよい。
<他の画像片について>
第1実施形態の輝度取得ステップでは、或る画像片の輝度を、或る画像片からノズル列の方向に所定ピッチ(n=1)だけ離れた他の画像片の輝度に基づいて補正している。他の画像片に関し、所定ピッチの2倍離れた位置の画像片であってもよいし、3倍離れた位置の画像片であってもよい。なお、補正対象の画像片から離れるほど、補正対象の画像片との関係が薄らいでいく。このため、他の画像片として選択される他の画像片は、補正対象の画像片に近いほど好ましい。
<画像片の長さについて>
第1実施形態において、画像片の長さは、搬送方向やヘッド移動方向に並ぶ単位領域の5つ分の長さであった。画像片の長さはこの長さに限定されない。単位領域の1つ分の大きさで構成してもよい。
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、プリンタについて説明したが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
図1Aは印刷システムを説明するブロック図である。図1Bはプリンタ側コントローラが有するメモリを説明するための図である。 ラインヘッドを説明するための図である。 各種の用語を説明するための図である。 図4Aは、プリンタドライバに基づくホスト側コントローラの動作を説明する図である。図4Bは、印刷データを受信したプリンタによる印刷動作を説明する図である。 補正値を説明するための図である。 ハーフトーン処理の概略を説明するための図である。 比較例のラインヘッドを説明する図である。 比較例のラインヘッドによって印刷されたテストパターンの輝度の変化を説明する図である。 特定のノズル列がずれたラインヘッドによる印刷を説明する図である。 図10Aは補正値の取得システムを説明するブロック図である。図10Bはホスト側コントローラが有するメモリを説明するための図である。 補正値の取得処理を説明するためのフローチャートである。 特定のノズル列がずれたラインヘッドによるテストパターンの印刷を説明する図である。 図13Aは、テストパターンを説明するための図である。図13Bは、単位領域と指令階調値の関係を説明する図である。図13Cは、得られた画像片を説明する図である。 ホスト側コントローラによって認識される画像片毎の輝度を説明するための図である。 サンプリング処理を説明するための概念図である。 加重平均処理を説明するための概念図である。 埃等による濃度ムラの補正を説明するための概念図である。 補正値の算出を説明するための概念図である。 図19Aは、基準階調値Sbよりも輝度が高い画像片についての補正値の算出を説明する概念図である。図19Bは、基準階調値Sbよりも輝度が低い画像片についての補正値の算出を説明する概念図である。 シリアルタイプのプリンタを有する印刷システムを説明するためのブロック図である。 シリアルタイプのプリンタによる印刷を説明する概念図である。 ラスタラインの位置ずれを説明する図である。 シリアルタイプのプリンタで用いられる他のヘッドを説明する図である。
符号の説明
1 プリンタ,10 用紙搬送機構,20 駆動信号生成回路,
30 ラインヘッドユニット,40 検出器群,
50 プリンタ側コントローラ,51 インタフェース部,
52 CPU,53 メモリ,
100 ホスト側コントローラ,101 インタフェース部,
102 CPU,103 メモリ,
200 スキャナ側コントローラ,201 インタフェース部,
202 CPU,203 メモリ,204 キャリッジ移動機構,
205 ラインセンサ,
CP コンピュータ,CP´ コンピュータ,SC スキャナ,
COM 駆動信号,HC ヘッド制御部,HD ラインヘッド,
HD´ ヘッド,N1 第1ノズル列,N2 第2ノズル列,
N3 第3ノズル列,Nz ノズル,

Claims (8)

  1. 印刷解像度に応じた単位領域毎に定められるデータに基づいて、ノズル列と媒体とを相対移動させつつ前記ノズル列が有する各ノズルからインク滴を吐出させることで、複数のドット列が前記ノズル列の方向に並ぶ補正用パターンを前記媒体に印刷する印刷ステップと、
    前記補正用パターンをスキャナで読み取ることによって得られた読み取り画像を、前記印刷解像度に応じた間隔で前記ノズル列の方向に分けることで得られた、複数の画像片のそれぞれについて輝度を取得する輝度取得ステップと、
    前記画像片毎の輝度に基づいて、前記画像片に対応する単位領域の輝度を補正するための補正値を取得する補正値取得ステップと
    を有する補正値の取得方法であって、
    前記印刷ステップでは、
    所定ピッチで設けられた複数のノズルを有する第1ノズル列と、前記所定ピッチで設けられた複数のノズルを有し、前記ノズル列の方向において或るノズルが前記第1ノズル列が有する隣り合うノズル同士の間に位置するように配置された第2ノズル列とを有するヘッドを用い、
    前記第1ノズル列が有する複数のノズル及び前記第2ノズル列が有する複数のノズルからインクを吐出させることにより、複数の前記ドット列を前記所定ピッチよりも狭いピッチで形成し、
    前記輝度取得ステップでは、
    或る画像片の輝度を、前記或る画像片から前記ノズル列の方向に前記所定ピッチのn倍(nは1以上の整数)離れた他の画像片の輝度に基づいて補正し、
    前記補正値取得ステップでは、
    前記画像片毎の補正後の輝度に基づいて前記補正値を取得する、補正値の取得方法。
  2. 請求項1に記載の補正値の取得方法であって、
    前記輝度取得ステップでは、
    前記或る画像片の輝度と前記他の画像片の輝度とに基づく加重平均処理を行うことにより、前記或る画像片の補正後の輝度を求める、補正値の取得方法。
  3. 請求項2に記載の補正値の取得方法であって、
    前記輝度取得ステップでは、
    前記或る画像片の輝度と、
    前記或る画像片から前記ノズル列の方向の一方の側に位置する第1の他の画像片の輝度と、
    前記或る画像片から前記ノズル列の方向の他方の側に位置する第2の他の画像片の輝度と
    に基づいて前記加重平均処理を行う、補正値の取得方法。
  4. 請求項1から請求項3の何れかに記載の補正値の取得方法であって、
    前記他の画像片は、
    前記或る画像片から前記ノズル列の方向に前記所定ピッチの分だけ離れている、補正値の取得方法。
  5. 請求項1から請求項4の何れかに記載の補正値の取得方法であって、
    前記画像片の相対移動方向の長さは、
    前記単位領域の複数個分に相当する長さであり、
    前記輝度取得ステップでは、
    前記画像片を前記単位領域の大きさで分けた部分のそれぞれについて輝度を取得し、取得した輝度の平均値を対応する画像片の輝度とする、補正値の取得方法。
  6. 請求項1から請求項5の何れかに記載の補正値の取得方法であって、
    前記印刷ステップでは、
    濃度が異なる複数種類の前記補正用パターンを前記ノズル列と前記媒体との相対移動方向に印刷し、
    前記輝度取得ステップでは、
    前記補正用パターンの種類毎に得られた複数の画像片のそれぞれについて輝度を取得し、
    前記補正値取得ステップでは、
    前記画像片毎の補正後の輝度に基づいて、前記補正用パターンの濃度毎に前記補正値を取得する、補正値の取得方法。
  7. 請求項6に記載の補正値の設定方法であって、
    前記補正値取得ステップでは、
    或る濃度の前記補正値を取得するに際して、他の濃度の画像片についての補正後の輝度も用いる、補正値の取得方法。
  8. 印刷解像度に応じた単位領域毎に定められるデータに基づいて、ノズル列と媒体とを相対移動させつつ前記ノズル列が有する各ノズルからインク滴を吐出させることで、複数のドット列が前記ノズル列の方向に並ぶ補正用パターンを前記媒体に印刷する印刷ステップと、
    前記補正用パターンをスキャナで読み取ることによって得られた読み取り画像を、前記印刷解像度に応じた間隔で前記ノズル列の方向に分けることで得られた、複数の画像片のそれぞれについて輝度を取得する輝度取得ステップと、
    前記画像片毎の輝度に基づいて、前記画像片に対応する単位領域の輝度を補正するための補正値を取得する補正値取得ステップと
    を有する補正値の取得方法であって、
    前記印刷ステップでは、
    前記ノズル列を移動方向へ移動させつつ前記ノズルからインクを吐出させることで前記ドット列を前記媒体に形成するドット列形成動作と前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを行うことにより、複数の前記ドット列を前記所定ピッチよりも狭いピッチで形成し、
    前記輝度取得ステップでは、
    或る画像片の輝度を、前記或る画像片から前記ノズル列の方向に前記所定ピッチのn倍(nは1以上の整数)離れた他の画像片の輝度に基づいて補正し、
    前記補正値取得ステップでは、
    前記画像片毎の補正後の輝度に基づいて前記補正値を取得する、
    補正値の取得方法。
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